はじめに、本発明の第1実施形態であるトナーカートリッジ200を備える画像形成装置100について説明する。図1は、画像形成装置100の構成を示す模式図である。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。画像形成装置100は、コピアモード(複写モード)、プリンタモード、およびファクシミリモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録媒体、メモリ装置を用いた外部機器などからの印刷ジョブの受信に応じて、図示しない制御ユニット部によって、印刷モードが選択される。
画像形成装置100は、トナー像形成部20と、転写部30と、定着部40と、記録媒体供給部50と、排出部60と、図示しない制御ユニット部とを含む。トナー像形成部20は、感光体ドラム21b,21c,21m,21yと、帯電部22b,22c,22m,22yと、露光ユニット23と、現像装置24b,24c,24m,24yと、クリーニングユニット25b,25c,25m,25yと、トナーカートリッジ200b,200c,200m,200yとを含む。トナーカートリッジ200b,200c,200m,200yは、トナーカートリッジユニット260として設けられる。トナーカートリッジユニット260については後述する。転写部30は、中間転写ベルト31と、駆動ローラ32と、従動ローラ33と、中間転写ローラ34b,34c,34m,34yと、転写ベルトクリーニングユニット35と、転写ローラ36とを含む。
感光体ドラム21、帯電部22、現像装置24、クリーニングユニット25、トナーカートリッジ200、および中間転写ローラ34は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)、およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。本明細書中において、各色に応じて4つずつ設けられる各部材を区別する場合は、各部材を表す数字の末尾に各色を表すアルファベットを付して参照符号とし、各部材を総称する場合は、各部材を表す数字のみを参照符号とする。
感光体ドラム21は、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能に支持され、図示しない導電性基体と、該導電性基体の表面に形成される光導電層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などを挙げることができる。光導電層は、光を照射されることで導電性を示す材料によって形成される。感光体ドラム21としては、たとえば、アルミニウムで形成された円筒状部材(導電性基体)と、該円筒状部材の外周面上に形成される、アモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)、または有機光半導体(OPC)からなる薄膜(光導電層)とを含むものを用いることができる。
帯電部22、現像装置24、およびクリーニングユニット25は、感光体ドラム21の回転方向周りに、この順序で配置される。帯電部22は、現像装置24およびクリーニングユニット25よりも鉛直方向下方に配置される。
帯電部22は、感光体ドラム21表面を所定の極性および電位に帯電させる装置である。帯電部22は、感光体ドラム21に臨む位置に、感光体ドラム21の長手方向に沿って設置される。接触帯電方式の場合、帯電部22は、感光体ドラム21表面に接するように設置される。非接触帯電方式の場合、帯電部22は、感光体ドラム21表面から離隔するように設置される。
帯電部22は、現像装置24、クリーニングユニット25などとともに、感光体ドラム21の周囲に設置される。帯電部22は、現像装置24、クリーニングユニット25などよりも、感光体ドラム21に近い位置に設置されることが好ましい。これによって、感光体ドラム21の帯電不良の発生を確実に防止することができる。
帯電部22としては、ブラシ型帯電装置、ローラ型帯電装置、コロナ放電装置、イオン発生装置などを使用できる。ブラシ型帯電装置およびローラ型帯電装置は、接触帯電方式の帯電装置である。ブラシ型帯電装置には、帯電ブラシを用いるもの、磁気ブラシを用いるものなどがある。コロナ放電装置およびイオン発生装置は、非接触帯電方式の帯電装置である。コロナ放電装置には、ワイヤ状の放電電極を用いるもの、鋸歯状の放電電極を用いるもの、針状の放電電極を用いるものなどがある。
露光ユニット23は、露光ユニット23から出射される光が、帯電部22と現像装置24との間を通過して感光体ドラム21の表面に照射されるように配置される。露光ユニット23は、帯電状態にある感光体ドラム21b,21c,21m,21y表面に、各色の画像情報に対応するレーザ光をそれぞれ照射することによって、感光体ドラム21b,21c,21m,21yそれぞれの表面に、各色の画像情報に対応する静電潜像を形成する。露光ユニット23には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニット(LSU)を使用できる。露光ユニット23としては、LED(Light Emitting Diode)アレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットなどを用いてもよい。
現像装置24は、現像槽とトナー供給パイプ250とを含む。現像槽は、その内部空間にトナーを収容する。現像槽内には、現像ローラ、第1搬送スクリュー、および第2搬送スクリューが、回転自在に支持される。現像槽の感光体ドラム21に臨む側面には開口部が形成され、該開口部を介して感光体ドラム21に対向する位置に現像ローラが設けられる。
現像ローラは、感光体ドラム21との最近接部において感光体ドラム21表面の静電潜像にトナーを供給する部材である。トナーの供給のときには、現像ローラ表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(現像バイアス)として印加される。これによって、現像ローラ表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。現像バイアスの値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量(トナー付着量)を制御することができる。
第1搬送スクリューは、現像ローラに臨み、該現像ローラ周辺にトナーを供給する部材である。第2搬送スクリューは第1搬送スクリューに臨み、トナー供給パイプ250を介して現像槽内に新たに供給されるトナーを、該第1搬送スクリュー周辺に送給する部材である。
トナー供給パイプ250は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口と、現像槽の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口とが連なるように設けられる。トナー供給パイプ250は、トナーカートリッジ200から供給されるトナーを現像槽に供給する。他の実施形態としては、トナー供給パイプ250を用いず、各色トナーカートリッジ200からトナーが現像槽に直接供給されるように構成してもよい。
現像槽の底面には、トナー濃度検知センサが設けられる。トナー濃度検知センサは、現像槽中のトナー濃度を検知する。トナー濃度検知センサとしては一般的なトナー濃度検知センサを使用でき、たとえば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサなどが挙げられる。これらの中でも、透磁率検知センサが好ましい。
