以下に、本発明にかかる超音波診断装置について、図面を用いて詳しく説明する。
(第1の実施の形態)
以下、第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明にかかる超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、超音波診断装置は、超音波探触子101、送信回路102、受信回路103、検波回路104、DSC(ディジタル・スキャン・コンバータ)回路105、画像合成回路106、モニタ107(表示部)、制御部10、被検者情報データベース20(被検者情報格納部)、操作マクロデータベース30(操作マクロ格納部)、アプリケーション格納部40、および入力部50を備えている。
超音波探触子101は、被検体に対して超音波ビームの送波を行って、当該被検体によって反射される反射エコーを受信し、当該反射エコーをエコー信号へ変換する。送信回路102は、超音波探触子101に対して駆動信号を送信する。また、受信回路103は、超音波探触子101からエコー信号を受信する。検波回路104は、受信回路103で受信したエコー信号を検波する。DSC回路105は、検波回路104により検波されたエコー信号を超音波画像として画像化する。画像合成回路106は、DSC回路105で画像化された超音波画像と、文字、記号、図など各種グラフィックとを合成する。モニタ107は、画像合成回路106により合成された超音波画像および各種グラフィックを表示する。
被検者情報データベース20(以下、被検者情報DB20と称す)は、被検者名、体型、診断部位(診断領域)、年齢、性別等の被検者に関する情報(以下、被検者情報と称す)を格納している。被検者情報DB20には、上記の被検者情報の他に、例えば、被検者の過去における診断結果等の情報が蓄積されていてもよい。なお、被検者情報DB20に格納される被検者情報は、オペレータによって、登録、編集、検索、および削除される。
ここで、図面を用いて、被検者情報DB20に格納される被検者情報について説明する。図3は、被検者情報DB20に格納される被検者情報の一例を示す説明図である。なお、図3に示した被検者情報は、被検者情報の内容を概念的に示したものであって、実際のデータフォーマットはこの例に限定されない。
図3に示すように、被検者情報として、被検者ごとのレコードR11〜R15・・・が、被検者情報DB20に格納されている。レコードR11〜R15・・・のそれぞれは、当該被検者の被検者名(項目C11)、体型(項目C12)、診断部位(項目C13)、年齢(項目C14)、性別(項目C15)・・・を項目として含む。なお、図3に示した項目は一例に過ぎず、被検者を特定するための項目(上記の被検者名、被検者識別番号(Patient ID)またはカルテ番号等)と後述の操作マクロを特定するための項目(本実施の形態では上記の診断部位)とを少なくとも含んでいることを条件として、上記以外にも任意の項目を被検者情報に含めることができる。
操作マクロデータベース30(以下、操作マクロDB30と称す)は、操作マクロを格納している。操作マクロとは、超音波診断装置による診断に要する一連の操作とその実行順序とを、各操作を制御するアプリケーションプログラムを特定する情報(アプリケーション情報)によって表したものである。操作マクロは、一例として、診断部位ごとに作成される。なお、操作マクロDB30に格納される操作マクロは、オペレータによって、任意に登録、編集、検索、および削除される。
また、操作マクロは、診断部位ごとに作成されることに限定されず、少なくとも診断部位を含んでいれば、施設やオペレータ等の種々の項目ごとに作成されてもよい。例えば、一般的な操作フローと異なる順番で操作が行われたり、別の操作が行われたり、あるいは、実行されない操作があったりする等、操作フローは、施設やオペレータ、診断部位により異なる。従って、オペレータは所望の操作を制御するアプリケーションプログラムの名称とその実行順序とを表した操作マクロを作成し、操作マクロDB30へ格納すれば良い。
ここで、図面を用いて、操作マクロDB30に格納される操作マクロについて説明する。図4は、操作マクロDB30に格納する操作マクロの一例を示す説明図である。なお、図4に示した操作マクロは、操作マクロの内容を概念的に示したものであって、実際のデータフォーマットはこの例に限定されない。
