以下、図面を参照して本発明の第一実施形態の可変圧縮比内燃機関について詳細に説明する。図1に火花点火式内燃機関の側面断面図を示す。
図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火プラグ、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11にはそれぞれ対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いた吸入空気量検出器18とが配置される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19を介して例えば三元触媒を内蔵した触媒コンバータ20に連結され、排気マニホルド19内には空燃比センサ21が配置される。
一方、図1に示した実施形態ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられており、更に実際の圧縮作用の開始時期を変更するために吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構Bが設けられている。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35及び出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器18の出力信号及び空燃比センサ21の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。さらに、シリンダブロック2にはシリンダブロック2とクランクケース1との相対位置(リフト量)を検出するためのリフト量センサ43が設けられており、リフト量センサ43の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火プラグ6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、可変圧縮比機構A及び可変バルブタイミング機構Bに接続される。
次に、本実施形態の可変圧縮比機構Aの構成について図2及び図3を参照して説明する。図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。
図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個のブロック側突出部50が形成されており、各ブロック側突出部50内にはそれぞれ断面円形のブロック側カム挿入孔51が形成されている。これらブロック側カム挿入孔51はシリンダの配列方向に平行になるように同一軸線上に形成される。
一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔ててそれぞれ対応するブロック側突出部50の間に嵌合せしめられる複数個のケース側突出部52が形成されており、これら各ケース側突出部52内にもそれぞれ断面円形のケース側カム挿入孔53が形成されている。これらケース側カム挿入孔53も、ブロック側カム挿入孔51と同様にシリンダの配列方向に平行になるように同一軸線上に形成される。
図2に示したように一対のカムシャフト54、55が設けられており、各カムシャフト54、55上には一つおきに各ケース側カム挿入孔53内に回転可能に挿入されるケース側円形カム56が固定されている。これらケース側円形カム56は各カムシャフト54、55の回転軸線と共軸をなす。一方、各ケース側円形カム56間には図3に示したように各カムシャフト54、55の回転軸線に対して偏心配置された偏心軸57が延びており、この偏心軸57上にブロック側円形カム58が偏心して回転可能に取付けられている。図2に示したようにこれらブロック側円形カム58は各ケース側円形カム56間に配置されており、これらブロック側円形カム58は対応する各ブロック側カム挿入孔51内に回転可能に挿入されている。
図2に示したように各カムシャフト54、55をそれぞれ反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸60にはそれぞれ螺旋方向が逆向きの一対のウォームギア61、62が取付けられており、これらウォームギア61、62と噛合する歯車63、64がそれぞれ各カムシャフト54、55の端部に固定されている。本実施形態では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室の容積を広い範囲に亘って変更することができる。
次に、上述した構成の可変圧縮比機構Aにより圧縮比を変更する方法について図3及び図4を参照して詳述する。図4は、ケース側円形カム56、偏心軸57及びブロック側円形カム58の中心の運動をモデル化した図である。図3及び図4において、aはケース側円形カム56の中心、bは偏心軸57の中心、cはブロック側円形カム58の中心をそれぞれ示している。なお、本実施形態では、図3に示したようにブロック側円形カム58の直径はケース側円形カム56の直径よりも大きく、よって図4に示したようにブロック側円形カム58の中心cと偏心軸57の中心bとの間の距離mがケース側円形カム56の中心aと偏心軸57の中心bとの間の距離nよりも長い。
