以下、本発明に係る工作機械システムについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る工作機械システム10の一部切欠斜視図である。図2は、図1に示す工作機械システム10の正面図である。図3は、図1に示す工作機械システム10の側面図である。この工作機械システム10は、ワークWに対してドリル加工、中ぐり加工及びホーニング加工等を行うものである。以下、工作機械システム10の向きを特定するために、図2での左右方向をX方向(X1、X2方向)、高さ方向をY方向(Y1、Y2方向)とし、X方向及びY方向に直交する奥行き方向をZ方向(Z1、Z2方向)(図3参照)とする。X方向及びY方向は、水平面内の所定の一方向であって直交している。
工作機械システム10は、図2に示す正面視で左側(矢印X1側)の第1工作機械10aと、右側(矢印X2側)の第2工作機械10bと、これらの第1工作機械10a及び第2工作機械10bを統合的に且つ協調的に制御するコントローラ12と、着脱可能な工具Tを複数保持する工具ストッカ11とを有する。第1工作機械10aと第2工作機械10bとは隣接して平行に設けられており、定盤13、ワーク移動装置14及びフレーム15は共用となっている。これらの定盤13、ワーク移動装置14及びフレーム15は、第1工作機械10a及び第2工作機械10bに専用のものを用いてもよい。なお、本実施形態の場合、第1工作機械10aと第2工作機械10bは同構造であり、以下では第1工作機械10aを代表的に説明する。
第1工作機械10aは、床に固定された定盤13をベースとして構成されている。定盤13はX方向に幅狭で、Y方向に低い形状である。定盤13の上面には、ワーク移動装置14及びフレーム15が取り付けられている。
ワーク移動装置14は、定盤13の上面の正面側(矢印Z1側)に設けられたワークテーブル19a〜19cを備える。該ワーク移動装置14の上方には、ワークテーブル19a〜19c上に載置されたワークWを上部から押圧固定するワーク押圧固定装置17a、17b(図3参照)が設けられている。本実施形態の場合、ワークテーブル19a〜19cは、120°間隔で配置された回転テーブルとして構成される。なお、図1、図2及び図5では、後述する支持体22、旋回アーム32等を視認できるように、ワーク押圧固定装置17a、17bを省略して図示している。
図1に示すように、フレーム15には、工具Tを複数収納する工具ストッカ11として、第1工作機械10a及び第2工作機械10bにそれぞれ対応するメインストッカ(第1工具ストッカ)80a、80bと、これらメインストッカ80a、80bのZ2側上方に配置されたサブストッカ(第2工具ストッカ)100とが支持されている。
このようなフレーム15は、定盤13の矢印Z方向の両端から上方に延在する4本の支柱15aと、これら支柱15a上部で支えられたプレート15bとを有する。前記サブストッカ100は、プレート15bのZ2側で立脚した脚部105によって支持され、Z方向にやや長い矩形型(楕円型)に構成されている。また、フレーム15を構成するZ方向の2本の支柱15aが2組、その2本の支柱15aの間にはシャッター107が設けられ、それぞれの組でシャッター107が設けられる。当該シャッター107はワークWの加工の際、切削屑や切削油が左右に装置外へと飛散することを防止している。シャッター107は、工具TによりワークWへの加工を行う加工主軸36のメンテナンス時等に開放される。
第1工作機械10aは、定盤13の上面に設けられたZ方向に延在する一対のZレール16、16と、Zレール16に案内されてZ方向にスライドするコラム18と、コラム18の正面においてY方向に延在する一対のYレール20、20と、Yレール20に案内されてY方向にスライドする支持体22とを有する(図2参照)。Zレール16上でのコラム18のZ方向位置はZ位置センサ16aによって検出され、Yレール20上での支持体22のY方向位置はY位置センサ20aによって検出され、それぞれコントローラ12に供給される。
コラム18は、定盤13の後方に設けられたZモータ24の作用下にボールねじ機構26を介してZ方向に往復移動する(図3参照)。また、Zモータ24には図示しないロータリエンコーダが取り付けられ、ボールねじ機構26のボールねじの回転角度を該ロータリエンコーダが検出し、コラム18のZ方向位置として前記検出されたボールねじの回転角度が、それぞれのコントローラ12に送信されるように構成してもよい。
支持体22は、定盤13の内部に配置されたYモータ28の作用下にボールねじ機構30を介してY方向に往復移動する(図2参照)。また、Yモータ28には図示しないロータリエンコーダが取り付けられ、ボールねじ機構30のボールねじの回転角度を該ロータリエンコーダが検出し、支持体22のY方向位置として前記検出されたボールねじの回転角度が、それぞれのコントローラ12に送信されるように構成してもよい。コラム18及びYレール20は、Y方向に適度に長い形状であり、支持体22を比較的長距離移動させることができる。
