JP5005046B2 - 工具マガジン - Google Patents

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Description

本発明は、工作機械に隣接して配置される工具マガジンに関し、特に、複数の工具を行列状に配列して収納するようにした工具マガジンに関する。
工具マガジンは、一般に、工作機械に隣接して配置され、多数の工具を収納している。工具交換装置によって工具マガジンに収納されている工具を工作機械へ供給し、また工作機械から工具マガジンへ工具を受取る。
これまで様々なタイプの工具マガジンが開発されている。第1の従来技術として、特開平4−300140号公報には、各工具収納部を多数のU字形切り欠きを形成した複数のプレートを積み上げたマトリックスタイプ構成として、中間ポットは廃して安価とするようにした工具マガジンが開示されている。工具は、工具ホルダの環状把持溝を利用して各工具収納部に保持される。工具収納部から工具を搬送する際には、工具は、工具搬送装置の工具ポットを工具ホルダのテーパシャンク部に嵌合させて保持される。
第2の従来技術として、特許第2710477号には、工具ホルダに装着された工具の刃物部が通過し得る穴を縦横行列状に配列し、各穴の部分に工具を着脱自在に保持する保持手段を設けたマガジンベースと、マガジンベースの後方側でX、Y、Z軸方向に移動可能な工具搬送機構とを具備する工具マガジンが開示されている。
一方、近時、工作機械の分野では、加工プロセスの高速化、複雑化に伴い、工作機械で使用する工具も多種、多様となり、工作機械に隣接させて配置される工具マガジンも多数かつ多種、多様の工具を収納可能とすることが求められている。
上述した第1の従来技術に開示されている工具マガジンは、搬送すべき工具が収納されているプレートと隣接するプレートとの間に工具が通過可能な間隔を確保するため、プレートを上下に移動させる駆動機構が必要となり、構造が複雑化するという問題がなお残っている。
第2の従来技術に開示されている工具マガジンは、工具を収納する板状のマガジンベースが工具の長短にかかわらず一つの平面内にしか設けられていない。従って、長短工具を混在させて収納する場合、長い工具に合わせたZ軸方向厚みの工具収納スペースと、長い工具がマガジンベースの穴を通過可能なZ軸ストロークを有した工具搬送機構が必要となり、工具マガジン全体のZ軸方向の厚み寸法が、長い工具の長さの2倍以上となる問題がある。また、手作業で長い工具を工具マガジンへ装着、抜き出しする場合、行列状に工具が配列されている中で、長い工具をZ軸方向に抜き差しするので、作業性が悪く、安全性も低いという問題がある。
そこで本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、構造が簡単な、複数の工具を行列状に配列して収納する工具マガジンを提供することを目的とする。また、手作業で長い工具を工具マガジンへ装着、抜き出しする際、作業が容易、かつ、安全に行える工具マガジンを提供することを目的とする。また、工具搬送装置を含めた、収納する工具の中心軸線方向の工具マガジン全体の厚み寸法を極力小さくした工具マガジンを提供することを目的とする。
前述の目的を達成するため、本発明によれば、工具の中心軸線が水平で互いに平行になるように複数の工具を収納する工具マガジンにおいて、
板状の部材に前記工具が通過可能な大きさの複数の工具受容孔を形成し、該工具受容孔内の下方で前記工具のフランジ部のV溝と係合して前記工具を保持する工具保持部材を有した第1の工具収納部と、
前記第1の工具収納部の周囲に配置され、板状の部材に前記工具を受容可能な大きさの複数の工具受容くぼみ部を形成し、該工具受容くぼみ部内の下方で前記工具のフランジ部のV溝と係合して前記工具を保持する工具保持部材を有した第2の工具収納部と、
を具備し、前記第2の工具収納部は、前記第1の工具収納部の後方に段違いに設けられる工具マガジンが提供される。