図3(A)及び図4(A)に示したような状態から駆動モータ59を駆動して、ケース側円形カム56を図3(A)において矢印で示したように互いに反対方向に回転させるべく各カムシャフト54、55を回転させると、偏心軸57がケース側円形カム56の中心a回りで下方へ向かって移動する。この偏心軸57の移動に伴ってブロック側円形カム58は図3(A)において矢印で示した方向とは反対方向に回転せしめられる。図3(A)及び図4(A)に示したような状態からケース側円形カム56が90°回転すると図3(B)及び図4(B)に示したような状態となる。
さらに駆動モータ59を駆動して、ケース側円形カム56を図3(B)において矢印で示したように互いに反対方向に回転させるべく各カムシャフト54、55を回転させると、偏心軸57がケース側円形カム56の中心a回りで更に下方へ向かって移動する。この偏心軸57の移動に伴ってブロック側円形カム58も図3(B)において矢印で示した方向に回転せしめられる。図3(B)及び図4(B)に示したような状態からケース側円形カム56が90°回転すると図3(C)及び図4(C)に示したような状態となる。
ここで、ブロック側円形カム58及びケース側円形カム56はそれぞれブロック側カム挿入口51及びケース側カム挿入口53内に収容されており、シリンダの軸線と垂直な方向へは移動することができない。従って、ブロック側円形カム58又はケース側円形カム56はシリンダの軸線と平行な方向にのみ相対移動が可能であり、従ってこれらカム56、58は常にシリンダの軸線と平行な同一直線l上に位置する。従って、図3(A)に示したような状態から各カムシャフト54、55上に固定されたケース側円形カム56を図3(A)において実線の矢印で示したように互いに反対方向に回転させると、ブロック側円形カム58の中心cは下方に、ケース側円形カム56の中心aに近づくように移動せしめられる。
図3(A)〜図3(C)を比較するとわかるようにクランクケース1に対するシリンダブロック2の相対位置(リフト量)はケース側円形カム56の中心aとブロック側円形カム58の中心cとの距離によって定まり、ケース側円形カム56の中心aとブロック側円形カム58の中心cとの距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大する。従って、各カムシャフト54、55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積(以下、「燃焼室容積」という)を変更することができる。
このようにカムシャフト54、55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変化させたとしても、圧縮行程時のピストン4の行程容積(ピストン4が吸気下死点から圧縮上死点まで移動するときに変化する燃焼室5の容積)は変化しない。したがって、(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される圧縮比は、燃焼室容積の変化に応じて変化する。すなわち、本実施形態の可変圧縮比機構Aによれば、駆動モータ59によってカムシャフト54、55を回転させることによって、内燃機関の圧縮比を変更することができる。
なお、図1〜図4に示した可変圧縮比機構Aは一例を示すものであって、駆動モータ等のアクチュエータを駆動させることによって圧縮比を変更することができればいかなる形式の可変圧縮比機構でも用いることができる。
ところで、このように構成された可変圧縮比機構Aを有する内燃機関では、カムシャフト54、55又は駆動モータ59の回転角度と圧縮比は比例していない。以下では、この理由について簡単に説明する。なお、本明細書では、カムシャフト54、55の回転角度と圧縮比との関係を例にとって説明するが、駆動モータ59の回転角度と圧縮比との関係にも同じことが言える。
図4に示したモデルを参照して説明すると、図3(A)及び図4(A)に示した状態からのカムシャフト54、55の回転角度をθとすると、クランクケース1に対するシリンダブロック3のリフト量Lは下記式(1)のように表される。なお、図3(C)及び図4(C)に示した状態(すなわち、θ=180°の状態)におけるクランクケース1に対するシリンダブロック3のリフト量をゼロとする。
図5はm:nを2:1とした場合における回転角度θに対するリフト量Lを示す図である。図5からわかるように、カムシャフト54、55の回転角度θに対してリフト量Lは比例しない。
また、図6(A)に示したようなモデルにおいて、圧縮比εは、リフト量Lに応じて定まる燃焼室5の高さhとピストン4のストロークsとを用いて下記式(2)のように表される。
ε=((π・(D/2)2・(h+s)/(π・(D/2)2・h)
=(h+s)/h …(2)
図6(B)に示すように、高圧縮比になって燃焼室5の高さhが小さくなるほど高さhの変化に対する圧縮比εの変化率が大きくなる。すなわち、圧縮比εは燃焼室5の高さに比例して変化しない。
