JP4994735B2 - エアバッグの折畳方法、及びエアバッグの折畳装置 - Google Patents

エアバッグの折畳方法、及びエアバッグの折畳装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガスが流入して膨張展開するエアバッグの折畳方法、及びエアバッグの折畳装置に関する。
従来、例えば、自動車のステアリングホイールに備えられるエアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置は、扁平な袋状をなすエアバッグと、このエアバッグを覆うカバー体と、ガスを供給するインフレータとなどを備えている。そして、このエアバッグは、通常時は、所定の方法で小さく折り畳まれてカバー体の内側に収納され、センサが衝突の衝撃を検出した状態で、インフレータからガスを供給してエアバッグを膨張させ、この膨張の圧力によりカバー体を破断してエアバッグを突出させ、エアバッグを乗員の前方に膨張展開させて、乗員に加わる衝撃を緩和する。
そして、今日において、展開特性を良好にするとともに、自動化が可能で製造コストを低減できるエアバッグの折畳方法が求められている。
例えば、運転席用の平面円形状のエアバッグについて、4個の剣状の工具でそれぞれ狭窄部を形成し、その後、スライダで圧縮して無秩序に折り畳む構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この構成では、スライダで圧縮された部分同士は、互いにかみ合わずに折り畳まれ、展開時に互いに干渉しないとの効果が図られるものの、各スライダで圧縮された部分は、それぞれ単に外周側から圧縮して無秩序に折り畳まれただけであるため、中央部から供給されたガスが外周部に円滑に供給されにくく、展開特性の設定が容易ではない。
また、多数の板状のスライダでエアバッグを内側へ押圧する構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この構成では、特許文献1と同様に、中央部から供給されたガスが外周部に円滑に供給されにくいとともに、多数のスライダを駆動する構造が複雑になり、製造コストが上昇する問題を有している。
さらに、エアバッグをアコーディオン状に折り畳んだ後、折り畳んだエアバッグを折り曲げる構成が知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この構成では、アコーディオン状に折り畳む構成及び折り畳んだエアバッグを折り曲げる構成について、自動化に適した構成がなんら示されていないとともに、アコーディオン状、すなわち、エアバッグ全体を互いに平行な多数の線に沿っていわば1方向に折り畳む構成では、展開時のエアバッグの挙動に強い方向性が生じ、所望の展開特性を得にくい問題を有している。
この点、耳状の余部を放射状に設け、これら余部同士の間の部分を中央部に向かって集積するとともに、折り畳み過程のエアバッグを回転させ、集積した部分の周囲に余部を沿わせる構成が知られている(例えば、特許文献4参照。)。この構成では、余部に沿って外周部までガスが円滑に供給され、外周側への迅速な展開が可能となり、好ましい展開特性を実現できるものの、折り畳み過程のエアバッグを回転させる工程すなわち製造装置が必要になり、製造コストが上昇する問題を有している。
特表2000−501354号公報(図9−図11) 特開平10−129381号公報(図3、図4) 特許第3579702号公報(図1、図2、図5) 国際公開第97/35745号パンフレット(図44)
上記従来のように、単に中心側に押圧して折り畳む構成では、所望の展開特性の実現が容易でない問題を有している。そして、エアバッグをアコーディオン状に折り畳んだ後、折り畳んだエアバッグを折り曲げる構成では、アコーディオン状に折り畳む構成及び折り畳んだエアバッグを折り曲げる構成について、自動化に適した構成がなんら示されていないとともに、アコーディオン状、すなわち、エアバッグ全体を互いに平行な多数の線に沿っていわば1方向に折り畳む構成では、展開時のエアバッグの挙動に強い方向性が生じ、所望の展開特性を得にくい問題を有している。また、耳状の余部を放射状に設け、これら余部同士の間の部分を中央部に向かって集積するとともに、折り畳み過程のエアバッグを回転させ、集積した部分の周囲に余部を沿わせる構成では、余部に沿って外周部までガスが円滑に供給され、外周側への迅速な展開が可能となり、好ましい展開特性を実現できるものの、折り畳み過程のエアバッグを回転させる工程すなわち製造装置が必要になり、製造コストが上昇する問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、展開特性が良好で、製造コストの低減が可能なエアバッグの折畳方法、及びエアバッグの折畳装置を提供することを目的とする。
請求項1記載のエアバッグの折畳方法は、折り畳まれた状態からガスの導入により膨張展開するエアバッグの折畳方法であって、袋状のエアバッグを平板状に広げ、この広げたエアバッグを複数カ所で外周側から所定点に向けて集積し、前記所定点を囲み波状に折曲された複数の第1集積部を形成するとともに、これら第1集積部の間に、それぞれ前記第1集積部に連続して波状に折り畳まれるとともに外周側に放射状に延びる複数の放射延設部を形成する第1集積工程と、前記各放射延設部の中間位置の所定の間隙を介する複数箇所を前記所定点に向かう方向と交差し互いに対向する方向に押圧して折りくせを付ける折りくせ付与工程と、折りくせが付与された各放射延設部を前記所定点に向けて集積し、前記第1集積部の折り線の方向とは交差しかつ互いに所定角度で交差する2方向を折り線の方向としてさらに波状に折曲された複数の第2集積部を形成する第2集積工程とを具備したものである。
