JP5000079B2 - 硬組織補強用の組成物 - Google Patents

硬組織補強用の組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5000079B2
JP5000079B2 JP2003577968A JP2003577968A JP5000079B2 JP 5000079 B2 JP5000079 B2 JP 5000079B2 JP 2003577968 A JP2003577968 A JP 2003577968A JP 2003577968 A JP2003577968 A JP 2003577968A JP 5000079 B2 JP5000079 B2 JP 5000079B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
precursor
biomaterial
precursor component
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003577968A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005525851A (ja
Inventor
エンリコ、サンパロ
アールデルト、レンス、モレンベルク
ダニエル、フェール
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuros Biosurgery AG
Original Assignee
Kuros Biosurgery AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=28457140&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP5000079(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Kuros Biosurgery AG filed Critical Kuros Biosurgery AG
Publication of JP2005525851A publication Critical patent/JP2005525851A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5000079B2 publication Critical patent/JP5000079B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/14Macromolecular materials
    • A61L27/16Macromolecular materials obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/50Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P13/00Drugs for disorders of the urinary system
    • A61P13/10Drugs for disorders of the urinary system of the bladder
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2430/00Materials or treatment for tissue regeneration
    • A61L2430/02Materials or treatment for tissue regeneration for reconstruction of bones; weight-bearing implants

