JP2005060315A - 製剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 病原体感染の危険性が無く、安全性の高いコラーゲン様ポリペプチドを含む製剤組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも式Pro-Y-Gly(式中、YはPro又はHypを示す)で表されるアミノ酸配列を有し、かつコラーゲン様の合成ポリペプチドで製剤組成物を構成する。前記ポリペプチドは、円二色性スペクトルにおいて、波長220〜230nmに正のコットン効果を示し、波長195〜205nmに負のコットン効果を示してもよい。前記ポリペプチドの少なくとも一部は3重らせん構造を形成可能であってもよい。前記製剤組成物は、固形製剤、液状製剤、又は半固形剤であればよく、徐放性製剤であってもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、病原体や病原性因子による汚染の危険性のない製剤組成物に関する。
コラーゲンは、あらゆる多細胞動物にみられる繊維状蛋白質であり、皮膚や骨の主成分として哺乳類では全蛋白質の25%を占める。典型的なコラーゲン分子は、3本のコラーゲンポリペプチド鎖が三重らせん構造と呼ばれるロープ状の超らせん構造をとる。上記3重らせん構造を形成したポリペプチド鎖が自己集合して、直径が数nm〜数十nmの原線維を形成し、さらにこれらの原線維が配列して直径が数μm〜数十μmの繊維構造を形成することができる。
特表平8−503873号公報(特許文献1)には、コラーゲンを賦形剤又は希釈剤などの担体として用いることが記載され、特開2003−55263号公報(特許文献2)には、コラーゲン及びコラーゲン由来の物質を担体として配合した軟カプセル剤充填用組成物が記載されている。さらに、コラーゲンは、水中油型の水相の粘度を高める添加剤としても利用されている(「最新薬剤学、第6改稿版」、廣川書店、p.251、1992年、(非特許文献1))。
一般に、医薬品などの製剤では、ウシやブタ由来のコラーゲンを原料として用いることが多い。中でも、牛由来のコラーゲンは、物理化学的特性に優れ、原料臭が少ないため多用されている。
しかし、哺乳動物由来コラーゲンに対する危険性が指摘されている。例えば、ウシの海綿状脳症やヒツジの振戦病の原因物質が、プリオンと呼ばれる伝染性蛋白質であり、この伝染性タンパク質がヒトのクロイツフェルドーヤコブ病伝染の原因の一つと言われている(特開平08−041425号公報(特許文献3))。プリオンは、蛋白質であり、通常の滅菌、殺菌方法では失活し難く、しかも種を越えて感染することが指摘されている(Nature Review, Vol.2, pp.118-126, 2001年(非特許文献2))。そのため、通常の滅菌、殺菌方法では除去できないプリオンなどの病原体(又は病原性因子)の感染(又は伝達)の危険性が常に存在している。
このような病原体の感染の危険性を回避するため、前記特許文献3には、動物又は人間由来のコラーゲン中のプリオンを除去するために、コラーゲン溶液中の細胞および組織の断片を除去し、アルカリ処理する方法およびこの方法により得られるコラーゲンが記載されている。しかし、このような方法は、安全性の確認を必要とし、煩雑でコスト高となる。
また、天然のコラーゲン中には種々の細胞接着サイトが含まれているため、用途に応じた細胞選択性が発揮できない。例えば、神経の軸索誘導材料としてコラーゲンを用いると、軸索の伸長速度より周囲の繊維芽細胞の遊走、増殖速度が大きく瘢痕組織化して軸索が伸長することができない。このため、繊維芽細胞の遊走を防ぐ材料でコラーゲンの周囲を覆うことなどの措置が必要となる。
特表平08−503873号公報(特許請求の範囲) 特開2003−55263号公報(特許請求の範囲) 特開平08−041425号公報(特許請求の範囲) 最新薬剤学、第6改稿版、廣川書店、p.251、1992年 Nature Review, Vol.2, pp.118-126, 2001年
従って、本発明の目的は、コラーゲンの優れた特性を有しながらも、病原体の感染や病原性因子の伝達を生じる危険性がなく、安全性の高い製剤組成物(又は製剤用添加剤)を提供することにある。
本発明の他の目的は、徐放性を付与するのに有用な製剤組成物(又は製剤用添加剤)を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の合成ポリペプチドがコラーゲン様の立体構造と組織構造を形成するとともに、製剤(医薬製剤など)成分として適していること、特にコラゲナーゼ分解性を有することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の製剤組成物は、ポリペプチドを構成成分とする製剤組成物であって、前記ポリペプチドが少なくとも式Pro-Y-Gly(式中、YはProまたはHypを表す)で表されるアミノ酸配列を有し、かつコラーゲン様の構造を形成する合成ポリペプチドで構成されている。前記ポリペプチドは、下記式(1)〜(3) で表されるペプチドユニットで構成されたポリペプチド(I)、及び下記式(4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットと、下記式(5)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットとを含むポリペプチド(II)から選択された少なくとも一種のポリペプチドであってもよい。
[-(OC-(CH2)m-CO)p-(Pro-Y-Gly)n-]a (1)
[-(OC-(CH2)m-CO)q-(Z)r-]b (2)
[-HN-R-NH-]c (3)
(式中、mは1〜18の整数、p及びqは同一又は異なって0又は1、YはProまたはHypを表し、nは1〜20の整数を表す。Zは1〜10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖を表し、rは1〜20の整数を表し、Rは直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を表す。aとbとの割合(モル比)はa/b=100/0〜30/70であり、p=1及びq=0であるときc=a、p=0及びq=1であるときc=bであり、p=1及びq=1であるときc=a+bであり、p=0及びq=0であるときc=0である。)
-Pro-Y-Gly- (4)
(式中、Yは前記に同じ)
-Pro-V-Gly-W-Ala-Gly- (5)
(式中、VはGln、Asn、Leu、Ile、ValまたはAla、WはIleまたはLeuを表す。)
前記ポリペプチド(I)において、mは2〜12の整数、nは2〜15の整数、Zは、Gly, Sar, Ser, Glu, Asp, Lys, His, Ala,Val、Leu、Arg、Pro、Tyr、Ileから選択された1〜10個のアミノ酸残基から構成されているペプチド鎖、rは1〜10の整数、RはC2-12アルキレン基であってもよい。
さらに、ペプチドユニット(4)とペプチドユニット(5)との割合(モル比)は、(4)/(5)=99/1〜30/70程度であってもよい。
前記ポリペプチドは、通常、円二色性スペクトルにおいて、波長220〜230nmに正のコットン効果を示し、波長195〜205nmに負のコットン効果を示す。このことは、ポリペプチドの少なくとも一部(一部または全部)が、3重らせん構造を形成することを示している。本発明のポリペプチドは、分子量5×103〜500×104の範囲にピークを示してもよい。また、前記ポリペプチドは、生体内で分解し吸収される生体内分解性ポリペプチドであってもよい。すなわち、ポリペプチドはコラゲナーゼ分解性を有していてもよい。
前記製剤組成物は、固形製剤、液状製剤、又は半固形剤のいずれの剤型(又は剤形)であってもよい。さらに、前記製剤組成物は、徐放性製剤であってもよい。
本発明の製剤組成物は、コラーゲン様の立体構造と組織構造を形成可能な特定の合成ポリペプチドを含むため、コラーゲンの優れた特性を有するにも拘わらず、病原体の感染や病原性因子の伝達を生じる危険性がなく、安全性が高い。さらに、前記ポリペプチドは、コラゲナーゼ分解性を有するため、徐放性を付与できる。
[ポリペプチド]
本明細書においては各種アミノ酸残基を次の略号で記述する。
Ala :L−アラニン残基
Arg :L−アルギニン残基
Asn :L−アスパラギン残基
Asp :L−アスパラギン酸残基
Cys :L−システイン残基
Gln :L−グルタミン残基
Glu :L−グルタミン酸残基
Gly :グリシン残基
His :L−ヒスチジン残基
Hyp :L−ヒドロキシプロリン残基
Ile :L−イソロイシン残基
Leu :L−ロイシン残基
Lys :L−リジン残基
Met :L−メチオニン残基
Phe :L−フェニルアラニン残基
Pro :L−プロリン残基
Sar :サルコシン残基
Ser :L−セリン残基
Thr :L−トレオニン残基
Trp :L−トリプトファン残基
Tyr :L−チロシン残基
Val :L−バリン残基
また、本明細書においては、常法に従って、N末端のアミノ酸残基を左側に位置させ、C末端のアミノ酸残基を右側に位置させて、ペプチド鎖のアミノ酸配列を記述する。
本発明の製剤組成物(例えば、医薬製剤組成物又は医薬添加剤)は、コラーゲン様の構造を形成できる合成ポリペプチドで構成されている。このポリペプチドは、少なくとも式Pro-Y-Gly(式中、YはPro又はHypを示す)で表されるアミノ酸配列を有している。前記アミノ酸配列は、3重らせん構造の安定性に寄与するため、前記ポリペプチドは、コラーゲン組織(コラーゲン状の組織)又はコラーゲン様の構造を形成する限り種々のポリペプチドを使用できる。このようなポリペプチドには、前記ポリペプチド(I)と前記ポリペプチド(II)が含まれる。
前記ポリペプチド(I)において、構成するペプチドユニット(1) [-(OC-(CH2)m-CO)p-(Pro-Y-Gly)n-]は、Pro-Y-Glyの繰返し配列を含むことが必要である。Pro-Y-Glyの繰返し数が、少ないと3重らせん構造の安定性が減少し、繰返し数が多すぎるとペプチドの合成が困難になる。従って、繰返し数nは、1〜20、好ましくは2〜15(例えば、3〜15)、さらに好ましくは5〜15程度である。
前記式(1)において、Yは、Pro又はHypいずれであってもよいが、3重らせん構造の安定性からHypであるのがより好ましい。なお、Hypは、通常、4Hyp(例えば、trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン)残基である。
さらに、メチレン鎖(CH2)の繰り返し数を示すmは、ポリペプチドの物理的及び生物学的性質を損なわない範囲であればよいが、通常、1〜18、好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10(特に2〜6)程度である。pは0又は1である。
