JP4982782B2 - 新規糖転移酵素遺伝子 - Google Patents
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Description
本発明はアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子及びその利用方法に関するものである。
背景技術
花き産業においては顕花植物の新規なあるいは多様性に富んだ新品種の開発が重要である。なかでも、花きのもっとも重要な形質のひとつである花の色については、交配に頼った従来の育種により、さまざまな色の品種が育種されてきたが、交配可能な植物種の遺伝資源が限定されているため、単一の植物種がすべての色の品種を有することはまれである。
花の色の主な成分は、アントシアニンと総称される、フラボノイド類に属する一群の化合物である。植物には多様なアントシアニンが存在することは知られており、それらの多くの構造が既に決定されている。アントシアニンの色は主としてその構造に依存している(Harborne(1986)The Flavonoids,p565)。アントシアニンの生合成に関わる酵素やその遺伝子に関しても研究が進んでおり、分子生物学的手法と植物への遺伝子導入により、アントシアニンの構造を変換し、花の色を変えた例もある(Holton et al.(1995)Plant Cell,7,p.1071、Tanaka et al.(1998)Plant Cell Physiol.39.p1119)。
アントシアニンの生合成経路において、アントシアニジン3−グルコシドに至るまではほとんどの顕花植物で共通である(例えば、Holton et al.(1995)Plant Cell,7,p1071)。その後アントシアニジン3−グルコシドは種・品種に特異的な多様な修飾を受け植物体中に存在する。この多様性が花色の多彩さの一因となっている。
アントシアニンは中性溶液中では不安定な化合物であるが、糖やアシル基により修飾されることにより安定性が向上することが知られている(Forkmann(1991)Plant Breeding,106,p1)。また、芳香族アシル基の付加により青くなることも知られている(Forkmann(1991)Plant Breeding,106,p1)。ここで注目すべき点は、アシル基はアントシアニジン骨格に直接結合するのではなく、アントシアニジンに付加している糖を介して結合する点である。つまりアシル基による安定化、色素の青色化のためには、その前提条件としてアントシアニジンに糖が付加していることが必要である。
青い花の代表的な品種であるリンドウ、サイネリア、チョウマメのアントシアニンは、B環の3’位がグルコースにより修飾されており、さらにこのグルコースが芳香族アシル基により修飾されている(それぞれ、Yoshida et al.(1992)Tetrahedron,48,p4313,Goto et al.(1984)Tetrahydron Letters 25,p6021,Goto et al.(1991)Angrew.Chem Int.Ed.Engl.30,p17)。リンドウの主要色素を用いた研究によって、B環の3’位のアシル基がアントシアニジンの安定化、青色化に寄与していることが示されたが(Yoshida et al.(2000)Phytochemistry 54,p85)、このためには3’位に糖が付加していることが必要である。
フラボノイドの配糖化に関してはいくつかの報告がある。例えば、アントシアニジンの3位の水酸基にグルコースを転移する反応を触媒する酵素の遺伝子は、キンギョソウ、リンドウ、シソ、オオムギ、トウモロコシなどからクローン化されている(例えば、Tanaka et al.(1996)Plant Cell Physiol.,37,p711)。また、アントシアニジンの3位の水酸基にガラクトースを転移する反応を触媒する酵素の遺伝子はケツルアズキ(Vigna mungo)とペチュニアからクローン化されている(Mato et al.(1998)Plant Cell Physiol,39,p1145,Miller et al.(1999)J.Biol.chem.273,p34011)。
また、アントシアニンの5位の水酸基にグルコースを転移する反応を触媒する酵素の遺伝子は、シソ、バーベナ、トレニアなどからクローン化されている(WO99/05287)。アントシアニジン3−グルコシドにラムノースを転移する反応を触媒する酵素遺伝子はペチュニアからクローン化されている(Brugliera et al.(1994)Plant J.,5,p81)。
