JP2004501604A - Trade分子およびそれに関連する使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、少なくとも一部分、細胞の増殖およびアポトーシス状態を、TRADEファミリーポリペプチドの発現および/または活性を調節する因子を用いて調節する方法に関する。さらに、本発明は、TRADEファミリー分子の2つの新規メンバーを提供する。本発明は、細胞増殖を調節するための方法であって、該方法は、細胞をTRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの発現を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、該細胞の増殖が調節される、方法に関する。

Description

【0001】
(関連出願)
本願は、2000年2月11日付で出願されたUSSN60/181,922、および2000年2月14日付で出願されたUSSN60/182,148に対する優先権を主張する。これらの内容全体は特に、本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
腫瘍壊死因子レセプター(TNF−R)ファミリーのメンバーは、細胞の生存および死の決定の調節において重要な役割を果たす(BakerおよびReddy、1998、Oncogene 17:3261−3270)。特に、腫瘍壊死因子レセプター(TNF−R)ファミリーのメンバーは、リンパ球の活性化、炎症およびアポトーシスにおけるその役割について、広範に研究されてきた(GravesteinおよびBorst、1998、Seminars in Immunology 10:423−434)。TNF−Rファミリーの既知のメンバーはすべて、その細胞外領域において少なくとも2コピーの特徴的なシステインリッチドメインを有する。システイン残基のこのパターンは、バイオインフォマティクスを使用した、発現配列タグ(expressed sequence tag)ライブラリーにおける新たなファミリーメンバーの発見を促進した。このファミリーの中の少なくとも19(おそらく、22)のメンバーが、ここに報告される。
【0003】
大部分について、TNFリガンドファミリーの三量体形態は、TNFレセプターファミリーのメンバーのオリゴマー形成を誘導し(Natoliら、1998、Biochemical Pharmacology 56:915−920)、レセプターの細胞内シグナル伝達ドメインの並置、および下流シグナルの活性化へと導く。この下流シグナルは、IκBキナーゼおよびJNKキナーゼを活性化するシグナル伝達メディエイタを通して、それぞれ、転写因子であるNFκBおよびAP1の活性化へと導き得る(Wallachら、1999、Ann Rev of Immunology 17:331−367)。これらのレセプターのいくつかは、その細胞内領域において十分に特徴付けられた死ドメイン(death domain)を含み、これらは、プログラムされた細胞死を生じるカスパーゼ活性化カスケードへと導くアダプター分子と相互作用する(OrlinickおよびChao、1998、Cellular Signalling 10:543−551)。いくつかのレセプターは、NFκB活性化(例えば、TNF−RII(Ngら、1998、Biochem Biophys Res Comm 244:756−762))またはアポトーシス誘導(例えば、DR4(Muzio、1998、Int J of Clinical Laboratory Res 28:141−147)のいずれかにおいて独占的に機能するが、いくつかは、NFκB活性化およびアポトーシス(例えば、DR3(Chinnaiyanら、1996、Science 274:990−992))の両方でシグナル伝達し得る。プログラムされた細胞死をシグナル伝達することはTNFレセプターファミリーの重要な役割であり、その結果、いくつかのメンバーは、調節因子として十分に規定されたデコイ(decoy)レセプターメンバーと共に、この役割において独占的に機能すると規定された(AshkenaziおよびDixit、1999、Curr Opinion Cell Biol 11:255−260)。これらのメンバー間で共通する構造的特徴は、細胞内領域において十分に保存された死ドメインである(Bantelら、1998;Bothwell、1996、European Cytokine Network 9:681−684)。デコイレセプターは、特定の死ドメイン含有レセプターとリガンド結合について競合すると推測され、そしてそれらは、非機能的な部分的死ドメイン(例えば、DcR2(Marstersら、1997、Current Biology 7:1003−1006))を含むか、または死ドメインを含まないか(例えば、DcR3(Pittiら、1998、Nature 396:669−703))のいずれかであるのでデコイとして機能すると推測される。I型膜貫通タンパク質に加えて、このファミリーは、可溶性分泌タンパク質、例えば、OPG(Emeryら、1998、J of Biol Chem 273:14363−14367)およびgpi−結合タンパク質、DcR1(Degli−Esposti、1999、J of Leukocyte Biology 65:535−542)を含む。
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、少なくとも一部、新規なTRADE分子が、種々の細胞プロセス(特に、上皮細胞においてNFκBおよびJNKシグナル伝達経路を介してシグナル伝達することによる細胞増殖の調節(例えば、増殖またはアポトーシスのいずれかを誘導することによる)を含む)を調節するにおける調節因子として有用であるという発見に基づく。
【0005】
従って、1つの局面では、本発明は、細胞増殖を調節するための方法を提供する。この方法は、細胞をTRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの発現を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、細胞の増殖が調節される。
【0006】
別の局面では、本発明は、細胞増殖を調節するための方法を提供する。この方法は、細胞をTRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの活性を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、細胞の増殖が調節される。
【0007】
1つの実施形態では、この細胞は、以下からなる群から選択される:上皮細胞、管上皮細胞、または気管支上皮細胞。別の実施形態では、この細胞は癌または腺癌である。別の実施形態では、この細胞は、以下からなる群から選択される:肺細胞、肝臓細胞、脳細胞、および前立腺細胞。
【0008】
さらに別の実施形態では、この因子は、TRADEポリペプチド細胞外ドメインを含むTRADEポリペプチドの可溶性形態である。別の実施形態では、このTRADEポリペプチドの可溶性形態は、TRADE−Fc融合タンパク質である。1つの実施形態では、この因子は、本質的にTRADEポリペプチド細胞外ドメインからなる。
【0009】
1つの実施形態では、この因子は、TRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの発現を調節する核酸分子である。1つの実施形態では、この因子は、TRADEαポリペプチドもしくはTRADEβポリペプチドまたはこれらの一部をコードする核酸分子である。別の実施形態では、この因子は、TRADEαポリペプチドもしくはTRADEβポリペプチドまたはこれらの一部をコードする核酸分子に対してアンチセンスである核酸分子である。別の実施形態では、この因子は、TRADEファミリーメンバーのポリペプチドを認識する抗体である。なお別の実施形態では、この活性は、JNKシグナル伝達経路の活性化、NFκBシグナル伝達経路の活性化、およびアポトーシスの活性化からなる群より選択される。
【0010】
別の局面において、本発明は、細胞増殖を調節する方法に関し、この方法は、前立腺細胞、肝臓細胞、または肺細胞を、ポリペプチドの活性を調節する因子と接触させる工程を包含し、このポリペプチドは、TRADEαポリペプチド、TRAINポリペプチド、αOAF065ポリペプチド、およびTRADEβポリペプチドからなる群より選択される。
【0011】
なお別の実施形態において、本発明は、細胞増殖を調節する方法に関し、この方法は、細胞をTRADEファミリーメンバーのポリペプチドの発現を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、この細胞の増殖が調節され、ここで、この細胞は、上皮細胞、管上皮細胞、癌、および腺癌からなる群より選択される。
【0012】
なお別の局面において、本発明は、細胞増殖を調節する方法に関し、この方法は、細胞をTRADEファミリーメンバーのポリペプチドの活性を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、この細胞の増殖が調節され、ここで、この細胞は、上皮細胞、管上皮細胞、癌、および腺癌からなる群より選択される。
【0013】
1つの実施形態において、このTRADEファミリーのポリペプチドは、TRADEα、TRADEβ、Apo4、TRAIN、αOAF065、およびβOAF065からなる群より選択される。1つの実施形態において、この因子は、TRADE細胞外ドメインを含むTRADEファミリーのポリペプチドの可溶性形態である。1つの実施形態において、このTRADEファミリーのポリペプチドの可溶性形態は、TRADE−Fc融合タンパク質である。別の実施形態において、この因子は、本質的にTRADEファミリーの細胞外ドメインからなる。1つの実施形態において、この因子は、TRADEファミリーのポリペプチドの発現を調節する核酸分子である。1つの実施形態において、この因子は、TRADEファミリーのポリペプチドまたはその一部をコードする核酸分子である。1つの実施形態において、この因子は、核酸分子であり、この核酸分子は、TRADEファミリーのポリペプチドまたはその一部をコードする核酸分子に対してアンチセンスである。1つの実施形態において、この因子は、TRADEファミリーのポリペプチドを認識する抗体である。
【0014】
1つの実施形態において、この活性は、JNKシグナル伝達経路の活性化、NFκBシグナル伝達経路の活性化、およびアポトーシスの活性化からなる活性の群より選択される。
【0015】
別の局面において、本発明は、細胞増殖を調節する方法に関し、この方法は、細胞をTRADEファミリーメンバーのポリペプチドの発現を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、この細胞の増殖が調節され、ここで、この細胞は、脳細胞、肝臓細胞、前立腺細胞、腸細胞、または肺細胞からなる群より選択される。
【0016】
別の局面において、本発明は、細胞増殖を調節する方法に関し、この方法は、細胞をTRADEファミリーメンバーのポリペプチドの活性を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、この細胞の増殖が調節され、ここで、この細胞は、脳細胞、肝臓細胞、前立腺細胞、腸細胞、または肺細胞からなる群より選択される。
【0017】
1つの実施形態において、このTRADEファミリーメンバーのポリペプチドは、TRADEαポリペプチド、TRAINポリペプチド、αOAF065ポリペプチド、およびTRADEβポリペプチドからなる群より選択される。
【0018】
別の局面において、本発明は、TRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの発現調節の利益を得る、障害を有する被験体を処置するための方法に関し、この方法は、この被験体に、TRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの発現を調節する因子を投与する工程を包含し、その結果、この障害の処置がもたらされる。
【0019】
別の局面において、本発明は、TRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの活性調節の利益を得る、障害を有する被験体を処置するための方法に関し、この方法は、この被験体に、TRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの活性を調節する因子を投与する工程を包含し、その結果、処置がもたらされる。
【0020】
1つの実施形態において、この障害は、炎症および新形成からなる群より選択される増殖疾患または増殖障害である。1つの実施形態において、この新形成は癌である。1つの実施形態において、この新形成は肺組織または前立腺組織に存在する。1つの実施形態において、この新形成は腺癌である。
【0021】
別の局面において、本発明は、癌または腺癌を有する被験体を処置するための方法に関し、この方法は、被験体にTRADEファミリーのポリペプチドの活性を調節する因子を投与する工程を包含し、その結果、この癌またはこの腺癌が処置される。
【0022】
別の局面において、本発明は、癌または腺癌を有する被験体を処置するための方法に関し、この方法は、該被験体にTRADEファミリーのポリペプチドの発現を調節する因子を投与する工程を包含し、その結果、癌または腺癌が処置される。
【0023】
別の局面において、本発明は、肺、肝臓、脳、および腸からなる群より選択される組織の癌または腺癌を有する被験体を処置するための方法に関し、この方法は、この被験体にTRADEファミリーのポリペプチドの活性を調節する因子を投与する工程を包含し、その結果、この癌またはこの腺癌が処置される。
【0024】
なお別の局面において、本発明は、TRADE関連障害を検出する方法に関し、この方法は、生物学的サンプルを被験体から得る工程、およびTRADE関連障害を検出するためにサンプル中のTRADEポリペプチドの存在について試験する工程を包含し、ここで、このサンプルは、肺細胞、肝臓細胞、脳細胞、または腸細胞からなる群より選択される細胞型を含む。
【0025】
(発明の詳細な説明)
本発明は、TRADE分子が種々の細胞プロセス(増殖を含む)を調節すること(例えば、増殖またはアポトーシスを調節することにより)において調節薬剤(modulating agent)として有用であり、そしてこれらの分子がNFKβおよびJNKシグナル伝達経路を通じて(特に、上皮細胞において)シグナル伝達するという知見に少なくとも一部基づく。本発明はまた、新規なTRADE分子、すなわち、TRADEα(配列番号1および2に示される)およびTRADEβ(配列番号3および4に示される)を同定する。マウスTRADEは、配列番号5および6に示される。本発明は、TRADEαおよびTRADEβを、関連するTRADE分子のファミリーのメンバーとし、そしてこのファミリーのメンバー全ての新規な用途を同定する。本発明はさらに、特定のTRADEドメイン、例えば、配列番号2の残基193〜417もしくは配列番号4の残基193〜423に対応するアミノ酸残基を含む細胞内ドメイン、配列番号2もしくは4の残基1〜168に対応するアミノ酸残基を含む細胞外ドメイン、配列番号2もしくは4の残基169〜192に対応するアミノ酸残基を含む膜貫通ドメイン、配列番号2もしくは4の残基29〜63に対応するアミノ酸残基を含む第1のシステインリッチドメイン、配列番号2もしくは4の残基72〜114に対応するアミノ酸残基を含む第2のシステインリッチドメイン、配列番号2もしくは4の残基114〜139に対応するアミノ酸残基を含む第3のシステインリッチドメイン、配列番号2もしくは4の残基137〜168に対応するアミノ酸残基を含むセリン/スレオニン/プロリンリッチドメイン、および配列番号2の残基218〜417もしくは配列番号4の残基218〜423に対応するアミノ酸残基を含むTRADE関連細胞死エフェクター(death effector)ドメインを同定する。TRADEαおよびβは、配列番号2もしくは4の残基105〜108に対応する残基にNグリコシル化部位、配列番号2もしくは4の残基200〜203に対応する残基にcAMP/cGMP依存性プロテインキナーゼリン酸化部位、配列番号2もしくは4の残基238〜241に対応する残基にcAMP/cGMP依存性プロテインキナーゼリン酸化部位、配列番号2もしくは4の残基205〜207に対応する残基にプロテインキナーゼCリン酸化部位、配列番号2もしくは4の残基219〜222に対応する残基にカゼインキナーゼIIリン酸化部位、および配列番号2もしくは4の残基325〜328に対応する残基にカゼインキナーゼIIリン酸化部位、配列番号2もしくは4の残基207〜213に対応する残基にチロシンキナーゼリン酸化部位、ならびに配列番号2もしくは4の残基215〜220に対応する残基にN−ミリストイル化部位を含む。さらに、TRADEファミリーのタンパク質のメンバーは、TRADEペプチドの細胞内部分にTNFレセプター細胞死ドメイン(death domain)コンセンサス配列がないことにより認識され得る。しかし、TNFレセプター細胞死ドメインコンセンサス配列を欠いているにも拘らず、TRADEペプチドはまた、添付の実施例に示されるように、細胞死エフェクタードメインの活性を通じてアポトーシスを誘導し得る。さらに、本発明は、図4に示されるように、ヒトおよびマウスのTRADEオルソログ間で保存されたTRADEコンセンサスドメインを同定する。
【0026】
TRADEαおよびTRADEβ cDNAのヌクレオチド配列は、5’末端で同一であるが、これらの分子の最後のC末端アミノ酸をコードする領域でわずかに異なる。TRADEαおよびTRADEβともに25アミノ酸の同一の推定N末端シグナル配列、143アミノ酸配列の成熟細胞外領域およびシグナル膜貫通ドメインを有する。この細胞外領域は、TNF−Rファミリーのシステインリッチドメインに相同な2つのドメインを含む(図3を参照のこと)。第2のドメインに続いて、コンセンサスシステインリッチドメインに完全には適合しないと思われるシステインリッチドメインがある。このような不完全な適合は、TNFRI(Wyllie、1997、Eur.J Cell Biol,73:189−197)およびHVEM(Harropら、1998、J Biol Chem,273:27548−27556)のようないくつかの他のファミリーのメンバーにおいて見出される。さらに、4−1BBおよびCD27(Gravesteinら、1993、Eur J Immunol,23:943−950)のようないくつかの他のファミリーメンバーにおいて見出されるように、細胞外膜近傍(extracellular juxtamembrane)領域においてセリン/スレオニン/プロリンリッチストレッチが存在する。TRADEαの細胞内領域は234アミノ酸(明らかな相同性はない(細胞死ドメインの欠如を含む(Kistonら、1996、Nature,384:372−375)))および他のファミリーメンバー(例えば、TNF−RI)に含まれる成分からなる。TRADEβの細胞内領域は、TRADEαとこの配列を共有するが、2アミノ酸だけTRADEαと異なり、そのC末端に6つのさらなるアミノ酸を含む(図2を参照のこと)。
【0027】
添付の実施例により詳述されるノザン分析により、種々の組織および器官においてヒトTRADEαおよびTRADEβ発現が示され、成人前立腺、肺、卵巣、ならびに胎児肺および肝臓において最高レベルであった。より重要なことには、免疫組織化学法を用いて、TRADEαおよびTRADEβが前立腺、耳下腺および精巣から管上皮組織に主に位置することが示された。TRADEの腺癌における発現もまた検出された。
【0028】
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の小節においてさらに詳細に記載される。
【0029】
(I.定義)
本明細書中で用いられる場合、用語「TRADE」とは、細胞死タンパク質と関連するTNFレセプターファミリーメンバータンパク質(NF eceptor family member ssociated with DEath prtein)をいう。2つの新規なTRADE分子が本明細書中に記載される。「TRADEα」分子のヌクレオチド配列は、配列番号1に示され、TRADEαのアミノ酸配列は、配列番号2に示される。「TRADEβ」のヌクレオチド配列は、配列番号3に示され、TRADEβのアミノ酸配列は、配列番号4に示される。TRADEαおよびTRADEβのcDNAのヌクレオチド配列は、5’末端で同一であるが、これらの分子の最後のC末端アミノ酸配列をコードする領域でわずかに異なる(TRADEβは、より長い細胞質ドメインを有する)。本明細書中で用いられる場合、用語「TRADE」は、TRADEαおよびTRADEβ分子(または他の特定の配列番号)をいうために具体的に用いられるのでなければ、以下に記載されるように、TRADEファミリーポリペプチドをいうことが理解される。
【0030】
「TRADEファミリーポリペプチド」とは、TRADE構造ドメインもしくはモチーフを有し、そして本明細書中で規定されるように、TRADEαもしくはTRADEβ分子と十分なアミノ酸配列同一性またはヌクレオチド配列同一性を有するタンパク質または核酸分子を含むことが意図される。このようなファミリーメンバーは、天然に存在してもよいし、天然に存在しなくてもよく、同じ種由来であってもよいし、異なる種由来であってもよい。例えば、ファミリーは、ヒト起源の第1のタンパク質、ならびに他のヒト起源の異なるタンパク質を含んでいてもよいし、あるいは、非ヒト起源のホモログを含んでいてもよい。ファミリーの好ましいメンバーはまた、共通する機能的特徴を有し得る。例示的なTRADEファミリー分子としては、以下が挙げられる:TRADEαおよびTRADEβ(本明細書中に記載)、Apo4(WO99/11791)、TRAIN(WO99/13078)、AX92_3(WO98/01554、WO99/20644)、αOAF065およびβOAF065(WO98/38304)。
【0031】
好ましいTRADEポリペプチドは、以下のTRADEのドメインのうちの1以上を含む:細胞内ドメイン(例えば、配列番号2の残基193〜417もしくは配列番号4の残基193〜423を含む)、細胞外ドメイン(例えば、配列番号2もしくは4の残基1〜168を含む)、膜貫通ドメイン(例えば、配列番号2もしくは4の残基169〜192を含む)、第1のシステインリッチドメイン(例えば、配列番号2もしくは4の残基29〜63を含む)、第2のシステインリッチドメイン(例えば、配列番号2もしくは4の残基72〜114を含む)、第3の部分的システインリッチドメイン(例えば、配列番号2もしくは4の残基114〜139を含む)、セリン/スレオニン/プロリンリッチドメイン(例えば、配列番号2もしくは4の残基137〜168を含む)、TRADE関連細胞死エフェクタードメイン(例えば、配列番号2の残基218〜417もしくは配列番号4の残基218〜423を含む)、Nグリコシル化部位(例えば、配列番号2もしくは4の残基105〜108を含む)、cAMP/cGMP依存性プロテインキナーゼリン酸化部位(例えば、配列番号2もしくは4の残基200〜203を含む)、cAMP/cGMP依存性プロテインキナーゼリン酸化部位(例えば、配列番号2もしくは4の残基238〜241を含む)、少なくとも1つのプロテインキナーゼCリン酸化部位(例えば、配列番号2もしくは4の残基205〜207を含む)、第1のカゼインキナーゼIIリン酸化部位(例えば、配列番号2もしくは4の残基219〜222を含む)、第2のカゼインキナーゼIIリン酸化部位(例えば、配列番号2もしくは4の残基325〜328を含む)、チロシンキナーゼリン酸化部位(例えば、配列番号2もしくは4の残基207〜213を含む)、N−ミリストイル化部位(例えば、配列番号2もしくは4の残基215〜220を含む)、TRAF結合ドメイン(例えば、配列番号2もしくは4の残基1〜328を含む;好ましくは、残基218〜328を含む)、キナーゼ会合ドメイン(例えば、配列番号2もしくは4の残基1〜368を含む;好ましくは、残基328から368を含む)、またはNFκB活性化シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号2もしくは4の残基1〜368を含む;好ましくは、TRADEの細胞内ドメインにある残基を含む)。TRADE分子はまた、TRADEペプチドの細胞内部分におけるTNFレセプター細胞死ドメインコンセンサス配列を欠如している。HMM検索について規定されるように、TNFレセプター細胞死ドメインコンセンサス配列は、PFAM登録番号PF00531(http://pfam.wustl.edu)に列挙されたコンセンサス配列により例示される。
【0032】
本明細書中で用いられる場合、用語「TRADE活性」または「TRADEポリペプチドの活性」は、細胞増殖を調節する能力(例えば、増殖またはアポトーシスを増強することにより)、および/またはNFκBシグナル伝達経路を調節する能力、および/または細胞(例えば、上皮細胞)におけるJNKシグナル伝達経路を調節する能力を含む。本明細書中で用いられる場合、用語「調節する」は、記載されている特定のパラメーター(例えば、TRADE活性)を増加または減少させることによる変化を含む。添付の実施例に記載されるように、TRADEが過剰発現される場合、TRADEは、NFκBおよびJNK経路の活性化を生じる。これらの経路の活性化は、細胞増殖応答と関連する。この実施例はまた、TRADEの過剰発現が、細胞死シグナル伝達を生じ、アポトーシスを導き得ることを実証する。1つの実施形態において、TRADE活性は、例えば、TRADE−標的分子または結合パートナーの会合のような直接的な活性である。本明細書中で用いられる場合、「標的分子」または「結合パートナー」は、TRADEタンパク質が天然で結合または相互作用し、その結果、TRADEが媒介する機能が達成される分子である。
【0033】
本明細書中で用いられる場合、用語「アポトーシス」は、当該分野で公知の技術を用いて特徴付けられ得るプログラムされた細胞死を含む。アポトーシス性の細胞死は、例えば、細胞収縮、膜水泡形成、およびクロマチン凝縮(最後には細胞断片化に達する)により特徴付けられ得る。アポトーシスを受けている細胞はまた、ヌクレオソーム内DNA切断の特徴的パターンを提示する。本明細書中で用いられる場合、用語「アポトーシスを調節する」は、細胞(例えば、上皮細胞)におけるプログラムされた細胞死を調節することを包含する。本明細書中で用いられる場合、用語「アポトーシスを調節する」は、細胞におけるアポトーシスのアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションのいずれかを含む。アポトーシスの調節は、以下により詳細に議論され、そして種々の障害(例えば、神経学的障害)を改善することにおいて有用であり得る。
【0034】
本明細書中で用いられる場合、用語「NFκBシグナル伝達経路」とは、当該分野で公知のシグナル伝達経路の任意の1つをいう。この経路は、転写因子NFκBの活性化または不活化に関連し、そしてNFκB因子により少なくとも一部媒介される(Karin、1998、Cancer J from Scientific America,4:92−99;Wallachら、1999,Ann Rev of Immunology,17:331−367)。一般に、このようなNFκBシグナル伝達経路は、多くの細胞外の影響(例えば、マイトジェン、サイトカイン、ストレスなど)に応答する。NFκBシグナル伝達経路は、一定範囲の細胞プロセスに関連し、これらの細胞プロセスとしては、アポトーシスの調節が挙げられるが、これに限定されない。これらのシグナル伝達経路は、しばしば、NFκBのインヒビターペプチド(IκB)のリン酸化状態を介する活性化または不活化、従って、NFκBの間接的活性化または不活化に関する機構を含むが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書中で用いられる場合、用語「JNKシグナル伝達経路」とは、Junアミノ末端キナーゼ(JNK)(Karin、1998、Cancer J from Scientific America,4:92−99;Wallachら、1999,Ann Rev of Immunology,17:331−367))を含む、当該分野で公知のシグナル伝達経路の任意の1つをいう。このキナーゼは、一般に、多くの細胞外シグナル(例えば、マイトジェン、サイトカイン、ストレスなど)に応答する。JNKシグナル伝達経路は、一定範囲の細胞プロセスを媒介し、これらの細胞プロセスとしては、アポトーシスの調節が挙げられるが、これに限定されない。好ましい実施形態において、これらのシグナル伝達経路は、そのリン酸化状態を介して転写因子c−Junの活性化のJNK媒介性調節に関する機構を含む。さらなる実施形態において、JNK活性化は、TRAF(NF eceptor ssociated actor;例えば、Wajantら、1999、Cytokine Growth Factor Rev 10:15−26を参照のこと)タンパク質ファミリーの1以上のメンバーの活性化を介して生じる。
【0036】
「TRAF」ファミリーとしては、TNFレセプタースーパーファミリーの多くのメンバーおよびインターロイキン−1レセプターからのシグナル伝達を媒介する細胞質アダプタータンパク質のファミリーが挙げられる(例えば、Arch,R.H.ら、1998、Genes Dev.12:2821−2830を参照のこと)。今日まで、哺乳動物種において6つの異なるTRAF分子が存在する(TRAF1からTRAF6と呼ばれる)。これらのタンパク質のカルボキシ末端領域は、自己会合およびレセプターとの相互作用を要する。このドメインは、推定コイルドコイル領域、続いて、高度に保存されたTRAF−Cドメインを含む。TRAF1、TRAF2、およびTRAF3は、この保存されたC末端TRAFドメインを共有する。TRAFタンパク質はまた、多くのさらなる推定される構造的特徴(例えば、アミノ末端RINGフィンガードメインおよびこのRINGフィンガードメインの下流に位置する推定ジンクフィンガーのストレッチ)を共有する。これらのタンパク質は、細胞生存を促進するか、またはプログラムされた細胞死を開始することが示された(例えば、Arch,R.H.ら、1998、Genes Dev.12:2821−2830を参照のこと)。
【0037】
「単離された」核酸分子は、この核酸の天然の供給源に存在する他の核酸分子から分離されたものをいう。例えば、ゲノムDNAに関しては、用語「単離された」は、ゲノムDNAが天然に関連する染色体から分離した核酸分子をいう。好ましくは、「単離された」核酸分子は、この核酸分子が由来している生物のゲノムDNA中の核酸分子に天然に隣接する配列(すなわち、この核酸分子の5’末端および3’末端に位置する配列)を含まない。例えば、種々の実施形態において、単離されたTRADE核酸分子は、この核酸が由来している細胞のゲノムDNA中の核酸分子に天然に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満のヌクレオチド配列を含み得る。さらに、「単離された」核酸分子(例えば、cDNA分子)は、組換え技術により生成される場合、他の細胞物質または培養培地を実質的に含まず、化学的合成された場合、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。しかし、「単離された」TRADE核酸分子は、ゲノムDNAにおいてTRADE配列に通常は隣接しない他のヌクレオチド配列に連結され得る(例えば、TRADEヌクレオチド配列が、ベクター配列に連結され得る)。特定の好ましい実施形態において、「単離された」核酸分子(例えば、cDNA分子)はまた、他の細胞物質を含まないかもしれない。しかし、TRADE核酸分子が他の細胞物質を含まないことが、必ずしも「単離された」とみなされるわけではない(例えば、他の哺乳動物DNAから分離され、そして細菌細胞に挿入されたTRADE DNA分子は、「単離された」とみなされる)。
【0038】
本明細書中で用いる場合、「単離されたタンパク質」または「単離されたポリペプチド」とは、細胞から単離されるかまたは組換えDNA技術により産生される場合に、他のタンパク質、ポリペプチド、細胞物質、および細胞培地を実質的に含まないか、あるいは化学合成される場合に、化学前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない、タンパク質またはポリペプチドをいう。「単離された」または「精製された」タンパク質、またはその生物学的に活性な部分は、TRADEタンパク質が誘導される細胞源もしくは組織源に由来する細胞物質または他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、あるいは化学的合成される場合に、化学前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞物質を実質的に含まない」とは、タンパク質が、それが単離されるかまたは組換え産生される細胞の細胞成分から分離されるTRADEタンパク質の調製物を含む。1つの実施形態では、用語「細胞物質を実質的に含まない」とは、非TRADEタンパク質(本明細書中で「夾雑タンパク質」ともいう)の約30(乾燥重量)%未満、より好ましくは、非TRADEタンパク質の約20%未満、なおより好ましくは、非TRADEタンパク質の約10%未満、そして最も好ましくは、非TRADEタンパク質の約5%未満を有するTRADEタンパク質の調製物を含む。TRADEタンパク質またはその生物学的に活性な部分が、組換え産生される場合、好ましくは、培養培地を実質的に含まない(すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の容量の、約20%未満、より好ましくは、約10%未満、そしてより好ましくは、約5%未満を表す)。
【0039】
用語「化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」とは、タンパク質がタンパク質の合成に関与する化学前駆体または他の化学物質から分離される、TRADEタンパク質の調製物を含む。1つの実施形態では、用語「化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」とは、化学前駆体または非TRADE化学物質の約30(乾燥重量)%未満、より好ましくは、化学前駆体または非TRADE化学物質の約20%未満、なおより好ましくは、化学前駆体または非TRADE化学物質の約10%未満、そして最も好ましくは、化学前駆体または非TRADE化学物質の約5%未満を有するTRADEタンパク質の調製物を含む。
【0040】
本明細書中で用いられる場合、用語「上皮細胞」とは、上皮(血管または他の小腔の裏打ちを含む、身体の内部表面または外部表面の被覆)の一部である全ての細胞を含む。上皮の細胞は、一般に、接合物質と互いに強固に結合され、そして表面の層の形状および層の数の深さに基づいて分類され得る。上皮のこのような細胞の分類は、本明細書中で用いられる場合、用語上皮細胞の分類に入ると理解される。さらに、本明細書中で用いられる場合、用語上皮細胞は、身体内の任意の器官または組織由来の上皮の細胞を含むことがさらに理解され得る。好ましい実施形態では、用語「上皮細胞」とは、肺、前立腺、または耳下腺の上皮の細胞をいう。好ましい実施形態では、用語「上皮」は、前立腺の管上皮細胞を含む。
【0041】
本明細書中で用いられる場合、「新形成」とは、非制御型細胞分裂または異常な細胞分裂から生じる増殖疾患または障害をいう。用語新形成は、悪性および非悪性の障害を含む。本明細書中で用いられる場合、用語「腺癌」とは、一般に、腺上皮細胞の癌のことをいい、そして「癌腫」とは、悪性上皮腫瘍のことをいう。
【0042】
本明細書中で用いられる場合、用語「TRADEの活性または発現を調節する」とは、細胞における(例えば、転写または翻訳のレベルでの)TRADE活性またはTRADE発現のアップレギュレーションおよびダウンレギュレーションを含む。
【0043】
本明細書中で用いられる場合、用語「相互作用」は、例えば、酵母ツーハイブリットアッセイを用いて検出され得るような、分子間の検出可能な相互作用を含むことを意味する。用語相互作用はまた、分子間の「結合」相互作用を含むことを意味する。相互作用は、天然においてタンパク質−タンパク質またはタンパク質−核酸であり得る。
【0044】
本明細書中で用いられる場合、「天然に存在する」核酸分子とは、天然に存在する(例えば、天然のタンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有するRNAまたはDNA分子のことをいう。
【0045】
本明細書中で用いられる場合、「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的(例えば、二重鎖cDNA分子のコード鎖に相補的か、mRNA配列に相補的か、または遺伝子のコード鎖に相補的)である、ヌクレオチド配列を含む。従って、アンチセンス核酸は、センス核酸に水素結合し得る。
【0046】
本明細書中で用いられる場合、用語「コード領域」とは、アミノ酸残基へと翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域をいい、一方、用語「非コード配列」とは、アミノ酸へと翻訳されないヌクレオチド配列の領域(例えば、5’および3’の非翻訳領域)をいう。
【0047】
本明細書中で用いられる場合、用語「ベクター」とは、連結されている別の核酸を輸送し得る核酸分子をいう。ベクターの1つの型は、「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメントが連結され得る環状二重鎖DNAループをいう。ベクターの別の型は、ウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNAセグメントが、ウイルスゲノムへと連結され得る。特定のベクターは、導入される宿主細胞内で自動的に複製し得る(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞へと導入される際に宿主細胞のゲノムへと組み込まれ、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、作動可能に連結されるゲノムの発現を検出し得る。このようなベクターは、本明細書中で、「組換え発現ベクター」または単に「発現ベクター」といわれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクター、しばしば、プラスミドの形態である。本明細書中で、「プラスミド」および「ベクター」は、交換可能に用いられ得る。なぜならば、プラスミドがベクターの最も一般に用いられる形態であるからである。しかし、本発明は、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウィルス、アデノウィルス、およびアデノ随伴ウイルス)(これらは、等価な機能を果たす)のような、発現ベクターの他の形態を含むことを意図する。
【0048】
本明細書中で用いられる場合、用語「宿主細胞」は、本発明の核酸分子(例えば、本発明の組換え発現ベクター)が導入されている、細胞をいうことが意図される。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中で交換可能に用いられる。このような用語は、特定の目的の細胞のみならず、このような細胞の子孫または潜在的子孫のこともいうことを理解すべきである。特定の修飾は、変異または環境の影響のいずれかに起因して、連続生成を生じ得るので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一でないかもしれないが、本明細書中で用いられる用語の範囲内にまだ含まれる。好ましくは、宿主細胞は、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)である。とくに好ましい実施形態では、これは上皮細胞である。
【0049】
本明細書中で用いられる場合、「異種DNA」または「異種核酸」は、天然で存在する位置とは異なるゲノムのある位置に存在するかまたは見出されるか、あるいは天然では通常連結されないDNA(すなわち、異種プロモーターに作動可能に連結されている遺伝子)に作動可能に連結される、ゲノムの一部として天然に存在しないDNAを含む。異種DNAは、その位置には天然で存在しないか、または導入される細胞に対して内在性ではなく別の細胞から得れている。異種DNAは、同じ種または異なる種に由来し得る。1つの実施形態では、哺乳動物(例えば、ヒト)である。当業者が、発現される細胞に対して異種または外来性であると認識するかまたは理解するDNAは、本明細書中で、用語異種DNAに含まれる。
【0050】
用語「異種タンパク質」、「組換えタンパク質」、および「外因性タンパク質」は、本明細書中を通じて交換可能に用いられ、そして組換えDNA技術により産生されるポリペプチドをいい、ここで、一般に、このポリペプチドをコードするDNAは、次いで、異種タンパク質を生成するために、宿主細胞を形質転換するのに用いられる、適切な発現ベクターへと挿入される。すなわち、ポリペプチドは、異種核酸から発現される。
【0051】
本明細書中で用いられる場合、「トランスジェニック動物」とは、動物の1つ以上の細胞が、「導入遺伝子」を含む、非ヒト動物(好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、マウス)をいう。用語「導入遺伝子」は、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムへと組み込まれ、そして成熟動物のゲノムに保持される外因性DNA(例えば、トランスジェニック動物の細胞型または組織の1つ以上におけるコードされる遺伝子産物の発現を指向する)をいう。
【0052】
本明細書中で用いられる場合、「相同組換え動物」とは、トランスジェニック非ヒト動物(好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウス)の型をいい、ここで、内因性遺伝子は、動物の発生の前に、内因性遺伝子と動物の細胞(例えば、動物の胚細胞)へと導入された外因性DNA分子との間の相同組換えにより変化している。
【0053】
本明細書中で用いられる場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性部分(すなわち、例えば、FabおよびF(ab’)フラグメント、単鎖抗体、細胞内抗体、scFv、Fd、または他のフラグメントのような、抗原を結合する(これらと免疫反応する)抗原結合部位を含む、分子)を含むことを意図する。好ましくは、本発明の抗体は、TRADE分子に特異的にか、または実質的に特異的に結合する(すなわち、非TRADE分子との交叉反応を殆ど有さない)。用語「モノクローナル抗体」および「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書中で用いられる場合、抗原の特定のエピトープと免疫反応し得る抗原結合部位の1つの種のみを含む、抗体分子の集団をいい、一方、用語「ポリクローナル抗体」および「ポリクローナル抗体組成物」は、特定の抗原と相互作用し得る抗原結合部位の複数の種を含む、抗体分子の集団をいう。従って、モノクローナル抗体組成物は、代表的には、免疫反応する特定の抗原に対する単一の結合親和性を表する。
【0054】
本明細書中で用いられる場合、用語「TRADEの活性または発現の調節からの恩恵を受ける障害」または「TRADE関連障害」は、TRADE活性が異常であるか、またはTRADE活性の調節から恩恵を受ける非TRADE活性が異常である、障害を含む。好ましくは、TRADE関連障害は、細胞の異常な増殖(例えば、細胞の過剰な増殖もしくは望ましくない増殖、または細胞の不十分な増殖)に関与する。1つの実施形態では、TRADE関連障害は、新形成または炎症などを含む。TRADE関連障害の例としては、以下が挙げられる:細胞の異常な増殖または望ましくない増殖に関与する障害(例えば、炎症、新形成、アポトーシス、または壊死)。好ましくは、TRADE関連障害における望ましくない増殖を受ける細胞は、例えば、肺、肝臓、脳、小腸、または前立腺の、上皮細胞である。TRADE関連障害のさらなる例としては、癌腫、腺癌、および他の新形成を含む。TRADE関連障害はまた、一般に、異常なTNFレセプター活性または機能(クーロン病(BaertおよびRutgeerts,1999,Int J Colorectal Dis, 14:47−51)および特定の心血管疾患(Ferrari,1999,Pharmacol Res,40:97−105)を含む)に関連している障害を含む。これらはまた、アポトーシスの非制御されたレベルまたは異常なレベル(例えば、骨髄カテクシス(myelokathexis)(Aprikyanら、2000,Blood,95:320−327))、および自己免疫リンパ増殖症候群(aoutoimmune lymphoproliferative syndrome)(JacksonおよびPack,1999,Curr Op Pediatr,11:521−527;Strausら、1999,Ann Intern Med,130:591−601))により特徴付けられる。
【0055】
(使用方法)
本明細書中に記載される核酸分子、タンパク質、タンパク質ホモログ、および抗体は、以下の方法の1つ以上に用いられ得る:a)細胞の増殖を調節する方法、b)被検体における増殖を、例えば、上方−または下方−調節する、障害を処理する方法;b)スクリーニングアッセイ;(c)予防医学(例えば、診断アッセイ、予後アッセイ、または臨床試験をモニタリングする)。1つの実施形態では、被検体は、TRADE関連障害を有するという事実に基づいて、事前に選択され得る。
【0056】
本発明の方法は、例えば、TRADEポリペプチドの発現および/または活性を調節する薬剤を用いて、実施され得る。このような薬剤としては、本明細書中で以下に記載されるような、例えば、TRADEタンパク質を(例えば、遺伝子治療適用において宿主細胞中の組換え発現ベクターを介して)発現するため、(例えば、生物学的サンプルにおいて)TRADE mRNAまたはTRADE遺伝子における遺伝子変化を検出するため、およびTRADE活性を調節するために用いられる核酸が挙げられる。薬剤はまた、例えば、TRADEインヒビターの不十分な産生または過剰産生により特徴付けられる障害を処置するために用いられるTRADEタンパク質を含む。さらに、TRADEタンパク質は、天然に存在するTRADE結合タンパク質をスクリーニングするため、TRADE活性を調節する薬物または化合物をスクリーニングするため、ならびに、例えば、TRADEタンパク質の不十分な産生もしくは過剰な産生、またはTRADE野生型タンパク質と比較して低下した活性または異常な活性を有するTRADEタンパク質形態の産生により特徴付けられる、TRADEの調節から恩恵を受ける障害を処置するために、用いられ得る。さらに、抗TRADE抗体は、TRADEタンパク質を検出および単離するため、TRADEタンパク質のバイオアベイラビリティーを調節するため、そしてTRADE活性を調節する(例えば、増殖を調節する)ために、用いられ得る。好ましい実施形態では、本発明の方法(例えば、TRADEの検出、調節など)は、上皮細胞中で行われる。1つの実施形態では、上皮細胞は、管上皮細胞である。別の実施形態では、上皮細胞は、tradeが発現される組織由来である。好ましくは、この組織は、以下からなる群から選択される:肝臓、脳、前立腺、肺、または精巣。1つの実施形態では、検出法は、新形成状態(例えば、癌腫または腺癌)が存在するか否かを決定するために行われる。本発明の1つの実施形態では、本発明の方法は、TRADEファミリーメンバー分子を(例えば、調節または検出するために)用いられる。別の実施形態では、このような方法は、TRADEファミリーのメンバーの1つ以上に特異的であるが、TRADEファミリーの全てにメンバーに作用しない。例えば、好ましい実施形態では、TRADEファミリーポリペプチドの発現または活性の調節は、Apo4、TRAIN、AX92_3、αOAF065、またはβOAF065の1つ以上を調節しない。例えば、1つの実施形態では、TRADEαまたはTRADEβのポリペプチドは、Apo4、TRAIN、AX92_3、αOAF065、またはβOAF065の1つ以上を調節しない。
【0057】
(A.TRADEを調節する方法)
本発明は、(例えば、細胞において、またはTRADE発現および/もしくは活性を調節する薬剤を同定する目的のためにインビトロで)TRADE活性を調節する方法、ならびに、障害の危険性のある(障害が疑わしい)被検体、あるいは異常なTRADE発現もしくは活性に関連する障害、またはTRADE発現および/もしくは活性の調節から恩恵を受ける障害を有する被検体を処置する予防的方法および治療的方法の両方、を提供する。
【0058】
本発明のなおべつの局面は、細胞におけるTRADE発現および/または活性を調節する方法に関する。本発明の調節方法は、TRADE発現および/または活性を調節する薬剤と細胞を接触させて、その結果、細胞におけるTRADE発現および/または活性を調節することに関する。この薬剤は、細胞中のTRADEタンパク質の活性を調節することによるか、またはTRADE遺伝子またはTRADEmRNAの翻訳の転写を調節することにより、作用し得る。
【0059】
