JP2001037496A - 抗マウスtrailモノクローナル抗体 - Google Patents

抗マウスtrailモノクローナル抗体

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JP2001037496A JP11217763A JP21776399A JP2001037496A JP 2001037496 A JP2001037496 A JP 2001037496A JP 11217763 A JP11217763 A JP 11217763A JP 21776399 A JP21776399 A JP 21776399A JP 2001037496 A JP2001037496 A JP 2001037496A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TRAILの発現誘導機構や標的細胞破壊機
構以外の他の生理的機能をインビトロ又はインビボで簡
便かつ精確に解析することができる抗マウスTRAIL
モノクローナル抗体を提供すること。 【解決手段】 マウスTRAILのcDNAをトランス
フェクションしたマウスBリンパ腫2PK−3細胞を作
製し、その2PK−3細胞で免疫したラットの脾細胞
と、マウスミエローマとを融合することによってハイブ
リドーマを作製し、かかるハイブリドーマを培養し、F
asやTNFと交差反応せず、特異的にマウス由来TR
AILに結合し、かつ、TRAILの細胞障害活性を完
全に阻害する抗マウスTRAILモノクローナル抗体を
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マウス等非ヒト動
物由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドに
特異的に結合する抗TRAILモノクローナル抗体、そ
の製造方法及びかかるモノクローナル抗体を有効成分と
して含有するTRAIL機能解析用試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】腫瘍壊死因子(tumor necrosis facto
r:以下「TNF」という)は、ある種の癌細胞にアポ
トーシス(細胞死)を誘導するサイトカインの一種であ
り、疎水性ペプチドをN末端側に有するII型細胞膜貫通
蛋白質として知られている。また、TNFとよく似た構
造を有する細胞膜貫通蛋白質として、Fas抗原のリガ
ンド、B細胞表層抗原CD40のリガンド、T細胞表層
抗原CD27やCD30のリガンドなどが存在し、これ
らはTNFファミリーと呼ばれ、かかるTNFファミリ
ーに属する分子の受容体群はTNF受容体ファミリーと
呼ばれている。
【0003】TNFファミリーの一員である腫瘍壊死因
子関連アポトーシス誘導リガンド(TNF−related ap
optosis-inducing ligand:以下「TRAIL」とい
う)は、TNFファミリー間における相同性に基づくデ
ータベース検索によって、30kDaのII型細胞表面蛋
白としてクローニングされ、またTRAILの細胞外領
域は、TNFファミリー間においては、アポトーシス誘
導分子の1つであるFasリガンド(以下「FasL」
という)に対して最も高い相同性を示し(アミノ酸レベ
ルで28%)、さらに、FasL同様、さまざまな腫瘍
細胞にアポトーシスを誘導することが報告されている。
【0004】またこれまでに、TRAILに対応するレ
セプターとして、少なくとも4分子、すなわちTRAI
Lレセプター1(DR4ともいう)、TRAILレセプ
ター2(DR5、TRICK2あるいはkillerと
もいう)、TRAILレセプター3(TRID、DcR
1あるいはLITともいう)及びTRAILレセプター
4(TRUNDDあるいはDcR2ともいう)が存在
し、これらレセプターは、TRAILに対してほぼ同程
度の親和性を示すが、その機能や存在様式については異
なることが明らかとなっている。例えば、TRAILレ
セプター1及びTRAILレセプター2は細胞内領域に
デスドメインと呼ばれるアポトーシスの誘導に必要とさ
れる部位を有し、三量体TRAILとこれらレセプター
分子が結合すると、FasLのレセプターであるFas
と同様に、カスパーゼと呼ばれる一連の蛋白質分解酵素
群を介して細胞にアポトーシスを誘導する。
【0005】一方、TRAILレセプター3は細胞内領
域を完全に欠いており、細胞膜上の糖脂質(グリコホス
ファチジルイノシトール:GPI)に結合することによ
り細胞表面上に存在すると考えられている。このTRA
ILレセプター3は、細胞内にアポトーシスシグナルを
誘導することはできないが、TRAILレセプター1や
TRAILレセプター2とTRAILへの結合をめぐっ
て拮抗的に作用することから、TRAILの機能を抑制
するものと考えられている。また、TRAILはFas
Lとは異なり、腫瘍細胞のみに選択的にアポトーシスを
誘導し、正常細胞に対しては無力であることが知られて
いるが、TRAILレセプター3のメッセンジャーRN
Aの発現が正常細胞のみにおいて検出され、腫瘍細胞で
は認められないことから、正常細胞のTRAILに対す
る耐性の獲得にTRAILレセプター3が関与する可能
性が示唆されている。
【0006】第4のレセプター分子であるTRAILレ
セプター4は、TRAILレセプター1やTRAILレ
セプター2と同様、I型膜構造形態をとるもののデスド
メインの大半を失っており、アポトーシスの誘導は不可
能とされている。しかしながら、TRAILレセプター
4はNF−κBを介したアポトーシス抑制性のシグナル
を誘導することが可能であることから、TRAILレセ
プター1及びTRAILレセプター2からのアポトーシ
スシグナルに対して抑制的にはたらくものと考えられて
