JP2002334417A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2002334417A
JP2002334417A JP2001139227A JP2001139227A JP2002334417A JP 2002334417 A JP2002334417 A JP 2002334417A JP 2001139227 A JP2001139227 A JP 2001139227A JP 2001139227 A JP2001139227 A JP 2001139227A JP 2002334417 A JP2002334417 A JP 2002334417A
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Japan
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magnetic
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powder
magnetic layer
binder
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Application number
JP2001139227A
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English (en)
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Hiroshi Hashimoto
博司 橋本
Yuichiro Murayama
裕一郎 村山
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた塗膜平滑性及び電磁変換特性を有し、走
行耐久性に優れた磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】非磁性支持体上に少なくとも一層の強磁性
粉末及び結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体。前
記強磁性粉末は、長軸長が10nm〜100nmの範囲
である針状磁性体又は板径が10〜50nmの範囲であ
る平板状磁性体であり、かつ前記結合剤は、重量平均分
子量が1500〜25000の範囲である、極性基を有
するポリエステルポリウレタンを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散性、耐久性及
び電磁変換特性に優れた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】録音用テープ、ビデオテープ、あるいは
フロッピー(登録商標)ディスク等として広く用いられ
ている磁気記録媒体は、強磁性粉末が結合剤中に分散さ
れた磁性層を、非磁性支持体上に積層して構成されてい
る。磁気記録媒体は、電磁変換特性、走行耐久性および
走行性能などの諸特性において高いレベルにあることが
必要とされる。
【0003】優れた電磁変換特性及び走行耐久性を得る
ために、例えば、特開平11−259850号公報に
は、大容量かつ高記録密度の塗布型磁気記録媒体とし
て、微粒子のメタル磁性体を結合剤で分散した薄層磁性
層を、非磁性層上に設けた媒体が提案されているが、磁
気記録媒体の電磁変換特性及び走行耐久性を向上させる
ためには、より一層微粒子の磁性体を使用した表面平滑
性の高い磁性層を使用することが有効であると考えられ
る。
【0004】しかるに、極めて微粒子の磁性体は、分散
性が悪く凝集しやすいため、従来使用されている結合剤
では平滑な磁性層を形成することは困難であった。ま
た、極めて微粒子の磁性体は、分散安定性も悪く、分散
後の経時で磁性体が凝集して塗布液粘度が上昇し、均一
に薄く塗布することができなくなるという問題があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、優れた塗膜平滑性及び電磁変換特性を有し、走行耐
久性に優れた磁気記録媒体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、更なる研
究により、重合平均分子量が1500〜25000の範
囲である、極性基を有するポリエステルポリウレタンを
磁性層の結合剤として用いることにより、極めて微粒子
の磁性体、即ち、長軸長が10nm〜100nmの範囲
である針状磁性体、又は板径が10〜50nmの範囲で
ある平板状磁性体を良好に分散させることができること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明の目的は、 (1)非磁性支持体上に少なくとも一層の強磁性粉末及
び結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
前記強磁性粉末が、長軸長が10nm〜100nmの範
囲である針状磁性体又は板径が10〜50nmの範囲で
ある平板状磁性体であり、かつ前記結合剤が、重量平均
分子量が1500〜25000の範囲である、極性基を
有するポリエステルポリウレタンを含むことを特徴とす
る磁気記録媒体によって達成される。
【0008】本発明の好ましい態様は以下の通りであ
る。 (2)非磁性支持体上に、下層非磁性層を介して少なく
とも一層の強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層を有する
磁気記録媒体であって、前記磁性層の厚みが0.5μm
以下であり、前記強磁性粉末が、長軸長が10nm〜1
00nmの範囲である針状磁性体又は板径が10〜50
nmの範囲である平板状磁性体であり、かつ前記結合剤
が、重量平均分子量が1500〜25000の範囲であ
る、極性基を有するポリエステルポリウレタンを含むこ
とを特徴とする磁気記録媒体。 (3)(1)又は(2)のポリエステルポリウレタン
が、ポリエステルポリオールと鎖延長剤と有機ジイソシ
アネートとの反応生成物からなり、前記ポリエステルポ
リオールが二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、かつジオ
ール成分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たな
い脂肪族ジオールを含み、前記鎖延長剤が炭素数の合計
が3以上のアルキル分岐側鎖を有する脂肪族ジオールか
らなることを特徴とする磁気記録媒体。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体につ
いて更に詳細に説明する。本発明では、分散性の極めて
低い微粒子の磁性体を、吸着性の高い所定の分子量のポ
リエステルポリウレタンからなる結合剤によって高度に
分散させることにより、電磁変換特性及び走行耐久性に
優れた磁気記録媒体を得ることができる。 [磁性体]本発明の磁性層に使用する強磁性粉末は、長軸
長が10〜100nmの範囲である針状磁性体、又は板
径が10〜50nmの範囲である平板状磁性体である。針状磁性体 本発明の磁性層に使用する強磁性粉末が針状磁性体であ
る場合、その長軸長は、10nm〜100nmであり、
好ましくは20〜90nm、更に好ましくは30〜80
nmである。長軸長が10nm未満であると、熱揺らぎ
のため、十分な飽和磁化σsを持つ磁性体を得ることが
できず、長軸長が100nmを超えると、塗膜平滑性及
び電磁変換特性が低下し、塗膜強度も低下する。
【0010】本発明の磁性層に使用する針状磁性体とし
ては、α−Feを主成分とする強磁性合金粉末が好まし
い。これらの強磁性合金粉末には、所定の原子以外にA
l、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、
Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、B
a、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、
Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、S
r、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、
Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、Ni、Bの
少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましく、
Co、Y、Alの少なくとも一つを含むことが更に好ま
しい。Coの含有量は0原子%以上40原子%以下が好
ましく、更に好ましくは15原子%以上35%以下、よ
り好ましくは20原子%以上35原子%以下である。Y
の含有量は1.5原子%以上12原子%以下が好まし
く、更に好ましくは3原子%以上10原子%以下、より
好ましくは4原子%以上9原子%以下である。Alは5
原子%以上30原子%以下が好ましく、更に好ましくは
5原子%以上15原子%以下、より好ましくは7原子%
以上12原子%以下である。これらの強磁性粉末にはあ
とで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤な
どで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具
体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45
−18372号公報、特公昭47−22062号公報、
特公昭47−22513号公報、特公昭46−2846
6号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47
−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特
公昭47−17284号公報、特公昭47−18509
号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−
10307号公報、特公昭46−39639号公報、米
国特許第3026215号、同3031341号、同3
100194号、同3242005号、同338901
4号等に記載されている。
【0011】強磁性合金粉末には少量の水酸化物、また
は酸化物が含まれてもよい。強磁性合金微粉末の公知の
製造方法により得られたものを用いることができ、下記
の方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主として
シュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、
酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいは
Fe−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物
を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素
ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還
元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体
中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このよう
にして得られた強磁性合金粉末は公知の徐酸化処理、す
なわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶
剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化
膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸
素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を
形成する方法のいずれを施したものでも用いることがで
きる。
【0012】強磁性合金粉末をBET法による比表面積
で表せば、45〜80m2/gであり、好ましくは50
〜70m2/gであることが適当である。45m2/g以
上であるとノイズが低減され、80m2/g以下である
と表面性が良好で好ましい。強磁性合金粉末の結晶子サ
イズは350〜80Åであり、好ましくは250〜10
0Å、更に好ましくは200〜140Åであることが適
当である。強磁性粉末の長軸径は、10nm以上100
