JP5000611B2 - 内燃機関のバランサ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関(以下、エンジンという。)に取り付けられ、その振動を打ち消すように作動するバランサ装置に関する。
従来、レシプロエンジンに取り付けられ、ピストンの往復運動等により発生する振動を打ち消すための回転軸(バランサシャフト)を備えたバランサ装置が知られている。バランサシャフトはその軸心に対してオフセットした質量部分(偏心ウエイト)を有しており、バランサシャフトがクランクシャフトに同期して所定の速度で回転することで、上記振動を打ち消す方向の荷重(起振力)を発生させている。
例えば、特許文献1に記載の装置では、シリンダブロックの下面に設置されたバランサハウジング内に、クランクシャフトと平行に、2本のバランサシャフトが収容されている。第1バランサシャフトの端部には、クランクシャフトの回転を伝達する動力伝達機構(スプロケット及びチェーン)が設けられており、第1バランサシャフトは動力伝達機構を介してクランクシャフトにより駆動される。第2バランサシャフトは、第1バランサシャフトに連動して回転するように設置されている。
特開2004−239360号公報
クランクシャフトとバランサシャフトとの間に動力伝達機構を取り付ける際には、これらの回転軸が振動を打ち消すタイミングで同期する位置にて組み付ける必要がある。一方、レイアウトの関係から、これらを同期させるように位置決めしつつ動力伝達機構を取り付けるのは極めて煩雑な作業である。このため、特許文献1の装置は、第1バランサシャフトの端部の一部を切り欠いて、第1バランサシャフトの軸心からオフセットした形状の位置決め用の残余部を設けている。この残余部に所定の工具を噛み合わせてバランサシャフトを所定回転位置で固定することにより、取付作業の容易化を図っている。
しかし、特許文献1の装置においては、残余部の質量が第1バランサシャフトの軸心に対してオフセットしているため、第1バランサシャフトの回転時に、この質量の偏りによって、第1バランサシャフトの軸方向に対して直角方向の力が生じる。すなわち、偏心ウエイトだけでなく、残余部においても起振力が発生する。このため、バランサシャフト全体から発生する起振力の方向(中心位置)や大きさ(量)がばらつく、という問題があった。本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、取付作業を容易化しつつ、バランサシャフト全体から発生する起振力の方向や大きさを補正することができるバランサ装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のバランサ装置は、機関のクランクシャフトより駆動される第1バランサシャフトと、第1バランサシャフトを介して駆動される第2バランサシャフトを有し、第1バランサシャフトと第2バランサシャフトのうち少なくとも一方に、位置決め用の面が少なくとも1つ形成され、上記面が形成された部位でバランサシャフトがその軸心に関して非対称である非対称部を有するバランサ装置において、バランサシャフトの軸方向で上記非対称部を前後に挟んで互いに対峙するように、上記非対称部のうちバランサシャフトの軸心に近い側に余盛部を形成した
よって、上記面を用いて取付作業を容易化することができるとともに、上記非対称部の近傍の重心をバランサシャフトの軸心側に変位させて起振力の発生を抑制することで、バランサシャフト全体から発生する起振力の方向や大きさを補正することができる。
以下、本発明のバランサ装置を実現する最良の形態を、図面に基づき説明する。
まず、本実施例1のバランサ装置1の構成を説明する。バランサ装置1が適用されるのは、直列4気筒の往復ピストンエンジンである。図1は、バランサ装置付きエンジン(の一部)の組立状態をエンジンの下側(以下、下方という。)から見た全体斜視図である。図2は、バランサ装置付きエンジン(の一部)を前方から見た正面図である。
バランサ装置1は、ピストンの往復運動(コンロッド傾斜によるピストン速度の上下非対称)に起因して発生するエンジンの2次振動を低減する装置である。バランサ装置1は、2本のバランサシャフトをクランクシャフトの2倍速で回転させる2軸バランサ機構であり、ドライブ(駆動)側バランサシャフト2とドリブン(従動)側バランサシャフト3とを有している。ドライブ側及びドリブン側のバランサシャフト2,3は、互いに逆方向に回転して、バランサシャフト自体の左右方向の遠心力をキャンセルする。
シリンダブロック(エンジンブロック)4は、往復するピストンを格納するとともに、ガソリンが燃焼する際に生じる燃焼圧を受ける。シリンダブロック4の下部には、往復するピストンから駆動力として動力を得るクランクシャフト5が支持されており、その下方にはエンジンオイルを貯留するオイルパン6が配置されている。アッパーオイルパン60はシリンダブロック4に締結され、ロアオイルパン61はアッパーオイルパン60の下面にボルト止めされてエンジンオイルを保持する。
シリンダブロック4の下方には、バランサハウジング7が設置されている。バランサハウジング7はオイルパン6と一体に設けられている。尚、バランサハウジング7をオイルパン6と別体に設けてもよい。バランサ装置1は、アッパーオイルパン60に固定され、ロアオイルパン61に内包されている。ドライブ側及びドリブン側のバランサシャフト2,3は、バランサハウジングの内部に、クランクシャフト5と平行に収容・配置されている。


