JP4992353B2 - 液体クロマトグラフにおける試料注入方法及び液体クロマトグラフ - Google Patents

液体クロマトグラフにおける試料注入方法及び液体クロマトグラフ Download PDF

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Description

本発明は液体クロマトグラフにおける試料注入方法及び液体クロマトグラフ、特にサンプルループを用いた試料注入方式の改良に関する。
液体クロマトグラフにおける試料注入方法としては、シリンジ方式、サンプルループ方式などの各種方式があるが、このうちサンプルループ方式は連続処理に適しており、しかも圧力変動を生じにくく安定した分離操作が行いやすいという利点を有し、多くの液体クロマトグラフ装置において採用されている。
このサンプルループ方式は、所定容量のチューブ(サンプルループ)を溶離液の流路に装脱着可能に配置し、脱着状態で該サンプルループに試料を注入し、流路切替バルブの操作によりサンプルループを溶離液流路中に装着することにより試料溶液を分離カラムに導入するものである。
このため、分離カラムに導入される試料量はサンプルループの容量に依存し、導入試料量を変更するためには、通常、その容量に合致したサンプルループに交換する必要がある。
しかしながら、試料が微量の場合、或いは検出対象物質の濃度が低いため試料の導入量を多くせざるを得ない場合、さらに分取の目的のために大量の試料の導入が必要な場合など、同一のクロマトグラフを使用して各種の試料導入量を処理しなければならない場合も多く、その際、それぞれの試料導入量に適合させたサンプルループに交換することは極めて煩雑であるばかりでなく、測定条件の再現性低下、試料注入精度の低下にもつながる。
一方、大小さまざまな試料量を一のサンプルループで処理するため、大容量のサンプルループを使用し、ループ容量と試料量の差分を溶媒で満たす手法もあるが、大容量ループに少量の試料溶液を注入した場合、ボイド量が多くなり測定時間の長時間化、溶離液使用量の増加といった問題を生じる。
さらに、多成分で構成される混合物の分離効率を向上させるため、分離溶出中に溶離液の溶出力を変化させるグラジエント溶離法が多用されている。そして、前述したような試料量の多少により、サンプルループ残部に注入される溶離液量が変化することは、グラジエント溶離法にも悪影響を及ぼす。すなわち、過大な容量のサンプルループを装着した状態で微量の試料注入を行うと、残りのループ容量分だけグラジエント溶離が遅れることになる。この状態を模式的に図9に示す。グラジエント溶離の最初は溶離液Aが100%の溶離液組成とし、直線的に溶離液Bの分率をあげていく場合が図示されている。サンプルループ中の試料量が少なければ、サンプルループの残りの溶離液Aで満たされた部分は大きくなり(図9上図)、サンプルループ中の試料量が多くなるとサンプルループの残りの溶離液Aで満たされた部分は小さくなる(図9下図)。この結果、試料の注入量によってグラジエントの遅れが大きく変動することになる。
また、グラジエント溶離法においては、サンプルループ容量を変更すると、分離終了後のカラム平衡化時間が変化する。すなわち、小容量のサンプルループを基準に溶出条件・平衡化条件を設定し、注入量の変化に伴い大容量のサンプルループを用いた場合、サンプルループ内に試料もしくは設定条件と異なる組成の溶離液が残る可能性がある。それを回避するために、使用するサンプルループごとに平衡化条件を変更する必要を生じることがある。また、試料量と一致した容量のサンプルループを使用する場合、試料量及びサンプルループ容量を大きくすると分析成分の溶出が遅くなる傾向がある。これは、試料溶液の存在が流路内のグラジエント溶離液の展開を遅らせることによると考えられる。
これに対し、特開平11−83823号は、通常とは逆にサンプルループの上流側(後端部)から試料溶液を注入し、サンプルループ前端部に溶出力の弱い溶液を満たすことにより、試料量の変化に対して試料成分分離の効率(カラム効率)がほとんど変化しないという手法を開示している。しかしながら、特開平11−83823号で使用するサンプルループは試料量の2倍以上の容量を持つことが条件とされており、また試料量が微量のときのカラム効率は従来方法に比べて低くなると報告されている。
