以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図29は、本発明の一実施の形態に係り、図1は回転自走式内視鏡システムの全体構成図、図2は内視鏡の先端部、湾曲部、及び回転筒体の一部を示す断面図、図3は挿入補助具を示す斜視図、図4は案内管が接続される挿入補助具の分解斜視図、図5は案内管が接続された挿入補助具の断面図、図6は案内管が接続された挿入補助具の基端部分を示す断面図、図7は図6のVII−VII線に沿った挿入補助具の断面図、図8は収納ケース本体の分解斜視図、図9は収納ケース本体の断面図、図10は収納ケース本体を一側面から見た平面図、図11は案内管固定部材が取り付けられる収納ケース本体の一側面を示す拡大図、図12は図11の収納ケース本体の一側面に案内管固定部材が取り付けられた状態を示す拡大平面図、図13は推進力発生部材が配設される案内管固定部材の分解斜視図、図14は収納ケース本体上下方向から見た推進力発生部材が配設される案内管固定部材の部分断面図、図15は収納ケース本体左右方向から見た推進力発生部材が配設される案内管固定部材の部分断面図、図16推進力発生部材を示す平面図、図17は回転筒体が挿通し、案内管固定部材内の推進力発生部材の作用を説明する断面図、図18は変形例の推進力発生部材を示す平面図、図19は、回転筒体が挿通し、案内管固定部材内の図18に示した推進力発生部材の作用を説明する断面図、図20は操作部側の案内管固定部材の部分断面図、図21は操作部側案内管とコネクタカバーとの接続状態を示す断面図、図22は操作部側案内管が接続されたコネクタカバーの一部を示す断面図、図23は図22のXXIII−XXIII線に沿った断面を示すコネクタボックスの断面図、図24は案内管に挿入部本体の回転筒体が挿通した状態を示す断面図、図25は収納ケース本体内の挿入部本体の回転筒体を示す断面図、図26は収納ケース本体を上面から見た平面図、図27は挿入補助具が患者の肛門から直腸へ挿入された状態を示す作用説明のための図、図28は大腸内に挿入された挿入部がS字状結腸に到達し、その作用説明のための図、図29は大腸内に挿入された挿入部が盲腸近傍に到達し、その作用説明のための図、図30は挿入部が収容された状態の収納ケース本体を上面から見た平面図、図31は図30の円XXIの拡大図であって、挿入部の回転筒体に形成された螺旋形状部の凹凸の構成を説明するための図である。
先ず、図1に基づいて、回転自走式内視鏡システム1の全体構成について説明する。
図1に示すように、回転自走式内視鏡システム(以下、内視鏡システムと略記する)1は、回転自走式内視鏡(以下、単に内視鏡と略記する)2と、制御装置3と、モニタ4と、吸引器5と、によって主に構成されている。
内視鏡2は、収納ケース付内視鏡挿入部6と、操作部7と、によって、主に構成されている。
収納ケース付内視鏡挿入部6は、先端から順に、先端硬性部(以下、単に先端部と略記する)8と、湾曲部9と、挿入部本体10と、回転筒体51と、挿入補助具11と、挿入部収納ケース本体(以下、収納ケース本体と略記する)12と、挿入補助具11と収納ケース本体12と間において介装されるコルゲート状のチューブである先端側案内管13と、操作部7と収納ケース本体12との間に介装されるコルゲート状のチューブである操作部側案内管14と、この操作部側案内管14の一端が連結されたコネクタカバー15と、から主に構成されている。
操作部7は、収納ケース付内視鏡挿入部6の一部を構成するコネクタカバー15が着脱自在な回動手段であるモータボックス16と、把持部17と、主操作部18と、から主に構成されている。
主操作部18には、挿入部の湾曲部9を4方向(内視鏡2が捉える内視鏡画像に対応する上下左右方向)に湾曲させる湾曲操作ノブ19と、流体を送出操作、或いは吸引操作するボタン類20と、各種撮像、照明などの光学系を操作するスイッチ類21と、が配設されている。
湾曲操作ノブ19は、略円盤状の2つのノブが重畳するように、操作部7の主操作部18の一面に配設されている。これら2つのノブは、回動自在に配設され、主操作部18側に湾曲部9の上記上下方向を操作のためのU(UP)/D(DOWN)用湾曲操作ノブ19aと、このU/D用湾曲操作ノブ19a上に湾曲部9の上記左右方向を操作するためのR(RIGHT)/L(LEFT)用湾曲操作ノブ19bと、からなる。
主操作部18の一側面からは、電気ケーブルであるユニバーサルコード18aが延設されている。また、主操作部18には、ユニバーサルコード18aが延出する根元部分に折れ止め部18bが設けられている。
このユニバーサルコード18aの延出端には、コネクタ部22が配設されている。このコネクタ部22は、制御装置3に接続されている。
また、主操作部18の一側面に配設されているボタン類20は、内視鏡2の先端部8から被検体内へ気体を送気、或いは液体を送水するときに操作する送気/送水ボタン20aと、内視鏡2の先端部8から被検体内から汚物などの液体を吸引するときに操作する吸引ボタン20bと、からなる。
モータボックス16に着脱されるコネクタカバー15からは、収納ケース付内視鏡挿入部6に挿通された3本のチューブ23が延出している。これら3本のチューブ23は、送気用チューブ23a、送水用チューブ23b、及び吸引用チューブ23c、からなる。これら3本のチューブ23の延出端は、夫々、着脱自在なコネクタを介して、制御装置3の前面部の所定の位置で接続されている。
制御装置3には、送水タンク24が設けられている。この送水タンク24内には、滅菌水が貯留されている。滅菌水は、主操作部18の送気/送水ボタン20aが所定の操作がなされると、制御装置3によって、送水用チューブ23bに送液され、内視鏡2の先端部8から噴出する。尚、送気用チューブ23aには、主操作部18の送気/送水ボタン2aが所定の操作がなされると、制御装置3内の図示しないコンプレッサからの空気が送気され、この空気は内視鏡2の先端部8から噴出する。
また、吸引ボタン20bが操作されると、内視鏡2の先端部8から汚物などが吸引され、この汚物などは、吸引用チューブ23cを介して、制御装置3から吸引器5に送り込まれる。尚、本実施の形態の回転自走式内視鏡システム1においては、吸引器5を使用しているが、病院に備え付けの吸引システムを利用しても良い。
制御装置3には、電気ケーブル25aを介してフットスイッチ25が接続されている。このフットスイッチ25は、内視鏡2の挿入部を所定の方向へ回動/停止操作するためのスイッチである。尚、この挿入部の回転方向を操作、及び停止操作する進退スイッチは、図示しないが操作部7の主操作部18にも配設されている。
また、制御装置3の前面部には、電源スイッチ、内視鏡2の挿入部の回転速度を可変するダイヤルなどが配設されている。尚、操作部7のモータボックス16には、挿入部に回転力を付与する図示しないモータが内蔵されている。