従って、1つの実施形態では、薬剤は、TRADE活性を阻害する。阻害剤は、例えば、TRADE前増殖または前アポトーシス活性を直接阻害することによるか、またはTRADE活性を調節するシグナル伝達経路を調節することにより、機能し得る。別の実施形態では、薬剤は、TRADE活性を刺激し得る。刺激剤は、例えば、TRADE前増殖または前アポトーシス活性を直接刺激することによるか、またはTRADE活性を調節するシグナル伝達経路を調節することにより、機能し得る。
【0060】
例示的阻害剤としては、(例えば、TRADE mRNAの翻訳を阻害するための)アンチセンスTRADE核酸分子、(例えば、TRADEタンパク質の活性を阻害するための)細胞内抗TRADE抗体、およびTRADEタンパク質の優性の陰性変異体が挙げられる。TRADEタンパク質の活性を阻害するために用いられ得る他の阻害剤は、TRADE−前増殖活性または前アポトーシス活性を阻害する化学的化合物である。このような化合物は、本明細書中に記載されるように、このような化合物を選択するスクリーニングアッセイを用いて同定され得る。さらに、あるいは、TRADE−前増殖活性または前アポトーシス活性を阻害する化合物は、当該分野で公知のアプローチを用いて設計され得る。
【0061】
本発明の別の調節方法に従って、TRADE活性は、刺激剤と細胞を接触させることにより細胞内で刺激される。このような刺激剤の例としては、TRADEタンパク質および細胞内のTRADE活性を増加させるために細胞内に導入されるTRADEをコードする核酸分子が挙げられる。好ましい刺激剤は、TRADEタンパク質をコードする核酸分子であり、一方、この核酸分子は、細胞内の活性TRADEタンパク質の発現に適切な形態で細胞内に導入される。細胞内でTRADEタンパク質を発現させるために、代表的には、TRADE cDNAが、初めに、本明細書中に記載されるような、標準的な分子生物学的技術を用いて組換え発現ベクターに導入される。TRADE cDNAは、本明細書中に記載されるような、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いる増殖によるか、または適切なcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、得られ得る。TRADE cDNAの単離または増幅の後、DNAフラグメントは、本明細書中に記載されるような標準的方法により、発現ベクターへと導入され、そして標的細胞へとトランスフェクトされる。TRADEタンパク質の活性および/または発現を刺激するために用いられ得る他の刺激剤は、TRADE前アポトーシス活性を増強する化合物のような、細胞内でのTRADE活性および/または発現を刺激する化学的化合物である。このような化合物は、本明細書中で詳細に記載されるような、このような化合物を選択するスクリーニングアッセイを用いて同定され得る。
【0062】
本発明の調節方法は、インビトロ(例えば、細胞を薬剤と共に培養することによってかまたは薬剤を培養物中の細胞に導入することによって)、またはあるいは、インビボ(例えば、被験体に薬剤を投与することによってかまたは被験体の細胞に薬剤を導入することによって(例えば、遺伝子治療によって))行われ得る。インビトロでの調節方法を実施するために、細胞を、標準的な方法によって被験体から得て、そして本発明の調節薬剤と共にインビトロでインキュベート(すなわち、培養)して、その細胞中のTRADE活性を調節する。
【0063】
核酸を含む刺激薬剤または阻害薬剤(TRADEタンパク質をコードする組換え発現ベクター、アンチセンスRNA、細胞内抗体またはドミナントネガティブインヒビターを含む)については、これらの薬剤は、核酸(例えば、DNA)をインビボの細胞に導入するための当該分野で公知の方法を使用して、被験体の細胞内に導入され得る。このような方法の例は、以下を含む、非ウイルス性およびウイルス性の方法を包含する。
【0064】
(直接注入):裸のDNAは、そのDNAを細胞に直接注入することによってインビボで細胞内に導入され得る(例えば、Acsadiら、1991、Nature 332:815−818;Wolffら、1990、Science 247:1465−1468を参照のこと)。例えば、インビボでDNAを細胞に注入するための送達装置(例えば、「遺伝子銃」)が使用され得る。このような装置は、市販されている(例えば、BioRadより)。
【0065】
(カチオン性脂質):裸のDNAは、そのDNAをカチオン性脂質で複合体化することによってかまたはDNAをカチオン性リポソーム中にカプセル化することによって、インビボで細胞内に導入され得る。適切なカチオン性脂質処方物の例としては、N−[−1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]N,N,N−トリエチルアンモニウムクロリド(DOTMA)ならびに1:1のモル比の1,2−ジミリストイルオキシ−プロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)およびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が挙げられる(例えば、Logan,J.J.ら、1995、Gene Therapy 2:38−49;San,H.ら、1993、Human Gene Therapy 4:781−788を参照のこと)。
【0066】
(レセプター媒介性DNA取り込み):裸のDNAはまた、細胞表面レセプターに対するリガンドに結合されたカチオン(例えば、ポリリジン)にDNAを複合体化することによって、インビボで細胞内に導入され得る(例えば、Wu,G.およびWu,C.H.,1998,J.Biol.Chem.263:14621;Wilsonら、1992、J.Biol.Chem.267:963−967;および米国特許第5,166,320号を参照のこと)。レセプターへのDNA−リガンド複合体の結合は、レセプター媒介エンドサイトシスによるDNAの取り込みを促進する。アデノウイルスキャプシド(これは、天然でエンドソームを破壊し、それによって、物質を細胞質に放出する)に結合されたDNA−リガンド複合体を使用して、細胞内リソソームによる複合体の分解を回避し得る(例えば、Curielら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8850;Cristianoら、1993、Proc.Natil.Acad.Sci.USA 90:2122−2126を参照のこと)。
【0067】
(レトロウイルス):欠損性レトロウイルスは、遺伝子治療目的のための遺伝子移入における使用のために十分特徴付けられている(概要については、Miller,A.D.,1990,Blood 76:271を参照のこと)。組換えレトロウイルスは、目的のヌクレオチド配列をレトロウイルスゲノム内へ組み込むことによって構築される。さらに、レトロウイルスゲノムの部分を取り除いて、そのレトロウイルスを複製欠損にし得る。次いで、この複製欠損レトロウイルスを、ビリオン中にパッケージングし、このビリオンを使用して、標準的な技術によるヘルパーウイルスの使用を介して標的細胞を感染し得る。組換えレトロウイルスを産生するためのプロトコルおよびインビトロまたはインビボでこのようなウイルスを細胞に感染させるためのプロトコルは、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel,F.M.ら(編)Greene Publishing Associates,1989,Sections 9.10−9.14および他の標準的な実験マニュアルに見出され得る。適切なレトロウイルスの例としては、pLJ、pZIP、pWEおよびpEMが挙げられ、これらは、当業者に周知である。適切なパッケージングウイルスの例としては、ψCrip、ψCre、ψ2およびψAmが挙げられる。レトロウイルスは、インビトロおよび/またはインビボで多くの異なる細胞型(上皮細胞、内皮細胞、リンパ球、筋芽細胞、肝細胞、骨髄細胞を含む)へ種々の遺伝子を導入するために使用されている(例えば、Eglitisら、1985、Science 230:1395−1398;DanosおよびMulligan、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6460−6464;Wilsonら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:3014−3018;Armentanoら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6141−6145;Huberら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8039−8043;Ferryら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8377−8381;Chowdhuryら、1991、Science 254:1802−1805;van Beusechemら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7640−7644;Kayら、1992 Human Gene Therapy 3:641−647;Daiら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10892−10895;Hwuら、1993、J.Immunol.150:4104−4115;米国特許第4,868,116号;米国特許第4,980,286号;PCT出願WO89/07136;PCT出願WO89/02468;PCT出願WO89/05345;およびPCT出願WO92/07573を参照のこと)。レトロウイルスベクターは、レトロウイルスゲノム(およびそれに挿入された外来核酸)が宿主ゲノムに組み込まれ、細胞内に核酸を安定に導入するために、標的細胞の分裂を必要とする。したがって、標的細胞の複製を刺激することが必要であり得る。
【0068】
(アデノウイルス):アデノウイルスのゲノムは、それが、目的の遺伝子産物をコードしそして発現するが、正常な溶解性ウイルスの生活環において複製する能力が不活化されるように、操作され得る。例えば、Berknerら、1988、BioTechniques 6:616;Rosenfeldら、1991、Science 252:431−434;およびRosenfeldら、1992、Cell 68:143−155を参照のこと。アデノウイルス株Ad5型dl324またはアデノウイルスの他の株(例えば、Ad2、Ad3、Ad7など)由来の適切なアデノウイルスベクターは、当業者に周知である。組換えアデノウイルスは、それらが、効果的な遺伝子送達ビヒクルであるために分裂細胞を必要とせず、そして広範な種々の細胞型(気道上皮(Rosenfeldら、1992、前出)、内皮細胞(Lemarchandら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6482−6486)、肝細胞(HerzおよびGerard、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2812−2816)および筋細胞(Quantinら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2581−2584)を含む)を感染するために使用され得るという点で、有利である。さらに、導入されるアデノウイルスDNA(およびそれに含まれる外来DNA)は、宿主細胞のゲノム内に組み込まれず、エピソームのままであり、それによって、導入されたDNAが宿主ゲノム内に組み込まれた状況(例えば、レトロウイルスDNA)での挿入性の変異誘発の結果として生じ得る潜在的な問題を回避する。さらに、外来DNAのアデノウイルスゲノムの保持能力は、他の遺伝子送達ベクターに比べて大きい(8kbまで)(Berknerら、前出;Haj−AhmandおよびGraham,1986、J.Viro.57:267)。現在使用されている多くの複製欠損アデノウイルスベクターは、ウイルスE1およびE3遺伝子の全てまたは部分を欠失するが、アデノウイルスの遺伝物質の80%程度の多くを保持する。
【0069】
(アデノ随伴ウイルス):アデノ随伴ウイルス(AAV)は、天然に存在する欠損性のウイルスであり、これは、効率的な複製および生産的な生活環のためのヘルパーウイルスとして、別のウイルス(例えば、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)を必要とする(概要については、Muzyczkaら、Curr.Topics in Micro.and Immunol.,1992、158:97−129を参照のこと)。これはまた、非分裂細胞へそのDNAを組み込み得る数少ないウイルスの1つであり、そして高頻度の安定な組み込みを示す(例えば、Flotteら、1992、Am.J.Respir.Cell.Mol.Biol.7:349−356;Samulskiら、1989、J.Virol.63:3822−3828;およびMcLaughlinら、1989、J.Virol.62:1963−1973を参照のこと)。300塩基対程度の小さいAAVを含むベクターが、パッケージングされ得そして組み込み得る。外因性DNAのためのスペースは、約4.5kbまでに制限される。AAVベクター(例えば、Tratschinら、1985、Mol.Cell.Biol.5:3251−3260に記載のようなベクター)は、細胞内にDNAを導入するために使用され得る。種々の核酸が、AAVベクターを使用して異なる細胞型に導入されている(例えば、Hermonatら、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6466−6470;Tratschinら、1985、Mol.Cell.Biol.4:2072−2081;Wondisfordら、1988、Mol.Endocrinol.2:32−39;Tratschinら、1984、J.Virol.51:611−619;およびFlotteら、1993、J.Biol.Chem.268:3781−3790を参照のこと)。
【0070】
細胞内に核酸を導入するための特定の発現ベクター系のおよび方法の効率は、当該分野で慣用的に使用される標準的アプローチによって評価され得る。例えば、細胞内に導入されたDNAは、フィルターハイブリダイゼーション技術(例えば、サザンブロッティング)によって検出され得、そして導入されたDNAの転写によって産生されたRNAは、例えば、ノーザンブロッティング、RNase保護または逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって検出され得る。この遺伝子産物は、適切なアッセイ(例えば、産生されたタンパク質の免疫学的検出(例えば、特異的抗体を用いる)またはその遺伝子産物の機能的活性を検出するための機能アッセイ)によって検出され得る。
【0071】
本発明のTRADE調節薬剤が処置において使用され得る、広範に種々の病理学的状態が存在する。1つの実施形態において、このような薬剤は、細胞の増殖を下方調節し得るかまたはアポトーシスを上方調節し得る。さらなる実施形態において、この方法は、アポトーシスの上方調節から利益を受ける障害に罹患している被験体を処置するために使用され得る。好ましい実施形態において、TRADEを調節して、上皮細胞のアポトーシスを増強し、例えば、癌細胞(例えば、肺、肝臓、脳、腸または前立腺における)におけるアポトーシスを促進する。
【0072】
別の実施形態において、例えば、アルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者における上皮細胞生存の促進において、TRADEを調節して、細胞の増殖を上方調節するかまたはアポトーシスを下方調節する(Lee,M.、1991、J.of Neuropath & Exper.Neurology 578:459;Desjardins,P.およびLedoux,S、1998、Neurosci.Letters.244:69;Yoshihisaら、1998、Brain Research.780:260)。TRADE分子は、脳において発現される。TRADEの調節が処置において使用される他の例示的障害としては、他の神経系の障害が挙げられる。用語障害とは、TRADEの活性および/または発現における変更から利益を受ける正常状態および種々の疾患状態の両方を含むことを意味する。
【0073】
(1.予防的方法)
1つの局面において、本発明は、TRADE活性および/または発現の調節から利益を受ける疾患または状態(例えば、異常なTRADEの発現または活性に関連する障害)を、被験体において予防するための方法を提供する。これは、その被験体に、TRADEポリペプチドを投与することによるか、あるいはTRADEポリペプチド発現または少なくとも1つのTRADE活性を調節する薬剤を投与することによる。異常なTRADEの発現または活性によって引き起こされるかまたは寄与される疾患の危険性にある被験体は、例えば、本明細書中に記載のような診断アッセイまたは予後アッセイのいずれかまたはそれらの組み合わせによって同定され得る。予防薬剤の投与は、TRADE異常に特徴的な症状の発生前に行い得、その結果、疾患または障害を、その進行前に予防あるいは遅延する。TRADE異常の型または状態に依存して、例えば、TRADEポリペプチド、TRADEアゴニストまたはTRADEアンタゴニスト薬剤が、その被験体を処置するために使用される。適切な薬剤は、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。
【0074】
(2.治療方法)
本発明の別の局面は、治療目的のためにTRADEの発現または活性を調節する方法に関する。従って、例示的な実施形態において、本発明の調節方法は、細胞に、TRADEポリペプチドまたはその細胞に関連するTRADEタンパク質の1以上の活性を調節する薬剤を接触させる工程を包含する。TRADEタンパク質活性を調節する薬剤は、本明細書中に記載されるような薬剤(例えば、核酸またはタンパク質、TRADEタンパク質の天然に存在する標的分子(例えば、TRADE結合タンパク質)、TRADE抗体、TRADEアゴニストまたはアンタゴニスト、TRADEアゴニストまたはアンタゴニストのペプチド模倣物、または他の小分子)であり得る。1つの実施形態において、薬剤は、1以上のTRADE活性を刺激する。このような刺激薬剤の例としては、活性なTRADEタンパク質および細胞内に導入されたTRADEポリペプチドをコードする核酸分子が挙げられる。別の実施形態において、薬剤は、1以上のTRADE活性を阻害する。このような阻害薬剤の例としては、例えば、アンチセンスTRADE核酸分子、抗TRADE抗体、およびTRADEインヒビターが挙げられる。これらの調節方法は、インビトロ(例えば、細胞を薬剤と共に培養することによる)またはインビボ(例えば、薬剤を被験体に投与することによる)で行われ得る。それ自体で、本発明は、TRADEタンパク質の調節から利益を受ける疾患または障害(例えば、免疫応答の上方調節または下方調節から利益を受ける障害、あるいはTRADEタンパク質または核酸分子の異常な活性または発現によって特徴付けられる障害)に罹患する個体を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、TRADEの発現または活性を調節(例えば、上方調節または下方調節)する薬剤(例えば、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイによって同定される薬剤)または薬剤の組み合わせを投与する工程を包含する。別の実施形態において、この方法は、減少されたかまたは異常なTRADEの発現または活性を補うための治療剤として、TRADEタンパク質または核酸を投与する工程を包含する。
【0075】
TRADE活性の刺激は、TRADEが異常に下方調節されている状況および/またはTRADE活性の増加が有利な効果を有するであろう状況(例えば、細胞の増殖またはアポトーシスを増加することが望ましい場合)において望ましい。同様に、TRADE活性の阻害は、TRADEが異常に上方調節されている状況および/またはTRADE活性の減少が有利な効果を有するであろう状況(例えば、細胞の増殖またはアポトーシスを減少することが望ましい場合)において望ましい。TRADE調節が望ましい例示的状況は、TRADE関連障害(細胞の異常なまたは望ましくない増殖を含む障害(例えば、炎症または癌))の処置にある。好ましくは、この望ましくない増殖を起こしている細胞は、例えば、肺または前立腺の上皮細胞である。TRADE関連障害のさらなる例としては、癌腫、腺癌および他の新生物が挙げられる。TRADE障害はまた、異常なTNFレセプターの活性または機能に一般に関連付けられている障害(クローン病(BaertおよびRutgeerts、1999、Int J Colorectal Dis、14:47−51)および特定の心臓血管疾患(Ferrari、1999、Pharmacol Res、40:97−105)を含む)を含み得る。これらはまた、制御されていないかまたは異常なレベルのアポトーシスによって特徴付けられる障害(例えば、ミエロカテクシス(myelokathexis)(Aprikyanら、2000、Blood、95:320−327)および自己免疫リンパ球増殖症候群(JacksonおよびPuck、1999、Curr Op Pediatr、11:521−527;Strausら、1999、Ann Intern Med、130:591−601))を含み得る。
【0076】
TNFレセプターファミリーの他のメンバーと同様に、TRADE分子の調節は、他の因子に依存して、異なる下流の結果を有し得る。TRADEは、新規オーファンレセプターであり、これは、必要とされる生理学的状況に依存して、有糸分裂シグナルまたはアポトーシスシグナルを生成する能力を有する。活性化およびアポトーシスを誘導する二重の能力は、TNFレセプタースーパーファミリーのリガンドの共通の特性である(Pimentel−MuinosおよびSeed、1999、Immunity、11:783)。例えば、CD95の凝集は、細胞死を誘発するが(Itohら、1991、Cell 66:233)、増殖およびNF−κB活性化もまた誘導する(Aldersonら、1993、J.Exp.Med.178:2231;Smithら、1993、Cell.73:1349)。CD40もまた、アポトーシスならびにB細胞の分化および生存の両方を媒介する(Banchereauら、1991、Science、251:70;HessおよびEngelmann、1996、J.Exp.Med.183:159)。1つの実施形態において、外部の薬剤の存在は、TNFレセプタースーパーファミリーレセプター(Mackayら、1996、J.Biol.Chem.、272:24934)の調節の結果に影響を及ぼすために使用され得る。当業者は、特定の状況におけるTRADE調節のどのような結果が、細胞の特定の状況において存在するかを、問題の細胞型に対するTRADEの上方調節または下方調節の効果をアッセイすることによって決定し得る。このようなアッセイは、当該分野で公知の方法(例えば、本明細書中に例示される方法)を使用して過度の実験なく行われ得る。
【0077】
(III.TRADE調節薬剤)
(A.TRADEまたはその部分をコードする単離された核酸分子)
本発明の方法の実施において、種々の薬剤が、細胞におけるTRADEの活性および/または発現を調節するために使用され得る。1つの実施形態において、薬剤は、TRADEポリペプチドまたはその部分をコードする核酸分子である。このような核酸分子は、以下により詳細に記載される。
【0078】
TRADEポリペプチドの分析は、JNKまたはNFκBシグナル伝達経路におけるポリペプチドとTRADEの相互作用(たとえば、TRADEポリペプチドの細胞内ドメイン(例えば、TRAF相互作用ドメイン)中のアミノ酸を介する)を媒介するタンパク質の領域を同定した。従って、1つの局面において、本発明は、TRADE結合パートナー(例えば、TRAFタンパク質)と相互作用するTRADEポリペプチドの部分をコードする核酸分子に関する。TRAFタンパク質は、TRADEペプチドと直接的に相互作用し得る少なくとも1つのドメインを有する。ファミリーとして、TRADタンパク質は、種々のタンパク質−タンパク質相互作用に関与する、いくつかの異なる構造的特徴(そのサインである約230アミノ酸のC末端TRADドメイン(Rotheら、1994、Cell、78:681−692)を含む)によって定義される。このC末端TRAFドメインはさらに、TRAF−NサブドメインおよびTRAF−Cサブドメインに分けられ得る(Chengら、1995、Science、267:1497−1498)。いくつかのTRAF分子が、TNFスーパーファミリーのレセプターのメンバーと相互作用するためにホモダイマーおよびヘテロダイマーを形成し得ることが、知られている。C末端TRAFドメインは、自己会合およびレセプター相互作用の両方に十分である(Rothe、1995、Science、269:1424−1427;Takeuchiら、1996、JBC、271:19935−19942)。
【0079】
遺伝暗号(以下に示した)によって規定されるように、特定のタンパク質のアミノ酸配列とこのタンパク質をコードし得るヌクレオチド配列との間に、公知かつ明確な対応が存在する。同様に、遺伝暗号によって規定されるように、特定の核酸分子のヌクレオチド配列とこのヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列との間に、公知かつ明確な対応が存在する。
【0080】
(遺伝暗号)
【0081】
【表1】
Figure 2004501604
この遺伝暗号の重要かつ周知の特徴は、その重複性である。それによって、タンパク質を作製するために使用されるアミノ酸のほとんどについて、1以上のコードヌクレオチドトリプレットが、使用され得る(上に例示した)。従って、多数の異なるヌクレオチド配列が、所定のアミノ酸配列をコードし得る。このようなヌクレオチド配列は機能的に等価であると考えられる。なぜなら、これらは、全ての生体において(特定の生体は、他の生体が行うよりもより効率的にいくつかの配列を翻訳し得るが)同じアミノ酸配列の生成を生じるからである。さらに、時折、プリンまたはピリミジンのメチル化された改変体が、所定のヌクレオチド配列中に見出され得る。このようなメチル化は、トリヌクレオチドコドンと対応するアミノ酸との間のコーディング関係に影響しない。
【0082】
前出の観点において、本発明のTRADEポリペプチド(またはその一部)をコードするDNAまたはRNA分子のヌクレオチド配列は、DNAまたはRNA分子をアミノ酸配列に翻訳する遺伝暗号を使用して、TRADEアミノ酸配列を誘導するために使用され得る。同様に、任意のTRADEアミノ酸配列について、TRADEタンパク質をコードし得る対応するヌクレオチド配列は、遺伝暗号から推論され得る(その重複性に起因して、任意の所定のアミノ酸配列について複数の核酸配列を生成する)。従って、本明細書中のTRADEヌクレオチド配列の記載および/または開示はまた、このヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列の記載および/または開示を含むと考えられるべきである。同様に、本明細書中のTRADEアミノ酸配列の記載および/または開示はまた、このアミノ酸配列をコードし得る全ての可能なヌクレオチド配列の記載および/または開示を含むと考えられるべきである。
【0083】
本発明の1つの局面は、TRADEタンパク質またはその生物学的に活性な部分をコードする単離された核酸分子、およびTRADEをコードする核酸(例えば、TRADE mRNA)を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとしての使用のために十分な核酸フラグメントならびにTRADE核酸分子の増幅または変異のためのPCRプライマーとしての使用のためのフラグメントに関する。TRADE核酸分子(例えば、配列番号1または3に示されるような)あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の使用の考察において、このような核酸分子のフラグメントならびに全長のTRADE核酸分子が使用され得ることが理解される。本明細書中で使用される場合、用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)ならびにヌクレオチドアナログを使用して作製されたDNAまたはRNAのアナログを含むと意図される。この核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0084】
本発明の核酸分子(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド配列を有する核酸分子あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドまたはその一部をコードするヌクレオチド配列)は、標準的な分子生物学技術および本明細書中に提供される配列情報を使用して単離され得る。例えば、配列番号1または3の核酸配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の全てまたは部分をハイブリダイゼーションプローブとして使用して、TRDAE核酸分子は、標準的なハイブリダイゼーション技術およびクローニング技術を使用して単離され得る(例えば、Sambrook、J.、Fritsh、E.F.およびManiatis、T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載のように)。
【0085】
さらに、配列番号1または3の全てまたは一部を含む核酸分子あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1または3の配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に基づいてそれぞれに設計された、合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって単離され得る。
【0086】
他のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸配列は、TRADEと同一な核酸および/またはアミノ酸、TRADEドメインの保有、ならびに/あるいは本明細書中に定義されるようなTRADE活性の保有に基づいて同定され得る。さらに、一般的な機能的および構造的特徴を有するいくつかのTRADEファミリーメンバーが、当該分野で公知である。これらとしては:Apo4(WO99/11791)、TRAIN(WO99/13078)、AX92_3(WO98/01554、WO99/20644)、αOAF065およびβOAF065(WO98/38304)が挙げられる。
【0087】
本発明の核酸は、cDNA、mRNA、あるいはゲノムDNAを鋳型として使用し、そして標準的なPCR増幅技術に従った適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、増幅され得る。このように増幅された核酸は、適切なベクター中にクローニングされ得、そしてDNA配列決定分析によって特徴付けられる。さらに、TRADEヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術によって、例えば、自動化されたDNA合成機を使用して調製され得る。
【0088】
好ましい実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列、別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0089】
別の好ましい実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1もしくは3に示されるヌクレオチド配列または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列あるいはこれらのヌクレオチド配列の任意の一部の相補体である核酸分子を含む。配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に相補的な核酸分子はそれぞれ、配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に十分に相補的なものの1つであり、その結果、これはそれぞれ、配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズし、それによって安定な二重鎖を形成し得る。
【0090】
なお別の好ましい実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドまたはその一部(例えば、細胞内ドメイン(例えば、配列番号1のヌクレオチド577〜1251または配列番号3のヌクレオチド577〜1269を含む)、細胞外ドメイン(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド1〜504を含む)、膜貫通ドメイン(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド505〜576を含む)、第一のシステインリッチドメイン(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド85〜189を含む)、第二のシステインリッチドメイン(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド214〜342を含む)、第三の部分的なシステインリッチドメイン(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド340〜417を含む)、セリン/スレオニン/プロリンリッチドメイン(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド409〜504を含む)、TRADE関連デスエフェクター(death effector)ドメイン(例えば、配列番号1のヌクレオチド652〜1251または配列番号3のヌクレオチド652〜1269を含む)、N−グリコシル化部位(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド313〜324を含む)、cAMP/cGMP依存性タンパク質キナーゼリン酸化部位(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド598〜609を含む)、cAMP/cGMP依存性タンパク質キナーゼリン酸化部位(例えば、配列番号2または3のヌクレオチド712〜723を含む)、少なくとも1つのタンパク質キナーゼCリン酸化部位(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド613〜621を含む)、第一のカゼインキナーゼIIリン酸化部位(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド655〜666を含む)、第二のカゼインキナーゼIIリン酸化部位(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド973〜984を含む)、チロシンキナーゼリン酸化部位(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド619〜639を含む)、N−ミリストイル化部位(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド643〜660を含む)、キナーゼ活性化ドメイン(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド1〜1104を含む)、TRAF結合ドメイン(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド1〜984を含む;あるいは配列番号1または3のヌクレオチド1〜1104を含む)、またはNFkB活性化ドメイン(例えば、配列番号1または3のヌクレオチド1〜1104を含む))をコードするヌクレオチド配列に対して(例えば、このヌクレオチド配列の全長に対して)少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%以上相同なヌクレオチド配列を含む。TRADE分子はまた、TRADE核酸の細胞内部分に、TNFレセプターデス(death)ドメインコンセンサス配列を欠く。
【0091】
さらに、本発明の核酸分子は、配列番号1または3の核酸配列、別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子の一部のみ(例えば、プローブまたはプライマーとして使用され得るフラグメントあるいはTRADEタンパク質の生物学的に活性な一部をコードするフラグメント)を含み得る。TRADE遺伝子のクローニングから決定されたこのヌクレオチド配列は、なお別のTRADEファミリーメンバー、ならびに多種由来のTRADEファミリーホモログの同定および/またはクローニングにおける使用のために設計されたプローブまたはプライマーの作製を可能にする。このプローブ/プライマーは、代表的には、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。1つの実施形態において、このオリゴヌクレオチドは、配列番号1もしくは3または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のセンス配列の、あるいは配列番号1もしくは3または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の天然に存在する対立遺伝子改変体もしくは変異体のセンス配列の少なくとも約12または15、好ましくは約20または25、より好ましくは約30、35、40、45、50、55、60、65、75または100の連続するヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。別の実施形態において、本発明の核酸分子は、長さが少なくとも約400、450、500、550、600、650、700、750、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500ヌクレオチド以上のヌクレオチド配列、およびストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1もしくは3の核酸分子または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列あるいはその相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
【0092】
他の実施形態において、本発明の核酸分子は、配列番号1または3あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子の、少なくとも約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500以上の連続するヌクレオチドを含む。
【0093】
別の実施形態において、本発明の核酸分子は、配列番号1または3あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子の、少なくとも約300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または約1500ヌクレオチド以上を含む核酸分子と、少なくとも約70%の同一性、より好ましくは80%の同一性、そしてさらにより好ましくは90%の同一性を有する。
【0094】
TRADEヌクレオチド配列に基づくプローブは、このタンパク質または相同なタンパク質をコードする転写産物またはゲノム配列を検出するために使用され得る。好ましい実施形態において、このプローブはさらに、それに連結された標識基を含む(例えば、この標識基は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る)。このようなプローブは、細胞または組織、特に上皮細胞または組織、特にTRADEタンパク質を誤って発現する上皮細胞または組織を同定するための診断試験キットの一部として、例えば、被験体由来の細胞のサンプルにおいてTRADEをコードする核酸のレベルを測定することによって(例えば、TRADEmRNAレベルを検出し、またはゲノムTRADE遺伝子が変異されているかもしくは欠失されているかを決定することによって)使用され得る。
【0095】
「生物学的に活性なTRADEタンパク質の一部」をコードする核酸フラグメントは、配列番号1または3のヌクレオチド配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の一部を単離することによって調製され得る。これは、TRADEの生物学的活性(例えば、増殖、アポトーシス、および/またはNFkBもしくはJNKシグナル伝達経路を通じたシグナル伝達を調節する能力)を有し、TRADEタンパク質のコードされた部分を発現し(例えば、インビトロでの組換え体の発現によって)、そしてTRADEタンパク質のコードされた部分の活性を評価するポリペプチドをコードする。
【0096】
配列番号1または3あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子とは異なる核酸分子は、遺伝暗号の同義性に起因して、従って、本発明によって含まれる配列番号1または3あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子によってコードされるものと同じTRADEタンパク質をコードする。従って、別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号2または4に示されたアミノ酸配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドのアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
【0097】
配列番号1または3に示されたTRADEヌクレオチド配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に加えて、TRADEタンパク質のアミノ酸配列における変化を導くDNA配列の多型性が、集団(例えば、ヒト集団)内に存在し得ることが、当業者によって理解される。TRADE遺伝子におけるこのような遺伝的な多型性は、天然の対立遺伝子改変体に起因して、集団内の個体間に存在し得る。本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」は、TRADEタンパク質、好ましくは哺乳動物TRADEタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含み、そしてさらに非コード調節配列およびイントロンを含み得る核酸分子をいう。このような天然の対立遺伝子改変体は、機能的なTRADEタンパク質および非機能的なTRADEタンパク質の両方を含み、そして代表的に、TRADE遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の変化を生じ得る。天然の対立遺伝子改変体の結果であり、そしてTRADEタンパク質の機能的活性を変更しない、TRADE遺伝子における任意のおよび全てのこれらのヌクレオチド改変体および得られるアミノ酸の多型性は、特許請求された方法において使用され得る。
【0098】
さらに、他のTRADEファミリーメンバーをコードし、従って配列番号1または3のTRADEファミリー配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明の範囲内であることが意図される。さらに、他種由来のTRADEタンパク質をコードし、従って配列番号1または3のTRADE配列あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、特許請求された方法において使用され得る。
【0099】
本発明のTRADE分子の天然の対立遺伝子改変体およびホモログに対応する核酸分子は、(例えば、本明細書中に開示されたTRADE核酸に対する相同性に基づいて、本明細書中に開示されるcDNAまたはその部分を、標準的なハイブリダイゼーション技術に従ったハイブリダイゼーションプローブとして使用して)単離され得る。例えば、TRADE DNAは、ヒトゲノムDNAライブラリーから、配列番号1または3あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の全てまたは一部をハイブリダイゼーションプローブとして使用し、そして標準的なハイブリダイゼーション技術を使用して単離され得る(例えば、Sambrook、J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載のように)。さらに、TRADE遺伝子の全てまたは一部を含む核酸分子は、配列番号1または3あるいは他のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子の配列に基づいて設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応によって単離され得る。例えば、mRNAは、細胞から単離され得(例えば、Chrigwinら、1979、Biochemistry 18:5294−5299のグアニジニウム−チオシアナート抽出手順によって)、そしてcDNAは、逆転写酵素(例えば、Gibco/BRL、Bethesda、MDから利用可能なモロニーMLV 逆転写酵素;またはSeikagaku America、Inc.、St.Petersburg、FLから利用可能なAMV逆転写酵素)を使用して調製され得る。PCR増幅のための合成オリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1または3に示されるかあるいは別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子のヌクレオチド配列に基づいて設計され得る。本発明の核酸分子は、cDNA、あるいは、ゲノムDNAを鋳型として使用し、そして標準的なPCR増幅技術に従った適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅され得る。このように増幅された核酸は、適切なベクター中にクローニングされ、DNA配列決定分析によって特徴づけられ得る。さらに、TRADEヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術によって、例えば、自動化されたDNA合成機を使用して調製され得る。
【0100】
別の実施形態において、本発明の単離された核酸は、数学的アルゴリズムを使用して、共有ヌクレオチド配列同一性に基づいて同定され得る。そのようなアルゴリズムは、以下(例えば、第III節を参照のこと)により詳細に概説される。
【0101】
別の実施形態において、本発明の単離された核酸は、少なくとも15ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド以上の長さであり、そして配列番号1もしくは3のヌクレオチド配列または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列あるいはその相補鎖を含む核酸分子に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。他の実施形態において、その核酸分子は、少なくとも30ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長、100ヌクレオチド長、150ヌクレオチド長、200ヌクレオチド長、250ヌクレオチド長、300ヌクレオチド長、350ヌクレオチド長、400ヌクレオチド長、450ヌクレオチド長、500ヌクレオチド長、550ヌクレオチド長、または600ヌクレオチド長である。本明細書において使用される場合、用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、互いに対して少なくとも30%、40%、50%、または60%相同なヌクレオチド配列が代表的には互いにハイブリダイズしたままである、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を記載するように意図される。好ましくは、その条件は、互いに対して少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、なおより好ましくは少なくとも約85%もしくは90%相同である配列が、互いにハイブリダイズしたままであるようである。そのようなストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、そしてCurrent Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、N.Y.(1986)、6.3.1〜6.3.6中に見出され得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましく非限定的な例は、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーション、その後、約50〜65℃で0.2×SSC、0.1% SDS中での1回以上の洗浄である。好ましくは、配列番号1もしくは3または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子の配列またはその相補鎖にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、本発明の単離された核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。
