JP5002680B2 - 改質天然ゴム、その製造方法、ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、改質天然ゴム、該改質天然ゴムの製造方法、該改質天然ゴムを用いたゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
天然ゴムはタイヤ、ベルト、ロール等の工業用品類からテニスボール等のスポーツ用品類にいたる多くの分野で使用されている。一般にゴム製品は使用中に圧縮−回復−伸長が繰り返され、損失エネルギーが蓄積して発熱が生じ、この熱がゴムの疲労を促進してゴム製品の寿命を短くする原因となる。上記発熱は、損失正接tanδで表されるエネルギー損失が大きいほど大きくなる。また、たとえばタイヤの場合、転がり抵抗は50〜70℃におけるtanδの大小に左右されることが経験的に知られており、tanδが大きいと発熱が大きくなるばかりでなく、転がり抵抗も大きくなって、自動車の燃費が悪化するという問題もある。従って、省燃費タイヤのトレッドの場合は、50〜70℃におけるtanδが小さいことが望ましい。
ゴム組成物のtanδを低くするために、天然ゴム中に含まれる蛋白質やゲル分を低減する方法として、たとえば特許文献1では、溶剤で膨潤した固形天然ゴムを水酸化アルカリ溶液に浸漬する方法が、特許文献2では天然ゴムラテックスにリン酸塩を添加してリン酸マグネシウムを除去する方法が、特許文献3では、天然ゴムラテックスに蛋白質分解酵素と界面活性剤を加えて熟成する方法が、特許文献4では、天然ゴムラテックスに界面活性剤を添加して洗浄処理する方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法では、蛋白質やゲル分をある程度低減することができるが、まだまだ充分なレベルではなく、tanδの更なる低減が望まれている。また、特にタイヤには耐摩耗性などの耐久性も要求されているが、一般に低燃費性と耐久性を両立することは困難である。
特開平11−12306号公報 特開2004−250546号公報 特開2005−82622号公報 特開平6−329838号公報
本発明は、前記課題を解決し、tanδを低減した改質天然ゴム、該改質天然ゴムの製造方法を、また、該改質天然ゴムを用い、低燃費性、耐摩耗性を両立したゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、天然ゴムラテックスをアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)によりケン化処理を行うことにより、蛋白質だけでなく、ゲル分、リン脂質をも低減でき、tanδを低減できることを見出した。更に、鋭意検討を重ねた結果、ケン化処理を行うだけではなく、更に、ケン化処理したゴムをアルカリ金属炭酸塩で処理することにより、蛋白質量を示す窒素含有量を大幅に低減でき、tanδの低減効果が更に大きくなることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、リン含有量が200ppm以下、窒素含有量が0.2質量%以下である改質天然ゴムに関する。
窒素含有量が0.1質量%以下であることが好ましい。
トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下であることが好ましい。
クロロホルム抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在せず、実質的にリン脂質が存在しないことが好ましい。
上記改質天然ゴムは、天然ゴムラテックスをアルカリによりケン化処理する工程と、ケン化処理された天然ゴムラテックスをpH調整する工程と、pH調整により得られたゴムをアルカリ金属炭酸塩で処理する工程と、アルカリ金属炭酸塩で処理されたゴムを洗浄する工程とを含む製法により得られたものであることが好ましい。
本発明はまた、天然ゴムラテックスをアルカリによりケン化処理する工程と、ケン化処理された天然ゴムラテックスをpH調整する工程と、pH調整により得られたゴムをアルカリ金属炭酸塩で処理する工程と、アルカリ金属炭酸塩で処理されたゴムを洗浄する工程とを含む改質天然ゴムの製造方法に関する。
本発明はまた、上記改質天然ゴム、および、加硫剤を含有するゴム組成物に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、リン含有量が特定量以下、窒素含有量が所定量以下である改質天然ゴムであるので、該改質天然ゴムのtanδを低減でき、tanδが低減され(低燃費性に優れ)、耐摩耗性に優れたゴム組成物、低燃費性、耐摩耗性に優れた空気入りタイヤを提供できる。
(改質天然ゴム)
本発明の改質天然ゴム(HPNR)は、リン含有量が特定量以下、窒素含有量が所定量以下である。
本発明では、天然ゴムラテックスをアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)によりケン化処理を行うことにより、蛋白質、ゲル分、リン脂質を低減することで、tanδを低減できる。次いで、ケン化処理したゴムをアルカリ金属炭酸塩で処理することにより、更に、蛋白質を大幅に低減でき、更にtanδを低減できる。そのため、本発明の改質天然ゴム(HPNR)は、tanδが大幅に低減されているため、発熱や転がり抵抗の減少の点で優れている。