nm以下であり、好ましくは20μm以上90μm以下
であることが適当である。強磁性合金粉末の針状比は3
以上15以下が好ましく、更には5以上12以下が好ま
しい。強磁性合金粉末のσs は100〜180A・m2
/g(100〜180emu/g)であり、好ましくは
110〜170A・m2/g(110emu/g 〜17
0emu/g) 、更に好ましくは125〜160A・
2/g(125〜160emu/g) であることが適
当である。強磁性合金粉末の抗磁力は111〜279k
A/m(1400〜3500Oe)が好ましく、更に好
ましくは143〜239kA/m(1800〜3000
Oe)であることが適当である。
【0013】強磁性合金粉末の含水率は0.01〜2%
とすることが好ましい。結合剤の種類によって強磁性合
金粉末の含水率は最適化することが好ましい。強磁性合
金粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化
することが好ましい。その範囲は4〜12であるが、好
ましくは6〜10である。強磁性合金粉末は必要に応
じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処
理を施してもかまわない。その量は強磁性合金粉末に対
し0.1〜10%であり表面処理を施すと脂肪酸などの
潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。
強磁性合金粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、
Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本
質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば
特に特性に影響を与えることは少ない。また、本発明に
用いられる強磁性合金粉末は空孔が少ないほうが好まし
くその値は20容量%以下、更に好ましくは5容量%以
下である。また形状については先に示した粒子サイズに
ついての特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいず
れでもかまわない。強磁性合金粉末の自体のSFDは小
さい方が好ましく、0.8以下が好ましい。強磁性合金
粉末のHcの分布を小さくする必要がある。尚、SFD
が0.8以下であると、電磁変換特性が良好で、出力が
高く、また、磁化反転がシャープでピークシフトも少な
くなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。Hcの
分布を小さくするためには、強磁性合金粉末においては
ゲータイトの粒度分布を良くする、焼結を防止するなど
の方法がある。
【0014】[平板状磁性体]本発明の磁性層に使用する
強磁性粉末が平板状磁性体である場合、その板径は、1
0〜50nmであり、好ましくは15〜40nm、更に
好ましくは20〜35nmである。磁気抵抗ヘッドで再
生する場合は、低ノイズにする必要があり、板径は40
nm以下が好ましいが、10nm未満では熱揺らぎのた
め安定な磁化が望めない。50nmを超えるとノイズが
高く、いずれも高密度磁気記録には向かない。
【0015】本発明の磁性層に使用する平板状磁性体と
しては、六方晶フェライト粉末が好ましい。六方晶フェ
ライトとしてバリウムフェライト、ストロンチウムフェ
ライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換
体、Co置換体等がある。具体的にはマグネトプランバ
イト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェラ
イト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバ
イト型フェライト、更に一部スピネル相を含有したマグ
ネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロン
チウムフェライト等が挙げられ、その他所定の原子以外
にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、
Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、T
a、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、
Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、
Ge、Nb等の原子を含んでもかまわない。一般にはC
o−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni
−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、
Nb−Zn等の元素を添加した物を使用することができ
る。原料・製法によっては特有の不純物を含有するもの
もある。
【0016】粒子サイズは板径で10〜50nmであ
り、板状比(板径/板厚)は1〜15が望ましい。好ま
しくは2〜7である。板状比が小さいと磁性層中の充填
性は高くなり好ましいが、十分な配向性が得られない。
15より大きいと粒子間のスタッキングによりノイズが
大きくなる。この粒子サイズ範囲のBET法による比表
面積は10〜200m2/gを示す。比表面積は概ね粒
子板径と板厚からの算術計算値と符号する。結晶子サイ
ズは50〜450Å、好ましくは100〜350Åであ
る。粒子板径・板厚の分布は通常狭いほど好ましい。数
値化は困難であるが粒子TEM写真より500粒子を無
作為に測定する事で比較できる。分布は正規分布ではな
い場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差
で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子
サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応系をでき
るだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理
を施すことも行われている。たとえば酸溶液中で超微細
粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。磁性体
で測定される抗磁力Hcは40〜400kA/m(50
0〜5000Oe)程度まで作成できる。Hcは高い方
が高密度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限
される。通常64kA/m(800Oe)から318k
A/m(4000Oe)程度であるが、好ましくは11
9kA/m(1500Oe)以上、279kA/m(3
500Oe)以下である。ヘッドの飽和磁化が1.4テ
スラーを越える場合は、159kA/m(2000O
e)以上にすることが好ましい。Hcは粒子サイズ(板
径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、
粒子生成反応条件等により制御できる。飽和磁化σsは
40〜80A・m2/kg(40〜80emu/g)で
ある。σsは高い方が好ましいが微粒子になるほど小さ
くなる傾向がある。σs改良のためマグネトプランバイ
トフェライトにスピネルフェライトを複合すること、含
有元素の種類と添加量の選択等が良く知られている。ま
たW型六方晶フェライトを用いることも可能である。
【0017】六方晶フェライトの製法としては、酸化
バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形
成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成にな
るように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次
いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェラ
イト結晶粉体を得るガラス結晶化法。バリウムフェラ
イト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除
去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉
砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法。
バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和
し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理
し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法
等があるが、本発明は製法を選ばない。
【0018】針状磁性体及び平板状磁性体を分散する際
に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処
理することも行われている。表面処理材は無機化合物、
有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、A
l、P、等の酸化物または水酸化物、各種シランカップ
リング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。
量は磁性体に対して0.1〜10%である。磁性体のP
Hも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポ
リマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保
存性から6〜10程度が選択される。磁性体に含まれる
水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値
があるが通常0.01〜2.0%が選ばれる。
【0019】[ポリエステルポリウレタン]本発明の磁性
層において、結合剤として重量平均分子量が1500〜
25000の範囲である、極性基を有するポリエステル
ポリウレタンを使用する。本発明で使用するポリエステ
ルポリウレタンは、従来結合剤として用いられていたも
のに比べて平均分子量が低く、分子の絡み合いが少な
い。従って、いわゆる高分子性が低い領域で、樹脂単独
では力学強度が極めて弱く、従来の磁性層に適用しよう
としても、密着性及び耐久性が極めて低いものしか得ら
れないものであった。しかるに、本発明者らの鋭意研究
により、上記ポリエステルポリウレタンを本発明の磁性
層において結合剤として使用すると、極めて微粒子の針
状磁性体又は平板状磁性体を高度に分散し、更に分散安
定性に優れ、極めて平滑で薄層の磁性層を、均一な厚み
で塗設することができることが明らかになった。これ
は、本発明のポリエステルポリウレタンは、微粒子磁性
体との混練分散中の運動性、吸着性が高く、微粒子磁性
体間の小さな隙間に入り込むことができ、この際、ポリ
ウレタンに導入された強い吸着性を有する官能基が、磁
性体表面に吸着すること、更に、ポリウレタンの分子鎖
は溶剤溶解性が高く、磁性体周囲に保護コロイド的に取
り囲み、分散状態を安定に保つことができることに起因
すると考えられる。
【0020】本発明の磁性層において結合剤として使用
するポリエステルポリウレタンは、重量平均分子量が1
500〜25000であり、好ましくは2500〜20
000である。重量平均分子量が1500未満である
と、分散性が悪く、塗膜強度及び耐久性に劣る。また、
重量平均分子量が25000を超えると、本発明で使用
する超微粒子磁性体の分散性が低下する。
【0021】本発明の磁性層において結合剤として使用
するポリエステルポリウレタンは、分子中に極性基を含
む。極性基を含むことにより、ポリエステルポリウレタ
ンの磁性体表面への吸着性が高まり、分散性を向上させ
ることができる。ポリエステルポリウレタンに含まれる
極性基としては、−SO3M 、−OSO3M、−COO
M、−PO3M’2 、−OPO3M’2、−NR2 、−N+
2R’COO-(ここで、Mは水素、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、アンモニウム塩であり、M’は水素、
アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩であ
り、R、R’はアルキル基であり、Xはハロゲンを示
す)から選ばれた少なくとも1種の極性基を含むことが
