JP4984305B2 - プロジェクションナットの通路部材およびパーツフィーダ - Google Patents

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この発明は、プロジェクションナットの通路部材およびパーツフィーダに関している。
パーツフィーダの送出通路に通路部材が組み込まれ、この通路部材に正規寸法以下の過小プロジェクションナットを転落させる排出口が形成されたものが知られている。そして、この通路部材の断面形状は上方に開放したコ字型であり、排出口が形成された底面とこの底面の両側に起立している横内面を有している。前記排出口の両側には、正常サイズのプロジェクションナットを通過させるガイド面が形成されている。
特開2008−094617
図5に示した鉄製のプロジェクションナット1は、四角い本体部2の中央にねじ孔3が設けられ、本体部2の片側の四隅に溶着用突起4が形成されている。そして、これらの溶着用突起4は、ねじ孔3の軸線方向に突出しているとともに直径方向に張り出した形状とされている。この直径方向の張り出し寸法が符号Lで示されている。本明細書の説明において、このような形状のプロジェクションナット1を「張り出し型」と表現する。また、プロジェクションナットを単にナットと表現する場合もある。
一方、図6に示した鉄製のナット1は、溶着用突起4の形状だけが図5のものと異なっている。この溶着用突起4はねじ孔3の軸線方向にだけ突出しており、ねじ孔3の直径方向には張り出していないタイプである。本明細書の説明において、このような形状のナット1を「非張り出し型」と表現する。
図5および図6に示した上記ナット1の各部の寸法は、縦横寸法が12mm、厚さが6mm、ねじ孔内径が6mm、張り出し寸法Lが1mmである。
図4は、通路部材5の断面形状を示すものであり、その平面形状は図1(A)に示すような細長い部材である。通路部材5の内面は少なくとも底面6とこの底面6の両側に起立している横内面7から形成され、前記底面6に正規寸法以下の過小プロジェクションナットを転落させる幅寸法Wとされた排出口8が形成されている。この排出口8はナット1の移送方向に延びた細長い長孔形状とされている。この排出口8の両側に正常サイズのナット1を滑動させるためのガイド面9が設けられ、通路の幅方向で見て底面6の片側が低くなるように通路部材5が傾斜させてある。この傾斜角度は水平面に対する傾斜角度であり、θで示されている。
図4(A)は、正規寸法の非張り出し型のナット1が通路部材5を通過している状態を示している。したがって、左右の溶着用突起4はいずれもガイド面9上を活動し、排出口8から転落することはない。そして、正規寸法以下の非張り出し型のナット1が移送されてきた場合には、右側の溶着用突起4がガイド面9から外れて排出口8側に位置するため、ナット1は時計方向に回動するような状態で排出口8から転落して排除される。
図4(A)に示した非張り出し型ナット1と同じ寸法の本体部2を有する張り出し型ナット1が図4(B)に示すように移動してくると、溶着用突起4は両側のガイド面9上を滑動して通過する。
ところで、通路部材5が非張り出し型ナット專用として使用されている場合には、図4(B)に示すように、張り出し型ナットが通過しても排除できないという問題がある。このような問題は、張り出し型ナットの溶着用突起間距離が丁度排出口8を跨いでしまうことによって生じてしまう。換言すると、溶着用突起間距離が両ガイド面間距離に合致している場合に発生する。とくに、両ナットの本体部2のサイズが同じか近似しているときには、床に落ちたりしている張り出し型ナットを作業者が見誤って拾い、それを非張り出し型ナットに混入する虞がある。このように非張り出し型ナット專用の通路部材5に張り出し型ナット1が移送されてきた場合には、排除機能が果たされないこととなる。
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、溶着用突起がねじ孔の直径方向に張り出したナットを確実に排除できるプロジェクションナットの通路部材およびパーツフィーダの提供を目的とする。
上述の課題説明における構成の説明は、本願発明の実施例の説明にそのまま共通しているので、張り出し型ナットや非張り出し型ナット等の用語が[発明の効果]の欄において使用されている。
問題を解決するための手段
請求項1記載の発明は、溶着用突起が設けられたプロジェクションナットを通過させるものであって、通路の内面が少なくとも底面とこの底面の両側に起立している横内面から形成され、前記底面に正規寸法以下の過小プロジェクションナットを転落させる幅寸法とされた排出口が形成され、この排出口の両側に正常サイズのプロジェクションナットを滑動させるためのガイド面が設けられ、通路の幅方向で見て底面の片側が低くなるように底面が傾斜させてあり、この傾斜の低い側における横内面と底面との交叉部位に、本体部からねじ孔の直径方向に張り出している溶着用突起の通過凹部が通路の長手方向に沿って形成されていることを特徴とするプロジェクションナットの通路部材である。
発明の効果
