JP5006802B2 - 上皮由来の癌診断および予後診断のためのバイオマーカーとしてのCyr61 - Google Patents

上皮由来の癌診断および予後診断のためのバイオマーカーとしてのCyr61

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Description

本出願は、米国仮特許出願第60/654,111号(2005年2月18日出願)についての米国特許法第119条(e)の下の優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、患者から得られた尿サンプルにおいてCyr61のレベルを評価することにより、上皮由来の癌を診断および予後診断するための方法に関する。
(発明の背景)
癌の生存率における最も重要なファクターの一つは、早い段階での検出である。癌の初期事象を検出する臨床分析は、癌の進行を干渉および阻止する機会を提供する。遺伝子プロファイリングおよびプロテオミクスの発展に伴い、特定の癌を診断および予後診断するために使用することができる分子マーカーまたは「バイオマーカー」の同定がかなり進んできている。例えば、前立腺癌の場合には、抗原PSA(前立腺特異抗原)が血液中において検出され得、そして、前立腺癌が存在することを示している。従って、前立腺癌のリスクを負った男性の血液は、PSAレベルの上昇により、迅速に、容易に、且つ安全にスクリーニングすることができる。
癌の検出分野でかなりの進展があったとは言え、当技術分野には、尚も、臨床的応用において容易に使用することができる、様々な癌に対する新たなバイオマーカーを同定する必要性が依然として存在する。例えば、これまでのところ、容易に検出可能なバイオマーカーを用いて乳癌の診断に利用できる方法は比較的僅かな選択肢しかなかった。EGFRの過剰発現は、特にエストロゲン受容体の下方調節と相まって、乳癌患者における予後不良のマーカーである。さらに、乳癌腫瘍組織におけるCyr61の上方調節は、特許文献1に記載されているが、Cyr61の検出は侵襲性手順を含み、Cyr61の分析のための尿の使用は、教示されていない。乳癌に対する他のマーカーは、血液中における高レベルのM2ピルビン酸キナーゼ(M2PK)(特許文献2)、血液中における高レベルのZNF217タンパク質(特許文献3)、および乳癌において新たに同定されたタンパク質であるPDEBCの差次的発現を含み、このPDEBCの差次的発現は、診断に有用である(特許文献4)。これらのバイオマーカーは代替的な診断方法を提供しているが、広範には使用されておらず、そして多くは、検出のために侵襲性手順を含む。更に、多くの組織化学的マーカー、遺伝子マーカーおよび免疫学的マーカーが使用されているにもかかわらず、臨床医にとっては、依然として、どの腫瘍が他の器官に転移するのかを予測するのが困難である。
米国特許出願公開第2004/008504号明細書 米国特許第6,358,683号明細書 国際公開第98/02539号パンフレット 米国特許出願公開第2003/0124543号明細書
バイオマーカーの同定は、疾患の診断、予後診断および治療を改善することと深く関わっている。それ故、当技術分野においては、迅速に、容易に、且つ安全に検出することができる代替的なバイオマーカーを同定する必要性が存在する。そのようなバイオマーカーを、癌を有する被験体の進行または治療を診断し、病期を決定し、モニタリングするために使用することができる。バイオマーカーはまた、器官限局性の癌と転移性の癌との間を識別するためにも使用され得る。
腫瘍増殖および転移は脈管形成依存性であるので、腫瘍の「脈管形成スイッチ」に関与するバイオマーカーは、特に有用である。腫瘍が脈管形成性になる場合、腫瘍は、累進的に拡大し、そして転移性細胞を広げ得る(Hanahan D,Folkman J.,Cell 86:353−364,1996;Smith−McuneおよびWeidner N.,Cancer Research,54:800−804)。したがって、腫瘍の脈管形成状態へのスイッチングに関与するバイオマーカーの同定は、器官限局性の癌と転移性の癌との間を識別することを可能にする。
(発明の概要)
本発明は、卵巣癌および乳癌を有する患者の尿中にCyr61タンパク質が存在し、このような癌の悪性形態を有する患者においてCyr61タンパク質のレベルがより高い、という発見に基づくものである。従って、本発明は、上皮由来の癌(例えば乳癌、結腸癌、前立腺癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌および皮膚癌など)の予後評価のための方法、および上皮由来の癌の診断を容易化するための方法を対象とする。治療効力についてのマーカーとしてのCyr61もまた、開示される。
詳細には、尿サンプルにおけるCyr61タンパク質のモニタリングは、卵巣癌もしくは乳癌の診断を容易にするための一次スクリーニングとして使用され得る;年齢および性別がマッチングされた健常な試験サンプルと比較して、試験被験体由来のサンプルの尿中で検出されるより高い量のCyr61タンパク質は、癌を有する患者の指標である。換言すれば、患者が癌を有する可能性の増大が存在する。次いで、診断を確認するためのさらなる試験(例えばマンモグラフィー(乳癌)、超音波、PETスキャニング、MRIもしくは他のあらゆるイメージング技術、生検、臨床検査、ダクトグラム(ductogram))が実施され得る。さらに、時間経過にわたる患者におけるCyr61タンパク質のレベルのモニタリングは、および時間経過にわたって発現の増大を見出すことは、癌がその攻撃性を増大していることを示すために使用され得、したがって、この患者は予後不良である。次いで、臨床医は、治療を調整し得る。したがって、尿中のCyr61のレベルの測定は、患者における上皮由来の癌(例えば乳癌または卵巣癌)の診断および予後診断の両方に使用可能な、迅速で簡単で安全なスクリーニング方法を提供する。
理論に縛られることはないが、Cyr61は、脈管形成スイッチに関与すると考えられる。したがって、Cyr61の検出は、癌がより脈管形成性の疾患へとスイッチングされており、したがって、より積極的な治療を必要とすることを示すと考えられる。これの支持において、Cyr61は、上皮間葉遷移(EMT)に関与する分子を上方調節することが見出されている(実施例3参照)。EMTは、重要なプロセスであり、このプロセスにより、上皮細胞は間葉性の線維芽細胞様特性を獲得し、そして細胞間接着の低下および運動性の増大を示す。EMT様事象は、腫瘍進行および悪性移行の間に起こり、癌細胞に侵襲性特性および転移性特性を与えると考えられる(Lionel Laruel and Alfonso Bellacosa Oncogene(2005)24,7443−7454)。
一つの実施形態においては、被験体における上皮由来の癌の診断を容易化するための方法が提供される。その方法は、被験体から得られた試験尿サンプルにおけるCyr61のレベル測定し、その観察されたCyr61のレベルを対照サンプルに存在するCyr61のレベルと比較するステップを含む。対照サンプルと比べるときに、試験サンプルに存在するより高いレベルのCyr61は、癌の可能性が高いことを示している。好適には、このレベルは、対照のレベルよりも1.5倍、より好適には2倍またはそれ以上である。
