JP4996862B2 - ペプチド類の安定化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、病原体や病原性因子による汚染の危険が無く、安全性が高い合成ポリペプチドで構成されており、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類を安定化するのに有用な安定化剤に関する。
蛋白質製剤、酵素製剤、ワクチン製剤などの生理活性物質を含む医薬品製剤の安定化剤として、天然由来のコラーゲンやゼラチンが使用されている。例えば、特開平1−279843号公報(特許文献1)には、組織培養により得られたウイルス液を精製し、不活性化した後、安定化剤としてゼラチンを添加し、凍結乾燥して得られるA型肝炎ワクチンが開示されている。また、特開平2−49734号公報(特許文献2)には、成長因子、その構成成分の一部に相当するペプチド、これらの誘導体、又はこれらの塩とゼラチン類とを少なくとも含む新規組成物が開示されており、ゼラチンが成長因子等に対する安定化効果を示すことが記載されている。
また、酸、熱又は酵素によるゼラチンやコラーゲンの分解物も医薬製剤の安定化剤として用いられている。例えば、特開平6−234659号公報(特許文献3)には、水痘ウイルスからなるウイルス成分と安定化剤とを含有し、Ca2+イオン及びMg2+イオンを含有しない安定化生ワクチンが開示されている。特許文献3には、前記安定化剤が、ゼラチン、ゼラチン誘導体及びキレート試薬より選ばれる少なくとも一種であること、また、ゼラチン誘導体がゼラチン加水分解物であることも開示されている。また、特開平9−176196号公報(特許文献4)には、コラゲナーゼ酵素を用いて、ゼラチン成分又はコラーゲン成分を特異的に分解して得られ、アミノ酸配列(Gly−X−Y)のペプチドを主成分とする非抗原性安定化剤が開示されている。
このような従来の安定化剤では、前記ゼラチンやコラーゲンとして、天然のコラーゲン(哺乳動物由来コラーゲン、魚由来コラーゲンなど)が利用されている。天然のコラーゲンは、あらゆる多細胞動物にみられる繊維状蛋白質であり、典型的には、3本のコラーゲンポリペプチド鎖が三重らせん構造と呼ばれるロープ状の超らせん構造を有している。しかも、ウシ、ヒツジなどの哺乳動物由来のコラーゲンでは、コラーゲンの物理化学的特性に優れ、原料臭も少ないものの、プリオンなどの病原体による感染の危険性が問題となっている。また、病原体の感染の危険性を回避するため、特開平8−41425号公報(特許文献5)には、動物又は人間由来のコラーゲン中のプリオンを除去するために、コラーゲン溶液中の細胞および組織の断片を除去し、アルカリ処理することが記載されているものの、安全性の確認を必要とし、煩雑でコスト高となる。一方、魚由来のコラーゲンでは、このような危険性は少ないものの、原料臭が強く、この臭気を取り除くための工程がさらに必要となる。
また、特開2005−60315号公報(特許文献6)には、少なくともPro−Y−Gly(式中、YはPro又はHypを示す)で表されるアミノ酸配列を有し、かつコラーゲン様の構造を形成する合成ポリペプチドで構成されている製剤組成物が開示されている。しかし、この文献には、合成ポリペプチドによるペプチド類の安定化については、何ら記載されていない。
特開平1−279843号公報(請求項1又は6) 特開平2−49734号公報(特許請求の範囲、第2頁右下欄17〜19行) 特開平6−234659号公報(請求項1〜4) 特開平9−176196号公報(請求項1) 特開平8−41425号公報(請求項1) 特開2005−60315号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、病原体の感染や病原性因子の伝達を生じる危険性がなく、高い安全性を有し、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類を有効に安定化できる安定化剤及びペプチド類が有効に安定化されたペプチド組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、分子量が比較的高いポリペプチドを含有するにも拘わらず、低抗原性であり、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類を有効に安定化できる安定化剤及びペプチド類が有効に安定化されたペプチド組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の合成ポリペプチドが、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類を有効に安定化させることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の安定化剤は、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類を安定化させるための安定化剤であって、少なくとも式Pro-Y-Gly(式中、YはPro又はHypを示す)で表されるアミノ酸配列を有する合成ポリペプチドで構成されている。
前記合成ポリペプチドが、下記式(1)〜(3)で表されるペプチドユニットで構成されていてもよい。
[-(OC-(CH)-CO)-(Pro-Y-Gly)-] (1)
[-(OC-(CH)-CO)-(Z)-] (2)
[-HN-R-NH-] (3)
(式中、mは1〜18の整数、p及びqは同一又は異なって0又は1、YはProまたはHypを表し、nは1〜20の整数を表す。Zは1〜10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖を表し、rは1〜20の整数を表し、Rは直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を表す。aとbとの割合(モル比)はa/b=100/0〜30/70であり、p=1及びq=0であるときc=a、p=0及びq=1であるときc=bであり、p=1及びq=1であるときc=a+bであり、p=0及びq=0であるときc=0である。)
前記合成ポリペプチドは、コラーゲン様の構造を有していてもよい。また、合成ポリペプチドは、少なくとも一部が3重らせん構造を形成可能であってもよく、円二色性スペクトルにおいて、波長220〜230nm程度に正のコットン効果を示し、波長195〜205nm程度に負のコットン効果を示してもよい。さらに、合成ポリペプチドの分子量が3×10〜500×10程度の範囲にピークを示してもよい。
本発明には、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類と安定化剤とを含むペプチド組成物も含まれる。ペプチド組成物中の合成ポリペプチドの割合は、ペプチド類1重量部に対して、0.001〜300重量部程度であってもよい。
さらに本発明には、前記安定化剤を用いて、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類の安定性を向上させる方法も含まれる。
本発明では、特定の合成ポリペプチドを用いるので、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類を有効に安定化できるとともに、病原体の感染や病原因子の伝達を生じる危険性がなく、安全性が高い安定化剤を提供できる。また、安定化剤は、比較的分子量が高い前記合成ポリペプチドを含むにも拘わらず、感作性が低く、低抗原性である。