このような二つの原理の相乗効果により、カムシャフト54、55の回転角度と圧縮比は比例しない。具体的には、カムシャフト54、55の回転角度θと圧縮比εとの関係は例えば図7(A)に示したようになり、カムシャフト54、55の単位回転角度当たりの圧縮比εの変化量(以下、「圧縮比変化率」という)は図7(B)に示したようになる。すなわち、カムシャフト54、55の回転角度θが小さいとき、すなわち圧縮比が低いとき及びカムシャフト54、55の回転角度θが大きいとき、すなわち圧縮比が高いときには、圧縮比変化率が小さい。逆に、カムシャフト54、55の回転角度θが90°付近であるとき、すなわち圧縮比が中程度であるときには、圧縮比変化率が大きい。なお、図7は、m:nを2:1とした場合における回転角度と圧縮比及び圧縮比変化率との関係を示しているが、m:nを他の比率にした場合にも基本的に同様な傾向となる。
ところで、本第一実施形態の可変圧縮比機構Aでは、圧縮比が目標圧縮比となるようにリフト量センサ43の出力に基づいて駆動モータ59をフィードバック制御している。フィードバック制御としては、如何なる制御方法が用いられてもよい。以下では、フィードバック制御としてPID制御を用いた場合を例にとって説明する。
図8は、駆動モータ59の回転角度制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは、所定時間間隔の割り込みによって行われる。
まず、ステップS11では、機関負荷等に基づいて算出された目標圧縮比に対応する目標リフト量Lt(n)を算出する。次いで、ステップS12では、リフト量センサ43により現在のリフト量L(n)が取得せしめられる。なお、nは回転角度θの算出回数を表す値であり、例えばn−1は前回の制御ルーチンにおいて算出された回転角度θを意味する。
ステップS13では、ステップS11で算出された目標リフト量Lt(n)と、ステップS12で取得された現在のリフト量L(n)との差分ΔL(n)が算出される(ΔL(n)=Lt(n)−L(n))。次いで、ステップS14では、ステップS13で算出された差分ΔL(n)に基づいて下記式(3)により比例項Vpが算出される。次いで、ステップS15では、ステップS13で算出された差分ΔL(n)に基づいて下記式(4)により積分項Viが算出される。さらに、ステップS16では、ステップS13で算出された差分ΔL(n)に基づいて下記式(5)により微分項Vdが算出される。なお、式(3)〜(5)におけるKp、Ki、Kdはそれぞれ比例係数、積分係数、微分係数を示しており、本実施形態では一定の値とされる。
ステップS17では、ステップS14で算出された比例項Vp、ステップS15で算出された積分項Vi、ステップS16で算出された微分項Vdが加算されて駆動モータ59の駆動電圧Vmが算出される。次いで、ステップS18において駆動モータ59にはステップS17で算出された駆動電圧Vmが印可され、駆動モータ59によりカムシャフト54、55が回転せしめられる。
ところで、リフト量センサ43はシリンダブロック2とクランクケース1との相対位置を検出しており、従ってリフト量センサ43の取付時等には必ずしもリフト量センサ43のゼロ点が合っているとは限らない。すなわち、リフト量センサ43のゼロ点の合わせ方によっては、シリンダブロック2とクランクケース1とがリフト量ゼロとして検出すべき相対位置にあるときにリフト量センサ43によって検出されるリフト量がゼロとなっていない場合がある。また、リフト量センサ43の経時変化等によってもリフト量センサ43の出力にずれが生じてしまう。
このように、リフト量センサ43の出力にずれが生じて、リフト量センサ43によって検出されるリフト量に誤差が生じていると、リフト量を目標リフト量にすることができず、このため圧縮比を目標圧縮比にすることができない。このため内燃機関の燃焼の悪化や失火、燃費の悪化等を招いてしまうことになる。
そこで、本発明の実施形態では、リフト量センサ43の出力を補償すべく、リフト量センサ43の出力値を補正することとしている。
図9は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図9から分かるように、シリンダブロック2及びクランクケース1にはロック機構69が設けられる。具体的には、クランクケース1の上部の側面にはピン挿入孔70が設けられており、一方シリンダブロック2の側面にも同様にピン受容孔71が設けられている。ピン挿入孔70内にはロックピン72が挿入されており、ロックピン72は例えば油圧によりピン挿入孔70からシリンダブロック2の側面に向かって突出させることができる。油圧によりロックピン72をピン挿入孔70から突出させようとしたときに、クランクケース1とシリンダブロック2とが所定の相対位置関係になっていると、すなわちリフト量が所定のリフト量(以下、「ロック時リフト量」という)になっていると、ロックピン72はシリンダブロック2のピン受容孔71内に挿入せしめられる。これにより、クランクケース1とシリンダブロック2とは所定の相対位置関係に固定されることになる。このようにロックピン72によりクランクケース1とシリンダブロック2とがロックされたときには、実際のリフト量はロック時リフト量となっている。