そして、この構成では、平板状に広げたエアバッグを外周側から押圧することで、エアバッグが容易に折り畳まれる。第1集積工程で形成した放射延設部について、折りくせ付与工程で折りくせを付けた状態で、第2集積工程で押圧することにより、第2集積部が所望の波状の形状に形成される。折り畳み工程は簡略で、自動機による折り畳みも可能になり、製造コストが低減される。このように折り畳まれたエアバッグにガスを導入すると、外周側に膨出した第1集積部が外周側に迅速に放射状に展開するとともに、第2集積部が所望の状態で外周側に放射状に展開する。エアバッグが外周側に全体的に迅速に膨張展開する好ましい展開特性が容易に実現される。
請求項2記載のエアバッグの折畳方法は、請求項1記載のエアバッグの折畳方法において、各第1集積部は、それぞれ所定点から放射方向に沿って外周側に膨出する形状に折り畳み、各第2集積部は、前記所定点において所定角度で交差する2本の仮想線に対して互いに線対称の形状に折り畳んで配置するものである。
そして、この構成では、展開時に所定点を中心とする回転方向の方向性が生じないエアバッグが容易に折り畳まれる。
請求項3記載のエアバッグの折畳装置は、ガスの導入により膨張展開するエアバッグを折り畳むエアバッグの折畳装置であって、袋状のエアバッグが平板状に広げられる載置部と、この広げたエアバッグを外周側から所定点に向けて押圧し、前記所定点を囲み波状に折曲された複数の第1集積部を形成するとともに、これら第1集積部の間に、それぞれ前記第1集積部に連続して波状に折り畳まれるとともに外周側に放射状に延びる複数の放射延設部を形成する複数の第1の押圧体と、前記各放射延設部の中間位置の所定の間隙を介する複数箇所を前記所定点に向かう方向と交差し互いに対向する方向に押圧して折りくせを付ける複数の折りくせ付与手段と、折りくせが付与された各放射延設部を前記所定点に向けて集積し、前記第1集積部の折り線の方向とは交差しかつ互いに所定角度で交差する2方向を折り線の方向としてさらに波状に折曲された複数の第2集積部を形成する第2の押圧体とを具備したものである。
そして、この構成では、エアバッグを載置部上に平板状に広げた状態から、エアバッグが容易に折り畳まれる。第1の押圧体で押圧して形成した放射延設部について、折りくせ付与手段で折りくせを付けた状態で、第2の押圧体で押圧することにより、第2集積部が所望の波状の形状に形成される。折り畳み工程は簡略で、自動機による折り畳みが可能になり、製造コストが低減される。このように折り畳まれたエアバッグにガスを導入すると、外周側に膨出した第1集積部が外周側に迅速に放射状に展開するとともに、第2集積部が所望の状態で外周側に放射状に展開する。エアバッグが外周側に全体的に迅速に膨張展開する好ましい展開特性が容易に実現される。
請求項4記載のエアバッグの折畳装置は、請求項3記載のエアバッグの折畳装置において、折りくせ付与手段は、第1の押圧体の放射延設部に面する位置から進退可能に設けた押し込み駒を備えるものである。
そして、この構成では、折畳装置の構造が簡略化、小形化が容易になる
本発明によれば、好ましい展開特性を有するエアバッグが容易に提供され、製造コストの低減が可能になる。
以下、本発明のエアバッグの折畳方法、及びエアバッグの折畳装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図2において、1はエアバッグ装置で、このエアバッグ装置1は、自動車のステアリングホイールのステアリングホイール本体の中央のボス部に備えられ、乗員すなわち運転者とステアリングホイールとの間に展開して、被保護物である乗員を衝突の衝撃から保護するようになっている。なお、ステアリングホイールは、通常、傾斜した状態で用いられ、所定範囲で傾動可能に設けられているものであるが、以下、自動車の直進状態を基準として上下方向及び両側方向を説明するとともに、エアバッグ装置1の乗員側を正面側、エアバッグ装置1の底面側である車体側を背面側として説明する。また、図示しないが、ステアリングホイールは、円環状のリム部と、このリム部の内側に位置するボス部と、これらリム部とボス部とを連結するスポーク部とを備えている。例えば、3本あるいは4本のスポーク部を備えた構成では、スポーク部はボス部の両側方に2本と、下側方に1本あるは2本とが配置され、ボス部の前側とリム部との間には、メータ類を視認するための空間が大きく確保されるようになっている。
そして、エアバッグ装置1は、被取付部材であるステアリングホイール本体に取り付けられる取付体である金属製のベースプレート11と、このベースプレート11上に折り畳んだ状態で配置される袋状のエアバッグ12と、折り畳まれたエアバッグ12を正面側から覆ってベースプレート11に取り付けられるカバー体14と、ベースプレート11に背面側から取り付けられてエアバッグ12にガスを供給するインフレータ16と、エアバッグ12及びインフレータ16をベースプレート11に固定するリテーナ17となどから構成されている。
そして、ベースプレート11は、基板部11aと、この基板部11aの周縁部から正面側あるいは背面側に延設された側板部11bとを備えている。なお、側板部11bは、種々の形態を採り得るものであるが、この実施の形態では、側板部11bは基板部11aから若干正面側に突出するように形成されている。そして、基板部11aには、インフレータ挿入孔11cと、このインフレータ挿入孔11cの周囲に位置する取付孔11dとが形成されている。また、側板部11bには、カバー体14を係止などして固定するカバー体固定部11eが設けられている。さらに、側板部11bの正面側の部分の複数カ所から、支持部11fが突設され、各支持部11fには、ホーンスイッチ19が取り付けられている。