いる。TRAILのアポトーシス誘導作用に対する細胞
側の感受性は、アポトーシスを誘導するレセプター(T
RAILレセプター1及びTRAILレセプター2)の
発現とアポトーシスに対して抑制的にはたらくレセプタ
ー(TRAILレセプター3及びTRAILレセプター
4)の発現との絶対的及び相対的な差によって一義的に
決定されると考えられている。しかしながら、細胞側の
TRAILに対する耐性獲得の要因としてレセプターの
発現以外にもFADD様インターロイキン1β変換酵素
抑制蛋白質(FLIP:Fas-associated death domain-
like IL-1β-converting enzyme-inhibitory protein)
等の細胞内でアポトーシスシグナルを抑制する分子の存
在が関与する可能性も報告されており、これら細胞内外
のさまざまな要因によりTRAILに対する感受性が決
まると推測されている。
【0007】RNAレベルでのTRAIL及びTRAI
Lレセプター1〜4の発現は多くの組織や細胞で認めら
れるが、これら分子の蛋白質レベルでの発現や生理的機
能についてはいまだ不明な点が多い。最近、本発明者ら
は、ヒトCD4+T細胞クローンが恒常的にTRAIL
を表出し、ヒト由来T細胞リンパ種Jurkatや不死
化した角化細胞であるHaCaTといった標的細胞をT
RAILを介して破壊することを見い出した。また、ト
ーマスらも同様にメラノーマに対するCD4+T細胞ク
ローンがTRAILを介して標的細胞を破壊することを
報告している。
【0008】上記のように、TRAILとほかの標的細
胞破壊機構がどのように使い分けられているかは、未だ
不明な点が多く、また、TRAIL発現が誘導するメカ
ニズムは、まだ明らかとなっていない。さらに、最近、
HIVに感染するとT細胞がTRAILに対して感受性
を示すようになり、アポトーシスが誘導されやすくなる
ことや、HIV感染患者由来末梢血T細胞の抗CD3抗
体刺激によるアポトーシス(activation-induced cell
death)にTRAILが関与することから、HIV感染
細胞の排除やAIDS発症児におけるリンパ球減少など
の病態形成にTRAILが関与する可能性が示唆されて
いるものの、そのメカニズムの詳細は明らかになってい
ない。以上のことから、これらTRAILの発現誘導機
構や標的細胞破壊機構以外のほかの生理的機能につい
て、そのメカニズム解析に有用な試薬の存在が期待され
ていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記TRAILの生理
的役割及び病理的役割を解明するためには、細胞死を誘
導する他のTNFファミリーやTNFレセプターファミ
リーと交差反応性を示さず、TRAILと特異的に結合
するモノクローナル抗体等の蛋白質が必要であり、ま
た、生理的機能を有する分子の機能解析はインビボで実
験可能なマウスやラット等の非ヒト動物を用いて行うこ
とが必要である。抗TRAILモノクローナル抗体とし
て、本発明者らは既に、ヒト由来のTRAILに結合す
る抗ヒトTRAILモノクローナル抗体について報告し
ている(J. Immunol. 162, 2639-, 1999)が、抗ヒトT
RAILモノクローナル抗体は、上記のように、マウス
等を用いたインビボでの実験に実際に使用することがで
きないという問題があった。
【0010】本発明の課題は、上記TRAILの発現誘
導機構や標的細胞破壊機構以外の他の生理的機能をイン
ビトロ又はインビボで解析する際、FasやTNF等の
TNFファミリーやTNFレセプターファミリーに対し
て交差反応せず、TRAILに特異的に作用してその細
胞障害活性を完全に阻害することができる抗マウスTR
AILモノクローナルラット抗体などの抗非ヒト動物T
RAILモノクローナル抗体の製造方法や、かかる製造
方法により得られる抗非ヒト動物TRAILモノクロー
ナル抗体や、かかるモノクローナル抗体を有効成分とし
て含有し、簡便かつ精確にTRAILを検出することが
できるTRAIL機能解析用試薬を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を克服するために、マウス由来TRAILのcDNA
をトランスフェクションしたマウスBリンパ腫2PK−
3細胞を作製し、その2PK−3細胞で免疫したラット
の脾細胞と、マウスミエローマとを融合することによっ
てハイブリドーマを作製し、かかるハイブリドーマか
ら、FasやTNFと交差反応せず、特異的にマウス由
来TRAILに結合し、かつ、TRAILの細胞障害活
性を完全に阻害する抗マウスTRAILモノクローナル
抗体が産生されることを見い出し、本発明を完成するに
至った。
【0012】すなわち本発明は、非ヒト動物由来TRA
ILのcDNAを該非ヒト動物と同種の株化細胞にトラ
ンスフェクションして形質転換細胞を調製し、該形質転
換細胞で免疫した異種の非ヒト動物の脾細胞と、前記非
ヒト動物と同種のミエローマ細胞とを融合することによ
って得られるハイブリドーマを培養することを特徴とす
る抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造方
法(請求項1)や、非ヒト動物が齧歯類動物であること
を特徴とする請求項1記載の抗非ヒト動物TRAILモ
ノクローナル抗体の製造方法(請求項2)や、齧歯類動
物として、マウスとラットを用いることを特徴とする請
求項2記載の抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗
体の製造方法(請求項3)や、株化細胞が、マウスBリ
ンパ腫2PK−3細胞であることを特徴とする請求項1
〜3のいずれか記載の抗非ヒト動物TRAILモノクロ
ーナル抗体の製造方法(請求項4)に関する。