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Description

発明の背景
本発明は、生体材料の現場形成、該生体材料を形成しうる前駆成分、および特に軟および硬組織用の補強材料として、組織工学でのこのような生体材料の使用に関する。
技術的進歩が手術法を著しく向上させた分野の1つでは、外科的復元および修復に役立つ体内埋込みのための合成材料の使用を伴う。体の上および/または中の必要部位において現位置のまま架橋して生体材料を形成する、液体として適用しうるポリマー系を開発する上で、多くの研究が行われてきた。合成ポリマー源の生体材料は、組織再生マトリックス、組織接着剤、薬物デリバリーマトリックスとして、術後癒着の防止において、合成インプラントのコーティング表面用に、および組織補強材料として、組織関連用途で現在広く受け入れられている。前駆成分の化学構造およびそれらの化学量論に応じて、生体材料は様々な物理的および化学的性質を有している。
整形外科
整形外科は、歴史的に生体材料に関して最も重要な分野であった。それは、筋骨格系の医学的事項と、その諸要素、特に骨、軟骨、靭帯および腱の疾患および障害の治療を扱う。筋骨格系は動きを生じ、力に応答するため、それは傷害およびストレス関連疾患を受け易く、運動性に大きな影響を与えることがある。これら組織のいかなる置換および強化も、同様の機械的環境下で行わねばならず、適当な機械的性能の獲得は取るに足らないことではない。更に、老化プロセスの一部として、組織はその形状および堅さを変化させる。特に、一部の組織はその形を失うため、そのような補強または回復が望まれる。骨粗鬆症の場合のように、骨質量および安定性の喪失は、個人にとり特に深刻である。他のいくつかの疾患も骨および関節機能を妨げて、痛み、動きの喪失、または生活機能の喪失に至る。1つのこのような顕著な例は骨関節炎、主として、関節における軟骨および基底骨の機械的破壊である。
硬組織補強
硬組織の補強に用いられる生体材料は様々な手法で適用されるが、特に好ましい手法は最小侵襲手術による。最小侵襲手術は、脊椎圧迫骨折または骨粗鬆椎骨を治療するえり抜きの手法、即ち椎体形成術という名称で知られる処置である。圧迫骨折は骨粗鬆症の女性で特に問題である。椎体形成術が開発される前、外科医は圧迫骨折を治療しなかったが、その理由は、これら患者の場合に介入が危険であり、不適当な器具が使えるにすぎなかったからである。椎体がポリメチルメタクリレート(PMMA)で経皮的に満たされる手法、椎体形成術は、治療ギャップを満たすために開発された。PMMAは主に骨セメントとして知られており、この適応症でオフラベル使用されている。PMMAは硬くて脆いポリマーであり、組織により許容され、通常耐分解性である。椎体形成術で用いられるようなPMMAは、手術室で粘稠ペーストに混合される粉末/液体系(PMMAコポリマー/モノマーメチルメタクリレート)であり、椎骨への注入直前にシリンジへ吸引される。
椎体形成術は治療法自体として非常に有効である。椎骨内で海綿質組織構造の小さな動きの防止および現存する小骨折の機械的安定化のおかげで、それは大多数の場合で痛みを軽減する(Mathis J.et al.,Am.J.Neuroradiol.22,373-381,2001)。椎体形成術のリスクファクターおよび問題は、主にメチルメタクリレートの毒性と関連している。高毒性メチルメタクリレートは、それが十分に架橋される前に血流中へ浸出して、血圧降下と血管中への骨セメントの移動を引き起こし、最終的には肺へ到達するかまたは低血圧を生じる可能性がある。これはPMMAのあらゆる使用に共通したリスクであるが、PMMAが折骨内の閉空間中へ加圧下で注入されて、そのことが漏出のリスクを更に一層増大させる、という事実のせいで、それは椎体形成術の場合に高められる。PMMAの別な欠点、発熱重合プロセスは、周辺組織の実質的損傷をしばしば引き起こす。そのため、PMMAは一般的に硬組織補強向け、特に椎体形成術での適用向けに、理想的な生体材料である、というわけにはいかない。
取扱い問題も改善しうる。PMMA混合物の最終調製は手術室で行なわれねばならない。個別の成分は計量してから均質混合物に混合されねばならず、適用に向いた器具、椎体形成術の場合にはシリンジの中へその混合物が充填されねばならない。この操作は時間がかかり、間違いを生じやすく、かきまぜ粉末および揮発性メチルメタクリレートの吸入により生じるヘルスハザードをPMMAを調製する人にもたらす。
注入および重合に成功した後でも、PMMAは合併症を引き起こすことがある。PMMAは非常に硬く、処置部位に隣接する椎骨の応力遮蔽および/または崩壊を起こして、骨折を招くこともある(Ferguson S.et.al,Transactions of the 47th Annual Meeting of the ORS,0280,2001)。
したがって、硬組織補強に用いうる新たな生体材料の一般的ニーズが存在している。椎体形成術は老齢人口の増大を考慮しても急速に成長している処置法であるため、椎体形成術でPMMAの代替物のニーズが特にある。
ヒトまたは動物体内の注入部位で生体材料を形成して、骨粗鬆椎骨を補強しなければならない組成物は、様々なニーズを満たさねばならない:治療は折れた椎骨に伴う痛みを減らすかまたは完全に除くため、患者はベッドを出て再び動ける。第二に、骨粗鬆椎骨の機械的性質が改善されねばならない。これは、若い健常椎骨(理想状態の椎骨)と骨粗鬆椎骨との圧縮強度およびヤング率Eを比較したときに明らかである。理想的椎骨の海綿質内側部分の圧縮強度は骨粗鬆椎骨の場合より8倍も大きいことがある;同様に、理想的椎骨の海綿質部分のヤング率Eは、骨粗鬆椎骨のヤング率Eより百倍も大きいことがある。理想的椎骨の機械的性質へはほとんど回復しないが、骨粗鬆症にかかった人々は主に高齢者であるため、理想的椎骨の存在を要する大きな身体的努力を行なおうとはしない、と考えられている。そのため、患者が痛みを有さず、実質的に運動性を回復しているかぎり、治療は成功といえる。
ポリマー親水系から得られる生体材料、例えばPEG誘導体は、US5,626,863、US6,166,130、US6,051,648、US5,874,500、US6,258,351またはWO00/44808のような先行技術で以前に記載されていた。それらは機械的性能、例えば強度および剛性の欠如、および過度な膨潤性のせいで、硬組織補強用には向かない。抑制しえない膨潤も、しかしながら、椎骨のような限定空間での生体材料の適用を許容しえないものにしている。材料は膨張し、神経、例えば骨髄を圧迫するか、または注入部位から未抑制のまま突び出すことがある。
したがって、従来技術の欠点を克服することが本発明の目的である。
組織補強用の生体材料を提供することが本発明の別な目的である。
本発明の別な目的において、硬組織補強用の生体材料は、好ましくはPMMAの代替品として提供される。
PMMAの使用に伴う欠点およびリスクを有しない、椎体形成術で使用向けの補強材料を提供することが、別な目的である。
これらの目的は独立項の特徴により達成される。
特に、それらは硬組織を補強するための生体材料の作製に際して現場架橋性組成物の使用により達成され、その現場架橋性組成物は少くとも第一および第二の多機能性前駆成分を含んでなり、ここで第一の前駆成分は少くともmの求核基を有し、第二の前駆成分は少くともnの求電子基を有し、ここでn+mが少くとも5であり、求核および求電子基が生理的温度で互いに共有結合を形成するように第一および第二の前駆成分が選択される。
特に好ましいものは、脊柱の少くとも1つの椎骨を補強するための上記組成物の使用である。
発明の詳細な説明
定義
本発明の関係において、ここで用いられている用語は以下の意味を有する。
“生体材料”は、体のあらゆる組織、器官または機能を評価、治療、補強または置換する上で生体系と界面を接することになる材料として定義される。生体材料とは、そのゲル化点に到達およびそれを通過したとき、およびその後における、材料全体(前駆成分+すべての添加物、フィラー、ベースまたは溶媒)を称する。医薬組成物も同様の意味を有する。
“前駆成分の混合物”とは、混合された後、および混合物がそのゲル化点に達する前における前駆成分を意味する。
“生体適合性または生体適合”とは、特定の用途において適切な宿主応答で機能しうる材料の能力として定義される。最広義の意味において、これは、患者に対する材料および/または治療の効果を上回るような体への有害作用の欠如を意味する。
“現場形成”とは、注入前および時に実質的に架橋せずに、体の注入部位にて生理的温度で互いに共有結合を形成しうる、前駆成分の混合物の能力に関する。
“オリゴマーおよびポリマー”は、その用語の通常の意味で用いられる。オリゴマーは低分子量ポリマーである。それは少くとも2つのモノマー単位を含有する。オリゴマーおよび対応ポリマー間のサイズの相違は通常あいまいであるが、本発明の関係においてモノマー単位の上限は10である。
“架橋”とは、分子量の増加をもたらすような、少くとも2種の前駆成分に属する求核および求電子基間の共有結合の形成を意味する。
“官能基数”とは、分子の反応部位の数を意味する。本発明の関係において、反応部位とは、少くとも但し排他的ではなく、ヒトまたは動物体内の条件下で、自己選択的反応で反応しうる求核および求電子基に関する。
“多官能性”とは、1分子(即ち、モノマー、オリゴ‐およびポリマー)当たり2以上の求電子および/または求核官能基を意味する。
“自己選択的反応”とは、組成物の第一前駆成分が、双方とも混合物または反応部位に存在する他の化合物よりも、組成物の第二の前駆成分と、逆の場合でも、かなり速く反応することを意味する。ここで用いられているように、求核剤は他の生体化合物よりもむしろ優先的に求電子剤と結合し、求電子剤は他の生体化合物よりもむしろ優先的に強求核剤と結合する。
“ポリマー網状構造”とは、ポリマー網状構造を形成するための実質的にすべてのモノマー、オリゴ‐またはポリマーがそれらの有効官能基を介して分子間共有結合で結合されて、1つの巨大分子になるプロセスの産物を意味する。
“生理的”とは、生きた脊椎動物でみられるような条件を意味する。特に、生理的条件とは、人体の条件、例えば温度、pHなどに関する。生理的温度とは、特に35〜42℃の温度範囲、好ましくは約37℃を意味する。
“軟組織”とは、非骨格組織、即ち骨、靭帯、軟骨、椎間板および繊維組織以外の組織を意味する。
“硬組織”とは、骨、軟骨および靭帯、特に骨を意味する。
“補強”とは、材料の添加および増量により、補強、増大する、特に強化する行為を意味する;更に、それは補強された状態を意味する;ここで用いられている補強とは、特に組織を強化する意味である;補強には、体内に人工股および膝のような人工関節のセメント接合も包含する。
“架橋密度”は、各分子の2架橋間の平均分子量(Mc)として定義される。
“当量”は、官能基のmmol/g物質として定義される。
“各相対物”とは、分子の反応相手を意味する。求電子基の各相対物は求核基であり、その逆もある。
“ヒドロゲル”とは、水性媒体中で極度に膨潤するが、水に溶解しない、ポリマー材料の種類を意味する。
“膨潤”とは、生体材料で水の取込みによる容積および/または質量の増加を意味する。“水取込み”および“膨潤”という用語は、この出願全体にわたり同義で用いられる。
“圧縮強度”とは、材料が圧搾荷重下で耐えうる最大応力を意味する;圧縮強度は、圧縮試験において最大荷重を試料の原断面積で割ることにより計算される。
“チキソトロピー”チキソトロープ流体は剪断に対して時間依存性応答を示す。一定剪断速度に付されたとき、それらは経時的に粘度を減少させる。しばしばこれは大きな初期粘度低下としてみられ、次いで徐々に更に低下する。剪断が除かれると、チキソトロープ流体は粘度を回復する。これらの流体は通常擬塑性ともみなせるが、但しそれらが剪断速度の上昇に応じて粘度の減少を示す点のみである。擬塑性流体は単に剪断減粘性と一般的にみなせる。更に詳しくは、それらは剪断速度の上昇に応じて粘度の減少を示す。更に、剪断が除かれると、それらは非剪断粘度を直ちに回復する。
“剛性”は、プラスチックの耐曲げ性の尺度として定義される。それには塑性および弾性双方の挙動を含む。本発明の生体材料の剛性は、ヤング率Eの測定で調べられる。
“歪”は部分または試料の直線寸法の単位長さ当たりの変化であり、通常試料の原長に基づく歪%で表わされる。真のまたは自然な歪は瞬間長さに基づき、In×loに相当し、ここでIは瞬間長さ、loは試料の原長である。剪断歪は、本来直角の2線間における角度の変化である。
“応力”は、作用する面積で割った、試料にかかる荷重として定義される。ほとんどの機械的試験で用いられているように、応力は、負荷荷重による面積の変化を考慮することなく、原断面積に基づいている。これは時には常用または工学応力と称される。真応力は、作用する瞬間断面積で割った荷重に相当する。
“弾性率/ヤング率E”は、応力の関数としての歪の変化率として定義される。応力‐歪図の直線部分の勾配。弾性の接線モジュラスは、いずれかの点における応力‐歪図の勾配である。応力‐歪図で表わされる荷重のタイプに依存する。モジュラス単独で用いられるときは、弾性の引張モジュラス(または引張に関する弾性のモジュラス)に通常関する。引張に関する弾性のモジュラスおよび圧縮に関する弾性のモジュラスはほぼ等しく、ヤング率として知られている。
“ゲル化点”は、粘稠モジュラスおよび複素モジュラスが互いに交差して、粘度が上昇する点である、として定義される。粘稠モジュラスは最後の方が最初よりも低く、複素モジュラスは最後の方が最初よりも高い。そのため、ゲル化点は、液体がゲルの半固体特性を呈し始める段階である。
硬組織補強向けの前駆成分
生体材料の要件は、体で適用の目的および部位に依存する。本発明の1つの好ましい態様において、生体材料は硬組織を補強するように働き、特に椎体形成術の場合に適している。これら目的の場合、生体材料はほとんど膨潤を受けやすくてはならず、適用後に許容しうる機械的安定性を補強の必要な組織へ付与しなければならない。生体材料の特性は、ポリマー網状構造と架橋する前駆成分の選択に主に依存する。ポリマー網状構造は生体材料の基礎を形成する。生体材料の機械的安定性はポリマー網状構造の架橋密度に本質的に依存するが、生体材料による水取込みはポリマー網状構造のa)架橋密度およびb)疎水性の相互作用により影響される。生体材料による水取込みが少なくなるほど、架橋密度は高く、ポリマー網状構造は疎水性になる。生体材料の架橋密度および疎水性は、前駆成分の構造および比率により大部分決まる。結果的に、生体材料の水取込みおよび機械的性能は、前駆成分の適切な選択により主に制御および支配される。
そのため、椎体形成術で使用の場合、生体材料による水取込みが、水中または緩衝液中37℃で1年の貯蔵期間に付される前における生体材料の重量の7重量%を超えないように、前駆成分が好ましくは選択される(前駆成分の混合から24±2時間後にリン酸緩衝液(PBS)中でISO 10993-13:1995(E)に従い測定)。好ましくは、水取込みは5重量%以下、更に一層好ましくは3重量%以下である。好ましくは、本発明の前駆成分の各々が実質的に水に不溶性である。
ポリマー網状構造のヤング率Eの測定により、ポリマー網状構造の剛性に関する情報と、網状構造の架橋密度に関する相対的情報も得られる。ポリマー網状構造のヤング率Eが高くなるほど、網状構造内の架橋密度は高くなる。ポリマー網状構造のヤング率Eはフィラーのような添加物の添加により常に上昇しうるが、それにもかかわらずヤング率Eの基底値は前駆成分の化学構造およびそれら官能基の比率により定まる。架橋後、ポリマー網状構造内のある架橋密度に関与するのは、上記の構造と上記の比率である。ヤング率Eは、硬組織の補強用、特に椎体形成術用に適した既定値に達しなければならない。好ましくは、本発明の生体材料(+添加物)のヤング率Eは、小柱骨の場合とおおよそ同じ範囲である。したがって、それに加えて、前駆成分は、それらが生体材料のポリマー網状構造のヤング率Eを、混合後10日間で10%歪のとき少くとも50MPa、好ましくは少くとも80MPa、更に一層好ましくは少くとも110MPaとするように選択される。
本発明の好ましい態様において、ポリマー網状構造の極限圧縮強度(耐荷力の測定値)は37℃の乾燥条件下で2日後に少くとも10MPa、好ましくは12MPaであり、骨中への注入後最初の4時間以内で少くとも5MPaに達する。
前駆成分は、多官能性モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーからなる群より選択される。好ましくは、前駆成分は多官能性モノマーおよびオリゴマーの群から選択される。好ましくは、第一および第二の前駆成分の分子量は100〜900g/モル、好ましくは200〜700g/モル、更に一層好ましくは400〜550g/モルの範囲である。
第一の前駆成分は少くともmの官能基を有し、第二の前駆成分は少くともmの官能基を有している。第一および第二の前駆成分の官能基の合計は少くとも5、好ましくは7である。好ましい態様において、第一の前駆成分は4の官能基数、第二の前駆成分は3の官能基数を有する。他の態様において、第一の前駆成分は3の官能基数、第二の前駆成分は4の官能基数を有する。しかしながら、3〜4の官能基数は椎体形成術に必要な機械的性質を得る上でポリマー網状構造にとり必要前提条件ではなく、その理由は機械的性能は分子の構造にも依存するからである。小さくてコンパクトな分子は拡張した分子よりも強度の大きなポリマー網状構造を形成するが、官能基数、分子量および反応相手は双方の分子とも同様である。
