JP3585399B2 - 抗マウスtrailモノクローナル抗体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マウス等非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドに特異的に結合する抗TRAILモノクローナル抗体、その製造方法及びかかるモノクローナル抗体を有効成分として含有するTRAIL機能解析用試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:以下「TNF」という)は、ある種の癌細胞にアポトーシス(細胞死)を誘導するサイトカインの一種であり、疎水性ペプチドをN末端側に有するII型細胞膜貫通蛋白質として知られている。また、TNFとよく似た構造を有する細胞膜貫通蛋白質として、Fas抗原のリガンド、B細胞表層抗原CD40のリガンド、T細胞表層抗原CD27やCD30のリガンドなどが存在し、これらはTNFファミリーと呼ばれ、かかるTNFファミリーに属する分子の受容体群はTNF受容体ファミリーと呼ばれている。
【0003】
TNFファミリーの一員である腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TNF−related apoptosis−inducing ligand:以下「TRAIL」という)は、TNFファミリー間における相同性に基づくデータベース検索によって、30kDaのII型細胞表面蛋白としてクローニングされ、またTRAILの細胞外領域は、TNFファミリー間においては、アポトーシス誘導分子の1つであるFasリガンド(以下「FasL」という)に対して最も高い相同性を示し(アミノ酸レベルで28%)、さらに、FasL同様、さまざまな腫瘍細胞にアポトーシスを誘導することが報告されている。
【0004】
またこれまでに、TRAILに対応するレセプターとして、少なくとも4分子、すなわちTRAILレセプター1(DR4ともいう)、TRAILレセプター2(DR5、TRICK2あるいはkillerともいう)、TRAILレセプター3(TRID、DcR1あるいはLITともいう)及びTRAILレセプター4(TRUNDDあるいはDcR2ともいう)が存在し、これらレセプターは、TRAILに対してほぼ同程度の親和性を示すが、その機能や存在様式については異なることが明らかとなっている。例えば、TRAILレセプター1及びTRAILレセプター2は細胞内領域にデスドメインと呼ばれるアポトーシスの誘導に必要とされる部位を有し、三量体TRAILとこれらレセプター分子が結合すると、FasLのレセプターであるFasと同様に、カスパーゼと呼ばれる一連の蛋白質分解酵素群を介して細胞にアポトーシスを誘導する。
【0005】
一方、TRAILレセプター3は細胞内領域を完全に欠いており、細胞膜上の糖脂質(グリコホスファチジルイノシトール:GPI)に結合することにより細胞表面上に存在すると考えられている。このTRAILレセプター3は、細胞内にアポトーシスシグナルを誘導することはできないが、TRAILレセプター1やTRAILレセプター2とTRAILへの結合をめぐって拮抗的に作用することから、TRAILの機能を抑制するものと考えられている。また、TRAILはFasLとは異なり、腫瘍細胞のみに選択的にアポトーシスを誘導し、正常細胞に対しては無力であることが知られているが、TRAILレセプター3のメッセンジャーRNAの発現が正常細胞のみにおいて検出され、腫瘍細胞では認められないことから、正常細胞のTRAILに対する耐性の獲得にTRAILレセプター3が関与する可能性が示唆されている。
【0006】
第4のレセプター分子であるTRAILレセプター4は、TRAILレセプター1やTRAILレセプター2と同様、I型膜構造形態をとるもののデスドメインの大半を失っており、アポトーシスの誘導は不可能とされている。しかしながら、TRAILレセプター4はNF−κBを介したアポトーシス抑制性のシグナルを誘導することが可能であることから、TRAILレセプター1及びTRAILレセプター2からのアポトーシスシグナルに対して抑制的にはたらくものと考えられている。TRAILのアポトーシス誘導作用に対する細胞側の感受性は、アポトーシスを誘導するレセプター(TRAILレセプター1及びTRAILレセプター2)の発現とアポトーシスに対して抑制的にはたらくレセプター(TRAILレセプター3及びTRAILレセプター4)の発現との絶対的及び相対的な差によって一義的に決定されると考えられている。しかしながら、細胞側のTRAILに対する耐性獲得の要因としてレセプターの発現以外にもFADD様インターロイキン1β変換酵素抑制蛋白質(FLIP:Fas−associated death domain−like IL−1β−converting enzyme−inhibitory protein)等の細胞内でアポトーシスシグナルを抑制する分子の存在が関与する可能性も報告されており、これら細胞内外のさまざまな要因によりTRAILに対する感受性が決まると推測されている。
【0007】
RNAレベルでのTRAIL及びTRAILレセプター1〜4の発現は多くの組織や細胞で認められるが、これら分子の蛋白質レベルでの発現や生理的機能についてはいまだ不明な点が多い。最近、本発明者らは、ヒトCD4T細胞クローンが恒常的にTRAILを表出し、ヒト由来T細胞リンパ種Jurkatや不死化した角化細胞であるHaCaTといった標的細胞をTRAILを介して破壊することを見い出した。また、トーマスらも同様にメラノーマに対するCD4T細胞クローンがTRAILを介して標的細胞を破壊することを報告している。