また、制御装置3は、モニタ4と電気的に接続されている。モニタ4は、内視鏡2が捉えた内視鏡画像を表示する。
次に、図2を用いて、内視鏡2の挿入部を構成する先端部8、湾曲部9、挿入部本体10、及び回転筒体51について説明する。
先ず、先端部8について、説明する。
先端部8は、生体適合性のある合成樹脂からなる硬質な略円環状の本体環26と、撮像ユニット27と、から主に構成されている。
撮像ユニット27は、本体環26内に収容される合成樹脂からなる略円環状の保持環28aと、この保持環28aの基端側に嵌着される金属からなる略円環状のカバー環28bと、保持環28aの先端開口部を気密に封止するように嵌着され、生体適合性のある透明な合成樹脂によってドーム状に形成されたカバー体29と、によって外形が形成されている。
これらの部材によって形成される撮像ユニット27の空間内には、対物レンズ群30と、この対物レンズ群30へ入射する撮影光が集光される位置に配置されるCCD、CMOSなどの撮像素子31と、この撮像素子31によって光電変換された画像信号が入力されるフレキシブルプリント基板(FPC)32が配設される。
このFPC32には、通信ケーブル33が接続されている。この通信ケーブル33は、湾曲部9、及び挿入部本体10内に挿通して、コネクタカバー15(図1参照)に配設される図示しないコネクタに接続されている。
また、対物レンズ群30を保持する保持環を固定している板体35には、照明部材である複数のLED34が対物レンズ群30を囲むように配設されている。尚、板体35は、カバー体29の略中心を通る部分に延長線上にある内面と固着できるように、略円形に形成されている。そして、対物レンズ群30は、板体35の板面における略中心位置に光軸が通るように配置されている。
このように構成された撮像ユニット27は、本体環26の中心に対して、偏芯する位置に配置され、本体環26の先端側開口部に配設される先端キャップ36により本体環26に固定されている。
撮像ユニット27の保持環28aと本体環26との間にできる隙間には、吸引用チューブ23cの先端部分と、この吸引用チューブ23cが基端側に接続された吸引管37が配置されている。この吸引管37の先端部分は、先端キャップ36に固着されている。
先端キャップ36には、吸引用の開口部38が形成されている。尚、図示していないが、上述した保持環28aと本体環26との間にできる隙間を利用して、送気用チューブ23a、及び送水用チューブ23bに連通する管路が配設され、それら管路の開口部も先端キャップ36に形成されている。
次に、湾曲部9について説明する。
湾曲部9には、先端部8の本体環26の基端開口部に嵌着された硬質な先端湾曲駒39と、硬質な複数の湾曲駒40(湾曲節輪とも言う)と、が枢支部40aによって回動自在に連設されている。これら駒39,40には、生体適合性のあるフッ素ゴムなどの弾性部材からなる湾曲外皮41が被覆されている。この湾曲外皮41の先端部分は、糸巻き接着部42により、先端部8の本体環26の基端部分と固着されている。
複数の湾曲駒40は、その内周面から中心方向へ突出するワイヤガイド43を有している。このワイヤガイド43には、湾曲操作ワイヤ44(アングルワイヤとも言う)が挿通している。
この湾曲操作ワイヤ44の先端部分は、湾曲部9内に4本存在し(図2では2本のみ図示している)、夫々に筒状の係止部材45が半田などにより溶着されている。これら湾曲操作ワイヤ44は、先端湾曲駒39に形成された4つの係止孔部39aに夫々の係止部材45が係止されている。
4つの係止孔部39aは、先端湾曲駒39の軸に対して直交する面において、略等間隔となる4等分した位置に形成されている。この先端湾曲駒39は、上記内視鏡画像の上下左右に対応して、各係止孔部39aが位置するように軸回りの方向が決められている。そのため、4本の湾曲操作ワイヤ44は、上下左右方向に略等間隔に離間した4点において保持固定されている。
また、これら湾曲操作ワイヤ44は、挿入部本体10内に挿通し、コネクタカバー15まで配設されている。尚、これら湾曲操作ワイヤ44の夫々の基端部分には、図示しないワイヤ留めが設けられている。各湾曲操作ワイヤ44のワイヤ留めは、コネクタカバー15がモータボックス16に一体となっている状態において、把持部17内に設けられた図示しない連結部材に夫々が対応して連結される。
各連結部材は、主操作部18内に配設された湾曲操作ノブ19に連動する図示しない湾曲操作機構と図示しないチェーンにより、連結されている。つまり、湾曲操作ノブ19が回動操作されると、湾曲操作機構により各連結部材が交互に牽引又は弛緩され、その動きに連動して、各湾曲操作ワイヤ44が交互に牽引又は弛緩されるようになっている。
従って、4本の湾曲操作ワイヤ44が夫々、牽引弛緩されると、複数の湾曲駒40が対応して回動する。こうして、湾曲部9が上述した4方向へ湾曲操作される。
湾曲部9の基端部分には、最基端にある湾曲駒40の内部に嵌着されたコイルパイプ固定用の金属からなる第1口金46と、最基端にある湾曲駒40の外周側に嵌着された内層チューブ固定用の金属からなる第2口金47と、この第2口金47の外周側に嵌着された回転筒体を回動自在に係合するための合成樹脂からなる第3口金48と、が配設されている。これらの口金46〜48は、接着剤などにより強固に固着されている。
尚、上述した湾曲外皮41は、第3口金48とも糸巻き接着部42により、固着されている。
また、上述の湾曲操作ワイヤ44は、夫々、第1口金46から基端側がコイルシース49内に夫々挿通している。コイルシース49の先端部分は、第1口金46に半田付けなどにより固定されている。尚、本実施の形態で用いられるコイルシース49は、ワイヤをパイプ状に密着巻きした非圧縮性の構造を有している。
第2口金47の基端部分は、挿入部内に挿通する軟性な内層チューブ49aの先端部分が固定されている。この内層チューブ49aは、細線のワイヤなどを筒状に編み込んで可撓性を持たせたチューブ体でも良い。
第3口金48の基端部分には、突起部48aが設けられている。また、この第3口金48は、突起部48aの外周側に隙間ができるように、湾曲外皮41に完全にカバーされている。尚、突起部48aの作用については、後で説明する。
次に、挿入部本体10について説明する。
挿入部本体10内には、上述した内層チューブ49aと、湾曲操作ワイヤ44が夫々挿通する4本のコイルシース49と、通信ケーブル33と、図示しない各種チューブ23と、が配設されている。すなわち、図からも判るように、内層チューブ49aが最も外側となっており、内部の各構成要素を保護している。
回転筒体51には、先端部分に連結用の合成樹脂からなる口金50と、先端部分が接着材52により固着されている。
口金50は、先端部分に上述した湾曲部9の第3口金48の突起部48aと係合する凹凸部50aが形成されている。つまり、口金50と、第3口金48は、夫々の軸回りに回動自在となっている。すなわち、挿入部本体10は、外嵌する回転筒体51が後述するように、その内層チューブ49aの軸回りに対して回動し、それ自体は回動しないような構成となっている。