本実施形態では、リフト量センサ43の出力値を補正するにあたり、まずロック機構69によりクランクケース1とシリンダ部録2とがロックされる。その後、両者がロックされた状態でリフト量センサ43によってリフト量が検出せしめられる。上述したように、クランクケース1とシリンダブロック2とがロックされたときには実際のリフト量はロック時リフト量Llckとなっている。リフト量センサ43の出力にずれが生じていなければ、リフト量センサ43によって検出せしめられるリフト量Lもこのロック時リフト量Llckと同じ値になるが、リフト量センサ43の出力にずれが生じていると、リフト量センサ43によって検出されたリフト量Lはこのロック時リフト量Llckと同じ値にはならない。
そこで、本実施形態では、ロック機構69によりロックされているときにリフト量センサ43によって検出されたリフト量Lsenが上記ロック時リフト量Llckとなっていない場合には、検出されたリフト量Lsenとロック時リフト量Llckとの誤差に基づいてリフト量センサ43の出力値を補正することとしている。具体的には、検出されたリフト量Lsenとロック時リフト量Llckとの差分(Llck−Lsen)を補正値ALとして算出し、次回からのリフト量の検出時にはリフト量センサ43によって検出されたリフト量Lsenに補正値ALを加算したものを現在のリフト量Lとして図8のステップS12で取得することとしている。
このようにして、リフト量センサ43によって検出されたリフト量Lsenをリフト量センサ43に生じたずれに対応する補正値ALを用いて補正することにより、現在のリフト量Lを正確に算出することができるようになり、圧縮比を正確に目標圧縮比に到達させることができるようになる。
なお、本実施形態では、ロック機構69は、ロック機構69によりロックされたときのリフト量、すなわち上記ロック時リフト量Llck(基準リフト量)が最小圧縮比に対応するリフト量(最大リフト量Lmax)と最大圧縮比に対応するリフト量(最小リフト量Lmin。本実施形態では0)との中間の所定のリフト量となるように形成される。特に、本実施形態では、ロック機構69は、ロック時リフト量Llckが最大リフト量Lmaxと最小リフト量Lminとの中央のリフト量Lmid(=(Lmax+Lmin)/2)となるように、或いは最小圧縮比と最大圧縮比との中央の圧縮比に対応するリフト量となるように形成される。
以下、ロック時リフト量をこのように設定している理由について説明する。ロック機構69によりロックを行うときには、リフト量センサ43の出力を利用して、リフト量センサ43によって検出されるリフト量が最大リフト量Lmaxになるような状態から最小リフト量Lminになるような状態となるまでリフト量を変化させる。すなわち、リフト量を最大リフト量Lmax付近から最小リフト量Lmin付近まで変化させる。そして、そのリフト量の変化の過程で実際のリフト量がロック時リフト量Llckとなったときにロックピン72がピン受容孔71内に挿入されることになる。
ここで、リフト量センサ43の出力に大きなずれが生じていると、リフト量を最大リフト量Lmax付近から最小リフト量Lmin付近にまで変化させようとしても、例えば最大リフト量Lmaxよりも小さいリフト量から最小リフト量Lmin付近にまでしかリフト量を変化させることができない。この場合、例えばロック時リフト量Llckを最大リフト量Lmax付近に設定すると、リフト量を変化させても実際のリフト量がロック時リフト量Llckとなることはなく、よってロック機構69によるロックを行うことができなくなってしまう。このような事態を防止するために、本実施形態では、ロック時リフト量Llckが最大リフト量Lmaxと最小リフト量Lminとの中間のリフト量に設定されている。
なお、上記実施形態では、リフト量センサ43以外のリフト量を検出又は特定するための手段としてロック機構を用いているが、それ以外の機械的又は電気的な機構を用いてもよい。また、上記補正値が予め定められた限界値を超えた場合には、リフト量センサ43に異常が生じているとしてドライバーに知らせるようにしても良い。
図10は、リフト量センサ43の補正値を検出するための補正値検出制御における制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定時間間隔の割り込みによって行われる。
まず、ステップS21では、イグニッションキーのオン・オフ、機関回転数、機関負荷、機関冷却水温等の機関運転状態が検出せしめられる。次いで、ステップS22では、補正値算出条件が成立しているか否かが判定される。補正値算出条件が成立していると判定される場合としては、例えば内燃機関が十分に暖機された後に内燃機関が停止せしめられた場合、すなわち機関冷却水温が一定以上であって機関回転数がゼロになっている場合が挙げられる。内燃機関が十分に暖機された後としているのは、十分な暖機がされていない状態では、シリンダブロックのひずみ等によって検出された値に誤差が生じてしまう可能性があるためである。
或いは、補正値算出条件が成立していると判定される場合としては、例えば、内燃機関がアイドル運転をしている場合、すなわち機関回転数が低く且つ機関負荷がほぼゼロである場合が挙げられる。アイドル運転中としているのは、アイドル運転中であればリフト量を変更しても内燃機関の運転に対する影響が小さいためである。