また、カバー体14は、ステアリングホイールのボス部及びスポーク部の一部を覆う被覆部14aと、この被覆部14aの裏面から背面側に突設された取付壁部14bとが、例えば、合成樹脂の射出成形などにより一体に形成されている。そして、このカバー体14の被覆部14aには、他の部分より脆弱に形成したテアラインが形成されている。さらに、このテアラインは、被覆部14aから連続的に取付壁部14bにまで延設することが可能であり、すなわち、テアラインを取付壁部14bの正面背面方向の中間位置まで延設したハーフボトムテア、あるいは、テアラインを取付壁部14bの背面側の端部あるいは背面側の端部近傍まで延設したボトムテアと呼ばれる構成も可能である。そして、本実施の形態では、上記のハーフボトムテアの構成が採られている。
そして、インフレータ16は、略円柱状をなす本体部16aと、この本体部16aの外周部に突設されたフランジ部16bとを備えている。そして、本体部16aの内側には、反応時に膨張用流体であるガスを発生する推進薬と、この推進薬に点火する点火器(スクイブ)とを備えている。また、フランジ部16bの正面側に位置し、本体部16aの周面には、ガスを噴射するガス噴射口が所定の間隔で形成されている。なお、この実施の形態では、インフレータ16は、いわゆるデュアルタイプで、例えば、130kPaと180kPaとの2段階にガスの圧力を変化できるようになっている。また、フランジ部16bの四隅の近傍には、円孔状の取付孔16cが設けられている。
また、エアバッグ12は、図2ないし図5に示すように、第1の面部を構成する下側基布である第1の基布21と、この第1の基布21に重ねられ第2の面部を構成する上側基布である第2の基布22とを備えている。また、これらの基布21,22は、所定の強度、柔軟性、気密性及び耐熱性などを有するもので、例えば、350デシテックス(315デニール)のナイロン製の布に、必要に応じてシリコーンのコーティングを施して形成されている。そして、第1の基布21と第2の基布22とは、互いに同形状の円形状をなし、周縁部同士が外縁部23に近接した接合線部24に沿って縫い合わされて反転され、広げた状態で円板状、膨張展開した状態で例えば60リットルの扁平な球状となる運転席用のエアバッグ12の外殻を構成している。そして、第1の基布21の中央部が底面部25となり、この底面部25に円孔状の受入口26が形成されているとともに、この受入口26を囲み、複数カ所、本実施の形態では4カ所に円孔状の取付孔27が形成されている。さらに、この第1の基布21には、例えば上側の外縁部23近傍の両側の2カ所に、図示しない円孔状の排気口(ベントホール)が形成されている。また、第2の基布22は、受入口26に対向する面が、正面部29となっている。なお、図示しないが、エアバッグ12には、これら基布21,22の他にも、必要に応じて防炎布などと呼ばれる補強用の基布が重ねて縫い合わされているとともに、必要に応じて、エアバッグ12の内側で基布21,22同士を連結して膨張展開時の形状を規制する吊りひもが設けられている。
さらに、リテーナ17は、金属製で環状をなすリテーナ本体17aと、このリテーナ本体17aから突設された4本の取付ボルト17bとを備えている。そして、各取付ボルト17bには、ナット17cが螺合するようになっている。
そこで、このエアバッグ装置1は、リテーナ17をエアバッグ12の内側に挿入し、取付ボルト17bをエアバッグ12の取付孔27に挿入した状態で、後述のようにエアバッグ12を折り畳み、さらに、取付ボルト17bをベースプレート11の取付孔11dに挿入することにより、受入口26がインフレータ挿入孔11cに位置合わせしてエアバッグ12が配置される。そして、インフレータ16は、受入口26及びインフレータ挿入孔11cを介して本体部16aをエアバッグ12の内側に挿入するとともに、取付孔16cに取付ボルト17bを挿入し、取付ボルト17bにナット17cを螺合して締め付けることにより、ベースプレート11にエアバッグ12とインフレータ16とが固定される。そして、折り畳まれたエアバッグ12を覆うようにして、正面側からカバー体14の取付壁部14bをベースプレート11の側板部11bに嵌合し、取付壁部14bをカバー体固定部11eに係合し、あるいはリベットなどを用いて固定することにより、エアバッグ装置1が組み立てられる。
そして、このエアバッグ装置1は、自動車が衝突した際などには、図示しない制御装置からの信号によりインフレータ16の点火器を起動し、充填した推進薬を反応させることにより、インフレータ16のガス噴射口からエアバッグ12の内部にガスを急速に供給する。すると、エアバッグ12は急速に膨張展開し、この膨張の圧力によりカバー体14のテアラインを破断し、エアバッグ12の突出口が形成される。この状態で、カバー体14の外側に突出したエアバッグ12は、乗員の前方に膨張展開して、前方に投げ出されてくる乗員を拘束し、乗員を衝突の衝撃から保護するようになっている。
次に、エアバッグ12の折畳方法及び折畳装置40を図1ないし図9を参照して説明する。なお、ここでは、エアバッグ12を水平な板状の載置部41に載置して広げた状態で、上下方向などの方向を説明する。
まず、この折り畳みに用いる折畳装置40は、平面状の載置部41を形成する平面略8角形の板状の載置板42と、この載置部41の上方に平行に位置し、載置部41に対して平行を保ったままシリンダ43に駆動されて進退すなわち上下動する板状の高さ規制部44とを備えている。そして、載置部41の中心部には、エアバッグ12に取り付けられたリテーナ17を保持する保持部46が設けられている。そして、この載置部41の中心部が、円形状に広げたエアバッグ12の中心すなわち受入口26の中心である所定点Oと重なるようになっている。
また、折畳装置40は、載置部41の上面に沿って保持部46すなわち中心側の所定点Oに向かう放射方向に沿って進退する複数の第1の押圧体51及び複数の第2の押圧体52を備えている。これら押圧体51,52は、4個ずつ交互に配置され、第1の押圧体51は、所定点Oを通る直線である仮想線X及びこの仮想線Xに交差さらには直交し所定点Oを通るの直線である仮想線Yに沿って移動可能すなわち所定点Oに対して進退可能に配置されている。また、第2の押圧体52は、これら第1の押圧体51の間すなわち所定点Oを通り仮想線X及び仮想線Yと45度の角度をなす線に沿って移動可能すなわち所定点Oに対して進退可能に設けられている。そして、これら押圧体51,52は、例えば載置部41の下側に配置されたシリンダ53により駆動される。