トナー濃度検知センサは、トナー濃度制御部に電気的に接続される。トナー濃度制御部は、トナー濃度検知センサによるトナー濃度値が所定の設定値よりも低いと判断すると、トナーカートリッジ200中の後述する排出部材320を回転駆動し、トナーカートリッジ200内のトナーを現像槽内に供給するように制御する。
クリーニングユニット25は、感光体ドラム21から中間転写ベルト31にトナー像が転写された後に、感光体ドラム21の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム21の表面を清浄化する部材である。クリーニングユニット25としては、たとえば、トナーを掻き取るための板状部材と、掻き取ったトナーを回収する容器状部材とが用いられる。
トナー像形成部20によれば、帯電部22によって均一な帯電状態にある感光体ドラム21の表面に、露光ユニット23から画像情報に応じたレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。感光体ドラム21上の静電潜像に現像装置24からトナーが供給されることでトナー像が形成される。このトナー像は後述する中間転写ベルト31に転写される。トナー像が中間転写ベルト31に転写された後に、感光体ドラム21表面に残留するトナーは、クリーニングユニット25によって除去される。
中間転写ベルト31は、感光体ドラム21の鉛直方向上方に配置される無端ベルト状部材である。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32と従動ローラ33とによって張架されてループ状の経路を形成し、矢符Bの方向に移動する。
駆動ローラ32は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。駆動ローラ32は、その回転によって、中間転写ベルト31を矢符B方向へ移動させる。従動ローラ33は、駆動ローラ32の回転に従動して回転可能に設けられ、中間転写ベルト31が弛まないように、中間転写ベルト31に一定の張力を発生させる。
中間転写ローラ34は、中間転写ベルト31を介して感光体ドラム21に圧接し、かつ図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。中間転写ローラ34としては、たとえば、直径8mm〜10mmの金属(たとえば、ステンレス)ローラの表面に、導電性の弾性部材が形成されたものを用いることができる。中間転写ローラ34は、転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム21表面のトナー像を中間転写ベルト31に転写する機能を有する。
転写ローラ36は、中間転写ベルト31を介して駆動ローラ32に圧接し、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能に設けられる。転写ローラ36と駆動ローラ32との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト31に担持されて搬送されるトナー像は、後述する記録媒体供給部50から送給される記録媒体に転写される。
転写ベルトクリーニングユニット35は、中間転写ベルト31を介して従動ローラ33に対向し、中間転写ベルト31のトナー像担持面に接触するように設けられる。転写ベルトクリーニングユニット35は、記録媒体へのトナー像の転写後に、中間転写ベルト31表面のトナーを除去し回収するために設けられる。記録媒体へのトナー像の転写後に中間転写ベルト31にトナーが付着したまま残っていると、中間転写ベルト31の移動によって、残留トナーが転写ローラ36に付着するおそれがある。転写ローラ36にトナーが付着すると、そのトナーは、次に転写する記録媒体の裏面を汚染してしまう。
転写部30によれば、中間転写ベルト31が感光体ドラム21に接しながら移動するとき、中間転写ローラ34に、感光体ドラム21表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト31上へ転写される。感光体ドラム21y、感光体ドラム21m、感光体ドラム21c、感光体ドラム21bでそれぞれ形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト31上に、この順番で順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。中間転写ベルト31に転写されたトナー像は、中間転写ベルト31の移動によって転写ニップ部に搬送され、転写ニップ部において、記録媒体に転写される。トナー像が転写された記録媒体は、後述する定着部40に搬送される。
記録媒体供給部50は、給紙ボックス51と、ピックアップローラ52a,52bと、搬送ローラ53a,53bと、レジストローラ54と、給紙トレイ55とを含む。給紙ボックス51は、画像形成装置100の鉛直方向下部に設けられ、画像形成装置100内部において記録媒体を貯留する容器状部材である。給紙トレイ55は、画像形成装置100外壁面に設けられ、画像形成装置100外部において記録媒体を貯留するトレイ状部材である。記録媒体としては、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。
ピックアップローラ52aは、給紙ボックス51に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路A1に送給する部材である。搬送ローラ53aは互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、用紙搬送路A1において記録媒体をレジストローラ54に向けて搬送する。ピックアップローラ52bは、給紙トレイ55に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路A2に送給する部材である。搬送ローラ53bは互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、用紙搬送路A2において記録媒体をレジストローラ54に向けて搬送する。
レジストローラ54は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、搬送ローラ53a,53bから送給される記録媒体を、中間転写ベルト31に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
記録媒体供給部50によれば、中間転写ベルト31に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、給紙ボックス51または給紙トレイ55から記録媒体が転写ニップ部に送給され、該記録媒体にトナー像が転写される。
定着部40は、加熱ローラ41および加圧ローラ42を備える。加熱ローラ41は、所定の定着温度となるように制御される。加圧ローラ42は、加熱ローラ41に圧接するローラである。加熱ローラ41は、加圧ローラ42とともに記録媒体を加熱しながら挟持することにより、トナー像を構成するトナーを溶融させて記録媒体上に定着させる。トナー像が定着した記録媒体は、後述する排出部60に搬送される。
排出部60は、搬送ローラ61と、排出ローラ62と、排出トレイ63とを含む。搬送ローラ61は、定着部40よりも鉛直方向上方において、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。搬送ローラ61は、画像が定着した記録媒体を排出ローラ62に向けて搬送する。