【0008】
上記のように、TRAILとほかの標的細胞破壊機構がどのように使い分けられているかは、未だ不明な点が多く、また、TRAIL発現が誘導するメカニズムは、まだ明らかとなっていない。さらに、最近、HIVに感染するとT細胞がTRAILに対して感受性を示すようになり、アポトーシスが誘導されやすくなることや、HIV感染患者由来末梢血T細胞の抗CD3抗体刺激によるアポトーシス(activation−induced cell death)にTRAILが関与することから、HIV感染細胞の排除やAIDS発症児におけるリンパ球減少などの病態形成にTRAILが関与する可能性が示唆されているものの、そのメカニズムの詳細は明らかになっていない。以上のことから、これらTRAILの発現誘導機構や標的細胞破壊機構以外のほかの生理的機能について、そのメカニズム解析に有用な試薬の存在が期待されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記TRAILの生理的役割及び病理的役割を解明するためには、細胞死を誘導する他のTNFファミリーやTNFレセプターファミリーと交差反応性を示さず、TRAILと特異的に結合するモノクローナル抗体等の蛋白質が必要であり、また、生理的機能を有する分子の機能解析はインビボで実験可能なマウスやラット等の非ヒト動物を用いて行うことが必要である。抗TRAILモノクローナル抗体として、本発明者らは既に、ヒト由来のTRAILに結合する抗ヒトTRAILモノクローナル抗体について報告している(J. Immunol. 162, 2639−, 1999)が、抗ヒトTRAILモノクローナル抗体は、上記のように、マウス等を用いたインビボでの実験に実際に使用することができないという問題があった。
【0010】
本発明の課題は、上記TRAILの発現誘導機構や標的細胞破壊機構以外の他の生理的機能をインビトロ又はインビボで解析する際、FasやTNF等のTNFファミリーやTNFレセプターファミリーに対して交差反応せず、TRAILに特異的に作用してその細胞障害活性を完全に阻害することができる抗マウスTRAILモノクローナルラット抗体などの抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法や、かかる製造方法により得られる抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体や、かかるモノクローナル抗体を有効成分として含有し、簡便かつ精確にTRAILを検出することができるTRAIL機能解析用試薬を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を克服するために、マウス由来TRAILのcDNAをトランスフェクションしたマウスBリンパ腫2PK−3細胞を作製し、その2PK−3細胞で免疫したラットの脾細胞と、マウスミエローマとを融合することによってハイブリドーマを作製し、かかるハイブリドーマから、FasやTNFと交差反応せず、特異的にマウス由来TRAILに結合し、かつ、TRAILの細胞障害活性を完全に阻害する抗マウスTRAILモノクローナル抗体が産生されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドに対して特異的に反応し、非ヒト動物由来のFasリガンドや非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子に対して交差反応せず、かつ、該非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドの細胞障害活性を完全に阻害するモノクローナル抗体の製造方法であって、非ヒト動物由来TRAILのcDNAを該非ヒト動物と同種の株化細胞にトランスフェクションして形質転換細胞を調製し、該形質転換細胞で免疫した異種の非ヒト動物の脾細胞と、前記非ヒト動物と同種のミエローマ細胞とを融合することによって得られるハイブリドーマを培養することを特徴とする抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法(請求項1)や、非ヒト動物が齧歯類動物であることを特徴とする請求項1記載の抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法(請求項2)や、齧歯類動物として、マウスとラットを用いることを特徴とする請求項2記載の抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法(請求項3)や、株化細胞が、マウスBリンパ腫2PK−3細胞であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法(請求項4)に関する。
【0013】
また本発明は、マウス由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドに対して特異的に反応し、マウス由来のFasリガンドやマウス由来の腫瘍壊死因子に対して交差反応せず、かつ、該マウス由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドの細胞障害活性を完全に阻害することを特徴とする抗マウスTRAILモノクローナル抗体(請求項5)に関する。