そして、第1の押圧体51は、集積ブロックとも呼び得るもので、例えば平面略台形状のブロック状をなし、中心側の所定点Oに向かう面には、円弧面状の押圧部51aが設けられているとともに、両側の側面部51bは平面状となっている。そして、各第1の押圧体51を所定点O側に移動させた状態で、各押圧部51aは同じ円弧上に配置され、各側面部51bは隣接する第1の押圧体51の側面部51bと所定の間隔を介して平行に対向するようになっている。さらに、各第1の押圧体51には、収納部51cが設けられ、各収納部51cには、折りくせ付与手段54が、複数、本実施の形態では2個ずつ配置されている。そして、各折りくせ付与手段54は、シリンダ55と、このシリンダ55に駆動されて第1の押圧体51の側面部51bから突出可能に進退する押し込み駒56とを備えている。また、各押し込み駒56は、交差ブロックとも呼び得るもので、各押し込み駒56の先端部は、図1に示すように平面視三角状で、図6に示すように側面視では第1の押圧体51の高さ方向の略全長にわたり形成されている。さらに、各第1の押圧体51を所定点O側に移動させた状態で、互いに隣接する第1の押圧体51について、各第1の押圧体51に設けた折りくせ付与手段54の押し込み駒56に対向する位置には、押し込み駒56の先端部の一部が挿入可能な受部57が凹設されている。
ここで、図7に示すように、各第1の押圧体51に備えられた合計8個の折りくせ付与手段54の配置は、全体としては所定点Oを中心とする回転対称ではなく、所定点Oを通る仮想線X及び仮想線Yを中心とする線対称に配置されている。すなわち、仮想線Xに沿って配置されて相対向する2個の第1の押圧体51では、図6(a)に示すように、両側の側面部51bには、押圧部51aから近い順に受部57と押し込み駒56とが配置されている。一方、仮想線Yに沿って配置されて相対向する2個の第1の押圧体51では、図6(b)に示すように、両側の側面部51bには、押圧部51aから近い順に押し込み駒56と受部57とが配置されている。
一方、第2の押圧体52は、集合ブロックとも呼び得るもので、第1の押圧体51の押圧部51aよりも小さい平面状の押圧面52aを有し、例えば平面視四角状かつ側面視四角状の板状に形成されている。そして、各第2の押圧体52は、第1の押圧体51とは独立して進退されるとともに、所定点O側に移動させた状態で、先端部の押圧面52aは、所定点O側に移動させた第1の押圧体51の押圧部51aと並んで同じ円弧上に配置されるようになっている。
また、載置部41の中央部に位置する保持部46は、エアバッグ12に組み合わせられたリテーナ17の取付ボルト17bを保持し、あるいは、開放して上側に突き出し可能となっている。
さらに、載置部41には、所定点Oすなわち保持部46を中心とし、第2の押圧体52の移動軌跡に沿った放射状に、第2下部規制板58が配置されている。これら第2下部規制板58は、それぞれシリンダ58aで駆動され、上下に進退して載置部41上に突出及び載置部41下に退避可能になっている。
一方、載置部41の上方に配置された高さ規制部44には、所定点Oすなわち保持部46の上側に位置して、第1集積部形成部である第1規制板59が設けられている。この第1規制板59は、所定点Oを通る仮想線X及び仮想線Yに沿って、載置部41上に位置するように、略十字状に形成されている。
さらに、高さ規制部44には、所定点Oすなわち保持部46を中心とし、第2の押圧体52の移動軌跡に沿った放射状に、すなわち第2下部規制板58の上方に沿って、第2上部規制板60が配置されている。これら第2上部規制板60は、それぞれシリンダ60aで駆動され、高さ規制部44に対して上下に進退可能になっている。そして、第2下部規制板58と第2上部規制板60とにより、線部形成部が構成されている。
また、この折畳装置40は、自動機であり、プログラムに従い全体を制御する制御手段と、この制御手段に制御され各部を駆動するシリンダなどを備えている。
次に、この折畳装置40を用いたエアバッグ12の折り畳み工程を説明する。
この折り畳み工程は、まず、図5及び図7に示すように、第1集積工程として、高さ規制部44を上方に退避させるとともに、各押圧体51,52を外周側に退避させた状態で、エアバッグ12に取り付けられたリテーナ17を保持部46に保持させ、エアバッグ12を載置部41上に平面状に広げる。
次いで、高さ規制部44を保持部46に対して所定の寸法だけ離間した位置まで前進すなわち下降させるとともに、第2下部規制板58を上側に突出させ、第2上部規制板60を下方に突出させる。この状態で、高さ規制部44に取り付けた第1規制板59がエアバッグ12の中央部を十字状に押さえるとともに、第2下部規制板58と第2上部規制板60とでエアバッグ12の基布を挟み込んで線状ここでは直線状に拘束する。
次いで、各第1の押圧体51を所定の速度で中心側の所定点Oに向かって所定の位置まで前進させる。すると、図8に示すように、第1の押圧体51の押圧部51aで押圧された4カ所の部分が、周縁方向から集積され、所定点Oすなわち受入口26の周囲を囲み、水平面に略沿った同芯状の折り線で蛇腹状すなわち波状に折り畳まれ、第1集積部61が形成される。同時に、各第1の押圧体51で押圧されない部分については、第1集積部61の折り線に連続する折り線で波状に折られるとともに、第2下部規制板58と第2上部規制板60とで挟まれて形状が保持され、第1集積部61から外周側に放射状に延びる耳状の放射延設部62aとして残る。また、この状態で、第1集積部61及び放射延設部62aの折り線はいずれも水平面に略沿った状態であり、第1集積部61及び放射延設部62aの基布は、各第1の押圧体51の側面部51b同士の間に垂直状に立った状態となる。