排出ローラ62は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。排出ローラ62は、片面印刷の場合、片面の印刷が完了した記録媒体を排出トレイ63に排出する。排出ローラ62は、両面印刷の場合、片面の印刷が完了した記録媒体を、用紙搬送路A3を介してレジストローラ54へ搬送し、両面の印刷が完了した記録媒体を排出トレイ63に排出する。排出トレイ63は、画像形成装置100の鉛直方向上面に設けられ、画像が定着した記録媒体を貯留する。
画像形成装置100は、図示しない制御ユニット部を含む。制御ユニット部は、たとえば、画像形成装置100の内部空間における鉛直方向上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。記憶部には、画像形成装置100の鉛直方向上面に配置される図示しない操作パネルを介した各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、記憶部には、各種処理を実行するプログラムが書き込まれる。各種処理とは、たとえば、記録媒体判定処理、付着量制御処理、定着条件制御処理などである。
記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気、電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機器、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile
Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital Versatile Disc)レコーダ、
ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。
演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種処理のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて画像形成装置100に設けられる各装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。
制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマ
イクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御ユニット部は、この処理回路とともに主電源を含み、電源は制御ユニット部だけでなく、画像形成装置100に設けられる各装置にも電力を供給する。
次に、トナーカートリッジユニット260について説明する。図2は、トナーカートリッジユニット260を示す斜視図である。トナーカートリッジユニット260は、トナーカートリッジ200b,200c,200m,200yと、トナーカートリッジ載置台261とを含む。トナーカートリッジ載置台261は、角変位可能に構成されるロックレバー262と、ストッパプレート263とを備えている。各トナーカートリッジ200は、トナーカートリッジ載置台261に載置された状態でロックレバー262がストッパプレート263側に角変位することで、該トナーカートリッジ載置台261に固定される。
図3は、トナーカートリッジ200の内部の構成を示す模式図である。図4は、図3のA−Aを切断面線とするトナーカートリッジ200の断面図である。図5は、図4のB−Bを端面線とするトナーカートリッジ200の端面図である。トナーカートリッジ200は、トナー排出装置300と、貯蔵容器210と、搬送容器220と、汲上げ部材211と、搬送部材221と、伝導部材230とを備え、トナーを現像装置24に補給する。
貯蔵容器210は、略半円柱状の内部空間を有する容器状部材であり、その内部空間にトナーを収容するとともに、汲上げ部材211が設けられる。汲上げ部材211は、回転することによって、貯蔵容器210内のトナーを汲み上げて、搬送容器220内に供給する部材である。汲上げ部材211は、4つの汲上げ板211aと、回転軸211bとを含む。回転軸211bは、円柱形状の部材である。汲上げ板211aは、回転軸211bの側面上において、該回転軸211bの軸線方向に沿って設けられる。汲上げ部材211は、図示しない駆動部と接続され、該駆動部から付与されるトルクによって、回転軸211bがその軸線回りの回転方向G1に回転する。回転軸211bの回転に伴って、回転軸211bの軸線を中心として汲上げ板211aが回転運動することによって、貯蔵容器210内のトナーが汲み上げられる。
搬送容器220は、略半円柱状の内部空間を有する容器状部材であり、該内部空間が、貯蔵容器210の内部空間と連通するように設けられる。搬送容器220の壁部には、汲上げ板211aによって供給されたトナーをトナー排出装置300に搬送するための開口部である搬送口222が設けられる。また、搬送容器220内には、搬送部材221が設けられる。搬送部材221は、搬送羽根221aと、搬送軸221bとを含む。搬送部材221は、搬送軸221bがその軸線回りの回転方向G2に回転することによって、搬送容器220内のトナーを、搬送口222へ向けて搬送する部材である。
搬送軸221bは、外径3mm〜10mmの円柱状部材である。搬送軸221bは、たとえば、ポリエチレンや、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)などの材料から形成される。
搬送羽根221aは、搬送軸221bを取り巻いて設けられる。搬送羽根221aは、たとえば、ポリエチレンや、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの材料から形成される。搬送羽根221aは、搬送軸221bの回転に伴って回転することにより、搬送容器220内のトナーを搬送口222へ向けて搬送する。
本実施形態では、搬送羽根221aは、一続きの一般螺旋羽根である。本発明において、「一般螺旋羽根」とは、概略的にはいわゆるオーガスクリューの羽根部分であり、より詳細には一般螺旋羽根面を主面とする所定の厚さの部材である。一般螺旋羽根は、その内周部において搬送軸221bを取り巻いて設けられる。ここで、一般螺旋羽根の内周部とは、上記一般螺旋羽根面のうち搬送軸221bの軸線に最も近接する部分であり、一般螺旋羽根の外周部とは、上記一般螺旋羽根面において搬送軸221bから最も離間した部分である。一般螺旋羽根面の形状は、その内周部および外周部が、互いに異なる仮想的な一般螺線となるような形状であり、詳細は後述する。
本発明において、「螺線」とは、仮想的な円柱の側面上の連続した空間曲線であって、該仮想的な円柱の周方向のうちの一方向に進みながら該仮想的な円柱の軸線方向のうちの一方向に進む空間曲線である。螺線のうち、螺線上のすべての点においてリード角が一定となる螺線を特に、「一般螺線」と称する。ここで、螺線上のある点における該螺線の接線と、該螺線が取り巻く仮想的な円柱の軸線方向に対して垂直な面へ該接線を射影してできる直線と、がなす角が、その点における「リード角」である。リード角は、0°より大きく90°より小さい角度である。
上記仮想的な円柱の軸線方向における螺線の間隔を、「リード」と称する。1周期以上の一般螺旋では、リード角が一定なので、リードも一定である。以下では、一般螺旋羽根の主面である一般螺旋羽根面の外周部のリードを、該一般螺旋羽根の外周部のリードと称する。