前記ペプチドユニット(2)[-(OC-(CH2)m-CO)q-(Z)r-]において、Zは1〜10個のアミノ酸残基で構成された任意の配列のペプチド鎖を表す。Zは、得られるポリペプチドの物理的及び生物学的性質を損なわない限り、どのような配列でもよい。ポリペプチドが有用な物理的及び生物学的性質を発揮するためには、例えば、ペプチド鎖Zは、通常、Gly、Sar、Ser、Glu、Asp、Lys、His、Ala、Val、Leu、Arg、Pro、Tyr、Ileから選択された1〜10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖(すなわち、これらのアミノ酸から選択されたアミノ酸残基、又はこれらのアミノ酸から選択された2〜10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖)、特に、Gly、Sar、Ser、Glu、Asp、Lys、Arg、Pro、Valから選択された1〜10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖を有している場合が多い。ペプチド鎖Zは、Gly、Sar、Ser、Glu、Asp、Lys、Arg-Gly-Asp、Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg、Ile-Lys-Val-Ala-Val、Val-Pro-Gly-Val-Gly、Asp-Gly-Glu-Ala、Gly-Ile-Ala-Gly、His-Ala-Val、Glu-Arg-Leu-Glu、Lys-Asp-Pro-Lys-Arg-Leu、Arg-Ser-Arg-Lysで示される配列を含むのが好ましい。
ペプチド鎖Zの繰り返し数を示すrは、得られるポリペプチドが物理的及び生物学的性質を発揮する範囲であればよい。繰返し数rが多すぎると合成が困難になり、また得られるポリペプチドの物理的性質が変化しやすい。従って、繰返し数rは、通常、1〜20、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5程度である。
メチレン鎖(CH2)の繰り返し数を示すmは、前記式(1)と同様に、1〜18、好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10(特に2〜6)程度である。qは0又は1である。
前記式(1)及び(2)において、p及びqのうち少なくとも一方が1であるとき、ポリペプチドは、前記式(3)で表されるユニット[-HN-R-NH-]を含んでいる。この前記式(3)で表されるユニットにおいて、Rで表される直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基は、ポリペプチドの物理的及び生物学的性質を損なわない範囲であればよく、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレンなどのC1-18アルキレン基が例示できる。前記アルキレン基Rは、直鎖状のメチレン鎖(CH2)s(sは1〜18の整数を表す)であってもよい。好ましいRは、C2-12アルキレン基(さらに好ましくはC2-10アルキレン基,特にC2-6アルキレン基)である。
前記式(1)で表されるペプチドユニットと前記式(2)で表されるペプチドユニットとの割合(a/b)は、100/0〜30/70(モル比)、好ましくは100/0〜40/60(モル比)、さらに好ましくは100/0〜50/50(モル比)程度である。
さらに、前記式(3)で表されるユニットの割合は、前記式(1)のpの値、前記式(2)のqの値に応じて選択でき、p=1及びq=0であるとき、c=aであり、p=0及びq=1であるとき、c=bである。また、p=1及びq=1であるときc=a+bであり、p=0及びq=0であるときc=0である。
すなわち、前記ポリペプチド(I)には、(a)前記式(1)でp=0であるペプチドユニット[-(Pro-Y-Gly)n-]の繰り返し単位で構成されたポリペプチド、(b)前記式(1)でp=0であるペプチドユニット[-(Pro-Y-Gly)n-]と前記式(2)でq=0であるペプチドユニット[-(Z)r-]とをa:bの割合(モル%)で含む繰り返し単位で構成されたポリペプチド、(c)前記式(1)でp=1であるペプチドユニット[-(OC-(CH2)m-CO)-(Pro-Y-Gly)n-]と前記式(3)で表されるユニット[-HN-R-NH-]とを1:1の割合(モル比)で含む繰り返し単位で構成されたポリペプチド、(d)前記式(1)でp=1であるペプチドユニット[-(OC-(CH2)m-CO)-(Pro-Y-Gly)n-]と前記式(2)でq=1であるペプチドユニット[-(OC-(CH2)m-CO)-(Z)r-]と前記式(3)で表されるユニット[-HN-R-NH-]とをa:b:a+bの割合(モル比)で含む繰り返し単位で構成されたポリペプチドが含まれる。
一方、前記ポリペプチド(II)は、-Pro-Y-Gly-で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニット(4)を含むことが必要である。-Pro-Y-Gly-で表される配列は、3重らせん構造の安定性に寄与するため、この配列の割合が少ないと3重らせん構造の安定性が減少する。
さらに、このユニット(4)は、3重らせん構造の安定性の点から、ポリペプチド中において、-(Pro-Y-Gly)d-で表される繰返し構造を形成してもよい。この配列の繰返し数dは、例えば、2〜5000、好ましくは2〜4000、さらに好ましくは3〜3000程度である。Yは、ProまたはHypのいずれであってもよいが、前記と同様に、3重らせん構造の安定性からHyp[通常、4Hyp(例えば、trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン)残基]であるのがより好ましい。
また、本発明におけるポリペプチド(II)は、-Pro-V-Gly-W-Ala-Gly-で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニット(5)を含むのが有用である。この配列を含まない場合や少なすぎる場合には、コラゲナーゼによる分解性が低下する。一方、この配列が多すぎると3重らせん構造の安定性が低下する。
VはGln、Asn、Leu、Ile、ValまたはAlaのいずれであってもよいが、Gln、Asn、Leu、Val、Ala、特にGln、Leuがより好ましい。WはIleまたはLeuのいずれでもよいが、Ileがより好ましい。
VとWとの組み合わせは、例えば、VがGln、Asn、Leu、Ile、Val及びAlaから選択された一種(例えば、Gln又はLeu)であり、WがIleであるペプチドや、VがGln、Asn、Leu、Ile、Val及びAlaから選択された一種(例えば、Gln又はLeu)であり、WがLeuであるペプチドなどが挙げられる。
YとVとWとの組み合わせは、YがHyp、VがGln、Asn、Leu、Ile、Val及びAlaから選択された一種(例えば、Gln又はLeu)、WがIle又はLeuであるペプチドや、YがPro、VがGln、Asn、Leu、Ile、Val及びAlaから選択された一種(例えば、Gln又はLeu)、WがIle又はLeuであるペプチドなどが挙げられる。
さらに、得られるポリペプチドの物理的及び生物学的性質を損なわない限り、このポリペプチド(II)は他のアミノ酸残基やペプチド鎖(ユニット)を含んでいてもよい。他のアミノ酸残基又はペプチド鎖としては、前記ペプチドユニット(2)の-(Z)r-で表されるペプチド鎖などが挙げられる。すなわち、このポリペプチドが有用な物理的及び生物学的性質を発揮するためには、例えば、Gly、Sar、Ser、Glu、Asp、Lys、His、Ala、Val、Leu、Arg、Pro、Tyr、Ileから選択された1〜10個のアミノ酸残基から構成されているペプチド鎖(すなわち、これらのアミノ酸から選択されたアミノ酸残基、又はこれらのアミノ酸から選択された2〜10個のアミノ酸残基から構成されているペプチド鎖)、特に、Gly、Sar、Ser、Glu、Asp、Lys、Arg、Pro、Valから選択された1〜10個のアミノ酸残基から構成されているペプチド鎖を有している場合が多い。具体的には、例えば、Gly、Sar、Ser、Glu、Asp、Lys、Arg-Gly-Asp、Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg、Ile-Lys-Val-Ala-Val、Val-Pro-Gly-Val-Gly、Asp-Gly-Glu-Ala、Gly-Ile-Ala-Gly、His-Ala-Val、Glu-Arg-Leu-Glu、Lys-Asp-Pro-Lys-Arg-Leu、Arg-Ser-Arg-Lysで示されるアミノ酸残基やペプチド鎖を含むのが好ましい。
前記ポリペプチド(II)において、前記ペプチドユニット(4)と前記ペプチドユニット(5)との割合(モル比)は、(4)/(5)=99/1〜30/70、好ましくは98/2〜40/60、さらに好ましくは95/5〜50/50程度である。
前記ペプチドユニット(4)及び前記ペプチドユニット(5)の合計量と、他のペプチドユニットとの割合(モル比)は、前者/後者=100/0〜50/50、好ましくは100/0〜60/40、さらに好ましくは100/0〜70/30程度である。
このようなポリペプチド(I)及び(II)は、環化により6員環を形成することなく、鎖状のポリペプチドを形成しており、溶媒(水、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどの親水性溶媒又はそれらの混合溶媒)に可溶である。前記ポリペプチドは、水系ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において、球状蛋白質換算で、例えば、分子量5×103〜500×104、好ましくは分子量1×104〜300×104、好ましくは3×104〜200×104、さらに好ましくは5×104〜100×104程度の範囲にピークを示す。
さらに、これらのポリペプチドは、前述の如く、コラーゲン様の構造(例えば、コラーゲン様の立体構造や組織構造)を形成可能である。すなわち、これらのポリペプチドは、円二色性スペクトルにおいて、波長220〜230nmに正のコットン効果を示し、波長195〜205nmに負のコットン効果を示す。そのため、ポリペプチドの少なくとも一部(すなわち、一部または全部)が3重らせん構造を形成可能であり、コラーゲン様ポリペプチドを形成する。なお、コットン効果とは、旋光性物質において特定の波長で左右の円偏光に対する吸収係数が異なるために起こる現象をいう。
本発明のポリペプチドは、コラーゲン組織(コラーゲン状の組織)を形成可能である。上記3重らせん構造を形成したポリペプチド鎖が自己集合して、数nm〜数十nmの原線維を形成し、さらにこれらの原線維が配列して数nm〜数十nmの繊維構造を形成することができる。これらは、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、あるいは原子間力顕微鏡により観察することができる。
前記ポリペプチド(I)(II)は、生分解性、特に生体内分解性を有していてもよい。このような生分解性ポリペプチドはコラゲナーゼ分解性を有している。特に、前記ポリペプチド(II)は高い生分解性を示す。
