JP4999863B2 - 内燃エンジンの温度を調整するサーモスタットの初期の開放を制御する方法及び装置 - Google Patents

内燃エンジンの温度を調整するサーモスタットの初期の開放を制御する方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、エンジン制御の分野に関し、より詳細には、特に車両の内燃エンジンの温度を調整する電子サーモスタットの最初の開放を制御する方法及び装置に関する。
エンジン制御は、その全てのセンサ、アクチュエータ及びシステム間リンク(ISL)によって、内燃エンジンを管理する技術である。全ての監視及び制御の原理(ソフトウェア戦略)並びにエンジンの特徴化パラメータ(較正)は、電子制御ユニット(ECU)と呼ばれるコンピュータ内に含まれている。
内燃エンジン(キャブレタを備えているもの又は燃料噴射装置を備えているもの)は、一般に、水又は空気を循環させることによって得られる冷却を必要とする。これは、内燃エンジンが熱を発生するためである。この熱は、ガスの燃焼及び運動する部品の様々な摩擦によって生じるものである。
許容可能な温度範囲間での膨張を制限するために、また潤滑オイルの特性を維持するために、エンジンを冷却しなくてはならない。この冷却は、周囲環境に存在する3つの流体によって達成される。
− 空気は基本的に、熱交換器(ラジエータ(放熱器)、空気−空気熱交換器)用に、並びにエンジン及び排気装置の外部で伝導により発生する熱を自然冷却するために使用される。
− 水は、シリンダ及びシリンダヘッドを冷却する。
− オイルは、ピストン、カムシャフト、ビックエンド、クランクシャフト軸受、弁から熱を排除する。
水を循環させる場合、水は通常、閉回路内を流れ、ラジエータ内で冷却される。ラジエータ自体は空気によって冷却され、その空気の流れはファンによって助成することができる。排除される熱は、内燃エンジンの速度及び負荷に依存するので、また、内燃エンジンの温度は、最適効率を得るために比較的狭い範囲内に維持されなくてはならないので、冷却システムを調整する必要がある。このためには、エンジンの最適な運転温度を保証する設定点を用いて調整温度を決定することが必要である。
この調整の目的の1つは、燃料消費量を低減し、それにより、窒素酸化物のような汚染物質の形成を相応に減少させることである。
実際、低温では、内燃エンジンの潤滑オイルの粘度は高く、これにより、エンジンには付加的な摩擦が発生し、その結果、過剰な燃料消費が生じる。このことは、特に、内燃エンジン及びオイルの温度が低い時に車両を始動させると起こる。
窒素酸化物(NOx)の生成は、特に、車両の内燃エンジンのシリンダ内に導入されるガス混合物の温度に依存する。混合物の温度が高い程、窒素酸化物の生成量はより大きくなる。
よって、エンジン冷却水の温度を上昇させることによって、オイルの温度が上昇して摩擦損失が低下するが、その一方で、温度がより低ければ、特に窒素酸化物の生成が制限される。したがって、エンジンを最適温度に保ち、それにより冷却回路の有利な点を持続させることが重要である。よって、今日、大抵の車両には、ワックスの体積膨張の原理に基づいて動作する従来のサーモスタットが装備されている。このサーモスタットは、エンジンの出口又は入口に配置されていてよい。水の温度の作用で、ワックスプラグは、温度に対して較正されているその熱膨張によって、1つ又は2つの逆止弁の開放を作動ピストンを介して制御する。1つ又は2つの弁の開放又は閉鎖により、冷却剤の循環及び場合によってはバイパス回路を調整する。
特に車両を最初に始動させる際に、更なる問題が発生する。実際、低温始動の際には、冷却液はバイパスを介してメインラジエータを迂回し、内燃エンジンに直接戻り、エンジンの下部、つまりエンジンブロック内に進入する。冷却液の温度が上がると、弁がメインラジエータを通る第2の冷却液通路を開放し、この通路がファンと協働することにより、冷却液の余剰熱が除去される。
