JP5488273B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関の空燃比制御装置に関する。
内燃機関本体から排出された排気ガス中には炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOX)等の成分が含まれており、従来からこれら成分を浄化するために三元触媒が利用されている。斯かる三元触媒は排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比となっているときにその浄化能力が高くなることから、三元触媒によって排気ガスの浄化を行う際には排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比となるように燃焼室への燃料供給量等を制御する必要がある。
このため、多くの内燃機関では、三元触媒の排気上流側において機関排気通路内に排気空燃比を検出することができる空燃比センサを設け、この空燃比センサによって検出される排気空燃比がほぼ理論空燃比になるように燃焼室への燃料供給量を調整するフィードバック(F/B)制御が行われている。
しかし、三元触媒の上流側においては排気ガスが十分混合していないことにより空燃比センサの出力がばらついたり、排気ガスの熱により空燃比センサが劣化したりすることにより、空燃比センサが実際の空燃比を正確に検出することができない場合があり、このような場合には上述したF/B制御による空燃比の制御精度が低下してしまう。
そこで、三元触媒の排気下流側にも機関排気通路内に排気空燃比を検出することができる空燃比センサを設け、下流側空燃比センサの出力に基づいて上流側空燃比センサの出力値が実際の排気空燃比と一致するように上流側空燃比センサの出力値を(結果的には燃料供給量を)補正するサブF/B制御を行うことにより空燃比の制御精度を改善するダブルセンサシステムが既に実用化されている(例えば、特許文献1)。
そして、このダブルセンサシステムにおいては、上流側空燃比センサの出力値と実際の排気空燃比との間の定常的なずれに対応する学習値をサブF/B制御における補正量に基づいて算出すると共に、算出された学習値に基づいて上流側空燃比センサの出力値を補正する学習制御が行われる。このような学習値は例えば機関停止時にもECUのRAMに保存されるため、内燃機関の再始動直後であってサブF/B制御によっては上流側空燃比センサの出力値が十分に補正されていないときでも、上流側空燃比センサの出力値が学習値により実際の排気空燃比付近の値に補正される。このため、空燃比の制御精度の悪化を防止することができ、よって排気エミッションの悪化を防止することができる。
特に、特許文献1に記載されたダブルセンサシステムでは、サブF/B制御における学習値が過剰に更新された場合、過剰に更新された後の復帰量に応じてサブF/B制御におけるF/Bゲインを変更するようにしている。特に、特許文献1では、復帰量が多くなるほどF/Bゲインを小さくすることで、サブF/B制御における学習値の応答性と収束性とを両立させることとしている。
特開2009−257188号公報 特開2007−231834号公報
ところで、近年、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備えた内燃機関が開発されている。斯かる内燃機関では、機械圧縮比が高くなるほど、燃焼室内のシリンダ壁面に近い領域においてピストンが圧縮上死点にあるときにピストン上面とシリンダヘッド下面との間の間隔が短くなり、混合気の燃焼が適切に行われにくくなる。すなわち、機械圧縮比が高いと消炎領域(クエンチゾーン)が拡大する。このため、機械圧縮比が高い場合には燃焼室から排出された排気ガス中に含まれる未燃HCの量が多くなり易い。
ところが、上述したダブルセンサシステムに用いられる空燃比センサでは、排気ガス中に酸素と未燃HCの両方が含まれているような場合には、その出力に誤差が生じてしまう。例えば、空燃比センサ近傍を流れる排気ガスの空燃比(すなわち、吸気通路、燃焼室及び排気通路に供給された空気と燃料との比率。以下、「排気空燃比」という)がほぼ理論空燃比であったとしても、排気ガス中に未燃HC及び酸素が含まれていると、空燃比センサの出力はリーンとなってしまう。
一方、燃焼室から排出された排気ガス中に酸素と未燃HCの両方が含まれている場合、三元触媒において未燃HCが酸化、浄化せしめられる。このため、下流側空燃比センサでは正確に排気空燃比を検出することができる。そこで、下流側空燃比センサの出力に基づいてサブフィードバック制御及び学習制御を行えば、上流側空燃比センサに誤差が生じたとしても空燃比の制御を適切に行うことができる。
ここで、機械圧縮比が高い場合には上流側空燃比センサの出力に生じる誤差が大きく、したがって学習制御における学習値は最終的に比較的大きな値となる。しかしながら、一般に、学習制御における学習速度(すなわち、サブフィードバック制御における補正量を学習値に取り込む取込割合、取込時間間隔等)は誤学習防止の観点から比較的遅く設定される。このため、機械圧縮比が高い場合には学習値の収束が遅いものとなってしまう。
そこで、上記問題に鑑みて、本発明の目的は、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を具備する内燃機関において、機械圧縮比が高いときであっても学習制御の学習値を迅速に収束させることができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、機関排気通路内に設けられた排気浄化触媒の排気上流側に配置され且つ排気ガスの空燃比を検出する上流側空燃比センサと、上記排気浄化触媒の排気下流側に配置され且つ排気ガスの空燃比を検出する下流側空燃比センサとを具備し、上記上流側空燃比センサの出力値に基づいて排気空燃比が目標空燃比となるように燃料供給量を制御するメインフィードバック制御と、上記上流側空燃比センサの出力値と実際の排気空燃比とのずれを補償すべく上記下流側空燃比センサの出力値に基づいて排気空燃比が目標空燃比となるように燃料供給量を補正するサブフィードバック制御と、上記サブフィードバック制御における補正量の少なくとも一部を取り込むようにして算出された学習値に基づいて上記燃料供給量を補正する学習制御とを実行する内燃機関の空燃比制御装置において、上記機械圧縮比が高いほど、上記サブフィードバック制御における補正量を学習値に取り込む取込速度を速めるようにした。
第2の発明では、第1の発明において、上記学習値の収束を判定する収束判定手段を更に具備し、該収束判定手段によって学習値が収束したと判定された時の学習値に基づいて機械圧縮比を推定するようにした。
本発明によれば、機械圧縮比が高いときであっても学習制御の学習値を迅速に収束させることができる。
火花点火式内燃機関の全体図である。 排気空燃比と空燃比センサの出力電圧との関係を示した図である。 排気空燃比と酸素センサの出力電圧との関係を示した図である。 可変圧縮比機構の分解斜視図である。 図解的に表した内燃機関の側面断面図である。 可変バルブタイミング機構を示す図である。 吸気弁および排気弁のリフト量を示す図である。 機械圧縮比、実圧縮比および膨張比を説明するための図である。 理論熱効率と膨張比との関係を示す図である。 通常のサイクルおよび超高膨張比サイクルを説明するための図である。 機関負荷に応じた機械圧縮比等の変化を示す図である。 目標燃料供給量算出制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。 メインF/B制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。 実際の排気空燃比等のタイムチャートである。 サブF/B制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。 サブF/B学習値の更新時における出力補正値及びサブF/B学習値のタイムチャートである。 サブF/B学習値の更新制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。 取込割合及び取込間隔と機械圧縮比との関係を示す図である。 機械圧縮比を変更した際の出力補正値及びサブF/B学習値のタイムチャートである。 サブF/B学習値と機械圧縮比の推定値との関係を示す図である。 相対位置センサの出力値の補正制御及び異常判定制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
