JP5004988B2 - 端面接触形メカニカルシール - Google Patents

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Description

本発明は、食品,医薬品等の分野で使用され定期的又は不定期に洗浄又は滅菌を行う必要のある回転機器であって、機内領域Aを運転時においては機外領域Bより低圧に保持すると共に機内の洗浄時ないし滅菌時においては機外領域Bより高圧に保持するようにした竪型の回転機器(例えば、真空乳化装置等)の軸封手段として使用される端面接触形メカニカルシールに関する。

この種の回転機器にあっては、衛生管理上又は品質管理上、定期的又は不定期に機内をスチーム等の洗浄,滅菌流体を注入して、洗浄処理又は滅菌処理をすることが行われている。この場合、機内と機外とをシールする軸封手段についても洗浄,滅菌を行うことが必要である。
しかし軸封手段として両密封環の対向端面たる密封端面が接触状態にある端面接触形メカニカルシールを使用している場合には、密封端面間を洗浄流体,滅菌流体が通過することができず、密封端面の洗浄,滅菌を十分に行うことができない。
そこで、一般に、洗浄,滅菌時にメカニカルシールを分解するか、機外から密封端面に向けて洗浄,滅菌流体を直接噴射することにより、メカニカルシールの洗浄,滅菌をすることが行われている。
しかし、前者の場合には、洗浄,滅菌作業が極めて面倒であり、作業効率が頗る悪い。また、後者の場合には、密封端面同士が密に接触しているため、これに洗浄,滅菌流体を噴射させても、密封端面の洗浄を十分に行い得ないし、運転時に両密封端面の接触により発生した摩耗粉が洗浄,滅菌流体の噴射によって機内に侵入する虞れがある。
そこで、従来からも、一方の密封環をシリンダにより進退可能として、洗浄,滅菌時には当該密封環を他方の密封環から離間させて密封端面間を開くことにより、機内に注入された洗浄,滅菌流体が密封端面間を通過できるように工夫されたメカニカルシールが提案されている(例えば、特許文献1参照。)
特開2001−21045号公報
しかし、このようなメカニカルシールでは、シリンダ及びこれに付随する部材が必要となり、メカニカルシール構成がいたずらに複雑化,大型化することになり、メカニカルシール本来の機能も不安定となる。
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、メカニカルシール本来の機能を損なうことなく、一般的なメカニカルシールと変わりない構造により密封端面の洗浄,滅菌を良好に行いうる端面接触形メカニカルシールを提供することを目的とするものである。
本発明は、機内領域を運転時においては機外領域より低圧に保持すると共に機内の洗浄時ないし滅菌時においては機外領域より高圧に保持するようにした竪型の回転機器に軸封手段として使用されるメカニカルシールであって、当該回転機器の軸封部にシールケースを取り付け、このシールケースに静止密封環を固定し、軸封部から上下方向に延びてシールケース及び静止密封環を同心状に貫通する当該回転機器の回転軸に静止密封環の上位に配してスプリングリテーナを嵌合固定し、このスプリングリテーナの密封環保持部に回転密封環をOリングを介した二次シール状態で軸線方向移動可能に嵌合保持し、回転密封環をこれとスプリングリテーナとの間に介装したスプリング部材により静止密封環へと押圧附勢して、両密封環の対向端面たる密封端面の相対回転摺接作用により、当該相対回転摺接部分の内周側領域である機内領域とその外周側領域である大気領域たる機外領域とを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、前記Oリングを回転密封環の内周部に形成した環状の凹溝に係合保持させると共に、両密封環が摺接している環状面であるシール面の内径D4をスプリングリテーナの密封環保持部の外径であるOリングの滑動面の径D3より大きく設定することにより、機内領域が機外領域より低圧とされた場合において回転密封環にこれを静止密封環へと押圧する閉力が作用し且つ機内領域が機外領域より高圧とされた場合において回転密封環にこれをスプリング部材の附勢力に抗して静止密封環から離間させる開力が作用するように構成しておくことを提案するものである。
