JP4983201B2 - 溶接部特性の優れた油井のラインパイプ向けまたは油井のケーシングパイプ向け電縫管製造方法 - Google Patents

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本発明は、溶接部特性の優れた油井のラインパイプ向けまたは油井のケーシングパイプ向け電縫管製造方法に関する。ここで、溶接部特性は、油井のラインパイプ向け電縫管に要求される溶接部靭性、および、油井のケーシングパイプ向け電縫管に要求される溶接部強度を含む。
通常、管は溶接管と継目無管に大別される。溶接管は、電縫鋼管を例とするように、帯材(板)を丸めて端部を突き合わせて溶接して製造し、継目無管は、材料の塊を高温で穿孔し、マンドレルミル等で圧延して製造する。溶接管の場合、一般に溶接部の靭性は母材より劣るといわれ、管の適用に当たって、用途ごとに溶接部の靭性や強度の保証が常に議論されて問題とされてきた。
例えば、原油や天然ガスなどを輸送するラインパイプでは、管を寒冷地に敷設することが多いため低温靭性が重要であり、また、原油採掘の油井では採掘管を保護するためのケーシングパイプが必要とされ、管の強度が重要視される。
通常、溶接管の母材となる熱延板は、溶接管製造後の母材特性を考慮して成分設計や熱処理等が行われて、母材の靭性や強度等の特性が確保される。
しかし、溶接部の特性は、母材の成分設計や熱処理等以上に、電縫溶接方法によって大きく左右されるため、溶接技術の開発が重要であった。
電縫溶接の不良原因としては、溶接される板端面(板幅方向端面)に生成するペネトレータと呼ばれる酸化物が、電縫溶接時に溶鋼と共に端面から排出されずに残留し、この残留したペネトレータが原因となって靭性が低下し強度不足になる例が多かった。
そこで、従来、電縫溶接不良の主原因であるペネトレータを溶接部から除くため、板端面から積極的に溶鋼を排出する技術が鋭意検討されてきた。例えば特許文献1〜5などに、板端面の形状について検討した例が記載されている。すなわち、通常、板端面はスリットや端面研削によってほぼ平坦面を呈しているが、これをロール成形の前においてテーパ加工して、加工した端部形状によって溶接時の溶鋼排出を良好にすることを目的としている。
特開昭57−31485号公報 特開昭63−317212号公報 特開2001−170779号公報 特開2001−259733号公報 特開2003−164909号公報
しかし、上記従来の技術では、テーパ加工手段を単独で用いて端部にテーパ形状を付与するか、あるいは、単にテーパ加工手段を羅列して紹介したのみであったため、具体的に電縫管製造工程に適用するには効果が充分でない場合があり、さらに詳細な検討が必要であった。
本発明は上述の難点を解決し、油井のラインパイプ向け電縫管に要求される溶接部靭性、および、油井のケーシングパイプ向け電縫管に要求される溶接部強度を達成しうる、溶接部特性の優れた電縫管製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するためになされた本発明は以下のとおりである。
1.帯材を成形して端部を突き合わせて電縫溶接して管とする過程のブレークダウン第1スタンドの直後で、前記端部に、帯材幅方向にほぼ垂直な端面に、該端面からの傾斜角度が25〜50度であり、帯材厚さ方向長さが帯材厚さの20〜40%である傾斜面が連なってなるテーパ形状を、孔型ロール圧延により付与した後、電縫溶接時のスクイズロールにおけるアプセット量を、管外周長の0.5〜2.0%として、電縫溶接することによりペネトレータの排出を行うことを特徴とする、溶接部肉厚中心位置の−46℃での吸収エネルギーが125J以上、脆性破面率が35%以下である溶接部特性の優れた油井のラインパイプ向けまたは油井のケーシングパイプ向け電縫管製造方法。
本発明によれば、油井のラインパイプ向け電縫管に要求される溶接部靭性、および、油井のケーシングパイプ向け電縫管に要求される溶接部強度を十分満足する電縫管を製造することができる。
従来、電縫溶接部の靭性または強度を向上させるため、ロール成形前に帯材の端部にテーパを付与していたが、より具体的に明示されていなかったため、これらの方法だけでは充分な効果が得られにくい場合が多々生じていた。