第1の工具収納部には、工具受容孔を通過可能な直径で、所定の長さ以下の短かい工具を保持させる。第2の工具収納部には、所定の長さを越える長い工具を保持させる。第1及び第2の工具収納部は、工具保持部材に工具のフランジ部のV溝を係合させて工具を保持する。第2の工具収納部は、第1の工具収納部の後方に段違いに設けられている。すなわち、第1の工具収納部と第2の工具収納部とは平行に設けられ、第2の工具収納部の方が第1の工具収納部より収納工具のシャンク側にずれて配置されている。従って、第2の工具収納部に収納された工具のフランジ部は、第1の工具収納部に収納された工具のフランジ部より後方に位置する。そして、短かい工具は、第1の工具収納部に対して工具の中心軸線に平行な方向から工具の抜き差しを行う。長い工具は、第2の工具収納部に対して工具の中心軸線に垂直な方向から工具の抜き差しを行う。
また、前記第2の工具収納部は、前記第1の工具収納部の正面の左方、右方、上方、下方のうち少なくとも一つの側面に配置することができる。
この構成により、工具マガジンを正面から見て、中央部の第1の工具収納部に短かい工具が収納され、長い工具は、第1の工具収納部の少なくとも左方、右方、上方、下方のいずれかの側面に位置する第2の工具収納部に収納される。
また、前記工具保持部材は、前記工具受容孔及び前記工具受容くぼみ部の周囲に前記工具のフランジ部のV溝と係合する凸部を有した駒部材を少なくとも3個設けて構成することができる。
第1及び第2の工具収納部に収納される工具は、第1の工具受容孔の下方及び第2の工具受容くぼみ部の下方で、工具のフランジ部のV溝と少なくとも3つの駒部材の凸部とが、自重により係合することによって、工具の中心軸線が水平で互いに平行となるように保持される。
また、前記第1及び第2の工具収納部に対して収納工具の中心軸線方向に沿って後方に設けられ、前記工具のシャンク部を把持する工具把持手段と、前記工具把持手段を直交3軸方向に移動させる移動手段とを有して成る工具搬送装置を更に具備することができる。
工具搬送装置の工具把持手段が工具の中心軸線の後方から工具のシャンク部を把持し、その把持手段が移動手段によって直交3軸方向に移動される。短かい工具を把持したとき、工具搬送装置は、工具の中心軸線の方向に工具受容孔を通過させて工具を第1の工具収納部から抜き差しする。長い工具を把持したとき、工具搬送装置は、工具の中心軸線と垂直な方向に工具受容くぼみ部を横切って工具を第2の工具収納部から抜き差しする。そして、工具搬送装置は、第1及び第2の工具収納部と工具交換位置との間で工具を搬送したり、工具交換位置に工具把持手段を位置決めしたりする。
本発明によれば、第1及び第2の工具収納部は、板状の部材に工具受容孔又は工具受容くぼみ部を形成し、工具保持部材を設けただけの簡単な構造で、工具を行列状に収納することができる。そして、短かい工具は、第1の工具収納部に収納し、工具の中心軸線に平行な方向から工具の抜き差しを行い、長い工具は、第2の工具収納部に収納し、工具の中心軸線に垂直な方向から工具の抜き差しを行うようにした。そのために、工具の装着、抜き出しの作業が容易になり、かつ、安全である。更に、工具の装着、抜き出しの作業スペースが小さくなった。
また、1つの工具受容孔又は工具受容くぼみ部当たりに少なくとも3個の駒部材を設けることにより、簡単な安価な構成で工具を水平に互いに平行となるように、確実に保持することができる。そして、工具マガジン全体の厚み寸法は、第1の工具収納部に保持された短かい工具の長さと、工具搬送装置による工具の中心軸線方向の工具の抜き差しの短かい工具とほぼ等しい長さのストローク長と、工具搬送装置が工具の中心軸線方向に後退したときの工具搬送装置の工具の中心軸線方向の全長との合計長さに相当する。第2の工具収納部から長い工具を抜き差しするのを工具の中心軸線に垂直な動きだけで行い、工具の中心軸線方向の動きを必要としないので、工具搬送装置の工具中心軸線方向の動きの前記ストローク分の長さだけ長い、つまり第1の工具収納部に保持される短かい工具の約2倍の長さを持った長い工具を第2の工具収納部に収納できる。従って、長短工具を収納しなければならない工具マガジンの工具の中心軸線方向の全体厚み寸法を極力小さくすることができる。