図4に示すように、支持体22は、Z1方向に向いたワークWに臨む鉛直平面(XY平面)内で旋回(回転)する旋回アーム32と、該旋回アーム32を旋回させるアームモータ34と、旋回アーム32の遠心方向端部近傍に設けられ、旋回アーム32に対して回転自在に支承されてZ1方向を指向する加工主軸36と、該加工主軸36を回転させるスピンドルモータ(回転駆動源)38とを有する。アームモータ34は、例えば、ダイレクトモータである。支持体22は、枠体40をベースに構成されており、該枠体40の内部にアームモータ34が設けられている。アームモータ34は、枠体40に固定されたステータ34aと、該ステータ34aの内側に設けられた中空のロータ34bとを有する。
旋回アーム32は、ロータ34bの矢印Z1側端部に固定されており、アームモータ34の作用下に旋回する。支持体22に対する旋回アーム32の角度は、角度センサ41(図1参照)によって計測されコントローラ12に供給される。
なお、図4からも明らかなように、旋回アーム32はエンドレスに旋回が可能であるが、最低限1回転(360度)の旋回が可能であればよい。加工主軸36は、旋回アーム32の旋回中心C1から距離Rだけ離れた箇所に設けられている。
旋回アーム32において、加工主軸36が設けられた側と反対側(図4では上側)にはバランサ42が設けられている。バランサ42は、クーラント等の液体が入った液体タンクであり、加工主軸36に取り付けられる工具に応じて、内部の液量を変化させてバランスをとることができる。バランサ42は金属製の錘であってもよい。該バランサ42が設けられている箇所以外の旋回アーム32の内部は中空構造となっている。旋回アーム32は、支持体22と比較すると相当に軽量であり、旋回させたときにも支持体22や第1工作機械10aに対する安定性を損なうことがない。
スピンドルモータ38は矢印Z2方向に突出しており、アームモータ34と同軸となるように、支持体22における枠体40の後面に固定されている。このようにスピンドルモータ38とアームモータ34とを同軸上に配置し、つまり旋回アーム32の旋回中心C1とスピンドルモータ38の回転中心とを同軸とすることにより、支持体22をコンパクトなユニットとして構成することができる。このように、加工主軸36の軸線上にスピンドルモータ38が存在せず、旋回アーム32の中心に近い箇所にスピンドルモータ38があると、前記のバランサ42の質量及び大きさが小さくてすみ、支持体22を全体的にコンパクトにすることができる。
シャフト44は、ロータ34bの中空部を貫通して設けられ、一端がスピンドルモータ38の回転軸に固定され、他端が枠体40から突出して旋回アーム32の矢印Z1側の側板まで達している。シャフト44は、旋回アーム32の矢印Z1側端部及び矢印Z2側端部、並びに枠体40の矢印Z2側端部の3箇所で、順にベアリング45a、45b及び45cによって軸支されている。
プーリ機構46は、ベアリング45aとベアリング45bとの間でシャフト44に固定された駆動プーリ46aと、加工主軸36の矢印Z2方向端部に固定された従動プーリ46bと、これら駆動プーリ46aと従動プーリ46bとの間に張架されたベルト46cとから構成される。このようにプーリを用いた駆動機構は旋回アーム32を軽量化できて好適である。なお、プーリを用いた駆動機構以外にも、例えば、駆動プーリ46aをギアへ置換するとともに、従動プーリ46bをピニオンに置換し、サイレントチェーンを利用した駆動伝達機構を用いてもよい。この場合、ギアとピニオンとの間を複数のギア等を介して駆動力を伝達してもよい。
前記プーリ機構46は、旋回アーム32内の中空部に設けられており、所定のテンション機構によってベルト46cの張り調整がなされている。このような構造により、スピンドルモータ38の回転は、シャフト44及びプーリ機構46を介して加工主軸36に伝達される。
加工主軸36は、旋回アーム32と一体的に設けられた主軸カバー48内に収納されており、矢印Z1方向の先端部には工具Tが装着されるツールヘッド50が設けられている。また、矢印Z2方向端部には、ツールヘッド50に対する工具Tのクランプ状態を解除して、工具Tを離脱可能にするアンクランプレバー52が設けられている。アンクランプレバー52は、旋回中心C1から見て外向きにやや突出する形状であり、アンクランプブロック53(図6参照)によって回転中心Cの方向に押圧されることにより操作され、工具Tをアンクランプすることができる。また、アンクランプレバー52は、前記アンクランプブロック53が離れることにより図示しない弾性体によって元の位置に戻され、ツールヘッド50内の工具Tをクランプすることができる。当然、ツールヘッド50での工具Tのクランプ及びアンクランプは、電動で工具Tをクランプする機構とすることもできる。
旋回アーム32の背面側(矢印Z2側)には、ねじ60によって板ばね等からなるディスク62を挟持して旋回アーム32を所定位置に固定する固定装置64が設けられている。該固定装置64はディスク62の背面側と当接する受け座66と、該受け座66との間でディスク62を挟持する押圧片68とから構成される。前記押圧片68は皿ばね70によって挟持方向に付勢されるロッド72先端部に設けられ、皿ばね70に抗してロッド72を前方に押すことでディスク62の挟持状態を解除し、旋回アーム32の旋回が可能となる。本実施形態の場合、ディスク62を板ばねにて構成したため、ディスク62を挟持した状態で旋回アーム32が倒れることがなく、該旋回アーム32の旋回を確実に阻止することができる。
