JP4995646B2 - 建設機械キャブ - Google Patents

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本発明は、中空材で骨組みが構成された建設機械キャブに関するものである。
建設機械キャブにおいて、複数の中空材を組み合わせてフレーム(骨組み)とし、そのフレームに窓を有するパネルを配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、図5に示すように、建設機械キャブ61の後部に、上下に延びる一対のリアピラー62、62と、それらリアピラー62、62の間を左右に延びるクロスメンバ63−65とが設けられる。それらリアピラー62、62とクロスメンバ63、65との間には、図示しない後窓を有するリアパネルが設けられる。後窓はキャブ61の上部に設けられ、その後窓のための開口部66が、リアピラー62、62とクロスメンバ63、64とで区画形成される。
ところで、従来、建設機械キャブ61では、建設機械の転倒時に乗員を保護するために、様々な保護構造が提案されている。その転倒時の保護構造においては、リアピラー62の補強構造が重要である。
例えば、転倒時のキャブ61の保護対策として、中空状のリアピラー62(中空材)を使用してキャブ61を補強したものがある。中空状のリアピラー62は、角パイプ、異形鋼管、チャネル形状のパネルを中空状に接合したものなどで形成される。
特開2002−115268号公報
しかしながら、上述した中空状のリアピラー62では、建設機械の転倒時に、リアピラー62が座屈してしまうという問題があった。
すなわち、建設機械の転倒時、キャブ61が横に転倒し、下側になったリアピラー62にクロスメンバ63、64を介して荷重が加わり、後窓の開口部66のコーナー部(隅
部)でリアピラー62が座屈してしまう。
そこで、図6に示すように、後窓の開口部66のコーナー部に三角形状のガセット材67を追加することが考えられるが、図6の符号Bで示すように、ガセット材67の端部68(図7参照)でリアピラー62が座屈してしまうという問題があった。
その座屈を防止するために、ガセット材67を大きくすると、そのガセット材67により後窓の開口部66が塞がれてしまい、後窓の視界が狭くなってしまう。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、十分な後方視界を確保しつつ骨組みを構成する中空材の座屈を防止することができる建設機械キャブを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、建設機械の旋回体上に設けられ、開閉可能なドアが設けられた側面部と前窓が設けられた前面部と天窓が設けられたルーフ部と後窓が設けられた後面部とを備え、上記後窓のための開口部が、上下に延びる一対の中空状のリアピラーとそれらリアピラー間に架け渡された中空状のクロスメンバとで形成されると共に、上記開口部の四隅にガセット材が各々設けられ、上記ガセット材が、上記リアピラーと上記クロスメンバとの間に斜めに架け渡された斜板と、その斜板の両側に各々設けられ上記リアピラーと上記クロスメンバとに接合する一対の三角側板と、上記斜板の両端から上記リアピラーまたは上記クロスメンバに沿って延び、そのリアピラーまたはクロスメンバに面接触する座屈防止板とを有する建設機械キャブにおいて、上記座屈防止板は、上記斜板の両端から上記リアピラーまたは上記クロスメンバに沿って一定幅で延びる基部と、その基部から上記リアピラーまたは上記クロスメンバに沿って延び、先端に至るにつれ幅が細くなるテーパ部とを有し、上記座屈防止板が、上記基部および上記テーパ部の縁に沿って上記リアピラーまたは上記クロスメンバに溶接により接合されたものである。
好ましくは、リアパネルにより塞がれるリア開口部が、上記後窓の下方に位置させて上記リアピラーと上記クロスメンバとで区画形成されると共に、上記リア開口部の四隅に下側ガセット材が各々設けられ、上記下側ガセット材が、上記リアピラーと上記クロスメンバとの間に斜めに架け渡された下側斜板と、その下側斜板の両側に各々設けられ上記リアピラーと上記クロスメンバとに接合する一対の下側三角側板とを有し、上記ガセット材は、後方視界を確保すべく上記下側ガセット材よりも小さく形成されるものである。
好ましくは、上記斜板と上記三角側板とで形成される角部にアールが設けられたものである。
本発明によれば、十分な後方視界を確保しつつ、建設機械の横転時には骨組みを構成する中空材の座屈を防止できるという優れた効果を発揮するものである。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
