JP4984850B2 - ガラスセラミック組成物 - Google Patents

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Description

この発明は、低温での焼成が可能なようにガラス成分を含むガラスセラミック組成物に関するものである。
電子機器の小型化を可能にする有効な手段の1つとして、電子機器において多機能電子部品を用いることが行なわれている。多機能電子部品としては、たとえばセラミック多層モジュールがある。
セラミック多層モジュールは、多層セラミック基板を備えている。多層セラミック基板の内部には、電気的接続機能を果たしたりコンデンサやインダクタなどの受動素子を構成したりするための配線導体が内蔵され、また、多層セラミック基板上には、種々の電子部品が搭載される。
このようなことから、セラミック多層モジュールは、小型でありながら、多機能化を図ることができ、これを用いることによって、電子機器の小型化が可能になる。
また、電子機器に対しては、上述したような小型化に加えて、高周波化に対する要望も高まっている。このような背景の下、高周波領域で用いられるセラミック多層モジュールにあっては、そこに備える多層セラミック基板が高周波特性に優れていることが望まれる。より具体的には、多層セラミック基板において積層構造を与える絶縁性セラミック層を構成する絶縁性セラミック焼結体が高周波特性に優れていることが望まれる。
このような要望を満たし得る絶縁性セラミック焼結体を得るための絶縁体セラミック組成物として、たとえば特開2000−344571号公報(特許文献1)に記載されたものがある。特許文献1では、フォルステライトとチタン酸カルシウムとスピネルとを含む3成分系の絶縁体セラミック組成物が開示されている。特許文献1によれば、この絶縁体セラミック組成物は、より好ましい組成範囲において、周波数[GHz]/誘電損失(tanδ)で表されるQf値として、38000GHz以上の値を示し、誘電率の温度係数として−80〜+40ppm・℃-1の値を示す、とされている。
前述したセラミック多層モジュールに備える多層セラミック基板を製造しようとする場合、焼成工程が実施される。そして、この焼成工程では、多層セラミック基板に設けられる配線導体も同時に焼成されることになる。
セラミック多層モジュールを高周波領域で問題なく用いることができるようにするには、まず、多層セラミック基板に備える配線導体を電気抵抗の低いものとしなければならない。そのため、配線導体に含まれる導電成分として、電気抵抗が低い、たとえば銅または銀のような金属を用いる必要がある。
しかしながら、これら銅や銀のような金属は、その融点が比較的低い。そのため、これらの金属を含む配線導体と同時に焼成して、多層セラミック基板を得るには、多層セラミック基板に備える絶縁性セラミック層を構成するための絶縁体セラミック組成物は、たとえば1000℃以下といった低温で焼成できるものでなければならない。
これに関連して、特許文献1に記載された絶縁体セラミック組成物の場合には、1140〜1600℃の焼成温度が開示されていて、1000℃以下の温度での焼成が可能であるという条件を満たすことができない。
また、多層セラミック基板において、高周波化に対応し、かつ配線導体の高密度化を可能にするには、そこに備える絶縁性セラミック層の低誘電率化が必要である。なお、特許文献1では、そこに開示された絶縁体セラミック組成物を焼成して得られた絶縁性セラミック焼結体の比誘電率の具体的数値については開示されていない。
他方、1000℃以下の温度で焼成することが可能であり、かつ比誘電率が低く、さらに高周波特性に優れた、より具体的には、共振周波数の温度特性を小さく制御することが可能であり、さらに高いQf値を得ることができる、絶縁体セラミック組成物が、特許文献2において提案されている。
特許文献2では、より具体的には、フォルステライトを主成分とする第1のセラミック粉末と、チタン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末および酸化チタンを主成分とするセラミック粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる第2のセラミック粉末と、ホウケイ酸ガラス粉末とを含み、ホウケイ酸ガラスは、リチウムをLiO換算で3〜15重量%、マグネシウムをMgO換算で30〜50重量%、ホウ素をB換算で15〜30重量%、ケイ素をSiO換算で10〜35重量%、亜鉛をZnO換算で6〜20重量%、および、アルミニウムをAl換算で0〜15重量%含むことを特徴とする、ガラスセラミック組成物が提案されている。
しかしながら、近年、積層型セラミック電子部品においては、その素体を構成するセラミック層の薄層化が進んできており、他方では、より高い電圧の信号を取り扱うべき状況が増えてきている。そのため、セラミック層を構成する材料には、より高い電気的絶縁信頼性を持っていることが要求されるようになってきている。
特開2000−344571号公報 国際公開第2005/082806号パンフレット
そこで、この発明の目的は、上述した特許文献1に記載のようなガラスセラミック組成物が有する組成系において、電気的絶縁信頼性をより高め得る組成を有するガラスセラミック組成物を提供しようとすることである。
この発明に係るガラスセラミック組成物は、上述した技術的課題を解決するため、フォルステライトを主成分とする第1のセラミック粉末と、チタン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末および酸化チタンを主成分とするセラミック粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる第2のセラミック粉末と、リチウムをLi2 O換算で3〜15重量%、マグネシウムをMgO換算で20〜50重量%、ホウ素をB2 3 換算で15〜30重量%、ケイ素をSiO2 換算で10〜45重量%、亜鉛をZnO換算で6〜20重量%、および、アルミニウムをAl2 3 換算で0〜15重量%含む、ホウケイ酸ガラス粉末とを含む、ガラスセラミック組成物であって、上記ホウケイ酸ガラス粉末は、当該ガラスセラミック組成物のうちの3重量%以上を占めており、ホウケイ酸ガラス粉末には、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加成分が添加されていて、この添加成分の含有率をホウケイ酸ガラス粉末に占める割合で表したとき、添加成分の含有率の下限は、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムを、それぞれ、CaO、BaOおよびSrOに換算して、合計で2重量%であり、かつ、添加成分の含有率の上限は、酸化カルシウムの場合にはCaO換算で15重量%であり、酸化バリウムの場合にはBaO換算で25重量%であり、酸化ストロンチウムの場合にはSrO換算で25重量%であることを特徴としている。
この発明に係るガラスセラミック組成物において、第1のセラミック粉末が55重量%以上の含有率で、前記第2のセラミック粉末が6〜30重量%の含有率で、および、前記ホウケイ酸ガラス粉末が3〜20重量%の含有率で、それぞれ含まれていることが好ましい。
また、この発明に係るガラスセラミック組成物において、含有率を当該ガラスセラミック組成物に占める割合で表したとき、第2のセラミック粉末がチタン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末を含む場合、チタン酸カルシウムの含有率はCaTiO換算で18重量%以下であり、第2のセラミック粉末がチタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末を含む場合、チタン酸ストロンチウムの含有率はSrTiO換算で13重量%以下であり第2のセラミック粉末が酸化チタンを主成分とするセラミック粉末を含む場合、酸化チタンの含有率はTiO換算で0.3〜30重量%であることが好ましい。
上述の好ましい実施態様において、第2のセラミック粉末が、チタン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末および酸化チタンを主成分とするセラミック粉末を含む場合、含有率を当該ガラスセラミック組成物に占める割合で表したとき、チタン酸カルシウムの含有率はCaTiO換算で8〜12重量%であり、酸化チタンの含有率はTiO換算で0.3〜3重量%であることがより好ましい。
また、上述の好ましい実施態様において、第2のセラミック粉末が、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末および酸化チタンを主成分とするセラミック粉末を含む場合、含有率を当該ガラスセラミック組成物に占める割合として表したとき、チタン酸ストロンチウムの含有率はSrTiO換算で6〜10重量%であり、酸化チタンの含有率はTiO換算で0.3〜3重量%であることがより好ましい。
また、この発明に係るガラスセラミック組成物において、ホウケイ酸ガラス粉末中のケイ素の含有量の範囲がより限定され、ホウケイ酸ガラス粉末に含まれる、リチウムがLi2 O換算で3〜15重量%、マグネシウムがMgO換算で20〜50重量%、ホウ素がB2 3 換算で15〜30重量%、ケイ素がSiO2 換算で23.5〜26.5重量%、亜鉛がZnO換算で6〜20重量%、および、アルミニウムがAl2 3 換算で0〜15重量%それぞれ含むようにされることが好ましい。
上述の好ましい実施態様では、ホウケイ酸ガラス粉末中にケイ素をSiO2 換算で23.5〜26.5重量%含んでいたが、ホウケイ酸ガラス中のケイ素の含有量の下限をSiO2 換算で20重量%まで下げた場合、好ましくは、この発明に係るガラスセラミック組成物は、第1のセラミック粉末と第2のセラミック粉末とホウケイ酸ガラス粉末との合計100重量部に対して、さらに、ケイ素をSiO換算で1重量部以下含むようにされる。
