JP4981736B2 - 船体構造 - Google Patents
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Description
プロペラ(不図示)の上方の船尾部の船体内にタンク103が設けられ、該タンク103の底面を形成する船底104に、船体強度上許容される範囲の適当な大きさの開孔105が複数設けられている。一方、所要の径をもつ空気パイプ106が、前記タンク103に、空気パイプ106の上端106aがタンク103より上方で大気に開放し、下端がタンク103の頂面を貫通してタンク103の下方適当長さ(防振効果を発揮しうる必要最小空気層厚さに相当する長さ)突出してタンク103内に開放している。このようにタンク103内と大気とは空気パイプ106を介して常に連通されている。このようなタンク103において、吃水線Wがタンク103の底面104とタンク103の頂面の間にあるとき、外海とタンク103とが開孔105を通じて連通し、タンク103内の下方部に水層部108、上方部に一定の空気層107が形成されるようになっている。また吃水線がタンク103の頂面より上方且つ空気パイプ106の上端開口より下方であるとき、空気パイプ106の下端の開口がタンク104の頂面より下方に突出しているので、水層部108はタンク104内においては空気パイプ106の下端のレベルまでしか形成されず、空気パイプ106の下端よりタンク104の頂面までは必ず空気層107が形成確保されるものである。
さらに、前記プロペラ変動圧は、前記開口及び水層部を通じて船体に入力されるが、その際に前記複数の水槽が空気圧差を持ち相互に通流可能に構成されているため、水槽間で海水移動が生じ、該海水移動によってプロペラ変動圧を吸収し、船体に入力されるプロペラ変動圧の割合を低減させることができる。以上のことに伴いプロペラの上下起振力を低減させることができる。
また、水層部と空気層だけでなく、水槽間の海水移動も考慮した振動系を用いることにより、従来よりも振動系の固有振動数を下げることができるため、プロペラ周波数が低い場合にも効果的にプロペラ変動圧による船舶の振動を抑制することができる。
これにより、2つの水槽間の空間を有効利用することができる。
これにより、水槽間に間隙を設けていないため、水槽間の海水移動距離が水槽間に間隙を設けた場合と比較すると小さくなり、従って海水の船幅方向への移動が船舶のローリングの起振力となることを抑制することができる。
これにより、2つの水槽間の空間を有効活用することができる。
これにより、水槽が2つの場合と比較すると、船幅方向への海水移動のバランスがとれるため、海水の船幅方向への移動が船舶のローリングの起振力となることを抑制することができる。
これにより、さらに船幅方向への海水移動のバランスがよくなり、前記3つの水槽の空気圧がそれぞれ異なる場合よりも海水の船幅方向への移動が船舶のローリングの起振力となることをさらに抑制することができる。
これにより、水槽を船幅方向に配置しないため、船幅の小さい船舶にも適用することができる。また、船幅方向への海水移動がないため、海水移動に起因するローリングが発生しない。
これにより、水槽が2つの場合と比較すると、船長方向への海水移動のバランスが取れるため、海水の船長方向への移動が船舶の船長方向への揺れの起振力となることを抑制することができる。
これにより、さらに船長方向への海水移動のバランスがよくなり、前記3つの水槽の空気圧がそれぞれ異なる場合よりも海水の船長方向への移動が船舶の船長方向への揺れの起振力となることをさらに抑制することができる。
これにより、船幅方向及び船長方向への海水移動のバランスが取れるため、海水の船長方向及び船幅方向への移動が船舶の揺れの起振力となることを抑制することができる。
特に2つのタンクを四角柱状の水槽と、該四角柱状の水槽を取り囲むようにして設けた中央部に直方体形状の孔部を有した直方体形状の水槽とすると、水槽の製作が容易であるとともに、船尾構造との取り合いが良い。
これにより、船幅方向、船長方向を含めたどの方向にも対称な構造であるため、どの方向の海水移動もバランスがとれ、海水移動が船舶の振動に起振力となることなることを抑制することができる。
また図2に示すように前記水槽3は船幅方向に間隙を設けて配置された2つの水槽3aと3bから構成されており、前記水槽3aと水槽3bは下部で相互に通流可能となっている。また7a、7bはそれぞれ水槽3a、3b内に存在する空気層、8a、8bはそれぞれ開口5を通じて水槽内3a、3bに導入された海水によって形成される水層部である。