本発明においては各種アミノ酸残基を次の略号で記述する。
Ala :L−アラニン残基
Arg :L−アルギニン残基
Asn :L−アスパラギン残基
Asp :L−アスパラギン酸残基
Cys :L−システイン残基
Gln :L−グルタミン残基
Glu :L−グルタミン酸残基
Gly :グリシン残基
His :L−ヒスチジン残基
Hyp :L−ヒドロキシプロリン残基
Ile :L−イソロイシン残基
Leu :L−ロイシン残基
Lys :L−リジン残基
Met :L−メチオニン残基
Phe :L−フェニルアラニン残基
Pro :L−プロリン残基
Ser :L−セリン残基
Thr :L−トレオニン残基
Trp :L−トリプトファン残基
Tyr :L−チロシン残基
Val :L−バリン残基。
また、本明細書においては、常法に従って、N末端のアミノ酸残基が左側に位置させ、C末端のアミノ酸残基が右側に位置させて、ペプチド鎖のアミノ酸配列を記述する。
[安定化剤]
本発明の安定化剤は、少なくとも式Pro-Y-Gly(式中、YはPro又はHypを示す)で表されるアミノ酸配列を有する合成ポリペプチドで構成されており、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類を安定化させるための安定化剤として用いられる。前記合成ポリペプチドにおいて、上記式Pro-Y-Glyで表されるアミノ酸配列は、3重らせん構造の安定性に寄与するため、前記合成ポリペプチドは、コラーゲン組織(コラーゲン状の組織)又はコラーゲン様の構造を形成する限り種々のポリペプチドが使用できる。このような合成ポリペプチドには、具体的には、下記式(1)〜(3)で表されるペプチドユニットで構成された合成ポリペプチド(I)などが含まれる。合成ポリペプチドは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
[-(OC-(CH)-CO)-(Pro-Y-Gly)-] (1)
[-(OC-(CH)-CO)-(Z)-] (2)
[-HN-R-NH-] (3)
(式中、mは1〜18の整数、p及びqは同一又は異なって0又は1、YはProまたはHypを表し、nは1〜20の整数を表す。Zは1〜10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖を表し、rは1〜20の整数を表し、Rは直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を表す。aとbとの割合(モル比)はa/b=100/0〜30/70であり、p=1及びq=0であるときc=a、p=0及びq=1であるときc=bであり、p=1及びq=1であるときc=a+bであり、p=0及びq=0であるときc=0である)
前記ポリペプチド(I)は、前記ペプチドユニット(1) を必須ユニットとし、さらにペプチドユニット(1)は、Pro-Y-Glyの繰返し配列を含むことが必要である。なお、3重らせん構造の安定性及び合成の容易性などの点から、繰返し数nは、1〜20、好ましくは3〜15、さらに好ましくは5〜15程度であってもよい。
前記式(1)において、Yは、Pro又はHypいずれであってもよいが、3重らせん構造の安定性からHypであるのがより好ましい。なお、Hypは、通常、4Hyp(例えば、trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン)残基である。
さらに、メチレン鎖(CH)の繰り返し数を示すmは、通常、1〜18、好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10(特に2〜6)程度である。また、pは0又は1である。
前記式(2)において、Zは1〜10個のアミノ酸残基で構成された任意のペプチドを表す。Zは、特に制限されないが、ポリペプチドの物理的及び生物学的性質の点から、ペプチド鎖Zは、例えば、Gly、Sar、Ser、Glu、Asp、Lys、His、Ala、Val、Leu、Arg、Pro、Tyr、Ileから選択された1〜10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖(すなわち、これらのアミノ酸から選択されたアミノ酸残基、又はこれらのアミノ酸から選択された2〜10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖)、特に、Gly、Sar、Ser、Glu、Asp、Lys、Arg、Pro、Valから選択された1〜10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖を有している場合が多い。具体的には、例えば、ペプチド鎖Zは、Gly、Sar、Ser、Glu、Asp、Lys、Arg-Gly-Asp、Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg、Ile-Lys-Val-Ala-Val、Val-Pro-Gly-Val-Gly、Asp-Gly-Glu-Ala、Gly-Ile-Ala-Gly、His-Ala-Val、Glu-Arg-Leu-Glu、Lys-Asp-Pro-Lys-Arg-Leu、Arg-Ser-Arg-Lysで示される配列を含むのが好ましい。
ペプチド鎖Zの繰り返し数を示すrは、合成の容易性及びポリペプチドの物理的及び生物学的性質の点から、通常、1〜20、好ましくは3〜15、さらに好ましくは5〜10程度である。メチレン鎖(CH)の繰り返し数を示すmは、前記式(1)と同様に、1〜18、好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10(特に2〜6)程度である。また、qは0又は1である。
なお、前記式において、m、n、及びrは、通常、原料となるアミノ酸又はペプチド中の繰り返し数に対応している。
前記式(1)及び(2)において、p及びqのうち少なくとも一方が1である(すなわち、ジカルボン酸ユニットを含む)とき、合成ポリペプチドは、前記式(3)で表されるユニット(ジアミンユニット)を含んでいる。このユニット(3)において、Rで表される直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基は、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレンなどのC1−18アルキレン基(又はアルキリデン基)が例示できる。前記アルキレン基Rは、直鎖状のメチレン鎖(CH)(sは1〜18の整数を表す)であってもよい。好ましいRは、C2−12アルキレン基(さらに好ましくはC2−10アルキレン基、特にC2−6アルキレン基)である。
前記ペプチドユニット(1)と前記ペプチドユニット(2)との割合(a/b)(モル比)は、前者/後者=100/0〜30/70、好ましくは95/5〜40/60、さらに好ましくは90/10〜50/50程度である。
さらに、ユニット(3)の割合は、前記式(1)のpの値及び前記式(2)のqの値に応じて選択でき、p=1及びq=0であるとき、c=aであり、p=0及びq=1であるとき、c=bである。また、p=1及びq=1であるときc=a+bであり、p=0及びq=0であるときc=0である。