これらのポリペプチドは、生理学的又は薬理学的に許容される塩であってもよく、例えば、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸など)、有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、パルミチン酸など)、金属(ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムなど)、有機塩基(トリメチルアミン、トリエチルアミン、t−ブチルアミン、ベンジルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、アルギニンなど)との塩であってもよい。これらの塩形成化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの塩は、通常の塩形成反応によって得ることができる。
これらのポリペプチド(I)(II)は、アミノ酸やペプチドセグメントを縮合反応に供する慣用の方法により得ることができ、最終的に前記ユニットがポリペプチド中に含まれている限り特に制限されず、例えば、アミノ酸を縮合反応する方法や、ペプチドセグメントとアミノ酸を縮合する方法により得てもよいが、予め、前記アミノ酸配列を有するペプチド又はその誘導体などのペプチド成分を調製し、このペプチド成分を縮合する方法により得るのが好ましい。
予め調製したペプチド成分を縮合する方法において、ペプチド成分のペプチド鎖の合成は、通常のペプチド合成方法に従って行うことができる。ペプチドは、例えば、固相合成法または液相合成法によって調製できるが、固相合成法が操作上簡便である〔例えば、日本生化学会編「続生化学実験講座2 タンパク質の化学(下)」(昭和62年5月20日 株式会社東京化学同人発行)、第641−694頁参照〕。ペプチド合成には、慣用の方法、例えば、縮合剤を用いるカップリング方法、活性エステル法(p−ニトロフェニルエステル(ONp)、ペンタフルオロフェニルエステル(Opfp)などのフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(ONSu)などのN−ヒドロキシジカルボン酸イミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル(Obt)など)、混合酸無水物法、アジド法などが利用できる。好ましい方法では、少なくとも縮合剤(好ましくは後述する縮合剤、特に後述する縮合剤と縮合助剤との組合せ)を用いる場合が多い。
さらに、ペプチドの合成では、アミノ酸又はペプチドフラグメントの種類に応じて、アミノ基、カルボキシル基、他の官能基(グアニジノ基、イミダゾリル基、メルカプト基、ヒドロキシル基、ω−カルボキシル基など)の保護基による保護と、接触還元や強酸処理(無水フッ化水素、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸など)による保護基の脱離・除去とが繰り返し行われる。例えば、アミノ基の保護基には、ベンジルオキシカルボニル基(Z)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基(Z(OMe))、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル基(Npys)などが利用でき、カルボキシル基の保護基には、ベンジルオキシ基(OBzl),フェナシルオキシ基(OPac)、t−ブトキシ基(OBu)、メトキシ基(OMe)、エトキシ基(OEt)などが利用できる。なお、ペプチド合成には自動合成装置を利用してもよい。
より具体的には、前記ペプチド鎖の固相合成法による調製は、慣用の方法で行うことができる。固相樹脂(又は担体)としては、反応溶媒に不溶性の重合体、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、例えば、クロロメチル化樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ヒドロキシメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂などが利用できる。
固相合成法では、通常、(i)前記重合体(樹脂)に対して、目的とするペプチドのC末端からN末端の方向に向かって、遊離のα−COOH基を有するとともに官能基(少なくともN末端のα−アミノ基など)が保護基で保護されたアミノ酸又はペプチド断片を結合させる操作と、(ii)結合したアミノ酸又はペプチド断片のうちペプチド結合を形成するα−アミノ基の保護基を除去する操作と、(iii)上記結合操作と除去操作とを順次繰り返すことにより、ペプチド鎖を伸長させて目的ペプチドに対応するペプチド鎖を形成する工程と、(iv)ペプチド鎖を重合体(樹脂)から脱離させ、かつ保護されている官能基から保護基を除去することにより、目的とするペプチドを生成させ、生成したペプチドを精製することにより、ペプチドを製造できる。前記アミノ酸又はペプチド断片を結合させる操作(i)では、前記ペプチド鎖のC末端に対応し、かつ遊離のα−COOH基を有するとともに少なくともN末端が保護基で保護されたアミノ酸(例えば、Fmoc−アミノ酸、Boc−アミノ酸など)が使用される。なお、ペプチド鎖の重合体からの脱離及び保護基の除去は、トリフルオロ酢酸を用いて同時に行うのが副反応を抑制する観点から好ましい。また、生成したペプチドの精製は、逆相液体クロマトグラフィーやゲルパーミエイションクロマトグラフィーなどの分離精製手段を利用して行うことができる。
ポリペプチド(I)は、例えば、少なくとも下記式(1a)で表されるペプチド又はその誘導体(A)を縮合し、ポリペプチドを調製する。
X-(Pro-Y-Gly)n-OH (1a)
(式中、XはH又はHOOC-(CH2)m-CO-(mは前記に同じ)を表し、Y及びnは前記に同じ)
前記式(1a)で表されるペプチド又はその誘導体(A)は、下記式(2a)で示されるペプチド又はその誘導体(B)と共縮合させて、ポリペプチドを調製してもよい。
X-(Z)r-OH (2a)
(式中、XはH又はHOOC-(CH2)m-CO-(mは前記に同じ)を表し、Z及びrは前記に同じ)
なお、前記X=HOOC-(CH2)m-CO-に対応する化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC3-20の脂肪族ジカルボン酸又はそれらの酸無水物などが例示できる。これらの化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの化合物も慣用のアミド結合生成法(例えば、後述する第三級アミンなどを触媒とする反応など)反応や前記ペプチド合成法に従って反応させることにより、前記(1a)及び(2a)で示される化合物を得ることができる。
ペプチド又はその誘導体(A)とペプチド又その誘導体(B)との使用割合は、例えば、前者(A)/後者(B)=100/0〜30/70(モル%)、好ましくは100/0〜40/60(モル%)、さらに好ましくは100/0〜50/50(モル%)程度である。
さらに、前記式(1a)及び/又は式(2a)においてXがHである場合には必要ではないが、XがHOOC-(CH2)m-CO-(mは前記に同じ)であるとき、前記ペプチド又はその誘導体(A)及び/又はペプチド又はその誘導体(B)は、アミド基を形成するため、下記式(3a)で表される化合物(C)との共縮合反応に供される。
H2N-R-NH2 (3a)
(式中、Rは前記に同じ)
前記式(3a)で表される化合物としては、前記式(3)に対応するジアミン類、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC1-18アルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミン類などが例示できる。これらの化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記ジアミン化合物(C)の使用量は、例えば、前記ペプチド又はその誘導体(A)(B)のうち一方のペプチド又はその誘導体がX=HOOC-(CH2)m-CO-(mは前記に同じ)を有する場合、このような基を有するペプチド又はその誘導体1モルに対して、前記ジアミン化合物(C)の使用量は、実質的に1モル(例えば、0.95〜1.05モル程度)用いる必要がある。
ポリペプチド(II)の調製において、前記アミノ酸配列を有するペプチドを少なくとも含むペプチド成分を反応させる方法には、(a)式(4)及び(5)で表される双方のアミノ酸配列を有するペプチド(すなわち、式(4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットと、式(5)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットとの双方のユニットを有するペプチド)を少なくとも含むペプチド成分を縮合する方法と、(b)式(4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドと、式(5)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドとを少なくとも含むペプチド成分を縮合する方法とが含まれる。
前者の方法(a)において、式(1)及び(2)で表される双方のアミノ酸配列を有するペプチドは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。また、この方法において、ペプチド成分としては、前記ペプチドに加え、目的のポリペプチドに応じて他のペプチドを用いてもよい。他のペプチドとしては、例えば、式(1)で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、式(2)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドの他、前述の他のアミノ酸残基やペプチド鎖を含むペプチドなどが挙げられる。これらの他のペプチドも、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、この方法において、式(1)又は(2)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを共縮合することにより、容易にユニット(1)又は(2)の割合を調整することができる。