【0014】
さらに本発明は、請求項5記載の抗マウス動物TRAILモノクローナル抗体を有効成分として含有することを特徴とするTRAIL機能解析用試薬(請求項)に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法は、非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドに対して特異的に反応し、非ヒト動物由来のFasリガンドや非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子に対して交差反応せず、かつ、該非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドの細胞障害活性を完全に阻害するモノクローナル抗体の製造方法であって、非ヒト動物由来TRAILのcDNAを非ヒト動物と同種の株化細胞にトランスフェクションした形質転換細胞を調製し、該形質転換細胞で免疫した異種の非ヒト動物の脾細胞と、前記非ヒト動物と同種のミエローマ細胞とを融合することによって得られるハイブリドーマを培養することを特徴とする。非ヒト動物としては齧歯類動物が材料の入手性や取り扱い安さの点で好ましく、かかる齧歯類動物としてはマウスやラットを具体的に挙げることができる。以下、抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体として、抗マウスTRAILモノクローナルラット抗体を例に挙げて説明する。
【0016】
本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体としては、マウス由来TRAILと特異的に結合し、マウスFasLやマウスTNFに対して交差反応することなく、かつ、マウスTRAILの細胞障害活性を完全に阻害するモノクローナル抗体であればどのようなものでもよく、かかる抗マウスTRAILモノクローナル抗体は、抗マウスTRAILモノクローナル抗体産生ハイブリドーマをインビボ又はインビトロで常法により培養することにより生産することができる。例えば、インビボ系においては、齧歯動物、好ましくはマウス又はラットの腹腔内で培養することにより、またインビトロ系においては、動物細胞培養用培地で培養することにより得ることができる。インビトロ系でハイブリドーマを培養するための培地としては、ストレプトマイシンやペニシリン等の抗生物質を含むRPMI1640又はMEM等の細胞培養培地を例示することができる。
【0017】
抗マウスTRAILモノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、一般的にはマウスTRAILで免疫したラットの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とを、常法により細胞融合させることにより作製することができる。このようにマウスTRAILを用いてラットを免疫するとその抗原性が増加する。また、実際のTRAILの機能解析の場合に必要とされるTRAILの細胞外領域をエピトープとして認識する抗マウスTRAILモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ることが好ましく、このため、マウスTRAILのcDNAをマウスの株化細胞、例えばBリンパ腫2PK−3細胞にトランスフェクションし、安定発現する形質転換細胞を選択・調製し、該形質転換細胞でラットを常法により免疫し、免疫されたラットの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とを、常法により細胞融合させ、HAT培地で選択し、その中からL929細胞に対してTRAIL/2PK−3細胞の細胞障害活性を抑制することができるものをスクリーンすることにより、抗マウスTRAILモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作出することができる。また、かかるモノクローナル抗体の分離・精製方法としては、タンパク質の精製に一般的に用いられる方法であればどのような方法でもよく、アフィニティークロマトグラフィー等の液体クロマトグラフィーを具体的に例示することができる。
【0018】
本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体は、前記のように、マウスTRAILに対して特異的に反応し、マウスFasLやマウスTNFに対して交差反応せず、かつ、マウスTRAILの細胞障害活性を完全に阻害することを特徴とするが、ここでTRAILの細胞障害活性とは、標的腫瘍細胞を破壊するなど、標的細胞に何らかの病理的な変化をもたらす活性のことをいい、マウスTRAILの細胞障害活性を完全に阻害するとは、例えば、エフェクター細胞表面上に発現したTRAILの細胞障害活性により標的細胞がTRAIL特異的に受ける障害が実質的に阻害されることをいう。
【0019】