特開平11−83823号公報
本発明は前記従来技術に鑑みなされたものであり、その解決すべき課題は、特定容量のサンプルループを備えた試料注入手段を有する液体クロマトグラフに対して、一分析あたりの試料量がサンプルループの容量を越える場合であっても、分析を実行することができる試料注入方法を提供することである。
また、本発明が解決すべき他の課題は、グラジエント溶離法において試料の注入量に依存してグラジエントの遅れが生じるのを防止することである。
前記課題を解決するために本発明は、サンプルループを備えた液体クロマトグラフの試料注入方法であって、
一分析あたり注入しようとする試料溶液の試料量が前記サンプルループの容量を越える場合、
前記流路切替バルブ操作により前記サンプルループを前記送液流路間から脱着した状態で、前記試料量の一部を前記サンプルループに注入する注入工程と、
前記流路切替バルブ操作により前記サンプルループを前記送液流路間に装着した状態で、前記注入工程で前記サンプルループに注入した試料溶液を前記送液手段により分離カラム側に排出する排出工程と、
を前記分離カラム中へ試料展開を抑制する条件下で必要回数繰り返すことにより、前記一分析あたり注入しようとする試料溶液を分割して注入することを特徴とする。
また、前記方法において、前記必要回数は、前記サンプルループの容量に対する前記一分析あたりの試料溶液の試料量の比の値を整数に切り上げた値であることが好適である。
また、前記方法において、前記送液ポンプから前記切替バルブへの送液流路間に、前記流路切替バルブに向かう溶離液の流れを廃液流路側に切り替え可能なドレインバルブを備え、2回目以降の注入工程においては前記送液ポンプを停止すると共に前記ドレインバルブを廃液流路側に切り替えることが好適である。
また、前記方法において、排出工程は、注入工程で前記サンプルループに注入した試料溶液を、試料が分離カラム内部に展開されない程度に溶出力が低い溶離液を用いて、前記送液手段により分離カラム側に排出することが好適である。
また、前記方法において、排出工程は直前の注入工程で前記サンプルループに注入した試料溶液を、送液量がループ容量の1〜2.5倍に制御された前記送液手段により分離カラム側に排出する工程であることが好適である。
また、前記方法において、流量が溶離展開する流量よりも小さくなるように制御されることが好適である。
また、前記方法において、前記送液手段がグラジエント溶離システムを含むことが好適である。
また、本発明にかかる液体クロマトグラフにおいて、制御手段は、
流路切替バルブ操作によりサンプルループを送液流路間から脱着した状態で、試料量の一部を前記サンプルループに注入する注入モードと、
流路切替バルブ操作により前記サンプルループを前記送液流路間に装着した状態で、前記注入モードで前記サンプルループに注入した試料溶液を前記送液手段により分離カラム側に排出する排出モードと、
を、前記分離カラム中へ試料展開を抑制する条件下で必要回数繰り返すことにより、試料溶液を分割して分離カラムへ排出することを特徴とする。
なお、本明細書において、「溶離液」とはカラムに保持されている試料成分を展開、溶離させる液体という意味に限定することなく、広く移動相溶媒と同様の意味に使用する。「分析」という用語は原則としてクロマトグラフ分析を意味する。また、「分析」という用語によって広く分取を含めて言い表すことがある。試料の「注入」と「導入」という用語については、試料溶液をサンプルループなどへ入れることを「注入」とし、試料溶液をカラム内に導くことを「導入」とする使い分けがある(JIS K 0127(2001))。本明細書においてはこの使い分けを踏襲しつつも、「注入」という語を広い意味で使い、ときには「導入」を含んだ意味に使用することがある。また、本明細書では、「サンプルループ中の試料を「分離カラム側に排出する」という表現を用いているが、これは試料をサンプルループから押し出しはするが「分離カラム内に導入する」ことを避ける、という趣旨によるものである。「試料」と「試料溶液」とは文脈に応じて区別なく用いている。