図1に戻り、プレート15bの上面やや左側(X1側)には、第1工作機械10aに対応し、加工主軸36に着脱自在な複数の工具Tを収納した前記メインストッカ80aが設けられている。なお、フレーム15において、プレート15bの上面やや右側(X2側)には、第2工作機械10bに対応し、メインストッカ80aと同機構のメインストッカ80bが設けられている。以下、メインストッカ80aを代表的に説明する。
図1及び図6に示すように、メインストッカ80aは、矢印Z方向に延在する回転軸82と、該回転軸82を駆動するマガジンモータ83と、回転軸82を中心として正面視(図2参照)で約270度の範囲で放射状に設けられた保持アーム84とを有する回転マガジンである。各保持アーム84の先端には工具Tを挟持する略C字状のグリップ(第1保持器)85が設けられている。グリップ85は弾性体であって、C字の開口部から工具Tを押し込むことにより弾性的に拡開して工具Tが挿入可能となり、挿入された後には閉じて工具Tを挟持・保持することができる。また、保持された工具Tは、C字の開口部から引き抜きが可能である。保持アーム84の数は、例えば16本程度とするとよい。グリップ85は、工具Tに形成された鍔状の溝部を介して直接的に把持することができ、後述する工具ポット126が介在しない。
メインストッカ80aは、通常時(加工時や非使用時)、保持アーム84のない約90度(保持アーム84が設けられた前記270度の範囲以外)の部分が下向きとされ(図2参照)、全体がプレート15bよりも上方にあるため、コラム18及び支持体22の動作の支障とならない。一方、加工主軸36の工具Tを交換する際には、メインストッカ80aを回転させて、プレート15bの端から所定の保持アーム84を下方に指向させる(図5参照)。
具体的には、工具Tを保持していない空の保持アーム84を下方に指向させておき、コラム18のZ方向位置を調整した後に、支持体22を上昇させる。これにより、図6に示すように、工具Tが保持アーム84に保持されるとともに、アンクランプレバー52がコラム18上部から垂下されたアンクランプブロック53に当接して操作され、工具Tはツールヘッド50に対してアンクランプされる。従って、コラム18を矢印Z2方向に後退させることで、工具Tはツールヘッド50から抜き取られる。
次いで、メインストッカ80aを回転させて、これから使用する予定の工具Tが保持されている保持アーム84を下方に指向させ、コラム18を矢印Z1方向に進出させる。これにより目的の工具Tがツールヘッド50に挿入されるので、支持体22を下降させることにより、アンクランプレバー52がアンクランプブロック53から離間して工具Tをクランプすることができる。この後、メインストッカ80aを回転させて、図2に示すように、全ての保持アーム84がプレート15bよりも上方に配置されるように設定する。
このように、メインストッカ80aと加工主軸36との間では、途中で工具Tを受け渡すために介在する機構がなく、また保持アーム84は工具Tを直接把持するため、コラム18、支持体22及び旋回アーム32の動作作用下に工具Tの着脱操作を直接的に行うことができる。従って、専用の着脱機構等が不要であることから構造が簡素化され、しかも工具の脱着に要する時間が短縮される。
図1〜図3に示すように、サブストッカ100は、メインストッカ80a、80bのZ2側で、プレート15bから立脚した脚部105によって支持されており、メインストッカ80a、80bの保持アーム84よりも上方で工具Tを保持している。すなわち、サブストッカ100は、図2の正面視で両メインストッカ80a、80bを跨ぐように設けられることで、2台のメインストッカ80a、80bに同時に対応可能な矩形型(楕円型)の回転マガジンであり、水平平面(XZ平面)内で回転し、工具Tの割り出しを行う。
このようなサブストッカ100は、脚部105に固定された略矩形状の枠体であるベースフレーム110と、ベースフレーム110の外側面を周回するように巻き掛けられたチェーン(移動機構)112と、チェーン112の下方(Y2方向)で該チェーン112と平行してベースフレーム110の外側面を周回するように固定されたレール(工具移動レール)114とを有する。
前記チェーン112は、その矩形状の四隅のうち、1つの隅の内側がモータ(駆動源)120により駆動される駆動ギア122と噛み合い、他の3つの隅の内側が従動ギア124と噛み合い、これによりベースフレーム110の外側面に沿うようにして循環駆動可能である。
さらに、チェーン112には、その延在方向に沿って複数の保持アーム118が並設され固定されている。保持アーム118は、前記保持アーム84と略同形状の略Y字状であるが、工具ポット126に係合することで該工具ポット126に装着された工具Tを間接的に保持するものである。