この口金50と連結された回転筒体51は、断面形状が凹凸となるように加工された生体適合性のある金属板体を螺旋状に巻回し、可撓性を備えた筒体である。この回転筒体51は、上述の凹凸が略隙間なく係合しており、その外周面に螺旋状凸部(あるいは、螺旋状凹部、さらにあるいは、螺旋に沿って連設されるように突設される凸部、など)となる螺旋形状部51aが形成される。
具体的には、回転筒体51は、体腔内への挿通性を考慮した螺旋管であり、例えばステンレス製で所定の径寸法が設定されている。また、回転筒体51は、板体に形成する凹凸の寸法を変更して、凹凸のピッチ、螺旋の角度などを種々設定できる。尚、螺旋形状部51aを形成する凸部分の幅は、凹部分の幅よりも大きく設定されている。これにより、挿入部の外形を形成する回転筒体51が湾曲した状態で、重なり合ったとしても、凸部が凹部に入り込むことが防止される。
この回転筒体51は、挿入方向の軸回りに回動可能となるように構成されている。そして、この回転筒体51が回転すると、外周面の螺旋形状部51aが被検体の体腔内壁と接触して推力が発生し、回転筒体51自体が挿入方向へ進行しようとする。
このとき、回転筒体51の先端部に固着されている口金50が、湾曲部9の基端部分にある第3口金48に当接して湾曲部9を押圧し、先端部8を含めた挿入部全体が体腔内の深部に向かって前進する推進力が付与される。
尚、回転筒体51は、操作部7のモータボックス16(図1参照)に配設された回動手段の1部を構成するモータ(不図示)により回転力が与えられる。また、本実施の形態では、上述した、先端部8、湾曲部9、挿入部本体10、及び回転筒体51により、回転自走式内視鏡2の挿入部が構成されている。
次に、図3〜図7を用いて、挿入補助具11について説明する。
図3に示すように、挿入補助具11は、挿入管53と、迷入防止手段である迷入防止部54と、保持管55と、第1固定環56と、第2固定環57と、から主に構成されている。
尚、挿入管53、迷入防止部54、及び保持管55は、一体となり、挿入補助具11におけるチューブ本体58を構成している。
保持管55は、両端外周部分が外径方向に突出した形状をしている略筒状の金属環(合成樹脂、プラスティックなどからなる硬質な筒体でも良い)である。この保持管55には、図4に示すように、基端側の内周面に雌螺子部55aが形成されている。
第1固定環56は、基端外周部分が外径方向に突出した形状をしている略筒状の金属環(合成樹脂、プラスティックなどからなる硬質な筒体でも良い)である。この第1固定環56の基端部分には、外周面側に雄螺子部56a、及び内周面側に雌螺子部56bが形成されている。
第2固定環57は、中途外周部分が外径方向に突出した形状をしている略筒状の金属環(合成樹脂、プラスティックなどからなる硬質な筒体でも良い)である。この第2固定環57の先端部分には、外周面側に雄螺子部57aが形成されている。
この第2固定環57には、先端側案内管13が挿設される。この先端側案内管13は、第2固定環57の先端側で突出するように挿通し、その突出した先端部分の外周方向から2つに分離する留めリング59が嵌め込まれる。尚、先端側案内管13に関しての詳細な説明、及び留めリング59による挿入補助具11への固定に関しての詳細な説明は、後に記載する。
図5に示すように、挿入管53は、先細りとなるように外周にテーパ面が形成されたシリコンなどの柔軟性を有する合成樹脂からなる略円環状の先端挿入管53aと、本体を形成している挿入筒体53bと、先端挿入管53aと挿入筒体53bとを内周側で連結している繋ぎ環53cと、を有して構成されている。
この挿入筒体53bは、外表面側から順に、ポリウレタンなどの合成樹脂により形成された外チューブ53dと、金属線を網目状に織り込んで筒状に形成したブレード53eと、金属性の螺旋管であるフレックス管53fと、ポリウレタンなどの合成樹脂により形成された内チューブ53gとを有し構成されている。
これらの外チューブ53d、ブレード53e、フレックス管53f、及び内チューブ53gは、4層構造となって夫々対応した部材間が接着、溶着などにより一体となるように固着されている。これにより、挿入筒体53bは、所定の剛性が設定された可撓性を有するチューブ体である。
尚、挿入筒体53bは、所定の剛性、及び所定の可撓性が十分に得られる場合には、単一の部材からなる筒体として形成しても良い。さらに、挿入筒体53bは、その外周面、及び内周面に滑り性を良くする、例えば、テフロン(登録商標)加工などのコーティングを施しても良い。この挿入筒体53bの基端部分には、シリコンなどの合成樹脂からなる中空の円盤である上述の迷入防止部54が配設される。
この迷入防止部54は、その孔径が挿入筒体54bの外形よりも小さく設定されている。この迷入防止部54は、その弾性変形により、所定の保持強度を有して挿入筒体53bに密着固定されている。これにより、迷入防止部54の位置を変更することで、挿入管53の先端から基端にかけた体腔内への所望の挿入長が設定可能となっている。
また、挿入筒体53bの基端部分は、図5に示すように、ブレード53e、フレックス管53f、及び内チューブ53gの3層構造となっており、円環状の口金60と接着などにより固着されている。保持管55は、挿入管53の挿入筒体53bの基端部となる口金60と螺着されている。
チューブ本体58は、先端に上述の先端挿入管53aの先端開口である開口部58aを有している。尚、開口部58aは、挿入部が突出するための、挿入補助具11における開口部を構成している。
チューブ本体58の基端部となる保持管55には、その雌螺子部55aに第1固定環56の雄螺子部56aが螺着することで、第1固定環56が固定される。
この第1固定環56には、先端側案内管13が挿通した留めリング59が嵌入されると共に、第2固定環57が固定される。つまり、第1固定環56の雌螺子部56bと第2固定環57の雄螺子部57aとが螺着することで、第1固定環56に第2固定環57が固定される。
このとき、留めリング59は、両端面が夫々対向する第1固定環56内の端面と第2固定環内の端面とにより嵌合固定される。また、この留めリング59には、その内周面の中央部、及び基端部に内周方向に向かった軸回りに内向フランジ59a,59bが形成されている。
これら内向フランジ59a,59bは、図6、及び図7に示すように、先端側案内管13のコルゲート状の凹凸を係止する。これにより、先端側案内管13は、挿入補助具11に接続される。また、先端側案内管13は、その先端部分である、図6の符号Fで示す部分において、第1固定環56内に形成された段部の基端側の面と圧縮された状態となることで、挿入補助具11と水密が保持されて接続されている。すなわち、挿入補助具11と先端側案内管13とによって、チューブ本体58の開口部58aが先端開口となる管路が形成される。