一般的ガイドラインとして、第一および第二の前駆成分の比率は、両成分の官能基の大部分が各相対物と反応するように選択される。そのため、求電子基(第二の前駆成分)および求核基(第一の前駆成分)の当量の比率は、0.7〜1.1、更に好ましくは0.8〜1.0の範囲、最も好ましくは1である。
求核基
第一の前駆成分の求核基は、共役不飽和基と反応しうる。有用な求核剤は、付加反応、特にそれらがヒトまたは動物体内の条件下における自己選択的求核付加反応で、共役不飽和基と反応性であるものである。求核剤の反応性は不飽和基のアイデンティティに依存するが、不飽和基のアイデンティティは生理的pHで水との反応によりまず制限される。そのため、有用な求核剤は生理的pHでHOよりも通常求核性である。好ましい求核剤は、毒性の理由から、生体系で通常みられるものだが、細胞外の生体系で通常遊離してみられないものである。そのため、アミン類が有効な求核剤として用いうる例であるが、最も好ましい求核剤はチオールである。
チオール類は、ジスルフィド結合として、対の形で細胞外の生体系に存在する。最高度の自己選択性が望まれる場合(例えば、ゲル化反応が組織の存在下で行われて、その組織の化学的修飾が望まれない場合)、チオールはえり抜きの強い求核剤である。
しかしながら、最高レベルの自己選択性が不要である他の状況も存在する。これらの場合には、アミンが適度な求核剤として働く。ここでは、脱プロトン化アミンがプロトン化アミンよりもかなり強い求核剤であるという点で、特別な注意がpHに払われる。そのため、例えば、典型的アミノ酸のαアミン(アスパラギンで8.8の低いpK、プロリンを除く全20種の一般アミノ酸で平均9.0)は、リジンの側鎖εアミンよりもかなり低いpK(pK10.80)を有する。このように、強求核剤として用いられるアミンのpKに特別な注意が払われるならば、実質的自己選択性が得られる。低pKのアミンの選択、次いでpHがそのpK近くとなるような最終前駆成分の処方により、系に存在する他のアミンよりもむしろ、用意されたアミンと不飽和との反応を優先させられる。自己選択性が望まれない場合、求核剤として用いられるアミンのpKに注意をさほど払う必要はないが、しかしながら許容しうるほど速い反応速度を得るためには、適数のこれらアミンが脱プロトン化されるように最終前駆成分溶液のpHを調整しなければならない。
要約すると、前駆成分混合物でのpHおよび最大自己選択性の理由から、チオール類が本発明の好ましい強求核剤であるが、アミン類も有用な強求核剤として働く状況がある;具体的求核剤の有用性は、考えられる状況および望まれる自己選択性の程度に依存する。
求核基の概念はここでは拡大され、その用語は官能基自体(例えば、チオールまたはアミン)のみならず、官能基を含有した分子も含むように時々用いられる。
求核基は、全体構造で大きなフレキシビリティを有する分子に含有させてもよい。例えば、二官能性求核剤はNuc‐P‐Nucの形で提供され、ここでPはモノマー、オリゴマーまたはポリマーを表わすために用いられ、Nucは求核基に関する。同様に、分岐ポリマーPがいくつかの求核剤で誘導されて、P‐(Nuc)を作製しうる。NucはPの鎖末端に表れなくてもよく、例えば繰返し構造:(P‐Nuc)が考えられる。明らかに、このような構造におけるPまたはNucのすべてが同一である必要はない。
求電子基
第二の前駆成分の求電子基は、好ましくは共役不飽和基から選択される。
上記で詳細に記載されたPおよび共役不飽和基の類似構造も形成してよい。1つの共役不飽和前駆成分が2以上のこのような共役不飽和基を含有していることが、唯一必要である。
様々な共役不飽和化合物で、求核性付加反応、特にMichael付加反応を行うことが可能である。下記の構造において、モノマー、オリゴマーまたはポリマー構造はPとして示されている。Pの特別なアイデンティティに関する様々な好ましい可能性が、更にここで記載されている。Pは、番号1〜20と付された構造における反応性共役不飽和基とカップリングしうる。
Figure 0005000079
Figure 0005000079
Figure 0005000079
反応性二重結合は、直鎖ケトン、エステルまたはアミド構造(1a,1b,2)では1以上のカルボニル基、あるいはマレインまたはパラキノイド誘導体(3,4,5,6,7,8,9,10)のような環系では2つと共役しうる。後者の場合、環は縮合してナフトキノン(6,7,10)または4,7‐ベンゾイミダゾールジオン(8)を形成し、カルボニル基はオキシム(9,10)に変換しうる。二重結合は、スルホン(11)、スルホキシド(12)、スルホネートまたはスルホンアミド(13)、ホスホネートまたはホスホンアミド(14)のようなヘテロ原子‐ヘテロ原子二重結合と共役しうる。最後に、二重結合は、4‐ビニルピリジニウムイオンのような電子不足芳香族系と共役することもある(15)。三重結合もカルボニルまたはヘテロ原子ベース多重結合との共役に用いうる(16,17,18,19,20)。
1a、1bおよび2のような構造は、炭素‐炭素二重結合と1または2の電子求引基との共役に基づいている。それらのうち1つは常にカルボニルであり、アミドからエステル、更にフェノン構造へと移るに従い反応性を増す。求核付加は、立体障害を減らすか、またはα位でCH<H<COOW<CNのように電子求引力を増すと、容易である。
最後の2構造を用いることで得られる高い反応性は、求核攻撃が起きるβ位で置換基の嵩高さを変えることにより調節しうる;反応性はP<W<Ph<Hの順序で減少する。そのため、Pの位置も反応性を求核方向へ向けるために用いうる。このファミリーには、毒性および医薬使用について多くのことが知られた、一部の化合物を含む。例えば、末端にアクリレート類およびメタクリレート類を有する水溶性ポリマーは、インビボで(ラジカルメカニズムにより)重合される。そのため、アクリレートおよびメタクリレート含有ポリマーは以前に臨床製品の本体でみられたが、劇的に異なる化学反応スキームでの使用である。
構造3〜10は、二重結合のシス配置および2電子求引基の存在という双方のせいで、求核剤に対して非常に高い反応性を示す。
不飽和ケトン類は、これらのカルボニル基の強い電気陰性度のせいで、アミド類またはイミド類より速く反応する。そのため、シクロペンテンジオン誘導体はマレイミド誘導体(3)より速く反応し、p‐キノン類はマレインヒドラジド類(4)より速く反応し、共役が更に伸びたせいでシクロヘキサノン類よりも速い。最高の反応性はナフトキノン類(7)により示される。Pは、不飽和基の反応性を減少させない位置、即ち環の反対側(3,5)、別な環(7,8)に置いても、またはp‐キノンモノオキシムとO結合(9,10)させてもよい。求核付加速度が減少するようにしたいならば、Pは反応性二重結合へも結合させうる(6,8)。
求核付加に向けた二重結合の活性化は、ヘテロ原子ベース電子求引基を用いることでも得られる。事実、ケトン類(11,12)、エステル類およびアミド(13,14)のヘテロ原子含有アナログは、類似した電子挙動を呈する。求核付加に対する反応性は基の電気陰性度に従い、即ち11>12>13>14の順序で増加し、芳香族環との結合により高められる。二重結合の強い活性化は、芳香族環に位置する電子求引基を用いることでも得られる。ピリジニウム様カチオンを含有したいかなる芳香族構造(例えば、キノリン、イミダゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンおよび類似sp‐窒素含有化合物の誘導体)も二重結合を強く分極させて、速いMichael型付加を可能にする。
炭素‐またはヘテロ原子ベース電子求引基と共役した炭素‐炭素三重結合は、イオウ求核剤と容易に反応して、単および二重付加から生成物を生じうる。反応性は、二重結合含有類似化合物のように、置換基により影響される。
規則的凝集物(リポソーム、ミセル)の形成または水環境中の単純な相分離は、不飽和基の局所濃度、ひいては反応速度を増す。この場合、後者は求核剤の分配係数にも依存し、これは親油性の高い分子ほど大きい。
Michael付加
第一および第二の前駆成分は、好ましくは、それらの官能基を介してMichael付加反応により反応する。
共役不飽和系で求核剤の1,4付加反応は、Michael型反応と称される。付加メカニズムは純粋に極性であるか、またはラジカル様中間状態を経て進行する;ルイス酸もしくは塩基または適切にデザインされた水素結合種が触媒として作用しうる。共役という用語は、炭素‐炭素、炭素‐へテロ原子またはへテロ原子‐へテロ原子多重結合と単結合との交互の連なり、あるいは合成ポリマーまたはタンパク質のような大分子への官能基の連結の双方に関する。CHまたはCH単位で配置された二重結合は、ホモ共役二重結合と称される。
共役不飽和基へのMichael型付加は、生理的温度、特に体温で、但しそれより低いおよび高い温度でも、実質的に定量的収率で生じうる。それらは様々な求核剤とマイルドな条件下で生じる。生成物のゲル形成動態と機械および輸送性は、適用のニーズに合わせられる。
好ましい第一の前駆成分
本発明の好ましい態様において、第一の前駆成分は、求核基としてチオールおよび/またはアミンを含むシロキサンおよびシロキサン誘導体、特に下記式のシクロシロキサンからなる群より選択される:
Figure 0005000079
n=3〜6、好ましくは4;R=アルキル、好ましくはC‐Cアルキル;R2″=アルキル、好ましくはC‐Cアルキル;X=‐SH,‐NH
これらの分子は、硬組織補強で意図した使用向けに望ましい、ほぼ理想的な組合せの特性を有している。それらは小さくてコンパクトな疎水性であり、高度の官能基数を有する。
特に好ましいものは、n=4;R=CH;R2″=C;X=‐SH(21)の2,4,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサンである。
本発明の別な態様において、第一の前駆成分は、末端チオールおよび/またはアミン基を有する少くとも2つのアルキル鎖を含んだ、シクロヘキシル‐、ペンタエリトリトール‐、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐および1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパノール‐誘導体からなる群より選択される。
シクロヘキシルの誘導体は、好ましくは下記式の化合物から選択される:
Figure 0005000079
n=6;R=H、アルキル、好ましくはC‐C;R2″=アルキル、好ましくはC‐Cアルキル;X=‐SH
最も好ましいものは、n=6;R=H;R2″=C;X=‐SH(22)の1,2,4‐トリス(2‐メルカプトエチル)シクロヘキサンである。
好ましくは、ペンタエリトリトール、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパンおよび1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパノールは、末端チオール基を有する少くとも3つのアルキル鎖を含んだ、アルキルエーテルまたはアルキルエステル誘導体へ変換される。アルキル鎖の長さおよび官能基数は、各使用に合う疎水性、サイズおよび意図した架橋密度の要件により決まる。それは反応相手にも依存する。反応相手が小さくコンパクトで少くとも3の官能基数であるならば、ペンタエリトリトール、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパンおよび1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパノール誘導体のアルキル鎖は長くてもよい。
特に好ましいものは、3‐(3‐メルカプトプロポキシ)‐2,2‐ビス(3‐メルカプトプロポキシメチル)プロパン‐1‐オール(23)、2‐〔2,2‐ビス(2‐メルカプトエトキシメチル)ブトキシ〕エタンチオール(24)、トリ(3‐メルカプトプロピル)TMP(25)、ペンタエリトリトール テトラキス(2‐メルカプトプロプリオネート)(26)およびペンタエリトリトール テトラキス(3‐メルカプトプロピル)エーテル(27)である。
Figure 0005000079
好ましい第二の前駆成分
別の好ましい態様において、第二の前駆分子は、共役不飽和基としてアクリレート類、イタコネート類およびイタコンアミド類を含む、モノマー、オリゴマーおよびポリマーから選択される。特に、第二の前駆成分は、少くとも2つ、好ましくは3つの共役不飽和基、特にアクリレート類、イタコネート類およびイタコンアミド類を含む、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリトリトールおよびトリグリセロールの誘導体の群から選択される。
好ましくは、トリメチロールプロパントリアクリレート(28)、トリグリセロール‐ペンタ(1‐メチルイタコネート)(29)、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐n‐ブチルイタコネート)(30)、ペンタエリトリトール‐テトラ(1‐n‐ブチルイタコネート)(31)、N,N′,N″,N″′‐テトラキス(1‐水素‐イタコニル)‐トリエチレンテトラアミン(32)、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)およびトリメチロールプロパントリス〔ポリ(プロピレングリコール),イタコンアミド末端〕エーテル(34)である。
Figure 0005000079
特に好ましいものは、硬組織補強、特に椎体形成術用の現場架橋性組成物における第二の前駆成分として、トリメチロールプロパントリアクリレート(28)である。トリメチロールプロパントリアクリレートは、高純度で市販されている。
1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリトリトールおよびトリグリセロール分子の誘導体としてのイタコネート類は、3つの異なる手法に従い合成しうる。
(A)塩素化反応による2ステップ合成:有機酸の存在下における1‐アルキル‐4‐水素イタコネートへのジアルキルイタコネートのケン化。例えばSOClによる、1‐メチルイタコニルクロリドへの4‐水素‐1‐メチルイタコネートの塩素化。X‐OHのイタコニル誘導体へ至る、4‐水素‐1‐メチルイタコネートとX‐OH(X‐OH=1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリトリトールおよびトリグリセロール)との反応
(B)カップリング剤による2ステップ反応:有機酸の存在下における1‐アルキル‐4‐水素イタコネートへのジアルキルイタコネートのケン化。X‐OHのイタコニル誘導体へ至る、カップリング剤の存在下における、4‐水素‐1‐メチルイタコネートとX‐OH(X‐OH=1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリトリトールおよびトリグリセロール)との反応
(C)エステル交換反応による1ステップ合成:X‐OHのイタコニル誘導体へ至る、例えばトルエンスルホン酸の存在下における、ジアルキルイタコネートとX‐OH(X‐OH=1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリトリトールおよびトリグリセロール)との反応
本発明の関係では、合成(B)が好ましい。
好ましい現場架橋性組成物
本発明の好ましい態様は、硬組織補強、特に脊柱の少くとも1つの椎骨の補強のための生体材料の作製用に、第一の前駆成分が、少くとも2つのチオール基、好ましくは3つのチオール基、更に一層好ましくは4つのチオール基を有するシクロシロキサン誘導体であり、第二の前駆成分が、少くとも2つ、好ましくは3つのアクリレート基を有する1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリトリトールおよびトリグリセロールの誘導体の群から選択される、少くとも第一および第二の成分を含んでなる現場架橋性組成物の使用である。
椎体形成術で使用上最も好ましいものは、第一の前駆成分として2,4,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)、および第二の前駆成分としてトリメチロールプロパントリアクリレート(28)を含んでなる組成物である。求電子および/または求核基を有する別な成分が組成物の一部であってもよいが、上記の二成分が0.8〜1.1、好ましくは0.9〜1.0、最も好ましくは1.0の官能基の当量比で個別に用いられたならば、最良の結果が得られる。
別の好ましい態様において、硬組織補強および椎体形成術で使用の組成物は、約1の当量比で、第一の前駆分子としてペンタエリトリトール テトラキス(2‐メルカプトプロプリオネート)(26)、第二の前駆成分としてトリメチロールプロパントリアクリレート(28)を含んでなる。