前記保持アーム118は、一端側の狭幅な棒状部分がチェーン112に固定され、他端側のフォーク(第2保持器)116が垂下された状態で下方(Y2方向)に開口している(図1及び図8参照)。フォーク116は、前記保持アーム84のグリップ85と異なり、弾性的な機構や可動部等を持たない二又部材である。すなわち、保持アーム118は、フォーク116の二又部分に挿入された工具ポット126(工具T)を、前記レール114との間で囲繞することで、当該工具ポット126(工具T)を保持するものである。これにより、サブストッカ100は複数の工具Tを収納することができる。保持アーム118の数は、例えば80本程度とするとよく、該保持アーム118での工具ポット126及び工具Tの交換は、例えばシステム背面側(Z2側)のレール114に図示しない可動部を設け、この可動部を介して作業者が人手により行えばよい。
このように、サブストッカ100では、モータ120を駆動源として、駆動ギア122、チェーン112及び従動ギア124が、保持アーム118を介して工具ポット126(工具T)をレール114に摺接させつつ移動させる移動機構として機能する。なお、該駆動機構としては、例えば、チェーン112に代えてベルト・プーリ機構を用いた構成や、駆動源としてリニアモータを用いた構成等でもよく、要は保持アーム118を円滑に移動可能な構成であればよい。
図7に示すように、工具ポット126は、フォーク116に保持される姿勢での上下左右の面に軸線方向に沿う平面部126aが形成された略円筒形状の容器であり、その端面(前面)には工具Tが着脱される装着孔128が設けられている。また、左右両側面の平面部126aには、それぞれ軸線方向に直交してY方向に延びた左右一対の溝部130、132が設けられている。
従って、図6及び図7から諒解されるように、一対の溝部130、130の延在方向(Y2方向)に沿って保持アーム118のフォーク116が挿入されることにより、工具ポット126の上面及び左右側面が保持され、さらに下面がレール114に当接されることにより、当該工具ポット126(工具T)全体が確実に保持される。この状態で、モータ120によってチェーン112が循環駆動されると、フォーク116の間に係合された工具ポット126(工具T)は、下面側の平面部126aがレール114に摺接しつつ、当該チェーン112と共に移動する。そこで、レール114は、工具ポット126が円滑に摺接可能な材質で構成されることが好ましく、例えば、ナイロン(ポリアミド)やフッ素樹脂等の樹脂性材料が好適である。
図2及び図8に示すように、上記のようにして工具ポット126が摺接するレール114には、メインストッカ80a、80bにそれぞれ対応するZ1側位置に一対の切欠き134a、134bが形成されている。
図8に示す正面視において、切欠き134a、134bは、それぞれメインストッカ80a、80bの回転軸82とX方向位置が一致している。つまり、メインストッカ80a、80bの回転中心C2と、切欠き134a、134bの幅方向(X方向)の中心位置C4とがY方向で一致している。従って、切欠き134a、134bと回転軸82とが共に同一の鉛直平面(図22のYZ平面)内にあるため、メインストッカ80a、80bの各保持アーム84は、Y方向に沿った最高位置に割り出された際、切欠き134a、134bに対応することになる。この状態で、サブストッカ100の保持アーム118を切欠き134a、134bに対応した位置に割り出すことにより、保持アーム118と保持アーム84とを切欠き134a、134bを挟んでY方向に対向配置させることができる。
このように、工具ストッカ11では、図8に示す正面視で、グリップ85及びフォーク116の開口同士を鉛直方向(Y方向)に互いに向かい合わせに設定することができる。
そこで、工具ストッカ11では、各切欠き134a、134bに対応するように、つまり、図8に示すように、切欠き134a、134bの中心位置C4とY方向で一致した動作中心C3を持つ工具受渡機構(工具交換装置)140を配設している。なお、図8では図面の簡略化のため、切欠き134a、134bの中心位置C4をやや下げた位置に図示しているが、当然、当該中心位置C4はY方向の高さ位置がレール114と同一位置である。これにより、グリップ85及びフォーク116の開口同士が互いに向かい合った状態で工具受渡機構140を駆動制御することにより、メインストッカ80a、80bとサブストッカ100との間で工具Tの受け渡しを容易に且つ安定して行うことができる。
図9は、工具受渡機構140の斜視図であり、図10Aは、図9に示す工具受渡機構140の側面図であり、図10Bは、図10Aに示す状態から工具受渡機構140のハンド146を下降させた状態を示す側面図である。図9、図10A及び図10Bは、一方のメインストッカ80b及び切欠き134bに対応する工具受渡機構140を示すものであるが、他方のメインストッカ80a及び切欠き134aに対応する機構は略左右対称に構成される点以外は基本的に同一であるため、詳細な説明は省略する。
図9及び図10に示すように、工具受渡機構140は、上方(Y1方向)に延び、工具ポット126の一対の溝部132に係合可能な一対の爪部142、142を有する略U字状の係合部材(第2移動部材)144と、爪部142、142間に配置された側面視で略扁平C字状のハンド(第1移動部材)146とを備え、これらがフレーム148で支持されている。