次に、図8〜図12を用いて、収納ケース本体12について説明する。
図8に示すように、収納ケース本体12は、アクリル板などの透明、或いは半透明の光透過性のある矩形状の2枚の板体61,62と、この2枚の板体61,62の夫々の一面を所定の距離だけ離間するように対向させて固着するための複数の枠体63a〜63fと、2つの案内管固定部材64,65と、から主に構成されている。
尚、上述の板体61,62は、半透明、若しくは光透過性のある着色板とすることで、回転筒体51に付着した汚物が見難くし、且つ回転筒体51の回転を視認できるような構成にすることができる。
2枚の板体61,62には、夫々が対向する面と反対側の面の角部にL字状の脚部66が固定されている。これら脚部66は、夫々の角部が各板体61,62の四つ角の何れかに合わせて、接着などにより板体61,62の各面上に固着されている。
板体61、若しくは板体62には、上述の脚部66が固着される面と反対側の面の各縁辺部上に厚さ方向の寸法が夫々等しい枠体63a〜63fが接着などにより固着される。すなわち、2枚の板体61,62は、上述したように、各枠体63a〜63fの厚みだけ離間した距離で夫々の板面が平行となるように固定される。
これら枠体63a〜63fは、夫々が所定の長さに設定された略四角柱形状をしており、図9に示すように、板体61,62の4辺に沿った縁辺部上の四囲に設けられる。すなわち、収納ケース本体12には、2枚の板体61,62と、各枠体63a〜63fとによって、内部空間が形成される。
また、枠体63aの一端と枠体63bの一端との間、並びに枠体63cの一端と枠体63dの一端との間には、夫々、上述した挿入部が挿通可能なように、所定の間隔が空けられた隙間68が形成されている。この隙間68を形成する枠体63a〜63dの内部側の角部には、挿入部がスムーズに通過できるように、滑らかな曲面69が形成されている。
各案内管固定部材64,65は、上述した隙間68に合わせた位置の枠体63a,63b、或いは枠体63c,63dを掛け渡すように、ボルト、及びナットからなる固定部材67により、収納ケース本体12の一側面に固定される。
具体的には、各案内管固定部材64,65は、図10に示すように、金属からなり(合成樹脂、プラスティックなどからなる硬質な材料でも良い)筒体64a,65aの一端に長方形の矩形状の板部材64b,65bが固定された形状をしている。
これら案内管固定部材64,65は、各枠体63a〜63dに形成されたねじ孔67a(図11では、枠体63a,63bのねじ孔67aのみ図示している)に挿通された固定部材67により図10、及び図12に示すように固定される。
尚、これら各案内管固定部材64,65は、筒体64a,65aの孔部と上述した隙間68の夫々の中心が合わせられ、収納ケース本体12の内部空間と連通するように、固定される。また、隙間68、及び各案内管固定部材64,65の配置位置は、収納ケース本体12の角部近傍の側面部であり、各案内管固定部材64,65の筒体64a,65aの長手軸が直交するように設定されている。さらに、各案内管固定部材64,65は、収納ケース本体12の同一の角部近傍に配置がされないように設定される。
すなわち、最適な各案内管固定部材64,65の配置位置は、図9に示すように、紙面に向かって見た、収納ケース本体12の下方向を臨む側面における左下部の角部近傍に案内管固定部材(以下、第1の案内管固定部材ということもある)64を固定された場合、案内管固定部(以下、第2の案内管固定部材ということもある)65が紙面に向かって見た、収納ケース本体12の左方向を臨む側面における右下部の角部近傍に固定される。
また、各案内管固定部材64,65の夫々の板部材64b,65bと、各枠体63a〜63dと、の間には、水密を保持するためのラバー板76(図14、図15、及び図17参照)が介装されている。
第1の案内管固定部材64には、上述した挿入補助具11に一端が接続された先端側案内管13の他端が接続される。
具体的には、図13に示すように、収納ケース本体12と先端側案内管13とを連結する連結部である第1の案内管固定部材64の筒体64aは、基端側の内周面に雌螺子部64cが形成されている。この筒体64a内には、順に、第1の推進力発生部材70a、第1の押さえ環71、第2の推進力発生部材70b、及び第2の押さえ環73が列置される。そして、筒体64aには、その雌螺子部64cと第3固定環73の中途の外周面に形成される雄螺子部73aが螺着される。
また、第3固定環73は、基端外周部分が外径方向に突出した形状をしている略筒状の金属環(合成樹脂、プラスティックなどからなる硬質な筒体でも良い)である。尚、この第3固定環73の基端側の内周面には、雌螺子部73bが形成されている。
この第3固定環73には、先端側案内管13が挿通した留めリング74が嵌入されると共に、第4固定環75が固定される。つまり、第3固定環73の雌螺子部73bと第4固定環75の雄螺子部75aとが螺着することで、第3固定環73に第4固定環75が固定される。
このとき、留めリング74は、両端面が夫々対向する第3固定環73内の端面と第4固定環75内の端面とにより、第3固定環73内に嵌合固定される。また、この留めリング74には、その内周面の中央部、及び基端部に内周方向に向かった軸回りに内向フランジ74a,74bが形成されている。
これら内向フランジ74a,74bは、図14、及び図15に示すように、先端側案内管13のコルゲート状の凹凸を係止する。これにより、先端側案内管13は、案内管固定部材64に第3固定環73、及び第4固定環75を介して接続される。また、先端側案内管13は、その基端部分である、図15の符号Gで示す部分において、第3固定環73内に形成された段部の先端側の面と圧縮された状態となることで、案内管固定部材64、及び第3固定環73と水密が保持された状態で接続されている。
この第1の案内管固定部材64内に配設される推進力発生手段である2枚の推進力発生部材70a,70bは、所定の厚さを有する略円盤形状をしている板部材からなる。
各推進力発生部材70a,70bには、図16に示すように、略中央部に孔部77が穿設されている。この孔部77は、略長方形の角部を曲線状に形成した形状をしている。この曲線状の形成は、推進力発生部材70a,70bの裂け防止のためのものである。
推進力発生部材70a,70bは、例えば、合成天然ゴム、シリコンゴムなどから形成されている。例えば、その材質は、スプリング式デュロメータ硬さ試験タイプA(規格番号:JIS−K−6253,国際標準化機構:ISO7619)により行われた硬さ範囲がA20〜A90の弾性体である。
ここで、図14、図15、及び図17を用いて、第1の案内管固定部材64内における2枚の推進力発生部材70a,70b、2つの押さえ環71,72、及び第3固定環73の夫々の配置について詳しく説明する。
