JP4997649B2 - ヘルペスウィルス感染阻害剤、およびヘルペスウィルスの感染阻害の確認方法 - Google Patents

ヘルペスウィルス感染阻害剤、およびヘルペスウィルスの感染阻害の確認方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヘルペスウィルス感染阻害剤、ヘルペスウィルスの感染阻害方法およびその利用に関する。
ヘルペスウィルスは動物DNAウィルスの科の一つであり、単純ヘルペスウィルス群、サイトメガロウィルス群、エプスタインバールウィルス等に分類される。単純ヘルペスウィルス群は、HSV−1(Herpes simplex virus type1)とHSV−2(Herpes simplex virus type2)に分けられ、HSV−1は、皮膚や粘膜を介してヒトに感染し、脊髄神経節や三叉神経節に潜伏感染して、角膜炎、単純ヘルペス脳炎等の原因となる。また、HSV−2は、性器ヘルペス、新生児ヘルペス、ヘルペス髄膜炎等の原因となり、脊髄神経節に潜伏感染する。
単純ヘルペスウィルス感染症の医療費は世界で年間3500億円にも上っており、治療法としては、抗ウィルス薬であるアシクロビルが多用されている。アシクロビルは、ヘルペスウィルス感染細胞のDNA複製のみを阻害するため、感染細胞のみに細胞障害性を示す。
一方、T細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞、マクロファージ、マスト細胞、好塩基球、抗酸球、または好中球等の、免疫応答に関与する細胞(免疫細胞)には、その活性化を制御する分子として、活性化レセプターおよび抑制化レセプターからなるペア型レセプターが発現しており、これらレセプターが免疫応答の制御に重要な役割を担っていることが明らかになってきた。これら活性化レセプターおよび抑制化レセプターは、細胞外領域の相同性が非常に高いにもかかわらず、相反する機能(活性化・抑制化)を持っている。
活性化レセプターは、そのリガンドを発現している細胞と結合し、免疫細胞を活性化する。免疫細胞を活性化するとは、免疫細胞からのサイトカイン産生や細胞障害性を誘起することを意味する。活性化レセプターは、細胞膜貫通領域に陽性荷電アミノ酸を有している。この陽性荷電アミノ酸を介して、DAP12、CD3zまたはFcRγといったITAM(Immunoreceptor Tyrosine-based Activation Motief)配列[Y-x-x-L-x(6〜8)-Y-x-x-x-L(xは任意のアミノ酸)]を有したアダプター分子と会合することで、活性化レセプターは活性化シグナルを伝達する。
一方、抑制化レセプターは、細胞質内領域にITIM(Immunoreceptor Tyrosine-based Inhibitory Motief)配列[(I/V/L/S)-x-Y-x-x-(L/V)(xは任意のアミノ酸)]を有し、SHP-1などのホスファターゼを動員することで、活性化レセプターからのシグナルを遮断する。こうして、抑制化レセプターは免疫細胞の活性化を抑制する。
上記ペア型レセプターの一つとして、PILR(Paired Ig-like Type2 Receptor)が知られている。PILRは抑制型レセプターであるPILRαと、活性化型レセプターであるマウスPILRβとからなるペア型レセプターである。PILRはNK細胞、樹状細胞、マクロファージ、マスト細胞等の免疫細胞に幅広く発現している。
PILRα(FDF03と称される場合もある)は、ヒトおよびマウスにおいてクローニングされている(非特許文献1、2)。また、本発明者らは、非特許文献3において、マウスPILRαとPILRβのリガンドであるマウスPILR-L(PILR Ligand)のクローニングを行っている。本発明者らは同文献において、PILR-LとPILRβとの会合を介したシグナルが、NK細胞や樹状細胞を活性化することを明らかにしており、マウスのPILRαがマウスのCD99を特異的に認識し、免疫応答の調節に関与することを明らかにしている。
一方、潜伏感染するウィルスのいくつかは、抑制型レセプターに対するリガンドを発現すると考えられている(非特許文献4)。
Mousseau D. D., et al., J. Biol. Chem. 275 (2000) p.4467-4474 Fournier, N., et al., J. Immunol. 165 (2000) p.1197-209. Shiratori, I., et al., J. Exp. Med. 199 (2004) p.525-533 H.Arase, et al., Science, 296, 1323, (2002)
しかしながら、アシクロビルはウィルス感染細胞にしか作用することができず、感染細胞を殺傷することはできるが、新たなウィルスの感染を防ぐことはできないという問題がある。また、最近、アシクロビル耐性のヘルペスウィルスが報告され(Trends Microbiol. 1994 2:481)、アシクロビル以外の抗ヘルペスウィルス薬の開発が必要とされている。
また、グリコプロテインB(以下「gB」と略記する)とグリコプロテインD(以下「gD」と略記する)は、HSV−1の感染に必須の成分であり、gDは細胞表層のHVEMおよびネクチンをレセプターとすることが分かっているが、(R.I.Montgomery, et al., Cell, 87, 427, (1996), R.J.Geraghty, et al., Science, 280, 1618, (1998))、gBと相互作用するレセプターについては、存在が示唆されてはいたものの明らかにされていなかった(F.C.Bender, J.C., et al., J. Biol., 79, 11588, (2005)。
本発明は、上記従来の問題に鑑みたものであり、その目的は、ヘルペスウィルス感染阻害剤、ヘルペスウィルスの感染阻害方法およびその代表的な利用方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ヘルペスウィルスのgBとPILRとが結合し、ヘルペスウィルスが宿主細胞へ感染する際のエントリーレセプターとしてPILRが重要な機能を担っていることを独自に見出した。さらに、gDのレセプターであるHVEMを発現している抹消血単核球に対するヘルペスウィルス感染も抗PILR抗体で阻害されることから、ヘルペスウィルス感染において、gBと宿主細胞上のPILRとの結合が重要であることを見いだし、本発明を完成するに至った。本発明は上記新規な知見に基づいて完成されたものであり、以下の発明を包含する。
すなわち、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、グリコプロテインBまたはグリコプロテインBのレセプターと結合することができ、かつ、グリコプロテインBと、グリコプロテインBのレセプターとの間の相互作用を阻害可能な有効成分を含有することを特徴としている。
gBは、HSV−1の感染に必須の成分であり、感染の際、ウィルスは、宿主細胞が有するgBのレセプターと結合する。本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、グリコプロテインBまたはグリコプロテインBのレセプターと結合することができる有効成分を含有するので、例えば有効成分がgBと結合する物質である場合は、当該有効成分がgBと結合するため、gBのレセプターの種類に関わらず上記相互作用を阻害することができる。
また、有効成分が、例えばgBのレセプターと結合する物質である場合は、当該レセプターがブロックされるので、上記相互作用を阻害することができる。
したがって、上記有効成分が後述する抗PILR抗体であるか否かや、可溶型PILRであるか否かに関わらず、ヘルペスウィルスの宿主への感染を防止することができる。
また、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、グリコプロテインBのレセプターであるPILRと結合することができ、かつ、PILRとグリコプロテインBとの相互作用を阻害することができる有効成分を含有することが好ましい。
上記構成によれば、PILRが特異的にブロックされるので、PILRへのgBの結合を阻害することができ、その結果、PILRとgBとの相互作用を阻害することができる。したがって、ヘルペスウィルスの宿主への感染を非常に効果的に防止することができる。
また、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、上記有効成分が、抗PILR抗体であることが好ましい。上記構成によれば、抗PILR抗体がPILRと抗原抗体反応によって特異的に結合するので、PILRへのgBの結合を阻害することができ、その結果、PILRとgBとの相互作用を阻害することができる。したがって、ヘルペスウィルスの宿主への感染を非常に効果的に防止することができる。
また、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、グリコプロテインBと結合することができ、かつ、グリコプロテインBのレセプターとグリコプロテインBとの相互作用を阻害することができる有効成分を含有することが好ましい。