図1に火花点火式内燃機関の側面断面図を示す。
図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火プラグ、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11にはそれぞれ対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いたエアフロメータ18とが配置される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19を介して三元触媒20を内蔵した触媒コンバータ21に連結され、触媒コンバータ21の出口は排気管22に連結される。触媒コンバータ21よりも上流側の排気マニホルド19内には空燃比センサ23が配置され、触媒コンバータ21よりも下流側の排気管22内には酸素センサ24が配置される。なお、触媒コンバータに内蔵される排気浄化触媒としては、排気ガス中の未燃HC、COおよびNOxを浄化することができれば、三元触媒以外の触媒、例えばNOX吸蔵還元触媒、NOX選択還元触媒等を用いても良い。
一方、図1に示した実施形態ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられており、さらに実際の圧縮作用の開始時期を変更可能な実圧縮作用開始時期変更機構Bが設けられている。なお、図1に示した実施形態ではこの実圧縮作用開始時期変更機構Bは吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構からなる。
図1に示したように、クランクケース1とシリンダブロック2にはクランクケース1とシリンダブロック2間の相対位置関係を検出するための相対位置センサ25が取り付けられており、この相対位置センサ25からはクランクケース1とシリンダブロック2との間隔の変化を示す出力信号が出力される。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。エアフロメータ18及び相対位置センサ25の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、空燃比センサ23は、図2に示したように、排気マニホルド19内を通過する排気ガス中の酸素濃度及び未燃HC等の濃度に基づいて、斯かる排気ガスの空燃比にほぼ比例した出力電圧を発生する。一方、酸素センサ24は、図3に示したように、排気管22内を通過する排気ガス、すなわち三元触媒20を通過した後の排気ガス中の酸素濃度に基づいて、斯かる排気ガスの空燃比が理論空燃比(14.7)よりもリッチであるかリーンであるかによって大きく異なる出力電圧を発生する。これら出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。
また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。さらに入力ポート35にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火プラグ6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bに接続される。
図4は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図5は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図4を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50が形成されており、各突出部50内にはそれぞれ断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔ててそれぞれ対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52が形成されており、これらの各突出部52内にもそれぞれ断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図4に示したように一対のカムシャフト54、55が設けられており、各カムシャフト54、55上には一つおきに各カム挿入孔53内に回転可能に挿入される円形カム58が固定されている。これらの円形カム58は各カムシャフト54、55の回転軸線と共軸をなす。一方、各円形カム58の両側には図5に示すように各カムシャフト54、55の回転軸線に対して偏心配置された偏心軸57が延びており、この偏心軸57上に別の円形カム56が偏心して回転可能に取付けられている。図4に示したようにこれら円形カム56は各円形カム58の両側に配置されており、これら円形カム56は対応する各カム挿入孔51内に回転可能に挿入されている。また、図4に示したようにカムシャフト55にはカムシャフト55の回転角度を表す出力信号を発生するカム回転角度センサ25が取付けられている。
図5(A)に示すような状態から各カムシャフト54、55上に固定された円形カム58を図5(A)において矢印で示したように互いに反対方向に回転させると偏心軸57が互いに離れる方向に移動するために円形カム56がカム挿入孔51内において円形カム58とは反対方向に回転し、図5(B)に示したように偏心軸57の位置が高い位置から中間高さ位置となる。次いで更に円形カム58を矢印で示した方向に回転させると図5(C)に示したように偏心軸57は最も低い位置となる。
なお、図5(A)、図5(B)、図5(C)にはそれぞれの状態における円形カム58の中心aと偏心軸57の中心bと円形カム56の中心cとの位置関係が示されている。
図5(A)から図5(C)とを比較するとわかるようにクランクケース1とシリンダブロック2の相対位置は円形カム58の中心aと円形カム56の中心cとの距離によって定まり、円形カム58の中心aと円形カム56の中心cとの距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。すなわち、可変圧縮比機構Aは回転するカムを用いたクランク機構によりクランクケース1とシリンダブロック2間の相対位置を変化させていることになる。シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大し、したがって各カムシャフト54、55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更することができる。