また、この工程では、第1の押圧体51を所定の速度で移動させることにより、平面状に広げたエアバッグ12内に残る僅かな空気により、エアバッグ12が若干膨らむ状態とし、第1の基布21と第2の基布22とが互いに噛み合わないようにそれぞれ蛇腹状に折り畳むことができる。
次いで、各第2下部規制板58と各第2上部規制板60とを退避させる。すなわち、各第2下部規制板58を載置部41の上面と面一か載置部41の上面よりも下方に移動させ、各第2上部規制板60を高さ規制部44の下面と同一か高さ規制部44の下面よりも上方に移動させる。
次いで、折りくせ付与工程を行う。この折りくせ付与工程は、各放射延設部62aの中間位置の側面を所定点Oに向かう方向と交差する方向、ここでは直交する方向に押圧して折りくせを付けるもので、図1(a)に示す状態から、図1(b)に示すように、折りくせ付与手段54の押し込み駒56を、第1の押圧体51の側面部51bから突出させ、エアバッグ12の基布を受部57に押し込むようにして、エアバッグ12の各放射延設部62aの複数の中間位置に強制的にくの字状の折り目である折りくせを付与する。すなわち、放射延設部62aは水平面に略沿った折り線で折られており、基布は垂直状に立った状態となっているため、押し込み駒56で押圧されると、放射延設部62aには上下方向を長手方向とする垂直状の折りくせが付与される。そして、エアバッグ12の基布には所定の強度があるため、各押し込み駒56を第1の押圧体51内に後退させても、所定の時間は折りくせが残る。
そこで、各押し込み駒56を第1の押圧体51内に後退させた後、この折りくせが残っている間に、図1(c)及び図9に示すように、第2集積工程として、各第2の押圧体52を中心側の所定点Oに向かって前進させ、放射延設部62aを第1集積部61同士の間に押し込むように押圧する。すると、折りくせを付与した所望の位置で、所望の方向におられた垂直状の折り線が発生しこの垂直状の折り線により蛇腹状すなわち波状に折り畳まれた第2集積部62が形成される。さらに、これら放射延設部62aを中心側の所定点Oに向かって押し込むことにより、間接的に第1集積部61も押圧される。すると、第1集積部61は、第1規制板59で規制された部分の形状が維持され、いわば、この第1規制板59で規制された部分が隣接する部分に対して相対的に中心側の所定点Oから押し出されて外周側に膨出する形状となり、第2集積部62同士の間に配置される。
すなわち、この状態で、第1集積部61は、外周側の先端部を除き、1方向に沿った折り線でのみ波状に折り畳まれているのに対し、第2集積部62は、互いに交差し直交する2方向に沿った折り線で波状に折り畳まれる。
さらに、必要に応じて、各第1の押圧体51を前進させ、エアバッグ12の折り畳み形状を整える押圧工程を行う。
また、上記の第1集積部61及び第2集積部62などの折り畳み工程で、エアバッグ12の折り畳み高さは、高さ規制部44により規制される。
そして、高さ規制部44を退避すなわち上方に移動させ、折り畳んだエアバッグ12をラッピング部材で覆い、あるいは、エアバッグ12にカバー体14を被せて折り畳み形状を保持した状態で、保持部46によるエアバッグ12すなわちリテーナ17の保持を解除し、エアバッグ12を上側に突き出すことにより、エアバッグ12の折り畳み工程が終了する。
ここで、折り畳まれたエアバッグ12は、図4に示すように、中心側の所定点Oすなわち受入口26を設けた底面部25の周囲に、前後両側に位置していわば1重に波状に折り畳まれた4個の第1集積部61が配置され、さらに、これら第1集積部61同士の間に位置していわば2重に波状に折り畳まれた4個の第2集積部62が配置されている。そして、各第1集積部61においては、第1の基布21と第2の基布22とが互いに噛み合わないように形成され、第2集積部62では、波状に折り畳まれた部分に沿って、第1の基布21と第2の基布22とが互いに噛み合わない仮想線部が中央の受入口26からエアバッグ12の外縁部23まで形成されている。さらに、第2の基布22の正面部29は、高さ規制部44で押さえられ、実質的に単一の層をなし、すなわちほぼ1枚の基布で構成されるようになっている。
さらに、4カ所の第2集積部62は、先端部が所定点Oを中心として右回り方向を向くいわば右折りと先端部が所定点Oを中心として左回り方向を向くいわば左折りとが同数、線対称に配置され、エアバッグ12の全体としては、仮想線X及び仮想線Yを中心とする線対称形状に折り畳まれている。
また、第1集積部61及び第2集積部62は、エアバッグ12の外縁部23が向きを揃えて両方とも同じ方向、ここでは正面側である上方を向くいわば略W字状に折り畳むことが可能であり、本実施の形態では、エアバッグ12の外縁部23は全周にわたり正面側である上側を向くように折り畳まれる。また、前側に位置する2カ所の第2集積部62の幅方向の中心部に、かつ、折り畳んだ状態で外部に露出するいわば外波部に、排気口が位置するように折り畳まれる。
そこで、このエアバッグ12の受入口26にガスを導入すると、エアバッグ12が膨張展開する圧力によりハーフボトムテアのテアラインが破断し、カバー体14が展開してエアバッグ12の突出口を形成し、この突出口からエアバッグ12が膨張展開する。この際、2重に波状に折り畳まれた第2集積部62が中心側の所定点Oから順次膨張展開するのに対して、第1集積部61は外周側に膨出する状態で、他の折り畳んだ部分と重ならず、かつ、1重に波状に折り畳まれているため、ほとんど抵抗を受けることなく放射方向に沿って外周側に迅速に展開し、展開初期において正面視で左右均等に略十字状をなして、外周側に向かって扁平に展開する。さらに、各第2集積部62については、第2下部規制板58と第2上部規制板60とで挟まれた仮想線部に沿ってガスが外縁部23まで円滑に供給され、第1集積部61に続いて迅速に展開する。この際、第2集積部62は、複数の仮想線X,Yを中心とする線対称の形状に配置されているため、所定点Oを中心とする回転方向の力及び仮想線X及び仮想線Yを中心として左右方向あるいは上下方向の力は生じず、ステアリングホイールを回転させる力は生じない。そこで、乗員がシートベルトを装着して通常の位置に着席している場合には、ガスの導入に伴いエアバッグ12はいわゆるフル展開の状態となり、前側に投げ出されてくる乗員を効果的に拘束し、乗員を保護できる。