前記係合部材144は、Z方向に進退するシリンダ機構150のロッド152に連結された一対のガイドロッド154により、Z方向に進退可能である。
前記ハンド146は、水平平面(XZ平面)に平行な上板156と、該上板156のY2側に平行して設けられ、上板156よりもZ1方向に突出した下板158とを有した扁平C字状である。上板156と下板158との間の間隔は、保持アーム118で移動する工具ポット126がX方向から挿通され保持するのに適した距離に設定されている(図10A参照)。
上板156と下板158の対向する内面には、例えば、前記レール114と同様に工具ポット126が円滑に摺接可能な材料からなるものを選択し、さらに詳細には、例えば、ナイロン(ポリアミド)やフッ素樹脂等の樹脂材料や、銅合金やアルミ合金等からなる摺接部材156a、158aが配設されている。一方、上板156及び下板158を連結する鉛直方向(Y方向)に沿う背面には、スライダ160が固着されている。スライダ160は、フレーム148に固定されてY方向に延在するレール159に対し、上下動可能に係合されている。
このようなハンド146の側面(図9ではX1側)には、X1方向に延びたシャフト162が突設されると共に、図10Aに示す側面視で屈曲した形状のリンク164が配置されている。リンク164は、略中央の屈曲部に形成された貫通孔がフレーム148から突出したヒンジピン166に軸支されると共に、一端側に形成された長孔168にシャフト162が挿通される一方、他端側にはX1方向に延びたピン170が突設されている。ピン170は、シリンダ機構172によってZ方向に進退可能なロッド174先端のレバー部材175の貫通孔に支承されている。また、リンク164の屈曲部の背面(Z2側)には、ストッパ176が設けられ、該ストッパ176に対応するストッパボルト178がフレーム148から突出している。
従って、シリンダ機構172が駆動され、レバー部材175がZ2方向に進退されると、リンク164はヒンジピン166を支点として揺動し、シャフト162が長孔168内を移動しつつY方向に上下動し、すなわちスライダ160を介してハンド146がY方向に移動する。具体的には、図10Aに示すように、ロッド174がZ1方向に前進されると、リンク164は上方に揺動し、ハンド146がY1方向に上昇する。一方、図10Aに示す状態からロッド174がZ2方向に後退されると、図10Bに示すように、リンク164は下方(矢印θ方向)に揺動し、ハンド146がY2方向に下降する。リンク164の揺動によるシャフト162の上下位置(Y方向位置)は、上限位置及び下限位置に設置されたセンサ(近接センサ)179a、179bによって検出される。なお、ハンド146の上限位置は、ストッパ176とストッパボルト178との当接によっても規制され、ハンド146の下限位置は、ロッド174の縮退位置によっても規制される。
このような工具受渡機構140は、ハンド146がY1方向で上限位置にある際、当該ハンド146の下板158の上面側(摺接部材158a)がレール114と略面一となるように設定され、フレーム148がベースフレーム110の下面(Y2側)に吊り下げられるようにして固定される(図3、図6、図8及び図10A参照)。このため、通常時、工具Tの受け渡しがなされない状態では、図8に示すように、ハンド146がY1方向で上限位置に設定されていることにより、上板156と下板158との間をチェーン112によって移動される工具ポット126(工具T)がX方向に円滑に通過することができる。すなわち、下板158(摺接部材158a)が切欠き134a、134bを補完し、レール114の一部として機能する。
次に、基本的には以上のように構成される工作機械システム10において、工具ストッカ11を構成するメインストッカ80aとサブストッカ100との間での工具Tの受け渡し動作につき、主に図11〜図21を参照して説明する。なお、他方のメインストッカ80bとサブストッカ100との間での工具Tの受け渡し動作も略同様であるため、以下では説明を省略する。
図11〜図21は、コントローラ12の制御下に、メインストッカ80aとサブストッカ100との間で工具Tの受け渡しを行う動作の各状態を示す説明図である。ここで、図11Aは、工具ストッカ11の切欠き134a近傍を模式的に示す平面図であり、図11Bは、図11Aの正面図であり、図11Cは図11Aの側面図であり、図12〜図21でも同様である。
これら図11〜図21では、理解の容易のため、各構成要素を図1等に比べて模式的に図示しており、例えば、工具受渡機構140を構成するシリンダ機構172は、図10Aでは横置き(軸線方向が矢印Z方向)であるのに対し、図11Cでは縦置き(軸線方向が矢印Y方向)で図示し、その機能を明確にしている。また、図11A等では、サブストッカ100に保持された各工具ポット126に対して便宜上A〜Dの符号を付しており、以下の説明では、工具ポット126A〜126Dと称する場合がある。なお、図11C等において斜線を付した線で示された領域は、加工主軸36によりワークWを加工する領域(加工区)であり、プレート15b(図1参照)等によって工具ストッカ11の領域と仕切られており、当該工具ストッカ11側に切削屑や切削油が混入することを防止している。