別の好ましい組成物は、第一の前駆成分としてチオール化シクロシロキサン誘導体、特に2,4,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)を含んでなり、第二の前駆成分はイタコネートまたはイタコンアミド基を含む分子、特にN,N′,N″,N″′‐テトラキス(1‐水素‐イタコニル)‐トリエチレンテトラアミン(32)、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパンおよびトリグリセロール分子のイタコネート誘導体、およびそれらの混合物、特に1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)、トリグリセロール‐ペンタ(1‐n‐ブチルイタコネート)(29)、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐n‐ブチルイタコネート)(30)およびペンタエリトリトール‐テトラ(1‐n‐ブチルイタコネート)(31)からなる群より選択される。
組成物は、生体材料/組成物の全重量の1〜7重量%、好ましくは1.5〜5重量%、更に一層好ましくは2〜4重量%の範囲で、少くとも1種のチキソトロープ剤を更に含んでなる。チキソトロープ剤は有機(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)でも、または無機種、例えば親水性または疎水性シリカ、スメクタイトおよびホルマイト粘土でもよい。好ましい態様では、親水性シリカがチキソトロープ剤として用いられる。
組成物は、適用の成果を追跡するため、および漏出の可能性を瞬時に検出するために、放射線不透過剤を更に含有しうる。漏出の検出は、特に椎体形成術の場合で、既に前記されたように重要である。放射線不透過剤は有機でもまたは無機の種類でもよい。好ましい態様では、硫酸バリウム(BaSO)が、好ましくは生体材料/全組成物の重量の4〜30重量%の範囲、好ましくは5〜20重量%の範囲、更に一層好ましくは6〜12重量%の範囲で、放射線不透過性X線造影剤として用いられる。好ましくは、BaSOは25m/g以上の比表面積および100μm(d50)以下の粒径(直径)を有する。他の好ましい態様では、酸化ジルコニウム(ZrO)がX線造影剤として用いられる。当該重量%はBaSOの場合と同範囲である。
生体材料/全組成物の重量の5〜30重量%の量で平均直径100μm以下の粒径の放射線不透過剤の添加は、X線照射下で均一な放射線不透過バックグラウンドを呈するが、均一な放射線不透過バックグラウンドに加えて、平均直径約250〜600μmの放射線不透過粒子の少量添加は、注入フロントのみならず、バルク物質内の注入挙動も検出しうる。これは動的画像化として知られている。これは漏出または異常注入挙動の即時検出を保証する別な手段として役立つ。本発明の好ましい態様では、平均直径約250〜600μm、好ましくは500μmの放射線不透過粒子が生体材料に加えられる。好ましい粒子物質は金またはチタンである。
チキソトロープおよびX線造影剤としてのそれら機能とは別に、シリカ、酸化ジルコニウムおよび硫酸バリウムは組成物でフィラーとして働く。フィラーの添加は、ポリマー網状構造の機械的性質と比較して、生体材料の機械的性質(極限圧縮強度およびヤング率E)の向上をもたらす。例えば、当量(二重結合対チオール基の当量)比1の2,4,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサンおよび1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)のポリマー網状構造のヤング率Eは、フィラー(SiOおよびBaSOおよび/またはZrO)25重量%の添加でほぼ倍になる。
第一および第二の前駆成分の現場架橋は塩基触媒下で生じる。様々な塩基が、生理的温度範囲で反応を触媒し、患者の体に有害でない、という要件を満たす。三級アルキル‐アミン塩基が、ゲル化時間(10〜15分間が好ましい)および量の逸脱の許容性の点で、最も適することがわかった。好ましくは、塩基はトリブチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N‐ジメチルブチルアミンからなる群より選択される。硬組織補強および椎体形成術用の現場架橋性組成物の調製のために最も好ましいものは、トリブチルアミンである。所定の組成物では、ゲル化時間が塩基の量および/またはタイプに依存し、そのため組成物のゲル化時間は塩基濃度および塩基の種類の変更により適用のニーズに合わせて制御および調整しうる。例えばジエタノールアミンまたはエタノールアミンを用いると、ゲル化時間は約1〜5分間である。ピペリジン、モルホリン、トリエタノールアミンまたはN‐Boc‐エタノールアミンは遅いゲル化時間を示すが、それらは速いゲル化に至る塩基とそれらを混合することで用いてもよい。
ドナーおよびアクセプター分子の合計、即ち前駆成分の混合物の重量%は、好ましくは生体材料の全重量の60〜90%、更に一層好ましくは70〜85重量%の範囲である。
溶媒の存在を要しない組成物が好ましいが、それらの一部は、例えば良い混合のために、わずかな量の溶媒の添加を要する。その場合には、患者の体に有害でない溶媒および溶媒濃度が選択される。
第一および第二の前駆成分、塩基および場合により溶媒は、好ましくは単相系を形成する。
生体材料の極限圧縮強度は、7〜50MPaの範囲、好ましくは10〜40MPaの範囲、更に一層好ましくは15〜25MPaである。すべての上記測定は、0.35mm/sの速度で37℃10日間にわたるサンプルの貯蔵後に行われる。
0.35mm/sおよび10%歪にて37℃で10日間の貯蔵後に同じく測定される、生体材料のヤング率Eは、50〜180MPa、好ましくは70〜150MPa、更に一層好ましくは90〜130MPaの範囲である。
注入された混合物は椎骨内で複合材を形成し、その複合材は生体材料および海綿質組織から構成される。比較的低いヤング率Eの生体材料でも、海綿質組織への注入後に、その目的を果たす。圧縮強度およびヤング率Eは、10日後に37℃で測定される;速度:0.35mm/s;最大力:950N;サンプルサイズ:12mm高さ、6mm直径
約200MPaのヤング率Eを示す生体材料も椎体形成術でなお用いうるが、しかしながら、例えば関節置換では、セメント接合材料として用いうる。
本発明の生体材料の破断時伸びは、好ましくは20〜60%、更に好ましくは25〜55%、更に一層好ましくは30〜40%の範囲である(測定前に10日間37℃で生体材料の貯蔵)。
前駆成分混合物はチキソトロピー性を有し、そのため加圧時に流動するが、圧力が除かれると、その粘性をほぼ即座に回復する。外科医が注入に際してX線検査で椎骨からの漏出を検出したとき、彼/彼女はシリンジのプランジャを押すことを直ちに止め、結果として混合物は流入を止める。注入は椎骨の別な部位で続けられる(通常数本の針が、注入前に1椎骨中へ挿入される)。材料は4Paの圧力で、しかしながら好ましくは約10Paで注入し始める。
混合物はゲル化点へ達する前は低粘度であるため、混合物は椎骨の海綿質部分内で容易かつ均一に流動、浸透および分布する。注入された後、患者が起立および歩行しうる程度の荷重に生体材料が耐えられるような程度まで、混合された前駆成分はその後で2〜4時間かけて架橋(ひいては硬化)させる。本発明の生体材料の粘度プロファイルは、前駆成分の混合後(ゲル化点に達する前)最初の8〜15分間で粘度がわずかに上昇するのみであり、その後は幾何級数的に増加するという点で、これらの要件を考慮している。本発明の前駆混合物は、約8〜15分間で、好ましくは約12分間でそのゲル化点に達し、そのため手術に十分な時間を外科医に付与する。生体材料は混合後10日間、好ましくは5日間以内でその極限強度に達する。
適用部位における第一および第二の前駆成分の架橋は、ほんの軽度の発熱を伴う。適用部位の組織は、PMMAの注入よりも、本発明の組成物の注入の方がはるかに害が少ない。
本発明の生体材料はISO 10993-13:1995(E)で記載されたような期間にわたり安定であり、即ちそれらは各測定の許容誤差範囲内で水中またはPBS中37℃で1年間貯蔵されたとき分解しない。それより高い温度(約70℃)のとき、生体材料の安定性は共役不飽和基の性質にある程度依存する。耐熱性は、アクリレート製の生体材料から、イタコネート製のもの、イタコンアミド製のものへと減少してゆく。
硬組織補強および椎骨形成術以外の適応症
最広義の意味において、本発明の概念は、生理的温度で一定の補強要件に達するまで現場架橋しうる、多官能性前駆成分の選択および適合として定義しうる。そのため、生体材料は他のタイプの組織補強にも合わせられる。
組織補強は、例えば、女性の失禁で可能な治療法の1つである。そこでは、尿道圧迫を高めることで括約筋を支えるために、生体材料は膀胱の底部に置かれる。
その類の補強の場合、生体材料は硬組織補強の目的の場合よりも軟らかく弾性的でなければならない。ヤング率Eは、10%歪および0.35mm/sのとき、0.5〜4MPaの理想的範囲を有する。膨潤の防止は硬組織補強の場合ほど厳格でなく、その理由は周辺組織が硬組織より伸張しうるからであるが、但し過度であれば許容しえない。生体材料による水の取込みは20%を超えてはならない。
単に、X線造影剤がもはや不要になる(手術がカメラ制御下で行われる)という事実のせいで、前記のような生体材料は剛性を多少失うが、上記前駆成分の組合せでは、なお堅すぎて硬質なポリマー網状構造および生体材料をやはりもたらす。
したがって、第一または第二の前駆成分のうち少くとも一方は、その構造および官能基数により柔軟な生体材料をもたらす分子に置き換えられねばならない。本発明において、第二の前駆分子は泌尿器容積増大(urological bulking)ニーズを満たすように変更されたが、第一の前駆成分としては、硬組織補強に用いられるものがそのまま用いうる。しかしながら、第一の前駆成分も変更してよく、第二の前駆成分は前記のリストから選択される。
好ましい態様において、第二の前駆成分は、好ましくは2つの共役不飽和基を含むポリプロピレンの誘導体から選択される。
特に好ましいものは、ジアクリレートポリプロピレン、例えばn=12のポリプロピレンオキシドジアクリレート(35)、ジイタコンアミドポリプロピレン、例えばn=6または300のポリプロピレン‐α,ω‐ビス(1‐プロピレンイタコンアミド)、アクリルアミドポリプロピレン、例えばポリプロピレンオキシド‐α,ω‐ビス(1‐プロピレンイタコンアミド)(37)およびそれらの誘導体である。
Figure 0005000079
分子の分子量は、好ましくは、800〜3000g/モル、好ましくは900〜2600g/モル、更に一層好ましくは1200〜2400g/モルの範囲である。
本発明の好ましい態様は、軟組織の補強、特に泌尿器容積増大向け医薬組成物の製造用として、第一の前駆成分が多官能性チオール化シクロヘキサン誘導体、末端チオール基を有する少くとも3つのアルキルエーテル鎖を含んだペンタエリトリトール、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパンおよび1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパノールのメルカプトアルキルエーテルからなる群より選択され、第二の前駆成分がジアクリレート‐、ジアクリルアミド‐またはジイタコンアミドポリプロピレンおよびそれらの誘導体からなる群より選択される、少くとも第一および第二の成分を含んでなる組成物の使用である。
組成物は、組成物の全重量の0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、更に一層好ましくは1.5〜3重量%の範囲で、漏出および未制御流動を防止するシリカのようなチキソトロープ剤を更に含んでなる。
本発明のヤング率Eは0.5〜4MPa、ゲル化点は20〜40分間である。材料の注入が椎体形成術の場合ほど速く行えないことから、後者は重要である。生体材料は組成物の全重量の20%以下の水取込み率を有する。生体材料は37℃で少くとも1年間安定である。高温になるほど、イタコンアミド類およびイタコネート類はアクリレート類より安定になる傾向がある。
他の補強適用は、例えば美容外科で可能である。例えば、前駆成分の一方のアルキル鎖を更に増やすか、または双方とも鎖長を増すことでシワ伸ばしに適合させた第一および第二の前駆成分を用いることにより、生体材料は柔らかくできる。
本発明の組成物は、生体材料からゆっくり拡散することで組織の再生、治癒などを助けられる、生物活性因子を含有しうる。その場合、生体材料は補強材料組成物としてのみならず、1種の薬物デリバリーマトリックスとしても働く。それらの生物活性因子には、成長因子、好ましくはTGFβスーパーファミリーに属するもの、PTHおよびPDGFがある。
混合および適用方式
第一および第二の前駆成分は、使用前に官能基の分解を避けるために、好ましくは、除酸素下、低温、例えば約+4℃で貯蔵される。好ましくは、各前駆成分の官能基分が使用直前に測定され、第一および第二の前駆成分(および、適切であれば、他の前駆成分)の比率が官能基の既定当量比に従い調整される。
本発明の別な部分は、組織補強剤として使用の医薬組成物を製造するための方法であって、
a)少くともmの求核基を有する少くとも1種の第一の多官能性前駆成分を用意する;
b)生理的条件下でステップa)の求核基と共有結合を形成しうる、少くともnの求電子基を有する少くとも1種の第二の多官能性前駆成分を用意する:ここでn+mの合成は少くとも5である;
c)第一の前駆成分を少くとも1種のフィラーと混合する;
d)第二の前駆成分を少くとも1種のフィラーと混合する;
e)デリバリー器具、好ましくはシリンジに、ステップc)で得られた混合物を充填する;
f)デリバリー器具、好ましくはシリンジに、ステップd)で得られた混合物を充填する
ステップからなる。
第一および第二の前駆成分、フィラーおよび塩基は、前記のものから選択される。第一および第二の前駆成分、およびフィラーは、混合前に滅菌される。これは、好ましくは、前駆成分の滅菌およびフィラーのγ線照射により行われる。ステップe)およびf)で得られるような混合物は、好ましくは低温で、長期間にわたり貯蔵しうる。
適用直前に、ステップe)およびf)で得られたデリバリー器具の内容物は、互いに、次いで既定量の滅菌された塩基と混合される。既定量の塩基も、デリバリー器具、好ましくはシリンジに充填される。諸成分を混合する方式にはいくつかある:
1.3本のシリンジが三方コネクター器具で相互連結され、シリンジの内容物が三方コネクター器具の出口で静止混合物から押し出されることで混合される。混合された成分は、静止ミキサーを注入針へ接続することにより体の必要部位で直接注入されるか、または混合物は別なシリンジに押し出されて、それが注入針へ接続される。
2.ステップc)またはd)で得られた混合物は塩基と混合される。これは、好ましくは、各内容物のシリンジ対シリンジ混合を行えるコネクター器具に、塩基を含有したシリンジおよびステップe)またはf)で得られたシリンジを接続することにより行われる。静止ミキサーはコネクター器具の一部でもよい。均一な混合が行われたときに混合は完了するが、場合により、塩基および/またはステップd)で得られた混合物へ生体適合性着色剤を加えることで目に見えるようにしてもよい。次のステップで、空のシリンジはコネクター器具から外され、ステップe)またはf)で得られたシリンジと置き換えられる。同様に、シリンジ対シリンジ混合は双方の内容物の均一な混合を果たすための1手法である。次いで、混合物を含有したシリンジが注入針へ接続され、混合物が体の必要部位で注入される。一方、両シリンジは出口に静止ミキサーを装備した二方コネクター器具により相互連結される。二方コネクター器具は二重区画シリンジでもよい。内容物は、静止ミキサーからシリンジの内容物を押し出すことにより混合される。静止混合物は注入針へ直接接続されるか、または混合物は別なシリンジに押し出されて、それが注入針へ接続される。
本発明の別な部分は、現場硬化性生体材料としての使用向けに、第一の前駆成分が少くともmの求核基を有し、第二の前駆成分が少くともnの求電子基を有し、n+mの合計が少くとも5であって、求核および求電子基が生理的温度でMichael型付加反応により互いに共有結合を形成するように、第一および第二の前駆成分が選択される、互いに分けて少くとも第一および第二の前駆成分を含んでなるパーツのキットである。第一の前駆分子の求核基はチオール基から選択される。第二の前駆分子の求電子基は、アクリレート類、イタコネート類またはイタコンアミド類の群から選択される。最も好ましいものはアクリレート類である。第一の前駆成分は、シロキサン類およびその誘導体からなる群より選択され、ここでシロキサンは下記式のシクロシロキサンである:
Figure 0005000079
n=3〜6、好ましくは4;R=アルキル、好ましくはC‐Cアルキル;R=アルキル、好ましくはC‐Cアルキル;X=‐SH,‐NH
好ましくは、シクロシロキサンは、n=4;R=CH;R=C;X=‐SHの2,4,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサンである。第二の前駆成分は、好ましくは、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリトリトールおよびトリグリセロールの誘導体からなる群より選択される。第二の前駆成分として最も好ましいものは、トリメチロールプロパントリアクリレートである。
手術室におけるPMMAの調製と比較して、本発明の組成物の調製および処理は速やかで、再現性があり、正確で、混合物の調製にかかわる人々のヘルスハザードを避けられる。

