JP4132626B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた電磁変換特性及び耐久性を有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオテープあるいはフロッピーディスクなどとして広く用いられている。磁気記録媒体は、強磁性粉末が結合剤中に分散された磁性層を非磁性支持体上に積層している。磁気記録媒体は、電磁変換特性、走行耐久性および走行性能などの諸特性において高いレベルにあることが必要とされる。すなわち、音楽録音再生用のオーディオテープにおいては、より高度の原音再生能力が要求されている。また、ビデオテープについては、原画再生能力が優れているなど電磁変換特性が優れていることが要求されている。このような優れた電磁変換特性を有すると同時に、磁気記録媒体は良好な走行耐久性を持つことが要求されている。耐久性および電磁変換特性を向上させるためには、磁性層の主成分の一つである結合剤も重要な働きを担っている。従来から用いられている塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等では、磁性層の耐摩耗性が劣り、磁気テープの走行系部材を汚染するという問題があった。
【0003】
また、磁気ヘッド汚れは電磁変換特性の劣化の原因となっている。特に、高密度記録用の機器では、磁気ヘッド回転数が上昇しており、デジタルビデオテープレコーダでは、磁気ヘッドの回転数が9600回転/分と、アナログビデオテープレコーダの民生用の1800回転/分、業務用の5000回転/分に比べて格段に高速回転数であり、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの摺動する速度が大きくなり、また磁気ヘッドも薄膜ヘッド等のように小型のものが用いられており、磁気記録媒体から生じる成分による磁気ヘッド汚れの改善が求められている。
【0004】
このような問題を改善する方法として、硬い結合剤を用いて磁性層の硬度を上げる方法が行われている。例えば、特開平6−96437号公報には、ウレタン基濃度2.5mmol/g以上のポリエステルポリウレタンとポリビニルアセタール樹脂を用いた磁気記録媒体が記載されており、また特開平7−50010号公報には、ウレタン中に0〜5モル%のポリオールを含むポリウレタン中であってウレタン基濃度が高いものが示されているが、何れも分散性が不充分であり、特定の強磁性粉末との組み合わせによって効果が得られることについては記載されていない。
【0005】
また、特開平3−88119号公報には、下層に脂肪族ウレタン、上層に芳香族ウレタンを含有した磁気記録媒体が記載されている。また、特開平6−259746号公報には、分岐グリコール、脂環族グリコール、芳香族あるいは脂環族二塩基酸を用いたポリエステルポリオールからなるウレタンが記載されている。また、特開平6−76265号公報には、分岐を有する多価アルコールを用いたポリエステルジオールからなるポリウレタンが記載されており、特開平6−314424号公報には、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと脂肪族ジカルボン酸を用いたポリエステルポリオールからなるポリウレタンが記載されている。しかしながら、これらは、いずれのポリウレタンもTgが低いので塗膜全体や塗膜表面が柔らかくなり、ビデオテープに用いた場合には、回転ヘッドとの摺動により塗膜が流動しやすくなり走行耐久性が低下する欠点がある。また、高温環境で保存すると塗膜表面が柔らかくなり摩擦係数が高くなり走行不良を発生する欠点がある。
【0006】
また、特開平11−39639号公報は、強磁性粉末間の磁気的エネルギーが大きく分散しにくい強磁性粉末を、分散性に優れた特定の化学構造を有するポリウレタンからなる結合剤を用いて分散することによって、電磁変換特性及び走行耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることを開示している。しかし、使用する熱硬化型イソシアネート硬化剤は、塗布液中の水分と反応して架橋構造をとるので経時により塗布液粘度が上昇するため塗膜平滑性が低下し、また、熱により経時的にイソシアネート硬化剤を反応させているので、反応途中でポリウレタンが硬化し架橋の進行が妨げられるために架橋性が悪く、走行耐久性に劣る問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は優れた塗膜平滑性及び電磁変換特性を有し、走行耐久性に優れた磁気記録媒体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、さらなる研究により架橋性が高い化合物により架橋を行うことによって、塗膜平滑性及び走行耐久性に優れた磁気記録媒体を得るために鋭意努力した。その結果、磁性層に含まれる結合剤が、分子中に2官能以上の放射線官能性二重結合を有する分子量200〜2,000の化合物を用いて放射線などの熱に比べて高いエネルギーで架橋することにより得られたものであることにより、本発明の目的が達成されることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の目的は、
非磁性支持体上に少なくとも一層の磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記磁性層は、強磁性粉末、ポリエステルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂、及び、分子中に2官能以上の放射線官能性二重結合を有する分子量200〜2,000の化合物を含む磁性層塗布液を非磁性支持体上に塗布した後に放射線照射することにより形成された層であり、
前記化合物は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびイソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性トリアクリレ−トからなる群から選ばれる一種であり、
前記ポリエステルポリオールは二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、かつジオール成分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールを含み、前記鎖延長剤は炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなることを特徴とする磁気記録媒体
によって達成される。
【0010】
また、本発明の目的は、
非磁性支持体上に無機粉末又は磁性粉末と結合剤とを含む層並びに少なくとも一層の磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記磁気記録媒体は、無機粉末もしくは磁性粉末を含む塗布液Aと強磁性粉末を含む塗布液Bをこの順に非磁性支持体上に逐次または同時に重層塗布した後に放射線照射することにより形成された磁気記録媒体であり、
前記塗布液Bは、ポリエステルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂、及び、分子中に2官能以上の放射線官能性二重結合を有する分子量200〜2,000の化合物を含み、
前記化合物は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびイソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性トリアクリレ−トからなる群から選ばれる一種であり、
前記ポリエステルポリオールは二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、かつジオール成分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールを含み、前記鎖延長剤は炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなることを特徴とする磁気記録媒体
によって達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気記録媒体についてさらに詳細に説明する。
本発明は、分散性の低い強磁性粉末を、分散性に優れた特定の化学構造を有するポリウレタンからなる結合剤を用いて分散することによって電磁変換特性、走行耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることができる。
[ポリウレタン樹脂]
本発明の磁性層で用いる結合剤は、ポリエステルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂を含む。
上記ポリウレタン樹脂の原料となるポリエステルポリオールは、二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含む。脂肪族二塩基酸は、溶剤溶解性の低い環状構造をもたないので、溶剤中へ均一に溶解することができる。
ポリエステルポリオールに用いることができる脂肪族二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸などを挙げることができる。これらのなかでも好ましいものは、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸である。
ポリエステルポリオールの全二塩基酸成分のうち、脂肪族二塩基酸の含量が70モル%〜100モル%であることが、良好な溶解性を得るために好ましい。
【0012】
本発明において、上記ポリエステルポリオールに含まれるジオール成分は、アルキル分岐側鎖を有する、環状構造をもたない脂肪族ジオールである。
ポリエステルポリオール中のジオール成分にアルキル分岐側鎖を有することにより、ウレタン結合やエステル結合同士の会合を立体障害的に防止されるため、分子間相互作用が低減され結合剤の溶解性を向上することができる。また、芳香環やシクロヘキサン環などの溶解性の低い環状構造をもたないことによっても結合剤の溶解性を高めることができる。これにより、結合剤が溶剤中へ均一に溶解され、磁性体や非磁性粉末を高度に分散することが可能になる。
【0013】
ポリエステルポリオールのジオール成分として用いることができるアルキル分岐脂肪族ジオールとしては、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオールなどが挙げられる。なかでも好ましいものは、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールである。