そこで、発明者らは孔型ロールを用いた圧延(すなわち孔型ロール圧延)によりテーパを付与する方法をまず検討した。孔型ロールを用いると、帯材端部の形状がその孔型に従って精度良く得られやすいことによる。特に、テーパを精度良く付与するには稼動中に帯材を拘束する必要があるのに対して、ロール成形前またはロール成形前段では帯材端部のばたつきが大きくて、テーパを付与することが難しかった。しかし、孔型ロールを活用することによって、帯材端部を拘束しつつ効率良くテーパを付与可能である。また、設備が比較的小型で良いことから、電縫溶接前において、ロール成形の前やロール成形の途中に設置することが容易である。
付与されるテーパ形状は、例えば図2に示すように、帯材11の幅方向にほぼ垂直な(幅方向と90度±0.4度以内の角度をなす)端面12に傾斜面13が連なった形状である。ここで、αは端面12の平均的な面に対する傾斜面13の角度(テーパ角度という)、βは傾斜面13の帯材厚み方向長さ(テーパ深さという)である。なお、図2(a)は帯材端部上面側(管内径側)、図2(b)は帯材端部下面側(管外径側)、図2(c)は帯材端部上下両面側(管内外両径側)にテーパ形状を付与した場合を示した。
図1は、本発明の実施に用いられる造管機の1例を示す模式図である。この造管機は、アンコイラー1、レベラー2、ロール成形機5、電縫溶接機(コンタクトチップ6、スクイズロール7を含む)、ビード部切削機8、サイザー9、管切断機10からなり、これに帯材(板;端部溶接後は管)11を通して電縫鋼管を製造する。なお、3はブレークダウン第1スタンドである。この例では、ブレークダウン第1スタンド3の直後に孔型ロール4を設置し、これを用いて、帯材端部にテーパ形状を付与するようにしているが、孔型ロールの設置箇所はこれに限らず、例えばレベラー2の直後(ロール成形機5の直前)としてもよい。
しかしながら、前記孔型ロール圧延によるテーパ形状付与のみでは、電縫溶接後の溶接部の靭性または強度を十分に向上させるのが難しい場合があった。
この原因を詳細に調査すると、電縫溶接時の圧接(アプセット)前に帯材端部が加熱されていく段階で、溶接欠陥であるペネトレータの原因となる酸化物が帯材端面に形成される。この酸化物は、帯材端部が溶融する段階で該溶融した溶鋼表面に浮き、圧接の段階で、一部は溶鋼とともに排出される。この際に、帯材端面にテーパ形状が付与されていると、溶鋼が容易に排出されて、同時にペネトレータも有効に排出できるわけである。
しかし、ペネトレータの元になる帯材端面の酸化物は、電縫溶接の加熱とともに順次生成してくるため、溶接条件によっては、帯材端部のテーパ形状のみでは、溶接後の靭性または強度を充分に向上できない場合が生じた。
そこで、本発明者らは電縫溶接現象を詳細に観察し直した結果、電縫溶接時のスクイズロールにおけるアプセット量に着目した。すなわち、溶鋼とともにペネトレータを有効に排出するためには、帯材端部のテーパ形状だけではなく、電縫溶接時のアプセット量が大きく影響するわけである。
電縫溶接において、スクイズロールでは帯材端面同士を接触させてアプセットが行われているが、このアプセット量が変わると溶鋼の排出状態が大きく異なってくる。すなわち、スクイズロールでのアプセット量が小さいと溶鋼の排出がわずかとなり、溶鋼とともにペネトレータの排出が不充分となって、電縫溶接後も溶接部に残留しやすくなる。
そこで、電縫溶接時のスクイズロールにおけるアプセット量を鋭意検討した結果、その値を管外周長の0.5〜2.0%とするとよいことを見出した。すなわち、0.5%未満のアプセット量では、溶鋼が充分排出せずにペネトレータが残留しやすく、帯材端部にテーパ形状を付与すると、そのテーパをアプセットによって充分潰すことができずに溝となって残留する問題がある。また、2.0%を超えるアプセット量では、電縫溶接後のビード、すなわち排出された溶鋼の盛り上がり部分が大きくなりすぎて、電縫溶接後に充分切削除去できなくなるなどの問題がある。
また、テーパ形状について最適化を図った結果、帯材の幅方向にほぼ垂直な端面の平均的な面に対する傾斜面の角度(テーパ角度)αおよび傾斜面の帯材厚さ(板厚)方向長さ(テーパ深さ)β(図2参照)に適正範囲が存在すること、すなわちテーパ角度を25〜50度の範囲とし、テーパ深さを板厚の20〜40%の範囲とすると良いことを把握した。