好ましく、特に好ましくは、−SO3M、−OS03Mで
ある。ポリエステルポリウレタン中の極性基の含有量
は、10〜1000μeq/gであることが好ましく、
より好ましくは100〜600μeq/gであることが
適当である。極性基の含有量が10μeq/g以上であ
ることで、ポリエステルポリウレタンの磁性体への吸着
性が高くなり、分散性が良好であり、1000μeq/
g以下であると、溶剤溶解性が高く分散性が良好であり
好ましい。
【0022】本発明の磁性層において結合剤として使用
するポリエステルポリウレタンは、ポリエステルポリオ
ールと鎖延長剤と有機ジイソシアネートとの反応生成物
からなることができる。前記ポリエステルポリオール
は、二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、かつジオール成
分がアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪
族ジオールを含むことが好ましい。脂肪族二塩基酸は、
溶剤溶解性の低い環状構造を持たないので、溶剤中へ均
一に溶解することができる。ポリエステルポリオールに
用いることができる脂肪族二塩基酸としては、コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン
酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸等等を挙げる
ことができる。中でも好ましいものは、コハク酸、アジ
ピン酸、セバシン酸である。ポリエステルポリオールの
全二塩基酸成分のうち、脂肪族二塩基酸の含量が70モ
ル%以上であることが、良好な溶解性を得るために好ま
しい。
【0023】本発明において、上記ポリエステルポリオ
ールに含まれるジオール成分は、アルキル分岐側鎖を有
する、環状構造を持たない脂肪族ジオールであることが
好ましい。ポリエステルポリオール中のジオール成分に
アルキル分岐側鎖を有することにより、ウレタン結合や
エステル結合同士の会合を立体障害的に防止されるた
め、分子間相互作用が低減され結合剤の溶解性を向上す
ることができる。また、芳香環やシクロヘキサン環など
の溶解性の低い環状構造をもたないことによっても結合
剤の溶解性を高めることができる。これにより、結合剤
が溶剤中へ均一に溶解され、磁性体や非磁性粉末を高度
に分散することが可能になる。
【0024】ポリエステルポリオールに用いることので
きるアルキル分岐脂肪族ジオールとしては、例えば、
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3,3
−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−
2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−
3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−
2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル
−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチ
ル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチ
ル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−
ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチ
ル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチ
ル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチ
ル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロ
ピル1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロ
ピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−
1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5
−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プ
ロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタ
ンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロ
パンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペ
ンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオー
ル、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブ
チル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5
−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタン
ジオール、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3
−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチ
ル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,
5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサン
ジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、
2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−
1,9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナ
ンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール等を
挙げることができる。なかでも好ましいものは、2,2
−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−
2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエ
チル−1,3−プロパンジオールである。ポリエステル
ポリオールの全ジオール成分中の分岐側鎖を有する脂肪
族ジオールの含量は、良好な溶解性を得るために、50
〜100モル%が好ましく、さらに好ましくは70〜1
00モル%である。
【0025】本発明の結合剤中のポリエステルポリウレ
タンの原料となる鎖延長剤は、炭素数の合計が3以上の
アルキル分岐側鎖を有する脂肪族ジオールを含むことが
好ましい。アルキル分子側鎖を有することにより、ウレ
タン結合やエステル結合同士の会合を立体障害的に防止
することができるので分子間相互作用が低減され結合剤
の溶解性を向上することができる。また、芳香環やシク
ロヘキサン環などの環状構造をもたないことによっても
結合剤の溶解性を高めることができる。これにより、結
合剤が溶剤中へ均一に溶解され、磁性体や非磁性粉末を
高度に分散することが可能になる。脂肪族ジオールが有
するアルキル側鎖の炭素数の合計が3以上であることに
より、ウレタン結合やエステル結合の会合を妨げる効果
を得ることができ、アルキル側鎖の炭素数の合計は、よ
り好ましくは4〜8である。
【0026】炭素数の合計が3以上のアルキル分岐側鎖
を有する脂肪族ジオールとしては、2−メチル−2−エ
チル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エ
チル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プ
ロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−
プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2
−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル3ブ
チル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−
1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5
−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3
−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5
−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,
3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−
1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3
−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペン
タンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパン
ジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオ
ール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジ
オール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタン
ジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2
−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−
1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペン
タンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオー
ル、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オク
チル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−
1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−
ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオ
ール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−
ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,
9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジ
オール、5−ブチル−1,9−ノナンジオール等を挙げ
ることができる。なかでも好ましいものは2−エチル−
2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエ
チル−1,3−プロパンジオールである。ポリウレタン
樹脂中の鎖延長剤の含有量は5〜30重量%が好まし
い。更に好ましくは10〜20重量%である。
【0027】本発明のポリエステルポリオールの原料と
なる有機ジイソシアネートとしては、公知のものを用い
ることができ、例えば、MDI(ジフェニルメタンジイ
ソシアネート)、2,4−TDI(トリレンジイソシア
ネート)、2,6−TDI、1,5−NDI(ナフタレ
ンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシア
ネート)、p−フェニレンジイソシアネート、XDI
(キシリレンジイソシアネート)などの芳香族ジイソシ
アネート、トランスシクロヘキサン1,4−ジイソシア
ネート、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、