図4に示すように、操作マクロとして、レコードR21〜R25・・・が、操作マクロDB30に格納されている。レコードR21〜R25・・・のそれぞれは、診断対象とする診断部位(項目C21)の情報の他に、実行するアプリケーションプログラムを特定するアドレス(項目C22、項目C23・・・)を実行順に含んでいる。診断部位(項目C21)の項には、操作マクロが対象とする診断部位を表す情報が格納される。項目C22〜C27・・・には、アドレスが格納され、このアドレスによって、実行されるアプリケーションプログラムを特定している。
例えば、操作マクロR21には、「心臓(項目C21)」、「A01(項目C22)」、「A02(項目C23)」、「A03(項目C24)」、「A04(項目C25)」、「A05(項目C26)」が格納されている。操作マクロR21によって示される操作マクロは、心臓を診断対象とする操作マクロである。また、項目C22に格納されるアドレス「A01」は、実行するアプリケーションプログラムの、ある程度の独立性を持つプログラムのまとまりである実行モジュールの格納先を示すことによって、1番目に実行されるアプリケーションプログラムを特定している。
なお、ここでは、アプリケーションプログラムを特定する情報として、実行するアプリケーションプログラムの実行モジュールの格納先を示すアドレスを用いたが、アプリケーションプログラムを特定する情報は、この一例に限定されない。例えば、アプリケーションを特定する情報は、アプリケーションプログラムの名称、あるいはアプリケーションプログラムの識別番号等であっても良い。
アプリケーション格納部40には、診断に必要な各種操作を実現するため、機能ごとにアプリケーションプログラムの実行モジュールが格納されている。当該実行モジュールが後述する制御部10のアプリケーション実行部11によって実行されることにより、各機能が実現される。アプリケーション格納部40に格納される実行モジュールは、例えば、以下のような機能を実現するものがある。例えば、探触子選択機能とは、診断部位に適した探触子をオペレータへ明示する。画質調整機能とは、超音波画像を被検者に適した画質パラメータによって調整する。ボディパターン表示機能とは、ボディパターンの表示を行う。計測機能とは、診断部位の大きさを測定する。画像保存機能とは、超音波画像を保存する。穿刺用ガイドライン表示機能とは、穿刺針のガイドラインを表示する。モード表示機能とは、各種診断に必要なモードの表示を行う。テキスト表示機能とは、臓器名や位置を示す文字列の表示を行う。画像読出機能とは、超音波画像の読み出しを行う。
図5は、アプリケーション格納部40の概略を示す説明図である。アプリケーション格納部40は、アドレスが割りあてられた格納領域を有している。当該格納領域へは、アプリケーションプログラムの実行モジュールが格納される。図5中のアドレス(A01〜A09)は、アプリケーション格納部40に格納された各実行モジュールの先頭アドレスを示す。各実行モジュールは、アプリケーション実行部11に先頭アドレスから連鎖的に読み込まれることによって実行される。すなわち、先頭アドレスが決定されれば、当該アドレスに格納された実行モジュールの呼び出しが可能である。
入力部50は、オペレータによって操作される、キーボード等の入力デバイスである。入力部50が操作されることにより、超音波ビームの照射設定等が行われる。
制御部10は、送信回路102、受信回路103、検波回路104、DSC回路105、および画像合成回路106を制御する。制御部10の機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)が所定のプログラムを実行することにより、実現される。制御部10は、アプリケーションプログラムの実行モジュールを実行するアプリケーション実行部11を有している。
以上のように構成された超音波診断装置の動作について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態にかかる超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
まず、入力部50がオペレータに操作されることにより、被検者名等の被検者を特定する情報が入力される(ステップS1)。
制御部10のアプリケーション実行部11は、ステップS1において入力された被検者を特定する情報を用いて、被検者情報DB20を検索し、当該被検者の被検者情報を取得する(ステップS2)。
例えば、オペレータによって、被検者名(「A」)が入力されたとし、被検者情報DB20には、図3に示すように、被検者情報として、レコードR11〜R15が格納されているとする。ステップS2では、アプリケーション実行部11は、入力された被検者名「A」を用いて、被検者情報DB20を検索する。被検者情報DB20には、被検者名「A」が存在しているため、アプリケーション実行部11は、検索結果として、被検者情報R11を取得する。