図4に示したように各カムシャフト54、55をそれぞれ反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸にはそれぞれ螺旋方向が逆向きの一対のウォーム61、62が取付けられており、これらウォーム61、62と噛合するウォームホイール63、64がそれぞれ各カムシャフト54、55の端部に固定されている。この実施形態では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。なお、図1、図4及び図5に示される可変圧縮比機構Aは一例を示すものであっていかなる形式の可変圧縮比機構でも用いることができる。
一方、図6は図1において吸気弁7を駆動するためのカムシャフト70の端部に取付けられた可変バルブタイミング機構Bを示している。図6を参照すると、この可変バルブタイミング機構Bは機関のクランク軸によりタイミングベルトを介して矢印方向に回転せしめられるタイミングプーリ71と、タイミングプーリ71と一緒に回転する円筒状ハウジング72と、吸気弁駆動用カムシャフト70と一緒に回転し且つ円筒状ハウジング72に対して相対回転可能な回転軸73と、円筒状ハウジング72の内周面から回転軸73の外周面まで延びる複数個の仕切壁74と、各仕切壁74の間で回転軸73の外周面から円筒状ハウジング72の内周面まで延びるベーン75とを具備しており、各ベーン75の両側にはそれぞれ進角用油圧室76と遅角用油圧室77とが形成されている。
各油圧室76、77への作動油の供給制御は作動油供給制御弁78によって行われる。この作動油供給制御弁78は各油圧室76、77にそれぞれ連結された油圧ポート79、80と、油圧ポンプ81から吐出された作動油の供給ポート82と、一対のドレインポート83、84と、各ポート79、80、82、83、84間の連通遮断制御を行うスプール弁85とを具備している。
吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を進角すべきときは図6においてスプール弁85が右方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート79を介して進角用油圧室76に供給されると共に遅角用油圧室77内の作動油がドレインポート84から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印方向に相対回転せしめられる。
これに対し、吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を遅角すべきときは図6においてスプール弁85が左方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート80を介して遅角用油圧室77に供給されると共に進角用油圧室76内の作動油がドレインポート83から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印と反対方向に相対回転せしめられる。
回転軸73が円筒状ハウジング72に対して相対回転せしめられているときにスプール弁85が図6に示した中立位置に戻されると回転軸73の相対回転動作は停止せしめられ、回転軸73はそのときの相対回転位置に保持される。したがって可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相を所望の量だけ進角させることができ、遅角させることができることになる。
図7において実線は可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も進角されているときを示しており、破線は吸気弁駆動用カムシャフト70のカムの位相が最も遅角されているときを示している。したがって吸気弁7の開弁期間は図7において実線で示す範囲と破線で示す範囲との間で任意に設定することができ、したがって吸気弁7の閉弁時期も図7において矢印Cで示す範囲内の任意のクランク角に設定することができる。
図1および図6に示した可変バルブタイミング機構Bは一例を示すものであって、例えば吸気弁の開弁時期を一定に維持したまま吸気弁の閉弁時期のみを変えることのできる可変バルブタイミング機構等、種々の形式の可変バルブタイミング機構を用いることができる。
次に図8を参照しつつ本願において使用されている用語の意味について説明する。なお、図8の(A)、(B)、(C)には説明のために燃焼室容積が50mlでピストンの行程容積が500mlであるエンジンが示されており、これら図8の(A)、(B)、(C)において燃焼室容積とはピストンが圧縮上死点に位置するときの燃焼室の容積を表している。
図8(A)は機械圧縮比について説明している。機械圧縮比は圧縮行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積のみから機械的に定まる値であってこの機械圧縮比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図8(A)に示した例ではこの機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
図8(B)は実圧縮比について説明している。この実圧縮比は実際に圧縮作用が開始されたときからピストンが上死点に達するまでの実際のピストン行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの実圧縮比は(燃焼室容積+実際の行程容積)/燃焼室容積で表される。すなわち、図8(B)に示したように圧縮行程においてピストンが上昇を開始しても吸気弁が開弁している間は圧縮作用は行われず、吸気弁が閉弁したときから実際の圧縮作用が開始される。したがって実圧縮比は実際の行程容積を用いて上記の如く表される。図8(B)に示した例では実圧縮比は(50ml+450ml)/50ml=10となる。
図8(C)は膨張比について説明している。膨張比は膨張行程時のピストンの行程容積と燃焼室容積から定まる値であってこの膨張比は(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図8(C)に示した例ではこの膨張比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
次に図9および図10を参照しつつ本発明において用いられている超膨張比サイクルについて説明する。なお、図9は理論熱効率と膨張比との関係を示しており、図10は本発明において負荷に応じ使い分けられている通常のサイクルと超高膨張比サイクルとの比較を示している。
図10(A)は吸気弁が下死点近傍で閉弁し、ほぼ吸気下死点付近からピストンによる圧縮作用が開始される場合の通常のサイクルを示している。この図10(A)に示す例でも図8の(A)、(B)、(C)に示す例と同様に燃焼室容積が50mlとされ、ピストンの行程容積が500mlとされている。図10(A)からわかるように通常のサイクルでは機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11であり、実圧縮比もほぼ11であり、膨張比も(50ml+500ml)/50ml=11となる。すなわち、通常の内燃機関では機械圧縮比と実圧縮比と膨張比とがほぼ等しくなる。
図9における実線は実圧縮比と膨張比とがほぼ等しい場合の、すなわち通常のサイクルにおける理論熱効率の変化を示している。この場合には膨張比が大きくなるほど、すなわち実圧縮比が高くなるほど理論熱効率が高くなることがわかる。したがって通常のサイクルにおいて理論熱効率を高めるには実圧縮比を高くすればよいことになる。しかしながら機関高負荷運転時におけるノッキングの発生の制約により実圧縮比は最大でも12程度までしか高くすることができず、斯くして通常のサイクルにおいては理論熱効率を十分に高くすることはできない。