ポリエステルポリオールの全ジオール成分中の分岐側鎖を有する脂肪族ジオールの含量は、良好な溶解性を得るために、50〜100モル%が好ましく、さらに好ましくは70〜100モル%である。
【0014】
本発明の結合剤中のポリウレタン樹脂の原料となる鎖延長剤は、炭素数の合計が3以上のアルキル側鎖を有する脂肪族ジオールを含む。アルキル分子側鎖を有することにより、ウレタン結合やエステル結合同士の会合を立体障害的に防止することができるので分子間相互作用が低減され結合剤の溶解性を向上することができる。また、芳香環やシクロヘキサン環などの環状構造をもたないことによっても結合剤の溶解性を高めることができる。これにより、結合剤が溶剤中へ均一に溶解され、磁性体や非磁性粉末を高度に分散することが可能になる。
脂肪族ジオールが有するアルキル側鎖の炭素数の合計が3以上であることにより、ウレタン結合やエステル結合の会合を妨げる効果を得ることができ、アルキル側鎖の炭素数の合計は、より好ましくは4〜8である。
【0015】
炭素数の合計が3以上のアルキル側鎖を有する脂肪族ジオールとしては、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオールなどが挙げられる。なかでも好ましいものは、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールである。
ポリウレタン樹脂中の炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖を有する脂肪族ジオールからなる鎖延長剤の含有量は、5〜30重量%が好ましい。更に好ましくは10〜20重量%である。
【0016】
結合剤中のポリウレタン樹脂の原料となる有機ジイソシアネートは、公知のものを用いることができ、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4.4'−ジイソシアネート、2,2'−ジフェニルプロパン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3'−ジメトキシジフェニル−4,4'−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートなどを挙げることができる。好ましくは、TDI(トリレンジイソシアネート),MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート),p−フェニレンジイソシアネート、o-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを用いることができる。
【0017】
結合剤中のポリウレタン樹脂には、1官能以上の放射線官能性二重結合を有する化合物を含有することもできる。1官能以上の放射線官能性二重結合を有する化合物を含有することにより、ポリマー相互間でも放射線照射により架橋構造が形成されるため、架橋性がさらに高まり、より一層塗膜強度を高めて耐久性を向上させることができる。
ポリウレタン樹脂の成分として用いることのできる1官能以上の放射線官能性二重結合を有する化合物としては、アクリル酸またはメタクリル酸の2−ヒドロキシエチルエステル、2−ヒドロキシプロピルエステル、2−ヒドロキシオクチルエステルなどのエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミドをもち且つアクリル性二重結合を有する化合物などのイソシアネ−ト基と反応する基及びアクリル性二重結合をもつ化合物や2−メタクロイルオキシイソシアネ−トイソシアネ−トなどのOH基と反応する基及びアクリル性二重結合をもつ化合物を用いることができる。中でも好ましいものは、2−ヒドロキシエチルメタクリ−レ−ト、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、2−メタクロイルオキシイソシアネ−トイソシアネ−トである。
【0018】
上記ポリウレタン樹脂中のウレタン基濃度は、2.5〜4.5mmol/gであることが好ましく、より好ましくは3.0〜4,0mmol/gであることが適当である。ウレタン基濃度が2.5mmol/g以上であれば、塗膜のTgが向上し、耐久性が向上する。また、ウレタン基濃度が過度に高い場合には、必然的にポリオールを含有できなくなることにより分子量コントロールが困難になるなどの合成上の不都合が生じるため、かかる不都合を回避するために、ウレタン基濃度が4.5mmol/g以下であることが好ましい。
【0019】
結合剤中のポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が30,000〜70,000であることが好ましく、より好ましくは40,000〜60,000であることが適当である。重量平均分子量が30,000以上であることにより、高い塗膜強度及び優れた耐久性を得ることができ、70,000以下であると溶剤への溶解性が良好であり結合剤の分散性を向上させることができる。
【0020】
結合剤中のポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜200℃であることが好ましく、より好ましくは70〜180℃、さらに好ましくは80〜170℃であることが適当である。ガラス転移温度が40℃以上であれば、高温での塗膜強度が良好であり、200℃以下であれば、カレンダー成形性に優れ、電磁変換特性が良好である。
【0021】
ポリウレタン樹脂の極性基としては、−SO3M、−OSO3M、−P03M2、−COOMが好ましく、更に好ましくは−SO3M、−OS03Mであることが適当である。極性基の含有量は、1×10-5〜2×10-4eq/gであることが好ましい。1×10-5eq/g以上であると、磁性体や非磁性粉体への吸着性が高く分散性が良好であり、2×10-4eq/g以下であることで高い溶剤溶解性を得ることができる。
【0022】
ポリウレタン樹脂中のOH基含有量は、1分子当たり2個〜20個であることが好ましく、さらに好ましくは1分子当たり3個〜15個であることが適当である。1分子当たり2個以上のOH基を含むことにより、磁性体や非磁性粉体への吸着性が高く分散性が良好であり、1分子当たりのOH基含有量が20個以下であることで高い溶剤溶解性を得ることができる。
【0023】
[放射線官能性二重結合含有化合物]
本発明の磁性層に用いる結合剤は、上記ポリウレタン樹脂と分子中に2官能以上の放射線官能性二重結合を有する分子量200〜2,000の化合物とに放射線を照射してポリウレタンを架橋したものである。
従来、ポリウレタンを架橋するために結合剤成分として用いられていたイソシアネート硬化剤は、塗布液中の水分と反応して架橋構造をとるので経時により塗布液粘度が上昇し、塗膜平滑性が低下する問題があった。それに対し、本発明で使用する放射線官能性二重結合を有する化合物は、放射線によるエネルギーを与えない限り反応が進まないため、塗布液粘度が安定であり、平滑な塗膜を得ることができる。また、従来のイソシアネート硬化剤は熱により経時的に反応が進むため、反応中にポリウレタン樹脂自体が硬化することにより架橋が妨げられるのに対し、本発明の放射線官能性二重結合を有する化合物は、放射線による高いエネルギーにより瞬時に反応が進むため架橋性が高く、その結果高い塗膜強度を得ることができる。
また、分子量が200〜2,000と比較的低分子量であるので、カレンダー工程において塗膜が流動しやすく成形性が高く、さらに平滑な塗膜を実現することができる。
【0024】
本発明において用いる2官能以上の放射線官能性二重結合を有する分子量200〜2,000の化合物としては、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類、アリル化合物、ビニルエ−テル類、ビニルエステル類などが挙げられる。好ましくは2官能以上のアクリレ−ト化合物、メタクリレ−ト化合物であることが適当である。
【0025】
2官能の化合物の具体例としては、エチレングリコ−ルジアクリレ−ト、プロピレングリコ−ルジアクリレ−ト、ブタンジオ−ルジアクリレ−ト、ヘキサンジオ−ルジアクリレ−ト、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコ−ルジアクリレ−ト、トリプロピレングリコ−ルジアクリレ−ト、エチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、プロピレングリコ−ルジメタクリレ−ト、ブタンジオ−ルジメタクリレ−ト、ヘキサンジオ−ルジメタクリレ−ト、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコ−ルジメタクリレ−ト、トリプロピレングリコ−ルジメタクリレ−トなどに代表される脂肪族ジオ−ルにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものを用いることができる。また、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ルなどのポリオ−テルポリオ−ルにアクリル酸、メタクリル酸を付加したポリエ−テルアクリレ−ト、ポリエ−テルメタクリレ−トや公知の二塩基酸、グリコ−ルから得られたポリエステルポリオ−ルにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリエステルアクリレ−ト、ポリエステルメタクリレ−トも用いることができる。また、公知のポリオ−ル、ジオ−ルとポリイソシアネ−トを反応させたポリウレタンにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリウレタンアクリレ−ト、ポリウレタンメタクリレ−トを用いてもよい。ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルF、水素化ビスフェノ−ルA、水素化ビスフェノ−ルFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものやイソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレ−ト、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジメタアクリレ−ト、トリシクロデカンジメタノ−ルジアクリレ−ト、トリシクロデカンジメタノ−ルジメタクリレ−トなどの環状構造を有するものも用いることができる。
【0026】
