JP4997216B2 - レゾルバ - Google Patents
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Description
このため、モータにはレゾルバが備えられ、正確に角度検出されることが望ましい。自動車の駆動機構に用いられるレゾルバには、耐環境性などに加えて駆動機構の回転数が高い為に高精度化が要求されることになる。そして、他の車載部品と同様にレゾルバにも小型化と共に低コスト化が要求されている。
特許文献1には、基板に貼り付けるシートコイルの配列方向のパターンピッチを不等ピッチに配置することで起磁力波形に高調波が乗るのを防ぎ検出精度を向上している。
特許文献2には、平面状コイルを設ける基板に貫通穴を設け、基板の表面と裏面とに設けられるコイルを接続している。こうすることで、表面に設けた平面状コイルと裏面に設けた平面状コイルを接続し、回路を形成している。
基板の表面と裏面に平面状コイルを設けて接続する場合、裏面と表面の2面しか平面状コイルを形成できない。また、片側面のコイルを形成した後にもう片側面のコイルを形成しなければならない他、スルーホールを形成しなければならない、スルーホールにハンダ付けを行う必要がある、などの事情により工程数が多くなると言う問題もある。
(1)平面状コイルが端面に形成されたベースと、前記ベースに設けられ前記平面状コイルと接続する渡り線と、を有するステータ又はロータ、を備えたレゾルバにおいて、
前記ベースの前記平面状コイルの設けられた前記端面に、前記渡り線の端部を前記ベースより突出させて設け、前記渡り線端部の周囲に凹部を設けたことを特徴とする。
前記平面状コイルを導電性塗布剤で形成し、前記凹部内の前記渡り線端部近傍まで前記平面状コイルを形成したことを特徴とする。
前記凹部内の前記渡り線端部に重なるように前記平面状コイルを形成したことを特徴とする。
前記渡り線端部の前記ベースより突出する突出高さは、前記端面の高さよりも低く、前記渡り線端部は導電性塗布剤で覆われることを特徴とする。
前記ベースが樹脂製であることを特徴とする。
前記渡り線を前記ベースにインサート成形したことを特徴とする。
まず、(1)に記載の発明は、平面状コイルが端面に形成されたベースと、ベースに設けられ平面状コイルと接続する渡り線と、を有するステータ又はロータ、を備えたレゾルバにおいて、ベースの平面状コイルの設けられた端面に、渡り線の端部をベースより突出させて設け、渡り線端部の周囲に凹部を設けたものである。
これにより、安価で確実なコイルと渡り線との結線を実現することが可能である。
導電性塗布剤、例えば銀ペーストを用いた導電性インキなどを使用して、平面状コイルを描画することで形成し、凹部に突出する渡り先端部まで平面状コイルを伸ばすことで、電気的な接合を確実なものとすることができる。
導電性塗布剤を用いて平面状コイルを形成すると安価にコイル形成が可能となるが、渡り線との接合方法が問題となる。導電性塗布剤で平面状コイルを形成する際には平面状コイルの厚みが確保し難い為に、渡り線との結合時には別途導電性ペーストなどを用いて確実に結線する事が好ましい。その際に、渡り線端部が突出する部分にまで平面状コイルを描いて形成しておくことで、平面状コイルと渡り線端部との接合状態を良好にすることができる。
より確実に渡り線端部と平面状コイルとの接続が確保できるように、渡り線端部に重なるようにして平面状コイルを形成することで、平面状コイルと渡り線端部との電気的接続をより確実に行うことができる。
レゾルバに用いるロータ側のベースとステータ側のベースは、所定距離離れた状態で使用されるが、単純に渡り線をベースから突出させると、ロータとステータの距離を渡り線端部が干渉しないように更に距離を確保しなければならなくなる虞がある。ロータとステータとの距離は近いほどレゾルバの検出精度が向上する為、干渉を避ける程度で抑えたいという事情がある。このため、ベースの端面より突出しないように凹部に設けられた渡り線端部の突出量を決定することで、不要にロータとステータの距離を離さなくて済むようになる。
渡り線をベースにインサート成形することによって、コストダウンに貢献することが可能となる。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態の構成を説明する。
図1に、第1実施形態のモータを簡易に表した断面図を示す。
モータ10は、ケース本体11と、ケースカバー12と、モータステータ13と、モータロータ14と、モータ軸15と、モータ軸受16a及びモータ軸受16bと、を備えているブラシレスモータである。