フラボノイドの7位の水酸基にグルコースを転移する反応を触媒する酵素の遺伝子は、オウゴン(Scutellaria baicalensis)からクローン化されており、これを大腸菌で発現させた蛋白質はフラボノイドの7位の水酸基にグルコースを転移する反応をも触媒することが報告されている(Suzuki et al.(2000)Plant,210,p1006)。ベタニジンの5位の水酸基にグルコースを転移する反応を触媒する酵素の遺伝子がクローン化されており、これを大腸菌で発現させた蛋白質はフラボノイドの4’位と7位の水酸基にグルコースを転移する反応を触媒することが示されている(Vogt et al.(1999)Plant J.19:509−519)。
しかしながら、アントシアニンの3’位の水酸基にグルコースを転移する反応を触媒する酵素に関する報告はなく、酵素の活性が測定されたことも、酵素が精製されたことも、遺伝子がクローン化されたこともない。糖転移酵素は上に述べたように複数の水酸基にグルコースを転移する反応を触媒する場合もあるが、植物体内で目的のアントシアニンを蓄積させるためには基質特性の高い酵素を利用する必要がある。
発明の開示
本発明は、アントシアニンの3’位水酸基に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子、好ましくはアントシアニンの3’位の水酸基のみにグルコースを転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を提供しようとするものである。本発明で得られたアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を用いて、花色を変えたり安定化することができる。本発明で得られたアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子は、アントシアニンの安定化ならびにアントシアニンの3’位の糖−アシル基付加の制御による花色の改変に有効である。
前記のように、アントシアニンの3’位水酸基に糖を転移する活性を有する蛋白質を用いるとアントシアニンの修飾により花の色を変えることができることは明らかであったが、この酵素の性質は明らかではなく、酵素が精製されたり、その遺伝子がクローニングされたこともなかった。本発明においては、アントシアニンの3’位に糖を転移する酵素活性をリンドウの花弁から見出し、その活性を持つ蛋白質をリンドウの花弁から精製した。
その酵素の部分アミノ酸配列を決定することにより、そのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を推察し、合成した。そのヌクレオチドを基にリンドウの花弁cDNAライブラリーからアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質の遺伝子をクローン化した。クローン化した遺伝子を酵母で発現させることにより、アントシアニンの3’位に糖を転移する酵素活性を確認し、クローン化した遺伝子がアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードすることを確認した。
本発明者はさらに、サイネリアの花弁及びチョウマメからRNAを抽出し、cDNAライブラリーを作製し、これを実施例4で得られたリンドウの3’位糖転移酵素のcDNAをプローブとして用いてスクリーニングし、得られたクローンが3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードすることを見出した。
本発明においてはさらに、3’位糖転移酵素をコードする遺伝子と5位糖転移酵素をコードする遺伝子とをペチュニアに導入してトランスジェニック植物を作製し、これらの遺伝子が機能していることを確認した。
従って本発明は、配列番号:2,12又は14に記載のアミノ酸配列を有し、アントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードし、あるいはそれらのアミノ酸配列に対して1個又は複数個のアミノ酸の付加、欠失及び/または他のアミノ酸による置換によって修飾されているアミノ酸配列をコードする遺伝子を提供する。
本発明はまた、配列番号:2,12又は14に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列の一部または全部に対して、5xSSC、50℃の条件下でハイブリダイズして得られる、アントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を提供する。
本発明はさらに、前記の遺伝子を含んでなるベクターを提供する。
本発明はまた、前記のベクターにより形質転換された宿主を提供する。
本発明はまた、前記の遺伝子によってコードされる蛋白質を提供する。