3官能の化合物の具体例としては、トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト、トリメチロ−ルエタントリアクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパンのアルキレンオキサイド変性トリアクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリアクリレ−ト、プロピオン酸ジペンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパンのアルキレンオキサイド変性トリメタクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリメタクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルトリメタクリレ−ト、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリメタクリレ−ト、プロピオン酸ジペンタエリスリト−ルトリメタクリレ−ト、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロ−ルプロパントリメタクリレ−トなどを用いることができる。
【0027】
4官能以上の化合物の具体例としては、ペンタエリスリト−ルテトラアクリレ−ト、ジトリメチロ−ルプロパンテトラアクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルペンタアクリレ−ト、プロピオン酸ジペンタエリスリト−ルテトラアクリレ−ト、ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレ−ト、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサアクリレ−トなどを用いることができる。
【0028】
なかでも、具体例として好ましいものは分子量200〜600の3官能以上のアクリレ−ト化合物であり、更に好ましいものはトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリト−ルテトラアクリレ−ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性トリアクリレ−トである。
またこれらの化合物は任意の割合で混合して使用することができるとともに「低エネルギ−電子線照射の応用技術(2000年 (株)シ−エムシ−発行)」「UV・EB硬化技術(1982年 (株)総合技術センタ−発行)」などに記載されている公知の1官能アクリレ−トまたはメタクリレ−ト化合物を併用してもよい。
【0029】
本発明において架橋のために使用される放射線は、例えば電子線や紫外線であることができる。紫外線を使用する場合には光重合開始剤を併用する。電子線硬化の場合は重合開始剤が不要であり、透過深さも深いので好ましい。
【0030】
電子線加速器としては、スキャニング方式、ダブルスキャニング方式又はカーテンビーム方式が採用できるが、好ましいのは比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式である。電子線特性としては、加速電圧が30〜1000kV、好ましくは50〜300kVであり、吸収線量として0.5〜20Mrad、好ましくは2〜10Mradであることが適当である。加速電圧が30kV以上の場合はエネルギーの透過量が高く、300kVを以下であると重合に使われるエネルギーの効率が高く経済的に好ましい。
【0031】
電子線を照射する雰囲気は、酸素濃度が高いと表面近傍の架橋、硬化反応が阻害されるため、窒素パージにより酸素濃度を200ppm以下にすることが好ましい。
【0032】
紫外線光源としては、水銀灯が用いられる。水銀灯は20〜240W/cmのランプを用い、速度0.3m/分〜20m/分で使用することが適当である。基体と水銀灯との距離は一般に1〜30cmであることが好ましい。
【0033】
紫外線硬化の場合は、光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤が用いられる。詳細は例えば「新高分子実験学第2巻 第6章 光・放射線重合」(共立出版1995発行、高分子学会編)記載されているものを使用できる。具体例としては、アセトフエノン、ベンゾフエノン、アントラキノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンゾインイソブチルケトン、ヒドロキシジメチルフエニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフエニルケトン、2−2ジエトキシアセトフェノンなどが挙げられる。芳香族ケトンの混合比率は、放射線硬化化合物100重量部に対し0.5〜20重量部、好ましくは2〜15重量部、さらに好ましくは3〜10重量部であることが適当である。
【0034】
放射線照射は非磁性層及び磁性層を塗布、乾燥、カレンダー処理した後に行うのが好ましい。放射線照射前の磁性層は柔らかくカレンダー処理により平滑化されやすい。カレンダー処理した後巻き取り、放射線を未照射の状態で長時間保存するとバック面の凹凸が転写して表面が粗くなることがある。従ってカレンダー処理後できるだけ早く放射線を照射し磁性層を硬化させることが好ましい。カレンダー処理と放射線照射工程を一貫で行うことはさらに好ましい。
【0035】
放射線硬化装置、条件などについては「UV・EB硬化技術」(1982年(株)総合技術センタ−発行)や「低エネルギー電子線照射の応用技術」(2000年、(株)シーエムシー発行)などに記載されている公知のものを用いることができる。
【0036】
[その他の成分]
結合剤には、上記ポリウレタン樹脂及び放射線官能性二重結合含有化合物以外に、その他の結合剤成分として、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレ−トなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロ−ス系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタ−ル、ポリビニルブチラ−ルなどのポリビニルアルキラ−ル樹脂などから単独あるいは複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいのは塩ビ系樹脂、アクリル系樹脂であり、特に好ましいのは塩ビ系樹脂である。
【0037】
上記ポリウレタン樹脂及びその他の結合剤成分には、磁性体、非磁性粉体の分散性を向上させるためこれらの粉体表面に吸着する官能基(極性基)を持つことが好ましい。好ましい官能基としては−SO3M、−SO4M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2 、−COOM、>NSO3M、>NRSO3M、−NR1R2 、−N+R1R2R3X- などがある。ここでMは水素又はNa、Kなどのアルカリ金属、Rはアルキレン基、R1、R2、R3はアルキル基又はヒドロキシアルキル基又は水素、XはCl、Brなどのハロゲンである。結合剤中の官能基の量は10μeq/g〜200μeq/gが好ましく、さらに好ましくは30μeq/g〜120μeq/gであることが適当である。この範囲内であると、分散性が良好である。
またこのほかに、OH基などの活性水素を持つ官能基を含んでいてもかまわない。
【0038】
塩ビ系樹脂としては、塩ビモノマ−に種々のモノマ−と共重合したものを用いることができる。共重合モノマ−としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル類、 メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、イソプロピル(メタ)アクリレ−ト、ブチル(メタ)アクリレ−ト、ベンジル(メタ)アクリレ−トなどのアクリレ−ト、メタクリレ−ト類、アリルメチルエ−テル、アリルエチルエ−テル、アリルプロピルエ−テル、アリルブチルエ−テルなどのアルキルアリルエ−テル類、その他スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、エチレン、ブタジエン、アクリルアミドを用いることができ、更に官能基をもつ共重合モノマ−であるビニルアルコ−ル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシエチルアリルエ−テル、2−ヒドロキシプロピルアリルエ−テル、3−ヒドロキシプロピルアリルエ−テル、p−ビニルフェノ−ル、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレ−ト、アリルグリシジルエ−テル、ホスホエチル(メタ)アクリレ−ト、スルホエチル(メタ)アクリレ−ト、p−スチレンスルホン酸、及びこれらのNa塩、K塩などを用いることができる。
塩ビ系樹脂中の塩化ビニルモノマ−の組成は60〜95重量%が好ましい。この範囲内であれば、力学強度が高く、更に溶剤溶解性が高いため塗布液粘度が低く、分散性が良好であり。
【0039】
吸着官能基(極性基)の導入方法は、上記の官能基含有モノマ−を共重合しても良いし、塩ビ系樹脂を共重合した後、高分子反応で官能基を導入しても良い。好ましい重合度は200〜600、更に好ましくは240〜450である。この範囲内であれば力学強度が高く、また、溶液粘度が低いため分散性が良好であり好ましい。
【0040】
上記ポリウレタン樹脂及び放射線官能性二重結合含有化合物以外のその他の結合剤成分の分子量は、重量平均分子量で20,000〜200,000が好ましく、更に好ましくは20,000〜80,000であることが適当である。この範囲内であれば、塗膜強度及び塗布液粘度が良好である。
【0041】
本発明では、磁性層のみならず下層非磁性又は磁性層を有する場合には、上記結合剤を上層磁性層及び下層磁性又は非磁性層に使用することもできる。
結合剤の含有量は、磁性層の場合は磁性体1,000重量部に対して、非磁性層の場合は非磁性粉末1,000重量部に対して50重量部〜300重量部が好ましく、さらに好ましくは100重量部〜200重量部であることが適当である。
【0042】
[上層磁性層]
強磁性粉末
本発明の上層磁性層に使用する強磁性粉末としては、α−Feを主成分とする強磁性合金粉末が好ましい。これらの強磁性粉末には所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましく、Co、Y、Alの少なくとも一つを含むことがさらに好ましい。Coの含有量は0原子%以上40原子%以下が好ましく、さらに好ましくは15原子%以上35%以下、より好ましくは20原子%以上35原子%以下である。Yの含有量は1.5原子%以上12原子%以下が好ましく、さらに好ましくは3原子%以上10原子%以下、より好ましくは4原子%以上9原子%以下である。Alは5原子%以上30原子%以下が好ましく、さらに好ましくは5原子%以上15原子%以下、より好ましくは7原子%以上12原子%以下である。これらの強磁性粉末にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。