本実施形態の建設機械キャブ(以下、キャブという)は、例えば油圧ショベルなどの建設機械の運転室として用いられる。
図1から図4に基づき本実施形態のキャブの構造を説明する。以下の説明において、前後、左右、上下とは、キャブ内の乗員から見た方向をいう。
図1に示すように、キャブ1は、前方側に配置され上下に延びる左右一対のフロントピラー2、2と、後方側に配置され上下に延びる左右一対のリアピラー3、3と、フロントピラー2、2の間に配置されキャブ1の前面部をなすフロントパネル4と、リアピラー3、3の間に配置されキャブ1の後面部をなすリアパネル5と、フロントパネル4とリアパネル5との間を上方から覆いキャブ1のルーフ部をなすルーフパネル6と、フロントパネル4とリアパネル5との間を側方(左右)から覆いキャブ1の左右の側面部をなす左右のサイドパネル(図1では左側のみを示す)7とを備える。そのキャブ1は、図示しない建設機械の旋回体上に設けられ、該旋回体によりキャブ1の床部が形成される。
フロントピラー2、2は、キャブ1の前端部に左右に離間させて配置される。各フロントピラー2は、中空状に形成され、キャブ1の下部前端から後方側に傾斜しつつ上方に延びる。フロントピラー2、2の上端には、後述するルーフレール43、43を接続するための継手部材10、10が設けられる。
フロントピラー2、2の上端部(継手部材10)の間には、フロントヘッダ11が架け渡され、下端部の間には、フロントクロスメンバ12が架け渡される。それらフロントヘッダ11およびフロントクロスメンバ12は、中空状に形成されて左右に延び、両端が左右のフロントピラー2、2に各々接合(例えば、溶接接合)される。
以上のフロントピラー2、2と、フロントクロスメンバ12およびフロントヘッダ11とにより区画形成された開口部(フロント開口部)13に、フロントパネル4が配置される。
そのフロントパネル4には、キャブ1の前方視界を確保するための前窓14が設けられる。その前窓14は、フロント開口部13と略同じ大きさに形成され、キャブ1の前面部の略全面に形成される。
リアピラー3、3は、キャブ1の後端部に、フロントピラー2、2と略同じ間隔で左右に離間させて配置される。各リアピラー3、3は、中空状に形成され、略直線状に上下に延びる。リアピラー3、3の下端部には、リアピラー3、3を旋回体に取り付けるための取付フランジ15が形成される(図2参照)。
リアピラー3、3の間には、複数のクロスメンバ16−19が架け渡される。具体的には、クロスメンバ16−19として、リアピラー3、3の上端部に配置されたリアヘッダ16と、リアピラー3、3の上下の中間位置に配置された中間リアクロスメンバ17と、リアピラー3、3の下端部に配置された下側リアクロスメンバ18と、その下側リアクロスメンバ18と中間リアクロスメンバ17との間の中間位置に配置されたリアレインフォースメント19とが設けられる。
それらリアヘッダ16、中間リアクロスメンバ17、下側リアクロスメンバ18、リアレインフォースメント19は、中空状に形成されて左右に延び、両端が左右のリアピラー3、3に各々接合(例えば、溶接接合)される。
以上のリアピラー3、3とリアヘッダ16と下側リアクロスメンバ18により区画形成された開口部(リア開口部)にリアパネル5が配置される。そのリアパネル5の上部には後窓22が設けられる。
後窓22のための開口部(後窓開口部)24が、リアピラー3、3とリアヘッダ16と中間リアクロスメンバ17とにより区画形成される。
すなわち、リア開口部は、中間リアクロスメンバ17の上側の後窓開口部24と、中間リアクロスメンバ17の下側のリア下側開口部25とからなる。
後窓開口部24は、後窓22と共にキャブ1の後方視界を確保するためにリアパネル5の後窓22と同じ上下位置に設けられる。
図2に示すように、後窓開口部24の四隅(コーナー部)には、後窓開口部24(リアピラー3、3とリアヘッダ16および中間リアクロスメンバ17との接合部)を補強するためのガセット材(以下、窓側ガセット材という)26が各々設けられる。
後窓開口部24の四隅の各窓側ガセット材26は、取り付けの向きが異なる他は実質的に同様の形状を有する。そこで、以下、図3および図4に基づき、後窓開口部24の右下隅に設けられた窓側ガセット材26について説明する。
図3および図4に示すように、窓側ガセット材26は、リアピラー3と中間リアクロスメンバ17との間に斜めに架け渡された斜板31と、その斜板31の両側に各々設けられリアピラー3と中間リアクロスメンバ17とに接合する一対の三角側板32(図3および図4では一方のみを示す)と、斜板31の長手方向両端からリアピラー3または中間リアクロスメンバ17に沿って延び、そのリアピラー3または中間リアクロスメンバ17に面接触する座屈防止板(フランジ)33、33とを有する。
