JP4992224B2 - 透明導電塗料及び透明導電膜 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)等の各種表示デバイス、タッチパネル、電子ペーパー等の透明電極等に適用される透明導電塗料、特に、優れた透明性及び導電性と共に優れた耐有機溶剤性を有する透明導電膜の形成に適した透明導電塗料、並びにその透明導電塗料から得られる透明導電膜に関するものである。
従来、LCDなどの各種表示デバイス等の透明電極には、スパッタリングやイオンプレーティング等に代表される物理的成膜法を用いて形成されるインジウム錫酸化物(以下、ITOとも称する)の透明導電膜が用いられてきた。その中でも、スパッタリング法で得られる透明導電膜(以下、スパッタリングITO膜と略称する)が最も広く用いられている。
しかし、近年のディスプレイの大型化に伴い、スパッタリングITO膜の作製にかかる設備投資コストの増大や、省資源という観点からみたITO膜材料の利用効率の低さ等が問題になっている。即ち、大面積の基材上にスパッタリングITO膜を形成するためには、大空間を高真空にするための大掛かりな設備投資が必要である。また、スパッタリングターゲット材の1〜2割程度しか実際の透明導電膜に利用されず、7割程度はスクラップとしてインジウムの回収に回されているのが実情である。
そこで、高価な設備を必要としない塗布法を用いて、透明導電膜を形成する研究が行われている。塗布法とは、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等を主成分とする導電性酸化物粉(フィラー)と樹脂バインダーを含有する塗布液(透明導電塗料)を基材上にコーティングし、乾燥、硬化の過程を経て、透明導電膜を形成するものである。真空を必要としないため、スパッタリングITO膜を作製する場合と比較して、設備投資コストが大幅に抑えられる利点がある。また、必要な部分にだけ塗布液を塗布(印刷)すれば良いため、透明導電材料の利用効率も高く、省資源・省材料な方法でもある。
しかしながら、従来の塗布法で得られる透明導電膜は、膜の抵抗値が高いという問題があった。一般に、各種表示デバイス、タッチパネル、電子ペーパー等の透明電極等に適用される場合、膜の比抵抗は1.0Ω・cm以下であることが必要とされているが、この比抵抗を満足することが難しかった。また、バインダーとしてアクリル樹脂系等の熱可塑性樹脂バインダーが通常用いられているため、透明導電膜が耐有機溶剤性に乏しいという問題もあった。
例えば、特開平9−109259号公報(特許文献1)には、導電性微粒子と樹脂バインダーからなる塗料を塗布乾燥させ、更に加圧することで導電層を作製する法方が開示されている。しかし、得られる導電膜の表面抵抗は2μmの膜厚で10Ω/□程度と高く、各種表示デバイス、タッチパネル、電子ペーパー等の透明電極として使用することはできない。
また、導電性酸化物粉を含む塗料をコーティングして低抵抗の膜を得るため、例えば特開2001−328195号公報(特許文献2)に示されるように、導電性酸化物粉を金属ロールで挟んで圧縮する方法がある。この公報によれば、0.5μmの膜厚で2kΩ/□の抵抗値を実現しているが、更なる大面積化を図る場合には金属ロールを大きくする必要がある。しかも、その場合には全圧が大きくなるため、たわみ等により圧力が不均一になる等の技術的な問題や、ロールの剛性を確保するために設備が大きくなりすぎるなどの問題がある。
更に、特開平8−199096号公報(特許文献3)には、ITO粉を含む塗料をガラス基板に塗布して、300℃以上の高温で焼成する方法が開示されている。しかしながら、基材としてプラスチックを用いる場合には、300℃の温度をかけることはできない。例えば、透明性、耐有機溶剤性、ハンドリング、コストなどの問題から、基材として好適なPETフィルムを用いる場合、かけられる温度は150℃が限界であるため、この方法を適用することは不可能である。
また、前述したように、透明導電膜は、各種デバイスを作製するプロセスにおいて、耐有機溶剤性を有している必要がある。例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子や、次世代の表示デバイスである電子ペーパー等の作製工程では、透明導電膜上に各種機能性膜を積層することが必要となる。しかし、透明導電膜上に各種機能性膜を塗布法で形成する場合、透明導電膜が耐有機溶剤性を有していなければ、その上に機能性膜形成用塗料を塗布することができず、デバイスの製造を行うことができない。