グリコプロテインBと結合することができ、かつ、グリコプロテインBのレセプターとグリコプロテインBとの相互作用を阻害することができる有効成分である可溶型PILRや、抗gB抗体等の物質は、ヘルペスウィルスのgBと結合することができるので、これらの物質を有効成分として含有するヘルペスウィルス感染阻害剤を宿主に投与することにより、宿主細胞が元々有するPILRとヘルペスウィルスのgBとの結合を阻害することができる。したがって、ヘルペスウィルスの宿主への感染を防止することができる。
また、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、上記有効成分が、可溶型PILRであることが好ましい。
可溶型PILRは、ヘルペスウィルスのgBと結合することができるので、これらの物質を有効成分として含有するヘルペスウィルス感染阻害剤を宿主に投与することにより、宿主細胞が元々有するPILRとヘルペスウィルスのgBとの結合を阻害することができる。したがって、ヘルペスウィルスの宿主への感染を防止することができる。
また、本発明に係るヘルペスウィルスの感染阻害方法は、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤を宿主に投与し、当該宿主においてグリコプロテインBのレセプターとグリコプロテインBとの相互作用を阻害することによって、宿主へのヘルペスウィルスの感染を阻害することを特徴としている。
上記構成によれば、上記ヘルペスウィルス感染阻害剤が、gBおよび/またはgBのレセプターと結合し、結合するため、ヘルペスウィルスのgBとPILRとの相互作用を阻害することができる。したがって、ヘルペスウィルスの宿主への感染を防止することができる。特に、ヘルペスウィルスに非感染の細胞へのウィルスの新たな感染を阻害することができる。
本発明に係るヘルペスウィルスのレセプターは、PILRからなり、ヘルペスウィルスが含有するグリコプロテインBと結合可能であることを特徴としている。また、本発明に係るヘルペスウィルス感受性動物または細胞は、本発明に係るヘルペスウィルスのレセプターを含有することを特徴としている。
ヘルペスウィルスが宿主に感染する際には、PILRがヘルペスウィルスのgBに対するレセプターとして働くことは本発明によって初めて明らかにされた知見である。したがって、上記レセプターは、例えば実験用のヘルペスウィルス感受性細胞等の作製等に好適に用いることができる。また、上記ヘルペスウィルス感受性の動物または細胞は、ヘルペスウィルスの感染阻害実験等に好適に用いることができる。
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明によって明白になるであろう。
図1のAは、PILRと結合するリガンドが、HSV−1に感染させた293T細胞において発現することを示している。図1のBは、HSV−1に感染した細胞の溶解液から、対照のIg(CD200−Ig)ではなく、PILR-Igが110kDaの分子を沈降させ、SDS−PAGEにおいて明確なバンドとして得られたことを示している。図1のCは、HSV−1が有するPILR認識リガンドのウエスタンブロット解析結果を示すものである。図1のDは、抗フラッグmAbを用いてgBおよびgDがともに細胞表面に発現していることを解析した結果を示すものである。 図2のAは、ヒトPILRをトランスフェクトしたCHO−K1細胞がHSV−1に効率よく感染するが、mock-transfectedCHO−K1細胞はHSV−1に感染しなかったことを示す、フローサイトメトリーによる解析結果を示すものである。図2のBは、PILRによってトランスフェクトされたCHO−K1細胞における感染細胞の割合を示すものである。図2のCはPILR-IRES-DsRedまたはMock-IRES-DsRed をトランスフェクトしたCHO−K1細胞におけるDsRedの発現結果と、GFPの発現結果とを示すものである。 図3のAは、HSV−1を、抗ヒト−PILR mAb(M4)または対照mAbの存在下で、ヒトPILRをトランスフェクトしたCHO−K1細胞に感染させ、HSV−1の感染の程度を調べた結果を示すものである。図3のBは、PILR−IgによるHSV−1感染阻害の結果を示すものである。 図4のAは、PILRはCD14+細胞に検出されたことを示す図である。図4のBは、CD14+細胞へのHSV−1の感染は抗ヒト−PILR mAbにより顕著にブロックされたことを示す図である。 gBとgDの細胞外領域を発現するために用いたコンストラクトを示すものである。 図6のAは、ヒトPILRを用いてトランスフェクトしたBa/F3細胞が抗ヒトPILRmAb(M4)によって特異的に認識されたことを示す図であり、図6のBは、抗ヒトPILRmAb(M4)が、gBを用いてトランスフェクトした細胞へのPILR-Igの結合をブロックしたことを示す図である。 抗PILR抗体とPILRとの抗原抗体反応によってgBとPILRとの相互作用を阻害する様子を示す模式図である。 gBとPILRとを相互作用させることによって、gBと宿主細胞が有するPILRとの相互作用を阻害する様子を示す模式図である。 HSV−1のgBのアミノ酸配列を示す図である。 アシクロビルは感染細胞に対して殺傷的に働くが、感染そのものを阻害することはできないことを示す図である。
本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、グリコプロテインBまたはグリコプロテインBのレセプターと結合することができ、かつ、グリコプロテインBと、グリコプロテインBのレセプターとの間の相互作用を阻害可能な有効成分を含有する阻害剤であり、それには、PILRとヘルペスウィルスが含有するグリコプロテインBとの相互作用の阻害物質(例えば抗PILR抗体、抗PILR抗体と同様の特性を有する糖鎖、他のタンパク質、化学物質等)を有効成分として含有するヘルペスウィルス感染阻害剤が含まれ、さらに、可溶型PILR等を有効成分として含有するヘルペスウィルス感染阻害剤等が含まれる。そこで、以下ではまず、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤について説明する。
<1.ヘルペスウィルス感染阻害剤>
本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、グリコプロテインBまたはグリコプロテインBのレセプターと結合することができ、かつ、グリコプロテインBと、グリコプロテインBのレセプターとの間の相互作用を阻害可能な有効成分を含有する。
ヘルペスウィルスは単純ヘルペスウィルス群、サイトメガロウィルス群、リンパ細胞増殖ウィルス群の三つの亜科に分類されるが、グリコプロテイン(gB)はいずれのヘルペスウィルスにも共通の分子であるとともに、HSV−1が宿主に感染するために必須の構成成分であり、gBはHSV−1の感染に重要な役割を果たしている(R.I.Montgomery, et al., Cell, 87, 427, (1996), R.J.Geraghty, et al., Science, 280, 1618, (1998))。
gBのレセプターとしては、特に限定されるものではなく、例えばPILRを挙げることができる。また、PILR以外のgBのレセプターとしては、可溶型gBが結合可能なPILR非発現細胞から、可溶型gBを用いて免疫沈降させたレセプターを挙げることができる。当該免疫沈降させたレセプターは、質量分析により容易に同定することが可能である。また、可溶型gBが結合する細胞より、cDNAライブラリーを作成し、発現クローニングによっても同定することも可能である。
ここで、上記「可溶型gB」とは、gBとIgGとを融合させたタンパク質、または、細胞内領域および細胞膜貫通領域を除いたgBである。可溶型gBは、後述する可溶型PILRと同様に、従来公知の方法によって作製することができる。
例えば、gBの細胞外領域と、IgG-Fc領域とのキメラ分子の発現プラスミドを作製し、Cos7細胞に導入して培養後、得られた培養上清から精製し、可溶型gBとすることができる。また、単に、gBの細胞外領域のみの発現プラスミドを作製し、Cos7細胞に導入して培養後、得られた培養上清から精製し可溶型gBとすることができる。
上記の方法で同定したgBのレセプターは、後述する実施例より、PILRと同様にHSV1のエントリーレセプターであることが予測される。従って、PILR以外のgBのレセプターとgBとの相互作用を阻害することにより、未知のgBのレセプター発現細胞に対するHSVの感染を阻害することも可能である。
本発明者は、ヘルペスウィルスのgBとPILRとが結合し、ヘルペスウィルスが宿主細胞へ感染する際のエントリーレセプターとしてPILRが重要な機能を担っていることを独自に見出した。さらに、gDのレセプターであるHVEMを発現している末梢血単核球に対するヘルペスウィルス感染も抗PILR抗体で阻害されることから、ヘルペスウィルス感染において、gBと宿主細胞上のPILRとの結合が重要であることを見い出した。したがって、上記レセプターとしてはPILRが特に好ましい。