さて、「背景技術」で述べたように、試料の注入量に依存してグラジエント溶離に遅れが生じる原因は、サンプルループ内の溶離液が占める部分が変動し、その溶離液部分がグラジエント溶離用の溶離液と試料との間に存在するためである。そこで本発明者らは、注入する試料量よりもあえて小さな容量のサンプルループを使用してサンプル注入を繰り返したのち、グラジエント溶離によるクロマトグラフ分析を実行しようと考えた。すなわち、繰り返し注入を許すことによりサンプルループの容量を小さくすることが可能になり、サンプルループ内の溶離液が占める部分を、その小さいサンプルループの容量にまで縮小することができる。更なる検討により本発明は、グラジエント溶離に限定されることなく、一分析あたりの試料量がサンプルループの容量を越える場合に広く適用可能な試料注入方法であることがわかった。
<分離手段>
本発明で使用できる分離カラムについて特に制限はない。排出工程の送液条件を制御することにより、吸着・分配型充填剤、イオン交換型充填剤、ゲル浸透型充填剤などを適宜使用することが可能である。たとえば、タンパク質の吸着分離に使用される疎水性相互作用クロマトグラフィー用充填剤カラムを用いてグラジエント溶離法により分析する場合が特に好適な例となる。
<試料注入手段>
本発明で用いられるサンプルループの容量は、特に制限はないが、当該クロマトグラフで処理に供される試料量の最小値前後であることが好適である。
また、流路切替バルブは、通常、周知の六方バルブが用いられる。
本発明において使用する送液手段について、特に制限はないが送液の流量制御及び送液停止/再起動が正確に制御できるものが好ましい。送液停止が確実にできないと、注入工程の2回目以降の繰り返し操作中に、排出工程で排出された試料が分離カラム内に押し出されてしまい、結果としてクロマトグラムのピーク波形が崩れたり、同じ試料成分に由来するピークが複数溶出されたりすることになる。この事態を避けるため、送液流路中に溶離液の流れを廃液流路に切り替えるドレインバルブを設け、送液手段を停止すると共にこのドレインバルブを開けて分離カラム側への送液を遮断する操作を加えるのが好ましい。そのようにすることで、分離カラムの流動抵抗が低い場合であっても、送液ポンプ停止時にサイフォンの原理により起こる送液ポンプからカラム方向へ自然溶離液が流れることを防止できる
<注入工程>
注入工程では、流路切替バルブの設定により試料溶液リザーバ、サンプルループ、試料注入ポンプが連結され、注入ポンプの駆動によりサンプルループ中に試料溶液を取り込む。
この際、二回目以降の試料注入時には分離カラムへの溶離液の供給を停止することが好ましい。
<排出工程>
排出工程において、試料溶液を分離カラム側に排出するとき、分離カラム中へ試料展開を抑制する条件下で行う必要がある。その条件の具体的手段としては、排出する際に、試料が分離カラム内部に展開されない程度に溶出力の低い溶離液を使用することが好ましい。溶離液の溶出力の程度は試料が分離カラム内部に展開されない程度であればよく、使用する分離カラムの特性によって異なる。
また、試料展開抑制の他の具体的手段として、サンプルループ中の試料溶液を分離カラム側に排出するとき、送液手段の作動時間と流量、すなわち送液量を制御するのが好ましい。送液手段の流量と作動時間との積、すなわち送液量をサンプルループの容量の1.0〜2.5倍の範囲とするのが特に好適である。送液量がこの範囲を下回るとサンプルループ内の試料の一部が押し流されずにサンプルループ内に残ってしまう。反対に送液量がこの範囲を大幅に越えると、溶離液の浪費及び試料のカラム内部への展開につながる。
更に、排出工程における流量は、試料を溶離展開する分析中の流量よりも低く設定するのが好ましい。それは、試料溶液の排出中に試料がカラム内部に侵入することを防ぐこ、送液ポンプが停止状態から動き出す際の、サンプルループ出口に大きな背圧が生じることによる試料溶液の排出量に損失が生じないようにするためである。特に、送液ポンプが停止状態から動き出し再び停止するまでの作動時間において、流量を縦軸とし時間を横軸としたプロファイルはおよそ台形をなすため例えば送液量が微量で、設定流量が大きすぎる場合、試料溶液の排出量に損失が生じる。また、カラムの負荷抵抗またはポンプの動作性能にもよるが、たとえば送液量を5mLとするならば流量は5mL/min以下、送液量を3mLとするならば流量は3mL/min以下、送液量を1mLとするならば流量は2mL/min以下などとするのが好ましい。それは、流量を低く抑え、作動時間を長くとれば試料溶液の排出精度は向上するが、それだけ分析開始時間が遅れ、試料の拡散も無視できなくなる傾向となるからである