なお、ここではパイプ6aを大気開放としパイプ6bを圧力制御手段に接続したが、その逆でもよく、またパイプ6a、6bともに圧力制御手段に接続して空気層7a、7bが異なる圧力となるように制御してもよい。
さらに、前記プロペラ変動圧は、船底4、開口5及び空気層7a、7bを通じて船体に入力されるが、その際に水槽3a、3bの空気層7a、7bが空気圧差を持ち、且つ水槽3a、3b間が相互に流通可能に構成されているため、水槽3a、3b間で海水移動が生じ、該海水移動によってプロペラ変動圧を吸収し、船体に入力されるプロペラ変動圧の割合を低減させることができる。
図3において、図1と同一符号は同一物を表し、つまり3は水槽、4は水槽の底面を構成する船底、5は該船底4に設けられた船体強度上許容される範囲の適当な大きさの複数の開口5である。
また図3に示すように前記水槽3は船幅方向に間隙を設けずに配置された2つの水槽3cと3dから構成されており、前記水槽3cと水槽3dはその下部で相互に通流可能となるように対向する壁部の一部が開口されている。また7c、7dはそれぞれ水槽3c、3d内に存在する空気層、8c、8dはそれぞれ開口5を通じて水槽内3c、3dに導入された海水によって形成される水層部である。
なお、ここではパイプ6cを大気開放としパイプ6dを圧力制御手段に接続したが、その逆でもよく、またパイプ6c、6dともに圧力制御手段に制御して空気層7c、7dが異なる圧力となるように制御してもよい。
さらに、前記プロペラ変動圧は、船底4、開口5及び空気層7c、7dを通じて船体に入力されるが、その際に水槽3c、3dの空気層7c、7dが空気圧差を持ち、且つ水槽3c、3d間が相互に流通可能に構成されているため、水槽3c、3d間で海水移動が生じ、該海水移動によってプロペラ変動圧を吸収し、船体に入力されるプロペラ変動圧の割合を低減させることができる。
図4において、図1と同一符号は同一物を表す。また図4に示すように前記水槽3は船幅方向に間隙を設けて配置された2つの水槽3eと3fから構成されており、7e、7fはそれぞれ水槽3e、3f内に存在する空気層、8e、8fはそれぞれ開口5を通じて水槽内3e、3fに導入された海水によって形成される水層部である。前記水槽3eと水槽3fは水層部8e、8fで相互に通流可能となるように連結管9で連結されている。
さらに、前記プロペラ変動圧は、船底4、開口5及び空気層7e、7fを通じて船体に入力されるが、その際に水槽3e、3fの空気層7e、7fが空気圧差を持ち、且つ水槽3e、3f間が相互に流通可能に構成されているため、水槽3e、3f間で海水移動が生じ、該海水移動によってプロペラ変動圧を吸収し、船体に入力されるプロペラ変動圧の割合を低減させることができる。
図5において、図1と同一符号は同一物を表す。また図5に示すように前記水槽3は船幅方向に間隙を設けて配置された3つの水槽3g、3h、3iから構成されており、7g、7h、7iはそれぞれ水槽3g、3h、3i内に存在する空気層、8g、8h、8iはそれぞれ開口5を通じて水槽内3g、3h、3iに導入された海水によって形成される水層部である。前記水槽3gと水槽3h、水槽3hと3iとはそれぞれ水槽部で通流可能となるように構成されている。
なお、ここではパイプ6g、6iを大気開放としパイプ6hを圧力制御手段に接続したが、その逆でもよく、またパイプ6g、6h、6i何れも圧力制御手段に接続して空気層7g、7iが空気層7hと異なる圧力となるように制御してもよい。
また、空気層7g、7h、7iの圧力は、全てを異ならせてもよいが、後述する海水移動の船幅方向への移動バランスを取りローリングを抑制するためには、船幅方向中央に位置する水槽の空気層である空気層7hのみを他の空気層7g、7iと異ならせるように制御することが好適である。
さらにまた、前記水槽3gの空気層7gと前記水槽3iの空気層7iを同圧に制御しているため、前記水槽3g、3h間、及び水槽3h、3i間の海水移動は略同量となり、船幅方向の海水移動のバランスが取れるため、海水移動がローリングの起振力となることを抑制することができる。
図6において、図1と同一符号は同一物を表す。また図6に示すように前記水槽3は船長方向に間隙を設けて配置された2つの水槽3jと3kから構成されており、7j、7kはそれぞれ水槽3j、3k内に存在する空気層、8j、8kはそれぞれ開口5を通じて水槽3j、3kに導入された海水によって形成される水層部である。前記水槽3jと水槽3kは水層部8j、8kで相互に通流可能となっている。