好適には、本発明の方法は、上皮由来の癌、特に乳癌および卵巣癌を早期に検出するために用いられる。例えば、被験体は、医師により、年に一度行われる健康診断の際にスクリーニングされ得る。陽性の(Cyr61のレベルが対照のレベルよりも高い)試験結果は、診断的評価をさらに保証する。
「対照サンプル」という用語は、癌を有していないものと確信される一人もしくは複数の「正常」または「健常」な個体から得られた尿サンプルを表す。対照は、当該技術分野において広く知られている方法を用いて選択されてよい。一旦、対照集団でのあるレベルが明確になると、試験尿サンプルから得られた一連の結果をその既知のレベルと直接的に比較することができる。
「試験サンプル」という用語は、上皮由来の癌について試験される患者から得られた尿サンプルを表す。
一つの態様においては、診断されるべき上皮由来の癌は、乳癌、基底細胞癌、腺癌、消化管癌(例えば口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌および胃癌)、結腸癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、および皮膚癌(例えば扁平上皮細胞癌および基底細胞癌)、前立腺癌、腎細胞癌、ならびに身体の至る所で上皮細胞に影響を及ぼす他の公知の癌である。好ましくは、この癌は、乳癌もしくは卵巣癌である。
本発明はまた、同じ被験体から得られた複数の試験サンプル中に存在するCyr61のレベルの評価をも企図し、ここで、時間経過にわたるCyr61の量における進行性の増大は、癌腫瘍の攻撃性(例えば、転移能力)の増大を示す。このように、Cyr61のレベルは、疾患状態および疾患段階の予測として寄与する。サンプルは、互いに数日、数週間、または数ヶ月離して採取され得る。
本発明は、更に、上皮由来の癌を有する患者を治療すべく設計された治療計画の治療効力をモニタリングするためのCyr61のレベルの評価も想定している。
本発明の一つの態様においては、試験尿サンプル中に存在するCyr61のレベルは、試験サンプルまたはその調製物を、Cyr61タンパク質またはその一部に特異的に結合する抗体ベースの結合部分と接触させることにより測定される。この抗体ベースの結合部分は、検出することができるCyr61との複合体を形成し、これにより、Cyr61のレベルを測定することが可能になる。
抗体をベースとしたイムノアッセイは、Cyr61タンパク質のレベルを測定するための好適な手段である。しかし、当業者にとって公知のあらゆる手段を用いてCyr61のレベルを評価することができる。例えば、幾つかの実施形態においては、Cyr61の発現レベルは、SELDI質量分析法を含め、質量分析法により評価することができる。
別の実施形態においては、被験体の治療を指示するための方法が提供される。その方法は、被験体から得られた尿サンプルにおけるCyr61のレベルについて試験される被験体を得るステップを含み、臨床医が結果を精査し、その尿が対照サンプルにおけるCyr61よりも高いCyrレベルを有する場合、臨床医は、その被験体に対し、上皮由来の癌について治療されるように指示する。その試験は、被験体が居住している場所と同じ地域で行われてもよいし、別の地域で行われてもよく、結果は、例えばウェブサイトを通じて利用可能に為され、またはその臨床医に送信される。
本発明の別の態様は以下で開示されている。
(発明の詳細な説明)
本発明者らは、患者の尿サンプルに存在するCyr61のレベルが上皮由来の癌の存在または不在と相関関係があることを発見した。
本明細書で使用する場合、「上皮由来の癌」という用語は、上皮細胞から生じる癌を表し、これらに限定されないが、乳癌、基底細胞癌、腺癌、消化管癌、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌および胃癌、結腸癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌および皮膚癌(例えば扁平上皮細胞癌および基底細胞癌)、前立腺癌、腎細胞癌、ならびに身体の至る所で上皮細胞に影響を及ぼす他の公知の癌を含む。
癌に関する「侵襲性の強い」または「浸潤性の」という用語は、腫瘍がその境界を越えて隣接する組織に広がる性質的傾向を表す(Darnell,J.(1990)、Molecular Cell Biology、第三版、W.H.Freeman、NY)。浸潤性の癌は、腫瘍が特定の器官に限定される器官限局性の癌と対照をなすことができる。腫瘍の浸潤特性は、しばしば、タンパク質分解酵素、例えばコラゲナーゼなどの産生を伴い、これらのタンパク質分解酵素は、マトリックス物質および基底膜物質を分解し、腫瘍が、その被膜の境界を越えて広がることを可能にし、また、腫瘍が位置している特定の組織の境界を越えて広がることを可能にする。
本明細書で使用する場合、「転移」という用語は、癌が発生元の器官から患者の付加的な遠位方向の部位へ拡散する状態を表す。腫瘍が転移するプロセスは多段階事象であり、細胞間マトリックスの局所的な侵襲および破壊、血管、リンパ管または他の輸送チャンネル内への侵入、その循環内における生存、それらの脈管から二次的な部位への管外遊出、および新たな場所での増殖を含む(Fidlerら、Adv.Cancer Res.28、149−250(1978)、Liottaら、Cancer Treatment Res.40、223−238(1988)、Nicolson、Biochim.Biophy.Acta 948、175−224(1988)およびZetter,N.Eng.J.Med.322、605−612(1990))。悪性細胞の運動性の増大は、動物およびヒトの腫瘍の転移能の増強と関連している(Hosakaら、Gann 69、273−276(1978)およびHaemmerlinら、Int.J.Cancer 27、603−610(1981))。
一つの好適な実施形態においては、尿サンプルは、Cyr61タンパク質の分解を防ぐべく処理される。分解を抑制または防止するための方法は、これらに限定されないが、サンプルのプロテアーゼによる処理、サンプルを凍結させること、またはサンプルを氷の上に置くことを含む。好適には、分析する前には、サンプルは、Cyr61タンパク質の分解を防ぐことができるような条件下で恒常的に保持される。
本明細書で使用する場合、「原発腫瘍」は、被験体内における最初の部位において出現する腫瘍であり、原発腫瘍から離れた部位においてその被験体の身体に出現する「転移性腫瘍」と区別することができる。
本明細書で使用する場合、「LCIS」は、インサイチュでの小葉癌を表す。LCISは、小葉性新生物とも呼ばれており、時には、非浸潤型の乳癌として分類されることがある。LCISは小葉の壁部を貫通しない。LCISは、通常、それ自体は浸潤性の癌にならないが、この状態を有する女性は、同じ側または反対側の乳房で浸潤性の乳癌が発現する高いリスクを負っている。