本発明はまた、前記の宿主を培養し、又は生育させ、そして当該宿主からアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質を採取することを特徴とする該蛋白質の製造方法を提供する。
本発明はさらに、前記の遺伝子が導入された植物もしくはこれと同じ性質を有する該植物の子孫またはそれらの組織を提供する。
本発明はまた、前記の植物又はこれと同じ性質を有するその子孫の切り花を提供する。
本発明はまた、前記の遺伝子を用いてアントシアニンの3’位に糖を付加する方法を提供する。
本発明はまた、前記の遺伝子を用いて花の色を変える方法を提供する。
発明の実施の形態
本発明の遺伝子としては、例えば配列番号:2,12又は14に記載するアミノ酸配列をコードするものが挙げられる。しかしながら、複数個のアミノ酸の付加、欠失および/または他のアミノ酸との置換によって修飾されたアミノ酸配列を有する蛋白質も、もとの蛋白質と同様の酵素活性を維持することが知られている。従って本発明は、アントシアニンの3’位に糖を転移する活性を維持している蛋白質である限り、配列番号:2,12又は14に記載のアミノ酸配列に対して1個または複数個のアミノ酸配列の付加、欠失および/または他のアミノ酸による置換によって修飾されているアミノ酸配列を有する蛋白質および当該蛋白質をコードする遺伝子も本発明に属する。
本発明はまた、配列番号:1,11又は13に記載の塩基配列もしくは配列番号:2,12又は14に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列、またはそれらの塩基配列の一部分、例えば糖転移酵素間でよく保存されている領域の6個以上のアミノ酸をコードする塩基配列に対して、例えば5xSSC、50℃の条件下でハイブリダイズし、かつアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子に関するものである。なお、適切なハイブリダイゼーション温度は塩基配列やその塩基配列の長さによって異なり、例えばアミノ酸6個をコードする18塩基からなるDNAフラグメントをプローブとした場合には50℃以下の温度が好ましい。
このようなハイブリダイゼーションによって選択される遺伝子としては、天然由来のもの、例えば植物由来のもの、例えば、サイネリアやチョウマメ、ロベリア、カリフォルニアライラック由来の遺伝子が挙げられるが、植物以外の由来であってもよい。また、ハイブリダイゼーションによって選択される遺伝子はcDNAであってもよく、ゲノムDNAであってもよい。
本発明はさらに配列番号:2,12又は14に記載のアミノ酸配列に対して約20%以上、好ましくは50%以上、例えば60%または70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子の花色変換への利用に関するものである。
生来の塩基配列を有する遺伝子は実施例に具体的に示すように、例えばcDNAライブラリーのスクリーニングによって得られる。また、修飾されたアミノ酸配列を有する酵素をコードするDNAは生来の塩基配列を有するDNAを基礎として、常用の部位特定変異誘発やPCR法を用いて合成することができる。例えば修飾を導入したいDNA断片を生来のcDNAまたはゲノムDNAの制限酵素処理によって得、これを鋳型にして、所望の変異を導入したプライマーを用いて部位特異的変異誘発またはPCR法を実施し、所望の修飾を導入したDNA断片を得る。その後、この変異を導入したDNA断片を目的とする酵素の他の部分をコードするDNA断片と連結すればよい。
あるいはまた、短縮されたアミノ酸配列からなる酵素をコードするDNAを得るには、例えば目的とするアミノ酸配列より長いアミノ酸配列、例えば全長アミノ酸配列をコードするDNAを所望の制限酵素により切断し、その結果得られたDNA断片が目的とするアミノ酸配列の全体をコードしていない場合は、不足部分の配列からなるDNA断片を合成し、連結すればよい。
また、得られた遺伝子を大腸菌および酵母での遺伝子発現系を用いて発現させ、酵素活性を測定することにより、得られた遺伝子がアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードすることを確認することができる。さらに、当該遺伝子を発現させることにより、遺伝子産物であるアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質を得ることができる。あるいはまた、配列番号:2,12又は14に記載のアミノ酸配列に対する抗体を用いても、アントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質を得ることができ、抗体を用いて他の生物由来のアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子をクローン化することもできる。