ケース本体11及びケースカバー12はアルミニウム合金などを鋳造して作られており、ケース本体11にはモータ軸受16aが勘合され、ケースカバー12にはモータ軸受16bが勘合され、モータ軸15を回転可能に軸支している。
一方、モータ軸15には永久磁石を備えたモータロータ14が固定されている。モータステータ13とモータロータ14は所定距離離れて保持され、モータステータ13に通電することでモータロータ14が回転し、駆動力を発生してモータ軸15に動力を伝える。
モータロータ14の端面には磁気遮蔽板17が備えられている。そして、磁気遮蔽板17の一端にはモータロータ14が当接し、他端にはレゾルバロータ20が当接するように構成されている。
図2に、レゾルバの断面を模式的に表した断面図を示す。図3に、レゾルバのロータ側コイルパターンを示す。図4に、ステータ側のコイルパターン図を示す。図5(a)に、励磁コイルの第1コイルを簡略化したコイルパターン図を示す。図5(b)に、励磁コイルの第2コイルを簡略化したコイルパターン図を示す。
レゾルバ100は、レゾルバロータ20とレゾルバステータ30とを備えている。レゾルバロータ20とレゾルバステータ30との位置関係は所定距離Gとなるように配置されている。
検出コイル22は、銀粉と分散剤などを混合した銀ペースト等よりなる導電性インクを用いて描かれた検出コイルパターン22Aと、ポリイミド等よりなる絶縁性インクを用いて描かれた絶縁層40とからなる。
導電性インクによってロータボディ21の表面に検出コイルパターン22Aを描く際には、厚み10〜20μm程度で導電性インクを塗布して検出コイルパターン22Aを描き、その後炉に入れて焼成する。焼成することにより分散剤は蒸発し、厚み2〜5μmの銀の薄膜がロータボディ21の表面に形成される。コイルパターンの幅は0.5mm程度である。
また、レゾルバロータ20にはロータ側ロータリートランス24を備えている。ロータ側ロータリートランス24はロータリトランスパターン24Aが導電性インクを用いて描かれ、その上面には絶縁層40が設けられている。
ロータリトランスパターン24Aについても検出コイルパターン22Aと同様の手法で描かれる。
なお、第1実施形態では4つのコイルが直列に接続されているが、これらを並列に接続した場合にでも本発明は適用可能である。
第1渡り線28A乃至第4渡り線28Dは、レゾルバロータ20に導線が埋め込まれて形成されている。
検出コイルバックコア25は、検出コイル22に対応して図3に示される検出コイルパターン22Aの内周よりも若干小さな幅に形成された金属片が円形に配置されたものである。
ロータリトランスバックコア26は、ロータ側ロータリートランス24に対応して図3に示されるようなロータリトランスパターン24Aよりも若干大きな幅に形成されたドーナツ状の金属片である。バックコアに用いる材質は例えば鉄、フェライト系ステンレス、鉄粉入り樹脂等の強磁性体が望ましい。
励磁コイル32は、導電性インクを用いて描かれた1次コイルにあたる第1励磁コイルパターン32A及び2次コイルにあたる第2励磁コイルパターン32Bと、絶縁性インクを用いて描かれた絶縁層40とからなる。
また、レゾルバステータ30にはステータ側ロータリートランス34を備えている。ロータ側ロータリートランス24はロータリトランスパターン34Aが導電性インクを用いて描かれ、その上面には絶縁層40が設けられている。
導電性インク及び絶縁層40の描画方法についてはレゾルバロータ20と同様であるので説明を省略する。
また、レゾルバステータ30にはステータボディ31にインサート成形される励磁コイルバックコア35を備えている。
なお、第2励磁コイルパターン32Bについても同じパターンで接続される為説明は省略する。
第1渡り線28A乃至第4渡り線28D、及び第1渡り線37A乃至第6渡り線37Fは、それぞれロータボディ21又はステータボディ31にインサート成形されることで埋め込まれている。便宜的にこれらの渡り線を渡り線42とする。以後、単に渡り線42とする場合、第1渡り線28A乃至第4渡り線28D、及び第1渡り線37A乃至第6渡り線37Fの全て、或いはいずれか1つを示すものとする。また、渡り線42の端部を渡り線端部42aとする。
渡り線端部42aはロータボディ端面21a及びステータボディ端面31aに形成される凹部41内部に突出するように形成されている。すなわちロータボディ端面21a又はステータボディ端面31aから距離Hだけ下がった位置が、渡り線端部42aの先端部分となるように構成されている。
検出コイルパターン22A、ロータリトランスパターン24A、第1励磁コイルパターン32A、第2励磁コイルパターン32B、ロータリトランスパターン34Aを構成する導線45は、渡り線端部42aの上を通過するように描かれる。そして、銀ペースト43を凹部41に塗布する。なお、導線45が渡り線端部42aと重ならない構成としても良い。