この発明に係るガラスセラミック組成物は、さらに、ジルコン酸バリウムを主成分とする第3のセラミック粉末を含むことが好ましい。この場合、ジルコン酸バリウムの含有率は、好ましくは、当該ガラスセラミック組成物に占める割合で表したとき、BaZrO換算で3〜20重量%である。
この発明に係るガラスセラミック組成物によれば、まず、1000℃以下の温度で焼成することができ、この焼成によって得られたガラスセラミック焼結体は、化学的安定性に優れ、比誘電率が比較的低く、Qf値が高く、また、共振周波数の温度係数(τf )が安定している。
したがって、この発明に係るガラスセラミック組成物を焼結させてなる焼結体をもって積層型セラミック電子部品を構成すれば、そこに備える配線導体の主成分として銅または銀を用いることができ、高周波用途に適した積層型セラミック電子部品とすることができる。
また、この発明に係るガラスセラミック組成物によれば、そこに含まれるホウケイ酸ガラス粉末に、添加成分として、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムの少なくとも1種を含んでいるので、これを焼成して得られたガラスセラミック焼結体の電気的絶縁信頼性を向上させることができる。この絶縁信頼性の向上のメカニズムについては、正確には把握されていないが、次のようなものであると推定できる。
この発明に係るガラスセラミック組成物を焼結させてなる焼結体は、基本的には、第1のセラミック粉末によるMgSiO結晶相と、ホウケイ酸ガラス粉末によるMg−Si−B−Zn−Li系ガラス相とからなっており、さらに、Mg−Si−B−Zn−Li系ガラス相にLi(Mg,Zn)SiO結晶相が析出した微細構造を有している。ここで、たとえば第2のセラミック粉末としてTiOを含んでいる場合は、さらにMgTiOやMgTiの結晶相が析出しており、このMgTiのようなAB型の結晶相が絶縁信頼性を低下させる大きな原因となっているようである。そこで、ガラス相にCa、Baおよび/またはSrを予め加えておくと、これらがTiOと反応して、CaTiO、BaTiO、SrTiOのようなABO型結晶相を作り、AB型の結晶相が作られにくくなる。すなわち、CaTiO、BaTiO、SrTiOのようなABO型の結晶相が、MgTiのようなAB型の結晶に優先して析出するため、結果として、MgTiのようなAB型の結晶相の析出を抑制し、絶縁信頼性の低下を抑制する。
このようなことから、この発明に係るガラスセラミック組成物を焼結させてなる焼結体をもって積層型セラミック電子部品を構成すれば、そこに備えるガラスセラミック層の薄層化をより図ることができる。
この発明に係るガラスセラミック組成物では、ホウケイ酸ガラス粉末の含有量を20重量%以下と減らすことができる。ホウケイ酸ガラスはコストが比較的高いものであるので、このように、ホウケイ酸ガラス粉末の含有量を減らすことができれば、コスト的に有利である。また、ホウケイ酸ガラス粉末の含有量が減ることにより、添加物としての第2のセラミック粉末とガラスとの反応の制御が行ないやすくなり、添加物による共振周波数の温度係数(τf )の制御が容易になる。また、ガラスセラミック焼結体のめっき耐性および積層型セラミック電子部品の量産性を向上させることができる。
この発明に係るガラスセラミック組成物において、第2のセラミック粉末が、チタン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末および酸化チタンを主成分とするセラミック粉末を含み、含有率を当該ガラスセラミック組成物に占める割合で表したとき、チタン酸カルシウムの含有率をCaTiO換算で8〜12重量%とし、酸化チタンの含有率をTiO換算で0.3〜3重量%とすれば、このガラスセラミック組成物を焼成して得られたガラスセラミック焼結体において、±10ppm・℃-1以内の共振周波数の温度係数(τ)を確実に得ることができる。
この発明に係るガラスセラミック組成物において、第2のセラミック粉末が、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末および酸化チタンを主成分とするセラミック粉末を含み、含有率を当該ガラスセラミック組成物に占める割合で表したとき、チタン酸ストロンチウムの含有率をSrTiO換算で6〜10重量%とし、酸化チタンの含有率をTiO換算で0.3〜3重量%とすれば、このガラスセラミック組成物を焼成して得られたガラスセラミック焼結体において、±10ppm・℃-1以内の共振周波数の温度係数(τ)を確実に得ることができる。
この発明に係るガラスセラミック組成物において、ホウケイ酸ガラス中のケイ素の含有量の範囲がより限定され、ホウケイ酸ガラス粉末に含まれる、リチウムがLi2 O換算で3〜15重量%、マグネシウムがMgO換算で20〜50重量%、ホウ素がB2 3 換算で15〜30重量%、ケイ素がSiO2 換算で23.5〜26.5重量%、亜鉛がZnO換算で6〜20重量%、および、アルミニウムがAl2 3 換算で0〜15重量%それぞれ含むようにされると、当該ガラスセラミック組成物を静電容量形成素子において用いた場合の、負荷試験前後での容量変化率を低く抑えることができる。したがって、上記静電容量形成素子がフィルタを構成するために用いられた場合、容量変動によるフィルタ特性の変動を低減することができる。
上記と同様の効果が、ホウケイ酸ガラス粉末の上記組成において、ホウケイ酸ガラス中のケイ素の含有量がSiO2 換算で20〜26.5重量%とされながら、ガラスセラミック組成物が、第1のセラミック粉末と第2のセラミック粉末とホウケイ酸ガラス粉末との合計100重量部に対して、さらに、ケイ素をSiO換算で1重量部以下含むようにされても奏される。この場合には、ホウケイ酸ガラス中のケイ素の含有量の下限を23.5重量%から20重量%へと下げることができるので、ケイ素含有量の管理の厳密さを低減することができる。
この発明に係るガラスセラミック組成物において、さらに、ジルコン酸バリウムを主成分とする第3のセラミック粉末を含んでいる場合にも、当該ガラスセラミック組成物を静電容量形成素子において用いた場合の、負荷試験前後での容量変化率を低く抑えることができる。
特に、ジルコン酸バリウムの含有率がBaZrO換算で3〜20重量%であるとき、高いQf値および安定した共振周波数の温度係数(τf )を維持したまま、上述した容量変化率を一層低く抑えることができる。この容量変化率の抑制効果は、前述したホウケイ酸ガラス中のケイ素の含有量の範囲を限定する場合よりも高い。
この発明に係るガラスセラミック組成物は、フォルステライト(Mg2 SiO4 )を主成分とする第1のセラミック粉末と、チタン酸カルシウム(CaTiO3 )を主成分とするセラミック粉末、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3 )を主成分とするセラミック粉末および酸化チタン(TiO2 )を主成分とするセラミック粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる添加物としての第2のセラミック粉末と、ホウケイ酸ガラス粉末とを含むものであるが、特に、ホウケイ酸ガラスの組成に特徴がある。
ホウケイ酸ガラスは、リチウムをLi2 O換算で3〜15重量%、マグネシウムをMgO換算で20〜50重量%、ホウ素をB2 3 換算で15〜30重量%、ケイ素をSiO2 換算で10〜45重量%、亜鉛をZnO換算で6〜20重量%、および、アルミニウムをAl2 3 換算で0〜15重量%含んでいる。このホウケイ酸ガラスは、特に、Li2 (Mg,Zn)SiO4 結晶相を析出し得る組成であることが、焼結体において、より高いQ値およびより高い信頼性(耐湿性)を実現し得る点で好ましい。
ホウケイ酸ガラスに含まれるリチウムは、Li2 (Mg,Zn)SiO4 の構成成分となるもので、ガラスセラミック組成物の焼結温度を下げるように作用する。ホウケイ酸ガラスにおいて、リチウムの含有量をLi2 O換算で3〜15重量%に限定したのは、3重量%未満であると、1000℃以下の温度での緻密化が不可能であり、焼結体において、Li2 (Mg,Zn)SiO4 結晶相が析出せず、また、Q値が低くなり、他方、15重量%を超えると、焼結体において、Li2 (Mg,Zn)SiO4 結晶相が析出せず、Q値が低く、化学的安定性および絶縁信頼性も低くなるためである。リチウムの含有量に関して、Li2 O換算で4〜10重量%であることがより好ましく、これによって、焼結体のQ値をより高くすることができる。
次に、ホウケイ酸ガラスに含まれるマグネシウムは、Li2 (Mg,Zn)SiO4 結晶相の構成成分となるもので、ガラス作製時の溶融温度を下げるように作用する。ホウケイ酸ガラスにおいて、マグネシウムの含有量をMgO換算で20〜50重量%に限定したのは、20重量%未満であると、焼結体において、Li2 (Mg,Zn)SiO4 結晶相が析出せず、Q値が低くなり、他方、50重量%を超えると、ガラスが失透してしまうためである。
ここで、上記「失透」とは、ガラスの一部が結晶化してしまうことである。ある特定のガラス組成の場合、原料粉末の溶融から急冷に至る時点で結晶化しやすいため、「失透」するが、析出する結晶の量は、冷却条件等に依存するため、安定しない。よって、ガラスセラミック組成物の焼結性やガラスセラミック焼結体の誘電特性に影響が出ることがある。また、ガラスセラミックでは、結晶化直前のガラスの粘度の低下を利用して、焼結させることもある。この場合も、ガラスの一部が結晶化し、かつ、その量が不安定であれば、ガラスセラミック組成物の焼結性やガラスセラミック焼結体の誘電特性に影響が出ると考えられ、結晶化が著しいと、ガラスセラミック組成物が焼結しないこともあり得る。
マグネシウムの含有量は、より好ましくは、MgO換算で30〜45重量%とされる。これによって、焼結体のQ値をより高くすることができる。
ホウケイ酸ガラスにおいて、ホウ素の含有量をB2 3 換算で15〜30重量%に限定したのは、15重量%未満であると、ガラス化が困難となり、他方、30重量%を超えると、焼結体において、耐湿性が低下し、結晶化度も低くなり、Q値が低くなり、化学的安定性および絶縁信頼性も低くなるためである。