弁が開放される前に、サーモスタットの両側における温度差が、エンジン温度が上がると共に増大する。したがって、弁が最初に開放される時に熱衝撃が発生する。冷却液の循環が始まると、冷却液は初期の温度に下落することはない。このため、エンジンが別の熱衝撃にさらされたとしても、サーモスタットの最初の開放における熱衝撃はそれよりも大きい。
この熱衝撃は、エンジンを囲む補助的な構成要素、並びに特にエンジン自体の冷却システム及びある温度から別のエンジン運転温度設定点への変化又は経過の影響を受けやすい他の冷却システム(乗客室のユニットヒータ、EGR熱交換器、水/油熱交換器、空調ラジエータ及びそのコンデンサ、ターボ過給空気、BVAラジエータ等)に悪影響を及ぼし、これらに更なる負荷を生じる。同様に、様々な要素における互いの(相対)位置も、温度調整の品質及びそれに関連する負担に影響を与える。例えば、冷却回路の弁制御システムが、エンジンの入口又は出口に位置する場合である。
このような付加的な負担によって、温度の変動によって生じるエンジンの補助的な構成要素の変形が起こり、これにより、付加的な機械的力が発生する。
米国特許出願公開第2002/0053325号明細書は、エンジンとラジエータのような熱交換器との間での冷却液の循環を制御することによりエンジン温度を調整する装置による問題解決策を提案している。この装置は、作動温度が約102℃である上述のような第1の従来のサーモスタットと、作動温度が第1のサーモスタットよりも25℃高い、つまり約127℃であり且つ中央抵抗器を備えているサーモスタットとを備えている。これら2つのサーモスタットはそれぞれ、冷却するラジエータへの冷却液の進入を可能にする弁の種々の開放を制御する。よって、冷却液温度が第1の作動温度に達すると、第1のサーモスタット内に収容されている膨張可能な材料がピストンを作動させ、このピストン自体が弁を開放し、これにより、冷却液が特定の流量でラジエータを介して流れることができるようになる。液体の温度がより高く、約127℃である場合には、第2のサーモスタットに収容されている膨張可能な材料が第2のピストンを作動させ、この第2のピストンが、弁のより大きな開放を可能にする。つまり、液体は、ラジエータにより大きな流量で流れ込み、それにより、同じ時間間隔内で、より大量の液体が冷却される。よって、この装置は、液体をより早く冷却し、これによりエンジンが過度に長い時間、過度に高い温度で維持されることを防止するよう働く。
しかし、この装置の1つの欠点は、エンジンの温度が、約90℃(又はサーモスタットの定格による温度)という理想の運転温度よりも高い時にしかこの装置が機能しないことである。この装置は、熱衝撃を回避するようには機能しない。よって、この過熱に関連するエンジンの様々な部品は、上述の負担及び変形に曝されてしまう。
よって、本発明の目的は、冷却液の温度に関連して選択された基準に応じて制御を実施し、やはり温度に関連して弁制御システムの開放の実施を監視することによって、構成部材に対する熱衝撃の大きさを低減させる弁制御システム(ここではサーモスタット)を制御する装置によって、上記の欠点を抑えることである。
このために、本発明は、内燃エンジンの冷却回路の弁制御システムの開放を制御するための装置であって、弁制御システムが、エンジンをラジエータに接続するラインに配置されており、前記ラインが、エンジンの出口に且つ弁制御システムの上流に配置されている温度センサを備え、前記弁制御システムが、標準温度に加熱される冷却液の作用で自動式に開放される装置であって、コンピュータに配置されている計算手段により制御され、冷却液の温度が所定の作動温度よりも高い時に、弁制御システムの早期の制御された開放を作動させる手段と、弁制御システムが最初に開放された時にのみ、早期の制御された開放を作動させる安全手段とを備えていることを特徴とする、装置を提案する。
本発明の別の特徴によれば、弁制御システムの早期の制御された開放を作動させる手段が、前記弁制御システムのワックスプラグの温度を早期に上昇させる発熱抵抗からなっている。
本発明の別の特徴によれば、コンピュータに配置されている計算手段が、冷却液の温度を作動温度と比較する、少なくとも1つの第1比較モジュールと、弁制御システムが開放された後に冷却液の温度の低下を測定し、これを所定の温度低下設定点と比較する、第2比較モジュールと、弁制御システムが開放された後に、エンジン出口における冷却液の温度を弁制御システムの開放の実施を示す閾値温度と比較する、第3比較モジュールと、これら種々の温度値を保存する手段とからなっている。