【0102】
本明細書中で使用される場合、「天然に存在する」核酸分子とは、天然で存在するヌクレオチド配列を有する(例えば、天然のタンパク質をコードする)、RNA分子またはDNA分子をいう。配列番号1もしくは3に示されるTRADEヌクレオチド配列または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子に加えて、TRADEのヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列における些細な変化をもたらすDNA配列多型が、集団中に存在し得ることが、当業者によって認識される。TRADE遺伝子におけるそのような遺伝的多型が、天然の対立遺伝子変化に起因して、集団中の個体の間に存在し得る。そのような天然の対立遺伝子変化は、代表的には、その遺伝子のヌクレオチド配列中に1〜2%の変動を生じる得る。天然の対立遺伝子変化の結果でありかつTRADEポリペプチドの機能的活性を変化しない、TRADEにおけるそのようなヌクレオチド変化および生じるアミノ酸多型が、本発明の範囲内にある。
【0103】
その集団中に存在し得るTRADE配列の天然に存在する対立遺伝子改変体に加えて、ヌクレオチド配列中(例えば、配列番号1もしくは3のヌクレオチド配列中または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子中)への変異によって、些細な変化が導入され得、それにより、TRADEタンパク質の機能的活性を変化することなく、コードされるタンパク質のアミノ酸配列中に変化をもたらし得ることを、当業者はさらに認識する。例えば、「非必須」アミノ酸残基でのアミノ酸置換を生じるヌクレオチド置換が、配列番号1もしくは3または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子の配列中になされ得る。「非必須」アミノ酸残基は、TRADE核酸分子の野生型配列(例えば、配列番号1もしくは3または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子の配列)から、TRADE分子の機能的活性を変化することなく変化され得る残基である。非必須であり、従って置換を受けやすい、例示的残基は、TRADE関連分子のアミノ酸アラインメントを実施し、そして保存されていない残基を決定することによって、当業者により同定され得る。そのような残基は、保存されていなかったので、より置換をうけやすい可能性がある。
【0104】
従って、本発明の別の局面は、TRADE活性に必須ではないアミノ酸残基中に変化を含む、TRADEタンパク質をコードする核酸分子に関する。そのようなTRADEタンパク質は、配列番号2もしくは4からのアミノ算配列または別のTRADEファミリーポリペプチドのアミノ酸配列と異なるが、なお固有のTRADE活性を保持する。TRADEタンパク質の非天然改変体をコードする単離された核酸が、配列番号1もしくは3または別のTARDEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子のヌクレオチド配列中に1つ以上のヌクレオチド置換、付加または欠失を導入し、そのコードされるタンパク質中に1つ以上のアミノ酸置換、付加または欠失が導入されるようにすることによって、作製され得る。標準的技術(例えば、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発)によって、配列番号1もしくは3または別のTARDEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子中に、変異が導入され得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換が、1つ以上の非必須アミノ酸残基でなされる。「保存的アミノ酸置換」は、そのアミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基によって置換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で規定されおり、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。従って、TRADEにおける非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置換される。
【0105】
あるいは、別の実施形態において、TARDEコード配列のすべてまたは一部の沿ってランダムに、例えば、飽和(saturation)変異誘発によって、変異が導入され得、そして生じた変異体が、DNAに結合する能力および/または転写を活性化する能力についてスクリーニングされ得、機能的活性を保持する変異体が同定され得る。変異誘発後、コードされるTARDE変異体タンパク質が、宿主細胞において組換え発現され得、そしてその変異体タンパク質の機能的活性が、TARDE活性を評価するために当該分野で利用可能なアッセイを使用して決定され得る。
【0106】
本発明のなお別の局面は、TRADE融合タンパク質をコードする核酸分子を単離することに関する。そのような核酸分子(非TARDEタンパク質、非TRADEポリペプチドまたは非TRADEペプチドをコードする第2のヌクレオチド配列に作動可能に連結された、TRADE活性を有する全長TRADEタンパク質、全長TRADEポリペプチドまたは全長TRADEペプチドをコードする少なくとも第1のヌクレオチド配列を含む)が、標準的組換えDNA技術によって調製され得る。
【0107】
好ましい実施形態において、改変体または変異体のTRADEタンパク質が、本明細書中に記載されるようにTRADE活性についてアッセイされ得る。
【0108】
上記のTRADEタンパク質をコードする核酸分子に加えて、本発明の別の局面は、その核酸分子に対してアンチセンスである核酸分子を単離することに関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸と相補的(例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖と相補的またはmRNA配列と相補的)である、ヌクレオチド配列を含む。従って、アンチセンス核酸分子は、センス核酸分子に水素結合し得る。このアンチセンス核酸分子は、TRADEコード鎖全体に相補的であり得るか、またはその一部にのみ相補的であり得る。1つの実施形態において、アンチセンス核酸分子は、TRADEをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスである。用語「コード領域」は、アミノ酸残基へと翻訳されるコドンを含む、ヌクレオチド配列の領域をいう。別の実施形態において、そのアンチセンス核酸分子は、TRADEをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対してアンチセンスである。用語「非コード領域」は、アミノ酸への翻訳されないコード領域に隣接する、5’配列および3’配列をいう(すなわち、5’非翻訳領域および3’非翻訳領域ともいう)。
【0109】
本明細書中に開示されるTRADEをコードするコード鎖配列を考慮すると、本発明のアンチセンス核酸は、ワトソン−クリック塩基対形成の規則に従って設計され得る。このアンチセンス核酸分子は、TRADE mRNAのコード領域全体と相補的であり得るが、より好ましくは、TRADE mRNAのコード領域または非コード領域の一部のみに対してアンチセンスである、オリゴヌクレオチドである。例えば、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、TRADE mRNAの翻訳開始部位の周囲の領域と相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸分子は、当該分野で公知の手順を使用して化学合成および酵素連結反応を使用して、構築され得る。例えば、アンチセンス核酸分子(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチドを使用して化学合成され得るか、またはその分子の生物学的安定性を増加するようにかもしくはそのアンチセンス核酸分子とセンス核酸分子との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加するように設計された、種々に改変されたヌクレオチドを使用して化学合成され得る(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用され得る)。このアンチセンス核酸分子を生成するために使用され得る改変されたヌクレオチドの例としては、以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。あるいは、このアンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向(すなわち、挿入された核酸から転写されるRNAが、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である)にサブクローニングされた発現ベクターを使用して、生物学的に作製され得る(以下の小節でさらに記載される)。
【0110】
本発明のアンチセンス核酸分子は、代表的には、被験体に投与されるかまたはインサイチュで生成されて、その結果、それらが、TRADEタンパク質をコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズまたは結合して、それによりそのタンパク質の発現を、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって、阻害する。このハイブリダイゼーションは、安定な二重鎖を形成する従来のヌクレオチド相補性によってか、または例えば、DNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合は、その二重鎖へリックスの主溝における特異的相互作用を介して、であり得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例としては、組織部位での直接注入が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択した細胞を標的とするように改変され得、その後全身投与され得る。例えば、全身投与のために、アンチセンス分子は、それらが、選択した細胞表面上に露出したレセプターまたは抗原に特異的に結合するように、例えば、細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体へそのアンチセンス核酸分子を連結することによって、改変され得る。このアンチセンス核酸分子はまた、本明細書中に記載されるベクターを使用して、細胞に送達され得る。このアンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、そのアンチセンス核酸分子が強力なpolIIプロモーターまたはpolIIIプロモーターの制御下に配置されたベクター構築物が、好ましい。
【0111】
なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、通常のβ単位とは対照的に、それらの鎖が互いに並行に走っている、相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成する(Gaultierら(1987)Nucleic Acids.Res.15:6625〜6641)。このアンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら(1987)Nucleic Acids Res.6131〜6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら(1987)FEBS Lett.215:327〜330)を含み得る。
【0112】
なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸は、リボザイムである。リボザイムは、それらが相補的領域を有する一本鎖核酸(例えば、mRNA)を切断し得る、リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。従って、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(HaselhoffおよびGerlach、1988、Nature 334:585〜591)に記載される)が、TRADE mRNA転写物を触媒切断し、それによりTRADE mRNAの翻訳を阻害するために、使用され得る。TRADEコード核酸についての特異性を有するリボザイムが、配列番号1もしくは3または別のTARDEファミリーポリペプチドをコードする核酸分子のヌクレオチド配列に基づいて設計され得る。例えば、その活性部位のヌクレオチド配列が、TRADEコードmRNAにおいて切断されるヌクレオチド配列と相補的である、Tetrahymena L−19 IVS RNAの誘導体が、構築され得る。例えば、Cechら、米国特許第4,987,071号;およびCechら、米国特許第5,116,742号を参照のこと。あるいは、TRADE mRNAは、特定のリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAをRNA分子のプールから選択するために使用され得る。例えば、Bartel,D.およびSzostak,J.W.、1993、Science 261:1411〜1418を参照のこと。
【0113】
あるいは、遺伝子発現が、標的細胞中のTARDE遺伝子の転写を妨げる三重へリックス構造を形成するようにTRADEの調節領域(例えば、TRADEプロモーターおよび/またはエンハンサー)と相補的であるヌクレオチド配列を標的とすることによって、阻害され得る。一般的には、Helene,C.1991、Anticancer Drug Des.6(6):569〜84;Helence,C.ら、1992、Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27〜36;およびMaher,L.J.、1992、Bioassays 14(12):807〜5を参照のこと。
【0114】
なお別の実施形態において、本発明のTARDE核酸分子は、例えば、その分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または可溶性を改善するために、塩基部分、糖部分またはリン酸骨格にて改変され得る。例えば、その核酸分子のデオキシリボースリン酸骨格が、ペプチド核酸を生成するように改変され得る(Hyrup B.ら、1996、Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1):5〜23を参照のこと。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースリン酸骨格がプソイドペプチド骨格によって置換され、4つの天然の核酸塩基のみが保持されている、核酸模倣物(例えば、DNA模倣物)をいう。RNAの天然の骨格は、低イオン強度条件下でのDNAとRNAとの特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示されている。RNAオリゴマーの合成は、Hyrup B.ら、1996、前出;Perry−O’Keefeら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14670〜675に記載される、標準的固相ペプチド合成プロトコルを使用して実施され得る。
【0115】
TRADE核酸分子のPNAは、治療適用および診断適用にて使用され得る。例えば、PNAは、例えば、転写もしくは翻訳の停止を誘導することによってかまたは複製を阻害することによって、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンス剤またはアンチジーン剤として使用され得る。TRADE核酸分子のPNAはまた、(例えば、PNA指向的PCRクランピング(PNA−directed PCR clampingによる)遺伝子中の一塩基対変異の分析においてか;他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ(Hyrup B.1996、前出))と組み合わせて使用した場合に人工制限酵素としてか;またはDNA配列決定もしくはハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして(Hyrup B.ら、1996、前出;Perry−O’Keefe、前出)、使用され得る。
【0116】
別の実施形態において、TRADEのPNAは、(例えば、その安定性または細胞取込みを増強するために)PNAに親油性基または他のヘルパー基を結合することによってか、PNA−DNAキメラの形成によってか、またはリポソームの使用もしくは当該分野で公知の他の薬物送達技術の使用によって、改変され得る。例えば、PNAおよびDNAの有利な特性を組み合わせ得る、TRADE核酸分子のPNA−DNAキメラが、作製され得る。このようなキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNアーセHおよびDNAポリメラーゼ)がそのDNA部分と相互作用することを可能にしつつ、そのPNA部分が高い結合親和性および結合特異性を提供する。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基間の結合数、および方向に関して選択された適切な長さのリンカーを使用して、連結され得る(Hyrup B.1996、前出)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup B.1996、前出およびFinn P.J.ら、1996、Nucleic Acids Res.24(17)3357〜63に記載される。例えば、DNA鎖は、標準的ホスホルアミダイト結合化学を使用して、固体支持体上で合成され得、そして改変型ヌクレオシドアナログ(例えば、5’−(4−メトキシトリチル)アミノ5’−デオキシ−チミジンホスホロアミダイト)が、PNAとDNAの5’末端との間として使用され得る(Mag,M.ら、1989、Nucleic Acid Res.17:5973〜88)。次いで、PNAモノマーが、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を生成するように、段階様式で結合される(Finn P.J.ら、1996、前出)。あるいは、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを有するキメラ分子が、合成され得る(Peterser,K.H.ら、1975、Bioorganic Med.Chem.Lett.5:1119〜11124)。
【0117】
他の実施形態において、このオリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付加基(例えば、インビボで宿主細胞レセプターを標的するため)、または細胞膜(例えば、Lesingerら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.US.86:6553〜6556;Lemaitreら、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648〜652;PCT公開番号WO88/09810を参照のこと)または血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134を参照のこと)を横切る輸送を促進する因子を含み得る。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション標的化切断剤(例えば、Krolら、1988、Bio−Techniques 6:958〜976)またはインターカレート剤(例えば、ZOn、1988、Pharm.Res.5:539〜549を参照のこと)で改変され得る。この目的のために、このオリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘導架橋剤、輸送因子、またはハイブリダイゼーション誘導切断剤)と結合体化され得る。
【0118】
アンチセンスポリヌクレオチドは、トランスフェクタント細胞またはトランスジェニック細胞において異種発現カセットから生成され得る。あるいは、アンチセンスポリヌクレオチドは、外部環境(インビトロで培養培地中にか、またはインビボで循環系にもしくは間質性液にのいずれか)に投与される可溶性オリゴヌクレオチドを含み得る。外部環境に存在する可溶性アンチセンスポリヌクレオチドは、細胞質に対するアクセスを得るおよび特定のmRNA種の翻訳を阻害することが示されている。
【0119】
(B.単離されたTRADEタンパク質、そのフラグメント、および抗TRADE抗体)
単離されたTRADEタンパク質およびその生物学的に活性な部分はまた、調節剤として、ならびに抗TRADE抗体を惹起するための免疫原としての使用に適切なポリペプチドフラグメントとして用い得る。1つの実施形態において、ネイティブなTRADEタンパク質は、標準的タンパク質精製技術を用いて適切な精製スキームによって細胞または組織供給源から単離され得る。別の実施形態において、TRADEタンパク質は、組み換えDNA技術によって生成され得る。組み換え発現に代わって、TRADEタンパク質またはポリペプチドは、標準的ペプチド合成技術を用いて、化学的に合成され得る。TRADEタンパク質(例えば、配列番号2もしくは配列番号4、または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするアミノ酸配列)の使用を考察するにおいて、全長TRADEポリペプチドではないこのようなタンパク質のフラグメント(例えば、1つ以上のTRADEドメイン(例えば、配列番号2の残基193〜417、または配列番号4の193〜423に対応するアミノ酸残基を含む細胞内ドメイン、配列番号2または4の残基1〜168に相当するアミノ酸残基を含む細胞外ドメイン、配列番号2または4の残基169〜192に相当するアミノ酸残基を含む膜貫通ドメイン、配列番号2または4の残基29〜63に相当するアミノ酸残基を含む第一のシステインリッチドメイン、配列番号2または4の残基72〜114に相当するアミノ酸残基を含む第二のシステインリッチドメイン、配列番号2または4の残基114〜139に相当するアミノ酸残基を含む第3のシステインリッチドメイン、配列番号2または4の残基137〜168に相当するアミノ酸残基を含むセリン/トレオニン/プロリンリッチドメイン、配列番号2の残基218〜417または配列番号4の残基218〜423に相当するアミノ酸残基を含むTRADE関連死エフェクタードメイン、配列番号2または4の残基105〜108に相当する部位のNグリコシル化部位、配列番号2または4の残基200〜203に相当する部位のcAMP−cGCP依存性タンパク質キナーゼリン酸化部位、配列番号2または4の残基238〜241に相当する部位のcAMP/cGMP依存性タンパク質キナーゼリン酸化部位、配列番号2または4の残基205〜207に相当する部位のプロテインキナーゼCリン酸化部位、配列番号2または4の残基219〜222に相当する部位のカゼインキナーゼIIリン酸化部位、および配列番号2または4の残基325〜328に相当する部位、配列番号2または4の残基207〜213に相当する部位のチロシンキナーゼ部位、あるいは配列番号2または4の残基215〜220に相当する部位のN−ミリストイル化部位を含むもの)がまた本発明の範囲内であることが理解される。
【0120】
本発明の別の局面は、単離されたTRADEタンパク質に関する。好ましくは、TRADEタンパク質は、配列番号1または3、または別のTRADEファミリーポリペプチドもしくはその部分をコードするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態において、このタンパク質は、配列番号2もしくは4のアミノ酸配列、または別のTRADEファミリーポリペプチドもしくはその部分のアミノ酸配列を含む。他の実施形態において、このタンパク質は、配列番号2もしくは4に示されるアミノ酸配列、または別のTRADEファミリーポリペプチドもしくはその部分(例えば、上記のコンセンサスドメイン)のアミノ酸配列と、少なくとも50%、少なくとも60%のアミノ酸同一性、より好ましくは70%アミノ酸同一性、より好ましくは80%、そしてなおより好ましくは、90%もしくは95%のアミノ酸同一性を有する。
【0121】
TRADEポリペプチド分子の好ましい部分は、生物学的に活性であり、すなわち、NFkBおよび/またはJNKを活性化し、それによって増幅を調節する能力を有し、ならびに/あるいは細胞中のアポトーシスを調節する能力を有するTRADEポリペプチドの一部をコードする。好ましくは、この細胞は、上皮細胞(例えば、延性の上皮細胞)である。
【0122】
TRADEタンパク質の生物学的に活性な部分は、TRADEタンパク質のアミノ酸配列と実質的に相同であるかまたはそのアミノ酸配列から誘導されたアミノ酸配列を含むペプチドを含む。このTRADEタンパク質のアミノ酸配列は、全長TRADEタンパク質よりも少ないアミノ酸を含み、そしてTRADEタンパク質の少なくとも1つの活性を示す。
【0123】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の間の同一性パーセントを決定するため、この配列を至適比較目的で整列させる(例えば、ギャップは、至適整列のため第一および第二のアミノ酸配列または第一および第二の核酸配列の1つまたは両方において誘導され得る)。好ましい実施形態において、比較目的で整列される参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、なおより好ましくは少なくとも60%、そしてなおより好ましくは少なくとも70%、80%、または90%の長さである。次いで、対応する位置の残基を比較し、そして1つの配列中の位置が、他の配列における対応する位置と同じ残基によって占有される場合、この分子は、その位置で同一である。従って、2つの配列の間の同一性パーセントは、2つの配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一の位置の数/位置の総数×100)。2つの配列の間の同一性パーセントは、この配列によって共有される同一の位置の数の関数である。この数は、2つの配列の至適整列(アラインメント)のために導入されるギャップの数および各ギャップの長さを考慮する。本明細書において用いる場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と同等である。
【0124】
配列の比較および2つの配列の間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成され得る。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの非限定的な例は、KarlinおよびAltschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264のアルゴリズム(KarlinおよびAltschul、1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873のように改変されている)である。このようなアルゴリズムは、Altschulら、1990,J.Mol.Biol.215:403のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に対して相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実施される。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実施され得る。比較目的のためにギャップアラインメントを得るために、ギャップ化BLASTが、Altschulら、1997、Nucleic Acids Research 25(17):3389に記載のように利用され得る。BLASTおよびギャップ化BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォールトパラメーターが用いられ得る。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。配列の比較に利用される、別の好ましい、非限定的アルゴリズムは、MyersおよびMiller、CABIOS(1989)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)中に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためのALIGNプログラムを利用する場合、PAM120ウェイト残表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティー12、およびギャップペナルティー4が使用され得る。
【0125】
タンパク質配列のアラインメントのために利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的実施例は、Lipman−Pearsonアルゴリズム(LipmanおよびPearson,1985、Science 227:1435)である。Lipman−Pearsonアルゴリズムを用いる場合、PAM250ウェイト残表、ギャップ長ペナルティー12、ギャップペナルティー4およびKutple2が使用され得る。核酸配列のアラインメントのために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的実施例は、Wilbur−Lipmanアルゴリズム(WiburおよびLipman,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:726)である。Wibur−Lipmanアルゴリズムを用いる場合、ウインドウ20、ペナルティー3、Ktuple3を用い得る。Lipman−PersonアルゴリズムおよびWibur−Lipmanアルゴリズムの両方が、例えば、DNASTAR配列分析ソフトウェアパッケージの一部であるMEGALIGNプログラム(例えば、バージョン3.1.7)に取り込まれている。
【0126】
配列分析のためのさらなるアルゴリズムは当該分野で公知であり、そしてADVANCEおよびADAM(TorelliおよびRobotti,1994、Comput.Appl.Biosci.10:3に記載)およびFASTA(PearsonおよびLipman、1988.Proc.Natl.Acad.Sci USA 85:2444に記載)を含む。
【0127】
好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列の間の同一性パーセントを、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを用いて決定する。これには、Blosum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、および16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重量および1、2、3、4、5、または6の長さ重み(レングスウェイト)を用いる。別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列の間の同一性パーセントを、NWSgapdnaを用いる、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを用いて決定する。CMPマトリックスおよびギャップウェイト:40、50、60、70または80、そして長さ重み(レングスウェイト):1、2、3、4、5、または6。
【0128】
タンパク質アラインメントはまた、Geneworks全体的タンパク質アラインメントプログラム(global protein alignment program)(例えば、バージョン2.5.1)を用いてなされ得る。このプログラムでは、コスト対オープンギャップセット5、コスト対長さギャップセット5、最小対角線長さセット4、最大対角線オフセットセット130、コンセンサスカットオフセット50%であり、Pam 250マトリックスを利用する。
【0129】
本発明の核酸およびタンパク質配列はさらに、公的データベースに対する検索を実施するための、「問い合わせ配列(query sequence)」として用いられ、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連の配列を同定し得る。このような検索は、Altschulら、1990,J.Mol.Biol.215:403〜10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて実施され得る。BLAST核酸検索は、本発明のTRADE核酸分子に対して相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実施され得る。BLASTタンパク質検索は、本発明のTRADEタンパク質分子に対して相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実施され得る。比較目的でギャップ化アラインメントを得るために、ギャップ化BLASTを、Altschulら、1997、Nucleic Acids Res.25(17):3389〜3402に記載のように利用し得る。BLASTおよびギャップ化(Gapped)BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォールトパラメーター(例えば、XBLASTおよびNBLAST)を用い得る。例えば、本発明のヌクレオチド配列は、デフォールトBLASTNマトリックス1−3(ギャップペナルティーセット:存在11および伸長1)を用いて分析され得る。本発明のアミノ酸配列は、デフォールト設定:Blosum62マトリックス(ギャップペナルティーセット:存在11および伸長1)を用いて分析され得る。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照のこと。
【0130】
本発明はまた、TRADEのキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本明細書において用いる場合、TRADEの「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非TRADEポリペプチドに作動可能に連結したTRADEポリペプチドを含む。「TRADEポリペプチド」とは、TRADEポリペプチドに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいうが、一方「非−TRADEポリペプチド」とは、TRADEタンパク質に実質的に相同でないタンパク質(例えば、TRADEタンパク質とは異なるタンパク質、および同じまたは異なる生物体に由来するタンパク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。TRADE融合タンパク質において、TRADEポリペプチドは、TRADEタンパク質の全てまたは一部に相当し得る。好ましい実施形態において、TRADE融合タンパク質は、TRADEタンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分(例えば、TRADEコンセンサスドメイン)を含む。融合タンパク質において、用語「作動可能に連結した」とは、TRADEポリペプチドおよび非TRADEポリペプチドがお互いにインフレームで融合していることを示すことを意図する。非TRADEポリペプチドは、TRADEポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
【0131】
例えば、1つの実施形態において、融合タンパク質は、GST−TRADEメンバーの融合タンパク質であり、ここでTRADEメンバー配列は、GST配列のC末端に融合されている。別の実施形態において、この融合タンパク質は、TRADE−HA融合タンパク質であり、ここでTRADEメンバーヌクレオチド配列は、pCEP4−HAベクターのようなベクターに挿入されており(Herrscher、R.F.ら、1995、Genes Dev.9:3067〜3082)、その結果、TRADEメンバー配列は、インフルエンザ血球凝集素エピトープタグにインフレームで融合されている。このような融合タンパク質は、組み換えTRADEメンバーの精製を容易にし得る。
【0132】
組み換え技術によって精製される融合タンパク質およびペプチドは、タンパク質またはペプチドを含む、細胞および培地の混合物から分泌および単離され得る。あるいは、タンパク質またはペプチドは、細胞内に保持され得、そしてこの細胞が回収され、溶解され、そしてタンパク質が単離される。細胞培養物は代表的に宿主細胞、培地および他の副生成物を含む。細胞培養のための適切な培地は、当該分野で周知である。タンパク質およびペプチドは、タンパク質およびペプチドを精製するための、当該分野で公知の技術を用いて、細胞培養培地、宿主細胞、またはその両方から単離され得る。宿主細胞をトランスフェクトする技術ならびにタンパク質およびペプチドを精製する技術は当該分野で公知である。
【0133】
好ましくは、本発明のTRADE融合タンパク質は、標準的組み換えDNA技術によって生成される。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントは、例えば、連結のための平滑末端またはずれた末端、適切な末端を得るための制限酵素消化、必要に応じて粘着性末端の充填、所望されない接続を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的ライゲーション(連結)を使用して、従来の技術に従ってインフレームで一緒に連結される。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動DNA合成器を含む従来の技術によって合成され得る。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、2つの保存的遺伝子フラグメントの間の相補的オーバーハングを生じる、アンカープライマーを用いて実行され得る。この遺伝子フラグメントは、引き続いてキメラ遺伝子配列を生成するためにアニーリングおよび再増幅され得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、編、Ausubelら、John Wiley & Sons:1992、を参照のこと)。さらに、既に融合部分をコードしている多くの発現ベクターが、市販されている(例えば、GSTポリペプチドまたはHAエピトープタグ)。TRADEコード核酸は、融合部分がTRADEタンパク質にインフレームで連結されるように、このような発現ベクター中にクローニングされる。
【0134】
別の実施形態において、融合タンパク質は、N末端で異種シグナル配列を含むTRADEタンパク質である。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、TRADEの発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用を通じて増大され得る。本発明のTRADE融合タンパク質は、薬学的組成物中にとく込まれ、そしてインビボで被験体に投与され得る。TRADE融合タンパク質の使用は、例えば、TRADEリガンドの可溶性アンタゴニストとして、障害の処置に治療上有用であり得る。このような処置によって利点となる障害としては、例えば、癌またはアルツハイマー病が挙げられる。このようなFc融合タンパク質は、TRADEリガンドの可溶性アンタゴニストとして用いられ得る。さらに、本発明のTRADE融合タンパク質は、被験体中で抗TRADE抗体を産生するための免疫原として用いられ得る。
【0135】
好ましくは、本発明のTRADEキメラタンパク質または融合タンパク質は、標準的組み換え方法によって生成され得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントは、例えば、連結のための平滑末端またはずれた末端、適切な末端を得るための制限酵素消化、必要に応じて粘着性末端の充填、所望されない接続を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的ライゲーション(連結)を使用して、従来の技術に従ってインフレームで一緒に連結される。別の実施形態では、融合遺伝子は、自動DNA合成器を含む従来の技術によって合成され得る。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、2つの保存的遺伝子フラグメントの間の相補的オーバーハングを生じる、アンカープライマーを用いて実行され得る。この遺伝子フラグメントは、引き続いてキメラ遺伝子配列を生成するためにアニーリングおよび再増幅され得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、編、Ausubelら、John Wiley & Sons:1992、を参照のこと)。さらに、既に融合部分をコードしている多くの発現ベクターが、市販されている(例えば、GSTポリペプチド)。TRADEコード核酸は、融合部分がTRADEタンパク質にインフレームで連結されるように、このような発現ベクター中にクローニングされ得る。
【0136】
1つの実施形態において、TRADE−Fc融合タンパク質は、当該分野において公知の技術を使用して作製され得る。例えば、本実施例において教示されるように、可溶性TRADE−Fc融合タンパク質は、TRADEの細胞外領域をコードするcDNA配列を、ヒト免疫グロブリン(Ig)のヒンジ−C2−C3領域に結合させることによって、構築され得る。任意のアイソタイプが、このような構築物を作製する際に使用され得る(例えば、Fcγ1、γ2、γ3、εまたはα)。細胞は、TRADE−Ig構築物を保有するプラスミドでトランスフェクトされ得、培養され得、そして馴化培地採取され得る。次いで、この融合タンパク質は、例えば、固定されたプロテインAのカラムを使用して、精製され得る。
【0137】
別の実施形態において、グリシン残基とセリン残基とのスペーサーが、TRADEとFc配列との間に組み込まれ得る。例えば、TRADE融合タンパク質のTRADE部分は、通常はTRADE細胞外領域(STASSPRDT(配列番号9))のC末端配列で;または第2のシステインリッチドメインと膜貫通ドメインとの間の他の残基において終結し得、そしてIgγ1ヒンジの残基は、DKTHTCP(例えば、SwissProtデータベースhttp://www.expasy.ch/sprotにおける登録中の番号P01857のポリペプチド配列の残基104で開始する)であり得る。これに続いてC2−C3ドメイン残基が存在し得るか、またはグリシン残基とセリン残基とのスペーサーが、TRADE配列とFc配列との間に組み込まれ得る。
【0138】
別の実施形態において、Fc配列のアロタイプ改変体を使用して、Fc融合タンパク質を構築し得る。別の実施形態において、エフェクター機能をブロックする変異(例えば、相補的なFcレセプターの結合のような)(Armourら、1999,Eur.J.Immunol.,29:2613;Morganら、1995,Immunology 86:319;Lundら、1991,J.Immunol.147:2657)が、融合タンパク質に組み込まれ得る。
【0139】
本発明はまた、TRADEアゴニスト(模倣物)またはTRADEアンタゴニストのいずれかとして機能する、TRADEタンパク質の改変体に関する。TRADEタンパク質の改変体は、変異誘発(例えば、別個の点変異またはTRADEタンパク質の短縮)によって生成し得る。TRADEタンパク質のアゴニストは、天然に存在する形態のTRADEタンパク質の生物学的活性と実質的に同じか、またはそのサブセットの活性を維持し得る。TRADEタンパク質のアンタゴニストは、例えば、TRADEタンパク質の細胞活性を競合的に調節することによって、天然に存在する形態のTRADEタンパク質の活性の1つ以上を阻害し得る。従って、特定の生物学的効果が、制限された機能の改変体での処理によって、惹起され得る。1つの実施形態において、天然に存在する形態のタンパク質の生物学的活性のサブセットを有する改変体での、被検体の処置は、天然に存在する形態のTRADEタンパク質での処置と比較して、被験体における副作用がより少ない。1つの実施形態において、本発明は、酸化、還元、または当該分野において公知の他の誘導体化プロセスによって、TRADEの少なくとも1つのアミノ酸残基を改変することによって形成され得る、TRADEの誘導体に関する。
【0140】
1つの実施形態において、TRADEアゴニスト(模倣物)またはTRADEアンタゴニストのいずれかとして機能する、TRADEタンパク質の改変体は、TRADEタンパク質の変異体(例えば、短縮変異体)のコンビナトリアルライブラリーを、TRADEタンパク質のアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性についてスクリーニングすることによって、同定され得る。1つの実施形態において、TRADE改変体の異型ライブラリーが、核酸レベルでのコンビナトリアル変異誘発によって生成され、そして異型遺伝子ライブラリーによってコードされる。TRADE改変体の異型ライブラリーは、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結し、その結果、潜在的なTRADE配列の変成のセットが、個々のポリペプチドとしてか、またはTRADE配列のセットを含むより大きな融合タンパク質(例えば、ファージディスプレイに関して)のセットとして表現可能であるようにすることによって、作製され得る。変性オリゴヌクレオチド配列から潜在的なTRADE改変体のライブラリーを作製するために使用され得る、種々の方法が存在する。変性遺伝子配列の化学合成が、自動化DNA合成機において実施され得、次いで合成遺伝子が、適切な発現ベクターに連結され得る。遺伝子の変性セットを使用することによって、1つの混合物において、所望のセットの潜在的なTRADE配列をコードする配列の全てを提供することが、可能となる。変性オリゴヌクレオチドを合成するための方法は、当該分野において公知である(例えば、Narang,S.A.,1983、Tetrahedron 39:3;Itakuraら、1984,Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakuraら、1984,Science 198:1056;Ikeら、1983,Nucleic Acid Res.11:477を参照のこと)。
【0141】
さらに、TRADEタンパク質コード配列のフラグメントのライブラリーを使用して、TRADEタンパク質の改変体のスクリーニングおよび引き続く選択のための、TRADEフラグメントの異型集団を生成し得る。1つの実施形態において、コード配列フラグメントのライブラリーは、TRADEコード配列の二本鎖PCRフラグメントを、ヌクレアーゼで、ニックが1分子あたり約1回のみ起こる条件下で処理し、この二本鎖DNAを変性し、このDNAを再生して異なるニック産物由来のセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成し、S1ヌクレアーゼでの処理によって、再形成した二重鎖から一本鎖部分を除去し、そして得られるフラグメントライブラリーを発現ベクターに連結することによって、生成され得る。この方法によって、TRADEタンパク質のN末端、C末端、および種々の大きさの内部フラグメントをコードする、発現ライブラリーが誘導され得る。
【0142】
点変異または短縮によって作製したコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、および選択された特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための、いくつかの技術が当該分野において公知である。このような技術は、TRADEタンパク質のコンビナトリアル変異誘発によって生成した遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングのために、適合可能である。高スループット分析に耐え得る、大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く使用される技術は、代表的に、この遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングする工程、適切な細胞を得られるベクターのライブラリーで形質転換する工程、およびこのコンビナトリアル遺伝子を、以下の条件で発現させる工程を包含する:所望の活性の検出が、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件。反復的な集団変異誘発(REM)(ライブラリーにおける機能的な変異体の頻度を増強する技術)を、スクリーニングアッセイと組み合わせて使用して、TRADE改変体を同定し得る(ArkinおよびYourvan,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;Delgraveら、1993,Protein Engineering 6(3):327−331)。