IPDI(イソホロンジイソシアネート)、H6XDI
(水素添加キシリレンジイソシアネート)、H12MDI
(水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート)などの
脂肪族、脂環族ジイソシアネートなどを挙げることがで
きる。好ましいくは、MDI、2,4−TDI、2,6
−TDI、IPDI等を用いることができる。
【0028】本発明のポリエステルポリウレタン中のウ
レタン基濃度は、2.5〜4.5mmol/gの範囲で
あることが好ましく、より好ましくは3.0〜4.0m
mol/gであることが適当である。ウレタン基濃度が
2.5mmol/g以上であれば、塗膜のTgが向上
し、耐久性が向上する。また、ウレタン基濃度が4.5
mmol/g以下であると、溶剤溶解性が良好で、分散
性が高く好ましい。また、ウレタン基濃度が4.5mm
ol/gを越えると、必然的にポリオールを含有できな
くなるため、分子量コントロールが困難である等の合成
上の不具合が生じ易い。
【0029】本発明で用いるポリエステルポリウレタン
のガラス転移温度Tgは、40〜200℃であることが
好ましく、更に好ましくは70〜180℃であることが
適当である。40℃以上であると塗膜の耐久性が良好で
あり、200℃以下であるとカレンダー成形性が良好
で、優れた電磁変換特性を得ることができるため好まし
い。
【0030】ポリエステルポリウレタン中のOH基含有
量は、1分子当たり2〜20個であることが好ましく、
より好ましくは1分子当たり3〜15個であることが適
当である。上記範囲内であれば、磁性体や非磁性体への
吸着性及び溶剤溶解性が良好であり、分散性を向上させ
ることができる。
【0031】本発明のポリエステルポリウレタンの原料
としては、例えば、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」
(岩田敬治編、1986年、日刊工業新聞社)に詳細に
記載されている、通常、長鎖ジオール(ポリオールとも
呼ばれる)及び短鎖ジオール(鎖延長剤とも呼ばれる)
と呼ばれるジオール化合物を用いることもできる。
【0032】長鎖ジオールは、分子量500〜5000
のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリ
エーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオー
ル、ポリオレフィンジオールなどを用いることができ
る。ポリエステルジオールとしては、アジピン酸、セバ
シン酸、アゼライン酸、などの脂肪族二塩基酸、イソフ
タル酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸などの芳香族二塩基酸とグリコールとの縮重
合によって得られる。グリコール成分としてはエチレン
グリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−
プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、3−メチル、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル
1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジオー
ル、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノー
ルAなどがある。またポリエステルジオールには、この
ほかε-カプロラクトン、γ-バレロラクトンなどのラク
トンを開環重合したポリカプロラクトンジオール、ポリ
バレロラクトンジオールなども用いることができる。ポ
リエステルジオールは耐加水分解性の観点で分岐側鎖を
もつもの、芳香族、脂環族の原料から得られるものが好
ましい。
【0033】ポリエーテルジオールとしてはポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコールや、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールS、ビスフェノールP、水素化ビスフェノールAな
どの芳香族グリコールや脂環族ジオールにエチレンオキ
サイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサ
イドを付加重合したものなどがある。これらの長鎖ジオ
ールは複数の種類のものを併用、混合して用いることも
できる。
【0034】短鎖ジオールは、上記ポリエステルジオー
ルのグリコール成分に例示したものと同じ化合物群の中
から選ぶことができる。また3官能以上の多価アルコー
ル、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリスリトールなどを少量併用すると、分
岐構造のポリウレタン樹脂が得られ溶液粘度を低下させ
ること等ができる。
【0035】[併用できる結合剤]本発明の磁性層には、
結合剤として、上記ポリエステルポリウレタンの他に、
ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系
樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレ
ートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロー
スなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ
樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールな
どのポリビニルアルキラール樹脂などから単独あるいは
複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中
で好ましいものは、塩ビ系樹脂、アクリル系樹脂であ
る。
【0036】結合剤には、磁性体、非磁性粉体の分散性
を向上させるため、これらの粉体表面に吸着する官能基
(極性基)を持つことが好ましい。好ましい官能基とし
ては−SO3M、−SO4M、−PO(OM)2、−OP
O(OM)2 、−COOM、>NSO3M、>NRSO
3M、−NR12 、−N+123- などがある。こ
こでMは水素又はNa、K等のアルカリ金属、Rはアル
キレン基、R1、R2、R3はアルキル基又はヒドロキシ
アルキル基又は水素、XはCl、Br等のハロゲンであ
る。結合剤中の官能基の量は10〜200μeq/gが
好ましく、更には30〜120μeq/gが好ましい。
上記範囲内であると、分散性が良好であり好ましい。
【0037】結合剤には、放射線硬化可能な官能基を付
与することが好ましいが、なくても本発明の目的は十分
達成できる。 放射線硬化官能基としては(メタ)アク
リロイル基が好ましい。好ましい量は、50μeq/g
〜1meq/gであり、更に好ましくは100μeq/
g〜800μeq/gである。結合剤は、このほか−O
H基などの活性水素を持つ官能基を含んでいてもかまわ
ない。
【0038】結合剤の分子量は、重量平均分子量で2
0,000〜200,000が好ましく、更に好ましく
は20,000〜80,000である。20,000以
上であると、塗膜強度が高く耐久性が良好であり、20
0,000以下であると粘度が適当で分散性が良好であ
るので好ましい。
【0039】塩ビ系樹脂としては、塩ビモノマーに種々
のモノマーと共重合したものを用いることができる。共
重合モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ルなどの脂肪酸ビニルエステル類、メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
ベンジル(メタ)アクリレートなどのアクリレート、メ
タクリレート類、アリルメチルエーテル、アリルエチル
エーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエー
テルなどのアルキルアリルエーテル類 その他スチレ
ン、αメチルスチレン、塩化ビニリデン、アクリロニト
リル、エチレン、ブタジエン、アクリルアミド、更に官
能基をもつ共重合モノマーとしてビニルアルコール、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレン
グリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアリルエーテ
ル、2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、3−ヒド
ロキシプロピルアリルエーテル、p−ビニルフェノー
ル、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタク
リル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリ
シジルエーテル、ホスホエチル(メタ)アクリレート、
スルホエチル(メタ)アクリレート、p−スチレンスル
ホン酸、及びこれらのNa塩、K塩などが用いられる。
【0040】塩ビ系樹脂中の塩化ビニルモノマーの組成
は、60〜95重量%が好ましい。60重量%以上であ
ると力学強度が高く、95重量%以下であると溶剤溶解
性が高く、適当な溶液粘度が得られ、分散性が良好であ
り好ましい。吸着官能基(極性基)、放射線硬化官能基
の好ましい量は前述したとおりである。これらの官能基
の導入方法は上記の官能基含有モノマーを共重合しても
良いし、塩ビ系樹脂を共重合した後、高分子反応で官能
基を導入しても良い。好ましい重合度は200〜60
0、更に好ましくは240〜450である。上記範囲内
であると、力学強度が高く、かつ溶液粘度が適当で分散
性が良好であり好ましい。
【0041】本発明の磁性層において、結合剤ととも
に、ポリイソシアネート化合物等の硬化剤を使用するこ
とができる。ポリイソシアネート化合物の例としては、
トリレンジイソシアネート3モルとトリメチロールプロ
パン1モルとの反応性生物(例、デスモジュールL−7
5(バイエル社製))、キシリレンジイソシアネートあ
るいはヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシ
アネート3モルとトリメチロールプロパン1モルとの反
応生成物、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルとの
ビューレット付加化合物、トリレンジイソシアネート5
モルのイソシアヌレート化合物、トリレンジイソシアネ
ート3モルとヘキサメチレンジイソシアネート2モルの
イソシアヌレート付加化合物、イソホロンジイソシアネ
ートおよびジフェニルメタンジイソシアネートのポリマ
ーを挙げることができる。
【0042】磁性層に含まれるポリイソシアネート化合
物は、結合剤中に10〜50重量%の範囲で含有されて
いることが好ましく、さらに好ましくは20〜40重量
%の範囲である。また、電子線照射による硬化処理を行
う場合には、ウレタンアクリレート等のような反応性二
重結合を有する化合物を使用することができる。
【0043】樹脂成分と硬化剤との合計(すなわち結合
剤)の重量は、強磁性粉末100重量部に対して、通常
15〜40重量部の範囲内にあることが好ましく、さら
に好ましくは20〜30重量部である。
【0044】本発明では、磁性層のみならず、下層非磁
性層又は磁性層を有することもできる。下層を有する場
合には、上記結合剤を、上層磁性層及び下層非磁性又は
磁性層に使用することもできる。結合剤の添加量は、磁
性層の場合は磁性体1000重量部に対して、非磁性層
の場合は非磁性粉末1000重量部に対して50重量部
〜300重量部が好ましく、更に好ましくは100重量
部〜200重量部であることが適当である。
【0045】上記の各成分を、通常磁性塗料の調整の際
に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シ
クロヘキサノン、酢酸エチル等の溶剤と共に混練分散し
て磁性塗料とする。混練分散は、通常の方法に従って行
うことができる。尚、磁性塗料中には、上記成分以外
に、α−Al23、Cr23等の研磨剤、カーボンブラ
ック等の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコ
ーンオイル等の潤滑剤、分散剤等、通常使用されている
添加剤又は充填剤等を含んでも良い。
【0046】本発明の上層磁性層に使用されるカーボン
ブラックは、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラ
ー用ブラック、アセチレンブラックなどを用いることが
できる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量
は10〜400ml/100g、粒子径は5nm〜30
0nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10重量
%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。本発
明の磁性層に用いられるカーボンブラックの具体的な例
としてはキャボット社製BLACKPEARLS200
0、1300、1000、900、800、700、V
ULCAN XC−72、旭カーボン社製#80、#6
0、#55、#50、#35、三菱化成工業社製#24
00B、#2300、#900、#1000、#30、
#40、#10B、コロンビアカーボン社製CONDU
CTEX SC、RAVEN 150、50、40、1
5などが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで
表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表
面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわ
ない。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前
にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらの
カーボンブラックは単独、または組合せで使用すること
ができる。
【0047】カーボンブラックを使用する場合は強磁性
粉末に対する量の0.1〜30重量%で用いることが好
ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係
数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、こ
れらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って本
発明に使用されるこれらのカーボンブラックは上層、下
層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油
量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的
に応じて使い分けることはもちろん可能である。本発明
の磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば「カー
ボンブラック便覧」カーボンブラック協会編を参考にす
ることができる。
【0048】磁性層には、前記非磁性粉末以外に研磨剤
としてα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミ
ナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化
鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪
素、チタンカーバイド、酸化チタン、二酸化珪素、窒化
ホウ素など主としてモース硬度6以上の公知の材料が単
独または組合せで使用される。また、これらの研磨剤ど
うしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したも
の)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外
の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が9
0重量%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨
剤の粒子サイズは0.01〜2μmが使用出来るが、磁
性層厚みが薄いので0.01〜0.3μmのものが好ま
しい。また、必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組
み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同
様の効果をもたせることもできる。タップ密度は0.3
〜2g/ml、含水率は0.1〜5重量%、pHは2〜
11、比表面積は1〜30m2/gが好ましい。本発明
に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、
のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研
磨性が高く好ましい。
【0049】本発明に用いられる研磨剤の具体的な例と
しては、住友化学社製AKP−20、AKP−30、A
KP−50、HIT−50、HIT−100、日本化学
工業社製G5、G7、S1、戸田工業社製TF−10
0、TF−140が挙げられる。本発明に用いられる研
磨剤は磁性層(上下層)、非磁性層で種類、量および組
合せを替え、目的に応じて使い分けることはもちろん可
能である。これらの研磨剤はあらかじめ結合剤で分散処
理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。本発明
の磁気記録媒体の磁性層表面および磁性層端面に存在す
る研磨剤は5個/100μm2以上であることが好まし
い。
【0050】[下層]次に、本発明が多層構成の場合にお
ける下層非磁性層又は下層磁性層について説明する。本
発明の下層に用いられる無機粉末は、磁性粉末、非磁性
粉末を問わない。例えば、非磁性粉末の場合、金属酸化
物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化
物、金属硫化物等の無機質化合物から選択することがで
きる。無機化合物としては、例えばα化率90%以上の
α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アル
ミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸
化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカー
バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグ
ネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化
ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、
硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独または組合
せで使用される。特に好ましいものは、粒度分布の小さ
さ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、
酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましい
ものは二酸化チタン、α酸化鉄である。これら非磁性粉
末の粒子サイズは0.005〜2μmが好ましいが、必
要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせ
たり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の
効果をもたせることもできる。とりわけ好ましくは、非
磁性粉末の粒子サイズは0.01μm〜0.2μmであ
る。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である場合は、
平均粒子径0.08μm以下が好ましく、針状金属酸化
物である場合は、長軸長が0.3μm以下が好ましい。
タップ密度は0.05〜2g/ml、好ましくは0.2
〜1.5g/mlである。非磁性粉末の含水率は0.1
〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%、更に好まし
くは0.3〜1.5重量%である。非磁性粉末のpHは
2〜11であるが、pHは5.5〜10の間が特に好ま
しい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m2/g、好
ましくは5〜80m2/g、更に好ましくは10〜70
2/gであることが適当である。非磁性粉末の結晶子
サイズは0.004μm〜1μmが好ましく、0.04
μm〜0.1μmが更に好ましい。DBP(ジブチルフ
タレート)を用いた吸油量は5〜100ml/100
g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好まし
くは20〜60ml/100gであることが適当であ
る。比重は1〜12、好ましくは3〜6であることが適
当である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれ
でも良い。
【0051】強熱減量は20重量%以下であることが好
ましく、本来ないことが最も好ましいと考えられる。本
発明に用いられる上記非磁性粉末のモース硬度は4以
上、10以下のものが好ましい。これらの粉体表面のラ
フネスファクターは0.8〜1.5が好ましく、更に好
ましいラフネスファクターは0.9〜1.2である。非
磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は1〜20μm
ol/m2、好ましくは2〜15μmol/m2、更に好
ましくは3〜8μmol/m2であることが適当であ
る。非磁性粉末の25℃での水への湿潤熱は2×10-5
〜6×10-5J/cm2(200〜600erg/c
2)の範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱
の範囲にある溶媒を使用することができる。pHは3〜
6の間にあることが好ましい。非磁性粉末の水溶性Na
は0〜150ppm、水溶性Caは0〜50ppmであ
ることが適当である。
【0052】これらの非磁性粉末の表面には、Al
23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb
23、ZnO、Y23で表面処理することが好ましい。
特に分散性に好ましいものは、Al23、SiO2、T
iO2、ZrO2であるが、更に好ましいものは、Al2
3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて
使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、
目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、
先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理す
る方法、またはその逆の方法を採ることもできる。ま
た、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わな
いが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0053】本発明の下層に用いられる非磁性粉末の具
体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製
HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製αヘマタイ
トDPN−250、DPN−250BX、DPN−24
5、DPN−270BX、DBN−SA1、DBN−S
A3、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−
55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−5
5S、TTO−55D、SN−100、αヘマタイトE
270、E271、E300、E303、チタン工業製
酸化チタンSTT−4D、STT−30D、STT−3
0、STT−65C、αヘマタイトα−40、テイカ製
MT−100S、MT−100T、MT−150W、M
T−500B、MT−600B、MT−100F、MT
−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、
BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEF
IC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2B