また、通常、天然ゴム(TSR等)は合成ゴムに比べてムーニー粘度が高く加工性が悪いため、通常しゃっ解剤を添加して素練りを行い、ムーニー粘度を低下させてから使用される。一方、HPNRは、蛋白質、ゲル分、リン脂質が低減されたことにより、ムーニー粘度が低く、加工性も優れている。そのため、HPNRは、特段素練り工程を行わなくても充分に混練りでき、素練りによるゴム物性(ゴム強度など)の低下を防止できる。従って、HPNRは、天然ゴムが本来有するゴム物性を維持できるので、良好なゴム強度(破壊特性)や耐摩耗性を得ることもできる。従って、優れた加工性(生産性)を得つつ、低燃費性及び耐摩耗性をバランスよく改善できる。
本発明の改質天然ゴム(HPNR)は、リン含有量が200ppm以下である。200ppmを超えると、貯蔵中にゲル量が増加し、加硫ゴムのtanδが上昇する傾向があり、低燃費性及び耐摩耗性をバランス良く改善できない。該リン含有量は、150ppm以下が好ましく、130ppm以下がより好ましい。ここで、リン含有量は、たとえばICP発光分析等、従来の方法で測定できる。なお、リンはリン脂質(リン化合物)に由来するものである。
本発明の改質天然ゴム中のゲル含有率は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下が更に好ましい。20質量%を超えると、ムーニー粘度が高くなるなど、加工性が低下する傾向がある。また、低燃費性及び耐摩耗性をバランス良く改善できないおそれがある。ゲル含有率とは、非極性溶媒であるトルエンに対する不溶分として測定した値を意味し、以下においては単に「ゲル含有率」または「ゲル分」と称することがある。ゲル分の含有率の測定方法は次のとおりである。まず、天然ゴム試料を脱水トルエンに浸し、暗所に遮光して1週間放置後、トルエン溶液を1.3×10rpmで30分間遠心分離して、不溶のゲル分とトルエン可溶分とを分離する。不溶のゲル分にメタノールを加えて固形化した後、乾燥し、ゲル分の質量と試料の元の質量との比からゲル含有率が求められる。
本発明の改質天然ゴムは、実質的にリン脂質が存在しないことが好ましい。「実質的にリン脂質が存在しない」とは、天然ゴム試料をクロロホルムで抽出し、抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在しない状態を表す。−3ppm〜1ppmに存在するリンのピークとは、リン脂質におけるリンのリン酸エステル構造に由来するピークである。
本発明の改質天然ゴムにおいて、窒素含有量は0.2質量%以下であり、0.1質量%以下が好ましく、0.08質量%以下がより好ましい。窒素含有量が0.2質量%を超えると、低燃費性及び耐摩耗性をバランス良く改善できない。また、貯蔵中にムーニー粘度が上昇する。窒素は蛋白質に由来する。窒素含有量は、例えばケルダール法等、従来の方法で測定できる。
本発明の改質天然ゴムの製造方法としては、天然ゴムラテックスをアルカリによりケン化処理する工程と、ケン化処理された天然ゴムラテックスをpH調整する工程と、pH調整により得られたゴムをアルカリ金属炭酸塩で処理する工程と、アルカリ金属炭酸塩で処理されたゴムを洗浄する工程とを含む製法が挙げられる。具体的には、例えば、下記製法1、2などが挙げられる。
(製法1)天然ゴムラテックスをアルカリによりケン化処理する工程、ケン化処理された天然ゴムラテックスをpH調整する工程、pH調整後に得られた凝集ゴムを粉砕する工程、粉砕したゴムをアルカリ金属炭酸塩で処理する工程、及びアルカリ金属炭酸塩で処理したゴムをゴム中に含まれるリン含有量が特定量以下になるまで洗浄する工程を含む製法。
(製法2)天然ゴムラテックスをアルカリによりケン化処理する工程、ケン化処理された天然ゴムラテックスをpH調整する工程、pH調整後に高分子凝集剤によりゴムを凝集させる工程、凝集させたゴムをアルカリ金属炭酸塩で処理する工程、及びアルカリ金属炭酸塩で処理したゴムをゴム中に含まれるリン含有量が特定量以下になるまで洗浄する工程を含む製法。
上記製法によれば、ケン化により分離したリン化合物が洗浄除去されるので、改質天然ゴムのリン含有量を抑えることができ、tanδを低減できる。また、ケン化処理により、改質天然ゴム中の蛋白質が分解されるので、改質天然ゴムの窒素含有量を抑えることができ、よりtanδを低減できる。更に、ケン化処理された天然ゴムラテックスをpH調整した(酸でゴムを凝集させた)際、残存する酸をアルカリ金属炭酸塩で中和することにより、ゴム中の窒素含有量を一層低減でき、更にtanδを低減できる。また、優れた耐摩耗性も確保できる。
上記製法1及び2において、ケン化処理は、天然ゴムラテックスに、アルカリと、必要に応じて界面活性剤を添加して所定温度で一定時間、静置することにより行うことができる。なお、必要に応じて撹拌等を行っても良い。上記製法によれば、ケン化により分離したリン化合物が洗浄除去されるので、改質天然ゴムのリン含有量を抑えることができる。また、ケン化処理、及びアルカリ金属炭酸塩による処理により、改質天然ゴム中の蛋白質が分解されるので、改質天然ゴムの窒素含有量を抑えることができる。本発明では、天然ゴムラテックスにアルカリを添加してケン化できるが、天然ゴムラテックスに添加することにより、効率的にケン化処理を行えるという効果がある。
天然ゴムラテックスはヘビア樹の樹液として採取され、ゴム分のほか水、蛋白質、脂質、無機塩類などを含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明では、ヘビア樹をタッピングして出てくる生ラテックス、あるいは遠心分離法によって濃縮した精製ラテックスを使用できる。更に、生ゴムラテックス中に存在するバクテリアによる腐敗の進行を防止し、ラテックスの凝固を避けるために、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックスであってもよい。