すなわち、前記合成ポリペプチド(I)には、(a)前記式(1)でp=0であるペプチドユニット[-(Pro-Y-Gly)-]の繰り返し単位で構成されたポリペプチド、(b)前記式(1)でp=0であるペプチドユニット[-(Pro-Y-Gly)-]と前記式(2)でq=0であるペプチドユニット[-(Z)-]とをa:bの割合(モル比)で含む繰り返し単位で構成されたポリペプチド、(c)前記式(1)でp=1であるペプチドユニット[-(OC-(CH)-CO)-(Pro-Y-Gly)-]と前記式(3)で表されるユニット[-HN-R-NH-]とを1:1の割合(モル比)で含む繰り返し単位で構成されたポリペプチド、(d)前記式(1)でp=1であるペプチドユニット[-(OC-(CH)-CO)-(Pro-Y-Gly)-]と前記式(2)でq=1であるペプチドユニット[-(OC-(CH)-CO)-(Z)-]と前記式(3)で表されるユニット[-HN-R-NH-]とをa:b:a+bの割合(モル比)で含む繰り返し単位で構成されたポリペプチドが含まれる。
合成ポリペプチドにおいて、なお、前記繰り返し単位(Pro-Y-Gly)の割合は、合成ポリペプチド中50重量%以上(例えば、60〜100重量%程度)、好ましくは70重量%以上(例えば、70〜95重量%程度)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、80〜90重量%程度)である。
合成ポリペプチドのうち、特に、前記式(1)でp=0であるペプチドユニット[-(Pro-Y-Gly)-](1a)の繰り返し単位で構成されたポリペプチド、特に、(1a)における繰り返し単位nが5〜20の整数、好ましくは5〜15の整数であるポリペプチド(例えば、繰り返し数nがこのような範囲のペプチドを原料として用いて得られるポリペプチドなど)が好ましい。
前記合成ポリペプチドは、環化により6員環を形成することなく、鎖状のポリペプチドを形成しており、溶媒(水、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどの親水性溶媒又はそれらの混合溶媒など)に可溶である。前記合成ポリペプチドは、水系ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において、球状蛋白質換算で、例えば、分子量5×10〜500×10(例えば、1×10〜300×10)、好ましくは3×10〜500×10(例えば、4×10〜200×10)、さらに好ましくは5×10〜100×10(例えば、10×10〜50×10)程度の範囲にピークを示す。前記合成ポリペプチドは、比較的高分子量、例えば、2万を超える分子量であっても、感作性が低く(又は無く)、低抗原性である。そのため、安定した品質で生体に適用できるとともに、安全性も高い。
さらに、これらの合成ポリペプチドは、円二色性スペクトルにおいて、波長220〜230nmに正のコットン効果を示し、波長195〜205nmに負のコットン効果を示す。そのため、合成ポリペプチドの少なくとも一部(すなわち、一部または全部)が3重らせん構造を形成可能であり、コラーゲン様ポリペプチドを形成する。なお、コットン効果とは、旋光性物質において特定の波長で左右の円偏光に対する吸収係数が異なるために起こる現象をいう。
これらの合成ポリペプチドは、コラーゲン組織(コラーゲン状の組織)を形成可能である。上記3重らせん構造を形成したポリペプチド鎖が自己集合して、数nm〜数十nmの原線維を形成し、さらにこれらの原線維が配列して数nm〜数十nmの繊維構造を形成することができる。これらの構造は、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、あるいは原子間力顕微鏡により観察することができる。
合成ポリペプチドは、生理学的又は薬理学的に許容される塩であってもよく、例えば、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸など)、有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、パルミチン酸など)、金属(ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムなど)、有機塩基(トリメチルアミン、トリエチルアミン、t−ブチルアミン、ベンジルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、アルギニンなど)との塩であってもよい。これらの塩形成化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの塩は、通常の塩形成反応によって得ることができる。
前記合成ポリペプチドは、合成ポリペプチドの構成アミノ酸及び/又はペプチドフラグメントを含むアミノ酸又はペプチド成分を、慣用の縮合反応により、縮合することにより得ることができる。また、最終的に前記ユニットがポリペプチド中に含まれている限り特に制限されず、例えば、アミノ酸を縮合反応する方法や、ペプチドセグメントとアミノ酸とを縮合する方法により得てもよいが、予め、前記アミノ酸配列を有するペプチド又はその誘導体などのペプチド成分を調製し、このペプチド成分を縮合する方法により得るのが好ましい。
前記ペプチド成分のペプチド鎖の合成は、通常のペプチド合成方法、例えば、固相合成法または液相合成法によって調製できる。ペプチド合成には、慣用の方法、例えば、縮合剤を用いるカップリング方法、活性エステル法(p−ニトロフェニルエステル(ONp)、ペンタフルオロフェニルエステル(Opfp)などのフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(ONSu)などのN−ヒドロキシジカルボン酸イミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル(Obt)など)、混合酸無水物法、アジド法などが利用できる。好ましい方法では、少なくとも縮合剤(好ましくは後述する縮合剤、特に後述する縮合剤と縮合助剤との組合せ)を用いる場合が多い。
さらに、ペプチドの合成では、アミノ酸又はペプチドフラグメントの種類に応じて、アミノ基、カルボキシル基、他の官能基(グアニジノ基、イミダゾリル基、メルカプト基、ヒドロキシル基、ω−カルボキシル基など)の保護基による保護と、接触還元や強酸処理(無水フッ化水素、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸など)による保護基の脱離・除去とが繰り返し行われる。例えば、アミノ基の保護基には、ベンジルオキシカルボニル基(Z)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基(Z(OMe))、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル基(Npys)などが利用でき、カルボキシル基の保護基には、ベンジルオキシ基(OBzl),フェナシルオキシ基(OPac)、t−ブトキシ基(OBu)、メトキシ基(OMe)、エトキシ基(OEt)などが利用できる。なお、ペプチド合成には自動合成装置を利用してもよい。ポリペプチド合成の詳細については、特開2005−60314号公報などを参照できる。
より詳細には、ポリペプチド(I)は、例えば、少なくとも下記式(1a)で表されるペプチド又はその誘導体(A)を縮合することにより調製される。
X-(Pro-Y-Gly)-OH (1a)
(式中、XはH又はHOOC-(CH)-CO-(mは前記に同じ)を表し、Y及びnは前記に同じ)。