ここで、上記「ガラス化が困難」とは、網目形成酸化物(SiO、Bのようなもの)の含有量が少ないため、アモルファス状(ガラス状)にならないという意味である。網目形成酸化物が少ないと、単なる仮焼物になる。
ホウ素の含有量は、より好ましくは、B2 3 換算で15〜25重量%とされる。これによって、焼結体において、Q値がより高くなり、また、CaTiO3 、SrTiO3 およびTiO2 との反応性が低くなる。
ホウケイ酸ガラスに含まれるケイ素は、Li2 (Mg,Zn)SiO4 結晶相の構成成分となるものである。ホウケイ酸ガラスにおいて、ケイ素の含有量をSiO2 換算で10〜45重量%に限定したのは、10重量%未満であると、焼結体の化学的安定性が低く、ガラスが失透してしまうこともあり、他方、45重量%を超えると、1000℃以下の温度では焼結が困難になるためである。ケイ素の含有量は、より好ましくは、SiO2 に換算して15〜30重量%とされる。これによって、焼結体のQ値をより高くすることができる。
より好ましくは、ホウケイ酸ガラスに含まれるケイ素の含有量は、より限定的に、SiO2 換算で23.5〜26.5重量%とされる。これによって、この発明に係るガラスセラミック組成物をコンデンサのような静電容量形成素子において用いた場合の、負荷試験前後での容量変化率を絶対値で0.5%以下に抑えることができる。なお、容量変化率は、次の式によって表わされるものである。
容量変化率[%]={(C1 −C0 )/C0 }×100
ただし、C0 は、試験前の容量であり、C1 は試験後の容量である。また、上記の0.5%以下といった容量変化率を求めた負荷試験は、温度120℃、相対湿度95%、および15VのDC電圧印加の条件を100時間付与する加速試験である。
ホウケイ酸ガラス中のケイ素の含有量の範囲を20〜26.5重量%と広げても、第1のセラミック粉末と第2のセラミック粉末とホウケイ酸ガラス粉末との合計100重量部に対して、別に、ケイ素粉末をSiO2 換算で1重量部以下添加することにより、上記と同様の効果が奏される。
このように、コンデンサの容量変化率を絶対値で0.5%以下に抑えることができると、静電容量形成素子がフィルタを構成するために用いられた場合、容量変動によるフィルタ特性の変動を低減することができる。なお、容量変化率が絶対値で0.5%を超えると、容量変動によるフィルタ特性の変動は許容できないレベルにまで達し、好ましくない。
この発明に係るガラスセラミック組成物において、さらに、ジルコン酸バリウムを主成分とする第3のセラミック粉末を含んでいる場合にも、当該ガラスセラミック組成物を静電容量形成素子において用いた場合の、負荷試験前後での容量変化率を低く抑えることができる。
特に、ジルコン酸バリウムの含有率がBaZrO換算で3〜20重量%であるとき、高いQf値および安定した共振周波数の温度係数(τf )を維持したまま、上述した容量変化率を一層低く抑えることができる。この容量変化率の抑制効果は、前述したホウケイ酸ガラス中のケイ素の含有量の範囲を限定する場合よりも高い。より具体的には、前述した負荷試験の場合よりも過酷な条件である、温度150℃、相対湿度95%、および200VのDC電圧印加の条件を100時間付与する負荷試験であっても、その前後での容量変化率を絶対値で0.3%以下に抑えることができる。
ホウケイ酸ガラスに含まれる亜鉛は、Li2 (Mg,Zn)SiO4 結晶相の構成成分となるもので、焼結体のQ値を上げる効果がある。ホウケイ酸ガラスにおいて、亜鉛の含有量をZnO換算で6〜20重量%に限定したのは、6重量%未満であると、焼結体において、亜鉛がLi2 (Mg,Zn)SiO4 にならず、Q値の低下や化学的安定性の低下、さらには絶縁信頼性の低下を招くことがあり、他方、20重量%を超えると、焼結体の化学的安定性および絶縁信頼性が低くなるためである。
アルミニウムは、ホウケイ酸ガラスに含有されない場合もあるが、Al2 3 換算で15重量%以下の含有量をもって含有させることにより、焼結体の化学的安定性を向上させることができる。この発明に係る組成系の場合には、Al2 3 はガラスの網目形成酸化物として働き、ガラスを失透しにくくする。なお、ガラスの失透とは、前述したように、ガラスの製造時に結晶化をしてしまうことであり、一部が結晶化してしまったガラスを用いると、焼結性や電気的特性にばらつきが生じることになる。アルミニウムの含有量がAl2 3 換算で15重量%を超えると、1000℃以下の温度では焼結が困難になる。アルミニウムの含有量は、より好ましくは、Al2 3 換算で10重量%以下であることが好ましい。
この発明に係るガラスセラミック組成物において、ホウケイ酸ガラス粉末は、好ましくは、3〜20重量%含むようにされる。
上述のように、ホウケイ酸ガラス粉末が3重量%以上含むことが好ましいとされたのは、3重量%未満であると、1000℃以下の温度では緻密化しなくなることがあるからである。他方、ホウケイ酸ガラス粉末の好ましい含有量が20重量%以下とされたのは、20重量%を超えると、コストの高いガラス量が増えて、コスト的に不利になるからである。また、ガラス量が増えると、前述した結晶相の割合が相対的に減少する傾向にあり、得られた焼結体のQ値が低くなることがある。
言い換えると、ホウケイ酸ガラス粉末の含有量は、3重量%以上であれば、より少ない方が好ましく、20重量%以下の、たとえば15重量%以下でも十分である。このように、ホウケイ酸ガラス粉末の含有量が減ると、添加物としての第2のセラミック粉末とガラスとの反応の制御が行ないやすくなり、添加物による共振周波数の温度特性の調整をより容易に行なえるようになる。
この発明に係るガラスセラミック組成物に含まれるホウケイ酸ガラス粉末には、電気的絶縁信頼性向上のため、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加成分が添加されている。
上記添加成分の含有率を当該ホウケイ酸ガラス粉末に占める割合で表したとき、添加成分の含有率の下限は、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムを、それぞれ、CaO、BaOおよびSrOに換算して、合計で2重量%であり、かつ、添加成分の含有率の上限は、酸化カルシウムの場合にはCaO換算で15重量%であり、酸化バリウムの場合にはBaO換算で25重量%であり、酸化ストロンチウムの場合にはSrO換算で25重量%である。
上述のように、添加成分の含有率が2重量%以上とされたのは、これ未満では絶縁信頼性向上の効果が実質的に得られないためである。また、添加成分としての酸化カルシウムの含有率がCaO換算で15重量%以下とされたのは、これを超えると、絶縁信頼性およびQ値が低くなるためである。また、添加成分としての酸化バリウムの含有率がBaO換算で25重量%以下とされたのは、これを超えると、Q値が低くなることがあるためである。また、添加成分としての酸化ストロンチウムの含有率が、SrO換算で25重量%以下とされたのは、これを超えると、Q値が低くなることがあるからである。
なお、添加成分としての酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムは、これらを複合的に添加することにより、絶縁信頼性の向上に対してより大きい効果を得ることができる。
この発明に係るガラスセラミック組成物において、第1のセラミック粉末を55重量%以上含み、かつ第2のセラミック粉末を6〜30重量%含むことが好ましい。第1のセラミックの主成分となるフォルステライトは、−60ppm/℃のτf を有する。一方、第2のセラミックの主成分となるCaTiO3 は、+800ppm/℃のτf 、同じくSrTiO3 は、+1700ppm/℃のτf 、同じくTiO2 は、+450ppm/℃のτf を有する。また、ホウケイ酸ガラスは、負のτf を有する。これらを用いて、±30ppm/℃以内のτf を得るために上記の調合が好ましい。
第1のセラミック粉末の主成分となるフォルステライトは、MgOとSiO2 とのモル比が、MgO/SiO2 比で、1.92〜2.04のものであることが好ましい。MgO/SiO2 比が1.92未満または2.04を超えると、焼結体の化学的安定性が劣化することがあるからである。また、第1のセラミック粉末は、フォルステライト(Mg2 SiO4 )を主結晶相とするものであるが、その他には結晶相が存在しないか、あるいは、その他の結晶相として、SiO2 (クォーツ)、MgOおよびMgSiO3 (ステアタイト)の少なくとも1種を微量に含有してもよい。
また、第1のセラミック粉末は、フォルステライト以外の不純物量が5重量%以下であることがより好ましい。不純物量が5重量%を超えると、焼結体のQ値が低下し、さらには、化学的安定性が劣化することがあるからである。なお、不純物としては、Al2 3 、B2 3 、CaO、Fe2 3 、MnO2 、NiO、SnO2 、SrO、ZnO、P2 5 、TiO2 、ZrO2 、Li2 O、Na2 O、K2 O等が挙げられる。
第1のセラミック粉末の中心粒径D50は1μm以下であることが好ましい。この中心粒径D50が1μmを超えると、ホウケイ酸ガラス粉末の含有量が3〜20重量%の範囲で緻密化しなくなることがあるからである。
添加物としての第2のセラミック粉末は、焼結体における共振周波数の温度特性を調整するように作用する。
第2のセラミック粉末に関して、CaTiO3 を主成分とするセラミック粉末が含有される場合、その含有量は18重量%以下であることが好ましい。18重量%を超えて含まれると、焼結体において、Q値が低くなることがあり、また、比誘電率が高くなり、高周波帯における伝送速度に影響を及ぼすからである。
また、SrTiO3 を主成分とするセラミック粉末を含む場合には、その含有量は13重量%以下であることが好ましい。13重量%を超えて含まれると、焼結体において、Q値が低くなることがあり、また、比誘電率が高くなり、高周波帯における伝送速度に影響を及ぼすからである。
