JP4997438B2 - プロトン伝導膜およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は燃料電池の電解質膜等として用いるプロトン伝導膜およびその製造方法に関する。
従来から、高分子電解質型燃料電池に用いられる電解質膜は、優れたプロトン伝導性に加えて、化学的・熱的に安定であることから、低温度領域で作動する燃料電池の材料として大きな関心を呼び、様々な研究が行われている。
しかしながら、従来知られている有機高分子電解質膜は高価であり、また、水の吸脱着に伴う膜変形により、電極と膜との間の抵抗が増大してしまうという問題がある。
そこで、ナノ空孔構造を有するシリカを主成分とするプロトン伝導膜について検討されている。この種のプロトン伝導膜は、該膜に存在する水酸基からのプロトンの解離と水酸基と水の間のプロトンのホッピングに基づく。具体的には非特許文献1には、ゾルゲル法で作製した厚さ0.1〜1.0mmの多孔性シリカガラス膜が水分を吸着して0.003S・cm-1のプロトン伝導性を示し、また、非特許文献2には、300nm厚みの同様な膜では、最高10-5S・cm-1のプロトン伝導膜が開示されている。しかし、ナフィオンに匹敵する実用的に満足できる膜は得られていない。さらに、非特許文献3には、SiO2−P25二元系のプロトン伝導膜が開示されている。しかしながら、該プロトン伝導膜は、化学的安定性に欠けており、水に浸すとリン酸成分が溶出してプロトン伝導性が低下してしまう。
すなわち、化学的な安定性に優れ、かつ、高いプロトン伝導性を示すシリカ薄膜が社会的、技術的に求められている。
J. Phys. Chem. 102, 5772-5775 (1998) Advanced Materials 14, No. 12, 912-914 (2002) 高プロトン伝導性ガラス 工業材料 50, 43-46 (2002)
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、化学的に安定かつ、高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導膜を提供する。
上記課題のもと、発明者が鋭意検討した結果、下記手段により、本発明の課題を解決しうることを見出した。
(1)シラノール基を表面に有する空孔構造を有するプロトン伝導膜の製造方法であって、シリカ前駆体と分散微粒子を含む組成物を、加水分解してゲル化させた後、前記分散微粒子を、ゲルが有するシラノール基が失われない方法にて除去することによって、前記空孔構造を形成する工程を含む、プロトン伝導膜の製造方法。
(2)前記分散微粒子の除去は、プラズマ処理またはオゾン処理によって行う、(1)に記載の製造方法。
(3)前記分散微粒子の除去は、酸素プラズマ処理によって行う、(2)に記載の製造方法。
(4)前記分散微粒子の除去は、オゾン処理によって行う、(2)に記載の製造方法。
(5)前記分散微粒子は、粒径が0.4〜40nmである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の製造方法。
(6)前記分散微粒子は、略均一の大きさの微粒子である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の製造方法。
(7)前記分散微粒子は、表面に極性基を有している、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の製造方法。
(8)前記分散微粒子は、前記組成物中でミセル構造を形成する、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の製造方法。
(9)前記分散微粒子は、界面活性剤からなる(8)に記載の製造方法。
(10)前記組成物を基板上でゲル化させる、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の製造方法。
(11)前記シリカ前駆体のうち、加水分解されなかったものを除去する工程を含む、(1)〜(10)のいずれか1項に記載の製造方法。
(12)前記シリカ前駆体のうち、加水分解されなかったものの除去を、前記分散微粒子の除去とともに行う、(11)に記載の製造方法。
(13)(1)〜(12)のいずれかに記載の製造方法で製造されたプロトン伝導膜。
(14)シラノール基を表面に有する空孔構造を有するプロトン伝導膜であって、該プロトン伝導膜は、膜厚が10〜500nmであり、空孔率が20〜80%であり、かつ、プロトン伝導度が10-5S・cm-1より大きいことを特徴とする、プロトン伝導膜。
(15)前記空孔構造の孔径は、0.4〜40nmである、(13)または(14)に記載のプロトン伝導膜。
(16)前記空孔の孔径が略一定である、(13)〜(15)のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜。
(17)前記空孔を規則的に有している、(13)〜(16)のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜。
(18)さらに、孔径0.5nm以上2nm未満の微細孔を有する、(13)〜(17)のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜。