本発明は、前記送液手段がグラジエント溶離システムであるとき、試料の注入量に依存してグラジエントの遅れが生じる問題を解決することができる。ここでグラジエント溶離法とは、クロマトグラフィーの過程を通じて溶離液の組成つまり溶出力を変化させる手法である。通常溶離液の組成の変化様式には連続的な直線型、凹型、凸型などがあるが、ステップ状に溶離液の組成を切り替える様式やこれらの組み合わせもグラジエント溶離法の一種である。このようにグラジエント溶離システムにおいて、試料量と一致した容量のサンプルループを使用する場合に、試料量及びサンプルループ容量を大きくすると分析成分の溶出が遅くなる現象は、試料量の変動にかかわらずサンプルループを固定することで本発明により効果的に改善することができる。また、クロマトグラフィーの分離条件をサンプルループごとに設定しなおす手間が回避できるため、クロマトグラフィー分析の効率化と再現性の向上に貢献する。
なお、本発明は、必ずしもグラジエント溶離法に限定されるものではなく、イソクラティック溶離法にも適用可能な技術である。
以上のように本発明によれば、サンプルループへの試料の注入と溶離展開を抑制した分離カラム側への試料の排出とを繰り返すことにより、一分析あたりの試料量がサンプルループの容量を越える場合であっても分析を実施することができる。
また、本発明をグラジエント溶離クロマトグラフに適用した場合には、さまざまな量の試料を過大な容量のサンプルループに注入するとき試料の注入量に依存してグラジエントの遅れが生じる問題は、本発明において、小さいサンプルループを用いてサンプルループのうち溶離液が占める変動部分を縮小することにより、効果的に軽減することができる。
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態について説明する。
図1には本発明の一実施形態にかかる液体クロマトグラフの構成図が示されている。同図において、液体クロマトグラフ10は、試料溶液の所望成分を分離する分離手段12と、前記分離手段12に所定量の試料溶液を供給する試料注入手段14と、前記分離手段に溶離液を送液する送液手段16と、を備える。
そして、前記分離手段12は分離カラム18、試料成分検出用の紫外吸光検出器20、グラジエントモニター用の電気伝導度検出器22およびフラクションコレクタ24を有し、分離カラム18で分離された所望成分を紫外吸光検出器20で検出し、フラクションコレクタ24で採取する。
また、前記試料注入手段14は、サンプルループ26、流路切替バルブ28、試料液リザーバ30およびシリンジポンプ32を備え、流路切替バルブ28の操作により試料液リザーバ30−サンプルループ26−シリンジポンプ32を導通させた状態でシリンジポンプ32を吸引動作させ、リザーバ30からサンプルループ26内に試料液を吸引保持させる。
また、前記送液手段16は、溶離液リザーバ34a,34b、脱気装置36、送液ポンプ38a,38b、ドレインバルブ40、ミキサー42、送液流路43及び廃液リザーバ44を備え、送液ポンプ38により吸い上げられた溶離液は脱気装置により脱気され、ドレインバルブ40を介してミキサ42で混合された後、送液流路43bを経由して前記試料注入手段14へ送液されるか、或いは廃液リザーバ44に送液される。
本実施形態において、溶離液リザーバ34aには溶出力の低い溶離液Saが貯蔵され、リザーバ34bには溶出力の高い溶離液Sbが貯蔵されており、それぞれ前記送液ポンプ38a,38bで適量送出され、ミキサー42で溶出力が均質化されるように構成されている。
更に、制御手段46は、前記流路切替バルブ28、シリンジポンプ32、送液ポンプ38及びドレインバルブ40に指示を与え、流路切り替え、流量制御などを行う。