本発明において、「一般螺旋羽根面」とは、仮想円柱K1(以下では、半径をr1とする)の側面上の1つの一般螺線C1(以下では、リード角をθ1で一定とする)に沿って、仮想円柱K1の外部にある1つの線分L1を、仮想円柱K1の径方向における該線分L1の長さm1、および取付角度αを保ったまま、仮想円柱K1の軸線に平行な一方向D1に移動させたときの、該線分L1の軌跡がなす面である。ここで、「取付角度α」とは、仮想円柱K1の軸線と線分L1とを含む面において、該線分L1と、該線分L1と仮想円柱K1との接点から一方向D1に延びる半直線と、のなす角度であって、0°より大きく180°より小さい角度である。
以下に、一般螺旋羽根面の一例として、一般螺線の1周期の部分に沿って線分を移動させたときの一般螺旋羽根面(「1周期の一般螺旋羽根面」と表す。他の周期についても同様)を示す。図6は、1周期の一般螺旋羽根面について説明するための図である。図6(a)は、仮想円柱K1の側面と、仮想円柱K1の側面上の一般螺線C1と、一般螺線C1上を一方向D1に移動する線分L1の開始位置および終了位置と、を示している。図6(a)の紙面において最も下側に示す線分L1は移動の際の開始位置を示し、最も上側に示す線分L1は終了位置を示している。図6(a)に示すように、仮想円柱K1の径方向における線分L1の長さm1と、取付角度α(図6ではα=90°)とを一定に保ちながら、一般螺線C1に沿って一方向D1に、線分L1を移動させるとき、該線分L1の軌跡は図6(b)に示す一般螺旋羽根面n1となる。図6(b)において斜線部で示す面が、一般螺旋羽根面n1である。
図6(b)に示すように、一般螺旋羽根面n1の外周部は、仮想円柱K1と軸線が一致する仮想円柱K2の側面上を一方向D1に進む一般螺線C2(リード角をθ2で一定とする)となる。仮想円柱K2の半径R1は、仮想円柱K1の半径r1と、仮想円柱K1の径方向における線分L1の長さm1と、の和に等しい。
仮想円柱K1を展開したときに該仮想円柱K1の側面に対応する矩形t1と、仮想円柱K2を展開したときに該仮想円柱K2の側面に対応する矩形t2とを図6(c)に示す。図6(c)に示すように、一般螺線C1,C2に対応する線は、各矩形t1,t2中で斜めに延びる直線q1,q2になる。リード角θ1は、直線q1の傾きの角度となり、リード角θ2は、直線q2の傾きの角度となる。
このような一般螺旋羽根面を主面とする部材が、一般螺旋羽根である。本実施形態のように搬送羽根221aとして用いる場合、上記一般螺旋羽根は、仮想円柱K1の直径2r1が搬送軸221bの外径に等しくなるように構成される。そして、一般螺旋羽根は、一般螺旋羽根面n1が搬送軸221bの軸線方向において搬送口222側になるように設けられ、該一般螺旋羽根面n1によってトナーを搬送口222に向けて搬送するように設けられる。
このとき、一般螺旋羽根の内周部と搬送軸221bの軸線との間の距離の2倍の値、すなわち一般螺旋羽根の内径は2r1となり、一般螺旋羽根の外周部と搬送軸221bの軸線との間の距離の2倍の値、すなわち一般螺旋羽根の外径は2r1+2m1となる。長さm1は、たとえば2mm〜20mmの範囲内で適宜設定できる。また、たとえば、取付角度αは90°でなくともよく、30°〜150°の範囲内で適宜設定できる。リード角θ1は、たとえば20°〜70°の範囲内で適宜設定でき、リード角θ2は、たとえば0°〜60°の範囲内で適宜設定できる。また、一般螺旋羽根の外周部のリードm2は、たとえば10mm〜30mmの範囲内で適宜設定できる。
また本実施形態において、搬送羽根221aは、14周期の一般螺旋羽根面を有する一般螺旋羽根であり、該一般螺旋羽根の厚さは1.5mmで一様である。一般螺旋羽根の周期や厚さなども、トナーの搬送速度やトナーカートリッジ200の大きさなどに応じて適宜設定できる。たとえば、搬送羽根221aとして用いられる一般螺旋羽根の厚さは、1mm〜3mmの範囲内で適宜設定できる。
なお、本実施形態では、搬送羽根221aは、一続きの一般螺旋羽根であるけれども、他の実施形態としては、搬送羽根221aは、所定の間隔で離間した複数の一般螺旋羽根であってもよい。
図7は、トナー排出装置300の内部の構成を示す模式図である。トナー排出装置300は、排出容器310と排出部材320とシャッタ部材330とを含む。排出容器310は、円柱状の内部空間を有する容器状部材であり、トナーを受け入れるための開口部である受入口311が設けられる。排出容器310と搬送容器220とは、搬送容器220内のトナーが搬送口222および受入口311を介して排出容器310内に移動できるように連なって設けられる。すなわち、搬送容器220の内部空間と排出容器310の内部空間とは連通する。排出容器310と搬送容器220とは、一体として構成されてもよく、着脱自在に構成されてもよい。
また、排出容器310には、該排出容器310の壁部のうち、排出部材320の軸線方向に沿って該排出部材320(排出羽根321および回転軸322)を取り囲む壁部の少なくとも一部分に、トナーを排出するための開口部である排出口312が設けられる。本実施形態では、排出口312は、排出容器310の鉛直方向下方の壁部に設けられる。本実施形態では、排出口312の開口は、略矩形状である。シャッタ部材330は、排出口312の鉛直方向下方において、スライド自在に設けられる。シャッタ部材330は、トナーカートリッジ200がトナーカートリッジ載置台261に装着される過程において、トナー供給パイプ250に当接することによって略水平方向にスライドし、これによって排出口312が開放される。
排出部材320は、排出容器310内に設けられ、受入口311から排出容器310内に入ったトナーを、排出口312から排出する部材である。排出口312から排出されたトナーは、トナー供給パイプ250を介して現像装置24に補給される。
排出部材320は、回転軸322と排出羽根321とを含む。回転軸322は、外径3mm〜10mmの円柱状部材であり、その軸線が、排出容器310の軸線と一致するように設けられる。回転軸322は、その一端部が搬送軸221bに連なり、その他端部が伝導部材230に連なる。回転軸322、搬送軸221b、および伝導部材230は、一体として構成されてもよく、着脱自在に構成されてもよい。本実施形態では、回転軸322の外径と搬送軸221bの外径とは同一であり、互いの軸線は一致する。なお、回転軸322上の排出羽根321と、搬送軸221b上の搬送羽根221aとは、滑らかに連なっていてもよいし、離間していてもよい。
排出羽根321は、回転軸322がその軸線回りの回転方向G3に回転するのに伴って、回転軸322の軸線を中心として回転運動することで、排出容器310内のトナーを移動させる部材である。排出羽根321については後に詳述する。
伝導部材230は、歯車231と伝導軸232とを含む。伝導軸232は、円柱状部材であり、その一端部が歯車231に連なり、その他端部が回転軸322に連なる。歯車231は、図示しないモータなどの駆動部から付与されるトルクを、伝導軸232に伝えるための部材である。伝導部材230は、図示しない駆動部から付与されるトルクによって、伝導軸232の軸線回りの回転方向に、30rpm〜60rpmで回転する。
このようなトナーカートリッジ200によれば、汲上げ部材211によって、貯蔵容器210内のトナーが搬送容器220内へ汲み上げられる。そして、図示しない駆動部から付与されるトルクによって、伝導軸232、回転軸322、および搬送軸221bが一体的に回転する。搬送軸221bの回転によって搬送容器220内のトナーは、搬送口222および受入口311を介して、排出容器310内に搬送される。回転軸322の回転によって、排出容器310内のトナーは、排出口312から排出され、現像装置24の現像槽内に補給される。