また、TiO2 を主成分とするセラミック粉末は、結晶化度を上げる効果があるが、この効果を十分に発揮させるためには、0.3重量%以上含むことが好ましい。ただし、30重量%を超えると、焼結体において、比誘電率が高くなり、高周波帯における伝送速度に影響を及ぼすため、このTiO2 系セラミック粉末の含有量は、30重量%以下であることが好ましい。
第2のセラミック粉末として、チタン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末と酸化チタンを主成分とするセラミック粉末との組み合わせを選択した場合、ガラスセラミック組成物に占める割合において、チタン酸カルシウムの含有率はCaTiO換算で8〜12重量%であり、酸化チタンの含有率はTiO換算で0.3〜3重量%であることが好ましい。
また、第2のセラミック粉末として、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末と酸化チタンを主成分とするセラミック粉末との組み合わせを選択することもできる。このように、第2のセラミック粉末として、SrTiO3 を主成分とするセラミック粉末とTiO2 を主成分とするセラミック粉末との組み合わせを選択した場合、これらSrTiO3 およびTiO2 による共振周波数の温度特性の制御という役割に加えて、同等のτf に制御する場合、SrTiO3 を用いた場合の方が、CaTiO3 やTiO2 を用いた場合よりも、比誘電率を低くすることができる。TiO2 については、ガラスの結晶化促進(すなわち、焼結体の高Q化および耐湿性向上)に対する寄与度が大きくなる。
そして、SrTiO3 とTiO2 との組み合わせを選択した場合、その他の特性を大きく劣化させることなく、焼結体の低誘電率化やガラスの結晶化促進を図るためには、その配合量を、ガラスセラミック組成物全体に対して、SrTiO3 系セラミック粉末については6〜10重量%とし、TiO2 系セラミック粉末については0.3〜3重量%とすることが好ましい。
SrTiO3 系セラミック粉末が6重量%未満であると、焼結体の共振周波数の温度係数がマイナス側に大きくなってしまう傾向がある。他方、SrTiO3 系セラミック粉末が10重量%を超えると、焼結体のQ値が低くなってしまう傾向がある。また、TiO2 系セラミック粉末が0.3重量%未満であると、結晶相が析出しにくくなる傾向があり、他方、3重量%を超えると、焼結体の共振周波数の温度係数がプラス側に大きくなる傾向がある。
また、第2のセラミック粉末が、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末を含む場合には、チタン酸ストロンチウムは、SrOとTiO2 とのモル比が、SrO/TiO2 比で、0.92〜1.05のものであることが好ましい。
SrO/TiO2 比が1.05を超えると、未反応のSrOが炭酸塩等の形で残留することがあり、Q値の低下を招いたり、ガラス成分と反応して耐湿性を低下させたりすることがある。また、Sr2 TiO4 等の結晶相が析出することもある。Sr2 TiO4 等が析出すると、これの誘電率の温度係数(TCC)の絶対値は、SrTiO3 と比較すると、小さいため、系全体のTCCを調整するためには、添加量が増加してしまい、Q値が低下することがある。
他方、SrO/TiO2 比が0.92未満であると、SrTiO3 とTiO2 とが析出することがある。この発明では、TiO2 を別途添加することがあるため、SrTiO3 およびTiO2 の各添加量を調整すれば、電気的特性上、何ら問題はないが、製造工程上、その都度、SrTiO3 およびTiO2 の各添加量を調整することは、管理が煩雑になり、コストアップになることがある。
上述の場合、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末は、チタン酸ストロンチウム以外の不純物量が1重量%以下であることがより好ましい。不純物としては、原料の段階で混入しているもの、あるいは製造工程の途中で混入するものがある。例としては、Nb2 5 、Fe2 3 、Na2 O等が挙げられる。これらの不純物は、単独でも総量でも1重量%を超えると、Q値が低下することがある。
また、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末の比表面積は、1.5〜7.5m2 /gであることがより好ましい。比表面積が1.5m2 /g未満であると、焼結し難くなることがあり、他方、7.5m2 /gを超えると、ガラスとの反応性が高くなり、Q値が低下することがあるからである。
また、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末は、当該セラミック粉末のSrTiO3 (222)面に対するX線回折ピークの積分強度が1000以上であることがより好ましい。積分強度が1000未満であると、SrTiO3 の結晶性があまり高くなく、ガラスとの反応性が高くなり、Q値が低下することがあるからである。
以上のようなガラスセラミック組成物は、1000℃以下の温度で焼成することができ、それによって得られたガラスセラミック焼結体は、MgSiO結晶相を主相とし、Li(Mg,Zn)SiO結晶相を副相として析出しているものであり、積層型セラミック電子部品を構成するため、有利に用いられる。
この発明に係るガラスセラミック組成物は、上述した第1および第2のセラミック粉末ならびにホウケイ酸ガラス粉末に加えて、酸化銅(CuO)を主成分とする酸化銅系セラミック粉末、酸化鉄(Fe2 3 )を主成分とする酸化鉄系セラミック粉末および酸化マンガン(MnO2 )を主成分とする酸化マンガン系セラミック粉末の少なくとも1種からなる第3のセラミック粉末をさらに含んでいてもよい。この場合、第1のセラミック粉末、第2のセラミック粉末およびホウケイ酸ガラス粉末の合計量を100重量部としたとき、酸化銅系セラミック粉末の含有量については0.5重量部以下、酸化鉄系セラミック粉末の含有量については1重量部以下、および酸化マンガン系セラミック粉末の含有量については2重量部以下に選ばれながら、第3のセラミック粉末の合計量については2.5重量部以下に選ばれる。
上述のように、第3のセラミック粉末をさらに含んでいると、ホウケイ酸ガラス粉末の含有量を減らしても、十分に焼結したガラスセラミック焼結体を得ることが可能になるので、第1のセラミック粉末の含有量を相対的に増やすことができ、その結果、10000GHz以上のQf値を確実に得ることができるとともに、±30ppm・℃-1以内の共振周波数の温度係数(τf )を確実に得ることができる。
図1は、この発明に係るガラスセラミック組成物の用途となる積層型セラミック電子部品の一例としてのセラミック多層モジュール1を示す断面図であり、図2は、図1に示したセラミック多層モジュール1を分解して示す斜視図である。
セラミック多層モジュール1は、多層セラミック基板2を備えている。多層セラミック基板2は、積層された複数のガラスセラミック層3および積層された複数の高誘電性セラミック層4を備え、複数のガラスセラミック層3は、複数の高誘電性セラミック層4を挟むように位置している。
ガラスセラミック層3は、この発明に係るガラスセラミック組成物を焼成して得られるガラスセラミック焼結体から構成されるもので、たとえば10以下といった比較的低い比誘電率を有している。
他方、高誘電性セラミック層4は、たとえばチタン酸バリウムにガラスを加えた組成を有していて、その比誘電率は15以上、好ましくは30以上とされる。
多層セラミック基板2は、種々の配線導体を備えている。配線導体としては、典型的には、セラミック層3および4間の特定の界面に沿って形成される内部導体膜6、セラミック層3および4の特定のものを貫通するように延びるビアホール導体7、および多層セラミック基板2の外表面上に形成される外部導体膜8がある。
上述の内部導体膜6のうち、高誘電性セラミック層4に関連して設けられるもののいくつかは、静電容量を与えるように配置され、それによってコンデンサ素子を構成している。
多層セラミック基板2の上面には、複数の電子部品9〜17が搭載されている。図示された電子部品9〜17のうち、たとえば、電子部品9はダイオードであり、電子部品11は積層セラミックコンデンサであり、電子部品16は半導体ICである。これら電子部品9〜17は、多層セラミック基板2の上面に形成された外部導体膜8の特定のものに電気的に接続されながら、多層セラミック基板2の内部に形成された配線導体とともに、セラミック多層モジュール1にとって必要な回路を構成している。
多層セラミック基板2の上面には、電子部品9〜17をシールドするための導電性キャップ18が固定されている。導電性キャップ18は、前述したビアホール導体7の特定のものに電気的に接続されている。
また、セラミック多層モジュール1は、多層セラミック基板2の下面上に形成された外部導体膜8の特定のものを接続用端子として、図示しないマザーボード上に実装される。
セラミック多層モジュール1は、周知のセラミック積層一体焼成技術を用いて製造することができる。
すなわち、まず、ガラスセラミック層3のためのセラミックグリーンシートが作製される。より具体的には、この発明に係るガラスセラミック組成物(すなわち、原料組成物)に、バインダ樹脂および溶剤からなる有機ビヒクルを添加し、セラミックスラリーを得る。このセラミックスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、乾燥した後、所定の寸法に打ち抜くことによって、セラミックグリーンシートを得る。そして、このセラミックグリーンシートに、配線導体を形成するため、銅または銀を主成分とする導電性ペーストを、所望のパターンをもって付与する。
他方、高誘電性セラミック層4を構成する高誘電率材料のための高誘電体セラミック組成物を含むセラミックグリーンシートが作製される。より具体的には、高誘電体セラミック組成物として、たとえば、次の(1)〜(4)に列挙したもののいずれかが用意される。