かかる端面接触形メカニカルシールの好ましい実施の形態にあっては、回転密封環が、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする複合材で構成された、前記凹溝を形成した本体部及びその下端に突設された密封端面形成部と、本体部にその上端面及び外周面に衝合させた状態で嵌合固定された金属材製の補強部とからなる円環状体に構成されている。

本発明の端面接触形メカニカルシールにあっては、スチーム等の洗浄流体,滅菌流体の機内への注入により機内領域が機外領域より高圧となる洗浄,滅菌時において密封端面間が開くため、機内領域に供給された洗浄流体,滅菌流体が密封端面をも効果的に洗浄,滅菌することができ、高度の洗浄,殺菌を必要とする回転機器の軸封手段として好適に使用できる。すなわち、本発明によれば、Oリングを回転密封環の内周部に形成した環状の凹溝に係合保持させるといった極めて簡単な改良を施すのみによって、密封端面が閉じているため密封端面の洗浄,滅菌を十分に行うことができないといった端面接触形メカニカルシールに宿命的,不可避的な問題を解決することができる。
図1は、本発明に係る端面接触形メカニカルシールの一例を示す縦断正面図である。 図2は、同メカニカルシールの縦断側面図である。 図3は、図1の要部を拡大して示す詳細図であって、機内領域が機外領域より低圧に保持された運転時の状態を示す。 図4は、図3相当の縦断正面図であって、機内領域が機外領域より高圧に保持された洗浄,滅菌時の状態を示す。 図5は、本発明に係る端面接触形メカニカルシールの変形例を示す要部の縦断正面図である。 図6は、本発明に係る端面接触形メカニカルシールの他の変形例を示す要部の縦断正面図である。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて具体的に説明する。図1はは本発明に係る端面接触形メカニカルシールの実施の形態を示す縦断正面図であり、図2は当該メカニカルシールの縦断側面図であり、図3及び図4は図1の要部を拡大して示す詳細図であって、図3は機内領域が機外領域より低圧に保持された運転時の状態を示すものであり、図4は機内領域が機外領域より高圧に保持された洗浄,滅菌時の状態を示すものである。
この実施の形態における端面接触形メカニカルシールは、運転時においては機内領域Aを真空として機外領域Bである大気領域より低圧に保持した状態で食品,医薬品等の攪拌(乳化処理等)を行い、運転停止時においてスチーム等の洗浄流体又は滅菌流体を機内に注入することによって機内領域Aを大気領域(機外領域)Bより高圧に保持した状態で機内の洗浄ないし滅菌を行う竪型の回転機器(真空乳化装置等)の軸封手段として使用されるものであり、本発明に従って、次のように構成されている。なお、以下の説明において、上下とは図1及び図2における上下を意味するものとする。
すなわち、端面接触形メカニカルシールは、図1及び図2に示す如く、当該回転機器のハウジング1の上端部である軸封部1aにシールケース2を取り付け、このシールケース2に静止密封環3を固定し、静止密封環3を同心状に貫通する当該回転機器の回転軸(攪拌軸等)4に回転密封環5をOリング6を介した二次シール状態で軸線方向移動可能に嵌合保持し、回転密封環5をこれと回転軸4との間に介装したスプリング部材7により静止密封環3へと押圧附勢して、運転時においては、両密封環3,5の対向端面たる密封端面3a,5aの相対回転摺接作用により、当該相対回転摺接部分の内周側領域である機内領域Aとその外周側領域である大気領域たる機外領域Bとを遮蔽シールするように構成されている。
シールケース2は、図1及び図2に示す如く、軸封部1aに衝合する本体部2aとその上端外周部に衝合するフランジ部2bとに分離構成された円筒体であり、ステンレス鋼等の金属材(例えば、SUS304等)で構成されている。
静止密封環3は、図1及び図2に示す如く、セラミックス等の硬質材(例えば、炭化珪素等)で構成された円環状体であり、シールケース2の内周部(正確にはフランジ部2bの内周部)にOリング(或いはシート状ガスケット)8,8を介して同心状に内嵌固定されている。静止密封環3の先端面たる上端面は、軸線に直交する円環状の平滑平面である密封端面(以下「静止側密封端面」という)3aに構成されている。なお、静止密封環3の下端側内周面は、下方に拡径する円錐面とされている。