後者の方法(b)においても、式(1)で表されるアミノ酸配列を有するペプチド、式(2)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、それぞれ、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。また、この方法においても、ペプチド成分として、これらのペプチド(1)及び(2)に加え、目的のポリペプチドに応じて他のペプチド、例えば、前述の他のアミノ酸残基やペプチド鎖を含むペプチドなどを用いてもよい。これらの他のペプチドも、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのペプチド成分の縮合反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒は、上記ペプチド成分を溶解又は懸濁(一部または全部を溶解)可能であればよく、通常、水及び/又は有機溶剤が使用できる。溶媒としては、例えば、水、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、窒素含有環状化合物(N−メチルピロリドン、ピリジンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなど)、及びこれらの混合溶媒が例示できる。これらの溶媒のうち、水、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが繁用される。
これらのペプチド成分の反応は、通常、少なくとも脱水剤(脱水縮合剤)又は縮合剤の存在下で行うことができ、脱水縮合剤と縮合助剤との存在下で反応させると、二量化や環化を抑制しつつ、円滑にポリペプチドを生成できる。
脱水縮合剤は、前記溶媒中で脱水縮合を効率よく行える限り特に制限されず、例えば、カルボジイミド系縮合剤[ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC=WSCI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(WSCI・HCl)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など]、フルオロホスフェート系縮合剤[O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール−1−イル−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩(BOP)など]、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)などが例示できる。これらの脱水縮合剤は単独で又は二種以上組み合わせて混合物として使用できる。好ましい脱水縮合剤は、カルボジイミド系縮合剤[例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩]である。
縮合助剤は、上記縮合剤の反応を促進する限り特に制限されず、例えば、N−ヒドロキシ多価カルボン酸イミド類[例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド(HONSu)、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド(HONB)などのN−ヒドロキシジカルボン酸イミド類]、N−ヒドロキシトリアゾール類[例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)などのN−ヒドロキシベンゾトリアゾール類]、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOObt)などのトリアジン類、2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢酸エチルエステルなどが例示できる。これらの縮合助剤も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい縮合助剤は、N−ヒドロキシジカルボン酸イミド類[HONSuなど]、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール又はN−ヒドロキシベンゾトリアジン類[HOBtなど]である。
前記脱水縮合剤と縮合助剤とは適当に組み合わせて使用できる。前記脱水縮合剤と縮合助剤との組合せとしては、例えば、DCC-HONSu(HOBt又はHOObt)、WSCI-HONSu(HOBt又はHOObt)などが例示できる。
脱水縮合剤の使用量は、前記ペプチド成分(前記ジアミン化合物も含む)の総量1モルに対して、通常、水を含まない非水系溶媒を用いる場合0.7〜5モル、好ましくは0.8〜2.5モル、さらに好ましくは0.9〜2.3モル(例えば1〜2モル)程度である。水を含む溶媒(水系溶媒)においては、水による脱水縮合剤の失活があるので、脱水縮合剤の使用量は、前記ペプチド成分の総量1モルに対して、通常、2〜500モル(例えば、2〜50モル)、好ましくは5〜250モル(例えば、5〜25モル)、さらに好ましくは10〜125モル(例えば、10〜20モル)程度である。縮合助剤の使用量は、溶媒の種類に関係なく、前記ペプチド成分の総量1モルに対して、例えば、0.5〜5モル、好ましくは0.7〜2モル、さらに好ましくは0.8〜1.5モル程度である。
前記縮合反応において、反応系のpHを調節してもよく、反応に関与しない塩基を添加してもよい。pHの調節は、通常、無機塩基[水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど]、有機塩基、無機酸[塩酸など]や有機酸を用いて行うことができ、通常、反応溶液が中性付近(pH=6〜8程度)にpH調整される。前記反応に関与しない塩基としては、第三級アミン類、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、ピリジンなどの複素環式第三級アミン類などが例示できる。このような塩基の使用量は、通常、ペプチドの総モル数の1〜2倍程度の範囲から選択できる。
前記ポリペプチドが3重らせん構造を形成することは、通常、ポリペプチドの溶液について、円二色性スペクトルを測定することにより立証できる。特に、円二色性スペクトルにおいては、3重らせん構造を形成する天然のコラーゲン及びペプチド鎖が、波長220nm〜230nmに正のコットン効果、及び波長195nm〜205nmに負のコットン効果を特徴的に示すことが報告されている(J. M. Biol., Vol.63 pp.85-99, 1972年)。
これらのポリペプチドは、哺乳動物由来のコラーゲンと異なり、病原体や病原性因子[例えば、病原性に転化したタンパク質(例えば、異常型プリオンなど)など]の感染や伝達の危険性がなく、安全性が高い。また、コラーゲン様組織を形成可能であるとともに、活性成分、担体、添加剤などの製剤成分(医薬製剤成分など)としても適している。さらに、生物(例えば、動物、魚類など)に由来する臭気を生じることもない。そのため、前記ポリペプチドは、人工コラーゲンなどとして製剤組成物(医薬組成物など)に好適に適用される。また、前記ポリペプチドは、成膜性又は成形性が高く、所望の形状に容易に成形できる。
[製剤組成物]
本発明の製剤組成物は、少なくとも前記ポリペプチドを含んでいればよく、固形製剤、半固形剤、液状製剤のいずれであってもよい。本発明の製剤組成物は、医薬品であっても、医薬部外品であってもよく、各種剤形の製剤として利用できる。固形製剤としては、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、グミ剤、丸剤、カプセル剤などが例示でき、半固形製剤としては、例えば、軟膏剤(クリーム、眼軟膏剤も含む)、パップ剤、貼付剤、及び坐剤などが例示でき、液状製剤としては、エアゾール剤、懸濁剤、乳剤、注射剤、点眼剤、ローション剤、及びリニメント剤などが例示できる。製剤全体に対するポリペプチドの割合は、0.001〜99重量%、好ましくは0.01〜95重量%、さらに好ましくは0.1〜90重量%程度であってもよい。
製剤組成物は、通常、活性成分(薬理活性又は生理活性成分、又は有効成分)と、担体(又は担体成分、基剤を含む)と、添加剤(又は添加剤成分)とを含んでおり、前記ポリペプチドは、これらの成分のうち少なくとも1つの成分として含有されていればよい。各成分の割合は特に制限されず、例えば、活性成分に対する担体の割合(重量部)は、例えば、前者/後者=0.01/99.99〜95/5、0.05/99.95〜95/5、0.1/99.9〜90/10程度であってもよい。また、活性成分に対する添加剤の割合(重量部)は、例えば、前者/後者=0.01/99.99〜100/0、0.05/99.95〜100/0、0.1/99.9〜100/0程度であってもよい。
例えば、ポリペプチドは、保湿作用、痒み抑制作用、皮膚のひび割れ改善、骨密度向上などの作用を有する活性成分として利用できる。特に、コラゲナーゼによる生体内分解性を有するポリペプチドでは、生体内における吸収性が高いため、前記作用を向上できる。
活性成分としてのポリペプチドは、他の活性成分(又は有効成分、生理活性成分)と併用してもよい。前記活性成分としては、例えば、自律神経系に作用する薬物(副交感神経作動薬、副交感神経遮断薬、交感神経作動薬、交感神経遮断薬、神経節興奮薬、神経節遮断薬など)、オータコイド及びその拮抗薬(抗ヒスタミン薬、抗セロトニン薬、キニン類、プロスタグランジン類など)、抗炎症薬、抗アレルギー薬、中枢神経系に作用する薬物(例えば、睡眠薬、抗てんかん薬、抗神経病薬、抗不安薬、抗うつ薬、解熱鎮痛薬など)、心臓血管系に作用する薬物(強心薬、抗不整脈薬、抗不整脈薬、抗動脈硬化薬、抗高血圧薬など)、呼吸器系に作用する薬物(鎮静薬、鎮咳薬、去痰薬、抗ぜんそく薬など)、消化器系に作用する薬物(健胃薬、消化薬、制酸薬、消化性潰瘍治療薬など)、血液及び造血臓器に作用する薬物(止血薬、貧血薬、抗凝血薬など)、皮膚及び粘膜に作用する薬物(収れん薬、皮膚軟化薬、褥瘡・皮膚治療薬など)、抗感染薬物(抗菌薬、駆虫薬、抗ウィルス薬、殺真菌薬など)、利尿薬、、潰瘍治療薬、抗腫瘍薬、抗生物質、ホルモン類、ビタミン類、アミノ酸類、漢方薬などが例示できる。これらの活性成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
活性成分としてのポリペプチドと、他の活性成分と割合(重量部)は、例えば、前者/後者=1/99〜99/1、5/95〜95/5、10/90〜90/10程度であってもよい。
ポリペプチドは、種々の担体(キャリア又は基剤)、例えば、結合剤、賦形剤、希釈剤、充填剤などの固形剤基剤(徐放性製剤用マトリックスを含む);乳剤性基剤、懸濁性基剤、ゲル性基剤などの半固形剤基剤;コーティング基剤(例えば、コーティング被膜を形成するための基剤など)、カプセル基剤(例えば、硬カプセル、軟カプセル、マイクロカプセル被膜を形成するための基剤など)などの被膜形成基剤として利用できる。
前記ポリペプチドは、剤形に応じて、生理学的に許容される種々の担体(キャリア又は基剤)と併用してもよい。固形剤の担体としては、結合剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースエーテル類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル酸系高分子、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウムなど);賦形剤(D−ソルビトール、D−マンニトール、キシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖、果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、デンプン類、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、カオリンなど);崩壊剤(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウムなど)などが例示できる。固形剤では、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)なども使用できる。