図3は、バランサ装置1を前方から見た正面図である。バランサハウジング7は、アッパーオイルパン60に一体成形されたアッパーハウジング70と、ロアハウジング71とに2分割されている。アッパーハウジング70とロアハウジング71は、ボルト8により連結されており、その間に、略同形状のドライブ側及びドリブン側のバランサシャフト2,3が並列に取り付けられている。バランサハウジング7は、オイルパン6内に滞留するエンジンオイルの干渉からバランサシャフト2,3を防ぎ、バランサシャフト2,3が回転する際に生じる起振力を受けると同時に、起振力をエンジンに伝達する。
図4は、図3のA−A断面であり、ドライブ側バランサシャフト2の軸方向断面を示す。図5は、図3のB−B断面であり、ドリブン側バランサシャフト3の軸方向断面を示す。
図6は、ヘリカルギア90が取り付けられたドライブ側バランサシャフト2を下方から見た下面図である。
ドライブ側バランサシャフト2は、本体部20と突出部21とを有している。本体部20には、軸方向から見て半円形状であってバランサシャフト軸心Oから重心がオフセットしたドライブ側バランスウエイト(偏心ウエイト)22が一体成形されている。本体部20には、バランスウエイト22を挟んだ前後に、軸受部23,24が設けられている。バランサハウジング7には、軸受72,73が設けられており、軸受部23,24をそれぞれ回転自在に支持している。バランサハウジング7には、円筒状の空間である回転室74が設けられており、バランスウエイト22は、回転室74内を回転自在に収容されている。
突出部21は、(回転室74を構成する)バランサハウジング7の外部前方に突出して設置される。突出部21には、軸受部25が設けられている。バランサハウジング7には、軸受75が設けられており、軸受部25を回転自在に支持している。突出部21において軸受部25の前側、すなわちドライブ側バランサシャフト2の前端部には、バランサスプロケット12を装着・固定するためのスプロケット取付部26が形成されている。
突出部21において軸受部25の後側には、ドライブ側バランサシャフト2の一部が切り欠かれることで二面幅部27が形成されている。アッパーハウジング70には、二面幅部27に対応する位置に、治具40に嵌合する凸部76が形成されている。治具40は、図7に示すように、先端部がコ字状の位置決め用の工具である。これら二面幅部27や凸部76は、エンジン組み付け時にバランサスプロケット12を装着する際、治具40を差し込んでこれらに嵌合させることでドライブ側バランサシャフト2の回転を防止し、ドライブ側バランサシャフト2を規定位置に固定するための位置決めとして設けられている。
図7は、ドライブ側バランサシャフト2の二面幅部27と、バランサハウジング7の凸部76との位相が一致した際に、治具40をこれらに嵌合させた状態を示す軸直方向断面図(図6のC-C断面)である。この状態でドライブ側バランサシャフト2の回転を防止しつつ、バランサスプロケット12を装着する。
本体部20において軸受部24の後側、すなわちドライブ側バランサシャフト2の後端部には、圧入によってヘリカルギア90が取り付けられている。なお、ヘリカルギア90をバランサシャフト2と一体に形成してもよい。ロアハウジング71には、ヘリカルギア90の前後方向両側面に対向して、スラスト受け部77が形成されている。
ドリブン側バランサシャフト3は、その前端側がドライブ側バランサシャフト2より短く形成されており、突出部を備えていない。すなわち本体部30のみを有している。本体部30には、ドリブン側バランスウエイト32が一体成形され、バランスウエイト32を挟んだ前後に、軸受部33,34が設けられている。バランスウエイト32は、回転室79内を回転自在に収容されている。その他の形状は、ドライブ側と同様であるため説明を省略する。
ドリブン側バランサシャフト3の後端側には、ヘリカルギア90と同歯数を持つヘリカルギア91が取り付けられている。ヘリカルギア90,91は、それぞれ互いに噛み合って設置されている。この噛み合いによって、ドライブ側バランサシャフト2の回転に連動して、ドリブン側バランサシャフト3がドライブ側バランサシャフト2と反対方向に回転する。すなわち、ヘリカルギア90,91は反転機構として機能する。
スラスト受け部77,78は、それぞれドライブ側及びドリブン側バランサシャフト2,3が軸方向へ移動する力を受け、移動を規制している。
クランクシャフト5及びドライブ側バランサシャフト2の前端側には、動力伝達機構10が取り付け・固定されている。クランクシャフト2の回転は、動力伝達機構10を介してドライブ側バランサシャフト2を直接駆動する。
動力伝達機構10は、クランクシャフト5の前端部に装着されるクランクスプロケット11と、ドライブ側バランサシャフト2の前端部に装着されるバランサスプロケット12と、これらのスプロケット11,12に巻回したチェーン13とを一体的なアッセンブリ(複合部品)として構成している。
そして、このアッシーのクランクスプロケット11がクランクシャフト5の端部に組み込まれ、バランサスプロケット12の端部がドライブ側バランサシャフト2の端部に組み込まれてボルト締結されることで、各々装着・固定可能となっている。尚、このアッシーは、クランクスプロケット11とバランサスプロケット12とに巻回するチェーン13が所定強さの張りを持った状態で形成されている。
クランクシャフト5の駆動力は、クランクスプロケット11とバランサスプロケット12間に掛け渡されたチェーン13を介してドライブ側バランサシャフト2に伝達され、バランサ装置1を駆動する。
図9は、図6の二面幅部27の近傍を拡大して示す。図8は、図9のE-E断面を後方から見た図である。