特開平9−109259号公報 特開2001−328195号公報 特開平8−199096号公報
本発明は、このような従来の事情に鑑み、LCDなどの各種表示デバイス等の透明電極等として有用な透明導電膜を塗布法で形成する際に、透明性と導電性に優れると同時に、耐有機溶剤性も兼ね備えた透明導電膜を150℃以下の低温で形成することができる透明導電塗料、及びこの透明導電塗料を用いて形成される透明導電膜を提供することを目的とする。
発明者等は、導電性酸化物粒状粉を含有する透明導電塗料を用いて透明導電膜を形成する方法により、優れた導電性と共に耐有機溶剤性を有する透明導電膜を得るため種々検討した結果、透明導電塗料のバインダーとして、架橋前のガラス転移点が80℃以上の架橋性樹脂を用いることが有効であることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
即ち、上記目的を達成するため、本発明が提供する透明導電塗料は、平均粒径が1〜100nmの導電性酸化物粒状粉がバインダーを含む溶剤中に分散した透明導電塗料であって、該バインダーが架橋性樹脂と硬化剤を主成分とし、且つ架橋前の架橋性樹脂のガラス転移点(Tg)が80℃以上、好ましくは100℃以上であることを特徴とするものである。
上記本発明の透明導電塗料においては、前記架橋性樹脂がアクリルポリオール樹脂であることが好ましい。また、前記硬化剤は、ブロックイソシアネートであることが好ましい。
また、上記本発明の透明導電塗料においては、前記導電性酸化物粒状粉は、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛の少なくとも一つを主成分とすることが好ましい。また、前記導電性酸化物粒状粉が、インジウム−錫酸化物微粒子を主成分とすることが好ましい。更に、前記導電性酸化物粒状粉:バインダーの重量比は、75:25から90:10であることが好ましい。
本発明は、また、上記本発明の透明導電塗料を用いて形成された透明導電膜にであって、架橋硬化した樹脂中に分散した導電性酸化物粒状粉を含み、膜の比抵抗が1.0Ω・cm以下であることを特徴とする透明導電膜を提供するものである。
本発明によれば、簡単且つ安価な塗布法によって、高い透明性と優れた導電性を有し且つ耐有機溶剤性を有する透明導電膜を、150℃以下の低温で形成可能な透明導電塗料を提供することができる。また、本発明の透明導電塗料により形成された透明導電膜は、耐有機溶剤性を有するため、その上に各種機能性膜を塗布法で形成する場合に有機溶剤に侵されにくく、膜の剥離や抵抗値等の膜特性の劣化を防止することができる。従って、本発明の透明導電膜は、液晶ディスプレイ等の各種表示デバイス、タッチパネル、電子ペーパー等の透明電極等として好適に用いることができる。
本発明の透明導電塗料は、平均粒径が1〜100nmの導電性酸化物粒状粉とバインダーを含み、そのバインダーとして架橋性樹脂と硬化剤を主成分とする樹脂バインダーを用いる。この樹脂バインダー成分は、導電性酸化物粒状粉の微粒子同士を結合して透明導電膜の導電性と強度を高めと共に、基材と透明導電膜の密着力を高める。また、架橋性樹脂が架橋硬化することにより、透明導電膜の耐有機溶剤性が向上するため、その上に別の機能性膜を積層形成する場合にも、その塗布液中の有機溶剤による透明導電膜の劣化を防止することができる。更に、優れた導電性を有する透明導電膜とするためには、架橋性樹脂は架橋前のカラス転移点(Tg)が80℃以上であることが必要であり、100℃以上であることが更に好ましい。
架橋性樹脂の架橋前のガラス転移点が80℃以上の場合に、優れた導電性の透明導電膜が得られる理由は明らかではないが、例えば以下のように考えることができる。架橋性樹脂はガラス転移点を越えると軟化するが、ガラス転移点が高い場合には、塗膜の乾燥過程でより強いストレスを導電性酸化物粒状粉に与えることができ、その微粒子同士の接触を強化する作用があるものと推測される。そのため、乾燥後に樹脂バインダーの架橋を行えば、耐有機溶剤性に優れた透明導電膜が得られる。逆に、架橋性樹脂のガラス転移点が低い場合には、乾燥過程での微粒子同士の接触が強化されないため、乾燥後の架橋によりガラス転移点が最終的に高くなっても、膜の抵抗値改善の効果は乏しいと考えられる。要するに、架橋性樹脂の最終的なガラス転移点ではなく、架橋前のガラス転移点が80℃以上であることが重要である。