gBと、gBのレセプターとの間の相互作用とは、gBと、gBのレセプターとが結合することをいう。上記「結合」とは、実施例で示すように、可溶型レセプターがgBに結合することをフローサイトメトリー等で検出できるような結合、もしくは、可溶型gBがレセプターに結合することをフローサイトメトリー等で検出できるような結合である。「相互作用を阻害可能」とは、上記結合を妨げることができることをいい、全てのgBおよびgBのレセプターが互いに結合しない場合も含まれるし、一部のgBおよびgBのレセプターが結合しない場合も含まれる。すなわち、本発明に係る感染阻害剤を用いた場合において、本発明に係る感染阻害剤を用いない場合よりも上記結合の数が減少していればよい。
上記相互作用の阻害は、従来公知の方法によって確認することができる。例えば、後述する実施例に示すように、フローサイトメトリーを用いる方法を挙げることができる。
(1−1.gBのレセプターと結合することができ、gBとgBのレセプターとの間の相互作用を阻害可能な有効成分を含有するヘルペスウィルス感染阻害剤)
一実施形態において、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、gBのレセプターと結合することができ、gBとgBのレセプターとの間の相互作用を阻害可能な有効成分を含有する。上記有効成分としては、特に限定されるものではない。例えば、PILRと結合することができ、かつ、PILRとグリコプロテインBとの相互作用を阻害することができる有効成分を挙げることができる。
このような有効成分としては、例えば上記PILRと結合し、PILRとヘルペスウィルスのgBとの相互作用を阻害する抗体すなわち抗PILR抗体や、PILRに結合する糖鎖化合物、他のタンパク質、化学物質等を挙げることができる。
特に、PILRはSiglec等のレクチンとアミノ酸の相同性が高いため、そのようなレクチンと同様な認識機構を持っていることが予想される。従って、PILRと相同性のあるレクチンに競合阻害を示すことが知られている糖鎖の化合物(例えばガラクトースやガラクトサミンの誘導体)、また、これらのレクチン分子の可溶化タンパク等も阻害剤として抗PILR抗体と同じ機能を持つことが予想される。このような、抗PILR抗体と同じ機能を持つ化合物は、従来公知の方法によって、化学的に合成もしくはタンパク質として産生させ用意することが可能である。
抗PILR抗体は、PILRと結合し、PILRとヘルペスウィルスのgBとの相互作用を阻害する抗体である。PILRと特異的に結合するかどうかは、図6のAに示す様にPILR発現細胞を用いて、フローサイトメトリーにて確認できる。
本発明者らは、後述する実施例に示すように、宿主細胞が有するPILRが、ヘルペスウィルスが有するgBのレセプターとして働き、ヘルペスウィルスの宿主への感染に重要な役割を果たしていることを新たに見出した。そして、この新たな知見に基づき、抗PILR抗体とPILRとの抗原抗体反応を利用すれば、gBとPILRとの相互作用を阻害することができ、ヘルペスウィルスの感染を防止することが可能となることを見出した。
図7は、抗PILR抗体とPILRとの抗原抗体反応によってgBとPILRとの相互作用を阻害する様子を示す模式図である。また、後述する実施例から、抗PILR抗体と同様に、PILRに結合可能であるという特性を有する糖鎖や他のタンパク質、化学物質も、gBとPILRとの相互作用を阻害することができると考えられる。すなわち、抗PILR抗体と同様にPILRに結合可能であれば、抗体に限らずいかなる物質でもヘルペスウィルスの感染を阻害できると考えられる。
なお、ヘルペスウィルスは単純ヘルペスウィルス群、サイトメガロウィルス群、リンパ細胞増殖ウィルス群の三つの亜科に分類されるが、gBはいずれのヘルペスウィルスにも共通の分子である。従って、本明細書におけるヘルペスウィルスは上記いずれの亜科に属するものであってもよい。中でも単純ヘルペスウィルス群が好ましい。単純ヘルペスウィルスとしては、HSV−1であってもHSV−2であっても構わない。
本明細書において、「抗体」とは、免疫グロブリン(IgA、IgD、IgE、IgG、IgMおよびこれらのFabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fcフラグメント)を意味し、例としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体、抗イディオタイプ抗体およびヒト化抗体が挙げられるがこれらに限定されない。
抗体を作製する方法としては、種々の公知の方法を用いることができる。例えば、後述する実施例では、PILRによってマウスを免疫し、免疫されたリンパ節の細胞からハイブリドーマを作製し、PILRを認識するハイブリドーマのクローンを採取して、当該クローンの中から、gBの細胞外領域へのPILR-Igの結合を阻害するクローンを選択し、当該クローンを抗PILR抗体としている。
また、抗体の産生方法としては、当該ハイブリドーマのクローンの培養上精から、抗体を公知の方法で精製することが好ましい。また、上記抗体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、そのポリヌクレオチドを宿主細胞に導入して、そのポリペプチドを細胞内発現させることによってそのポリペプチドを生産する方法を挙げることもできる。
このポリペプチドの生産方法として、上記抗体産生クローンより抗体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、その組換え発現系を採用することができる。組換え発現系を用いる場合、ポリペプチドの生産方法は、抗体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを挿入したベクターを宿主細胞に導入する工程を含んでもよい。
上記抗体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを作製する方法は特に限定されるものではなく、例えば、当業者であれば、PILR抗体産生クローンより抗体をコードするポリヌクレオチドを同定することにより、ポリヌクレオチドを容易に作製することができる。
上記ポリヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得るか、またはそれは、非コード鎖(アンチセンス鎖としても知られる)であり得る。
組換え発現ベクターの作製方法としては、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどを用いる方法が挙げられるが特に限定されない。
ベクターの具体的な種類は特に限定されず、宿主細胞中で発現可能なベクターを適宜選択すればよい。すなわち、宿主細胞の種類に応じて、抗体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これと上記ポリヌクレオチドを各種プラスミド等に組み込んだベクターを発現ベクターとして用いればよい。
発現ベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを含んでもよい。このようなマーカーとしては、真核動物細胞培養についてはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性、およびE.coliおよび他の細菌における培養についてはテトラサイクリン耐性遺伝子またはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。
上記選択マーカーを用いれば、上記ポリヌクレオチドが宿主細胞に導入されたか否か、さらには宿主細胞中で確実に発現しているか否かを確認することができる。上記ポリペプチドを融合ポリペプチドとして発現させてもよく、例えば、オワンクラゲ由来の緑色蛍光ポリペプチドGFP(Green Fluorescent Protein)やRFP(Red Fluorescent Protein)をマーカーとして用い、上記ポリペプチドをGFP融合ポリペプチドやRFP融合ポリペプチドとして発現させてもよい。
上記の宿主細胞は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種細胞を好適に用いることができる。具体的には、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌、酵母(出芽酵母 Saccharomyces cerevisiae、分裂酵母 Schizosaccharomyces pombe)、線虫(Caenorhabditis elegans)、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵母細胞、哺乳類由来の細胞等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は当分野で周知である。