次に、アプリケーション実行部11は、被検者情報に含まれる、操作マクロを特定する情報(以下、マクロ特定情報)を用いて、操作マクロDB30を検索し、診断に適した操作マクロを取得する(ステップS3)。
なお、例えば、マクロ特定情報が診断部位であり、一人の被検者に対して複数の診断部位がある場合、一例として、アプリケーション実行部11が、複数の診断部位の一覧を、モニタ107へ表示する等し、オペレータに選択させた診断部位が、マクロ特定情報であるとしてもよい。
例えば、図3に示すように、被検者名「C」に対して、診断部位が「腎臓」であるレコードR13と、診断部位が「腕」であるレコードR14とが存在している場合、アプリケーション実行部11が、被検者Cの診断部位である「腎臓」と「腕」とをモニタ107へ一覧表示する。オペレータは、モニタ107を見ながら、入力部50を操作して、いずれかの診断部位を選択する。ステップS3では、選択された診断部位に適した操作マクロがアプリケーション実行部11によって選択され、当該操作マクロにしたがって、ステップS4以降の処理が行われる。
次に、アプリケーション実行部11は、操作マクロに表されたアプリケーションプログラムのアドレスを取得し、当該アプリケーションプログラムを呼び出す。(ステップS4)。
アプリケーション実行部11は、アプリケーション格納部40の該当するアドレスに格納されたアプリケーションプログラムの実行モジュールをロードし、実行する(ステップS5)。その後、アプリケーション実行部11は、操作マクロに指定される全てのアプリケーションプログラムを実行し終えたか否かを判断する(ステップS6)。
ステップS6の判断の結果、全てのアプリケーションプログラムを実行し終えていた場合(Yes)、診断を終了する。ステップS6の判断の結果、まだ実行するアプリケーションプログラムが残っていた場合(No)、ステップS4へ戻る。このようにして、アプリケーション実行部11が、操作マクロに指定される全てのアプリケーションプログラムを実行し終えるまで、ステップS4〜S6の処理が繰り返される。
なお、診断が終了した後、同一診断部位において、さらに他の断面における診断を行う場合は、例えば、被検者情報等をメモリ(図示せず)等に保持しておく等して、再びステップS3の処理へ戻り、再び操作マクロの選択が行われてもよい。
ここで、一例として、マクロ特定情報として、被検者情報に含まれる診断部位を用い、アプリケーション実行部11が、操作マクロを特定する方法について、図3および図4を用いて説明する。また、ここでは、アプリケーション実行部11が、ステップS2において、被検者情報DB20から、被検者情報としてレコードR11を取得しているとする。さらに、操作マクロDB30は図4に示すように、操作マクロとしてレコードR21〜R25が格納されているとする。
アプリケーション実行部11は、被検者情報R11の診断部位「心臓」を用いて、操作マクロDB30を検索する。操作マクロDB30には、診断部位「心臓」が存在しているため、アプリケーション実行部11は、検索結果として、図4中の操作マクロR21を取得する。
操作マクロR21は、「心臓(項目C21)」を診断対象とし、「A01(項目C22)」、「A02(項目C23)」、「A03(項目C24)」、「A04(項目C25)」、および「A05(項目C26)」のアドレスに格納されるアプリケーションプログラムを、項目C22〜C26の順序で実行する操作フローを示したものである。
図4に示すように、操作マクロR21の項目C22には、1番目に実行されるアプリケーションプログラムの格納先であるアドレス(「A01」)が格納されている。アプリケーション実行部11は、操作マクロR21の項目C22からアドレス「A01」を取得し、アドレス「A01」に格納されているアプリケーションプログラムを呼び出す。
アプリケーション実行部11は、アプリケーション格納部40(図5参照)のアドレス「A01」を参照する。図5に示すように、アドレス「A01」には、「探触子選択」アプリケーションプログラムの実行モジュールが先頭から格納されている。アプリケーション実行部11は、当該実行モジュールをロードして、実行する。
「探触子選択」アプリケーションプログラムの実行モジュールは、診断部位に適した超音波探触子101を選択する機能を実現する。ここでは、操作マクロR21の対象となる診断部位が「心臓」であるため、複数の超音波探触子101の中から、「心臓」の診断に適した超音波探触子101を、超音波探触子101ごとに設けられた警告灯(図示せず)等を点灯させるなどして、明示する。