(1)特開2001−80959号公報に記載されるようなx(Baa Cab Src )O−y{(TiO2 1-m (ZrO2 m }−zRe2 3 (ただし、x、yおよびzの単位はモル%であって、x+y+z=100であり、a+b+c=1、0≦b+c<0.8、および0≦m<0.15であり、Reは希土類元素の少なくとも1種である。)で表され、(Baa Cab Src )Oと{(TiO2 1-m (ZrO2 m }とRe2 3 とのモル組成比(x,y,z)が、添付の図3に示す3元組成図において、点A(7,85,8)、点B(7,59,34)、点C(0,59,41)および点D(0,85,15)で囲まれる領域内(ただし、点Aと点Bとを結ぶ線上は含まない。)にある、主成分と、SiO2 系のガラスからなる、第1の副成分と、Mnを含む、第2の副成分とを含むものであって、主成分を100重量部としたとき、第1の副成分を0.1〜25重量部含み、第2の副成分をMn換算で0.5〜20重量部含む、そのような高誘電体セラミック組成物。
(2)特開2002−97072号公報に記載されるようなxBaO−yTiO2 −zReO3/2 (ただし、x、yおよびzの単位はモル%であって、x+y+z=100であり、8≦x≦18、52.5≦y≦65および20≦z≦40であり、Reは希土類元素の少なくとも1種である。)で表される、BaO−TiO2 −ReO3/2 系セラミック組成物と、10〜25重量%のSiO2 、10〜40重量%のB2 3 、25〜55重量%のMgO、0〜20重量%のZnO、0〜15重量%のAl2 3 、0.5〜10重量%のLi2 Oおよび0〜10重量%のRO(ただし、Rは、Ba、SrおよびCaのうちの少なくとも1種である。)を含む、ガラス組成物とを含む、高誘電体セラミック組成物。
(3)特開平11−310455号公報に記載されるようなBaO−TiO2 −ReO3/2 −BiO3 系セラミック粉末(ただし、Reは希土類元素)と、13〜50重量%のSiO2 、3〜30重量%のB2 3 、40〜80重量%のアルカリ土類金属酸化物および0.1〜10重量%のLi2 Oを含むガラス粉末との混合物からなる、高誘電体セラミック組成物。
(4)特開平11−228222号公報に記載されるようなBaO−TiO2 −ReO3/2 系セラミック粉末(ただし、Reは希土類元素)と、13〜50重量%のSiO2 、3〜30重量%のB2 3 、40〜80重量%のアルカリ土類金属酸化物および0.5〜10重量%のLi2 Oを含むガラス粉末との混合物からなる、高誘電体セラミック組成物。
なお、上記(1)の高誘電体セラミック組成物は、Li2 Oをさらに含むことが好ましい。
次に、上記(1)〜(4)のいずれかの高誘電体セラミック組成物に、バインダ樹脂および溶剤からなる有機ビヒクルを添加し、セラミックスラリーを得る。このセラミックスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、乾燥した後、所定の寸法に打ち抜くことによって、セラミックグリーンシートを得る。そして、このセラミックグリーンシートに、配線導体を形成するため、銅または銀を主成分とする導電性ペーストを、所望のパターンをもって付与する。
次に、上述のようにして得られたガラスセラミックグリーンシートおよび高誘電性セラミックグリーンシートを、それぞれ、所定の順序で所定の枚数積層し、次いで、厚み方向に加圧する。
次に、上述のようにして得られた生の積層体を1000℃以下、たとえば800〜1000℃の温度で焼成することにより、多層セラミック基板2を得ることができる。ここで、焼成は、配線導体が銅を主成分とする場合、窒素雰囲気等の非酸化性雰囲気中で実施され、銀を主成分とする場合には、大気等の酸化性雰囲気中で実施される。
次に、多層セラミック基板2の表面に、半田付け等を適用して、電子部品9〜17を搭載し、導電性キャップ18を取り付けることによって、セラミック多層モジュール1が完成される。
以上のようなセラミック多層モジュール1によれば、多層セラミック基板2に備えるガラスセラミック層3が、この発明に係るガラスセラミック組成物を用いて構成されており、さらに、配線導体6〜8が銅または銀等の比抵抗の小さい金属を主成分として形成されているので、ガラスセラミック層3の比誘電率が低く、共振周波数の温度特性にも優れ、Q値も高く、それゆえ、高周波用途に適し、かつ信頼性に優れたセラミック多層モジュール1を得ることができる。また、セラミック多層モジュール1の絶縁信頼性を優れたものとすることができる。
図4ないし図6は、この発明に係るガラスセラミック組成物の用途となる積層型セラミック電子部品の他の例としてのLCフィルタ21を説明するためのものである。ここで、図4は、LCフィルタ21の外観を示す斜視図であり、図5は、LCフィルタ21が与える等価回路図であり、図6は、LCフィルタを製造するにあたって焼成工程に付される中間製品としての生の積層体22を分解して示す斜視図である。
LCフィルタ21は、図4に示すように、複数の積層されたガラスセラミック層をもって構成される積層構造物としての部品本体23を備え、この部品本体23の外表面上であって、各端部には、端子電極24および25が設けられ、各側面の中間部には、端子電極26および27が設けられている。
LCフィルタ21は、図5に示すように、端子電極24および25の間に直列接続された2つのインダクタンスL1およびL2を構成し、インダクタンスL1およびL2の接続点と端子電極26および27との間にキャパシタンスCを構成するものである。
図6を参照して、生の積層体22は、焼成されることによって部品本体23となるべきもので、複数の積層されたセラミックグリーンシート28〜40を備えている。なお、セラミックグリーンシートの積層数は図示したものに限定されない。
セラミックグリーンシート28〜40の各々は、この発明に係るガラスセラミック組成物に、バインダ樹脂および溶剤からなる有機ビヒクルを添加し、これらを混合して得られたセラミックスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、乾燥した後、所定の大きさに打ち抜くことによって得られたものである。
また、図5に示すようなインダクタンスL1およびL2ならびにキャパシタンスCを与えるため、セラミックグリーンシート28〜40の特定のものに関連して、以下のような態様で配線導体が設けられる。
セラミックグリーンシート30には、インダクタンスL1の一部を構成するコイルパターン41が形成されるとともに、このコイルパターン41の一方端から延びる引出しパターン42が形成され、コイルパターン41の他方端には、ビアホール導体43が設けられる。
セラミックグリーンシート31には、インダクタンスL1の一部を構成するコイルパターン44が形成されるとともに、その一方端には、ビアホール導体45が設けられる。コイルパターン44の他方端は、前述したビアホール導体43に接続される。
セラミックグリーンシート32には、上述のビアホール導体45に接続されるビアホール導体46が設けられる。
セラミックグリーンシート33には、キャパシタンスCの一部を構成するコンデンサパターン47が形成されるとともに、コンデンサパターン47から延びる引出しパターン48および49が形成される。また、セラミックグリーンシート33には、前述したビアホール導体46に接続されるビアホール導体50が設けられる。
セラミックグリーンシート34には、キャパシタンスCの一部を構成するコンデンサパターン51が形成されるとともに、コンデンサパターン51に接続されるビアホール導体52が設けられる。コンデンサパターン51は、前述したビアホール導体50に接続される。
セラミックグリーンシート35には、キャパシタンスCの一部を構成するコンデンサパターン53が形成されるとともに、このコンデンサパターン53から延びる引出しパターン54および55が形成される。また、このセラミックグリーンシート35には、前述したビアホール導体52に接続されるビアホール導体56が設けられる。
セラミックグリーンシート36には、上述のビアホール導体56に接続されるビアホール導体57が設けられる。
セラミックグリーンシート37には、インダクタンスL2の一部を構成するコイルパターン58が形成されるとともに、その一方端には、ビアホール導体59が設けられる。コイルパターン58の他方端は、前述したビアホール導体57に接続される。
セラミックグリーンシート38には、インダクタンスL2の一部を構成するコイルパターン60が形成されるとともに、このコイルパターン60の一方端から延びる引出しパターン61が形成される。コイルパターン60の他方端は、前述したビアホール導体59に接続される。
以上のような配線導体としての、コイルパターン41、44、58および60、引出しパターン42、48、49、54、55および61、ビアホール導体43、45、46、50、52、56、57および59、ならびにコンデンサパターン47、51および53を形成するにあたっては、銅または銀を主成分とする導電性ペーストが用いられ、この導電性ペーストの付与のため、たとえばスクリーン印刷が適用される。
生の積層体22を得るため、セラミックグリーンシート28〜40を、図6に示した順序で積層し、厚み方向に加圧することが行なわれる。
その後、生の積層体22を1000℃以下、たとえば800〜1000℃の温度で焼成することにより、図4に示した部品本体23を得ることができる。ここで、焼成は、前述したセラミック多層モジュール1の場合と同様、配線導体が銅を主成分とする場合には、窒素雰囲気等の非酸化性雰囲気で実施され、銀を主成分とする場合には、大気等の酸化性雰囲気中で実施される。
次に、部品本体23の外表面上に、端子電極24〜27が形成される。これら端子電極24〜27の形成のため、たとえば、銅または銀を主成分とする導電性ペーストの塗布および焼付け、または、蒸着、めっきもしくはスパッタリングなどの薄膜形成法等が適用される。
以上のようにして、LCフィルタ21を得ることができる。
なお、上記説明では、セラミックグリーンシート28〜40の各々が、この発明に係るガラスセラミック組成物を用いて作製されるとしたが、セラミックグリーンシート28〜40のうち、特にキャパシタンスCの構成に直接寄与するセラミックグリーンシート33および34については、前述の図1に示したセラミック多層モジュール1に備える高誘電性セラミック層4を構成する高誘電率材料のための高誘電体セラミック組成物を用いて作製されることが好ましい。