先ず、図11〜図17を参照し、メインストッカ80aの不要な工具T(交換対象の工具T)をサブストッカ100へと移送(返却)する動作を説明する。以下では、予め、メインストッカ80aの全ての保持アーム84に工具Tが保持された状態であり、サブストッカ100の少なくとも1つの保持アーム118に保持された工具ポット126は工具Tが装着されていない空の状態であるものとして説明する。なお、メインストッカ80a及びサブストッカ100では、工具Tに記された図示しない識別アドレスにより、コントローラ12の制御下に所望の工具Tを容易に且つ迅速に割り出すことができる。
この場合、図11A〜図11Cに示すように、先ず、メインストッカ80aを回転させて、保持アーム84のない上記した約90度の部分(保持アーム84が設けられた約270度の範囲以外)を上向き(Y1側)に設定し、切欠き134aに対応させる。同時に、サブストッカ100のチェーン112を循環駆動し、工具Tが装着されていない空の工具ポット126Bを割り出し、切欠き134aに対応させる。これにより、所望の工具ポット126Bが、工具受渡機構140のハンド146内(上板156と下板158の間)に配置される。
なお、図11Cにおいて、参照符号180、182、184はセンサ(近接センサ)であり、工具Tの有無を検出するためのものである。センサ180は、サブストッカ100で所望の工具Tが切欠き134aに対応した位置に割り出されたことや、メインストッカ80a側から所望の工具Tを受け取ったことを検出する。センサ182は、メインストッカ80aで所望の工具Tが切欠き134aに対応する位置に割り出されたこと等を検出する。センサ184は、メインストッカ80aで所望の工具Tが加工主軸36との受け渡し位置(図5及び図6参照)に割り出されたことや、加工主軸36に工具Tが装着された際、当該工具Tが保持アーム84から離脱したこと等を検出する。
続いて、図12A〜図12Cに示すように、工具受渡機構140のシリンダ機構172を駆動してハンド146を下降させる。これにより、ハンド146の上板156と下板158の間に保持されている工具ポット126Bが、先ず溝部130及びフォーク116との間での係合作用下に、次に溝部132と爪部142との間での係合作用下に、矢印Y2方向へと円滑に案内されつつ下降される。
そうすると、図12B及び図12Cに示すように、空の工具ポット126Bが、切欠き134aを通過して保持アーム118から完全に抜け、工具受渡機構140のハンド146及び係合部材144に保持された状態となる。
次に、図13A〜図13Cに示すように、工具受渡機構140のシリンダ機構150を駆動して工具ポット126Bの溝部132に爪部142が係合した状態の係合部材144を矢印Z2方向に後退させ、これにより工具ポット126Bを後退させる。
なお、図13Cでは、理解の容易のため、シリンダ機構150によって工具ポット126Bがハンド146と共に後退されるように図示しているが、図10B等から諒解されるように、本実施形態の場合、ハンド146はZ方向に変位せず、U字の係合部材144がZ方向に変位して、工具ポット126Bが当該ハンド146内を摺接して後退するものである。この点、ハンド146の上板156及び下板158には、レール114と略同様な材料からなる摺接部材156a、158aが設けてあるため、工具ポット126Bを一層円滑に移動させることができる。勿論、シリンダ機構150によって、係合部材144と共にハンド146が移動するように構成することもできる。
次に、図14A〜図14Cに示すように、メインストッカ80aを回転させて交換対象の工具Tを保持した保持アーム84を割り出し、切欠き134a及び工具受渡機構140に対応させる。そうすると、図14A及び図14Cから諒解されるように、交換対象の工具Tと空の工具ポット126Bとの軸線が一致して配置される。同時に、図14Bから諒解されるように、メインストッカ80aの保持アーム84のグリップ85の開口方向と、サブストッカ100の保持アーム118のフォーク116の開口方向とが、鉛直方向(Y方向)に沿って、つまり鉛直平面内で向かい合う。
そこで、図15A〜図15Cに示すように、シリンダ機構150を駆動して係合部材144をZ1方向に前進させ、工具ポット126Bを前進させる。これにより、上記のように軸線が一致されている交換対象の工具Tと工具ポット126Bとが容易に且つ確実に装着される。
続いて、図16A〜図16Cに示すように、シリンダ機構172を駆動してハンド146を上昇させる。これにより、ハンド146に上下面が保持された工具ポット126B及びこれに装着された交換対象の工具Tは、溝部132が爪部142で案内され、さらに溝部130がフォーク116で案内されて矢印Y1方向へと円滑に上昇される。
この際、工具ストッカ11では、図16Cに示すように、サブストッカ100を構成する保持アーム118のフォーク116先端(Y2側下端)と、工具受渡機構140を構成する係合部材144の爪部142の先端(Y1側上端)との間の鉛直方向(Y方向)での間隔YCが、溝部130、132の鉛直方向(Y方向)長さよりも短く設定されている。これにより、工具ポット126は、ハンド146による上昇及び下降動作中、フォーク116及び爪部142の少なくとも一方と常に溝部130、132で係合された状態となる。従って、ハンド146は上下面のみを保持するだけで工具ポット126を安定して上下動させることができ、図11〜図12に示す空の工具ポット126の移送についても同様である。