一方、このような状況下で機械圧縮比と実圧縮比とを厳密に区分しつつ理論熱効率を高めることが検討され、その結果理論熱効率は膨張比が支配し、理論熱効率に対して実圧縮比はほとんど影響を与えないことが見出されたのである。すなわち、実圧縮比を高くすると爆発力は高まるが圧縮するために大きなエネルギーが必要となり、斯くして実圧縮比を高めても理論熱効率はほとんど高くならない。
これに対し、膨張比を大きくすると膨張行程時にピストンに対し押下げ力が作用する期間が長くなり、斯くしてピストンがクランクシャフトに回転力を与えている期間が長くなる。したがって膨張比は大きくすれば大きくするほど理論熱効率が高くなる。図9の破線ε=10は実圧縮比を10に固定した状態で膨張比を高くしていった場合の理論熱効率を示している。このように実圧縮比εを低い値に維持した状態で膨張比を高くしたときの理論熱効率の上昇量と、図9の実線で示す如く実圧縮比も膨張比と共に増大せしめられる場合の理論熱効率の上昇量とは大きな差がないことがわかる。
このように実圧縮比が低い値に維持されているとノッキングが発生することがなく、したがって実圧縮比を低い値に維持した状態で膨張比を高くするとノッキングの発生を阻止しつつ理論熱効率を大幅に高めることができる。図10(B)は可変圧縮比機構Aおよび可変バルブタイミング機構Bを用いて、実圧縮比を低い値に維持しつつ膨張比を高めるようにした場合の一例を示している。
図10(B)を参照すると、この例では可変圧縮比機構Aにより燃焼室容積が50mlから20mlまで減少せしめられる。一方、可変バルブタイミング機構Bによって実際のピストン行程容積が500mlから200mlになるまで吸気弁の閉弁時期が遅らされる。その結果、この例では実圧縮比は(20ml+200ml)/20ml=11となり、膨張比は(20ml+500ml)/20ml=26となる。図10(A)に示した通常のサイクルでは前述したように実圧縮比がほぼ11で膨張比が11であり、この場合に比べると図10(B)に示した場合には膨張比のみが26まで高められていることがわかる。そこで、斯かるサイクルを超高膨張比サイクルと称する。
一般的に言って内燃機関では機関負荷が低いほど熱効率が悪くなり、したがって機関運転時における熱効率を向上させるためには、すなわち燃費を向上させるには機関負荷が低いときの熱効率を向上させることが必要となる。一方、図10(B)に示した超高膨張比サイクルでは圧縮行程時の実際のピストン行程容積が小さくされるために燃焼室5内に吸入しうる吸入空気量は少なくなり、したがってこの超高膨張比サイクルは機関負荷が比較的低いときにしか採用できないことになる。したがって本発明では機関負荷が比較的低いときには図10(B)に示す超高膨張比サイクルとし、機関高負荷運転時には図10(A)に示す通常のサイクルとするようにしている。
次に図11を参照しつつ運転制御全般について概略的に説明する。
図11には或る機関回転数における機関負荷に応じた吸入空気量、吸気弁閉弁時期、機械圧縮比、膨張比、実圧縮比およびスロットル弁17の開度の各変化が示されている。なお、図11は、燃焼室5内における平均空燃比が空燃比センサ23等の出力信号に基づいて理論空燃比にフィードバック制御(F/B制御)されている場合を示している。
さて、前述したように機関高負荷運転時には図10(A)に示される通常のサイクルが実行される。したがって図11に示されるようにこのときには機械圧縮比は低くされるために膨張比は低く、図11において実線で示されるように吸気弁7の閉弁時期は図7において実線で示される如く早められている。また、このときには吸入空気量は多く、このときスロットル弁17の開度は全開に保持されているのでポンピング損失は零となっている。
一方、図11において実線で示されるように機関負荷が低くなるとそれに伴って吸入空気量を減少すべく吸気弁7の閉弁時期が遅くされる。またこのときには実圧縮比がほぼ一定に保持されるように図11に示される如く機関負荷が低くなるにつれて機械圧縮比が増大され、したがって機関負荷が低くなるにつれて膨張比も増大される。なお、このときにもスロットル弁17は全開状態に保持されており、したがって燃焼室5内に供給される吸入空気量はスロットル弁17によらずに吸気弁7の閉弁時期を変えることによって制御されている。
このように機関高負荷運転状態から機関負荷が低くなるときには実圧縮比がほぼ一定のもとで吸入空気量が減少するにつれて機械圧縮比が増大せしめられる。すなわち、吸入空気量の減少に比例してピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積が減少せしめられる。したがってピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は吸入空気量に比例して変化していることになる。なお、このとき図11に示される例では燃焼室5内の空燃比は理論空燃比となっているのでピストン4が圧縮上死点に達したときの燃焼室5の容積は燃料量に比例して変化していることになる。
機関負荷が更に低くなると機械圧縮比は更に増大せしめられ、機関負荷がやや低負荷寄りの中負荷L1まで低下すると機械圧縮比は燃焼室5の構造上限界となる最大限界機械圧縮比に達する。機械圧縮比が最大限界機械圧縮比に達すると、機械圧縮比が最大限界機械圧縮比に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では機械圧縮比が最大限界機械圧縮比に保持される。したがって低負荷側の機関中負荷運転時および機関低負荷運転時にはすなわち、機関低負荷運転側では機械圧縮比は最大となり、膨張比も最大となる。別の言い方をすると機関低負荷運転側では最大の膨張比が得られるように機械圧縮比が最大にされる。
一方、図11に示される実施形態では機関負荷がL1まで低下すると吸気弁7の閉弁時期が燃焼室5内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期となる。吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達すると吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域では吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に保持される。
吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に保持されるともはや吸気弁7の閉弁時期の変化によっては吸入空気量を制御することができない。図11に示される実施形態ではこのとき、すなわち吸気弁7の閉弁時期が限界閉弁時期に達したときの機関負荷L1よりも負荷の低い領域ではスロットル弁17によって燃焼室5内に供給される吸入空気量が制御され、機関負荷が低くなるほどスロットル弁17の開度は小さくされる。
一方、図11において破線で示すように機関負荷が低くなるにつれて吸気弁7の閉弁時期を早めることによってもスロットル弁17によらずに吸入空気量を制御することができる。したがって、図11において実線で示される場合と破線で示される場合とをいずれも包含しうるように表現すると、本発明による実施形態では吸気弁7の閉弁時期は、機関負荷が低くなるにつれて、燃焼室内に供給される吸入空気量を制御しうる限界閉弁時期L1まで吸気下死点BDCから離れる方向に移動せしめられることになる。このように吸入空気量は吸気弁7の閉弁時期を図11において実線で示すように変化させても制御することができるし、破線に示すように変化させても制御することができるが、以下本発明について吸気弁7の閉弁時期を図11において実線で示すように変化させた場合を例にとって説明する。