また、固形製剤は、コーティング基剤などによりコーティング被膜を形成したコーティング製剤(例えば、糖衣錠、コーティング錠)や、固形物や液状物をカプセル(軟カプセル又は硬カプセル)に封入したカプセル剤であってもよい。
半固形剤の担体としては、基剤(ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、プラスチベース、ラノリン、植物油、ワックス、シリコーン、ポリエチレングリコールなど)が例示でき、基剤は含水基剤やゲル性基剤であってもよい。液状製剤では、担体として、例えば、水、アルコール(エタノールなど)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、油脂(ミスチリン酸イソプロピル、トウモロコシ油、オリーブ油など)などが挙げられる。
これらの担体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ポリペプチドを担体として用いる場合、ポリペプチドと、他の担体との割合(重量部)は、例えば、前者/後者=1/99〜99/1、5/95〜95/5、10/90〜90/10程度であってもよい。
また、ポリペプチドは、乳化剤、懸濁化剤、安定剤、粘稠剤、ゲル化剤などの添加剤として用いてもよい。添加剤としてのポリペプチドは、他の添加剤と併用してもよい。添加剤としては、例えば、懸濁化剤[アニオン性、カチオン性、ノニオン性又は両性界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどの界面活性剤;水溶性高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロースエーテル類(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)など]、pH調整剤(炭酸水素ナトリウムなどの塩基;リン酸一水素ナトリウムなどの酸;ホウ砂など)、緩衝剤(例えば、リン酸塩、ホウ酸塩などの緩衝液など)、可溶化剤又は溶解補助剤(例えば、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、レシチン、ポリエチレングリコール、エタノール、トリスアミノメタン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなど)、有機溶剤(エタノール、ブタノールなどのアルコールなど)、防腐剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、デヒドロ酢酸、ソルビン酸又はその塩、クロロブタノール、ベンジルアルコールなど)、抗酸化剤(例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロールなど)、増粘剤(アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなど)、着色剤(例えば、食用色素、ベンガラなど)、等張化剤(塩化ナトリウム、ブドウ糖など)、無痛化剤(塩酸プロカイン、塩酸カルボカイン、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ブドウ糖など)、消泡剤、崩壊補助剤、吸着剤などが挙げられる。
さらに必要により、製剤組成物は、酸成分(例えば、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸など)、塩基成分(アンモニア、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの無機塩基、トリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機塩基)、発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、湿潤剤(ソルビット、グリセリンなど)、甘味剤又は矯味剤(サッカリンナトリウム、茶抽出物など)、香料又は清涼化剤(例えば、レモン、ライム、オレンジ、メントール、ストロベリーなど)などを含んでもよい。
これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。添加剤としてのポリペプチドと、他の添加剤との割合(重量比)は、例えば、前者/後者=1/99〜99/1、5/95〜95/5、10/90〜90/10程度であってもよい。
なお、前記活性成分、担体及び添加剤は、塩の形態で用いてもよい。このような塩としては、生理的又は薬学的に許容される塩、例えば、有機酸塩(例えば、酢酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などのカルボン酸塩;メタンスルホン酸塩などの有機スルホン酸塩など)、無機酸塩(例えば、塩酸塩など)、有機塩基との塩(例えば、トリメチルアミン塩、エタノールアミン塩などの第3級アミンとの塩など)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩;ナトリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩など)が挙げられる。
なお、前記ポリペプチドは、成膜性が高いため、コーティング基剤、カプセル基剤(例えば、硬カプセル、軟カプセル、マイクロカプセル被膜を形成するための基剤など)などの被膜形成基剤としても利用できる。
前記製剤は慣用の方法で製造でき、固形製剤は、例えば、活性成分と、各種担体(例えば、結合剤、賦形剤、崩壊剤など)や添加剤とを混和し、造粒、圧縮成形などして調製できる。半固形剤は、活性成分と、油性物質、水溶性高分子物質、水性ゲルなどの担体とを混和して調製できる。液状製剤は、活性成分を担体に対して溶解、懸濁化、乳化させることにより得られ、滅菌する場合が多い。
また、ポリペプチドは製剤に徐放性を付与するのに有用である。特に、コラゲナーゼ分解性を有するポリペプチドは、製剤組成物に徐放性を付与するために有用である。例えば、ポリペプチドを担体として用い、活性成分が分散したマトリックスを形成したり、コーティング被膜、軟カプセルや硬カプセル、マイクロカプセル被膜などを形成すると、製剤組成物に徐放性を付与できる。また、高い徐放性を付与するため、ポリペプチドは、必要により架橋剤で架橋してもよい。前記架橋剤としては、例えば、グリオキザール、グルタルアルデヒド、スクシンアルデヒドなどなどのジアルデヒド類、デキストランジアルデヒド、アルデヒドデンプンなどの生理学的に許容可能な架橋剤が例示できる。架橋剤の割合は、ポリペプチド100重量部に対して1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部程度であってもよい。なお、マトリックスや被膜は、慣用の方法(例えば、混合や造粒、コアセルベーション法や噴霧造粒法など)で形成できる。
本発明の製剤組成物は、その剤形に応じて、経口投与又は非経口投与(例えば、経皮投与、肛門又は膣投与、注射投与など)で投与できる。また、本発明の製剤組成物は、種々の被検体(被験体)へ適用できる。被検体は、ヒトに限らず、非ヒト動物(例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどの非ヒト動物)であってもよい。
本発明は、安全性が高いので、固形製剤、半固形製剤や液状製剤として利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
製造例1
式:H-(Pro-Pro-Gly)10-OH(配列番号:1)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所)5mg(0.002mmol)を2mLのジメチルスルホキシドに懸濁し、室温で撹拌した。この混合液に、0.31mg(0.0024mmol)のジイソプロピルエチルアミン、0.32mg(0.0024mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.46mg(0.0024mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに室温で7日間撹拌を続けた。
反応溶液を水で20倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superdex 200 HR 10/30、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))に供したところ、分子量が4万〜20万の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のGel Filtration LMW Calibration Kit及びGel Filtration HMW Calibration Kitを標準物質として使用し、算出した。
得られた反応溶液を水で5倍に希釈し、水に対して3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反応モノマーを除去した。得られたポリペプチドの円二色性スペクトルを測定したところ、227nmに正のコットン効果、199nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。得られたポリペプチドをポリペプチド(Ia)とする。
製造例2
式:H-(Pro-Pro-Gly)5-OH(配列番号:2)で示されるペプチド鎖をペプチド自動合成装置を用いて固相合成法により合成した。すなわち、4−(Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−グリシン)−オキシメチル−フェノキシ−メチル基を0.65mmol/g (樹脂)の割合で含むスチレン−ジビニルベンゼン共重合体〔スチレンとジビニルベンゼンの構成モル比:99対1〕からなる粒状樹脂〔米国アプライド・バイオシステムズ社製、HMPグリシン〕0.1mmolを用い、目的とするペプチドのカルボキシル末端からアミノ末端に向かって順次対応するアミノ酸を結合させた。結合反応において、アミノ酸として、米国アプライド・バイオシステムズ社製のNα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−L−プロリン〔Fmocプロリン〕、Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−グリシン〔Fmocグリシン〕を、各結合ステップについてそれぞれ1mmolずつ用いた。