【0143】
1つの実施形態において、細胞に基づくアッセイを開発して、異型のTRADEライブラリーを分析し得る。例えば、発現ベクターのライブラリーが、TRADEを通常合成および分泌する細胞株にトランスフェクトされ得る。次いで、トランスフェクトした細胞が、TRADEおよび特定の変異TRADEが分泌されるように培養され、そして細胞上清におけるTRADE活性に対する変異体の発現の効果が決定され得る(例えば、多数の酵素アッセイのいずれかによって)。次いで、プラスミドDNAが、TRADE活性の阻害または相乗作用に関してスコア付けされた細胞から収集され得、そして個々のクローンがさらに特徴付けられる。
【0144】
天然に存在するアミノ酸のみからなるTRADEポリペプチドに加えて、TRADEペプチド模倣物もまた、提供される。ペプチドアナログは、テンプレートペプチドの特性と類似の特性を有する非ペプチド薬物として、製薬産業において通常使用される。これらの型の非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物(”peptide mimetics”or”peptidomimetics”)」と称され(Fauchere,J.,1986,Adv.Drug Res.15:29;VeberおよびFreidinger,1985,TINS 392頁;ならびにEvansら、1987,J.Med.Chem 30:1229、これらは、本明細書中に参考として援用される)、そして通常、コンピュータ化された分子モデル化の補助によって開発される。治療的に有用なペプチドと構造が類似しているペプチド模倣物は、等価な治療または予防の効果を生じるために使用され得る。一般に、ペプチド模倣物は、典型的なポリペプチド(すなわち、生物学的または薬理学的な活性を有するポリペプチド)(例えば、ヒトTRADE)と構造的に類似するが、当該分野において公知の方法によって、1つ以上のペプチド結合が、必要に応じて、−CH2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、および−CH2SO−からなる群より選択される結合によって置き換えられており、この技術は、以下の参考文献にさらに記載されている:Spatola,A.F.「Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides,and Proteins」B.Weinstein編、Marcel Dekker,New York,267頁(1983);Spatola,A.F.,Vega Data(1983年3月),第1巻,Issue 3、「Peptide Backbone Modifications」(一般的概説);Morley,J.S.,1980,Trends Pharm Sci 463−468頁(一般的概説);Hudson,D.ら、1979,Int J Pept Prot Res 14:177−185(−CH2NH−,CH2CH2−);Spatola,A.F.ら、1986,Life Sci 38:1243−1249(−CH2−S);Hann,−M.M.1982,J Chem Soc Perkin Trans I 307−314(−CH−CH−、シスおよびトランス);Almquist,R.G.ら、1980,J Med Chem 23:1392−1398(−COCH2−);Jennings−White,C.ら、1982,Tetrahedron Lett 23:2533(−COCH2−);Szelke,M.ら、1982,欧州出願番号EP 45665 CA:97:39405(1982)(−CH(OH)CH2−);Holladay,M.W.ら、1983,Tetrahedron Lett 24:4401−4404(−C(OH)CH2−);ならびにHruby,V.J.,1982,Life Sci 31:189−199(−CH2−S−);これらの各々は、本明細書中に参考として援用される。特に好ましい非ペプチド結合は、−CH2NH−である。このようなペプチド模倣物は、ポリペプチドの実施形態より優れた有意な利点(例えば、より経済的な生成、より大きな化学的安定性、増強された薬理学的特性(半減期、吸収、効能、効力など)、変化した特異性(例えば、広いスペクトルの生物学的活性)、減少した抗原性などが挙げられる)を有し得る。ペプチド模倣物の標識は、通常、定量的な構造−活性データおよび/または分子モデル化によって予測された、ペプチド模倣物における非妨害位置に、直接かまたはスペーサー(例えば、アミド基)を介して、1つ以上の標識を共有結合させることを包含する。このような非妨害位置は、一般に、ペプチド模倣物が結合して治療効果を生じる高分子との直接的な接触を形成しない位置である。ペプチド模倣物の誘導体化(例えば、標識)は、そのペプチド模倣物の所望の生物学的活性または薬理学的活性を実質的に妨害しないべきである。
【0145】
TRADEアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸の、同じ型のD−アミノ酸での系統的な置換(例えば、L−リジンの代わりにD−リジン)は、より安定なペプチドを生成するために使用され得る。さらに、TRADEアミノ酸配列を含む拘束されたペプチドまたは実質的に同一の配列改変体は、当該分野において公知の方法によって生成し得る(RizoおよびGierasch,1992,Ann.Rev.Biochem.61:387、本明細書中に参考として援用される);例えば、ペプチドを環化させる分子内ジスルフィド架橋を形成し得る、内部システイン残基を付加することによる。
【0146】
本明細書中において同定されるTRADEポリペプチドのアミノ酸配列によって、当業者は、TRADEペプチド配列およびその配列改変体に対応するポリペプチドを生成し得る。このようなポリペプチドは、原核生物または真核生物の宿主細胞において、TRADEペプチド配列を頻繁にはより大きなポリペプチドの一部としてコードするポリヌクレオチドの発現によって、生成し得る。あるいは、このようなペプチドは、化学的方法によって合成され得る。組換え宿主における異種タンパク質の発現、ポリペプチドの化学的合成、およびインビトロ翻訳のための方法は、当該分野において周知であり、そしてManiatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1989),第2版,Cold Spring Harbor,N.Y.;BergerおよびKimmel,Methods in Enzymology,第152巻,Guide to Molecular Cloning Techniques(1987),Academic Press,Inc.,San Diego,Calif.;Merrifield,J.,1969,J.Am.Chem.Soc.91:501;Chaiken I.M.,1981,CRC Crit.Rev.Biochem.11:255;Kaiserら、1989,Science 243:187;Merrifield,B.,1986,Science 232:342;Kent,S.B.H.,1988,Ann.Rev.Biochem.57:957;ならびにOfford,R.E.,1980,Semisynthetic Proteins,Wiley Publishing(これらは、本明細書中に参考として援用される)にさらに記載されている。
【0147】
ペプチドは、代表的に、直接的な化学合成によって生成し得、そして例えば、TRADE/TRADE結合タンパク質相互作用のアゴニストまたはアンタゴニストとして使用され得る。ペプチドは、N末端および/またはC末端に共有結合によって結合した非ペプチド部分を有する、改変されたペプチドとして生成し得る。特定の好ましい実施形態において、カルボキシ末端またはアミノ末端のいずれか、あるいは両方が、化学的に改変される。末端アミノ基およびカルボキシル基の最も通常の改変は、それぞれアセチル化およびアミド化である。アシル化(例えば、アセチル化)またはアルキル化(例えば、メチル化)のようなアミノ末端改変、およびアミド化のようなカルボキシ末端改変、ならびに他の末端改変(環化を含む)が、本発明の種々の実施形態に組み込まれ得る。特定のアミノ末端および/またはカルボキシ末端の改変ならびに/あるいはコア配列へのペプチド伸長は、物理的、化学的、生化学的、および薬理学的な有利な特性(例えば、増強した安定性、増加した効能および/または効力、血清プロテアーゼに対する耐性、所望の薬物速度論的特性など)を提供し得る。ペプチドは、疾患を処置するために、治療的に使用され得る(例えば、患者の細胞集団における細胞増殖またはアポトーシスのプロセスを変化させることによって)。
【0148】
単離されたTRADEタンパク質、またはその部分もしくはフラグメントはまた、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の調製のための標準的な技術を使用して、TRADEを結合する抗体を生成するために、免疫原として使用され得る。全長TRADEタンパク質が使用され得るか、あるいは本発明は、免疫原として使用するためのTRADEの抗原性ペプチドフラグメントを提供する。TRADEの抗原性ペプチドは、少なくとも8つのアミノ酸残基を含み、そしてTRADEのエピトープを含み、その結果、このペプチドに対して惹起される抗体は、TRADEと特異的な免疫複合体を形成する。好ましくは、この抗原性ペプチドは、少なくとも10のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15アミノ酸残基、なおより好ましくは少なくとも20アミノ酸残基、そして最も好ましくは、少なくとも30のアミノ酸残基を含む。
【0149】
あるいは、TRADEポリペプチドの抗原性ペプチドフラグメントは、免疫原として使用され得る。TRADEポリペプチドの抗原性ペプチドフラグメントは、代表的に、配列番号2または4に示すアミノ酸配列、あるいは別のTRADEファミリーポリペプチドのアミノ酸配列の、少なくとも8のアミノ酸残基を含み、そしてTRADEポリペプチドのエピトープを含み、その結果、このペプチドに対して惹起される抗体は、TRADE分子と免疫複合体を形成する。抗原性ペプチドによって含まれる好ましいエピトープは、TRADEの、このタンパク質の表面に位置する領域(例えば、親水性領域)である。1つの実施形態において、抗体は、TRADE分子に実質的に特異的に結合する。別の実施形態において、抗体はTRADEポリペプチドに特異的に結合する。
【0150】
好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも約10のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも約15のアミノ酸残基、なおより好ましくは少なくとも約20のアミノ酸残基、そして最も好ましくは少なくとも約30のアミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドによって含まれる好ましいエピトープは、TRADEポリペプチドの、このタンパク質の表面に位置する領域(例えば、親水性領域)であって、TRADEポリペプチドに独特の領域である。1つの実施形態において、このようなエピトープは、1つの種(例えば、マウスまたはヒト)由来のTRADEタンパク質に対して特異的であり得る(すなわち、種にわたって保存されないTRADEポリペプチドの領域にまたがる抗原性ペプチドが免疫原として使用される;このような非保存的残基は、本明細書中に提供されるもののようなアラインメントを使用して、決定され得る)。タンパク質の標準的な疎水性分析を実施して、親水性領域を同定し得る。
【0151】
TRADE免疫原は、代表的に、免疫原で適切な被験体(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)を免疫することによって、抗体を調製するために使用される。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換え的に発現されたTRADEタンパク質または化学的に合成されたTRADEペプチドを含み得る。この調製物は、フロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバントのようなアジュバント、あるいは類似の免疫刺激剤をさらに含有し得る。適切な被験体の、免疫原性TRADE調製物での免疫は、ポリクローナル抗TRADE抗体応答を誘導する。
【0152】
従って、本発明の別の局面は、抗TRADEファミリーポリペプチド抗体の使用に関する。このような抗体は、TRADEファミリーポリペプチドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストとして使用され得る。好ましい実施形態において、抗体は、具体的には、TRADEαまたはβと認識され、他のTRADEファミリーポリペプチドでないと認識される。ポリクローナル抗−TRADE抗体は、TRADE免疫原を有する適切な被験体を免疫することによって、上記のように調製され得る。免疫した被験体中の抗−TRADE抗体タイターを、例えば、免疫したTRADEポリペプチドを使用する、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)を用いる標準的な技術によって、経時的にモニタリングし得る。所望される場合、TRADEポリペプチドに対して特異的な抗体分子は、哺乳動物から単離され得、そしてIgG画分を得るために、タンパク質Aクロマトグラフィーのような周知の技術によってさらに精製され得る。免疫後の適切な時間に、例えば、抗TRADE抗体タイターが最も高い場合に、抗体産生細胞は、被験体から得られ得、そして以下のような標準的な技術によってモノクローナル抗体を調製するために使用され得る:KohlerおよびMilsteinによって本来記述されたハイブリドーマ技術(Kohler and Milstein,1975,Nature 256:495−497)(Brown et al.,1981,J Immunol 127:539−46;Brown et aL,1980,J Biol Chem 255:4980−83;Yeh et al.,1976,Prod.Natl.Acad.Sci USA 76:2927−31;およびYeh et al.,1982,Int.J.Cancer 29:269−75をまた参照のこと)、より最新のヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al.,1983,Immunol Today 4:72)、EBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al.,1985,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77.96)またはトリオーマ技術。モノクローナル抗体ハイブリドーマを産生するための技術は、周知である(一般に、R.H.Kenneth,in Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses,Plenum Publishing Corp.,New York,New York(1980);E.A.Lerner,1981,Yale J Biol.Med.,54:387−402;M.L.Gefter et al.,1977,Somatic Cell Genet.,3:231−36を参照のこと)。簡潔には、不死細胞株(代表的には、黒色腫)は、上記のようなTRADE免疫原を用いて免疫した哺乳動物からリンパ球(代表的に脾細胞)に融合され、そして得られたハイブリドーマ細胞の培地上清をスクリーニングし、TRADEポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する。
【0153】
リンパ球および免疫した細胞株を融合するために使用される任意の多くの周知のプロトコールは、抗TRADEモノクローナル抗体を産生する目的のために適用され得る(例えば、G.Galfre et al.,1977,Nature 266:55052;Gefter et al.Somatic Cell Genet.,(上述);Lerner,Yale J Biol.Med.,(上述);Kenneth,Monoclonal Antibodies,(上述))。さらに、当業者は、有用であるこのような方法の多くの改変体が存在することを理解する。代表的に、不死の細胞株(例えば、黒色腫細胞株)は、リンパ球として同一の哺乳動物種から誘導される。例えば、マウスのハイブリドーマは、不死化マウス細胞株を有する本発明の免疫原調製物を用いて免疫したマウスからリンパ球を融合することによって達成され得る。好ましい不死細胞株は、ヒポキサンチン、アミノタンパク質およびチミジン(「HAT培地」)を含む細胞培地に対して感受性であるマウス黒色腫細胞株である。任意の複数の黒色腫細胞株は、標準的な技術に従って融合パートナーとして使用され得る(例えば、P3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14黒色腫株)。これらの黒色腫株は、American Type Culture Collection(ATCC)、Rockvill,Mdから利用可能である。代表的に、HAT感受性マウス黒色腫細胞は、ポリエチレングリコール(「PEG」)を使用してマウス脾細胞に融合される。次いで、この融合から得られるハイブリドーマ細胞を、HAT培地を使用して選択し、これにより、非融合黒色腫細胞および非生産的な融合黒色腫細胞(形質転換していないので、死の数日後の非融合脾細胞)を死滅させる。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を、例えば、標準的なELISAアッセイを使用するTRADE分子と結合する抗体に関して、ハイブリドーマ培地上清をスクリーニングすることによって検出する。
【0154】
モノクローナル抗体−スクリーニングハイブリドーマを調製するための代わりとして、モノクローナル抗−TRADE抗体は、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリ(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリ)をTRADEを用いてスクリーニングすることによって、同定および単離して、これにより、TRADEポリペプチドと結合する免疫グロブリンライブラリメンバーを単離し得る。ファージディスプレイライブラリを生成およびスクリーニングするためのキットは、市販されている(the Pharmacia Recombinant Phage Antibody System,Catalog No.27−9400−01;およびthe Stratagene SurfZAPTM Phage Display Kit,Catalog No.240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリを生成およびスクリーニングするのに使用するために特に受け入れ可能な方法および薬剤の例としては、例えば、以下に見出され得る:Ladner et al.米国特許第5,223,409号;Kang et al.国際特許出願WO92/18619;Dower et al.国際特許出願WO91/17271;Winter et al.国際特許出願WO92/20791;Markland et al.国際特許出願WO92/15679;Breitling et al.国際特許出願WO93/01288;McCafferty et al.国際特許出願WO92/01047;Garrard et al.国際特許出願92/09690;Ladner et al.国際特許出願WO90/02809;Fuch et al.,1991,Bio/Technology 9:1370−1372;Hay et al.1992,Hum Antibod Hybridomas 3:81−85;Huse et al.1989,Science 246:1275−1281;Griffiths et al.1993,EMBO J 12:725−734;Hawkins et aL,1992,J Mol Biol 226:889−896;Clarkson et al.,1991,Nature 352:624−628;Gram et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci USA 89:3576−3580;Garrad et al.,1991,Bio/Technology 9:1373−1377;Hoogenboom et al.,1991,Nuc Acid Res 19:4133−4137;Barbas et al.,1991,Proc.Natl.Acad Sci USA 88:7978−7982;およびMcCafferty et al.,1990,Nature 348:552−554。
【0155】
さらに、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含む、組換え抗−TRADE抗体(例えば、キメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体)(これは、組換えDNAの標準的な技術を使用して作製される)は、本発明の範囲内である。このようなキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、例えば、以下に記載される方法を使用して、当該分野で公知の組換えDNA技術によって産生され得る:Robinson et al.国際特許出願PCT/US86/02269;Akira,et al.欧州特許出願184,187;Taniguchi,M.,欧州特許出願171,496;Morrison et al.欧州特許出願173,494;Neuberger et al.PCT出願WO86/01533;Cabilly et al.米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.欧州特許出願125,023;Better et al.,1988,Science 240:1041−1043;Liu et al.,1987,Proc.Natl.Acad Sci USA 84:3439−3443;Liu et al.,1987,J Immunol.139.3521−3526;Sun et al,1987,Proc.Natl.Acad Sci USA 84:214−218;Nishimura et al.,1987,Canc.Res.47:999−1005;Wood et al.,1985,Nature 314:446−449;およびShaw et al.,1988,J Natl Cancer Inst. 80:1553−1559);Morrison,S.L.,1985,Science 229:1202−1207;Oi et al.,1986,BioTechniques 4:214;Winter 米国特許第5,225,539号;Jones et al.,1986,Nature 321:552−525;Verhoeyan et al.,1988,Science 239:1534;ならびにBeidler et al.,1988,J Iininunol.141:4053−4060。
【0156】
さらに、ヒト化抗体は、米国特許第5,565,332号に記載されるもののような標準的なプロトコールに従って作製され得る。別の実施形態において、抗体鎖または特定の結合対メンバーは、特定の結合対メンバーのポリペプチド鎖の融合物をコードする核酸分子を含むベクターと、当該分野で公知の技術(米国特許第5,565,332号、同第5,871,907号、または同第5,733,743号)を使用する単結合対メンバーの第2ポリペプチド鎖をコードする核酸分子を含むベクターとの間で、組換えによって産生され得る。
【0157】
抗−TRADE抗体(例えば、モノクローナル抗体)を使用して、標準技術(例えば、親和性クロマトグラフィーまたは免疫沈降)によるTRADEポリペプチドを単離し得る。抗TRADE抗体は、細胞からの天然のTRADEポリペプチドの精製および宿主細胞中で発現された組換えにより産生されたTRADEポリペプチドの精製を容易にし得る。さらに、抗TRADE抗体を使用して、TRADEタンパク質(細胞溶解物または細胞上清)を検出し得る。検出は、抗体を検出可能な物質に結合する(例えば、物理学的に連結する)ことにより容易となり得る。従って、1実施形態において、本発明の抗TRADEは、検出可能な物質で標識され得る。検出可能な例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質および放射活性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、ホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシラーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン(umbelliferone)、フルオレセイン、フルオレセインイソシオシアネート、ローダミン、ジクロロチロアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ;そして放射活性物質の例としては、125I、131I、35SまたはHが挙げられる。
【0158】
従って、1実施形態において、抗TRADE抗体を、例えば、細胞内でタンパク質の活性を阻害するために使用し得る。細胞内でタンパク質の機能を阻害するための細胞内抗体の使用は、当該分野で公知である(例えば、Carlson,J.R.,1988,Mol.Cell.Biol.8:2638−2646;Biocca,S.et al.,1990,EMBO J.9:101−108;Werge,T.M.et al,1990,FEBS Letters 274:193−198;Carlson,J.R.,1993,Proc.Nad.Acad.Sci.USA 90:7427−7428;Marasco,W.A.et al.,1993,Proc.Nad.Acad.Sci.USA 90:7889−7893;Biocca,S.et al.,1994,Bio/Technology 12:396−399;Chen,S−Y.et al.,1994,Human Gene Therapy 5:595−601;Duan,L et al.,1994,Proc.Nad.Acad.Sci.USA 91:5075−5079;Chen,S−Y.et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5932−5936;Beerli,R.R.et al.,1994,J.Biol.Chem.269:23931−23936;Beerli,R.R.et al.,1994,Biochem.Biophys.Res.Commun.204:666−672;Mhashilkar,A.M.et al.,1995,EMBO J.14:1542−1551;Richardson,J.H.et al.),1995,Proc.Nad.Acad.Sci.USA 92:3137−3141;PCT出願番号WO94/02610(Marasco et al.;およびPCT特許出願WO95/03832(Duan et al.))。
【0159】
1実施形態において、抗体さをコードする組換え発現ベクターが、調製され、細胞中へのベクターの導入の際に、この抗体は、細胞の細胞内コンパートメント中の機能的抗体として発現される。本発明の阻害方法に従ってTRADE活性の阻害のために、TRADEタンパク質と特異的に結合する細胞内抗体は、細胞の細胞質中で発現される。細胞内抗体の発現ベクターを調製するために、目的の標的タンパク質(例えば、TRADE)に対して特異的な抗体鎖をコードする、抗体の軽鎖および重鎖cDNAが、TRADEタンパク質に特異的なモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマから代表的に単離される。抗TRADEモノクローナル抗体または組換え抗TRADEモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマは、上記のように調製され得る。一旦、TRADEタンパク質に対して特異的なモノクローナル抗体(例えば、ハイブリドーマ由来モノクローナル抗体またはコンビナトリアルライブラリ由来の組換え抗体)が、同定されると、モノクローナル抗体の軽鎖および重鎖をコードするDNAが、標準的な分子生物学技術によって単離される。ハイブリドーマ由来の抗体に関して、軽鎖cDNAおよび重鎖cDNAは、例えば、PCR増幅またはcDNAライブラリスクリーニングによって得られ得る。組み合わせ抗体に関して、例えば、ファージディスプレイライブラリより、軽鎖および重鎖をコードするcDNAは、ライブラリスクリーニングプロセスの間に単離されるディスプレイパッケージ(例えば、ファージ)から回収され得る。PCRプライマーまたはcDNAライブラリのプローブが調製され得る、抗体の軽鎖および重鎖遺伝子のヌクレオチド配列は、当該分野で公知である。例えば、このような多くの配列は、Kabat,E.A.,et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Departmentof−63−Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242に開示されている。
【0160】
一旦得られると、抗体の軽鎖および重鎖配列は、標準方法を使用して、組換え発現ベクター中にクローニングされる。軽鎖および重鎖の細胞質発現を可能にするために、軽鎖および重鎖の疎水性リーダーをコードするヌクレオチド配列が、除去される。細胞内抗体の発現ベクターは、いくつかの異なる形態の一つで細胞内抗体をコードし得る。例えば、1実施形態において、このベクターは、全長抗体が細胞内で発現されるように、全長抗体の軽鎖および重鎖をコードする。別の実施形態において、このベクターは、全長軽鎖(しかし、重鎖はVH/CH1領域のみ)をコードし、Fabフラグメントは、細胞内で発現される。最も好ましい実施形態において、このベクターは、単鎖抗体(scFv)をコードし、ここで、軽鎖および重鎖の可変領域は、可撓性ペプチドリンカー(例えば、(GlySer))によって連結され、そして単鎖分子として発現される。細胞中でTRADE活性を阻害するために、この抗TRADE細胞内交代をコードする発現ベクターは、本明細書に記載されるように、標準的なトランスフェション方法によって細胞内に導入される。
【0161】
本発明の抗体または抗体部分は、別の機能分子(例えば、ペプチドまたはポリペプチド)に誘導体化または連結され得る。従って、本発明の抗体および抗体部分は、本明細書に記載される抗TRADE抗体の誘導体化形態および他の改変形態を含むことが意図され、これには、例えば、他の分子に結合する抗体(例えば、他の細胞マーカーに結合する抗体またはポリペプチド)が挙げられる。例えば、本発明の抗体または抗体部分は、1以上の分子実体(例えば、別の抗体(例えば、二特異的な抗体またはジアボディー(diabody))、検出可能な因子、細胞毒性因子、薬学的因子、および/または別の分子(例えば、ストレプトアビジンもしくはポリヒスチジンタグ)と抗体もしくは抗体部分との結合を媒介するタンパク質もしくはペプチド)に機能的に(例えば、化学的結合、遺伝子的融合、非共有結合などにより)連結され得る。
【0162】
誘導体化された抗体の1つの型は、例えば、二特異的抗体を作製するために、2以上の抗体(同一の型または異なる型の抗体)を架橋することによって産生される。適切な架橋剤としては、適切なスペーサーによって分離される2個の明確な反応基を有するヘテロ二特異的な架橋剤(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)またはホモ二特異的な架橋剤(例えば、ジスクリンイミジルスベリン酸塩)が挙げられる。このようなリンカーは、Pierce Chemical Company,Rockford,ILから市販されている。
【0163】
本発明の抗体または抗体部分が誘導体化され得る有用な検出可能な因子は、蛍光性化合物を含む。例示的な蛍光性検出可能因子としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニルクロリド、ピコエリトリンなどが挙げられる。抗体はまた、検出可能な酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、ホースラディシュペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼなど)を用いて誘導体化され得る。抗体が検出可能な酵素を用いて誘導体化される場合、検出可能な反応産物を産生するために使用するさらなる試薬を添加することによって検出される。例えば、検出可能な薬剤であるホースラディシュペルオキシダーゼが存在する場合に、過酸化水素およびジアミノベンジンの添加により、検出可能である染色された反応産物に導く。抗体はまた、ビオチンを用いて誘導体化され得、そしてアビジンまたはストレプトアビジン結合の間接的な測定を介して検出される。
【0164】
1実施形態において、抗−TRADE抗体を使用して、TRADE分子を発現する細胞を標的する。例えば、TRADEファミリー分子を認識する抗体、または単一のTRADEファミリー分子(別のTRADE分子ではない)を特異的に認識する抗体(例えば、TRADEβを認識する抗体)が、使用され得る。1実施形態において、このような抗体および毒素を含む、抗体−毒素結合体を使用して、TRADEファミリーまたは特定のTRADE分子を有する細胞を(例えば、切断によって)使い果たし得る。好ましい実施形態において、抗TRADE免疫毒性を使用して、腫瘍細胞を(例えば、インビボまたはエキソビボにおいて)標的し得る。本明細書中で使用される場合、用語「毒素」は、細胞に対して毒性である分子(例えば、化学療法剤および細胞毒素)を含むことを意味する。
【0165】
広範の毒素は、当該分野で公知であり、そして本発明の抗体に結合され得る(HertlerおよびFrankel、1989、J Clin Oncol.7:1932−1942を参照のこと)。例えば、毒素は、内在化なしで細胞膜を分裂させ、毒素は、非特異的な機構を介して内在化され得るか、または例えば、細胞において特定のレセプターとの直接的な相互作用によって、特異的に内在化され得る。特許請求される発明の使用のための毒素は、例えば、天然に存在するか、合成され得る。毒素は、タンパク質様または非タンパク質様(例えば、オリゴサッカリド)であり得る。例としては、多数の有用な、植物、真菌またはさらに細菌誘導毒素を含み、これには、種々のA鎖毒素、特にリシンA鎖、タンパク質を活性化するリボソーム(例えば、サポリンまたはゲロニン)、α−サルシン、アスペルギリン、レストリクトシン、リボヌクレアーゼ(例えば、胎盤リボヌクレアーゼ)、血管形成毒素、ジフテリア毒素、およびシュードモナスエキソトキシン、ならびにカリヘアマイシンが挙げられ、そして以下でより詳細に議論される。
【0166】
例えば、1実施形態において、例示的な毒素は、「リボソーム不活性タンパク質(RIP)」を含み、定義によると、リボソーム翻訳機構を直接的に阻害し得る。ヘテロダイマーペプチドリシンは、トウゴマ植物(Ricinus communis)から誘導され、そしてこのような毒素の例である。リシンの毒素活性は、そのサブユニット(リシンA鎖)の一つにおいて、全体的に見出される。1実施形態において、特許請求される本発明に使用される毒素は、毒素分子の活性サブユニットである。リシンA鎖は、28S rRNAの位置4324において、単一のアデニンを特異的に脱プリン化することによってリボソームの機能を不活性化すると考えられている(Chenら、1998、Biochemistry 37:11605、Koehlerら、1994、Bone Marrow Transplant 13:571−575;Duke−Cohanra,1993,Blood,82:2224−34)。別の二連のRIP毒素は、アブリンであり、これは、ジェクイリティービーン(jequitiry bean)(Abrus precatorius)から誘導され、そしてリシンAと同一の機構によってタンパク質翻訳を不活性化することで知られている(Krupakarら、1999、Biochem.Journal338:273−279)。本発明と関連して使用され得る他のRIPは、植物毒性サポリンおよびゲロニンを含む。微生物Shigella dysenteriae由来のShigaA毒素はまた、カビAspergillus giganteus(Lacadenaら、1999、Proteins,37:474−484)由来のサルシンA毒素のように、RIPとして機能する(Fraser,M.E.,1994,Nature Structural Biology 1:59−64)。リシンAおよび同様の毒素を含む、抗体−毒素結合体は、米国特許第4,590,017号、同4,906,469号、同4,919,927号、および5,980,896号において先に記載されている(これらは、本明細書中で参考として援用されている)。
【0167】
タンパク質延長因子2(EF−2)(例えば、細菌性ジフテリア毒素(Corynebacterium diphtheriae由来))をADPリボシル化し、そしてタンパク質合成を阻害する毒素(Foleyら、1995、J Biol Chem,270:23218−23225)はまた、本発明の抗体−毒素結合体において使用され得る。EF−2をADPリボシル化する抗体−毒素結合体(ジフテリア毒素または関連の毒素を含む)は、例えば、米国特許第4,545,985号において以前に記載されている。
【0168】
他のタンパク質毒素は、微小管機能を妨害し、従って、有糸分裂の停止を引き起こすことにより、真核生物細胞死をもたらし得る(Iwasaki、1998,Yakugaku Zasshi 118:112−126)。このような毒素の例は、メイタンシノイド(maytansinoid)化合物であり(Takahashiら、1989,Mol.Gen.Genet.220:53−59)、これは特定のコケ(例えば、maytenus buchananii;Larsonら、1999、J.of Nat.Prod.62:361−363を参照のこと)において見出される。メイタンシノイドを含む抗体−毒素結合体は、米国特許第5,208,020号において以前に記載されている。
【0169】
さらに他の毒素は、アデニル酸シクラーゼcAMP系を活性化し得、膜を通るアニオンおよびカチオンの制御されていない輸送を生じる。このタイプの毒素の例は、Vibrio Cholerae由来のコレラ毒素(流動分泌および腸細胞の出血を生じ得る微生物)(de Haanら、1998 Immunol Cell Biol,76:270−279)である。
【0170】
細菌性百日咳毒素(Bordetella pertussis由来)は、サイトカインおよびホルモンレセプターにより刺激される複合体を含む真核生物Gタンパク質複合体(多くの細胞外シグナル経路の形質転換において重要なエレメント)を特異的に標的化し得る。この百日咳毒素は、Gタンパク質複合体のサブユニットをADPリボシル化し、その制御活性の解放を生じ得る(LochtおよびAntoine、1995,Biochimie,77:333−340)。
【0171】
一実施形態において、本発明の抗体−毒素結合体において使用するための毒素は、オリゴ糖である。例えば、このオリゴ糖カリチェアマイシン(calicheamicin)は、DNAの浅い方の溝に優勢に結合する炭水化物のクラスの1つとして同定された細菌産物である(Kahne,1995,Chem Biol,2:7−12)。カルチェアマイシンは、DNAデオキシリボース基の4’炭素から水素原子を非特異的に取り出し、正常な細胞修復機構に対して抵抗性の末端3’ホスホグリコレート基を有する二重鎖DNA切断物を生じることが知られている(Chaudhryら、1999,Biochem Pharmacol,57:531−538)。カリチェアマイシンは、本発明と共に使用するために好ましい毒素部分である。抗体のカルチェアマイシン結合体が記載されている(Sieversら、1999,Blood,93:3678−3684;Lodeら、1998,Cancer Research,58:2925−2928)。他の合成細胞障害性化合物(例えば、CC−1065)は、カルチェアマイシンと類似のDNA断片化機構を有し、そしてまた当該分野で公知である(GunzおよびNaegeli、1996,Biochem.Pharmacol,52:447−453)。カルチェアマイシンがジスルフィド結合を介して抗体に共有結合される、抗体−毒素結合体は、米国特許第5,773,001号および同第5,739,116号において以前に記載されている。
【0172】
別の代表的なクラスの毒素は、真核生物膜内に致死的な穴を形成し、従ってエンドサイトーシス内部移行の必要なく、細胞死を生じ得る細菌性毒素である。アエロリシン(aerolysin)は、このような毒素の一例である。アエロリシンは、細胞表面に結合すると、膜を通して肝臓癌チャネルを形成し得る(Parkerら、1996 Mol Microbiol 19:205−212;Buckley,1991,Experimentia 47:418−419)。エアロリシンを含む細胞結合体は、米国特許第5,824,776号および同第5,817,771号において以前に記載されている。
【0173】
毒素の活性が、抗体が細胞に結合した際に適切に送達されるように、毒素を抗体に結合するための多数の方法が、当該分野で公知である(GhoseおよびBlair,1987,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst,3:263−359;HermentinおよびSeiler,1988,Behring Inst.Mitt.,82:197−215)。例えば、細胞傷害因子がタンパク質であり、第2の成分がインタクトな免疫グロブリンである場合、この結合は、ヘテロ二官能性架橋(例えば、SPDP、カルボジイミド、グルタルアルデヒドなど)により得る。様々な免疫毒素の産生は、当該分野で周知であり、そして例えば、「Monoclonal Antibody−Toxin Conjugates:Aiming the Magic Bullet」、Thorpeら、Monoclonal Antibodies in Clinical Medicine,Academic Press,168−190頁(1982)(これは本明細書中で参考として援用される)に見出され得る。これらの成分はまた、遺伝学的に結合され得る(Chaudharyら、1989,Nature 339:394(これは本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0174】
例えば、一実施形態において、共有結合は抗体と毒素との間に形成され得る。いくつかの場合において、毒素の現存の細胞結合部分は初めに、その非特異的活性を抑制するように除去または変更されるべきである(HertlerおよびFrankel、1989,J.Clin Oncol 7:1932−1942)。毒素に対する抗体の共有結合は、一般的に、チオエステル結合またはジスルフィド結合の形成を包含する。例えば、結合化合物は、N−スクシンイミジル−3−2(ピリジルジチオ)プロピオネートを使用することによって調製され得、これは、抗体と毒素との間のジスルフィド結合を生成し得る(Colombattiら、1983,J Immunology,131:3091−3095)。リンカーを含む多数のタイプのジスルフィド結合が公知であり、この結合は、毒素部分をポリペプチドに結合するために首尾良く用いられ得る。一実施形態において、インビボにおいてより大きな安定性を有し、従って、作用部位における結合の前の毒素部分の放出を防止することに起因して、立体的に「妨害された」ジスルフィド結合を含むリンカーが好ましい。これらの間に共有結合を形成する他の方法は、米国特許第4,894,443号、同第5,208,021号、同第4,340,535号およびEP 44167に記載される。
【0175】
本発明の別の局面は、新規のTRADEモジュレーターの同定に関する。多くの技術が当該分野で公知であり、そして新規のモジュレーターを同定するために使用され得る。例えば、ゲル電気泳動を使用する移動度シフトDNA結合アッセイは、粗抽出物中の配列特異的DNA結合タンパク質の検出のための、簡単で、迅速な非常に高感度な方法である。このアッセイはまた、DNA結合タンパク質の親和性、存在比、会合速度定数、解離速度定数および結合特異性の定量的決定を可能にする。末端標識DNAフラグメントに特異的に結合するタンパク質は、電気泳動の間にフラグメントの移動度を遅らせ、個々のタンパク質−DNA複合体に対応する別個のバンドを生じる。簡単には、特定のタンパク質結合部位を含む本発明の末端標識DNAプローブは、タンパク質混合物に結合され、次いで、SDS−PAGEによって分離され、これは次いで、乾燥され、そしてオートラジオグラフにかけられる。
【0176】
(IV.組換え発現ベクターおよび宿主細胞)
本発明の別の局面は、ベクター、好ましくは、TRADEタンパク質(またはその一部)をコードする核酸を含む、発現ベクターに関する。本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適切な形態で本発明の核酸を含み、これは、この組換え発現ベクターが、発現のために使用される宿主細胞に基づいて選択された1つ以上の調節配列を含むことを意味し、これは発現される核酸配列に作動可能に連結される。組換え発現ベクター内において、「作動可能に連結された」とは、目的のヌクレオチド配列が、そのヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で調節配列(単数または複数)に連結されていることを意味する(例えば、インビトロ転写/翻訳系において、またはベクターが宿主細胞に導入される場合には、宿主細胞において)。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。このような調節配列は、例えば、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)に記載される。調節配列としては、多くのタイプの宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を指向する配列、および特定の宿主細胞のみにおいてヌクレオチド配列の発現を指向する配列(例えば、組織特異的調節配列)が挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどのような因子に依存し得ることが当業者によって理解される。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され得、それにより、本明細書中で記載されるような核酸によってコードされるタンパク質またはペプチド(融合タンパク質または融合ペプチドを含む)(例えば、TRADEタンパク質、TRADEタンパク質の変異形態、融合タンパク質など)を産生し得る。
【0177】
本発明の組換え発現ベクターは、原核生物細胞または真核生物細胞におけるTRADEタンパク質またはタンパク質フラグメントの発現のために設計され得る。例えば、TRADEタンパク質は、細菌細胞(例えば、E.coli)、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用する)、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現され得る。適切な宿主細胞は、Goeddel,1990,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CAでさらに議論される。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して、インビトロで転写および翻訳され得る。
【0178】