ケン化処理に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アミン化合物等が挙げられ、ケン化処理の効果や天然ゴムラテックスの安定性への影響の観点から、特に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いることが好ましい。
ケン化処理において、アルカリの添加量は特に限定されないが、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましい。該添加量の上限は12質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、7質量部以下が更に好ましく、5質量部以下が特に好ましい。アルカリの添加量が0.1質量部未満では、ケン化処理に時間がかかってしまうおそれがある。また逆にアルカリの添加量が12質量部を超えると天然ゴムラテックスが不安定化するおそれがある。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が使用可能である。陰イオン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤があげられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤があげられる。両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤があげられる。なかでも、陰イオン性界面活性剤が好ましく、スルホン酸系の陰イオン性界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましく、1.1質量部以上が特に好ましく、2.0質量部以上が最も好ましく、上限は6.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、3.5質量部以下が更に好ましい。界面活性剤の添加量が0.01質量部未満では、ケン化処理時に天然ゴムラテックスが不安定化するおそれがある。また逆に界面活性剤の添加量が6.0質量部を超えると天然ゴムラテックスが安定化しすぎて凝固が困難になるおそれがある。また、1.1質量部以上である場合には、改質天然ゴム中のリン含有量、窒素含有量、ゲル含有率をより低減することができる。
ケン化処理の温度は、アルカリによるケン化反応が十分な反応速度で進行しうる範囲、および天然ゴムラテックスが凝固等の変質を起こさない範囲で適宜、設定できるが、通常は20〜70℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。また処理の時間は、天然ゴムラテックスを静置して処理を行う場合、処理の温度にもよるが、十分な処理を行うことと、生産性を向上することとを併せ考慮すると3〜48時間が好ましく、3〜24時間がより好ましい。
製法1及び2において、ケン化反応終了後のpH調整は、例えば、ギ酸等の酸を添加する方法が挙げられる。
pH調整において、該pHは、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上に調整される。一方,該pHは、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下に調整される。上記範囲内にpH調整することにより、製法1では、その後のアルカリ金属炭酸塩による処理により、蛋白質を充分に除去できる。また、製法2では、高分子凝集剤の添加により所望の大きさの凝集物(凝固物)が得られ、その後のアルカリ金属炭酸塩による処理により蛋白質を充分に除去できる。
製法1ではpH調整後に得られた凝集ゴムを粉砕する工程が行われ、製法2ではpH調整後に高分子凝集剤を用いてゴムを凝集させる工程が行われる。これにより、アルカリ金属炭酸塩による処理に供するゴムの凝集径を小さく調整できるため、当該工程で蛋白質が効率的にかつ充分に除去される。
製法1において、凝集ゴムの粉砕は、公知のクラッシャー(破砕機)又は粉砕機を使用して、pH調整により得られた凝集物を粉砕すればよい。クラッシャーとしては、ハンマークラッシャー(ハンマーミル)等、粉砕機としてはプラスチック粉砕機等が用いられる。なかでも、水分を含んだ状態で凝集物を細かく粉砕できるという理由から、クラッシャー(破砕機)を使用することが好ましい。
粉砕後の凝集物の平均凝集径は、好ましくは2.0cm以下、より好ましくは1.0cm以下である。2.0cmを超えると、効率的にかつ充分に蛋白質を除去できないおそれがある。該平均凝集径の下限は特に限定されないが、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上である。3mm未満であると、凝集物が小さすぎて連続処理中にロスが生じるおそれがある。
製法2において、高分子凝集剤によりゴムを凝集させる工程を行うと、pH調整により凝集させたゴムをより微細に凝集(凝固)させることができるため、製法1の粉砕する工程に比べて凝集径をより小さくできる。このため、より効率的にかつ充分に蛋白質を除去できる。なお、凝集径(凝固径)をより小さくできることから、高分子凝集剤を添加する際には、攪拌を行うことが好ましい。