従って本発明はまた、前述の遺伝子を含む組換えベクター、特に発現ベクター、及び当該ベクターによって形質転換された宿主に関するものである。宿主としては、原核生物または真核生物を用いることができる。原核生物としては細菌、例えばエシェリヒア(Escherichia)属に属する細菌、例えば大腸菌(Escherichia coli)、バシルス(Bacillus)属微生物、例えばバシルス.スブシルス(Bacillus subtilis)など常用の宿主を用いることができる。真核性宿主としては、下等真核生物、例えば真核性微生物、例えば真菌である酵母または糸状菌が使用できる。
酵母としては例えばサッカロミセス(Saccharomyces)属微生物、例えばサッカロミセス.セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等が挙げられ、また糸状菌としてはアスペルギルス(Aspergillus)属微生物、例えばアスペルギルス.オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス.ニガー(Aspergillus niger)、ペニシリウム(Penicillium)属微生物が挙げられる。さらに動物細胞または植物細胞が使用でき、動物細胞としては、マウス、ハムスター、サル、ヒト等の細胞系が使用される。さらに昆虫細胞、例えばカイコ細胞、またはカイコの成虫それ自体も宿主として使用される。
本発明の発現ベクターはそれらを導入すべき宿主の種類に依存して発現制御領域、例えばプロモーターおよびターミネーター、複製起点等を含有する。細菌用発現ベクターのプロモーターとしては、常用のプロモーター、例えばtrcプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーター等が使用され、酵母用プロモーターとしては、例えばグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、PH05プロモーター等が使用され、糸状菌用プロモーターとしては例えばアミラーゼプロモーター、trpCプロモーター等が使用される。
また動物細胞宿主用プロモーターとしてはウイルス性プロモーター、例えばSV40アーリープロモーター、SV40レートプロモーター等が使用される。発現ベクターの作製は制限酵素、リガーゼ等を用いて常法に従って行うことができる。また、発現ベクターによる宿主の形質転換も常法に従って行うことができる。
前記の発現ベクターによって形質転換された宿主を培養、栽培または生育し、培養物等から常法に従って、例えば、濾過、遠心分離、細胞の破砕、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等により回収、精製し、目的とする蛋白質を得ることができる。
本明細書においてはリンドウ、サイネリア及びチョウマメ由来のアントシアニンの3’位に糖を転移する酵素の遺伝子について述べているが、本発明はこれら由来の遺伝子に限定されるものではなく、アントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子の起源としては、植物でも動物でも微生物であってもよく、アントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有していれば同様に花色変換へ利用できる。
さらに本発明は、アントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を導入することにより得られる、色合いが調節された植物もしくはその子孫又はこれらの組織に関するものであり、その形態は切り花であってもよい。本発明により得られるアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を用いると、アントシアニンの3’位を配糖化したり、あるいはアントシアニンの3’位の配糖化を抑制することができ、結果として花の色を変換することができる。この際3’位のグルコースにアシル基を転移する酵素遺伝子と併せて利用することもできる。
現在の技術水準をもってすれば、植物に遺伝子を導入し、その遺伝子を構成的あるいは組織特異的に発現させることが可能であり、またアンチセンス法やコサプレッション法などによって目的の遺伝子の発現を抑制することも可能である。
形質転換可能な植物の例としては、バラ、キク、カーネーション、金魚草、シクラメン、ラン、トルコギキョウ、フリージア、ガーベラ、グラジオラス、カスミソウ、カランコエ、ユリ、ペラルゴニウム、ゼラニウム、ペチュニア、トレニア、チューリップ、イネ、オオムギ、小麦、ナタネ、ポテト、トマト、ポプラ、バナナ、ユーカリ、サツマイモ、タイズ、アルファルファ、ルーピン、トウモロコシ、カリフラワーなどがあげられるがこれらに限定されるものではない。