その後、アプリケーション実行部11は、操作マクロR21に指定されるアプリケーションプログラムをすべて実行し終えたか否かを判断する。ここでの判断は、一例として、次に実行されるアプリケーションプログラムが項目C23に存在するか否かによって行われる。
図4に示すように、操作マクロR21の項目C23には、2番目に実行されるアプリケーションプログラムのアドレス(「A02」)が格納されている。アプリケーション実行部11は、操作マクロR21の項目C23からアドレス「A02」を取得し、アドレス「A02」に格納されているアプリケーションプログラムを呼び出す。
アプリケーション実行部11は、アプリケーション格納部40のアドレス「A02」を参照する。アドレス「A02」には、「画質調整」アプリケーションプログラムの実行モジュールが先頭から格納されている。アプリケーション実行部11は、当該実行モジュールをロードして、実行する。
「画質調整」アプリケーションプログラムの実行モジュールは、診断を行うために最適な画像を取得するため、あらかじめ診断部位ごとに設定された、ゲイン、ダイナミックレンジ、走査線密度、輪郭強調(エッジエンハンス)、深さ、周波数等の各種画質パラメータを、被検者情報DB20から取得した被検者情報を用いて調整する機能を実現する。ここで用いられる被検者情報とは、例えば、「体型」等、超音波ビームの減衰度を増減する要素等である。なお、「画質調整」アプリケーションプログラムの実行モジュールによって調整された画質パラメータは、DSC回路105によって用いられ、超音波画像が調整される。
一例として、被検者情報DB20から取得した被検者情報のレコードR11を用いて、「画質調整」アプリケーションプログラムの実行モジュールの動作について説明する。被検者情報のレコードR11の「体型(C12)」には、「肥満型」という被検者の体型を示す情報が格納されている。「体型:肥満型」は脂肪量が多いことを示し、受信回路103によって受信される反射エコーの信号強度は、「体型」が「一般型」である場合と比較して低くなる。そのため、各種画質パラメータを一括して高めに調整するように設定された「体型:肥満型」の調整用データがメモリ(図示せず)にあらかじめ格納されている。調整用データには、画質パラメータごとに、当該画質パラメータを示す値を増減する値が含まれている。「画質調整」アプリケーションプログラムの実行モジュールは、「体型:肥満型」の調整用データを用いて、超音波画像の各種画質パラメータを一括して高めに調整する。また、「体型」ごとに、調整用データを用意するのではなく、「ゲイン」および「表示深度」等の各種画質パラメータごとに、調整用データを前記メモリにあらかじめ格納し、これらの調整用データを用いて超音波画像の画質パラメータを個別に調整してもよい。
なお、「モード選択」アプリケーションプログラムは、「画質調整」アプリケーションプログラムと同様に、超音波画像を調整するためのアプリケーションプログラムであるため、「画質調整」アプリケーションプログラムの前後いずれかにおいて続けて実行される、一連のアプリケーションプログラムとしてもよい。
「モード選択」アプリケーションプログラムの実行モジュールは、診断部位に応じ、2D、M、Color Flow、Doppler、THI(Tissue Harmonic Imaging:組織ハーモニックイメージング)、CHI(Contrast Harmonic Imaging:コントラストハーモニックイメージング)、FEI(Flash Echo Imaging:フラッシュエコーイメージング)等のモード等を変更する機能を実現する。
その後、アプリケーション実行部11は、操作マクロR21に指定されるアプリケーションプログラムをすべて実行し終えたか否かを判断する。
図4に示すように、操作マクロR21の項目C24には、3番目に実行されるアプリケーションプログラムのアドレス(「A03」)が格納されている。アプリケーション実行部11は、操作マクロR21の項目C24からアドレス「A03」を取得し、アドレス「A03」に格納されているアプリケーションプログラムの実行モジュールを呼び出す。
アプリケーション実行部11は、アプリケーション格納部40のアドレス「A03」を参照する。アドレス「A03」には、「ボディパターン表示」アプリケーションプログラムの実行モジュールが先頭から格納されている。アプリケーション実行部11は、当該実行モジュールをロードして、実行する。
「ボディパターン表示」アプリケーションプログラムの実行モジュールは、診断部位または超音波探触子101をあてた場所を示すボディパターンを、超音波探触子101によって受信された反射エコーから把握する機能を実現する。「ボディパターン表示」アプリケーションプログラムの実行モジュールによって取得されたボディパターンは、画像合成回路106によって、モニタ107へ表示される。