製法2に使用できる高分子凝集剤としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩の重合体等のカチオン性高分子凝集剤、アクリル酸塩の重合体等のアニオン性高分子凝集剤、アクリルアミド重合体等のノニオン性高分子凝集剤、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩−アクリル酸塩の共重合体等の両性高分子凝集剤などが挙げられる。なかでも、負の電荷で安定化している天然ゴムラテックスを効率的に凝集できるという理由から、カチオン性高分子凝集剤が好ましく、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩の重合体等のポリ(メタ)アクリル酸エステル系がより好ましく、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩の重合体が更に好ましい。また、カチオン性高分子凝集剤は、強カチオン性、中カチオン性、弱カチオン性いずれも使用可能であるが、強カチオン性の高分子凝集剤が好ましい。
高分子凝集剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.2質量部以上が更に好ましい。0.05質量部未満では、添加量が不充分で、部分的にしか凝集物が得られないおそれがある。上限は5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、1質量部以下が更に好ましい。5質量部を超えると、1つの粒子に吸着する凝集剤の量が多くなり過ぎて、粒子間の反発作用で分散し、凝集物が得られなくなるおそれがある。
高分子凝集剤添加後の凝集物(凝固物)は、目開き5.6mm(ASTM E11 No.3−1/2)のふるいに対する透過率が、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。70質量%未満であると、効率的にかつ充分に蛋白質を除去できないおそれがある。また、上記透過率の上限は、特に限定されない。
なお、凝集物(凝固物)のふるいに対する透過率が70質量%とは、ふるいにかけた凝集物(凝固物)100質量%のうち、70質量%の凝集物(凝固物)がふるいを通過し、30質量%の凝集物(凝固物)がふるい上に残存することを意味する。
なお、上記透過率の測定方法は、後述の実施例に記載の方法により測定できる。
製法1及び2では、次に、粉砕又は高分子凝集剤の添加により得られた凝集物(凝固物(凝固されたゴム))とアルカリ金属炭酸塩とを接触させてアルカリ金属炭酸塩による処理を行う。
アルカリ金属炭酸塩による処理の方法としては、ゴムとアルカリ金属炭酸塩を接触させる方法であれば特に限定されず、例えば、上記凝集物をアルカリ金属炭酸塩水溶液に浸漬する方法などが挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウムなどが挙げられる。なかでも、本発明の効果に優れるという点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
上記浸漬によりアルカリ金属炭酸塩による処理を行う場合、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3質量%の濃度のアルカリ水溶液にゴム(上記凝集物)を浸漬することにより、処理できる。これにより、ゴム中の窒素量などを一層低減できる。
上記浸漬によりアルカリ金属炭酸塩による処理を行う場合、アルカリ処理の温度は、適宜、設定できるが、通常は20〜70℃が好ましく、25〜70℃がより好ましい。また、アルカリ処理の時間は、処理温度にもよるが、十分な処理と生産性を併せ考慮すると3〜10時間が好ましく、3〜7時間がより好ましい。
製法1及び2では、次に、アルカリ金属炭酸塩により処理された凝集物((凝固されたゴム))の洗浄処理を行う。洗浄処理は、リン含有量が特定量以下となるまで洗浄できれば特に限定されない。
洗浄処理としては、例えば、ゴム分(アルカリ金属炭酸塩により処理された凝集物(凝固物))に水を添加し、一定時間攪拌しながらゴム分を水に懸濁させた後、固液分離を行い、ゴム分を取り出す方法が挙げられる。固液分離は、例えば、ゴム分と水との比重差を利用して行えばよい。具体的には、例えば、ゴム分を水に懸濁させた後、一定時間静置し、ゴム分に比べて比重の大きい水を容器の下部から抜き取ればよい。また、遠心分離を行ってもよい。遠心分離を行うことで、極微細なゴム粒子まで効率的に分離することができる。遠心分離する際は、まず天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるように水で希釈し、次いで、1000〜10000rpm程度で1〜60分間遠心分離すればよい。この洗浄処理をゴム中に含まれるリン含有量が特定量以下となるまで繰り返せばよい。なお、リン含有量を特定量以下とするためには、洗浄処理を繰り返し行うことが好ましい。洗浄処理終了後、乾燥することにより、本発明における改質天然ゴム(HPNR)が得られる。
上記製造方法では、天然ゴムラテックス採取後15日以内にケン化〜乾燥の工程を終了することが好ましい。より好ましくは10日以内、更に好ましくは5日以内である。採取後固形化せずに15日を超えて放置しておくとゲル分が増大していくためである。
(ゴム組成物)
本発明のゴム組成物は、上記改質天然ゴム(HPNR)に加えて、加硫剤を含有する。加硫剤としては、硫黄、有機過酸化物、チウラム類などが挙げられる。