本明細書で使用する場合、「DCIS」は、乳管内癌を表す。乳管内癌は、最も一般的なタイプの非浸潤性乳癌である。DCISの場合、悪性細胞は、乳管の壁部を通じてその乳房の脂肪組織に転移していない。コメド癌は、局所部分切除術後、他のタイプのDCISよりも同じ領域で再発しやすいタイプのDCISであり、他の形態のDCISよりも、最終的な浸潤性乳管癌の発現と深いつながりを有している。
本明細書で使用する場合、「Cyr61」は、Genebank登録、Genpept、O00622およびAAB58319(Homosapiens)(配列番号1)(図2)のCyr61タンパク質を表す。Cyr61は、分泌され、そして細胞表面および細胞外マトリックスに結合される、システインリッチなヘパリン結合性タンパク質である。「Cyr61」という用語は、改変体、ホモログ、対立形質型、突然変異型およびそれらの同等物などの種も包含する。
本発明は、患者における上皮由来の癌の診断を容易化するための方法を対象としている。一つの実施形態においては、本方法は、癌を有している疑いのある被験体から得られた試験サンプルにおけるCyr61のレベルを測定するステップ、およびその観測されたレベルを、対照サンプル、例えば癌を有していないことが確信される個人の患者または個人の集団から得られたサンプル中において見出されるCyr61のレベルと比較するステップを含む。正常な対照サンプルにおいて観測されるレベルよりも高いレベルのCyr61は、癌が存在することを示している。Cyr61のレベルはあらゆる任意の単位で表されてよく、例えばデンシトメーター、照度計またはElisaプレートリーダーから得られる単位として表すことができる。
本明細書で使用する場合、「対照サンプルにおけるレベルと比べ、試験サンプルにおけるより高いレベルのCyr61」は、対照サンプル中に存在するCyr61の量よりも大きなCyr61の量を表す。「より高いレベル」という用語は、統計学的に有意なレベル、または対照サンプル中において見出されるレベルを有意に上回るレベルを表す。好適には、「より高いレベル」は、少なくとも2倍大きい。
「統計学的に有意な」または「有意に」という用語は、統計学的な有意性を表し、一般的には、正常なマーカーの濃度を2標準偏差(2SD)上回るか、またはそれより高いことを意味する。
比較の目的上、試験サンプルおよび対照サンプルは同じタイプのものであり、即ち、尿から得られる。しかし、この対照サンプルはまた、健常個体から得られる尿サンプルにおいて通常見られる濃度と同じ濃度のCyr61を含有する標準サンプルであってもよい。
本発明の一つの態様においては、二次的診断ステップが実施されてよい。例えば、もしCyr61のレベルが癌の存在を示すものであることが判明した場合、その後に、癌の存在を確認するため、癌を検出する付加的な方法を実施することができる。種々のあらゆる付加的診断ステップを用いることができ、例えばマンモグラフィー(乳癌)、超音波、PETスキャニング、MRIもしくは他のあらゆるイメージング技術、生検、臨床検査、ダクトグラム(ductogram)、またはあらゆる他の方法などを用いることができる。
さらに、個々の患者におけるCyr61レベルを追跡することにより、疾患の進行が評価され得る。例えば、患者の状態における変化は、時間経過にわたるその患者におけるCyr61発現レベルの変化を比較することによってモニタリングされ得る。Cyr61レベルにおける進行的な上昇は、腫瘍の侵襲および転移についての可能性の増大を示す。
また、本発明の予後診断的方法は、癌を有する患者/被験体に対する適切な治療コースを決定するのにも有用である。治療コースは、癌の診断後または癌の治療後、患者に対して取られる治療的処置を表す。例えば、癌の再発、拡散または患者の生存に関する可能性の決定は、治療に保存的な方法を採用すべきか、もしくは根治的な方法を採用すべきか、または種々の治療法を組み合わせるべきかどうかを決定する上での助けとなり得る。例えば、癌が再発する可能性が高いときには、外科治療に前後して、化学療法、放射線療法、免疫療法、生物学的改変剤療法、遺伝子療法およびワクチンなどを施すことが有利であり得、または患者が治療されるタイムスパンを調節することが有利であり得る。
Cyr61のレベルの測定
Cyr61のレベルは、当業者にとって公知のあらゆる手段により測定されてよい。本発明においては、一般的に、抗体または抗体同等物を用いてCyr61レベルを検出することが好適である。しかし、検出のための他の方法を使用することもできる。例えば、Cyr61レベルは、質量分析によってモニタリングされ得る。
一つの実施形態においては、Cyr61タンパク質のレベルは、尿サンプルをCyr61またはCyr61のフラグメントに特異的に結合する抗体ベースの結合部分と接触させることにより測定される。この後、抗体−Cyr61複合体の形成がCyr61のレベルの測定値として検出される。
「抗体ベースの結合部分」または「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子およびイムノグロブリン分子の免疫学的に活性な決定基、例えばCyr61または本発明のさらなるバイオマーカーに特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有している分子を含む。この「抗体ベースの結合部分」という用語は、全抗体、例えばあらゆるアイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgEなど)の抗体全体を含めるべく意図されており、また、Cyr61タンパク質と特異的に反応する抗体のフラグメントも含む。抗体は、従来技術を用いてフラグメント化することができる。従って、この用語は、特定のタンパク質と選択的に反応することができる、抗体分子のタンパク質分解作用により切断された部分または組換え技術によって調製された部分のセグメントを含む。そのようなタンパク質分解作用によるフラグメント及び/又は組換え技術によるフラグメントの非限定的な例は、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fv、dAb、およびペプチドリンカーによって接合されたVLおよびVHドメインを含有する一本鎖抗体(scFv)を含む。scFvは、二つもしくはそれ以上の結合部位を有する抗体を形成するために、共有結合または非共有結合により連結されていてよい。従って、「抗体ベースの結合部分」は、抗体および組換え抗体のポリクローナル、モノクローナルまたは他の精製調製物を含む。更に、「抗体ベースの結合部分」という用語は、ヒト化抗体、二重特異性抗体、および抗体分子から誘導される少なくとも一つの抗原結合決定基を有するキメラ分子を含めるべく意図されている。一つの好適な実施形態においては、抗体ベースの結合部分が検出可能に標識される。
本明細書で使用する場合、「標識抗体」は、検出可能な手段によって標識された抗体を含み、これらに限定されないが、酵素で標識された抗体、放射活性物質で標識された抗体、蛍光物質で標識された抗体、および化学発光物質で標識された抗体を含む。また、抗体を検出可能なタグで標識することもでき、例えばc−Myc、HA、VSV−G、HSV、FLAG、V5またはHISなどで標識することができる。