本発明のさらなる目的は、冷却液の温度が、弁制御システムの開放を作動させ且つそれ自体が標準温度よりも低い温度に到達する前に、ラジエータの上流に配置された冷却回路の弁制御システムの早期の制御された開放を行うことを含み、前記制御された開放は、弁制御システムが最初に開放された時にのみ行われる方法であって、下記のステップ、すなわち
− 作動温度を決定し、コンピュータの保存手段に保存し、
− 温度低下を決定し、コンピュータの保存手段に保存し、
− 弁制御システムの開放を確認する条件を決定し、
− エンジンの出口かつ弁制御システムの下流における、回路内に収容された冷却液の温度を、温度センサを用いて測定し、コンピュータの保存手段に保存し、
− 冷却液の温度が作動温度よりも高いときに、弁制御システムの開放を作動させ、
− 弁制御システムを閉鎖するステップを含み、
エンジンが自励モードである場合に、これらのステップが行われることを特徴とする、本発明による装置を実施する、冷却回路の弁制御システムの開放を制御する方法を提案することである。
本発明の別の特徴によれば、開放を確認する条件は下記の通り:
− 冷却液の十分な温度低下と、
− 冷却液の温度が、弁制御システムが作動されたことを示す閾値温度よりも高いこと
である。
本発明の別の特徴によれば、弁制御システムが作動されたことを示す閾値温度が、作動温度設定点よりも高くなっている。
本発明の別の特徴によれば、弁制御システムの開放の際に測定された温度と、解放後に測定された温度との差が所定の温度低下よりも大きい時に、温度低下が充分であるといえる。
本発明の別の特徴によれば、弁制御システムに配置された加熱手段をオンにするよう命令することにより、弁制御システムが開放され、これによりそれが早期に標準温度に到達し、弁制御システムの開放が可能となる。
本発明の別の特徴によれば、開放を確認する条件が満たされた時に、又は開放を確認する条件が満たされなかった時は時間Tが過ぎた後に、弁制御システムが閉鎖される。
本発明の別の特徴によれば、始動の際の冷却液の温度に応じて、所定の方程式に従って時間Tが決定され、コンピュータの保存手段に保存される。
本発明の別の特徴によれば、弁制御システムの開放を作動させることにより、所定の値において安全モジュールを初期化し、弁制御システムの開放の作動を表示する。
本発明の別の特徴によれば、安全モジュールが所定の値にあることで弁制御システムの作動を示し、実施のための2つの条件が満たされていることにより、最初の開放においてのみ早期の制御された作動が行われる。
本発明は、その特徴及び利点について、非限定的な例として示す添付の図面を参照しながら説明を読むことによってより明確になるであろう。
図1に、非制御の従来の弁制御システムの最初の開放を示す。この種の開放では、弁制御システムを開放する装置は、前述のような従来のサーモスタットを備えており、そのサーモスタットの膨張可能な液体が、所与の温度で逆止弁を開放するように働く。図1に示すグラフでは、曲線A1は、冷却液の温度を、始動時点からのエンジン温度の上昇と対応する時間の関数として示す。ここに示す例では、サーモスタットは90℃に設定されている。始動すると温度が上がり、弁制御システムの開放が命令される。この開放により、冷却液が熱交換システム、例えばラジエータ内を通ることが可能となり、エンジン出口で測定される温度が下がると間に、ラジエータの温度が急激に上がる(曲線B1により示す)。したがって、非常に高い熱衝撃(図においては、サーモスタットが即時に応答しないため、エンジン負荷に応じて、22℃から92℃以上までの上昇)が見られる。
サーモスタットがより高温、例えば110℃に設定された場合、サーモスタットの開放にあたっては同じ挙動が見られ、ラジエータが相応の高い熱衝撃:ここでは90℃の代わりに最大110℃まで、又は(サーモスタットが即時に応答しないため)エンジン負荷によってはそれ以上にさらされる。