【0013】また本発明は、請求項1〜4のいずれか記
載の抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製造
方法により得られることを特徴とする抗非ヒト動物TR
AILモノクローナル抗体(請求項5)や、非ヒト動物
由来の腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドに対
して特異的に反応し、非ヒト動物由来のFasリガンド
や非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子に対して交差反応せ
ず、かつ、該非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子関連アポト
ーシス誘導リガンドの細胞障害活性を完全に阻害するこ
とを特徴とする請求項5記載の抗非ヒト動物TRAIL
モノクローナル抗体(請求項6)や、非ヒト動物がマウ
スであることを特徴とする請求項5又は6記載の抗非ヒ
ト動物TRAILモノクローナル抗体(請求項7)に関
する。
【0014】さらに本発明は、抗非ヒト動物TRAIL
モノクローナル抗体を有効成分として含有することを特
徴とするTRAIL機能解析用試薬(請求項8)や、非
ヒト動物がマウスであることを特徴とする請求項8記載
のTRAIL機能解析用試薬(請求項9)に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の抗非ヒト動物TRAIL
モノクローナル抗体の製造方法は、非ヒト動物由来TR
AILのcDNAを非ヒト動物と同種の株化細胞にトラ
ンスフェクションした形質転換細胞を調製し、該形質転
換細胞で免疫した異種の非ヒト動物の脾細胞と、前記非
ヒト動物と同種のミエローマ細胞とを融合することによ
って得られるハイブリドーマを培養することを特徴とす
る。非ヒト動物としては齧歯類動物が材料の入手性や取
り扱い安さの点で好ましく、かかる齧歯類動物としては
マウスやラットを具体的に挙げることができる。以下、
抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体として、抗
マウスTRAILモノクローナルラット抗体を例に挙げ
て説明する。
【0016】本発明の抗マウスTRAILモノクローナ
ル抗体としては、マウス由来TRAILと特異的に結合
し、マウスFasLやマウスTNFに対して交差反応す
ることなく、かつ、マウスTRAILの細胞障害活性を
完全に阻害するモノクローナル抗体であればどのような
ものでもよく、かかる抗マウスTRAILモノクローナ
ル抗体は、抗マウスTRAILモノクローナル抗体産生
ハイブリドーマをインビボ又はインビトロで常法により
培養することにより生産することができる。例えば、イ
ンビボ系においては、齧歯動物、好ましくはマウス又は
ラットの腹腔内で培養することにより、またインビトロ
系においては、動物細胞培養用培地で培養することによ
り得ることができる。インビトロ系でハイブリドーマを
培養するための培地としては、ストレプトマイシンやペ
ニシリン等の抗生物質を含むRPMI1640又はME
M等の細胞培養培地を例示することができる。
【0017】抗マウスTRAILモノクローナル抗体産
生ハイブリドーマは、一般的にはマウスTRAILで免
疫したラットの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とを、
常法により細胞融合させることにより作製することがで
きる。このようにマウスTRAILを用いてラットを免
役するとその抗原性が増加する。また、実際のTRAI
Lの機能解析の場合に必要とされるTRAILの細胞外
領域をエピトープとして認識する抗マウスTRAILモ
ノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ること
が好ましく、このため、マウスTRAILのcDNAを
マウスの株化細胞、例えばBリンパ腫2PK−3細胞に
トランスフェクションし、安定発現する形質転換細胞を
選択・調製し、該形質転換細胞でラットを常法により免
疫し、免疫されたラットの脾臓細胞とマウスミエローマ
細胞とを、常法により細胞融合させ、HAT培地で選択
し、その中からL929細胞に対してTRAIL/2P
K−3細胞の細胞障害活性を抑制することができるもの
をスクリーンすることにより、抗マウスTRAILモノ
クローナル抗体産生ハイブリドーマを作出することがで
きる。また、かかるモノクローナル抗体の分離・精製方
法としては、タンパク質の精製に一般的に用いられる方
法であればどのような方法でもよく、アフィニティーク
ロマトグラフィー等の液体クロマトグラフィーを具体的
に例示することができる。
【0018】本発明の抗マウスTRAILモノクローナ
ル抗体は、前記のように、マウスTRAILに対して特
異的に反応し、マウスFasLやマウスTNFに対して
交差反応せず、かつ、マウスTRAILの細胞障害活性
を完全に阻害することを特徴とするが、ここでTRAI
Lの細胞障害活性とは、標的腫瘍細胞を破壊するなど、
標的細胞に何らかの病理的な変化をもたらす活性のこと
をいい、マウスTRAILの細胞障害活性を完全に阻害
するとは、例えば、エフェクター細胞表面上に発現した
TRAILの細胞障害活性により標的細胞がTRAIL
特異的に受ける障害が実質的に阻害されることをいう。
【0019】本発明のTRAIL機能解析用試薬として
は、抗マウスTRAILモノクローナル抗体を有効成分
として含有するものであれば特に制限されるものでな
く、例えば、抗マウスTRAILモノクローナル抗体
を、FITC(フルオレセインイソシアネート)又はテ
トラメチルローダミンイソシアネート等の蛍光物質や、
12 5I、32P、35S又は3H等のラジオアイソトープや、
アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラ
クトシダーゼ又はフィコエリトリン等の酵素で標識した
ものを具体的に例示することができる。かかるTRAI
L機能解析用試薬を用いたTRAILの機能解析には通
常の免疫学的測定方法を適用することができ、かかる免
疫学的測定方法としては、RIA法、ELISA法、蛍
光抗体法、プラーク法、スポット法、血球凝集反応法、
オクタロニー法等の方法を挙げることができる。
【0020】
【実施例】以下に、実施例を挙げてこの発明を更に具体
的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれらの実施
例に限定されるものではない。 (マウスTRAILの調製)6週齢の雄のB6(C57
BL/6)マウス(SLC社製)をコンカナバリンA
(ConA)により刺激した後、このマウスの脾細胞か
ら全RNAを抽出した。このRNAを含む抽出物を、文
献(Immunity 3, 673-, 1995)記載のマウスTRAIL
のcDNA配列の5′末端側の6つのコドンからなるプ
ライマーと、3′末端側の6つのコドンからなるプライ
マーとの2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用い
て、XhoIとNotIによるRT−PCR法を行い、
マウスTRAILのcDNA(850bp)を増幅し精
製した。
【0021】(TRAIL検出用標識DR5−Igの作
製)文献(J. Immunol. 162, 2639-, 1999、Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 94, 3914-, 1997)記載の方法によ
り、可溶化DR5−Ig(TRAILレセプター2−免
疫グロブリン)融合蛋白質を次のようにして作製した。
マウスTRAILと結合するヒト由来のDR5(TRA
ILレセプター2)の細胞外領域(アミノ末端側の1番
目から183番目のアミノ酸配列を有する蛋白質)をコ
ードするcDNAフラグメントをPCR法で増幅させ、
EcoRIとBamHIとを使用して、ダイジェスショ
ンした。そのcDNA(550bp)を、ヒトIgのC
γ1の遺伝子配列を持つpBluescriptIIのE
coRIからBamHIの部位に挿入し、その後、Ec
oRIとNotIでダイジェスションすることによっ
て、ヒトIgG1のFc部分にDR5の細胞外領域を有
するDR5−Igの融合体を得た。その融合体をPSG
5発現ベクター(ストラタジーン社製)のEcoRIか
らNotIまでの部位に挿入し、COS7細胞にトラン
スフェクションした。16時間後、無血清の培養培地に
移して96時間培養し、プロテインGカラムにより精製
した。このDR5−Igをビオチン化し、続いて、フィ
コエリトリン(phycoerythrin:PE)で
標識した抗ヒトIgG(ファーミンジェン社製)と結合
させることによって標識化したDR5−Ig複合体を作
製した。
【0022】(マウス由来TRAILのトランスフェク
タントの作製)上記マウスTRAILのcDNAをpB
luescriptII SK(+)ベクターにサブクロ
ーンし、オートシークエンサー(アプライドバイオシス
テム社製)又は蛍光式オートシークエンサーを用いて、
それらの塩基配列を確認した。確認後、東京医科歯科大
学の丸山博士から提供されたpMKITNeo発現ベク
ターのXhoIからNotIまでの部位に、マウスTR
AILのcDNAを挿入した。このマウスTRAIL/
pMKITNeoベクターを、ジーンパルサー(バイオ
ラッド社製)を用いてエレクトポレーション法(290
V,96−960μF)により、RPMI1640培地
(最終濃度で10%のFCS、100μg/mlのスト
レプトマイシンとペニシリン、及び2mMのグルタミン
を含む培地)であらかじめ培養しておいた2PK−3細
胞(ATCCNo.TIB−203)に導入した。その
後、1mg/mlのG418に対して耐性のある細胞を
選択し、続いて限界希釈法によりクローニングして、安
定なマウスTRAILのトランスフェクタント、すなわ
ち、mTRAIL/2PK−3細胞を得た。この得られ
た細胞でマウス由来TRAILが安定的に発現するかど
うかを、以下の方法により確認した。
【0023】(mTRAIL/2PK−3細胞でのマウ
スTRAIL発現の確認)2PK−3細胞とマウスTR
AIL/2PK−3細胞をそれぞれ1μgの上記標識化
したDR5−Ig複合体と共に4℃で1時間インキュベ
ートして染色した。結果を図1(図1での実線)に示
す。また、コントロールとして、ヒトIgGとPE標識
抗ヒトIgGモノクローナル抗体を用いて同様にインキ
ュベートして染色した(図1での点線)。これらの結果
から、DR5−IgによってマウスTRAIL/2PK
−3細胞のみ染色されることから、マウスTRAIL/
2PK−3細胞においてマウスTRAILが発現するこ
とが確認できた。また同様に、文献(Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 94, 3914-, 1997)記載の方法で精製した
抗マウスFasLモノクローナル抗体をDR5−Igの
かわりに用いた場合、マウスFasL/2PK−3細胞
を染色するが、マウスTRAIL/2PK−3細胞を染
色しないことがわかった。このことから、抗マウスFa
sLモノクローナル抗体は、マウスTRAILに対して
交差反応を示さないことが確認できた。
【0024】(マウス腫瘍細胞の感受性)インビトロに
おいて、種々のヒト腫瘍細胞は、TRAIL誘導の細胞
障害に対して感受性であることが知られているが、マウ
ス腫瘍細胞[マウス繊維肉腫L929(H−2k)(日
本キャンサーリサーチリソースバンク)、肥満細胞腫P