なお、前述したように図10(B)に示す超高膨張比サイクルでは膨張比が26とされる。この膨張比は高いほど好ましいが図9からわかるように実用上使用可能な下限実圧縮比ε=5に対しても20以上であればかなり高い理論熱効率を得ることができる。したがって本発明では膨張比が20以上となるように可変圧縮比機構Aが形成されている。
ところで、上述した三元触媒20は、酸素吸蔵能力を有しており、これにより三元触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリーンであるときには排気ガス中の酸素を吸蔵すると共に、三元触媒20に流入する排気ガスの空燃比がリッチであるときには吸蔵している酸素を放出することにより排気ガス中に含まれる未燃HC、COを酸化・浄化する。
このような三元触媒20の酸素吸蔵能力を効果的に利用するためには、排気ガスの空燃比がその後リッチ及びリーンのいずれになっても排気ガスを浄化することができるように、三元触媒20中に吸蔵されている酸素の量を所定量(例えば、最大酸素吸蔵量の半分)に維持することが必要である。三元触媒20の酸素吸蔵量が上記所定量に維持されていれば、三元触媒20は常に或る程度の酸素吸蔵作用及び酸素放出作用を発揮することが可能であり、結果として三元触媒20により常に排気ガス中の成分の酸化・還元を行うことができるようになる。このため、本実施形態では、三元触媒20による排気浄化性能を維持すべく、三元触媒20の酸素吸蔵量を一定に維持するように空燃比制御を行うこととしている。
そこで、本実施形態では、三元触媒20よりも排気上流側に配置された空燃比センサ(上流側空燃比センサ)23によって排気空燃比(三元触媒20上流側の排気通路、燃焼室5および吸気通路に供給された空気と燃料との比率)を検出すると共に、空燃比センサ23の出力値が理論空燃比に対応した値となるように燃料噴射弁13からの燃料供給量についてF/B制御を行うこととしている(以下、このF/B制御を「メインF/B制御」という)。これにより、排気空燃比は理論空燃比付近に維持され、その結果三元触媒の酸素吸蔵量が一定に維持され、よって排気エミッションを改善することができる。
以下、メインF/B制御について具体的に説明する。まず、本実施形態では、燃料噴射弁13から各気筒へと供給すべき燃料量(以下、「目標燃料供給量」という)Qft(n)は下記式(1)によって算出される。
Qft(n)=Mc(n)/AFT+DQf(n−1) …(1)
ここで、上記式(1)においてnはECU30における計算回数を示す値であり、例えばQft(n)は第n回目の計算によって(すなわち時刻nにおいて)算出された目標燃料供給量を表している。また、Mc(n)は、吸気弁7の閉弁時までに各気筒の筒内に吸入されたと予想される空気量(以下、「筒内吸入空気量」という)を示している。筒内吸入空気量Mc(n)は、例えば機関回転数、エアフロメータ18の出力や吸気弁7の閉弁時期等に基づいてマップ又は計算式により算出される。また、AFTは、排気空燃比の目標値であり、本実施形態では理論空燃比(14.7)である。さらに、DQfは、後述するメインF/B制御に関して算出される燃料補正量である。燃料噴射弁13では、このようにして算出された目標燃料供給量に対応する量の燃料が噴射される。
図12は、燃料噴射弁13からの目標燃料供給量Qft(n)を算出する目標燃料供給量算出制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定時間間隔の割り込みによって行われる。
まず、ステップ101において、クランク角センサ42及びエアフロメータ16等によって機関回転数Ne、吸気管通過空気流量mt及び吸気弁7の閉弁時期IVC等が検出される。次いで、ステップ102では、ステップ101において検出された機関回転数Ne、吸気管通過空気流量mt及び吸気弁7の閉弁時期IVCに基づいてマップにより又は計算式により時刻nにおける筒内吸入空気量Mc(n)が算出される。次いで、ステップ103では、ステップ102で算出された筒内吸入空気量Mc(n)及び後述するメインF/B制御において算出された時刻n−1における燃料補正量DQf(n−1)に基づいて上記式(1)により目標燃料供給量Qft(n)が算出され、制御ルーチンが終了せしめられる。燃料噴射弁13ではこのように算出された目標燃料供給量Qft(n)に相当する量の燃料が噴射せしめられる。
次に、メインF/B制御について説明する。本実施形態では、メインF/B制御として、空燃比センサ23の出力に基づいて算出された実際の燃料供給量と、上述した目標燃料供給量Qftとの燃料偏差量ΔQfを各計算時毎に算出し、この燃料偏差量ΔQfがゼロになるように燃料補正量DQfを算出している。具体的には、燃料補正量DQfは下記式(2)により算出される。なお、下記式(2)においてDQf(n−1)は、第n−1回目の計算、すなわち前回の計算における燃料補正量であり、Kmpは比例ゲイン、Kmiは積分ゲインをそれぞれ示している。これら比例ゲインKmp、積分ゲインKmiは予め定められた一定の値であってもよいし、機関運転状態に応じて変化する値であってもよい。
Figure 0005488273
図13は、燃料補正量DQfを算出するメインF/B制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定時間間隔の割り込みによって行われる。
まず、ステップ121では、メインF/B制御の実行条件が成立しているか否かが判定される。メインF/B制御の実行条件が成立している場合とは、例えば内燃機関の冷間始動中ではないこと(すなわち、機関冷却水温が一定温度以上であって始動時燃料増量等が行われていないこと)や、機関運転中に燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カット制御中ではないこと等の条件を満たしている場合が挙げられる。ステップ121においてメインF/B制御の実行条件が成立していると判定された場合には、ステップ122へと進む。
ステップ122では、第n回目の計算時における空燃比センサ23の出力値VAF(n)が検出される。次いで、ステップ123では、後述するサブF/B制御の制御ルーチンによって算出された空燃比センサ23の出力補正値efsfb(n)及び後述するサブF/B学習値efgfsbをステップ122で検出された出力値VAF(n)に加算することで、空燃比センサ23の出力値が補正されて第n回目の計算時における補正出力値VAF’(n)が算出される(VAF’(n)=VAF(n)+efsfb(n)+efgfsb(n))。
次いで、ステップ124では、ステップ123で算出された補正出力値VAF’(n)に基づいて図2に示したマップを用いて時刻nにおける実空燃比AFR(n)が算出される。このようにして算出された実空燃比AFR(n)は、第n回目の計算時における三元触媒20に流入する排気ガスの実際の空燃比にほぼ一致した値となっている。
次いで、ステップ125では、下記式(3)により、空燃比センサ23の出力に基づいて算出された燃料供給量と目標燃料供給量Qftとの燃料偏差量ΔQfが算出される。なお、下記式(3)において、筒内吸入空気量Mc及び目標燃料供給量Qftについては第n回目の計算時における値が用いられているが、第n回目の計算時よりも前の値が用いられてもよい。
ΔQf(n)=Mc(n)/AFR(n)−Qft(n) …(3)
ステップ126では、上記式(2)により時刻nにおける燃料補正量DQf(n)が算出され、制御ルーチンが終了せしめられる。算出された燃料補正量DQf(n)は、図12に示した制御ルーチンのステップ103において用いられる。一方、ステップ121においてメインF/B制御の実行条件が成立していないと判定された場合には、燃料補正量DQf(n)が更新されることなく制御ルーチンが終了せしめられる。