加硫剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1.2質量部以上である。0.1質量部未満では、十分な架橋度が得られないおそれがある。また、該配合量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。5.0質量部を超えると架橋度が高くなりすぎ、物性が低下するおそれがある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、カーボンブラック等の無機・有機充填剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、各種老化防止剤、ワックス、オイル等の軟化剤、加硫促進剤などを必要に応じて適宜配合することができる。
カーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、80m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましく、120m/g以上が更に好ましい。
80m/g未満では、耐摩耗性が低下する傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは280m/g以下が好ましく、160m/g以下がより好ましい。280m/gを超えると、分散性が劣り、耐摩耗性が低下する傾向がある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、好ましくは70ml/100g以上、より好ましくは90ml/100g以上、更に好ましくは100ml/100g以上である。70ml/100g未満では、加硫ゴムの補強性が充分に得られないおそれがある。また、カーボンブラックのDBP吸油量は、好ましくは160ml/100g以下、より好ましくは120ml/100g以下、更に好ましくは115ml/100g以下である。160ml/100gを超えると、未加硫ゴムの粘度が上昇し、加工しづらくなるおそれがある。
なお、カーボンブラックのDBP吸油量は、JIS K6217−4の測定方法によって求められる。
カーボンブラックを配合する場合、カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。20質量部未満では、カーボンブラックによる補強効果が充分に得られないおそれがある。また、該配合量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは70質量部以下である。100質量部を超えると、フィラーの分散性が悪化するおそれがある。また、低燃費性が悪化するおそれがある。
加硫促進剤としては、特に限定されず、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N’−ジフェニルグアニジンなどを使用できる。なかでも、本発明の効果が充分に得られる点から、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが好ましい。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のゴム組成物は、トレッド、サイドウォール等のタイヤの各部材、ベルト、ロール等に好適に使用できる。
(空気入りタイヤ)
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材(例えば、トレッド)の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより空気入りタイヤを得る。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例1〜8及び比較例1,2で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴムラテックス:タイテックス社から入手したフィールドラテックスを使用
Emal−E:花王(株)製の界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH
ギ酸:和光純薬工業(株)製のギ酸
アロンフロックC312:MTアクアポリマー(株)製の強カチオン性高分子凝集剤(ポリメタアクリル酸エステル系)
炭酸ナトリウム:和光純薬工業(株)製の炭酸ナトリウム
炭酸カリウム:和光純薬工業(株)製の炭酸カリウム
(アルカリによるケン化処理天然ゴムの作製)
実施例1
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、Emal−E10gとNaOH20gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。このラテックスに水を添加してDRC15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり攪拌しながらギ酸を添加しpHを4.0〜4.5に調整し、凝集させた。この凝集したゴムをナチュラルラバーマシーンアンドイクイップメント社製のハンマーミルで処理した後、ラバーグラヌュエイターで微細化(粉砕)した。粉砕後の凝集物(凝集したゴム)の平均凝集径は、5mmであった。
次に、粉砕後の凝集物(凝集したゴム)を0.1%炭酸ナトリウム水溶液に室温で10時間浸漬した後に引き上げ、水1000mlで洗浄を繰り返し、その後90℃で4時間乾燥して固形ゴム(改質天然ゴム)を得た。
実施例2〜6