原核生物におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指向する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含むベクターを用いて、E.coliにおいて最も頻繁に行われる。融合ベクターは、多数のアミノ酸を、ここでコードされるタンパク質、通常は、組換えタンパク質のアミノ末端に付加する。このような融合ベクターは、代表的には、以下の3つの目的を果たす:1)組換えタンパク質の発現の増加;2)組換えタンパク質の溶解性の増加;および3)親和性精製においてリガンドとして作用することによる組換えタンパク質の精製の補助。しばしば、融合発現ベクターにおいて、融合タンパク質の精製に続いて融合部分から組み替えタンパク質を分離することを可能にするために、タンパク質分解切断部位が融合部分および組換えタンパク質の接合部に導入される。このような酵素、およびそれらの同族認識配列としては、第Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼが挙げられる。代表的な融合発現ベクターとしては、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith,D.B.およびJohnson,K.S.,1988,Gene 67:31−40)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,MA)、およびグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)を融合するpRIT5(Parmacia,Piscataway,NJ)、マルトースE結合タンパク質、またはタンパク質A(それぞれ、標的タンパク質に対する)が挙げられる。
【0179】
精製された融合タンパク質は、例えば、TRADE活性アッセイ(例えば、直接アッセイまたは以下に詳述される競合アッセイ)において、またはTRADEタンパク質に特異的な抗体を作製するために使用され得る。
【0180】
適切な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例としては、pTrc(Amannら、1988,Gene 69:301−315)、およびpET 11d(Studierら、1990,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA,60−89)が挙げられる。pTrcベクターからの標的遺伝子発現は、ハイブリッドtrp−lac融合タンパク質からの宿主RNAポリメラーゼの転写に依存する。pET 11dベクターからの標的遺伝子発現は、同時発現されたウイルスRNAポリメラーゼ(T7 gn1)により媒介されるT7 gn10−lac融合プロモーターからの転写に依存する。このウイルスポリメラーゼは、lacUV 5プロモーターの転写制御下で、T7 gn1遺伝子を含む常在性プロファージ由来の宿主株のBL21(DE3)またはHMS174(DE3)によって供給される。
【0181】
E.coliにおける組換えタンパク質発現を最大にするための1つの方法は、組換えタンパク質をタンパク質分解的に切断する障害性能力を有する宿主細菌においてタンパク質を発現することである(Gottesman,S.,1990,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Acedemic Press,San Diego,CA,119−128)。別の方法は、発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を、各アミノ酸の個々のコドンがE.coliにおいて優勢に利用されるように変更することである(Wadaら、1992,Nucleic Acids Res.20:2111−2119)。本発明の核酸配列のこのような変更は、標準的なDNA合成技術によって行われ得る。
【0182】
別の実施形態において、TRADE発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母のS.cerevisiaeにおける発現のためのベクターの例としては、pYepSec1(Baldariら,1987,Embo J.6:229−234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz、1982,Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultzら、1987,Gene 54:113−123)、pYES2(Invitrogen Corporation,San Diego,CA)、およびpicZ(In Vitrogen Corp,San Diego,CA)が挙げられる。
【0183】
あるいは、TRADEタンパク質は、バキュロウイルス発現ベクターを使用して、昆虫細胞において発現され得る。培養された昆虫細胞(例えば、Sf 9細胞)におけるタンパク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAc系(Smithら、1983,Mol.Cell Biol.3:2156−2165)、およびpVL系(LucklowおよびSummers、1989,Virology 170:31−39)が挙げられる。
【0184】
さらに別の実施形態において、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを使用して、哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed,B.,1987,Nature 329:840)、およびpMT2PC(Kaufmanら、1987,EMBO J.6:187−195)が挙げられる。哺乳動物細胞において使用する場合、この発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルス調節エレメントによって提供される。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40由来である。原核生物細胞および真核生物細胞の両方に適切な他の発現系については、Sambrook,J.,Fritsh,E.F.の第16および17章、ならびにManiatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989を参照のこと。
【0185】
別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型において優先的に核酸の発現を指向し得る(例えば、組織特異的調節エレメントは、核酸を発現するために使用される)。組織特異的調節エレメントは、当該分野で公知である。適切な組織特異的プロモーターの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkertら、1987,Genes Dev.1:268−277)、リンパ球特異的プロモーター(CalameおよびEaton,1988,Adv.Immunol.43:235−275)、特に、T細胞レセプターのロモーター(WinotoおよびBaltimore,1989,EMBO J.8:729−733)、および免疫グロブリン(Banerjiら、1983,Cell 33:729−740;QueenおよびBaltimore,1983,Cell 33:741−748)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター;ByrneおよびRuddle,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら、1985,Science 230:912−916)、ならびに哺乳動物腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316および欧州出願公開第264,166)が挙げられる。発生的に調節されたプロモーター(例えば、マウスhoxプロモーター(KesselおよびGruss,1990,Science 249:374−379)およびαフェトプロテインプロモーター(CampesおよびTilghman,1989,Genes Dev.3:537−546))もまた包含される。
【0186】
あるいは、TRADEポリペプチドは、バキュロウイルス発現ベクターを使用して、昆虫細胞において発現され得る。培養された昆虫細胞(例えば、Sf 9細胞)におけるタンパク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAc系(Smithら、1983,Mol.Cell Biol.3:2156−2165)およびpVL系(Lucklow,V.A.およびSummers,M.D.;1989,Virology 170:31−39)が挙げられる。
【0187】
さらに別の実施形態において、本発明の核酸分子は、哺乳動物発現ベクターを使用して、哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例としては、pMex−NeoI、pCDM8(Seed,B.,1987,Nature 329:840)、およびpMT2PC(Kaufmanra,1987,EMBO J.6:187−195)が挙げられる。哺乳動物細胞において使用される場合、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルス調節エレメントによって提供される。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40由来である。
【0188】
さらに、哺乳動物細胞において使用するための以下の誘導性調節系が、当該分野で公知である:例えば、遺伝子発現が重金属イオン(例えば、Mayoら、1982,Cell 29:99−108;Brinsterら、1982,Nature 296:39−42;Searleら、1985,Mol.Cell.Biol.5:1480−1489を参照のこと)、熱ショック(例えば、Nouerら、1991,Heat Shock Response、Nouer,L.編、CRC,Boca Raton,FL,167−220頁を参照のこと)、ホルモン(例えば、Leeら、1981,Nature 294:228−232;Hynesら、1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2038−2042;Klockら、1987,Nature 329:734−736;IsraelおよびKaufman,1989,Nucl.Acids Res.17:2589−2604;およびPCT公開WO 93/23431を参照のこと)、FK506関連分子(例えば、PCT公開WO 94/18317を参照のこと)またはテトラサイクリン(Gossen,M.およびBujard,H.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2247−5551;Gossen,M.ら、1995,Science 268:1766−1769;PCT公開WO 94/29442;およびPCT公開WO 96/01313を参照のこと)によって調節される系。従って、別の実施形態において、本発明は、TRADE DNAが誘導性真核生物プロモーターに作動可能に連結された組換え発現ベクターを提供し、それにより、真核生物細胞におけるTRADEタンパク質の誘導性発現を可能にする。
【0189】
本発明はさらに、アンチセンス配向で発現ベクター中にクローン化された本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、このDNA分子は、TRADE mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の(このDNA分子の転写による)発現を可能にする様式で調節配列に作動可能に連結される。アンチセンス配向でクローン化された核酸に作動可能に連結された調節配列が選択され得、これらは、種々の細胞型におけるアンチセンスRNA分子の連続的発現を指向する。例えば、アンチセンスRNAの構成的、組織特異的または細胞型特異的な発現を指向する、ウイルスプロモーターおよび/もしくはエンハンサー、または調節配列が選択され得る。アンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形態であり得、ここでアンチセンス核酸は、高効率調節領域の制御下で産生され、その活性は、ベクターが導入される細胞型により決定され得る。アンチセンス遺伝子を使用する遺伝子発現の調節の考察については、Weintraub,H.ら,Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis,Reviews−Trends in Genetics,第1巻(1) 1986を参照のこと。
【0190】
本発明の別の局面は、本発明の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中において交換可能に使用される。このような用語は、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の子孫または潜在的な子孫をいうことが理解される。変異または環境の影響のいずれかに起因して、特定の改変が継承世代において起こり得るので、このような子孫は、実際、親細胞と同一でなくてもよいが、本明細書において使用される場合の用語の範囲内には含まれる。
【0191】
宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、TRADEタンパク質は、E.coliのような細菌細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)において発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
【0192】
ベクターDNAは、従来の形質転換技術またはトランスフェクション技術により原核生物細胞または真核生物細胞に導入され得る。本明細書で使用される場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、種々の当該分野で認識される、外来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための技術(リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈降、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む)をいうことが意図される。宿主細胞を形質転換またはトランスフェエクトするための適切な方法は、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)、およびその他の実験マニュアルに見出され得る。
【0193】
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランフェクション技術に依存して、わずかな細胞しか外来DNAをそのゲノムに組み込まないことが公知である。これらの構成要素を同定かつ選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子は、一般的に目的の遺伝子と共に宿主細胞中に導入される。好ましい選択マーカーとしては、薬物(例えば、G418、ハイグロマイシン(hydromycin)およびメトトレキサート)に対する耐性を付与する選択マーカーが挙げられる。選択マーカーをコードする核酸は、TRADEタンパク質をコードするベクターと同じベクターで宿主細胞中に導入され得るかまたは別個のベクターで導入され得る。導入された核酸で安定にトランスフェクトされる細胞は、薬物選択により同定され得る(例えば、選択マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生き残るが、他の細胞は死ぬ)。
【0194】
培養物中の本発明の宿主細胞(例えば、原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞)を使用して、TRADEタンパク質を産生(すなわち、発現)し得る。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用して、TRADEタンパク質を産生するための方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、本発明の宿主細胞(この細胞にTRADEタンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入されている)を、適切な培地中で培養する工程を包含し、その結果TRADEタンパク質が産生される。別の実施形態において、この方法は、この培地または宿主細胞からTRADEタンパク質を単離する工程をさらに包含する。
【0195】
本発明の特定の宿主細胞をまた使用して、非ヒトトランスジェニック動物を産生し得る。例えば、1つの実施形態において、本発明の宿主細胞は、TRADEコード配列が導入されている、受精卵母細胞または胚性幹細胞である。次いでこのような宿主細胞を使用して、外因性TRADE配列がそのゲノムに導入されている非ヒトトランスジェニック動物、または内因性TRADE配列が変更されている相同組換え動物を作製し得る。このような動物は、TRADEポリペプチドの機能および/または活性を研究するため、およびTRADE活性のモジュレータを同定および/または評価するために有用である。本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック動物」は、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは齧歯動物(例えば、ラットまたはマウス)であり、ここでこの動物の1つ以上の細胞が、導入遺伝子を含む。トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などが挙げられる。導入遺伝子は、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノム中に組み込まれ、かつ成熟動物のゲノムに残っている外因性DNAであり、それにより、このトランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織におけるコードされる遺伝子産物の発現が指向される。本明細書中で使用される場合、「相同組換え動物」は、非ヒト動物、好ましくは、哺乳動物、より好ましくはマウスであり、この動物において、内因性TRADE遺伝子は、内因性遺伝子とこの動物の発生の前にこの動物の細胞(例えば、この動物の胎児性細胞)中に導入された外因性DNA分子との間の相同組換えにより変更されている。
【0196】
本発明のトランスジェニック動物は、TRADEをコードする核酸を受精卵母細胞の雄性前核に、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染により導入し、そしてその卵母細胞を偽妊娠雌性代理動物において発生させることにより作製され得る。配列番号1または3のTRADE配列、別のTRADEファミリーポリペプチドもしくはその部分をコードする核酸分子は、非ヒト動物のゲノム中に導入遺伝子として導入され得る。あるいは、TRADE遺伝子の非ヒトホモログ(例えば、マウスTRADE遺伝子またはラットTRADE遺伝子)は、導入遺伝子として使用され得る。あるいは、TRADE遺伝子ホモログ(例えば、別のTRADEファミリーメンバー)は、配列番号1もしくは3のTRADEファミリーcDNA配列または別のTRADEファミリーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列へのハイブリダイゼーションに基づいて単離され得、そして導入遺伝子として使用され得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた、この導入遺伝子に含まれて、導入遺伝子の発現効率を増加させ得る。組織特異的調節配列(単数または複数)は、TRADE導入遺伝子に作動可能に連結されて、TRADEたんぱく質の発現を特定の細胞に指向する。胚操作およびマイクロインジェクションによりトランスジェニック動物(特にマウスのような動物)を作製するための方法は、当該分野で慣例となっており、そして例えば、米国特許第4,736,866号および同第4,870,009号(両方ともLederらによる)、米国特許第4,873,191号(Wagnerらによる)ならびにHogan,B.,Manipulating the Mouse Embryo,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986)に記載される。同様の方法は、他のトランスジェニック動物の産生のために使用される。トランスジェニック創始(founder)動物は、そのゲノムにおけるTRADE導入遺伝子の存在および/またはその動物の組織または細胞におけるTRADE mRNA発現に基づいて同定され得る。次いで、トランスジェニック創始動物を使用して、導入遺伝子を保有するさらなる動物を生産し得る。さらに、TRADEタンパク質をコードする導入遺伝子を保有するトランスジェニック動物は、他の導入遺伝子を保有するほかのトランスジェニック動物へとさらに育成され得る。
【0197】
相同組換え動物を作製するために、TRADE遺伝子の少なくとも一部を含有するベクターが調製され、このTRADE遺伝子には、欠失、付加または置換が導入されて、それによりTRADE遺伝子を変更(例えば、機能的に破壊する)する。例えば、マウスTRADE遺伝子を使用して、マウスゲノムにおける内因性TRADE遺伝子を変更するために適切な相同組換えベクターを構築し得る。好ましい実施形態において、ベクターは、相同組換えの際に、内因性TRADE遺伝子が機能的に破棄されるように(すなわち、もはや機能的タンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)設計される。あるいは、ベクターは、相同組換えの際に、内因性TRADE遺伝子が変異誘発されるか、そうでなければ変更されるが機能的タンパク質をなおコードするように設計され得る(例えば、上流調節領域を変更してそれにより内因性TRADEタンパク質の発現を変更し得る)。相同組換えベクターにおいて、TRADE遺伝子の変更された部分は、TRADE遺伝子のさらなる核酸配列によりその5’末端および3’末端に隣接されて、相同組換えを、胚性幹細胞においてベクターにより運ばれる外因性TRADE遺伝子と内因性TRADE遺伝子との間で起こさせる。さらなる隣接TRADE核酸配列は、内因性遺伝子との首尾良い相同組換えのために十分な長さである。代表的には、数キロベースの隣接DNA(5’末端および3’末端の両方)がこのベクターに含まれる(例えば、相同組換えベクターの説明については、Thomas,K.R.およびCapecchi,M.R.,1987,Cell 51:503を参照のこと)。ベクターは胚性幹細胞株中に(例えば、エレクトロポレーションにより)導入され、そしてこの導入されたTRADE遺伝子が内因性TRADE遺伝子と相同組換えされた細胞が、選択される(例えば、Li,E.ら,1992,Cell 69:915を参照のこと)。選択された細胞は、次いで動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注入されて凝集キメラを形成する(例えば、Bradley,A.、Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach,E.J.Robertson編(IRL,Oxford,1987)113−152頁を参照のこと)。キメラ胚は、次いで適切な偽妊娠雌性代理動物中に移植され得、そしてその胚が分娩される。その生殖細胞中に相同組換えDNAを保有する子孫を使用して、導入遺伝子の生殖細胞系伝達により、その動物の全ての細胞が相同組換えDNAを含む動物を育て得る。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築するための方法は、Bradley,A.,1991,Current Opinion in Biotechnology 2:823−829ならびにPCT国際公開番号:WO 90/11354(Le Mouellecら);WO 91/01140(Smithiesら);WO 92/0968(Zijlstraら);およびWO 93/04169(Bernsら)にさらに記載される。
【0198】
前述に加えて、当業者は、相同組換えについての当該分野で公知の他のアプローチが本発明に適用され得ることを理解する。酵素補助部位特異的組込み系は、当該分野で公知であり、そしてDNA分子を第2の標的DNA分子における所定の位置にDNA分子を組み込むため適用され得る。このような酵素補助組込み系の例としては、以下が挙げられる:Cre リコンビナーゼ−lox標的系(例えば、Baubonis,W.and Sauer,B.,1993,Nucl.Acids Res.21:2025−2029;およびFukushige,S.およびSauer,B.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7905−7909に記載される)およびFLPリコンビナーゼ−FRT標的系(例えば、Dang,D.T.およびPerrimon,N.,1992,Dev.Genet.13:367−375;ならびにFiering,S.ら,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8469−8473に記載される)。テトラサイクリン調節誘導相同組換え系(例えば、PCT公開番号WO94/29442およびPCT公開番号WO96/01313に記載される)もまた、使用され得る。
【0199】
例えば、別の実施形態において、導入遺伝子の調節された発現を可能にする選択された系を含むトランスジェニック非ヒト動物が、産生され得る。このような系の一例は、cre/loxPリコンビナーゼ系のバクテリオファージP1である。cre/loxPリコンビナーゼ系の説明については、例えば、Laksoら,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236を参照のこと。リコンビナーゼ系の別の例は、Saccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼ系である(O’Gormanら,1991,Science 251:1351−1355)。cre/loxPリコンビナーゼ系が導入遺伝子の発現を調節するために使用される場合、Creリコンビナーゼと選択されたタンパク質との両方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要とされる。このような動物は、例えば、2つのトランスジェニック動物(一方は、選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子を含み、他方がリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含む)を交配することによる「二重(double)」トランスジェニック動物の構築により提供され得る。
【0200】
本明細書中に記載される非ヒトトランスジェニック動物のクローンはまた、Wilmut,I.ら,1997,Nature 385:810−813ならびにPCT国際公開番号WO97/07668およびWO97/07669に記載される方法に従って産生され得る。手短に言うと、トランスジェニック動物由来の細胞(例えば、体細胞)が単離され得、そして増殖周期を終了し、そしてG期に入るように誘導され得る。次いで、休止細胞は、例えば、電気パルスの使用により、その休止細胞が単離された動物と同じ種由来の摘出された卵母細胞に融合され得る。次いで、再構築された卵母細胞は、培養され、その結果その細胞は、桑実胚または未分化胚芽細胞へと発達し、次いで偽妊娠雌性代理動物に移される。この雌性代理動物由来の子孫は、細胞(例えば、体細胞)が単離される動物のクローンである。
【0201】
(他のTRADE調節因子の同定)
本発明は、モジュレータ(すなわち、候補化合物もしくは試験化合物または因子(例えば、ペプチド、ペプチドミメティック、低分子またはその他の薬物))を同定するための方法(本明細書中では「スクリーニングアッセイ」とも呼ばれる)を提供し、このモジュレータは、TRADEを調節(例えば、TRADEタンパク質に結合)し得、例えば、TRADE発現またはTRADE活性に対して刺激効果または阻害効果を有する。さらに、アッセイは、本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセイを使用して、TRADE発現または活性に対するTRADEモジュレータの効果を試験するため(例えば、アポトーシスまたは発現が細胞特異的な状況で所望の方向に調節されるか否かを決定するため)に使用され得る。
【0202】
本発明の試験化合物は、当該分野で公知のコンビナトリアルライブラリー方法における多数のアプローチのいずれかを使用して得られ得る。これらのライブラリーとしては、以下が挙げられる:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な並行固相または溶液相ライブラリー;逆重畳を必要とする合成ライブラリー方法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティクロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー方法。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定されるが、その他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の低分子ライブラリーに適用可能である(Lam,K.S.,1997,Anticancer Drug Des.12:145)。
【0203】
分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当該分野において例えば、DeWittら,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6909;Erbら,1994,Proc.Natl.Acad.Nci.USA 91:11422;Zuckermannら,1994,J Med.Chem.37:2678;Choら,1993,Science 261:1303;Carrellら,1994,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら,1994,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら,1994,J.Med.Chem.37:1233に見出され得る。
【0204】
化合物のライブラリーは、溶液で(例えば、Houghten,1992,Biotechniques 13:412−421)、またはビーズ上(Lam,1991,Nature 354:82−84)、チップ上(Fodor,1993,Nature 364:555−556)、細菌(Ladner USP 5,223,409)、胞子(Ladner USP ’409)、プラスミド(Cullら,1992,Proc Natl Acad Sci USA 89:1865−1869)またはファージ上(ScottおよびSmith,1990,Science 249:386−390;Devlin,1990,Science 249:404−406;Cwirlaら,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.87:6378−6382;Felici,1991,J.Mol.Biol.222:301−310;Ladner前出)に存在し得る。
【0205】
調節因子のライブラリーおよび天然抽出物を試験する多くの薬物スクリーニングプログラムにおいて、ハイスループットアッセイは、所定の期間で調査される調節因子の数を最大限にするために望ましい。無細胞系で実行されるアッセイ(例えば、精製されたタンパク質または半精製されたタンパク質を用いて誘導され得る)は、「一次(primary)」スクリーンとしてしばしば好ましく、ここでこれらの系は、試験調節因子によって媒介される分子標的における変更の迅速な発達および比較的容易な検出を可能にするように作製され得る。さらに、試験調節因子の細胞毒性および/またはバイオアベイラビリティの効果は、一般的にインビトロの系では無視され得、その代わりこのアッセイは、分子標的に対する薬物の効果(上流エレメントまたは下流エレメントとの結合親和性の変更で現れ得る)に対して主に注目される。
【0206】
1つの実施形態において、本発明は、TRADEタンパク質またはポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分に結合するかまたはその活性を調節する(例えば、TRAF分子または関連するキナーゼのような、NFkBもしくはJNKシグナル伝達経路における分子の相互作用に関与するTRADEポリペプチドの活性表面に結合するかまたは影響を及ぼすことにより、NFkBもしくはJNKシグナル伝達経路を活性化するTRADEポリペプチドの能力を調節する)、候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。
【0207】
アッセイは、制御因子(TRADEホモログを含む)をスクリーニングするために使用され得る。ここで、このホモログは、目的のTRADEポリペプチドの正常な細胞機能のアゴニストまたはアンタゴニストのいずれかである。例えば、本発明は、TRADE活性を有するTRADEタンパク質を有する指標組成物が提供される方法を提供する。指標組成物は、試験化合物と接触させられ得る。次いで、指標組成物における変化によって測定されるTRADE活性での試験化合物の効果は、決定されて、それによりTRADEタンパク質の活性を制御する化合物を同定し得る。試験化合物の存在下でのTRADE活性のレベルにおける統計的に有意な変化(例えば、減少または増加)(試験化合物の非存在下で検出されるものと比較して)は、試験化合物がTRADE制御因子であることを示す。指標組成物は、例えば、細胞または細胞抽出物で有り得る。1つの実施形態において、TRADE活性は添付の実施例に記載されるように評価される。
【0208】
本発明の例示的なスクリーニングアッセイにおいて、目的の制御因子は、この制御因子によって陽性に調節されるかまたは陰性に調節されるかにかかわらず、上流で機能し得るインタラクター分子(例えば、タンパク質)(その活性のアクチベーターおよびリプレッサーの両方を含む)またはTRADEタンパク質の下流で機能し得る分子と接触される。次いで、制御因子および上流エレメントまたは下流エレメントの混合物に、TRADEタンパク質を含む組成物を添加する。TRADEとその上流エレメントまたは下流エレメントとの相互作用の検出および定量は、TRADEとTRADE結合エレメントとの間の複合体形成の阻害(または、潜在化)での制御因子の効果を決定する手段を提供する。例示的な相互作用分子としては、TRADE分子(例えばTRAF3(細胞内ドメインに、好ましくはアミノ酸193〜328の領域に結合する)、およびTRAF6が挙げられる。
【0209】
別の例示的なスクリーニングアッセイにおいて、本発明の欠失構築物は、本発明におけるキー結合部位を決定するため、およびまたこれらの結合部位に対する新規の結合タンパク質の同定のために使用される。例えば、(1)C末端からアミノ酸328の欠失、(2)C末端からアミノ酸218の欠失、および(3)C末端からアミノ酸368の欠失を保有する構築物が、使用され得る。これらの構築物は、当該分野で予め記載されるような、移動度変位DNA結合アッセイおよび酵母ツーハイブリッド系などの技術において利用され得る。
【0210】
別の実施形態において、これらの構築物はまた、使用されて、本発明の特異的活性(例えば、キナーゼと相互作用する本発明の能力)を決定し得る。簡単には、インビトロのキナーゼアッセイは、宿主細胞における欠失構築物を発現する工程、発現されたタンパク質を単離する工程、発現されたタンパク質を抗体で免疫沈降する工程、および免疫複合体を32P標識されたATPと共にインキュベートする工程を包含する。次いで、この反応は、SDS−PAGE上で走らされ、オードラジオグラフィーされる。この方法は、当業者にとって周知である。
【0211】
本発明の別の局面は、これらの構築物を使用して、本発明の領域が結合のために公知のタンパク質を必要とすることを決定する。例えば、欠失構築物は宿主細胞において発現され、そしてタンパク質溶解産物が調製され得る。次いで、このタンパク質は、タンパク質溶解産物がSDS−PAGEによって分離されるウェスタンブロット分析に供され、膜(すなわちニトロセルロースまたはナイロン)に移動され、そして目的のタンパク質に対する抗体を用いてプローブ化され得る。検出のこの方法は、当該分野で周知である。
【0212】
本発明の別の局面は、これらの欠失構築物を使用して、シグナル伝達タンパク質の活性化に必要である本発明の一部分を同定する工程を含む。例えば、本発明の選択された構築物は、ルシフェラーゼレポーター構築物(目的のシグナル伝達タンパク質のプロモーターを有するように操作される、すなわちNFkBプロモーター)を用いて宿主細胞において同時発現され得る。所定の時間後、目的のシグナル伝達タンパク質と相互作用する構築物は、比ルシフェラーゼ活性を計算することでアッセイされ得る。
【0213】
調節因子の効果は、種々の濃度の試験制御因子を使用して得られたデータから用量応答曲線を作成することによって評価され得る。さらに、コントロールアッセイもまた、実施されて、比較のためのベースラインを提供し得る。コントロールアッセイにおいて、単離され、かつ精製されたTRADEタンパク質は、TRADE結合エレメントを含む組成物に添加され、そして複合体の形成が試験制御因子の非存在下で定量される。
【0214】
さらに別の実施形態において、本発明のアッセイは、TRADEタンパク質または生物学的に活性なそれらの部分が試験化合物に接触され、そして試験化合物がTRADEタンパク質または生物学的に活性なそれらの部分に結合する能力が、決定される無細胞アッセイである。試験化合物のTRADEタンパク質への結合は、上記のように直接的にかまたは間接的にのいずれかで決定され得る。好ましい実施形態において、このアッセイとしては、TRADEタンパク質または生物学的に活性なそれらの部分を、公知の化合物(TRADEを結合してアッセイ混合物を形成する)に接触する工程、このアッセイ混合物を試験化合物に接触する工程、および試験化合物のTRDEタンパク質と相互作用する能力を決定する工程、が挙げられる。ここで、この試験化合物のTRDEタンパク質と相互作用する能力を決定する工程は、試験化合物の優先的にTRADEポリペプチドまたは生物学的に活性なそれらの部分に結合する能力を公知の化合物と比較して決定する工程を包含する。
【0215】
別の実施形態において、アッセイは、TRADEタンパク質または生物学的に活性なそれらの部分が試験化合物に接触され、そしてTRADEタンパク質または生物学的に活性なそれらの部分の活性を制御する(例えば、刺激する、または阻害する)試験化合物の能力が決定される無細胞アッセイである。TRADEタンパク質は、TRADEを発現する細胞の溶解産物として、精製されたもしくは半精製されたポリペプチドとして、または組換え的に発現されたポリペプチドとして提供され得る。1つの実施形態において、無細胞アッセイ系はさらに、細胞抽出物または細胞の単離された成分(例えば、ミトコンドリア)を含む。このような細胞成分は、当該分野で公知の技術を使用して単離され得る。好ましくは、無細胞アッセイ系はさらに、TRADEが相互作用する少なくとも1つの標的分子を含み、TRADEと標的分子との相互作用を制御する試験化合物の能力がモニターされて、それによって試験化合物をTRADEのモジュレーターとして同定する。TRADEタンパク質の活性を制御する試験化合物の能力を決定する工程は、例えば、直接結合を決定するために上記の方法の1つによってTRADE標的分子に結合するTRADEタンパク質の能力を決定することで達成され得る。TRDE標的分子に結合するTRADEタンパク質の能力を決定する工程もまた、リアルタイムBiomolecular Interaction Analysis(BIA)などの技術を使用して達成され得る。Sjolander,S.およびUrbaniczky,C.,1991,Anal.Chem.63:2338−2345およびSzaboら,1995、Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705。本明細書中で使用される場合、「BIA」は、いずれの相互作用因子(interactant)(例えば、BIAコア)も標的化せずにリアルタイムで生物特異的相互作用を研究するための技術である。表面プラスモン共鳴(SPR)の光学現象における変化は、生物学的分子間のリアルタイム反応の表示として使用され得る。
【0216】
さらに別の実施形態において、無細胞アッセイは、TRADEタンパク質またはその生物学的に活性な部分を、TRADEタンパク質を結合してアッセイ混合物を形成する公知の化合物とを接触させる工程、アッセイ混合物と試験化合物とを接触させる工程、およびTRADEタンパク質と相互作用する試験化合物の能力を決定する工程を包含する。ここで、TRADEタンパク質と相互作用する試験化合物の能力を決定する工程は、TRADE標的分子に好ましく結合するかまたは、TRADE標的分子の活性を制御するTRADEタンパク質の能力を決定する工程を包含する。
【0217】
本発明の無細胞アッセイは、タンパク質(例えば、TRADEタンパク質もしくはTRADEが結合する細胞内ドメインを有するレセプター)の可溶性形態および/または膜結合形態の両方を使用できる。タンパク質の膜結合形態が使用される無細胞アッセイの場合、タンパク質の膜結合形態が溶液中で維持されるように可溶化剤を利用することが所望され得る。このような可溶化剤の例としては、非イオン性洗浄剤(例えば、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド(dodecylmaltoside)、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Thesit(登録商標)、イソトリデシルポリ(Isotridecypoly)(エチレングリコールエーテル)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ(amminio)]−1−プロパンスルホナート(CHAPS)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ(amminio)]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホナート(CHAPSO)、またはN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホナート)が挙げられる。
【0218】
TRADE標的分子は、タンパク質またはDNA配列であり得る。タンパク質−タンパク質相互作用の検出を可能にする適切なアッセイ(例えば、免疫沈降、ツーハイブリッドアッセイなど)、またはDNA結合タンパク質と標的DNA配列との間の相互作用の検出を可能にする適切なアッセイ(例えば、電気泳動移動度シフトアッセイ、DNAse Iフットプリントアッセイなど)は、当該分野で公知である。試験化合物の存在下および非存在下で、このようなアッセイを実施することによって、これらのアッセイは、使用されて、TRADEと標的分子の相互作用を制御(例えば、阻害または促進)する化合物を同定し得る。
【0219】
TRADE分子のリガンドに結合するかまたは相互作用するTRADEタンパク質の能力を決定することは、例えば、直接結合によって達成され得る。直接結合アッセイにおいて、TRADEタンパク質は、このTRADEタンパク質のTRADE標的分子への結合が複合体中の標識化TRADEタンパク質を検出することで決定され得るように放射性同位体または酵素ラベルで結合され得る。例えば、TRADE分子(例えば、TRADEタンパク質)は、125I、35S、14C、またはHで直接的または間接的のいずれかで標識化され得、そして放射性同位体は、放射性放出の直接計数またはシンチレーション計数によって検出され得る。あるいは、TRADE分子は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼを用いて酵素的に標識化され得、そして酵素的標識が、適切な基質の産物への転化を決定することで検出され得る。
【0220】
代表的には、TRADEまたはその結合タンパク質のいずれかを固定して、このタンパク質の1つまたは両方の非複合体形態からの複合体の分離を容易にすること、およびアッセイの自動化に適応することが所望される。TRADEの上流結合エレメントまたは下流結合エレメントへの結合は、候補因子の存在または非存在で、反応物を含むために適切な任意の容器において達成され得る。例として、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠心分離チューブが挙げられる。1つの実施形態において、タンパク質をマトリックスに結合させ得るドメインを付加する融合タンパク質が、提供され得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/TRADE(GST/TRADE)融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemicals,St.Louis,MO)またはグルタチオン誘導マイクロタイタープレート上に吸着され得、次いで細胞溶解物(例えば、35S−標識化および試験制御因子)と組み合わせられ、そしてこの混合物は、複合体形成につながる条件(例えば、塩およびpHに対する生理学的条件)下でインキュベートされ得るが、わずかによりストリンジェントな条件が所望され得る。インキュベーション後、ビーズは洗浄されて、任意の未結合標識を除去し、そしてマトリックスが固定され、そして放射性標識が直接決定される(例えば、シンチレーションに置かれるビーズ)か、または、複合体が実質的に解離された後、上清において決定される。あるいは、この複合体は、マトリックスから解離され得、SDS−PAGEによって分離され、そしてビーズ画分に見出されるTRADE結合タンパク質のレベルが標準的な電気泳動技術を使用してゲルから定量される。
【0221】
タンパク質を行列に固定化する他の技術もまた、本アッセイにおける使用のために入手可能である。例えば、TRADEまたはその同族結合タンパク質のいずれかは、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合体化を利用して固定され得る。例えば、ビオチン化TRADE分子は、当該分野で周知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals,Rockford,IL)を使用してビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製され得、そしてストレプトアビジンでコーティングした96ウェルプレートのウェル(Pierce Chemical)に固定され得る。あるいは、TRADEと反応性の抗体であるが、上流エレメントまたは下流エレメントの結合を妨げない抗体は、プレートのウェルへ誘導体化され、そしてTRADEは抗体結合体化によってウェルにトラップされ得る。上のように、TRADE結合タンパク質および試験制御因子の調製物は、プレートのTRADE存在ウェルにおいてインキュベートされ、そしてウェルにトラップされた複合体の量が定量され得る。GST固定複合体について上記された方法に加えて、このような複合体を検出する例示的な方法として、TRADE結合エレメントに反応性の抗体、またはTRADEタンパク質に反応性でありそして結合エレメントと競合する抗体を使用する複合体の免疫検出;および結合エレメントに関連する酵素学的な活性、内因性活性または外因性活性のいずれかの検出に依存する酵素連結アッセイが挙げられる。後者の例において、酵素は、化学的に結合体化され得るか、またはTRADE−BPを有する融合タンパク質として提供され得る。説明するため、TRADE−BPは、化学的に架橋されるか、または一般的に西洋ワサビペルオキシダーゼと融合され得、そして複合体中にトラップされたタンパク質の量が、酵素の色素基質(例えば、四塩酸3,3’−ジアミノ−ベンジジン(3,3’−diamino−benzadine terahydrochloride)または4−クロロ−1−ナフトール(4−chloro−1−napthol))を用いて評価され得る。同様に、タンパク質およびグルタチオン−S−トランスフェラーゼを含む融合タンパク質が提供され得、そして複合体形成が1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(Habigら、1974、J.Biol Chem 249:7130)を使用してGST活性を検出することによって定量され得る。
【0222】
複合体にトラップされるタンパク質の1つを提供するための免疫検出に依存するプロセスについて、このタンパク質に対する抗体(例えば、抗TRADE抗体)が、使用され得る。あるいは、複合体において検出されるべきタンパク質は、TRADE配列に加えて、抗体が容易に入手可能(例えば、商業的な供給源から)である第2のタンパク質を含む融合タンパク質の形態における「エピトープタグ」であり得る。例えば、上記のGST融合タンパク質はまた、GST部分に対する抗体を使用する結合の定量のために使用され得る。他の有用なエピトープタグとして、c−myc由来の10残基配列を含むmyc−エピトープ(例えば、Ellisonら、1991、J Biol Chem 266:21150−21157を参照のこと)およびpFLAG系(International Biotechnologies,Inc.)またはpEZZ−プロテインA系(Pharmacia,NJ)が挙げられる。
【0223】