上記のように、ドライブ側バランサシャフト2には、その回転軸心(以下、軸心Oという。)に対してオフセットした位置決め用の二面幅が形成されている。軸心Oの方向(以下、軸心方向という。)から見て軸心Oを挟んだ両側を切り欠くことで、第1平面部271と第2平面部272が形成されている。第1平面部271と第2平面部272は、軸心Oを挟んで対向しており、軸心Oからの距離は第1平面部271と第2平面部272とで非対称である。軸心Oを通る直線lにおいて、軸心Oから第2平面部272までの距離r2は軸心Oから第1平面部271までの距離r1よりも大きい(図8参照)。
すなわち、第2平面部272は第1平面部271よりも軸心Oから離れており遠く、軸心Oからのオフセット量が大きい。第1平面部271は第2平面部272よりも軸心Oに近く、軸心Oからのオフセット量が小さい。言い換えると、二面幅部27は、バランサシャフト2の軸心Oから見て両側に第1、第2平面部271,272を有し、一方の平面部271の面積が、他方の平面部272の面積よりも大きくなるようにオフセットしている。
また、軸心Oからの二面幅部27のオフセット方向は図8の左右方向であり、バランスウエイト22が軸心Oに対してオフセットして設けられている方向(バランスウエイト22の起振力方向)である下方に対して直角方向である。言い換えると、二面幅部27の第1、第2平面部271,272が広がる方向は、鉛直方向であり、バランスウエイト22の重心が軸心Oに対してオフセットしている方向と同じである。
そして、図7に示すように、二面幅部27に対峙して、アッパーハウジング70の一部が下方に向かって突起することで形成された凸部76が、ドライブ側バランサシャフト2の軸心方向から見て一方側(図7では右側)にオフセットした状態で形成されている。上記軸心方向から見て、二面幅部27及び凸部76の幅は略一致しており、治具40が取り付けられる正規の位相状態では、二面幅部27の第1、第2平面部271,272と、凸部76の両側端面760,761とが鉛直方向でそれぞれ面一(同一平面)となる(図7参照)。
二面幅部27及び凸部76のバランサシャフト軸心方向長さは、治具40により把持可能な長さ、例えば20〜30mmで形成されている。位置決め用の治具40の先端部は、コ字型に形成され、把持する部分の幅L1が、二面幅部27及び凸部76のバランサシャフト軸心方向から見た幅L2と略一致するかまたは若干大きく形成されている。
このため、二面幅部27が正規の位相に位置しているとき、すなわち二面幅部27の平面部271,272と、凸部76の両側端面760,761とが鉛直方向でそれぞれ面一となるときにのみ、治具40を二面幅部27及び凸部76に噛み合わせることが可能となる。二面幅部27が正規の位相からずれているときは、治具40を二面幅部27及び凸部76に嵌合させることができない。例えば二面幅部27が正規の位相から180度ずれている状態(逆位相)において、治具40を二面幅部27に嵌合させることはできるが、凸部76に嵌合させることができない。
そして、治具40を二面幅部27及び凸部76に噛み合わせてバランサシャフト2の回転を防止した状態で、クランクシャフト5及びバランサシャフト2の端部に動力伝達機構10(スプロケット11,12及びチェーン13)を組み付ける。
また、二面幅部27の近傍、言い換えると二面幅部27に(軸方向で)隣接する位置であって、バランサシャフト2の軸心Oにより近い面である第1平面部271の側には、図9に示すように、余盛部28、すなわちバランサシャフト2の基本軸径からはみ出して外径方向に延びる突出部が形成されている。余盛部28は、二面幅部27を挟んでバランサシャフト軸心方向前後に形成されており、前側の第1余盛部281と後側の第2余盛部282を有している。第1、第2余盛部281,282は軸方向長さが短い円筒形であり、その軸心Pは、バランサシャフト2の軸心Oに対し、(軸心Oに近い)第1平面部271の側にオフセットしている。
すなわち、二面幅部27の重心がバランサシャフト2の軸心Oから図の右方向へオフセットしているのに対し、第1、第2余盛部281,282の重心はそれと反対方向に、軸心Oから図の左方向へオフセットしている。これにより、二面幅部27の近傍の重心を、全体として軸心Oの側に変位させている。
(作用)
次に、本実施例1の装置1の作用を説明する。
エンジン始動と同時に、ピストンの往復運動によりクランクシャフト5に駆動力が発生する。クランクシャフト5からの駆動力はチェーン13を介してドライブ側バランサシャフト2に伝達され、ドライブ側バランサシャフト2を回転させる。ドライブ側バランサシャフト2の回転力はヘリカルギア90、91を介してドリブン側バランサシャフト3に伝達され、ドリブン側バランサシャフト3を回転させる。このとき、両ヘリカルギア90,91が噛合することによって、両バランサシャフト2,3が互いに反対方向に回転する。その際、バランサシャフト2,3の回転軸心に対してアンバランスに設けられた各バランスウエイト22,32の遠心力により、バランサ装置1は往復するピストンの起振力(慣性力による2次振動)を相殺する方向及び大きさの起振力を発生する。
ここで、2次振動を有効に相殺するためには、クランクシャフト5の回転に対してドライブ側及びドリブン側バランサシャフト2,3(バランスウエイト22,32)の重心の回転位相が同期しており、位相のズレがないことが必要である。よって、エンジン組立て時、クランクシャフト5とドライブ側バランサシャフト2との間に動力伝達機構10を取り付ける際には、これらの回転軸が振動を打ち消すタイミングで同期する位置にて組み付ける必要がある。一方、レイアウトの関係から、これらを同期させるように位置決めしつつ動力伝達機構10を取り付けるのは極めて煩雑な作業である。
このため、本実施例1の装置1は、バランサシャフト2の端部の一部を切り欠き、バランサシャフト2の軸心Oからオフセットした位置決め用の二面幅部27を設けている。この二面幅部27に治具40を噛み合わせてバランサシャフト2を所定回転位置で固定することにより、取付作業を容易にしている。
