JP4987397B2 - 原子炉用模擬燃料棒 - Google Patents
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Description
このような新しい燃料集合体の冷却特性を理解するために燃料集合体の伝熱流動性能を評価するための試験が行われている。
図示するように従来のヒータロッド1は、端部が閉塞された長尺、円筒状の、通常ステンレスあるいはインコネル等の金属材料によってできた被覆管2と、この被覆管2の内部に間隔を置いて同軸状に収納された内側電気絶縁材3−1および外側電気絶縁材3−2と、この内側電気絶縁材3−1と外側電気絶縁材3−2との間に配置されたニクロム線などから成る発熱体4および被覆管2の外表面に埋め込まれた熱電対5とから構成されている。
発熱体4で発生した熱は、電気絶縁材3を伝導で伝わり、被覆管2に伝わり、さらに被覆管2内部を熱伝導で伝わり、最終的に外部の冷却流体へ熱伝達される。
電気絶縁材3の熱伝導率、発熱体4と電気絶縁材3との接触抵抗、そして電気絶縁材3と被覆管2との接触抵抗を良好にし、発熱体4の温度を低く抑えるために、発熱体4と被覆管2との間に電気絶縁材3−2を詰めた後、被覆管2を減径するためにスエージング工程により電気絶縁材3−2の密度の増加そして密着度合いを改善している。
このように構成されたヒータロッド1は、圧力容器に収納され伝熱流動性能の評価試験が行われる。
即ち、実機核燃料棒の被覆管材料は一般にジルカロイが用いられているが、ヒータロッド1の被覆管2の材質としてはジルカロイが高価であるためステンレスあるいはインコネル等の材料が用いられている。
加えて、被覆管2の材質を圧力容器6内部で、引き出し部分をジルカロイからステンレスに変更する事も考えられるが、この場合もジルカロイとステンレスとの異種金属となり溶接ができないという課題がある。
このようにすると、外側被覆管2−2をジルカロイで製造すれば実機燃料棒表面材質であるジルカロイと同等の材質とすることができる。
(第1の実施の形態)
まず、図1を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態の説明において、図7乃至図9に示す従来のものと同一部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
ここで、溶射とは、コーティング材料を、加熱により溶融もしくは軟化させ(「溶」)、微粒子状にして加速し被覆対象物表面に衝突させて(「射」)、扁平に潰れた粒子を凝固・堆積させることにより被覆対象物表面に皮膜を形成するコーティング技術の一種であり、るものである。
次に本発明の第2の実施の形態について図2(a)、(b)を参照して説明する。
前記第1の実施の形態においては、被覆層2の外表面全体に亘って溶射層11を形成するようにしているが、本実施の形態においては図2に示すように溶射層11は熱電対取り付け溝10部分の外表面のみに形成するようにしている。
次に本発明の第3の実施の形態について図3(a)、(b)を参照して説明する。
本実施の形態においては、ヒータロッド1の被覆管2表面に取り付けた熱電対5の測温点13付近のみに溶射層11を形成している。
このように、被覆管2表面には熱電対5と熱電対取り付け溝10との間に空間があり、その空間が伝熱性能に影響する可能性がある。
また、溶射の施工時間短縮と、材料費の低減からヒータロッドの価格をさらに低減することができる。
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、図1から図3における溶射材をジルカロイとする。このようにすると、実機燃料棒表面材質はジルカロイのため、表面状態が同じ状態、同じ材質のより模擬されたヒータロッドが得られ、より正確な伝熱流動性能の評価試験が行える。
次に本発明の第5の実施の形態について図4(a)、(b)を参照して説明する。
本実施の形態においては、熱電対5と被覆管2に形成された熱電対取り付け溝10との間の隙間12に伝熱セメント等の熱伝導率が良く、埋め込み時は柔らかく、乾燥すると硬くなる埋め込み部材14を埋め込むことにより、熱電対取り付け溝10と熱電対5との接触面の凹凸を無くし、熱伝達が良好になり、表面状態が実機核燃料棒に近いヒータロッドが得られる。
次に本発明の第6の実施の形態について図5(a)、(b)を参照して説明する。
本実施の形態においては、被覆管2に形成した熱電対取り付け溝10の大きさを可能な限り大きくし、熱電対5との隙間を大きくする。
これによって、熱電対5と熱電対取り付け溝10との間に隙間が無くなり、熱伝達の良いヒータロッドが得られる。
次に本発明の第7の実施の形態について図6(a)、(b)を参照して説明する。
本実施の形態においては、熱電対5と熱電対取り付け溝10との間の隙間12に伝熱セメント等の埋め込み部材14を埋め込み、さらに被覆管2から露出した埋め込み部材14の外表面に溶射層11を形成することにより、よりヒータロッド1の外表面状態が実機核燃料棒と同じヒータロッドが得られる。
次に本発明の第8の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、前記第1から7の実施の形態で説明したヒータロッド1の溶射層11あるいは埋め込み部材14等を埋め込んだ表面を、実機核燃料棒表面と同じ粗さに機械加工などにより研磨する。
これにより、親水性に影響がある表面粗さを実機核燃料棒と同じとしたヒータロッドが得られる。
Claims (8)
- 原子炉の実機核燃料棒の表面状態を模擬して製造される原子炉用模擬燃料棒であって、
ステンレス又はインコネルからなる被覆管と、この被覆管内に絶縁体を介して収納された発熱体と、前記被覆管の外表面の長手方向に形成された熱電対取り付け溝と、この熱電対取り付け溝に埋め込まれた熱電対と、前記被覆管の外表面に溶射されて設けられ前記熱電対を覆う溶射層と、を有し、前記溶射層はジルカロイにより形成されたことを特徴とする原子炉用模擬燃料棒。 - 前記熱電対が前記被覆管の外表面に形成された取り付け溝内に埋め込まれ前記被覆管外表面より内側へ埋め込まれて組立てられることを特徴とする請求項1記載の原子炉用模擬燃料棒。
- 前記溶射層が前記被覆管の外表面全体に形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の原子炉用模擬燃料棒。
- 前記溶射層が前記被覆管の熱電対取り付け溝部分の外表面のみに形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の原子炉用模擬燃料棒。
- 前記溶射層が前記被覆管の熱電対の測温点付近のみに形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の原子炉用模擬燃料棒。
- 前記熱電対と熱電対取り付け溝の隙間部分を、熱伝導率が良く、埋め込み時は柔らかく、乾燥すると硬くなる埋め込み部材を埋め込んだことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の原子炉用模擬燃料棒。
- 前記埋め込み部材が伝熱セメントであることを特徴とする請求項6記載の原子炉用模擬燃料棒。
- 前記被覆管の表面粗さを実機核燃料と同じにしたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の原子炉用模擬燃料棒。
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