(19)プラズマ処理またはオゾン処理してなる、(13)〜(18)のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜。
(20)含水率が5%以上である、(13)〜(19)のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜。
(21)(13)〜(20)のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜を有する燃料電池。
本発明の製造方法で製造されるプロトン伝導膜は、高いプロトン伝導性を有する。さらに、本発明の製造方法では、厚さが100nm程度の薄膜とすることができるため、より低い面比抵抗を示す。このため、本発明の製造方法により得られたプロトン伝導膜および本発明で開示するプロトン伝導膜は、燃料電池、燃料電池用電極、膜電極接合体、電気化学センサー、水素等の分離膜、湿度センサー、プロトンセンサー、水素センサー等への利用が期待できる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、本発明でいう空孔構造とは、例えば、プロトン伝導膜の内部に設けられた空間部をいい、本発明のプロトン伝導膜では、この孔の表面にもヒドロキシル基を有する。なお、本明細書における、「略均一」とは、完全な均一状態の他、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲内における不均一を含む趣旨である。
シリカ前駆体を含む組成物
本発明で採用するシリカ前駆体とは、加水分解後にシリカとなるものをいう。シリカ前駆体としては、具体的には、アルコキシシラン、ハロゲン化シラン、水ガラス、シランイソシアネートが好ましく、アルコキシシランがより好ましい。
アルコキシシランとしては、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランがより好ましい。
その他、メチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン等のアルキル基とアルコキシド基を併せ持つ有機シラン化合物、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基とアルコキシド基を併せ持つ有機シラン化合物、(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン等のアミノ基とアルコキシド基を併せ持つ有機シラン化合物、N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルトリメトキシシラン等のアンモニウム基とアルコキシド基を併せ持つ化合物、3−チオシアネートプロピルトリエトキシシラン等のチオシアネート基とアルコキシド基を併せ持つ有機シラン化合物、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン等のエーテル基とアルコキシド基を併せ持つ有機シラン化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基とアルコキシド基を併せ持つ有機シラン化合物、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン等のハロゲンとアルコキシド基を併せ持つ有機シラン化合物、5,5−エポキシヘキシルトリエトキシシラン等のエポキシ基とアルコキシド基を併せ持つ有機シラン化合物、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド等のスルフィド基とアルコキシド基を併せ持つ有機シラン化合物、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等の水酸基ならびにアミノ基とアルコキシド基を併せ持つ有機シラン化合物、アミノプロピルシラントリオールなどのアミノ基とアルコキシド基の加水分解した基を有する有機シラン化合物、オクチルトリクロロシラン、シクロテトラメチレンジクロロシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、tert−ブチルトリクロロシラン等のアルキル基とクロル基を併せ持つ有機シラン化合物、(デカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン等のフルオロアルキル基とクロル基を併せ持つ有機シラン化合物等も採用できる。
シリカ前駆体は、1種類のみであってもよいし、2種類以上を混合してもよい。
シリカ前駆体組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において他の成分を含んでいてもよい。
尚、本発明のシリカ前駆体を、ジルコニア前駆体に変えても良好なプロトン伝導性を有するプロトン伝導膜が得られる。
本発明では、シリカ前駆体を含む組成物を加水分解によりゲル化する。ここで、加水分解は公知の方法を採用できる。
前記シリカ前駆体を含む組成物は、ゲル化に際し、該組成物中で分散微粒子を含んだ状態でゲル化させる。