前記式(1a)で表されるペプチド又はその誘導体(A)は、下記式(2a)で示されるペプチド又はその誘導体(B)と共縮合させて、ポリペプチドを調製してもよい。
X-(Z)-OH (2a)
(式中、XはH又はHOOC-(CH)-CO-(mは前記に同じ)を表し、Z及びrは前記に同じ)。
なお、前記X=HOOC-(CH)-CO-に対応する化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC3−20の脂肪族ジカルボン酸又はそれらの酸無水物などが例示できる。これらの化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの化合物も慣用のアミド結合生成法(例えば、後述する第三級アミンなどを触媒とする生成法など)や前記ペプチド合成法に従って反応させることにより、前記(1a)及び(2a)で示される化合物を得ることができる。
ペプチド又はその誘導体(A)とペプチド又その誘導体(B)との使用割合は、例えば、前者(A)/後者(B)=100/0〜30/70(モル%)、好ましくは100/0〜40/60(モル%)、さらに好ましくは100/0〜50/50(モル%)程度である。
さらに、前記式(1a)及び/又は式(2a)においてXがHである場合には必要ではないが、XがHOOC-(CH)-CO-(mは前記に同じ)であるとき、前記ペプチド又はその誘導体(A)及び/又はペプチド又はその誘導体(B)は、アミド基を形成するため、下記式(3a)で表される化合物(C)との共縮合反応に供される。
HN-R-NH (3a)
(式中、Rは前記に同じ)。
前記式(3a)で表される化合物としては、前記式(3)に対応するジアミン類、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC2−18アルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミン類などが例示できる。これらの化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記ジアミン化合物(C)の使用量は、例えば、前記ペプチド又はその誘導体(A)及び(B)のうち一方のペプチド又はその誘導体がX=HOOC-(CH)-CO-(mは前記に同じ)を有する場合、このような基を有するペプチド又はその誘導体1モルに対して、実質的に1モル(例えば、0.95〜1.05モル程度)用いる必要がある。
ペプチド成分の縮合反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒は、上記ペプチド成分を溶解又は懸濁(一部または全部を溶解)可能であればよく、通常、水及び/又は有機溶剤が使用できる。溶媒としては、例えば、水、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、窒素含有環状化合物(N−メチルピロリドン、ピリジンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなど)、及びこれらの混合溶媒が例示できる。これらの溶媒のうち、水、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが繁用される。
これらのペプチド成分の反応は、通常、少なくとも脱水剤(脱水縮合剤)又は縮合助剤の存在下で行うことができ、脱水縮合剤と縮合助剤との存在下で反応させると、二量化や環化を抑制しつつ、円滑にポリペプチドを生成できる。
脱水縮合剤は、前記溶媒中で脱水縮合を効率よく行える限り特に制限されず、例えば、カルボジイミド系縮合剤[ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC=WSCI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(WSCI・HCl)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など]、フルオロホスフェート系縮合剤[O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール−1−イル−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩(BOP)など]、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)などが例示できる。これらの脱水縮合剤は単独で又は二種以上組み合わせて混合物として使用できる。好ましい脱水縮合剤は、カルボジイミド系縮合剤[例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩]である。
縮合助剤は、上記縮合剤の反応を促進する限り特に制限されず、例えば、N−ヒドロキシ多価カルボン酸イミド類[例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド(HONSu)、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド(HONB)などのN−ヒドロキシジカルボン酸イミド類]、N−ヒドロキシトリアゾール類[例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)などのN−ヒドロキシベンゾトリアゾール類]、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOObt)などのトリアジン類、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチルエステルなどが例示できる。これらの縮合助剤も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい縮合助剤は、N−ヒドロキシジカルボン酸イミド類[HONSuなど]、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール又はN−ヒドロキシベンゾトリアジン類[HOBtなど]である。
前記脱水縮合剤と縮合助剤とは適当に組み合わせて使用できる。前記脱水縮合剤と縮合助剤との組合せとしては、例えば、DCC-HONSu(HOBt又はHOObt)、WSCI-HONSu(HOBt又はHOObt)などが例示できる。
脱水縮合剤の使用量は、前記ペプチド成分(前記ジアミン化合物も含む)の総量1モルに対して、通常、水を含まない非水系溶媒を用いる場合0.7〜5モル、好ましくは0.8〜2.5モル、さらに好ましくは0.9〜2.3モル(例えば1〜2モル)程度である。水を含む溶媒(水系溶媒)においては、水による脱水縮合剤の失活があるので、脱水縮合剤の使用量は、前記ペプチド成分の総量1モルに対して、通常、2〜500モル(例えば、2〜50モル)、好ましくは5〜250モル(例えば、5〜25モル)、さらに好ましくは10〜125モル(例えば、10〜20モル)程度である。縮合助剤の使用量は、溶媒の種類に関係なく、前記ペプチド成分の総量1モルに対して、例えば、0.5〜5モル、好ましくは0.7〜2モル、さらに好ましくは0.8〜1.5モル程度である。