図1は、本発明の好ましい実施の形態による工具マガジンの正面図である。
図2は、図1のA部の拡大図である。
図3は、図2のIII−III断面図である。
図4は、図1の工具マガジンの側面図である。
図5は、ラック本体部に工具を装着する作用を説明するための、図1の工具マガジンの斜視図であり、キャリッジが工具交換位置にある図である。
図6は、キャリッジが伸長位置にある図5と同様の図である。
図7は、サイドラックに工具を装着する作用を説明するための、図1の工具マガジンの斜視図であり、キャリッジが工具交換位置にある図である。
図8は、キャリッジが伸長位置にある図7と同様の図である。
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明する。
内部に多数の工具Tを収納した工具マガジン11は、工作機械に隣接させて配置され、該工具マガジン11の外部に設けられた工具交換装置55を介して工作機械に工具Tを供給し、且つ工作機械から工具Tを受取る。本実施の形態の工具Tは、切刃部TEと工具ホルダTHとから成り、工具ホルダTHは、環状のV溝57の形成されたフランジ部Fとテーパ状のシャンク部Sを有する。工具マガジン11は、基台13の水平上面に立設された工具ラック15と工具搬送装置25を具備し、工具交換装置55は、工具交換アーム55aを具備している。本実施の形態では、工具交換アーム55aは、工具マガジン11の工具交換位置Pと工作機械の主軸(図示せず)との間で工具交換する。
工具ラック15は、第1の工具収納部を形成するラック本体部17、及び第2の工具収納部を形成する一対のサイドラック部19、21並びに上ラック部23を具備している。ラック本体部17は、基台13の上面に垂直に立設された平板状の部材より成る。本明細書では、ラック本体部17が形成する鉛直平面をXY平面とし、水平方向にX軸、鉛直方向にY軸、XY平面に対して垂直な方向にZ軸を定義する。工具Tの中心軸線がZ軸と平行となるように工具Tは工具ラック15に収納され、収納された工具Tのシャンク部Sの側を工具マガジン11の後方と定義する。
サイドラック部19、21は基台13の上面に垂直に立設された平板状の部材より成り、ラック本体部17に対してZ軸方向に所定距離を以て後方に、つまり工具搬送装置25側に寄せてオフセット配置されている。本実施の形態では、サイドラック部19、21は、側壁19a、21aによってラック本体部17の側縁部に連結されており、これによってラック本体部17及びサイドラック部19、21がしっかりと基台13の上面に立設されるようになっている。
上ラック部23はラック本体部17に対して平行な平板状の部材より成り、工具ラック15の上部で水平に延設され、かつ、ラック本体部17に対してZ軸に沿って所定距離を以て後方にオフセット配置されている。図示する実施の形態では、上ラック部23は、L字形のアングル部材の垂直部分より成り、該アングル部材の水平部分23aによって、サイドラック部19、21の側壁19a、21aの上端部分に連結されている。
図示する実施の形態では、第2の工具収納部を形成するサイドラック部19、21及び上ラック部23は、ラック本体部17からZ軸に沿って後方にオフセットされ、かつ、概ね同一平面内に配置されているが、用途に応じて両者は必ずしも同一平面内に配置されていなくともよい。また、第2の工具収納部は、ラック本体部17の下方に設けられてもよい。
ラック本体部17には、工具TをZ軸方向に通過させるためのマトリックス状に配列された複数の工具受容孔が形成されている。一例として図示する実施の形態では、ラック本体部17の工具受容孔は、10行7列のマトリックス状に配列された第1の工具受容孔17aと、最上段の第1の工具受容孔17aの更に上側に横1行に配列された4つの第2の工具受容孔17bとを含む。第1の工具受容孔17aには、比較的直径が小さく、かつ、短い工具Tが保持される。第2の工具受容孔17bには、工具Tに比較して直径が大きな工具Tが保持されるようになっている。