ところで、排気ガスの熱により空燃比センサ23が劣化すること等により空燃比センサ23の出力にはずれが生じる場合がある。このような場合、本来図2に実線で示したような出力値を発生させる空燃比センサ23が、例えば図2に破線で示したような出力値を発生させてしまう。このように空燃比センサ23の出力値にずれが生じると、空燃比センサ23は例えば本来であれば排気空燃比が理論空燃比になっているときに発生させる出力電圧を、理論空燃比よりもリーンであるときに発生させてしまう。そこで、本実施形態では、酸素センサ(下流側空燃比センサ)24を用いたサブF/B制御により空燃比センサ23の出力値に生じたずれを補償して、空燃比センサ23の出力値が実際の排気空燃比に対応した値となるようにすることとしている。
すなわち、酸素センサ24は、図3に示したように、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチであるかリーンであるかを検出することができ、理論空燃比よりもリッチであるかリーンであるかの判定にずれを生じることがほとんどない。このため、実際の排気空燃比がリーンとなっているときには酸素センサ24の出力電圧は低い値となっており、実際の排気空燃比がリッチとなっているときには酸素センサ24の出力電圧は高い値となっている。したがって、実際の排気空燃比がほぼ理論空燃比となっているとき、すなわち理論空燃比付近で上下を繰り返しているときには、酸素センサ24の出力電圧は高い値と低い値との間で反転を繰り返す。このような観点から、本実施形態では、酸素センサ24の出力電圧が高い値と低い値との間で反転を繰り返すように空燃比センサ23の出力値を補正することとしている。
図14は、実際の排気空燃比と、酸素センサの出力値と、空燃比センサ23の出力補正値efsfbとのタイムチャートである。図14のタイムチャートは、実際の排気空燃比が理論空燃比になるように制御しているにも関わらず、空燃比センサ23にずれが生じていて実際の排気空燃比が理論空燃比となっていない場合に、空燃比センサ23に生じているずれが補償されていく様子を示している。
図14に示した例では、時刻t0において、実際の排気空燃比は理論空燃比となっておらず、理論空燃比よりもリーンとなっている。これは、空燃比センサ23にずれが生じていて、実際の排気空燃比が理論空燃比よりもリーンである空燃比となっているときに空燃比センサ23により理論空燃比に対応する出力値が出力されているためである。このとき酸素センサ24の出力値は低い値となっている。
空燃比センサ23の出力補正値efsfbは、上述したように、図13のステップ123において補正出力値VAF’(n)を算出するために出力値VAF(n)に加算される。したがって、この出力補正値efsfbが正の値となっている場合には空燃比センサ23の出力値はリーン側に補正され、負の値となっている場合には空燃比センサ23の出力値はリッチ側に補正される。そして出力補正値efsfbの絶対値が大きいほど空燃比センサ23の出力値が大きく補正される。
空燃比センサ23の出力値がほぼ理論空燃比となっているにも関わらず酸素センサ24の出力値が低い値となっているときには空燃比センサ23の出力値がリッチ側にずれていることを意味する。そこで、本実施形態では、酸素センサ24の出力値が低い値となっているときには、図14に示したように、出力補正値efsfbの値を増大させて、空燃比センサ23の出力値をリーン側へ補正することとしている。一方、空燃比センサ23の出力値がほぼ理論空燃比となっているにも関わらず酸素センサ24の出力値が高い値となっているときには、出力補正値efsfbの値を減少させて、空燃比センサ23の出力値をリッチ側へ補正することとしている。
具体的には出力補正値efsfbの値は下記式(4)により計算される。なお、下記式(4)において、efsfb(n−1)は、第n−1回目、すなわち前回の計算時における出力補正値であり、Kspは比例ゲイン、Ksiは積分ゲインをそれぞれ示している。また、ΔVO(n)は、第n回目の計算時における酸素センサ24の出力値と目標出力値(本実施形態では、理論空燃比に対応する値)との出力偏差を示している。
Figure 0005488273
このように、図14に示した例では、空燃比センサ23の出力補正値efsfbの値が増大するにつれて、空燃比センサ23の出力値に生じているずれが補正され、実際の排気空燃比が徐々に理論空燃比に近づいていく。
図15は、出力補正値efsfbを算出するサブF/B制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは所定時間間隔の割り込みによって行われる。
まず、ステップ131では、サブF/B制御の実行条件が成立しているか否かが判定される。サブF/B制御の実行条件が成立している場合とは、メインF/B制御の実行条件と同様に内燃機関の冷間始動中でない場合や燃料カット制御中ではない場合が挙げられる。サブF/B制御の実行条件が成立していないと判定された場合には制御ルーチンが終了せしめられる。
一方、ステップ131において、サブF/B制御の実行条件が成立していると判定された場合には、ステップ132へと進む。ステップ132では、時刻nにおける酸素センサ24の出力値と目標出力値との出力偏差ΔVO(n)が算出される。ステップ133では、ステップ132において算出された出力偏差ΔVOに基づいて上記式(4)を用いて出力補正値efsfb(n)が算出される。このようにして算出された出力補正値efsfb(n)は、図13に示したステップ123において用いられる。
なお、上記実施形態では、メインF/B制御及びサブF/B制御としてPI制御が用いられているが、メインF/B制御及びサブF/B制御は、P制御、PID制御等、他の制御方法により行われてもよい。
このようにしてサブF/B制御により空燃比センサ23の出力値は適宜補正されるが、例えば内燃機関を停止させた場合や燃料カット制御を行った場合等にはサブF/B制御が中断せしめられ、その結果、出力補正値efsfbの値はゼロにリセットされる。その後、再び内燃機関を始動させた場合や燃料カット制御を終了した場合等には、サブF/B制御が再開されるが、出力補正値efsfbがゼロにリセットされているため、空燃比センサ23の出力値を再び適切な値にまで補正するには時間がかかる。
そこで、本実施形態では、空燃比センサ23の出力値と実際の排気空燃比に対応する値との間に生じている定常的なずれに対応するサブF/B学習値efgsfbを上記サブF/B制御における出力補正値efsfbに基づいて算出すると共に、算出されたサブF/B学習値efgsfbに基づいて空燃比センサ23の出力値VAFを補正することとしている。換言すると、本実施形態では、サブF/B制御における出力補正値efsfbが小さく又はほぼゼロになるように、出力補正値efsfbの少なくとも一部をサブF/B学習値efgsfbに取り込むと共にサブF/B学習値efgsfbに基づいて空燃比センサ23の出力値VAFを補正する学習制御を行うこととしている。このようにして算出されたサブF/B学習値efgfsbは、例えば内燃機関を停止させたり燃料カット制御を行ったりしてもゼロにリセットされることはなく、よって内燃機関の停止や燃料カット制御等の後でもサブF/B制御により比較的早期に空燃比センサ23の出力値を再び適切な値にまで補正することができるようになる。
図16は、サブF/B学習値efgfsbの更新時における、出力補正値efsfb及びサブF/B学習値efgfsbのタイムチャートである。図16に示した例では、時刻t1において学習値更新条件が成立し、時刻t1から学習値の更新が開始される。学習値更新条件が成立した時刻t1において、出力補正値efsfbが正の値である場合にはサブF/B学習値efgfsbが増大せしめられ、出力補正値efsfbが負の値である場合にはサブF/B学習値efgfsbが減少せしめられる。サブF/B学習値efgfsbの増大量又は減少量は、出力補正値efsfbの絶対値が大きくなるほど多くなるようにしている。