先ず、第1の推進力発生部材70aが第1の案内管固定部材64の筒体64aと板部材64bとの接続位置における板部材64bの端面に当接するように配置される。次いで押さえ環71、第2の推進力発生部材70b、押さえ環72の順で第1の案内管固定部材64の筒体64a内に収容される。すなわち、この状態において、筒体64a内には、基端側から順に第1の推進力発生部材70a,押さえ環71、第2の推進力発生部材70b、及び押さえ環72が配置されている。
そして、第3固定環73が筒体64aの基端開口部に挿入され、第3固定環73の雄螺子部73aと筒体64aの雌螺子部64cが螺合される。この状態において、第1の推進力発生部材70aは、その円周部が板部材64bの端面と押さえ環71の基端円周部と当接して、各部材間で挟持された状態となる。
また、第2の推進力発生部材70bは、その円周部が押さえ環71の先端円周部と押さえ環72の基端円周部と当接して、各部材間で挟持された状態となる。そして、押さえ環72は、その先端円周部が第3固定環73の基端円周部に押圧された状態となる。
尚、筒体64a、2つの押さえ環71,72、及び第3固定環73は、夫々の軸方向の長さが第1,第2の推進力発生部材70a,70bを夫々所定の押圧力で挟持できるように設定されている。また、第1の推進力発生部材70aと第2の推進力発生部材70bとの対向面間の距離は、押さえ環71の軸方向の長さと同じ距離となる。そのため、押さえ環71の軸方向の長さによって、第1の推進力発生部材70aと第2の推進力発生部材70bとが所定の距離だけ離間するように設定されている。
この第1の推進力発生部材70aと第2の推進力発生部材70bとが離間する距離は、回転筒体51の螺旋形状部51aに形成される凹凸の1ピッチと略等しい距離が設定されている。つまり、押さえ環71の軸方向の長さ、及び各推進力発生部材70a,70bの板厚長は、螺旋形状部51aに形成される凹凸の1ピッチに対応して設定されている。
また、2つの押さえ環71,72の各推進力発生部材70a,70bを押圧する円周部分の端面には、第1,第2の推進力発生部材70a,70bとの当接時に、確実な挟持性を維持させるため、ズレ防止用の凹凸面などのズレ防止手段である粗面を形成しても良い。つまり、第1,第2の推進力発生部材70a,70bは、押圧される2つの押さえ環71,72の端面を粗面とすることで、これら粗面との接触面に大きな摩擦力が発生するため、外部からの力に対して、ズレが防止され、対応する案内管固定部材64内で確実に挟持される。
このように案内管固定部材64内に設置された、第1、第2の推進力発生部材70a,70bの孔部77には、図17に示すように、収納ケース本体12内の挿入部本体10が挿通する。このとき、第1、第2の推進力発生部材70a,70bは、夫々の孔部77を形成する内周面の一部で回転筒体51をその弾性力で押圧した状態となる。
また、第1、第2の推進力発生部材70a,70bの各孔部77は、図16に示すように、長辺の長さをL1とし、短辺の長さをL2とすると、勿論L1>L2という関係となっている。これら孔部77に挿通する挿入部本体10の外形部を形成する回転筒体51は、その螺旋形状部51aの凹凸により、凹部分の直径の長さがL3、凸部分の直径の長さがL4とすると、勿論、L3<L4という関係となっている。
そして、本実施の形態においては、各孔部77と回転筒体51の螺旋形状部51aの凹凸の寸法が、孔部77の短辺の長さL2が螺旋形状部51aの凹部分の直径の長さL3よりも若干に短く(L2<L3)設定され、且つ、孔部77の長辺の長さL1が螺旋形状部51aの凸部分の直径の長さL4よりも長く(L1>L4)設定される。
つまり、第1、第2の推進力発生部材70a,70bは、各孔部77の短辺方向の回転筒体51が接触する略2面で螺旋形状部51aの凹部を弾性変形により押圧する。そして、回転筒体51は、軸回りに回動すると、第1、第2の推進力発生部材70a,70bの摩擦力を受けると共に、その螺旋形状部51aが第1、第2の推進力発生部材70a,70bの各孔部77で螺子作用により軸方向に進退する。尚、上述の孔部77の短辺の長さL2、螺旋形状部51aの凹部分の直径の長さL3、及び螺旋形状部51aの凸部分の直径の長さL4の寸法関係をL3<L2<L4とすることで、回動する回転筒体51が螺子作用で進退するようにしても良い。
また、挿入部は、被検部内、例えば、体腔の腸壁などから所定量以上の抵抗を受けた場合、その抵抗力によって、回転筒体51が第1、及び第2の推進力発生部材70a,70bに対して、被検部深部方向へ前進しないように空回りする。
すなわち、上述したように、第1、及び第2の推進力発生部材70a,70bの各孔部77の長辺の長さL1が螺旋形状部51aの凸部分の直径の長さL4よりも長く(L1>L4)設定されており、回転筒体51は、孔部77の長辺方向に対して、クリアランスを有して挿通しているため、所定の力(前進する方向への摩擦力)が加えられると、孔部77の位置で空回りし、被検部深部方向への前進ができなくなる。
これは、挿入部が被検部である、例えば、体腔へ必要以上の挿入による負荷を与えないように、発生した推進力による過度の押し込みを防止している。
尚、回転筒体51に推進力を発生させる手段としては、上述した板状の各推進力発生部材70a,70bに変えて、図18、及び図19に示すような、略筒状のシリコンゴムなどの弾性部材からなる推進力発生部材70cを1つ用いても良い。
具体的には、この推進力発生部材70cは、略正方形の角部が曲線状に形成された孔部77aを有している。この曲線状の形成も、推進力発生部材70cの裂け防止のためのものである。推進力発生部材70cは、軸方向の長さが回転筒体51の螺旋形状部51aに形成される凹凸の1ピッチよりも長い、例えば、およそ6mm程度に設定されている。
また、推進力発生部材70cの孔部77aは、その最短の孔径が回転筒体51の螺旋形状部51aの凸部の外径よりも若干小さく設定されている。尚、本実施の形態とは逆に、孔部77aの最短の孔径が回転筒体51の螺旋形状部51aの凸部の外径よりも若干大きく設定しても良く、孔部77aの上下面のどちらか一方が回転筒体51に接触することで、回動する回転筒体51に推進力を与えることができる。
この推進力発生部材70cは、第1の案内管固定部材64の筒体64a内に配設される。すなわち、上述したように、推進力発生部材70cは、その基端面となる一端の円周部が第1の案内管固定部材64の板部材64bの筒体64a内と隣接する一端面に当接し、その先端面となる他端の円周部が第3固定環73の基端円周部に押圧された状態で筒体64a内に配設される。
そして、推進力発生部材70cは、孔部77aに挿通する挿入部本体10に外嵌する回転筒体51の螺旋形状部51aをその弾性力で押圧する。すなわち、回動する回転筒体51は、螺旋形状部51aの凸部が推進力発生部材70cの孔部77aを形成する内面との摩擦による螺子作用で軸方向に進退する。