上記発現ベクターを宿主細胞に導入する方法、すなわち形質転換法も特に限定されるものではなく、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法、レトロウィルス法等の従来公知の方法を好適に用いることができる。
上記ポリペプチドの生産方法は、上記ポリペプチドを含む細胞または組織の抽出液から上記ポリペプチドを精製する工程をさらに包含することが好ましい。ポリペプチドを精製する工程は、周知の方法(例えば、細胞または組織を破壊した後に遠心分離して可溶型画分を回収する方法)で細胞や組織から細胞抽出液を調製した後、この細胞抽出液から周知の方法(例えば、硫安沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、免疫沈降、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィー)によって精製する工程が好ましいが、これらに限定されない。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が精製のために好適に用いられる。宿主細胞内で産生されたポリペプチドを精製する方法は、用いた宿主、ポリペプチドの性質によって異なるが、タグの利用等によって比較的容易に目的のポリペプチドを精製することも可能である。
なお、上記抗体(ポリペプチド)を生産する方法は、組換え発現系を利用したこのような生産方法に限定されるものではなく、天然に発現する細胞または組織から当該ポリペプチドを精製することによって生産されるものであってもよい。精製方法としては、上述した種々の技術を利用することができる。
その他の抗体作製法としては、例えば、HarLowら、「Antibodies:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1988)」、岩崎ら、「単クローン抗体 ハイブリドーマとELISA、講談社(1991)」等の方法を用いることができる。
なお、上記有効成分以外の成分については、上記有効成分の効果を阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、乳化剤、賦形剤などを含有させることができる。有効成分とその他の成分とを混合する方法については特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。また、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、作用機序が異なるので、アシクロビル等の他の抗ウィルス薬と併用することもできる。
(1−2.gBと結合することができ、かつ、gBのレセプターとgBとの相互作用を阻害することができる有効成分を含有するヘルペスウィルス感染阻害剤)
一実施形態において、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、gBと結合することができ、かつ、gBのレセプターとgBとの相互作用を阻害することができる有効成分を含有する。
上記有効成分としては、gBと結合することができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、可溶型PILRや抗gB抗体等を挙げることができる。
本発明者らは、後述する実施例に示すように、宿主細胞が有するPILRが、ヘルペスウィルスが有するgBのレセプターとして働き、ヘルペスウィルスの宿主細胞への感染に重要な役割を果たしていることを新たに見出した。そこで、この新たな知見に基づき、PILRとIgGとを融合させたタンパク質である可溶型PILRを宿主に投与し、ヘルペスウィルスが有するgBと予め相互作用させておけば、gBと宿主細胞が有するPILRとの相互作用を阻害することができ、ヘルペスウィルスの感染を防止することが可能となることを見出した。図8は、gBと可溶型PILRとを相互作用させることによって、gBと宿主細胞が有するPILRとの相互作用を阻害する様子を示す模式図である。
なお、後述する実施例では、可溶型PILRを用いているが、可溶型PILRに限らず、例えば抗gB抗体等のように、ヘルペスウィルスのgBに結合可能な物質は、いかなる物質であっても、可溶型PILRと同様にヘルペスウィルスによるPILRの認識を阻害することができる。
これらの有効成分を含有する感染阻害剤を用いると、ヘルペスウィルスのgBとPILRとの相互作用を阻害する抗gB抗体等の物質と、ヘルペスウィルスが含有するgBとが相互作用するので、gBが抗gB抗体等の物質によってブロックされ、宿主細胞が元々有しているPILRとヘルペスウィルスのgBとの相互作用を阻害することができることは、後述する実施例より容易に予測される。したがって、可溶型PILRに限らず、抗gB抗体等のヘルペスウィルスのgBに結合する物質は、宿主へのヘルペスウィルスの感染を非常に効果的に阻害することができるといえる。
「可溶型PILR」とは、PILRとIgGとを融合させたタンパク質、もしくは、細胞内領域および細胞膜貫通領域を除いたPILRである。可溶型PILRは、後述する実施例に示すように、従来公知の方法によって作製することができる。例えば、PILRの細胞外領域と、IgG-Fc領域とのキメラ分子の発現プラスミドを作製し、Cos7細胞に導入して培養後、得られた培養上清から精製し可溶型PILRとすることができる。また、単に、PILRの細胞外領域のみの発現プラスミドを作製し、Cos7細胞に導入して培養後、得られた培養上清から精製し可溶型PILRとすることができる。
ヒトPILRのアミノ酸配列を配列番号10として示した。20番目のQから194番目のLまでが細胞外領域である。また、ヒト可溶型PILRのアミノ酸配列を配列番号11として示した。1番目のMから14番目のGまではシグナル配列、27番目のQから201番目のLまでがヒトPILRの細胞外領域、204番目のPから434番目のkまでがヒトIgG1 Fc領域に該当する。
可溶型PILRの作製に用いるPILRの由来は、特に限定されるものではなく、例えばヒトPILRやマウスPILR等を用いることができ、ヘルペスウィルスの感染を阻害させたい生物の種類に応じて使い分ければよい。ヒト可溶型PILRのアミノ酸配列は配列番号11に示すとおりであるが、当該配列において、1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドも、同様にヒト可溶型PILRとして用いることができる。他の生物由来の可溶型PILRについても、公知のPILRとIgGとを融合させることによって作製可能であり、作製したポリペプチドのアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド(以下、変異体ともいう)も同様に使用可能である。
本明細書において、上記「1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、または付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異ポリペプチド作製法により置換、欠失、挿入、または付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、最も好ましくは5個以下)のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されていることを意味する。
ポリペプチド中のいくつかのアミノ酸が、このポリペプチドの構造または機能に有意に影響することなく容易に改変され得ることは、当該分野において周知である。さらに、人為的に改変させるだけではく、天然のタンパク質において、当該タンパク質の構造または機能を有意に変化させない変異体が存在することもまた周知である。
当業者は、周知技術を使用してポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸を容易に変異させることができる。例えば、公知の点変異導入法に従えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの任意の塩基を変異させることができる。また、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの任意の部位に対応するプライマーを設計して欠失変異体または付加変異体を作製することができる。さらに、本明細書中に記載される方法を用いれば、作製した変異体が所望の活性を有するか否かを容易に決定し得る。
好ましい変異体は、保存性もしくは非保存性アミノ酸置換、欠失、または添加を有する。好ましくは、サイレント置換、添加、および欠失であり、特に好ましくは、保存性置換である。
また、上記ポリペプチドは、上記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを宿主細胞に導入して、そのポリペプチドを細胞内発現させた状態であってもよいし、細胞、組織などから単離精製された場合であってもよい。また、上記ポリペプチドは、化学合成されたものであってもよい。