アルカリ金属炭酸塩の種類及び/又は濃度を表1に従って変更した以外は、実施例1と同様の方法により固形ゴム(改質天然ゴム)を得た。また、実施例2〜6により得られた粉砕後の凝集物(凝集したゴム)の平均凝集径は、5mmであった。
実施例7
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、Emal−E10gとNaOH20gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。このラテックスに水を添加してDRC15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり攪拌しながらギ酸を添加しpHを4.0〜4.5に調整した。そして、pH調整後に攪拌しながら高分子凝集剤(アロンフロックC312)1gを0.1%溶液として添加し、凝集させた。
次に、凝集物(凝集したゴム)を0.5%炭酸ナトリウム水溶液に室温で5時間浸漬した後に引き上げ、水1000mlで洗浄を繰り返し、その後90℃で4時間乾燥して固形ゴム(改質天然ゴム)を得た。
実施例8
アルカリ金属炭酸塩水溶液の濃度を変更した以外は、実施例7と同様の方法により固形ゴム(改質天然ゴム)を得た。
比較例1
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、Emal−E10gとNaOH20gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。このラテックスに水を添加してDRC15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり攪拌しながらギ酸を添加しpHを4.0〜4.5に調整し、凝集させた。この凝集したゴムをナチュラルラバーマシーンアンドイクイップメント社製のハンマーミルで処理した後、ラバーグラヌュエイターで微細化(粉砕)した。粉砕後の凝集物(凝集したゴム)の平均凝集径は、5mmであった。
次に、粉砕後の凝集物(凝集したゴム)を水1000mlで洗浄を繰り返し、その後90℃で4時間乾燥して固形ゴム(天然ゴム)を得た。
比較例2
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、Emal−E10gとNaOH20gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。このラテックスに水を添加してDRC15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり攪拌しながらギ酸を添加しpHを4.0〜4.5に調整した。そして、pH調整後に攪拌しながら高分子凝集剤(アロンフロックC312)1gを0.1%溶液として添加し、凝集させた。
次に、凝集物(凝集したゴム)を水1000mlで洗浄を繰り返し、その後90℃で4時間乾燥して固形ゴム(天然ゴム)を得た。
実施例1〜8、比較例1,2により得られた固形ゴムについて以下に示す方法により、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率を測定した。また、実施例1〜8、比較例1,2により得られた凝集物(凝固物)(粉砕を行った場合は、粉砕後の凝集物、高分子凝集剤を添加した場合は、高分子凝集剤添加後の凝集物)について、目開き5.6mm(ASTM E11 No.3−1/2)のふるいに対する透過率を測定した。結果を表1に示す。
(窒素含有量の測定)
窒素含有量は、CHN CORDER MT−5(ヤナコ分析工業社製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、得られた天然ゴム約10mgを秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
(リン含有量の測定)
ICP発光分析装置(ICPS−8100、島津製作所(株)製)を使用してリン含有量を求めた。
また、リンの31P−NMR測定は、NMR分析装置(400MHz、AV400M、日本ブルカー社製)を使用し、80%リン酸水溶液のP原子の測定ピークを基準点(0ppm)として、クロロホルムにより生ゴムより抽出した成分を精製し、CDClに溶解して測定した。
(ゲル含有率の測定)
1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100
(ふるいに対する透過率の測定)
各例で得られた凝集物(凝固物)(粉砕を行った場合は、粉砕後の凝集物、高分子凝集剤を添加した場合は、高分子凝集剤添加後の凝集物)の目開き5.6mm(ASTM E11 No.3−1/2)のふるいに対する透過率は、以下のようにして測定した。
粉砕した凝集ゴムは、粉砕後水に浸漬し、ゴム同士が乾燥により、さらに凝集するのを防いだ状態で保管し試験に使用した。また、凝集剤で凝集したゴム粒子は、水を加えて、水に対するゴム粒子の比率のみ調整して試験に用いた。それぞれ、ゴム、水合計に対するゴムの質量の割合が10質量%になるように調整して試験に用いた。
上記ゴム分散物から、よく撹拌しながら約100gを取り、それを目開き5.6mmのふるいに流し込み、約70mmのふり幅、1分間に60往復の速度でふるい、ゴムが凝集しないように1%の界面活性剤を流し続け、ゴムがふるいを通過しなくなるまで分離を行った。ふるいを通過したゴム、ふるいに残存したゴムをそれぞれ乾燥し、次の式により透過率を計算した。
透過率=通過したゴムの質量/(通過したゴムの質量+ふるいに残存したゴムの質量)×100
Figure 0005002680