実施例
以下実施例に従って、発明の詳細を述べる。分子生物学的手法はとくに断らない限り、WO96/25500号公報に記載されている方法に依った。
実施例1.リンドウ花弁でのアントシアニンの3’位に糖を転移する酵素活性測定
既に報告されている方法(植物細胞工学シリーズ 9(1998)p99,藤原 秀潤社)に従い、リンドウの花弁から粗酵素液を抽出した。
20μlの粗抽出液、10μlの0.5Mリン酸カリウム(pH8.5)、10μlの5mM UDP−グルコース、10μlのデルフィニジン3,5−ジグルコシド(1.5mg/ml)を混合し、30度で10分間保持した。その後、藤原らの方法(Plant J.(1998)Fujiwara et al.)に従い、反応を停止し、高速液体クロマトグラフィーにて分析した。その結果、デルフィニジン3,3’,5−トリグルコシドのピークが検出された。従って、リンドウの花弁にはアントシアニンの3’位に糖を転移する酵素があることが明らかとなった。
実施例2.アントシアニンの3’位に糖を転移する酵素の精製
酵素の精製方法は、断らない限り、既に報告されている方法(植物細胞工学シリーズ 9(1998)p99,藤原 秀潤社)に依った。約500gのリンドウの花弁から粗抽出液を得、硫安塩析により飽和度40−70%の画分を得た。これを緩衝液A(20mM Tris−HCl(pH7.5)、10%グリセロール、10μM p−アミジノフェニルメタンスルフォニルフルオライド(APMSF)、0.1%ベータメルカプトエタノール)に溶解した後、セファデックスG−25(ファルマシア社)により脱塩した。脱塩した画分を緩衝液Aで平衡化したQ−セファロース(ファルマシア社)に吸着させ、緩衝液Aと500mMのNaClを含む緩衝液Aとの直線濃度勾配により溶出した。
活性のある画分を緩衝液Aで平衡化したBlue A(アミコン社)に吸着させ、緩衝液Aと1.5MのNaClを含む緩衝液Aとの直線濃度勾配により溶出した。活性のある画分を緩衝液B(20mMリン酸ナトリウムpH7.0、10%グリセロール、10μM p−アミジノフェニルメタンスルフォニルフルオライド(APMSF)、0.1%ベータメルカプトエタノール)に透析後、緩衝液Bで平衡化したDEAE−セファロース(ファルマシア社)に吸着させ、緩衝液Bと500mMのNaClを含む緩衝液Bとの直線濃度勾配により溶出した。活性のある画分をマイクロコン−30(アミコン社)により濃縮脱塩し、溶媒を0.5mlの緩衝液Bに置換した後、緩衝液Bで平衡化したスーパーロース12(ファルマシア社)を用いて精製した。以上の方法により、約7.5μgの精製標品を得ることができた。
実施例3.アントシアニンの3’位に糖を転移する酵素の部分アミノ酸配列の決定
実施例2で得た精製標品を用い、藤原らの方法(Plant J.(1998)Fujiwara et al.)に従い、その部分アミノ酸配列を決定した。得られたアミノ酸配列は以下に記載の通りである。
という配列に基づきオリゴヌクレオチドG3’GT2を作製した。
実施例4.アントシアニンの3’位に糖を転移する酵素をコードする遺伝子のクローニング
リンドウ花弁cDNAライブラリーファージ溶液3μlを鋳型にし、G3’GT2とXhoI−Tをそれぞれ50pmoleをプライマーとし、Taqポリメラーゼ(Takara)を用いて製造者の推奨する方法により計50μlでPCR反応を行った。95度で2分間保持した後、95度1分、42度2分、72度3分のサイクルを25サイクル繰り返した後、72度で10分間保持した。
反応液をアガロースゲル電気泳動で分離し、約700bpのバンドを回収し、pCRIIベクター(Clonetech)に製造者が推奨する方法でサブクローニングした。得られたプラスミドの塩基配列を決定したところ、GT15、GT25のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むプラスミドが得られた。このDNAをプローブとしてリンドウのcDNAライブラリーをスクリーニングし、完全長のcDNAを含むクローンを得た。そのうち1クローン(pG3’GT7)の全塩基配列を決定し、配列番号:1に示す。また、この塩基配列から推定されるアミノ酸配列を配列番号:2に示す。
実施例5.アントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子の酵母での発現