ここで、分散微粒子とは、組成物中で、分散する微粒子、例えば、コロイド状となる等、シリカ前駆体組成物と反応せずに略均一分布して存在するものをいう。また、自然に分散するもののほか、一定の外的要件を加えることにより分散状態となるものも含む趣旨である。分散物質は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。
また、分散微粒子とは、球状のもののみならず、楕円球体状、円柱体状、球状物の集合体その他の形状も含む趣旨である。さらに、分散微粒子は、略均一の大きさであることが好ましい。略均一の大きさのものを分散させることにより、規則的に空孔構造を有するプロトン伝導膜が得られる。なお、本発明では、分散微粒子を2種類以上採用した場合、各々の分散微粒子が、それぞれ、略均一の大きさであることが好ましい。このような分散微粒子を採用することにより、複数の孔径の空孔を有する規則的な空孔構造を有するプロトン伝導膜が得られる。
さらに、分散微粒子は、組成物中において微粒子を構成すればよく、組成物に含まれていない状態での形状は特に定めるものではない。分散微粒子の平均粒子径は、0.4〜40nmが好ましく、1〜10nmがより好ましく、2〜10nmがさらに好ましく、2〜5nmが最も好ましい。2〜10nmとすることにより、得られるプトロン伝導膜の水吸着性が特に好ましくなり(例えば、含水率が5%以上、特には、10%以上であるものが得られる)、極めてプロトン伝導性が高いものが得られるという効果を有する。もちろん、これより大小の分散微粒子を採用した場合も、プロトン伝導性に優れたものが得られることは言うまでも無い。ここで、含水率とは、水の体積/膜内の空孔部分の体積(%)と定義する。
上記分散微粒子は、シリカ前駆体をゲル化させた後、形成されたゲルが有するシラノール基が失われない方法により除去できるものであれば、特に定めるものではなく、広く公知のものを採用できる。好ましくは表面に、極性基(さらに好ましくは、親水性基)を有するものである。このような手段を採用することにより、ゲル化されたシリカ表面にシラノール基がより多く存在しやすくなり好ましい。
具体的には、分散微粒子は、シリカ前駆体組成物をゲル化したとき鋳型となる物質であり、界面活性剤やシリカ前駆体およびシリカと反応しない有機物質が好ましく、界面活性剤がより好ましい。界面活性剤は、前記組成物中で、ミセル構造を形成するため、一定の微粒子を形成しやすいという観点からより好ましい。シリカ前駆体およびシリカと反応しない有機物質としては、表面に極性基を有する物質が好ましい。極性基(より好ましくはヒドロキシル基)を有する物質を採用することにより、分散微粒子が、シリカ前駆体組成物中でより分散しやすくなり、より規則的な空孔構造を有するプロトン伝導膜が得られる。具体的には、ホルムアミド、グルコース、多糖類、デンドリマー、ペンタエリスリトール等が挙げられる。また、有機物質は、前記シリカ前駆体の一部であるものも採用できる。この場合、シリカ前駆体とともにまたはシリカ前駆体から遊離して分散するものが採用できる。具体的には、アルコキシドのアルキル鎖部分が挙げられる。従って、アルキル鎖を調整することにより、好ましい空孔構造を形成することもできる。
前記組成物中に分散する物質は、該組成物をゲル化させた後、除去する。除去は、前記ゲル化した組成物のシラノール基が失われない方法にて除去する。ここで、シラノール基が失われない方法とは、すべてのシラノール基が全く失われない方法のみならず、例えば、ゲル中の空孔とは全く関係のない部位のシラノール基が除去されてしまう方法や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で多少のシラノール基が除去されてしまう方法をも含む趣旨である。除去方法は、具体的には、プラズマ処理またはオゾン処理が挙げられる。プラズマ処理としては、酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理、窒素プラズマ処理、水プラズマ処理が好ましい例として挙げられ、酸素プラズマ処理がより好ましい。
さらに、本発明では、前記シリカ前駆体のうち加水分解されなかった物質も除去してもよい。この場合の除去は、前記分散微粒子の除去とともに行うことが好ましい。このようにして、シリカ前駆体のうち加水分解されなかった物質を除去することにより、本発明のプロトン伝導膜は、さらに、例えば、平均微細孔径0.5nm以上2nm未満の微細孔、さらには1nm以上2nm未満の微細孔を有することになる。この結果、水分吸着量を増すことができ、プロトン伝導性がより高いプロトン伝導膜を製造することが可能になる。特に、シリカ前駆体として、アルコキシドを採用する場合、該アルコキシドが有するアルキル鎖を調節することにより、好ましい大きさの孔径を得ることができる。
本発明のプロトン伝導膜は、シリカからなる。ここで、シリカからなるとは、シリカを主成分とすることをいい、シリカ以外の成分が含まれているものを除去する趣旨ではない。
本発明のプロトン伝導膜は、孔径が略一定の空孔を有していることが好ましい。ここで、この空孔は、例えば、上記シリカ前駆体を含む組成物中で略均一の大きさの分散微粒子を鋳型とし、該物質を除去することで得られる。このような空孔を有することにより、膜の表面積が大きくなり、シラノール基をより多く有することになり、プロトン伝導性が向上する。平均孔径は、0.4〜40nmが好ましく、1〜10nmがより好ましく、2〜10nmがさらに好ましく、2〜5nmが最も好ましい。本発明のプロトン伝導膜は、例えば、平均孔径2〜10nm(さらには、2〜5nm)の空孔と、平均微細孔径0.5nm以上2nm未満の微細孔とを有するものが好ましい。