次に、排出羽根321について説明する。図7に示すように、排出羽根321は、回転軸322を取り巻いて設けられる。排出羽根321は、回転軸322の回転方向G3への回転に伴って、回転軸322の軸線を中心として回転運動する。排出羽根321は、その回転運動によって、回転軸322の軸線方向のうち受入口311から排出口312へ向かう方向である排出方向H1に向けて、排出容器310内のトナーを搬送する。
排出羽根321は、たとえば、ポリエチレンや、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの材料から形成される。本実施形態では、排出羽根321は、一続きの減衰螺旋羽根である。減衰螺旋羽根は、その内周部において回転軸322を取り巻いて設けられる。
本発明において、「減衰螺旋羽根」とは、概略的には一般螺旋羽根の外周部のリードを変化させた部材であり、より詳細には減衰螺旋羽根面を主面とする所定の厚さの部材である。ここで、減衰螺旋羽根の内周部とは、上記減衰螺旋羽根面のうち回転軸322の軸線に最も近接する部分であり、減衰螺旋羽根の外周部とは、上記減衰螺旋羽根面において回転軸322から最も離間した部分である。減衰螺旋羽根面の形状は、その内周部および外周部が、互いに異なる仮想的な減衰螺線となるような形状であり、詳細は後述する。
本発明において、「減衰螺線」とは、特殊な螺線であって、該螺線の取り巻く仮想的な円柱の軸線方向(本発明では排出方向H1)に向かうにつれてリード角が小さくなる螺線である。減衰螺旋は、排出方向H1に向かうにつれて、リードも小さくなる。以下では、減衰螺旋羽根の主面である減衰螺旋羽根面の外周部のリードを、該減衰螺旋羽根の外周部のリードと称する。
本発明において、「減衰螺旋羽根面」とは、仮想円柱K3(以下では、半径をr2とする)の側面上の1つの減衰螺線C3(以下では、リード角はθ3からθ4へ連続的に小さくなるとする)に沿って、仮想円柱K3の外部にある1つの線分L2を、仮想円柱K3の径方向における該線分L2の長さm3、および取付角度βを保ったまま、仮想円柱K3の軸線に平行な一方向D2に移動させたときの、該線分L2の軌跡がなす面である。ここで、「取付角度β」とは、仮想円柱K3の軸線と線分L2とを含む面において、該線分L2と、該線分L2と仮想円柱K3との接点から一方向D2に延びる半直線と、のなす角度であって、0°より大きく180°より小さい角度である。
以下に、減衰螺旋羽根面の一例として、減衰螺線の2周期の部分に沿って線分を移動させたときの減衰螺旋羽根面(「2周期の減衰螺旋羽根面」と表す。他の周期についても同様)を示す。図8は、2周期の減衰螺旋羽根面について説明するための図である。図8(a)は、仮想円柱K3の側面と、仮想円柱K3の側面上の減衰螺線C3と、減衰螺線C3上を一方向D2に移動する線分L2の開始位置および終了位置と、を示している。図8(a)の紙面において最も下側に示す線分L2は移動の際の開始位置を示し、最も上側に示す線分L2は終了位置を示している。図8(a)に示すように、仮想円柱K3の径方向における線分L2の長さm3と、取付角度β(図8ではβ=90°)とを一定に保ちながら、減衰螺線C3に沿って一方向D2に、線分L2を移動させるとき、該線分L2の軌跡は図8(b)に示す減衰螺旋羽根面n2となる。図8(b)において斜線部で示す面が、減衰螺旋羽根面n2である。
図8(b)に示すように、減衰螺旋羽根面n2の外周部は、仮想円柱K3と軸線が一致する仮想円柱K4の側面上を一方向D2に進む減衰螺線C4(リード角はθ5からθ6へ連続的に小さくなるとする)となる。仮想円柱K4の半径R2は、仮想円柱K3の半径r2と、仮想円柱K3の径方向における線分L2の長さm3と、の和に等しい。
仮想円柱K3を展開したときに該仮想円柱K3の側面に対応する矩形t3と、仮想円柱K4を展開したときに該仮想円柱K4の側面に対応する矩形t4とを図8(c)に示す。図8(c)に示すように、減衰螺線C3,C4に対応する線は、各矩形t3,t4中で斜めに延びる滑らかな曲線q3,q4になる。リード角θ3は、曲線q3の最初の傾きの角度となり、リード角θ4は、曲線q3の最後の傾きの角度となる。また、リード角θ5は、曲線q4の最初の傾きの角度となり、リード角θ6は、曲線q4の最後の傾きの角度となる。また、減衰螺線C4のリードの最大値LAは、一方向D2における曲線q4の最初の間隔となり、減衰螺線C4のリードの最小値LBは、一方向D2における曲線q4の最後の間隔となる。
このような減衰螺旋羽根面を主面とする部材が、減衰螺旋羽根である。本実施形態のように排出羽根321として用いる場合、上記減衰螺旋羽根は、仮想円柱K3の直径2r2が回転軸322の外径に等しくなるように構成される。そして、減衰螺旋羽根は、減衰螺旋羽根面n2が回転軸322の軸線方向において排出口312側になるように設けられ、該減衰螺旋羽根面n2によってトナーを排出方向H1に搬送するように設けられる。
このとき、減衰螺旋羽根の内径、すなわち、減衰螺旋羽根の内周部と回転軸322の軸線との間の距離の2倍の値は2r2となり、減衰螺旋羽根の外径、すなわち、減衰螺旋羽根の外周部と回転軸322の軸線との間の距離の2倍の値は2r2+2m3となる。長さm3は、たとえば2mm〜20mmの範囲内で適宜設定できる。また、回転軸322の軸線方向における排出羽根321(減衰螺旋羽根)全体の長さm4は、たとえば、15mm〜50mmの範囲内で適宜設定できる。
また、たとえば、取付角度βは90°でなくともよく、30°〜150°の範囲内で適宜設定できる。減衰螺旋羽根の内周部の最初のリード角θ3は、たとえば20°〜70°の範囲内で適宜設定でき、該内周部の最後のリード角θ4は、たとえば0°〜60°の範囲内で適宜設定できる。また、減衰螺旋羽根の外周部の最初のリード角θ5は、たとえば0°〜60°の範囲内で適宜設定でき、該外周部の最後のリード角θ6は、たとえば0°〜50°の範囲内で適宜設定できる。本実施形態では、減衰螺旋羽根の外周部の最初のリード角θ5は、搬送羽根221aの外周部のリード角θ2と同一である。なお、リード角θ5を、リード角θ2よりも小さく設定してもよい。
また本実施形態において、排出羽根321は、3周期の減衰螺旋羽根面を有する減衰螺旋羽根であり、該減衰螺旋羽根の厚さは2mmで一様である。減衰螺旋羽根の周期や厚さなども、トナーの搬送速度やトナーカートリッジ200の大きさなどに応じて適宜設定できる。たとえば、排出羽根321として用いられる減衰螺旋羽根の厚さは、1mm〜3mmの範囲内で適宜設定できる。
なお、本実施形態では、回転軸322の側面上には、排出羽根321として一続きの減衰螺旋羽根のみが設けられるけれども、他の実施形態としては、回転軸322の側面上において、排出羽根321よりも排出方向H1上流側に、一般螺旋羽根が設けられてもよい。
本実施形態では、排出羽根321は、上記のような減衰螺旋羽根である。ここで、一般的に、トナーカートリッジを長期間輸送したり、放置したりすると、トナーカートリッジ内のトナーは、その流動性が低下する。従来のトナーカートリッジでは、トナーの流動性が低下した場合、トナーが速やかに排出されなくなることで排出部材の回転が停止するというロック現象が生じる。これに対して、本発明に係るトナー排出装置300は、排出羽根321として減衰螺旋羽根を備えており、該減衰螺旋羽根は排出方向H1に向かうにつれて外周部のリード角が小さくなるので、排出方向H1に向かうにつれてトナーの搬送速度が遅くなり、その結果、トナーは、急激に圧縮され難くなり、排出口312から排出され易くなる。したがって、トナー排出装置300によれば、ロック現象の発生を抑えることができる。