他の実施形態において、上記ポリペプチドは、融合タンパク質のような改変された形態で組換え発現され得る。すなわち、上記ポリペプチドの末端、特にN末端側にタグ等のアミノ酸配列が付加されてなるポリペプチドであってもよい。
また、糖鎖修飾がタンパク質、特に細胞表面に発現するタンパク質の機能発現に重要な役割を果たすことが知られており、上記ポリペプチドとしては、糖鎖修飾されたものも含まれる。
上記可溶型PILRの生産方法として、可溶型PILRまたはその変異体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いる組換え発現系を採用することができる。組換え発現系を用いる場合、ポリペプチドの生産方法は、可溶型PILRまたはその変異体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを挿入したベクターを宿主細胞に導入する工程を含んでもよい。
可溶型PILRまたはその変異体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを作製する方法は特に限定されるものではなく、例えば、当業者であれば、従来公知の可溶型PILRの記載に基づいて、可溶型PILRまたはその変異体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを容易に作製することができる。なお、ポリヌクレオチドの形態、ベクターの種類、宿主細胞、形質転換法、ポリペプチドの精製等については、(1−1)で説明したものと同様である。
抗gB抗体は、種々の公知の方法によって作製することができる。例えば、gBによってマウスを免疫し、免疫されたリンパ節の細胞からハイブリドーマを作製し、gBを認識するハイブリドーマのクローンを採取する方法などを挙げることができる。
なお、上記有効成分以外の成分については、上記有効成分の効果を阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、乳化剤、賦形剤などを含有させることができる。有効成分とその他の成分とを混合する方法については特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。また、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、作用機序が異なるので、アシクロビル等の他の抗ウィルス薬と併用することもできる。
(1−3.ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するヘルペスウィルス感染阻害剤)
以上説明した有効成分のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する薬剤も、ヘルペスウィルス感染阻害剤として作用することができる。有効成分のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するヘルペスウィルス感染阻害剤は、(1−1)または(1−2)で説明したように、組み換え発現系を用いて宿主細胞に導入し、発現させることにより、抗PILR抗体、抗gB抗体、可溶型PILRなどの有効成分を産生することができるため、(1−1)または(1−2)で説明したヘルペスウィルス感染阻害剤と同様に、ヘルペスウィルスの感染阻害効果を奏することができる。例えば、抗PILR抗体は、抗PILR抗体産生ハイブリドーマの培養上精、および、抗PILR抗体産生細胞から産生される。上記ポリヌクレオチドは、有効成分のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて、当業者であれば容易に作製することができる。
<2.ヘルペスウィルスのレセプター、ヘルペスウィルス感受性の動物または細胞>
(2−1.ヘルペスウィルスのレセプター)
本発明に係るヘルペスウィルスのレセプターは、PILRからなり、ヘルペスウィルスが含有するグリコプロテインBと結合可能である。後述する実施例に示すように、PILRが、ヘルペスウィルスが宿主細胞に感染する際にレセプターとして働くことは本発明によって初めて得られた知見である。
上記レセプターは、例えば実験用のヘルペスウィルス感受性細胞等の作製等に好適に用いることができる。
PILRは、PILRをコードするポリヌクレオチドを宿主細胞に導入して、そのポリペプチドを細胞内発現させた状態であってもよいし、細胞、組織などから単離精製された場合であってもよい。例えば、ヒトおよびマウスにおいてクローニングされているPILR(非特許文献1,2)等を用いることができる。また、上記PILRは、化学合成されたものであってもよい。
PILRの生産方法は、特に限定されるものではなく、例えばPILRまたはその変異体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いる組換え発現系を採用することができる。組換え発現系を用いる場合、ポリペプチドの生産方法は、PILRまたはその変異体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを挿入したベクターを宿主細胞に導入する工程を含んでもよい。
(2−2.ヘルペスウィルス感受性の動物または細胞)
(1−1)で説明したように、PILRが、ヘルペスウィルスが宿主細胞に感染する際にレセプターとして働くことは本発明によって初めて得られた知見である。したがって、PILRをコードするポリヌクレオチドを宿主細胞に導入して、そのポリペプチドを細胞内発現させた細胞または動物は、ヘルペスウィルスに感受性であるという特徴を示すことができる。したがって、上記ヘルペスウィルス感受性の動物または細胞は、ヘルペスウィルスの感染阻害実験等に好適に用いることができる。
上記動物の種類は特に限定されるものではない。例えばイヌ、ニワトリ、サル、マウス、ラットなどの実験動物として一般的に用いられているものを挙げることができる。上記細胞は、PILRが発現しているものであれば特に限定されるものではない。
上記動物または細胞を得る方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述した組換え発現ベクターを宿主に導入して形質転換し、発現させる方法を挙げることができる。
<3.ヘルペスウィルスの感染阻害方法>
本発明に係るヘルペスウィルスの感染阻害方法は、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤を宿主に投与し、当該宿主においてgBのレセプターとgBとの相互作用を阻害することによって、宿主へのヘルペスウィルスの感染を阻害するものである。
一実施形態において、本発明に係るヘルペスウィルスの感染阻害方法は、PILRと抗PILR抗体との抗原抗体反応によって宿主へのヘルペスウィルスの感染を阻害する方法である。上述のように、本発明によって、PILRがヘルペスウィルスのgBに対するレセプターとして働くことが初めて明らかとなった。上記方法によれば、PILRが抗PILR抗体でブロックされるので、宿主細胞が有するPILRとヘルペスウィルスのgBとの相互作用が阻害される。したがって、宿主へのヘルペスウィルスの感染を非常に効果的に阻害することができる。
上記抗PILR抗体としては、例えば(1−1)で説明した抗体を用いることができる。抗原抗体反応は、抗PILR抗体を宿主細胞と混合することによって生じさせることができ、抗原抗体反応後の宿主細胞においてヘルペスウィルスの感染が阻害されているか否かは、フローサイトメトリー等の従来公知の手段を用いて確認することができる。
一実施形態において、本発明に係るヘルペスウィルスの感染阻害方法は、可溶型PILRと、ヘルペスウィルスが含有するgBとを相互作用させることによって宿主へのヘルペスウィルスの感染を阻害する方法である。上記方法によれば、可溶型PILRと、ヘルペスウィルスが含有するgBとを相互作用させるので、gBが可溶型PILRによってブロックされ、宿主細胞が元々有しているPILRとgBとの相互作用を阻害することができる。したがって、宿主へのヘルペスウィルスの感染を非常に効果的に阻害することができる。
上記可溶型PILRとしては、例えば(1−2)に記載した可溶型PILRを用いることができる。可溶型PILRによるヘルペスウィルスの感染阻害は、従来公知の方法、例えば免疫沈降等の方法を用いて確認することができる。
本発明に係るヘルペスウィルスの感染阻害方法において用いられる感染阻害剤の有効成分は、ヘルペスウィルスが含有するgBとPILRとの相互作用を阻害する抗PILR抗体および可溶型PILRに限定されるものではない。後述の実施例より、本発明に係るヘルペスウィルスの感染阻害方法は、ヘルペスウィルスが含有するgBとPILRとの相互作用を阻害するいかなる物質もヘルペスウィルスの感染を阻害できることが容易に予測できる。これらの物質は抗PILR抗体や可溶型PILRと同様に、宿主細胞が元々有しているPILRとgBとの相互作用を阻害することができる。したがって、宿主へのヘルペスウィルスの感染を非常に効果的に阻害することができる。