815(ATCC TIB−64)、黒色腫B16、T
リンパ腫YAC−1(H−2b)(ATCC TIB−
160)]は、TRAIL誘導の細胞障害に対して感受
性を有するかどうかはほとんど知られていない。そこ
で、マウス由来TRAIL/2PK−3細胞とマウス由
来FasL/2PK−3細胞の2種類のトランスフェク
タントを用いて、TRAILとFasLがそれぞれ誘導
する細胞障害に対して、これらのマウス腫瘍細胞の感受
性を以下のように測定した。
【0025】文献(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 4
930-, 1994)記載の方法により51Cr遊離測定を以下の
ように行った。あらかじめ標的細胞として用いる腫瘍細
胞を 51Cr含有RPMI1640で培養した。96ウエ
ルU底マイクロプレートに、 51Crでラベルした標的細
胞(1×104)とエフェクター細胞とを1:10の割
合で混合した後、8時間インキュベートし、無細胞の上
清を集めてγ−チューブに移し、γ−カウンターで放射
能を測定した。特異的51Cr遊離のパーセンテージは、
文献(Int. Immunol. 4, 1049-, 1992)記載の計算方法
により算出した。これらの結果を図2に示す。マウスT
RAIL/2PK−3細胞(黒枠)及びマウスFasL
/2PK−3細胞(斜線枠)は、8時間の51Cr遊離測
定においてL929細胞を効果的に溶解しているが、コ
ントロールである2PK−3細胞(白枠)は細胞障害を
示さなかった。
【0026】L929細胞はTNFを介する細胞障害に
対して非常に敏感であることから、抗TNFモノクロー
ナル抗体の存在下で、マウスTRAIL/2PK−3細
胞又はマウスFasL/2PK−3細胞のL929細胞
に対する細胞障害活性阻害について調べたところ、50
μg/mlの抗TNFモノクローナル抗体の存在下です
ら、マウスTRAILやマウスFasLによる細胞障害
活性を阻害することがなかった。さらに、上清中の可溶
化TNF活性やこれらの細胞上の膜結合TNFも検出す
ることができなかった。これらの結果から、L929細
胞に対するこれらのトランスフェクタントの細胞障害に
おいて、TNFが関与していないことが確認された。
【0027】また図2からわかるように、P815細胞
はFasLに対して感受性を有するがTRAILに対し
ては感受性がなく、B16細胞とYAC−1細胞は、T
RAIL及びFasLに対して共に耐性を有する。これ
ら標的細胞に対するマウスTRAIL/2PK−3細胞
又はマウスFasL/2PK−3細胞による細胞障害
を、[3H]−TdR遊離測定法によっても測定したが、
これら標的細胞のアポトーシスによる細胞死を示す同様
な結果が得られた。
【0028】(ラット由来の脾細胞の調製)F344/
DuCrjラット(SLC社製)の腹腔内に、前記マウ
スTRAIL/2PK−3細胞(2×107 cells)を
投与し、10日おきに数回免疫した。最終免疫から3日
経過後、脾臓細胞をこのラットから無菌的に摘出し、抗
体産生細胞として細胞融合に使用した。
【0029】(細胞融合)上記脾細胞とマウスミエロー
マ細胞P3U1(P3X63Ag8U.1;ATCC CRL−1
597)とを、文献(J.Exp. Med. 176, 1241-, 1992)
記載の方法により融合させた。すなわち、37℃に加温
しておいたRPMI1640(最終濃度で10%のFC
S、100μg/mlのストレプトマイシンとペニシリ
ン、及び2mMのグルタミンを含む培地)でそれぞれの
細胞を洗浄し、これらの細胞を遠沈させた。脾細胞とマ
ウスミエローマ細胞P3U1とを融合させた後、HAT
培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを
含む細胞培養用培地)でハイブリドーマを選択した。H
AT培地で選択されたハイブリドーマの培養上清を用い
て、マウスTRAIL/2PK−3細胞のL929細胞
に対する細胞障害活性を抑制するハイブリドーマをスク
リーニングした。なお、これらの実験は全て無菌的に行
った。
【0030】(抗マウス由来TRAILモノクローナル
抗体の精製)上記スクリーニングされたハイブリドーマ
を培養し、遠心分離により細胞を取り除いた上清をプロ
テインGアフィニティークロマトグラフィーにより処理
し、N2B1及びN2B2と名付けられた2つのモノク
ローナル抗体を分離・精製した。
【0031】(抗マウスTRAILモノクローナル抗体
の結合特異性)上記2つの抗マウスTRAILモノクロ
ーナル抗体、N2B1とN2B2とをビオチン化し、こ
のビオチン化した抗体のそれぞれを、フィコエリトリン
(PE)で標識したアビジンと結合させ、PE標識化抗
体を調製した。次に、2PK−3細胞とマウスTRAI
L/2PK−3細胞のそれぞれを1μgの上記PE標識
化抗体と共に4℃で1時間インキュベートして染色し
た。結果を図3(図3での実線)に示す。また、コント
ロールとして、ヒトIgGとPE標識抗ヒトIgGモノ
クローナル抗体を用いて同様にインキュベートして染色
した(図3での点線)。これらの結果から、2つの抗体
N2B1とN2B2とは、マウス由来TRAIL/2P
K−3細胞に結合するが、TRAILを発現しない2P
K−3細胞には結合しないことがわかった。また、これ
らの抗体はマウス由来TRAIL/BHKとは結合する
が、BHKには結合しないことも確認された。
【0032】(抗マウスTRAILモノクローナル抗体
の細胞障害活性抑制作用)抗マウスTRAILモノクロ
ーナル抗体のL929細胞に対する細胞障害活性抑制作
用を調べるために、前記の51Cr遊離測定を行い、特異
51Cr遊離のパーセンテージを算出した。結果を図4
に示す。図4中、○はN2B1を、●はN2B2を、▲