ステップS22において、補正値算出条件が成立していないと判定された場合には制御ルーチンが終了せしめられる。従って、この場合には補正値ALの算出は行われない。
一方、ステップS22において、補正値算出条件が成立していると判定された場合には、ステップS23へと進む。ステップS23では、油圧によりロックピン72をシリンダブロック2のピン受容孔71内に挿入させることで、クランクケース1とシリンダブロック2とをロックさせるロック処理が行われる。次いで、ステップS24では、ロック処理が行われている状態で、リフト量センサ43によってリフト量Lsenが検出せしめられる。
次いで、ステップS25において、ロック処理が行われたときの実際のリフト量であるロック時リフト量LlckからステップS24において検出されたリフト量Lsenを減算することによって、補正値ALの算出が行われる。このようにして算出された補正値ALは、図8のステップS12において現在のリフト量L(n)を算出する際に利用される(L(n)=Lsen+AL)。
次に、本発明の第二実施形態の可変圧縮比機構について説明する。上記第一実施形態では、リフト量が目標リフト量となるようにリフト量センサ43の出力に基づいてフィードバック制御が行われている。しかしながら本実施形態では、カムシャフト54、55の回転角度を検出する回転角度センサ(図示せず)が設けられていると共に、カムシャフト54、55の回転角度が目標回転角度となるように回転角度センサの出力に基づいてフィードバック制御が行われる。以下では、フィードバック制御としてPID制御を用いた場合を例にとって説明する。
図11は、駆動モータ59の回転角度制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは、所定時間間隔の割り込みによって行われる。
まず、ステップS31では、機関負荷等に基づいて算出された目標圧縮比に基づいて図7(A)に示したようなマップを用いて目標回転角度θtを算出する。次いで、ステップS32では、回転角度センサの出力によりカムシャフト54、55の現在の回転角度θ(n)を検出する。なお、nは回転角度θの算出回数を表す値であり、例えばn−1は前回の制御ルーチンにおいて算出された回転角度θを意味する。
ステップS33では、ステップS31で算出された目標回転角度θtと、ステップS32で検出された現在の回転角度θ(n)との差分Δθ(n)が算出される(Δθ(n)=θt−θ(n))。次いで、ステップS34では、ステップS33で算出された差分Δθ(n)に基づいて下記式(6)により比例項Vpが算出される。次いで、ステップS35では、ステップS33で算出された差分Δθ(n)に基づいて下記式(7)により積分項Viが算出される。さらに、ステップS36では、ステップS33で算出された差分Δθ(n)に基づいて下記式(8)により微分項Vdが算出される。なお、式(6)〜(8)におけるKp、Ki、Kdはそれぞれ比例係数、積分係数、微分係数を示しており、本実施形態では一定の値とされる。
ステップS37では、ステップS34で算出された比例項Vp、ステップS35で算出された積分項Vi、ステップS36で算出された微分項Vdが加算されて駆動モータ59の駆動電圧Vmが算出される。次いで、ステップS38において駆動モータ59にはステップS37で算出された駆動電圧Vmが印可され、駆動モータ59によりカムシャフト54、55が回転せしめられる。
ところで、回転角度センサはカムシャフト54、55の回転角度を検出しており、従って回転角度センサの取付時等には必ずしも回転角度センサのゼロ点が合っているとは限らない。すなわち、回転角度センサのゼロ点の合わせ方によっては、カムシャフト54、55の回転角度を0°として検出すべき位置にあるときに回転角度センサによって検出される回転角度が0°となっていない場合がある。また、回転角度センサの経時変化等によっても回転角度センサの出力にずれが生じてしまう。
このように、回転角度センサの出力にずれが生じて、回転角度センサによって検出される回転角度に誤差が生じていると、回転角度を目標回転角度にすることができず、よって圧縮比を目標圧縮比にすることができない。このため、内燃機関の燃焼の悪化や失火、燃費の悪化等を招いてしまうことになる。
そこで、本発明の第二実施形態では、回転角度センサの出力を補償すべく、回転角度センサの出力を補正することとしている。
本実施形態においても、シリンダブロック2及びクランクケース1には第一実施形態と同様にロック機構69が設けられる。ロック機構69によりクランクケース1とシリンダブロック2とがロックされたときには、実際のリフト量はロック時リフト量となっており、このときカムシャフト54、55の実際の回転角度はこのロック時リフト量に対応した回転角度(以下、「ロック時回転角度」という)となっている。