なお、「テキスト表示」アプリケーションプログラムは、「ボディパターン表示」アプリケーションプログラムと同様に、モニタ107上の超音波画像に合成される各種グラフィックを生成するためのアプリケーションプログラムであるため、一連のアプリケーションプログラムとして、「ボディパターン表示」アプリケーションプログラムの前後いずれかにおいて続けて実行されてもよい。「テキスト表示」アプリケーションプログラムの実行モジュールは、診断部位または臓器名を示す文字列を、入力部50によって入力されたテキスト情報から取得する。
その後、アプリケーション実行部11は、操作マクロR21に指定されるアプリケーションプログラムをすべて実行し終えたか否かを判断する機能を実現する。
図4に示すように、操作マクロR21の項目C25には、4番目に実行されるアプリケーションプログラムのアドレス(「A04」)が格納されている。アプリケーション実行部11は、操作マクロR21の項目C25からアドレス「A04」を取得し、アドレス「A04」に格納されているアプリケーションプログラムの実行モジュールを呼び出す。
アプリケーション実行部11は、アプリケーション格納部40のアドレス「A04」を参照する。アドレス「A04」には、「計測」アプリケーションプログラムの実行モジュールが先頭から格納されている。アプリケーション実行部11は、当該実行モジュールをロードして、実行する。
「計測」アプリケーションプログラムの実行モジュールは、ガン、臓器等の関心領域の大きさ、面積や体積、流速などの各種計測等を行う機能を実現する。例えば、「計測」アプリケーションプログラムの実行モジュールは、超音波画像の中央部近傍において、計測対象を特定するための計測枠(図示せず)を用い、当該計測枠内で各種計測を行ってもよい。
その後、アプリケーション実行部11は、操作マクロR21に指定されるアプリケーションプログラムをすべて実行し終えたか否かを判断する。
図4に示すように、操作マクロR21の項目C26には、5番目に実行されるアプリケーションプログラムのアドレス(「A05」)が格納されている。アプリケーション実行部11は、操作マクロR21の項目C26からアドレス「A05」を取得し、アドレス「A05」に格納されているアプリケーションプログラムの実行モジュールを呼び出す。
アプリケーション実行部11は、アプリケーション格納部40のアドレス「A05」を参照する。アドレス「A05」には、「画像保存」アプリケーションプログラムの実行モジュールが先頭から格納されている。アプリケーション実行部11は、当該実行モジュールをロードして、実行する。
「画像保存」アプリケーションプログラムの実行モジュールは、ボディパターン、文字列、および計測結果等を診断の証拠とするため、プリンタやビデオ、TIFFやJPEG、MPEGなど電子ファイルのフォーマットによって、メモリ(図示せず)等へ画像の保存を行う機能を実現する。
その後、アプリケーション実行部11は、操作マクロR21に指定されるアプリケーションプログラムをすべて実行し終えたか否かを判断する。図4に示すように、操作マクロR21の項目C27には、6番目に実行するアプリケーションプログラムのアドレスが格納されていない(「null」または「ブランク」)。従って、アプリケーション実行部11は、操作マクロR21に指定された全てのアプリケーションプログラムを実行し終えたこととなる。
以上のように、本実施の形態にかかる超音波診断装置は、操作マクロに含まれるアプリケーションプログラムを特定するアドレス等の情報と当該アプリケーションプログラムの実行順序によって操作フローが決定される。制御部10のアプリケーション実行部11は、当該操作マクロによって指定されるアプリケーションプログラムを、アプリケーション格納部40から呼び出し、オペレータが各実行モジュールの実行完了を確認するだけで、次の実行モジュールに移行し、順に実行させる。これにより、オペレータとしては、実行完了を確認するだけであることから、多数のキーの中から、診断において必要とする操作が割り付けられたキーを探し出す手間を省くことができ、被検者の診断に必要なアプリケーションプログラムを、被検者の診断に応じた順番で操作することができる。
