JP4981673B2 - 安定性が改善されたクロロメチルフォスフェイト誘導体を含む組成物およびその製造方法 - Google Patents

安定性が改善されたクロロメチルフォスフェイト誘導体を含む組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水溶性プロドラッグを製造するためのクロロメチルフォスフェイト誘導体に係り、より詳細には、三級アミンとクロロメチルフォスフェイト誘導体とを含む、保存安定性の改善された組成物及びその製造方法、並びにクロロメチルフォスフェイト誘導体の安定化方法に関する。
水溶性プロドラッグの一例として、下記式にて表される化合物が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この化合物は、重篤な全身的真菌感染の治療に有用な水溶性アゾール化合物である。
Figure 0004981673
また、この水溶性アゾール化合物は、下記スキームにて製造可能であることも知られている(前述の特許文献1参照)。
Figure 0004981673
上記スキームにも例示されているように、水溶性プロドラッグを製造するために、クロロメチルフォスフェイト類(上記スキームのYに相当)と、水酸基を有する活性薬物(上記スキームのXに相当)とを反応させることが必要である。ここで、用語「プロドラッグ」とは、ある薬物の誘導体であって、生体内で元の薬物に戻るものをいう。なお、薬物の有用性は、その水溶性の程度により限定されるため、ある活性薬物の水溶性プロドラッグ化は、しばしば、研究・開発の対象となることがある。
しかし、上記反応スキームに従って水溶性アゾール化合物を製造する場合、(1)クロロメチルフォスフェイト(Y)の原料である化合物、テトラブチルアンモニウムジ−tert−ブチルフォスフェイトの安定的供給に不安があること、(2)高い毒性を有するクロロヨードメタンを利用することから、特に、水溶性アゾール化合物の工業的製造に困難性が生じることが予想される。
他方、クロロメチルフォスフェイト誘導体(Y)の別の製造法も知られている(たとえば、非特許文献1参照)。この非特許文献1では、原料として、ジアルキル又はジベンジルフォスフェイトとクロロメチルクロロフォスフェートとを用い、相間移動触媒の存在下、水−クロロメタン混合溶媒中にて、ジアルキル又はジベンジルクロロメチルフォスフェイト誘導体が製造できることが開示されている。
しかしながら、非特許文献1の製造法では、ハロゲン系溶媒を必ず用いるため、その工業化を図るためには、環境への負荷が大きく、廃液処理の煩雑さも伴う。そのため、非特許文献1に開示された製造法では、作業性、操作性及び省エネルギー性の観点から優れた製造法とはいえず、クロロメチルフォスフェイト誘導体の工業的製造法としては現実的ではない。
特表2004−518640号 Antti Mantyla et al., Tetrahedron Letters 43 (2002) 3793-3794
本発明の課題は、水溶性プロドラッグの製造のために有用なクロロメチルフォスフェイト誘導体に関し、毒性の高い試薬を使用せず、作業性、操作性及び省エネルギー性に優れる、クロロメチルフォスフェイト誘導体の製造方法等を提供することである。
そこで、本発明者らは、上記事情に鑑み、クロロメチルフォスフェイト誘導体の製造法を鋭意検討した結果、作業性等に優れる製造方法を確立するとともに、実は、クロロメチルフォスフェイト誘導体自体が不安定であることを発見し、そのクロロメチルフォスフェイトを安定化させる知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の態様では、
(A)下記式(I)で表される化合物と、
Figure 0004981673
(式中、R1及びR2は、同一または相異なって、C1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基又は置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基を示し、R1とR2とは一緒になって環を形成してもよい。)
(B)三級アミンと、
を含む組成物を提供する。
本発明に係る組成物の好ましい態様では、前記三級アミンは、トリアルキルアミン又はN―アルキルモルフォリンであり、より好ましい態様では、前記三級アミンは、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン又はN−メチルモルフォリンである。
また、本発明に係る組成物の好ましい態様では、前記式(I)で表される化合物に対して、前記三級アミンを少なくとも5mol%含有する。
さらに、本発明に係る組成物の好ましい態様では、前記R1及びR2は、同一又は相異なって、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリル基又は置換基を有してもよいベンジル基であり、より好ましい態様では、前記R1及びR2は、同一又は相異なって、tert−ブチル基、アリル基又はベンジル基である。
本発明の第二の態様では、下記式(I)で表される化合物に、三級アミンを添加する工程を含む、
Figure 0004981673
(式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、C1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基又は置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基を示し、R1とR2とは一緒になって環を形成してもよい。)
前記式(I)で表される化合物と前記三級アミンとを含む組成物の製造方法を提供する。
本発明に係る製造方法の好ましい態様によれば、前記式(I)で表される化合物に対して、前記三級アミンを少なくとも5mol%添加する。
また、本発明に係る製造方法の好ましい態様によれば、前記式(I)で表される化合物は、(i)パラフォルムアルデヒドとクロロスルフォン酸を、塩化チオニル共存下で反応させて、クロロメチルクロロスルフォネートを得、(ii)相間移動触媒及び塩基を含む溶媒中にて、下記式(II)で表される化合物と、
Figure 0004981673
(式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、C1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基又は置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基を示し、R1とR2とは一緒になって環を形成してもよく、Mは、水素原子又はナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を示す。)
前記クロロメチルクロロスルフォネートと反応させることにより得られる。