本発明のTRAIL機能解析用試薬としては、抗マウスTRAILモノクローナル抗体を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものでなく、例えば、抗マウスTRAILモノクローナル抗体を、FITC(フルオレセインイソシアネート)又はテトラメチルローダミンイソシアネート等の蛍光物質や、125I、32P、35S又はH等のラジオアイソトープや、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ又はフィコエリトリン等の酵素で標識したものを具体的に例示することができる。かかるTRAIL機能解析用試薬を用いたTRAILの機能解析には通常の免疫学的測定方法を適用することができ、かかる免疫学的測定方法としては、RIA法、ELISA法、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、血球凝集反応法、オクタロニー法等の方法を挙げることができる。
【0020】
【実施例】
以下に、実施例を挙げてこの発明を更に具体的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(マウスTRAILの調製)
6週齢の雄のB6(C57BL/6)マウス(SLC社製)をコンカナバリンA(ConA)により刺激した後、このマウスの脾細胞から全RNAを抽出した。このRNAを含む抽出物を、文献(Immunity 3, 673−, 1995)記載のマウスTRAILのcDNA配列の5′末端側の6つのコドンからなるプライマーと、3′末端側の6つのコドンからなるプライマーとの2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、XhoIとNotIによるRT−PCR法を行い、マウスTRAILのcDNA(850bp)を増幅し精製した。
【0021】
(TRAIL検出用標識DR5−Igの作製)
文献(J. Immunol. 162, 2639−, 1999、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 3914−, 1997)記載の方法により、可溶化DR5−Ig(TRAILレセプター2−免疫グロブリン)融合蛋白質を次のようにして作製した。マウスTRAILと結合するヒト由来のDR5(TRAILレセプター2)の細胞外領域(アミノ末端側の1番目から183番目のアミノ酸配列を有する蛋白質)をコードするcDNAフラグメントをPCR法で増幅させ、EcoRIとBamHIとを使用して、ダイジェスションした。そのcDNA(550bp)を、ヒトIgのCγ1の遺伝子配列を持つpBluescriptIIのEcoRIからBamHIの部位に挿入し、その後、EcoRIとNotIでダイジェスションすることによって、ヒトIgG1のFc部分にDR5の細胞外領域を有するDR5−Igの融合体を得た。その融合体をPSG5発現ベクター(ストラタジーン社製)のEcoRIからNotIまでの部位に挿入し、COS7細胞にトランスフェクションした。16時間後、無血清の培養培地に移して96時間培養し、プロテインGカラムにより精製した。このDR5−Igをビオチン化し、続いて、フィコエリトリン(phycoerythrin:PE)で標識した抗ヒトIgG(ファーミンジェン社製)と結合させることによって標識化したDR5−Ig複合体を作製した。
【0022】
(マウス由来TRAILのトランスフェクタントの作製)
上記マウスTRAILのcDNAをpBluescriptII SK(+)ベクターにサブクローンし、オートシークエンサー(アプライドバイオシステム社製)又は蛍光式オートシークエンサーを用いて、それらの塩基配列を確認した。確認後、東京医科歯科大学の丸山博士から提供されたpMKITNeo発現ベクターのXhoIからNotIまでの部位に、マウスTRAILのcDNAを挿入した。このマウスTRAIL/pMKITNeoベクターを、ジーンパルサー(バイオラッド社製)を用いてエレクトポレーション法(290V,96−960μF)により、RPMI1640培地(最終濃度で10%のFCS、100μg/mlのストレプトマイシンとペニシリン、及び2mMのグルタミンを含む培地)であらかじめ培養しておいた2PK−3細胞(ATCC No.TIB−203)に導入した。その後、1mg/mlのG418に対して耐性のある細胞を選択し、続いて限界希釈法によりクローニングして、安定なマウスTRAILのトランスフェクタント、すなわち、mTRAIL/2PK−3細胞を得た。この得られた細胞でマウス由来TRAILが安定的に発現するかどうかを、以下の方法により確認した。
【0023】
(mTRAIL/2PK−3細胞でのマウスTRAIL発現の確認)
2PK−3細胞とマウスTRAIL/2PK−3細胞をそれぞれ1μgの上記標識化したDR5−Ig複合体と共に4℃で1時間インキュベートして染色した。結果を図1(図1での実線)に示す。また、コントロールとして、ヒトIgGとPE標識抗ヒトIgGモノクローナル抗体を用いて同様にインキュベートして染色した(図1での点線)。これらの結果から、DR5−IgによってマウスTRAIL/2PK−3細胞のみ染色されることから、マウスTRAIL/2PK−3細胞においてマウスTRAILが発現することが確認できた。また同様に、文献(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 3914−, 1997)記載の方法で精製した抗マウスFasLモノクローナル抗体をDR5−Igのかわりに用いた場合、マウスFasL/2PK−3細胞を染色するが、マウスTRAIL/2PK−3細胞を染色しないことがわかった。このことから、抗マウスFasLモノクローナル抗体は、マウスTRAILに対して交差反応を示さないことが確認できた。