前記縮合反応において、反応系のpHを調節してもよく、反応に関与しない塩基を添加してもよい。pHの調節は、通常、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、有機塩基、無機酸(塩酸など)、有機酸を用いて行うことができ、通常、反応溶液が中性付近(pH=6〜8程度)にpH調整される。前記反応に関与しない塩基としては、第三級アミン類、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、ピリジンなどの複素環式第三級アミン類などが例示できる。このような塩基の使用量は、通常、ペプチド成分の総モル数の1〜2倍程度の範囲から選択できる。
前記合成ポリペプチドは、動物由来のコラーゲンと異なり、病原体や病原性因子[例えば、病原性に転化したタンパク質(例えば、異常型プリオンなど)など]の感染や伝達の危険性がなく、安全性が高い。また、組換タンパク質と異なり、大腸菌及び培地由来タンパク質の混在の虞もない。そして、前記合成ポリペプチドは、活性(生理活性又は薬理活性)を有するペプチド類が、分解などにより変性したり、変質することにより失活するのを有効に防止して、前記ペプチド類の活性を有効に維持することができ、バイオアベイラビリティーを向上できる。
前記活性を有するペプチド類としては、通常、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、及びこれらの誘導体から選択される少なくとも一種などが挙げられ、例えば、酵素類[トロンビン、L-アスパラギナーゼ、ウロキナーゼ、チソキナーゼ、バトロキソビン;細胞培養酵素(ナテプラーゼなど)、遺伝子組換え酵素(アルテプラーゼ、ナサルプラーゼ、モンテプラーゼ、パミテプラーゼなど)など]、コロニー刺激因子(CSF)類(エリスロポエチン、G-CSF、GM-CSF、M-CSFなど)、血液製剤(血液凝固因子、フィブリノゲン、アンチトロンビンIIIなど)、ペプチド系抗菌剤(ポリミキシンB、バンコマイシン、テイコプラニン、バシトラシンなど)、ホルモン類[ペプチド系ホルモン剤(インスリン、プロチレリン、コルチコレリンなど)、ポリペプチド系ホルモン剤(ソマトレリン、PTH、カルシトニン、リュープロレリンなど)など]、サイトカイン類[インターロイキン、インターフェロン製剤(インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγなど)など]、抗体医薬[ムロモナブ、遺伝子組み換え抗体医薬(リツキシマブ、パシリキシマブなど)など]、ペプチド系免疫抑制薬(シクロスポリンなど)が挙げられる。これらのペプチド類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の安定化剤は、少なくとも前記合成ポリペプチドを含有している限り特に制限されず、合成ポリペプチド単独で構成してもよく、合成ポリペプチドと共に、他の成分、例えば、担体(又は基剤)、添加剤などを含有してもよい。また、安定化剤の形態(剤形)も特に制限されず、固形状(粉粒状、塊状、錠剤状など)、半固形状(軟膏状など)、液状(溶液状、分散液状、スラリー状、ゲル状、ゼリー状、グミ状など)などであってもよい。これらの形態のうち、粉粒状などの固形状、液状(溶液状、分散液状など)などが好ましい。
前記担体としては、例えば、結合剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースエーテル類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル酸系高分子、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウムなど)、賦形剤(D−ソルビトール、D−マンニトール、キシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖、果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、デンプン類、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、カオリンなど)、崩壊剤(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウムなど)、油性基剤{鉱物由来の油性担体(ワセリン、パラフィン、パラフィンワックス、プラスチベースなど)、動植物油脂(蜜ろう、カルナバろう、カカオ脂、牛脂、ラノリン、トウモロコシ油、オリーブ油など)、長鎖脂肪酸エステル[飽和又は不飽和脂肪酸アルキルエステル、飽和又は不飽和オキシ酸アルキルエステル、高級脂肪酸エステル(ミスチリン酸イソプロプルなど)、脂肪酸と多価アルコール(ポリC2−4アルキレングリコールなど)とのエステルなど]、高級アルコール(ステアリルアルコールなどの飽和脂肪族アルコール、オレイルアルコールなどの不飽和脂肪族アルコールなど)、高級脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸など)、ワックスなど}、水、水溶性有機溶媒[エタノール、ブタノールなどの低級脂肪族アルコール;(ポリ)アルキレングリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの低分子量のポリC2−4アルキレングリコール;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体などの低分子量のポリC2−4アルキレングリコールの共重合体;グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類など]、動植物系油剤(ホホバ油、オリーブ油、やし油などの植物系油剤;スクアランなどの動物系油剤など)、鉱物系油剤(流動パラフィンなど)、シリコーンオイル、ゲル担体[キサンタンガムなどのガム類;アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸類;ペクチン、ヒアルロン酸などの多糖類;セルロース又はその誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、高分子量のポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコールなど)など]などが挙げられる。これらの担体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、担体を用いる場合、担体の割合は、合成ポリペプチド100重量部に対して、例えば、0.01〜1×10重量部、好ましくは1〜1×10重量部、さらに好ましくは5〜500重量部程度から選択できる。