Cyr61のレベルを検出するために抗体ベースの結合部分を使用する本発明の診断法および予後診断法において、尿サンプルに存在するCyr61タンパク質のレベルは、検出可能に標識された抗体から発せられる信号の強度と相関関係を有している。
一つの好適な実施形態においては、抗体ベースの結合部分は、抗体を酵素に連結することにより検出可能に標識される。次いで、酵素は、その酵素の基質に供されたときに、例えば分光光度計により、蛍光光度計により、または視覚的な手段により検出することができる化学的な部分を生成するような仕方で、その基質と反応するであろう。本発明の抗体を検出可能に標識するために使用することができる酵素は、これらに限定されないが、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ−V−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファ−グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−VI−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼを含む。化学発光は、抗体ベースの結合部分を検出するために使用することができる別の方法である。
また、検出は、あらゆる他の様々なイムノアッセイを用いて達成することもできる。例えば、抗体を放射活性物質で標識することにより、ラジオイムノアッセイを用いてその抗体を検出することができる。放射性同位体は、ガンマ線カウンターまたはシンチレーションカウンターを使用する方法などにより、またはオートラジオグラフィーにより検出することができる。本発明の目的にとって特に有用な同位体は、H、131I、35S、14Cなどであり、好適には125Iである。
抗体を蛍光化合物で標識することも可能である。蛍光物質で標識された抗体が適切な波長の光に曝露されるときには、蛍光により、その蛍光標識抗体の存在を検出することができる。数ある中で最も一般的に使用されている蛍光標識化合物は、CYE染料、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、フィコエリトリン(phycoerytherin)、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド(o−phthaldehyde)およびフルオレサミンである。
また、抗体は、蛍光発光金属、例えば152Euまたはランタニド系列の他の金属などで検出可能に標識することもできる。これらの金属は、金属キレート基、例えばジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などを用いて抗体に付着させることができる。
また、抗体は、抗体を化学発光化合物にカップリングさせることにより検出可能に標識することもできる。この後、その化学発光−抗体の存在は、化学反応の過程で生じる発光の存在を検出することにより決定される。特に有用な化学発光標識化合物の例は、ルミノール、ルシフェリン、イソルミノール、セロマティック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルである。
上述の如く、Cyr61のレベルは、イムノアッセイ、例えば酵素結合免疫吸着(immunoabsorbant)検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫放射性測定検定法(IRMA)、ウェスタンブロット法または免疫組織化学的検定法などにより検出することができ、それぞれの分析法については以下でより詳しく説明されている。極めて迅速であり得るELISAまたはRIAなどのイムノアッセイが、一般的にはより好適である。抗体アレイまたはタンパク質チップを使用することもでき、例えば米国特許出願第20030013208A1号;第20020155493A1号;第20030017515号、および米国特許第6,329,209号;第6,365,418号を参照のこと(これらの特許文献は、参照により、それらの内容全体が本明細書に組み入れられる)。
イムノアッセイ
「ラジオイムノアッセイ」は、標識された(例えば放射活性物質で標識された)形態の抗原を用いて抗原の濃度を検出および測定するための技術である。抗原に対する放射活性標識の例は、H、14Cおよび125Iを含む。生物学的サンプルにおける抗原Cyr61の濃度は、生物学的サンプルにおける抗原を、その抗原に対する抗体への結合に関して、標識(例えば放射活性標識)抗原と競合させることにより測定される。標識抗原と非標識抗原との間の競合結合を確実化するため、標識抗原は、抗体の結合部位を飽和させるのに充分な濃度で存在する。サンプル中の抗原の濃度が高いほど、抗体に結合する標識抗原の濃度は低くなる。
ラジオイムノアッセイの場合、抗体に結合した標識抗原の濃度を決定するためには、抗原−抗体複合体を遊離抗原から分離しなければならない。抗原−抗体複合体を遊離抗原から分離するための一つの方法は、抗−アイソタイプの抗血清を用いて抗原−抗体複合体を沈降させることによるものである。抗原−抗体複合体を遊離抗原から分離するための別の方法は、ホルマリンで殺した(formalin−killed)S.aureusを用いて抗原−抗体複合体を沈降させることによるものである。抗原−抗体複合体を遊離抗原から分離するための更に別の方法は、「固相ラジオイムノアッセイ」を実施することによるものであり、抗体がSepharoseビーズ、ポリスチレンウェル、ポリ塩化ビニルウェルまたはマイクロタイターウェルに(例えば共有結合により)連結されている。抗体に結合した標識抗原の濃度を、既知濃度の抗原を有するサンプルに基づいて作成された標準曲線と比較することにより、生物学的サンプルにおける抗原の濃度を決定することができる。
「免疫放射性測定検定法」(IRMA)は、抗体試薬が放射活性物質で標識されているイムノアッセイである。IRMAは、タンパク質、例えばウサギ血清アルブミン(RSA)への結合体化などの技術により、多価抗原コンジュゲートを生成する必要がある。この多価抗原コンジュゲートは、一分子当たり少なくとも2個の抗原残基を有していなければならず、また、それらの抗原残基は、少なくとも2個の抗体がその抗原に結合することができるようにするのに充分な距離だけ離間していなければならない。例えば、IRMAの場合、その多価抗原コンジュゲートを、固体表面、例えばプラスチック球などに付着させることができる。非標識の「サンプル」抗原および放射活性物質で標識された抗原に対する抗体が、上述の多価抗原コンジュゲートで被覆された球を含有する試験管に加えられる。サンプル中の抗原は、抗原抗体結合部位に関して、その多価抗原コンジュゲートと競合する。適切なインキュベーション時間の後、洗浄により非結合反応物が取り除かれ、その固相での放射能の量が決定される。結合した放射性抗体の量は、サンプル中の抗原の濃度に反比例する。