減衰螺旋羽根は、外周部のリードの最大値LAと、外周部のリードの最小値LBとの比LB/LAが、0.1以上0.3以下であることが好ましい。この場合において、さらに、減衰螺旋羽根は、2周期以上5周期以下の周期の減衰螺旋羽根であることが好ましい。LB/LAが0.1未満の場合、減衰螺旋羽根が囲む空間においてトナーが圧縮され易く、その結果、トナーにストレスが生じ、トナーの特性が比較的悪化してしまう。また、LB/LAが0.3を超える場合、トナーの搬送速度を充分に遅くできず、その結果、排出方向H1下流において、減衰螺旋羽根と排出容器310の壁部との間でトナーが圧縮され易くなり、トナーの特性が比較的悪化してしまう。これに対して、上記のような減衰螺旋羽根を用いることによって、ロック現象の発生を抑えながら、特性が良好なトナーを排出させることができる。
次に、本発明の第2実施形態であるトナーカートリッジ400について説明する。図9は、トナーカートリッジ400の内部の構成を示す模式図である。図10は、トナーカートリッジ400の端面図である。トナーカートリッジ400は、トナー排出装置500と、貯蔵容器210と、搬送容器220と、汲上げ部材211と、搬送部材221と、伝導部材230とを備える。貯蔵容器210、搬送容器220、汲上げ部材211、搬送部材221、および伝導部材230については、第1実施形態と共通するので説明は省略する。
図11は、トナー排出装置500の内部の構成を示す模式図である。トナー排出装置500は、排出容器510と排出部材520とシャッタ部材530とを含む。排出容器510は、円柱状の内部空間を有する容器状部材であり、トナーを受け入れるための開口部である受入口511が設けられる。排出容器510と搬送容器220とは、搬送容器220内のトナーが搬送口222および受入口511を介して排出容器510内に移動できるように連なって設けられる。すなわち、搬送容器220の内部空間と排出容器510の内部空間とは連通する。排出容器510と搬送容器220とは、一体として構成されてもよく、着脱自在に構成されてもよい。
また、排出容器510には、該排出容器510の壁部のうち、排出部材520の軸線方向に沿って該排出部材520(排出羽根521および回転軸522)を取り囲む壁部の少なくとも一部分に、トナーを排出するための開口部である排出口512が設けられる。本実施形態では、排出口512は、排出容器510の鉛直方向下方の壁部に設けられる。本実施形態では、排出口512の開口は、略矩形状である。シャッタ部材530は、排出口512の鉛直方向下方において、スライド自在に設けられる。シャッタ部材530は、トナーカートリッジ400がトナーカートリッジ載置台261に装着される過程において、トナー供給パイプ250に当接することによって略水平方向にスライドし、これによって排出口512が開放される。
排出部材520は、排出容器510内に設けられ、受入口511から排出容器510内に入ったトナーを、排出口512から排出する部材である。排出口512から排出されたトナーは、トナー供給パイプ250を介して現像装置24に補給される。
排出部材520は、回転軸522と排出羽根521とを含む。回転軸522は、その軸線が、排出容器510の軸線と一致するように設けられる。回転軸522は、その一端部が搬送軸221bに連なり、その他端部が伝導部材230に連なる。回転軸522、搬送軸221b、および伝導部材230は、一体として構成されてもよく、着脱自在に構成されてもよい。
排出羽根521は、回転軸522がその軸線回りの回転方向G3に回転するのに伴って、回転軸522の軸線を中心として回転運動することで、排出容器510内のトナーを移動させる部材である。回転軸522上の排出羽根521と、搬送軸221b上の搬送羽根221aとは、滑らかに連なっていてもよいし、離間していてもよい。排出部材520については後に詳述する。
このようなトナーカートリッジ400によれば、汲上げ部材211によって、貯蔵容器210内のトナーが搬送容器220内へ汲み上げられる。そして、図示しない駆動部から付与されるトルクによって、伝導軸232、回転軸522、および搬送軸221bが一体的に回転する。搬送軸221bの回転によって搬送容器220内のトナーは、搬送口222および受入口511を介して、排出容器510内に搬送される。回転軸522の回転によって、排出容器510内のトナーは、排出口512から排出され、現像装置24の現像槽内に補給される。
次に、排出羽根521および回転軸522について説明する。図12は、排出羽根521と回転軸522とを、それぞれ独立して示した図である。図12(a)では、排出羽根521を実線で示し、回転軸522を2点鎖線で示している。図12(b)では、回転軸522のみを実線で示している。
図12(a)に示すように、排出羽根521は、回転軸522を取り巻いて設けられる。排出羽根521は、回転軸522の回転方向G3への回転に伴って、回転軸522の軸線を中心として回転運動する。排出羽根521は、その回転運動によって、回転軸522の軸線方向のうち受入口511から排出口512へ向かう方向である排出方向H1に向けて、排出容器510内のトナーを搬送する。
図12(b)に示すように、回転軸522は、排出方向H1に向かうにつれて外径が連続的に大きくなる錐台状回転軸である。本発明において、「錐台」とは、面積の異なる2つの底面(面積が比較的小さい方の底面を「小底面」と称し、面積が比較的大きい方の底面を「大底面」と称する)を有し、軸線が該2つの底面(小底面および大底面)を通り、かつ、軸線方向のうち小底面から大底面に向かう方向に進むにつれて外径が連続的に大きくなる立体である。そして、本発明において、「錐台状回転軸」とは、外観形状が錐台状であり、前記軸線回りに回転する回転軸を指す。
図13に、錐台状回転軸の例を示す。図13(a)は、錐台状回転軸の1つである直円錐台状回転軸J1の側面を示している。本発明において、「直円錐台」とは、直円錐を底面に平行な平面で二分して得たれる立体のうち、円錐ではない方の立体である。そして、本発明において、「直円錐台状回転軸」とは、外観形状が直円錐台状である回転軸を指す。図13(b)は、錐台状回転軸の1つである圧縮直円錐台状回転軸J2の側面を示している。本発明において、「圧縮直円錐台」とは、直円錐台の側面を、軸線に近付く向きに湾曲させた形状の立体である。そして、本発明において、「圧縮直円錐台状回転軸」とは、外観形状が圧縮直円錐台状である回転軸を指す。図13(c)は、錐台状回転軸の1つである膨張直円錐台状回転軸J3の側面を示している。本発明において、「膨張直円錐台」とは、直円錐台の側面を、軸線から離れる向きに湾曲させた形状の立体である。そして、本発明において、「膨張直円錐台状回転軸」とは、外観形状が膨張直円錐台状である回転軸を指す。
このように、本実施形態では、回転軸522は、外観形状が錐台状の回転軸である。錐台状の回転軸522は、排出方向H1に向かうにつれて外径が大きくなるように設けられている。したがって、排出羽根521によって搬送されるトナーは、回転軸522の軸線から離れる向きに付勢される。これによって、トナーの流れは回転軸522から離れる向きへ変化する。排出口512は回転軸522の軸線方向に沿って回転軸522および排出羽根521を取り囲む壁部に設けられており、トナーは、回転軸522の軸線から離れる向き、すなわち、排出口512に近付く向きに移動する。よって、回転軸522を備えるトナー排出装置500によれば、トナーを排出口512からより排出し易くすることができる。
回転軸522としては、圧縮直円錐台状回転軸J2がより好ましい。圧縮直円錐台状回転軸J2は、直円錐台状回転軸J1および膨張直円錐台状回転軸J3と比較して、搬送部材221によって搬送されてきたトナーの流れを、回転軸522から離れる向きへ、より緩やかに変化させることができるので、駆動トルクの急激な上昇を抑えることができる。