測定
器 具 パラメーター
粘度: Bohlin Instruments 応力傾斜:25℃で0.1〜100Pa
CVO 120
ゲル化点: Bohlin Instruments 振動数:1H;温度:37℃;歪:0.1;
CVO 120 初期応力:0.1Pa;ギャップ:100μm;
連続振動
圧縮 ASTM F-451-99a; 別記されないかぎり:
強度+: MTS Synergie 100 速度:0.35mm/s;最大力:950N;
(1kn-cell) サンプルサイズ:12mm高さ,6mm直径;
ヤング率E: 力および変形の測定;
応力の計算=力/面積,歪=Δl/l,
E=応力/歪
前駆成分の合成(市販されていない場合)
例1:1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)の合成
カップリング剤による2ステップ合成
ステップ1:4‐水素‐1‐メチルイタコネート(第一の可能性)
Figure 0005000079
イタコン酸ジメチル50.7g(0.32モル)およびトルエン‐4‐スルホン酸一水和物25.0g(0.13モル)を、還流コンデンサーおよび磁気攪拌棒装備の500ml丸底フラスコ中水25mlおよびギ酸180mlに溶解した。フラスコを120℃の油浴に浸すことで溶液を軽い還流に付し、15分間攪拌した。次いで、攪拌しながら氷水200ml中へやや黄色の透明反応混合液を注ぐことにより、反応を停止させた。得られた透明水溶液を分液漏斗へ移し、生成物をジクロロメタン100mlずつで6回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を回転蒸発により除去して、粗生成物22.2g(44.8%)を得、これを減圧下で蒸留して、透明無色油状物11.7gを得た。H NMR分析によると、生成物は92%の4‐水素‐1‐メチルイタコネート、約3%の1‐水素‐4‐メチルイタコネートおよび約5%のイタコン酸ジメチルからなっていた。
参考文献:H.-Z.Pan,Y.Yan,L.Tang,Z.-Q.Wu,F.-M.Li,Macromol.Rapid Commun.21,567-573(2000)
ステップ1:4‐水素‐1‐メチルイタコネート(第二の可能性)
イタコン酸ジメチル102.1g(0.65モル)およびトルエン‐4‐スルホン酸一水和物35.0g(0.18モル)を、還流コンデンサー、温度計および磁気攪拌棒装備の1000ml丸底フラスコ中水50mlおよびギ酸250mlに溶解した。フラスコを120℃の油浴に浸すことで溶液を軽い還流に付し、45分間攪拌した。次いで、攪拌しながら氷300g中へやや黄色の透明反応混合液を注ぐことにより、反応を停止させた。得られた透明水溶液を分液漏斗へ移し、生成物をジクロロメタン200mlずつで3回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を回転蒸発で除去して、粗生成物64.5gを得た。ジクロロメタン200mlで水層をもう1回抽出して、更に粗生成物6.4gを得た。典型的酸性臭はフラクション中で少量のギ酸の存在を示していたため、合わせたフラクションをジクロロメタン150mlに溶解して、飽和NaCl水溶液50mlで2回洗浄することによりこれを除去した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させて、透明無色油状物60.1gを得、これを減圧下で蒸留して、透明無色油状物を55.3gを得た。H NMR分析によると、生成物は91%の4‐水素‐1‐メチルイタコネート、約5%の1‐水素‐4‐メチルイタコネートおよび約4%のイタコン酸ジメチルからなっていた。
ステップ1:4‐水素‐1‐メチルイタコネート(第三の可能性)
イタコン酸ジメチル176g(1.15モル)を水90mlおよびギ酸318mlに溶解し、混合液を60〜65℃に加熱し、減圧下(300〜250mbar)で4日間攪拌した。このときの後、GC分析では71.5%の変換を示した。次いで、圧力を200〜100mbarに下げ、溶媒170mlを留去した。反応混合液を20℃に冷却し、水350mlおよび飽和NaCl水溶液710mlで希釈し、ジクロロメタン350mlずつで3回抽出した。合わせた有機層を原容積の15%まで濃縮し、飽和NaHCO水溶液1.06Lを攪拌しながら加えた。未反応イタコン酸ジメチル28.7gを含有した有機層を捨て、水層をジクロロメタン350mlずつで3回抽出し、更に未反応イタコン酸ジメチル3.5gを除去した。水層を32%水性HCl 140mlと反応させ、ジクロロメタン350mlずつで3回抽出し、溶媒の蒸発時に、純度98.3%(GC)で4‐水素‐1‐メチルイタコネート89.8g(55%)を得た。
ステップ2:1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)
Figure 0005000079
N‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐N′‐エチルカルボジイミド塩酸塩75.0g(0.39モル)をジクロロメタン300mlに懸濁し、1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン10.47g(0.078モル)および4‐(ジメチルアミノ)ピリジン0.95g(7.8mmol)を加えた。反応器を排気し、窒素で流した後、懸濁液を2℃に冷却し、ジクロロメタン100mlに溶解された4‐水素‐1‐メチルイタコネート56.0g(0.39モル)を、反応混合液の温度が<5℃に留まるような速度で加えた。次いで、透明になった溶液を一夜攪拌し、飽和NaHCO水溶液300mlずつで2回、1M塩酸300mlずつで2回および水300mlで抽出した。着色副産物をシリカゲル40gのプラグ濾過により除去し、溶媒を蒸発させ、橙色油状物として望ましい生成物37.2gを得た。シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより、淡黄色油状物として純粋な生成物を得た。分子量512.54;5.85meq/g C=C
塩素化による2ステップ合成
ステップ1:4‐水素‐1‐メチルイタコネート
前記のような合成
ステップ2:1‐メチルイタコニルクロリド
Figure 0005000079
4‐水素‐1‐メチルイタコネート7.14g(46mmol)を秤量して、還流コンデンサー、セプタムおよび磁気攪拌棒装備の50ml二首丸底フラスコへ入れた。乾燥ジエチルエーテル5ml、ピリジン1滴および塩化チオニル5ml(69mmol)を加えた。得られた溶液を還流に付し、15分間攪拌した。次いで、油浴を取除き、HClおよびSOを除去するために、軽いアルゴン流を反応混合液に通した。これらガスおよび溶媒の最終痕跡物を膜ポンプ真空下で留去した。得られた黄色油状物を減圧下で蒸留した。透明無色油状物は66〜68℃/8〜9mbarで留出した。IRスペクトルでは、飽和酸クロリド(1804cm−1)および共役エステル(1724cm−1)のカルボニルバンドを示した。H NMR分析では、生成物が89%の1‐メチルイタコニルクロリド、約4%の4‐メチルイタコニルクロリドおよび約7%のイタコン酸ジメチルからなることを示した。
参考文献:H.-Z.Pan,Y.Yan,L.Tang,Z.-Q.Wu,F.-M.Li,Macromol.Rapid Commun.21,567-573(2000)
ステップ3:1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)
1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン2.64g(19.7mmol)を乾燥1,4‐ジオキサン20mlに溶解し、乾燥ジクロロメタン55mlを加えた。溶液を氷浴で冷却し、乾燥ジクロロメタン5ml中1‐メチルイタコニルクロリド10.4g(64.1mmol)を2分間で滴下し、混合液を10分間攪拌した。次いで、乾燥ジクロロメタン20mlに溶解されたトリエチルアミン7.10g(70.2mmol)を、反応混合液の温度が5℃以下に留まるような速度で加えた(約45分間)。添加が終了した後、攪拌を1時間続け、その後氷浴を取除き、反応混合液をマイルドな還流に付し、更に1時間攪拌した。次いで、アンモニウム塩を約1cmの中性Alでの濾過により除去し、溶媒を濾液から回転蒸発させた。油状物をジエチルエーテルに溶解し、3%水性HCl 50ml、飽和水性NaHCO 50mlで2回および水50mlで1回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を回転蒸発により除去し、MEHQ18mgを加えた。得られた緑色様褐色透明油状物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(カラム高さ約45cm、φ5cm、溶離液ヘキサン/酢酸エチル1/1@16〜18ml/min)により精製した。生成物を淡黄色油状物として回収した;収量5.49g(55%)
エステル交換による1ステップ合成;合成(C)
1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)
1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン7.14g(0.053モル)、イタコン酸ジメチル30.03g(0.190モル)、トルエン‐4‐スルホン酸一水和物9.19g(0.048モル)および2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール56mgを秤量して、Dean Starkトラップ装備の100ml丸底フラスコへ入れた。フラスコを100℃に加熱し、メタノールを減圧下で留去した。6時間後、反応混合液をトルエン25mlに溶解し、揮発性物質を回転蒸発により除去した。得られた透明琥珀色混合液を1M水性NaHCO 60ml中へ注ぎ、ジエチルエーテル100mlを加えて生成物を溶解させた。有機層を1M水性NaHCO 60mlおよび水60mlで洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を回転蒸発により除去して、粗生成物27.5g(86%)を得た。粗生成物14.3gを溶離液として2/1ヘキサン/酢酸エチルでSilicagel 60のカラムクロマトグラフィーにより精製した。過剰のイタコン酸ジメチルが溶出した後、溶離液を1/1ヘキサン/酢酸エチル混合液に変え、1,1,1‐トリス(1‐メチルイタコノキシメチル)プロパン4.48g(31%)を回収した。
例2:トリグリセロール‐ペンタ(1‐メチルイタコネート)(29)
Figure 0005000079
トリグリセロール1.25g(5.2mmol)、4‐水素‐1‐メチルイタコネート5.41g(36.0mmol)および4‐(ジメチルアミノ)ピリジン0.45g(3.6mmol)をAr雰囲気下で乾燥クロロホルム20mlに溶解し、1℃に冷却した。N‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐N′‐エチルカルボジイミド塩酸塩7.09g(36.9mmol)を乾燥クロロホルム40mlに溶解し、反応混合液の温度が<5℃に留まるような速度で滴下した。次いで、反応混合液を室温までゆっくり加温し、一夜攪拌した。得られた透明黄色溶液を飽和NaHCO水溶液50ml、1M水性KHSO50ml、飽和NaHCO水溶液50mlおよび飽和NaCl水溶液50mlで洗浄し、MgSOで乾燥させ、約3cmのシリカゲルおよびCelite 545で濾過した。溶媒の蒸発で、望ましい生成物2.56g(57%)を得た。IR分析でOH基の完全変換を確認した。M=870.78;5.74meq/g C=C
例3:1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐n‐ブチルイタコネート)の合成
ステップ1:4‐水素‐1‐n‐ブチルイタコネート
Figure 0005000079
ジ‐n‐ブチルイタコネート104.7g(0.43モル)およびトルエン‐4‐スルホン酸一水和物3.93g(0.021モル)を、還流コンデンサー、温度計および磁気攪拌棒装備の500ml丸底フラスコ中ギ酸140mlに溶解した。水30mlを加え、得られた溶液を72℃の油浴へフラスコを浸すことで66℃に加熱し、その温度で48時間攪拌した。次いで、攪拌しながらやや黄色の透明反応混合液を氷水600ml中へ注ぐことにより、反応を停止させた。得られた薄黄色エマルジョンを分液漏斗へ移し、生成物をジクロロメタン200mlで3回洗浄することにより抽出した。合わせた有機層を飽和NaCl水溶液100mlで洗浄し、NaSOで乾燥させた。回転蒸発による溶媒の除去で、粗生成物75.3gを得た。H NMR分析によると、粗生成物は81%の4‐水素‐1‐n‐ブチルイタコネート、約4%の1‐水素‐4‐n‐ブチルイタコネートおよび約15%のジ‐n‐ブチルイタコネートからなっていた。粗生成物に飽和NaHCO水溶液250mlおよびNaHCO17.6gを加えて、濁った赤色溶液を得、これをジエチルエーテル100mlで3回洗浄した。透明赤色水層へ、pHが8.5から3.0へ下がるまでKHSOを加え、それをジクロロメタン100mlで2回洗浄した。次いで、pH値が2.2になるまで更にKHSOを加え、溶液をジクロロメタン100mlで再び2回洗浄した。黄色有機層を飽和NaCl水溶液50mlで洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒の蒸発により、透明黄色油状物53.6g(67%)を得たが、これはH NMR分析によると、95%の4‐水素‐1‐n‐ブチルイタコネートおよび約5%の1‐水素‐4‐n‐ブチルイタコネートからなっていた。
ステップ2:1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐n‐ブチルイタコネート)(30)
Figure 0005000079
1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン2.00g(14.9mmol)、N‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐N′‐エチルカルボジイミド塩酸塩11.3g(59.0mmol)および4‐(ジメチルアミノ)ピリジン0.43g(3.5mmol)をAr雰囲気下で乾燥ジクロロメタン150mlに懸濁した。懸濁液を1℃に冷却し、乾燥ジクロロメタン80mlに溶解された4‐水素‐1‐n‐ブチルイタコネート9.65g(51.8mmol)を、温度が2℃以下に留まるような速度で滴下した。滴下終了後、透明黄色反応混合液を室温まで加温し、更に1時間攪拌した。濾過および溶媒の除去後、ジエチルエーテル100mlを加え、溶液を飽和NaHCO水溶液50ml、3%塩酸50ml、および水25mlと一緒に飽和NaHCO水溶液25mlで洗浄した。MgSOによる有機層の乾燥および溶媒の蒸発により、赤色様褐色油状物として生成物7.93g(80%)を得た。分子量638.75g/モル;4.70meq/g
例4:ペンタエリトリトール‐テトラ(1‐n‐ブチルイタコネート)(31)の合成
Figure 0005000079
ペンタエリトリトール1.53g(11.2mmol)、N‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐N′‐エチルカルボジイミド塩酸塩12.0g(62.8mmol)および4‐(ジメチルアミノ)ピリジン0.45g(3.7mmol)をAr雰囲気下で乾燥ジクロロメタン100mlに懸濁した。懸濁液を1℃に冷却し、乾燥ジクロロメタン40mlに溶解された4‐水素‐1‐n‐ブチルイタコネート10.0g(53.9mmol)を、温度が2℃以下に留まるような速度で滴下した。滴下終了後、透明黄色反応混合液を約1時間かけて室温まで加温した。次いで、溶媒を蒸発させ、ジエチルエーテル100mlを加え、溶液を飽和NaHCO水溶液50ml、1.0M KHSO水溶液50ml、水10mlと一緒に飽和NaHCO水溶液40ml、および水50mlで洗浄した。NaSOによる有機層の乾燥および溶媒の蒸発により、透明褐色油状物として望ましい生成物9.81g(103%)を得た。分子量=880.92g/モル;4.54meq/g C=C
例5:N,N′,N″,N″′‐テトラキス(1‐メチル‐イタコニル)‐トリエチレンテトラアミン(32)の合成
ステップ1:N,N′,N″,N″′‐テトラキス(1‐水素‐イタコニル)‐トリエチレンテトラアミン
Figure 0005000079
トリエチレンテトラアミン3.30g(22.6mmol)を水200mlに溶解し、溶液を氷浴で冷却した。激しい攪拌下で、ジクロロメタン50mlに溶解された無水イタコン酸18.73g(167mmol)を、温度が4〜6℃に留まるような速度で、90分間かけて滴下した。滴下中は、反応混合液のpHを4M水性NaOHの添加により9.5で保った。添加が終了した後、反応混合液を分液漏斗へ移し、各層を分離した。水層を濃塩酸(pH2)で酸性化し、ジクロロメタン100mlで洗浄し、4℃で放置して結晶化させた。結晶物質を濾取し、真空下で乾燥させた。収量:5.46g(41%)
ステップ2:N,N′,N″,N″′‐テトラキス(1‐メチル‐イタコニル)‐トリエチレンテトラアミン(32)
Figure 0005000079
塩化チオニル5.4ml(74mmol)を氷冷メタノール100mlへゆっくり加えた。この混合液をN,N′,N″,N″′‐テトラキス(1‐水素‐イタコニル)‐トリエチレンテトラアミン5.39g(9.1mmol)のスラリーへ加えた。得られた黄色懸濁液を還流に付し、4時間攪拌したところ、その間に反応混合液は透明になった。揮発性物質の蒸発により、IRおよびH NMRで同定されるようなN,N′,N″,N″′‐テトラキス(1‐水素‐イタコニル)‐トリエチレンテトラアミン4.30g(73%)を得た。分子量=659.68g/モル;6.15meq/g C=C
例6:トリメチロールプロパン トリス〔ポリ(プロピレングリコール),イタコンアミド末端〕エーテル(34)の合成
Figure 0005000079
N‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐N′‐エチルカルボジイミド塩酸塩10.2g(53.1mmol)および4‐(ジメチルアミノ)ピリジン0.40g(3.3mmol)をAr雰囲気下で乾燥ジクロロメタン50mlに懸濁した。懸濁液を氷浴で2℃に冷却し、乾燥ジクロロメタン50mlに溶解されたトリメチロールプロパン トリス〔ポリ(プロピレングリコール),アミン末端〕エーテル6.09gを加え、透明無色溶液を得た。乾燥ジクロロメタン40mlに溶解された4‐水素‐1‐メチルイタコネート7.15g(49.6mmol)を、温度が4℃以下に留まるような速度で滴下した。滴下終了後、透明薄黄色反応混合液を2〜3℃で更に1時間攪拌し、次いで室温まで加温し、更に1時間攪拌した。溶液を分液漏斗に移し、飽和NaHCO水溶液50ml、1M KHSO水溶液50ml、および飽和NaCl水溶液50mlと一緒に飽和NaHCO水溶液50mlで洗浄した。NaSOによる有機層の乾燥および溶媒の蒸発により、透明赤色様褐色油状物として生成物12.8gを得たが、その構造はIR、H NMRおよび13C NMR分光測定により確認される。
例7:ペンタエリトリトール テトラキス(3‐メルカプトプロピル)エーテル(27)の合成
ステップ1:ペンタエリトリトール テトラアリルエーテル
Figure 0005000079
ペンタエリトリトール トリアリルエーテル30.7g(0.12モル)を乾燥THF100mlに溶解し、NaH4.4g(0.18モル)を攪拌しながら少しずつ加えた。ガス発生が止んだ後、臭化アリル16ml(0.18モル)を加え、反応混合液を室温で一夜攪拌した。反応を完了させるために、それを引き続き還流に付し、1時間攪拌した。沈殿塩を約1cmのCelite 545での濾過により除去し、溶媒および過剰の臭化アリルを蒸発させて、淡黄色油状物35.3g(99.5%)を得た。粗生成物をジエチルエーテル100mlに溶解させ、次いで0.1M水性KHSO50mlおよび飽和NaHCO水溶液50mlで洗浄した。MgSOによる有機層の乾燥および溶媒の蒸発により、純粋生成物34.4g(97%)を得た。
ステップ2:ペンタエリトリトール テトラキス(3‐チオアセトプロピル)エーテル
Figure 0005000079
ペンタエリトリトール テトラアリルエーテル24.8g(83.8mmol)、チオ酢酸28.8g(0.378モル)およびAIBN1.08g(6.6mmol)をTHF100mlに溶解し、2℃に冷却し、3サイクルの排気およびArパージにより脱気させた。溶液を還流に付し、17時間攪拌した。次いで、更にチオ酢酸6.12g(80.4mmol)およびAIBN0.51g(3.1mmol)を加え、反応混合液を還流下で更に22時間攪拌し、その後で溶媒を蒸発させた。収量:黄色油状物55.5g(110%)。H NMR分析によると、アリル基の98.4%が変換されていた。
ステップ3:ペンタエリトリトール テトラキス(3‐メルカプトプロピル)エーテル(27)
Figure 0005000079
ペンタエリトリトール テトラキス(3‐チオアセトプロピル)エーテル7.02g(0.011モル)をエタノール30mlに溶解した。溶液を3サイクルの排気およびArパージにより脱気させ、60℃油浴で加熱した。50%KOH水溶液30.3g(0.27モル)を約30分間かけて滴下した。更に30分間の攪拌後、反応混合液を冷却させ、脱気1M KHSO水溶液100ml中へ注ぎ、飽和KHSO水溶液を加えることでpH2にした。生成物をジエチルエーテル80mlずつで3回の抽出により回収した。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液100mlおよび飽和NaCl水溶液100mlで連続洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒の蒸発により、琥珀色油状物4.1g(89%)を得た。IR分析では、1687cm−1でカルボニルシグナルの完全消失を示した。
例8a:1,1,1‐トリメチロールプロパン トリス(3‐メルカプトプロピル)エーテル
Figure 0005000079
反応は例7の3ステップと同様であったが、しかしながらステップ1で1,1,1‐トリメチロールプロパン ジアリルエーテルから出発して、1,1,1‐トリメチロールプロパン トリス(3‐メルカプトプロピル)エーテルを得た。
例8b
別法の反応として、反応7のステップ1で1,1,1‐トリメチロールプロパンから出発したが、他のステップは同様に行った:
Figure 0005000079
例9:1,2,4‐トリス(2‐メルカプトエチル)シクロヘキサン
Figure 0005000079
1,2,4‐トリビニルシクロヘキサン22.2g(0.137モル)、チオ酢酸37.2g(0.49モル)およびAIBN1.4g(8.5mmol)をAr雰囲気下でTHF140mlに溶解した。溶液を還流に付し、18時間攪拌した。冷却後、過剰のチオ酢酸を結合させるために、溶液をDowex WGR2樹脂と共に30分間攪拌し、濾過した。溶媒を回転蒸発により除去し、生成物をAr雰囲気下で水170ml中NaOH79.3g(1.98モル)の溶液に分散させた。分散液を80℃に加熱し、その温度で4時間攪拌した。室温まで冷却後、濃塩酸をpHが1になるまでゆっくり加え、生成物をジクロロメタン150mlずつで3回抽出した。合わせた有機層を5%NaHCO水溶液150mlおよび水100mlで洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒の蒸発により、望ましい生成物27.3g(76%)を得た。
例10:2,4,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)の合成
Figure 0005000079
2,4,6,8‐テトラビニル‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン23.7g(0.069mmol)、チオ酢酸25.2g(0.331モル)およびAIBN0.91g(5.5mmol)をTHF110mlに溶解し、窒素で吹き流した。反応混合液を15時間加熱還流させ、その後それを40℃に冷却し、THFを減圧下で留去した。得られた油状物をエタノール100mlに溶解し、室温で50%水性NaOH29mlを加えて、温度を48℃に上昇させた。添加が終了した後、混合液を4時間加熱還流させ、混合液を減圧下でその原容積の25%まで濃縮した。室温まで冷却後、水中30%HSO187gをゆっくり加えた。生成物を混合物からジクロロメタン100mlずつで3回抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液180mlで2回洗浄した。溶媒を蒸発させ、回転蒸発器により10mbarで5時間乾燥させて、粘稠黄色油状物32.9g(99%)を得た。分子量=480.99g/モル;8.82meq/g SH
例11:テトラ(3‐メルカプトプロピル)シランの合成
Figure 0005000079
上記の操作を用いるが、但しテトラアリルシランから出発して、テトラ(3‐メルカプトプロピル)シランを収率94%で合成した。
例12:トリ(3‐メルカプトプロピル)トリメチロールプロパン(25)の合成
ステップ1:トリメチロールプロパン トリアリルエーテル
トリメチロールプロパン ジアリルエーテル48ml(0.224モル)を500ml丸底フラスコ中THF120mlおよびNaH6.5g(0.271モル)へゆっくり加えた。ゆっくりした泡の発生は、R‐OHとNaとの酸化還元反応の開始を示した。溶液を一夜攪拌した。臭化アリル23ml(0.032モル)を溶液へ滴下した。混合液は温かくなり乳白化し、懸濁液を一夜放置した。溶液を分液漏斗へ移し、生成物をHO、KHSO、再びHOおよびNaClで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、蒸発させた。
ステップ2:アリル基へのチオ酢酸のラジカル付加