【0024】
(マウス腫瘍細胞の感受性)
インビトロにおいて、種々のヒト腫瘍細胞は、TRAIL誘導の細胞障害に対して感受性であることが知られているが、マウス腫瘍細胞[マウス繊維肉腫L929(H−2)(日本キャンサーリサーチリソースバンク)、肥満細胞腫P815(ATCC TIB−64)、黒色腫B16、Tリンパ腫YAC−1(H−2)(ATCC TIB−160)]は、TRAIL誘導の細胞障害に対して感受性を有するかどうかはほとんど知られていない。そこで、マウス由来TRAIL/2PK−3細胞とマウス由来FasL/2PK−3細胞の2種類のトランスフェクタントを用いて、TRAILとFasLがそれぞれ誘導する細胞障害に対して、これらのマウス腫瘍細胞の感受性を以下のように測定した。
【0025】
文献(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 4930−, 1994)記載の方法により51Cr遊離測定を以下のように行った。あらかじめ標的細胞として用いる腫瘍細胞を51Cr含有RPMI1640で培養した。96ウエルU底マイクロプレートに、51Crでラベルした標的細胞(1×10)とエフェクター細胞とを1:10の割合で混合した後、8時間インキュベートし、無細胞の上清を集めてγ−チューブに移し、γ−カウンターで放射能を測定した。特異的51Cr遊離のパーセンテージは、文献(Int. Immunol. 4, 1049−, 1992)記載の計算方法により算出した。これらの結果を図2に示す。マウスTRAIL/2PK−3細胞(黒枠)及びマウスFasL/2PK−3細胞(斜線枠)は、8時間の51Cr遊離測定においてL929細胞を効果的に溶解しているが、コントロールである2PK−3細胞(白枠)は細胞障害を示さなかった。
【0026】
L929細胞はTNFを介する細胞障害に対して非常に敏感であることから、抗TNFモノクローナル抗体の存在下で、マウスTRAIL/2PK−3細胞又はマウスFasL/2PK−3細胞のL929細胞に対する細胞障害活性阻害について調べたところ、50μg/mlの抗TNFモノクローナル抗体の存在下ですら、マウスTRAILやマウスFasLによる細胞障害活性を阻害することがなかった。さらに、上清中の可溶化TNF活性やこれらの細胞上の膜結合TNFも検出することができなかった。これらの結果から、L929細胞に対するこれらのトランスフェクタントの細胞障害において、TNFが関与していないことが確認された。
【0027】
また図2からわかるように、P815細胞はFasLに対して感受性を有するがTRAILに対しては感受性がなく、B16細胞とYAC−1細胞は、TRAIL及びFasLに対して共に耐性を有する。これら標的細胞に対するマウスTRAIL/2PK−3細胞又はマウスFasL/2PK−3細胞による細胞障害を、[H]−TdR遊離測定法によっても測定したが、これら標的細胞のアポトーシスによる細胞死を示す同様な結果が得られた。
【0028】
(ラット由来の脾細胞の調製)
F344/DuCrjラット(SLC社製)の腹腔内に、前記マウスTRAIL/2PK−3細胞(2×10cells)を投与し、10日おきに数回免疫した。最終免疫から3日経過後、脾臓細胞をこのラットから無菌的に摘出し、抗体産生細胞として細胞融合に使用した。
【0029】
(細胞融合)
上記脾細胞とマウスミエローマ細胞P3U1(P3X63Ag8U.1;ATCC CRL−1597)とを、文献(J.Exp. Med. 176, 1241−, 1992)記載の方法により融合させた。すなわち、37℃に加温しておいたRPMI1640(最終濃度で10%のFCS、100μg/mlのストレプトマイシンとペニシリン、及び2mMのグルタミンを含む培地)でそれぞれの細胞を洗浄し、これらの細胞を遠沈させた。脾細胞とマウスミエローマ細胞P3U1とを融合させた後、HAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含む細胞培養用培地)でハイブリドーマを選択した。HAT培地で選択されたハイブリドーマの培養上清を用いて、マウスTRAIL/2PK−3細胞のL929細胞に対する細胞障害活性を抑制するハイブリドーマをスクリーニングした。なお、これらの実験は全て無菌的に行った。
【0030】
(抗マウス由来TRAILモノクローナル抗体の精製)
上記スクリーニングされたハイブリドーマを培養し、遠心分離により細胞を取り除いた上清をプロテインGアフィニティークロマトグラフィーにより処理し、N2B1及びN2B2と名付けられた2つのモノクローナル抗体を分離・精製した。
【0031】
(抗マウスTRAILモノクローナル抗体の結合特異性)
上記2つの抗マウスTRAILモノクローナル抗体、N2B1とN2B2とをビオチン化し、このビオチン化した抗体のそれぞれを、フィコエリトリン(PE)で標識したアビジンと結合させ、PE標識化抗体を調製した。次に、2PK−3細胞とマウスTRAIL/2PK−3細胞のそれぞれを1μgの上記PE標識化抗体と共に4℃で1時間インキュベートして染色した。結果を図3(図3での実線)に示す。また、コントロールとして、ヒトIgGとPE標識抗ヒトIgGモノクローナル抗体を用いて同様にインキュベートして染色した(図3での点線)。これらの結果から、2つの抗体N2B1とN2B2とは、マウス由来TRAIL/2PK−3細胞に結合するが、TRAILを発現しない2PK−3細胞には結合しないことがわかった。また、これらの抗体はマウス由来TRAIL/BHKとは結合するが、BHKには結合しないことも確認された。