添加剤としては、例えば、防腐剤(パラオキシ安息香酸エステル類、デヒドロ酢酸、ソルビン酸又はその塩、クロロブタノール、ベンジルアルコールなど)、抗酸化剤(亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロールなど)、有機溶剤(エタノール、ブタノールなどのアルコールなど)、着色剤(食用色素、ベンガラなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)、甘味剤又は矯味剤(サッカリンナトリウム、茶抽出物など)、香料又は清涼化剤(レモン、ライム、オレンジ、ストロベリー、メントールなどのエッセンス又はオイル)、懸濁化剤[アニオン性、カチオン性、ノニオン性又は両性界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどの界面活性剤;水溶性高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロースエーテル類(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)など]、pH調整剤(炭酸水素ナトリウムなどの塩基;リン酸一水素ナトリウムなどの酸;ホウ砂など)、緩衝剤(リン酸塩、ホウ酸塩などの緩衝液など)、可溶化剤又は溶解補助剤(ポリオキシエチレン硬化ひまし油、レシチン、ポリエチレングリコール、エタノール、トリスアミノメタン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなど)、増粘剤(アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなど)、等張化剤(塩化ナトリウム、ブドウ糖など)、無痛化剤(塩酸プロカイン、塩酸カルボカイン、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ブドウ糖など)、消泡剤、崩壊補助剤、吸着剤、酸成分(酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸など)、塩基成分(アンモニア、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの無機塩基、トリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機塩基など)、発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、湿潤剤(ソルビット、グリセリンなど)などが挙げられる。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。添加剤の割合は、用途に応じて、適宜選択できる。
安定化剤の使用量は、活性を有するペプチド類の種類にもよるが、例えば、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類1重量部に対して、前記合成ポリペプチドの割合が、0.001〜300重量部、好ましくは1〜250重量部、さらに好ましくは100〜200重量部程度となるような割合で使用する場合が多い。
このような安定化剤又は前記合成ポリペプチドは、前記活性を有するペプチド類と組み合わせて組成物(ペプチド組成物)、特に製剤組成物などとして用いるのに有用である。
[ペプチド組成物]
本発明のペプチド組成物は、前記活性を有するペプチド類と、前記合成ポリペプチド(又は前記安定化剤)とで構成されている。
ペプチド組成物において、前記合成ポリペプチドの割合は、生理活性又は薬理活性を有するペプチド類の種類に応じて、適宜選択でき、例えば、ペプチド類1重量部に対して、0.001〜300重量部、好ましくは1〜250重量部、さらに好ましくは100〜200重量部程度であってもよい。合成ポリペプチドを、担体として使用してもよい。
前記ペプチド組成物は、前記合成ポリペプチド及び活性を有するペプチド類以外に、通常、担体(又は基剤)、添加剤、及び有効成分(前記ペプチド類以外の有効成分)から選択される少なくとも一種を含んでいてもよい。前記担体及び添加剤としては、前記安定化剤の項で例示の担体及び添加剤がそれぞれ使用できる。
担体及び添加剤は、組成物の形態(剤形)に応じて、適宜選択できる。ペプチド組成物の形態(剤形)は、特に制限されず、固形状(粉粒状、塊状、錠剤状、カプセル状など)、半固形状(軟膏状など)、液状(溶液状、分散液状、スラリー状、ゲル状、ゼリー状、グミ状など)などであってもよい。これらの形態のうち、粉粒状などの固形状、液状(溶液状、分散液状など)などが好ましい。また、固形状組成物では、糖衣コーティング、腸溶性コーティングなどのコーティング処理を行ってもよい。前記固形状組成物(固形製剤)としては、具体的に、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤などが例示でき、用途に応じて、錠剤は、トローチ剤、チュアブル剤などであってもよい。また、固形製剤には、固形状座剤なども含まれる。半固形状組成物(半固形製剤)としては、例えば、軟膏剤(軟軟膏剤、硬軟膏剤など)が挙げられ、シートなどの基材に適用して用いるパップ剤、貼付剤などであってもよい。液状組成物(液体製剤)としては、溶液剤(ローション剤、リニメント剤など)、懸濁剤、ゲル剤(ゼリー剤、グミ剤なども含む)、乳剤(乳液剤、クリーム剤なども含む)などが例示できる。前記液体製剤は、溶液剤、懸濁剤などの液体製剤を用いたスプレー剤、エアゾール剤などであってもよく、不織布などの基材に含浸させて用いてもよい。
固形状組成物(固形製剤)の担体(固形担体)としては、例えば、前記例示の担体のうち、結合剤、賦形剤、崩壊剤などを使用する場合が多い。
また、半固形状組成物(半固形製剤)の担体(半固形担体)としては、例えば、前記例示の担体のうち、鉱物由来の油性担体、動植物油脂、長鎖脂肪酸エステル、高級アルコール、高級脂肪酸などが挙げられる。また、半固形製剤では、ゲル担体及び/又は液体担体(後述の液体製剤の担体など)などを併用してもよい。
液状組成物(液体製剤)の担体(液体担体)としては、例えば、前記例示の担体のうち、水、水溶性有機溶媒、動植物系油剤、鉱物系油剤、シリコーンオイル、ゲル担体などが挙げられる。
これらの担体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。また、組成物の剤形によらず、上記担体を適宜組み合わせて使用してもよい。例えば、液体製剤では、液体担体とともに、固形担体及び/又は半固形担体を適宜併用してもよく、固形製剤では、半固形担体及び/又は液体担体を併用してもよい。また、半固形製剤でも、半固形担体とともに、固形担体及び/又は液体担体を併用してもよい。
ペプチド組成物において、担体を用いる場合、担体の割合は、合成ポリペプチド100重量部に対して、例えば、0.01〜1×10重量部程度の範囲から選択でき、好ましくは1〜5×10重量部、さらに好ましくは5〜1×10重量部(例えば、10〜500重量部)程度であってもよい。
ペプチド類以外の有効成分としては、合成ポリペプチドのペプチド類に対する安定化効果を阻害しない範囲で適宜選択でき、生理活性又は薬理活性などの活性を有する活性成分であってもよい。このような有効成分としては、例えば、抗炎症剤(アラントイン、グアイアズレン、グリチルリチン酸又はその塩、グリチルレチン酸又はその塩、トラネキサム酸、イブプロフェン、インドメタシン、酸化亜鉛など)、殺菌剤又は抗菌剤(塩化ベンザルコニウム、塩化ジステアリルメチルアンモニウムなどの第四級アンモニウム塩;安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステルなどの安息香酸類;サリチル酸、サリチル酸ナトリウムなどのサリチル酸類;トリクロロカルバニリド、トリクロサンなど)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど)、糖類[グルコース、ラクトース、フルクトースなどの単糖類又は多糖類;高分子糖類又はそれらの塩(コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムなど)など]、ミネラル成分、生薬成分などが挙げられる。これらの有効成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、ペプチド組成物がこれらの有効成分を含有する場合、有効成分の割合は、例えば、合成ポリペプチド100重量部に対して、0.0001〜50重量部、好ましくは0.001〜20重量部、さらに好ましくは0.01〜10重量部程度であってもよい。