上記物質としては、例えば(1−1)、(1−2)に記載した、ヘルペスウィルスが含有するgBとPILRとの相互作用を阻害する抗gB抗体、糖鎖化合物、化学物質等を挙げることができる。また、上記有効成分として、(1−3)に記載したように、有効成分のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いることもできる。
上記感染阻害剤を宿主に投与する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば上記感染阻害剤を宿主に塗布する方法、宿主に注射する方法、宿主に飲用させる方法などを挙げることができる。
上記感染阻害剤は、(1−1)で説明した従来公知の方法で精製し、精製した上記感染阻害剤を薬として宿主に投与することが好ましい。例えば、精製抗体または精製した可溶型PILRを薬として宿主に投与する方法が一般的である。宿主としては、動物であれば特に限定されるものではなく、例えばイヌ、ニワトリ、サル、マウス、ラット、ヒトなどを挙げることができる。中でも哺乳動物が好ましい。
<4.本発明の用途>
ヘルペスウィルスの治療薬としては、アシクロビルが最も一般的に用いられている。アシクロビルは、DNA複製を阻害するものであるが、感染細胞のみに有効であり、新たな感染を阻害することはできない。つまり、アシクロビルは感染細胞を殺傷するが、殺傷された細胞からでてきたウィルスは他の細胞への感染力を保持している。従って、本発明のような新たな感染阻害剤や感染阻害方法が重要である。また、最近アシクロビル耐性のヘルペスウィルスが報告されており、アシクロビルと作用機序の異なる感染阻害剤が必要である。
ヘルペスウィルスが宿主細胞に感染する場合、ウィルスのgBが宿主細胞のPILRと結合することが本発明によって明らかになった。そして、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、gBまたはgBのレセプターと結合することができ、かつ、gBと、gBのレセプターとの間の相互作用を阻害可能な物質を有効成分とする。例えば抗PILR抗体、抗PILR抗体と同様の特性を有する糖鎖、抗PILR抗体と同様の特性を有する他のタンパク質、抗PILR抗体と同様の特性を有する化学物質、可溶型PILR、抗gB抗体等を有効成分とする。
抗PILR抗体、抗PILR抗体と同様の特性を有する糖鎖、抗PILR抗体と同様の特性を有する他のタンパク質、抗PILR抗体と同様の特性を有する化学物質は、宿主細胞が有するPILRを特異的に認識し、可溶型PILR、抗gB抗体はヘルペスウィルスのgBを特異的に認識する。そのため、本発明に係る感染阻害剤は、ヘルペスウィルスの新たな感染を阻止することができる。したがって、種々のヘルペスウィルス感染症の治療に有用である。
本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤が抗PILR抗体を有効成分とする場合、抗PILR抗体の含有量は、特に限定されるものではないが、ヘルペスウィルス感染阻害剤1回あたり、100mg以上1000mg以下であることが好ましい。また、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤が可溶型PILRを有効成分とする場合、可溶型PILRの含有量は、特に限定されるものではないが、ヘルペスウィルス感染阻害剤1回あたり、100mg以上5000mg以下であることが好ましい。
なお、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤において、抗PILR抗体と可溶型PILRとは、互いに拮抗しあうため、併用しない方が好ましい。有効成分以外の成分としては、上述のように、有効成分の効果を阻害するものでなければ特に限定されるものではない。有効成分とその他の成分とを混合する方法については特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。また、作用機序が異なるので、アシクロビル等の他の抗ウィルス薬と併用することもできる。
以下、実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の説明において特に言及しない操作は、従来公知の技術を用いた。また、試薬および機器は、添付の取扱説明書に沿って使用した。また、以下の実施例で用いた細胞は、特に言及しない限り、10%のFCSを含むRPMI1640培地で培養した。
〔ウィルス〕
以下の実施例において、野生型のHSV−1(F)とGFP(Green Fluorescent Protein)をマーカーとして有するHSV−1(F)(M.Tanaka, et al., Microbes. Infect. 6, 485, 2004)とを用いた。ウィルスの力価はベロ細胞を用いて従来公知の方法によって決定した。なお、以下、GFP(Green Fluorescent Protein)をマーカーとして有するHSV−1(F)を「HSV−1−GFP」と表す。
〔プラスミド〕
pMXs-マウスPILR-IRES-GFPと、pME18S-マウスPILR-IgGは、I.Shiratori et al., J.Exp. Med. 199, 525,2004)に記載の方法によって調製した。ヒトPILRのcDNAフラグメントは、配列番号2に記載の配列(5’-AAT GAA TTC AAC AAG GCC ATG GGT CGG-3’)からなるセンスプライマーと、配列番号3に記載の配列(5’-AAT AAT GCG GCC GCA GGG CTG TCC ATT GGT TAG G-3’)からなるアンチセンスプライマーとを用いて、ヒト末梢血単核細胞(PBMC:peripheral blood mononuclear cells)のcDNAからPCRで増幅することによって得た。得られたヒトPILRのcDNAフラグメントをpMXs-IRES-GFPおよびpMXs-IRES-DsRedのEcoRIサイトとNotIサイトの間に挿入して、pMXs-ヒトPILR-IRES-GFPおよびpMXs-ヒトPILR-IRES-DsRedをそれぞれ構築した。
ヒトPILRの細胞外領域に相当するcDNAフラグメントは、配列番号4に記載の配列(5’- AAT CTC GAG CAG CCT AGT GGC TCC ACA GG-3’)からなるセンスプライマーと、配列番号5に記載の配列(5’- AAT AAT CTC GAG AAC CCT GAT GGC AGT GTC-3’)からなるアンチセンスプライマーとを用いて、pMXs-ヒトPILR-IRES-GFPからPCRで増幅することによって得た。
当該フラグメントを、N末端にマウスのC150リーダーセグメントを含み、C末端にヒトIgG1のFcセグメントを含む改変pME18S発現ベクターのXhoIクローニングサイトに挿入し、pME18S-ヒトPILR-IgGを構築した。
HSV−1のグリコプロテインBとグリコプロテインDの細胞外領域に相当するcDNAフラグメントは、以下のプライマーを用いて、PCRで増幅することによって得た。(1)グリコプロテインBの増幅に用いたプライマー:配列番号6に記載の配列(5’- AAT CTC GAG GCG GCT CCG AGT TCC CCC GGC A-3’)からなるセンスプライマーおよび配列番号7に記載の配列(5’- AAT GAA TTC CGT GTC GAT GTC GGC GAA GC-3’) からなるアンチセンスプライマー。(2)グリコプロテインDの増幅に用いたプライマー:配列番号8に記載の配列(5’- AAT CTC GAG AAA TAT GCC TTG GTG GAT GC-3’) からなるセンスプライマーおよび配列番号9に記載の配列(5’- AAT CTC GAG CAT GTT GTT CGG GGT GGC CG-3’) からなるアンチセンスプライマー。
上記cDNAフラグメントは、BM40リーダーセグメントおよびFLAG-tag配列をN末端に、さらにマウスPILRのトランスメンブランおよび細胞内セグメントを有する改変pME18S発現ベクターのXhoIまたはXhoI-EcoRVクローニングサイトに挿入した。
〔セルライン〕
293T細胞とCOS−7は、理研セルバンクから購入した。CHO−K1(JCRB No.JCRB9018)はHealth Science Research Resources Bankから購入した。PILRに対するリガンドを欠くCHO−K1細胞はセルソーター(FACSAria)によって取得した。CHO−K1細胞をPILR-IgとPE標識抗ヒトIgG抗体で染色後、非染色細胞をセルソーターにて採取した。末梢血単核細胞(PBMC)はFicoll-Perque PLUS(アマシャムバイオサイエンス製)を用いて製品付属のマニュアルに従って遠心分離を用いて取得した。
〔可溶型PILR〕