なお、本実施の形態において、操作マクロに表されたアプリケーションプログラムのアドレスを用いて、アプリケーション格納部40から、アプリケーションプログラムの実行モジュールを特定すると記載したが、アプリケーションプログラムの実行モジュールの決定方法はこの一例に限定されない。例えば、アプリケーション格納部40が、アプリケーションプログラムの名称とアプリケーション格納部40のアドレスとによって作成されたインデックス等を持っている場合には、操作マクロが、アプリケーションプログラムの名称によって表されていてもよい。例えば、インデックスをアプリケーションプログラムの名称で参照することにより、アプリケーション格納部40に格納されたアプリケーションプログラムの実行モジュールを決定することができる。
また、本実施の形態において、被検者情報DB20に格納された被検者情報に含まれている診断部位をマクロ特定情報として用いると記載したが、マクロ特定情報として用いられる診断部位は、被検者情報から抽出する場合に限定されない。診断部位は、例えば、被検者に当てられた超音波探触子101の位置、およびボディパターン等の診断領域に関する情報から類推されるのでも良い。
さらに、本実施の形態において、診断部位をマクロ特定情報として用いると記載したが、マクロ特定情報はこの一例に限定されない。マクロ特定情報は、例えば、操作マクロDB30に格納された操作マクロの一覧をモニタ107へ表示し、オペレータが当該一覧の中から選択する等のオペレータによって入力される操作マクロの選別に関する情報であっても良い。
(第2の実施の形態)
以下、第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態にかかる超音波診断装置は、被検者診断中における表示態様に特徴がある。
本実施の形態にかかる超音波診断装置の構成は、モニタへ表示される表示態様およびそれに伴う制御部と画像合成回路との動作を除き、第1の実施の形態において図1を用いながら説明した超音波診断装置の構成と同様である。そのため、以下、本実施の形態にかかる超音波診断装置の構成の説明において、図1を用いて説明する。
制御部10のアプリケーション実行部11は、取得した操作マクロに含まれる各アプリケーションプログラムの名称を、画像合成回路106を制御することにより、モニタ107へ表示させる。
図6は、本実施の形態にかかるモニタ107の表示態様の一例を示す説明図である。図6に示すように、モニタ107上に表示される画面301は、超音波画像302、画質表示領域303、深度スケール304、操作フロー領域305を含んでいる。
超音波画像302は、超音波探触子101によって受信した反射エコーから生成された画像である。なお、図6における超音波画像302は、Bモードによる画像であるが、本実施の形態にかかる超音波画像302はこの一例に限定されない。
画質表示領域303は、ゲイン(Gain)、ダイナミックレンジ(Dynamic Range)、走査線密度(Density)、輪郭強調(Edge Enhance:エッジエンハンス)、深さ(Depth)、周波数等の各種画質パラメータ等の各種情報である。深度スケール304は、超音波画像302における深さを示している。
操作フロー領域305は、操作マクロに含まれる各アプリケーションプログラムの名称を実行順序どおりに並べた操作フロー一覧である。ここでは、一例として、操作マクロR23に含まれる各アプリケーションプログラムの名称が一番目から順に表示されている。
以下に、本実施の形態において、操作マクロに含まれる各アプリケーションプログラムの名称をモニタ107へ表示する場合におけるアプリケーション実行部11の動作について説明する。
例えば、アプリケーション実行部11が、被検者情報DB20から、被検者情報R12を取得しているとする。図3に示すように、被検者情報のレコードR12には、診断部位「肝臓」が含まれているため、アプリケーション実行部11は、診断部位「肝臓」を用いて、操作マクロDB30を検索する。
操作マクロDB30の一例として、図7を用いて説明する。図7は、操作マクロDB30に格納する操作マクロの他の一例を示す説明図である。なお、ここでは、一例として、操作マクロにアプリケーションプログラムを特定する情報として、アプリケーションプログラムの名称が用いられるとする。
アプリケーション実行部11は、操作マクロDB30から「肝臓」を診断対象とする操作マクロR33を取得する。図7に示すように、操作マクロR33は、「探触子選択(項目C32)」、「画質調整(項目C33)」、「ボディパターンの表示(項目C34)」、および「計測(項目C35)」を含んでいる。アプリケーション実行部11は、操作マクロに含まれる各アプリケーションプログラムの名称を項目C32から順にモニタ107の操作フロー領域305へ表示するよう、画像合成部106へ支持する。画像合成部106は、超音波画像に操作フロー一覧を合成する。