ここで、膜の空孔率とは、膜の体積に対する空孔の体積の割合と定義される。本発明では、プロトン伝導膜の空孔率は、好ましくは20〜80%であり、より好ましくは50〜75%である。
また、本発明のプロトン伝導膜の密度は、好ましくは0.3〜1.5g/cm3である。
本発明の空孔は規則的に設けられていることが好ましい。規則的であると、プロトン伝導経路が短くなるという利点を有する。本発明では、上記シリカ前駆体を含む組成物中に微粒子を分散させてゲル化することにより、規則的な空孔構造を形成できる。特に、本発明では、膜を延伸することなく、空孔構造を形成できるという観点からも好ましい。ここでいう規則的には、2種類以上の大きさ空孔を規則的に有しているものも含む趣旨である。
本発明のプロトン伝導膜のプロトン伝導度は、例えば50℃40%RHにおいて、10-7S・cm-1以上であることが好ましく、10-5S・cm-1より大きいことがより好ましく、10-4S・cm-1以上であることがさらに好ましい。
さらに本発明のプロトン伝導膜は、面抵抗比が0.1〜1.0Ωcm-2であるものが好ましい。面抵抗比がこのように小さいと、プロトン伝導効率が上昇し、例えば、燃料電池としての性能が向上するという利点がある。
本発明のプロトン伝導膜の製膜の方法としては、上記組成物を基板上に塗布して形成することが好ましい。塗布方法としては、スピンコーティング法等の公知の方法を採用できる。
本発明のプロトン伝導膜の厚みは、特に制限はないが、例えば、10〜500nmの厚さのものを作製できる。特に、100〜200nmの比較的厚い膜は、より充分な強度を保てるという観点から好ましく、10〜50nmの比較的薄い膜は、面抵抗が小さくなるという観点から好ましい。さらに、本発明の方法では、10〜50nmの薄い膜としても、充分な強度を保つことができる。すなわち、本発明の方法で得られるプロトン伝導膜は、自己支持性を有し、および/または、他の基板に移し変えることができるレベルの強度を有する。膜厚は上記組成物の濃度または基板上への塗布厚により制御できる。
本発明で用いられるプロトン伝導膜は燃料電池用として好ましく使用できる。燃料電池として用いる際の膜電極接合体に使用される電極は、触媒金属の微粒子を担持した導電材により構成され、必要に応じて撥水剤や結着剤が含まれていてもよい。また、触媒を担持していない導電材と、必要に応じて含まれる撥水剤や結着剤とからなる層を、電極層の外側に形成してもよい。
この電極に使用される触媒金属としては、水素の酸化反応および酸素の還元反応を促進する金属であればいずれでもよく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、または、それらの合金が挙げられる。
これらの触媒の中で、特に、白金が多くの場合用いられる。なお、触媒となる金属の粒径は、好ましくは10〜300オングストロームである。これらの触媒はカーボン等の担体に付着させた方が触媒の使用量が少なくコスト的に有利である。触媒の担持量は電極が成形された状態で0.01〜10mg/cm2が好ましい。
導電材としては、電子導伝性物質であればいずれのものでもよく、例えば、各種金属や炭素材料などが挙げられる。
炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、およびアセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛等が挙げられ、これらが単独または混合して使用される。
撥水剤としては、例えば、フッ素化カーボン等が使用される。バインダーとしては電極触媒被覆用溶液を用いることが、接着性の観点から好ましいが、他の各種樹脂を用いても差し支えない。その場合は撥水性を有する含フッ素樹脂が好ましく、特に、耐熱性、耐酸化性の優れたものがより好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が挙げられる。
燃料用電池として用いる際のプロトン伝導膜と電極接合法についても特に制限はなく、公知の方法を適用することが可能である。膜電極接合体の製法として、例えば、カーボンに担持させたPt触媒紛をポリテトラフルオロエチレン懸濁液と混ぜ、カーボンペーパに塗布、熱処理して電極層を形成する。次いで、プロトン伝導膜と同一の組成のプロトン伝導材料溶液を電極層に塗布し、プロトン伝導膜とホットプレスで一体化する方法、sputter法がある。
この他、プロトン伝導膜と同一の組成のプロトン伝導材料溶液を、予め、Pt触媒粉にコーテイングする方法、触媒ペーストをプロトン伝導膜の方に塗布する方法、プロトン伝導膜に電極を無電解めっきする方法、プロトン伝導膜に白金族の金属錯イオンを吸着させた後、還元する方法等がある。
固体高分子型燃料電池は、以上のように形成されたプロトン伝導膜と電極との接合体の両側に薄いカーボンペーパのパッキング材(支持集電体)を密着させて、その両側から極室分離と電極へのガス供給通路の役割を兼ねた導電性のセパレータ(バイポーラプレート)を配したものを単セルとし、この単セルの複数個を、冷却板等を介して積層することにより構成される。燃料電池は、高い温度で作動させる方が、電極の触媒活性が上がり電極過電圧が減少するため望ましいが、プロトン伝導膜は水分がないと機能しないため、水分管理が可能な温度で作動させる必要がある。燃料電池の作動温度の好ましい範囲は室温〜100℃である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1