表1に示すように、実施例1〜8の天然ゴム(改質天然ゴム)は、比較例1,2の天然ゴム(アルカリ金属炭酸塩による処理未実施)に比べて、窒素含有量が大幅に低減していた。
また、実施例1〜8、比較例1,2の天然ゴムから抽出した抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークを検出しなかった。
以下、実施例9〜16及び比較例3,4で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴム:上記実施例1〜8及び比較例1,2により得られた固形ゴム
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN110(NSA:143m/g、DBP:113ml/100g)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛(亜鉛華1号)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
実施例9〜16及び比較例3,4
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。なお、実施例9〜16では、それぞれ実施例1〜8により得られた固形ゴム(HPNR)を使用した。比較例3、4では、それぞれ比較例1、2により得られた固形ゴムを使用した。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物を使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表2に示す。
(粘弾性試験)
得られた加硫ゴム組成物について、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)を測定し、比較例3のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、tanδが小さく、低燃費性に優れる。
(tanδ指数)=(比較例3のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(耐摩耗性)
ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%および試験時間2分間の条件下で得られた加硫ゴム組成物のランボーン摩耗量を測定した。そして、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、下記計算式により、各配合の容積損失量を指数表示した。なお、耐摩耗性指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(比較例3の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
(加工性)
得られた未加硫ゴム組成物について、JIS K6300に準拠したムーニー粘度の測定方法に従い、130℃でムーニー粘度(ML1+4)を測定した。ムーニー粘度が60未満を○とし、60〜70を△、70を超えるものを×とした。○の場合には、ムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示し、△、×についてはムーニー粘度が高く、加工性に劣ることを示す。
Figure 0005002680
表2により、リン含有量が特定量以下、窒素含有量が所定量以下である天然ゴム(改質天然ゴム)を使用した実施例では、tanδを低減できた。また、耐摩耗性も優れていた。実施例1〜4、実施例5,6、実施例7,8をそれぞれ比較すると、窒素含有量が少ない方が、よりtanδを低減できた。

Claims (7)

  1. リン含有量が200ppm以下、窒素含有量が0.2質量%以下である改質天然ゴムであって、
    該改質天然ゴムが、天然ゴムラテックスをアルカリによりケン化処理する工程と、ケン化処理された天然ゴムラテックスをpH調整する工程と、pH調整により得られたゴムをアルカリ金属炭酸塩で処理する工程と、アルカリ金属炭酸塩で処理されたゴムを洗浄する工程とを含む製法により得られたものであることを特徴とする改質天然ゴム。
  2. 窒素含有量が0.1質量%以下である請求項1記載の改質天然ゴム。
  3. トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が20質量%以下である請求項1または2に記載の改質天然ゴム。
  4. クロロホルム抽出物の31P NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在せず、実質的にリン脂質が存在しない請求項1〜3のいずれかに記載の改質天然ゴム。
  5. 天然ゴムラテックスをアルカリによりケン化処理する工程と、ケン化処理された天然ゴムラテックスをpH調整する工程と、pH調整により得られたゴムをアルカリ金属炭酸塩で処理する工程と、アルカリ金属炭酸塩で処理されたゴムを洗浄する工程とを含む改質天然ゴムの製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の改質天然ゴム、および、加硫剤を含有するゴム組成物。
  7. 請求項に記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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