本実施形態にかかる液体クロマトグラフにおいて、図1は試料注入モードを示しており、制御手段46は流路切替バルブ28、シリンジポンプ32に指示を与え、送液流路43から脱着状態にあるサンプルループ26に試料液を注入する。なお、初回注入時には送液ポンプ38aが定常状態で作動しており、溶離液Saが分離カラム18に定常流で流れているが、二回目以降の注入時には、制御手段46は送液ポンプ38を停止し、ドレインバルブ40に指示を与えて送液ポンプ38の吐出路を廃液リザーバ44に接続し、分離カラム18に余剰の溶離液を供給しないようにしている。
また、図2は排出モードを示しており、同モードにおいては制御手段46は流路切替バルブ28に指示を与え、サンプルループ26を送液流路43に装着し、ミキサー42−サンプルループ26−分離カラム18を導通させるとともに、ドレインバルブ40に指示を与え、溶離液リザーバ34−脱気装置36−送液ポンプ38−ミキサー42を導通させ、送液ポンプ38aを低流量駆動させる。
この結果、溶離液リザーバ34aからの低溶出力溶離液がサンプルループ26内の試料液を押し出し、分離カラム18側に排出する。
図3に本実施形態における試料注入方法の各工程が示されており、図4に各工程と送液ポンプ38aの作動状態が示されている。なお、図4(a)は一般の試料注入方法を示し、同図(b)は本実施形態の試料注入方法を示す。
図3において、まず液体クロマトグラフの安定化が図られ、この間は図1の状態でドレインバルブ40をミキサー42側に切り替え、適当な溶離液がポンプ38の定常動作により分離カラム18に供給され、分離カラム18、その他の機器の物理的(圧力等)、化学的安定化が図られる。
この状態で、分析の初期設定を行うが、この際にループ容量Lv、所望サンプル量Svの入力を行う。通常の場合、ループ容量Lvは頻繁に用いるサンプル量Svよりも大きく設定されているが、これは前記背景技術に記したような問題を生じさせる。そこで、本発明においては、ループ容量Lvが頻繁に用いるサンプル量の最小値に合わせた程度のサンプルループを採用している。
制御手段46はこの初期設定に基づき、Sv/Lvの演算を行い、小数が出た場合には切り上げて試料注入回数Nとする。例えばサンプル量が9mL、ループ容量が2mLであればN=5とする。
次に、制御手段46はN回にわたり、注入工程(図1)、排出工程(図2)を繰り返す。この際、最初の注入工程のみ前記安定化処理と平行して行なわれるため、適当な溶離液を定常流速、圧力で分離カラム18に供給しながら行うが、2回目以降の注入工程では前回分離カラム18に供給した試料液の分析開始前展開を防止するため、前述したように送液ポンプ38は停止し、ドレインバルブ40を廃液リザーバ側に切り替え、過剰な溶離液が分離カラム18に供給されないよう制御する。
また、排出工程(図2)においても、サンプルループ26内の試料液を分離カラム18側に排出する最小限の溶離液を用いるのみとするため、送出ポンプ38の送出速度を低く抑え、送出容量をサンプルループ容量の1.0〜2.5倍の範囲とすることが特に好ましい。
そして、N回目の注入工程においては、必要試料液の残存量のみ、即ち前記例においては1mLのみを注入することとする。この際、サンプルループ26の空容量部分は溶離液Saが注入されているが、わずか1mLのみであり、従来技術のような弊害を生じる事はない。
以上のようにして試料液の所望量を分離カラム18に供給し終わったら、図2の状態で送液ポンプ38を定常状態で動作させ、分離カラム18における試料溶液の展開、分離を行う。
本発明の効果確認のため、1分析あたりの試料量を10mLに固定した、下記の疎水性相互作用クロマトグラフィーの分離条件で、容量1mLのサンプルループを用いた本発明の試料注入方法(試料注入回数10回)と、10mLのサンプルループを用いた通常の試料注入方法とを、図1および図2に示した装置を用いたクロマトグラフ分析の結果において比較した。
<分離条件>
溶離液Sa:0.1mol/Lリン酸緩衝液+1.8mol/L硫酸アンモニウム(pH7.0)
溶離液Sb:0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)