すなわち、動力伝達機構10をクランクシャフト5及びドライブ側バランサシャフト2の端部に取り付け・固定する際には、ドライブ側バランサシャフト2の二面幅部27の回転位相を正規のものとし、二面幅部27及びバランサハウジング7の凸部76の位相が一致した状態(二面幅部27の平面部271,272と、凸部76の両側面760,761とが面一の状態)で両者27,76に治具40を嵌合させ、バランサシャフト2を回転方向の所定位置で位置決めする。このようにバランサシャフト2の回転を防止した状態で、動力伝達機構10のクランクスプロケット11及びバランサスプロケット12を、クランクシャフト5及びドライブ側バランサシャフト2に取り付け・固定する。この際、バランサスプロケット12は、スプロケットボルト14によりドライブ側バランサシャフト2に締め付け固定される。
このように、二面幅部27及び凸部76が共にドライブ側バランサシャフト2の軸心Oからオフセットされている。このため、位相を合わせた状態で動力伝達機構10の取り付け・固定を行える。すなわち、二面幅部27の正規の位置(回転位相)が唯1つに決まり、正規の位相の場合にのみ治具40を二面幅部27に噛み合わせることができる。一方、二面幅部27が例えば逆位相となる場合には、治具40を噛み合わせることができない。従って、バランサシャフト2の位相合わせが可能となり、正規の位相から例えば180度回転した状態での誤組み付けを防止することができる。
特に、本実施例1では、バランサハウジング7は、二面幅部27に対峙する突起部(凸部76)を有している。このため、動力伝達機構10を取り付け・固定する際、ドライブ側バランサシャフト2の二面幅部27及びバランサハウジング7の凸部76を一緒に把持した状態で治具40に噛み合わせることができ、容易に作業が行える。
また、バランサシャフト2の位置決め・固定用の面は、バランサシャフト2の軸心Oから一方にオフセットした位置に、互いに対峙して形成された2つの面(第1、第2平面部271、272)として設けられている。よって、治具40により上記2つの面をしっかり挟み込んで固定することで二面幅部27を把持することができ、面を1つのみ形成した場合と比べ、バランサシャフト2の回転を防止することがより容易となり、バランサスプロケット12の固定に際して作業者の負担が低減される。
また、複数のバランサシャフト2,3のうち、動力伝達機構10により直接駆動されるバランサシャフト2のみに、その端部がバランサハウジング7の外部に突出するよう突出部21を形成し、突出部21の一部を切り欠いて、位置決め用の面(二面幅部27)を設けた。すなわち、上記面(二面幅部27)は、ドリブン側バランサシャフト3よりもバランサスプロケット12に近いドライブ側バランサシャフト2に形成されている。このため、バランサスプロケット12をボルト14によりドライブ側バランサシャフト2に固定する際、容易に作業が行える。
また、バランサスプロケット12をスプロケットボルト14によりドライブ側バランサシャフト2にねじ込んで締め付ける際、上記面(二面幅部27)が、上記ねじ込む力を、ヘリカルギア90,91を介さずに直接受け止めることができる。よって、二面幅部27をドリブン側バランサシャフト3に形成した場合と比べて、締め付け力を効率よく受けることができるとともに、ヘリカルギア90,91の負担が少なく、エンジン組み付け時にヘリカルギア90,91の歯が欠けてしまうといったおそれがない。
動力伝達機構10(スプロケット11,12及びチェーン13)を取り付ける際、シリンダブロック4に取り付けられる側を鉛直上方にして取り付ける。しかし、図1に示すように、シリンダブロック4に取り付けられる側を鉛直下方にして取り付けてもよく、特に限定しない。後者の場合、安定して作業が行える。すなわち、二面幅部27及び凸部76に治具40を噛み付け、手を離した状態で作業が行える。
また、二面幅部27の第1、第2平面部271,272が広がる方向は、バランスウエイト22の重心が軸心Oに対してオフセットしている方向と同じである。よって、エンジン組立て時、ドライブ側バランサシャフト2は、作業者が特に回転力を加えなくても、バランスウエイト22の重さによって、二面幅部27の第1、第2平面部271,272が鉛直方向に沿う状態(回転位相)で静止する。本実施例1では、このとき第1、第2平面部271,272が凸部76の両側面760,761と面一となるように、二面幅部27と凸部76の軸心Oに対するオフセット方向を調整している。よって、作業者は、特に力を加えなくても、二面幅部27の回転位相を正規のものとして位置決めをすることが容易であり、治具40を二面幅部27及び凸部76に楽に噛み合わせ、固定することができる。
一方、軸心Oからの二面幅部27のオフセットにより、クランクシャフト5及びバランサシャフト2,3が回転する際、バランサシャフト2には、軸心方向に対して直角方向の力が働き、バランスウエイト22による起振力の方向や量をずらしてしまうおそれがある。よって、単に二面幅部27を設けただけでは、組付性はよくなるものの、バランサ機能を十分に発揮することができず、エンジンの振動を十分に打ち消すことができないおそれがある。また、バランサシャフト2のアンバランス量を調整するために事後的な加工が必要となって、コスト高となるおそれがある。
これに対し、本実施例1では、二面幅部27の近傍で、軸心Oに近い第1平面部271の側に余盛部28、すなわちバランサシャフト2の外径方向に延びる突起を形成している。余盛部28は第1、第2余盛部281,282を有しており、第1、第2余盛部281,282の重心は、それぞれ二面幅部27の重心と反対方向にバランサシャフト(起振軸)2の軸心Oからオフセットしている。余盛部28等の偏心質量mと起振軸軸心Oからの偏心質量重心までの距離rとの積m×rを「偏心モーメント」とすると、第1、第2余盛部281,282の偏心モーメントと二面幅部27の偏心モーメントは大きさが略等しく、互いに偏心質量の釣り合いをもたせるように設けられている。