この発明に係るガラスセラミック組成物の用途となる積層型セラミック電子部品は、図示したようなセラミック多層モジュール1やLCフィルタ21に限定されるものではない。たとえば、マルチチップモジュール用多層セラミック基板、ハイブリッドIC用多層セラミック基板などの各種多層セラミック基板、あるいはこれらの多層セラミック基板に電子部品を搭載した様々な複合電子部品、さらには、チップ型積層コンデンサやチップ型積層誘電体アンテナなどの様々なチップ型積層電子部品に対しても、この発明に係るガラスセラミック組成物を適用することができる。
次に、この発明に係るガラスセラミック組成物によって得られる特性を確認するため、ならびに、ガラスセラミック組成物について、この発明の範囲、あるいはより好ましい範囲を求めるために実施した実験例について説明する。
(実験例1)
まず、ガラスセラミック組成物に含まれるホウケイ酸ガラス粉末として、表1に示すような種々の組成のものを用意した。
Figure 0004984850
表1において、「ガラス記号」に*を付したものは、この発明の範囲外の組成を有するガラス粉末である。
表1に示したガラス粉末のうち、「失透」または「ガラス化困難」であったガラスG8、G9およびG13を除いて、平均粒径1〜2μmになるまで粉砕し、ガラスセラミック組成物のためのホウケイ酸ガラス粉末とした。
他方、ガラスセラミック組成物に含まれる第1のセラミック粉末として、平均粒径(中心粒径D50)0.8μmのMg2 SiO4 粉末を用意するとともに、第2のセラミック粉末として、平均粒径1.5μmのCaTiO3 粉末、平均粒径1.5μmのSrTiO3 粉末および平均粒径1.0μmのTiO2 粉末をそれぞれ用意した。
次に、表2に示した各試料に係るガラスセラミック組成物を得るため、上述した第1のセラミック粉末とホウケイ酸ガラス粉末と第2のセラミック粉末とを混合した。
Figure 0004984850
表2において、試料番号に*を付したものは、この発明の範囲外のガラスセラミック組成物である。
また、表2において、「第1のセラミック量」の欄には、第1のセラミック粉末としてのMg2 SiO4 粉末の添加量が示されている。
また、「ホウケイ酸ガラス」における「種類」の欄には、表1の「ガラス記号」が示され、同じく「量」の欄には、ホウケイ酸ガラス粉末の添加量が示されている。
また、「第2のセラミック」における「種類」の欄には、第2のセラミック粉末として、CaTiO3 (=CT)、SrTiO3 (=ST)およびTiO2 (=T)のいずれが用いられたかが示され、同じく「量」の欄には、その添加量が示されている。
次に、表2に示した各試料に係るガラスセラミック組成物100重量部に対して、バインダとしてのアクリル系樹脂を20重量部、および溶剤としてのメチルエチルケトンを30重量部加えて造粒し、この粉末をプレス成形し、円柱状の成形体を得た。そして、成形体を、1000℃以下の温度で焼成し、試料となるガラスセラミック焼結体を得た。
次に、表3に示すように、各試料について、比誘電率(εr )、Qf値、共振周波数の温度係数(τf )、化学的安定性を評価した。
なお、εr 、Qf値およびτf の測定には、誘電体共振器法を用い、測定周波数が10GHzになるように試料寸法を調整した。
また、化学的安定性は、εr およびQf値を評価した試料を用いて、PCT(プレッシャークッカーテスト)を温度120℃および相対湿度95%の条件下で100時間行なった後にQf値に著しい劣化がないかどうかを判断したもので、表3において、著しい劣化がなかった場合には、化学的安定性が良好であるとして、「○」で表し、著しい劣化があった場合には、化学的安定性が良好でないとして、「×」で表した。
また、同じく表3に示すように、絶縁信頼性を評価した。絶縁信頼性の評価にあたっては、表2に示した各試料に係るガラスセラミック組成物に、バインダおよび有機溶剤を加えて、スラリーを作製し、このスラリーをドクターブレード法によってシート状に成形し、このシートに対して、内部電極形成のための導電性ペーストの印刷、積層、圧着および焼成の各工程を実施して、試料となる積層コンデンサを作製した。そして、各試料に係る積層コンデンサに対して、温度120℃、相対湿度95%、および15VのDC電圧印加の条件を付与する加速試験を実施した。この加速試験を100時間実施した後に、著しい絶縁劣化がなかった場合には、絶縁信頼性が良好であるとして、表3において「○」で表し、著しい絶縁劣化があった場合には、絶縁信頼性が良好でないとして、表3において「×」で表した。
Figure 0004984850
表3においても、この発明の範囲外の試料番号には、*が付されている。
表2および表3に示したこの発明の範囲内の試料は、表2の「ホウケイ酸ガラス」における「種類」の欄を参照すればわかるように、表1に示したこの発明の範囲内のホウケイ酸ガラスを含むとともに、第1のセラミック粉末としてのMg2 SiO4 粉末と第2のセラミック粉末としてのCaTiO3 、SrTiO3 およびTiO2 の少なくとも1種からなる粉末とを含んでいる。その結果、1000℃以下の温度で焼成することができ、化学的安定性および絶縁信頼性に優れ、高いQf値を示し、また、安定したτf を示している。
これらに対して、表1に示したガラスG1は、Li2 Oが3重量%未満であり、そのため、これを用いた表2および表3の試料1では、1000℃以下の温度で焼結しなかった。他方、ガラスG4は、Li2 Oが15重量%を超えており、そのため、これを用いた試料4では、Qf値が低くなり、化学的安定性および絶縁信頼性も劣っていた。
ガラスG5は、MgOが20重量%未満であり、そのため、これを用いた試料5では、Qf値が低くなった。他方、ガラスG8は、MgOが50重量%を超えている。そのため、ガラスが一部結晶化する現象すなわち失透が生じた。
ガラスG9は、B2 3 が15重量%未満であり、ガラス化が困難であった。他方、ガラスG12は、B2 3 が30重量%を超えており、そのため、これを用いた試料10では、Qf値が低く、化学的安定性および絶縁信頼性も劣っていた。
ガラスG13は、SiO2 が10重量%未満であり、そのため、失透が生じた。他方、ガラスG16は、SiO2 が45重量%を超えており、そのため、これを用いた試料13では、1000℃以下の温度で焼結しなかった。
ガラスG17は、ZnOが6重量%未満であり、そのため、これを用いた試料14では、化学的安定性が劣っていた。他方、ガラスG20は、ZnOが20重量%を超えており、そのため、これを用いた試料17では、化学的安定性および絶縁信頼性が劣っていた。
ガラスG21は、Al2 3 が15重量%を超えており、そのため、これを用いた試料18は、1000℃以下の温度で焼結しなかった。
ガラスG23は、BaOが25重量%を超えており、そのため、これを用いた試料20では、Qf値が低くなった。
ガラスG26では、CaOが15重量%を超えており、そのため、これを用いた試料23では、化学的安定性および絶縁信頼性が劣っていた。
ガラスG28では、SrOが25重量%を超えており、そのため、これを用いた試料25では、Qf値が低くなった。
また、表1に示したホウケイ酸ガラスの組成に影響されたものではないが、試料28では、表2に示すように、ホウケイ酸ガラス粉末の含有率が3重量%未満であるので、表3に示すように、1000℃以下の温度で焼結しなかった。
次に、この発明の範囲内のものであって、ホウケイ酸ガラスの組成として、表1に示したガラスG15を共通して用いた、表2および表3に示す試料12および29〜45の間で、特に第2のセラミック粉末に関して比較する。
第2のセラミック粉末として、CT(CaTiO3 )が含まれた試料30、32、39、40、44および45のうち、CTが18重量%を超えて含まれた試料45では、Qf値が低くなり、また、比誘電率(ε)が高くなった。したがって、CTの含有率は18重量%以下であることが好ましい。
第2のセラミック粉末として、ST(SrTiO3 )が含まれた試料12、31、33〜38および43のうち、STが13重量%を超えて含まれた試料43では、Qf値が低くなり、また、比誘電率(ε)が高くなった。したがって、STの含有率は13重量%以下であることが好ましい。
第2のセラミック粉末として、T(TiO2 )が含まれた試料29および32〜42のうち、Tが30重量%を超えて含まれた試料41では、比誘電率(ε)が高くなった。したがって、Tの含有率は30重量%以下であることが好ましい。
第2のセラミック粉末として、CT(CaTiO3 )とT(TiO2 )との組み合わせを用いた試料32、39および40のように、CTを8〜12重量%、Tを0.3〜3重量%、それぞれ含むと、共振周波数の温度係数(τ)を±10ppm・℃-1以内に調整することができ、また、高いQf値を得ることができた。
第2のセラミック粉末として、ST(SrTiO3 )とT(TiO2 )との組み合わせを用いた試料33〜38のうち、STを6〜10重量%、Tを0.3〜3重量%、それぞれ含んだ試料33、34および38では、共振周波数の温度係数(τ)を±10ppm・℃-1以内に調整することができ、また、高いQf値を得ることができた。これに対して、STの含有率が6〜10重量%の範囲から外れた試料35、ならびにTの含有率が0.3〜3重量%の範囲から外れた試料36および37では、共振周波数の温度係数(τ)の絶対値が10ppm・℃-1より大きくなった。
(実験例2)
まず、ガラスセラミック組成物に含まれるホウケイ酸ガラス粉末として、表4に示すような種々の組成のものを用意した。
Figure 0004984850
他方、ガラスセラミック組成物に含まれる第1のセラミック粉末として、実験例1の場合と同様のMg2 SiO4 粉末を用意した。また、第2のセラミック粉末として、平均粒径(中心粒径D50)1.5μmのSrTiO3 粉末および平均粒径1.0μmのTiO2 粉末をそれぞれ用意した。