COS−7細胞にpME18S-ヒトPILR-IgGまたはpME18S-マウスPILR-IgGを一過性にトランスフェクトし、2日後、培養上清を採取し、この上清を可溶型のヒトPILR(以下、ヒトPILR-Igと称する)または可溶型のマウスPILR(以下、マウスPILR-Igと称する)として以下の操作に用いた。ヒトPILR-IgおよびマウスPILR-IgはプロテインAカラムによって精製した。対照として、精製ヒトCD200-Ig融合タンパク質(I.Shiratori et al., J.Immunol. 175, 4441, 2005)を用いた。
〔抗体〕
BALB/Cマウスに対してヒトPILR-Ig をTiterMax Goldをアジュバントに用いて免疫した。2週間後、リンパ節細胞をSP2/0と融合させ、ヒトPILRがトランスフェクトされたBa/F3細胞と結合するクローンを得た。ヒトPILRと結合するクローンの中から、gBの細胞外領域を発現する細胞へのPILR-Igの結合をブロックする特異的なクローンを選択した。本実施例では、当該クローンとして、IgG1クローンであるM4を用いた。対照のモノクローナル抗体(以下「mAb」と略記する)として、抗FlagM2抗体(マウスIgG1,シグマ製)を用いた。
〔トランスフェクションおよび感染〕
CHO−K1細胞をLipofectamine2000(Invitrogen製)またはGeneJuice(Novagen製)を用いて10%FCS含有F−12培地中で一過性にトランスフェクトした。上記トランスフェクションを行った翌日に、1%FCS含有F−12培地に交換した。上記トランスフェクションの2日後に、トランスフェクタントをHSV-GFPと混合し、32℃で2500rpm、2時間遠心し感染させた。
末梢血単核細胞(PBMC)はFicoll-Perque PLUS(アマシャムバイオサイエンス製)を用いてマニュアル記載の方法により遠心分離を用いて取得した。CD14+細胞およびCD14−細胞はMACS精製システム(Miltenyi Biotec製)を用いて分離した。精製されたPBMCは、1%FCS含有アドバンストRPMI1640培地中で2時間培養後、HSV-GFPと混合し、32℃で2500rpm、2時間遠心し感染させた。感染させて12時間後に、細胞をパラホルムアルデヒドを用いて固定し、GFPまたはDsRedの発現を、FACSCalibur(Becton Dickinson製)を用いて解析した。
〔フローサイトメトリー〕
細胞をPILR-ヒトIg Fc融合タンパク質または一次マウスモノクローナル抗体とともに培養し、続いてPE標識抗ヒトIgG抗体またはPE標識抗マウスIgG抗体とともに培養した。染色された細胞は、FACSCalibur(Becton Dickinson製)を用いて解析した。
〔免疫沈降とイムノブロッティング〕
細胞を1%Briji98(シグマ製)を含有する溶解バッファー(20mMトリス、150mM塩化ナトリウム、pH7.5)中で溶解した。溶解した細胞は、マウスPILR-Igを用いて免疫沈降させた。免疫沈降によって得られた沈降物は、SDS-PAGEサンプルバッファーとともに煮沸することによって溶出させ、10%ポリアクリルアミドゲル上で分離させた。ゲルは直接銀染色し(染色液はBio-Rad製)、PVDF膜(Millipore製)上に転写させ、当該PVDF膜を抗gBmAb(Clone1105, Rumbauhg-Goodwin Institute)でブロットした。
〔ゲル内消化および質量分析〕
質量分析用のサンプルはMatsumoto M et al. Proteomics. 2005 5:4145に既述の方法によって、トリプシン消化によって調製し、ナノ−LC(Ultimate, LC packing)およびESI-Q-Tof MS/MS(Q-Tof Ultima API, Micromass)によって質量を分析した。ペプチドの質量とアミノ酸配列はMASCOT program(Matrix Science Ltd)を用いて解析した。
〔実施例1:グリコプロテインBとPILRとの結合〕
最初に、HSV−1に感染した293T細胞がPILR-Igと結合するか否かをフローサイトメトリーで分析した。
図1のAは、PILRと結合するリガンドが、HSV−1に感染させた293T細胞において発現することを示している。このことは、HSV−1がPILRと結合するリガンドを備えていること、または、HSV−1が、細胞において、PILRと結合するリガンドを誘導することを示唆している。
次に、HSV−1に感染した細胞上に発現したPILRと結合するリガンドを同定するために、HSV−1に感染した細胞または非感染293T細胞の溶解物を、界面活性剤を用いて溶解させ、溶解物を、PILR-Igとともに免疫沈降させ、SDS−PAGEを用い、銀染色して解析した。
図1のBは、HSV−1に感染した細胞の溶解液から、対照のIg(CD200−Ig)ではなく、PILR-Igが110kDaの分子(タンパク質)を沈降させ、当該タンパク質がSDS−PAGEにおいて明確なバンドとして得られたことを示している。
上記110kDaのタンパク質を、LC/MS/MSマススペクトロメトリーを用いてアミノ酸配列を解析した。図9および配列番号1は、HSV−1のgBのアミノ酸配列を示すものであり、図9において下線を引いたアミノ酸は、上記アミノ酸解析によって同定されたアミノ酸である。配列番号1に示す配列との相同性の高さより、当該バンドはHSV−1のgBであることが明らかとなった。
上記110kDaのタンパク質がgBであることを確認するために、110kDaの分子を抗gBmABを用いてブロットした。図1のCは、HSV−1が有するPILR認識リガンドのウエスタンブロット解析結果を示すものである。HSV−1感染細胞上に発現されたPILR認識リガンドは、PILR-Igまたは対照Ig(CD200−Ig)とともに免疫沈降させた。免疫沈降物は、SDS−PAGEを用いて解析し、抗gBmABを用いてブロットした。図1のCから分かるように、110kDaのタンパク質は明らかに抗gBmABによってブロットされた。
次に、細胞表面に発現したgBがPILR-Igによって特異的に認識されるかどうかについて解析した。gBを293T細胞にトランスフェクトした場合、gBの全長は細胞表面に発現しなかったため、PILRの膜貫通領域および細胞質領域に繋いだフラッグタグ付きのgB細胞外領域が発現するコンストラクトを構築し、293細胞に当該コンストラクトをトランスフェクトした。
同様に、細胞表面上でHVEMおよびネクチンに結合することによってHSV−1の感染に重要な役割を果たしていることが知られているgDについて、細胞外領域を、gBの場合と同様に構築したコンストラクトを用いて293細胞上に発現させた。
図5は、gBとgDの細胞外領域を発現するために用いたコンストラクトである。シグナル配列とフラッグタグ(DYKDDDDK)はgBの細胞外領域(29〜720番のアミノ酸)のN末端、および、gDの細胞外領域(26〜341番のアミノ酸)のN末端に付加した。gBおよびgDのフラッグタグ化細胞外領域をトランスフェクトされた293T細胞は、PILR-Ig、HVEM-Ig、抗フラッグmAb(Clone M2, Sigma)によって染色し、フローサイトメトリーで分析した。
結果を図1のDに示した。図1のDの右列は、抗フラッグmAbを用いてgBおよびgDがともに細胞表面に発現していることを解析した結果を示すものである。図1のDの左列より、PILR-Igは、gDではなくgBを発現している細胞と結合しており、PILRがgBと特異的に結合していることが分かる。一方、図1のDの中央列より、HVEM−Igは、gBではなくgDを発現している細胞と結合していることが分かる。よって、図1のDに示すデータは、PILRがgBと結合することを示しているといえる。
gBとgDは、HSV−1が宿主に感染するために必須の構成成分であり、gBはHSV−1の感染に重要な役割を果たしている(R.I.Montgomery, et al., Cell, 87, 427, (1996), R.J.Geraghty, et al., Science, 280, 1618, (1998))。しかしながら、gBと相互作用する特異的な分子の存在は示唆されてはいたが(F.C.Bender, J.C., et al., J. Biol., 79, 11588, (2005))、これまで知られておらず、gBと相互作用する特異的な分子がPILRであるという知見は本発明によって初めて明らかになったものである。
〔実施例2:HSV−1感染に果たすPILRの役割の確認〕
いくつかのCHO−K1細胞はPILRと結合する未知のリガンドを発現するので、本発明者らは、セルソーターによってPILRと結合するリガンドを有さないCHO−K1細胞を精製し、PILRとCHO−K1細胞の表面に存在するリガンドとの相互作用を避けるため、PILRを、PILRと結合するリガンドを有さないCHO−K1細胞にトランスフェクトした。