プロトン伝導膜1の作製
シリカ前駆体溶液は、Li HB, Nogami M. HYPERLINK "http://wos3.isiknowledge.com/CIW.cgi?SID=QFgOgQrg-GgAADTWNVA&Func=Abstract&doc=1/2" Pore-controlled proton conducting silica films, Adv Mater 14 (12): 912-914 2002に記載の方法で準備した。まず、5.2gのテトラエトキシシラン(TEOS)(アルドリッチ・ケミカル製)、6gのプロパノールおよび0.45gの0.004M塩酸を混合し、60℃で1時間撹拌した。その後、2gの0.06M塩酸を添加した。得られたゾルを70℃で1時間撹拌した。ノニオン性界面活性剤溶液は、1.7gのノニオン界面活性剤(アルドリッチ・ケミカル製、C16EO10)を、11.4gのプロパノールで溶かすことにより準備した。ノニオン性界面活性剤溶液は、上記ゾルに、撹拌しながらゆっくり添加した。その後、この組成物を、室温で1時間撹拌した。最終的な組成物の組成は、TEOSの最終濃度が、200mM、400mM、600mM、800mMとなるようにエタノールで調整した。ここで、上記組成物中の分散している界面活性剤の孔径は、概ね3.5nmであった。上記組成物を基板(水晶振動微量天秤(QCM)電極、ITO電極またはAu電極)上にそれぞれスピンコーティングした。スピンコーティングに先立ち、基板はエタノールで洗浄し、それぞれ、超音波処理下、蒸留水で洗浄し、さらに、アセトンで洗浄した。スピンコーティングは、1分間、3000rpmで行った。
得られた膜を、酸素プラズマ処理して、プロトン伝導膜1を得た。酸素プラズマ処理は、South Bay Technology製(PE2000)を用いて、20分、30Wで処理した。
比較例として、上記酸素プラズマ処理を、熱処理に代え、他は同様に行った。熱処理は、KDF−S70炉(DENKEN製)を用いて、1時間、400℃で燃焼した(以下、「比較例膜1」と呼ぶことがある。)。
プロトン伝導膜1の厚さは、側面計(DEKTAKTM(登録商標))で測定した。
プロトン伝導膜1の(X線回析パターン)(XRDパターン)は、45kV、400mAで、Ni−処理Cu Kα放射線回析計(マック・サイエンス製、MXP21TA−P0)により測定した。
また、プロトン伝導膜1は、走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。SEMは、フィルムの表面および断面を、それぞれ、イオンコーター(日立製作所製、E−1030)を用いてコートした後、電界放出走査電子顕微鏡(日立製作所製、S−5200)にて観察した。
プロトン伝導膜1の赤外線スペクトルは、Nicolet Nexus 670 FTIR分光計(分解度:2cm-1)によって測定した。
QCMの振動数シフトは、Hewlett−Packard 5313Aカウンタ(225MHz)にて測定した。ここで、1Hzは、略0.9ngの増加に該当する。
プロトン伝導膜1のプロトン伝導性は、インピーダンス・アナライザ(Solartron製、SI−1260)にて測定した。
インピーダンス測定は50mVのAC振幅で、周波数が100Hz〜10MHzの範囲で行った。
プロトン伝導膜1の厚さを図1に示す。図1から明らかなとおり、TEOSの濃度を200mMから800mMにすることにより、膜厚が38nmから150nmまでの膜が得られた(図1中の黒丸)。また、TEOSの濃度に応じて、膜厚を調整できることが認められた。
図1中の白四角は、プラズマ処理前のフィルムとプラズマ処理後の膜の重量比を示したものであって、いずれの濃度においてもほぼ一定であった。これより、有機成分がいずれの濃度においても等しい割合で除去されたことが確認された。
加えて、プロトン伝導膜(TEOS濃度:800mM)の密度は、0.72g/cm3であった。ここで、図2は、該プロトン伝導膜(TEOS濃度:800mM)の概略図を示したものであって、界面活性剤を除去することにより得られた空孔1と加水分解されなかったエトキシド基を除去することにより得られた微細孔2とを有する。本プロトン伝導膜の空孔率は68%であった。このような高い空孔率は上記空孔および微細孔を有することにより得られるものである。
ここで、図2に示すような規則的な空孔が含まれることは、X線回析により確認された。その結果を図3に示した。図3から明らかなとおり3つのピークが得られ、このパターンは、比較例膜1から観察されたものとほぼ一致していた。また、規則的な単位格子のサイズが6.9nmであった。これらの結果から、直径3.5nmの空孔構造を有する膜が得られていることが確認された。酸素プラズマ処理による、単位格子の構造変化は認められなかった。
図4にSEM観察の結果を示す。図4中(a)は、プロトン伝導膜(TEOS濃度:800mM)の表面を示しており、滑らかで割れ目等が無いのが確認された。また、(b)は、該プロトン伝導膜の断面図で、約150nmの厚さの均一な膜であることが確認された。