最も一般的な酵素免疫測定法は、「酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)」である。ELISAは、標識された(例えば酵素が連結された)形態の抗体を用いて抗原の濃度を検出および測定するための技術である。種々の異なる形態のELISAが存在し、それらのELISAは当業者に広く知られている。ELISAの技術分野において知られた標準的な技術は、「Methods in Immunodiagnosis」(第2版、RoseおよびBigazzi編集、John Wiley & Sons、1980);Campbellらによる「Methods and Immunology」(W.A.Benjamin,Inc.、1964);およびOellerich,M.による1984、J.Clin.Chem.Clin.Biochem.、22:895−904に記載されている。
「サンドイッチELISA」の場合、抗体(例えば、抗−Cyr61)が固相(即ち、マイクロタイタープレート)に結合され、抗原(例えば、Cyr61)を含有する生物学的サンプルに供される。この後、非結合抗原を取り除くべく、その固相が洗われる。次いで、標識抗体(例えば、酵素が連結された標識抗体)が、結合している状態の抗原(存在する場合)に結合され、抗体−抗原−抗体のサンドイッチを形成する。抗体に連結され得る酵素の例は、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ウレアーゼおよびB−ガラクトシダーゼである。酵素が連結された抗体は、基質と反応し、測定され得る呈色反応生成物を発生させる。
「競合ELISA」の場合には、抗体が、抗原(即ち、Cyr61)を含有するサンプルと共にインキュベートされる。この後、その抗原−抗体混合物は、抗原(即ち、Cyr61)で被覆された固相(例えば、マイクロタイタープレート)と接触する。サンプルに存在する抗原の量が多いほど、固相への結合に利用できる遊離抗体の量が少なくなる。この後、固相に結合されたその一次抗体の量を決定すべく、標識された(例えば、酵素が連結された)二次抗体がその固相に加えられる。
「免疫組織化学的検定法」の場合には、組織の切片が特異タンパク質に関して試験され、この試験は、組織を、検定対象のタンパク質に特異的な抗体に供することにより行われる。この後、タンパク質の存在および量を決定するための数多くの方法のうちのいずれかの方法により、抗体が視覚化される。抗体を視覚化するために使用される方法の例は、例えば、抗体に連結された酵素(例えば、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼもしくはベータ−ガラクトシダーゼ)を介する方法、または化学的な方法(例えば、DAB/基質クロモゲン(chromagen))である。
診療医の好みにより、また、本開示に基づき、他の技術を用いて本発明のバイオマーカーを検出することができる。一つのそのような技法はウェスタンブロット法(Towbinら、Proc.Nat.Acad.Sci.76:4350(1979))であり、適切に処理されたサンプルがSDS−PAGEゲル上を走らされ、その後、固体の支持体、例えばニトロセルロースフィルターなどに移される。次いで、Cyr61に特異的に結合する検出可能に標識された抗体を用いて、Cyr61のレベルを評価することができ、そこでは、その検出可能な標識から得られる信号の強度が、存在しているCyr61の量に対応する。それらのレベルは、例えばデンシトメトリーにより定量化することができる。
質量分析法
更に、Cyr61は、質量分析法を用いて検出されてよく、例えばMALDI/TOF(飛行時間計測式(time−of−flight))、SELDI/TOF、液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC−MS)、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)、高速液体クロマトグラフィー−質量分析法(HPLC−MS)、キャピラリー電気泳動−質量分析法、核磁気共鳴分光分析法またはタンデム質量分析法(例えば、MS/MS、MS/MS/MS、ESI−MS/MSなど)を用いて検出することができる。例えば、米国特許出願第20030199001号、第20030134304号、第20030077616号を参照のこと(これらの特許文献は、参照により本明細書に組み入れられる)。
質量分析法は、当技術分野において広く知られており、タンパク質を定量及び/又は同定するために使用されている(例えば、Liらによる(2000)Tibtech 18:151−160;Rowleyらによる(2000)Methods 20:383−397;ならびにKusterおよびMannによる(1998)Curr.Opin.Stractural Biol.8:393−400を参照のこと)。更に、単離されたタンパク質の少なくとも部分的なデノボ配列決定を可能にする質量分析技術が開発されている。ChaitらによるScience 262:89−92(1993);KeoughらによるProc.Natl.Acad.Sci.USA.96:7131−6(1999);BergmanによるEXS 88:133−44(2000)において論評されている文献(reviewed)。
特定の実施形態においては、気相イオン分光光度計が使用される。別の実施形態においては、レーザー−脱離/イオン化質量分析法を用いてサンプルが分析される。最近のレーザー脱離/イオン化質量分析法(「LDI−MS」)は、二つの主な変形様式で実践することができる:マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(「MALDI」)質量分析法および表面増強レーザー脱離/イオン化(「SELDI」)質量分析法。MALDIの場合、被分析物がマトリックスを含有する溶液と混合され、一滴の液体が基体の表面に置かれる。この後、そのマトリックス溶液は、それらの生物学的分子と共に共結晶化する。基体が質量分析計に挿入される。レーザーエネルギーが基体表面に向けられ、生物学的分子を有意にフラグメント化することなく、生物学的分子を脱離およびイオン化する。しかし、MALDIは、分析用ツールとして限界を有している。MALDIは、サンプルを分画化するための手段を備えておらず、また、マトリックス材料は、特に低分子量の被分析物の場合、検出と干渉することができる。例えば、米国特許第5,118,937号(Hillenkampら)および米国特許第5,045,694号(Beavis & Chait)を参照のこと。
SELDIの場合には、脱離プロセスにおいて基体表面が積極的に関与するように、基体表面が改変されている。一つの変形様式においては、表面は、対象のタンパク質を選択的に結合する吸着剤及び/又は捕獲剤で誘導体化される。別の変形様式においては、表面は、レーザーが当たったときに脱離されないエネルギー吸収分子で誘導体化される。別の変形様式においては、表面は、対象のタンパク質を結合し、且つ、レーザーの適用時に壊される光分解性の結合を含有した分子で誘導体化される。これらのそれぞれの方法において、誘導体化剤は、一般的に、サンプルが適用される基体表面の特定の場所に局在化される。例えば、米国特許第5,719,060号およびWO第98/59361号を参照のこと。これら二つの方法は、例えば、被分析物を捕獲するためにSELDI親和性表面を使用し、且つ、エネルギー吸収材料をもたらすべく、マトリックス含有液体を、捕獲された被分析物に加えることにより組み合わせることができる。