本実施形態では、このロック時回転角度(基準角度)を利用して回転角度センサの出力を補正する。回転角度センサの出力を補正するにあたり、まずロック機構69によりクランクケース1とシリンダブロック2とがロックせしめられる。その後、両者がロックされた状態で回転角度センサによって回転角度が検出せしめられる。上述したように、クランクケース1とシリンダブロック2とがロックされたときにはリフト量はロック時リフト量Llckとなっていると共にカムシャフト54、55の実際の回転角度はロック時回転角度θlckとなっている。回転角度センサの出力にずれが生じていなければ、回転角度センサによって検出せしめられる回転角度θsenもこのロック時回転角度Llckと同じ値となるが、回転角度センサの出力にずれが生じていると、回転角度センサによって検出された回転角度θsenはこのロック時回転角度Llckと同じ値にはならない。
そこで、本実施形態では、ロック機構69によりロックされているときに回転角度センサによって検出された回転角度θsenが上記ロック時回転角度θlckとなっていない場合には、検出された回転角度θsenとロック時回転角度θlckとの誤差に基づいて回転角度センサの出力を補正することとしている。具体的には、検出された回転角度θsenとロック時回転角度θlckとの差分(θlck−θsen)をセンサ誤差補正値Aθとして算出し、次回からの回転角度の検出時には回転角度センサによって検出された回転角度θsenにセンサ誤差補正値Aθを加算したものを現在の回転角度θとして図11のステップ32で取得することとしている。
このようにして、回転角度センサによって検出された回転角度θsenを回転角度センサに生じたずれに対応するセンサ誤差補正値Aθを用いて補正することにより、カムシャフト54、55の現在の回転角度θを正確に算出することができるようになり、圧縮比を正確に目標圧縮比に到達することができるようになる。
なお、本実施形態では、ロック機構69は、ロック時回転角度θlckが最小圧縮比に対応する回転角度(0°)と最大圧縮比に対応する回転角度(180°)との中間の所定の回転角度となるように形成される。特に、本実施形態では、ロック機構69は、ロック時回転角度θlckが最小圧縮比に対応する回転角度と最大圧縮比に対応する回転角度との中央の回転角度(90°)となるように、或いは最小圧縮比と最大圧縮比との中央の圧縮比に対応する回転角度となるように形成される。
以下、ロック時回転角度をこのように設定している理由について説明する。このような理由の一つとしては、上述した第一実施形態の場合と同様に、ロック時回転角度を最小圧縮比に対応する回転角度又は最大圧縮比に対応する回転角度付近に設定すると、ロック機構69によりロックさせることができなくなってしまう場合があることが挙げられる。
また、他の理由としては、図5から分かるように、最小圧縮比付近又は最大圧縮比付近、すなわち最大リフト量Lmax付近又は最小リフト量Lmin付近では、リフト量の変化量に対する回転角度の変化量が大きいことが挙げられる。このため、例えば、最大リフト量Lmax付近でロック機構69によりロックを行った場合、ロック時リフト量Llckにわずかな誤差が生じると、ロック時回転角度θlckに大きな誤差が生じてしまう。一方、最小圧縮比と最大圧縮比との中間領域、すなわち最大リフト量と最小リフト量との中間領域では、リフト量の変化量に対する回転角度の変化量が小さい。このため、斯かる領域でロック機構69によりロックを行った場合、ロック時リフト量Llckにわずかな誤差が生じても、ロック時回転角度θlckには大きな誤差は生じない。
なお、上記実施形態では、ロック機構69を用いてリフト量を所定のリフト量(ロック時リフト量)とし、そのときのカムシャフト54、55の回転角度を検出することとしているが、ロック機構69を用いずにリフト量センサ43を用いてリフト量を所定のリフト量とするようにしてもよい。この場合、リフト量センサ43の出力値は上記第一実施形態における方法と同様な方法で補正することができる。
ところで、実際のリフト量とカムシャフト54、55の回転角度との関係は一定ではない。例えば、クランクケース1、シリンダブロック2及びカムシャフト54、55の製造時に発生する公差や、ケース側円形カム56、偏心軸57又はブロック側円形カム58の摩耗や、ブロック側カム挿入孔51又はケース側カム挿入孔53の摩耗といった経時変化によって、実際のリフト量とカムシャフト54、55の回転角度との関係は変化する。
このように実際のリフト量とカムシャフト54、55の回転角度との関係にずれが生じた場合のリフト量と回転角度との関係の例を図12に示す。図12に示した例では、リフト量と回転角度との関係が公差や経時変化等によって全ての回転角度においてリフト量が増大する方向にずれてしまった場合における例を示している。図12中の実線はずれが生じていない場合におけるリフト量と回転角度との関係を、図12中の破線はリフト量が増大する方向にずれが生じて場合における実際のリフト量と回転角度との関係をそれぞれ示している。