pG3’GT7をXhoIで消化し得られた約1.6kbのDNA断片を回収した。このDNAとpYE22mをSalIで消化して得られるDNA断片をライゲーションし、得られたプラスミドのうち、開始コドンがpYE22m上のプロモーターに近い方向のものをpYG3’GT7とした。なお、pYE22mは、特開平4−228078号公報記載の方法に従って作製した。このプラスミドを酵母に導入し、形質転換酵母を取得した。この酵母を培養し、グラスビーズで破砕後、デルフィニジン3,5−ジグルコシドを基質として実施例1と同様にして酵素活性を測定したところ、デルフィニジン3,5−ジグルコシドの3’位に糖を付加する活性が認められた。
プラスミドを導入していない酵母には活性は検出されなかった。また、シアニジン3,5−ジグルコシドを基質とした際には新しいピークは生じなかった。従って、B環に水酸基を3つ有するデルフィニジン3,5−ジグルコシドには反応するが、水酸基が2つのシアニジン3,5−ジグルコシドには糖を付加することができなかったことから、本酵素は基質のB環の構造に対する特異性が高く、B環の3つめの水酸基に特異的に糖を付加する活性をもつものと考えられる。
実施例6.アントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子の大腸菌における発現
PCRによってpG3’GT7の開始メチオニンコドン部位に重なるようにNcoIサイトを導入し、pG3’GT7の開始メチオニンからポリAに至る領域を大腸菌発現ベクターpQE61(QIAGEN)のNcoI/KpnIサイトに挿入した。得られた大腸菌発現ベクターをpG3’Q1とした。pG3’Q1を大腸菌JM105株に導入し、37℃で一晩前培養した後、前培養液の一部を8Lの本培養液に植菌し、27℃でOD600=0.6になるまで培養した。3’GT遺伝子の発現誘導のため、最終濃度0.4mMとなるようにIPTGを加え、さらに27℃で一晩培養した。集菌、洗浄後、菌体を400mlの破砕用緩衝液(25mM Tris−HCl(pH7.5)、250mM NaCl、1mM EDTA、0.5%β−メルカプトエタノール)に懸濁後、超音波処理によって菌体を破壊した。遠心後、得られた上清をDE52にかけた後、さらに40−70%硫安沈殿画分を回収した。脱塩後の粗蛋白質液を、予め緩衝液C(25mM Tris−HCl(pH7.5)、0.5%β−メルカプトエタノール)で平衡化しておいたDEAE−TOYOPEARL(東ソー株式会社)にかけ、0−0.5M NaClを含む緩衝液Cで溶出した。活性画分を回収し、緩衝液Cで平衡化したBlueA(アミコン社)に吸着させ、緩衝液Cと2M NaClを含む緩衝液Cの直線濃度勾配により溶出した。得られた活性画分を3’GT部分精製標品として以下で述べる反応に用いた。
実施例7.糖付加位置の確認
実施例6で得られた3’GT部分精製標品を用い、デルフィニジン3,5−ジグルコシドを基質として実施例1で述べた反応を100倍にスケールアップして行った。30℃、15分の反応の後、1M HClを最終濃度0.16Mとなるように添加し、反応を停止した。反応液をSeppak C18(Waters(株)製)に負荷し水洗にて脱塩、除タンパクした後、50%アセトニトリル0.1%TFA溶液で色素画分を溶出し減圧濃縮した。この色素画分を分取HPLCで精製した。分取HPLCは、カラムはYMC−Pack D−ODS−5(YMC社製)2cmφ*25cm、移動相はA:水、B:50%アセトニトリル0.5%TFA、6ml/min.、B20%→B50%のリニアグラジエント(60min)、検出はA520nm−AUFS:0.32で行った。20〜22分に溶出した生成物を集め減圧濃縮後、凍結乾燥した。MSはサーモクエスト社LC−Qを用いESI、positiveで測定した。その結果、分子イオン789(M+)のピークを与え、このことから反応生成物はデルフィニジン3,5’−ジグルコシドにグルコースが1個付加した物であることが確認された。
また、凍結乾燥後の化合物2.5mgをNMRに供した。測定溶媒は0.6mlの10%TFA−d/CD30DでBruker DMX−500で1H NMRとROESY、(13C NMR)の測定を行った。ROESYの結果、B環の2’位の8.12ppmのピークとグルコースの1位の5.03ppmのピークの間にROEが観察された。このことから、3個のグルコースの結合位置はそれぞれデルフィニジンの3位、5位及び3’位である事が明らかになり、酵素反応生成物は目的のデルフィニジン3,5,3’−トリグルコシドであることが確認された。
実施例8.基質特異性の解析
実施例6で得られた3’GT部分精製標品を用い、3’GTの基質特異性を解析した。実施例5で確認されたのと同様に、B環に水酸基を3つ有するデルフィニジン3,5−ジグルコシドには反応するが、水酸基が2つのシアニジン3,5−ジグルコシドには反応しない。デルフィニジン3−グルコシル−5−カフェオイルグルコシドに対しても反応し、デルフィニジン3,5−ジグルコシドに対する活性を100%とすれば、デルフィニジン3−グルコシル−5−カフェオイルグルコシドに対する活性は約50%程度であった。デルフィニジンやデルフィニジン3−ジグルコシドを基質とした場合も数%(1%以下)の反応精製物が確認された。本生成物はHPLCのRTならびに吸収スペクトルから基質の3’位に1分子の糖が付加したものと考えられる。