この後、炉に入れて焼成することで、導線45と渡り線端部42aの電気的接続が確保される。
まず、コイルを形成する導線45と渡り線端部42aとの電気的接続を確保できる点が挙げられる。
第1実施形態に示した発明は、平面状コイルである検出コイルパターン22A、ロータリトランスパターン24A、第1励磁コイルパターン32A、第2励磁コイルパターン32B、ロータリトランスパターン34Aがロータボディ端面21a又はステータボディ端面31aに形成されたロータボディ21又はステータボディ31と、ロータボディ21又はステータボディ31に設けられ平面状コイルと接続する渡り線42と、を有するレゾルバステータ30又はレゾルバロータ20、を備えたレゾルバ100において、ロータボディ21又はステータボディ31の検出コイルパターン22A、又はロータリトランスパターン24A、又は第1励磁コイルパターン32A、又は第2励磁コイルパターン32B、又はロータリトランスパターン34Aの設けられたロータボディ端面21a又はステータボディ端面31aに、渡り線42の端部である渡り線端部42aをロータボディ21及びステータボディ31より突出させて設け、渡り線端部42aの周囲に凹部を設けたものである。
検出コイルパターン22A等の導電性塗布剤を用いて描いた導線45は厚みを確保することが困難である。これは、インクジェット方式で例えば10〜20μm程度の厚みで描画しても、焼成によって2〜5μm程度の厚みまで薄くなってしまうという事情がある。複数回塗り重ねることも可能ではあるが、工程数が増える上にパターンのズレ等も考慮する必要があるのでコストダウンを優先させたいレゾルバ100にとっては余り好ましくない。
銀ペースト43を用いた場合、導線45と同時に焼成でき、工程数の増加を防ぐことができるというメリットがある。この他、渡り線端部42aと導線45に被せるように銀ペースト43でカバーするので、電気的にも確実に接合が可能となる。
この際に銀ペースト43が隣り合う導線45側に漏れだして短絡してしまう虞があるが、凹部を設けることで防ぐことができる。こうして、歩留まりの向上を図ることが可能である。
また、レゾルバ100において、渡り線端部42aのロータボディ21又はステータボディ31より突出する突出高さはロータボディ端面21a、ステータボディ端面31aよりも低く、渡り線端部42aは銀ペースト43で覆われている。
しかし距離Hだけ控え凹部41内部で渡り線端部42aが突出し、ロータボディ端面21a及びステータボディ端面31aからは飛び出ないように設定されているので、所定距離Gを必要以上に大きく取らずに済み、レゾルバ100の検出精度向上に貢献する。
渡り線42は、銅やアルミニウムなどの導電性の高い金属で形成されており、ロータボディ21又はステータボディ31の内部にインサート成形することで、位置決めがなされて、埋め込みのコストなどを削減することができる。
(第2実施形態)
まず、第2実施形態の構成を説明する。
第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同じ構成であり、異なる点は渡り線端部42aの周囲に設ける凹部の形状である。その他の構成は同じなので、説明を省略する。
図7(a)に、第2実施形態の渡り線端部の上面視図を示す。図7(b)に渡り線端部のBB断面図を示す。
渡り線端部42aの周囲に設けられるのは、オーバル型凹部46である。オーバル型凹部46は、寸法Aが渡り線端部42aの幅の3倍程度、寸法Bが渡り線端部42aの幅の5倍程度、寸法Cは渡り線端部42aの幅の8倍程度となっている。
まず、オーバル型凹部46がロータボディ21又はステータボディ31に形成されていることで、渡り線端部42aに銀ペースト43を付ける際、銀ペースト43の漏れ出しが無く、他の回路との短絡を防ぐことができる点が挙げられる。
オーバル型凹部46は凹部41に比べて凹んでいる容積が大きい他、導線45が伸びる方向に長く形成されている為、銀ペースト43は導線45をより長く多くことができ、電気的接合の確実性を増すことが可能である。
(第3実施形態)
まず、第3実施形態の構成を説明する。
第3実施形態は第1実施形態の構成とほぼ同じである。しかし、渡り線42の固定方法が異なる。以下それについて説明を行う。
図8は、第3実施形態の渡り線付近を含むボディの断面図である。
裏面開口部47は、ロータボディ21又はステータボディ31の、ロータボディ端面21a及びステータボディ端面31aと対向する側の端面に設けられている。裏面開口部47には、渡り線42が挿入される挿入溝47aが形成されており、ロータボディ21又はステータボディ31の裏側から挿入溝47aに渡り線42が挿入され備えられる。渡り線42は、U字形に曲げられた導線であり、両端部に渡り線端部42aが形成されている。