図12に破線で示したようにリフト量が増大する方向にずれが生じている場合、ロック機構69によりロックされているときの実際の回転角度がロック時回転角度θlckとは異なる角度となってしまう。すなわち、図12に示したように、ロック機構69によりロックが行われているときのリフト量(ロック時リフト量)をLlckとすると、リフト量と回転角度との関係にずれが生じていない場合にはカムシャフト54、55の実際の回転角度はロック時回転角度θlckとなる。ところが、リフト量と回転角度との関係に図12に破線で示したようなずれが生じている場合、ロック機構69によりロックが行われているときにおけるカムシャフト54、55の実際の回転角度はθ1となってしまい、ロック時回転角度θlckとは異なる値となってしまう。このとき、回転角度センサの出力にずれがなくても、回転角度センサによって検出される回転角度はロック時回転角度θlckとは異なる値となるため、回転角度センサの出力にずれがあるものとして検出されてしまうことになる。
そこで、本実施形態では、リフト量と回転角度との関係にずれが生じている場合には、このずれを補償すべく、ロック機構69によりロックが行われたときのカムシャフト54、55の回転角度を補正することとしている。
ここで、図12に示したように、リフト量とカムシャフト54、55の回転角度との間にずれが生じていない場合には、回転角度が180°のときにはリフト量が最小リフト量Lmin(本実施形態では0)になると共に、回転角度が0°のときにリフト量が最大リフト量Lmaxとなる。一方、リフト量とカムシャフト54、55の回転角度との間にずれが生じている場合には、回転角度180°付近におけるリフト量の最小値が最小リフト量Lminとは異なる値となる。図12に示した例では、リフト量の最小値は0よりも大きい値となる。また、リフト量とカムシャフト54、55の回転角度との間にずれが生じていない場合には、回転角度0°付近におけるリフト量の最大値が最大リフト量Lmaxよりも大きい値となる。
そこで、本実施形態では、例えば180°付近の回転角度領域(図12にXで示した領域)においてカムシャフト54、55を回転させると共に、このときのリフト量をリフト量センサ43によって検出する。そして、この回転角度領域Xにおいて検出されたリフト量のうち最小検出値Lsenminを算出する。リフト量と回転角度との関係にずれが生じていない場合にはこのリフト量の最小検出値Lsenminは上記最小リフト量Lminと等しい値となるが、リフト量と回転角度との関係にずれが生じている場合にはリフト量の最小検出値Lsenminと最小リフト量Lminとは異なる値となり、この最小検出値Lsenminと最小リフト量Lminとの差分δL(=Lmin−Lsenmin)はリフト量と回転角度との関係におけるずれを示している。そこで、本実施形態では、この差分δLに基づいてロック時回転角度θlckを補正することとしている。具体的には、差分δLに基づいて図13に示したようなマップを用いてリフト量・回転角度誤差補正値Aθlckを算出する。そして、上記回転角度θsenとロック時回転角度θlckとの差分(θlck−θsen)をセンサ誤差補正値Aθとして算出する際に、ロック時回転角度θlckの代わりにこのロック時回転角度θlckにリフト量・回転角度誤差補正値Aθlckを加算した値を用いることとしている。なお、図13に示したマップは、予め実験により又は計算によって求められる。
このように、本実施形態によれば、リフト量と回転角度との関係にずれが生じた場合であっても、ロック機構69によりロックが行われているときにおけるカムシャフト54、55の実際の回転角度を正確に算出ことができ、よって回転角度センサの出力のずれを適切に修正することができるようになる。
図14は、本実施形態の上記補正値を算出するための補正値算出制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定時間間隔の割り込みによって行われる。なお、ステップS41及びS42は、図10に示したステップS21及びS22と同様であるため説明を省略する。
ステップS43では、カムシャフト54、55の回転角度が180°近傍である回転角度領域(例えば、160°〜200°)において、すなわち最小リフト量Lmin近傍のリフト量領域に対応する回転角度領域においてカムシャフト54、55を回転させると共に、このときのリフト量がリフト量センサ43によって検出される。
次いで、ステップS44では、ステップS43において検出されたリフト量の最小検出値Lsenminが算出される。ステップS45では、ステップS44で算出されたリフト量の最小検出値Lsenminと最小リフト量Lminとの差分δLが算出され(δL=Lmin−Lsenmin)、ステップS46ではステップS45で算出された差分δLに基づいて図13に示したマップを用いてリフト量・回転角度誤差補正値Aθlckが算出され、ステップS47へと進む。
ステップS47では、油圧によりロックピン72をシリンダブロック2のピン受容孔71に挿入させることで、クランクケース1とシリンダブロック2とをロックさせるロック処理が行われる。次いでステップS48では、ロック処理が行われている状態で、回転角度センサによってカムシャフト54、55の回転角度θsenが検出せしめられる。
次いで、ステップ49において、ロック時回転角度θlckにステップ46で算出されたリフト量・回転角度誤差補正値Aθlckを加算した値からステップS48で検出された回転角度θsenを減算することで、センサ誤差補正値Aθが算出される(Aθ=(θlck+Aθlck)−Lsen)。