錐台状の回転軸522は、その外径の最大値、すなわち、大底面における外径m5が、排出容器510の円柱形状の内部空間の直径の0.8倍以上0.95倍以下であることが好ましい。回転軸522の大底面における外径m5を、この範囲内にすることで、回転軸522と排出容器510の内壁面との間の空間が適度な大きさとなるので、トナーの排出効率を高めることができる。
また、錐台状の回転軸522は、大底面における外径m5と小底面における外径m6との差を、大底面から小底面までの距離m7で除した値である(m5−m6)/m7が、2以上8以下であることが好ましい。(m5−m6)/m7が2未満である場合、排出部材520とそれを取り囲む壁部との間に形成される隙間の容積変化が小さく、トナーを押し出す効果が得られ難くなる。(m5−m6)/m7が8を超える場合、排出部材520とそれを取り囲む壁部との間に形成される隙間の容積変化が過度に大きくなり、トナーの圧力が急激に上昇するので、トナーに掛かる負荷が大きくなってしまう。上記の範囲内になるように回転軸522を構成することで、トナーに負荷を掛けずにトナーを排出でき、かつ、トナー排出装置500を小型化できる。なお、本実施形態では、回転軸522の小底面における外径m6と搬送軸221bの外径とは同一であり、互いの軸線は一致する。
排出羽根521は、たとえば、ポリエチレンや、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの材料から形成される。本実施形態では、排出羽根521は、一続きの環状減衰螺旋羽根である。環状減衰螺旋羽根は、その内周部において回転軸522を取り巻いて設けられる。
本発明において、「環状減衰螺旋羽根」とは、特殊な減衰螺旋羽根であり、概略的には、一般螺旋羽根を、外径を一定に保ちながら、内径を連続的に変化させ、かつ、該一般螺旋羽根の外周部のリードを変化させた形状の部材である。より詳細には、環状減衰螺旋羽根面を主面とする所定の厚さの部材である。ここで、環状減衰螺旋羽根の内周部とは、上記環状減衰螺旋羽根面のうち回転軸522の軸線に最も近接する部分であり、環状減衰螺旋羽根の外周部とは、上記環状減衰螺旋羽根面において回転軸522から最も離間した部分である。環状減衰螺旋羽根面の形状は、その内周部および外周部が、互いに異なる仮想的な減衰螺線となるような形状であり、詳細は後述する。なお、以下では、環状減衰螺旋羽根の主面である環状減衰螺旋羽根面の外周部のリードを、該環状減衰螺旋羽根の外周部のリードと称する。
本発明において、「環状減衰螺旋羽根面」とは、仮想円柱K5(以下では、半径をr3とする)の側面上の1つの減衰螺線C5(以下では、リード角はθ7からθ8へ連続的に小さくなるとする)に沿って、仮想円柱K5の内部にある1つの線分L3を、取付角度δを保ったまま、仮想円柱K5の径方向における該線分L3の長さm8を連続的に小さくなるように変化させながら、仮想円柱K5の軸線に平行な一方向D3に移動させたときの、該線分L3の軌跡がなす面である。「取付角度δ」とは、仮想円柱K5の軸線と線分L3とを含む面において、該線分L3と、該線分L3と仮想円柱K5との接点から一方向D3に延びる半直線と、のなす角度であって、0°より大きく180°より小さい角度である。
以下に、環状減衰螺旋羽根面の一例として、減衰螺線の2周期の部分に沿って線分を移動させたときの環状減衰螺旋羽根面(「2周期の環状減衰螺旋羽根面」と表す。他の周期についても同様)を示す。図14は、2周期の環状減衰螺旋羽根面について説明するための図である。図14(a)は、仮想円柱K5の側面と、仮想円柱K5の側面上の減衰螺線C5と、減衰螺線C5上を一方向D3に移動する線分L3の開始位置および終了位置と、を示している。図14(a)の紙面において最も下側に示す線分L3は移動の際の開始位置を示し、最も上側に示す線分L3は終了位置を示している。図14(a)に示すように、取付角度δ(図14ではδ=90°)を一定に保ちつつ、仮想円柱K5の径方向における線分L3の長さm8を連続的に小さくなるように変化させながら、減衰螺線C5に沿って一方向D3に線分L3を移動させるとき、該線分L3の軌跡が環状減衰螺旋羽根面となる。
図14(b)〜図14(d)に示すように、環状減衰螺旋羽根面の内周部は、仮想円柱K5と軸線が一致する仮想錐台の側面上を一方向D3に進む減衰螺線となる。線分L3の長さm8の変化のさせ方によって、環状減衰螺旋羽根面が外接する仮想錐台の形状は異なる。
図14(b)は、仮想直円錐台K6に外接する環状減衰螺旋羽根面n3を示している。減衰螺線C5に沿った単位移動距離当たりの線分L3の長さm8の変化率が一定のとき、線分L3の軌跡は、図14(b)において斜線部で示す環状減衰螺旋羽根面n3となり、その内周部は、仮想直円錐台K6の側面に外接する。
図14(c)は、仮想圧縮直円錐台K7に外接する環状減衰螺旋羽根面n4を示している。一方向D3に進むにつれて減衰螺線C5に沿った単位移動距離当たりの線分L3の長さm8の変化率が次第に大きくなるとき、線分L3の軌跡は、図14(c)において斜線部で示す環状減衰螺旋羽根面n4となり、その内周部は、仮想圧縮直円錐台K7の側面に外接する。
図14(d)は、仮想膨張直円錐台K8に外接する環状減衰螺旋羽根面n5を示している。一方向D3に進むにつれて減衰螺線C5に沿った単位移動距離当たりの線分L3の長さm8の変化率が次第に小さくなるとき、線分L3の軌跡は、図14(d)において斜線部で示す環状減衰螺旋羽根面n5となり、その内周部は、仮想膨張直円錐台K8の側面に外接する。
仮想円柱K5を展開したときに該仮想円柱K5の側面に対応する矩形t5を図15に示す。図15に示すように、減衰螺線C5に対応する線は、矩形t5中で斜めに延びる滑らかな曲線q5になる。リード角θ7は、曲線q5の最初の傾きの角度となり、リード角θ8は、曲線q5の最後の傾きの角度となる。また、減衰螺線C5のリードの最大値LCは、一方向D3における曲線q5の最初の間隔となり、減衰螺線C5のリードの最小値LDは、一方向D3における曲線q5の最後の間隔となる。
このような環状減衰螺旋羽根面を主面とする部材が、環状減衰螺旋羽根である。本実施形態のように排出羽根521として用いる場合、環状減衰螺旋羽根は、環状減衰螺旋羽根面n3,n4,n5が回転軸522の軸線方向において排出口512側になるように設けられ、該環状減衰螺旋羽根面n3,n4,n5によってトナーを排出方向H1に搬送するように設けられる。また、環状減衰螺旋羽根は、その内周部において外接する仮想錐台の側面よりも内側に、回転軸522が存在するように設けられる。このとき、回転軸522と排出羽根521とを、一または複数の近接部分において、樹脂や金属などによって接続してもよい。
排出羽根521を環状減衰螺旋羽根とするとき、排出羽根521の外径、すなわち、排出羽根521の外周部と回転軸522の軸線との間の距離の2倍の値は2r3で一様となり、排出羽根521の内径、すなわち、排出羽根521の内周部と回転軸522の軸線との間の距離の2倍の値は、排出方向H1に向かうにつれて、2m8の最小値+2r3から、2m8の最大値+2r3まで、連続的に変化する。長さm8の最小値は、たとえば0mm〜2mmの範囲内で適宜設定できる。長さm8の最大値は、たとえば4mm〜10mmの範囲内で適宜設定できる。なお、本実施形態では、排出羽根521の外径の最大値は、搬送部材221の搬送羽根221aの外径に等しく、排出羽根521と搬送羽根221aとが滑らかに連なる。また、回転軸522の軸線方向における排出羽根521(環状減衰螺旋羽根)全体の長さm9は、たとえば、15mm〜50mmの範囲内で適宜設定できる。