さらに、特定の試料においてガラスセラミック組成物に添加するため、平均粒径1.0μmのSiO2 粉末を用意した。
次に、表5に示した各試料に係るガラスセラミック組成物を得るため、上述した第1のセラミック粉末とホウケイ酸ガラス粉末と第2のセラミック粉末とを混合し、さらに、特定の試料において、SiO2 粉末を添加した。
Figure 0004984850
表5において、試料番号に*を付したものは、容量変化率の点で、この発明の好ましい範囲から外れたガラスセラミック組成物である。
また、表5において、「第1のセラミック量」、「ホウケイ酸ガラス」および「第2のセラミック」の各欄での表示方法は、表2の場合と同様である。なお、「SiO2 量」は、第1のセラミック粉末と第2のセラミック粉末とホウケイ酸ガラス粉末との合計100重量部に対する重量比率が「重量部」の単位をもって示されている。
次に、表5に示した各試料に係るガラスセラミック組成物について、実験例1の場合と同様の方法にて、円柱状の成形体を作製し、これを焼成することによって、試料となるガラスセラミック焼結体を得た。
次に、各試料に係るガラスセラミック焼結体について、表6に示すように、比誘電率(εr )、Qf値、共振周波数の温度係数(τf )、化学的安定性、および絶縁信頼性を、実験例1の場合と同様の方法により評価し、さらに、容量変化率を評価した。容量変化率については、絶縁信頼性の評価のために作製した積層コンデンサに対して、温度120℃、および15VのDC電圧印加の条件を100時間付与する加速試験を実施し、試験前の容量をC0 、試験後の容量をC1 としたとき、
容量変化率[%]={(C1 −C0 )/C0 }×100の式から求めた。
Figure 0004984850
表6においても、この発明の好ましい範囲を外れた試料番号には、*が付されている。
表6に示した試料101〜127は、試料106、121および124を除いて、比誘電率(εr )、Qf値、共振周波数の温度係数(τf )、化学的安定性および絶縁信頼性について優れた結果を示している。
他方、容量変化率に着目すると、表5に示すとおり、SiO2 を含有しない試料101、104、107、113、118、122および125の間で比較すれば、表6に示すように、試料101および125だけが0.5%以下の容量変化率を示した。これは、試料101および125において含有するホウケイ酸ガラスG51およびG57のみが、表4に示すように、SiO2 の含有量が23.5〜26.5重量%の範囲にあるためである。
これらに対して、残りの試料104、107、113、118および122にそれぞれ含有されるホウケイ酸ガラスG52、G53、G54、G55およびG56は、表4に示すように、SiO2 の含有量が23.5重量%未満であり、または26.5重量%を超えている。
しかしながら、上述したように、0.5重量%以上の容量変化率を示した試料104、107、113、118および122のうち、SiO2 含有量が20〜26.5重量%の範囲にあるホウケイ酸ガラスG53、G54およびG55を用いた試料107、113および118については、そこにSiO2 粉末を別に1重量部以下添加することにより、容量変化率を0.5%以下にすることができた。より具体的には、試料107と試料108〜111との比較、試料113と試料114〜116との比較、試料118と試料119および120との比較をそれぞれ行なえば、ホウケイ酸ガラス中のSiO2 含有量が20〜26.5重量%の範囲であれば、1重量部以下のSiO2 粉末を別に添加することにより、容量変化率を0.5%以下にできることがわかる。
ただし、ホウケイ酸ガラス中のSiO2 含有量が20〜26.5重量%の範囲にあっても、別に添加するSiO2 が1重量部を超える場合には、容量変化率が0.5%を超えたり、スラリーの粘度が上がってしまい、良好なグリーンシートが得られなかったりすることがあった。より具体的には、試料103では、SiO2 添加量が2.0重量部であるので、容量変化率が0.6%と高くなった。試料112では、SiO2 添加量が1.2重量部であるので、容量変化率が0.7%と高くなった。また、試料117では、SiO2 添加量が1.5重量部であるので、容量変化率が1.1%と高くなった。試料121では、SiO2 添加量が1.2重量部であるので、良好なグリーンシートが得られなかった。試料127では、SiO2 添加量が1.2重量部であるので、容量変化率が1.1%と高くなった。
なお、ホウケイ酸ガラス中のSiO2 含有量が20〜26.5重量%の範囲外にあるガラスG52およびG56をそれぞれ用いた、試料104〜106および122〜124の場合には、別に添加されるSiO2 粉末の添加量に関わらず、容量変化率が0.5を超えたり、良好なグリーンシートが得られなかったりし、好ましい結果が得られなかった。
(実験例3)
まず、ガラスセラミック組成物に含まれるホウケイ酸ガラス粉末として、前掲の表1に示すガラスG1〜G5、G10〜G12、G14、G16〜G24、G26、G27およびG29の組成のものの他、以下の表7に示す組成のものを用意した。
Figure 0004984850
表7において、「ガラス記号」に*を付したものは、この発明の範囲外の組成を有するガラス粉末である。
他方、ガラスセラミック組成物に含まれる第1のセラミック粉末として、実験例1の場合と同様のMg2 SiO4 粉末を用意した。また、第2のセラミック粉末として、平均粒径(中心粒径D50)1.5μmのSrTiO3 粉末および平均粒径1.0μmのTiO2 粉末をそれぞれ用意した。
さらに、特定の試料においてガラスセラミック組成物に添加するため、平均粒径1.0μmのジルコン酸バリウム(BaZrO3 )粉末を用意した。
次に、表8に示した各試料に係るガラスセラミック組成物を得るため、上述した第1のセラミック粉末とホウケイ酸ガラス粉末と第2のセラミック粉末とを混合し、さらに、特定の試料において、BaZrO3(表8において、「BZ」と表示)粉末を添加した。
Figure 0004984850
表8において、試料番号に*を付したものは、この発明の範囲から外れたガラスセラミック組成物である。
また、表8において、「第1のセラミック量」、「ホウケイ酸ガラス」および「第2のセラミック」の各欄での表示方法は、表2の場合と同様である。
次に、表8に示した各試料に係るガラスセラミック組成物について、実験例1の場合と同様の方法にて、円柱状の成形体を作製し、これを焼成することによって、試料となるガラスセラミック焼結体を得た。
次に、各試料に係るガラスセラミック焼結体について、表9に示すように、比誘電率(εr )、Qf値、共振周波数の温度係数(τf )、化学的安定性、および絶縁信頼性を、実験例1の場合と同様の方法により評価した。
Figure 0004984850
表9においても、この発明の範囲を外れた試料番号には、*が付されている。
表8および表9に示したこの発明の範囲内の試料は、表8の「ホウケイ酸ガラス」における「種類」の欄を参照すればわかるように、表1または表7に示したこの発明の範囲内のホウケイ酸ガラスを含むとともに、第1のセラミック粉末としてのMg2 SiO4 粉末と第2のセラミック粉末としてのSrTiO3 およびTiO2 の少なくとも1種からなる粉末とを含んでいる。その結果、1000℃以下の温度で焼成することができ、化学的安定性および絶縁信頼性に優れ、高いQf値を示し、また、安定したτf を示している。
これらに対して、試料201では、表1に示したガラスG1を含んでおり、ガラスG1はLi2 Oが3重量%未満であるため、表9に示すように、1000℃以下の温度で焼結しなかった。他方、試料204では、表1に示したガラスG4を含んでおり、ガラスG4はLi2 Oが15重量%を超えているため、Qf値が低くなり、化学的安定性および絶縁信頼性も劣っていた。
試料205では、表1に示したガラスG5を含んでおり、ガラスG5はMgOが20重量%未満であるため、表9に示すように、Qf値が低くなった。
試料210では、表1に示したガラスG12を含んでおり、ガラスG12はB2 3 が30重量%を超えているため、表9に示すように、Qf値が低く、化学的安定性および絶縁信頼性も劣っていた。
試料213では、表1に示したガラスG16を含んでおり、ガラスG16はSiO2 が45重量%を超えているため、表9に示すように、1000℃以下の温度で焼結しなかった。
試料214では、表1に示したガラスG17を含んでおり、ガラスG17はZnOが6重量%未満であるため、表9に示すように、Qf値が低くなった。他方、試料217では、表1に示したガラスG20を含んでおり、ガラスG20はZnOが20重量%を超えているため、表9に示すように、化学的安定性および絶縁信頼性が劣っていた。
試料218では、表1に示したガラスG21を含んでおり、ガラスG21はAl2 3 が15重量%を超えているため、表9に示すように、1000℃以下の温度で焼結しなかった。
試料220では、表1に示したガラスG23を含んでおり、ガラスG23はBaOが25重量%を超えているため、表9に示すように、Qf値が低くなった。
試料222では、表1に示したガラスG26を含んでおり、ガラスG26はCaOが15重量%を超えているため、表9に示すように、化学的安定性および絶縁信頼性が劣っていた。
試料224では、表7に示したガラスG64を含んでおり、ガラスG64はSrOが25重量%を超えているため、表9に示すように、Qf値が低くなった。
次に、各試料に係るガラスセラミック組成物におけるBaZrO(BZ)の含有の有無およびその含有量が、ガラスセラミック焼結体の特性に及ぼす影響について考察する。
表9に示すように、実験例3においても、絶縁信頼性の評価のために作製した積層コンデンサについて、容量変化率を評価した。ただし、実験例3においては、絶縁信頼性について良好であると評価された試料についてのみ、容量変化率を評価し、また、容量変化率の評価にあたっては、実験例2での容量変化率の評価の場合よりも過酷な条件である、温度150℃、および200VのDC電圧印加の条件を100時間付与する加速試験を実施し、試験前の容量をC0 、試験後の容量をC1 としたとき、