テーパ角度を25度未満とすると板厚中央部からの溶鋼排出が不十分となってペネトレータが残留して、電縫溶接後の靭性や強度が低下しやすく、一方、テーパ角度を50度超えとすると、電縫溶接後にそのテーパ形状が製品管の疵として残留しやすい。また、テーパ深さを板厚の20%未満とすると、板厚中央部の溶鋼排出が不十分となってペネトレータが残留しやすくなり、一方、テーパ深さを板厚の40%超とすると、電縫溶接後にそのテーパ形状が製品管の疵として残留しやすくなる。
実施例では、板幅1920mm×板厚19.1mmの鋼帯からなる帯材を、図1の形態あるいはこれに変更を加えた形態の造管機に通して、外径600mmの鋼管を製造した。製造条件は以下の4通りとした。
(No.1:本発明例)
造管機は図1のものを用いた。ブレークダウン第1スタンド3の直後の孔形ロール4を用いて帯材11端部を圧延し、帯材上下両面側(管内外両径側)に表1に示すテーパ形状を付与した。電縫溶接時のスクイズロールにおけるアプセット量は表1に示す値とした。
(No.2:参考例)
造管機は、図1において孔形ロール4をブレークダウン第1スタンド3の直後からロール成形機5の直前へ移しかつその孔型形状を変更したものを用いた。この孔形ロールを用いて帯材11端部を圧延し、帯材端部上下両面側(管内外両径側)に表1に示すテーパ形状を付与した。電縫溶接時のスクイズロールにおけるアプセット量は表1に示す値とした。
(No.3:比較例)
造管機は、前記No.3において孔型ロール4に代えてこれと同じ箇所に切削バイトを配置したものを用いた。その切削バイトを用いて切削することにより帯材端部上下両面側(管内外両径側)に表1に示すテーパ形状を付与した。電縫溶接時のスクイズロールにおけるアプセット量は表1に示す値とした。
(No.4:従来例)
造管機は、図1において孔型ロール4を取り除いたものを用いた。電縫溶接前の帯材端部形状はほぼ矩形端部形状のままである。電縫溶接時のスクイズロールにおけるアプセット量は表1に示す値とした。
上記各条件で製造した鋼管の溶接部から試験片を切り出してシャルピー試験を行い、性能を評価した。シャルピー試験片として、管長手方向の相違する10点から1本ずつ、試験片長さ方向を管円周方向にとり、ノッチ長さ中心を溶接部肉厚中心位置にとって採取した、JIS 5号の2mmVノッチ衝撃試験片を用いて、試験片温度−46℃で衝撃試験を行い、吸収エネルギー、脆性破面率を測定した。なお、吸収エネルギー:125J以上、脆性破面率:35%以下を性能許容範囲とした。その結果を表1に示す。
表1より、本発明例では、溶接部の衝撃強度(吸収エネルギー)が著しく高く脆性破面率が小さくて、靭性が良好であって製品の信頼性が高いが、これに比べて、比較例および従来例では、溶接部の衝撃強度(吸収エネルギー)が低く脆性破面率が大きくて、靭性が低下しており、製品の信頼性に乏しかった。なお、比較例(No.3)では電縫溶接後に溶接部に溝が残留し、その管は製品としては不合格となった。
Figure 0004983201
本発明の実施に用いられる造管機の1例を示す模式図である。 テーパ角度とテーパ深さの定義説明図である。
符号の説明
1 アンコイラー
2 レベラー
3 ブレークダウン第1スタンド
4 孔型ロール
5 ロール成形機
6 コンタクトチップ
7 スクイズロール
8 ビード部切削機
9 サイザー
10 管切断機
11 帯材(板;端部溶接後は管)
12 帯材幅方向にほぼ垂直な端面
13 傾斜面

Claims (1)

  1. 帯材を成形して端部を突き合わせて電縫溶接して管とする過程のブレークダウン第1スタンドの直後で、前記端部に、帯材幅方向にほぼ垂直な端面に、該端面からの傾斜角度が25〜50度であり、帯材厚さ方向長さが帯材厚さの20〜40%である傾斜面が連なってなるテーパ形状を、孔型ロール圧延により付与した後、電縫溶接時のスクイズロールにおけるアプセット量を、管外周長の0.5〜2.0%として、電縫溶接することによりペネトレータの排出を行うことを特徴とする、溶接部肉厚中心位置の−46℃での吸収エネルギーが125J以上、脆性破面率が35%以下である溶接部特性の優れた油井のラインパイプ向けまたは油井のケーシングパイプ向け電縫管製造方法。
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