得られたペプチド樹脂(ペプチドを結合した樹脂)を、10mLのジメチルホルムアミドに懸濁し、50mg(0.5mmol)の無水コハク酸と13mg(0.1mmol)のジイソプロピルエチルアミンを加えて、室温で12時間反応した。その後、メチルアルコールとジクロロメタンで交互に洗浄し、減圧乾燥した。
得られたペプチド樹脂を、5%の水を含むトリフルオロ酢酸10mLで3時間処理した。得られた溶液をジエチルエーテルに加えて生じる沈殿をさらに数回ジエチルエーテルで洗浄して、ペプチドの脱保護と樹脂からの脱離を行った。粗生成物を、PD10カラム(アマシャム・バイオサイエンス(株)製)で精製してペプチドを得た。得られた精製ペプチドをアマシャム・バイオサイエンス(株)製「AKTA explorer10XT」〔カラム:ミリポア(株)製「ノバパックC18」 3.9mmφ×150mm、移動相:トリフルオロ酢酸を0.05容量%含有するアセトニトリルと水の混合溶媒(アセトニトリル濃度を30分間で5容量%から50容量%に直線的に変化させた)、流速1.0mL/min〕に付したところ、リテンションタイム14.5minに単一のピ−クが示された。FAB法マススペクトルにより求めた精製ペプチドの分子量は1375であった(理論値:1374.52)。
1.4mg(0.001mmol)のHOOC-(CH2)2-CO-(Pro-Pro-Gly)5-OHと、0.06mg (0.001mmol)のエチレンジアミンとを0.05mLの水に懸濁し、混合液に、0.32mg(0.0024mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4.6mg(0.024mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、室温で3日間振盪した。
反応溶液を水で100倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superdex 200 HR 10/30、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))により分子量を測定したところ、分子量が3万〜20万の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のGel Filtration LMW Calibration Kit及びGel Filtration HMW Calibration Kitを標準物質として使用し、算出した。
得られた反応溶液を水で5倍に希釈し、水に対して3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反応モノマーを除去した。得られたポリペプチドの円二色性スペクトルを測定したところ、228nmに正のコットン効果、198nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。得られたポリペプチドをポリペプチド(Ib)とする。
製造例3
式:H-(Pro-Hyp-Gly)10-OH(配列番号:3)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所)5mg(0.0016mmol)を2mLのジメチルスルホキシドに懸濁し、室温で撹拌した。この混合液に、0.23mg(0.0018mmol)のジイソプロピルエチルアミン、0.24mg(0.0018mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.65mg(0.0034mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに室温で7日間撹拌を続けた。
反応溶液を水で20倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superdex 200 HR 10/30、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))に供したところ、分子量が6万〜20万以上の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のGel Filtration LMW Calibration Kit及びGel Filtration HMW Calibration Kitを標準物質として使用し、算出した。
得られた反応溶液を水で5倍に希釈し、水に対して3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反応モノマーを除去した。得られたポリペプチドの円二色性スペクトルを測定したところ、225nmに正のコットン効果、197nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。得られたポリペプチドをポリペプチド(Ic)とする。
得られたポリペプチド(Ic)の水懸濁液をフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)シート上に流延した後、風乾することによりキャストフィルムを作製した。このフィルムに金を蒸着した後、走査型電子顕微鏡で観測すると、図1に示すような繊維状の構造物が観測された。
製造例4
式:H-(Pro-Pro-Gly)5-OH(配列番号:2)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所)3.5mg(0.0026mmol)と、実施例2と同様の方法で合成した0.92mg(0.0011mmol)のH-(Val-Pro-Gly-Val-Gly)2-OH(配列番号:4)とを所定の割合(70モル%:30モル%)で1.5mLのジメチルスルホキシドに懸濁し、室温で撹拌した。この混合液に、0.52mg(0.0040mmol)のジイソプロピルエチルアミン、0.51mg(0.0038mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1.45mg(0.0076mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに室温で7日間撹拌を続けた。
反応溶液を水で20倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superdex 200 HR 10/30、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))により分子量を測定したところ、分子量が8万〜45万の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のGel Filtration LMW Calibration Kit及びGel Filtration HMW Calibration Kitを標準物質として使用し、算出した。
得られた反応溶液を水で5倍に希釈し、水に対して3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反応モノマーを除去した。得られたポリペプチドの円二色性スペクトルを測定したところ、227nmに正のコットン効果、198nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。得られたポリペプチドをポリペプチド(Id)とする。
得られたポリペプチドの水懸濁液をフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)シート上に流延した後、風乾することによりキャストフィルムを作製した。このフィルムを、150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4)に浸漬するとシート状のゲル状物が得られた。このシート状のゲル状物は、室温では透明であったが、40℃以上の温度で可逆的に白濁した。
製造例5
式:H-(Pro-Hyp-Gly)5-OH(配列番号:5)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所)5mg(0.0033mmol)を2 mLのジメチルスルホキシドに懸濁し、室温で撹拌した。この混合液に、0.44mg(0.0034mmol)のジイソプロピルエチルアミン、0.46mg(0.0033mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1.3mg(0.0068mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに室温で14日間撹拌を続けた。
反応溶液を水で20倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superdex 200 HR 10/30、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))に供したところ、分子量が4万〜10万以上の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のGel Filtration LMW Calibration Kit及びGel Filtration HMW Calibration Kitを標準物質として使用し、算出した。
得られた反応溶液を水で5倍に希釈し、水に対して3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反応モノマーを除去した。得られたポリペプチドの円二色性スペクトルを測定したところ、224nmに正のコットン効果、199nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。得られたポリペプチドをポリペプチド(Ie)とする。
製造例6
5mg(0.0016mmol)の式:H-(Pro-Hyp-Gly)10-OH(配列番号:3)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所)を0.5mLの10mMリン酸塩緩衝液(8.1mMのNa2HPO4・12H2O、1.5mMのKH2PO4、2.7mMのKCl、pH 7.4)に溶解し、20℃で撹拌した。この溶液に、0.24mg(0.0018mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、31mg(0.16mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに20℃で24時間撹拌を続けた。
反応溶液を水で60倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superose 6 HR 10/30、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM リン酸塩緩衝液(pH 7.4))に供したところ、平均分子量40万に相当するポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のGel Filtration LMW Calibration Kit及びGel Filtration HMW Calibration Kitを標準物質として使用し、算出した。