容量変化率[%]={(C1 −C0 )/C0 }×100の式から容量変化率を求めた。
BaZrOを含有しない試料228に比べて、これを含有する試料202、203、205〜209、211、212、214〜216、219〜221および223〜233(試料番号「225」は欠番)においては、表9に示したように、容量変化率の絶対値を小さくすることができた。
特に、「第1のセラミック量」の一部を置換するように、「BZ量」を増減した試料228〜232の間で比較すると、「BZ量」が3〜20重量%の範囲にある試料230〜232によれば、3重量%未満の試料228および229に比べて、容量変化率の絶対値をより小さくすることができ、0.3%以下とすることができた。また、試料202、203、205〜209、211、212、214〜216、219〜221および223〜227(試料番号「225」は欠番)についても、「BZ量」が3〜20重量%の範囲にあるので、容量変化率を絶対値で0.3%以下とすることができた。
(実験例4)
実験例4では、実験例2において評価した試料118、252および108と比較するため、表10に示すように、これら試料108、118および125における「第1のセラミック量」の一部を置換して、BaZrO3(表10において、「BZ」と表示)を10.0重量%添加した試料251、252および253に係るガラスセラミック組成物をそれぞれ作製した。
Figure 0004984850
表10には、実験例2において評価した試料118、252および108に係るガラスセラミックの組成も示されている。また、表10において、「第1のセラミック量」、「ホウケイ酸ガラス」、「第2のセラミック」および「BZ量」の各欄での表示方法は、表8の場合と同様であり、「SiO量」の欄での表示方法は、表5の場合と同様である。
次に、表10に示した各試料に係るガラスセラミック組成物について、実験例1の場合と同様の方法にて、円柱状の成形体を作製し、これを焼成することによって、試料となるガラスセラミック焼結体を得た。
次に、各試料に係るガラスセラミック焼結体について、表11に示すように、比誘電率(εr )、Qf値、共振周波数の温度係数(τf )、化学的安定性、および絶縁信頼性を、実験例1の場合と同様の方法により評価した。
Figure 0004984850
表11に示すように、試料251、252および253は、試料118、125および108の場合と同様、1000℃以下の温度で焼成することができ、化学的安定性および絶縁信頼性に優れ、高いQf値を示し、また、安定したτf を示している。
また、この実験例4においても、表11に示すように、絶縁信頼性の評価のために作製した積層コンデンサについて、容量変化率を評価した。ただし、実験例4においては、実験例2で採用した条件下での容量変化率(表11に、「容量変化率(1)と表示)と実験例3で採用した条件下での容量変化率(表11に、「容量変化率(2)」と表示)との双方を評価した。
BaZrOを含有しない試料118、125および108では、容量変化率(1)については比較的低い値を示したが、条件のより厳しい容量変化率(2)については、容量変化率(1)より高い値となった。これらに対して、BaZrOを含有する試料251、252および253では、容量変化率(1)および容量変化率(2)の双方とも、低い値となった。このことから、BaZrOの含有が負荷試験前後での容量変動を抑制するのに極めて効果的であることがわかる。
この発明に係るガラスセラミック組成物の用途となる積層型セラミック電子部品の一例としてのセラミック多層モジュール1を示す断面図である。 図1に示したセラミック多層モジュール1を分解して示す斜視図である。 図1に示したセラミック多層モジュール1に備える高誘電性セラミック層4を構成する高誘電率材料の好ましい例における主成分となる、x(Baa Cab Src )O−y{(TiO2 1-m (ZrO2 m }−zRe2 3 のモル組成比(x,y,z)を示す3元組成図である。 この発明に係るガラスセラミック組成物の用途となる積層型セラミック電子部品の他の例としてのLCフィルタ21の外観を示す斜視図である。 図4に示したLCフィルタ21が与える等価回路図である。 図4に示したLCフィルタ21を製造するにあたって焼成工程に付される中間製品としての生の積層体22を分解して示す斜視図である。
符号の説明
1 セラミック多層モジュール
2 多層セラミック基板
3 ガラスセラミック層
4 高誘電性セラミック層
6 内部導体膜
7,43,45,46,50,52,56,57,59 ビアホール導体
8 外部導体膜
21 LCフィルタ
23 部品本体
24〜27 端子電極
28〜40 セラミックグリーンシート
41,44,58,60 コイルパターン
42,48,49,54,55,61 引出しパターン
47,51,53 コンデンサパターン

Claims (9)

  1. フォルステライトを主成分とする第1のセラミック粉末と、
    チタン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末および酸化チタンを主成分とするセラミック粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる第2のセラミック粉末と、
    リチウムをLi2 O換算で3〜15重量%、マグネシウムをMgO換算で20〜50重量%、ホウ素をB2 3 換算で15〜30重量%、ケイ素をSiO2 換算で10〜45重量%、亜鉛をZnO換算で6〜20重量%、および、アルミニウムをAl2 3 換算で0〜15重量%含む、ホウケイ酸ガラス粉末と
    を含む、ガラスセラミック組成物であって、
    前記ホウケイ酸ガラス粉末は、当該ガラスセラミック組成物のうちの3重量%以上を占めており、
    前記ホウケイ酸ガラス粉末には、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加成分が添加されていて、
    前記添加成分の含有率を当該ホウケイ酸ガラス粉末に占める割合で表したとき、前記添加成分の含有率の下限は、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムを、それぞれ、CaO、BaOおよびSrOに換算して、合計で2重量%であり、かつ、前記添加成分の含有率の上限は、酸化カルシウムの場合にはCaO換算で15重量%であり、酸化バリウムの場合にはBaO換算で25重量%であり、酸化ストロンチウムの場合にはSrO換算で25重量%である、
    ガラスセラミック組成物。
  2. 前記第1のセラミック粉末が55重量%以上の含有率で、前記第2のセラミック粉末が6〜30重量%の含有率で、および、前記ホウケイ酸ガラス粉末が3〜20重量%の含有率で、それぞれ含まれている、請求項1に記載のガラスセラミック組成物。
  3. 含有率を当該ガラスセラミック組成物に占める割合で表したとき、前記第2のセラミック粉末がチタン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末を含む場合、チタン酸カルシウムの含有率はCaTiO換算で18重量%以下であり、前記第2のセラミック粉末がチタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末を含む場合、チタン酸ストロンチウムの含有率はSrTiO換算で13重量%以下であり、前記第2のセラミック粉末が酸化チタンを主成分とするセラミック粉末を含む場合、酸化チタンの含有率はTiO換算で0.3〜30重量%である、請求項1または2に記載のガラスセラミック組成物。
  4. 前記第2のセラミック粉末は、チタン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末および酸化チタンを主成分とするセラミック粉末を含み、含有率を当該ガラスセラミック組成物に占める割合で表したとき、チタン酸カルシウムの含有率はCaTiO換算で8〜12重量%であり、酸化チタンの含有率はTiO換算で0.3〜3重量%である、請求項3に記載のガラスセラミック組成物。
  5. 前記第2のセラミック粉末は、チタン酸ストロンチウムを主成分とするセラミック粉末および酸化チタンを主成分とするセラミック粉末を含み、含有率を当該ガラスセラミック組成物に占める割合として表したとき、チタン酸ストロンチウムの含有率はSrTiO換算で6〜10重量%であり、酸化チタンの含有率はTiO換算で0.3〜3重量%である、請求項3に記載のガラスセラミック組成物。
  6. 前記ホウケイ酸ガラス粉末に含まれる、前記リチウムはLi2 O換算で3〜15重量%、前記マグネシウムはMgO換算で20〜50重量%、前記ホウ素はB2 3 換算で15〜30重量%、前記ケイ素はSiO2 換算で23.5〜26.5重量%、前記亜鉛はZnO換算で6〜20重量%、および、前記アルミニウムはAl2 3 換算で0〜15重量%それぞれ含む、請求項1ないし5のいずれかに記載のガラスセラミック組成物。
  7. 前記ホウケイ酸ガラス粉末に含まれる、前記リチウムはLi2 O換算で3〜15重量%、前記マグネシウムはMgO換算で20〜50重量%、前記ホウ素はB2 3 換算で15〜30重量%、前記ケイ素はSiO2 換算で20〜26.5重量%、前記亜鉛はZnO換算で6〜20重量%、および、前記アルミニウムはAl2 3 換算で0〜15重量%それぞれ含み、前記第1のセラミック粉末と前記第2のセラミック粉末と前記ホウケイ酸ガラス粉末との合計100重量部に対して、さらに、ケイ素をSiO換算で1重量部以下含む、請求項1ないし5のいずれかに記載のガラスセラミック組成物。
  8. さらに、ジルコン酸バリウムを主成分とする第3のセラミック粉末を含む、請求項1ないし7のいずれかに記載のガラスセラミック組成物。
  9. 前記ジルコン酸バリウムの含有率は、当該ガラスセラミック組成物に占める割合で表したとき、BaZrO換算で3〜20重量%である、請求項8に記載のガラスセラミック組成物
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