回転軸4は軸封部1aから上下方向に延びてシールケース2及び静止密封環3を同心状に貫通しているが、この回転軸4には、図1及び図2に示す如く、静止密封環3の上位に配して、ステンレス鋼等の金属材(例えば、SUS316等)で構成されたスプリングリテーナ9が嵌合固定されている。すなわち、スプリングリテーナ9は、円筒状の密封環保持部9aとその上端部に一体形成された円環状のスプリング保持部9bとからなる断面L字状の円筒体であり、回転軸4との間にOリング10を介在させた状態で、図2に示す如く、適当数のセットスクリュー11により回転軸4に固定されている。
回転密封環5は、図1〜図4に示す如く、スプリングリテーナ9の密封環保持部9aに、当該密封環5の内周部に形成した環状の凹溝12に係合させたOリング6を介在させた二次シール状態で、軸線方向(上下方向)に移動可能に嵌合保持されている。
すなわち、回転密封環5は、本体部5bとその先端(下端)に突設された密封端面形成部5cと本体部5bにその基端面(上端面)及び外周面に衝合させた状態で嵌合固定された補強部5dとからなる円環状体に構成されている。補強部5dはステンレス鋼等の金属材(例えば、SUS316等)で構成されており、本体部5b及び密封端面形成部5cは、静止密封環3の構成材より軟質の材料である、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主成分とする複合材で構成されている。

而して、本体部5bの内周部には、図3に示す如く、Oリング6を圧縮状態で係合保持する環状の凹溝12が形成されている。この凹溝12の底面(溝底面)12aの直径D1は、溝底面12aとスプリングリテーナ9の密封環保持部9aの外周面との間に回転密封環5の軸線方向移動を許容し且つ回転密封環5とスプリングリテーナ9との間をシール(二次シール)する圧縮状態でOリング6が装填されるように設定されており、凹溝12の形状(溝深さ)は、機内領域Aの圧力が負圧(真空)又は正圧の何れとなった場合にもOリング6が当該凹溝12外に飛び出すことなく当該Oリング6の軸線方向移動が溝側面12b,12cによって係止規制されるように設定されている。なお、回転密封環5の内径D2は一定であり、スプリングリテーナ9の密封環保持部9aの外径(Oリング6の滑動面の径)D3より若干大きく設定されている。なお、密封環保持部9aの外径D3は一定である。また、回転密封環5は、図2に示す如く、保持部5dに固着したドライブピン13をスプリングリテーナ9のスプリング保持部9bに形成した貫通孔9cに挿通させることにより、軸線方向移動を所定範囲で許容した状態で回転軸4に対する相対回転が阻止されるようになっている。

密封端面形成部5cの先端面(下端面)は、図3に示す如く、軸線に直交する円環状の平滑平面である密封端面(以下「回転側密封端面」という)5aに構成されている。この回転側密封端面5aの内径D4は、凹溝12に係合保持されたOリング6の滑動面(Oリング6が接触する回転軸部分の外周面つまりスプリングリテーナ9の密封環保持部9aの外周面)の径D3及び当該凹溝12の溝底面12aの径D1より所定量大きく設定されている。なお、回転側密封端面5aの内径D4は静止側密封端面3aの内径より大きく設定されており、その外径D5は静止側密封端面3aの外径及び回転密封環5の補強部5dの外径D6より小さく設定されている。すなわち、この例では、両密封環3,5によるシール面(両密封環3,5が摺接している環状面)の内径及び外径が、回転側密封端面5aの内径D4及び外径D5となっている。

スプリング部材7は、図1に示す如く、回転密封環5の補強部5dとスプリングリテーナ9のスプリング保持部9bとの間に周方向に等間隔を隔てて装填した複数本のコイルスプリング7aで構成されており、回転密封環5を静止密封環3へと押圧附勢している。
ところで、上記した構成の端面接触形メカニカルシールにあっては、前記した如くOリング6を回転密封環5の内周部に形成した環状の凹溝12に係合保持させてあるから、機内領域Aの圧力(以下『機内圧力』という)Paと機外領域Bの圧力(以下『機外圧力』という)Pbとの差圧P(=|Pa−Pb|)によって回転密封環5には次のような推力(軸線方向の作用力)が作用することになる。なお、以下の説明において各圧力P,Pa,Pbは絶対圧力である。