M、TiO2P25、宇部興産製100A、500A、
及びそれを焼成したものが挙げられる。特に好ましい非
磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
【0054】下層にカーボンブラックを混合させて公知
の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率
を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビ
ッカース硬度を得る事ができる。また、下層にカーボン
ブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらす
ことも可能である。カーボンブラックの種類はゴム用フ
ァーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチ
レンブラック、等を用いることができる。下層のカーボ
ンブラックは所望する効果によって、以下のような特性
を最適化すべきであり、併用することでより効果が得ら
れることがある。
【0055】下層のカーボンブラックの比表面積は10
0〜500m2/g、好ましくは150〜400m2
g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ま
しくは30〜200ml/100gであることが適当で
ある。カーボンブラックの粒子径は5〜80nm、好ま
しく10〜50nm、更に好ましくは10〜40nmで
あることが適当である。カーボンブラックのpHは2〜
10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜
1g/mlであることが好ましい。本発明に用いられる
カーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社
製 BLACKPEARLS 2000、1300、1
000、900、800、880、700、VULCA
N XC−72、三菱化成工業社製 #3050B、#
3150B、#3250B、#3750B、#3950
B、#950、#650B、#970B、#850B、
MA−600、MA−230、#4000、#401
0、コロンビアカーボン社製 CONDUCTEX S
C、RAVEN 8800、8000、7000、57
50、5250、3500、2100、2000、18
00、1500、1255、1250、アクゾー社製
ケッチェンブラックECなどが挙げられる。カーボンブ
ラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト
化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したも
のを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを
塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかま
わない。これらのカーボンブラックは、上記無機質粉末
に対して50重量%を越えない範囲、非磁性層総重量の
40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボン
ブラックは単独、または組合せで使用することができ
る。本発明で使用できるカーボンブラックは例えば「カ
ーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参
考にすることができる。
【0056】また下層には、有機質粉末を目的に応じて
添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹
脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉
末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフ
ィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド
系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレ
ン樹脂も使用することができる。その製法は、特開昭6
2−18564号公報、特開昭60−255827号公
報に記されているようなものが使用できる。
【0057】本発明の下層にはまた、磁性粉末を用いる
こともできる(下層磁性層)。磁性粉末としては、γ−
Fe23、Co変性γ−Fe23、α−Feを主成分と
する合金、CrO2等が用いられる。特に、Co変性γ
−Fe23が好ましい。本発明の下層に用いられる強磁
性粉末は上層磁性層に用いられる強磁性粉末と同様な組
成、性能が好ましい。ただし、目的に応じて、上下層で
性能を変化させることは公知の通りである。例えば、長
波長記録特性を向上させるためには、下層磁性層のHc
は上層磁性層のそれより低く設定することが望ましく、
また、下層磁性層のBrを上層磁性層のそれより高くす
る事が有効である。それ以外にも、公知の重層構成を採
る事による利点を付与させることができる。
【0058】本発明において、上下層ともに公知の添加
剤を添加することが出来る。添加剤としては潤滑効果、
帯電防止効果、分散効果、可塑効果などをもつものが使
用される。二硫化モリブデン、二硫化タングステングラ
ファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイ
ル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、
フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素
含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アル
キル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル
硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニル
エーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびその
アルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸
(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわな
い)、およびこれらの金属塩(Li、Na、K、Cuな
ど)または、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四
価、五価、六価アルコール、(不飽和結合を含んでも、
また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22の
アルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂
肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかま
わない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、
五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含
んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモ
ノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂
肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキ
ルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸
アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用でき
る。
【0059】これらの具体例としてはラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ス
テアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン
酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オ
クチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソル
ビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステ
アレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オ
レイルアルコール、ラウリルアルコールが挙げられる。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシ
ドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加
体などのノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルア
ミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、
複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類などのカ
チオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐
酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの酸性基を含
むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸
類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、ア
ルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用でき
る。
【0060】これらの界面活性剤については、「界面活
性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載され
ている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも10
0%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副
反応物、分解物、酸化物 等の不純分がふくまれてもか
まわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さ
らに好ましくは10%以下である。
【0061】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は上層、下層でその種類、量を必要に応じ使い分
けることができる。例えば、上層、下層で融点の異なる
脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極
性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御
する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向
上させる、潤滑剤の添加量を下層で多くして潤滑効果を
向上させるなど考えられ、無論ここに示した例のみに限
られるものではない。また本発明で用いられる添加剤の
すべてまたはその一部は、磁性塗料製造のどの工程で添
加してもかまわない、例えば、混練工程前に強磁性粉末
と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練
工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後
に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐
次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することによ
り目的が達成される場合がある。また、目的によっては
カレンダーした後、またはスリット終了後、磁性層表面
に潤滑剤を塗布することもできる。
【0062】本発明で使用されるこれら潤滑剤の商品例
としては、日本油脂社製NAA−102、NAA−41