図2に、本発明による方法及び装置により、この場合は制御された弁制御システムの最初の開放を示す。
上述した場合と同様に、曲線A2は、やはり始動時からのエンジンの温度上昇に対応する冷却液の温度を示す。このグラフでは、サーモスタットの温度設定点(TT)、例えば110℃に到達する前に部分的に阻止される温度上昇を示している。温度が低下する時点は、制御された開放が作動した時、過剰に高温に到達するのを回避するのと同時に、曲線B2で示すラジエータの入口の温度がサーモスタットの開放に続いて上がり過ぎて、その結果、ラジエータの入口の温度が急激に上がるのを防ぐために、ここでは110℃から90℃に降下する、(曲線C2で示す)サーモスタットの温度設定点(TT)が変化する時点と対応している。
図3に、図2に示す結果を得るための、本発明による装置の一実施形態を示す。この装置は、内燃エンジン(1)及びラジエータ(2)を備えており、これらは、冷却液の流れ(10)を生じさせるよう働くライン(11、11’)によって互いに接続されていて、ループ回路を形成する。この回路によって、冷却液がエンジン(1)からラジエータ(2)へと流れ、さらに、異なる経路(11’)を通ってラジエータからエンジンに向かうことが可能となる。第2のラインはバイパス(12)を形成しており、このバイパスにより、冷却液は、ラジエータ(2)を通過せずにエンジン(1)に直接戻ることができる。エンジン(1)とラジエータ(2)と間の第1のライン(11)のルート上に且つバイパス(12)の後には、サーモスタット式(温度自動調節式)の弁制御システム(3)が配置されている。ボックスの形で示されているこの弁制御システム(3)は、弁によって閉鎖可能な、エンジン(1)とラジエータ(2)との間の冷却液のための通路(図示せず)と、この弁のサーモスタット式の制御のための要素とを備えている。このサーモスタット式の制御要素(3)は、ラジエータ(2)が特定の温度に達した時に、冷却液のエンジン(1)からラジエータ(2)への流れのみを可能とする。
サーモスタット式の制御要素は、前述のものと同じ種類である。プラグ内に収容されているワックスの体積の膨張を原理として機能するものである。冷却液の温度の作用で、ワックスプラグは、温度に対して較正されたその熱膨張によって、作動ピストンを介して逆止弁(32)の開放を命令する。すると、逆止弁(32)は、冷却液の流れを、場合によってはバイパス回路(12)の流れを調整するように開放又は閉鎖する。本発明では、冷却液の温度が、110℃である標準の温度設定点(TT)に達した時に、使用されるサーモスタット(3)が開放される。このサーモスタット(3)は、抵抗器の形式(31)の加熱手段(31)を含み、この加熱手段は、ワックスの温度を人工的に上昇させ、それにより、温度設定点を変化させるよう働く。このことは、通常では冷却液が110℃である時に逆止弁(32)を開放させるサーモスタット(3)が、サーモスタットの温度を110℃に人工的に上昇させる抵抗器(31)によって、冷却液が90℃の時に開放するということを意味する。この抵抗器(31)の目的は、弁制御システム(3)の早期の開放を可能にすることである。この抵抗器(31)は、前記方法が必要とするコマンドを生成する、車両のコンピュータ(4)に接続されている。
冷却回路は、エンジン(1)の出口の冷却回路のライン(11)に且つ弁制御システム(3)の上流に配置されている少なくとも1つの温度センサ(101)も備えている。第2のセンサ(102)が、弁制御システム(3)の下流の冷却回路のライン(11)に且つラジエータ(2)の入口に配置されていてもよい。これらの2つの温度センサも、コンピュータ(4)に接続されている。第1のセンサ(101)は、エンジン出口での冷却液の温度(T1)を測定する。この測定値はコンピュータ(4)に送られ、保存モジュール(47)に配置された保存手段により保存される。第2のセンサ(102)は、ラジエータ(2)の入口又はラジエータの出口(103)での冷却液温度を測定する。費用がかかるために、従来の自動車は、エンジン試験のためにしか使用されないこの第2のセンサ(102)を装備していない。よって、エンジン車両の運転中のエンジン温度を調整するのに必要な全ての測定値は、第1の温度センサ(101)によって得られる。