実施例9.アントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子のペチュニアにおける発現
ペチュニア(Skr4 X Da系統)は、アントシアニン3−ラムノシル転移酵素遺伝子の変異のため3位のグルコースにラムノースを付加することができず、花弁の主要アントシアニン色素としてデルフィニジン3−グルコシドを蓄積する。そこでリンドウのアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードするcDNA pG3’GT7とトレニア由来のアントシアニンの5位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードするcDNA pTGT5(WO99/05287)を共に発現させるためのバイナリーベクターpSPB1112を構築し、本ペチュニアに導入した。
pSPB1112作製は下記のように行った。まずカリフラワーモザイウイルス35Sプロモーター上流にエンハンサー配列を2回繰り返してもつE12 35Sプロモーター(Mitsuhara et al.(1996)Plant Cell Physiol.37,p49)とリンドウのpG3’GT7 cDNAならびにNOSターミネーターからなる発現カセットをプラスミドベクターpUC19上のHindIIIサイトを5’端、EcoRIサイトを3’端として作製した。これをHindIII/EcoRIで切り出し、植物導入用バイナリーベクターpBINPLUS(vanEngelen et al.,Transgenic Research 4,p288)のHindIII/EcoRI切断部位に挿入した(pSPB1110)。続いて、pUC19のマルチクローニングサイトの両端にAscIを挿入したプラスミドベクターpUCAAを作製し、pUCAA上でMAClプロモーター(Comai et al.(1990)Plant Mol.Biol.15,p373)とトレニアpTGT5 cDNA、マンノピン合成酵素遺伝子ターミネーターからなるトレニアのpTGT5の発現カセットをベクターのHindIIIサイトを5’端、EcoRIサイトを3’端として作製した。このpTGT5発現カセット全体をAscI切断によってpUCAAベクターから切り出し、前述のpSPB1110のAscI切断部位にリンドウのpG3’GT7発現カセットと同じ方向、すなわち両発現カセットともにベクターのLB側が上流になるように挿入し、得られたプラスミドをpSPB1112とした。
カナマイシンを含む選択培地でシュートを形成し、発根が見られた個体を馴化した。それぞれの形質転換体の花弁からアントシアニン色素を抽出し、HPLCにて分析した結果、分析に用いたすべての形質転換体において0.5〜6.8%(全アントシアニンに対する割合)のデルフィニジン3,5’,3’−トリグルコシドが検出された。一方、元株の花弁抽出物中にはデルフィニジン3,5’,3’−トリグルコシドは全く存在せず、デルフィニジン3−グルコシドが大部分であった。このことから、形質転換体において、導入したリンドウの3’位糖転移酵素遺伝子とトレニアの5位糖転移酵素遺伝子が機能し、デルフィニジン3−グルコシドを基質としてデルフィニジン3,5’,3’−トリグルコシドが生成したことが明らかとなった。
実施例10.サイネリア由来の3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子のクローニング
サイネリア花弁はシネラリン(デルフィニジン3−マロニル−グルコシド、7−カフェオイル−グルコシル−カフェオイル−グルコシド、3’−カフェオイル−グルコシド)を主要アントシアニン色素として含有する。よってサイネリアはアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を有することが期待される。そこで、塩酸グアニジンバッファー−超遠心による方法(WO96/25500)で、サイネリアの花弁よりRNAを抽出し、cDNAライブラリーを構築した。DIG標識および検出キット(Amersham)推奨の方法に従い、PCR法でラベルしたリンドウのpG3’GT7 cDNAをプローブとして、サイネリア花弁のcDNAライブラリー約30万のファージクローンをスクリーニングした。なお、スクリーニングは上記キット製造元推奨の方法にしたがったが、ハイブリダイゼーションバッファーのホルムアミド濃度は30%、ハイブリダイゼーション温度は37℃、洗浄は1%SDSを含む5 x SSC中、55℃で行った。得られた15個の陽性クローンの塩基配列を決定した結果、リンドウの3’GTと高い相同性を示すアミノ酸配列をコードする1クローンpSPB1090を得た。pSPB1090の全塩基配列を配列番号:11に示し、該配列から推定されるアミノ酸配列を配列番号:12に示す。