特に本実施形態では、時刻t1における出力補正値efsfbのサブF/B学習値efgfsbへの取込は下記式(5)及び(6)により行われる。なお、下記式(5)及び(6)において、αは取込割合であり、予め定められた1以下の正の値となる(0<α≦1)。したがって、図15に示した例では、時刻t1において出力補正値efsfbが正の値となっているため、下記式(5)及び(6)により出力補正値efsfbが低下せしめられると共にサブF/B学習値efgfsbが増大せしめられる。
efsfb=efsfb−efsfb・α …(5)
efgfsb=efgfsb+efsfb・α …(6)
その後、出力補正値efsfb及びサブF/B学習値efgfsbの修正が行われてから取込間隔ΔTが経過した時刻t2において、上記時刻t1における取込操作と同様な取込操作が再び行われる。このような出力補正値efsfb及びサブF/B学習値efgfsbの取込操作が取込間隔ΔT毎に複数回繰り返されることにより(時刻t3、t4)、出力補正値efsfbの絶対値は徐々に小さくなると共に、サブF/B学習値efgfsbの絶対値は徐々に大きくなり、やがてサブF/B学習値efgfsbは一定の値に収束していく。このようにサブF/B学習値efgfsbが一定の値に収束すると、サブF/B学習値efgfsbの更新が終了せしめられる(時刻t4
図17は、サブF/B学習値efgfsbの更新の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは所定時間間隔の割り込みによって行われる。
図17に示したように、まずステップ141では、学習値更新制御の実行条件が成立しているか否かが判定される。学習値更新制御の実行条件が成立している場合とは、例えば、機関定常運転時である場合や、内燃機関の冷間始動中ではなく且つ燃料カット制御中ではない場合等が挙げられる。
ステップ141において学習値更新制御の実行条件が成立していないと判定された場合には制御ルーチンが終了せしめられる。一方、学習値更新制御の実行条件が成立していると判定された場合にはステップ142へと進む。ステップ142では、時間カウンタcountに1が加算された値が新たな時間カウンタcountの値とされる。なお、時間カウンタcountは、前回のサブF/B学習値efgfsbへの取込が行われてからの経過時間を表すカウンタである。
次いで、ステップ143では、時間カウンタcountが上記取込間隔ΔTに対応する値以上であるか否かが判定され、取込間隔ΔTよりも短い場合には制御ルーチンが終了せしめられる。一方、時間カウンタcountが上記取込間隔ΔT以上であると判定された場合にはステップ144へと進む。ステップ144では、上記式(5)、(6)に基づいて出力補正値efsfbのサブF/B学習値efgfsbへの取込が行われる。次いで、ステップ145では、時間カウンタcountが0とされ、制御ルーチンが終了せしめられる。
ところで、上述したような可変圧縮比機構Aを備えた内燃機関では、機械圧縮比が高くなるほど、燃焼室5から排出された排気ガス中に含まれる未燃HCの量が多くなりやすい。すなわち、斯かる内燃機関では、排気空燃比がほぼ理論空燃比になっている場合であっても排気ガス中には酸素及び未燃HCが多く含まれる場合がある。
一方、一般的に用いられる空燃比センサ23は、燃焼室5内において混合気が完全に燃焼している場合、すなわち混合気の空燃比がリッチの場合にはほぼ全ての酸素が燃焼室5内で反応、除去され、混合気の空燃比がリーンの場合にはほぼ全ての燃料(HC)が燃焼室5内で反応、除去されている場合には、比較的正確に排気ガスの空燃比を検知することができる。ところが、上述したように燃焼室5内において混合気の一部が燃焼せず、その結果、排気ガス中に酸素及び未燃HCの両方が多く含まれているような場合には排気ガスの空燃比を正確に検知することができない。特に、燃焼室5内において燃焼していな混合気の量が増大するほど、空燃比センサ23の出力がリーン側にずれてしまう傾向にある。
このため、機械圧縮比が高いときには、上述したサブF/B制御における出力補正値efsfbが大きくなり、その結果、サブF/B学習値efgfsbも最終的に大きな値に収束することになる。ところが、このように出力補正値efsfbが大きい場合、サブF/B学習値efgfsbが収束するのに時間がかかってしまう。
そこで、本実施形態では、機械圧縮比が高い場合には出力補正値efsfbからのサブF/B学習値efgfsbへの取込速度を速めるようにしている。
図18は、出力補正値efsfbのサブF/B学習値efgfsbへの取込を行う際の取込割合α及び取込間隔ΔTと機械圧縮比との関係を示す図である。図18(A)から分かるように、取込割合αは、機械圧縮比が低いときには低くされ、機械圧縮比が高いときには高くされる。特に、図18(A)に示した例では、機械圧縮比が高くなるにつれて取込割合αが大きくされる。また、図18(B)から分かるように、取込間隔ΔTは、機械圧縮比が低いときには長くされ、機械圧縮比が高いときには短くされる。特に、図18(B)に示した例では、機械圧縮比が高くなるにつれて取込間隔ΔTが短くされる。このように機械圧縮比に応じて取込割合α及び取込間隔ΔTを変更することで、機械圧縮比が低いときには取込速度が遅くされ、機械圧縮比が高いときには取込速度が速くされることになる。
なお、上記実施形態では、機械圧縮比に応じて取込割合α及び取込間隔ΔTの両方を変更しているが、必ずしも両方を変更する必要はなく、一方のみを変更するようにしてもよい。
図19は、機械圧縮比を変更した際の、出力補正値efsfb及びサブF/B学習値efgfsbのタイムチャートである。図19に示した例では、時刻t5において学習値更新条件が成立し、サブF/B学習値efgfsbの更新が開始される。サブF/B学習値efgfsbの更新が開始されると、出力補正値efsfbを取り込んでサブF/B学習値efgfsbが増大し、これに伴って出力補正値efsfbが減少せしめられる。このときの機械圧縮比は低いためサブF/B学習値efgfsbの取込速度は遅い。このためサブF/B学習値efgfsbは比較的緩やかに変更されていき、時刻t6においてサブF/B学習値efgfsbが収束する。
その後、図19に示したように機関運転状態の変化に伴って機械圧縮比が高くされると(時刻t7〜t8)、これに伴って空燃比センサ23に生じる誤差が大きくなり、よって出力補正値efsfbも大きくなっていく。その後、機械圧縮比が一定の値に維持されて機関運転状態が定常運転状態になると、学習値更新条件が成立し(時刻t8)、再びサブF/B学習値efgfsbの更新が開始される。このときの機械圧縮比は高いためサブF/B学習値efgfsbの取込速度は速い。このためサブF/B学習値efgfsbは迅速に変更されていき、時刻t9においてサブF/B学習値efgfsbが収束する。
このように機械圧縮比が低いときにはサブF/B学習値efgfsbの取込速度が遅くされることで、サブF/B学習値efgfsbの誤学習が行われてしまうことを抑制することができると共に、機械圧縮比が高いときにはサブF/B学習値efgfsbの取込速度が速くされることで、サブF/B学習値efgfsbが収束するまでの時間を短くすることができる。