よって、第1のセンサ(101)が、図4に示すように、始動時、つまり弁制御システム(3)が最初に開放される前に、エンジン出口で冷却液の温度(T1)を測定し、弁制御システム(3)の開放を作動(230)させた後に、エンジン出口で冷却液の温度(T2)を測定するために使用される。
始動時に測定される温度(T1)はコンピュータ(4)の保存モジュール(47)に保存される。この温度(T1)は、コンピュータ(4)に配置されている第1比較モジュール(41)によって、弁制御システム(3)の作動温度(T3)と比較される。この温度(T3)は、弁制御システム(3)の開放が作動(230)される温度に対応している。エンジンの最適な運転温度は約90℃であるため、開放を作動させる温度(T3)は80〜95℃、好ましくは85℃である。サーモスタットの温度設定点が90℃である場合に、作動温度(T3)は約85度に設定され、これにより、冷却液が90℃の時に、抵抗器(31)が発熱して開放を始動(230)させる時間ができる。実際、作動温度が90℃に設定された場合、抵抗器(31)の発熱にかかる時間と冷却回路及びサーモスタットを組み合わせた応答時間により、冷却液が90℃を超えた時に、開放が確実に行われる。この温度(T3)は、エンジン(1)が始動する前に、コンピュータ(4)の保存モジュール(47)に保存される。よって、温度(T1)が作動温度の設定点(T3)よりも高い場合に、第1比較モジュール(41)が抵抗制御モジュール(46)へ信号を送り、サーモスタットの温度設定点(TT)を変更して、110℃から90℃へ降下させる、つまりこれにより冷却液がもはや110℃ではなく90℃になると、弁制御システム(3)が開放され、発熱抵抗(31)をオンにし、ワックスの温度を人工的に上げて逆止弁(32)を開放する。
弁制御システム(3)が解放された後に、開放が始動された時点から少なくとも弁制御システム(3)の最初の閉鎖までのエンジン出口における冷却液温度(T2)が、温度センサ(101)で連続的に測定される。
開放作動後の温度(T2)は、コンピュータ(4)の第2比較モジュール(42)において、コンピュータ(4)により分析される。この分析中に、開放が作動された後の温度(T2)が、開放が作動される前の温度(T1)と比較され、温度低下に対応した差(E1)が決定される。この温度低下(E1)は次に、コンピュータ(4)の保存モジュール(47)に予め保存された温度低下設定点(T5)と比較される。
温度(T2)は、コンピュータ(4)の第3比較モジュール(43)において、弁制御システムの開放が作動されたことを示す閾値温度(T4)とも比較される。弁制御システム(3)の開放が作動されたことを示す閾値温度(T4)は予め規定され、作動温度設定点(T3)よりも高い。閾値温度(T4)は、エンジン運転の前に、保存モジュール(47)に保存される。
3つの比較器(41、42、43)は、保存モジュール(47)に接続されている。
第2比較モジュール(42)及び第3比較モジュール(43)による比較を使用して、弁制御システムの閉鎖が決定される。実際、弁制御システム(3)を閉鎖するには、2つの条件が満たされなければならない。温度低下(E1)が温度低下設定点(T5)よりも高いときに、第1の条件が満たされる。弁制御システム(3)の開放後の温度(T2)が弁制御システム(3)の開放が作動されたことを示す閾値温度(T4)よりも高いときに、第2の条件が満たされる。2つの条件が満たされると、発熱抵抗(31)をオフにする信号が発熱抵抗(31)の制御モジュール(46)に送られると同時に、サーモスタットの温度設定点(TT)が再度90℃から110℃へ上がる。これによって、もはや加熱されていないワックス体積が減り、逆止弁(32)を閉鎖することが可能となる。この時点から、抵抗器(31)はもはや発熱せず、逆止弁(32)は、冷却液の温度が110℃を越えた時にのみ、開放される。