斜板31は、リアピラー3と中間リアクロスメンバ17との接合部(後窓開口部24の隅部)を補強すべく、その接合部より上方のリアピラー3から、左下に向かい中間リアクロスメンバ17まで斜めに延びる。その斜板31は、リアピラー3および中間リアクロスメンバ17よりも僅かに狭い幅を有する。
三角側板32は、図例では、略直角2等辺三角形状に形成され、その斜辺が、斜板31の幅方向の両側(縁部)に結合されると共に、残りの2辺が、リアピラー3および中間リアクロスメンバ17に各々接合(例えば、溶接接合)される。
座屈防止板33は、斜板31の長手方向の両端部に各々設けられ、一方の座屈防止板33(リアピラー3側の座屈防止板33)がリアピラー3に沿って上方に延び、他方の座屈防止板33(中間リアクロスメンバ17側の座屈防止板33)が中間リアクロスメンバ17に沿って左方に延びる。
リアピラー3側の座屈防止板33と中間リアクロスメンバ17側の座屈防止板33とは、実質的に同様の形状を有する。そこで、以下にリアピラー3側の座屈防止板33を説明する。
リアピラー3側の座屈防止板33は、斜板31の長手方向端部から上方に同じ幅で延びる基部35と、その基部35から上方に延び、先端に至るにつれ幅が細くなるテーパ部36とを有し、全体として舌状に形成される。その座屈防止板33は、リアピラー3に対して面で当接し、基部35およびテーパ部36の縁に沿ってリアピラー3に溶接接合される。
以上の斜板31と三角側板32と座屈防止板33とは、一体的に形成され、例えば、プレス成形による曲げ加工などで形成される。
図1に戻り、リア下側開口部25は、リアピラー3、3と中間リアクロスメンバ17と下側リアクロスメンバ18とで区画形成される。そのリア下側開口部25は、後窓22の下方に位置してリアパネル5により塞がれる。また、リア下側開口部25には、リア下側開口部25の補強のために、上記リアレインフォースメント19が設けられる。
リア下側開口部25の四隅には、座屈防止板33が省略されたガセット材(下側ガセット材)40が設けられる。
ここで、リア下側開口部25は、リアパネル5により塞がれるため、後窓開口部24のように後方視界の確保を考慮する必要がない。そのため、下側ガセット材40は、リアピラー3が座屈しないようにリアピラー3と三角側板との当接部分(面積)を広くして、窓側ガセット材26よりも大きく形成される。
したがって、本実施形態の窓側ガセット材26は、視界を確保すべく下側ガセット材40よりも小さく形成されると共に、リアピラー3、リアヘッダ16、或いは中間リアクロスメンバ17に沿って平板状に形成された座屈防止板33を有する。
フロントピラー2、2の上端部とリアピラー3、3の上端部との間には、前後に延びるルーフレール43、43が各々架け渡される。それらルーフレール43、43の間には、前後の中間位置に配置され左右に延びる中間ルーフサイドメンバ44と、中間ルーフサイドメンバ44とリアヘッダ16との間の中間位置に配置され左右に延びる後側ルーフサイドメンバ45とが架け渡される。
以上のルーフレール43、43とフロントヘッダ11とリアヘッダ16とにより区画形成された開口部(ルーフ開口部)46に、ルーフパネル6が配置される。そのルーフパネル6の前部には、キャブ1の上方視界を確保するための天窓47が設けられる。
フロントピラー2、2の下端部とリアピラー3、3の下端部との間には、前後に延びるサイドレール48、48が各々架け渡される。
右側(例えば、油圧ショベルでバケットが配置された側)のフロントピラー2とリアピラー3とルーフレール43とサイドレール48との間に、右側のサイドパネル(図示せず)が配置され、左側のフロントピラー2とリアピラー3とルーフレール43とサイドレール48の間に、左側のサイドパネル7が配置される。
より具体的には、左側のフロントピラー2とリアピラー3との間には、前後の中間位置に位置させて上下に延びるセンターピラー49が設けられる。
左側のサイドパネル7は、センターピラー49と左側のフロントピラー2との間に設けられる乗降のためのドア50と、そのドア50の後方に位置させて、センターピラー49と左側のリアピラー3との間に設けられる後側左サイドパネル51とで構成される。
以上のキャブ1の骨組みを構成するピラー、レール、およびサイドメンバは、中空材で形成され、その中空材は、例えば、パイプ材(異形鋼管など)や、パネル4−7に接合されそのパネル4−7とで閉断面をなすチャネル材などが考えられる。
次に、本実施形態の建設機械キャブ1の作用を説明する。
建設機械の転倒時、その建設機械の自重や転倒の衝撃による荷重がキャブ1に加わる。例えば、建設機械が左方に(ドア50側に)横転すると、キャブ1の後方側では、リアピラー3、3の一方が下方に位置して地面に当たることになる。その下側になったリアピラー3には、窓側ガセット材26を介して、上方からの荷重が掛かる。