図10に、ボディに渡り線が備えられた状態で熱溶着した状態を示す。
図11に、ボディに渡り線が備えられた状態のD矢視断面を示す。
ロータボディ21又はステータボディ31に形成される挿入溝47aに渡り線42が挿入され備えられた後、例えば熱溶着部47bのような円形の図示しない熱溶着ヘッドを押し付けて図10に示すようにロータボディ21又はステータボディ31の一部を潰して溶着する。図11に示すように、渡り線42の上側にロータボディ21又はステータボディ31の肉がはみ出てくるので、ロータボディ21又はステータボディ31で渡り線42を保持することが可能となる。
(第4実施形態)
まず、第4実施形態の構成を説明する。
第4実施形態は第3実施形態の構成とほぼ同じである。しかし、渡り線42の固定方法が異なる。以下それについて説明を行う。
図12に、第4実施形態のボディに渡り線が備えられた状態の平面図を示す。図9に対応する。
図13に、ボディに渡り線が備えられた状態で熱溶着した状態を示す。図10に対応する。
図14に、ボディに渡り線が備えられた状態の断面図を示す、図11に対応する。
一方、裏面開口部47には円筒形状に突出した熱溶着部47bが形成されている。ロータボディ21又はステータボディ31に渡り線42が挿入される際に、ドーナツ型溶着部42bに形成される中央の孔に熱溶着部47bが挿入される。
そして、図示しない熱溶着ヘッドを用いて熱溶着部47bを潰すことで、渡り線42がロータボディ21又はステータボディ31から脱落しないように固定することが可能となる。
ロータボディ21及びステータボディ31にインサート成形して保持させる方法とは異なり、裏面開口部47を設けて渡り線42を挿入する工程を必要とする為に若干コストがかかる。しかしながら、インサート成形できない事情等がある場合には有効な方法だと考えられる。例えば、ロータボディ21又はステータボディ31に設けた検出コイルバックコア25、励磁コイルバックコア35等との干渉などが問題となるケース、あるいは、ロータボディ21又はステータボディ31の材質的にインサート成形を用いることが馴染まないケースなどが考えられる。
例えば、第1実施形態乃至第4実施形態中で例示する材質について、変更することを妨げない。また、レゾルバ100は受動態が回転移動体の形態として説明されているが、直進移動体にこれを用いることを妨げない。
また、渡り線42の形状なども設計変更することを妨げない。
21 ロータボディ
21a ロータボディ端面
22 検出コイル
22A 検出コイルパターン
24 ロータ側ロータリートランス
24A ロータリトランスパターン
25 検出コイルバックコア
26 ロータリトランスバックコア
30 レゾルバステータ
31 ステータボディ
31a ステータボディ端面
32 励磁コイル
32A 第1励磁コイルパターン
32B 第2励磁コイルパターン
34 ステータ側ロータリートランス
34A ロータリトランスパターン
35 励磁コイルバックコア
38 回路
40 絶縁層
41 凹部
42 渡り線端部
43 銀ペースト
45 導線
100 レゾルバ
Claims (6)
- 平面状コイルが端面に形成されたベースと、前記ベースに設けられ前記平面状コイルと接続する渡り線と、を有するステータ又はロータ、を備えたレゾルバにおいて、
前記ベースの前記平面状コイルの設けられた前記端面に、前記渡り線の端部を前記ベースより突出させて設け、
前記渡り線端部の周囲に凹部を設けたことを特徴とするレゾルバ。 - 請求項1に記載のレゾルバにおいて、
前記平面状コイルを導電性塗布剤で形成し、
前記凹部内の前記渡り線端部近傍まで前記平面状コイルを形成したことを特徴とするレゾルバ。 - 請求項2に記載のレゾルバにおいて、
前記凹部内の前記渡り線端部に重なるように前記平面状コイルを形成したことを特徴とするレゾルバ。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のレゾルバにおいて、
前記渡り線端部の前記ベースより突出する突出高さは、前記端面の高さよりも低く、
前記渡り線端部は導電性塗布剤で覆われることを特徴とするレゾルバ。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のレゾルバにおいて、
前記ベースが樹脂製であることを特徴とするレゾルバ。 - 請求項5に記載のレゾルバにおいて、
前記渡り線を前記ベースにインサート成形したことを特徴とするレゾルバ。
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