2つの条件が満たされない場合は、予め規定され、コンピュータの保存モジュールに保存された時間Tが経過した後にシステムが閉鎖される。この時間Tは、所定の方程式に従って始動時の冷却液の温度の関数として決定され、システムの開放時間が長くなり過ぎないようにする安全要素としての役割を果たす。所定の方程式は、温度を開放時間の関数として表す標準曲線から成り、充分な温度低下を得るために必要な開放時間を予測する。時間Tに到達したかどうかを確認するために、コンピュータ(4)は、制御弁システム(3)の開放前にゼロに設定される計測器(44)を備えており、この計測器(44)は、開放が起動すると作動する。このために、信号が第1比較器(41)を介して計測器(44)に送られる。計測器が時間Tに到達すると、制御弁システム(3)が閉鎖される。
コンピュータ(4)はまた、最初の開放が確実に1回のみ始動後に作動されるようにするための安全手段も備えている。安全手段は、一方では弁制御システム(3)の開放を示す2つの条件が満たされること、他方では、弁制御システム(3)の開放中に安全モジュール(45)の値が所定値に設定されているか点検することを含む。モジュールの値が所定値に一致し、弁制御システム(3)の開放を示す2つの条件が満たされると、それから安全手段が作動する。
代替実施形態では、計測器(44)を、計測器の値がもはやゼロでないことを確認することで、安全モジュール(44)として使用することができる。
図4に示すこの装置の運転を詳細に説明する。
エンジン(1)を始動させる前に、作動温度(T3)、作動閾値温度(T4)及び温度低下設定点(T5)の値が決定され、コンピュータの保存モジュール(47)に保存(203、204、205)される。
エンジン(1)始動の際、エンジン温度が急激に上がり、エンジン(1)の出口における冷却液の温度(T1)も上がる。この温度(T1)はエンジン出口で冷却回路のラインに配置された温度センサによって測定(210)され、コンピュータ(4)の保存モジュール(47)に保存(210)される。第1比較モジュール(41)はこの温度を作動温度(T3)と比較(220)するのに使用する。始動温度(T1)が作動温度(T3)、つまり85℃よりも高く、エンジン(1)が自律制御運転モードである場合、開放プロセス(230)が開始する。点火装置をオンにしてスターターがもはや必要なくなった時に、エンジン(1)は自励モードとなる。この時点で、第1比較モジュール(41)から信号が抵抗器制御モジュール(46)へ送られ、これにより温度設定点が110℃から90℃に下がり、サーモスタット(3)に配置された抵抗器(31)の電源が入る。抵抗器(31)から発生した熱によって、弁制御システムの逆止弁(32)が開放される。次に冷却液がラジエータ(2)に向かって流れ、ラジエータ(2)で冷却される。こうしてラジエータにより冷却された冷却液は、ラジエータ(2)をエンジン(1)に接続しているライン(11’)内部を通ってエンジン(1)に流れ、今度はエンジン(1)を冷却する。開放(230)が作動すると、次に冷却液の温度(T2)が測定(240)される。エンジンの温度が過度に低下しないように、つまり、エンジンの温度がエンジンの最適運転温度の閾値を下回らないように、次にシステム(3)が閉鎖(260)される。
弁制御システム(3)の閉鎖プロセス(260)が開始されるには、弁制御システムの開放を確認する2つの条件が満たされなければならない。
第1の条件(251)は、開放後の冷却液の温度低下(E1)が充分である、つまり所定の最低温度低下設定点(T5)よりも大きくなければならないということである。温度低下は、弁制御システム(3)の開放時の冷却液の温度(T1)と弁制御システム(3)の開放後、そしてラジエータとエンジンを通過した後の冷却液の温度(T2)との間の差と一致する。第2の条件(252)は、開放後の冷却システムの温度(T2)がシステムの作動を示す閾値温度(T4)よりも高くなければならないということである。こうすると、温度は作動閾値温度を下回ることがない。
2つの条件が満たされた場合(258)、弁制御システム(3)は閉鎖(260)され、温度は従ってエンジンの最適な運転を可能にする値にとどまる。