また、このようにエアバッグ12が迅速に外周方向に扁平に展開し、展開初期の正面側への展開は抑制されるため、乗員がエアバッグ装置1に近接した状態(アウトオブポジション、OOP)でエアバッグ12が展開する際にも、乗員の胸部などに対する押圧力を有効に抑制した好ましい展開特性を容易に実現できる。すなわち、エアバッグ装置1の動作後10ミリ秒後には排気口からの排気を可能とし、顎への直撃を避け、リム部とボス部との間の空間にエアバッグ12を入り込むように展開させ、顎にエアバッグ12を残し、エアバッグ12を乗員の下方に迅速に展開させ、展開時の最初期の胸部下側への衝撃を抑制し、さらにエアバッグ12を左右均等に展開させるといった、近接展開に適した特性の実現が容易になる。特に、本実施の形態では、エアバッグ12が迅速に外周方向に扁平に展開するため、エアバッグ12を乗員の下方に迅速に展開させ、展開時の最初期の胸部下側への衝撃を抑制し、さらにエアバッグ12を左右均等に展開させる点について、効果的に実現できる。
このように、本実施の形態によれば、外周側に膨出する単純な形状の複数の第1集積部61及び外周側に膨出する形状を波状すなわち蛇腹状に折り畳んだ複数の第2集積部62を設けたため、展開初期にエアバッグ12は外周方向に迅速に扁平に展開し、通常の展開時のみならず、例えば正面衝突時にステアリングホイールに近い位置に比較的小柄な女性が着座している近接展開の状態でも、乗員に与える影響を抑制した好ましい展開特性を実現できる。
そして、波状に折り畳んだ複数の第2集積部62を含み、エアバッグ12は、線対称、さらには複数の仮想線X,Yを中心とする線対称の形状に折り畳んだため、第2集積部62が展開する力が互いに打ち消しあい、展開時にエアバッグ12の挙動に方向性が生じず、回転操作するステアリングホイールに適したエアバッグ装置1を実現できる。また、エアバッグ12は、巻き付けるようにして折り畳まれた部分がなく、エアバッグ12の展開時には、波状に折り畳まれた部分が迅速に展開し、エアバッグ12の展開初期においても、ガスを外周部まで円滑かつ迅速に供給し、外周側に向かって迅速に扁平に展開させることができ、エアバッグ12の内圧が必要以上に高くなることも防止できる。また、エアバッグ12は、巻き付けるようにして折り畳まれた部分がなく、エアバッグ12の展開時にねじれるような力が発生せず、容易に挙動を安定させることができる。さらに、各集積部61,62の突出方向などの挙動の制御が容易になるため、例えば、スポーク部を避けて、各集積部61,62をステアリングホイールのリム部とボス部との間の空間に潜り込むように展開させることも容易になる。
また、エアバッグ12は、単純に進退する部材の組み合わせで折畳装置40を構成でき、折り畳みの工程でエアバッグ12を回転させる必要もないため、機械を用いた自動折りが容易であるとともに、折畳装置40の構成を簡略化でき、製造コストを低減できる。
特に、第2集積部62を所望の形状すなわち所望の向きで所望の数だけ折った波状に折り畳む構成は、進退する押し込み駒56を有する折りくせ付与手段54を第1の押圧体51の内部に設け、この折りくせ付与手段54で折りくせを付与した状態で、第2の押圧体52でて押し込むとの簡略な装置及び工程で実現したため、パンタグラフ状の装置などを用いる構成に比べ、折畳装置40の構成を簡略化できるとともに、折り畳み作業を迅速にでき、製造コストを低減できる。
また、単純に進退する部材の組み合わせで折畳装置を構成できるため、エアバッグ12の径寸法の許容範囲が比較的大きく、異なる径寸法のエアバッグ12を同一あるいは若干の設定を代えた折畳装置で折り畳むことも可能であり、折畳装置40の汎用性を向上してエアバッグ12の製造コストを低減できる。
また、エアバッグ12の排気口は、第2集積部62の部分に位置して配置することにより、第2集積部62が展開した後は開口した状態が確保され、他の部分が展開していなくとも排気が可能になり、近接展開などの状態でもエアバッグ12の内圧の上昇を抑制できる。
また、第2の基布22の正面部29は、折畳工程において、高さ規制部44で押さえられ、折り畳まれた状態で、実質的に単一の層をなし、すなわちほぼ1枚の基布で構成することにより、エアバッグ12の展開の最初期においては、所定の寸法だけ迅速に正面側に展開し、カバー体14を迅速に破断できるとともに、その後の展開過程においては、正面側への突出が抑制され、折り畳んだ部分が外側部へ向かって展開する好ましい展開特性を容易に実現できる。
また、上記のように、エアバッグ12の折り畳みにより、好ましい展開特性を実現できるため、インフレータ16に特殊な仕様が要求されず、例えば、インフレータの複数使用や、点火器を複数備えたマルチスクイブ型による多段制御を用いずに、簡略な構造のインフレータ16を用い、製造コストを低減することも可能になる。
また、第1集積部61及び第2集積部62は、それぞれ4個としたため、扁平な円形状に展開するエアバッグ12について、エアバッグ12の展開時に方向性がなく全周方向にバランス良く展開させ、挙動を容易に安定させ、好ましい展開特性を容易に実現できるとともに、第1集積部61及び第2集積部62をそれぞれ5個以上とする構成に比べ、折畳装置の構成を簡略化して製造装置に要するコストを低減できる。このようにして、第1集積部61及び第2集積部62は、それぞれ4個とすることにより、好ましい展開特性の実現と、製造コストの低減とを両立できる。