グラジエント条件:1分間B0%(A100%)固定+5分間直線的にB100%(A0%)まで+3分間B100%固定+B0%にステップ
送液流量:5.0mL/min
カラム:Toyoscreen Phenyl−650M(東ソー製)
試料液:0.5mg/mLリゾチーム溶液
検出波長:280nm
温度:室温(20〜25℃)
図5のクロマトグラムにおいて、溶出時間約6分における2つのピークは本発明の試料注入方法によるものであり、容量1mLのサンプルループに対して10mLの試料を注入回数10回で測定した結果である。送液量とはサンプルループに注入された試料を分離カラム側に排出するのに使用した1回あたりの溶離液Saの量である。図5には送液量0.8mLと1.3mLのデータを示した。一方、溶出時間約8分のピークは10mLサンプルループを用いた通常の試料注入方法によるものである。本発明による送液量1.3mLのピークと通常注入のピークとはほとんど同じピーク高さ(又はピーク面積)を示している。送液量0.8mLのピークは送液量1.3mLのピークよりも小さくなっている。図には示していないが、送液量1.0mLでは送液量1.3mLのピークにかなり近づいた。更に、送液量1.7mL及び2.6mLで測定したところ、送液量1.3mLのピークと区別できない程度に重なった。他の複数の実験結果を含め、送液量をサンプルループの容量の1.0〜2.5倍とすれば、通常の試料注入方法で検出できるピークに対して十分な回収率が本発明により得られることがわかった。
図6は、同じ実験におけるグラジエントプロファイルを電気伝導度によりモニターしたものである。容量1mLのサンプルループに対して10mLの試料を注入回数10回で測定した本発明によるグラジエント溶離は、試料注入10回目の排出と同時にスタートする。試料排出時の送液量0.8mL及び1.3mLのグラジエントプロファイルは、図では完全に重なって見える。一方、10mLサンプルループを用いた通常の試料注入方法におけるグラジエントプロファイルは、本発明によるグラジエントプロファイルを約2分遅らせた形となっている。サンプルループ容量の差がグラジエントプロファイルを遅らせたと解釈できる((10−1)mL÷5.0mL/min=1.8min)。このグラジエントの遅れは図5のピークの溶出時間の差に現れている。
次に、試料量を1mLから2mL、5mL、10mLと変えたとき、容量1mLのサンプルループを用いた本発明の挙動(図7)を、試料量に合わせてループ容量を変更した通常測定法(図8)と対比して検討した。分離条件は上記と同様である。本発明における試料排出時の送液量は1回あたり2.5mLに設定した。本発明における注入法(図7)は、試料量可変で一定の溶出時間を示した。これに対して、ループ容量を試料量に合わせて変更した通常注入法(図8)では、試料量即ちループ容量が増加するに従って溶出時間が増加した。試料量に依存せず一定の溶出条件で分析・分取できる本発明は、特に試料量可変のグラジエント溶離法に好適であることが示された。
本発明の一実施形態にかかるクロマトグラフ装置の注入モードの説明図である。 前記図1に示した装置の、排出モードの説明図である。 図1および図2に示した実施形態にかかる装置の試料注入方法の説明図である。 本発明と通常の試料注入方法との動作を比較する説明図であり、同図(a)は通常の試料注入方法の基本的な動作を模式的に表し、(b)は本発明の基本的な動作の一形態を模式的に示す図である 試料量10mL固定における本発明の試料注入方法(送液量可変、試料注入回数10回)と、10mLサンプルループを用いた通常の試料注入方法とを比較したクロマトグラムである。 図5測定時のグラジエントプロファイルを電気伝導度によりモニターした図である。 試料量1mL、2mL、5mL及び10mLにおいて、容量1mLのサンプルループを用いた本発明によるクロマトグラムを示す図である。 試料量1mL、2mL、5mL及び10mLにおいて、試料量に合わせてループ容量を変更した通常測定法によるクロマトグラムを示す図である。 過大なサンプルループ装着状態で微量な試料注入を行うと、残りのループ容量分だけグラジエント溶離が遅れることになる事情を模式的に示す図である。