2つの条件が満たされない場合、弁制御システムはそれでもなお閉鎖される。このために、装置では、弁制御システム(3)の開放(230)及び所定時間Tの間に始動時の冷却液の温度(T1)で作動された計測器(44)が使用(233)される。これはつまり、時間T経過後にこれらの条件が満たされなかった場合、計測器(44)が抵抗器(31)の制御モジュール(46)へ信号を送り(233)、これにより抵抗器がオフとなる。この計測器(44)は、システムの開放が長くなり過ぎるのを防ぐ安全手段としての役割を果たす。
弁制御システムが閉鎖(260)するには、必要な信号を受け取った制御モジュール(46)により、サーモスタット温度設定点を90℃から110℃まで上げることにより、抵抗器(31)をオフにし、逆止弁(32)の閉鎖を可能とする。
弁制御システム(3)が閉鎖(260)されると、冷却液はバイパス(12)を介して流れ、エンジン(1)に到達する。
この方法は、1回の動作サイクルに対し1回(270)のみ作動される。このため、弁制御システムの最初の開放作動時(210)に、安全モジュール(45)により弁制御システム(3)の開放(230)を示す値が想定(231)される。よって、この安全モジュール(45)が所定値(234)にあり、実施のための2つの条件が満たされている場合、システムを復活させることはできない。
本発明による装置の運転には下記のステップ、すなわち
− 作動温度(T3)を決定(203)し、コンピュータ(4)の保存手段(47)に保存(203)し、
− 温度低下(T5)を決定(205)し、コンピュータ(4)の保存手段(47)に保存し、
− 弁制御システムの開放を確認する条件を決定し、
− エンジン(1)の出口及び弁制御システム(3)の下流における、回路内に収容された冷却液の温度(T1)を、温度センサ(101)を用いて測定(210)し、コンピュータ(4)の保存手段(47)に保存(201)し、
− 冷却液の温度(T1)が作動温度(T3)よりも高いときに、弁制御システム(3)の開放(230)を作動させ、
− 弁制御システムを閉鎖(270)するステップ
が含まれる。
ここに示した例では、弁制御システム(3)はサーモスタット式であるが、他の冷却液の弁制御システム、例えば温度以外の他の追加的な基準の調整を可能にする、電気的に制御された弁を使用することもできる。
特許請求の範囲に記載の本発明の応用領域から逸脱することがなく、本発明が、多数の他の特定の形態の態様に適していることは当業者には明らかであろう。したがって、ここに示した態様は例示であって、添付の請求項の請求の範囲によって規定される領域において変更が可能であること、及び本発明が上述の詳細に限定されてはならないということを理解されたい。
最初の非制御の開放に関する時間の関数としての温度変化を概略的に示す図である。 本発明による最初の制御された開放に関する時間の関数としての温度変化を概略的に示す図である。 本発明による装置を概略的に示す図である。 本発明による方法を概略的に示す図である。

Claims (12)

  1. 内燃エンジン(1)の冷却回路の弁制御システム(3)の逆止弁(32)を制御するための装置であって、
    弁制御システム(3)は、前記内燃エンジン(1)をラジエータ(2)に接続するライン(11)に配置されており、前記ライン(11)は、内燃エンジン(1)の出口に且つ弁制御システム(3)の上流に配置されている温度センサ(101)を備え、前記弁制御システム(3)、冷却液加熱されて標準温度に達した場合に、逆止弁(32)が自動的に開放されて、冷却液がラジエータ(2)に巡回されるシステムであって、
    冷却液の温度(T1)が、前記標準温度より低い所定の作動温度(T3)よりも高い時に、逆止弁(32)を早期の開放として開放させ、逆止弁(32)の開放前後の冷却液の温度低下又は開放後の経過時間に応じて、逆止弁(32)を閉鎖する制御手段(46)と、
    当該早期の開放を、前記内燃エンジン(1)起動後、逆止弁(32)が、初めて開放される時にのみ行う安全手段とを備えていることを特徴とする、装置。
  2. 前記制御手段が、前記弁制御システム(3)のワックスプラグの温度を早期に上昇させて、逆止弁(32)の開放を起こさせる発熱抵抗(31)から成ることを特徴とする、請求項1に記載の装置