質量分析計に関する更なる情報については、例えば、Principles of Instrumental Analysis、第3版、Skoog、Saunders College Publishing、Philadelphia、1985;およびKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4増補版、Vol.15(John Wiley & Sons、New York 1995)、1071−1094頁を参照のこと。
マーカーまたは他の物質の存在の検出は、典型的には、信号強度の検出を含むであろう。これは、次に、基体に結合されたポリペプチドの量および特性を反映することができる。例えば、特定の実施形態においては、第一サンプルおよび第二サンプルのスペクトルから得られた信号強度のピーク値を(例えば視覚的に、またはコンピューター分析により)比較することにより、特定の生体分子の相対的な量を決定することができる。ソフトウェアプログラム、例えばBiomarker Wizardプログラム(Ciphergen Biosystems,Inc.、Fremont、Calif.)などを使用して、質量スペクトルの分析に役立てることができる。そのような質量分析計およびそれらの技術は当業者に広く知られている。
当業者であれば、質量分析計のいずれかの構成要素(例えば、脱離ソース、質量分析器、検出など)および様々なサンプル調製物は、本明細書で説明されている他の適切な構成要素もしくは調製物と、または当技術分野において公知のそれらと組合せ得ることが理解されよう。例えば、幾つかの実施形態においては、対照サンプルは重原子(例えば13C)を含んでいてよく、これにより、試験サンプルを、同一の質量分析実行において、その既知の対照サンプルと混ぜ合わせることが可能になる。
一つの好適な実施形態においては、レーザー脱離飛行時間計測式(TOF)質量分析計が使用される。レーザー脱離質量分析法においては、結合されたマーカーを伴う基体がインレットシステムに導入される。そのマーカーは、イオン化ソースからのレーザーにより脱離され、イオン化されて気相になる。発生したイオンはイオン光学アセンブリにより収集され、その後、飛行時間計測式質量分析器内において、イオンは、短い高電圧場を通じて加速され、高真空チャンバー内に送り込まれる。高真空チャンバーの遠端において、加速されたイオンは、様々に異なる時間を掛けて、高感度検出器の表面にぶつかる。飛行時間は、イオンの質量の関数であるため、イオンが形成されてからイオンが検出器に衝突するまでの間に要した時間を利用して、特定の質量対電荷比を有する分子の存在または不在を同定することができる。
幾つかの実施形態においては、第一サンプルまたは第二サンプルに存在する一つもしくはそれ以上の生体分子の相対的な量が、一部では、プログラマブルデジタルコンピューターを用いてアルゴリズムを実行することにより決定される。アルゴリズムは、第一質量スペクトルおよび第二質量スペクトルにおける少なくとも一つのピーク値を同定する。この後、アルゴリズムは、質量スペクトルのうち、第一質量スペクトルのピーク値の信号強度を第二質量スペクトルのピーク値の信号強度と比較する。相対的な信号強度は、第一サンプルおよび第二サンプルに存在している生体分子の量を表している。既知量の生体分子を含有する標準サンプルを第二サンプルとして分析することにより、第一サンプルに存在している生体分子の量を一層良好に定量化することができる。特定の実施形態においては、第一サンプルおよび第二サンプルに存在する生体分子の性質(identity)を決定することもできる。
一つの好適な実施形態においては、MALDI−TOF質量分析法によりバイオマーカーのレベルが測定される。
抗体
本発明において使用するための抗体は商業的なソースから入手することができる。代替的に、Cyr61またはバイオマーカーポリペプチドの一部に対する抗体を惹起することもできる。
本発明において使用する抗体は、抗体を生成するための標準的な方法により製造することができ、例えばモノクローナル抗体の生成により製造することができる(Cambell,A.M.によるMonoclonal Antibodies Technology:Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、Elsevier Science Publishers、Amsterdam、the Netherlands(1984);St.GrothらによるJ.Immunology、(1990)35:1−21;およびKozborらによるImmunology Today(1983)4:72)。また、抗体は、当技術分野において広く知られている方法により、ファージ提示ライブラリーのような抗体ライブラリーをスクリーニングすべく、タンパク質の抗原性部分を使用することにより容易に得ることもできる。例えば、米国特許第5,702,892号(U.S.A.Health & Human Services)およびWO01/18058号(Novopharm Biotech Inc.)は、バクテリオファージ提示ライブラリーおよび抗体結合ドメインフラグメントを製造するための選択方法を開示している。
Cyr61検出キット
本発明は、上皮由来の癌の検出および予後診断的な評価を行うための商業的なキットも対象としている。このキットは、当業者に広く知られているどのような構成であってもよく、また、Cyr61を検出するための本明細書で説明されている一つまたはそれ以上の方法を実施するのに有用などのような構成であってもよい。キットは、すべてではないにしても、尿サンプルに存在するCyr61を検出するためのアッセイを実施する上で絶対に必要な試薬のうちの多くを提供している点で都合がよい。更に、このアッセイは、好適には、予め定められた量のCyr61タンパク質の、キットに含まれている一つの標準サンプルまたは複数の標準サンプルと同時に実施され、従って、試験の結果を定量化することができ、または試験結果の正当性を確認することができる。
キットは、Cyr61のレベルを検出するための手段を含み、例えば、Cyr61タンパク質に選択的に結合する抗体もしくは抗体フラグメントを含んでいる。診断アッセイキットは、好適には、標準的な二抗体結合フォーマットで構築され、一つのCyr61−特異抗体が患者のサンプルに存在するCyr61を捕獲し、そして、捕獲されたCyr61を検出するために別のCyr61特異抗体が使用される。例えば、捕獲用の抗体は、固相、例えばアッセイプレート、アッセイウェル、ニトロセルロース膜、ビーズ、ディップスティック、または溶離カラムの構成要素などに固定化される。第二抗体、即ち、検出抗体は、典型的には、検出可能な標識、例えば比色分析用物質(calorimetric agent)または放射性同位体などでタグ付けされる。