5、NAA−312、NAA−160、NAA−18
0、NAA−174、NAA−175、NAA−22
2、NAA−34、NAA−35、NAA−171、N
AA−122、NAA−142、NAA−160、NA
A−173K、ヒマシ硬化脂肪酸、NAA−42、NA
A−44、カチオンSA、カチオンMA、カチオンA
B、カチオンBB、ナイミーンL−201、ナイミーン
L−202、ナイミーンS−202、ノニオンE−20
8、ノニオンP−208、ノニオンS−207、ノニオ
ンK−204、ノニオンNS−202、ノニオンNS−
210、ノニオンHS−206、ノニオンL−2、ノニ
オンS−2、ノニオンS−4、ノニオンO−2、ノニオ
ンLP−20R、ノニオンPP−40R、ノニオンSP
−60R、ノニオンOP−80R、ノニオンOP−85
R、ノニオンLT−221、ノニオンST−221、ノ
ニオンOT−221、モノグリMB、ノニオンDS−6
0、アノンBF、アノンLG、ブチルステアレート、ブ
チルラウレート、エルカ酸、関東化学社製オレイン酸、
竹本油脂社製FAL−205、FAL−123、新日本
理化社製エヌジェルブLO、エヌジェルブIPM、サン
ソサイザーE4030、信越化学社製TA−3、KF−
96、KF−96L、KF96H、KF410、KF4
20、KF965、KF54、KF50、KF56、K
F907、KF851、X−22−819、X−22−
822、KF905、KF700、KF393、KF−
857、KF−860、KF−865、X−22−98
0、KF−101、KF−102、KF−103、X−
22−3710、X−22−3715、KF−910、
KF−3935、ライオンアーマー社製アーマイドP、
アーマイドC、アーモスリップCP、ライオン油脂社製
デュオミンTDO、日清製油社製BA−41G、三洋化
成社製プロファン2012E、ニューポールPE61、
イオネットMS−400、イオネットMO−200 イ
オネットDL−200、イオネットDS−300、イオ
ネットDS−1000イオネットDO−200などが挙
げられる。
【0063】本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率
でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホ
ロン、テトラヒドロフランなどのケトン類、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロ
ヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸
ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチ
ル、酢酸グリコールなどのエステル類、グリコールジメ
チルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキ
サンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳
香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロラ
イド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒド
リン、ジクロルベンゼンなどの塩素化炭化水素類、N、
N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用で
きる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではな
く、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解
物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわな
い。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好
ましくは10%以下である。本発明で用いる有機溶媒は
上層と下層でその種類は同じであることが好ましい。そ
の添加量は変えてもかまわない。下層に表面張力の高い
溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布
の安定性をあげる、具体的には上層溶剤組成の算術平均
値が下層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが肝要
である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強
い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶
剤が50%以上含まれることが好ましい。また、溶解パ
ラメータは8〜11であることが好ましい。
【0064】[非磁性支持体]本発明に用いることのでき
る非磁性支持体としては二軸延伸を行ったポリエチレン
ナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミ
ド、ポリベンズオキシダゾール等の公知のものが使用で
きる。好ましくはポリエチレンナフタレート、芳香族ポ
リアミドである。これらの非磁性支持体はあらかじめコ
ロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行
っても良い。また本発明に用いることのできる非磁性支
持体は中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mm
において0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの
範囲という優れた平滑性を有する表面であることが好ま
しい。また、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗
さが小さいだけでなく1μm以上の粗大突起がないこと
がこのましい。
【0065】[層構成]本発明の磁気記録媒体の厚み構成
は、非磁性支持体が1〜100μm、好ましくは4〜8
0μmであることが適当である。磁性層(単一層の場
合)、又は上層磁性層(二層以上の場合)の厚みは、
0.01〜0.5μmが好ましい。上層が薄すぎると均
一な記録層が形成されず、厚すぎると表面が粗くなり電
磁変換特性が低下する。下層(磁性層又は非磁性層)の
厚みは、0.5〜3μmが好ましい、薄すぎると耐久性
が低下し、厚すぎると表面が粗くなり電磁変換特性が低
下する。上層と下層を合わせた厚みは、非磁性支持体の
厚みの1/100〜2倍の範囲であることが適当であ
る。
【0066】また、非磁性支持体と下層(非磁性層又は
磁性層)の間に密着性向上のための下塗り層を設けても
かまわない。本下塗層厚みは0.01〜2μm、好まし
くは0.02〜0.5μmである。
【0067】また、本発明で用いる非磁性支持体の磁性
塗料が塗布されていない面にバックコート層が設けられ
ていてもよい。通常バックコート層は、非磁性支持体の
磁性塗料が塗布されていない面に、研磨材、帯電防止剤
などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバック
コート層形成塗料を塗布して設けられた層である。な
お、非磁性支持体の磁性塗料およびバックコート層形成
塗料の塗布面に接着剤層が設けられていてもよい。非磁
性支持体の磁性層側と反対側にバックコート層を設ける
場合、バックコート層の厚みは0.1〜2μm、好まし
くは0.3〜1.0μmであることが適当である。これ
らの下塗層、バックコート層は公知のものが使用でき
る。
【0068】[製法]本発明の磁気記録媒体の製造方法は
例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に磁性層塗布
液を好ましくは磁性層の乾燥後の層厚が0.05〜3.
0μmの範囲内、より好ましくは0.07〜1.0μm
になるように塗布する。ここで複数の磁性塗料を逐次あ
るいは同時に重層塗布してもよい。上記磁性塗料を塗布
する塗布機としては、エアードクターコート、ブレード
コート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコー
ト、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコー
ト、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キ
スコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコ
ート等が利用できる。 これらについては例えば株式会
社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」
(昭和58年5月31日)を参考にできる。
【0069】本発明を二層以上の構成の磁気記録媒体に
適用する場合、塗布する装置、方法の例として以下のも
のを提案できる。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、
ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置に
より、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに
特公平1-46186号公報、特開昭60-238179
号公報、特開平2-265672号公報等に開示されて
いるような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置に
より、上層を塗布する。 (2)特開昭63-88080号公報、特開平2-179
71号公報、特開平2-265672号公報に開示され
ているような塗布液通液スリットを2個有する一つの塗
布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。 (3)特開平2-174965号公報に開示されている
ようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗
布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
【0070】塗布された磁性塗料の塗布層は、磁性塗料
の塗布層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理を施し
た後に乾燥される。このようにして乾燥された後、塗布
層に表面平滑化処理を施す。表面平滑化処理には、たと
えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。表面
平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によ
って生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率
が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得
ることができる。カレンダー処理ロールとしてはエポキ
シ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐
熱性プラスチックロールを使用する。また金属ロールで
処理することもできる。
【0071】本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平
均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜
4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れ
た平滑性を有する表面であることが好ましい。その方法
として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合
剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処理を施す
ことにより行われる。カレンダー処理条件としては、カ
レンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好まし
くは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜10
0℃の範囲であり、圧力は9.8〜49MPa(100
〜500kg/cm2 の範囲であり、好ましくは1
9.6〜44.1MPa(200〜450kg/c
2 の範囲であり、特に好ましくは29.4〜39.