上記透明導電塗料のバインダーに用いる架橋性樹脂としては、硬化剤と反応して架橋硬化する樹脂であって、且つ架橋前に80℃以上の高いガラス転移点を有するものであればよく、熱硬化性樹脂、常温硬化性樹脂等から適宜選択することができる。例えば、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、常温硬化性樹脂としては2液性のエポキシ樹脂やウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂などを用いることができる。その中でも、水酸基(−OH)を有する架橋性樹脂としてのアクリルポリオール樹脂は、高いガラス転移点と優れた架橋性を兼ね備えたものが得られやすいという点で、特に好ましいものである。尚、上記以外にも、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等を用いることもできる。
また、上記架橋性樹脂の硬化剤としては、水酸基と架橋することができるアミノ基、メチロール基を有するアミノ樹脂、あるいは、ポリイソシアネートが用いられる。ここで、ポリイソシアネートには使用する原料イソシアネートにより、TDI(トリレンジイソシアネート)系、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)系、XDI(キシリレンジイソシアネート)系、NDI(ナフチレン1,5−ジイソシアネート)系、TMXDI(テトラメチレンキシリレンジイソシアネート)系等の芳香族系イソシアネート、IPDI(イソホロンジイソシアネート)系、H12MDI(水添MDI、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)系、H6XDI(水添XDI)系等の脂環族系イソシアネート、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系、DDI(ダイマー酸ジイソシアネート)系、NBDI(ノルボルネン・ジイソシアネート)系等の脂肪族系イソシアネート等がある。
これらの硬化剤のうち、一般にTDI系やMDIなど芳香族イソシアネート系のものは紫外線によって黄変しやすいが、IPDI系やHDI系の脂環族系イソシアネート、脂肪族系イソシアネートは黄変しにくいため好ましい。また、イソシアネート硬化剤において、ポリイソシアネートをブロック化剤で保護したブロックイソシアネートは、低温での架橋反応が抑制されるため、使用前に硬化剤を混合する2液タイプではなく、硬化剤を予め塗料に配合した1液タイプとすることができるため、透明導電塗料のハンドリング性や保存安定性等の面から一層好ましい。
上記ブロックイソシアネートの中でも、脂肪族系ブロックイソシアネートは黄変がないため好ましく、更に最低硬化温度(ブロック化剤の保護作用が低下し、硬化剤として有効に機能する温度)が130℃以下、更に好ましくは100℃以下のものが好ましい。最低硬化温度が130℃を超えると、使用可能な基材の選択肢を狭めてしまうからである。例えば、基材として好適なPETを使用する場合、PETにかけることができる温度は150℃が限界であり、好ましくは130℃以下である。このような条件を満たす硬化剤としては、例えば、旭化成(株)製のデュラネートMF−K60X(HDI系ブロックイソシアネート、最低硬化温度90℃)を挙げることができる。ここで、上記水酸基を有する架橋性樹脂の水酸基(−OH)とポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO)の割合(モル比)は、架橋樹脂の耐溶剤性や強度等の特性を考慮して、一般にNCO/OH=1〜5の範囲にあることが好ましい。より好ましくは1〜3の範囲に設定される。
また、上記した硬化剤と共に、必要に応じて、既存の硬化触媒(ジブチル錫ジラウレート等)を併用することもできる。硬化剤の種類によっては、硬化触媒を併用することにより、架橋性樹脂の硬化速度を大幅に高めることができる。
本発明の透明導電塗料に適用される導電性酸化物粒状粉としては、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛のいずれか一つ以上を主成分とするものが好ましい。例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム−タングステン酸化物(IWO)、インジウム−チタン酸化物(ITiO)、インジウムジルコニウム酸化物、錫アンチモン酸化物(ATO)、フッ素錫酸化物(FTO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)等が挙げられるが、これらの中でもITOが最も高特性であるため特に好ましい。