上述のように、前記傾斜の低い側における横内面と底面との交叉部位に、本体部からねじ孔の直径方向に張り出している溶着用突起の通過凹部が通路の長手方向に沿って形成されている。したがって、張り出し型ナットの溶着用突起はその張り出し寸法分が通過凹部に入り込んだ状態で通過する。したがって、張り出し型ナットは必ず通過凹部に入り込んだ分だけ傾斜の低い側にずれた状態になり、このずれ量を大きくすることが可能となり、張り出し型ナットを確実に排除することができる。
通路部材が非張り出し型ナット専用のものである場合、張り出し型ナットが混入していても前記通過凹部の機能によって、張り出し型ナットを確実に排除することができる。とくに、両ナットの本体部のサイズが同じか近似しているときには、作業者が見誤って張り出し型ナットを非張り出し型ナットに混入する虞がある。もし間違って張り出し型ナットが送出されたときには、電気抵抗溶接機において正常な溶接がなされないという問題が発生するのであるが、本通路部材の選別機能によってこのような問題が回避される。
請求項2記載の発明は、プロジェクションナットを貯留している円形のボウルの内周に沿って送出通路が形成され、このボウルに送出振動を付与して送出する形式のものであって、請求項1記載の通路部材が前記送出通路の一部を構成しているパーツフィーダである。
したがって、送出通路を移送されてきた正規寸法以下の張り出し型ナットが通路部材において確実に排除され、過小サイズの張り出し型ナットが目的箇所へ供給されることが防止できる。また、このパーツフィーダが非張り出し型ナット専用のものである場合、混入した張り出し型ナットを正確に排除することができる。
請求項3記載の発明は、溶着用突起がねじ孔の軸線方向にだけ突出したプロジェクションナットを送出するものである請求項2記載のパーツフィーダである。
これは、いわゆる非張り出し型ナット専用のパーツフィーダであり、そこに張り出し型ナットが何等かの原因で混入しても、上述のようにして確実に排除される。
つぎに、本発明のプロジェクションナットの通路部材およびパーツフィーダを実施するための最良の形態を説明する。
この実施例の構造の一部は、先に図4、図5および図6にしたがって説明したものと同じなので、同じ構造についての詳細な説明は省略し、同じ符号が実施例図面に記載してある。
まず、パーツフィーダについて説明する。
この実施例で扱われるプロジェクションナット1は、図5および図6で説明したものと同じである。そして、この実施例における通路部材5は、図1(A)に示すように、平面形状が円弧型であり、円形ボウル型のパーツフィーダに組み込まれている。パーツフィーダに組み込まないで、通常のナット通路の一部を本通路部材で構成するようにすることも可能である。
図3(A)はパーツフィーダ13の平面図であり、そのB−B断面図が(B)図である。円形のボウル12の内周に沿って螺旋型の送出通路13が形成され、そこに通路部材5と表裏選別部14が組み込まれている。この表裏選別部14に連続させて送出管15が接合され、それに合成樹脂製の供給ホース16が接続されている。図示していないが、ボウル12には円周方向と上下方向の合成振動が付与され、これによってナット1が送出通路13上を移送されるようになっている。
つぎに、通路部材について説明する。
ここでの通路部材5は、パーツフィーダ11の送出通路13に組み込まれるものなので、その平面形状は図1(A)に示すように、円弧型である。したがって、排出口8も同様な円弧型の長孔とされている。なお、通路部材5は送出通路13と滑らかに連続しているもので、溶接後、ナットの滑動面を滑らかに仕上げてある。
前記傾斜の低い側における横内面7と底面6との交叉部位に、本体部2からねじ孔3の直径方向に張り出している溶着用突起4の通過凹部17が、通路部材5の長手方向に沿って形成されている。すなわち、通過凹部17は通路部材5の幅方向に拡張された円弧状の溝として存在している。そして、図2(B)に示すように、この通過凹部17の溝底面18と前記底面6およびガイド面9は一仮想平面上に配置してある。したがって、張り出した溶着用突起4がガイド面9から溝底面18に滑り込むようにして通過凹部17内に進入することができるのである。
図1(B)は同図(A)のB−B断面図であり、ここに示されている張り出し型ナット1は正規寸法である。したがって、片側の溶着用突起4が通過凹部17に入り込んでも、反対側の溶着用突起4はガイド面9上に載っていて排出口8から転落することがない。
図1(C)および(D)に示されている張り出し型ナット1は正規寸法以下の異常サイズである。同図(C)の段階では通過凹部17にさしかかっていないので、排出口8から転落しない。その後、通過凹部17にさしかかると、溶着用突起4が通過凹部17内に進入し、前記張り出し寸法Lに相当する寸法だけナット1が片寄ることになり、反対側の溶着用突起4が同図(D)に示すように、排出口8から転落する。この転落した張り出し型ナット1は、図3(B)に示すように、受け箱19に収容される。
図2(A)には、非張り出し型ナットと張り出し型ナットとの比較が図示されている。同図から明らかなように、通過凹部17が形成されていなければ、非張り出し型ナットと張り出し型ナットの両方が通過するが、通過凹部17が形成されているので、張り出し型ナット1の溶着用突起4は通過凹部17内にずれ込み、それによって反対側の溶着用突起4が排出口8から回動するようにして転落してゆく。したがって、非張り出し型ナット専用の通路部材5であっても、そこに張り出し型ナット1が混入していると、確実に排除される。