なお、上記実施形態では、サブF/B制御における出力補正値efsfb及びサブF/B学習値efgfsbは空燃比センサ23の出力値を補正するように用いられているが、空燃比センサ23の出力値を補正した結果、燃料噴射量を補正しているととらえることもできる。したがって、出力補正値efsfb及びサブF/B学習値efgfsbは燃料噴射量を補正するのに用いられているということができる。また、これら出力補正値efsfb及びサブF/B学習値efgfsbは、空燃比センサ23の出力値ではなく、燃料噴射量を直接補正するように用いられてもよい。
さらに、上記実施形態では、全ての負荷領域及び全ての機械圧縮比領域において一つのサブF/B学習値efgfsbを用いている。しかしながら、負荷領域及び機械圧縮比領域毎にサブF/B学習値を設定し、或る負荷領域及び或る機械圧縮比領域にあるときにはその負荷領域及び機械圧縮比領域に対応するサブF/B学習値を更新するようにしてもよい。
ところで、上述したように、本実施形態の内燃機関では、相対位置センサ25によってクランクケース1とシリンダブロック2との相対位置を検出し、この検出値に基づいて現在の機械圧縮比を算出している。しかしながら、この相対位置センサ25が故障したりその出力に誤差が生じたりすることもあるため、相対位置センサ25の故障等に対して何らかの補償手段が必要となる。
このような補償手段として、例えば燃焼室5内の圧力を検出する圧力センサ(図示せず)を設け、この圧力センサによってピストン4が圧縮上死点にあるときの燃焼室5内の圧力(圧縮端圧力)を検出し、検出された圧縮端圧力に基づいて機械圧縮比を推定すると共に、推定された機械圧縮比と相対位置センサ25の出力に基づいて算出された機械圧縮比とを比較して相対位置センサ25の故障等を検出する方法が考えられる。
しかしながら、圧縮端圧力は、機械圧縮比のみならず吸気弁7の閉弁時期やスロットル弁17の開度等によっても変化する。このため、ピストン4が圧縮上死点にあるときの燃焼室5内の圧力に基づいて機械圧縮比を推定するには吸気弁7の閉弁時期等の様々なパラメータの計測が必要になると共に、これらパラメータの計測装置のうちの一つでも誤差が生じると推定された機械圧縮比にも誤差が生じてしまう。したがって、場合によっては相対位置センサ25の故障を誤って判定してしまう可能性がある。
一方、上述したように、機械圧縮比と燃焼室5から排出される排気ガス中に残る未燃HCとには機械圧縮比を増大させると未燃HCが増大するという関係があり、この結果、機械圧縮比とサブF/B学習値efgsfbとの間には機械圧縮比を増大させるとサブF/B学習値efgsfbが増大するという関係がある。したがって、サブF/B学習値efgsfbに基づいて機械圧縮比を推定することができる。
図20は、サブF/B学習値efgsfbと機械圧縮比の推定値との関係を示す図である。図20から分かるように、収束後のサブF/B学習値efgsfbが大きくなるほど、機械圧縮比の推定値が大きくされる。これにより、サブF/B学習値efgsfbに基づいて機械圧縮比を比較的正確に推定することができる。
本実施形態では、このようにして推定された機械圧縮比に基づいて、相対位置センサ25に生じている誤差の補正又は相対位置センサ25の故障判定が行われる。具体的には、相対位置センサ25の出力に基づいて算出された機械圧縮比εmsとサブF/B学習値efgsfbに基づいて図20に示したような関係を用いて推定された機械圧縮比εmgとの差Δεmが、予め定められた異常判定値Δεma以上である場合には相対位置センサ25が故障していると判定する。この場合には、フェイルセーフモードとして例えば可変圧縮比機構Aの構造上限界となる最低機械圧縮比になるまで機械圧縮比が低くなるように駆動モータ59が駆動される。また、警告灯を点灯させる等によりユーザに相対位置センサ25の故障が警告される。
一方、機械圧縮比の差Δεmが異常判定値Δεmaよりも小さい場合には、例えば、機械圧縮比の差Δεmに基づいて相対位置センサ25の出力が補正される。例えば、相対位置センサ25の出力に基づいて算出された機械圧縮比εmsに機械圧縮比の差Δεmを加えた値(εms+Δεm)が現在の機械圧縮比として算出される。
図21は、相対位置センサ25の出力値の補正制御及び異常判定制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定時間間隔の割込によって行われる。
図21に示したように、まずステップ151では、サブF/B学習値efgsfbが収束しているか否かが判定される。サブF/B学習値efgsfbの収束判定は、例えば、前回の取込後のサブF/B学習値efgsfbと今回の取込後のサブF/B学習値efgsfbとの差が予め定められた基準値以下であるか否かによって行われる。ステップ151においてサブF/B学習値efgsfbが収束していないと判定された場合には制御ルーチンが終了せしめられる。一方、サブF/B学習値efgsfbが収束したと判定された場合にはステップ152へと進む。ステップ152では、収束したサブF/B学習値efgsfbに基づいて図20に示したようなマップを用いて機械圧縮比εmgが推定される。次いで、ステップ153では、ステップ152で推定された機械圧縮比εmgと、相対位置センサ25の出力に基づいて算出された機械圧縮比εmsとから、これら機械圧縮比の差Δεmが算出される。
次いで、ステップ154では、ステップ153で算出された機械圧縮比の差Δεmが予め定められた異常判定値Δεma以上であるか否かが判定される。機械圧縮比の差Δεmが異常判定値Δεma以上であると判定された場合にはステップ155へ進み、相対位置センサ25に異常が発生していると判断される。この場合には、上述したように機械圧縮比が最低機械圧縮比にされると共に警告灯が点灯せしめられる。一方、ステップ154において、機械圧縮比の差Δεmが異常判定値Δεmaよりも小さいと判定された場合にはステップ156へと進む。ステップ156では、機械圧縮比の差Δεmに対応する量だけ相対位置センサの出力が補正される。
1 クランクケース
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 ピストン
5 燃焼室
7 吸気弁
16 アクチュエータ
17 スロットル弁
23 空燃比センサ
24 酸素センサ
A 可変圧縮比機構
B 可変バルブタイミング機構

Claims (2)

  1. 機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、機関排気通路内に設けられた排気浄化触媒の排気上流側に配置され且つ排気ガスの空燃比を検出する上流側空燃比センサと、上記排気浄化触媒の排気下流側に配置され且つ排気ガスの空燃比を検出する下流側空燃比センサとを具備し、上記上流側空燃比センサの出力値に基づいて排気空燃比が目標空燃比となるように燃料供給量を制御するメインフィードバック制御と、上記上流側空燃比センサの出力値と実際の排気空燃比とのずれを補償すべく上記下流側空燃比センサの出力値に基づいて排気空燃比が目標空燃比となるように燃料供給量を補正するサブフィードバック制御と、上記サブフィードバック制御における補正量の少なくとも一部を取り込むようにして算出された学習値に基づいて上記燃料供給量を補正する学習制御とを実行する内燃機関の空燃比制御装置において、
    上記機械圧縮比が高いほど、上記サブフィードバック制御における補正量を学習値に取り込む取込速度を速めるようにした、内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 上記学習値の収束を判定する収束判定手段を更に具備し、該収束判定手段によって学習値が収束したと判定された時の学習値に基づいて機械圧縮比を推定するようにした、請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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