図5は、プロトン伝導膜(TEOS濃度:800mM)の赤外線スペクトルを示している。図5中、aはプラズマ処理および熱処理のいずれをもしていない膜を、bは比較例膜1を、cはプロトン伝導膜1を、ぞれぞれ、示している。ここで、1050cm-1と800cm-1のピークはSi−O−Si結合を、2800〜3000cm-1の吸収は、CH結合を示している。すなわち、aにはCH結合(エトキシド)があり、熱処理またはプラズマ処理することにより(b・c)、これらが除去されていることが認められた。
図6はプロトン伝導膜1(TEOS濃度:800mM)および比較例膜1のプロトン伝導度を示している。図6中、白四角がプロトン伝導膜1を、白丸が比較例膜1をそれぞれ示している。また、プロトン伝導度は、S・cm-1の対数で示している。40%RHから90%RH(RH:相対湿度)のいずれにおいても、プロトン伝導膜1の方が比較例膜1よりプロトン伝導性が10〜1000倍高いことが確認された。
図7はプロトン伝導膜1(TEOS濃度:800mM)およびナフィオン(登録商標)の面抵抗比(ASR)を示している。ここで、実線はプロトン伝導膜1であり、破線はナフィオンである。さらに、面比抵抗は、70RH%におけるプロトン伝導膜の各温度における値を示している。
実施例2
プロトン伝導膜2の作製
シリカ前駆体溶液は、Li HB, Nogami M. HYPERLINK "http://wos3.isiknowledge.com/CIW.cgi?SID=QFgOgQrg-GgAADTWNVA&Func=Abstract&doc=1/2" Pore-controlled proton conducting silica films, Adv Mater 14 (12): 912-914 2002に記載の方法で準備した。まず、5.2gのテトラエトキシシラン(TEOS)(アルドリッチ・ケミカル製)、6gのプロパノールおよび0.45gの0.004M塩酸を混合し、60℃で1時間撹拌した。その後、2gの0.06M塩酸を添加し、得られたゾルを70℃で1時間撹拌した。さらに、0.375gのホルムアミドを11.4gのプロパノールに溶かしたものを、撹拌しながらゆっくり加えた。この組成物を実施例1と同様にしてプロトン伝導膜2を作製した。また、比較例として、上記酸素プラズマ処理を、熱処理に代え、他は同様に行った。熱処理は、KDF−S70炉(DENKEN製)を用いて、1時間、400℃で燃焼した(以下、比較例膜2ということがある。)。
実施例1と同様に赤外線スペクトルおよびプロトン伝導度を測定した。
図8は赤外線スペクトルを示したものであって、図中、aはプラズマ処理および熱処理のいずれもしていない膜を、bは比較例膜2を、cはプロトン伝導膜2をぞれぞれ示している。ここで、1050cm-1と800cm-1のピークはSi−O−Si結合を、1680cm-1の吸収は、C=O結合を示している。すなわち、aにはC=O結合があり、熱処理またはプラズマ処理することにより(b・c)、これらが除去されていることが認められた。
図9はプロトン伝導度を測定したものであって、図中、黒四角はプロトン伝導膜2のものを、黒丸は比較例膜2のものをそれぞれ示している。ここで、プロトン伝導膜2の方が、桁違いにプロトン伝導性が高いことが認められた。これは、いずれの相対湿度(40RH%〜90RH%)についても同様であった。
また、実施例1と同様に行った結果、直径0.4nmの空孔構造を有する膜が得られていることが確認された。酸素プラズマ処理による、単位格子の構造変化は認められなかった。
実施例3
実施例1に記載の方法で、ノニオン界面活性剤(アルドリッチ・ケミカル製、C16EO10)を界面活性剤(アルドリッチ・ケミカル製、TRITONX114)に代え、他は同様に行った。ここで、シリカ前駆体組成物中に分散している分散微粒子の孔径は、1.6nmであった。この結果、実施例1に比してプロトン伝導度が劣るものの、良好なプロトン伝導性が得られることが認められた。
実施例4
Chem. Commun.1994.635頁に記載の方法で、表面に親水性基を持たないデンドリマーを分散させた。分散したデンドリマーの粒径は、1.5nmであった。本実施例では、分散したデンドリマーの表面には、親水性基を有していない。この結果、実施例1、2、3に比してプロトン伝導度が劣るものの、良好なプロトン伝導性が得られることが確認された。
比較例
実施例1に記載の方法で、テトラエトキシシラン(TEOS)をテトラブトキシチタンに代えて、他は同様に行った。この結果、実施例1〜4に比してプロトン伝導度が劣ることが確認された。
実施例5
実施例1および実施例2で作製したプロトン伝導膜について、それぞれ、空孔構造内部の吸着水分の体積割合を測定した。結果を図10に示した。図10中、斜線が実施例1で作製したプロトン伝導膜を、黒部分が実施例2で作製したプロトン伝導膜をそれぞれ示している。また、縦軸は、含水率(水の体積/膜内の空孔部分の体積(%))で示している。
実施例6
プロトン伝導膜6の作製