【0043】
具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭46−39639号公報、米国特許第3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号などに記載されている。
【0044】
強磁性合金微粉末には、少量の水酸化物、または酸化物が含まれてもよい。強磁性合金微粉末の公知の製造方法により得られたものを用いることができ、下記の方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性合金粉末は公知の徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施したものでも用いることができる。
【0045】
本発明の磁性層の強磁性粉末をBET法による比表面積で表せば45〜80m2/gであり、好ましくは50〜70m2/gであることが適当である。45m2/g以上であるとノイズが低減され、80m2/g以下であると表面性が良好であり好ましい。本発明の磁性層の強磁性粉末の結晶子サイズは350〜80Åであり、好ましくは250〜100Å、更に好ましくは200〜140Åであることが適当である。強磁性粉末の長軸径は0.02μm以上0.25μm以下であり、好ましくは0.05μm以上0.15μm以下であり、さらに好ましくは0.06μm以上0.1μm以下であることが適当である。強磁性粉末の針状比は3以上15以下が好ましく、さらには5以上12以下が好ましい。磁性金属粉末のσs は100〜180A・m2/g(100〜180emu/g)であり、好ましくは110 〜170A・m2/g(110 〜170emu/g)、更に好ましくは125〜160A・m2/g(125〜160emu/g)であることが適当である。金属粉末の抗磁力は111〜279kA/m(1400〜3500Oe)が好ましく、更に好ましくは143〜239kA/m(1800Oe〜3000Oe)であることが適当である。
【0046】
強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性粉末の含水率は最適化するのが好ましい。 強磁性粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は4〜12であり、好ましくは6〜10であることが適当である。強磁性粉末は必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性粉末に対し0.1〜10%であることが適当であり、表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。強磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。また、本発明に用いられる強磁性粉末は空孔が少ないほうが好ましくその値は20容量%以下、さらに好ましくは5容量%以下であることが適当である。また形状については先に示した粒子サイズについての特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。
強磁性粉末自体のSFDは小さい方が好ましく、0.8以下が適当であり、強磁性粉末のHc分布を小さくすることが好ましい。SFDが0.8以下であると、電磁変換特性が良好で、出力が高く、また、磁化反転がシャープでピークシフトも少なくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。Hcの分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲ−タイトの粒度分布を良くする、焼結を防止するなどの方法がある。
【0047】
六方晶フェライト
本発明の磁性層に使用する強磁性粉末としては六方晶フェライト微粉末も使用できる。
六方晶フェライトとしてバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等がある。具体的にはマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、更に一部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げられ、その他所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、SbーZn−Co、Nb−Znなどの元素を添加した物を使用することができる。原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
【0048】
粒子サイズは六角板径で10〜200nm、好ましくは20〜100nmであることが適当である。10nm以上であれば熱揺らぎが少なく安定な磁化を得ることができ、200nm以下であればノイズが低減されるため、高密度磁気記録には好適である。尚、磁気抵抗ヘッドで再生する場合は、低ノイズにする必要があり、板径は40nm以下が好ましい。
板状比(板径/板厚)は1〜15が好ましく、より好ましくは2〜7であることが適当である。板状比が小さいと磁性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な配向性が得られない。15より大きいと粒子間のスタッキングによりノイズが大きくなる。この粒子サイズ範囲のBET法による比表面積は10〜200m2/gを示す。比表面積は概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と符号する。結晶子サイズは50〜450Å、好ましくは100〜350Åである。粒子板径・板厚の分布は通常狭いほど好ましい。数値化は困難であるが粒子TEM写真より500粒子を無作為に測定する事で比較できる。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。たとえば酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。磁性体で測定される抗磁力Hcは40〜400kA/m(500〜5000Oe)程度まで作成できる。Hcは高い方が高密度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。通常64kA/m(800Oe)から318kA/m(4000Oe)程度であるが、好ましくは119kA/m(1500Oe)以上、279kA/m(3500Oe)以下である。ヘッドの飽和磁化が1.4テスラーを越える場合は、159kA/m(2000Oe)以上にすることが好ましい。Hcは粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。飽和磁化σsは40〜80A・m2/kg(40〜80emu/g)である。σsは高い方が好ましいが微粒子になるほど小さくなる傾向がある。σs改良のためマグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合すること、含有元素の種類と添加量の選択等が良く知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。
【0049】
磁性体を分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。表面処理剤は無機化合物、有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P、等の酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。量は磁性体に対して0.1〜10%であることが適当である。磁性体のPHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜10程度が選択される。磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜2.0%が選ばれる。六方晶フェライトの製法としては、▲1▼酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法。▲2▼バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法。▲3▼バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法などがあるが、本発明は製法を選ばない。
【0050】
上記の各成分を、通常磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチルなどの溶剤とともに混練分散して磁性塗料とする。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。尚、磁性塗料中には、上記成分以外にα−Al2O3、Cr2O3などの研磨剤、カーボンブラックなどの帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイルなどの潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤又は充填剤を含んでもよい。
【0051】
本発明の上層磁性層に使用されるカ−ボンブラックは、ゴム用ファ−ネス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、アセチレンブラックなどを用いることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、粒子径は5nm〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10重量%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。本発明の磁性層に用いられるカ−ボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、700、VULCAN XC−72、旭カ−ボン社製、#80、#60、#55、#50、#35、三菱化成工業社製、#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B、コンロンビアカ−ボン社製、CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50、40、15などが挙げられる。カ−ボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カ−ボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカ−ボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。