尚、第2の案内管固定部材65は、その内部に推進力発生部材70a,70bが配設されておらず、第1の案内管固定部材64と略同じ構成で操作部側案内管14と接続される。
具体的には、図20に示すように、第2の案内管固定部材65は、直接、上述した第4固定環75が接続される。つまり、第2の案内管固定部材65は、上述した第3固定環73と同様にして、操作部側案内管14を係止する留めリング74を第4固定環75と共に、保持することで、操作部側案内管14と接続される。
尚、第2の案内管固定部材65の筒体65aの基端内周面には、第4固定環75の雄螺子部75aと螺着する雌螺子部65cが形成されている。
ここでも、留めリング74が当接する第2の案内管固定部材65の端面において、操作部側案内管14の端部が圧縮した状態で押圧され、第2の案内管固定部材65と操作部側案内管14との水密が保持された状態となっている。また、第2の案内管固定部材65に一端が接続された操作部側案内管14の他端は、コネクタカバー15と接続される。
次に、図21〜図24を用いて、操作部側案内管14とコネクタカバー15の接続について説明する。
図21、及び図22に示すように、操作部側案内管14には、略筒状の金属環(合成樹脂、プラスティックなどからなる硬質な筒体でも良い)からなる第5固定環78と、合成樹脂、プラスティックなどからなる接続筒体79との螺着によって、その基端部分の外周を係止する留めリング81が内嵌保持される。尚、留めリング81は、上述した先端側案内管13の両端部分、及び操作部側案内管14の先端部分を係止する各留めリング59,74と同じ構成であるため、その詳細な説明を省略する。
第5固定環78は、中途部分が外径方向に突出した形状をしており、基端部分の外周に雄螺子部78aが形成されている。また、接続筒体79は、先端部分が外径方向に突出した形状をしており、先端部分の内周面に雌螺子部79aが形成され、略等間隔で円を描くように基端側に向かって延設され、コネクタカバー15と着脱自在とするための複数の係止部80を有している。
つまり、第5固定環78と接続筒体79は、雄螺子部78aと雌螺子部79aが螺合することで、接続され、その接続部内に留めリング81を内嵌保持している。この状態において、操作部側案内管14は、基端部分が圧縮された状態となり、基端外周部が接続筒体79の当接する端面に押圧される。これにより、操作部側案内管14は、第5固定環78と接続筒体79と水密が保持された状態で接続される。
このコネクタカバー15と接続された接続筒体79は、その係止部80がコネクタカバー15に接続されている。詳述すると、コネクタカバー15は、先端と基端部分に外向フランジ82aが形成された筒体に軸方向に沿った切り欠き82b(図23参照)が形成された接続部82を有している。
この接続部82には、接続筒体79の複数の係止部80が外嵌するように接続される。この複数の係止部80は、基端部に接続筒体79の内周方向に向かって突起する突部80aを有している。そのため、これら突部80aが接続部82の基端部分の外向フランジ82aを掛止することで、接続筒体79とコネクタカバー15が着脱自在に接続される。
また、各係止部80の夫々の突部80aは、単に接続筒体79の外向フランジ82aを引っ掛けているため、接続筒体79がコネクタカバー15に対して、軸回りに回動自在となっている。従って、接続筒体79と連結する操作部側案内管14も、コネクタカバー15に対して、回動自在に接続される。
また、図22に示すように、回転筒体51の基端部は、口金83に接着剤などにより固着されている。この口金83は、回転軸84の先端部分とビスにより接続されている。この回転軸84は、図示はしていないが、コネクタカバー15内で回動支持されている。
尚、コネクタカバー15がモータボックス16(図1参照)と接続されると、回転軸84に設けられる図示しないギヤと、モータボックス16に設けられる図示しないギヤとが噛合する。そして、モータの駆動力が各ギヤに伝達されて、回転軸84、及び口金83を介して、回転筒体51が軸回りに回転する。
次に、図24を用いて、各案内管13,14について説明する。
案内管13,14は、上述したように、外周面と内周面に凹凸が形成された蛇腹管である所謂コルゲート状の透明、若しくは半透明の光透過性のある合成樹脂からなるチューブ体である。この案内管13,14は、その凹凸によって、可撓性を有し、湾曲されても座屈することなく内径寸法が略変化しない。
案内管13,14は、その内径方向に突出する凸部位置で最小内径寸法である長さをL6とする。この案内管の最小内径の長さL6は、回転筒体51の螺旋形状部51aを形成する凸部位置における外径寸法である長さL5よりも大きく(L6>L5)設定されている。つまり、案内管13,14は、回転筒体51が充分に挿通可能なチューブ体である。
また、回転筒体51は、軸回りの回動力が与えられると、その内部で材料の内部にはすべり変化とせん断応力が生じ、捩れ応力が発生する。その捩れ応力によっては、回転筒体51は、その可撓性により、輪状に変化する場合がある。
そのため、案内管13,14の最小内径の長さL6は、回転筒体51の螺旋形状部51aを形成する凸部位置における外径寸法である長さL5の2倍以下(L6≦2L5)に設定されている。また、案内管13,14は、回転筒体51の捩れ応力による変形した動き(暴れ)に耐えうる所定の硬度を有している。
このことは、上述した収納ケース本体12にも同様なことが言え、図25に示すように、回転筒体51が捩れ応力により、輪状とならないように、板部材61,62間の距離L7が回転筒体51の螺旋形状部51aを形成する凸部位置における外径寸法である長さL5の2倍以下(L7≦2L5)に設定されている。すなわち、図8に示した、2枚の板体61,62の夫々を距離L7の平行な面上にしている各枠体63a〜63fの高さ方向の長さがL7に設定されている。勿論、板部材61,62間の距離L7は、回転筒体51の螺旋形状部51aを形成する凸部位置における外径寸法である長さL5よりも長い(L7>L5)。
尚、挿入部本体10は、上述した回転筒体51の螺旋形状部51aを形成する凸部位置においての長さL5の外径が最大外径寸法となる。
以上、説明したように構成された、本実施の形態の内視鏡システム1は、先端部8からコネクタカバー15までが収納ケース付内視鏡挿入部6(図1参照)として構成されており、この収納ケース付内視鏡挿入部6は、使用毎に破棄されるディスポーザブルとしている。尚、本実施の形態では、収納ケース付内視鏡挿入部6をディスポーザブルにしたが、使用後に充分に滅菌消毒を行えば、リユースも可能である。また、本実施の形態において、挿入補助具11、収納ケース本体12、及び各案内管13,14は、収納ケースを構成している。
これより、内視鏡システム1に対する挿入部の作用を説明する。尚、以下の説明において、主に図26〜図29を用いて、大腸検査を例に挙げて説明する。