シリカ前駆体溶液は、実施例1と同様に作製した。まず、5.2gのテトラエトキシシラン(TEOS)(アルドリッチ・ケミカル製)、6gのプロパノールおよび0.45gの0.004M塩酸を混合し、60℃で1時間撹拌した。その後、2gの0.06M塩酸を添加した。得られたゾルを70℃で1時間撹拌した。ノニオン性界面活性剤溶液は、1.7gのノニオン界面活性剤(アルドリッチ・ケミカル製、C16EO10)を、11.4gのプロパノールで溶かすことにより準備した。ノニオン性界面活性剤溶液は、上記ゾルに、撹拌しながらゆっくり添加した。その後、この組成物を、室温で1時間撹拌した。上記組成物を基板(水晶振動微量天秤(QCM)電極、ITO電極またはAu電極)上にそれぞれスピンコーティングした。スピンコーティングに先立ち、基板はエタノールで洗浄し、それぞれ、超音波処理下、蒸留水で洗浄し、さらに、アセトンで洗浄した。スピンコーティングは、1分間、3000rpmで行った。
得られたフィルムを150℃、6時間保存した。その後、NL−UV253オゾンクリーナー(日本電産コパル電子(株)製)を用い、酸素圧0.02MPaの下、1時間紫外線照射(4.5W×3、254nm、180nm)することにより、オゾン処理して、プロトン伝導膜6を得た。
得られたプロトン伝導膜6の膜厚を実施例1と同様に測定したところ、150nmであった。
実施例1と同様に赤外線スペクトルを測定した。
図11は赤外線スペクトルを示したものであって、図中aはオゾン処理をしていない膜を、bはプロトン伝導膜6をそれぞれ示している。1150cm-1と800cm-1のピークはSi−O−Si結合を、2800〜3000cm-1の吸収は、C−H結合を示している。すなわち、aにはC−H結合があり、オゾン処理することに(b)よりこれらが除去されていることが認められた。
図12はプロトン伝導度を測定したものであって、白四角がプロトン伝導膜6を、黒丸はナフィオンを、それぞれ示している。図12に示されるとおり、プロトン伝導度は、2桁程度ナフィオンよりも低かった。しかしながら、ナフィオン膜の厚さは、180μmであり、プロトン伝導膜6の1000倍程度の厚さである。そこで、面抵抗比で比較した。
図13は、面抵抗比を示したものであって、白四角がプロトン伝導膜6を、黒丸はナフィオンを、それぞれ示している。図13に示されるとおり、いずれの温度においても、抵抗がナフィオンの数分の一程度と優れていることが認められた。
実施例7 単層多孔質シリカ燃料電池の作製
図14に示す単層多孔質シリカ燃料電池を作製した。
まず、多孔質ガラスシート3(コーニング製、VYCOR(登録商標)、7930、厚さ1mm、孔径4nmおよび20nmの孔を均等に有する)を利用し、蒸留水およびエタノールで、超音波洗浄した。
処理後の多孔質ガラスシート上に、プラチナ陰極電極層4を設けた。プラチナ陰極電極層4は、20mA、4分間イオン電流でスパッタ処理し、400℃、1時間焼成した。
処理後のシートを、2−メルカプトエタンスルホン酸(SMES)のエタノール溶液(5mg/l)に6時間浸漬し、その後、エタノールに1分間浸漬してリンスした。それから、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムブロミド)(PDDA)の水溶液(10mg/l)に10分間浸漬し、水に1分間浸漬してリンスした。その後、窒素ガス下で乾燥した。
さらに、プラチナ陰極電極層側の上面に、本発明のプロトン伝導膜5を作製した。
まず、シリカ前駆体溶液は、実施例1と同様に作製した。すなわち、5.2gのテトラエトキシシラン(TEOS)(アルドリッチ・ケミカル製)、6gのプロパノールおよび0.45gの0.004M塩酸を混合し、60℃で1時間撹拌した。その後、2gの0.06M塩酸を添加した。得られたゾルを70℃で1時間撹拌した。ノニオン性界面活性剤溶液は、1.7gのノニオン界面活性剤(アルドリッチ・ケミカル製、C16EO10)を、11.4gのプロパノールで溶かすことにより準備した。ノニオン性界面活性剤溶液は、上記ゾルに、撹拌しながらゆっくり添加した。その後、この組成物を、室温で1時間撹拌した。
得られた組成物を、上記プラチナ陰極電極層側の上面にスピンコーティングし(1分間、2500rpm)、酸素プラズマ処理した。酸素プラズマ処理は、South Bay Technology製(PE2000)を用いて、20分、30Wで処理した。
さらに、上記と同様に、スピンコーティングおよび酸素プラズマ処理を繰り返して、プロトン伝導膜5を作製した。
プロトン伝導膜5を作製した上面に、プラチナ陽極電極層6を設けた。プラチナ陽極電極層6は、プロトン伝導膜5の表面に孔径3mmのシャドーマスクを設けて、4分間スタッパ処理した。得られた層構造体に、リードワイヤー7を設けて、燃料電池を得た。
リードワイヤーを設ける前の層構造体を実施例1と同様にSEM観察を行った。その結果を、図15に示した。図15(a)から明らかなとおり、プロトン伝導膜5の表面にプラチナ陽極電極層6が形成されていることが認められた。また、図15(b)から明らかなとおり、プロトン伝導膜5の下表面にプラチナ陰極電極層4が形成されていることが認められた。すなわち、プラチナ陰極電極層4/プロトン伝導膜5/プラチナ陽極電極層6の層構造体が得られていることが確認された。また、このときのプロトン伝導膜5の厚さは、約350nmであった。また、2つの電極層の厚さは、それぞれ約40nmであった。
また、燃料電池性能を測定した。すなわち、図14に示すように、燃料ガス8および酸化ガス9を供給した。具体的には、陽極側へ、流速15ml/minで水素ガスおよび流速30ml/minで窒素ガスを供給した。また、陰極側へ、15ml/minで酸素ガスおよび流速15ml/minで窒素ガスを供給した。各電流密度における電圧および出力密度を測定した。