なお、担体(又は基剤)、添加剤、及びペプチド類以外の有効成分は、塩の形態で用いてもよい。このような塩としては、生理的又は薬学的に許容される塩、例えば、有機酸塩(酢酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などのカルボン酸塩;メタンスルホン酸塩などの有機スルホン酸塩など)、無機酸塩(塩酸塩など)、有機塩基との塩(トリメチルアミン塩、エタノールアミン塩などの第3級アミンとの塩など)、無機塩基との塩(アンモニウム塩;ナトリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩など)が挙げられる。
本発明のペプチド組成物は、医薬品、医薬部外品、食品、サプリメント、飼料、又はこれらの原料などに利用できる。これらの用途のうち、医薬品、医薬部外品などとして用いるのが好ましい。
前記ペプチド組成物は、その剤形に応じて、経口投与又は非経口投与(例えば、経皮投与、肛門又は膣投与など)で投与できる。
また、前記ペプチド組成物は、種々の被検体(被験体)へ適用できる。被検体は、ヒトに限らず、非ヒト動物(例えば、イヌ、ネコなどの哺乳動物;金魚、コイなどの魚類;ニワトリなどの鳥類;は虫類など)であってもよい。
前記ペプチド組成物は、剤形、用途などに応じて、慣用の方法で製造できる。例えば、活性成分(又はペプチド類)と安定化剤(又は合成ポリペプチド)と必要により他の成分[各種担体(例えば、結合剤、賦形剤、崩壊剤など)、添加剤、有効成分など]とを混合することにより製造できる。具体的には、固形製剤は、例えば、活性成分(又ペプチド類)と安定化剤(又は合成ポリペプチド)と必要により各種担体(例えば、結合剤、賦形剤、崩壊剤など)と、さらに必要により添加剤及び/又は有効成分などとを混和し、造粒、圧縮成形などして調製できる。また、カプセル剤は、造粒により調製された顆粒をカプセルに充填することにより製造できる。半固形剤は、活性成分(又はペプチド類)と安定化剤(又は合成ポリペプチド)と、前記半固形基材と、必要により添加剤及び/又は有効成分とを混和することにより調製できる。液体製剤は、活性成分(又はペプチド類)と安定化剤(又は合成ポリペプチド)とを液体担体に対して溶解、懸濁させることにより調製してもよく、又は必要により油性成分(油性担体、油性添加剤など)を併用して分散又は乳化させることにより調製してもよい。なお、ペプチド組成物は、通常、滅菌処理される場合が多い。
本発明の安定化剤は、安全性が高く、活性成分(ペプチド類)の安定化効果が高いので、医薬、医薬部外品、食品、サプリメント、飼料、又はこれらの原料などにおいて、活性成分と併用して(共存させて)、活性成分を安定化するための添加剤として利用できる。また、本発明のペプチド組成物は、医薬品、医薬部外品、食品、サプリメント、飼料、又はこれらの原料として利用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
製造例1
式:H-(Pro-Pro-Gly)10-OH(配列番号:1)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所) 5mg(0.002mmol)を2mLのジメチルスルホキシドに懸濁し、室温で撹拌した。この混合液に、0.31mg(0.0024mmol)のジイソプロピルエチルアミン、0.32mg(0.0024mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.96mg(0.005mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに室温で2日間撹拌を続けた。
反応溶液を水で20倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superdex200 HR 10/30、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMの塩化ナトリウムを含む10mMリン酸塩緩衝液(phosphate buffer)(pH 7.4))に供したところ、分子量が4万〜20万の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のゲル濾過LMWキャリブレーションキット(Gel Filtration LMW Calibration Kit)及びゲル濾過HMWキャリブレーションキット(Gel Filtration HMW Calibration Kit)を標準物質として使用し、算出した。
得られた反応溶液を水で5倍に希釈し、水に対して2日間透析して、縮合剤などの試薬及び未反応モノマーを除去した。得られたポリペプチドの円二色性スペクトルを測定したところ、227nmに正のコットン効果、199nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。得られたポリペプチドをポリペプチド(Ia)とする。
製造例2
式:H-(Pro-Hyp-Gly)10-OH(配列番号:2)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所) 5mg(0.0016mmol)を2mLのジメチルスルホキシドに懸濁し、室温で撹拌した。この混合液に、0.23mg(0.0018mmol)のジイソプロピルエチルアミン、0.24mg(0.0018mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.65mg(0.0034mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに室温で2日間撹拌を続けた。
反応溶液を水で20倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superdex 200 HR 10/30、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMの塩化ナトリウムを含む10mM リン酸塩緩衝液(pH 7.4))に供したところ、分子量が6万〜20万以上の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のゲル濾過LMWキャリブレーションキット及びゲル濾過HMWキャリブレーションキットを標準物質として使用し算出した。
得られた反応溶液を水で5倍に希釈し、水に対して2日間透析して、縮合剤などの試薬及び未反応モノマーを除去した。得られたポリペプチドの円二色性スペクトルを測定したところ、225nmに正のコットン効果、197nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。得られたポリペプチドをポリペプチド(Ib)とする。
製造例3