はこれら抗体の不存在をそれぞれ表す。これらの結果か
ら、抗マウスTRAILモノクローナル抗体、N2B1
とN2B2とは、投与量0.4μg/mlでL929細
胞に対するマウス由来TRAIL/2PK−3細胞の細
胞障害活性を完全に阻害した。しかし、これら2つの抗
体は、L929細胞に対する組換えマウスTNF/2P
K−3や組換えマウスFasL/2PK−3の細胞障害
活性を阻害せず、また、膜TNFを発現するマウスFa
sL/2PK−3細胞やLPSで刺激したRAW264
細胞を染色することはなかった。これらのことから、こ
れら2つの抗体はマウスFasLやマウスTNFに対し
て交差反応しないことが明らかとなった。
【0033】(サイトカイン未活性化リンパ球でのマウ
スTRAILの発現)未成熟B6脾細胞(2×106
ells/ml)(SPC)を培養培地で培養し、この
培養後のB6脾細胞(リンパ球)と、FITCで標識し
た抗NK1.1モノクローナル抗体又はペリジニンクロ
ロフィルプロテイン(PerCp)で標識した抗CD3
モノクローナル抗体(ファーミンジェン社製)とを、4
℃で1時間インキュベートし反応させ、CD3とNK
1.1の発現を調べることで4つの個体群[CD3+
K1.1-(T細胞:R1)、CD3-NK1.1-(殆
どのB細胞:R2)、CD3-NK1.1+(NK細胞:
R3)、CD3+NK1.1+(NKT細胞:R4)]に
分類した(図5上段参照)。
【0034】本発明の抗マウスTRAILモノクローナ
ル抗体(N2B2)を用いて、上記分類した4つの個体
群(R1、R2、R3、R4)において、TRAILと
FasLが発現しているかどうかを以下のように調べ
た。N2B2と抗マウスFasLモノクローナル抗体
(以下「MFL2」という)をそれぞれビオチン化し、
このビオチン化した抗体のそれぞれをフィコエリトリン
(PE)で標識したアビジンと共に4℃で1時間インキ
ュベートして結合させ、これらPE標識化抗体1μg
を、上記R1〜R4に分類された細胞と反応させ、PB
Sにて洗浄した後、3カラーフローサイトメトリー分析
によりTRAILやFasLの発現を測定した。結果を
図5(図5での実線)に示す。また、コントロールとし
て、ヒトIgGとPE標識抗ヒトIgGモノクローナル
抗体を用いて同様にインキュベートし、染色した(図5
での点線)。これらの結果、全ての個体群においてTR
AILは発現していなかった。同様に、新しく単離され
た胸腺細胞においても、リンパヌード細胞においても、
TRAILは発現していなかった。また、FasLの細
胞表面での発現を調べた結果、NK細胞(R3)ではF
asLの発現をかなりのレベルで確認でき、他の細胞で
は確認することができなかった。
【0035】(サイトカイン活性化リンパ球でのマウス
TRAILの発現)IL−2、IL−15、IL−18
等のサイトカインにより刺激されたT細胞とNK細胞に
おいて、FasLをアップレギュレーション(発現上
昇)することができるという報告(Blood 92, 4248-, 1
998、Cell Immunol. 174, 54-, 1996、J. Immunol. 15
7, 3967-, 1996、J. Immunol. 157, 1919-, 1996)があ
ることから、これらサイトカイン(IL−2、IL−1
5、IL−18)によりTRAILを誘導することがで
きるかどうかを調べた。B6脾細胞(2×106cel
ls/ml)(SPC)を6日間、IL−2(500u
/ml)、IL−15(150ng/ml)又はIL−
18(100ng/ml)の存在下で培養して刺激し
た。次いで、これら細胞に前記PE標識化抗体を作用さ
せて、3カラーフローサイトメトリー分析によりTRA
ILの発現を測定した。結果を図6に示す。
【0036】図6の結果から、IL−2で刺激されたリ
ンパ芽球は、2つの個体群[CD3 +NK1.1-(T細
胞:R1)、CD3-NK1.1+(NK細胞:R2)]
に分けることができ、このうちNK細胞ではTRAIL
の著しい発現レベルを検出できたが、T細胞では検出で
きなかった。IL−15で刺激した場合は、IL−2と
レセプター複合体のβとγサブユニットを共有するとの
報告どおり(Science264, 965-, 1994、Embo. J. 14, 3
654-, 1995、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 4940-,
1994)、IL−2の場合と同様な結果を示し、T細胞
(R3)とNK細胞(R4)の2つの個体群が作出さ
れ、また、NK細胞において選択的にTRAILの発現
が誘導されることがわかった。これに対し、レセプター
(IL−18R/IL−1Rrp)を刺激するIL−1
8は、NKフェノタイプのリンパ芽球(R5)だけを誘
導したが、該リンパ芽球にTRAIL発現を確認するこ
とはできなかった。これらのことから、IL−18と異
なりIL−2とIL−15は、マウスNK細胞でTRA
IL発現に対して強いインデューサー作用を有すること
がわかった。
【0037】B6脾細胞をIL−2で刺激後、NK細胞
における経時的なTRAIL発現の動態を測定した。結
果を図7に示す。IL−2刺激によるTRAILの発現
は、2日後に確認でき、5日後ピークに達した。同様な
結果がIL−15刺激においても観察された。他方、I
L−2、IL−15又はIL−18でそれぞれ刺激した
細胞において、FasLの細胞表面発現をアップレギュ
レートすることができるかどうかを調べた結果、これら
のサイトカインが、T細胞とNK細胞においてFasL
発現をアップレギュレートすることがわかった(図6参
照)。これらの結果は、これらのサイトカインによるT
RAIL及びFasLの発現の異なる調節機構の存在を
示している。
【0038】(IL−2、IL−15又はIL−18ブ