2MPa(300〜400kg/cm2 の範囲の条件
で作動させることによって行われることが好ましい。
尚、上述のように、放射線照射は非磁性層及び磁性層を
塗布、乾燥、カレンダー処理した後に行うことが好まし
い。このようにして硬化処理された積層体を次に所望の
形状に裁断を行う。
【0072】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更
に詳細に説明する。以下に記載の「部」は、「重量部」
を示す。ポリエステルポリウレタン合成例 表1及び2に示したポリエステルポリオールとジオール
化合物を還流式冷却器、撹拌機を具備し、予め窒素置換
した容器にシクロヘキサノン30%溶液に窒素気流下6
0℃で溶解した。次いで触媒として、ジブチルスズジラ
ウレート60ppmを加え更に15分間溶解した。更に表
1に示したイソシアネート化合物を加え90℃にて6時
間加熱反応し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【化1】
【0076】[上層用磁性液の調製]表3、4の磁性体1
00部 をオープンニーダーで10分間粉砕し、次い
で,表5のポリウレタン樹脂を15部(固形分)、及び
シクロヘキサノン10部を添加して60分間混練し、次
いで αアルミナ HIT55(住友化学製) 10部 カーボンブラック #50(旭カーボン製) 3部 メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。 これに、 ステアリン酸 1部 オレイン酸 1部 2−エチルヘキシルミリステート 2部 オレイン酸オレイル 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間撹拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性塗料を
調製した。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】[下層用非磁性液の調製]酸化チタン(平
均粒径0.035μm、結晶型ルチル、TiO2 含有量
90%以上、表面処理層;アルミナ、SBET 35〜42
2/g、真比重4.1、pH6.5〜8.0)85部
、及びカーボンブラック(ケッチェンブラックEC
(日本EC製))15部をオープンニーダーで10分間
粉砕し、次いで塩化ビニル系共重合体MR110(日本
ゼオン製)を7部及びSO3Na基含有ポリウレタン樹
脂東洋紡績製UR8700を15部(固形分)、及びシ
クロヘキサノン60部を添加して60分間混練し、次い
で メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ステアリン酸 1部 オレイン酸 1部 2−エチルヘキシルミリステート 2部 オレイン酸オレイル 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、更に20分間撹拌混合したあと、1μmの平均
孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性塗料を
調製した。
【0080】得られた非磁性塗料を厚み1.2μmに、
更にその直後に磁性塗料を乾燥後の厚さが0.10μm
になるように、厚さ3.8μmのアラミド支持体の表面
に同時重層塗布した。両層が未乾燥の状態で磁場配向処
理を行い、溶剤を乾燥後、7段のカレンダーで速度10
0m/min、線圧300kgf/cm、温度90℃の
条件で行った。この後、酸素濃度200ppm以下の雰
囲気で加速電圧150kVの電子線を吸収線量が5Mr
adになるように照射した。この後6.35mm幅にテ
ープをスリットし、DVCのカートリッジに組み込ん
だ。得られたテープの特性を表5に示す。
【0081】〔測定方法〕 電磁変換特性 試料テープにドラムテスターを用いて記録波長0.5
μ、ヘッド速度10m/secの条件で記録し、再生し
た。基準テープ(比較例5)のC/Nを0dBとしたと
きのテープの相対的なC/Nを評価した。 磁性層表面粗さRa デジタルオプチカルプロフィメーター(WYKO製)を
用いたる光干渉法により、カットオフ0.25mmの条
件で中心線平均粗さをRaとした。 磁性層厚み及び標準偏差 テープの断面を超薄切片の透過型電子顕微鏡写真から磁
性層の厚みを50点測定し、平均値と標準偏差を求め
た。 アルミナスクラッチ試験 テープサンプルをガラス板に貼り付け、23℃50%R
Hの雰囲気で直径5mmのアルミナ球を50gfの荷重
で2cm長を速度10mm/secで10往復させ、そ
の後のテープ表面の傷を観察した。目視で傷が見られた
ものをX、見られなかったものを○とした。 密着力 ガラス板に両面粘着テープを介してテープサンプルの磁
性層面を貼り付け先端を180度剥離で引っ張った。テ
ープサンプルの磁性層(非磁性下層を含む)/ベース間
で剥離したものをX、磁性層(非磁性下層を含む)/ベ
ース間で剥離せずベースが切断したものを○とした。
【0082】
【表5】
【0083】実施例・比較例の比較 実施例1〜4は、磁性層に使用したポリエステルポリウ
レタンが同一であり(PU3)、本発明の範囲内の長軸
長を有する異なる針状磁性体を使用した例である(MP
1〜4)。実施例5〜7は、磁性層に使用したポリエス
テルポリウレタンが同一であり(PU3)、本発明の範
囲内の板径を有する異なる六方晶バリウムフェライトを
使用した例である(BF1〜3)。実施例8〜11は、
使用した針状磁性体は同一であり(MP3)、極性基を
有し、かつ本発明の範囲内の分子量を有する異なるポリ
エステルポリウレタンを使用した例である(PU1〜
5)。いずれの実施例も、磁性体の分散性が良好である
ため磁性層平滑性が高かった。アルミナスクラッチ及び
密着力の結果が良好であり、耐久性及び膜強度において
も優れており、電磁変換特性も高かった。比較例1及び
2は、実施例1〜4と同一のポリエステルポリウレタン
(PU3)を使用したが、長軸長が、本発明の範囲を越
える針状磁性体(比較例1;MP5、比較例2;MP
6)を使用した例である。磁性層平滑性及び電磁変換特
性は、実施例よりも劣っていた。また、アルミナスクラ
ッチ及び密着力の結果も悪く、耐久性及び膜強度の点で
も、実施例よりも劣っていた。比較例3及び4は、実施
例5〜7と同一のポリエステルポリウレタン(PU3)
を使用したが、板径が、本発明の範囲を越える平板状磁
性体(比較例3;BF4、比較例4;BF5)を使用し
た例である。磁性層平滑性及び電磁変換特性は、実施例
よりも大幅に劣っていた。また、アルミナスクラッチ及
び密着力の結果も悪く、耐久性及び膜強度の点でも、実
施例よりも劣っていた。比較例5及び6は、実施例8〜
11と同一の磁性体(MP3)を使用したが、使用した
ポリエステルポリウレタンが異なる(比較例6;PU
6、比較例7;PU7)例である。比較例5及び6で使
用したポリエステルポリウレタンは、いずれも本発明の
範囲を越える平均分子量を有する。磁性層平滑性は、実
施例よりも劣っていた。また、電磁変換特性も実施例に
比べて低かった。更に、比較例5は、アルミナスクラッ
チ及び密着力の結果も悪く、耐久性及び膜強度も劣って
いた。
【0084】
【発明の効果】本発明により従来良好な分散性を得るこ
とが困難であった極めて微粒子の磁性体を、良好に分散
させることができ、極めて微粒子の磁性体を用いた場合
の磁性層平滑性を向上することができた。更に、分散安
定性を向上し、耐久性及び電磁変換特性に優れた磁気記
録媒体を得ることができる。本発明による磁性塗布液
は、分散安定性が高く、経時での粘度上昇、特に低せん
断速度における粘度の上昇が少なく、薄層で均一な塗布
を安定して行うことができる。
【0085】本発明の磁気記録媒体は、従来に比べて極
めて高度な電磁変換特性を達成するものである。テープ
系で言えばDVC、DVC−PRO等のような極めて記
録密度の高いビデオシステム用のテープ、あるいはDD
S4、LTOなど大容量のデータを高速で転送できるコ
ンピューターバックアップテープなどがあるが、更に大
容量の記録媒体が要求されており、本発明により、この
ような高度な電磁変換特性、高密度記録を達成すること
ができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に少なくとも一層の強磁性
    粉末及び結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であ
    って、 前記強磁性粉末が、長軸長が10nm〜100nmの範
    囲である針状磁性体又は板径が10〜50nmの範囲で
    ある平板状磁性体であり、かつ前記結合剤が、重量平均
    分子量が1500〜25000の範囲である、極性基を
    有するポリエステルポリウレタンを含むことを特徴とす
    る磁気記録媒体。
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