以上のように、本実施の形態にかかる超音波診断装置は、制御部10のアプリケーション実行部11が取得する操作マクロによって指定されるアプリケーションプログラムを実行させる。これにより、オペレータは多数のキーの中から、診断において必要とする操作が割り付けられたキーを探し出す手間を省くことができ、被検者の診断に必要なアプリケーションプログラムを、被検者の診断に応じた順番で操作することができる。さらに、アプリケーション実行部11が、画像合成回路106を制御することにより、当該操作マクロを各アプリケーションプログラムの名称を実行順序に応じて並べた操作フロー一覧として、モニタ107の操作フロー領域305へ表示する。これにより、オペレータは、アプリケーションプログラムを事前に知ることができるため、無用な操作ミスを防止することができる。
なお、本実施の形態において、操作フロー領域305には、操作マクロに含まれている全てのアプリケーションプログラムの名称が表示されていなくてもよい。例えば、1つ前に実行されたアプリケーションプログラムの名称、または1つ後に実行されるアプリケーションプログラムの名称のいずれかのみを表示してもよい。あるいは、操作フローが進むに従って、既に実行されたアプリケーションプログラムの名称が操作フロー領域305から消去されていってもよいし、既に実行されたアプリケーションプログラムの名称のみが、操作フロー領域305に表示されていてもよい。
また、本実施の形態において、操作フロー領域305に表示された各アプリケーションプログラムの名称の中から、入力部50を介して、所望のアプリケーションプログラムの名称が選択され、実行されても良い。被検者情報の中から特定された操作マクロのうち、アプリケーションプログラムを選択的に実行することができる。
(第3の実施の形態)
以下、第3の実施の形態について、図8および図9を参照しながら説明する。なお、本実施の形態にかかる超音波診断装置は、既存の操作マクロをカスタマイズすることにより、新たな操作マクロ(カスタマイズマクロ)を生成する点に特徴がある。なお、カスタマイズマクロは、特定の被検者に適した操作マクロ、特定の診断施設または診断部署に適した操作マクロ、特別な診断の必要性に応じた操作マクロ、あるいは、オペレータの好みに応じた操作マクロ等の、様々な目的に適した操作マクロとして生成される。
図8は、本実施の形態にかかる超音波診断装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態で図1を参照しながら説明した超音波診断装置の構成と同様の構成については、図8において同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。
図8に示すように、本実施の形態にかかる超音波診断装置は、カスタマイズマクロを生成するマクロ生成部12をさらに備える。マクロ生成部12は、入力部50からオペレータによって入力される、既存の操作マクロに対する変更指示に従い、操作マクロDB30に格納された既存の操作マクロに基づいてカスタマイズマクロを生成する。
ここで、マクロ生成部12がカスタマイズマクロを生成する処理の手順について、図9を参照しながら説明する。まず、入力部50が、オペレータから、カスタマイズマクロの基本となる既存の操作マクロ(以下、既存操作マクロと称す)を選択する入力を受け付ける(ステップS11)。次に、マクロ生成部12は、ステップS11の入力に従って、操作マクロDB30から既存操作マクロを取得する(ステップS12)。
オペレータが、入力部50により、既存操作マクロについて診断に要する一連の操作と当該操作の実行順序との少なくともいずれかを変更するための変更指示を入力すると、入力部50は、その変更指示をマクロ生成部12へ渡す(ステップS13)。なお、ここで入力される変更指示とは、既存操作マクロをどのようにカスタマイズするかについてのオペレータの指示である。例えば、オペレータは、既存操作マクロによって実行される一連の操作の実行順序を変更するよう変更指示を入力することができる。あるいは、オペレータは、既存操作マクロによって実行される一連の操作のうちいずれかの操作を削除するよう変更指示を入力することもできる。また、オペレータは、既存操作マクロによって実行される一連の操作に他の操作を追加したり、一連の操作のいずれかを他の操作へ置換したりするよう変更指示を入力することもできる。なお、ここで追加または置換できる操作は、その操作を実現するためのアプリケーションプログラムがアプリケーション格納部40に格納されている操作である。