換言すれば、工具受渡機構140は、このような構造を有するため、ハンド146に工具ポット126の左右側面を保持するための部材を設けておく必要がなく、工具Tの受け渡しを行わない状態では切欠き134a、134bに配置したハンド146をレール114の一部として容易に利用することができる。さらに、保持アーム118と保持アーム84とが図16Cに示す工具T(工具ポット126)の受け渡し位置に設定された状態では、保持アーム84のグリップ85先端(Y1側上端)も爪部142の先端と略同一高さになるように設定されているため、工具Tも工具ポット126の場合と同様に円滑に案内することができる。
そして、工具ポット126B及び工具Tの上昇が完了すると、図17A〜図17Cに示すように、工具ポット126Bは、工具Tが装着された状態でサブストッカ100の保持アーム118に保持される。工具ストッカ11では、このように空の工具ポット126Bを利用して、メインストッカ80aからサブストッカ100へと工具Tを容易に受け渡すことができる。
次に、図18〜図21を参照して、上記のように不要な工具Tが取り外されたメインストッカ80aの空の保持アーム84に、サブストッカ100から所望の工具Tを移送する動作を説明する。
この場合、図18A〜図18Cに示すように、先ず、サブストッカ100を駆動して所望の工具Tが装着された工具ポット126Cを割り出し、切欠き134aに対応させる。つまり、所望の工具Tを装着した工具ポット126Cを、工具受渡機構140のハンド146内に配置する。なお、図18A〜図18Cは、上記した図17A〜図17Cの動作に続く状態を説明しているため、メインストッカ80aでは既に空の保持アーム84が切欠き134aに対応する所定の受け渡し位置に設定されているが、勿論、必要に応じてメインストッカ80a側で割り出し動作を行ってもよい。
次に、図19A〜図19Cに示すように、シリンダ機構172を駆動してハンド146を下降させる。これにより、ハンド146に上下面が保持された工具ポット126C(及びこれに装着された所望の工具T)は、溝部130がフォーク116で案内され、さらに溝部132が爪部142で案内されて矢印Y2方向へと円滑に下降される。
そして、工具ポット126C及び工具Tの下降が完了すると、図20A〜図20Cに示すように、工具ポット126Cは保持アーム118から完全に離脱し、溝部132を介して係合部材144に保持される一方、工具ポット126Cに装着された所望の工具Tは、メインストッカ80aを構成する保持アーム84のグリップ85に保持される。
そこで、図21A〜図21Cに示すように、シリンダ機構150を駆動して係合部材144をZ2方向に後退させ、工具ポット126Cを後退させる。そうすると、保持アーム84で保持された工具Tが工具ポット126Cから離脱されつつ、工具ポット126Cのみが矢印Z2方向に後退し、これにより、所望の工具Tのメインストッカ80aへの受け渡しが完了する。
以降の動作については、上記したものと略同様であり、工具Tが離脱された空の工具ポット126Cをサブストッカ100へと返却すると共に、必要に応じて、メインストッカ80aの他の工具Tの交換等を行えばよい。
図22は、本実施形態に係る工作機械システム10を構成する各要素の軸中心や動作中心の配置関係を模式的に示す説明図である。
図22に示すように、工作機械システム10では、加工主軸36を旋回させる旋回アーム32の旋回中心C1と、メインストッカ80a、80bの回転中心C2と、工具受渡機構140の動作中心C3と、レール114に設けた切欠き134a、134bの中心位置C4とが、同一の鉛直平面YZ内に配置されている。
すなわち、前記旋回中心C1は、旋回アーム32の旋回中心と加工主軸36の回転中心(スピンドルモータ38の回転中心)であり、旋回アーム32は支持体22及びコラム18によって鉛直平面YZ内でY方向及びZ方向に動作する。前記回転中心C2は、メインストッカ80a、80bの回転中心であり、保持アーム84と加工主軸36との工具Tの受け渡し位置、及び保持アーム84と工具受渡機構140との工具Tの受け渡し位置が鉛直平面YZ内に設定されている。前記動作中心C3は、ハンド146及び係合部材144の幅中心であり、ハンド146及び係合部材144は鉛直平面YZ内でそれぞれY方向及びZ方向に動作する。前記中心位置C4は、切欠き134a、134bの幅中心であり、該切欠き134a、134bを介した保持アーム118と工具受渡機構140との受け渡し位置が鉛直平面YZ内に設定されている。
以上のように、工作機械システム10では、実質的に装置の幅方向(X方向)に動作する要素がなく、各要素の軸中心や動作中心及び動作方向が同一の鉛直平面YZ内に設定されているため、X方向での横揺れや振動、騒音の発生を有効に抑制することができる。そこで、例えば、加工主軸36によるワークWへの加工時に、サブストッカ100とメインストッカ80aとの間で工具Tの受け渡しを実施したとしても、加工主軸36に対して前記横揺れ等の影響がないことから、高精度な加工を行うことができる。なお、工作機械システム10では、旋回アーム32による加工主軸36の旋回によってX方向への動作を補完しており、これによりワークWの所望の部位へと適切な加工を施すことを可能としている。