ここで、本実施形態では、窓側ガセット材26にリアピラー3と面接触する座屈防止板33を設けているので、その座屈防止板33により、窓側ガセット材26からリアピラー3に加わる荷重(応力)が面で伝えられることになり、荷重が分散される。
そのため、本実施形態では、窓側ガセット材26からリアピラー3に掛かる荷重が、局所的に集中してしまうことがなくなり、リアピラー3の座屈を防止することができる。
つまり、図6に示す従来のガセット材67では、ガセット材67の端部が、リアピラー62の幅方向に沿って当接しているので、建設機械の横転時に、リアピラー3に掛かる荷重がガセット材67の端部で集中し、リアピラー62が座屈し易いという問題があった。
これに対して、本実施形態では、窓側ガセット材26の斜板31の端部に座屈防止板33を設けているので、建設機械の横転時に、窓側ガセット材26からリアピラー3に荷重が集中して掛かることがない。
このように、本実施形態では、骨組みをなすリアピラー3やクロスメンバ16、17などが中空材で形成された建設機械キャブ1において、建設機械の横転時に、中空材の座屈を防止することができる。
また、座屈防止板33を、リアピラー3、リアヘッダ16および中間リアクロスメンバ17に沿った平板状に形成したので、その座屈防止板33により後窓開口部24が塞がれることがなく、十分な後方視界を確保することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、様々な変形例や応用例が考えられるものである。
例えば、斜板31と三角側板32とで形成される角部に、アールを設けるようにしてもよい。その場合、角部に応力が集中することがなくなり、窓側ガセット材26の強度を向上させることができる。
図1は、本発明に係る一実施形態による建設機械キャブの概略斜視図である。 図2は、図1のA方向矢視図である。 図3は、本実施形態のガセット材の概略斜視図であり、リアピラーおよび中間リアクロスメンバに取り付けた状態を示す。 図4は、本実施形態のガセット材の概略斜視図である。 図5は、従来のキャブによるリアピラーおよびクロスメンバの概略斜視図である。 図6は、図5のVI部拡大図である。 図7は、従来のガセット材の概略斜視図である。
符号の説明
1 建設機械キャブ
3 リアピラー
4 フロントパネル(前面部)
5 リアパネル(後面部)
6 ルーフパネル(ルーフ部)
7 サイドパネル(側面部)
14 前窓
16、17 クロスメンバ
20 後窓
24 後窓開口部
26 窓側ガセット材(ガセット材)
31 斜板
32 三角側板
33 座屈防止板
47 天窓
50 ドア

Claims (3)

  1. 建設機械の旋回体上に設けられ、かつ、開閉可能なドアが設けられた側面部と、前窓が設けられた前面部と、天窓が設けられたルーフ部と、後窓が設けられた後面部とを備え、 上記後窓のための開口部が、上下に延びる一対の中空状のリアピラーとそれらリアピラー間に架け渡された中空状のクロスメンバとで区画形成されると共に、上記開口部の四隅にガセット材が各々設けられ、
    上記ガセット材が、上記リアピラーと上記クロスメンバとの間に斜めに架け渡された斜板と、その斜板の両側に各々設けられ上記リアピラーと上記クロスメンバとに接合する一対の三角側板と、上記斜板の両端から上記リアピラーまたは上記クロスメンバに沿って延び、そのリアピラーまたはクロスメンバに面接触する座屈防止板とを有する建設機械キャブにおいて、
    上記座屈防止板は、上記斜板の両端から上記リアピラーまたは上記クロスメンバに沿って一定幅で延びる基部と、その基部から上記リアピラーまたは上記クロスメンバに沿って延び、先端に至るにつれ幅が細くなるテーパ部とを有し、
    上記座屈防止板が、上記基部および上記テーパ部の縁に沿って上記リアピラーまたは上記クロスメンバに溶接により接合されたことを特徴とする建設機械キャブ。
  2. リアパネルにより塞がれるリア開口部が、上記後窓の下方に位置させて上記リアピラーと上記クロスメンバとで区画形成されると共に、上記リア開口部の四隅に下側ガセット材が各々設けられ、
    上記下側ガセット材が、上記リアピラーと上記クロスメンバとの間に斜めに架け渡された下側斜板と、その下側斜板の両側に各々設けられ上記リアピラーと上記クロスメンバとに接合する一対の下側三角側板とを有し、
    上記ガセット材は、後方視界を確保すべく上記下側ガセット材よりも小さく形成される請求項1記載の建設機械キャブ。
  3. 上記斜板と上記三角側板とで形成される角部にアールが設けられた請求項1記載の建設機械キャブ。
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