トリメチロールプロパン トリアリルエーテル41g(0.164モル)、チオ酢酸36.7ml(0.59モル)およびAIBN1.67gを、還流コンデンサー、温度計および磁気攪拌棒装備の500ml丸底フラスコ中のTHF150mlに溶解した。溶液を65℃で18時間攪拌した。チオ酢酸を結合させるために、Dowex WGR-2 37gを加えた。30〜40分間の攪拌後、溶液を濾過し、MgSOで乾燥させた。
ステップ3:トリ(3‐メルカプトプロピル)トリメチロールプロパン
NaOH96g(2.4モル)およびチオアセチルエステルを水200mlへ加え、80℃で4時間攪拌した。HCl 200mlの添加により、懸濁液を酸性化した。クロロホルム200mlを加え、30分間後に分液漏斗へ移した。溶液を水で4回および塩水で2回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、溶媒を回転蒸発により除去して、38.1gを得た。
例13:ポリプロピレンオキシド‐α,ω‐ビス(1‐プロピル‐イタコニルアミド)(36)の合成
ステップ1:ポリプロピレンオキシド‐α,ω‐ビス(1‐プロピル‐イタコニルアミド)遊離酸
無水イタコン酸15.5g(0.138モル)をCHCl100mlに溶解した。溶液を濾過して痕跡量の不溶性イタコン酸を除去し、還流コンデンサー、温度計、磁気攪拌棒および滴下漏斗装備の1L丸底フラスコ中のホウ酸緩衝液(0.1M,pH9.5,NaOH含有)400ml中Jeffamine D-2000 75ml(0.0375モル)へゆっくり加えた。pHをNaOHの添加により9.5で保った。反応混合液を一夜攪拌した後、水200mlを加え、得られた懸濁液を分液漏斗へ移し、生成物をジエチルエーテル250mlで5回洗浄および塩水200mlで2回洗浄することにより抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を回転蒸発により除去し、生成物63.1g(76%)を得た。
ステップ2:ポリプロピレンオキシド‐α,ω‐ビス(1‐プロピル‐イタコニルアミド)(36)
塩化チオニル8.2ml(0.112モル)を滴下漏斗から氷冷1‐プロパノール100mlへゆっくり加えた。一級アルコール200mlに溶解されたPPOdiltAm遊離酸62g(0.028モル)を加えた。次いで、溶液を軽い還流に付し、4時間攪拌した。溶液を回転蒸発により濃縮し、クロロホルム100mlを加えた。溶液を分液漏斗へ移し、生成物を飽和NaHCO水溶液150mlで2回および塩水150mlで2回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を回転蒸発により除去し、誘導生成物49.8g(81%)を得た。
例14:ポリプロピレンオキシド‐α,ω‐ビス(1‐プロピル‐アクリルアミド)(37)
Jeffamine D-2000 100ml(0.049モル)およびNaCO11.4g(0.107モル)を還流コンデンサー、磁気スターラー、温度計および滴下漏斗装備の500ml丸底フラスコ中のクロロホルム200mlへ加えた。クロロホルム20mlに溶解されたアクリロイルクロリド8.7ml(0.107モル)をその溶液へゆっくり加え、2日間攪拌した。溶液を濾過し、分液漏斗へ移し、生成物を濃NaHCO水溶液で2回および塩水で2回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を回転蒸発により除去し、やや黄色の油状物72.3g(68%)を得た。
椎体形成術で使用の組成物
用いられるシリカは、Cabot GmbHから商品名CAB-O-SIL M-5で市販されている;それは平均粒径12nmの親水性物質である。
100μm BaSOは、Riedl-de Haehne(Sigma AldrichカタログのNo.11432)またはSachtleben Chemie GmbHから、商品名Sachtoperse HP、HU-Nで市販されている。
トリメチロールプロパン トリアクリレート(SR351R)は、Cray Valley(60870 Rieux,France)から市販されている。
分散物/混合物(両用語は同義で用いられている)の混合は、S25N‐10G分散スティック装備のUltra-Turax T25ベーシックで行った。混合は、均一になるまで、レベル6で行った。
例えば“チオール成分”または“イタコネート成分”の場合のような用語“成分”とは、各種のチオールまたはイタコネート自体+フィラー、X線剤、塩基、例えばSiO、BaSOまたはトリエチルアミンを示し、即ちそれは反応種およびあらかじめ加えられたあらゆる添加物を含んでいる。
重量%は組成物の全重量の重量パーセンテージを示す。
例15
バルク物質
BaSO2gおよびSiO0.74gを均一になるまでトリメチロールプロパン トリアクリレート(28)20gに分散した(“アクリレート成分”)。
BaSO2gおよびSiO0.74gを2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)20gに分散し、均一になるまで混合した(“チオール成分”)。
トリブチルアミン150mgを“アクリレート成分”1.16gへ加え、均一になるまで混合した。次いで、“チオール成分”1.5gを均一になるまで“アクリレート/トリブチルアミン成分”と混合する。
重量%SiO:3.1;重量%BaSO:8.38
ゲル化時間:37℃で約10分;安定性:37℃で1年;極限圧縮強度:27MPa;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで110MPa;水取込み0.2%
例16
SiO300mgおよびBaSO2000mgを2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)6000mg(49.86mmol ‐SH)に分散した。次のステップでは、トリメチロールプロパン トリス〔ポリ(プロピレングリコール),アミン末端〕エーテル(TPGA)637.3mg(3.99モル‐NH)を後の分散液へ加え、次いで完全に混合した(“チオール成分”)。
SiO110mgおよびBaSO1406mgを1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)8531mg(49.86mmol C=C)に分散した(“イタコネート成分”)。
次いで、“チオール成分”/TPGA混合物および“イタコネート成分”を合わせ、合わせた混合物の混合を均一になるまで続けた。
重量%SiO:2.16;重量%BaSO:17.94;ドナーおよびアクセプターの合計の重量%:76.55;重量%塩基:3.36
ゲル化時間:37℃で約13分;安定性:37℃で1年;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで35MPa;水取込み1.8%;粘度400sまで3Pa/s
例17
市販トリメチロールプロパン トリアクリレート(28)2800mg(26.11mmol ‐C=C‐)をトリエチルアミン100mg(1.06mmol ‐NH)と均一に混合した(“アクリレート成分”)。次のステップでは、2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)3200mg(26.11mmol ‐SH)を“アクリレート成分”へ加え、分散液を均一になるまで混合した。
ゲル化時間:37℃で約10分;安定性:37℃で1年;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで60MPa;水取込み2%
例18
1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)800mg(6.653mmol ‐C=C‐)をトリエチルアミン33mg(0.33mmol ‐NH)と均一に混合した(“イタコネート成分”)。
次いで、2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)1000mg(8.316mmol ‐SH)を“イタコネート成分”へ加え、混合を均一になるまで続けた。
ゲル化時間:37℃で約15分;安定性:37℃で1年;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで15MPa;水取込み2.3%
例19
1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)3570mg(23.56mmol ‐C=C‐)をトリエチルアミン92mg(0.94mmol ‐NH)と均一に混合した(“イタコネート成分”)。
2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)2829mg(23.56mmol ‐SH)を“イタコネート成分”へ加え、混合を均一になるまで続けた。
ゲル化時間:37℃で約14分;安定性:37℃で1年;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで25MPa;水取込み2.4%
例20
トリエチルアミン21mg(0.21mmol ‐NH)をテトラキス(1‐メチル‐イタコニル)‐トリエチレンテトラアミン(32)567mg(3.94mmol ‐C=C‐)へ加えて混合した(“イタコンアミド成分”)。
2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)420mg(3.94mmol ‐SH)を“イタコンアミド成分”へ加え、混合を均一になるまで続けた。
安定性:37℃で1年;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで約200MPa
例21
トリグリセロール‐ペンタ(1‐メチルイタコネート)(29)434.5mg(2.945mmol ‐C=C‐)をトリエチルアミン12.6mg(0.124mmol)と混合した(“イタコネート成分”)。2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)300mg(2.945mmol ‐SH)を“イタコネート成分”へ加え、均一になるまで混合した。
ゲル化時間:37℃で約30分;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで30MPa;安定性:37℃で1年;
例22
SiO34mgおよびBaSO289mgを2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)1200mg(11.09mmol ‐SH)へ均一に分散した。次いで、トリメチロールプロパン トリス〔ポリ(プロピレングリコール),アミン末端〕エーテル(TPGA)84mg(0.83mmol ‐NH)を後者へ加え、分散液を完全に混合した(“チオール成分”)。
SiO63mgおよびBaSO531mgを1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐n‐ブチルイタコネート)(30)2360mg(11.09mmol ‐C=C‐)へ均一に分散した(“イタコネート成分”)。
“チオール成分”および“イタコネート成分”を合わせ、合わせた混合物の混合を均一になるまで続けた。
重量%SiO:2.13;重量%BaSO:17.98;ドナーおよびアクセプターの合計の重量%:78.05;重量%塩基:1.84
ゲル化時間:37℃で13分;安定性:37℃で1年;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで30MPa;水取込み2.0%
例23
SiO20mgおよびBaSO169mgを2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)700mg(6.47mmol ‐SH)へ均一に分散した。次のステップで、トリメチロールプロパン トリス〔ポリ(プロピレングリコール),アミン末端〕エーテル(TPGA)49mg(0.49mmol ‐NH)を分散液へ加え、次いで完全に混合した(“チオール成分”)。
SiO48mgおよびBaSO398mgをトリメチロールプロパン トリス〔ポリ(プロピレングリコール),イタコンアミド末端〕(34)1767mg(6.47mmol ‐C=C‐)へ均一に分散した(“イタコンアミド成分”)。
次のステップで、“チオール成分”および“イタコンアミド成分”を合わせ、合わせた混合物の混合を均一になるまで続けた。
重量%SiO:2.16;重量%BaSO:17.99;ドナーおよびアクセプターの合計の重量%:78.3;重量%塩基:1.56
ゲル化時間:37℃で13分;安定性:37℃で1年;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで25MPa;水取込み5%
例24
SiO0.406gおよびBaSO3.456mgをペンタエリトリトール テトラキス(2‐メルカプトプロプリオネート)(26)15g(119.62mmol ‐SH)へ均一に分散した(“チオール成分”)。シリカ0.387gおよびBaSO2.9gをトリメチロールプロパン トリアクリレート(28)12.91g(119.62mmol C=C)に分散した。次いで、トリエチルアミン0.362g(3.58mmol ‐NH)を加え、完全に混合した(“アクリレート成分”)。アクリレート成分およびチオール成分を合わせ、合わせた混合物を均一になるまで混合した。
重量%SiO:2.24;重量%BaSO:17.94;ドナーおよびアクセプターの合計の重量%:78.8;重量%塩基:1.02
ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで43MPa;
0.3%歪および0.005mm/sのヤング率E,一軸圧縮強度およびポアソン比:ヤング率E:33.3MPa;ポアソン比:0.47;一軸圧縮強度:11.3MPa
例25
SiO117mgおよびBaSO978mgを2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)4000mg(28.27mmol ‐SH)へ均一に分散した。次いで、トリメチロールプロパン トリス〔ポリ(プロピレングリコール),アミン末端〕エーテル(TPGA)349mg(2.2mmol ‐NH)を分散液へ加え、完全に混合した(“チオール成分”)。
SiO115mgおよびBaSO965mgを1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)4289mg(22.62mmol ‐C=C‐)へ均一に分散した(“イタコネート成分”)。
“チオール成分”を“イタコネート成分”へ加え、合わせた混合物の混合を均一になるまで続けた。
1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)対2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)の比率=0.8
重量%SiO:2.15;重量%BaSO:17.97;ドナーおよびアクセプターの合計の重量%:76.66;重量%塩基:3.23
ゲル化時間:37℃で15分;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで30MPa;安定性:37℃で1年
例26
SiO187mgおよびBaSO978mgを2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)4000mg(28.27mmol ‐SH)へ均一に分散した。次いで、トリメチロールプロパン トリス〔ポリ(プロピレングリコール),アミン末端〕エーテル(TPGA)349mg(2.2mmol ‐NH)を後者へ加え、分散液を完全に混合した(“チオール成分”)。
SiO184mgおよびBaSO965mgを1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)4289mg(22.62mmol ‐C=C‐)へ均一に分散した(“イタコネート成分”)。
“イタコネート成分”および“チオール成分”を合わせ、合わせた混合物の混合を均一になるまで続けた。
1,1,1‐トリス(ヒドロキシメチル)プロパン‐トリス(1‐メチルイタコネート)(33)対2,3,6,8‐テトラ(2‐メルカプトエチル)‐2,4,6,8‐テトラメチルシクロテトラシロキサン(21)の比率=0.8
重量%SiO:3.39;重量%BaSO:17.74;ドナーおよびアクセプターの合計の重量%:75.68;重量%塩基:3.19
ゲル化時間:37℃で15分;ヤング率E:10%歪および0.35mm/sで37MPa;安定性:37℃で1年
椎骨における補強効果の試験
A.技術は、機械的性質を補強するために、罹患椎骨中へ経皮的に生体材料を注入することからなる。椎体形成術は、おそらく現存する小骨折の即時機械的安定化のおかげで、痛みからの急速な軽減を患者へもたらすことが報告された。この適用で最も常用される生体材料はポリメチルメタクリレート(PMMA)である。PMMA剛性は、健常脊椎小柱骨の場合よりも有意に高い。したがって、PMMAの注入は終板にかかる荷重分布を変え、隣接椎骨で骨折の頻度を増すことが示された。加えて、この新たな荷重分布に伴う改骨成の成果は未知のままである。
この研究の目的は、コンプライアント生体材料を用いて、脊椎網目状骨の機械的性質の補強度を定量することであった。ヒト死体の骨粗鬆椎骨に注入し、椎骨を例24の組成物で完全に満たした。
材料および方法
新鮮椎体を5ドナーから死後に得、−26℃で貯蔵した。軟組織から単離後、椎体をセメントで固定し、一対の8mm径円筒コアをダイヤモンド被覆コア取出器具で各椎骨から抜き取った。円筒の末端をダイヤモンド被覆帯ノコで面平行に切断し、10mmの長さとした。次いで、滑らかな石鹸液の3連続浴を用いてサンプルの髄質を除去し、次いで水ですすぎ、超音波振盪した。予備研究では、網目状骨試料の形態および機械的性質がこの操作で変わらないことを確認した(n=15、p>0.63)。すべての試料を20μm解像度のμCTシステム(μCT40,Scanco Medical,Switzerland)で画像化し、データセットを3D形態分析に付した。気泡の存在を最少化させたコア取出髄質抜取試料の小柱構造中へ生体材料を注入するために、型をデザインおよび構築した。握り易さのために、試料の両端を長さ12mmのPMMA円筒中へ埋め込んだ。各対の1試料をランダムに割り当てて、補強した。弾性率、極限応力(強度)、極限歪および極限応力時の総エネルギーを、得られた応力‐歪曲線から計算した。
コントロール試料の容積分率および組織密度をアルキメデス法により得た。スチューデントt検定を用いて、コントロールと補強試料群との形態および機械的性質を比較した。
結果
骨容積分率の範囲は3.5から19.5%へ伸びた。コントロールおよび補強群の平均容積分率は統計的に差がなかった(n=15、p>0.43)。構造モデル係数(SMI)、異方性の程度および結合密度(connectivity density)もコントロールおよび補強群で比較できた(p>0.1)。形態的性質の分布は双峰性であったため、結果は10.0%のカットオフ値で容積分率の2つの別々な範囲:低VF(n=5)および高VF範囲(n=19)について示されている。図1aで示されているように、補強試料の平均弾性率が低および高VFの双方でコントロールの1つよりも有意に高いということはなかった(p>0.13)。低VFの場合、極限応力は補強のせいで0.69±0.50から1.93±0.99MPaへ(+180%)増加し、高VFの場合、それは4.63±0.7から5.71±1.4MPaへ(+23%)増加した。強度の増加は両範囲で有意であることがわかった(p<0.037)。他の降伏後性質、極限歪および総エネルギーも、補強群で高いことがわかった(図1b)。
考察
コンプライアント生体ポリマーの注入による脊椎小柱骨の機械的性質の補強をインビトロで評価した。33MPaの低いヤング率を有する、ほとんど圧縮不可能な生体材料の使用は、降伏後性質を有意に高めて、小柱構造の弾性を保存することが示された。生体ポリマーは約1MPaの強度増をもたらすが、これは低VFの骨で相対的補強の改善を意味する。実験条件下での無髄質円筒試料の注入は骨補強に関して再現性ある最良のシナリオを示し、臨床条件と比較しても改善された結果を示すことがある。それにもかかわらず、選択された生体ポリマーは罹患椎骨に存在する小骨折を安定化し、生理的荷重下で応力分布を有意に変えることなく、更なる障害の蓄積を防ぐ。経皮的椎体形成術により痛みを減少させる上でこのようなコンプライアント生体材料により成功するかどうかは、臨床分野でまだ実証されないでいる。
B.ヒト死体の骨粗鬆椎骨に注入し、例15の組成物で完全に満たした。
計84個の円筒試料(φ8mm、L=10mm)を、年齢29〜86歳のヒト死体(男性3例および女性1例)の胸および腰椎骨から一定の水刺激下でコア取出した。試料の半分を例15の組成物で補強した。ヒト小柱骨の疲労挙動を調べた以前の研究がないため、ウシ小柱骨に関する文献で記載されたプロトコールを採用した(Michel M.C.et al,1993,Compressive fatigue behaviour of bovine tarbecular bone,Journal of Biomechanics,26,453-463)。機械的試験に際して、試料を37℃でハンクス平衡塩溶液に浸した。機械的試験のパラメーターは次のように選択した:振動数:2Hz;形状:正弦;コントロールチャンネル:力;力の選択:S静止(静止圧縮応力)はRapillard et al,2002,Vertebroplastie,Travail de diplome;EPFL Lausanne,Switzerlandから入手し、6MPaの値を有した。Smin=0.16S静止;Smax=c静止,到達するおおよそのサイクル数に依存して0.55<c>0.9
結果は図2で表わされ、破壊までのサイクル数Nfの関数として、容積分率FVで割った最大適用応力Smaxを示している。Smaxは強くFVに依存するため、データを正規化するためにSmaxをFVで割った。補強小柱骨(補強群)対非補強小柱骨(コントロール群)間の疲労結果の比較では、補強群における小柱骨の疲労寿命で実質的増加を示す。
例27
ヒト死体の骨粗鬆椎骨に注入し、椎骨を例16の組成物で完全に満たした。
補強前における骨粗鬆椎骨(海綿質部分)の圧縮強度:0.03%歪および0.027mm/sで0.7;
補強後における椎骨(海綿質部分)の圧縮強度:0.03%歪および0.027mm/sで2.1MPa
泌尿器容積増大に使用の組成物
例28
SiO0.092gをトリス(3‐メルカプトプロピル)トリメチロールプロパン(24)2.4g(20.19mmol ‐SH)へ均一に分散した。次いで、ジエタノールアミン0.636g(6.05モル ‐NH)をチオール/SiO分散液へ加え、完全に混合した(“チオール成分”)。SiO0.180gをポリプロピレンオキシド‐α,ω‐ビス(1‐プロピル‐イタコンアミド)(36)7.067g(20.19mmol ‐C=C‐)へ均一に分散した(“イタコンアミド成分”)。“チオール成分”および“イタコンアミド成分”を合わせ、均一になるまで混合する。
重量%SiO:2.63;ゲル化時間:37℃で約30分;70℃で組成物は60日間安定である;ヤング率Eは0.1歪のとき約2MPaである;水取込み:15%
例29
SiO0.070gをペンタエリトリトール テトラキス(2‐メルカプトプロピオネート)(26)2.400g(19.14mmol ‐SH)へ均一に分散した(“チオール成分”)。SiO0.400gを市販ポリ(プロピレンオキシド)ジアクリレート(35)(Sigma)15.074g(33.49mmol ‐C=C‐)へ均一に分散した。次いで、Jeffamine D-400 0.191g(0.957mmol ‐NH)をアクリレート/SiO分散液へ加え、完全に混合した(“アクリレート成分”)。“チオール成分”および“アクリレート成分”を合わせ、混合を均一になるまで続けた。
重量%SiO:2.59;ゲル化時間:37℃で約30分;37℃で組成物は250日間以上安定であった;0.1歪のヤング率E:0.2MPa;水取込み:10%
例30
SiO0.030gを1,2,4‐トリス(2‐メルカプトエチル)シクロヘキサン(22)1.100g(11.64mmol ‐SH)へ均一に分散した(“チオール成分”)。SiO0.130gをポリプロピレンオキシド‐α,ω‐ビス(1‐プロピルイタコンアミド)(36)4.891g(13.97mmol ‐C=C‐)へ均一に分散した。次のステップで、Jeffamine D-400 0.116g(0.957mmol ‐NH)をイタコンアミド/SiO混合液へ加え、完全に混合した(“イタコンアミド成分”)。“イタコンアミド成分”および“チオール成分”を合わせ、混合を均一になるまで続けた。
重量%SiO:2.55;ゲル化時間:37℃で約30分;安定性37℃で1年;ヤング率Eは0.1歪のとき約1MPaである;水取込み:12%
例31
SiO0.070gをトリス(3‐メルカプトプロピル)トリメチロールプロパン(24)2.2g(17.27mmol ‐SH)へ均一に分散した。次いで、ジエタノールアミン0.544g(5.18モル ‐NH)をチオール/SiO混合液へ加え、完全に混合した(“チオール成分”)。SiO0.140gをポリプロピレンオキシド‐α,ω‐ビス(アクリルアミド)(37)5.182g(17.27mmol ‐C=C‐)へ均一に分散した(“アクリルアミド成分”)。“チオール成分”および“アクリルアミド成分”を合わせ、混合を均一になるまで続ける。
重量%SiO:2.58;ゲル化時間:37℃で約30分;70℃で組成物は60日間安定である;ヤング率Eは0.1歪のとき約2MPaである;水取込み:17%
(上図)は、低および高容積分率(VF)双方の椎骨のコントロールおよび補強群間におけるヤング率Eおよび強度の比較を示している(p<0.05)。 (下図)は、低および高容積分率(VF)双方の椎骨のコントロールおよび補強群間における強度の比較を示している(p<0.05)。 補強小柱骨(補強群)対非補強小柱骨(コントロール群)間の疲労結果の比較を示している。