すなわち、二面幅部27の近傍(二面幅部27それ自体を含む)の重心は、全体として、バランサシャフト2の軸心Oの側に変位しており、二面幅部27の近傍全体の偏心モーメントはゼロに近づいている。言い換えると、二面幅部27において(軸心Oから第2平面部272に向かう方向に)発生する軸心方向に対し直角方向の力f0(図9参照)を、第1、第2余盛部281,282において(軸心Oから第1平面部271に向かう方向に)発生する軸心方向に対して直角方向の力f1,f2で打ち消している。これにより、オフセットした二面幅部27を設けたことに起因するバランサシャフト2の全体に働く力の不釣合いを低減している。
また、第1、第2余盛部281,282は、二面幅部27に隣接して、二面幅部27のバランサシャフト軸方向前後に形成している。よって、二面幅部27において発生する力f0は、二面幅部27の軸方向両側において発生する逆向きの力f1、f2によって打ち消される。このため、バランサシャフト2を平面内で全体として回転させようとするモーメントM(図9参照)が生じることが防止される。また、第1、第2余盛部281,282が二面幅部27に近接しているため、バランサシャフト2の撓みが防止される。
図8に示すように、余盛部28(第1、第2余盛部281,282)は、その軸心Pが、バランサシャフト2の軸心Oに対し、(軸心Oにより近い面である)第1平面部271の側にオフセットした円筒形状である。このように円筒形状とすることで、バランサシャフト2の加工が容易である。また、滑らかな連続面となるため、応力集中を回避することができ、耐久性を向上できる。
[実施例1の効果]
以下、実施例1から把握される本発明のバランサ装置1の効果を列挙する。
(1)機関のクランクシャフト5により駆動される第1(ドライブ側)バランサシャフト2と、第1バランサシャフト2を介して駆動される第2(ドリブン側)バランサシャフト3を有し、第1バランサシャフト2と第2バランサシャフト3のうち少なくとも一方(第1バランサシャフト2)に、位置決め用の面が少なくとも1つ形成され(第1平面部271)、バランサシャフトの軸心Oからの距離が上記面(第1平面部271)と上記面の対向側(第2平面部272)とで非対称である非対称部(二面幅部27)を有するバランサ装置において、上記非対称部の近傍で、上記非対称部のうちバランサシャフト2の軸心Oに近い側(第1平面部271)に余盛部28を形成した。
よって、複数のバランサシャフト2,3の少なくとも1つに上記面(第1平面部271)を形成し、該面271と該面271の対向側(第2平面部272)を該バランサシャフト2の軸心位置Oに関して非対称としたことで、治具40によりバランサシャフト2を位置決め・固定することが可能となり、取付作業を容易化することができる。
また、上記面(第1平面部271)が形成された部位(二面幅部27)ではバランサシャフト2がその軸心Oに関して非対称となるが、上記非対称部(二面幅部27)の近傍の重心をバランサシャフト2の軸心Oの側に変位させ、上記非対称部(二面幅部27)の近傍における起振力の発生を抑制することで、バランサシャフト2の全体から発生する起振力の方向や大きさを補正することができる、という効果を有する。
(2)余盛部28(第1、第2余盛部281,282)は、上記面(二面幅部27)のバランサシャフト軸方向前後に形成した。
よって、余盛部28(第1、第2余盛部281,282)を設けた場合でも、バランサシャフト2を平面内で回転させようとするモーメントMが生じることを防止でき、上記(1)の効果を向上できる。
(3)余盛部28(第1、第2余盛部281,282)は、その軸心Pを、バランサシャフト2の軸心Oに対し、該バランサシャフト2の軸心Oに近い側(第1平面部271の側)にオフセットした円筒形であることとした。
よって、余盛部28(第1、第2余盛部281,282)を設けた場合でも、バランサシャフト2の加工を容易とし、また耐久性を向上できる。
(4)上記面(二面幅部27)は、バランサシャフト2の軸心Oから一方にオフセットした位置に、互いに対峙して形成された2つの面(第1、第2平面部271,272)であることとした。
よって、治具40により上記2つの面271,272を挟み込むことで、バランサシャフト2の回転を防止することがより容易となり、取付作業の負担をより低減できる。
(5)上記面(二面幅部27)は、第1(ドライブ側)バランサシャフト2に形成されていることとした。
よって、バランサスプロケット12をドライブ側バランサシャフト2に固定する際、容易に作業が行える。また、ヘリカルギア90,91の負担を少なくすることができる。
実施例2のバランサ装置1は、二面幅部27の近傍に余盛部を形成するのではなく、除肉部29を形成している点で、実施例1と相違する。その他の構成は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
図10は、実施例1の図9に相当する図であり、実施例2の二面幅部27の近傍を拡大して示す。図11は、図10の二面幅部27の近傍を第2平面部272の側から見た側面図である。図12は、図10のD−D断面を示す。