また、エアバッグ12の折畳装置40については、第2集積部62を形成するための放射延設部62aを形成する放射状の線に沿って、放射延設部62aの形状を整える線部形成部を設けため、放射延設部62aの形状を容易に規制し、第2集積部62に、上下の基布21,22が噛み合わずに受入口26の部分から外周側までガスを円滑に供給する仮想線部を容易に形成することができる。
さらに、カバー体14は、テアラインを取付壁部14bの正面背面方向の中間位置まで延設したハーフボトムテアとし、エアバッグ12は、外縁部23を揃えて上方に向く構成とすることにより、エアバッグ12を展開時に外周側に向かって容易に適切な特性で展開させることができる。すなわち、外縁部23を上方あるいは下方に揃えて折り畳むことにより、リム部の内部にエアバッグ12の相当部分が入りやすくし、頭部が低くカバー体14に正対するような位置にある場合には、リム部のなす面に平行に、頭部を中心として放射方向に展開し、頭部と胸部との角度をほぼ一定のままで身体の全体が後方へといくらか移動されるようにして、きわめて安定した展開挙動を容易に得ることができる。すなわち、外縁部23を上方あるいは下方に揃えて折り畳むことにより、エアバッグ12の展開挙動を容易に安定させることができる。また、外縁部23を上方に向けることにより、膨張展開時にエアバッグ12の外縁部23が乗員から離間する方向に移動する傾向となり、膨張展開時にエアバッグ12が乗員に与える影響を抑制できる。さらに、外縁部23を上方に向けて揃えるとともに、ボトムテアのカバー体14と組み合わせると、エアバッグ12が外周側に向かって膨張展開する速度が速すぎる場合があり得るが、ハーフボトムテアと組み合わせることにより、折り畳んだエアバッグ12の背面側の部分の外周部をカバー体14で押さえ、エアバッグ12を適切な速度で展開させることができる。また、エアバッグ12を接合線部24で縫製した後に反転させるいわゆる反転エアバッグについては、反転させないいわゆる非反転エアバッグに比べて、正面側に展開しやすい傾向があるが、外縁部23を上方に向けて揃えた本実施の形態と組み合わせることにより、外周側への扁平な展開を実現し、正面側への展開を容易に抑制するこができる。
また、各集積部51,52については、第1の基布21と第2の基布22とが互いに噛み合わないように折り畳むことにより、ガスを外周側まで円滑に供給し、外周側へ迅速に展開させることができる。
なお、上記の実施の形態では、第2集積部62を形成するための放射延設部62aについて、それぞれ2個ずつの折りくせ付与手段54すなわち押し込み駒56を配置したが、この構成に限られず、例えば、図10に示すように、各放射延設部62aに臨む一方の第1の押圧体51に2個の折りくせ付与手段54すなわち押し込み駒56を配置し、すなわち、各放射延設部62aについて、それぞれ3個ずつの折りくせ付与手段54すなわち押し込み駒56を配置し、各放射延設部62aを3カ所で折り、確実に波状に折り畳むこともできる。さらに、4カ所以上の複数カ所で、各放射延設部62aを折り、いわば蛇腹数を増加させることもできる。
また、各折りくせ付与手段54の押し込み駒56に対向して凹設した受部57は、形成しないこともできる。
また、エアバッグ12は、第1集積部61及び第2集積部62を交互に4カ所ずつ配置したが、この構成に限られるものではない。例えば、それぞれ3個とし、あるいはそれぞれ5個以上、例えば、8カ所の第1集積部61と8カ所の第2集積部62とを交互に設けることもできる。
また、エアバッグ12は、2本の仮想軸X,Yに対して線対称となるように折り畳んだが、この構成に限られず、3本以上の複数の仮想軸に対して線対称となるように形成することもできる。
さらに、各第1集積部61及び各第2集積部62は、仮想軸に対して線対称となるように折り畳む構成に限られず、展開時に中心側の所定点Oを中心とする回転力が生じないように力が打ち消し合う構成とすることにより、ステアリングホイールに装着するのに適した展開時に方向性が生じないエアバッグ装置1を提供できる。例えば、右折りの第2集積部62と左折りの第2集積部62とを同数配置することができる。
また、第1集積部61の外周側の先端部に、折り畳んだ状態のエアバッグ12の外周部に沿って屈曲された圧縮屈曲部である展開部を形成し、エアバッグ12にガスを導入した状態で、第1集積部61の先端部の展開部を迅速に膨張展開させて、エアバッグ12の外周側への迅速な展開を図ることもできる。なお、この展開部は、エアバッグ12の折り畳み工程の最後の押圧工程において、膨出した波状部である第1集積部61をさらに所定点Oに向けて押圧することにより、容易に形成することができる。また、この展開部は、一の第1集積部61の先端部に設ける他、複数の第1集積部61の先端部に設け、あるいは、全ての第1集積部61の先端部に設けることもできる。また、この展開部は、第1集積部61の先端部から両側に延びる略T字状とする他、第1集積部61の先端部から一側に延びる略L字状とすることもできる。
また、カバー体14は、テアラインを取付壁部14bの正面背面方向の中間位置まで延設したハーフボトムテアとし、エアバッグ12は、外縁部23が上方に向く略W字状に折り畳む他、カバー体14のテアラインの構成と、エアバッグ12の外縁部23が上方あるいは下方を向く構成とを適宜組み合わせ、エアバッグ12の展開特性を調整することもできる。すなわち、エアバッグ12の外縁部23は、エアバッグ12の膨出方向に沿った正面背面方向に沿って同一方向に配向すれば、エアバッグ12の展開時の挙動を容易に安定させることができ、例えば、第2集積部62において外縁部23が下方を向いた状態とし、いわば略M字状に折り畳むことができる。そして、このように略M字状にエアバッグ12を折り畳む構成については、テアラインを被覆部14aのみに形成したいわゆるノーマルタイプのカバー体14と組み合わせて、容易に好ましい展開特性を得ることができる。また、カバー体14の平面形状などによっては、略M字状にエアバッグ12を折り畳む構成、あるいは、略W字状にエアバッグ12を折り畳む構成と、テアラインを取付壁部14bの背面側の端部にまで形成したボトムテアのカバー体14と組み合わせ、好ましい展開特性を実現することもできる。