一つの好適な実施形態においては、キットは、尿サンプルに存在するCyr61のレベルを検出するための手段を含む。特定の実施形態においては、キットは、Cyr61タンパク質を特異的に結合する、その上に固定化された抗−Cyr61抗体またはフラグメントを有する「ディップスティック」を含む。この後、特異的に結合されたCyr61タンパク質は、例えば、比色分析用物質(calorimetric agent)または放射性同位体で検出可能に標識された二次抗体を用いて検出することができる。
別の実施形態においては、アッセイキットは、(これらに限定されないが)以下の技術を用いてよい:競合および非競合アッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)、生物発光および化学発光アッセイ、蛍光分析によるアッセイ、サンドイッチアッセイ、免疫放射性測定アッセイ、ドットブロット、ELISAを含む酵素結合アッセイ、マイクロタイタープレートおよび免疫組織化学。それぞれのキットでのアッセイの範囲、感度、精度、信頼性、特異性および再現性は、当業者に広く知られた手段により定められる。
上で説明されているアッセイキットは、更に、使用説明書および尿生検のために設計された容器を提供するであろう。
以上または以下で引用されているすべての参考文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は、以下の実施例により更に例証される。
これらの実施例は、本発明の理解を促進させるために与えられたものであり、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。
実施例1 卵巣癌および乳癌についての尿バイオマーカーとしてのCyr61の同定
本発明者らは、Cyr61タンパク質が、卵巣癌についてのバイオマーカーとして寄与することを同定した。特に、本発明者らは、良性および悪性の卵巣癌を有する患者由来の尿サンプルにおけるCyr61のレベルが、癌を有さない患者由来の対照尿サンプルと比較して上昇していることを示す(図1aおよび図1b)。図1aは、卵巣癌のイムノブロット検出を示す;対照レーン、対照サンプル;良性レーン、良性癌を有する患者由来の尿;悪性レーン、悪性癌を有する患者由来の尿。図1bは、卵巣癌患者由来の尿中のCyr61免疫反応性タンパク質を検出するイムノブロットの棒グラフ定量を示す(各段階について、n=12)。
本発明者らはまた、乳癌患者由来の尿におけるCyr61のウェスタンブロッティングを実施した(図3)。癌を有さない患者由来の対照尿サンプルと比較して、以下の患者由来の尿サンプルにおいて、Cyr61のレベルの上昇があった:インサイチュの非侵襲性乳管内癌(DCIS)および侵襲性乳癌、ならびに非対称性導管過形成癌腫(ADH)。

(実施例2:脈管形成スイッチの調節因子としてのCyr61)
黄体の形成および退化は、それぞれ劇的な血管形成プロセスおよび血管退行プロセスを伴う。この内分泌腺は、したがって、脈管形成をオンおよびオフにする分子機構を説明するための研究モデルとして有用である。本研究において、本発明者らは、6日目および10日目の黄体の退行を誘導するためにPGF2αを使用した。黄体組織を、PGF2α投与の30分間後に収集した。遺伝子マイクロアレイ分析は、Cyr61(脈管形成誘導因子)は、PGFα2注射後6日目および10日目の両CLにおいて、差次的に発現された。半定量的RT−PCRは、この遺伝子が、初期CLにおいて、中間期段階および後期段階よりも有意に高い(p<0.01)レベルで発現されたことを示した。さらに、Cyr61発現は、黄体退行の間に減少した。免疫組織化学は、Cyr61タンパク質が、黄体上皮細胞および黄体ステロイドジェニック細胞(luteal steroidogenic cell)の両方に局在することを明らかにした。Cyr61の調節を研究するために、黄体ステロイドジェニック細胞および黄体上皮細胞を、CLの中間期から単離し、そしてPGF2αおよびTNFαで処理した。PGF2αは、黄体ステロイドジェニック細胞および黄体上皮細胞の両方においてCyr61発現に影響を及ぼさなかったが、TNFαは、黄体上皮細胞においてCyr61発現を刺激したが黄体ステロイドジェニック細胞においてその転写レベルを低下させた。結論として、初期CLにおけるCyr61の高い発現は、この遺伝子が、黄体脈管形成に関連し得ることを示唆する。退行中のCLにおけるCyr61の低下したレベルは、この遺伝子の下方調節が、黄体退行のチェックポイントであり得ることを示す。さらに、TNFαは、Cyr61発現を、黄体上皮細胞および黄体ステロイドジェニック細胞において差次的に調節する。したがって、このデータは、Cyr61が、脈管形成スイッチの主要な調節因子であり、黄体の生活環の間に脈管形成を「オン」および「オフ」にすることを示唆する。
(実施例III:上皮間葉遷移(EMT)の調節因子としてのCyr61)
攻撃的な癌の発症におけるCyr61の潜在的な役割を評価するために、本発明者らは、Cyr61を過剰発現する安定的なOV5(卵巣細胞)細胞株(OV5−Cyr61)を調製した。本発明者らは、上皮間葉遷移(EMT)および移動/侵襲に関与することが知られている多くの分子が、Cyr61によって調節されることを見出した。RT−PCRおよびCyr61を過剰発現する細胞株を用いて、本発明者らは、Cyr61の上方調節が、ステロイド受容体、インテグリン受容体、VEGFおよびメタロプロテアーゼの発現を変えることを見出した(データは示さず)。例えば、ステロイド受容体ERα発現が上方調節され、一方、AR発現は下方調節される;MMP−9発現(RT−PCR)および活性(ザイモグラムによる)、ならびにMMP−1、MMP−8、MMP−3、MMP−23、MMP−19の発現は上方調節され、一方、MMP−13,MMP−10およびMT1−MMPの発現に影響を及ぼさないようである;MMP−7発現は下方調節される;β6インテグリン、β3インテグリン、α6インテグリンおよびαVインテグリンの発現は、上方調節される;そしてVEGF−AおよびVEGF−Cは、これらの細胞株において上方調節される。
OV5−Cyr61細胞株を用いて、本発明者らは、ELISA検定法により、Cyr61がVEGF−Aタンパク質レベルを刺激することをさらに決定した(データは示さず)。RT−PCRを用い、本発明者らは、EMT関連遷移因子であるSnailが上方調節され、一方で、SIP−1、TwistおよびSlugは影響を受けないようであることを見出した。