さらに、本実施形態では、サブストッカ100をメインストッカ80a、80bを跨ぐように後方上部に設置している。このため、例えばサブストッカ100をメインストッカ80a、80bの側方等に設置する場合に比べ、工作機械システム10のX方向に狭幅な設置スペースを損なうことなく、極めて多数の工具を収納しておくことができる。そして、上記のように、工具Tの受け渡しに係る動作等が基本的に全て前記鉛直平面YZ内で行われるため、サブストッカ100を上部に持つやや縦長な構成からなる工作機械システム10であっても、工具の受け渡し時に横揺れを生じることを有効に防止できる。換言すれば、サブストッカ100を上方に配置した工作機械システム10では、その重心がやや高くなりがちであるが、各要素の動作を図22に示すように同一の鉛直平面YZ内に集約し、これにより横揺れ等を効果的に抑制し、システム全体としての安定性を十分に確保することができる。
また、工作機械システム10では、工具ストッカ11を構成するメインストッカ80a(80b)とサブストッカ100との間で工具Tを受け渡す際、保持アーム84のグリップ85と保持アーム118のフォーク116の開口同士が切欠き134a(134b)を挟んで前記鉛直平面YZ内で対向するように配置されると共に、該切欠き134a(134b)に対応して工具受渡機構140が配設されている。そして、サブストッカ100では工具Tが移動容器である工具ポット126に保持される一方、メインストッカ80a(80b)では工具ポット126を介在せず、工具Tが直接的に保持される。
従って、実質的に、工具受渡機構140で工具ポット126を鉛直方向に上下動させるだけで、工具Tをメインストッカ80a(80b)とサブストッカ100との間で受け渡すことができる(例えば、図18〜図20参照)。例えば、サブストッカ100の保持アーム118からの工具ポット126(工具T)の引き抜き動作が、そのままメインストッカ80a(80b)の保持アーム84への工具Tの装着(挿着)動作となり、実質的に1アクションの直線的な動作で工具Tの受け渡しを行うことができる。このため、上記従来構成のように、引き抜き、旋回及び挿入の3アクションからなる動作に比べて、単純な動作で迅速且つ確実に工具の受け渡しを行うことができる。
すなわち、工具ストッカ11では、サブストッカ100のレール114に切欠き134aを設けたことにより、サブストッカ100でレール114に沿って移動保持される工具Tを、該レール114上から旋回動作等によって移動させることなく、直接的にメインストッカ80a、80bとの間で受け渡すことができる。従って、工具Tの受け渡し時に旋回動作が介在しないことから、位置ずれや脱落等の受け渡し不良を生じることを防止することができ、工具Tの安定した受け渡しが可能となる。
さらに具体的には、工具Tの受け渡しを行う工具受渡機構140は、工具Tの受け渡し方向(Y方向)へと工具ポット126を移動させると共に、切欠き134a、134b内に配置されてレール114を補完する移動部材として機能するハンド146と、工具ポット126への工具Tの着脱方向(Z方向)に沿って工具ポット126を移動させる移動部材として機能する係合部材144とを有し、直線的な動作のみで工具Tの受け渡しを行うことができる。これにより、工具ストッカ11では、工具Tの受け渡しに際しての旋回動作を行う機構が不要なため、機構を可及的に簡素化することができ、その結果、信頼性や耐久性を向上させることができる。
この場合、例えば、メインストッカ80a、80bに加工中のワークWに使用する所定の工具Tを保持しておき、当該加工中のワークWに使用しない工具Tは、サブストッカ100に保持しておくことで、メインストッカ80a、80bを必要最小限の大きさに構成することができる。すなわち、メインストッカ80a、80bの工具保持数を必要十分且つ最小に設定することができるため、メインストッカ80a、80bでの工具選択速度を高めることができ、メインストッカ80a、80bと加工主軸36との間での自動工具交換に要する時間を短縮することができる。
また、メインストッカ80a、80bとサブストッカ100との間でも、工具受渡機構140を介して自動的に且つ迅速に工具交換を行うことができる。このため、例えば、現在ロット生産中の機種のワーク加工中であっても、次回ロット生産予定の機種のワークに使用予定の複数の工具を、メインストッカ80a、80bとサブストッカ100との間で、順次入れ替えることができる。
以上、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
例えば、サブストッカ100と工具Tを受け渡すメインストッカは1台であってもよく、当然、工作機械も1台であってもよい。また例えば、工具Tを受け渡すメインストッカは3台以上であってもよく、当然、工作機械が3台以上並んだもの、例えばトランスファマシンのようなものであってもよい。