また、エアバッグ12の内側には、吊りひもを備え、また、この吊りひもに代えて、あるいはこの吊りひもとともに、エアバッグ12の内側に、中間基布である第3の基布を配置してガスを案内し、エアバッグ12の好ましい展開特性を実現することもできる。例えば、この第3の基布は、受入口26及びこの受入口26の近傍の正面側を覆うようにして配置され、第1の基布21に縫い合わせて接続され、部分的三層構造、あるいはいわゆる2.5層のエアバッグ12を構成する。この構成では、受入口26の近傍から供給されたガスが、第3の基布で案内されて外周部に向かい、外周側で折り返して正面側に向かい、エアバッグ12を外周側に迅速に展開させることができる。そして、この構成においても、展開初期に正面側への展開を抑制して扁平に展開する好ましい展開特性を容易に実現できる。
この場合、中間基布である第3の基布の周縁部とインフレータ側または車体側の基布とを縫合などして接合する複数の箇所との間に形成されるガス通路の位置を、例えば図4の第1集積部61に相当する箇所になるように配置すると、第1集積部61に迅速にガスが導入され、主に第1の集積部61の膨張が行われ、波形に折られる第2集積部62へと膨張が進むように膨張展開特性を調節して、よりエアバッグ12を放射方向に迅速かつフラットに展開させることができる。
また、上記の各実施の形態において、エアバッグ12は、接合線部24で縫製した後に反転させない、いわゆる非反転エアバッグを用いることもできる。
また、上側に位置する2カ所の第1集積部61に排気口を配置することにより、展開の最初期に排気口を開放して排気を可能とし、近接展開などの状態でもエアバッグ12の内圧の上昇を抑制できる。さらに、各排気口は、従来の位置よりもエアバッグ12の外縁部23の近傍にずらして配置することにより、排気口の開放状態を容易に確保しつつ迅速な排気を可能として、近接展開などの状態でもエアバッグ12の内圧の上昇を抑制できる。
本発明は、自動車のステアリングホイールなどに備えられるエアバッグ装置に利用される。
本発明の一実施の形態を示すエアバッグの折畳工程の説明図である。 同上エアバッグを備えたエアバッグ装置の一部の分解斜視図である。 同上エアバッグの折り畳んだ状態の斜視図である。 同上エアバッグの折り畳んだ状態の説明図である。 同上エアバッグの折畳装置の側方から見た説明図である。 同上エアバッグの折畳装置の第1の押圧体の説明図である。 同上エアバッグの折畳工程を示す上方から見た説明図である。 同上エアバッグの折畳工程を示す上方から見た説明図である。 同上エアバッグの折畳工程を示す上方から見た説明図である。 本発明の他の実施の形態を示すエアバッグの折畳工程の説明図である。
12 エアバッグ
40 折畳装置
41 載置部
51 第1の押圧体
52 第2の押圧体
54 折りくせ付与手段
56 押し込み駒
61 第1集積部
62 第2集積部
62a 放射延設部
O 所定点
X,Y 仮想線

Claims (4)

  1. 折り畳まれた状態からガスの導入により膨張展開するエアバッグの折畳方法であって、
    袋状のエアバッグを平板状に広げ、この広げたエアバッグを複数カ所で外周側から所定点に向けて集積し、前記所定点を囲み波状に折曲された複数の第1集積部を形成するとともに、これら第1集積部の間に、それぞれ前記第1集積部に連続して波状に折り畳まれるとともに外周側に放射状に延びる複数の放射延設部を形成する第1集積工程と、
    前記各放射延設部の中間位置の所定の間隙を介する複数箇所を前記所定点に向かう方向と交差し互いに対向する方向に押圧して折りくせを付ける折りくせ付与工程と、
    折りくせが付与された各放射延設部を前記所定点に向けて集積し、前記第1集積部の折り線の方向とは交差しかつ互いに所定角度で交差する2方向を折り線の方向としてさらに波状に折曲された複数の第2集積部を形成する第2集積工程とを具備した
    ことを特徴とするエアバッグの折畳方法。
  2. 各第1集積部は、それぞれ所定点から放射方向に沿って外周側に膨出する形状に折り畳み、
    各第2集積部は、前記所定点において所定角度で交差する2本の仮想線に対して互いに線対称の形状に折り畳んで配置する
    ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグの折畳方法。
  3. ガスの導入により膨張展開するエアバッグを折り畳むエアバッグの折畳装置であって、
    袋状のエアバッグが平板状に広げられる載置部と、
    この広げたエアバッグを外周側から所定点に向けて押圧し、前記所定点を囲み波状に折曲された複数の第1集積部を形成するとともに、これら第1集積部の間に、それぞれ前記第1集積部に連続して波状に折り畳まれるとともに外周側に放射状に延びる複数の放射延設部を形成する複数の第1の押圧体と、
    前記各放射延設部の中間位置の所定の間隙を介する複数箇所を前記所定点に向かう方向と交差し互いに対向する方向に押圧して折りくせを付ける複数の折りくせ付与手段と、
    折りくせが付与された各放射延設部を前記所定点に向けて集積し、前記第1集積部の折り線の方向とは交差しかつ互いに所定角度で交差する2方向を折り線の方向としてさらに波状に折曲された複数の第2集積部を形成する第2の押圧体とを具備した
    ことを特徴とするエアバッグの折畳装置。
  4. 折りくせ付与手段は、第1の押圧体の放射延設部に面する位置から進退可能に設けた押し込み駒を備える
    ことを特徴とする請求項3記載のエアバッグの折畳装置
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