すなわち、回転機器の運転時においては機内圧力Paが真空となる(機内圧力Paが機外圧力Pbより低圧となる)ことから、回転密封環5には、図3に示す如く、差圧Pによる推力F1,F2,F3,F4,F5が作用する。ここに、推力F1,F2,F3は回転密封環5を静止密封環3から離間させる方向に作用する離間力であって密封端面3a,5a間を開く開力であり、推力F4,F5は回転密封環5を静止密封環3へと接触させる方向に作用する押圧力であって密封端面3a,5a間を閉じる閉力である。すなわち、開力F1は密封環3,5の相対回転によって密封端面3a,3b間に生じるものであり、F1=(P/2)・(π/4)・((D5)−(D4))で与えられる。開力F2は密封端面形成部5bの外周側における本体部5a及び保持部5bの先端面に作用するものであり、F2=P・(π/4)・((D6)−(D5))で与えられる。推力F3は上位の溝側面12bに作用するものであり、F3=P・(π/4)・((D1)−(D2))で与えられる。閉力F4は回転密封環5の背面(保持部5bの背面)に作用する背圧によるものであり、F4=P・(π/4)・((D6)−(D2))=P・(π/4)・(((D6)−(D5))+((D5)−(D4))+((D4)−(D1))+((D1)−(D2)))で与えられる。閉力F5はOリング6を下位の溝側面12cへと押圧すべく作用するものであり、F5=P・(π/4)・((D1)−(D3))で与えられる。これらのことから、F4+F5−(F1+F2+F3)=P・(π/4)・((((D5)−(D4))/2)+((D4)−(D3)))>0となり、回転機器の運転時においては差圧Pにより回転密封環5にはこれを静止密封環3へと押圧する閉力Fc(=F4+F5−(F1+F2+F3))が作用することになる。したがって、スプリング部材7による押圧附勢力つまり閉力であるスプリング力Sをさほど大きく設定しておかずとも、密封端面3a,5aが常に相対回転摺接し、これにより良好な端面接触形メカニカルシール機能が発揮される。
一方、回転機器の運転停止時において機内にスチーム等の洗浄流体又は滅菌流体を注入する洗浄時又は滅菌時においては、機内圧力Paが機外圧力(大気圧)Pbより高圧となることから、回転密封環5には、図4に示す如く、差圧Pによる推力F6,F7,F8が作用する。ここに、推力F6は密封端面形成部5bの内周側における本体部5aの先端面に作用する開力であり、F6=P・(π/4)・((D4)−(D2))で与えられる。推力F7はOリング6を上位の溝側面12bへと押圧すべく作用する開力であり、F7=P・(π/4)・((D1)−(D3))で与えられる。一方、推力F8は下位の溝側面12cに作用する閉力であり、F8=P・(π/4)・((D1)−(D2))で与えられる。これらのことから、F6+F7−F8=P・(π/4)・((D4)−(D3))>0となり、洗浄作業時又は滅菌作業時には差圧Pにより回転密封環5にはこれを静止密封環3から離間する方向に作用する開力Fo(=F6+F7−F8)が作用することになる。したがって、スプリング部材7のスプリング力Sを当該開力Fo(=F6+F7−F8=P・(π/4)・((D4)−(D3)))より小さくなる(S<Fo)ように設定しておけば、密封端面3a,5a間が開くことになり、機内に注入されたスチーム等の洗浄流体,滅菌流体が密封端面3a,5a間を通過して機外領域Bに流出することになる。その結果、洗浄流体,滅菌流体により機内のみならず密封端面3a,5aが洗浄,滅菌されることになる。しかも、洗浄流体,滅菌流体が密封端面3a,5aを通過して機外領域Bに流出するため、密封端面3a,5aの接触により生じた摩耗粉が機外領域Bに放出され、機内領域Aを汚染することがない。なお、洗浄流体,滅菌流体が密封端面3a,5a間を通過するようになると、図4に示す如く、回転側密封端面5aにも差圧Pによる開力F9(=P・(π/4)・((D5)−(D4)))が作用することになり、密封端面3a,5a間が更に開いて密封端面3a,5aの洗浄,滅菌がより効果的に行われることになる。ところで、上記した如く運転時において差圧Pによる閉力Fcが作用することから、つまりスプリング力Sを可及的に小さく設定しても当該端面接触形メカニカルシールのシール機能を発揮させることが可能であることから、スプリング部材7のスプリング力SをS<Foとなるように設定しておくことは、格別の困難を伴うことなく、容易に行うことができ、運転時におけるメカニカルシール機能に悪影響を及ぼすことがない。ちなみに、スプリング力Sは、コイルスプリング7aの本数n、そのバネ定数k(N/m)及びその自由長からの圧縮量x(m)からS=k・x・n(N)で与えられる。