PILRと結合するリガンドを有さないCHO−K1細胞は、ヒトPILRを含有するpMx-IRES-DsRed発現ベクターを用いて一過性にトランスフェクトした。トランスフェクトされたCHO−K1細胞を、HSV−1−GFPを用いてトランスフェクトし、DsRed陽性細胞中でGFPを発現する細胞をフローサイトメトリーによって解析した。図2のAはフローサイトメトリーによる解析結果を示すものであり、ヒトPILRをトランスフェクトしたCHO−K1細胞がHSV−1に効率よく感染するが、mock-transfectedCHO−K1細胞はHSV−1に感染しなかったことを示す。
図2のBは、PILRによってトランスフェクトされたCHO−K1細胞における感染細胞の割合を示すものである。
次に、CHO−K1細胞に、上記のPILR-IRES-DsRedまたはMock-IRES-DsRedをトランスフェクトし、DsRedを発現している細胞をセルソーターを用いて精製した。トランスフェクトされたCHO−K1細胞は、HSV−1−GFPに感染させ、GFPの発現を蛍光顕微鏡で解析した。
図2のCはPILR-IRES-DsRedまたはMock-IRES-DsRed をトランスフェクトしたCHO−K1細胞におけるDsRedの発現結果と、GFPの発現結果とを示すものである。図2のCから分かるように、PILR-IRES-DsRedをトランスフェクトしたCHO−K1細胞にHSV−1−GFPが感染し、Mock-IRES-DsRedトランスフェクトしたCHO−K1細胞にはHSV−1−GFPは感染しなかった。
以上より、HSV−1は、PILRを発現する細胞に良好に感染することが明らかとなったので、HSV−1の感染が抗PILRmAbまたはPILR-Ig融合タンパク質によってブロックされるかどうかを解析した。
この解析を行うために、ヒトPILRとgBの間の相互作用を特異的にブロックする抗PILRmAbを確立した。図6のAはヒトPILRを用いてトランスフェクトしたBa/F3細胞が抗ヒトPILRmAb(M4)によって特異的に認識されたことを示している。PILRをトランスフェクションしたBa/F3細胞を抗ヒトPILRmAb(M4)と混ぜた後、PE標識抗マウスIgG抗体を加えて染色しフローサイトメトリーで解析した。M4抗体は、親株のBa/F3には結合しないが、PILRをトランスフェクションしたBa/F3細胞を特異的に認識した。
図6のBは、抗ヒトPILRmAb(M4)が、gBを用いてトランスフェクトした細胞へのPILR-Igの結合をブロックしたことを示す図である。PILR-Igは、抗ヒトPILRmAb(M4)と30分間培養した後、gBの細胞外領域をトランスフェクションしたBa/F3細胞と混ぜた。その後、PE標識抗ヒトIgG抗体を加えて染色しフローサイトメトリーで解析した。M4抗体は、PILR-IgのgBをトランスフェクションしたBa/F3細胞に対する結合を完全に阻害した。
図3のAは、HSV−1を、抗ヒト−PILR mAb(M4)または対照mAbの存在下で、ヒトPILRをトランスフェクトしたCHO−K1細胞に感染させ、HSV−1の感染の程度を調べた結果を示すものである。ヒトPILRは、pMx-IRES-DsRed発現ベクターによってCHO−K1細胞に一過性にトランスフェクトし、種々の濃度の抗ヒト−PILR mAbまたは対照mAbの存在下でHSV−1−GFPを用いてHSV−1を感染させた。HSV−1感染細胞の割合は、フローサイトメトリーによって解析した。図3のAに示すように、HSV−1の感染は、濃度依存的に、抗ヒト−PILR mAbによって完全にブロックされた。
同様の結果は、PILRをトランスフェクトしたCHO−K1細胞にHSV−1を感染させ、感染細胞を蛍光顕微鏡で観察した場合にも確認された。図3のBは、PILR−IgによるHSV−1感染阻害の結果を示すものである。PILRをトランスフェクトしたCHO−K1細胞に、種々の濃度のPILR−Igまたは対照のPILRを含まないIg融合タンパク質の存在下でHSV−1を感染させた。感染した細胞の割合を、フローサイトメトリーによって解析した。PILR-Igは、HSV−1のgBに直接結合するため、PILR-Igは、細胞表面におけるHSV−1とPILRとの相互作用をブロックする可能性があると考えられる。
図3のBに示すように、PILRをトランスフェクトしたCHO−K1細胞へのHSV−1の感染は、対照Ig融合タンパク質ではブロックされず、PILR-Ig融合タンパク質によって濃度依存的に、有意にブロックされた。したがって、PILRとgBとの相互作用がHSV−1の感染と相関を有することが分かる。
次に、PILRが内因性のPILRを発現している細胞への感染に関与しているかどうかを検討した。
PILRは主として単核球、顆粒球および樹状細胞に発現していることが報告されている(非特許文献2)。そこで、PILRの発現を調べるためヒト末梢血単核細胞(PBMC)を抗CD14抗体とともに抗PILR抗体で染色した。さらに、HVEMおよびNectin-1の発現を調べるために、PBMCを抗CD14抗体とともに抗HVEM抗体、または抗Nectin抗体で染色した。図4Aに示したように、PILRはCD14+細胞に検出された。また、CD14+細胞はHVEMが発現していること、Nectin-1が弱く発現していることが確認された。
続いて、HVEMおよびPILRの両方を発現している単核細胞へのHSV−1の感染にPILRが関与しているか否かを解析した。すなわち、新たに分離したCD14+細胞およびCD14−細胞に抗ヒト−PILR mAbまたは対照mAb(それぞれ10μg/ml)が存在する場合と存在しない場合にHSV-1-GFPを感染させ、感染細胞の割合をフローサイトメトリーで分析した。
図4のBに示したように、CD14+細胞へのHSV−1の感染は抗ヒト−PILR mAbにより顕著にブロックされた。一方、主としてリンパ球からなるCD14−細胞へのHSV−1の感染率は低く、抗ヒト−PILR mAbはHSV−1の感染に対してほとんど効果を示さなかった。これらのデータから、今までgDのレセプターとして知られておりHSV-1の感染に関与すると報告されていたHVEMのみの発現はHSV−1の感染に十分ではなく、gBと細胞リガンドとの結合がHSV−1の感染に重要な役割を果たしていることが示唆された。
〔実施例3:抗PILR抗体によるHSV−1の感染阻害〕
本実施例は、抗PILR抗体によるHSV−1の感染阻害実験において、対照としてアシクロビルを用い、アシクロビルはHSV−1感染細胞に対して殺傷的に働くが、感染そのものを阻害することはできないことを確認した結果を示すものである。
ヒトPILRをトランスフェクトした5x10のCHO−K1細胞に1.5x10PFUのHSV−1−GFPを加えて感染させ、18時間後にGFPの発現を解析した。
上記ウィルスを加える30分前に100μMもしくは500μMのアシクロビル、または10μg/mlの抗ヒトPILRmAb(M4)を加え、何も加えなかった細胞(図10における「対照」)への感染効率を100%として、ウィルスの感染効率を図10に示した。
図10より、抗HSV薬であるアシクロビルを十分量加えてもHSVの感染は阻害できなかったが、抗PILR抗体を加えると感染が阻害されることが確認された。すなわち、図10に示されたデータは、アシクロビルは感染細胞に対して殺傷的に働くが、感染そのものを阻害することはできないことを示している。
本発明のヘルペスウィルス感染阻害剤は、グリコプロテインBまたはグリコプロテインBのレセプターと結合することができ、かつ、グリコプロテインBと、グリコプロテインBのレセプターとの間の相互作用を阻害可能な有効成分を含有するという構成である。それゆえ、上記有効成分が抗PILR抗体であるか否かや、可溶型PILRであるか否かに関わらず、ヘルペスウィルスの宿主への感染を防止することができるという効果を奏する。
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内において、いろいろと変更して実施することができるものである。
本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、ヘルペスウィルスの感染を防止する医薬品に好適に利用することができる。既知の抗ヘルペスウィルス薬であるアシクロビルとは作用機序が異なるため、単独使用、または、アシクロビルとの併用でヘルペスウィルスの感染治療薬として利用することができる。そのため、本発明に係るヘルペスウィルス感染阻害剤は、医薬産業等において非常に有望な産業上の利用可能性を備えている。

Claims (3)

  1. グリコプロテインBのレセプターであるPILRと結合することができ、かつ、PILRとグリコプロテインBとの相互作用を阻害可能な有効成分を含有し、上記有効成分が抗PILR抗体であることを特徴とするヘルペスウィルス感染阻害剤。
  2. グリコプロテインBと結合することができ、かつ、グリコプロテインBのレセプターとグリコプロテインBとの相互作用を阻害することができる有効成分を含有し、上記有効成分が、可溶型PILRであることを特徴とするヘルペスウィルス感染阻害剤。
  3. PILRとグリコプロテインBとの相互作用の阻害をフローサイトメトリーまたは免疫沈降を用いて確認することを特徴とする、ヘルペスウィルスの感染阻害を確認する方法。
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