【0052】
カ−ボンブラックを使用する場合は強磁性粉末に対する量の0.1〜30重量%で用いることが好ましい。カ−ボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカ−ボンブラックにより異なる。従って本発明に使用されるこれらのカ−ボンブラックは上層、下層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。本発明の磁性層で使用できるカ−ボンブラックは例えば「カ−ボンブラック便覧」カ−ボンブラック協会編を参考にすることができる。
【0053】
磁性層には、前記非磁性粉末以外に研磨剤としてα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイド、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素など主としてモ−ス硬度6以上の公知の材料が単独または組合せで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90重量%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmが使用出来るが、磁性層厚みが薄いので0.01〜0.3μmのものが好ましい。また、必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。
タップ密度は0.3〜2g/ml、含水率は0.1〜5重量%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/gが好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。
【0054】
本発明に用いられる研磨剤の具体的な例としては、住友化学社製AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT−50、HIT−100、日本化学工業社製G5、G7、S1、戸田工業社製TF−100、TF−140が挙げられる。本発明に用いられる研磨剤は磁性層(上下層)、非磁性層で種類、量および組合せを替え、目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。これらの研磨剤はあらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。本発明の磁気記録媒体の磁性層表面および磁性層端面に存在する研磨剤は5個/100μm2以上であることが好ましい。
【0055】
[下層]
次に本発明が多層構成の場合における下層非磁性層または下層磁性層について説明する。
無機粉末
本発明の下層非磁性層に用いられる無機粉末は、磁性粉末、非磁性粉末を問わない。例えば非磁性粉末の場合、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などの無機質化合物から選択することができる。無機化合物としては例えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独または組合せで使用される。特に好ましいのは、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多いことなどから、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは二酸化チタン、α−酸化鉄である。これら非磁性粉末の粒子サイズは0.005〜2μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは非磁性粉末の粒子サイズは0.01μm〜0.2μmである。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径0.08μm以下が好ましく、針状金属酸化物である場合は、長軸長が0.3μm以下が好ましい。タップ密度は0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。非磁性粉末の含水率は0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%、更に好ましくは0.3〜1.5重量%である。非磁性粉末のpHは2〜11であるが、pHは5.5〜10の間が特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m2/g、好ましくは5〜80m2/g、更に好ましくは10〜70m2/gであることが適当である。非磁性粉末の結晶子サイズは0.004μm〜1μmが好ましく、0.04μm〜0.1μmが更に好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gであることが適当である。比重は1〜12、好ましくは3〜6であることが適当である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。
【0056】
強熱減量は20重量%以下であることが好ましく、本来ないことが最も好ましいと考えられる。本発明に用いられる上記非磁性粉末のモース硬度は4以上、10以下のものが好ましい。これらの粉体表面のラフネスファクターは0.8〜1.5が好ましく、更に好ましいラフネスファクターは0.9〜1.2である。非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は1〜20μmol/m2、好ましくは2〜15μmol/m2、さらに好ましくは3〜8μmol/m2であることが適当である。非磁性粉末の25℃での水への湿潤熱は2×10-5〜6×10-5J/cm2(200〜600erg/cm2)がの範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができる。pHは3〜6の間にあることが好ましい。非磁性粉末の水溶性Na濃度は0〜150ppm、水溶性Caは0〜50ppmであることが適当である。
【0057】
これらの非磁性粉末の表面には例えばAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3、ZnO、Y2O3で表面処理することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2であり、さらに好ましいのはAl2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0058】
本発明の下層に用いられる非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製α−ヘマタイトDPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DBN−SA1、DBN−SA3、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、α−ヘマタイトE270、E271、E300、E303、チタン工業製酸化チタンSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、α−ヘマタイトα−40、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100A、500A、及びそれを焼成したものが挙げられる。 特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
【0059】
下層にカ−ボンブラックを混合させて公知の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。また、下層にカーボンブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可能である。カーボンブラックの種類はゴム用ファ−ネス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、アセチレンブラックなど用いることができる。下層のカーボンブラックは所望する効果によって、以下のような特性を最適化すべきであり、併用することでより効果が得られることがある。
【0060】
下層のカ−ボンブラックの比表面積は100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gであることが適当である。カ−ボンブラックの粒子径は5〜80nm、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmであることが適当である。カ−ボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。本発明に用いられるカ−ボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製 BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化成工業社製 #3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、MA−230、#4000、#4010、コンロンビアカ−ボン社製 CONDUCTEX SC、RAVEN 8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、アクゾー社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。カ−ボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カ−ボンブラックを塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記無機質粉末に対して50重量%を越えない範囲、下層総重量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカ−ボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。本発明で使用できるカ−ボンブラックは例えば「カ−ボンブラック便覧」(カ−ボンブラック協会編)を参考にすることができる。
【0061】