上記導電性酸化物粒状粉の平均粒径は、1〜100nmであることが必要であり、5〜50nmが更に好ましい。平均粒径が1nm未満では透明導電塗料の製造が困難となり、また得られる透明導電膜の抵抗値が高くなる。一方、平均粒径が100nmを超えると、透明導電塗料中で導電性酸化物粒状粉が沈降し易くなり、取扱いが容易でなくなると同時に、透明導電膜において高透過率と低抵抗値を同時に達成することが困難になるからである。
また、導電性酸化物粒状粉の粒子形状は、粒状であることが必要である。ここで、粒状とは、球状ないし正多面体も含めた粒状粒子のことであり、針状やりん片状等のような明らかな形状異方性を有する粒子は除かれる。本発明で粒状粉を用いる理由は、粒状の粒子は膜中で緻密充填しやすく、緻密充填した膜は可視光線の散乱が少なく透明性に優れるからである。一方、針状やりん片状等のような形状異方性粒子を用いると、可視光線の散乱が大きくなり、ヘイズ値(くもり度合い)が高い透光性の膜となるため、導電膜としての適用範囲が大幅に限定される。尚、導電性酸化物粒状粉の平均粒径と粒子形状の評価は、透過電子顕微鏡(TEM)での観察結果に基づくものである。
透明導電塗料中における導電性酸化物粒状粉とバインダー(架橋性樹脂+硬化剤)の割合は、導電性酸化物粒状粉:バインダーの重量比で75:25〜90:10が好ましく、80:20〜85:15が更に好ましい。バインダーの割合が導電性酸化物粒状粉:バインダーの重量比で75:25より多いと、得られる透明導電膜の抵抗が高くなりすぎる場合がある。逆にバインダーの割合が導電性酸化物粒状粉:バインダーの重量比で90:10より少ないと、透明導電膜の強度が低下すると同時に、基材との十分な密着力が得られなくなる。尚、導電性酸化物粒状粉:バインダーの体積比では、34:66〜61:39が好ましく、41:59〜49:51が更に好ましい。
透明導電塗料に用いる溶剤としては、例えば、水、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1−プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール(DAA)等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、エチレングリコールモノブチルエーテル(BCS)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGM−AC)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PE−AC)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール誘導体、トルエン、キシレン、メシチレン、ドデシルベンゼン等のベンゼン誘導体、ホルムアミド(FA)、N−メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
尚、透明導電塗料に用いる溶剤は、使用するプラスチック基材に対する溶解性や成膜条件を考慮して、適宜選定することができる。例えば、スクリーン印刷による場合、蒸発速度、刷版の乳剤やバインダー樹脂に対する溶解性、有害性などを考慮すると、好ましい溶剤の一つとして上記したイソホロン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
本発明の透明導電塗料は、導電性酸化物粒状粉をバインダー(上記の架橋性樹脂と硬化剤とからなる)及び溶剤と混合し、必要に応じて分散剤を添加して、分散処理を行うことにより製造することができる。例えば、導電性酸化物粒状粉を溶剤及び必要に応じて分散剤と混合し、分散処理した後、得られた分散液にバインダーを添加し、更に導電性酸化物粒状粉濃度、溶剤組成等の成分調整を行う。尚、バインダーの添加時期には特に制約はなく、上記のごとく導電性酸化物粒状粉分散液に添加する外、導電性酸化物粒状粉の分散前の溶剤に予め添加してもよい。また、分散処理には、超音波処理、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル、スリーロールミル等の汎用の方法を適用することができる。