先ず、内視鏡2の挿入部を大腸の例えば盲腸まで挿通するにあたり、医療関係者によって、図26に示す、本実施の形態の内視鏡システム1が所定に準備される。まず、ここでは医師である術者は、挿入補助具11を例えば、ベッド上に横たわっている患者の肛門から挿入する。尚、挿入部は、収納ケース本体12内において、図26に示すようなループを描いた状態で収容されている。
挿入補助具11は、図27に示すように、迷入防止部54が患者の肛門501近傍の臀部510に当接することで、挿入管53のみが肛門501から直腸502内に挿入された状態となっている。すなわち、挿入補助具11は、迷入防止部54によって、その全体が直腸502内に挿入されることが防止される。このとき、術者は、迷入防止部54をテープなどで患者の臀部510へ固定することが望ましい。
このような状態で、内視鏡システム1がセットされると、術者は、操作部7の把持部17を握持し、図1に示した、フットスイッチ25の足元操作、或いは主操作部18にある進退スイッチの手元操作により、回転筒体51を所定方向の軸回りに回転させる。
尚、収納ケース本体12の案内管固定部材64内に配設された2枚の推進力発生部材70a,70bは、図17に示したように、常に回転筒体51の螺旋形状部51aの凹部に圧接している。つまり、回転筒体51は、推進力発生部材70a,70bの各孔部77の略中央で所定の摩擦抵抗が与えられた状態となる。
この接触状態において、術者は、操作部7のモータボックス16内に配設されるモータを上述した足元操作、或いは手元操作によって、回転駆動状態にする。すると、回転筒体51には、基端部分から先端側へ回転力が伝達され、その全体が図27の矢印に示すような軸回りに所定の方向へ回転する。
このことによって、推進力発生部材70a,70bの各孔部77と回転する回転筒体51の螺旋形状部51aとの凹部の接触部分で、雄ねじが雌ねじに対して移動するような、回転筒体51を前進させる推進力が発生する。
この回転しながら推進力が発生した回転筒体51は、図2に示した、先端に固着された口金50が湾曲部9の基端にある第3口金48を押圧する。これにより、挿入部が回転筒体51の推進力によって、先端側案内管13、及び挿入補助具11を介して、大腸内の深部に向かって進んでいく。
このとき、術者は、挿入部を把持して押し進めることなく、挿入補助具11の保持管55を軽く把持し、各推進力発生部材70a,70bによる推進力のみで挿入部を大腸内の深部に向かって前進させることができる。
また、挿入部は、案内管固定部材64内において、2つの第1,第2の推進力発生部材70a,70bが所定の距離で離間していることにより、長軸方向に安定した状態で保持されると共に、前進する推進力が効率良く発生する。
これに加えて、回転筒体51の外表面に形成されている螺旋形状部51aが腸壁に接触する。このとき、回転筒体51に形成されている螺旋形状部51aと腸壁の襞との接触状態が、雄ねじと雌ねじとの関係になる。このとき、回転筒体51は、案内管固定部材64内の各推進力発生部材70a,70bにより発生した推進力と、腸壁の襞との接触により発生した推進力により、スムーズに前進してゆく。
すると、挿入部は、推進力によって、直腸502からS字状結腸503に向かって進んでいく。そして、図28に示すように先端部8、及び湾曲部9がS字状結腸503に到達する。このとき、術者は、モニタ4により映し出された内視鏡画像を見ながら、主操作部18にある2つの湾曲操作ノブ19(図1参照)を操作して、湾曲部9をS字状結腸503の屈曲状態に合わせて、湾曲操作する。
この湾曲部9の湾曲操作により、挿入が困難とされているS字状結腸503を推進力が与えられた挿入部がスムーズに通過することができる。
そして、挿入部は、大腸の深部に挿入されるにつれ、案内管固定部材64内の推進力発生部材70a,70bにより発生した推進力が常に与えられている状態であり、且つ、螺旋形状部51aと腸壁との接触長が長くなる。
そのため、螺旋形状部51aの一部がS字状結腸503の襞に接触している状態、挿入部が複雑に屈曲している状態などでも安定した大腸深部方向への推進力が得られる。加えて、挿入部が充分な可撓性を有していることから、容易に位置が変化するS字状結腸503の走行状態を変化させることなく、腸壁に沿ってスムーズに前進していく。
そして、回転されている状態の回転筒体51を備えた挿入部は、S字状結腸503を通過し、その後、S字状結腸503と可動性に乏しい下行結腸504との境界である屈曲部,下行結腸504と可動性に富む横行結腸506との境界である脾湾曲505、及び横行結腸506と上行結腸508との境界である肝湾曲507の壁に沿うようにスムーズに前進して、図29に示すように大腸の走行状態を変化させることなく、例えば目的部位である盲腸509近傍に到達する。
この挿入操作の際、術者は、先端部8が各屈曲部(脾湾曲505,肝湾曲507)に到達したとき、上述と同じように、モニタ4により映し出された内視鏡画像を見ながら、主操作部18にある2つの湾曲操作ノブ19を操作して、各部位の屈曲状態に合わせて、湾曲操作する。
術者は、モニタ4の内視鏡画像により、先端部8が盲腸509近傍まで到達したと判断した後、上述の足元操作、或いは手元操作により、一度、回転筒体51の回転を停止する。そして、術者は、挿入時に回転させていた軸回りの回転方向とは逆の方向に、フットスイッチ25の足元操作、或いは主操作部18にある進退スイッチの手元操作で回転筒体51を回転させる操作を行う。
つまり、回転筒体51を挿入時とは反転させて、先端部8を大腸の深部、盲腸509の近傍から抜去する方向へと挿入部を後進させながら大腸検査を行う。このときにおいても、術者は、挿入部に手を触れずとも、回転筒体51が案内管固定部材64内の各推進力発生部材70a,70b、及び腸壁の襞との接触により発生した推進力により、挿入部を後退させることができる。
また、先端部8、及び湾曲部9が湾曲部9の基端に設けられた第3口金48の突起部48aと係合している回転筒体51の先端にある口金50の凹凸部50aにより、回転筒体51に引っ張られることで、挿入部全体が回転筒体51の推進力により後退する。
そして、術者は、挿入部の先端部8が挿入補助具11まで到達したら、挿入補助具11と共に、挿入部を患者の肛門501より抜去して、大腸検査を終了する。
このとき、挿入部は、案内管固定部材64内にある各推進力発生部材70a,70bにより後退する推進力が与えられ、収納ケース本体12内に図26に示したような元の状態に湾曲しながら収納される。
以上に説明したように、本実施の形態の内視鏡システム1は、挿入部を容易に大腸深部へと容易に挿入することができる、挿入性に優れた構成となっている。