【0032】
(抗マウスTRAILモノクローナル抗体の細胞障害活性抑制作用)
抗マウスTRAILモノクローナル抗体のL929細胞に対する細胞障害活性抑制作用を調べるために、前記の51Cr遊離測定を行い、特異的51Cr遊離のパーセンテージを算出した。結果を図4に示す。図4中、○はN2B1を、●はN2B2を、▲はこれら抗体の不存在をそれぞれ表す。これらの結果から、抗マウスTRAILモノクローナル抗体、N2B1とN2B2とは、投与量0.4μg/mlでL929細胞に対するマウス由来TRAIL/2PK−3細胞の細胞障害活性を完全に阻害した。しかし、これら2つの抗体は、L929細胞に対する組換えマウスTNF/2PK−3や組換えマウスFasL/2PK−3の細胞障害活性を阻害せず、また、膜TNFを発現するマウスFasL/2PK−3細胞やLPSで刺激したRAW264細胞を染色することはなかった。これらのことから、これら2つの抗体はマウスFasLやマウスTNFに対して交差反応しないことが明らかとなった。
【0033】
(サイトカイン未活性化リンパ球でのマウスTRAILの発現)
未成熟B6脾細胞(2×10cells/ml)(SPC)を培養培地で培養し、この培養後のB6脾細胞(リンパ球)と、FITCで標識した抗NK1.1モノクローナル抗体又はペリジニンクロロフィルプロテイン(PerCp)で標識した抗CD3モノクローナル抗体(ファーミンジェン社製)とを、4℃で1時間インキュベートし反応させ、CD3とNK1.1の発現を調べることで4つの個体群[CD3NK1.1(T細胞:R1)、CD3NK1.1(殆どのB細胞:R2)、CD3NK1.1(NK細胞:R3)、CD3NK1.1(NKT細胞:R4)]に分類した(図5上段参照)。
【0034】
本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体(N2B2)を用いて、上記分類した4つの個体群(R1、R2、R3、R4)において、TRAILとFasLが発現しているかどうかを以下のように調べた。N2B2と抗マウスFasLモノクローナル抗体(以下「MFL2」という)をそれぞれビオチン化し、このビオチン化した抗体のそれぞれをフィコエリトリン(PE)で標識したアビジンと共に4℃で1時間インキュベートして結合させ、これらPE標識化抗体1μgを、上記R1〜R4に分類された細胞と反応させ、PBSにて洗浄した後、3カラーフローサイトメトリー分析によりTRAILやFasLの発現を測定した。結果を図5(図5での実線)に示す。また、コントロールとして、ヒトIgGとPE標識抗ヒトIgGモノクローナル抗体を用いて同様にインキュベートし、染色した(図5での点線)。これらの結果、全ての個体群においてTRAILは発現していなかった。同様に、新しく単離された胸腺細胞においても、リンパヌード細胞においても、TRAILは発現していなかった。また、FasLの細胞表面での発現を調べた結果、NK細胞(R3)ではFasLの発現をかなりのレベルで確認でき、他の細胞では確認することができなかった。
【0035】
(サイトカイン活性化リンパ球でのマウスTRAILの発現)
IL−2、IL−15、IL−18等のサイトカインにより刺激されたT細胞とNK細胞において、FasLをアップレギュレーション(発現上昇)することができるという報告(Blood 92, 4248−, 1998、Cell Immunol. 174, 54−, 1996、J. Immunol. 157, 3967−, 1996、J. Immunol. 157, 1919−, 1996)があることから、これらサイトカイン(IL−2、IL−15、IL−18)によりTRAILを誘導することができるかどうかを調べた。B6脾細胞(2×10cells/ml)(SPC)を6日間、IL−2(500u/ml)、IL−15(150ng/ml)又はIL−18(100ng/ml)の存在下で培養して刺激した。次いで、これら細胞に前記PE標識化抗体を作用させて、3カラーフローサイトメトリー分析によりTRAILの発現を測定した。結果を図6に示す。
【0036】
図6の結果から、IL−2で刺激されたリンパ芽球は、2つの個体群[CD3NK1.1(T細胞:R1)、CD3NK1.1(NK細胞:R2)]に分けることができ、このうちNK細胞ではTRAILの著しい発現レベルを検出できたが、T細胞では検出できなかった。IL−15で刺激した場合は、IL−2とレセプター複合体のβとγサブユニットを共有するとの報告どおり(Science 264, 965−, 1994、Embo. J. 14, 3654−, 1995、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 4940−, 1994)、IL−2の場合と同様な結果を示し、T細胞(R3)とNK細胞(R4)の2つの個体群が作出され、また、NK細胞において選択的にTRAILの発現が誘導されることがわかった。これに対し、レセプター(IL−18R/IL−1Rrp)を刺激するIL−18は、NKフェノタイプのリンパ芽球(R5)だけを誘導したが、該リンパ芽球にTRAIL発現を確認することはできなかった。これらのことから、IL−18と異なりIL−2とIL−15は、マウスNK細胞でTRAIL発現に対して強いインデューサー作用を有することがわかった。
【0037】