上記分散剤としては、シリコンカップリング剤等の各種カップリング剤、各種高分子分散剤、アニオン系・ノニオン系・カチオン系等の各種界面活性剤が挙げられる。これら分散剤は、用いる導電性酸化物粒状粉の種類や分散処理方法に応じて適宜選定することができる。また、分散剤を全く用いなくても、導電性酸化物粒状粉と溶剤の組合せ、及び分散処理方法の如何によっては、良好な分散状態を得ることができる場合がある。尚、分散剤の使用は膜の抵抗値や耐候性を悪化させる可能性があるので、分散剤を用いない透明導電塗料が最も好ましい。
本発明の透明導電膜は、上記透明導電塗料を基材上に印刷塗布した後、加熱してバインダーの架橋性樹脂を硬化剤と反応させ、架橋硬化させることにより形成することができる。透明導電塗料の基材上への印刷には、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンス法、ワイヤーバーコーティング法、ドクターブレードコーティング法、ロールコーティング法等を用いることができる。
上記基材としては、透明性があれば良く、ガラスや各種透明プラスチックを用いることができる。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン、ポリエーテルスルホン(PES)、トリアセチルセルロース、ノルボルネン系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等を用いることができる。PETは安価で且つ強度に優れ、透明性と柔軟性も兼ね備えている等の観点から、基材として好ましい材質である。尚、上記基材にプラスチックを用いる場合には、透明導電膜との密着力を高めるための易接着処理、具体的には、プラズマ処理、コロナ放電処理、短波長紫外線照射処理等を予め施しておくこともできる。
このようにして得られる本発明の透明導電膜は、高い透明性と導電性を両立できるだけでなく、バインダーの架橋性樹脂が架橋硬化しているため、耐有機溶剤性にも優れている。そのため、LCD等の各種表示デバイス、タッチパネル、電子ペーパー等の透明電極等に適用する場合、その上に更に素子を形成するための各層の積層印刷工程において、層形成用の塗布液中の有機溶剤に侵されにくくなり、抵抗値等の膜特性の劣化を防止することが可能となる。また、透明導電膜の比抵抗は1.0Ω・cm以下であることが好ましい。透明導電膜の比抵抗が1.0Ω・cmを超える場合には、透明導電膜に求められる透明性と導電性を両立することが難しくなるからである。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の記述において「%」及び「部」は、透過率及びヘイズ値の%を除いて、「重量%」及び「重量部」を示している。
また、透明導電膜の耐有機溶剤性は、アセトンをしみこませた綿棒で膜を1cm程度往復10回擦り、膜の状態を目視観察して評価した。透明導電膜の透過率(可視光)とヘイズ値は、村上色彩技術研究所製のヘイズメーター(HR−200)を用いて測定した。透明導電膜の表面抵抗は、三菱化学(株)製の表面抵抗計ロレスタAP(MCP−T400)を用いて測定した。
[実施例1]
導電性酸化物粒状粉として、平均粒径0.03μmのITO粒状粉(住友金属鉱山(株)製、SUFP−HX)を用いた。バインダーの架橋性樹脂として、ガラス転移点(Tg)102℃のアクリルポリオール樹脂溶液(三菱レイヨン(株)製、GS−5756、水酸基価29KOHmg/g[樹脂成分])を用い、その硬化剤としてブロックイソシアネート(旭化成(株)製、MF−K60X、固形分(硬化剤成分)約60%)を用いた。また、溶剤としては、イソホロンを使用した。
上記ITO粒状粉を、溶剤をイソホロンに置換した上記アクリルポリオール樹脂溶液(樹脂濃度40%)8.6部とブロックイソシアネート1.2部を含むイソホロン中に分散させて、透明導電塗料を調整した。この透明導電塗料の組成は、ITO:55.2%、アクリルポリオール樹脂:8.1%、ブロックイソシアネート(硬化剤成分):1.7%、イソホロン:35%であり、ITO粒状粉:バインダーの重量比は84.9:15.1で、NCO(イソシアネート基)/OH(水酸基)=1/1であった。
上記透明導電塗料を、基材としてのPET基板(帝人(株)製、テトロンHSL)上に線径0.15mmのワイヤーバーで塗布した後、40℃で15分乾燥し、更に120℃で20分加熱してバインダーを架橋硬化させ、膜厚2μmの透明導電膜を形成した。