攻撃的な癌の発症におけるCyr61の関与のさらなる支持において、本発明者らは、スクラッチ移動検定法および腫瘍侵襲検定法を実施した。改変型スクラッチ移動検定法を用いて、細胞の運動性を評価した。簡潔にいうと、ベクター対照およびCYR61過剰発現OVCAR−5細胞を、60mmシャーレ中に培養した。細胞がコンフルーエントに達した後、無菌ピペットチップによってスクラッチ(細胞のない領域)を作製した。浮遊細胞を、培地で3回洗浄することによって除去した。細胞を、新鮮な培地で5時間インキュベートした。2本のスクラッチの間の距離を、インキュベーションの前と後とで記録した。細胞運動率を、距離の減少をインキュベーション時間で除算することによって計算した。このアッセイの結果は、Cyr61の過剰発現が、運動性を上昇させることをはっきりと示した。Cyr61を過剰発現する細胞は、Cyr61を過剰発現しない細胞よりも2倍遠く移動した(データは示さず)。
CYR61過剰発現細胞の侵襲性を、24ウェル腫瘍侵襲システム(BD Bioscience,Bedford,MA)を用いて製造業者の指示書にしたがって評価した。OVCAR−5ベクター対照およびCYR61過剰発現細胞を、70%コンフルーエントまで増殖させ、次いでトリプシン処理して、無血清培地中に再浮遊させた。5×10個の細胞を、上チャンバ内に播種した。全量(750μl)の培地を、化学誘引剤として使用し、そして下のチャンバ内に加えた。37℃、5%COインキュベーターで24時間のインキュベーションの後、培地を上チャンバから除去した。次いで、挿入プレートを、Hanks緩衝化塩溶液(HBSS)中4μg/ml Calcein AMを1ウェルあたり0.5ml含む新しい24ウェルプレートに移し、そして37℃、5%COで1時間インキュベートした。BD FluoroBlok膜は、標識細胞のみをBD MatrigelTM膜を通して侵入させ、蛍光顕微鏡下で可視化する。この検定法の結果は、Cyr61の過剰発現が、侵襲性を増大させることを示す(データは示さず)。
したがって、Cyr61は、攻撃的な癌において見出される細胞表現型と一致する細胞表現型の発症に関与する。
(参考文献)
以上および以下に引用されている参考文献は、参考として本明細書中で援用される。
Figure 0005006802
本明細書に組み込まれており、また、本明細書の一部を構成している添付図面は、本発明の種々の実施形態を明らかにするものであり、また、その解説と相まって、本発明の目的、利点および原理を説明する役割を果たしている。
図1aおよび図1bは、卵巣癌患者の尿中で検出されたCyr61を示す。図1a;卵巣癌患者由来の尿中のCyr61免疫反応性タンパク質を検出するイムノブロット(OV3、OVCAR3細胞抽出物;対照、対照サンプル;良性、良性癌を有する患者由来の尿;悪性、悪性癌を有する患者由来の尿)。図1b;卵巣癌患者由来の尿中のCyr61免疫反応性タンパク質を検出するイムノブロットの棒グラフ定量。各段階について、n=12。 図2は、Cyr61(配列番号:1)のアミノ酸配列を示している。 図3は、乳癌患者由来の尿中のCYR61のウエスタンブロットを示す。卵巣癌細胞株OVCAR−5(OV5)からの細胞溶解物を、陽性対照として使用した(レーン1)。CYR61免疫反応性タンパク質は、それぞれ:年齢、性別をマッチングされた健常対照(CTL)に由来する尿において検出されなかった(レーン2)、インサイチュの非侵襲性乳管内癌(DCIS)に由来する尿において検出された(レーン3)、非対称性導管過形成(ADH)に由来する尿において検出された(レーン4)、侵襲性乳房腫瘍患者(侵襲性)に由来する尿において検出された(レーン)、そして、転移性乳房腫瘍患者(Met)に由来する尿において検出されなかった(レーン)。

Claims (11)

  1. 被験体における上皮由来の癌の検出のための指標としてCyr61を使用する方法であって:
    a. 該被験体から得られる試験尿サンプルに存在するCyr61のレベルを測定するステップ;
    b. 該試験尿サンプルにおけるCyr61のレベルを対照尿サンプルに存在するCyr61のレベルと比較するステップ;
    を含み、該対照サンプルにおけるCyr61のレベルに比べ、該試験サンプルにおけるより高いレベルのCyr61が上皮由来の癌を示す方法。
  2. 上皮由来の癌を有することが疑われる被験体、または上皮由来の癌を有する被験体において癌の進行の検出のための指標としてCyr61を使用する方法であって:
    a. 第1サンプルを得るために該被験体から得られる試験尿サンプルに存在するCyr61のレベルを測定するステップ;および、
    b. 工程(a)において決定された該Cyr61のレベルを、同じ被験体からより後の時点で得られた尿サンプルに存在するCyr61のレベルと比較するステップ;
    を含み、ここで、該より後の時点の該同じ患者から得られた尿サンプルにおけるより高いレベルのCyr61が癌のより攻撃的な形態への進行を示す方法。
  3. 前記上皮由来の癌が、乳癌、基底細胞癌、腺癌、消化管癌、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌、結腸癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、皮膚癌、前立腺癌および腎細胞癌からなる群から選択される、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 前記Cyr61タンパク質のレベルが、以下のステップ:
    a. 前記試験サンプルまたはその調製物と、Cyr61に特異的に結合する抗体ベースの結合部分とを接触させて、抗体−Cyr61複合体を形成するステップ;および
    b. 該複合体の存在を検出し、これにより、存在しているCyr61のレベルを測定するステップ;
    を含む方法によって測定される、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記抗体ベースの結合部分を、検出可能な標識で標識付けする、請求項4に記載の方法。
  6. 前記標識が、放射性標識、ハプテン標識、蛍光標識および酵素標識からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記抗体ベースの結合部分が抗体である、請求項4に記載の方法。
  8. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項7に記載の方法。
  9. 尿サンプル中のCyr61を検出することによって、被験体における上皮由来の癌を検出するためのキットであって、尿サンプルを保持するための容器、およびCyr61を特異的に結合する少なくとも一つの抗体を含み、該上皮由来の癌が、乳癌、基底細胞癌、腺癌、消化管癌、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌、結腸癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、皮膚癌および腎細胞癌からなる群から選択されるキット。
  10. 前記キットが、Cyr61に特異的に結合する二つの抗体を含み、一方の抗体が固相に固定化されており、他方の抗体が検出可能に標識されている、請求項9に記載のキット。
  11. 更に、使用説明書を含む、請求項9に記載のキット。
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