pSPB1090 cDNAにコードされる蛋白質はリンドウのpG3’GT7にコードされる3’位糖転移酵素とアミノ酸レベルで39%の同一性を示した。一方、pSPB1090にコードされる蛋白質の他の糖転移酵素に対する同一性は、例えばシソのアントシアニン5位糖転移酵素、キンギョソウやリンドウのアントシアニジン3位糖転移酵素に対していずれも24%であった。従って、リンドウの3’位糖転移酵素に対して有意に高い同一性を示すことから、得られたサイネリアのpSPB1090 cDNAにコードされる糖転移酵素はアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有すると言える。
実施例11.チョウマメ由来の3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子のクローニング
チョウマメ花弁はテルナチン(デルフィニジン3−マロニル−グルコシド、3’−グルコシル−クマロイル−グルコシル−クマロイル−グルコシド、5’−グルコシル−クマロイル−グルコシル−クマロイル−グルコシド)を主要アントシアニン色素として含有する。よってチョウマメはアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を有することが期待される。実施例10と同様にして、チョウマメ花弁より抽出したRNAをもとにcDNAライブラリーを作製し、DIG標識したリンドウのpG3’GT7 cDNAとハイブリダイズするcDNAを得た。得られた51個の陽性クローンの塩基配列を決定した結果、リンドウの3’GTと高い相同性を示す1種類のクローンを得た。完全長と考えられるcDNA pSPB1087の全塩基配列を配列番号:13に示し、該配列から推定されるアミノ酸配列を配列番号:14に示す。
pSPB1087 cDNAにコードされる蛋白質はリンドウの3’位糖転移酵素とアミノ酸レベルで53%の同一性を示し、これは、他の糖転移酵素に対する同一性、例えばシソのアントシアニン5位糖転移酵素に対する同一性28%、リンドウのアントシアニジン3位糖転移酵素に対する同一性25%に比べて有意に高い値である。またサイネリアのpSPB1090とチョウマメのpSPB1087にコードされる蛋白質相互の同一性は44%であった。
Clustal W解析で得られる進化系統樹(西村、大野 タンパク質実験プロトコール2構造解析編、1997、秀潤社)でも、サイネリアのpSPB1090とチョウマメのpSPB1087 cDNAにコードされる蛋白質は、リンドウの3’位糖転移酵素ともっとも近い位置に置かれる。
これらのことから、実施例10で得られたサイネリアのpSPB1090と本実施例で得られたチョウマメのpSPB1087cDNAは共にアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードすると言える。
産業上の利用可能性
本発明により、アントシアニンの生合成に関わっているアントシアニンの3’位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子が初めてクローン化できた。本発明の蛋白質をコードする遺伝子を花弁で発現させたり、発現を抑制することにより、アントシアニンの構造と花色を変えることができる。
【配列表】
Claims (7)
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するか、あるいはそのアミノ酸配列に対して1個又は複数個の、アミノ酸の付加、欠失及び/又は他のアミノ酸による置換によって修飾されているアミノ酸配列を有し、かつ、アントシアニンの3'位に糖を転移する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子。
- 請求項1に記載の遺伝子を含んでなるベクター。
- 請求項2に記載のベクターにより形質転換された大腸菌。
- 請求項1に記載の遺伝子によってコードされる蛋白質。
- 請求項3に記載の大腸菌を培養し、又は生育させ、そして当該大腸菌からアントシアニンの3'位に糖を転移する活性を有する蛋白質を採取することを特徴とする該蛋白質の製造方法。
- 請求項1に記載の遺伝子を用いてアントシアニンの3'位に糖を付加する方法。
- 請求項1に記載の遺伝子を用いて花の色を変える方法。
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