Claims (16)

  1. 少くとも1つの椎骨を補強するための生体材料の作製に関する組成物の使用であって、該組成物は少くとも第一および第二の前駆成分を含んでなり、第一の前駆成分はmの求核基を有し、第二の前駆成分は少くともnの求電子基を有し、ここでm=4およびm+nは少くとも5であり、求核および求電子基は適用後の期間に亘って、生理的温度で互いに共有結合を形成するように第一および第二の前駆成分は選択され、且つ、第一および第二の前駆成分は、モノマーおよび2〜10のモノマー単位を有するオリゴマーからなる群より選択され、100〜900g/モルの範囲の分子量を有し、更に生体材料による水取込みが、水中または緩衝液中37℃で1年の貯蔵期間に付される前における生体材料の重量の7重量%を超えない、上記の使用:但し、第一の前駆成分は、テトラ(3‐メルカプトプロピル)シランであり、第二の前駆成分は、ペンタエリトリトールの誘導体であり、該ペンタエリトリトール誘導体は、共役不飽和基を含む求電子基を有し、該共役不飽和基は、少くとも1つのアクリレート基を含んでなる。
  2. 第一の前駆成分の求核基および第二の前駆成分の求電子基が、それらがMichael付加反応により共有結合を形成するように選択される、請求項1に記載の使用。
  3. 組成物が、三級アルキルアミン塩基の群から選択される塩基を更に含んでなる、請求項1または2に記載の使用。
  4. 三級アルキルアミン塩基がトリブチルアミンである、請求項に記載の使用。
  5. 組成物が、更に、チキソトロープ剤および放射線不透過剤からなる群より選択される1以上の添加剤を含んでなる、請求項1〜のいずれか一項に記載の使用。
  6. 添加剤が硫酸バリウムである、請求項に記載の使用。
  7. 少くとも1つの椎骨を補強するのに適した生体材料であって、該生体材料は少くとも第一および第二の前駆成分を含んでなる組成物から形成され、第一の前駆成分はmの求核基を有し、第二の前駆成分は少くともnの共役不飽和基を有し、ここでm=4およびm+nは少くとも5であり、且つ、第一および第二の前駆成分は、モノマーおよび2〜10のモノマー単位を有するオリゴマーからなる群より選択され、100〜900g/モルの範囲の分子量を有し、更に生体材料による水取込みが、水中または緩衝液中37℃で1年の貯蔵期間に付される前における生体材料の重量の7重量%を超えない、上記の生体材料:但し、第一の前駆成分は、テトラ(3‐メルカプトプロピル)シランであり、第二の前駆成分は、ペンタエリトリトールの誘導体であり、該ペンタエリトリトール誘導体は、共役不飽和基を含む求電子基を有し、該共役不飽和基は、少くとも1つのアクリレート基を含んでなる。
  8. 組成物が、三級アルキルアミン塩基の群から選択される塩基を更に含んでなる、請求項に記載の生体材料。
  9. 三級アルキルアミン塩基がトリブチルアミンである、請求項に記載の生体材料。
  10. 組成物が、更に、チキソトロープ剤および放射線不透過剤からなる群より選択される1以上の添加剤を含んでなる、請求項7〜9のいずれか一項に記載の生体材料。
  11. 添加剤が硫酸バリウムである、請求項10に記載の生体材料。
  12. 少くとも1つの椎骨補強用の生体材料を形成するのに適したパーツのキットであって、該キットは、互いに分けて少くとも第一および第二の前駆成分を含んでなり、
    第一の前駆成分はmの求核基を有し、第二の前駆成分は少くともnの求電子基を有し、m=4およびm+nの合計は少くとも5であり、求核および求電子基は適用後の期間に亘って、生理的温度でMichael型付加反応により互いに共有結合を形成するように第一および第二の前駆成分は選択され、且つ、第一および第二の前駆成分は、モノマーおよび2〜10のモノマー単位を有するオリゴマーからなる群より選択され、100〜900g/モルの範囲の分子量を有し、更に生体材料による水取込みが、水中または緩衝液中37℃で1年の貯蔵期間に付される前における生体材料の重量の7重量%を超えない、上記のキット:但し、第一の前駆成分は、テトラ(3‐メルカプトプロピル)シランであり、第二の前駆成分は、ペンタエリトリトールの誘導体であり、該ペンタエリトリトール誘導体は、共役不飽和基を含む求電子基を有し、該共役不飽和基は、少くとも1つのアクリレート基を含んでなる。
  13. 組成物が、更に、チキソトロープ剤および放射線不透過剤からなる群より選択される1以上の添加剤を含んでなる、請求項12に記載のパーツのキット。
  14. 添加剤が硫酸バリウムである、請求項13に記載のパーツのキット。
  15. 少くとも1つの椎骨補強用の生体材料を形成するのに適した現場架橋性組成物であって、該組成物は、少くとも第一および第二の前駆成分を含んでなり、
    該第一の前駆成分はmの求核基を有し、該第二の前駆成分は少くともnの求電子基を有し、m=4およびm+nは少くとも5であり、求核および求電子基は適用後の期間に亘って、生理的温度で互いに共有結合を形成するように第一および第二の前駆成分は選択され、且つ、第一および第二の前駆成分は、モノマーおよび2〜10のモノマー単位を有するオリゴマーからなる群より選択され、100〜900g/モルの範囲の分子量を有し、更に生体材料による水取込みが、水中または緩衝液中37℃で1年の貯蔵期間に付される前における生体材料の重量の7重量%を超えない、上記の組成物:但し、第一の前駆成分は、テトラ(3‐メルカプトプロピル)シランであり、第二の前駆成分は、ペンタエリトリトールの誘導体であり、該ペンタエリトリトール誘導体は、共役不飽和基を含む求電子基を有し、該共役不飽和基は、少くとも1つのアクリレート基を含んでなる。
  16. 37℃の乾燥条件下で2日間の貯蔵後に少くとも10MPaの極限圧縮強度を有する生体材料を形成するのに適した、請求項15に記載の現場架橋性組成物。
JP2003577968A 2002-03-22 2003-03-21 硬組織補強用の組成物 Expired - Lifetime JP5000079B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US36671202P 2002-03-22 2002-03-22
US60/366,712 2002-03-22
US40807702P 2002-09-04 2002-09-04
US60/408,077 2002-09-04
PCT/EP2003/002979 WO2003080144A1 (en) 2002-03-22 2003-03-21 Composition for hard tissue augmentation