ラストのLAK活性)IL−2で活性化されたリンパ球
は、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)非拘束性で
あり、P815等のNK耐性標的細胞を含む種々の腫瘍
細胞に対するAg非依存性細胞障害、いわゆるリンホカ
イン活性化キラー(LAK)活性を示すことが知られて
いる(J. Immunol. 157, 1919-, 1996、Annu. Rev. Imm
unol.4, 681-, 1986)。そこで、いくつかの標的細胞に
対して、IL−2ブラスト(○)、IL−15ブラスト
(●)又はIL−18ブラスト(△)のLAK活性を比
較した。結果を図8に示す。その結果、B6マウス由来
のIL−2ブラスト及びIL−15ブラストは、NK細
胞感受性のYAC−1のみならず、MHC非拘束性で、
NK細胞耐性の標的細胞B16、P815、L929を
も自発的に殺した。また、IL−18ブラストにおいて
は、IL−2ブラストやIL−15ブラストより、全て
の標的細胞に対しより高い細胞障害活性を示すことがわ
かった。
【0039】(サイトカイン活性化NK細胞の細胞障害
におけるTRAILの関与)IL−2、IL−15又は
IL−18が、FasL及び/又はパーフォリンを介す
る細胞障害をアップレギュレートし、T細胞とNK細胞
の細胞障害を増大するという報告がある(Blood 92, 42
48-, 1998、Cell Immunol. 174, 54-, 1996、J. Immuno
l. 157, 3967-, 1996、J. Immunol. 162, 1662-, 199
9、J. Immunol. 157, 1919-, 1996)。そこで、IL−
2、IL−15又はIL−18ブラストのLAK活性に
対するTRAIL、FasL及びパーフォリンの関与を
検討した。B6脾細胞(2×106cells/ml)
に、IL−2(500u/ml)、IL−15(150
ng/ml)又はIL−18(100ng/ml)を加
えて6日間刺激し、培養培地で培養した。また、あらか
じめ標的細胞として用いる腫瘍細胞を51Crの共存下R
PMI1640で培養した。次に、96ウエルU底マイ
クロプレートに、51Crでラベルされた標的細胞(1×
104)とエフェクター細胞とを1:5の割合で混合
し、20nMのコンカナマイシン(以下「CMA」とい
う)の存在又は非存在下、各々10μg/mlのN2B
2及び/又はMFL2を添加し、8時間インキュベート
した。その無細胞上清を集めてγ−チューブに移し、γ
−カウンターで放射能を測定し、遊離51Crの測定を行
った。
【0040】CMAで前処理した不活性化パーフォリン
を、パーフォリンの関与を評価するのに用い、FasL
耐性の標的細胞(YAC−1)やTRAIL耐性の標的
細胞(B16)等に対する、IL−2、IL−15又は
IL−18ブラストの細胞障害活性を調べた。結果を図
9に示す。図9からわかるように、IL−2やIL−1
5で活性化されたブラストの細胞障害活性はCMA処理
によりほとんど完全に阻害され、パーフォリンの関与を
明らかに示した。これに対し、B16に対するIL−1
8ブラストの細胞障害活性はCMA処理によりほとんど
完全に阻害されたが、YAC−1に対してはCMA、あ
るいは、CMAとMFL2及び/又はN2B2との組み
合わせの場合であっても、完全に抑制することができな
かった。これらのことから、パーフォリン、FasL又
はTRAILに依存しない他の細胞障害経路の存在が示
唆された。また、FasL感受性でTRAIL耐性のP
815に対する、IL−2、IL−15又はIL−18
ブラストの細胞障害活性を、CMAはほとんど阻害し、
MFL2との組み合わせでは完全に阻害した。このこと
は、P815に対する細胞障害活性にパーフォリンは重
要で、FasLは重要でないことを示している。TRA
IL又はFasLに敏感なL929では、CMAはただ
IL−2ブラストとIL−15ブラストの細胞障害活性
を一部阻害し、CMAとMFL2又はN2B2と組み合
わせることでより阻害することができた。さらに、CM
Aと2つの抗体を組み合わせることでほとんど完全に阻
害できることがわかった。
【0041】これらの結果は、パーフォリンやFasL
に加えてTRAILが、L929に対するIL−2又は
IL−15ブラストの細胞障害活性に関係することを示
している。これに対して、CMAとMFL2との組み合
わせは、N2B2の非存在下でL929に対してIL−
18ブラストの細胞障害活性を完全に阻害することか
ら、IL−18ブラストの細胞障害活性は、パーフォリ
ン及びFasLに依存し、TRAILに非依存性である
ことがわかった。
【0042】次に、NK細胞とT細胞の2つの個体群に
おいてエフェクターのメカニズムを調べるため、L92
9に対してこれらエフェクター細胞の細胞障害活性を、
上記と同様にCMA、CMAとMFL2及び/又はN2
B2の存在下あるいは非存在下で調べてみた。結果を図
10に示す。これらの結果から、IL−2で刺激された
NK細胞は、T細胞より十分高い細胞障害性を示し、C
MA、N2B2及びMFL2の組み合わせは、L929
に対してIL−2で刺激されたNK細胞の細胞障害活性
を完全に阻害することがわかった。これに対して、N2
B2はIL−2で刺激されたT細胞の細胞障害の阻害に
必要とされないことがわかった。また、IL−15ブラ
ストでも同様な結果を得た。これらの結果から、IL−
2又はIL−15で刺激されたNK細胞では機能的にT
RAILを発現するが、T細胞では発現しないことが明
らかとなった。
【0043】
【発明の効果】本発明の抗マウスTRAILモノクロー
ナル抗体を使用することで、インビトロ又はインビボで
の種々のTRAIL機能の解析が可能となり、TRAI