第1と第2の工具受容孔17a、17bは、上側内縁部が、収納される工具の直径よりも大きな直径を有した円弧状に形成され、下側内縁部が、保持する工具Tのフランジ部Fより若干大きな直径を有した円弧状に形成されている。上側及び下側内縁部は、必ずしも円弧状ではなく例えば矩形、五角形その他の多角形としてもよい。第1及び第2の工具受容孔17a、17bは、工具受容孔に保持する工具Tを通過可能とする寸法、形状を与える上側及び下側内縁部を備えていればよい。
ラック本体部17の工具受容孔17a、17bの下側内縁部の周囲には、1つの工具受容孔当たり、4個の駒部材59が取り付けられる。駒部材59の環状の凸部59aとフランジ部FのV溝57とが係合することによって、工具Tは中心軸線が水平で互いに平行になるようにラック本体部17に保持される。4個の駒部材59のうち、下方の2個の駒部材はどちらか1個だけでもよい。つまり、駒部材59は、1つの工具受容孔当たり、少なくとも3個あればよい。また、工具受容孔17a、17bの下側内縁部の中央には、キー61が設けられ、フランジ部Fに形成されたキー溝(図示せず)と係合して、工具Tの回転方向の位置決めをしている。尚、駒部材59に代えて、V溝57と係合する円弧状の凸部を有する半環状部材を工具受容孔17a、17bの下側に取り付けてもよいし、工具受容孔17a、17bの下側内縁部の断面形状をV溝57と係合する半円弧状の凸形状に形成して、ラック本体部17に直接工具Tを保持するようにしてもよい。
第2の工具収納部を形成するサイドラック部19、21の各々には、縦1列に配列された複数の、一例として示す本実施の形態では8個の工具受容くぼみ部19b、21bが形成されている。サイドラック部19、21には、工具TをX軸方向に移動させて工具受容くぼみ部19b、21b内に導入可能なように、側部に工具Tのフランジ部Fの直径より若干大きな切り欠き幅を有する切欠19c、21cが設けられている。サイドラック部19、21の工具受容くぼみ部19b、21bは、ラック本体部17の第1及び第2の工具受容孔17a、17bと同様に、下側内縁部の周囲には、4個の駒部材59が取り付けられ、工具を保持可能になっている。サイドラック部19、21の工具受容くぼみ部19b、21bには、工具T、Tに比較して直径が大きくかつ/又は長い工具T又はTが保持される。
本特定の実施の形態では、サイドラック部19、21の工具受容くぼみ部19b、21bは、切欠19c、21cを通してX軸方向に工具Tを導入するようになっているので、ラック本体部17の第1及び第2の工具受容孔17a、17bのように、工具Tの直径よりも大きな直径の上側内縁部を有する必要はない。
また、第2の工具収納部を形成する上ラック部23には、横1列に配列された複数の、一例として示す本実施の形態では11個の工具受容くぼみ部23bが形成されている。工具受容くぼみ部23bは、収納する工具Tのフランジ部Fの直径より若干大きな切り欠き幅を有し、上方に開いた円弧状の切欠にて形成されている。この工具受容くぼみ部23bの下側内縁部の周囲には、4個の駒部材59が取り付けられ、工具Tを保持する。上ラック部23の工具受容くぼみ部23bには、工具Tよりは直径が小さいが、工具T、Tに比較して直径が大きくかつ/又は長い工具T又はTが保持される。
本実施の形態では、収納する長い工具T、T、T又はTの最長工具の約半分の寸法を所定の工具長さと決めている。所定の工具長さ以下で、かつ、工具受容孔17a、17bを通過可能な直径の工具を短かい工具T又はTとし、所定の長さを越える長い工具をT、T、T又はTとしている。そして、ラック本体部17とサイドラック部19、21又は上ラック部23とのZ軸方向のオフセット量は、所定の長さより若干長い寸法としている。
工具ラック15と工具交換位置Pとの間で工具を搬送する工具搬送装置25は、工具Tを係脱可能に把持するキャリッジ35と、キャリッジ35をXY平面内で移動するためのキャリッジ移動手段として、X軸方向に延設された上、下レール27、29、上、下レール27、29の間にY軸方向に延設された動力伝達部材33、及び上、下レール27、29に沿ってX軸方向に往復動可能に設けられた移動支柱31とを具備しており、キャリッジ35は、該移動支柱31に沿ってY軸方向に往復動可能に取付けられている。