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005525851A JP2005525851A (ja) 2005-09-02
JP5000079B2 true JP5000079B2 (ja) 2012-08-15

Family

ID=28457140

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003577968A Expired - Lifetime JP5000079B2 (ja) 2002-03-22 2003-03-21 硬組織補強用の組成物

Country Status (9)

Country Link
US (1) US7575740B2 (ja)
EP (1) EP1494730B1 (ja)
JP (1) JP5000079B2 (ja)
AT (1) ATE541595T1 (ja)
AU (1) AU2003226688B2 (ja)
CA (1) CA2478253C (ja)
ES (1) ES2381185T3 (ja)
MX (1) MXPA04009194A (ja)
WO (1) WO2003080144A1 (ja)

Families Citing this family (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8282912B2 (en) * 2002-03-22 2012-10-09 Kuros Biosurgery, AG Compositions for tissue augmentation
ES2381185T3 (es) 2002-03-22 2012-05-23 Kuros Biosurgery Ag Composición para aumento en el tejido duro
US20070113272A2 (en) 2003-07-01 2007-05-17 Securityprofiling, Inc. Real-time vulnerability monitoring
NZ550964A (en) * 2004-04-28 2011-05-27 Angiodevice Internat Gmbh Compositions and systems for forming crosslinked biomaterials and associated methods of preparation and use
DE602004011660T2 (de) * 2004-06-16 2009-01-29 Straumann Holding Ag Abdeckmembran
US7282584B2 (en) 2004-06-16 2007-10-16 Straumann Holding Ag Methylene blue
SE0403014D0 (sv) 2004-12-10 2004-12-10 Straumann Holding Ag New protein formulation
WO2006073711A2 (en) * 2005-01-06 2006-07-13 Kuros Biosurgery Ag Use of a matrix comprising a contrast agent in soft tissues
US7745547B1 (en) * 2005-08-05 2010-06-29 Becton, Dickinson And Company Multi-arm cyclic or cubic siloxane-based formulations for drug delivery
US7947759B2 (en) * 2005-08-08 2011-05-24 Angstrom Medica Cement products and methods of making and using the same
EP2111239B1 (en) 2006-12-15 2013-03-06 Lifebond Ltd. Gelatin-transglutaminase hemostatic dressings and sealants
ATE543520T1 (de) 2007-04-13 2012-02-15 Kuros Biosurgery Ag Polymergewebeversiegelung
EP2014256A1 (en) 2007-07-12 2009-01-14 Straumann Holding AG Composite bone repair material
US8846777B2 (en) * 2008-04-22 2014-09-30 The Regents Of The University Of Colorado, A Body Corporate Thiol-vinyl and thiol-yne systems for shape memory polymers
EP2487206A3 (en) 2008-06-18 2012-11-28 Lifebond Ltd Cross-linkable gelatin-based compositions
US8124206B2 (en) * 2008-10-30 2012-02-28 Momentive Performance Materials, Inc. Sulfur-containing cycloaliphatic compound, filled sulfur-vulcanizable elastomer composition containing sulfur-containing cycloaliphatic compound and articles fabricated therefrom
EP2490727B1 (en) 2009-10-23 2020-09-23 Biomedical Bonding AB Composition for the treatment of a bone fracture
ES2551388T3 (es) 2009-12-22 2015-11-18 Lifebond Ltd Modificación de agentes de entrecruzamiento enzimáticos para controlar las propiedades de las matrices entrecruzadas
AU2011287215B2 (en) 2010-08-05 2015-09-10 Lifebond Ltd. Dry composition wound dressings and adhesives
EP2444052A1 (en) * 2010-10-19 2012-04-25 Dentsply DeTrey GmbH Dental composition
EP2444053B1 (en) * 2010-10-19 2020-05-06 Dentsply DeTrey GmbH Dental cement composition
EP2444054A1 (en) 2010-10-19 2012-04-25 Dentsply DeTrey GmbH Dental composition
WO2013184061A1 (en) * 2012-06-04 2013-12-12 Migrata U.K. Limited Medical use of particles of titanium and/or titanium oxide
JPWO2016171072A1 (ja) * 2015-04-20 2017-06-01 Sc有機化学株式会社 エーテル結合含有硫黄化合物及び樹脂組成物
CN109280535B (zh) * 2018-09-12 2020-11-10 烟台德邦科技有限公司 一种功能性甲基乙烯基树脂的制备方法
IT202100023183A1 (it) * 2021-09-08 2023-03-08 Tecres Spa Composizione di almeno un agente radiopacante, metodo per il suo ottenimento e materiale riempitivo comprendente tale composizione
US20230323024A1 (en) * 2022-04-08 2023-10-12 Itaconix Corporation Multibranched Acid Terminated Oligomers Of Itaconic Acid Including Vinylidine Unsaturations
TWI814416B (zh) * 2022-06-01 2023-09-01 國立陽明交通大學 萘醌五元稠環化合物及其製備方法

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3908039A (en) * 1973-10-25 1975-09-23 Grace W R & Co Photocurable polyene-polythiol lacquer composition
DE3543567A1 (de) * 1985-12-10 1987-06-11 Degussa Verfahren zur herstellung von sulfensaeurechloriden und sulfensaeureestern
US5626863A (en) 1992-02-28 1997-05-06 Board Of Regents, The University Of Texas System Photopolymerizable biodegradable hydrogels as tissue contacting materials and controlled-release carriers
ES2420106T3 (es) * 1995-12-18 2013-08-22 Angiodevice International Gmbh Composiciones de polímeros reticulados y métodos para su uso
BR9708589A (pt) 1996-04-05 1999-08-03 Minnesota Mining & Mfg Composição polimerizável por luz visível e processos para revestir um substrato com um revestimento protetor e para reparar um defeito em um substrato revestido
US6566406B1 (en) * 1998-12-04 2003-05-20 Incept, Llc Biocompatible crosslinked polymers
US6258351B1 (en) 1996-11-06 2001-07-10 Shearwater Corporation Delivery of poly(ethylene glycol)-modified molecules from degradable hydrogels
DE59807348D1 (de) * 1997-02-05 2003-04-10 Rolic Ag Zug Photovernetzbare Silanderivate
ATE514729T1 (de) * 1999-02-01 2011-07-15 Eidgenoess Tech Hochschule Biomaterialien die durch nukleophile reaktion auf konjugierten ungesättigten gruppen addiert sind
JP2002543226A (ja) 1999-04-26 2002-12-17 アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ メルカプト官能性化合物を含む組成物
JP4907824B2 (ja) * 2000-01-05 2012-04-04 ノバルティス アーゲー ヒドロゲル
AU2001231264A1 (en) 2000-01-31 2001-08-07 Advanced Research And Technology Institute, Inc. Composite biomaterial including anisometric calcium phosphate reinforcement particles and related methods
ES2381185T3 (es) 2002-03-22 2012-05-23 Kuros Biosurgery Ag Composición para aumento en el tejido duro
US8013068B2 (en) 2003-01-02 2011-09-06 Rohm And Haas Company Michael addition compositions
EP1593728B1 (en) 2004-05-03 2012-05-09 Rohm And Haas Company Michael addition compositions
DE602005008661D1 (de) 2004-05-03 2008-09-18 Rohm & Haas Michael-addierungs Zusammensetzungen
US7947759B2 (en) 2005-08-08 2011-05-24 Angstrom Medica Cement products and methods of making and using the same

Also Published As

Publication number Publication date
US20030232944A1 (en) 2003-12-18
AU2003226688B2 (en) 2009-08-13
CA2478253C (en) 2011-09-20
ES2381185T3 (es) 2012-05-23
AU2003226688A1 (en) 2003-10-08
US7575740B2 (en) 2009-08-18
CA2478253A1 (en) 2003-10-02
EP1494730B1 (en) 2012-01-18
EP1494730A1 (en) 2005-01-12
MXPA04009194A (es) 2005-06-20
WO2003080144A1 (en) 2003-10-02
JP2005525851A (ja) 2005-09-02
ATE541595T1 (de) 2012-02-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5000079B2 (ja) 硬組織補強用の組成物
US8282912B2 (en) Compositions for tissue augmentation
Adhikari et al. Biodegradable injectable polyurethanes: synthesis and evaluation for orthopaedic applications
Burkoth et al. A review of photocrosslinked polyanhydrides:: in situ forming degradable networks
Killion et al. Mechanical properties and thermal behaviour of PEGDMA hydrogels for potential bone regeneration application
Lee et al. In-situ injectable physically and chemically gelling NIPAAm-based copolymer system for embolization
FI116830B (fi) Biomateriaalikoostumus ja menetelmä sen valmistamiseksi
US8575274B2 (en) Multi-solution bone cements and methods of making the same
US20110136935A1 (en) Bone and/or dental cement composition and uses thereof
US20060093648A1 (en) Hydrogels for orthopedic repair
JP6851377B2 (ja) 骨再生のための生物活性重合体
AU771498B2 (en) Hydrogels for orthopedic repair
WO2009066746A1 (ja) 組織癒着防止材および関節拘縮防止材
WO2022048126A1 (zh) 一种骨科用无创植入高黏度胶材料及其制备方法及应用
KR102496721B1 (ko) 그래핀 옥사이드를 포함하는 체내 주입형 하이드로겔
JPH08224294A (ja) 硬組織補修用組成物およびその供給装置
Bongio et al. Development of an in vitro confinement test to predict the clinical handling of polymer-based injectable bone substitutes
US20240058453A1 (en) Click chemistry hydrogel with minimal swelling as a dural sealant and local delivery vehicle for recombinant proteins and other bioactive agents
Choryłek Comparison of selected properties of cements modified with glassy carbon and cancellous bone
CN117771443A (zh) 一种可生物降解、可注射骨水泥及其制备方法和应用
US20090275671A1 (en) Two component bone cement composition for vertebroplasty
Huddleston Body Heat-Activated Polymer-Mineral Composites for Vertebral Body Fractures
Dailing Design and Application of Nanogel-Based Polymer Networks
JP2002085548A (ja) 生体活性セメント組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080725

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20081027

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20081104

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20081125

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20081202

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20081216

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20081224

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20081216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090123

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090728

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091127

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100105

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100309

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20100416

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111021

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111026

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111227

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120105

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120516

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5000079

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150525

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term