したがって、図4に示したように本体部2が同じ寸法であっても、通過凹部17を設けることによって、張り出し型ナット1だけを排出口8から転落させることができるのである。
前記パーツフィーダはボウルを振動させる形式のものであるが、これを回転板に磁石で部品を吸着して送出管から送り出す形式のものを採用してもよい。上述のパーツフィーダは、ボウルを振動させる形式であるが、これに換えて、起立した回転式円板に磁石を組み付け、この円板の回転によって吸着された部品を送出通路に導く形式のものとすることができる。
供給ホースを構成する合成樹脂は、ウレタン樹脂やポリプロピレン樹脂によって製作されている。
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
上述のように、前記傾斜の低い側における横内面7と底面6との交叉部位に、本体部2からねじ孔3の直径方向に張り出している溶着用突起4の通過凹部17が通路部材5の長手方向に沿って形成されている。したがって、張り出し型ナット1の溶着用突起4はその張り出し寸法L分が通過凹部17に入り込んだ状態で通過する。したがって、張り出し型ナット1は必ず通過凹部17に入り込んだ分だけ傾斜の低い側にずれた状態になり、このずれ量を大きくすることが可能となり、張り出し型ナット1を排出口8から確実に排除することができる。
通路部材5が非張り出し型ナット1専用のものである場合、張り出し型ナット1が混入していても前記通過凹部17の機能によって、張り出し型ナット1を確実に排除することができる。とくに、両ナットの本体部2のサイズが同じか近似しているときには、作業者が見誤って張り出し型ナット1を非張り出し型ナット1に混入する虞がある。もし間違って張り出し型ナット1が送出されたときには、電気抵抗溶接機において正常な溶接がなされないという問題が発生するのであるが、本通路部材5の選別機能によってこのような問題が回避される。
プロジェクションナット1を貯留している円形のボウル12の内周に沿って送出通路13が形成され、このボウル12に送出振動を付与して送出する形式のものであって、前記通路部材5が前記送出通路13の一部を構成しているパーツフィーダである。
したがって、送出通路13を移送されてきた正規寸法以下の張り出し型ナット1が通路部材5において確実に排除され、過小サイズの張り出し型ナット1が目的箇所へ供給されることが防止できる。また、このパーツフィーダ11が非張り出し型ナット専用のものである場合、混入した張り出し型ナット1を正確に排除することができる。
溶着用突起4がねじ孔3の軸線方向にだけ突出したプロジェクションナットを送出するものであるパーツフィーダ11である。
これは、いわゆる非張り出し型ナット専用のパーツフィーダであり、そこに張り出し型ナットが何等かの原因で混入しても、上述のようにして確実に排除される。
上述のように、本発明によれば、溶着用突起がねじ孔の直径方向に張り出したナットを確実に排除できるプロジェクションナットの通路部材およびパーツフィーダでるから、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
通路部材の平面図と各部の断面図である。 通路部材の断面図である。 パーツフィーダの平面図と断面図である。 通路部材の断面図である。 プロジェクションナットの斜視図と平面図である。 他のプロジェクションナットの斜視図と平面図である。
符号の説明
1 プロジェクションナット
2 本体部
3 ねじ孔
4 溶着用突起
5 通路部材
6 底面
7 横内面
8 排出口
9 ガイド面
11 パーツフィーダ
12 ボウル
13 送出通路
17 通過凹部
18 溝底面

Claims (3)

  1. 溶着用突起が設けられたプロジェクションナットを通過させるものであって、通路の内面が少なくとも底面とこの底面の両側に起立している横内面から形成され、前記底面に正規寸法以下の過小プロジェクションナットを転落させる幅寸法とされた排出口が形成され、この排出口の両側に正常サイズのプロジェクションナットを滑動させるためのガイド面が設けられ、通路の幅方向で見て底面の片側が低くなるように底面が傾斜させてあり、この傾斜の低い側における横内面と底面との交叉部位に、本体部からねじ孔の直径方向に張り出している溶着用突起の通過凹部が通路の長手方向に沿って形成されていることを特徴とするプロジェクションナットの通路部材。
  2. プロジェクションナットを貯留している円形のボウルの内周に沿って送出通路が形成され、このボウルに送出振動を付与して送出する形式のものであって、請求項1記載の通路部材が前記送出通路の一部を構成しているパーツフィーダ。
  3. 溶着用突起がねじ孔の軸線方向にだけ突出したプロジェクションナットを送出するものである請求項2記載のパーツフィーダ。
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