上、下レール27、29内には、例えばボールねじ(図示せず)が延設されており、移動支柱31の上下端部には、該ボールねじと係合するナット(図示せず)が取付けられている。上、下レール27、29の前記ボールねじは、動力伝達部材33の端部に設けられた歯車(図示せず)に係合し、該動力伝達部材33をモータ(図示せず)で回転することによって、上、下レール27、29のボールねじは同期して回転するようになっている。これによって、移動支柱31は、上、下レール27、29に沿ってX軸方向に往復動可能となっている。
キャリッジ35は、Z軸方向に延設された板状の部材より成りY軸方向に往復動可能に移動支柱31に取付けられたベース部37を具備している。該ベース部37の上面には、Z軸方向に延設されたボールねじ39、及び該ボールねじ39を回転駆動するモータ41が取付けられており、ベース部37の下面には、Z軸方向に延設された第1の案内レール43が固定されている。第1の案内レール43には、該第1の案内レール43に沿って往復動可能に第1のスライダ47が取付けられており、該第1のスライダ47にはボールねじ39に係合するナット45が取付けられている(図5〜8ではナットホルダが図示されている)。また、第1のスライダ47には第2の案内レール49が固定されており、該第2の案内レール49は該第1のスライダ47と共にZ軸方向に往復動可能となっている。第2の案内レール49には、該第2の案内レール49に沿って往復動可能に第2のスライダ51が取付けられており、該第2のスライダ51には腕53が固定されている。腕53の先端に、工具Tの工具ホルダTHのシャンク部Sに嵌合するテーパ穴を有し、工具Tを係脱可能に把持する工具把持手段63が固定されている。本実施の形態では、工具搬送装置のX、Y、Z軸方向の移動及び工具把持の動作は、工作機械のNC装置(図示せず)により制御される。
以下、本実施の形態の作用を説明する。
先ず、図5、6を参照して、ラック本体部17に工具Tを装着する、すなわち第1の工具収納部へ工具Tを装着する場合を例として、本実施の形態の作用を説明する。
図5において、キャリッジ35は工具交換アーム55aとの間で工具Tを授受するために工具交換位置Pにあり、該工具交換アーム55aから図1の工具Tに相当する工具Tを受取り、これを保持している。次いで、キャリッジ35は、キャリッジ移動手段27、29、31によって、図6に示すように工具Tを所定位置、例えば、第1の工具収納部のマトリックス状に配列された第1の工具受容孔において、左から3列目、上から5番目の第1の工具受容孔17aに対面する位置に移動する。その際、キャリッジ35は、工具Tが該第1の工具受容孔17aにおける上側の大径部分を通過可能となる位置に配置される。次いで、キャリッジ35は、モータ41を回転し、ボールねじ39、ナット45を介して第1及び第2のスライダ47、51を前方へ移動させ、腕53の先端に把持されている工具Tを、第1の工具受容孔17a内に導入する。次いで、キャリッジ35は、移動支柱31沿いにY軸方向に少し下動し、把持する工具Tの工具ホルダTHのV溝57を、第1の工具受容孔17aの駒部材59に係合させ、次いで、モータ41を回転して、ボールねじ39、ナット45を介して腕53をZ軸方向に後退させ、腕53の先端に取付けられている工具把持手段63を工具ホルダTHのシャンク部Sから脱離させる。これによって、工具Tは、工具マガジン11の第1の工具収納部、より詳細には、第1の工具受容孔17aの1つに係合、保持される。
工具T(T又はT)を第1の工具収納部としてのラック本体部17から取出すためには、上述の工程とは逆の工程を実施すればよいことは理解されよう。
次に、図7、8を参照して、工具Tを第2の工具収納部に取付ける場合の作用を説明する。