式:H-(Pro-Hyp-Gly)1-OHで示されるペプチド((株)ペプチド研究所)1gを20mLの10mMリン酸塩緩衝液(pH7.4)に溶解し、473mgの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、3.35gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を加えて、4℃で2時間、その後20℃で46時間撹拌を続けた。反応液をミリQ水に対して2日間透析した。
得られた透析後の溶液を水で50倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)社製、AKTApurifierシステム、カラム:Superdex 200 HR 10/30、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMの塩化ナトリウムを含む10mM リン酸塩緩衝液(pH 7.4))に供したところ、分子量が10万〜60万の範囲にポリペプチドのピークが認められた。
また、得られた透析後の溶液を水で100倍に希釈し、円二色性スペクトルを測定したところ、225nmに正のコットン効果、198nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。
式:(Pro-Hyp-Gly)10(配列番号:2)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所)の215nmにおける吸光度から検量線を作成し、得られた3重らせん構造を形成するポリペプチドの濃度を測定すると約20mg/mLであった。得られたポリペプチドをポリペプチド(Ic)とする。
試験例1
製造例3で得られたポリペプチド(Ic)の80μL(最終濃度8mg/mL)をエラスターゼ(elastase)(シグマ、豚膵臓由来、Type IV)のPBS(150mMの塩化ナトリウムを含む10mM リン酸塩緩衝液(pH 7.4))溶液(20U/mL)120μLに加え、4℃で保存した。製造例3で得られたポリペプチド(Ic)の代わりに、ミリQ水80μLを加えたものをコントロールとした。1日後から7日後まで経時的に上記混合液からサンプリングし、酵素活性をペプチド基質(Suc(OMe)-Ala-Ala-Pro-Val-MCA、(株)ペプチド研究所)(Sucはスクシニル基、MCAは4−メチルクマリル−7−アミド基を表す)を用いて測定した。保存前のエラスターゼの初期酵素活性に対する保存後の酵素活性は、製造例3で得られたポリペプチド(Ic)を添加した場合には、1日後:105%、2日後:101%、5日後:104%、7日後:100%であった。これに対して、コントロールでは、1日後:98%、2日後:92%、5日後:94%、7日後:90%であった。
試験例2
製造例3で得られたポリペプチド(Ic)の20μL(最終濃度2mg/mL)をトロンビン(thrombin)(シグマ、ヒト血漿由来)のPBS(150mMの塩化ナトリウムを含む10mM リン酸塩緩衝液(pH 7.4))溶液(10U/mL)180μLに加え、4℃で保存した。製造例3で得られたポリペプチド(Ic)の代わりに、ミリQ水20μLを加えたものをコントロールとした。1日後から4日後まで経時的に上記混合液からサンプリングし、酵素活性をペプチド基質(Boc-Val-Pro-Arg-MCA、(株)ペプチド研究所)(Bocはt-ブトキシカルボニル基、MCAは4−メチルクマリル−7−アミド基を表す)を用いて測定した。保存前のトロンビンの初期酵素活性に対する保存後の酵素活性は、製造例3で得られたポリペプチド(Ic)を添加した場合には、1日後:89%、2日後:57%、3日後:43%、4日後:15%であった。これに対して、コントロールでは、1日後:66%、2日後:26%、3日後:17%、4日後:6%であった。
試験例3(合成ポリペプチドの感作性試験)
合成ポリペプチドの感作性の有無を確認するため、製造例3で得られたポリペプチド(Ic)をモルモットに適用し、遅延型皮膚アレルギー反応の有無を調べた。なお、皮膚アレルギー反応は、ガイドラインISO10993−10に準拠し、Slc:Hartley系雌モルモット(SPF)15匹を用いて皮膚感作性試験(Maximization test)により行った。また、試験では、ポリペプチド(Ic)は、水溶液(濃度2重量%)としてモルモットに適用した。
試験において、モルモット15匹中10匹の各個体に、一次感作として、合成ポリペプチド水溶液(被験物質)、FCA(Freund’s Complete Adjuvant)乳化物(蒸留水/FCA(容積比)=1/1)、及びFCA(Freund’s Complete Adjuvant)乳化物(被験物質/FCA(容積比)=1/1)を各0.1mLずつ胸背部に皮内注射した。これらのモルモットを被験物質感作群とした。これらの被験物質感作群について、皮内注射から7日目に、ラウリル硫酸ナトリウムを10重量%の濃度で含むワセリン0.5gを皮内注射部位に塗布した。その翌日、ワセリンを拭き取った後、二次感作として、皮内注射部位に被験物質(ポリペプチド水溶液0.2mL)を濾紙に含浸後貼付し、保護シートで覆い、48時間保持した後、除去した。皮内注射から23日目に、被験物質(ポリペプチド水溶液0.1mL)を濾紙に含浸後、モルモットの腹部に貼付し、保護シートで覆い、24時間保持(惹起)した。
また、残るモルモット5匹の各個体について、皮内注射、二次感作及び惹起において、被験物質に代えて、被験物質と同量の蒸留水を用いる以外は、上記被験物質感作群と同様に操作を行い、これらのモルモットを被験物質非感作群とした。
腹部に塗布してから、48時間後及び72時間後に、被験物質感作群、及び被験物質非感作群の皮膚反応を観察した。
その結果、被験物質感作群、及び被験物質非感作群ともに、48時間後及び72時間後の観察で、皮膚反応を示す個体は認められなかった。すなわち、被験物質感作群の皮膚感作率は、0%であった。なお、観察期間中、被験物質感作群において、一般正常状態と比較し、異常を示す例はなく、体重推移も順調であった。
以上の結果から、ポリペプチド(Ic)水溶液を適用したモルモットにおける皮膚感作性は無いと判断された。

Claims (5)

  1. 生理活性又は薬理活性を有する酵素を安定化させるための安定化剤であって、[-(Pro-Y-Gly)-](式中、YはHypを表し、nは1〜20の整数を表す)の繰り返し単位で構成された合成ポリペプチドを含み、前記合成ポリペプチドの分子量が、3×10〜500×10の範囲にピークを示す安定化剤。
  2. 合成ポリペプチドが、コラーゲン様の構造を有している請求項1記載の安定化剤。
  3. 合成ポリペプチドの少なくとも一部が3重らせん構造を形成可能であり、円二色性スペクトルにおいて、波長220〜230nmに正のコットン効果を示し、波長195〜205nmに負のコットン効果を示す請求項1又は2記載の安定化剤。
  4. 生理活性又は薬理活性を有するペプチド類と、このペプチド類を安定化させるための安定化剤と、担体とで構成されたペプチド組成物であって、
    前記ペプチド類が、酵素であり、
    前記安定化剤が、請求項1記載の合成ポリペプチドで構成されており、
    前記合成ポリペプチドの割合が、前記ペプチド類1重量部に対して、0.001〜300重量部であり、
    前記担体の割合が、前記合成ポリペプチド100重量部に対して0.01〜1×10重量部であるペプチド組成物。
  5. 請求項1記載の安定化剤を用いて、生理活性又は薬理活性を有する酵素の安定性を向上させる方法。
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