次に、本発明の第三実施形態の可変圧縮比機構について説明する。本実施形態の可変圧縮比機構の構成は基本的に第二実施形態の構成と同様である。本実施形態では、第二実施形態と同様にカムシャフト54、55の回転角度が目標回転角度となるように回転角度センサの出力に基づいてフィードバック制御が行われる。ただし、本実施形態は、リフト量と回転角度との関係にずれが生じた場合におけるずれの補償方法が第二実施形態とは異なる。
ところで、単位回転角度当たりのリフト量の変化量(以下、「リフト量変化率」という)は、図15(A)に示したようにカムシャフト54、55の回転角度に応じて変化する。このリフト量変化率とカムシャフト54、55の回転角度との関係は、リフト量とカムシャフト54、55の回転角度との関係に応じて変化し、よってリフト量と回転角度との関係にずれが生じると、リフト量変化率と回転角度との関係も変化する。
ここで、例えば或る特定のリフト量変化率R1について考えると、リフト量と回転角度との関係にずれが生じていない場合、この特定のリフト量変化率R1となる場合におけるリフト量及び回転角度は特定の値(例えば、L3、θ3)となる(図15(A)参照)。ところが、リフト量と回転角度との関係にずれが生じている場合、この特定のリフト量変化率R1となる場合におけるリフト量及び回転角度は上記特定の値L3、θ3にはならず、これら特定の値とは異なる値(例えば、L4、θ4)となる。この場合、両リフト量における差分(L3−L4)及び両回転角度における差分(θ3−θ4)はリフト量に関するずれ及び回転角度に関するずれをそれぞれ表している。
そこで、本実施形態では、このようにして算出されるリフト量における差分(L3−L4)及び回転角度における差分(θ3−θ4)に基づいて、リフト量及び回転角度の補正をすることとしている。具体的には、リフト量における差分(L3−L4)に基づいて図13に示したようなマップを用いてリフト量誤差補正値Aθlck-liftを算出する。また、回転角度における差分(θ3−θ4)を回転角度誤差補正値Aθlck-angとする。そして、上記回転角度θsenとロック時回転角度θlckとの差分(θlck−θsen)をセンサ誤差補正値Aθとして算出する際に、ロック時回転角度θlckの代わりにこのロック時回転角度θlckにリフト量誤差補正値Aθlck-lift及び回転角度誤差補正値Aθlck-angを加算した値を用いることとしている。
なお、本実施形態においても、特定のリフト量変化率R1は最小圧縮比に対応する回転角度(0°)と最大圧縮比に対応する回転角度(180°)との中間の所定の回転角度に対応するリフト量変化率となるように形成される。特に、本実施形態では、リフト量変化率R1は最小圧縮比に対応する回転角度と最大圧縮比に対応する回転角度との中央の回転角度(90°)に対応するリフト量変化率となるように、或いは最小圧縮比と最大圧縮比との中央の圧縮比に対応するリフト量変化率となるように設定される。
図16は、リフト量及び回転角度の補正を行う補正制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定時間間隔の割り込みによって行われる。なお、ステップS51、S52、S57、S58及びS59は、図14に示したステップS41、S42、S46、S47及びS48と同様であるため説明を省略する。
ステップS53では、最小圧縮比に対応する回転角度と最大圧縮比に対応する回転角度との中央の回転角度(90°)領域内、或いは最小圧縮比と最大圧縮比との中央の圧縮比に対応する回転角度領域内において、カムシャフト54、55が回転せしめられ、この時のリフト量がリフト量センサ43によって検出され、カムシャフト54、55の回転角度が回転角度センサによって検出される。
次いで、ステップS54においてステップS53において検出されたリフト量及び回転角度からリフト量変化率が算出せしめられる。次いで、ステップS55において、ステップS54において算出されたリフト量変化率が特定のリフト量変化率R1となるときに検出されたリフト量LR1と回転角度θR1とを取得する。次いで、ステップS56において、ステップS55において取得されたリフト量変化率が特定のリフト量変化率となったときに検出されたリフト量LR1と、リフト量と回転角度との関係にずれが生じていない場合にこの特定のリフト量変化率となったときにリフト量がとるべき値Lbaseとの差分δL(=Lbase−LR1)が算出されると共に、ステップS55において取得されたリフト量変化率が特定のリフト量変化率となったときに検出された回転角度θR1と、リフト量と回転角度との関係にずれが生じていない場合にこの特定のリフト量変化率となったときにリフト量がとるべき値θbaseとの差分が回転角度誤差補正値Aθlck-angとして算出される。
ステップS60では、ロック時回転角度θlckにステップ56で算出されたリフト量誤差補正値Aθlck-lift及び回転角度誤差補正値Aθlck-angを加算した値からステップS59で検出された回転角度θsenを減算することで、センサ誤差補正値Aθが算出される(Aθ=(θlck+Aθlck-lift+Aθlck-ang)−Lsen)。