二面幅部27において、(バランサシャフト2の軸心Oから遠い側、すなわち第1平面部271の反対側の)第2平面部272には、除肉部29、すなわちバランサシャフト2の内径方向に穿たれた窪みが形成されている。除肉部29は、二面幅部27に第2平面部272から有底円筒形状の孔290を形成することで設けられている。図11に示すように孔290の断面は円形であり、孔290の直径は第2平面部272のバランサシャフト軸心方向幅よりも僅かに小さく設けられており、第2平面部272内に孔290の全体が収まっている。孔290の深さは、バランサシャフト2の軸心Oよりも僅かに浅く設けられている(図12参照)。
実施例2では、この孔290の分だけ二面幅部27における第2平面部272側の質量を減少させ、除肉部29が形成された第2平面部272の側の偏心モーメントの大きさと、除肉部29が形成されていない第1平面部271の側の偏心モーメントの大きさとが略等しく、互いに偏心質量の釣り合いをもたせるように設けられている。すなわち、二面幅部27の近傍(二面幅部27それ自体を含む)の重心は、全体として、バランサシャフト2の軸心Oの側に変位しており、二面幅部27の近傍全体の偏心モーメントはゼロに近づいている。
言い換えると、第1平面部271の側において(軸心Oから第1平面部271に向かって)発生する軸心方向に対して直角方向の力f3を、第2平面部272の側において(軸心Oから第2平面部272に向かって)発生する軸心方向に対し直角方向の力f4、f5でちょうど打ち消すように、孔290を設けて第2平面部272の側の質量を減少させている。これにより、オフセットした二面幅部27を設けたことに起因するバランサシャフト2の全体に働く力の不釣合いを低減している。
また、除肉部29(孔290)は、二面幅部27(第2平面部272)において、バランサシャフト2の軸直方向における中央位置に形成されている。よって、二面幅部27において軸心Oから第1平面部271に向かって発生する力f3は、孔290のバランサシャフト軸方向両側において発生する逆向きの力f4、f5によって打ち消される。このため、バランサシャフト2の軸心方向に対して直角方向の偶力(バランサシャフト2の軸直方向に作用する力のモーメント)が生じることが防止される。
また、除肉部29(孔290)は、二面幅部27(第2平面部272)において、バランサシャフト2の軸方向における中央位置に形成されている。よって、バランサシャフト2の撓みが防止される。
実施例2の装置1は、実施例1とは異なり、バランサシャフト2の全体に働く力の不釣合いを低減するために質量を減少させる。このため、バランサシャフト2の質量を減少させることができるとともに、バランサシャフト2の慣性モーメントを低減できる。
尚、バランサシャフト2の製造方法として、熱間鍛造による場合は、後から孔290を開けることとなるが、鋳物による場合は、鋳込み時に簡単に孔290を設けることができる。
実施例2の装置は、以下の効果を有する。
(6)機関のクランクシャフト5により駆動される第1(ドライブ側)バランサシャフト2と、第1バランサシャフト2を介して駆動される第2(ドリブン側)バランサシャフト3を有し、第1バランサシャフト2と第2バランサシャフト3のうち少なくとも一方(第1バランサシャフト2)に、位置決め用の面が少なくとも1つ形成され(第1平面部271)、バランサシャフト2の軸心Oからの距離が上記面(第1平面部271)と上記面の対向側(第2平面部272)とで非対称である非対称部(二面幅部27)を有するバランサ装置において、上記非対称部のうち軸心Oから遠い側(第2平面部272の側)に除肉部29を形成した。
よって、取付作業を容易化することができる。また、重心をバランサシャフト2の軸心側に変位させ、上記面(二面幅部27)を設けたことに起因する起振力の発生を抑制することで、バランサシャフト2の全体から発生する起振力を補正することができる。さらに、バランサシャフト2の質量や慣性モーメントを低減できる、という効果を有する。
(7)除肉部29は、有底円筒形状の孔290を形成して行うこととした。
よって、孔の断面が円形であり円筒形状であるため、加工が容易である。
実施例3のバランサ装置は、二面幅部27の近傍に除肉部29を形成する点で実施例2と共通するが、除肉部29の形状が実施例2と相違する。その他の構成は実施例2と同様であるため、説明を省略する。
図13は、実施例1の図9に相当する図であり、実施例3の二面幅部27の近傍を拡大して示す。図14は、図13の二面幅部27の近傍を第2平面部272の側から見た側面図である。図15は、図13のD−D断面を示す。
二面幅部27の近傍で、(バランサシャフト2の軸心Oから遠い側、すなわち第1平面部271の反対側の)第2平面部272には、除肉部29が形成されている。除肉部29は、第2平面部272に有底筒形状の孔290を形成することで設けられている。図14に示すように、孔290は第2平面部272の側から見た断面が長円状であり、相互に間隔をあけて軸方向に平行に延びる一対の直線部291,292と、各直線部291,292の長手方向一端部を円弧状に凸に湾曲して連結する第1湾曲部293と、各直線部291,292の長手方向他端部を円弧状に凸に湾曲して連結する第2湾曲部294とを有している。孔290のバランサシャフト軸直方向幅は、第2平面部272の軸直方向幅よりも小さい。一方、孔290のバランサシャフト軸方向(長手方向)幅は第2平面部272の軸方向幅よりも大きく、孔290が第2平面部272から軸方向前後にはみ出して形成されている。孔290の深さは、バランサシャフト2の軸心Oよりも僅かに浅く設けられている。
実施例3では、実施例2と同様、この孔290の分だけ二面幅部27の近傍(二面幅部27それ自体を含む)における第2平面部272の側の質量を減少させ、二面幅部27の近傍の重心を、全体として、バランサシャフト2の軸心側に変位させている。二面幅部27の近傍全体の偏心モーメントはゼロに近づき、これにより、オフセットした二面幅部27を設けたことに起因するバランサシャフト全体に働く力の不釣合いを低減している。