さらに、前記プロペラ変動圧は、船底4、開口5及び空気層7j、7kを通じて船体に入力されるが、その際に水槽3j、3kの空気層7j、7kが空気圧差を持ち、且つ水槽3j、3k間が相互に流通可能に構成されているため、水槽3j、3k間で海水移動が生じ、該海水移動によってプロペラ変動圧を吸収し、船体に入力されるプロペラ変動圧の割合を低減させることができる。さらにまた、前記海水は船長方向に移動するため、海水の移動がローリングの起振力となり難い。
図7において、図1と同一符号は同一物を表す。また図7に示すように前記水槽3は船長方向に間隙を設けて配置された3つの水槽3l、3m、3nから構成されており、7l、7m、7nはそれぞれ水槽3l、3m、3n内に存在する空気層、8l、8m、8nはそれぞれ開口5を通じて水槽内3l、3m、3nに導入された海水によって形成される水層部である。前記水槽3lと水槽3m、水槽3mと3nとはそれぞれ水槽部で通流可能となるように構成されている。
さらに、前記プロペラ変動圧は、船底4、開口5及び空気層7l、7m及び7nを通じて船体に入力されるが、その際に水槽3l、3m間、及び水槽3m、3n間の空気層が空気圧差を持ち、且つ水槽3l、3m間、及び水槽3m、3n間が相互に流通可能に構成されているため、水槽3l、3m間及び水槽3m、3n間で海水移動が生じ、該海水移動によってプロペラ変動圧を吸収し、船体に入力されるプロペラ変動圧の割合を低減させることができる。しかも、実施例1、2における水槽が2つの場合よりも海水移動の総量が大きいためその効果も大きい。
さらにまた、前記水槽3lの空気層7lと前記水槽3nの空気層7nを同圧に制御しているため、前記水槽3l、3m間、及び水槽3m、3n間の海水移動は略同量となり、船長方向の海水移動のバランスが取れるため、海水移動がローリングの起振力となることを抑制することができる。
図8において、図1と同一符号は同一物を表す。また図8に示すように前記水槽3は円筒状の水槽3pと該水槽3pを取り囲むようにして設けたドーナツ状の水槽3oから構成されており、7o、7pはそれぞれ水槽3o、3p内に存在する空気層、8o、8pはそれぞれ開口5を通じて水槽3o、3pに導入された海水によって形成される水層部である。前記水槽3oと水槽3pは水層部8o、8pで相互に通流可能となっている。
さらに、前記プロペラ変動圧は、船底4、開口5及び空気層7o、7pを通じて船体に入力されるが、その際に水槽3o、3pの空気層7o、7pが空気圧差を持ち、且つ水槽3o、3p間が相互に流通可能に構成されているため、水槽3o、3p間で海水移動が生じ、該海水移動によってプロペラ変動圧を吸収し、船体に入力されるプロペラ変動圧の割合を低減させることができる。
図9において、図1と同一符号は同一物を表す。また図9に示すように前記水槽3は四角柱状の水槽3rと該水槽3rを取り囲むようにして設けた中央部に直方体形状の孔部を有した直方体形状の水槽3qから構成されており、7q、7rはそれぞれ水槽3q、3r内に存在する空気層、8q、8rはそれぞれ開口5を通じて水槽3q、3rに導入された海水によって形成される水層部である。前記水槽3qと水槽3rは水層部8q、8rで相互に通流可能となっている。
さらに、前記プロペラ変動圧は、船底4、開口5及び空気層7q、7rを通じて船体に入力されるが、その際に水槽3q、3rの空気層7q、7rが空気圧差を持ち、且つ水槽3q、3r間が相互に流通可能に構成されているため、水槽3q、3r間で海水移動が生じ、該海水移動によってプロペラ変動圧を吸収し、船体に入力されるプロペラ変動圧の割合を低減させることができる。
また、水槽形状が方形であるため図8に示した円柱状、ドーナツ状の形状の水槽と比較すると、製作が容易であるとともに、船尾構造との取り合いが良い。
2 プロペラ
3 水槽
4 船底
5 開口
7a〜7r 空気層
8a〜8r 水層部
9 連結管
Claims (1)
- 船底下側から伝播するプロペラ変動圧を吸収する、船底側に開口を有し上方空間に空気層を有する水槽をプロペラ取り付け位置上方に設けた船体構造において、
前記水槽は船長方向に間隙を設けて配置された3つの水槽であって、
該3つの水槽は、水槽下方の水層部を、船底側に開口を有した連結路によって連結されており、
前記3つ水槽の空気圧を、
船長方向両端に位置する2つの水槽の空気圧を同圧とし、
船長方向中央に位置する水槽の空気圧を前記船長方向両端に位置する2つの水槽の空気圧と異ならせたことを特徴とする船体構造。
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