また下層塗布層には有機質粉末を目的に応じて添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂を使用することができる。その製法は特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
【0062】
本発明の下層にはまた、磁性粉末を用いることもできる(下層磁性層)。磁性粉末としては、γ−Fe2O3、Co変性γ−Fe2O3、α−Feを主成分とする合金、CrO2等が用いられる。特に、Co変性γ−Fe2O3が好ましい。本発明の下層に用いられる強磁性粉末は上層磁性層に用いられる強磁性粉末と同様な組成、性能が好ましい。ただし、目的に応じて、上下層で性能を変化させることは公知の通りである。例えば、長波長記録特性を向上させるためには、下層磁性層のHcは上層磁性層のそれより低く設定することが望ましく、また、下層磁性層のBrを上層磁性層のそれより高くする事が有効である。それ以外にも、公知の重層構成を採る事による利点を付与させることができる。
【0063】
本発明において、上下層ともに公知の添加剤を添加することが出来る。添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果などをもつものが使用される。二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコ−ンオイル、極性基をもつシリコ−ン、脂肪酸変性シリコ−ン、フッ素含有シリコ−ン、フッ素含有アルコ−ル、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコ−ル、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエ−テル、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、およびこれらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコ−ル、(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコ−ル、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコ−ルのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエ−テルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。
【0064】
これらの具体例としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノ−ル酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレ−ト、アンヒドロソルビタンジステアレ−ト、アンヒドロソルビタントリステアレ−ト、オレイルアルコ−ル、ラウリルアルコ−ルが挙げられる。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシド−ル系、アルキルフェノ−ルエチレンオキサイド付加体などのノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類などのカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコ−ルの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。
【0065】
これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物 等の不純分がふくまれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
【0066】
本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面活性剤は上層、下層でその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。例えば、上層、下層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を下層で多くして潤滑効果を向上させるなど考えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性塗料製造のどの工程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより目的が達成される場合がある。また、目的によってはカレンダーした後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤滑剤を塗布することもできる。
【0067】
本発明で使用されるこれら潤滑剤の商品例としては、日本油脂社製、NAA−102、NAA−415、NAA−312、NAA−160、NAA−180、NAA−174、NAA−175、NAA−222、NAA−34、NAA−35、NAA−171、NAA−122、NAA−142、NAA−160、NAA−173K、ヒマシ硬化脂肪酸、NAA−42、NAA−44、カチオンSA、カチオンMA、カチオンAB、カチオンBB、ナイミ−ンL−201、ナイミ−ンL−202、ナイミ−ンS−202、ノニオンE−208、ノニオンP−208、ノニオンS−207、ノニオンK−204、ノニオンNS−202、ノニオンNS−210、ノニオンHS−206、ノニオンL−2、ノニオンS−2、ノニオンS−4、ノニオンO−2、ノニオンLP−20R、ノニオンPP−40R、ノニオンSP−60R、ノニオンOP−80R、ノニオンOP−85R、ノニオンLT−221、ノニオンST−221、ノニオンOT−221、モノグリMB、ノニオンDS−60、アノンBF、アノンLG、ブチルステアレ−ト、ブチルラウレ−ト、エルカ酸、関東化学社製、オレイン酸、竹本油脂社製、FAL−205、FAL−123、新日本理化社製、エヌジェルブLO、エヌジェルブIPM、サンソサイザ−E4030、信越化学社製、TA−3、KF−96、KF−96L、KF96H、KF410、KF420、KF965、KF54、KF50、KF56、KF907、KF851、X−22−819、X−22−822、KF905、KF700、KF393、KF−857、KF−860、KF−865、X−22−980、KF−101、KF−102、KF−103、X−22−3710、X−22−3715、KF−910、KF−3935、ライオンア−マ−社製、ア−マイドP、ア−マイドC、ア−モスリップCP、ライオン油脂社製、デュオミンTDO、日清製油社製、BA−41G、三洋化成社製、プロファン2012E、ニュ−ポ−ルPE61、イオネットMS−400、イオネットMO−200 イオネットDL−200、イオネットDS−300、イオネットDS−1000イオネットDO−200などが挙げられる。
【0068】
本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフランなどのケトン類、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、イソブチルアルコ−ル、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール、などのアルコ−ル類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコ−ルなどのエステル類、グリコ−ルジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼンなどの塩素化炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用できる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。本発明で用いる有機溶媒は上層と下層でその種類は同じであることが好ましい。その添加量は変えてもかまわない。下層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性をあげる、具体的には上層溶剤組成の算術平均値が下層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが肝要である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶剤が50%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメ−タは8〜11であることが好ましい。
【0069】
[非磁性支持体]
本発明に用いることのできる非磁性支持体としては二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール等の公知のものが使用できる。好ましくはポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミドである。これらの非磁性支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行っても良い。また本発明に用いることのできる非磁性支持体は中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲という優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。また、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでなく1μm以上の粗大突起がないことがこのましい。
【0070】
[層構成]
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体が1〜100μm、好ましくは4〜80μmであることが適当である。磁性層(単一層の場合)、又は上層磁性層(二層以上の場合)の厚みは、0.01〜2μmが好ましい。上層が薄すぎると均一な記録層が形成されず、厚すぎると表面が粗くなり電磁変換特性が低下する。下層(磁性層又は非磁性層)の厚みは、0.5〜3μmが好ましい、薄すぎると耐久性が低下し、厚すぎると表面が粗くなり電磁変換特性が低下する。上層と下層を合わせた厚みは、非磁性支持体の厚みの1/100〜2倍の範囲であることが適当である。
【0071】
また、非磁性支持体と下層(非磁性層又は磁性層)の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもかまわない。本下塗層厚みは0.01〜2μm、好ましくは0.02〜0.5μmである。
【0072】