以上のように構成された端面接触形メカニカルシールによれば、機内領域Aが機外領域Bより低圧とされた場合(運転時)において回転密封環5にこれを静止密封環3へと押圧する閉力Fcが作用し且つ機内領域Aが機外領域Bより高圧とされた場合(洗浄,滅菌時)において回転密封環5にこれを静止密封環3から離間させる開力Foが作用するように構成したから、スプリング力Sを洗浄,滅菌時における両領域A,Bの差圧Pによって回転密封環5に作用する開力Foより小さくなるように設定しておくことにより、運転時における端面接触形メカニカルシールによるシール機能に何らの悪影響を及ぼすことなく、機内のみならず密封端面3a,5aの洗浄,滅菌を良好に行うことができる。
なお、本発明に係る端面接触形メカニカルシールの構成は上記の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。
例えば、上記の実施の形態においてはシール面(密封端面3a,5aの接触部分)の内径(上記の例では回転側密封端面5aの内径)D4を溝底面12aの径D1より大きくしたが、D4<D1又はD4=D1としてもよく、何れの場合にも、当該実施の形態と同様に、差圧Pにより、運転時における閉力Fc及び洗浄,滅菌時における開力Foが生じることになる。
すなわち、D4<D1とした場合、回転機器の運転時においては、図5(A)に示す如く、密封環3,5の相対回転によって密封端面3a,3b間に生じる開力F1(=(P/2)・(π/4)・((D5)−(D4)))、密封端面形成部5bの外周側における本体部5a及び保持部5bの先端面に作用する開力F2(=P・(π/4)・((D6)−(D5)))、上位の溝側面12bに作用する開力F3(=P・(π/4)・((D1)−(D2)))及び回転密封環5の背面(保持部5bの背面)に作用する閉力F4(=P・(π/4)・((D6)−(D2))=P・(π/4)・(((D6)−(D5))+((D5)−(D1))+((D1)−(D2)))と、Oリング6を下位の溝側面12cへと押圧すべく作用する閉力F5(=P・(π/4)・((D1)−(D3))=P・(π/4)・((D1)−(D4))+((D4)−(D3))))の合力として、回転密封環5には閉力Fc(=F4+F5−(F1+F2+F3)=P・(π/4)・((((D5)−(D4))/2)+((D4)−(D3)))>0)が作用することになり、スプリング力Sの大小に拘らず、密封端面3a,5aが接触されることになる。一方、洗浄時,滅菌時においては、図5(B)に示す如く、密封端面形成部5bの内周側における本体部5aの先端面に作用する開力F6(=P・(π/4)・((D4)−(D2)))、Oリング6を上位の溝側面12bへと押圧すべく作用する開力F7(=P・(π/4)・((D1)−(D3)))及び下位の溝側面12cに作用する閉力F8(=P・(π/4)・((D1)−(D2)))の合力として、回転密封環5には開力Fo(=F6+F7−F8=P・(π/4)・((D4)−(D3))>0)が作用することになる。したがって、スプリング力SをS<Foとなるように設定することにより、密封端面3a,5a間が開くことになる。
また、D4=D1とした場合も、D4<D1とした場合と同様である。すなわち、回転機器の運転時においては、図6(A)に示す如く、密封環3,5の相対回転によって密封端面3a,3b間に生じる開力F1(=(P/2)・(π/4)・((D5)−(D4)))、密封端面形成部5bの外周側における本体部5a及び保持部5bの先端面に作用する開力F2(=P・(π/4)・((D6)−(D5)))、上位の溝側面12bに作用する開力F3(=P・(π/4)・((D1)−(D2)))及び回転密封環5の背面(保持部5bの背面)に作用する閉力F4(=P・(π/4)・((D6)−(D2))=P・(π/4)・(((D6)−(D5))+((D5)−(D1))+((D1)−(D2)))と、Oリング6を下位の溝側面12cへと押圧すべく作用する閉力F5(=P・(π/4)・((D1)−(D3))=P・(π/4)・((D1)−(D4))+((D4)−(D3))))の合力として、回転密封環5には閉力Fc(=F4+F5−(F1+F2+F3)=P・(π/4)・((((D5)−(D4))/2)+((D4)−(D3)))>0)が作用することになり、スプリング力Sの大小に拘らず、密封端面3a,5aが接触されることになる。一方、洗浄時,滅菌時においては、図6(B)に示す如く、密封端面形成部5bの内周側における本体部5aの先端面に作用する開力F6(=P・(π/4)・((D4)−(D2)))、Oリング6を上位の溝側面12bへと押圧すべく作用する開力F7(=P・(π/4)・((D1)−(D3)))及び下位の溝側面12cに作用する閉力F8(=P・(π/4)・((D1)−(D2)))の合力として、回転密封環5には開力Fo(=F6+F7−F8=P・(π/4)・((D4)−(D3))>0)が作用することになる。したがって、スプリング力SをS<Foとなるように設定することにより、密封端面3a,5a間が開くことになる。