得られた反応溶液を水で5倍に希釈し、水に対して3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反応モノマーを除去した。得られたポリペプチドの円二色性スペクトルを測定したところ、225nmに正のコットン効果、197nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。得られたポリペプチドをポリペプチド(If)とする。
製造例7
式:H-(Pro-Hyp-Gly)1-OHで示されるペプチド((株)ペプチド研究所)1gを20mLの10mMリン酸塩緩衝液(pH7.4)に溶解し、473mgの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、3.35gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を加えて、4℃で2時間、その後20℃で46時間撹拌を続けた。反応液をミリQ水(超純水)に対して48時間透析した。
得られた透析後の溶液を水で50倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)社製、AKTApurifierシステム、カラム:Superdex 200 HR 10/30、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))に供したところ、分子量が10万〜60万の範囲にポリペプチドのピークが認められた。
また、得られた透析後の溶液を水で100倍に希釈し、円二色性スペクトルを測定したところ、225nmに正のコットン効果、198nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。
式:(Pro-Hyp-Gly)10(配列番号:3)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所)の215nmにおける吸光度から検量線を作成し、得られた3重らせん構造を形成するポリペプチドの濃度を測定すると約20mg/mLであった。得られたポリペプチドをポリペプチド(Ih)とする。
製造例8
式:H-(Pro-Hyp-Gly)4-Pro-Gln-Gly-Ile-Ala-Gly-(Pro-Hyp-Gly)4-OH(配列番号:6)で示されるペプチド鎖を、ペプチド自動合成装置を用いて固相合成法により合成した。すなわち、4−(Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−グリシン)−オキシメチル−フェノキシ−メチル基を0.65mmol/g(樹脂)の割合で含むスチレン−ジビニルベンゼン共重合体〔スチレンとジビニルベンゼンの構成モル比:99対1〕からなる粒状樹脂〔米国アプライド・バイオシステムズ社製、HMPグリシン〕0.1mmolを用い、目的とするペプチドのカルボキシル末端からアミノ末端に向かって順次対応するアミノ酸を結合させた。結合反応において、アミノ酸として、米国アプライド・バイオシステムズ社製のNα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−L−プロリン〔Fmocプロリン〕、Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−グリシン〔Fmocグリシン〕、Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−Nγ−トリチル−L−グルタミン〔Fmocグルタミン〕、Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−L−イソロイシン〔Fmocイソロイシン〕、Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−L−アラニン〔Fmocアラニン〕、バッケム社製のNα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−O−t−ブチル−L−ヒドロキシプロリン〔Fmocヒドロキシプロリン〕を、各結合ステップについてそれぞれ1mmolずつ用いた。
得られたペプチド樹脂を、5%の水を含むトリフルオロ酢酸10mLで3時間処理した。得られた溶液をジエチルエーテルに加えて生じる沈殿をさらに数回ジエチルエーテルで洗浄して、ペプチドの脱保護と樹脂からの脱離を行った。粗生成物を、PD10カラム(アマシャム・バイオサイエンス(株)製)で精製してペプチドを得た。得られた精製ペプチドをアマシャム・バイオサイエンス(株)製「AKTA explorer10XT」〔カラム:ミリポア(株)製「ノバパックC18」 3.9mmφ×150mm、移動相:トリフルオロ酢酸を0.05容量%含有するアセトニトリルと水の混合溶媒(アセトニトリル濃度を30分間で5容量%から50容量%に直線的に変化させた)、流速1.0mL/min〕に付したところ、リテンションタイム12.4minに単一のピ−クが示された。FAB法マススペクトルにより求めた精製ペプチドの分子量は2681.3であった(理論値:2679.9)。
2.5mg(0.0009mmol)のH-(Pro-Hyp-Gly)4-Pro-Gln-Gly-Ile-Ala-Gly-(Pro-Hyp-Gly)4-OHを1mLのジメチルスルホキシドに懸濁し、室温で撹拌した。この混合液に、0.12mg(0.0009mmol)のジイソプロピルエチルアミン、0.12mg(0.0009mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.34mg(0.0018mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに20℃で2日間撹拌を続けた。得られた反応溶液を水で3倍に希釈し、水に対して3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反応モノマーを除去し、ポリペプチド(IIa)を得た。ペプチドユニット(4)と(5)の割合((4)/(5))は8/1(88.9/11.1)(モル比)であった。
得られたポリペプチド(IIa)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superose 6 HR GL、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))に供したところ、分子量が7万〜100万の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のGel Filtration HMW Calibration Kitを標準物質として使用し、算出した。
得られたポリペプチド(IIa)の円二色性スペクトルを測定したところ、223nmに正のコットン効果、198nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。
製造例9
1.2mg(0.00045mmol)の式:H-(Pro-Hyp-Gly)10-OH(配列番号:3)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所)と、1.2mg(0.00045mmol)の製造例8で得られた式:H-(Pro-Hyp-Gly)4-Pro-Gln-Gly-Ile-Ala-Gly-(Pro-Hyp-Gly)4-OH(配列番号:6)で示されるペプチドを0.25mLの10mMリン酸塩緩衝液(pH=7.4)に溶解し、0.12mg(0.0009mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、15.7mg(0.082mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに20℃で2日間撹拌を続けた。得られた反応溶液を水で10倍に希釈し、水に対して3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反応モノマーを除去し、ポリペプチド(IIb)を得た。ペプチドユニット(4)と(5)の割合((4)/(5))は、18/1(94.7/5.3)(モル比)であった。
得られたポリペプチド(IIb)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superose 6 HR GL、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))に供したところ、分子量が14万〜100万の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のGel Filtration HMW Calibration Kitを標準物質として使用し、算出した。
得られたポリペプチド(IIb)の円二色性スペクトルを測定したところ、224nmに正のコットン効果、196nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。
製造例10
2.2mg(0.00081mmol)の式:H-(Pro-Hyp-Gly)10-OH(配列番号:3)で示されるペプチド((株)ペプチド研究所)と、0.24mg(0.00009mmol)の製造例8で得られた式:H-(Pro-Hyp-Gly)4-Pro-Gln-Gly-Ile-Ala-Gly-(Pro-Hyp-Gly)4-OH(配列番号:6)で示されるペプチドを0.25mLの10mMリン酸塩緩衝液(pH=7.4)に溶解し、0.12mg(0.0009mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、15.7mg(0.082mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに20℃で2日間撹拌を続けた。得られた反応溶液を水で10倍に希釈し、水に対して3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反応モノマーを除去し、ポリペプチド(IIc)を得た。ペプチドユニット(4)と(5)の割合((4)/(5))は、98/1(≒99/1)(モル比)であった。
得られたポリペプチド(IIc)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superose 6 HR GL、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))に供したところ、分子量が14万〜40万の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のGel Filtration HMW Calibration Kitを標準物質として使用し、算出した。