また、除肉部29(孔290)は、二面幅部27(第2平面部272)において、バランサシャフト2の軸方向及び軸直方向における中央位置に形成されている。よって、二面幅部27の近傍において(軸心Oから第1平面部271に向かって)発生する力f3'は、孔290の軸方向両側において発生する逆向きの力f4'、f5'によって打ち消される。このため、バランサシャフト2の軸方向に対して直角方向の偶力(バランサシャフト2の軸直方向に作用する力のモーメント)が生じることが防止される。また、バランサシャフト2の撓みが防止される。
(8)除肉部29は、有底筒形状の孔、具体的には断面が長円状の孔290を形成して行うこととした。
よって、実施例2と同様の効果(6)を得ることができる。また、第2平面部272の面積を多く残しつつ、なるべく多くの質量を第2平面部272の側から抜き取ることができる等、加工や変形の自由度が高い。
実施例4のバランサ装置は、二面幅部27の近傍に余盛部や除肉部を形成するのではなく、バランスウエイト22に除肉部(切欠部220,221)を形成している点で、実施例1〜3と相違する。その他の構成は実施例1〜3と同様であるため、説明を省略する。
図16は、図6と同方向から見たドライブ側バランサシャフト2である。バランサシャフト2のバランスウエイト22は同方向から見て四角形であり、その対角位置にある2隅において切り欠かれている。バランスウエイト22において、二面幅部27に近い前端部では、バランサシャフト2の軸心Oに対して図16の右側(第2平面部272の側)に、切り欠きが設けられている。また、二面幅部27から遠い後端部では、バランサシャフト2の軸心Oに対し図16の左側(第1平面部271の側)に切り欠きが設けられている。
言い換えると、バランスウエイト軸方向で見ると二面幅部27から遠い側である後方側の隅であり、かつバランスウエイト径方向で見ると第1平面部271が設けられている側である図16の左側の隅に、第1の切欠部220が形成されている。また、バランスウエイト軸方向で見ると二面幅部27に近い側である前方側の隅であり、かつバランスウエイト径方向で見ると第2平面部272が設けられている側である図16の右側の隅に、第2の切欠部221が形成されている。第2の切欠部221において切り欠かれている量は、第1の切欠部220よりも大きい。
これらの切欠部220,221により、バランサシャフト2の重心は、全体として、バランサシャフト2の軸心側に変位しており、バランサシャフト2の全体の偏心モーメントはゼロに近づいている。言い換えると、二面幅部27において(バランサシャフト2の軸心Oから第2平面部272の側に向かって)発生するバランサシャフト軸心方向に対し直角方向の力f6を、第1の切欠部220が設けられた前端部において(軸心Oから第2平面部272の側に向かって)発生する軸心方向に対して直角方向の力f7と、第2の切欠部221が設けられた後端部において(軸心Oから第1平面部271の側に向かって)発生する軸心方向に対して直角方向の力f8とにより打ち消している。これにより、オフセットした二面幅部27を設けたことに起因するバランサシャフト2の全体に働く力の不釣合いを低減している。
また、第1の切欠部220が設けられた前端部において発生する力f7は、第1の切欠部220のバランスシャフト軸方向両側において発生する逆向きの力f6、f8によって打ち消される。このため、バランサシャフト2を平面内で回転させようとするモーメントM' が生じることが防止される。
さらに、実施例3の装置1は、実施例2,3と同様、バランサシャフト2の全体に働く力の不釣合いを低減するために質量を減少させる手段を採用するため、バランサシャフト2の質量を減少させることができるとともに、バランサシャフト2の慣性モーメントを低減できる。
(9)機関のクランクシャフト5により駆動される第1(ドライブ側)バランサシャフト2と、第1バランサシャフト2を介して駆動される第2(ドリブン側)バランサシャフト3を有し、第1バランサシャフト2と第2バランサシャフト3のうち少なくとも一方(第1バランサシャフト2)に、位置決め用の面が少なくとも1つ形成され(第1平面部271)、バランサシャフトの軸心Oからの距離が上記面(第1平面部271)と上記面の対向側(第2平面部272)とで非対称である非対称部(二面幅部27)を有するバランサ装置において、バランサシャフト2のバランスウエイト22の、バランスウエイト軸方向では上記非対称部から遠い側で、かつバランスウエイト径方向では上記非対称部のうち、バランサシャフト軸心Oに近い側(第1平面部271の側)に第1の切欠部220を形成するとともに、バランスウエイト軸方向では上記非対称部に近い側で、かつバランスウエイト径方向では上記非対称部のうち、バランサシャフト軸心Oから遠い側(第2平面部272の側)に第1の切欠部220より大きい第2の切欠部221を形成した。
よって、二面幅部27から発生する力f6を第1、第2の切欠部220,221によって発生する力f7、f8で打ち消し、バランサシャフト2の全体に働く力の不釣合いを低減できる。また、力f7は逆向きの力f6、f8で挟まれているため、バランサシャフト2の全体を平面内で回転させようとするモーメントM' を抑制できる。また、バランサシャフト2の質量とともに慣性モーメントを低減できる。
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜4に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1〜4では、本発明のバランサ装置を直列4気筒エンジンに適用することとしたが、直列4気筒に限らず、それ以外の気筒配列のエンジンに適用することとしてもよい。