B6脾細胞をIL−2で刺激後、NK細胞における経時的なTRAIL発現の動態を測定した。結果を図7に示す。IL−2刺激によるTRAILの発現は、2日後に確認でき、5日後ピークに達した。同様な結果がIL−15刺激においても観察された。他方、IL−2、IL−15又はIL−18でそれぞれ刺激した細胞において、FasLの細胞表面発現をアップレギュレートすることができるかどうかを調べた結果、これらのサイトカインが、T細胞とNK細胞においてFasL発現をアップレギュレートすることがわかった(図6参照)。これらの結果は、これらのサイトカインによるTRAIL及びFasLの発現の異なる調節機構の存在を示している。
【0038】
(IL−2、IL−15又はIL−18ブラストのLAK活性)
IL−2で活性化されたリンパ球は、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)非拘束性であり、P815等のNK耐性標的細胞を含む種々の腫瘍細胞に対するAg非依存性細胞障害、いわゆるリンホカイン活性化キラー(LAK)活性を示すことが知られている(J. Immunol. 157, 1919−, 1996、Annu. Rev. Immunol. 4, 681−, 1986)。そこで、いくつかの標的細胞に対して、IL−2ブラスト(○)、IL−15ブラスト(●)又はIL−18ブラスト(△)のLAK活性を比較した。結果を図8に示す。その結果、B6マウス由来のIL−2ブラスト及びIL−15ブラストは、NK細胞感受性のYAC−1のみならず、MHC非拘束性で、NK細胞耐性の標的細胞B16、P815、L929をも自発的に殺した。また、IL−18ブラストにおいては、IL−2ブラストやIL−15ブラストより、全ての標的細胞に対しより高い細胞障害活性を示すことがわかった。
【0039】
(サイトカイン活性化NK細胞の細胞障害におけるTRAILの関与)
IL−2、IL−15又はIL−18が、FasL及び/又はパーフォリンを介する細胞障害をアップレギュレートし、T細胞とNK細胞の細胞障害を増大するという報告がある(Blood 92, 4248−, 1998、Cell Immunol. 174, 54−, 1996、J. Immunol. 157, 3967−, 1996、J. Immunol. 162, 1662−, 1999、J. Immunol. 157, 1919−, 1996)。そこで、IL−2、IL−15又はIL−18ブラストのLAK活性に対するTRAIL、FasL及びパーフォリンの関与を検討した。B6脾細胞(2×10cells/ml)に、IL−2(500u/ml)、IL−15(150ng/ml)又はIL−18(100ng/ml)を加えて6日間刺激し、培養培地で培養した。また、あらかじめ標的細胞として用いる腫瘍細胞を51Crの共存下RPMI1640で培養した。次に、96ウエルU底マイクロプレートに、51Crでラベルされた標的細胞(1×10)とエフェクター細胞とを1:5の割合で混合し、20nMのコンカナマイシン(以下「CMA」という)の存在又は非存在下、各々10μg/mlのN2B2及び/又はMFL2を添加し、8時間インキュベートした。その無細胞上清を集めてγ−チューブに移し、γ−カウンターで放射能を測定し、遊離51Crの測定を行った。
【0040】
CMAで前処理した不活性化パーフォリンを、パーフォリンの関与を評価するのに用い、FasL耐性の標的細胞(YAC−1)やTRAIL耐性の標的細胞(B16)等に対する、IL−2、IL−15又はIL−18ブラストの細胞障害活性を調べた。結果を図9に示す。図9からわかるように、IL−2やIL−15で活性化されたブラストの細胞障害活性はCMA処理によりほとんど完全に阻害され、パーフォリンの関与を明らかに示した。これに対し、B16に対するIL−18ブラストの細胞障害活性はCMA処理によりほとんど完全に阻害されたが、YAC−1に対してはCMA、あるいは、CMAとMFL2及び/又はN2B2との組み合わせの場合であっても、完全に抑制することができなかった。これらのことから、パーフォリン、FasL又はTRAILに依存しない他の細胞障害経路の存在が示唆された。また、FasL感受性でTRAIL耐性のP815に対する、IL−2、IL−15又はIL−18ブラストの細胞障害活性を、CMAはほとんど阻害し、MFL2との組み合わせでは完全に阻害した。このことは、P815に対する細胞障害活性にパーフォリンは重要で、FasLは重要でないことを示している。TRAIL又はFasLに敏感なL929では、CMAはただIL−2ブラストとIL−15ブラストの細胞障害活性を一部阻害し、CMAとMFL2又はN2B2と組み合わせることでより阻害することができた。さらに、CMAと2つの抗体を組み合わせることでほとんど完全に阻害できることがわかった。
【0041】
これらの結果は、パーフォリンやFasLに加えてTRAILが、L929に対するIL−2又はIL−15ブラストの細胞障害活性に関係することを示している。これに対して、CMAとMFL2との組み合わせは、N2B2の非存在下でL929に対してIL−18ブラストの細胞障害活性を完全に阻害することから、IL−18ブラストの細胞障害活性は、パーフォリン及びFasLに依存し、TRAILに非依存性であることがわかった。
【0042】