任意の相互作用因子の標識化なしにTRADEとその標的分子との相互作用を制御する化合物の能力を決定することもまた、本発明の範囲内である。例えば、マイクロフィジオメーター(microphysiometer)が使用されて、TRADEとその標的分子との相互作用をTRADEまたはその標的分子のいずれかの標識化なしに検出し得る。McConnell,H.Mら、1992、Sience 257:1906−1912。本明細書中で使用される場合、「マイクロフィジオメーター」(例えば、Cytosensor)は、細胞が、その環境を酸性化する速度を、光位置付け可能電位差センサー(light−addressable potentiometric sensor)(LAPS)を使用して測定する分析機器である。この酸性化速度における変化は、化合物とレセプターとの間の相互作用の指標として使用され得る。
【0224】
無細胞アッセイに加えて、本発明によって供給されるTRADEタンパク質の容易に入手可能な供給源もまた、低分子アゴニスト/アンタゴニストなどを同定するための細胞ベースアッセイの生成を容易にする。例えば、細胞は、試験因子によって媒介される標的細胞によるTRADE応答における制御をスコア付けするアッセイを用いて、目的の試験制御因子の存在または非存在で組換えTRADEタンパク質の発現または過剰発現をもたらし得る。例えば、無細胞アッセイと用いた場合、TRADE依存応答において統計的に有意な変化(増加または減少のいずれか)を生成する制御因子が、同定され得る。
【0225】
TRADEの発現のために使用され得る組換え発現ベクターは、当該分野で公知である(上の議論を参照のこと)。1つの実施形態において、発現ベクター内のTRADEコード配列は、指標細胞においてTRADEの本質的な発現または誘導可能な発現を可能にする調節配列に作動可能に連結される。細胞においてTRADEの本質的な発現または誘導可能な発現を可能にする組換え発現ベクターの使用は、TRADEの活性を高めるかまたは阻害する化合物の同定のために好ましい。代替の実施形態において、発現ベクター中のTRADEコード配列は、内因性のTRADE遺伝子の調節配列(すなわち、内因性遺伝子由来のプロモーター調節領域)に作動可能に連結される。TRADE発現が内因性の調節配列によって制御される組換え発現ベクターの使用は、TRADEの転写発現を高めるかまたは阻害する化合物の同定のために好ましい。
【0226】
1つの実施形態において、アッセイは、TRADE標的分子(または別のTRADE細胞内相互作用分子)を発現する細胞と試験化合物を接触させる工程、およびTRADE標的分子の活性を制御(例えば、刺激または阻害)する試験化合物の能力を決定する工程を包含する細胞ベースアッセイである。TRADE標的分子の活性を制御する試験化合物の能力を決定する工程は、例えば、TRADE標的分子もしくはそのリガンドに結合するかまたは相互作用するTRADEタンパク質の能力を決定することによって達成され得る。
【0227】
例示的な実施形態において、TRADEの発現または活性は、細胞において制御され、そして目的の読み出し(readout)上の目的の制御因子の効果(例えば、アポトーシス)が測定される。1つの実施形態において、TRADE発現または活性における制御によってその翻訳が変更される遺伝子の調節領域(例えば、5’フランキングプロモーターおよびエンハンサー領域)は、容易に検出され得る遺伝子産物をコードするマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)に作動可能に連結される。
【0228】
別の実施形態において、TRADE発現のモジュレーターは、細胞が候補化合物と接触され、そして細胞中のTRADE mRNAまたはタンパク質の発現が決定される方法で同定される。候補化合物の存在下におけるTRADE mRNAまたはタンパク質の発現のレベルは、候補化合物の非存在下におけるTRADE mRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比較される。次いで、この候補化合物は、この比較に基づいて、TRADE発現のモジュレーターとして同定され得る。例えば、TRADE mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりも存在下において多い場合(例えば、統計学的に有意により多い)、この候補化合物は、TRADE mRNAまたはタンパク質発現の刺激物質として同定される。あるいは、TRADE mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりも存在下において、少ない(例えば、統計学的に有意により少ない)場合、この候補化合物は、TRADE mRNAまたはタンパク質発現のインヒビターとして同定される。細胞におけるTRADE mRNAまたはタンパク質発現のレベルは、本明細書中に記載されたTRADE mRNAまたはタンパク質を検出するための方法によって決定され得る。
【0229】
好ましい実施形態において、TRADEタンパク質が、TRADE標的分子に結合または相互作用する能力を決定することは、TRADEまたは標的分子の活性の読み出しを測定することによって達成され得る。例えば、TRADEまたは標的分子の活性は、標的の細胞性二次メッセンジャー(例えば、NFkBまたはJNK経路の活性化によって調節される二次メッセンジャー)の誘導を検出することによって、適切な基質を用いて、標的の触媒作用的/酵素学的活性を検出することによって、レポーター遺伝子(検出可能なマーカー(例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)をコードする核酸に作動可能に連結された標的応答性調節エレメントを含む)の誘導を検出することによって、または、標的調節性細胞性応答(例えば、アポトーシス)を検出することによって、決定され得る。例えば、TRADEタンパク質が、TRADE標的分子と結合または相互作用する能力を決定することは、好ましくは、上皮細胞において、例えば、増殖および/またはアポトーシスを調節する化合物の能力を測定することによって達成され得る。アポトーシスの特徴は、DNAの分解である。このプロセスの初期において、この分解は、ヌクレオソーム間のDNAリンカー領域において発生する。このDNA切断は、二重鎖および一重鎖DNAの破損を生じ得る。アポトーシスは、標準的な技術を使用して、細胞において測定される。例えば、細胞集団のゲノムDNAの分解は、アガロースゲル電気泳動または3H−チミジンまたは5−ブロモ−2’−デオキシ−ウリジンに基づいたDNAフラグメント化アッセイによって分析され得る。
【0230】
個々の細胞におけるアポトーシスを分析するために、アポトーシス細胞は、核クロマチン濃縮およびフラグメント化の特徴的な出現のために、顕微鏡的に認識され得る。アポトーシスは、例えば、Hoechst株を使用し、そして、添付の実施例において記載されるように、核濃縮を有する細胞を探すことによって、個々の細胞において測定され得る。あるいは、二重鎖および一重鎖DNA破損は、酵素反応中で、遊離の3’−OH末端を改変されたヌクレオチド(例えば、ビオチン−dUTP、DIG−dUTP、フルオレセイン−dUTP)で標識することによって、検出され得る。末端のデオキシヌクレオチドイルトランスフェラーゼ(TdT)は、DNAの3’末端へのデオキシリボオリゴヌクレオチドの鋳型独立性の重合を触媒する。この方法は、TUNEL(TdT媒介性dUTP−Xニック末端標識)といわれる。あるいは、遊離3’OH基は、ニック翻訳によって、DNAポリメラーゼを使用して、標識され得る。TUNEL染色を使用して、二重鎖DNA破損を有する細胞を同定し得る。標識されたdUTPを取り込んだ標識された遊離3’OH基は、フローサイトメトリーおよび/または蛍光顕微鏡によって可視化され得る。これらのアッセイを行なうための試薬は、例えば、Roche Molecular Biochemicals USA(In situ cell death detection kit)から入手可能である。さらに、アネキシン(例えば、Roch molecular Biochemicals USAから市販されているAnnexin−V−AlexaTM568)は、この目的のために使用され得る。アポトーシスを起こす細胞に関連する初期の原形質膜の変化の1つは、原形質膜の内側のリーフレットから外側の層へのホスファチジルセリンの転位置であり、それにより、細胞の表面でホスファチジルセリンを曝露する。Annexin−Vは、ホスファチジルセリンに結合するリン脂質結合タンパク質であり、そして、細胞表面上のホスファチジルセリンについてのプローブとして使用され得る。Annexin−Vは、DNA染色(例えば、BOBOTM−1)と組み合わせて使用され、アポトーシス細胞を壊死細胞と区別し得る。
【0231】
本発明は、モジュレーター(すなわち、TRADEタンパク質に結合する候補化合物もしくは試験化合物または候補因子もしくは試験因子(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、低分子または他の薬物))(これは、例えば、TRADE発現またはTRADE活性に対して刺激性または阻害性効果を有する)を同定するための方法(または「スクリーニングアッセイ」として本明細書中で参照される)を提供する。
【0232】
本発明の試験化合物は、以下を含む当該分野で公知のコンビナトリアルライブラリー方法における多数のアプローチのいずれかを使用して、得られ得る:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な平行固体相または溶液相ライブラリー;逆重畳積分を必要とする合成ライブラリー方法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー方法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー方法。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定されないが、他の4つのアプローチが、ペプチドライブラリー、非ペプチドオリゴマーライブラリーまたは低分子化合物のライブラリーに適用可能である(Lam,K.S.(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
【0233】
分子ライブラリーの合成のための方法の例としては、例えば、以下において、当該分野で見出され得る:DeWittら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6909;Erbら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermannら、1994、J.Med.Chem.37:2678;Choら、1993、Science 261:1303;Carrellら、1994、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら、1994、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら、1994、J.Med.Chem.37:1233。
【0234】
化合物のライブラリーは、溶液で(例えば、Houghten,1992,Biotechniques 13:412−421)、またはビーズ上(Lam,1991、Nature 354:82−84)、チップ(Fodor,1993,Nature 364:555−556)、細菌(Ladner USP 5,223,409)、胞子(Ladner USP ’409)、プラスミド(Cullら、1992、Proc Natl Acad Sci USA 89:1865−1869)またはファージ上(ScottおよびSmith,1990,Science 249:386−390;Devlin,1990,Science 249:404−406;Cwirlaら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.87:6378−6382;Felici,1991,J.Mol.Biol.222:301−310;Ladner、前出)に提示される。
【0235】
因子および天然抽出物を調節するライブラリーを試験する多数の薬物スクリーニングにおいて、ハイスループットアッセイが、所定の期間で調査された調節因子の数を最大にするために、所望である。無細胞系において行なわれるアッセイ(例えば、精製されたかまたは半精製されたタンパク質に由来し得る無細胞系)は、しばしば、それらが、試験調節因子によって媒介される分子標的における変更の迅速な開発および比較的容易な検出を可能にするように産生され得るという点で、「一次(Primary)」スクリーンといわれる。さらに、試験調節因子の細胞傷害性および/またはバイオアベイラビリティーの効果が、一般に、インビトロ系において無視され得、上流または下流エレメントとの結合親和性の変更において明らかであり得るように、代わりに、アッセイは、分子標的に対する薬物の効果に主に焦点が当てられる。
【0236】
1つの実施形態において、本発明は、TRADEタンパク質もしくはポリペプチドまたはその生物学的活性な部分に結合するか、あるいはTRADEタンパク質もしくはポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分の活性を調節する(例えば、TRADEポリペプチドがTRADE結合パートナーと相互作用する能力を調節する)、候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。
【0237】
アッセイは、調節因子(TRADEホモログを含む)をスクリーニングするために使用され得、この調節因子は、対象のTRADEポリペプチドの正常な細胞性機能のアゴニストまたはアンタゴニストのいずれかである。例えば、本発明は、TRADE活性を有するTRADEタンパク質を有する指標組成物が提供される方法を提供する。指標組成物は、試験化合物と接触され得る。次いで、試験化合物のTRADE活性に対する効果は、指標化合物における変化によって測定されるように、決定され、それにより、TRADEタンパク質の活性を調節する化合物を同定する。試験化合物の存在下でのTRADDE活性のレベルにおける統計学的に有意な変化(例えば、減少または増加)(試験化合物の非存在下において検出されたものと比較して)は、TRADE調節因子である試験化合物を示している。この指標組成物は、例えば、細胞または細胞抽出物であり得る。1つの実施形態において、TRADE活性は、添付の実施例において記載されるように評価される。
【0238】
本発明の例示的なスクリーニングアッセイにおいて、目的の調節因子は、上流で機能し得る相互作用タンパク質(その活性の活性化因子およびリプレッサーの両方を含む)と接触されるか、またはTRADEタンパク質の下流で機能し得るタンパク質に接触される(調節因子が、相互作用タンパク質によって、ポジティブまたはネガティブに調節されるかに関わらず)。次いで、調節因子および上流または下流エレメントの混合物に、TRADEタンパク質を含む組成物を添加した。TRADEとその上流または下流エレメントとの相互作用の検出および定量化は、TRADEとTRADE結合エレメントとの間の阻害性(または増強性)複合体で、調節因子の効力を決定するための手段を提供する。
【0239】
調節因子の効力は、種々の濃度の試験調節因子を使用して、得られたデータから用量応答曲線を作成することによって評価され得る。さらに、コントロールアッセイがまた行なわれ、比較のためのベースラインを提供する。コントロールアッセイにおいて、単離および精製されたTRADEタンパク質は、TRADE結合エレメントを含む組成物に添加され、そして、複合体の形成は、試験調節因子の非存在下で定量化される。
【0240】
なお別の実施形態において、本発明のアッセイは、TRADEタンパク質またはその生物学的に活性な部分が試験化合物と接触され、そして試験化合物がTRADEタンパク質またはその生物学的に活性な部分に結合する能力が決定される、無細胞系である。試験化合物のTRADEタンパク質への結合は、上記のように、直接的または間接的に決定され得る。好ましい実施形態において、このアッセイは、TRADEタンパク質またはその生物学的に活性な部分と、TRADEと結合してアッセイ混合物を形成する公知の化合物とを接触させる工程、アッセイ混合物と試験化合物とを接触させる工程、および試験化合物が、TRADEと相互作用する能力を決定する工程であって、ここで、試験化合物がTRADEタンパク質と相互作用する能力を決定する工程が、試験化合物が、公知の化合物と比較してTRADEポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分と優先的に結合する能力を決定する工程を包含する、工程を包含する。
【0241】
別の実施形態において、アッセイは、TRADEタンパク質またはその生物学的に活性な部分が試験化合物と接触され、そして試験化合物がTRADEタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調節する(例えば、刺激または阻害する)能力が決定される無細胞系アッセイである。TRADEタンパク質は、TRADEを発現する細胞の溶解物として、精製または半精製されたポリペプチドとして、または組換え的に発現されたポリペプチドとして、提供され得る。1つの実施形態において、無細胞アッセイ系は、細胞抽出物または細胞の単離された成分(例えば、ミトコンドリア)をさらに含む。このような細胞性成分は、当該分野で公知の技術を使用して単離され得る。好ましくは、無細胞アッセイ系は、TRADEが相互作用する少なくとも1つの標的分子をさらに含み、そして、試験化合物が、TRADEと標的分子との相互作用を調節する能力がモニターされ、それにより、TRADE活性のモジュレーターとして試験化合物を同定する。試験化合物がTRADEタンパク質の活性を調節する能力を決定することは、例えば、直接的な結合を決定するための上記の方法の1つによって、TRADEタンパク質がTRADE標的分子(例えば、増殖および/またはアポトーシス)と結合する能力を決定することによって、達成され得る。TRADEタンパク質がTRADE標的分子に結合する能力を決定することはまた、リアルタイムBiomolecular Interaction Analysis(BIA)のような技術を使用して達成され得る(Sjolander,S.およびUrbaniczky,C.,1991,Anal.Chem.63:2338−2345およびSzaboら、1995、Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705)。本明細書中で使用される場合、「BIA」は、いずれの反応体(例えば、BIAコア)も標識することなく、リアルタイムで生物特異的相互作用を研究するための技術である。表面プラスモン共鳴(SPR)の光学的現象における変化は、生物学的分子間のリアルタイム反応の指標として、使用され得る。
【0242】
なお別の実施形態において、無細胞アッセイは、TRADEタンパク質またはその生物学的に活性な部分と、TRADEタンパク質と結合してアッセイ混合物を形成する公知の化合物とを接触させる工程、アッセイ混合物と試験化合物とを接触させる工程、および試験化合物が、TRADEタンパク質と相互作用する能力を決定する工程であって、ここで、試験化合物がTRADEタンパク質と相互作用する能力を決定する工程が、TRADEタンパク質がTRADE標的分子と優先的に結合するかまたはTRADE標的分子の活性を調節する能力を決定する工程を包含する、工程を包含する。
【0243】
本発明の無細胞アッセイは、タンパク質の可溶性形態および/または膜結合形態の両方の使用に受け入れられる(例えば、TRADEタンパク質またはTRADEが結合する細胞内ドメインと有するレセプター)。膜結合形態のタンパク質が使用される無細胞アッセイの場合では、タンパク質の膜結合形態が溶液で維持されるように可溶化剤を利用することが所望であり得る。このような可溶化剤の例としては、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Thesit(登録商標)、イソトリデシルポリ(エチレングリコールエーテル)n、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアミノ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ヂメチルアミニオ(dimethylamminio)]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)、またはN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネートのような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0244】
TRADE標的分子は、タンパク質またはDNA配列であり得る。タンパク質−タンパク質相互作用の検出(例えば、免疫沈降、ツーハイブリッドアッセイなど)を可能にするか、またはDNA結合タンパク質と標的DNA配列との間の相互作用の検出(例えば、電気泳動移動性シフトアッセイ、DNAseIフットプリントアッセイなど)を可能にする適切なアッセイが、当該分野で公知である。試験化合物の存在下または非存在下において、このようなアッセイを実施することによって、これらのアッセイを使用して、TRADEと標的分子との相互作用を調節する(例えば、阻害または強化する)化合物を同定し得る。
【0245】
TRADEタンパク質が、TRADE分子のリガンドと結合または相互作用する能力を決定することは、例えば、直接的な結合によって達成され得る。直接的な結合アッセイにおいて、TRADEタンパク質は、放射性同位体または酵素学的標識と結合され得、その結果、TRADEタンパク質のTRADE標的分子への結合は、複合体中の標識されたTRADEタンパク質を検出することによって決定され得る。例えば、TRADE分子(例えば、TRADEタンパク質)は、直接的または間接的のいずれかで、125I、35S、14C、またはHで標識され得、そして、放射性同位体は、放射性放出の直接的カウンティングまたはシンチレーションカウンティングによって検出され得る。あるいは、TRADE分子は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼを用いて酵素学的に標識され得、そして、酵素標識は、適切な基質の産物への変換を測定することによって検出され得る。
【0246】
代表的に、TRADEまたはその結合タンパク質の1つまたは両方の非複合体形態からの複合体の分離を容易にするため、ならびにアッセイの自動化に適応するために、TRADEまたはその結合タンパク質のいずれかを固定することが望ましい。候補因子の存在下または非存在下で、TRADEを上流または下流結合エレメントに結合することは、反応物を含むのに適切な任意の容器中で達成され得る。例としては、マイクロタイタープレート、試験管、および微小遠心管が挙げられる。1つの実施形態において、このタンパク質がマトリックスに結合されるのを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が、提供される。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/TRADE(GST/TRADE)融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical,St.Louis,MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート(これらは、次いで、細胞溶解物(例えば、35S標識)および試験調節因子と組み合わせられる)上に吸着され得、そして、混合物は、わずかによりストリンジェントな条件が望ましくあり得るが、複合体形成の助けになる条件下(例えば、塩およびpHについての生理学的条件で)でインキュベートされ得る。インキュベーション後、ビーズを洗浄し、いずれの未結合の標識も除去し、そして、マトリックスを固定し、放射性標識を直接(例えば、シンチラント中に配置されたビーズ)か、または複合体が引き続き解離される後の上清中で測定される。あるいは、複合体は、マトリックスから解離され得、SDS−PAGEによって分離され得、そしてビーズ画分中に見出されるTRADE結合タンパク質のレベルを、標準的な電気泳動技術を使用してゲルから定量化した。
【0247】
マトリクス上にタンパク質を固定化するための他の方法もまた、本アッセイにおける使用のために利用可能である。例えば、TRADEまたはその同族の結合タンパク質のいずれかは、ビオチンとストレプトアビジンの結合体化を利用して固定化され得る。例えば、ビオチン標識TRADE分子は、当該分野で周知の技術(例えば、ビオチン標識キット、Pierce Chemicals,Rockford,IL)を用いて、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製され、ストレプトアビジンでコーティングされた96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定化され得る。あるいは、TRADEと反応性であるが、上流または下流のエレメントの結合を妨げない抗体が、プレートのウェル、および抗体結合体化によりウェルにトラップされたTRADEに誘導体化し得る。上記のように、TRADE結合タンパク質の調整および試験調節因子を、プレートのTRADE提示ウェルにおいてインキュベートし、そしてウェルにトラップされた複合体の量を定量化し得る。GST固定化複合体についての上述の方法に加えて、このような複合体を検出するための例示的な方法として、TRADE結合エレメントと反応性の抗体か、またはTRADEタンパク質と反応性であり、そしてこの結合エレメントと競合的である抗体を用いた複合体の免疫検出;ならびにこの結合エレメントと関連する酵素活性(内因性酵素か外因性酵素のいずれか)を検出することに依存する酵素結合アッセイが挙げられる。最近の例では、酵素はTRADE−BPと結合体化されるかまたはTRADE−BP融合タンパク質として提供される。TRADE−BPは、化学的に架橋され得るか、または西洋ワサビペルオキシダーゼと遺伝子的に融合され得、そしてこの複合体中にトラップされたタンパク質の量は、酵素の発色性基質(例えば、3,3−ジアミノ−ベンザジン−テトラヒドロクロリドまたは4−クロロ−1−ナフトール)によって評価され得る。同様に、このタンパク質およびグルタチオン−S−トランスフェラーゼを含む融合タンパク質が提供され得る。そして1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼンを用いてGST活性を検出することにより、定量化された(Habig et al.,1974,J.Biol.Chem 249:7130)。
【0248】
この複合体にトラップされたタンパク質の1つを定量化するための免疫検出に依存するプロセスについて、このタンパク質に対する抗体(例えば、抗TRADE抗体)が、用いられ得る。あるいは、この複合体において検出されるタンパク質は、TRADE配列に加えて抗体が容易に入手可能な第2のタンパク質(例えば、市販品)を含む、融合タンパク質の形態で「エピトープタグ化」され得る。例えば、上述のGST融合タンパク質もまた、GST部分に対する抗体を用いる、結合の定量化に有用であり得る。他の有用なエピトープタグとして、c−myc由来の10残基配列を含むmyc−エピトープ(例えば、Ellison et al.,1991,J Biol Chem 266:21150−21157)、およびFLAGシステム(International Biotechnologies,Inc)、またはpEZZタンパク質Aシステム(Pharmacia,NJ)が挙げられる。
【0249】
いずれの相互作用因子も標識することなく、TRADEとその標的分子との間の相互作用を調節する化合物の能力を決定することもまた、本発明の範囲内である。例えば、マイクロフィジオメーターが、TRADEもその標的分子も標識することなく、TRADEとその標的分子の相互作用を検出するために用いられ得る。Mcconnell,H.et al.,1992,Science 257:1906−1912。本明細書中で用いられる場合、「マイクロフィジオメーター(microphysiometer)」(例えば、サイトセンサー(Cytosensor)は、light−adressable potentiometric sensor(LAPS)を用いて、細胞がその環境を酸性にする速度を測定する分析機器である。この酸性化速度における変化は、化合物とレセプターとの間の相互作用の指標として用いられる。
【0250】
無細胞アッセイに加えて、本発明によって提供されるTRADEタンパク質の容易に入手可能な供給源もまた、低分子アゴニスト/アンタゴニストなどを同定するための無細胞アッセイの作製を容易にする。例えば、細胞は、目的の試験調節因子の存在下または非存在下で組換えTRADEタンパク質を発現または過剰発現するよう誘導され得、このアッセイは、標的因子により媒介される標的細胞によるTRADE応答における調節についてのスコアをつける。例えば、無細胞アッセイにより、無細胞アッセイTRADE依存性の応答(増加または減少のいずれか)における統計的に有意な変化を生じる調節因子が、同定され得る。
【0251】
TRADEの発現に用いられ得る組換え発現ベクターは、当該分野において公知である(上述の議論を参照のこと)。1つの実施形態において、この発現ベクター内で、TRADEコード配列は、指標細胞においてTRADEの構成的な発現または誘導性の発現を許容する調節配列と作動可能に連結される。細胞におけるTRADEの構成的な発現または誘導性の発現を許容する組換え発現ベクターの使用は、TRADEの活性を増強または阻害する化合物の同定に好ましい。代替の実施形態において、この発現ベクター内で、TRADEコード配列は、内因性TRADE遺伝子の調節配列(すなわち、内因性遺伝子由来のプロモーター調節領域)に作動可能に連結される。TRADEの発現が、内因性の調節配列により制御される組換え発現ベクターの使用は、TRADEの転写的な発現を増強または阻害する化合物の同定に好ましい。
【0252】
1つの実施形態において、アッセイは、TRADE標的分子(または別のTRADEの細胞内相互作用分子)を発現する細胞と、試験化合物を接触させる工程、およびTRADE標的分子の活性を調節する(例えば、刺激するかまたは阻害する)試験化合物の能力を決定する工程を包含する、細胞ベースのアッセイである。TRADE標的分子の活性を調節する試験化合物の能力を決定する工程は、例えば、TRADEタンパク質が、TRADE標的分子またはそのリガンドと結合または相互作用する能力を決定することにより、達成され得る。
【0253】
例証的な実施形態において、TRADEの発現または活性は細胞内で調節され、そして目的の読み出しに対する目的の調節因子の効果(例えば、増殖またはアポトーシス)が測定される。1つの実施形態において、TRADEの発現または活性における調節によりその転写が変化される遺伝子の調節領域(例えば、5’隣接プロモーターおよびエンハンサー領域)が、容易に検出され得る遺伝子産物をコードするマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)に作動可能に連結される。
【0254】
別の実施形態において、細胞が候補化合物と接触され、そして細胞中でのTRADE mRNAまたはタンパク質の発現が決定されるような方法において、TRADE発現のモジュレーターが同定される。候補化合物の存在下でのTRADE mRNAまたはタンパク質の発現レベルは、候補化合物の非存在下でのTRADE mRNAまたはタンパク質の発現レベルと比較される。次いで候補化合物は、この比較に基き、TRADE発現のモジュレーターとして同定され得る。例えば、TRADE mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりも存在下でより大きい(例えば、統計的に有意に大きい)場合、この候補化合物は、TRADE mRNAまたはタンパク質発現の刺激因子として同定される。あるいは、TRADE mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりも存在下でより小さい(例えば、統計的に有意に小さい)場合、この候補化合物は、TRADE mRNAまたはタンパク質発現のインヒビターとして同定される。細胞におけるTRADE mRNAまたはタンパク質の発現レベルは、本明細書中に記載されるTRADE mRNAまたはタンパク質を検出するための方法により決定され得る。
【0255】
好ましい実施形態において、TRADE標的分子と結合または相互作用するTRADEタンパク質の能力の決定は、TRADEの活性の読み出しかまたは標的分子の読み出しを測定することにより、達成され得る。例えば、TRADEまたは標的分子の活性は、標的の細胞のセカンドメッセンジャー(例えば、JNKまたはNFkBシグナル伝達経路の活性化により調節されるセカンドメッセンジャー)の誘導を検出すること、標的の適切な基質の触媒/酵素活性を検出することにより、レポーター遺伝子(検出可能なマーカー(例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)をコードする核酸に作動可能に連結された標的応答性の調節エレメントを含む)の誘導を検出することにより、または標的に調節される細胞応答(例えば、アポトーシス)を検出により、決定され得る。例えば、TRADE標的分子と結合または相互作用するTRADEタンパク質の能力の決定は、アポトーシス(好ましくは、上皮細胞)を調節する化合物の能力を測定することにより、達成され得る。アポトーシスの特徴は、DNAの切断である。このプロセスの初期において、この切断は、ヌクレオソーム間のDNAリンカー領域において生じる。DNA切断は、二本鎖および一本鎖のDNA切断物を生じ得る。アポトーシスは、標準的な技術を用いて、細胞において測定され得る。例えば、細胞集団のゲノムDNAの切断が、アガロースゲル電気泳動により分析され得るか、または3H−チミジンまたは5−ブロモ−2’−デオキシ−ウリジンに基づくDNAのフラグメンテーションアッセイが、用いられ得る。
【0256】
個体の細胞においてアポトーシスを分析するために、アポトーシス細胞は、核クロマチンの縮合およびフラグメンテーションの特徴的な外見が理由で、顕微鏡検査により認識され得る。アポトーシスは、個体細胞において測定され得る;例えば、Hoechst株を用いること、および添付の実施例に記載されるようなピクノーゼの核を有する細胞を探索すること。あるいは、二本鎖および一本鎖DNA切断物は、酵素反応において修飾された部分(例えば、ビオチン−dUTP、DIG−dUTP、フルオレセイン−dUTP)を有する遊離の3’−OH末端を標識することにより、検出され得る。末端のデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)は、テンプレート非依存的なDNAの3’末端へのデオキシリボヌクレオチドの重合を触媒する。この方法は、TUNEL(TdT−媒介性dUTP−Xニック末端標識化)と呼ばれる。あるいは、遊離のOH基が、ニックの翻訳によりDNAポリメラーゼを用いて標識され得る。トンネル染色は、二本鎖DNA切断物を有する細胞を同定するために用いられ得る。標識されたdUTPを組み込んだ標識された遊離の3’OH基は、フローサイトメトリーおよび/またはフルオレセイン顕微鏡検査により可視化され得る。これらのアッセイを実施するための試薬は、例えば、Roche Molecular Biochemicals USAから入手可能である(インサイチュ細胞死検出キット)。さらに、アネキシン(例えば、Roche Molecular Biochemicals USAから市販されているAnnexin−V−AlexaTM568)は、この目的のために用いられ得る。アポトーシスを受けている細胞に関連する初期の細胞膜の変化の1つは、細胞膜の内側リーフレットから外側リーフレットへのホスファチジルセリンの転座であり、これによって、細胞表面でホスファチジルセリンが晒される。Annexin−Vは、ホスファチジルセリンに結合するリン脂質結合タンパク質であり、細胞表面のホスファチジルセリンのためのプローブとして用いられ得る。Annexin−Vは、DNA染色(例えば、BOBOTM−1)と組み合わせて用いられて、壊死細胞からアポトーシス細胞を区別し得る。
【0257】
本発明のさらに別の局面において、TRADEタンパク質またはその一部は、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイにおいて「ベイトタンパク質(bait protein)」として用いられ得(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervos et al.,1993,Cell 72:223−232;Madura et al.,1993,J.Biol.Chem.268:12046−12054;Bartel et al.,1993,Biotechniques 14:920−924;Iwabuchi et al.,1993,Oncogene 8:1693−1696;およびBrent WO94/10300を参照のこと)、TRADE(「TRADE結合タンパク質」または「TRADE−bp」)と結合するかまたは相互作用する他のタンパク質、およびTRADE活性に関連する他のタンパク質を同定し得る。このようなTRADE結合タンパク質はまた、TRADEタンパク質またはTRADE標的(例えば、TRADE媒介性シグナル伝達経路の下流のエレメント)によるシグナルの伝播に関連するようである。あるいは、このようなTRADE結合タンパク質は、TRADEインヒビターであり得る。
【0258】
ツーハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合ドメインおよび活性化ドメインからなるほとんどの転写因子の調節性の性質に基づく。簡単に言うと、このアッセイは、2つの異なるDNA構築物を用いる。1つの構築物において、TRADEタンパク質をコードする遺伝子は、既知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合されている。他の構築物において、同定されていないタンパク質(「プレイ(prey)」または「サンプル」)をコードする、DNA配列のライブラリー由来のDNA配列が、既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合されている。「ベイト」タンパク質および「プレイ」タンパク質は、インビボで相互作用して、TRADE依存的な複合体を形成し、そしてこの転写因子のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインは、近位に運ばれる。この近位は、この転写因子と応答性の転写調節部位に作動可能に連結されているレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写を許容する。レポーター遺伝子の発現が検出され得、そして機能性の転写因子を含むコロニーが単離され得、そしてTRADEタンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン化された遺伝子を獲得するために用いられ得る。
【0259】
本発明はまた、(1)TRADEおよび転写活性ドメインを含む第1のハイブリッドタンパク質(2)TRADE結合パートナーおよびDNA結合ドメインを含む第2のハイブリッドタンパク質を有するツーハイブリッドシステム、宿主細胞、および説明書を含むキットを提供する。あるいは、TRADEポリペプチドは、DNA結合ドメインおよび活性化ドメインに融合された結合パートナーに融合され得る。このようなキットは、第1のハイブリッドタンパク質と第2のハイブリッドタンパク質との間の分子間結合を変化させる能力を試験するための試薬のパネルを必要に応じて含み得る。
【0260】
本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイにより同定された新規の因子に関連する。従って、本明細書中に記載されたようにして同定された因子をさらに適切な動物モデルにおいて使用することは、本発明の範囲内にある。例えば、本明細書中に記載されたようにして同定された因子(例えば、TRADE調節因子、アンチセンスTRADE核酸分子、TRADE特異的抗体、またはTRADE結合パートナー)は、このような因子の処置の有効性、毒性、または副作用を決定するために、動物モデルにおいて使用され得る。あるいは、本明細書中に記載されたようにして同定された因子は、このような因子の作用機構を決定するために、動物モデルにおいて使用され得る。さらに、本発明は、上記のスクリーニングアッセイにより同定された、本明細書中に記載される処置のための新規の因子の使用に関する。
【0261】
(B.合理的な薬物設計方法)
TRADEおよびTRADE結合ポリペプチド、特にTRADE/結合パートナーヘテロダイマーの直接的な接触を形成するそれらの部分は、候補TRADE調節因子(例えば、アポトーシスの増殖または誘導のダウンレギュレーションにおける使用のための抗腫瘍性因子)の合理的な薬物設計に用いられ得る。実質的に純粋なTRADEポリペプチド/結合パートナー複合体およびタンパク質X線結晶学または他の構造分析方法に用いられ得る計算評価上のモデル(例えば、DOCKプログラム(Kuntz et al.,1982,J.Mol.Biol.161:269;Kuntz ID,1992,Science 257:1078))およびそれらの改変体の生成。したがって、強力な治療用薬物は、提供される構造情報に基づき合理的に設計され得る。1つの実施形態において、このような薬物は、TRADEポリペプチド:結合パートナー複合体の形成を防止または増強するために設計される。従って、本発明は、TRADEの結合パートナー(例えば、TRAF分子)への結合を阻害または推進する効力を有する薬物を含む薬物を設計するために用いられ得る。
【0262】
(V.本発明の他の使用および方法)
本明細書中に記載される核酸分子、タンパク質、タンパク質ホモログ、および抗体は、以下の1つ以上の方法において用いられ得る:a)処置方法(例えば、好ましくは上皮細胞における増殖および/またはアポトーシスの上方調節または下方調節);b)スクリーニングアッセイ;ならびにc)予測的な医薬(例えば、診断アッセイ、予後アッセイ、モニタリング臨床試験、または薬理遺伝学)。本発明の単離された核酸分子は、例えば、TRADE mRNA(例えば、生物学的サンプル中の)またはTRADE遺伝子中の遺伝的変化を検出するために、および本明細書でさらに記載されるようなTRADE活性を調節するために、TRADEタンパク質(例えば、遺伝子治療の適用における宿主細胞における組み換え発現ベクターを介して)を発現させるために用いられ得る。TRADEタンパク質は、TRADEインヒビターの不十分な産生かまたは過剰な産生により特徴付けられる障害を処置するために用いられ得る。さらに、TRADEタンパク質は、天然に存在するTRADE結合タンパク質をスクリーニングするために、TRADE活性を調節する薬物または化合物をスクリーニングするために、ならびに、例えば、TRADEタンパク質の不十分かもしくは過剰な産生か、またはTRADE野生型タンパク質と比較して減少した活性かまたは異常な活性を有するTRADEタンパク質形態の不十分かもしくは過剰な産生により特徴付けられる、TRADEの調節により利益を受ける障害を処置するために用いられ得る。さらに、本発明の抗TRADE抗体は、TRADEタンパク質を検出および単離するため、TRADEタンパク質の生物学的利用能を調節するために、およびTRADE活性を調節するために用いられ得る。本発明の方法の好ましい実施形態において、例えば、TRADEの検出、調節などは、上皮細胞(例えば、管の上皮細胞)において用いられ得る。好ましい実施形態において、この細胞は、例えば、TRADEが、肝臓、肺、前立腺、脳、または腸からなる群より選択される組織発現される組織由来である。
【0263】
(A.検出アッセイ)
サンプル中のTRADE分子の存在を検出し得る因子(例えば、本明細書中で同定されたcDNA配列(および対応する完全遺伝子配列)の一部またはフラグメント)、TRADEファミリーポリペプチドまたは特異的なTRADEポリペプチドを認識する抗体)は、TRADE核酸またはポリペプチド分子を検出する多くの方法において用いられ得る。例えば、TRADE分子は、以下の順序で検出され得る:(i)染色体上のそれらの遺伝子座をマップする;従って、遺伝的疾患に関連する遺伝子領域の位置を示す;(ii)わずかな生物学的サンプルから個体を同定する(組織タイピング);(iii)生物学的サンプルの法医学的な同定を手助けする;または(iv)細胞においてTRADEが発現するか否かを検出するかまたは細胞におけるTRADE発現のレベルを定量化するために検出する。
【0264】
例えば、診断アッセイ、予後アッセイ、およびモニタリング臨床試験は、TRADE関連障害の処置により利益を受けるかまたはTRADE関連障害を発症する危険にあり得る個体を同定するために用いられる。従って、本発明の1つの局面は、生物学的サンプル(例えば、血液、血清、細胞、組織(好ましくは上皮細胞または組織))において、TRADEタンパク質および/または核酸の発現、ならびにTRADE活性を決定し、個体が、疾患または障害に罹患しているか否か、または異常なTRADE発現または活性に関連する障害を発症する危険にあるか否かを決定するための診断/予後アッセイに関する。本発明はまた、個体が、TRADEタンパク質、核酸の発現または活性に関連する障害を発症する危険があるか否かを決定するための予後(予測的な)アッセイを提供する。例えば、TRADE遺伝子における変異は、生物学的サンプル中でアッセイされ得る。このようなアッセイは、予後的または予測的な目的で用いられ、それによってTRADEタンパク質、核酸の発現、活性により特徴付けられるか、またはそれらに関連する障害の発症の前に個体を予防的に処置し得る。
【0265】
本発明の別の局面は、臨床試験におけるTRADEの発現または活性に対する因子(例えば、薬物、化合物)の影響のモニタリングを可能にする。
【0266】
好ましくは、TRADEが発現される組織サンプル(または、組織サンプル由来の細胞)において、(例えば、肝臓細胞、前立腺細胞、肺細胞、脳細胞、または腸細胞のような上皮細胞において、)インスタントな診断アッセイ、予後アッセイ、または臨床アッセイが行われる。
【0267】
生物学的サンプル中のTRADEタンパク質または核酸の存在または非存在を検出するための例示的な方法は、試験被験体から生物学的サンプルを獲得する工程、およびこの生物学的サンプルと、TRADEタンパク質またはTRADEタンパク質をコードする核酸分子(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出し得る化合物または因子を接触させ、その結果TRADEタンパク質または核酸分子の存在が、生物学的サンプルにおいて検出される工程を包含する。TRADE mRNAまたはゲノムDNAを検出するための好ましい因子は、TRADE mRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズし得る、標識された核酸プローブである。核酸プローブは、例えば、配列番号1もしくは配列番号3の核酸または別のTRADEファミリーのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、あるいはその一部(例えば、少なくとも15、30、50、100、250、または500ヌクレオチド長であり、ストリンジェントな条件下でTRADEのmRNAまたはゲノムDNAもしくはTRADEαまたはTRADEβのmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分であるオリゴヌクレオチド)のような、TRADE核酸であり得る。本発明の診断アッセイにおける使用のための他の適切なプローブが、本明細書中に記載されている。
【0268】
TRADEタンパク質を検出するための好ましい因子は、TRADEタンパク質に結合し得る抗体、好ましくは検出可能な標識を備える抗体である。抗体は、ポリクローナル、またはより好ましくは、モノクローナルであり得る。インタクトな抗体、またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’))が、用いられ得る。プローブまたは抗体に関する限り、用語「標識された」は、プローブまたは抗体と検出可能物質をカップリング(すなわち、物理的に連結)することによるプローブまたは抗体の直接的な標識、ならびに直接的に標識された別の因子との反応性によるプローブまたは抗体の間接的な標識を含むことが意図される。間接的な標識の例として、蛍光標識された二次抗体を用いる一次抗体の検出、蛍光標識されたストレプトアビジンを用いて検出され得るような、ビオチンを有する末端標識されたDNAプローブの検出が挙げられる。用語「生物学的サンプル」は、被験体、ならびに被験体内に存在する組織、細胞(好ましくは上皮細胞または上皮組織)、および液体から単離された組織、細胞、および生物学的な液体を含むことが意図される。すなわち、本発明の検出方法は、生物学的サンプル中のTRADE mRNA、タンパク質、またはゲノムDNAをインビトロおよびインビボで検出するために用いられ得る。例えば、TRADE mRNAを検出するためのインビトロ技術として、ノザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。TRADEタンパク質を検出するためのインビトロ技術として、酵素連結イムノソルベント検定(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降、および免疫蛍光が挙げられる。TRADEゲノムDNAを検出するためのインビトロ技術として、サザンハイブリダイゼーションが挙げられる。さらに、TRADEタンパク質を検出するためのインビボ技術として、抗TRADE抗体の被験体への導入が挙げられる。例えば、この抗体は、被験体におけるその存在および位置が、標準的な画像化技術により検出され得る放射線マーカーで標識され得る。