マクロ生成部12は、ステップS13で入力された変更指示に従い、ステップS12で取得した既存操作マクロに変更を加えることにより、カスタマイズマクロを生成する(ステップS14)。生成されたカスタマイズマクロは、既存操作マクロとは別に、操作マクロDB30へ格納される。ステップS14において、例えば、変更指示が、既存操作マクロによって実行される一連の操作のうちいずれかの操作を削除する指示である場合は、マクロ生成部12は、既存操作マクロのアプリケーション情報から、削除を指示された操作を制御するアプリケーションプログラムを特定する情報を削除することにより、新たなカスタマイズマクロを生成する。また、変更指示が、既存操作マクロによって実行される一連の操作に他の操作を追加する指示である場合は、マクロ生成部12は、既存操作マクロのアプリケーション情報に、追加を指示された操作を制御するアプリケーションプログラムを特定する情報を追加することにより、新たなカスタマイズマクロを生成する。
以上のステップS11〜S14の処理により、第3の実施の形態にかかる超音波診断装置によれば、既存操作マクロから新たな操作マクロを容易に生成することができる。
なお、ステップS13における変更指示の入力の際、既存操作マクロによって実行される一連の操作およびその実行順序をモニタ107へ表示し、オペレータがモニタ107を参照しながら入力部50を操作できるようにしても良い。
例えば、既存操作マクロの一連の操作の実行順序を変更したい場合、オペレータは、マウスのドラッグ操作等によって、モニタ107上で表示された操作の順序を所望の順序に並べ替えることにより、直感的操作によって変更指示を容易に入力することができる。あるいは、既存操作マクロの一連の操作からいずれかの操作を削除したい場合は、オペレータは、マウス等を用いて、モニタ107上で表示された一連の操作中で削除したい操作を選択すれば良い。
また、例えば、モニタ107に表示された既存操作マクロの一連の操作に他の操作を追加したり、一連の操作のいずれかを他の操作に置換したりする場合、アプリケーション格納部40に格納されているアプリケーションプログラムによって実現可能な操作の一覧をモニタ107へ表示することが好ましい。これにより、オペレータは、入力部50を用いて、モニタ107に一覧表示された操作のいずれかを、追加すべき操作または置換すべき操作として選択できる。
以上のように、本実施の形態にかかる超音波診断装置は、前述の各実施の形態と同様に、アプリケーション実行部12が操作マクロによって指定されるアプリケーションプログラムを順次実行することにより、診断に要する一連の操作を実行する。これにより、オペレータは多数のキーの中から、診断において必要とする操作が割り付けられたキーを探し出す手間を省くことができる。さらに、本実施の形態にかかる超音波診断装置では、マクロ生成部12が、オペレータが入力部50から入力した変更指示に従って既存の操作マクロに変更を加えることにより、新たな操作マクロを生成する。これにより、最初から操作マクロを生成する場合と比べてより容易に、種々の目的に適したカスタマイズマクロを生成することができる。
また、上記各実施の形態にかかる超音波診断装置において、取り外し可能な記憶部として外部記憶装置または記録媒体(以下、外部記憶装置と称する)を備えることが好ましい。外部記憶装置には、例えば、LANまたはインターネット等のネットワークによって接続されたパーソナルコンピュータ、ICカード、フレキシブルディスク、CD、MO、DVD、USBメモリ、およびメモリーカード等を用いる。外部記憶装置は、被検者情報DB20に登録されている被検者情報、操作マクロDB30に登録されている操作マクロ、およびアプリケーション格納部40にて必要な各種アプリケーションプログラムの設定情報の少なくとも一つ以上の情報を保存する。ここでいうアプリケーションプログラムの設定情報とは、超音波診断装置の各種設定情報を含む。具体的な例としては、「計測」アプリケーションにおいて用いられる、距離計測または楕円計測等の計測の種類、「ボディパターン表示」アプリケーションにおいて用いられる、心臓系ボディパターンまたは腹部系ボディパターン等の表示パターンの種類、「画像保存」アプリケーションにおいて用いられる、保存形式または出力態様等である。このように、外部記憶装置に保存された被検者情報、操作マクロ、アプリケーションプログラムの設定情報等の各種情報が、制御部10のアプリケーション実行部11によって読み出されることにより、異なる超音波診断装置においても、同一の操作環境を容易に実現することが可能となる。従って、異なる超音波診断装置でも、オペレータは多数のキーの中から、診断において必要とする操作が割り付けられたキーを探し出す手間を省くことができ、被検者の診断に必要なアプリケーションプログラムを、被検者の診断に応じた順番で操作することができる。