符号の説明
10 液体クロマトグラフ装置
12 分離手段
14 試料注入手段
16 送液手段
18 分離カラム
26 サンプルループ
28 流路切替バルブ
38 送液ポンプ
40 ドレインバルブ
43 送液流路
46 制御手段

Claims (6)

  1. 液体クロマトグラフィー用の分離カラムを有する分離手段と、
    溶離液を前記分離カラムに送液する送液流路および送液ポンプを有する送液手段と、
    注入する試料溶液の所定量を保持するサンプルループ及びこのサンプルループを前記送液流路間に装脱着可能とする流路切替バルブを有する試料注入手段と、
    を備えた液体クロマトグラフにおいて、
    一分析あたり注入しようとする試料溶液の試料量が前記サンプルループの容量を越える場合、
    前記流路切替バルブ操作により前記サンプルループを前記送液流路間から切り離した状態で、前記試料量の一部を前記サンプルループに注入する注入工程と、
    前記流路切替バルブ操作により前記サンプルループを前記送液流路間に装着した状態で、前記注入工程で前記サンプルループに注入した試料溶液を前記送液手段により分離カラム側に排出する排出工程と、
    を前記分離カラム中への試料展開を抑制する条件下で必要回数繰り返すことにより、前記一分析あたり注入しようとする試料溶液を分割して注入するものであり、
    前記試料展開を抑制する条件は、排出工程において、直前の注入工程で前記サンプルループに注入した試料溶液を、送液量がループ容量の1〜2.5倍に制御された前記送液手段により分離カラム側に排出する条件、
    であることを特徴とする液体クロマトグラフにおける試料注入方法
  2. 請求項1記載の方法において、前記必要回数は、前記サンプルループの容量に対する前記一分析あたりの試料溶液の試料量の比の値を整数に切り上げた値であることを特徴とする試料注入方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法において、前記送液ポンプから前記切替バルブへの送液流路間に、前記流路切替バルブに向かう溶離液の流れを廃液流路側に切り替え可能なドレインバルブを備え、2回目以降の注入工程においては前記送液ポンプを停止すると共に前記ドレインバルブを廃液流路側へ切り替えることを特徴とする試料注入方法。
  4. 請求項1記載の方法において、流量が溶離展開する流量よりも小さくなるように制御されることを特徴とする試料注入方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法において、前記送液手段がグラジエント溶離システムを含むことを特徴とする試料注入方法。
  6. 液体クロマトグラフィー用の分離カラムを有する分離手段と、
    溶離液を前記分離カラムに送液する送液流路および送液ポンプを有する送液手段と、
    注入する試料溶液の所定量を保持するためのサンプルループ及びこのサンプルループを前記送液流路間に装脱着可能とする流路切替バルブを有する試料注入手段と、
    前記送液ポンプ及び流路切替バルブを制御する制御手段と、
    を備えた液体クロマトグラフにおいて、前記制御手段は、
    前記流路切替バルブ操作により前記サンプルループを前記送液流路間から切り離した状態で、前記試料量の一部を前記サンプルループに注入する注入モードと、
    前記流路切替バルブ操作により前記サンプルループを前記送液流路間に装着した状態で、前記注入モードで前記サンプルループに注入した試料溶液を前記送液手段により分離カラム側に排出する排出モードと、
    を、前記分離カラム中へ試料展開を抑制する条件下で必要回数繰り返すことにより、試料溶液を分割して分離カラムへ排出するものであり、
    前記試料展開を抑制する条件は、排出モードにおいて、直前の注入モードで前記サンプルループに注入した試料溶液を、送液量がループ容量の1〜2.5倍に制御された前記送液手段により分離カラム側に排出する条件、
    であることを特徴とする液体クロマトグラフ。
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