【0269】
1つの実施形態において、生物学的サンプルは、試験被験体由来のタンパク質分子を含む。あるいは、生物学的サンプルは、試験被験体由来のmRNA分子または試験被験体由来のゲノムDNA分子を含み得る。好ましい生物学的サンプルは、従来の手段によって被験体から単離された血清サンプルである。
【0270】
別の実施形態において、この方法はさらに、コントロール被験体からコントロール生物学的サンプルを得る工程、コントロールサンプルとTRADEタンパク質、mRNA、もしくはゲノムDNAを検出し得る化合物または薬剤とを接触させ、その結果、生物学的サンプル中のTRADEタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの存在が検出される工程、およびコントロールサンプル中のTRADEタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの存在と試験サンプル中のTRADEタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの存在とを比較する工程を包含する。
【0271】
本発明はまた、生物学的サンプル中のTRADEの存在を検出するためのキットを包括する。例えば、このキットは、生物学的サンプル中のTRADEタンパク質またはmRNAを検出し得る標識された化合物または薬剤;サンプル中のTRADEの量を測定するための手段;およびサンプル中のTRADEの量を標準と比較するための手段を備え得る。この化合物または薬剤は、適切な容器にパッケージングされ得る。このキットはさらに、TRADEタンパク質または核酸の検出にこのキットを使用するための説明書を備え得る。
【0272】
本明細書中で記載される診断方法を使用してさらに異常なTRADE発現もしくは活性と関連する疾患または障害を発症する危険性を有するか、またはそのような危険性にある被験体を同定し得る。例えば、本明細書中で記載されるアッセイ(例えば、前述の診断的アッセイまたは以下のアッセイ)を使用して、TRADEタンパク質、核酸の発現もしくは活性に関連する障害を発症する危険性を有するか、またはそのような危険性にある被験体を同定し得る。従って、本発明は、異常なTRADE発現もしくは活性に関連する疾患または障害を同定するための方法を提供し、ここで試験サンプルは被験体から得られ、そしてTRADEタンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)が検出され、ここでTRADEタンパク質または核酸の存在は、異常なTRADE発現または活性に関連する疾患もしくは障害を発症する危険性を有するか、またはこのような危険性にある被験体について診断的である。本明細書中で使用される場合、「試験サンプル」は、目的の被験体から得られた生物学的サンプルをいう。例えば、試験サンプルは、生物学的液体(例えば、血清)、細胞サンプル、または組織であり得る。
【0273】
さらに、本明細書中で記載される予測的アッセイを使用して、異常なTRADE発現または活性に関連する疾患もしくは障害を処置するために被験体に薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の候補薬物)を投与し得るか否かを決定し得る。従って、本発明は、異常なTRADE発現もしくは活性に関連する障害について薬剤で被験体が有効的に処置され得るか否かを決定するための方法を提供し、ここで試験サンプルが得られ、そしてTRADEタンパク質または核酸の発現もしくは活性が検出される(例えば、ここでTRADEタンパク質もしくは核酸の発現または活性の発生量は、異常なTRADE発現もしくは活性に関連する障害を処置するための薬剤を投与され得る被験体について診断的である)。
【0274】
また、本発明の方法を使用してTRADE遺伝子における遺伝子の変化を検出し得、これによって変化した遺伝子を有する被験体が、TRADE遺伝子に関連する障害についての危険性にあるか否かが決定される。好ましい実施形態において、この方法は、被験体由来の細胞サンプル中のTRADEタンパク質をコードする遺伝子の完全な状態に影響する変化もしくはTRADE遺伝子の誤発現の少なくとも1つによって特徴付けられる遺伝子変化の存在または非存在を検出する工程を包含する。例えば、このような遺伝子の変化は、以下の少なくとも1つの存在を確かめることによって検出され得る:1)TRADE遺伝子由来の1以上のヌクレオチドの欠損;2)TRADE遺伝子への1以上のヌクレオチドの付加;3)TRADE遺伝子の1以上のヌクレオチドの置換;4)TRADE遺伝子の染色体再配置;5)TRADE遺伝子のメッセンジャーRNA転写レベルにおける変化;6)TRADE遺伝子の異常な改変(例えば、ゲノムDNAのメチル化パターン);7)TRADE遺伝子のメッセンジャーRNA転写の非野生型スプライシングパターンの存在;8)TRADEタンパク質の非野生型レベル;9)TRADE遺伝子の対立遺伝子欠損、および10)TRADEタンパク質の不適切な翻訳後修飾。本明細書中で記載されるように、当該分野で公知の多数のアッセイ技術が存在し、これらはTRADE遺伝子の変化を検出するために使用され得る。好ましい生物学的サンプルは、被験体から従来的な手段で単離された組織サンプルまたは血清サンプル(例えば、神経組織サンプル)である。
【0275】
特定の実施形態において、変化の検出は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、アンカーPCRもしくはRACE PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号を参照のこと)、あるいはまたライゲーション連鎖反応(LCR)(例えば、Landegranら、1988、Science 241:1077〜1080;およびNakazawaら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:360〜364)におけるプローブ/プライマーの使用に関連し、後者は特に、TRADE遺伝子の変異点の検出に有用であり得る(Abravayaら、1995、Nucleic Acids Res.23:675〜682を参照のこと)。本方法は、患者から細胞サンプルを収集する工程、このサンプルの細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNA,またはその両方)を単離する工程、TRADE遺伝子(存在する場合)のハイブリダイゼーションおよび増幅が起こるような条件下でTRADE遺伝子に特異的にハイブリダイズする1以上のプライマーと核酸サンプルを接触させる抗体、ならびに増幅産物の存在もしくは非存在を検出するか、または増幅産物の大きさを検出してコントロールサンプルに対して長さを比較する工程を包含し得る。PCRおよび/またはLCRが、本明細書中に記載される変異を検出するために使用される技術のいずれかと組み合わせて予備的な増幅工程としての使用が所望され得ることが予測される。
【0276】
代替的な増幅方法として以下:自己維持配列複製(self sustained sequence replication)(Guatelli,J.C.ら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874〜1878)、転写増幅系(Kwoh,D.Y.ら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173〜1177)、Q−βレプリカーゼ(Lizardi,P.M.ら、1988、Bio−Technology 6:1197)、または任意の他の核酸増幅方法が挙げられ、続いて当業者に周知の技術を使用して増幅された分子が検出される。これらの検出スキームは、核酸分子が非常に少ない数で存在する場合にこのような核酸分子を検出するために特に有用である。
【0277】
代替的な実施形態において、サンプル細胞由来のTRADE遺伝子における変異は、制限酵素切断パターンにおける変化によって同定され得る。例えば、サンプルDNAおよびコントロールDNAが単離され、増幅され(必要に応じて)、1以上の制限エンドヌクレアーゼで分解され、そしてゲル電気泳動によってフラグメント長サイズが決定され、そして比較される。サンプルDNAとコントロールDNA間のフラグメント長サイズにおける差異は、サンプルDNAにおける変異を示す。さらに、配列特異的リボザイムの使用(例えば、米国特許第5,498,531号を参照のこと)は、リボザイム切断部位の発生または欠失によって特定の変異の存在について記録するために使用され得る。
【0278】
他の実施形態において、TRADEにおける遺伝子の変化は、サンプル核酸およびコントロール核酸(例えば、DNAまたはRNA)を、数百または数千のオリゴヌクレオチドプローブを含む高密度アレイにハイブリダイズすることによって同定され得る(Cronin,M.T.ら、1996、Human Mutation 7:244〜255;Kozal,M.J.ら、1996、Nature Medicine 2:753〜759)。例えば、TRADEにおける遺伝子の変異は、Cronin,M.T.ら(前出)に記載されるような光発生(light−generated)DNAプローブを含む二次元的なアレイにおいて同定され得る。簡単には、連続的なオーバーラッピングプローブの線状アレイを作製することによって、プローブの第一のハイブリダイゼーションが配列間の塩基変化を同定するためのサンプルおよびコントロール中の長いDNAストレッチを介するスキャンするために使用され得る。この工程は、変異点の同定を可能にする。この工程に続いて、特定の変異の特徴付けを可能にする第二のハイブリダイゼーションが、検出される改変体または変異体全てに相補的な特殊化したより小さなアレイを使用することによって、行われる。各変異アレイは、パラレルプローブセットから構成され、一方は野生型遺伝子に相補的であり、他方は変異遺伝子に相補的である。
【0279】
なお別の実施形態において、当該分野で公知である任意の種々の配列決定反応を使用して、TRADE遺伝子を直接的に配列決定し、そしてサンプルTRADEの配列とその対応する野生型(コントロール)配列を比較することによって変異を検出し得る。配列決定反応の例として、MaxamおよびGilbert(MaximおよびGilbert、1977、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:560)またはSanger(Sanger、1977、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463)によって開発された技術に基づく配列決定反応が挙げられる。任意の種々の自動化された配列決定手順が、質量分析による配列決定を含む診断的アッセイ(Lefevre,CK,1995,Biotechniques 19:448)を実施する場合に利用され得ることがまた意図される(例えば、PCT国際出願番号WO94/16101;Cohenら、1996、Adv.Chromatogr.36:127〜162;およびGriffinら、1993、Appl.Biochem.Biotechnol.38:147〜159)。
【0280】
TRADE遺伝子における変異を検出するための他の方法として、切断剤からの保護を使用して、RNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二重鎖におけるミスマッチの塩基を検出する方法が挙げられる(Myersら、1985、Science 230:1242)。一般的に、「ミスマッチ切断」の技術は、組織サンプルから得られた変異の可能性のあるRNAまたはDNAを有する野生型TRADE配列を含む(標識された)RNAまたはDNAをハイブリダイズすることによって形成されるヘテロ二重鎖を提供することによって開始する。二本鎖の二重鎖は、二重鎖のうちの一本鎖領域(例えば、これは、コントロール鎖とサンプル鎖間の塩基対ミスマッチに起因して存在する)を切断する薬剤で処理で処理される。例えば、RNA/DNA二重鎖は、RNaseで処理され得、そしてDNA/DNAハイブリッドはミスマッチ領域を酵素的に分解するS1ヌクレアーゼで処理される。他の実施形態において、DNA/DNA二重鎖またはRNA/DNA二重鎖のいずれかが、ミスマッチ領域を分解するためにヒドロキシアミンまたは四酸化オスミウムおよびピペリジンで処理され得る。ミスマッチ領域の分解後、次いで、生じた物質を変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズによって分離し、変異部位を決定する。例えば、Cottonら、1988、Proc.Natl Acad Sci USA 85:4397;Saleebaら、1992、Methods Enzymol.217:286〜295を参照のこと。好ましい実施形態において、コントロールDNAまたはRNAは検出のために標識化され得る。
【0281】
なお別の実施形態において、ミスマッチ切断反応は、細胞サンプルから得られたTRADEにおける変異点を検出しそしてマッピングするための規定された系における二本鎖DNAのミスマッチ塩基対を認識する1以上のタンパク質(いわゆる、「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。例えば、E.coliのmutY酵素は、G/AミスマッチでAを切断し、HeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼは、G/TミスマッチでTを切断する(Hsuら、1994、Garcinogenesis 15:1657〜1662)。例示的な実施形態に従って、TRADE配列(例えば、野生型TRADE配列)に基づくプローブは、試験細胞由来のcDNAまたは他のDNA産物にハイブリダイズされる。二重鎖は、DNAミスマッチ修復酵素で処理され、そして存在する場合には、その切断産物は、電気泳動プロトコルなどから検出され得る。例えば、米国特許第5,459,039号を参照のこと。
【0282】
他の実施形態において、電気泳動移動度における変化を使用してTRADE遺伝子における変異を同定する。例えば、一本鎖コンホメーション多型性(SSCP)を使用して、変異核酸および野生型核酸間の電気泳動移動度における差異を検出し得る(Oritaら、1989、Proc Natl.Acad.Sci USA:86:2776、Cotton、1993、Mutat Res 285:125〜144;およびHayashi、1992、Genet Anal Tech Appl 9:73〜79もまた参照のこと)。サンプルTRADE核酸およびコントロールTRADE核酸の一本鎖DNAフラグメントは、変性され、そして再生させられる。一本鎖核酸の二次構造は、配列によって変化し、生じる電気泳動度の変化は、単一塩基の変化の検出さえ可能にする。DNAフラグメントは、標識されたプローブで標識されるかまたは検出され得る。アッセイの感度は、RNA(DNAよりもむしろ)を使用して高められ、ここで二次構造が配列における変化に対してより感受性である。好ましい実施形態において、本方法は、電気泳動移動度における変化に基づいて、二本鎖ヘテロ二重鎖分子を分離するヘテロ二重鎖分析を使用する(Keenら(1991)Trends Genet 7:5)。
【0283】
なお別の実施形態において、変性剤勾配を含有するポリアクリルアミドゲルにおける変異フラグメントまたは野生型フラグメントの移動度は、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を使用してアッセイされる(Myersら、1985、Nature 313:495)。DGGEが分析方法として使用される場合、DNAは、例えば、PCRによって約40bpの高融点のGCに富むDNAのGCクランプを添加することによって完全に変性されないことを保証されて改変される。さらなる実施形態において、温度勾配が変性勾配に代わって使用されてコントロールDNAとサンプルDNAの移動度における差異が同定される(RosenbaumおよびReissner、1987、Biophys Chem 265:12753)。
【0284】
変異点を検出するための他の技術の例として、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーは、既知の変異が中心的に配置されるように調製され得、次いで完全な一致が見出された場合にのみハイブリダイザーションを可能にする条件下で標的DNAにハイブリダイズされ得る(Saikiら、1986、Nature 324:163;Saikiら、1989、Proc.Natl Acad.Sci USA 86:6230)。このような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする膜に結合されて標識された標的DNAとハイブリダイズされる場合に、PCR増幅された標的DNAまたは多数の異なる変異体にハイブリダイズされる。
【0285】
あるいは、選択的PCR増幅による対立遺伝子特異的増幅技術は、本発明と組み合わせて使用され得る。特異的な増幅のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、分子の中心に目的の変異を保有し得るか(結果として、増幅は、示差的ハイブリダイゼーションに依存する)(Gibbsら、1989、Nucleic Acids Res.17:2437〜2448)または1つのプライマーの極3’末端でこの分子を保有する(ここで、適切な条件下、ミスマッチは、ポリメラーゼ伸長を阻害または減少し得る)(Prossnerら、1993、Tibtech 11:238)。さらに、切断に基づく検出を作成するために変異領域に新規な制限部位を導入することが所望され得る(Gaspariniら、1992、Mol.Cell Probes 6:1)。特定の実施形態において、増幅はまた、増幅のためのTaqリガーゼを使用して実施され得ることが予測される(Barany、1991、Proc.Natl.Acad.Sci USA 88:189)。このような場合において、5’配列の3’末端で完全な一致が存在する場合にのみ連結が生じ、増幅の存在または非存在を見つけることにより特異的な部位での既知の変異の存在を検出可能にする。
【0286】
本明細書中で記載される方法は、例えば、本明細書中に記載されたプローブ核酸または抗体試薬の少なくとも1つを備える予めパッケージングされた診断的キットを使用することによって実施され得る。これは、例えば、TRADE遺伝子に関連する疾患もしくは病気の症状または家族歴を示す患者を診断するための臨床的設定において簡便に使用され得る。
【0287】
さらに、TRADEが発現される任意の細胞型または組織は、本明細書中で記載される予後アッセイに使用され得る。
【0288】
(VI.TRADE調節剤の投与)
本発明のTRADE調節剤は、T細胞媒介免疫応答を増強するかまたは抑制するいずれかのために、インビボでの薬学的投与に適切な生物学的に適合性の形態で被験体に投与される。「インビボでの投与に適切な生物学的に適合性の形態」によって、任意の毒性効果がタンパク質の治療効果よりも上回らないタンパク質の投与されるべき形態が意味される。用語「被験体」は、免疫応答が惹起され得る生きている生物(例えば、哺乳動物)を含むことが意図される。被験体の例として、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびこれらのトランスフェニック種が挙げられる。本明細書中に記載される薬剤の投与は、治療的活性量の薬剤を単独でまたは薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む任意の薬理学的形態であり得る。
【0289】
本発明の治療的組成物の治療的に活性な投与量は、投薬時の有効量および所望の結果を達成するために必要な期間についての有効量として規定される。例えば、TRADE調節剤の治療的活性量は、疾患状態、年齢、性別、個体の体重、および所望される応答を惹起するペプチドのその個体中での能力のような因子によって変化し得る。投薬レジメンは、最良の治療応答を提供するように調整され得る。例えば、いくつかに分けられた用量は、毎日投与され得るか、またはその用量は、治療状況の緊急性によって示されるように比例的に減少させ得る。
【0290】
本発明の治療組成物または薬学的組成物は、当該分野で公知の適切な経路(例えば、静脈内投与、筋肉内投与、経皮投与、髄腔内投与、または大脳内投与)匂いて、または細胞に、エキソビボ処置プロトコールにおいて投与され得る。投与は、注射によって急速にか、またはゆっくりとした注入または徐放剤の投与によって、しばらくの時間に渡ってかのいずれかであり得る。中枢神経系における組織の処置のための投与は注射または脳脊髄液(CSF)への注入であり得る。TRADEポリペプチドが、中枢神経系における細胞へ投与されることが意図される場合、投与は、血液脳関門を通ってのTRADEポリペプチドの貫入を促進し得る1つ以上の因子と共にされ得る。
【0291】
TRADE分子はまた、所望される薬学的特性または薬物動態学的特性を提供する因子と結合、抱合、または投与され得る。例えば、TRADEは、貫入を促進、または血液脳関門を通る輸送を促進することが当該分野で公知の任意の物質(例えば、トランスフェリンレセプター)に結合され得、そして静脈内投与され得る(例えば、参考として援用される、Fridenら、1993、Science 259:373〜377を参照)。さらに、TRADEは、所望される溶解特性、安定特性、半減期、および他の薬学的に利点のある特性を得るためのポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)に安定に結合され得る(例えば、参考として援用される、Davisら、1978、Enzyme Eng 4:169〜173;Burnham、1994、Am J Hosp Pharm 51:210〜218を参照)。
【0292】
さらに、TRADE分子は、細胞の細胞質内への送達を援助する組成物中にあり得る。例えば、TRADE分子は、細胞の細胞質内にペプチドを送達し得るキャリアー成分(例えば、リポソーム)に結合され得る。このような方法は、当該分野で周知である(例えば、参考として援用される、Amselemら、1993 Chem Phys Lipids 64:219〜237を参照)。あるいは、TRADE分子は、特定の輸送ペプチドまたは細胞内にTRADE分子を送達し得る輸送ペプチドを有するよう修飾し得る。さらにこの分子は、マイクロインジェクションによって細胞に直接送達され得る。
【0293】
この組成物は、通常薬学的調製物の形態で用いられる。このような調製物は、薬学分野で周知の様式において作製される。特定の好まれる調製物は、生理食塩水溶液のビヒクルを利用するが、しかし他の薬学的に受容可能なキャリアー(例えば、生理学的濃度の他の非毒性の塩、5%グルコース水溶液、滅菌水など)もまた使用され得る。本明細書で使用される「薬学的に受容可能なキャリアー」とは、任意のまたは全ての溶液、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤、および吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質に対するこのような媒質および薬物の使用は、当該分野で周知である。活性な化合物に不適合である任意の従来の媒質または薬物の範囲を除外すれば、治療化合物においてのこれらの使用は、適合する。補充性の活性化合物はまた、組成物に含まれ得る。適切な緩衝液が組成物中に存在することが所望され得る。必要とされる場合、この溶液は、凍結乾燥され、そして滅菌注射用水の添加により再構成される、滅菌アンプルに保存され得る。主な溶媒は、水溶性または非水溶性であり得る。TRADEはまた、処置が必要な組織に移植され得る個体または半個体の生物学的適合性の基質に含まれ得る。
【0294】
キャリアーはまた、処方物のpH、浸透圧、粘性、透明度、色、無菌、安定性、不溶性の割合、または匂いを修飾または維持するための薬学的に受容可能な他の賦形剤を含む。同様に、キャリアーは、放出または吸収または血液脳関門を通る輸送を修飾または維持するための薬学的に受容可能な他の賦形剤をなお含む。このような賦形剤は、これらの物質が、単回用量形態または複数回用量形態のいずれかにおいての非経口投与のため、もしくは連続的または周期的な注入による直接の注入のための投与処方に、通常かつ慣用的に用いられる。
【0295】
投与は、投与される処方物の薬物動態学的パラメーターおよび使用される投与経路に依存して繰り返され得る。TRADE分子を含む特定の処方物またはこれらのフラグメントが、経口的に投与されることが提供される。このような処方物は、好ましくはカプセル化され、そして固体投与形態中の適切なキャリアーに処方される。適切なキャリアー、賦形剤、および希釈剤のいくつかの例は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン(olyvinylpyrrolidone)、セルロース、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、メチル−およびプロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウム、ステアリン酸塩、水、鉱油などを含む。処方物は、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、保存剤、甘味剤、または、矯味矯臭剤をさらに含む。当該分野で周知の手順を用いて患者に投与した後に、組成物は、迅速に提供され、維持、または活性な成分の放出が遅延されるよう処方され得る。処方物はまた、タンパク質分解を減少する物質および/または 例えば、表面活性因子吸収を促進する物質を含み得る。
【0296】
投与および用量の一定化を簡単にするため、用量単位形態で非経口組成物を処方することは、特に有用である。本明細書で用いられる用量単位形態は、処置される哺乳動物対象に対する用量単位として適切な、物理的な解離単位を反映し;所望の薬学的キャリアーに関する所望の治療効果を生成するよう計算された活性化合物の各規定の用量である。本発明の用量単位形態の特徴は、(a)活性化合物の独特の特徴および達成されるべき特定の治療効果、および(b)個体における処置の感受性のために活性化合物のような当該分野の配合物を固有に制限すること、に支持されそして、直接依存する。特異的用量は、当業者によって簡単に計算され得る(例えば、患者のおよその体重または体表面積または身体の占める体積に従う)。用量はまた、選択される特定の投与経路に依存して、計算される。さらに、処置のための適切な用量を決定するために必要な計算の改良点は、当業者によって慣用的になされる。標的細胞のアッセイ調製においての本明細書に開示される活性の見地において、このような計算は、当業者による過度の実験を伴わずになされ得る。正確な用量は、標準用量−応答研究との組み合わせにおいて決定される。実際に投与される組成物の用量は、熟練者によって決定され、関連する状況(処置されるべき状況、投与されるべき組成物の選択、年齢、体重、および個々の患者の応答、患者の症状の重症度、および選択された投与経路を含む)によって決定される。
【0297】
このような化合物の毒性および治療効力は、細胞培養物または、実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る(例えば、LD50(集団の50%が致死の量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な量)を決定する)。毒性と治療効力の間の用量比は、治療指数であり、これはLD50/ED50の比として現れされ得る。大きな治療指数を示す化合物が、好まれる。毒性の副作用を有する化合物が用いられ得る場合、非感染細胞への潜在的損傷を最小にし、副作用を減少するため、このような化合物を発症した組織部位に標的化する送達システムを設計することに関心が持たれる。
【0298】
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトにおける使用のための用量範囲を処方することに利用され得る。この化合物の用量は、好ましくは、毒性がほとんどないか、まったくないED50を含む循環中濃度の範囲にある。用量は、用いられる用量形態および利用される投与経路に依存する範囲内で変化し得る。本発明の方法において使用される任意の化合物について、治療有効量は、細胞培養アッセイからはじめに推定される。用量は、IC50(すなわち、症状の阻害を最大の半分にする試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲に達するように、動物モデルにおいて計算され得る。このような情報は、ヒトにおける使用用量をより正確に決定するために使用され得る。血漿中のレベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィによって測定され得る。
【0299】
本発明の1つの実施形態において、生物学的に活性なTRADE形態またはTRADEの前駆体(すなわち、体内においてTRADEの生物学的活性形態に容易に変換され得る分子)を生成し得るベクターまた細胞を患者に移植することによってTRADE分子は、治療的に投与され得る。1つのアプローチにおいて、TRADEを分泌する細胞は、患者に移植するために半透性膜内にカプセル化され得る。細胞は、通常TRADEを発現する細胞か、もしくはこれらの前駆体であり得るか、またはTRADEを発現するよう形質転換された細胞であり得るか、またはこれらの生物学的に活性なフラグメントもしくはこれらの前駆体であり得る。患者がヒトである場合、細胞がヒト由来であることおよびTRADE分子がヒトTRADEであることが好ましい。しかし、本明細書の処方物および方法が、ヒトの適用と同様に獣医学のために使用され得、本明細書において使用される用語「患者」または「被験者」は、ヒトおよび獣医学的患者を含むことが 意図される。
【0300】
TRADEタンパク質の発現または活性における因子(例えば、薬物または化合物)の効果をモニターすることは、基本的な薬物スクリーニングにおいてのみならず、臨床試験においても適用され得る。例えば、本明細書に記載のようにスクリーニングアッセイによって決定される、増大したTRADE遺伝子発現、タンパク質レベル、またはTRADE活性の上方制御に対する因子の効果は、減少したTRADE遺伝子発現、タンパク質レベル、またはTRADE活性の下方制御を呈する被験者の臨床試験においてモニターされ得る。あるいは、スクリーニングアッセイによって決定される、減少したTRADE遺伝子発現、タンパク質レベル、またはTRADE活性の下方制御に対する因子の効果は、増大したTRADE遺伝子発現、タンパク質レベル、またはTRADE活性の上方制御を呈する被験者の臨床試験においてモニターされ得る。このような臨床試験においてTRADE遺伝子、および好ましくは、障害において関連する他の遺伝子の発現または活性は、特定の細胞の表現型の「出力」またはマーカーとして使用され得る。
【0301】
例えば、TRADE活性(例えば、本明細書において記載されるスクリーニングアッセイにおいて同定される)を修飾する因子(例えば、化合物、薬物または小分子)を用いた処置によって、細胞内で修飾される遺伝子(TRADEを含む)が同定され得る。したがって、例えば、臨床試験において、障害に関するTRADEにおける因子の効果の研究するために、細胞は単離され得て、RNAを調製し、TRADEまたは他の遺伝子の発現レベルについての分析は、TRADEに関する障害において関連している。遺伝子発現のレベル(すなわち、遺伝子発現パターン)は、本明細書において記載されるようにノザンブロット解析またはRT−PCRによって定量され得るか、または本明細書に記載の方法の1つにより、生成されたタンパク質の量を定量することによってか、またはTRADEもしくは他の遺伝子の活性レベルを測定することによって定量され得る。この方法において、遺伝子発現パターンは、マーカーとして役立ち、因子に対する細胞の生理学的応答を示す。したがって、この応答状態は、因子を用いた個体の処置の前および、その間の様々な時点において決定され得る。
【0302】
好ましい実施形態において、本発明は、因子(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模擬物、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または本明細書において記載されるスクリーニングアッセイによって同定される他の薬物候補)を用いた被験者の処置の効果のモニタリングの方法を提供し、これは、以下の工程を含む;(i)因子の投与の前に患者から投与前サンプルを得る工程;(ii)投与前サンプルのTRADEタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルの検出する工程;(iii)被験者から1つ以上の投与後のサンプルを得る工程;(iv)投与後のサンプルにおけるTRADEタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出する工程;(v)投与前サンプル中のTRADEタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルを投与後サンプル中のTRADEタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAと比較する工程;および(vi)患者にしたがって因子の投与を変える工程。例えば、因子の投与を増大することは、TRADEの発現または活性を検出されるよりも高いレベル(すなわち、因子の効果の増大)に増大するために望まれ得る。あるいは、因子の投与を減少することは、TRADEの発現または活性を検出されるよりも低いレベル(すなわち、因子の効果の減少)に減少するために望まれ得る。このような実施形態にしたがって、TRADEの発現または活性は、観察可能な表現型の応答が不在の場合においても、因子の効果の指標として用いられる。
【0303】
好ましい実施形態において、TRADEの発現および/または活性の修飾に由来する、被験者の上皮細胞におけるアポトーシスを修飾するTRADE修飾因子の能力は、因子の投与後の患者の状況の改善を検出することによって測定され得る。患者の特定の状況に適切な指標を用いて、このような改善は、当業者によって簡単に測定され得る。生検材料の収集が、患者に対する増大したリスクおよび/または有害性を示す場合、患者の状態の変化を測定することによって、患者の応答をモニターすることが好ましい。
【0304】
TRADEのレベルは、種々の状況において変化し得、そしてTRADEレベルの定量は、臨床的に有用な情報を提供する。さらに細胞によって発現されるTRADEの増大したレベルが、生存度の減少した細胞を細胞死制御機構へ導くため、細胞(例えば、細胞、組織、または新形成などの群においての)におけるTRADEレベルの定量は、細胞のアポトーシス状態に関する有用な情報を提供する.さらに、TRADE−相互作用ポリペプチドの細胞内レベルの決定がまた必要とされ得る。
【0305】
さらに、疾患状態の処置において、TRADEを含む組成物は、外因的に投与され得、そして血清中、任意の所望される組織区画中または発症した組織中のTRADEポリペプチドが特定の標的レベルに達することが必要とされる。したがって、患者または患者から得た組織生検サンプルを含む生物学的サンプル中のTRADEポリペプチドのレベルをモニタリングし得る利点があり、そしていくつかの場合、TRADEのレベルをモニタリングし、いくつかの状況においてTRAFまたは別のTRADE−相互作用ポリペプチドをモニタリングする利点がある。したがって、本発明はまた、患者由来のサンプル中のTRADEの存在を検出する方法を提供する。
【0306】
(VII.本発明のキット)
本発明の別の局面は、スクリーニングアッセイ(本発明の方法または診断アッセイの修飾)を実施するキットに関する。例えば、本発明のスクリーニングアッセイを実施するキットは、TRADEポリペプチド、TRADEポリペプチド活性を検出する手段、およびTRADE活性の修飾因子を同定するキットの使用のための説明書を備える。別の実施形態において、本発明のスクリーニングアッセイを実施するキットは、TRADEポリペプチド、TRADE活性を検出する手段、およびTRADE活性の修飾因子を同定するキットの使用のための説明書を備える。
【0307】
別の実施形態において、本発明は、本発明の修飾方法を実施するためのキットを提供する。このキットは、例えば、TRADE活性を修飾する修飾因子の使用のための説明書を備えた、適切なキャリアー中および適切な容器に包装された、本発明の修飾因子(例えば、TRADE阻害因子または刺激因子)を含む。
【0308】
本発明の別の局面は、患者における異常なTRADE発現および/または活性に関する障害を診断するためのキットに関する。このキットは、TRADEの発現を決定するための試薬(例えば、TRADE mRNAを検出するための核酸プローブまたはTRADEタンパク質を検出するための1つ以上の抗体)、被験者の結果と比較するコントロール、および診断目的のためのキットを使用するための説明書を含む。
【0309】
全ての引用される参考文献(本出願(背景を含む)を通して引用された印刷物文献、公布された特許、公開された特許出願を含む)のコンテンツは、本明細書中に明確に参考として援用される。本発明の実行は、他に指示がなければ、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学(これらは当該分野の範囲である)の従来の技術を使用する。このような技術は、この文献において十分に説明される。例えば、以下を参照のこと:Molecular Cloning A Laboratory Manual、第2版、Sambrook、FitshchおよびManiatis編(Cold Spring Harbor Labotatory Press:1989);DNA Cloning、第I巻および第II巻(D.N.Glover編、1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Mullisら、米国特許第4,683,195号;Nucleic Acid Hybridization(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編、1984);Transcripton And Translation(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編、1984);Culture Of Animal Cell(R.I.Feshney、Alan R.Liss,Inc.、1987);Immobilized Cell AndEnzymes(IRL Press、1986);B.Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);学術論文、Method In Enzymology(Academic Press,Inc.、N.Y);Gene Transfer Vector For Mammalian Cells(J.H.MillerおよびM.P.Calos編、1987、Cold Spring Harbor Labotatory);Methods In Enzymology、第154巻および第155巻(Wuら編)、Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(MayerおよびWalker編、Academic Press、London、1987);Handbook Of Experimental Immunology,第I−IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編、1986);Manipulating the Mouse Embryo、Cold Spring Harbor Labotatory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1986)。
【0310】
(実施例)
本発明を、以下の実施例によってさらに例示するが、これはいかなる方法によっても制限として作成されるものではない。
【0311】
(実施例1.TRADEの分子クローニングおよび遺伝子マッピング)
酵母ベースのシグナル配列トラップ(trap)を使用して、ヒト骨髄間質細胞株HAS303(Jacobsら、1997、Gene、198:289〜296)由来の分泌タンパク質をコードするcDNAを同定した。これらのcDNAのコンピューター分析は、クローンOAF065(これはTNFレセプターファミリー(図1)のシステインの豊富なドメイン特徴と相同性を有する)を同定した。このレセプターをコードする全長ヒトcDNA(後にTRADEと呼ばれる)は、3’cDNA末端迅速増幅(3’RACE)を使用してHAS303細胞およびHUVEC細胞から単離された。
【0312】
2つの明確なTRADEcDNA(TRADEαおよびTRADEβ)が単離された。これらのcDNAのヌクレオチド配列は、5’末端で同一であるが、しかしTRADEの最後のC末端アミノ酸をコードする領域の近くが異なる(図2)。TRADEαおよびTRADEβの両方は、25アミノ酸の同一な推定N末端シグナル配列、168アミノ酸の成熟細胞外領域および単一の膜貫通ドメインを有する。この細胞外領域は、TNF−Rファミリーのシステインの豊富なドメインと相同な2つのドメインを含む(図3)。保存されたシステインは四角で囲まれ、そして最適な整列のために導入された間隔は点で示される(図3)。この第2ドメインは、一致するシステインの豊富なドメインと不完全に適合し得るシステインの豊富な領域に続く。HMM調査について規定されたシステインの豊富なドメインは、PFAM Accession PF00020(http://pfam.wustl.edu)を割当てられる。このような不完全な適合は、いくつかの他のファミリーメンバー(例えばTNFRI(Wyllie、1997、Eur J Cell Biol、73:189〜197)およびHVEM(Harropら、1998、J Biol Chem、273:27548〜27556))において見出される。さらに、いくつかの他のファミリーメンバー(例えば、4−1BBおよびCD27(Gravesteinら、1993、Eur J Immunol、23:943〜950))において見出されるような、セリン/スレオニン/プロリンの豊富な伸展が細胞外膜近傍領域に存在する。TRADEαの細胞内領域は、234アミノ酸からなり、他のTNFファミリーメンバーとの明確な相同性は存在せず、死亡ドメイン(death domain)の欠失を含む(例えば、TNF−RI(Kitsonら、1996、Nature、384:372〜375)。TRADEβの細胞内領域は、TRADEαとこの配列を共有するが、しかし2アミノ酸においてTRADEαと異なり、そしてそのC末端において6のさらなるアミノ酸を有する(図2)。
【0313】
TRADEのマウスオルソログを、ランダムプライムによって32Pで標識したヒトTRADEcDNAプローブと、減少したストリンジェンシーでハイブリダイゼーションによって単離した。ハイブリダイゼーションを、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.1%(w/v)SDS、0.1mg/ml変性サケ精子DNAで、16時間57℃で実行した。洗浄を、1×SSC、0.1%(w/v)SDSで57℃で行った。1つの交差ハイブリダイズクローンが、総量のC57/BL6 embryo day 17 cDNAライブラリーの1×10λZiploxプラーク中に見出された。このDNAによってコードされるこの推定アミノ酸配列は、成熟細胞外領域および成熟膜貫通領域において、ヒトTRADEαと84%の同一性(87%の類似性)を有し、そして細胞内領域において、61%の同一性(65%の類似性)を有する(図4)。保存されたドメインを棒で示し、これは2つのシステインの豊富なドメイン(CDR1およびCDR2)ならびに膜貫通領域(TM)を含む。N−グルコシル化の予測部位を、矢印で示す(図4)。
【0314】
マウスTRADEcDNAの3’非翻訳領域の部分を増幅するプライマーを使用して、C57BL/6JおよびM.spretusとの間の単一鎖配位多型(single strand conformation polymorphism)(SSCP)を検出した。これは以前に記載される(Beierら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:9102〜9106;Beier、1993、Mammalian Genome、4:627〜631)技術である。このマウスtrade遺伝子を、XマイクロサテライトマーカーのLOD尤度(liklihood)スコアを用いて、染色体14をマッピングして見出した。以下のプライマーの対(A)5’−dAGGCCATCTTCCTGACGTGGAGGTGTG−3’(配列番号7)および(B)5’−dCGGAATTCGTTTCAGCTCAGCACATTCCAAGGCCG−3’(配列番号8)で、C57BL/6JおよびMus spretusとの間の多型を同定し、次いでこれを使用して(C57BL/6J−M.spretus)F1 X C57BL/6J戻し交配のDNAを試験した。この系統分布データを、Map Manegerプログラム(Manley、1991、Mammalian Genome、4:30)を使用して分析した。
【0315】
(実施例2.TRADEmRNAの組織分布)
ヒトおよびマウスの複数組織ノーザンブロット(Clontech(Palo Alto、CA)およびInvitrogen(San Diego、CA)から入手)を、α−32PdCTPの組込みによってランダムプライムにより標識されたヒトcDNAでプローブした。ブロットを、QuikHyb(Stratagene、La Jolla、CA)においてハイブリダイズし、次いで2×SSC、0.1%(w/v)SDS中で室温30分をそれぞれ2回、続いて0.2×SSC、0.1%(w/v)SDS中で65℃30分で洗浄し、Kodak BioMax MR フィルム(Rochester、NY)に露光した。ノーザンブロットハイブリダイゼーション分析で、成体ヒト心臓、肺、脾臓、腎臓、甲状腺、骨髄、卵巣、子宮、子宮頸、胎盤、精巣、前立腺および膵臓のポリA+RNAにおける、およそ4.4kbの重要なTRADEmRNA転写産物を明らかにした。一連の、ヒト胃腸管由来のポリA+RNAの分析で、空腸、回腸、結腸および直腸における低レベルの発現、そして胃におけるより高いレベルの発現を明らかにした。さらに、4.4kbTRADEmRNAに対する非常に強いノーザンブロットハイブリダイゼーションシグナルを、胎児腎臓および脳のポリA+RNAにおけるより低いレベルと比較して、ヒト胎児肺および肝臓のポリA+RNAにおいて検出した。4.4kbの転写産物を、脳、肺、骨格筋および肝臓由来のマウスポリA+RNAにおいて検出した。転写産物はまた、マウス胚RNAにおいて、15日目よりも前は比較的高い発現で、検出された。
【0316】
インサイチュハイブリダイゼーションを使用して、成体マウス組織切片におけるTRADEの発現についての原因である細胞集団を同定し、そしてマウス胚の発育の間のTRADE発現の部位を決定した。(129SV X C57/BL6)F系統の胚および成体マウス切片に対するインサイチュハイブリダイゼーションを、センスおよびアンチセンス35S−UTP標識プローブ(Genome Systems、St.Louis、MO)を使用して、実質的に(Lyonsら、1990、J Cell Biol 111:1465〜1476)に記載されるように行った。インビトロRNA合成のために使用されるこのTRADEcDNAテンプレートは、3’非翻訳領域の400bpからなった。使用したこのハイブリダイゼーションプローブは、マウスTRADEcDNAの3’非翻訳領域の400bpからなる放射標識されたRNA転写産物であった。E9.5日目、E12.5日目、およびE15.5日目のマウス胚の切片、ならびに成体前立腺、肺および脳を、このプローブで分析した。センスプローブコントロールとのハイブリダイゼーションを、平行連続切片において行った。このセンスプローブは、低水準のバックグラウンドハイブリダイゼーションを提供した。
【0317】
E9.5において、この胚がおよそ25の体節を有する場合、TRADE発現は、神経系の発育において検出され得た。この段階において、正常胚は明確な頭を有し、そして脳の小領域が目に見えて形成される。このTRADE転写産物を、脳の感覚上皮および神経管の背側の領域(ここは感覚ニューロンが発育する)に局在化した。転写産物をまた、神経管の隣接領域における沿軸中胚葉において検出した。これは筋肉が発育する部位である。
【0318】