図16は、本願発明の電流密度(mA/cm2)と電圧(mV)/出力密度(mW/cm2)の関係を示したものである。この結果、最大電圧550mV、最大出力0.020mW/cm2であることが確認された。
符号の説明
1 空孔
2 微細孔
3 多孔質ガラスシート
4 プラチナ陰極電極層
5 プロトン伝導膜
6 プラチナ陽極電極層
7 リードワイヤー
8 燃料ガス
9 酸化ガス
本願実施例1で作製したプロトン伝導膜の厚さおよびプラズマ処理前後の膜の重量比を示す図である。 本願実施例1で作製したプロトン伝導膜の概略図を示す図である。 本願実施例1で作製したプロトン伝導膜のX線回析の結果を示す。 本願実施例1で作製したプロトン伝導膜の電子顕微鏡写真を示す。 本願実施例1で作製したプロトン伝導膜の赤外線スペクトルを示す。 本願実施例1で作製したプロトン伝導膜のプロトン伝導度を示す。 本願実施例1で作製したプロトン伝導膜の面比抵抗を示す。 本願実施例2で作製したプロトン伝導膜の赤外線スペクトルを示す。 本願実施例2で作製したプロトン伝導膜のプロトン伝導度を示す。 本願実施例1および2で作製したプロトン伝導膜の空孔構造内部の水分吸着率を示す。 本願実施例6で作製したプロトン伝導膜の赤外線スペクトルを示す。 本願実施例6で作製したプロトン伝導膜のプロトン伝導度を示す。 本願実施例6で作製したプロトン伝導膜の面比抵抗を示す。 本願実施例7で作製した燃料電池の概略図を示す。 本願実施例7で作製した燃料電池の電子顕微鏡写真を示す。 本願実施例7で作製した燃料電池の電流密度と電圧/出力密度の関係を示す。

Claims (18)

  1. シラノール基を表面に有する空孔構造を有するプロトン伝導膜の製造方法であって、シリカ前駆体と分散微粒子を含む組成物を、加水分解してゲル化させた後、前記分散微粒子を、ゲルが有するシラノール基が失われない方法にて除去することによって、前記空孔構造を形成する工程を含み、
    前記分散微粒子の除去は、プラズマ処理またはオゾン処理によって行う、プロトン伝導膜の製造方法。
  2. 前記分散微粒子の除去は、酸素プラズマ処理によって行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記分散微粒子の除去は、オゾン処理によって行う、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記分散微粒子は、粒径が0.4〜40nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記分散微粒子は、略均一の大きさの微粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記分散微粒子は、表面に極性基を有している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記分散微粒子は、前記組成物中でミセル構造を形成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記分散微粒子は、界面活性剤からなる請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記組成物を基板上でゲル化させる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記シリカ前駆体のうち、加水分解されなかったものを除去する工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記シリカ前駆体のうち、加水分解されなかったものの除去を、前記分散微粒子の除去とともに行う、請求項10に記載の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたプロトン伝導膜であって、該プロトン伝導膜は、膜厚が10〜500nmであり、空孔率が20〜80%であり、かつ、プロトン伝導度が10-5S・cm-1より大きいことを特徴とする、プロトン伝導膜。
  13. 前記空孔構造の孔径は、0.4〜40nmである、請求項12に記載のプロトン伝導膜。
  14. 前記空孔の孔径が略一定である、請求項12または13に記載のプロトン伝導膜。
  15. 前記空孔を規則的に有している、請求項12〜14のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜。
  16. さらに、孔径0.5nm以上2nm未満の微細孔を有する、請求項12〜15のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜。
  17. 含水率が5%以上である、請求項12〜16のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜。
  18. 請求項12〜17のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜を有する燃料電池。
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