Lの生理的役割及び病理的役割を解明することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】トランスフェクタントにおけるマウスTRAI
Lの発現をフローサイトメトリーにより測定した結果を
示す図である。
【図2】標的腫瘍細胞に対するマウスTRAIL及びF
asL発現細胞の細胞障害活性を示す図である。
【図3】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗
体と細胞表面マウスTRAILとの結合を示すフローサ
イトメトリーの測定結果を示す図である。
【図4】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗
体によるマウスTRAILの細胞障害活性抑制の結果を
示す図である。
【図5】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗
体を用いたサイトカイン未活性化リンパ球におけるTR
AILの発現結果を示す図である。
【図6】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗
体を用いたサイトカイン活性化リンパ球におけるTRA
ILの発現結果を示す図である。
【図7】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗
体を用いたIL−2活性化NK細胞におけるTRAIL
発現の経時変化を示す図である。
【図8】各種標的腫瘍細胞に対するサイトカイン活性化
リンパ球のLAK活性を示す図である。
【図9】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル抗
体を用いたサイトカイン活性化リンパ球の腫瘍細胞に対
する細胞障害におけるTRAILの関与を示す図であ
る。
【図10】本発明の抗マウスTRAILモノクローナル
抗体を用いたサイトカイン活性化リンパ球の腫瘍細胞L
929に対する細胞障害におけるTRAILの関与を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 G01N 33/53 D C12P 21/02 33/577 B C12Q 1/02 C12N 5/00 B G01N 33/53 15/00 C 33/577 A //(C12P 21/08 B C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 15/09 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91) Fターム(参考) 4B024 AA11 BA28 BA43 CA04 DA02 EA04 GA03 4B063 QA01 QA18 QQ02 QR72 QX01 4B064 AG02 AG27 CA10 CA19 CA20 CC24 DA13 4B065 AA91Y AA92X AB01 AB02 AC14 CA24 CA25 CA46 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA14 DA76 EA50 FA72 FA74

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非ヒト動物由来TRAILのcDNAを
    該非ヒト動物と同種の株化細胞にトランスフェクション
    して形質転換細胞を調製し、該形質転換細胞で免疫した
    異種の非ヒト動物の脾細胞と、前記非ヒト動物と同種の
    ミエローマ細胞とを融合することによって得られるハイ
    ブリドーマを培養することを特徴とする抗非ヒト動物T
    RAILモノクローナル抗体の製造方法。
  2. 【請求項2】 非ヒト動物が齧歯類動物であることを特
    徴とする請求項1記載の抗非ヒト動物TRAILモノク
    ローナル抗体の製造方法。
  3. 【請求項3】 齧歯類動物として、マウスとラットを用
    いることを特徴とする請求項2記載の抗非ヒト動物TR
    AILモノクローナル抗体の製造方法。
  4. 【請求項4】 株化細胞が、マウスBリンパ腫2PK−
    3細胞であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    記載の抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか記載の抗非ヒト
    動物TRAILモノクローナル抗体の製造方法により得
    られることを特徴とする抗非ヒト動物TRAILモノク
    ローナル抗体。
  6. 【請求項6】 非ヒト動物由来の腫瘍壊死因子関連アポ
    トーシス誘導リガンドに対して特異的に反応し、非ヒト
    動物由来のFasリガンドや非ヒト動物由来の腫瘍壊死
    因子に対して交差反応せず、かつ、該非ヒト動物由来の
    腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドの細胞障害
    活性を完全に阻害することを特徴とする請求項5記載の
    抗非ヒト動物TRAILモノクローナル抗体。
  7. 【請求項7】 非ヒト動物がマウスであることを特徴と
    する請求項5又は6記載の抗非ヒト動物TRAILモノ
    クローナル抗体。
  8. 【請求項8】 抗非ヒト動物TRAILモノクローナル
    抗体を有効成分として含有することを特徴とするTRA
    IL機能解析用試薬。
  9. 【請求項9】 非ヒト動物がマウスであることを特徴と
    する請求項8記載のTRAIL機能解析用試薬。
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