E12.5において、成体において見られる多くの中枢神経系構造が、分化し始める。この時点で、TRADEの発現を、子宮頚および前脳の海馬領域、中脳の視床および小丘において、ならびに発育する眼茎において観察し得た。発現をまた、蝸牛、歯蕾、顎および肺において検出し得た。この段階での筋肉において検出される発現は、前にE9.5日で検出された沿軸中胚葉発現と関連があり得た。TRADEの発現をまた、全体の外胚葉において観察し得た。TRADEの転写産物は、他の脳の領域および器官(例えば、肝臓)には存在しなかった。
【0319】
E15と比較してE17でTRADEのより低い発現を示すノーザンブロットの結果と一致して、検査した前の段階よりも、存在するTRADE転写産物がE15.5でより少なかった。TRADEの発現を、海馬および歯蕾および肺の気管支において観察した。E12.5において見られたように、TRADE転写産物は、肝臓、腎臓および心臓のような器官で存在しないかまたは非常に少なかった。
【0320】
成体マウスの前立腺切片において、TRADEの発現を、腺上皮において観察し得た。この成体肺は、気管支の腺上皮に局在すべきTRADE発現が観察される器官における胎仔器官に似ていた。成体の脳における発現は、非常に低く、そして海馬に限定して現れた。
【0321】
ノーザンブロット分析が、ヒト前立腺における高いレベルのTRADE発現を明らかにしたので、ヒト前立腺切片の免疫組織化学染色を、mAB#8およびmAb#16を用いて行った(実施例3を参照のこと)。さらに、免疫組織化学を使用して、小腸および肝臓における、ノーザンブロットによって検出されたTRADE発現のより低いレベルの原因である細胞を局在化した。
【0322】
パラフィン包埋したヒト組織切片を、アルコールで蝋を取り除き、そして外因性ペルオキシダーゼを、メタノール中の0.5%(w/v)過酸化水素でブロックした。このmAbを、10%(w/v)正常ブタ血清を有するTris緩衝化生理食塩水(TBS)で、この切片と1時間インキュベートした。非肝臓切片において、一次mAbを、TBS中のビオチン結合ヤギ抗マウス/ウサギIgG(Dako)で30分間検出した。着色を、TBSで1:100に希釈したストレプトABC複合体/西洋ワサビペルオキシダーゼ(Dako)を用いて30分間検出し、その後DABで5分間インキュベートし、そしてマイヤーのヘマトキシリンにおいて対比染色した。ヒト肝臓切片において、第2工程を、10%(w/v)正常ブタ血清)を含むTBSで希釈したペルオキシダーゼ−ウサギ抗マウス−IgGおよびペルオキシダーゼ−ブタ抗ウサギIgGと置き換えた。
【0323】
針生検または掻爬によって収集された8つのヒト前立腺標本を、上記に記載されるように処理をした後に検査した。これらのうちの4つが、悪性腫瘍の証拠を示さない良性の前立腺であり、4つが前立腺癌を含んだ。mAB#8およびmAb#16の両方を個々に試験し、そして観察された染色を、0(何もない)から3+(強い/拡散)まで記録した。この得られた結果を、表1および表2に示した。それぞれのmAbは、実質的に同一の結果を示した。マウスIgG1アイソタイプコントロールは、これらの試料の特異的な染色を示さなかった。良性前立腺サンプルにおいて、中程度から強度の拡散した染色は、4つの標本のそれぞれの腺上皮において存在した。病巣の免疫応答をまた、平滑筋において見出し、そして2つの事例は、より弱い上皮の染色を示した。この4つの前立腺癌標本は、同様の、腺上皮における強く、拡散した染色の結果を示した。このシグナルは、おそらく腺癌の悪性増殖の結果として、より強かった。
【0324】
【表2】
Figure 2004501604
【0325】
【表3】
Figure 2004501604
3つのさらなる検体を調べた:1)ドナーから取り出した、移植のために使用する正常な肝臓;2)この疾患の生化学的特徴、血清学特徴および組織学的特徴を有する移植患者由来の肝切除検体から得られた原発性胆汁性肝硬変(primary billiary cirrhosis);および3)よく分化した癌を有する肝臓から、外科的切除において得られた肝細胞癌。#8および#16のmAbsの両方が、各検体に類似の結果を与えた。正常な肝臓において、胆管の強い染色(3+)が存在し、肝細胞(2+)の中程度の汎細葉性細胞質染色(panacinar cytoplasmic staining)が存在し、そして肝臓の動脈、門脈、および肝静脈における、微弱な内皮の染色(1+)が存在した。原発性胆汁性肝硬変において、胆管の強い染色(3+)がまた存在し、そして肝細胞の強い汎細葉性細胞質染色(3+)が存在した。肝細胞癌検体において、両方のmAbsを用いた、腫瘍細胞の強い染色が存在した。
【0326】
TRADEの発現プロファイルは、このレセプターが、作用する潜在能力を有する、細胞の状況を規定する。分析によって、成人の、前立腺、肺、卵巣、ならびに胎児の、肺および肝臓での最も高いレベルを伴った様々な組織および器官における、ヒトTRADEの発現を示した。さらに重要なことには、免疫組織化学を使用して、TRADEが、前立腺、耳下腺および精巣の管の上皮組織に主に局在していることを示した。胆管について観測された強い染色はまた、TRADEの上皮の発現に起因し得る。インサイチュハイブリダイゼーションを使用して、マウスの成体精巣おいて、TRADE発現の優勢な部位がまた、腺上皮であり、そして成体の肺において、TRADE発現の優勢な部位は気管上皮であることを示した。さらに、このTRADE遺伝子はまた、胚の別個の部位で発現し、この部位は、胎児の肺における発生している気道の内層、および発達している神経系における内層を含む。TNF−Rファミリメンバー、外胚葉性形成異常レセプター(これの欠失は、マウスダウンレス(downless)変異体で見出された毛胞(hair follicle)の特異化(specification)の欠損の原因となる(HeadonおよびOverbeek、1999、Nature Genetics、22:370〜374))の現在のポジショナルクローニングが、発生過程でのこのレセプターファミリーの重要性の根底にある。
【0327】
さらに、TRADEが、前立腺および腺癌細胞系における管の上皮細胞から生じる原発性腺癌にて見出された。TRADE、CD40およびp75NGFRの各々は、上皮細胞で発現される(DelsiteおよびDjakiew、1999、Prostate、41:39〜48;Youngら、1998、Immunology Today、19:502〜506)。これは、この細胞型におけるTNFレセプターファミリーについての、新規の生理学的役割の根底にあり得る。p75NGFRの発現は、前立腺上皮細胞において特異的に記述されてきた(DelsiteおよびDjakiew、1999、Prostate、41:39〜48).しかし、TRADEとは違って、p75NGFR発現が、悪性の検体において消失していると報告されており、そして、これは、前立腺由来の転移性腫瘍系においては発現されない。腫瘍細胞における、CD40リガンドが介在する増殖阻害は、治療上の価値を有し得る(Hiranoら、1999、Blood、93:2999〜3007)。同様に、TRADEの発現およびこれのアポトーシスを誘導する能力は、腺癌の処置に対する新たなアプローチを開始し得る。
【0328】
(実施例3:TRADEの免疫化学的分析)
TRADEの細胞外ドメインに特異的な、20のマウスモノクローナル抗体(mAb)のパネルを、TRADEタンパク質発現の分析のために調製した。
【0329】
雌性BALB/cマウス(8〜10週齢)を、サイトメガロウイルス前初期プロモーターからヒトTRADEを発現するプラスミドベクターを3μg使用する遺伝子銃照射技術(Barryら、1994、BioTechniques、16:616〜620)を使用して免疫化した。マウスを、2週間で5〜6回の間隔で、同一のプラスミドDNAを用いて、再播種した。融合前に3日間、マウスを、10μgのTRADE−Fc、つまりヒトIgGlのヒンジ(hinge)−CH2−CH3ドメインに融合したヒトTRADEの細胞外領域からなる精製融合タンパク質を用いて脾臓内(intrasplenically)でブーストした。免疫化したマウス由来の脾細胞を、従来のハイブリドーマ技術を用いて、P3X63Ag8.653NSl骨髄腫細胞(ATCC,Rockville,MD)と融合した。融合細胞を、HAT含有RPMI 1640ハイブリドーマ選択培地で、2週間培養した。
【0330】
ハイブリドーマ培養物上清を、他のFc融合タンパク質ではなく、免疫化したTRADE−Fcへの結合について、ELISAを用いてスクリーニングした。抗体特異的ハイブリッド細胞を、ClonaCell−HYハイブリドーマ選択培地(Stem Cell Technologies,Vancouver, BC)によってサブクローン化し、そして腹水中で増殖するように適用させた。免疫化タンパク質A(Pierce,Rockford,IL)を有する親和性カラムを、腹水からモノクローナル抗体を精製するために使用した。抗体のクラスおよびサブクラスを、製造者の指示書 (Boehringer Mannheim, Indianapolis,IN)によりMouse Hybridoma Subtypingキットを用いて試験した。
【0331】
3つのIgGl mAbsが、最も強い細胞表面染色シグナルを与えるようであり、そして記載した実験においてこれらを使用した。これら3つのmAbs、つまり#8,#12および#16の特異性を、TRADEを発現する一時的にトランスフェクトしたCOS細胞の細胞表面染色により試験した。図5(上)で示したように、コントロールとしてmIgGlで染色され、ヒトTRADEαでトランスフェクトしたCOS細胞、抗TRADEα#8、および抗TRADEα#16を表す。抗TRADEα#8および抗TRADEα#16の両方が、細胞を染色した。IgGl mAbs#8および#16は、ヒトTRADEα発現COS細胞の表面に結合した。抗TRADE mAbsのいずれかの、偽トランスフェクトされた(mock transfected)細胞に対する結合は、検出されなかった。同じ結果が、TRADEβ発現細胞において得られた。さらに、mAbs#8および#16の結合は、TRADE−Fc、ヒトIgGIに融合したTRADE細胞外領域の可溶性形態と共に同時インキュベーションすることによって消失し、従って、mAbs#8および#16mAbsが、ヒトTRADEの細胞外ドメインに特異的に結合することを確立する。
【0332】
#8および#16のmAbsを、フローサイトメトリーによって、ヒト細胞系をTRADE発現についてスクリーニングするために使用した。細胞系は、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から得た。細胞を、抗TRADEまたは、アイソトープ適合コントロールモノクローナル抗体を10μg/mlで用いて染色した。一次抗体の結合を、ビオチンに結合されたヤギF(ab’)抗マウスIgG、その後、ストレプトアビジン−フィコエリスリン(streptavidin−phycoerythrin)(Southern Biotechnology Associates, Birmingham,AL)を用いて検出した。細胞を、aBecton−Dickinson FACScan(San Jose,CA)を用いて分析した。
【0333】
3つの細胞系の各々が、抗TRADE mAbsに結合することを見出した:前立腺の腺癌、PC−3;星状細胞腫、U373 MG(図5、下端のパネル、点線);および結腸の腺癌、CaCo2。具体的には、下端のパネルによって、TRADE−Fc融合タンパク質の存在下、または非存在下での、両抗体を用いたヒト星状細胞腫細胞系の処置の結果を示す。点線は、抗TRADEα#8および#16 (それぞれ、左下端および右下端のパネル)を表す。実線は、TRADE−Fc融合タンパク質存在下でのコントロールmIgGlおよび抗体(#8または#16のいずれか)を表す。特異性を、既出の過剰な可溶性TRADE−Fc融合タンパク質を使用することでFACS染色を競合させることににより(図5、bottomパネル、実線)を確認した。これらの細胞系の各々でのTRADEの発現をまた、TRADE特異的プライマーを使用したRT−PCRによって確認した。2つの他の前立腺腫瘍細胞系、LNCaP.FGCおよびDU145、ならびに他の結腸腫瘍系、HCT116およびHT−29は、これらのmAbsを用いたフローサイトメトリーよる、TRADE発現について陰性であった。一時的にトランスフェクトしたCOS細胞を、TRADEの異種発現(heterologous expression)について48時間後に分析した。TRADEを放射性標識するために、100mm組織培養ディッシュ中の細胞の単層を、15分間、メチオニンまたはシステインなしの培地中で飢餓状態にし、その後、Pro−mix L−35S(Amersham)を添加し、最終濃度を300μC/mIとした。37℃で1時間後、この培地を、標識してないメチオニンおよびシステインを含む新鮮な培地で置換えた。この細胞単層を、氷冷(ice−cold)1%(w/v)Nonidet P−40、0.1%(w/v)SDS、0.25%(w/v)デオキシコール酸ナトリウム、25mM Tris−HCl pH7.5、150mM塩化ナトリウム中に、Complete(Boehringer−Mannheim, Indianapolis,IN)プロテイナーゼインヒビター混合物を伴って、可溶化した。
【0334】
免疫沈降を、10μg/mlのmAb(#16または#12のいずれか)を用いて、一晩、4℃で実施し、その後、ヤギ抗マウスIgG−Sepharose(Zymed,San Diego,CA)を、4℃で、2時間添加した。免疫沈降物(Immunoprecipitates)を、reducing PAGE、その後のAmplifyAmersham、Arlington Heights IL)、および蛍光間接撮影法を用いた処置によって調べた。この分析によって、TRADEを発現する細胞の抽出物からは、推定サイズ約55,000Mrのタンパク質種が示され、そして偽トランスフェクションされた細胞の抽出物からは、示されなかった。PNGase Fを用いた免疫沈降物の消化によって、未消化の重複したサンプルに対して、TRADEポリペプチドの可動性(mobility)が増加した。従って、TRADEが、残基N105にある単一のコンセンサス部位において、N−グリコシル化されたようである。
【0335】
(実施例4.TRADEの異所性の発現による、NFkB活性化およびJNK活性化)
いくつかのTNFレセプターファミリーメンバーは、細胞生存シグナル経路の強力なアクチベーターであることが示されてきた(GravesteinおよびBorst、1998、Seminars in Immunology 10:423〜434;Warzocha and Salles,1998,Leukemia&Lymphoma 29:81〜92)。NFkBシグナル経路およびJNKシグナル経路の両方が、TNFファミリーの、細胞保護的(cytoprotective)効果および炎症的効果と関係する(Wallachら、1999、Ann Rev of Immunology,17:331−367)。転写因子NFkBは、一旦活性化されると、核に入り、そして細胞生存および細胞増殖のチェックポイントに関連するいくかの重要な遺伝子からの転写を活性化する(Karin, 1998, Cancer Jfrom Scientific American、4:92〜99)。The JNKキナーゼが、c−Junの活性化ドメイン、AP 1転写因子複合体の構成要素中にある重要なセリン残基をリン酸化する(Uiら、1998、FEBS Letters、429:289〜294)。
【0336】
アゴニストとしての使用に対して同定されたリガンドの非存在化で、レセプターの広い範囲の過剰発現が、構成的活性化(constitutive activation)の原因となるという観測を、利用し得る(Chinnaiyanら、1996、Science、274:990〜992)。このレセプターの細胞表面発現のより高いレベルは、リガンド誘導レセプター活性化を模倣する様式で、おそらくは、レセプターのオリゴマー化(oligomerization)の原因となる。他方では、このレセプターのより低い細胞表面発現は、レセプターのオリゴマー化を、リガンドの非存在下で引き起こすにはおそらくは不充分であり、従って、シグナルの事象(signaling events)を開始するには不適切である。
【0337】
NFkBおよびJNK経路のTRADE−媒介活性化を評価するために、ヒト胚腎臓の293細胞および293T細胞、HeLa細胞、ならびにCOS−1(クローンM6)細胞を、(ATCCにより推奨されるような)適切な培地中で培養した。COS−1(クローンM6)細胞を、LipofectAMINE(Gibco BRL)を使用して、プラスミド DNAでトランスフェクトした。293細胞および293T細胞を、DNAトランスフェクション方法のリン酸カルシウム共沈澱を使用して、指示された発現プラスミドおよびレポータープラスミドと共に一時的にトランスフェクトした。HeLa細胞を、製造者の指示書によってLipofectAMINE Plus(GibcoBRL)試薬を使用して、指示されたプラスミドおよびpCMVpgalプラスミド(Clontech)で、一時的にトランスフェクトした。細胞を、実施したアッセイに依存してトランスフェクション後18〜36時間で収集した。TRADE cDNAを、アデノウイルス主要後期(major late)プロモーター駆動発現プラスミドpED(Kaufman,R.J.ら、1991、Nucl.Acids Res.19:4485)、またはCMVプロモーター駆動発現プラスミドpcDNA3(Invitrogen,Inc.San Diego,CAから市販されている)中へサブクローニングした。
【0338】
指示された発現プラスミド、NFkB結合部位含有プロモーター(Stratagene)により駆動されるルシフェラーゼ遺伝子およびpCMVpgalプラスミド(Clontech)を、NFkB活性化アッセイに使用した。この細胞を、トランスフェクションの36時間後に収集し、溶解し、そして製造者の指示書によってルシフェラーゼ基質(Promega)を使用することによりルシフェラーゼ活性についてアッセイした。アッセイされたルシフェラーゼ活性を、次に、p−ガラクトシダーゼ活性をアッセイすることによりトランスフェクション効率について調整し、そして相対ルシフェラーゼ活性として報告した。JNK活性化アッセイについて、指示された発現プラスミドを、pCMVpgalプラスミド(Clontech)と共に、Stratageneから得られるc−junトランスレポーターおよびトランスアクチベータープラスミドを用いて同時トランスフェクトした。ルシフェラーゼアッセイを、NFkBアッセイについて実施し、そして、上記のトランスフェクション効率について調整した後に、相対ルシフェラーゼ活性として報告した。全ての実験を、三連で(triplicates)で実施し、そして結果は、少なくとも3回再現した。
【0339】
293T細胞中のNFkB駆動ルシフェラーゼレポーター構築物と共に、TRADEαまたはTRADEβを過剰発現した際、NFkB活性化経路におけるTRADE発現の効果を分析し得た。図6の最上のパネルは、ヒトTRADEαおよびp75NGFRが、NFkBシグナル経路を、比較し得るレベルで活性化し得たことを示す。ヒトTRADEα発現プラスミド、もしくはp75NGFR発現プラスミドまたは単独のベクターを、ルシフェラーゼレポータープラスミド(0.5μg)およびpCMVpgal(0.lμg)を用いて同時トランスフェクトした。細胞を回収して、そして相対的ルシフェラーゼ活性を、トランスフェクト後36時間の実験手順に記載されているように定量化し得た。NFkB活性化レベルを、TRADEβについて観測した。
【0340】
p75NGFRに関する以前の研究は、主に、神経細胞における役割に焦点を置いていた。しかし、これは、リンパ球(Barker、1998、Cell Death&Differentiation、5:346〜356)を含む他の細胞の範囲において発現される。TRADEによるNFkBの活性化を、p75NGFRにより誘導された活性化と並べて比較した。TRADEαは、NFkB活性化を、緩やかに、しかしp75NGFRを過剰発現することから観察されるようなシグナルのような比較可能なレベルで示す(図6、上)。このDNA結合および転写活性化機能において、活性化されたNFkBのレベルは、p75NGFRの生理学的効力を達成するために十分であり得る。p75NGFRにより誘導されるNFkB活性化応答が、細胞ストレスの条件に限定され得る(Barker、1998、Cell Death&Differentiation、5:346〜356)。
【0341】
TRADEと同様に、p75NGFRよるNFkB活性化が、他のTNFレセプターファミリーメンバーとの比較において緩やかであると報告された(Barker、1998、Cell Death&Differentiation、5:346〜356)、そしてこのシグナルは、TRAF6によって媒介される(Khursigaraら、1999、J of Biol Chemistry、274:2597〜2600)。p75NGFRはまた、アポトーシスを刺激し、そして新規のジンクフィンガー含有タンパク質、NRIF(neurotrophin receptor interacting protein)が、このシグナルを媒介する(Casademuntら、1999、EMBO Journal、18:6050〜6061)。NRIFは、75NGFRの細胞内領域の中の2つのモチーフに、TRAF6結合ドメインおよび死ドメインとしてこれまで示されてきた膜近傍領域(juxtamembrane region)で結合する。これは、協同的相互作用により、または二量体として起こることが示唆されており、すなわち、これはさらに、TNFレセプターと死ドメインを含むシグナル因子との間の死ドメイン/死ドメイン相互作用と比べて、構造的に大変異なっていることを示唆する。p75NGFRは、第1のα−ヘリックスにおける相同性および他のヘリックスに対して記述された空間的な差異(Barker、1998、Cell Death&Differentiation、5:346〜356)に基いた、構造的に異なった死ドメインを有する。この特徴は、theFasおよびTNF−RIの中に見出される細胞内ドメインの間での凝集を否認することが提案されてきた。
【0342】
c−Jun転写アクチベーターに融合されたGAL4DNA結合ドメインを含む融合タンパク質を使用する、トランスレポートアッセイ系を、JNK活性をアッセイするために使用した。具体的には、ヒトTRADEα発現プラスミド(図6)に示される量において)、またはMRKK発現プラスミドあるいはベクター単独を、ルシフェラーゼレポーター構築物、c−junトランスアクチベータープラスミドおよびpCMVβgalと共にトランスフェクションした。細胞を回収し、そして上記のトランスフェクションの36時間前に分析した。この場合において、ルシフェラーゼレポーター遺伝子発現を、GAL4タンパク質結合部位を含むプロモーターによって駆動する。従って、レポーター遺伝子からの基礎的な発現を、c−Junリン酸化の結果として誘導された転写と比較する。TRADEαの過剰発現が、JNKの活性化の結果としてルシフェラーゼ活性の増大を導くことを見出した(図6、下)。JNKシグナル伝達経路のこの活性化は、用量依存性であることが見出された。JNK活性化を、JNKリン酸化を導くMAPキナーゼカスケードにおけるJNKの上流のMAPキナーゼキナーゼである(XuおよびCobb,1997,J of Biol Chemistry,272:32056−32060)、陽性コントロールMEKKと平行して比較した。JNK活性化で誘導されたTNFレセプターは、TNFレセプター関連因子、TRAF2によって最初に媒介されることを示されている(Leeら,1997,lmmunity, 7:703−713)。
【0343】
JNK活性化は、アポトーシスに誘導される神経増殖因子欠乏が、ドミナントネガティブc−Junによって抑制されることを示すレポート(Hamら,1995, Neuron,14:927−939)によって、交感神経の細胞死において関連する。p75NGER誘導細胞死からのニューロトロフィンレセプターTrkA媒介レスキューは、JNK活性化に誘導されるp75NGERの阻害に関連するが、NFkB活性化に誘導されるp75NGERに影響を与えない(Yoonら,1998,J of Neuroscience 18:3273−3281)。
【0344】
p75NGERの場合は、NRIF結合間の決定またはTRAF6結合間の決定が、レセプターが死または生存を伝達するかどうかを決定し得る。この決定の結果は、細胞により受け取られた他のシグナルに依存し得る。CD40は、免疫活性における役割について広く研究されている(GrewalおよびFlavell,1998,Ann Review of Immunology,16:111−135;Lamanら,1998,Developmental Immunology,6:215−222;Mackeyら,1998,J of Leukocyte Biology,63:418−428;Toesら,1998,Seminars in Immunology,10:443−448)。しかし、CD40連結は、上皮細胞において増殖阻害を伝達し(Eliopoulosら,1996,Oncogene 13:2243−2254)、そして、間葉細胞種かつ上皮の起源のトランスフェクション細胞においてアポトーシス細胞死を伝達する(HessおよびEngelmann,1996,J of Experimental Medicine,183:159−167)。TRAF3のドミナントネガティブバージョンが、増殖阻害のシグナルに誘導されるCD40をブロックし(Eliopoulosら,1996,Oncogene 13:2243−2254)、これは、CD40のメディエータとしてTRAF3が上皮増殖阻害を誘導したことに関連する。TRADEは、死ドメインを含まない、従って、特定の細胞内の関係においてアポトーシスを誘導し得るが、また、死ドメインを有しないCD30およびCD40のようなファミリーメンバーに類似する(Grellら,1999,EMBO Journal,18:3034−3043;HorieおよびWatanabe,1998, Seminars in Immunology,10:457−470)。2つのイソフォームはC末端の8アミノ酸残基416から423が異なっており、その結果、TRADEαは、417アミン酸残基を有し、そしてTRADEβは、423アミノ酸残基を有する。さらに、2つのイソフォームの正確な細胞内発現の関係は特定の細胞運命(cell fate)に規定され得る。
【0345】
(実施例5.TRADE誘導細胞死)
いくつかのTNFレセプターファミリーメンバーは、生存シグナル伝達経路と死シグナル伝達経路の両方を活性化することが実証されている(Casaccia−Bomlefilら,1999,Microscopy Research & Technique,45:217−224;Wallachら,1996,Ann Rev of Immunology,17:331−367)。従って、実験を、TRADEの過剰発現が、保存されている死ドメインを含まない、いくつかのTNFレセプターファミリーメンバーについて記載されるように、細胞死シグナルを生じるかどうかを確かめるために設計した。
【0346】
細胞死アッセイを、望まれる発現プラスミドおよびpCMVβgalプラスミド(Clontech)を使用してトランスフェクションの前の15時間か、18時間かまたは24時間かのいずれかにおいて実行した。この細胞を、PBS中の0.5%のグルタルアルデヒドで固定し、そして色素産生性の基質Xgal(Sigma)を使用して5〜12時間染色した。位相差顕微鏡法を使用してβガラクトシダーゼ発現に対して陽性の染色されたトランスフェクション細胞ならびに代表的な生きている細胞および死んでいる細胞の集団の3通りを計測した。少なくとも400個のβ−ガラクトシダーゼ陽性細胞を、各トランスフェクション(n=3)に対して計測し、そして膜小疱形成、濃縮されている、およびプレート表面からの剥離を含むアポトーシスを起こしている接着細胞の典型的な形態変化に基づいてアポトーシス細胞または非アポトーシス細胞として同定した。アポトーシスのパーセントを、β−ガラクトシダーゼ陽性細胞の総数を使用してアポトーシスを起こしている細胞数を決定することによって計算した。
【0347】
X−gal染色後にトランスフェクションされた細胞の形態を研究することによってトランスフェクションされた細胞における細胞死を評価する能力を与えられた、TRADEをβ−ガラクトシダーゼと共にHeLa細胞において過剰発現した。プログラムされた細胞死を起こす細胞は、小疱を形成した表面形態、濃縮された核、および完全に剥離する前にプレート表面から離れて球状化を示す。これは、意図される構造(固く接着した)、そして明瞭な核濃縮を有さない生存可能な細胞の形態とは非常に異なる。アポトーシスを、示される形態に基づいて死んでいるまたは生きているとしてX−gal染色された細胞の代表的な場所を計数することによって評価した。TRADEαかまたはTRADEβかのいずれかを発現するHeLa細胞におけるアポトーシスのパーセントを計算することによって、有意な細胞死が、観察された。具体的に、HeLa細胞におけるTRADEα発現は、TNF−RIと比較可能な用量依存様式においてプログラムされた細胞死を生じる(図7,上のパネル)。望まれる量の発現プラスミドまたはベクター単独を、pCMVβgalプラスミドと共に同時トランスフェクションし、そして細胞死アッセイを実験手順に記載されるように実施した。この実験は、トランスフェクションの15時間前に見られる細胞死を表す。アポトーシスのレベルは、使用したTRADE発現DNAの量に比例し、これはおそらくTRADE活性化の達成されるレベルに関連する。TRADEが、トランスフェクションの15時間前程早くアポトーシスの開始を誘導することが観察された。これは、トランスフェクションの18時間前において有意に変化せず、そしてトランスフェクションの24時間前のおいてそのままであった。TNF−RIおよびp75NGERのアポトーシスの効果と比較可能なTRADEのアポトーシスの効果も、293細胞における発現によって証明した。膜に近い100アミノ酸(TRADE(1−218))のみを保持するTRADE細胞内ドメインの重度の欠失は、有意に死シグナルを弱めた(図7、下)。これは、TRADE細胞内ドメイン(残基218−423)が、TRADEの死エフェクター(death effector)機能に決定的な寄与を有することを示した。
【0348】
(実施例6:可溶性TRADE−Fc融合タンパク質の構築)
可溶性TRADE−Fc融合タンパク質を、ヒト免疫グロブリン(Ig)Fcγ1、γ2、γ3、εまたはαのヒンジ−C2−C3領域に、TRADEの細胞外領域をコードするcDNA配列に加えることによって構築した。ヒトTRADEの細胞外ドメインのヌクレオチド配列に基づくPCRプライマーを、使用して、完全TRADE細胞外領域のフラグメントを産生した。XbaI部位を3’末端に組み込み、その結果、フラグメントをヒトIgγ1ヒンジ−C2−C3cDNAを含むプラスミドベクターに連結し得る。この構築物は、pED(Kaufman,R.J.ら,1991,Nucl.Acids Res.19:4485)に基づき、そしてアデノウイルス主要後期プロモーターおよびTRADE−Fc融合タンパク質のSV40エンハンサー指向転写を含む。SV40起点は、COS−1(クローンM6)細胞における複製を可能にする。このベクターはまた、安定な選択およびメトトレキセートを使用してCHOdhfr細胞におけるプラスミドの増幅のためのEMC−DHERカセットを含んだ。
【0349】
COS細胞を、このプラスミドと共にトランスフェクションし、培養しそして馴化培地を回収した。この融合タンパク質を、固定化プロテインAのカラムを使用して精製した。図8は、還元条件および非還元条件における、プロテインAカラムからの溶出画分のSDS−PAGE分析を示す。このゲルを、クーマシーブルーで染色した。還元条件下において、50−60,000Mrの広汎性の種に留意して、TRADE−αモノマーを示した。非還元条件下において、約120,000Mrの種に留意して、TRADE−Fcのジスルフィド結合ダイマー形態を例示した。このダイマー形態によって、TRADEリガンドの強力な、可溶性アンタゴニストであることが予期される。
【0350】
(実施例7.TRADEαおよびTRADEβ関連キナーゼ活性)
TNFレセプターサブファミリーの他のメンバーは、セリン−トレオニンキナーゼファミリーのメンバーのシグナル伝達経路における構成成分としてセリン−トレオニンキナーゼファミリーのメンバーに関連することが報告されている。TRADEαおよびTRADEβがキナーゼに関連するかどうかを調べるために、TRADE関連キナーゼ活性を、免疫沈降されたTRADEの複合体をインビトロキナーゼアッセイに供することによって分析した。具体的には、Flag−タグ化タンパク質(またはベクターコントロール)をコードするcDNAを、293T細胞に発現させ、そして溶解し、抗Flag抗体またはコントロール抗体を使用して免疫沈降した。免疫複合体を、32P標識化ATPを使用してキナーゼアッセイを供して、そしてSDS−PAGEによって試験した。このゲルを乾燥し、そしてオートラジオグラフィーによって分析した。この結果は、両方のイソフォームが、関連キナーゼ活性によってリン酸化されたことを示した(図10)。
【0351】
(実施例8.TRADEの欠失分析および関連キナーゼ機能)
どのドメインが、関連キナーゼ活性に本質的であるかを位置付けるために、種々の欠失構築物を開発し、そしてTRADEの生化学的かつ機能的な分析に使用した。TRADEの生化学的な分析に使用された欠失構築物の説明図を、図9に示す。欠失構築物TRADE1−368(すなわち、アミノ酸1−368からなる)および欠失構築物TRADE1−328を使用するインビトロキナーゼアッセイは、欠失構築物TRADE1−368が、キナーゼの関連する機能を保持するが、欠失構築物TRADE1−328は、キナーゼの機能を失ったことを示す(図11A)。この結果は、C末端からアミノ酸残基328までの連続したセクションを欠失することが、関連キナーゼ活性を消滅させるので、関連キナーゼの機能は、TRADE細胞内領域内の内部のドメインに位置することを示す。図11Bは、全ての構築物の当量の発現を示す図11Aにおいて使用される免疫沈降物のウエスタンブロッティングである。
【0352】
(実施例9.TRAF2ではなく、TRAF6が、TRADEαおよびTRADEβに結合する)
TNFレセプターサブファミリーのメンバーのシグナル活性を、TRAF細胞内アダプター分子に結合することによって媒介する。これらの分子が、TRADEに関連するかどうかを評価するために、HA−TRAF6ΔNおよびそれぞれのFlagタグ化TRADE構築物を293T細胞に同時発現した。この細胞溶解物を、コントロール免疫沈降物、抗−HA免疫沈降物、および抗−Flag免疫沈降物に均等に分割し、そして抗−Flag(図12A,上のパネル)、続いて抗−HA(図12、下のパネル)を使用してウエスタンブロティングした。これらの結果は、TRADEαおよびTRADEβが、TRAF2を結合するのではなく、TRAF6を結合することを示す(図12Aおよび図12B)。アスタリスクは免疫グロブリン(Ig)重鎖か(図12A,上のパネル)またはIg軽鎖(図12A,下のパネル)かのいずれかを示す。抗−HA免疫複合体におけるHA−TRAF6ΔNと共沈するFlag−タグ化TRADEタンパク質を、図12Aの上のパネルに示す。
【0353】
HA−TRAF2およびそれぞれのFLagg−タグ化TRADE構築物を同時発現させ、そして上記の記載されるように関連について解析した。具体的には、HA−TRAF2は、Flag−標識化TRADEタンパク質と共に共沈しなかった(図12B、上のパネル)。図12B(下のパネル)は、使用した構築物の適切かつ当量の発現レベルを示すウエスタンブロティングである。両方のパネルのアスタリスクは、免疫複合体において示すIg重鎖を示す。
【0354】
(実施例10.TRAF3は、TRADEに結合する)
TRADEαおよびTRADEβはまた、TRAFに結合する。設計されたFlagタグ化TRADE構築物およびHA−TRAF3のcDNAを発現する293T細胞由来の細胞溶解液を、3つの免疫沈降物(コントロール(C)および抗−Flag(F)に同等に分割した。両方のTRADEは、それぞれ、抗−HAブロットおよび抗Flagブロットを示す上のパネルを伴う、TRAF3に結合した(図13,上のパネル)。
【0355】
欠失変異体と結合するTRADEの分析は、HA−TRAF3構築物が、欠失構築物TRADE1−218との共沈に失敗したが、全長TRADE、欠失構築物TRADE1−368および欠失構築物TRADE1−328と首尾よく結合したこと実証した(図13,下のパネル)。これらの結果は、TRADEにおけるTRAF3結合部位が、TRAF3に結合するのに欠失構築物TRADE1−218が失敗したことよって示されたように、アミノ酸残基328までの細胞内ドメインが、必要であることを示す(図13,下のパネル)。下の2つのパネルは、それぞれ抗−Flagブロットおよび抗−HAブロットを示す。
【0356】
(実施例11.TRADEの欠失分析およびNFkB活性シグナル)
シグナル伝達のためのTRADEにおける細胞内ドメインの重要性を、NFkBプロモーター駆動ルシフェラーゼアッセイにおける種々の欠失構築物を使用して、機能的分析によって規定される。設計されたTRADE構築物を293T細胞においてNFkBプロモーター駆動ルシフェラーゼ構築物(およびCMV駆動β−ガラクトシダーゼ構築物)と共に同時発現し、そしてトランスフェクションの36時間前にルシフェラーゼ活性をアッセイした。相対的なルシフェラーゼ活性は、トランスフェクション効率をコントロールとしてβ−ガラクトシダーゼ活性に関して計算された。アミノ酸残基368までC末端(キナーゼ機能およびTRAF3結合ドメイン)に関連する領域)は、NFkB活性シグナルを有意に弱めた(図14A)。細胞内アミノ酸残基のさらなる欠失は、NFkB活性の完全な消失を導く。TRADE ECに関連するTRADEαおよびTRADEβ細胞内ドメイン(αICおよびβIC)からのNFkB活性化シグナルは、図14Bに示される。NFkBプロモーター駆動ルシフェラーゼ活性を、設計された発現構築物に応答においてアッセイし、そしてTRADE細胞内ドメイン(TRADE EC)と比較して折り畳み活性としてプロットされる。従って、NFkBシグナル機能は、TRADEαおよびTRADEβの細胞内ドメインに全体的に存在する。これらの結果は、細胞内TRADE配列内のキナーゼ活性およびTRAF結合に対する潜在的なシグナルを示唆する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、2つの本発明のヒトTRADEタンパク質(αおよびβ)と、関連するTNFレセプターファミリータンパク質TRAINおよびApo4との間のアミノ酸配列比較を示す。
【図2】図2は、ヒトTRADEαおよびTRADEβのC末端の比較を示す。
【図3】図3は、ヒトTRADEαおよびβの2つの全長システインリッチドメインと、関連タンパク質であるヒトp75NGFR、ヒトOX40およびヒトCD40のシステインリッチドメインとの整列を示す。
【図4】図4は、ヒトTRADEαのアミノ酸配列と本発明のマウスTRADEのアミノ酸配列との間の配列比較を示す。
【図5】図5は、フローサイトメトリーを用いたTRADEの免疫化学的分析を示す。
【図6】図6は、ヒトTRADEαの異所性発現がNFκBおよびJNKシグナル経路を活性化し得ることを示すトランスフェクション実験の結果を示す。
【図7】図7は、TRADEの発現により誘導されたアポトーシスを示す。
【図8】図8は、トランスフェクトしたヒトCOS細胞の馴化培地から精製した可溶性TRADE−Fcタンパク質の還元条件下および非還元条件下の両方でのSDS−PAGE分析を示す。
【図9】図9は、TRADEの生化学的分析において用いられた欠失構築物の模式図を示す。
【図10】図10は、TRADEαおよびTRADEβと関連するキナーゼ活性を示す。
【図11】図11Aは、TRADEの欠失分析およびキナーゼ活性に対する効果を示す。図11Bは、全構築物の等価な発現を示す、図11Aで用いた免疫沈降物のウェスタンブロットである。
【図12】図12AおよびBは、TRAF2ではなく、TRAF6のTRADEαおよびTRADEβへの結合を示す。
【図13】図13は、TRAF3のTRADEαおよびTRADEβへの結合を示す。
【図14】図14Aおよび14Bは、TRADEαおよびTRADEβの欠失分析およびNFκBに対する効果を示す。

Claims (38)

  1. 細胞増殖を調節するための方法であって、該方法は、細胞をTRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの発現を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、細胞の増殖が調節される、方法。
  2. 細胞増殖を調節するための方法であって、該方法は、細胞をTRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの活性を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、細胞の増殖が調節される、方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、ここで、前記細胞は、上皮細胞、管上皮細胞、または気管支上皮細胞からなる群より選択される、方法。
  4. 請求項1または2に記載の方法であって、ここで、前記細胞は、癌または腺癌である、方法。
  5. 請求項1または2に記載の方法であって、ここで、前記細胞は、肺細胞、肝臓細胞、脳細胞、および前立腺細胞からなる群より選択される、方法。
  6. 請求項2に記載の方法であて、ここで、前記因子が、TRADEポリペプチド細胞外ドメインを含むTRADEポリペプチドの可溶性形態である、方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、ここで、前記TRADEポリペプチドの可溶性形態が、TRADE−Fc融合タンパク質である、方法。
  8. 請求項2に記載の方法であって、ここで、前記因子が、本質的にTRADEポリペプチド細胞外ドメインからなる、方法。
  9. 請求項1または2に記載の方法であって、ここで、前記因子が、TRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの発現を調節する核酸分子である、方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、ここで、前記因子が、TRADEαポリペプチドもしくはTRADEβポリペプチドまたはこれらの一部をコードする核酸分子である、方法。
  11. 請求項9に記載の方法であって、ここで、前記因子が、核酸分子であり、該核酸分子は、TRADEαポリペプチドもしくはTRADEβポリペプチドまたはこれらの一部をコードする核酸分子に対してアンチセンスである、方法。
  12. 請求項2に記載の方法であって、ここで、前記因子が、TRADEファミリーメンバーのポリペプチドを認識する抗体である、方法。
  13. 請求項2に記載の方法であって、ここで、前記活性が、JNKシグナル伝達経路の活性化、NFκBシグナル伝達経路の活性化、およびアポトーシスの活性化からなる群より選択される、方法。
  14. 細胞増殖を調節する方法であって、該方法は、前立腺細胞、肝臓細胞、または肺細胞を、ポリペプチドの活性を調節する因子と接触させる工程を包含し、該ポリペプチドは、TRADEαポリペプチド、TRAINポリペプチド、αOAF065ポリペプチド、およびTRADEβポリペプチドからなる群より選択される、方法。
  15. 細胞増殖を調節する方法であって、該方法は、細胞をTRADEファミリーメンバーのポリペプチドの発現を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、該細胞の増殖が調節され、ここで、該細胞は、上皮細胞、管上皮細胞、癌、および腺癌からなる群より選択される工程、方法。
  16. 細胞増殖を調節する方法であって、該方法は、細胞をTRADEファミリーメンバーのポリペプチドの活性を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、該細胞の増殖が調節され、ここで、該細胞は、上皮細胞、管上皮細胞、癌、および腺癌からなる群より選択される、方法。
  17. 請求項15または16に記載の方法であって、ここで、前記TRADEファミリーのポリペプチドが、TRADEα、TRADEβ、Apo4、TRAIN、αOAF065、およびβOAF065からなる群より選択される、方法。
  18. 請求項15または16に記載の方法であって、ここで、前記因子が、TRADE細胞外ドメインを含むTRADEファミリーのポリペプチドの可溶性形態である、方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、ここで、前記TRADEファミリーのポリペプチドの可溶性形態が、TRADE−Fc融合タンパク質である、方法。
  20. 請求項15または16に記載の方法であって、ここで、前記因子が、本質的にTRADEファミリーの細胞外ドメインからなる、方法。
  21. 請求項15または16に記載の方法であって、ここで、前記因子が、TRADEファミリーのポリペプチドの発現を調節する核酸分子である、方法。
  22. 請求項15または16に記載の方法であって、ここで、前記因子が、TRADEファミリーのポリペプチドまたはその一部をコードする核酸分子である、方法。
  23. 請求項15または16に記載の方法であって、ここで、前記因子が、核酸分子であり、該核酸分子は、TRADEファミリーのポリペプチドまたはその一部をコードする核酸分子に対してアンチセンスである、方法。
  24. 請求項15または16に記載の方法であって、ここで、前記因子が、TRADEファミリーのポリペプチドを認識する抗体である、方法。
  25. 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記活性が、JNKシグナル伝達経路の活性化、NFκBシグナル伝達経路の活性化、およびアポトーシスの活性化からなる活性の群より選択される、方法。
  26. 細胞増殖を調節する方法であって、該方法は、細胞をTRADEファミリーメンバーのポリペプチドの発現を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、該細胞の増殖が調節され、ここで、該細胞は、脳細胞、肝臓細胞、前立腺細胞、腸細胞、または肺細胞からなる群より選択される、方法。
  27. 細胞増殖を調節する方法であって、該方法は、細胞をTRADEファミリーメンバーのポリペプチドの活性を調節する因子と接触させる工程を包含し、その結果、該細胞の増殖が調節され、ここで、該細胞は、脳細胞、肝臓細胞、前立腺細胞、腸細胞、または肺細胞からなる群より選択される、方法。
  28. 請求項27に記載の方法であって、ここで、前記TRADEファミリーメンバーのポリペプチドは、TRADEαポリペプチド、TRAINポリペプチド、αOAF065ポリペプチド、およびTRADEβポリペプチドからなる群より選択される、方法。
  29. TRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの発現調節によって利益を得る障害を有する被験体を処置するための方法であって、該方法は、該被験体に、TRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの発現を調節する因子を投与する工程を包含し、その結果、該障害の処置がもたらされる、方法。
  30. TRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの活性調節によって利益を得る障害を有する被験体を処置するための方法であって、該方法は、該被験体に、TRADEαポリペプチドまたはTRADEβポリペプチドの活性を調節する因子を投与する工程を包含し、その結果、処置がもたらされる、方法。
  31. 請求項29または30に記載の方法であって、ここで、前記障害は、炎症および新形成からなる群より選択される増殖疾患または増殖障害である、方法。
  32. 前記新形成が癌である、請求項31に記載の方法。
  33. 前記新形成が肺組織または前立腺組織に存在する、請求項31に記載の方法。
  34. 前記新形成が腺癌である、請求項31に記載の方法。
  35. 癌または腺癌を有する被験体を処置するための方法であって、該方法は、該被験体にTRADEファミリーのポリペプチドの活性を調節する因子を投与する工程を包含し、その結果、該癌または該腺癌が処置される、方法。
  36. 癌または腺癌を有する被験体を処置するための方法であって、該方法は、該被験体にTRADEファミリーのポリペプチドの発現を調節する因子を投与する工程を包含し、その結果、癌または腺癌が処置される、方法。
  37. 肺、肝臓、脳、および腸からなる群より選択される組織の癌または腺癌を有する被験体を処置するための方法であって、該方法は、該被験体にTRADEファミリーのポリペプチドの活性を調節する因子を投与する工程を包含し、その結果、該癌または該腺癌が処置される、方法。
  38. TRADE関連障害を検出する方法であって、該方法は、生物学的サンプルを被験体から得る工程、およびTRADE関連障害を検出するために該サンプル中のTRADEポリペプチドの存在について試験する工程を包含し、ここで、該サンプルは、肺細胞、肝臓細胞、脳細胞、または腸細胞からなる群より選択される細胞型を含む、方法。
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