得られたポリペプチド(IIc)の円二色性スペクトルを測定したところ、224nmに正のコットン効果、197nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。
試験例1
製造例8〜10で得られたポリペプチドのそれぞれ0.025mgを、0.05mLの50mMのNaClと10mMのCaCl2を含む50mM Tris/HCl緩衝液(pH=7.5)に溶解した。さらに、同じ緩衝液0.05mLに溶解した200ngのコラゲナーゼ(MMP-1, human rheumatoid synovial fibroblast)を添加し、37℃で24時間静置した。その後、0.1M HCl水溶液を0.01mL添加して、酵素反応を停止した後、150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4)で希釈して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superose 6 HR GL、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))で分子量分布の変化を測定した。
その結果、製造例8のポリペプチドではコラゲナーゼを加えない場合のピーク分子量約100万が約54万に低下した。同様に製造例9及び10のポリペプチドでも、それぞれ約80万が約40万、約70万が約30万に低下した。
製造例11
式:H-(Pro-Hyp-Gly)4-Pro-Leu-Gly-Ile-Ala-Gly-(Pro-Hyp-Gly)4-OH(配列番号:7)で示されるペプチド鎖を、ペプチド自動合成装置を用いて固相合成法により合成した。すなわち、4−(Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−グリシン)−オキシメチル−フェノキシ−メチル基を0.65mmol/g(樹脂)の割合で含むスチレン−ジビニルベンゼン共重合体〔スチレンとジビニルベンゼンの構成モル比:99対1〕からなる粒状樹脂〔米国アプライド・バイオシステムズ社製、HMPグリシン〕0.1mmolを用い、目的とするペプチドのカルボキシル末端からアミノ末端に向かって順次対応するアミノ酸を結合させた。結合反応において、アミノ酸として、米国アプライド・バイオシステムズ社製のNα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−L−プロリン〔Fmocプロリン〕、Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−グリシン〔Fmocグリシン〕、Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−L−ロイシン〔Fmocロイシン〕、Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−L−イソロイシン〔Fmocイソロイシン〕、Nα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−L−アラニン〔Fmocアラニン〕、バッケム社製のNα−9−(フルオレニルメトキシカルボニル)−O−t−ブチル−L−ヒドロキシプロリン〔Fmocヒドロキシプロリン〕を、各結合ステップについてそれぞれ1mmolずつ用いた。
得られたペプチド樹脂を、5%の水を含むトリフルオロ酢酸10mLで3時間処理した。得られた溶液をジエチルエーテルに加えて生じる沈殿をさらに数回ジエチルエーテルで洗浄して、ペプチドの脱保護と樹脂からの脱離を行った。粗生成物を、PD10カラム(アマシャム・バイオサイエンス(株)製)で精製してペプチドを得た。得られた精製ペプチドをアマシャム・バイオサイエンス(株)製「AKTA explorer10XT」〔カラム:ミリポア(株)製「ノバパックC18」 3.9mmφ×150mm、移動相:トリフルオロ酢酸を0.05容量%含有するアセトニトリルと水の混合溶媒(アセトニトリル濃度を30分間で5容量%から50容量%に直線的に変化させた)、流速1.0mL/min〕に付したところ、リテンションタイム15minに単一のピ−クが示された。FAB法マススペクトルにより求めた精製ペプチドの分子量は2666.3であった(理論値:2664.9)。
1.2mg(0.00045mmol)のH-(Pro-Hyp-Gly)4-Pro-Leu-Gly-Ile-Ala-Gly-(Pro-Hyp-Gly)4-OHを0.25mLの10mMリン酸塩緩衝液(pH=7.4)に溶解し、0.12mg(0.0009mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、15.7mg(0.082mmol)の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を添加して、さらに20℃で2日間撹拌を続けた。得られた反応溶液を水で10倍に希釈し、水に対して3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反応モノマーを除去し、ポリペプチド(IId)を得た。ペプチドユニット(4)と(5)の割合((4)/(5))は、8/1(88.9/11.1)(モル比)であった。
得られたポリペプチド(IId)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アマシャム・バイオサイエンス(株)製、AKTApurifierシステム、カラム:Superose 6 HR GL、流速:0.5mL/min、溶離液:150mMのNaClを含む10mM phosphate buffer(pH 7.4))に供したところ、分子量が8万〜100万の範囲にポリペプチドのピークが認められた。分子量はアマシャム・バイオサイエンス(株)製のGel Filtration HMW Calibration Kitを標準物質として使用し、算出した。
得られたポリペプチド(IId)の円二色性スペクトルを測定したところ、224nmに正のコットン効果、197nmに負のコットン効果が観測され、3重らせん構造を形成していることが確認された。
実施例1
製造例7で得られたポリペプチド(Ih)を凍結乾燥することにより、粉末状のポリペプチドを得た。前記粉末状のポリペプチド0.05gを、ビタミンC0.1g,乳酸カルシウム0.1g,しょ糖脂肪酸エステル0.1gとともに均一に混和後、ペレット状に加圧成型して錠剤とした。
試験例2
6週令のWistar系雌性ラットの卵巣を摘出して、実験的に骨粗鬆症ラットを作成した。卵巣を露出した後、卵巣摘出操作のみを行なわない群をコントロール(シャムコントロール)とした。卵巣摘出3ヵ月後より3ケ月間にわたって実施例1で得られた錠剤1/3個を毎日摂取させた。投与終了後、大腿骨を摘出して大腿骨頭から1/10遠位側の骨密度をpQCT測定により求めた。シャムコントロールの0.27g/cm3に対して、錠剤を投与しない対照ラットではそれぞれ0.23g/cm3に有意に低下したが、実施例1で得られた錠剤を投与したラットでは0.25g/cm3と対照ラットに比較して有意に骨密度が増大した。
実施例2
製造例7で得られたポリペプチド(Ih)を20mg/mLに希釈して調製したポリペプチド溶液5mLに、塩基性線維芽細胞増殖因子0.1mgを溶解した。該溶液を0.05%のSpan 80を含む50mLの塩化メチレンに投入し、ポリトロンホモジナイザーで1分間撹拌して乳化させた。乳化液を凍結乾燥して、微粒子状の塩基性線維芽細胞増殖因子を含む注射剤(注射用徐放性製剤)を得た。
図1は製造例3で得られたフィルムを示す走査電子顕微鏡写真である。

Claims (10)

  1. ポリペプチドを構成成分とする製剤組成物であって、前記ポリペプチドが、少なくとも式Pro-Y-Gly(式中、YはPro又はHypを示す)で表されるアミノ酸配列を有し、かつコラーゲン様の構造を形成する合成ポリペプチドで構成されている製剤組成物。
  2. ポリペプチドが、下記式(1)〜(3)で表されるペプチドユニットで構成されたポリペプチド(I)、及び下記式(4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットと、下記式(5)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットとを含むポリペプチド(II)から選択された少なくとも一種のポリペプチドである請求項1記載の製剤組成物。
    [-(OC-(CH2)m-CO)p-(Pro-Y-Gly)n-]a (1)
    [-(OC-(CH2)m-CO)q-(Z)r-]b (2)
    [-HN-R-NH-]c (3)
    (式中、mは1〜18の整数、p及びqは同一又は異なって0又は1、YはProまたはHypを表し、nは1〜20の整数を表す。Zは1〜10個のアミノ酸残基からなるペプチド鎖を表し、rは1〜20の整数を表し、Rは直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基を表す。aとbとの割合(モル比)はa/b=100/0〜30/70であり、p=1及びq=0であるときc=a、p=0及びq=1であるときc=bであり、p=1及びq=1であるときc=a+bであり、p=0及びq=0であるときc=0である。)
    -Pro-Y-Gly- (4)
    (式中、Yは前記に同じ)
    -Pro-V-Gly-W-Ala-Gly- (5)
    (式中、VはGln、Asn、Leu、Ile、ValまたはAla、WはIleまたはLeuを表す。)
  3. ポリペプチド(I)において、mが2〜12の整数、nが2〜15の整数、Zが、Gly、Sar、Ser、Glu、Asp、Lys、His、Ala、Val、Leu、Arg、Pro、Tyr、Ileから選択された1〜10個のアミノ酸残基から構成されているペプチド鎖、rが1〜10の整数、RがC2-12アルキレン基である請求項2記載の製剤組成物。
  4. ポリペプチド(II)が、式(4)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットと、式(5)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットとを、ペプチドユニット(4)/ペプチドユニット(5)=99/1〜30/70(モル比)の割合で含む請求項2記載の製剤組成物。
  5. ポリペプチドが、円二色性スペクトルにおいて、波長220〜230nmに正のコットン効果を示し、波長195〜205nmに負のコットン効果を示す請求項1記載の製剤組成物。
  6. ポリペプチドの少なくとも一部が3重らせん構造を形成可能である請求項1記載の製剤組成物。
  7. ポリペプチドの分子量が5×103〜500×104の範囲にピークを示す請求項1記載の製剤組成物。
  8. ポリペプチドがコラゲナーゼ分解性を有する請求項1記載の製剤組成物。
  9. 固形製剤、半固形剤、又は液状製剤である請求項1記載の製剤組成物。
  10. 徐放性製剤である請求項1記載の製剤組成物。
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