また、たとえば、取付角度δは90°でなくともよく、30°〜150°の範囲内で適宜設定できる。環状減衰螺旋羽根の外周部の最初のリード角θ7は、たとえば20°〜70°の範囲内で適宜設定でき、該外周部の最後のリード角θ8は、たとえば0°〜60°の範囲内で適宜設定できる。本実施形態では、環状減衰螺旋羽根の外周部の最初のリード角θ7は、搬送羽根221aの外周部のリード角θ2と同一である。なお、リード角θ7を、リード角θ2よりも小さく設定してもよい。
また本実施形態において、排出羽根521は、3周期の環状減衰螺旋羽根面を有する環状減衰螺旋羽根であり、該環状減衰螺旋羽根の厚さは2mmで一様である。環状減衰螺旋羽根の周期や厚さなども、トナーの搬送速度やトナーカートリッジ400の大きさなどに応じて適宜設定できる。たとえば、排出羽根521として用いられる環状減衰螺旋羽根の厚さは、1mm〜3mmの範囲内で適宜設定できる。
なお、本実施形態では、回転軸522の側面上には、排出羽根521として一続きの環状減衰螺旋羽根のみが設けられるけれども、他の実施形態としては、回転軸522の側面上において、排出羽根521よりも排出方向H1上流側に、一般螺旋羽根が設けられてもよい。
本実施形態では、排出羽根521は、上記のような環状減衰螺旋羽根である。環状減衰螺旋羽根は排出方向H1に向かうにつれて外周部のリード角が小さくなるので、排出方向H1に向かうにつれてトナーの搬送速度が遅くなり、その結果、トナーは、急激に圧縮され難くなり、排出口512から排出され易くなる。したがって、排出羽根521を備えるトナー排出装置500によれば、ロック現象の発生を抑えることができる。
また、環状減衰螺旋羽根である排出羽根521は、その外径が一定であり、排出方向H1に進むにつれて内径が大きくなる。したがって、排出羽根521と回転軸522との隙間を小さくすることができ、これによって、トナーに掛かる負荷を分散させることができる。
なお、排出羽根521として環状減衰螺旋羽根を用いる場合、該環状減衰螺旋羽根が外接する仮想錐台と、錐台状の回転軸522の外観形状とが、一致するように構成されることが好ましい。排出羽根521が外接する仮想錐台を回転軸522よりも大きくしたり、排出羽根521を環状減衰螺旋羽根以外の減衰螺旋羽根にしたりしてもよいけれども、環状減衰螺旋羽根の外接する仮想錐台と回転軸522とが一致するように構成されることで、回転軸522の軸線方向に離れた位置から排出部材520を見たときに、回転軸522と排出羽根521との間に隙間が無くなるので、トナーに掛かる負荷をより分散させることができる。
環状減衰螺旋羽根は、外周部のリードの最大値LCと、外周部のリードの最小値LDとの比LD/LCが、0.1以上0.3以下であることが好ましい。この場合において、さらに、環状減衰螺旋羽根は、2周期以上5周期以下の周期の環状減衰螺旋羽根であることが好ましい。LD/LCが0.1未満の場合、環状減衰螺旋羽根が囲む空間においてトナーが圧縮され易く、その結果、トナーにストレスが生じ、トナーの特性が比較的悪化してしまう。また、LD/LCが0.3を超える場合、トナーの搬送速度を充分に遅くできず、その結果、排出方向H1下流において、環状減衰螺旋羽根と排出容器510の壁部との間でトナーが圧縮され易くなり、トナーの特性が比較的悪化してしまう。これに対して、上記のような環状減衰螺旋羽根を用いることによって、ロック現象の発生を抑えながら、特性が良好なトナーを排出させることができる。
回転軸522は、排出羽根521と同一の材料から形成されてもよいけれども、少なくともその表面部分は、弾性スポンジから形成されることが好ましい。本発明において、「弾性スポンジ」とは、圧縮変形率が50%以上80%以下の材質である。ここで、圧縮変形率は、1辺1cmの立方体の試料に対して厚さ方向に毎秒0.1N/cm2の荷重を加えたときの該試料の厚さの最小値をF[cm]とするとき、下記式(1)で与えられる値である。
圧縮変形率[%]=(1−F)×100[%] …(1)
回転軸522を、このような弾性スポンジから形成することで、トナーの流れが変化することによるトナーへの負荷を抑えることができる。これによって、画像形成装置100は、画質の良好な画像を、長期間安定して形成することができる。
以下に、表面部分が弾性スポンジで形成された回転軸522を含む排出部材520Xの例を示す。図16は、排出部材520Xを回転軸522の軸線を通る端面線で切断したときの端面図である。図16に示す排出部材520Xは、環状減衰螺旋羽根である排出羽根521と、錐台状回転軸である回転軸522とを含む。回転軸522は、回転軸522の軸線を含む円柱状部分である軸中央部522aと、該軸中央部522aと排出羽根521とを接続する接続部522bと、錐台状の回転軸522において軸中央部522aおよび接続部522bを除いた部分である外周部522cとを含む。
図16に示す排出部材520Xでは、外周部522cのみが弾性スポンジから形成され、排出羽根521と軸中央部522aと接続部522bとが、弾性スポンジよりも比較的剛性の高い材料から、一体成形されている。より詳細には、排出羽根521と接続部522bとは、一体として、軸中央部522aを取り巻き内径が一定の減衰螺旋羽根を形成しており、接続部522bおよび軸中央部522aが外周部522cによって覆われることで、環状減衰螺旋羽根である排出羽根521のみが露出するように構成されている。
このように、排出羽根521と軸中央部522aと接続部522bとを一体成形することで、排出部材520Xの強度が向上し、また、容易に排出部材520Xを製造することが可能になる。さらに、上記のように、外周部522cのみが他の部材よりも比較的剛性の低い材料である弾性スポンジから形成されているので、トナーに掛かる負荷を軽減した上で、より確実に、トナーを排出口512へ案内することができる。
上記弾性スポンジの各開口部は、開口にトナーが入り込まない程度の大きさであることが好ましい。具体的には、開口面積で表わせば、たとえば、1μm2以上10μm2以下である。また、開口径で表わせば、たとえば、1μm以上3μm以下である。このような大きさの開口部が設けられることにより、トナーが開口に入り込むことを抑えながら、トナーと弾性スポンジとの摩擦を大きくすることができる。これによって、トナーは、排出羽根521とともに移動し易くなる。したがって、トナーの流動性が低下していても、トナーを移動させることができ、駆動トルクの増大を抑えることができる。
上記弾性スポンジとしては、ウレタンスポンジ、ゴムスポンジ、ポリエチレンスポンジなどを使用でき、この中でも耐摩耗性に優れるウレタンスポンジが好ましい。弾性スポンジとしてウレタンスポンジを用いることによって、トナーカートリッジ400を長期間使用することができる。また、上記弾性スポンジとしては、連続気泡を有する連泡性スポンジが好ましい。連泡性スポンジは、単泡性スポンジと比較して圧縮または変形し易いので、トナーの過度な圧縮を抑えることができる。連泡性スポンジは、たとえば、炭酸カルシウムの微粉末を練り込んだ材料を射出成形後、成形品を塩酸水中に浸漬して、粉末炭酸カルシウムを分解溶出する方法や、水溶性の塩を練り込み成形した後、水中で塩を溶出して連泡体にする方法、または樹脂に予め発泡剤を添加しておき、発泡成形後に物理的に気泡の壁を破る方法などにより得られる。
さらに、上記弾性スポンジとしては、カーボンブラックなどの導電剤を含む導電性スポンジが好ましい。導電性スポンジは、トナーや排出容器510の内壁面と摩擦が生じても帯電し難いので、トナーを静電吸着することを抑えることができる。