実施例1〜4では、ドライブ側バランサシャフトとドリブン側バランサシャフトのうちドライブ側に二面幅部を設けることとしたが、ドリブン側に二面幅部を設けることとしてもよい。また、両方のバランサシャフトに設けることとしてもよい。
実施例1〜4では、2つの面を有する二面幅部を設けることとしたが、1つの面のみを形成し、バランサシャフト軸心を挟んで上記1つの面に対向する側には面を設けないこととしてもよい。この場合でも、上記1つの面に嵌合するように治具を設置することが可能であり、バランサシャフトを位置決め、固定することができる。
実施例1〜4では、二面幅部の第1、第2平面部が平面であることとしたが、平面ではなく、曲率を有して丸みを帯びた面を設けることとしてもよい。また、面に限らず、複数の線接触部分や点接触部分を設け、これらが治具と当接することでバランサシャフトを位置決め、固定することとしてもよい。
実施例1〜4では、二面幅部に対峙して治具に嵌合する突起部(凸部)をアッパーハウジングに設けることとしたが、ロアハウジングに設けることとしてもよい。例えば、ロアハウジングから前方に延びる庇状の突起を位置決め用に設けてもよい。また、治具に嵌合してバランサハウジングに対するバランサシャフトの位置決めが可能であれば何でもよく、突起部(凸部)の代わりに例えば凹部等を位置決め用にバランサハウジングに形成してもよい。また、バランサハウジングではなく他の部材側で治具を固定してもよい。
実施例1〜3では、バランサシャフト全体の重心を軸心側に変位させるために、二面幅部(それ自体やその近傍・隣接部位)に余盛部や除肉部を設けることとしたが、二面幅部(それ自体やその近傍・隣接部位)の形状はそのままで材料の密度(質量)を偏らせることで重心をバランサシャフト軸心側に変位させることとしてもよい。すなわち、重量調整手段として、余盛部や除肉部のように形状を変化させる手段のほかに、例えば二面幅部の面を形成する部材として強化プラスチック等を用いて片側の面だけを軽量化する等、形状を変化させることなく密度分布を変化させる手段を用いてもよい。
実施例2、3では除肉部を円筒等の形状としたが、除肉部の形状は、孔の断面が円や長円のものに限らず、例えば楕円や多角形であってもよい。また、孔の断面の大きさが等しくなくてもよく、例えば孔の奥に向かうにつれて断面が小さくなるようにしてもよい。要するに、二面幅部における偏心質量のバランスが取れればよい。
実施例4では、バランスウエイトの2隅を切り欠く際、直線(平面)で切り欠いたが、切欠部の形状はこれに限られず、曲面で切り欠いてもよいし、孔を穿設することで除肉してもよい。
実施例1〜4では示さなかったが、動力伝達機構により直接駆動されないドリブン側バランサシャフトの端部に、これを駆動軸として、オイルポンプを装備することとしてもよい。この場合、オイルポンプをクランクシャフトの2倍速で回転駆動できるだけでなく、オイルポンプのダンピング効果(消音効果)により、ドライブ側及びドリブン側バランサシャフトの各反転ギア(ヘリカルギア)同士の噛み合いによる歯打音を抑制することができる。
実施例1のバランサ装置付きエンジンの組立状態の全体斜視図である。 実施例1のバランサ装置付きエンジンを前方から見た正面図である。 実施例1のバランサ装置を前方から見た正面図である。 図3のA−A断面である。 図3のB−B断面である。 実施例1のドライブ側バランサシャフトの下面図である。 治具を取り付けた状態の図6のC−C断面である。 図9のE−E断面である。 図6の二面幅部の近傍を拡大して示す。 実施例2の二面幅部の近傍を拡大して示す。 図10の側面図である。 図10のD−D断面を示す。 実施例3の二面幅部の近傍を拡大して示す。 図13の側面図である。 図13のD−D断面を示す。 実施例4のドライブ側バランサシャフトの下面図である。
符号の説明
2 ドライブ側バランサシャフト(第1バランサシャフト)
3 ドリブン側バランサシャフト(第2バランサシャフト)
5 クランクシャフト
27 二面幅部
271 第1平面部(面)
28 余盛部
O ドライブ側バランサシャフトの軸心

Claims (4)

  1. 機関のクランクシャフトにより駆動される第1バランサシャフトと、
    前記第1バランサシャフトを介して駆動される第2バランサシャフトを有し、
    前記第1バランサシャフトと前記第2バランサシャフトのうち少なくとも一方に、位置決め用の面が少なくとも1つ形成され、前記バランサシャフトの軸心からの距離が前記面と前記面の対向側とで非対称である非対称部を有するバランサ装置において、
    前記バランサシャフトの軸方向で前記非対称部を前後に挟んで互いに対峙するように、前記非対称部のうち前記バランサシャフトの軸心に近い側に余盛部を形成したことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  2. 前記余盛部は、その軸心を、前記バランサシャフトの軸心に対し、前記バランサシャフトの軸心に近い側にオフセットした円筒形であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置。
  3. 前記面は、前記バランサシャフトの軸心から一方にオフセットした位置に、互いに対峙して形成された2つの面であることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のバランサ装置。
  4. 前記面は、前記第1バランサシャフトに形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関のバランサ装置。
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