次に、NK細胞とT細胞の2つの個体群においてエフェクターのメカニズムを調べるため、L929に対してこれらエフェクター細胞の細胞障害活性を、上記と同様にCMA、CMAとMFL2及び/又はN2B2の存在下あるいは非存在下で調べてみた。結果を図10に示す。これらの結果から、IL−2で刺激されたNK細胞は、T細胞より十分高い細胞障害性を示し、CMA、N2B2及びMFL2の組み合わせは、L929に対してIL−2で刺激されたNK細胞の細胞障害活性を完全に阻害することがわかった。これに対して、N2B2はIL−2で刺激されたT細胞の細胞障害の阻害に必要とされないことがわかった。また、IL−15ブラストでも同様な結果を得た。これらの結果から、IL−2又はIL−15で刺激されたNK細胞では機能的にTRAILを発現するが、T細胞では発現しないことが明らかとなった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体を使用することで、インビトロ又はインビボでの種々のTRAIL機能の解析が可能となり、TRAILの生理的役割及び病理的役割を解明することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トランスフェクタントにおけるマウスTRAILの発現をフローサイトメトリーにより測定した結果を示す図である。
【図2】標的腫瘍細胞に対するマウスTRAIL及びFasL発現細胞の細胞障害活性を示す図である。
【図3】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体と細胞表面マウスTRAILとの結合を示すフローサイトメトリーの測定結果を示す図である。
【図4】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体によるマウスTRAILの細胞障害活性抑制の結果を示す図である。
【図5】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体を用いたサイトカイン未活性化リンパ球におけるTRAILの発現結果を示す図である。
【図6】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体を用いたサイトカイン活性化リンパ球におけるTRAILの発現結果を示す図である。
【図7】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体を用いたIL−2活性化NK細胞におけるTRAIL発現の経時変化を示す図である。
【図8】各種標的腫瘍細胞に対するサイトカイン活性化リンパ球のLAK活性を示す図である。
【図9】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体を用いたサイトカイン活性化リンパ球の腫瘍細胞に対する細胞障害におけるTRAILの関与を示す図である。
【図10】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗体を用いたサイトカイン活性化リンパ球の腫瘍細胞L929に対する細胞障害におけるTRAILの関与を示す図である。

Claims (6)

  1. 非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドに対して特異的に反応し、非ヒト動物由来のFasリガンドや非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子に対して交差反応せず、かつ、該非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドの細胞障害活性を完全に阻害するモノクローナル抗体の製造方法であって、非ヒト動物由来TRAILのcDNAを該非ヒト動物と同種の株化細胞にトランスフェクションして形質転換細胞を調製し、該形質転換細胞で免疫した異種の非ヒト動物の脾細胞と、前記非ヒト動物と同種のミエローマ細胞とを融合することによって得られるハイブリドーマを培養することを特徴とする抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法。
  2. 非ヒト動物が齧歯類動物であることを特徴とする請求項1記載の抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法。
  3. 齧歯類動物として、マウスとラットを用いることを特徴とする請求項2記載の抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法。
  4. 株化細胞が、マウスBリンパ腫2PK−3細胞であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法。
  5. マウス由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドに対して特異的に反応し、マウス由来のFasリガンドやマウス由来の腫瘍壊死因子に対して交差反応せず、かつ、該マウス由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドの細胞障害活性を完全に阻害することを特徴とする抗マウスTRAILモノクローナル抗体。
  6. 請求項5記載の抗マウスTRAILモノクローナル抗体を有効成分として含有することを特徴とするTRAIL機能解析用試薬。
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