また、上記した実施の形態では、機外圧力Pbが大気圧であり機内圧力Paが運転時に負圧(真空)となる回転機器の軸封手段に本発明を適用したが、本発明は、運転時においてPa<Pbとなり洗浄,滅菌時にPa>Pbとなる回転機器であれば、機外圧力Pbが大気圧でない場合や機内圧力Paが運転時及び洗浄,滅菌時の何れにおいても正圧(大気圧を含む)となる場合においても、当該回転機器の軸封手段として本発明の端面接触形メカニカルシールを使用することができる。なお、回転軸4が駆動されない運転停止状態で洗浄,滅菌を行う場合には、図4、図5(B)及び図6(B)の何れの場合にも、上記開力Fo(=P・(π/4)・((D4)2−(D3)2))が生じるためには、つまりFo>0となるためには、Oリング6が滑動する面の直径(上記各実施の形態にあってはスプリングリテーナ9の密封環保持部9aの外径))D3をシール面の内径(両密封環3,5が摺接している環状面の内径であり、上記各実施の形態にあっては回転側密封端面5aの内径)D4より小さくしておく(D3<D4)ことが必要である

1 回転機器のハウジング
1a 軸封部
2 シールケース
3 静止密封環
3a 静止側密封端面
4 回転軸
5 回転密封環
5a 回転側密封端面
5b 本体部
5c 密封端面形成部
5d 補強部
6 Oリング
7 スプリング部材
9 スプリングリテーナ
9a 密封環保持部
12 凹溝
A 機内領域
B 機外領域

Claims (2)

  1. 機内領域(A)を運転時においては機外領域(B)より低圧に保持すると共に機内の洗浄時ないし滅菌時においては機外領域(B)より高圧に保持するようにした竪型の回転機器に軸封手段として使用されるメカニカルシールであって、
    当該回転機器の軸封部(1a)にシールケース(2)を取り付け、このシールケース(2)に静止密封環(3)を固定し、軸封部(1a)から上下方向に延びてシールケース(2)及び静止密封環(3)を同心状に貫通する当該回転機器の回転軸(4)静止密封環(3)の上位に配してスプリングリテーナ(9)を嵌合固定し、このスプリングリテーナ(9)の密封環保持部(9a)に回転密封環(5)をOリング(6)を介した二次シール状態で軸線方向移動可能に嵌合保持し、回転密封環(5)をこれとスプリングリテーナ(9)との間に介装したスプリング部材(7)により静止密封環(3)へと押圧附勢して、両密封環(3,5)の対向端面たる密封端面(3a,5a)の相対回転摺接作用により、当該相対回転摺接部分の内周側領域である機内領域(A)とその外周側領域である大気領域たる機外領域(B)とを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールにおいて、
    前記Oリング(6)を回転密封環(5)の内周部に形成した環状の凹溝(12)に係合保持させると共に、両密封環(3,5)が摺接している環状面であるシール面の内径D4をスプリングリテーナ(7)の密封環保持部(9a)の外径であるOリング(6)の滑動面の径D3より大きく設定することにより、機内領域(A)が機外領域(B)より低圧とされた場合において回転密封環(5)にこれを静止密封環(3)へと押圧する閉力が作用し且つ機内領域(A)が機外領域(B)より高圧とされた場合において回転密封環(5)にこれをスプリング部材(5)の附勢力に抗して静止密封環(3)から離間させる開力が作用するように構成したことを特徴とする端面接触形メカニカルシール。
  2. 回転密封環(5)が、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする複合材で構成された、前記凹溝(12)を形成した本体部(5b)及びその下端に突設された密封端面形成部(5c)と、本体部(5b)にその上端面及び外周面に衝合させた状態で嵌合固定された金属材製の補強部(5d)とからなる円環状体に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載する端面接触形メカニカルシール。
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