得られた透明導電膜は、アセトンを浸した綿棒で軽く往復10回を擦っても、全く傷つかなかった。また、透明導電膜の膜特性は、可視光線透過率が86.1%、ヘイズ値が4.5%、表面抵抗値が850Ω/□、比抵抗値が0.17Ω・cmであった。尚、上述の可視光線透過率及びヘイズ値は、透明導電膜だけの値であって、それぞれ下記計算式により求められている。
透明導電膜の透過率(%)=(透明導電膜付き基材の透過率)/(基板の透過率)×100
透明導電膜のヘイズ値(%)=(透明導電膜付き基材のヘイズ値)−(基板のヘイズ値)
[比較例1]
架橋性樹脂として、ガラス転移点(Tg)32℃のアクリルポリオール樹脂溶液(水酸基価108KOHmg/g[樹脂成分])を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、透明導電塗料を得た。この透明導電塗料の組成は、ITO:55.2%、アクリルポリオール樹脂:5.6%、ブロックイソシアネート(硬化剤成分):4.2%、イソホロン:35%であり、ITO粒状粉:バインダーの重量比は84.9:15.1で、NCO(イソシアネート基)/OH(水酸基)=1/1であった。
この透明導電塗料を用い、上記実施例1と同様にして、基材上に透明導電膜を形成した。得られた透明導電膜は、アセトンを浸した綿棒で軽く往復10回表面を擦っても、全く傷つかなかった。また、透明導電膜の膜特性は、可視光線透過率が85.1%、ヘイズ値が4.6%、表面抵抗値が13kΩ/□、比抵抗が2.6Ω・cmであった。この比較例1の透明導電膜は、上記実施例1と比較すると、耐有機溶剤性は同様に優れているが、比抵抗が1.0Ω・cmよりも高く、導電性に劣ることが分かる。
[比較例2]
バインダー樹脂として、実施例1のアクリルポリオール樹脂(Tg:102℃)を用い、且つ硬化剤を添加しなかった以外は、上記実施例1と同様にして、バインダーが架橋性を有しない透明導電塗料を得た。この透明導電塗料の組成は、ITO:55.2%、アクリルポリオール樹脂:9.8%、イソホロン:35%であり、ITO粒状粉:バインダーの重量比は84.9:15.1で、NCO(イソシアネート基)/OH(水酸基)=0/1であった。
この透明導電塗料を用い、上記実施例1と同様にして、基材上に透明導電膜を形成した。得られた透明導電膜は、アセトンを浸した綿棒で軽く往復10回を擦ったところ、著しく傷ついた。また、透明導電膜の膜特性は、可視光線透過率が86.2%、ヘイズ値が4.4%、表面抵抗値が1250Ω/□、比抵抗が0.25Ω・cmであった。この比較例2の透明導電膜は、上記実施例1と比較すると、抵抗値や透過率はほぼ同じであるが、耐有機溶剤性に劣ることが分かる。

Claims (6)

  1. 平均粒径が1〜100nmの導電性酸化物粒状粉がバインダーを含む溶剤中に分散した透明導電塗料であって、該バインダーが架橋性樹脂と硬化剤を主成分とし、且つ架橋前の架橋性樹脂のガラス転移点(Tg)が100℃以上であり、前記導電性酸化物粒状粉:バインダーの重量比が75:25から90:10であることを特徴とする透明導電塗料。
  2. 前記架橋性樹脂がアクリルポリオール樹脂であることを特徴とする、請求項に記載の透明導電塗料。
  3. 前記硬化剤がブロックイソシアネートであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の透明導電塗料。
  4. 前記導電性酸化物粒状粉が、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛の少なくとも一つを主成分とすることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の透明導電塗料。
  5. 前記導電性酸化物粒状粉が、インジウム−錫酸化物微粒子を主成分とすることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の透明導電塗料。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の透明導電塗料を用いて形成された透明導電膜であって、架橋硬化した樹脂中に分散した導電性酸化物粒状粉を含み、膜の比抵抗が1.0Ω・cm以下であることを特徴とする透明導電膜。
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