また、本発明で用いる非磁性支持体の磁性塗料が塗布されていない面にバックコート層が設けられていてもよい。通常バックコート層は、非磁性支持体の磁性塗料が塗布されていない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバックコート層形成塗料を塗布して設けられた層である。なお、非磁性支持体の磁性塗料およびバックコート層形成塗料の塗布面に接着剤層が設けられていてもよい。非磁性支持体の磁性層側と反対側にバックコ−ト層を設ける場合、バックコート層の厚みは0.1〜2μm、好ましくは0.3〜1.0μmであることが適当である。これらの下塗層、バックコ−ト層は公知のものが使用できる。
【0073】
[製法]
本発明の磁気記録媒体の製造方法は例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に磁性層塗布液を好ましくは磁性層の乾燥後の層厚が0.05〜3.0μmの範囲内、より好ましくは0.07〜1.0μmになるように塗布する。ここで複数の磁性塗料を逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。上記磁性塗料を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。 これらについては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
【0074】
本発明を二層以上の構成の磁気記録媒体に適用する場合、塗布する装置、方法の例として以下のものを提案できる。
(1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置により、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに特公平1-46186号公報、特開昭60-238179号公報、特開平2-265672号公報等に開示されているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により、上層を塗布する。
(2)特開昭63-88080号公報、特開平2-17971号公報、特開平2-265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
(3)特開平2-174965号公報に開示されているようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
【0075】
塗布された磁性塗料の塗布層は、磁性塗料の塗布層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理を施した後に乾燥される。このようにして乾燥された後、塗布層に表面平滑化処理を施す。表面平滑化処理には、たとえばスーパーカレンダーロールなどが利用される。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理することもできる。
【0076】
本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。その方法として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処理を施すことにより行われる。カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は9.8〜49MPa(100〜500kg/cm2) の範囲であり、好ましくは19.6〜44.1MPa(200〜450kg/cm2) の範囲であり、特に好ましくは29.4〜39.2MPa(300〜400kg/cm2) の範囲の条件で作動させることによって行われることが好ましい。尚、上述のように、放射線照射は非磁性層及び磁性層を塗布、乾燥、カレンダー処理した後に行うことが好ましい。このようにして硬化処理された積層体を次に所望の形状に裁断を行う。
【0077】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。以下に記載の「部」は「重量部」を示し、%は重量%を示す。
ポリエステルポリオールの合成例
温度計、撹拌機、還流式冷却器を取り付けた反応容器に表1に示した二塩基酸及びジオ−ルを仕込み、触媒として酢酸亜鉛2重量%、酢酸ナトリウム3重量%を仕込み、180℃〜220℃で3時間エステル交換反応を行い、220℃〜280℃で1〜10mmHgの減圧下で2時間重縮合反応を行った。このようにしてポリエステルポリオ−ルA〜Iを得た。ポリエステルポリオ−ルのOH価から求めた分子量及びNMRにより分析したポリエステルポリオ−ルの組成比を表1に示す。
【0078】
ポリウレタン合成例
表2に示した組成のポリエステルポリオ−ルと鎖延長剤を還流式冷却器、撹拌機を具備し、予め窒素置換した容器にシクロヘキサノン30%溶液に窒素気流下60℃で溶解した。次いで触媒として、ジブチルスズジラウレート60ppmを加えさらに15分間溶解した。さらに表2に示したイソシアネ−ト化合物を加え90℃にて6時間加熱反応し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
PU8及びPU13は上記ポリウレタン溶液のイソシアネ−ト基含量をIRで分析し、イソシアネ−トと等モルの表2に示した放射線官能性二重結合を有する化合物を仕込み、更に90℃で3時間反応させて得た。またPU12は特公平3−66728号公報実施例に記載の方法で得た。
【0079】
非磁性支持体上に一層の磁性層を有する磁気記録媒体の作成
強磁性合金粉末(組成:Fe 89atm%、Co 5atm%、Y 6atm%、Hc 159kA/m(2000Oe)、結晶子サイズ15nm,BET比表面積 59m2/g,長軸径0.12μm,針状比 7、σs 150A・m2/kg(150emu/g))100部 をオープンニーダ−で10分間粉砕し、次いで表−3に示したポリウレタン樹脂溶液を20部(固形分)、シクロヘキサノン60部で60分間混練し、次いで
研磨剤 (Al2O3、粒子サイズ 0.3μm)
2部
カーボンブラック (粒子サイズ 40μm)
2部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
放射線官能性二重結合含有化合物またはイソシアネート含有化合物(表3参照)5部(固形分)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、上層用磁性塗料を調製した。
【0080】
次いで接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコイルバーを用いて厚さ10μmのアラミド支持体の表面に塗布した。その後に、磁性塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmになるように、リバースロールを用いて塗布した。磁性塗料が塗布された支持体を、磁性塗料が未乾燥の状態で0.5T(5,000)ガウスのCo磁石と0.4T(4,000ガウス)のソレノイド#磁石で磁場配向を行い塗布したものを金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を(速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90#C)で行った。さらに得られたテ−プの磁性層面に加速電圧165kV、ビ−ム電流10mAで吸収線量が10Mradになるように電子線を照射した。その後3.8mm幅にスリットした。
【0081】
上記の方法により表3に示したポリウレタン、放射線官能性二重結合含有化合物、イソシアネ−ト含有化合物を用いて実施例1〜12及び比較例1〜10を作成した。
なお比較例1は電子線を照射した後、更に70℃48時間の熱処理を行った後3.8mm幅にスリットしたものである。得られたテ−プの物性を表3に示す。
【0082】
非磁性支持体上に下層及び上層を有する磁気記録媒体の作成
(1)上層用磁性塗布液の調製
表4に示したポリウレタン、放射線官能性二重結合含有化合物、イソシアネ−ト含有化合物を用いて実施例1と同様の方法で磁性塗布液を作成した。
(2)下層用非磁性塗布液の調製
α−Fe2O3(平均粒径 0.15μm、SBET 52m2/g、表面処理Al2O3、SiO2、pH 6.5〜8.0)85部 をオープンニーダ−で10分間粉砕し、次いで塩ビ/酢ビ/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスルホネートナトリウム塩を付加した化合物(SO3Na=6×10−5eq/g、エポキシ=1×10−3eq/g、Mw 30,000)7.5部と表4に示したポリウレタン溶液10部(固形分)及びシクロヘキサノン60部とを60分間混練し、次いで
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部
を加えてサンドミルで120分間分散した。これに
放射線官能性二重結合含有化合物またはイソシアネート含有化合物(表4参照)
15部(固形分)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用塗料を調製した。
【0083】
次いで接着層としてスルホン酸含有ポリエステル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコイルバーを用いて厚さ10μmのアラミド#支持体の表面に塗布した。次いで得られた下層用塗料を1.5μmに、さらにその直後に上層磁性塗料を乾燥後の厚さが0.1μmになるように、リバースロールを用いて同時重層塗布した。磁性塗料塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未乾燥の状態で0.5T(5,000ガウス)のCo磁石と0.4T(4,000ガウス)のソレノイド磁石で磁場配向を行い塗布したものを金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を(速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90#C)で行った。さらに得られたテ−プの磁性層面に加速電圧165kV、ビ−ム電流10mAで吸収線量が10Mradになるように電子線を照射した。その後3.8mm幅にスリットした。
【0084】
上記の方法により表4に示したポリウレタン、放射線官能性二重結合含有化合物、イソシアネ−ト含有化合物を用いて実施例13〜28及び比較例11〜20を作成した。
尚、実施例14、15、比較例11は、電子線を照射した後、更に70℃48時間の熱処理を行った後に3.8mm幅にスリットした。得られたテ−プの物性を表3に示す。
【0085】
評価方法
▲1▼塗膜平滑性:
デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープIIを用い、トンネル電流10nA、バイアス電流400mVで30μm×30μmの範囲を走査して10nm以上の突起数を求め、比較例1の10nm以上の突起数を100としたときの相対値で示した。
▲2▼電磁変換特性:
DDS3ドライブにて4.7MHzの単一周波数信号を最適記録電流で記録し、その再生出力を測定した。比較例1の再生出力を0dBとした相対値で示した。
▲3▼摩擦係数の上昇:
50℃、20%RH環境下で磁性層面をDDS3ドライブに使用されているガイドポールに接触させて荷重10g(T1)をかけ、8mm/secになるように張力(T2)をかけ引っ張りT2/T1よりガイドポールに対する磁性面の摩擦係数を求めた。測定は繰り返し1000パスまで行い、1パス目の摩擦係数を1としたときの1000パス目の摩擦係数を相対値で求めた。
▲4▼塗膜ダメ−ジ:
▲3▼で測定したサンプル磁性層表面を微分干渉光学顕微鏡で観察し、以下のランクで評価した。
優秀:すり傷が全くみられない。
良好:わずかにすり傷が見られる。
不良:すり傷が見られ磁性層が削れている。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
実施例、比較例の説明
実施例1〜12は、非磁性支持体上に単層磁性層を有する磁気記録媒体であって、結合剤がポリエステルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂及び分子中に2官能以上の放射線官能性二重結合を有する分子量200〜2,000の化合物を放射線架橋して得られたものであって、該ポリエステルポリオールは二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、かつジオール成分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールを含み、該鎖延長剤は炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなる磁気記録媒体である。塗膜の平滑性の相対値はいずれも90未満と良好であり、塗膜の平滑性が高いために電磁変換特性も高く、摩擦係数の上昇も少なく、磁性層表面にはすり傷が全く見られず塗膜ダメージの点でも良好であった。比較例1は、非磁性支持体上に単層磁性層を有する磁気記録媒体であって、放射線官能性二重結合含有化合物に代えて熱硬化型のイソシアネート含有化合物を用い、電子線を照射した後にさらに70℃48時間の熱処理を行った以外は実施例1と同様に作成した例であり、評価の基準として用いた。実施例に比べ、塗膜平滑性に劣り、塗膜の表面性が粗いため電磁変換特性が悪く、摩擦係数も大きく上昇し、磁性層にはすり傷がみられ、表面が削れていた。これは、イソシアネート含有化合物を用いたことにより、良好な架橋性が得られなかったことに起因すると考えられる。比較例2〜6は、鎖延長剤として炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールを用いずに、2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオールを用いた例である。アルキル分岐側鎖の炭素数が少ない脂肪族ジオールを用いたために、結合剤の分散性が悪く、そのため塗膜の平滑性に劣り、電磁変換特性が悪く、摩擦係数も大きく上昇した。また、磁性層表面にはわずかにすり傷が見られた。比較例7は、結合剤中にアルキル分岐側鎖を有する脂肪族ジオールを用いずに、アルキル分岐側鎖をもたない1,6−ヘキサンジオールを用いた例である。実施例と比較して塗膜の平滑性、電磁変換特性ともに悪く、摩擦係数も上昇し、磁性層表面にはわずかにすり傷が見られた。これは、アルキル分岐側鎖による立体障害的効果が得られず、ウレタン結合やエステル結合同士の会合が生じ、その結果結合剤の溶解性が低下したことに起因すると考えられる。比較例8は、結合剤中にアルキル分岐側鎖を有する脂肪族ジオールを用いずに、アルキル分岐側鎖をもたない1,6−ヘキサンジオールを用い、ポリウレタン樹脂中のポリエステルポリオールに含まれる二塩基酸が、環状構造を有する例である。実施例と比較して塗膜の平滑性、電磁変換特性ともに悪く、摩擦係数も上昇し、磁性層表面にはわずかにすり傷が見られた。これは、環状構造を有する二塩基酸を用いたこと、及び比較例7と同様の理由から、結合剤の溶解性が低下したためと考えられる。比較例9は、特公平3−66728号公報記載の方法で得られたポリウレタン樹脂PU12を使用し、結合剤中に放射線官能性二重結合含有化合物を含む例である。比較例10は、鎖延長剤として炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールを用いずに、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールを用い、結合剤中に放射線官能性二重結合含有化合物を含む例である。実施例と比較して、塗膜の平滑性、電磁変換特性、摩擦係数上昇、塗膜ダメージのいずれの結果も劣っていた。実施例13〜28は、非磁性支持体上に下層非磁性層及び上層磁性層を有する磁気記録媒体であって、結合剤がポリエステルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂及び分子中に2官能以上の放射線官能性二重結合を有する分子量200〜2,000の化合物を放射線架橋して得られたものであって、該ポリエステルポリオールは二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、かつジオール成分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールを含み、該鎖延長剤は炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなる磁気記録媒体である。比較例11〜20は、放射線官能性二重結合含有化合物を用いない磁気記録媒体(比較例11)、ポリウレタン樹脂に炭素数が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールを用いない磁気記録媒体(比較例12〜16、比較例20)、ポリエステルポリオールのジオール成分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造をもたない脂肪族ジオールを含まない磁気記録媒体(比較例17)、ポリエステルポリオールの二塩基酸が環状構造を有し、かつジオール成分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造をもたない脂肪族ジオールを含まない磁気記録媒体(比較例18、19)である。実施例13〜28の磁気記録媒体は、塗膜が平滑であり、そのため電磁変換特性が良好で、摩擦係数の上昇も少なく、塗膜ダメ−ジは観察されず、良好な結果が得られた。尚、実施例13、14、16〜27は、実施例1〜12と比較して測定結果が良好であったが、これは下層を有するため走行性が改善されたためと考えられる。比較例11〜20は、下層を有するため、単層のみの比較例1〜10と比較して良好な結果が得られた。しかし、上下層を有する実施例13、14、16〜27と比較例11〜20とを比較すると、単層の場合と同様の傾向が見られ、実施例の結果がより良好であった。
【0091】
【発明の効果】
本発明の磁気記録媒体は、結合剤の溶解性が高く分散性が良好であるため、塗膜表面の平滑化が達成され、電磁変換特性の向上が可能である。また、放射線官能性二重結合含有化合物を用いることにより、架橋性が良好であり、優れた繰り返し走行耐久性を得ることができる。
Claims (2)
- 非磁性支持体上に少なくとも一層の磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記磁性層は、強磁性粉末、ポリエステルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂、及び、分子中に2官能以上の放射線官能性二重結合を有する分子量200〜2,000の化合物を含む磁性層塗布液を非磁性支持体上に塗布した後に放射線照射することにより形成された層であり、
前記化合物は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびイソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性トリアクリレ−トからなる群から選ばれる一種であり、
前記ポリエステルポリオールは二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、かつジオール成分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールを含み、前記鎖延長剤は炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなることを特徴とする磁気記録媒体。 - 非磁性支持体上に無機粉末又は磁性粉末と結合剤とを含む層並びに少なくとも一層の磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記磁気記録媒体は、無機粉末もしくは磁性粉末を含む塗布液Aと強磁性粉末を含む塗布液Bをこの順に非磁性支持体上に逐次または同時に重層塗布した後に放射線照射することにより形成された磁気記録媒体であり、
前記塗布液Bは、ポリエステルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂、及び、分子中に2官能以上の放射線官能性二重結合を有する分子量200〜2,000の化合物を含み、
前記化合物は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびイソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性トリアクリレ−トからなる群から選ばれる一種であり、
前記ポリエステルポリオールは二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、かつジオール成分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールを含み、前記鎖延長剤は炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖をもつ脂肪族ジオールからなることを特徴とする磁気記録媒体。
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