図7において、キャリッジ35は、図5の場合と同様に、工具交換アーム55aとの工具交換位置Pにあり、該工具交換アーム55aから図1の工具T、Tに相当する工具Tを受取り、これを把持している。次いで、キャリッジ35は、キャリッジ移動手段27、29、31によって、図8に示すように工具Tを所定位置、例えば、第2の工具収納部を形成するサイドラック19、21及び上ラック部23のうち、図示する実施の形態では紙面に対して向かって右側のサイドラック部21の最下段の工具受容くぼみ部21bの側位に移動する。その際、キャリッジ35は、工具Tが該工具受容くぼみ部21bの切欠21cを通過可能となる位置に配置される。次いで、キャリッジ35は、モータ41を回転し、ボールねじ39、ナット45を介して第2のスライダ51をZ軸沿いに前方へ、腕53の先端に把持されている工具Tの工具ホルダTHのV溝57が、工具受容くぼみ部21bの駒部材59に係合可能な位置に移動させる。次いで、キャリッジ35は、上、下レール27、29沿いにX軸方向に移動し、把持する工具Tを工具受容くぼみ部21b内に導入し、移動支柱31沿いにY軸方向に下動して、工具ホルダTHのV溝57を工具受容くぼみ部21bの駒部材59に係合させ、次いで、モータ41を回転して、ボールねじ39、ナット45を介して腕53をZ軸方向に後退させ、腕53の先端に取付けられている工具把持手段63を工具ホルダTHのシャンク部Sから脱離させる。これによって、工具Tは、工具マガジン11の第2の工具収納部、より詳細には、サイドラック部21の工具受容くぼみ部21bの1つに係合、保持される。
工具T(T、T)を第2の工具収納部としてのサイドラック部19、21から取出すためには、上述の工程とは逆の工程を実施すればよいことは理解されよう。
また、工具T(T、T)を第2の工具収納部としての上ラック部23へ装着するためには、工具T(T、T)を工具受容くぼみ部23bへ向けて下動させ、工具ホルダTHのV溝57を工具受容くぼみ部23bの駒部材59に係合させることは理解されよう。更に、該上ラック部23から工具T(T、T)を取り出すためには、工具T(T、T)を工具受容くぼみ部23bから上動させることは理解されよう。
以上述べたように、長い工具を収納するための第2の工具収納部を短かい工具を収納するための第1の工具収納部から後方へオフセット、つまり段違いに配置し、第1の工具収納部には工具受容孔を形成し、第2の工具収納部には切欠を持った工具受容くぼみ部を形成した。そして、短かい工具は第1の工具収納部の工具受容孔に対して、Z軸方向から抜き差しを行い、長い工具は第2の工具収納部の工具受容くぼみ部に対して、X、Y軸方向から抜き差しを行う。そのために、図4における工具マガジン全体のZ軸方向の厚み寸法Dが、前述の第2の従来技術の工具マガジンに長い工具を収納させた場合より、短かくすることができた。

Claims (4)

  1. 工具の中心軸線が水平で互いに平行になるように複数の工具を収納する工具マガジンにおいて、
    板状の部材に前記工具が通過可能な大きさの複数の工具受容孔を形成し、該工具受容孔内の下方で前記工具のフランジ部のV溝と係合して前記工具を保持する工具保持部材を有した第1の工具収納部と、
    前記第1の工具収納部の周囲に配置され、板状の部材に前記工具を受容可能な大きさの複数の工具受容くぼみ部を形成し、該工具受容くぼみ部内の下方で前記工具のフランジ部のV溝と係合して前記工具を保持する工具保持部材を有した第2の工具収納部と、
    を具備し、前記第2の工具収納部は、前記第1の工具収納部の後方に段違いに設けられることを特徴とした工具マガジン。
  2. 前記第2の工具収納部は、前記第1の工具収納部の正面の左方、右方、上方、下方のうち少なくとも一つの側面に配置されている請求項1に記載の工具マガジン。
  3. 前記工具保持部材は、前記工具受容孔及び前記工具受容くぼみ部の周囲に前記工具のフランジ部のV溝と係合する凸部を有した駒部材を少なくとも3個設けて構成した請求項1又は2に記載の工具マガジン。
  4. 前記第1及び第2の工具収納部に対して収納工具の中心軸線方向に沿って後方に設けられ、前記工具のシャンク部を把持する工具把持手段と、前記工具把持手段を直交3軸方向に移動させる移動手段とを有して成る工具搬送装置を更に具備する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の工具マガジン。
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