  3. 冷却液の温度(T1)を前記作動温度(T3)と比較する、少なくとも1つの第1比較モジュール(41)と、
    逆止弁(32)が開放された後冷却液の温度の低下(E1)を所定の温度低下設定点(T5)と比較する、第2比較モジュール(42)と、
    逆止弁(32)が開放された後の内燃エンジン(1)の出口における冷却液の温度(T2)を作動温度(T3)より高い閾値温度(T4)と比較する、第3比較モジュール(43)と、
    これら種々の温度値を保存する保存手段(47)と
    を更に備えることを特徴とする、求項1又は2のいずれかに記載の装置
  4. 冷却液が加熱されて標準温度に達した場合に、逆止弁(32)が自動的に開放されて、冷却液がラジエータ(2)に巡回される弁制御システム(3)の逆止弁(32)を制御する方法であって、
    冷却液の温度(T1)が、標準温度よりも低い作動温度(T3)に到達する前に、ラジエータ()の上流に配置された冷却回路の弁制御システム(3)の逆止弁(32)を早期の開放として開放することを含み、前記早期の開放は、逆止弁(32)、前記内燃エンジン(1)起動後、始めて開放され時にのみ行われる方法であって、下記のステップ、すなわち
    −作動温度(T3)を決定し、保存手段(47)に保存し、
    逆止弁(32)の開放前後での冷却液の温度低下の閾値である温度低下設定点(T5)を決定し、保存手段(47)に保存し、
    逆止弁(32)の開放を確認する条件を決定し、
    内燃エンジン(1)の出口かつ弁制御システム(3)の下流における、冷却回路内に収容された冷却液の温度(T1)を、温度センサ(101)を用いて測定し、保存手段(47)に保存し、
    −冷却液の温度(T1)が作動温度(T3)よりも高いときに、逆止弁(32)の早期の開放を行い、
    逆止弁(32)閉鎖するステップを含み、
    内燃エンジン(1)自律的に回転する状態である自励モード(7)である場合に、これらのステップが行われることを特徴とする、方法
  5. 開放を確認する条件(251、252)が、
    −冷却液の十分な温度低下(E1)と、
    −冷却液の温度(T2)が、弁制御システム(3)が作動していることを示す閾値温度(T4)よりも高いことを特徴とする、請求項4に記載の方法
  6. 弁制御システム(3)が作動していることを示す閾値温度(T4)が、作動温度設定点(T3)よりも高いことを特徴とする、請求項5に記載の方法
  7. 逆止弁(32)の開放の際に測定された温度(T1)と、開放後に測定された温度(T2)との差が、所定の温度低下(T5)よりも大きい時に、温度低下が充分であるとすることを特徴とする、請求項5に記載の方法
  8. 弁制御システム(3)に配置された加熱手段(31)をオンにするよう命令することにより、冷却液が早期に標準温度に到達し、逆止弁(32)の開放が可能になることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法
  9. 開放を確認する条件が満たされた時に、又は開放を確認する条件が満たされなかった時は時間が過ぎた後に、逆止弁(32)閉鎖されることを特徴とする、請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法
  10. 始動の際の冷却液の温度(T1)に応じて、所定の方程式に従って時間が決定され、コンピュータの保存手段に保存されることを特徴とする、請求項9に記載の方法
  11. 逆止弁(32)が早期の開放を実施した場合に、安全モジュール(45)を、逆止弁(32)が早期の開放を実施したことを示す所定の値に初期化することを特徴とする、請求項4〜10のいずれか1項に記載の方法
  12. 安全モジュール(45)が、弁制御システムの作動を示す所定の値にあるという事実と実施に関する2つの条件(251、252)が満たされているという事実によって、早期の開放が行われたことが示されることを特徴とする、請求項4〜11のいずれか1項に記載の方法
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