また、本実施の形態の内視鏡2は、収納ケース本体12と、挿入補助具11、或いは操作部7とを連通するように連結する各案内管13,14が柔軟な可撓性を有しているため、収納ケース本体12を載置固定しても、術者による操作部7の把持位置、及び患者の肛門へアプローチする挿入補助具11の位置が限定されることが無く、ある程度の許容範囲で所望の位置を動かすことができる。
つまり、挿入補助具11と収納ケース本体12とを接続する先端側案内管13が柔軟なチューブ体であるため、患者の肛門と収納ケース本体12との位置関係を一定にする必要がない。また、操作部7も操作部側案内管14の柔軟性により、その動きの自由度が制限されない。
また、上述したような、例えば大腸検査の際に、進退する挿入部は、回転筒体51の回動により、捩れ応力が発生する可能性がある。しかし、本実施の形態の内視鏡システム1では、収納ケース本体12における板部材61,62間の距離が挿入部の外形を形成している回転筒体51の螺旋形状部51aの最大外径となる凸部の直径の2倍以下であるため、収納ケース本体12内で挿入部が捩れ応力による輪形状となることが防止される。
また、各案内管13,14においても、夫々の内径が回転筒体51の螺旋形状部51aの最大外径となる凸部の外径(直径)の2倍以下であるため、挿入部が捩れ応力によって、輪形状となることが防止される。そのため、挿入部は、スムーズに収納ケース本体12内、及び先端側案内管13内で軸回りの回転がなされる。
また、術者は、収納ケース本体12、及び各案内管13,14が透明、若しくは半透明な材料で形成されるため、挿入部の動き、特に回転筒体51の回転状態を目視確認することができる。
さらに、挿入補助具11から、先端側案内管13、収納ケース本体12、及び操作部側案内管14にかけて、夫々の接続部が水密保持されているため、例えば、大腸内の汚物などの液体が施術室内に飛び散ることが防止される。そのため、収納ケース付内視鏡挿入部6は、衛生的に優れた構造となっている。
また、体腔内への挿入前の挿入部は、挿入補助具11によって、患者の肛門501による締め付けなどの抵抗を受けることが無いため、撓みの発生を軽減できると共に、回転による捩れが防止される。さらに、挿入部は、挿入補助具11により、大腸への導入時に、直接的に肛門501と接触しない。そのため、可撓性の高い挿入部は、肛門501による締め付けなどの抵抗を受けることが無いため、大腸への導入性が向上する。
挿入補助具11内に配設される第1,第2の推進力発生部材70a,70bは、内視鏡システム1の回転筒体51に推進力を発生させ、その回転筒体51を体腔内、ここでは大腸内への導入性及び挿入性を向上させることができる。また、回転筒体51には、案内管固定部材64内に2つの第1,第2の推進力発生部材70a,70bが設けられることによって、案内管固定部材64内における長軸方向の位置が略中央で安定することで、第1,第2の推進力発生部材70a,70bから均等な押圧力を受けて前進する推進力が効率良く発生する。
尚、上述したように、螺旋形状部51aを形成する凸部分の幅は、凹部分の幅よりも大きく設定されている。これにより、挿入部の外形を形成する回転筒体51が収納ケース12内で湾曲した状態で、重なり合ったとしても、凸部が凹部に入り込むことが防止される。すなわち、螺旋形状部51aの凹凸は、回転筒体51の軸方向の回転を妨げることが無い構成となっている。
具体的には、図30に示すように、収納ケース12内の挿入部がその収容状態により、図中の円XXXIに示すように、隣接したとしても、回転筒体51の螺旋形状部51aを形成する凹凸部分の幅寸法の違いにより、凸部が凹部に入り込むことが防止される。つまり、図31に示すように、回転筒体51の螺旋形状部51aは、凸部分の幅寸法d1が凹部分の幅寸法d2よりも大きく(d1>d2)設定されている。
その結果、回転筒体51は、隣接した状態の螺旋形状部51aの外周部分が噛み合うことが防止され、スムーズに収納ケース12内で回転しながら進退できる。
以上説明したように、本実施の形態の回転自走式内視鏡2、及びその収納ケース付内視鏡挿入部6は、被検部に挿入する前の挿入部をスムーズに被検部内へ挿入可能で、操作性に大変優れた構成となっている。
尚、図32に示すように、収納ケース本体12に取っ手であるハンドル部85を設けても良い。このハンドル部85を収納ケース本体12に設けることで、収納ケース本体12を含む収納ケース付内視鏡挿入部6の持ち運びが容易となる。尚、図32は、ハンドル部85が取り付けられた変形例を示す収納ケース本体12の斜視図である。
また、このハンドル部85は、収納ケース本体12の側面のどの位置に設けても良いが、図32に示すように、各案内管固定部材64,65が設けられている夫々の収納ケース本体12の角部の共通する辺となる側面に設けることが好ましい。
つまり、医療スタッフにより、ハンドル部85が持たれると、鉛直方向に対して、上方側に各案内管固定部材64,65が位置する。これにより、使用後に先端側案内管13内、及び収納ケース本体12内に大腸内の汚物が浸入したとしても、この汚物が収納ケース本体12内の下部側に溜まり、各案内管固定部材64,65から夫々接続された案内管13,14へと流入することが防止される。
そのため、操作部7のモータボックス16、及び挿入補助具11へと、汚物が流れない。このような構成とすることで、特にモータなどの電気装置を備えたモータボックス16への汚物の浸入を防止できると共に、挿入補助具11から汚物を治療室内に飛散することが防止できる。
また、図33に示すように、収納ケース本体12の板体61(或いは板体62)の表面に挿入補助具11、及び操作部7を固定する固定部86,87を設けても良い。尚、図33は挿入補助具11、及び操作部7が収納ケースの固定部に固定されている状態を示す内視鏡2の斜視図である。
これら固定部86,87は、例えば、弾性変形する部材からなり、固定部86は、挿入補助具11の挿入管53を板体61の板面上で挟持し、固定部87は操作部7の把持部17を板体61の板面上で挟持している。
このように、挿入補助具11、及び操作部7を収納ケース本体12に固定できるため、内視鏡2を使用前にコンパクトに保管することができる。
さらに、図34に示すように、挿入部、挿入補助具11、及び収納ケース本体12のみ、つまり、挿入部から操作部7を離脱した状態で、案内管14、及びコネクタカバー15側を保持できる固定部88を収納ケース本体12の板体61(或いは板体62)の表面に設けても良い。尚、図32では、固定部88が案内管14を挟持しているが、コネクタカバー15を保持する固定部材を設けても良い。尚、図34は挿入補助具11、及び案内管が収納ケースの固定部に固定されている状態を示す斜視図である。
このような構成とすることで、操作部7が接続されていないときの、収納ケース付内視鏡挿入部6のみをコンパクトに保管することができる。
以上の実施の形態に記載した発明は、その実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。