さらに、本発明に係る製造方法の好ましい態様によれば、前記溶媒は、エーテル系溶媒であり、より好ましい態様では、前記エーテル系溶媒は、シクロペンチルメチルエーテル又はtert−ブチルメチルエーテルである。
またさらに、本発明に係る製造方法の好ましい態様によれば、前記相間移動触媒は、硫酸水素テトラブチルアンモニウムであり、前記塩基は、リン酸水素二カリウム又は炭酸水素ナトリウムである。
さらにまた、本発明に係る製造方法の好ましい態様によれば、前記三級アミンは、トリアルキルアミン又はN―アルキルモルフォリンであり、より好ましい態様では、前記三級アミンは、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン又はN−メチルモルフォリンである。
くわえて、本発明に係る製造方法の好ましい態様によれば、前記R1及びR2は、同一又は相異なって、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリル基または置換基を有してもよいベンジル基であり、より好ましい態様では、前記R1及びR2は、同一又は相異なって、tert−ブチル基、アリル基又はベンジル基である。
本発明の第三の態様によれば、
下記式(I)で表される化合物に、
Figure 0004981673
(式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、C1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基又は置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基を示し、R1とR2とは一緒になって環を形成してもよい。)
三級アミンを添加する工程を含む、前記式(I)で表される化合物の安定化方法を提供する。
本発明に係る安定化方法の好ましい態様では、前記式(I)で表される化合物に対して、前記三級アミンを少なくとも5mol%添加する。
また、本発明に係る安定化方法の好ましい態様によれば、前記三級アミンは、トリアルキルアミン又はN―アルキルモルフォリンであり、より好ましい態様では、前記三級アミンは、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン又はN−メチルモルフォリンである。
さらに、本発明に係る安定化方法の好ましい態様によれば、前記R1及びR2は、同一又は相異なって、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリル基又は置換基を有してもよいベンジル基であり、より好ましい態様では、前記R1及びR2は、同一又は相異なって、tert−ブチル基、アリル基又はベンジル基である。
本発明に係る製造方法によれば、毒性の高い試薬やハロゲン系溶媒を使用することなく、作業性や操作性、省エネルギーの観点から優れた方法でクロロメチルフォスフェイト誘導体を製造することができるため、工業的に有用な製造方法である。また、本発明によれば、水溶性プロドラッグの製造に適用可能なクロロメチルフォスフェイト誘導体に、三級アミンを添加することにより、クロロメチルフォスフェイト誘導体の安定化が実現され、該誘導体の安定供給が可能となり、水溶性プロドラッグの工業的製造に有益である。
以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
本発明は、毒性の高い試薬を使用せずに、作業性等に優れるクロロメチルフォスフェイト誘導体の製造法を鋭意検討していたところ、クロロメチルフォスフェイト誘導体自体が熱的に不安定であるという知見を得て、クロロメチルフォスフェイト誘導体自体を安定化させる方策を見出した。すなわち、クロロメチルフォスフェイト誘導体は、本発明に係る組成物の構成とすることでその安定化が実現される。
本発明に係る組成物は、(A)下記式(I)で表される化合物と、
Figure 0004981673
(式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、C1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基又は置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基を示し、R1とR2とは一緒になって環を形成してもよい。)
(B)三級アミンと、を含む。
上記式(I)で表される化合物において、本発明で用いる用語「C1−C6アルキル基」とは、炭素数が1ないし6個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味する。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−エチルブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられ、より好ましくは、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
本発明で用いる用語「C2−C6アルケニル基」とは、炭素数2ないし6個の直鎖状又は分枝状のアルケニル基を意味し、具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1,3−ヘキサジエニル基、1,5−ヘキサジエニル基等が挙げられ、好ましくは、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基が挙げられ、より好ましくはビニル基、アリル基が挙げられる。
本発明で用いる用語「置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基」における「C6−C14アリールC1−C6アルキル基」とは、前記のC1−C6アルキル基の任意の水素原子をC6−C14アリール基で置換した基を意味する。ここで、「C6−C14アリール基」とは、6ないし14個の炭素原子で構成されたアリール基を意味し、単環性環式基、二環性又は三環性環式基等の縮合環式基が含まれる。「C6−C14アリール基」における具体例としては、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニル基、インダセニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、シクロペンタシクロオクテニル基、ベンゾシクロオクテニル基等が挙げられる。当該「置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基」の具体例としては、置換基を有してもよいベンジル基、置換基を有してもよいフェネチル基、置換基を有してもよいナフチルメチル基、置換基を有してもよいナルチルエチル基、置換基を有してもよいアントラセニルメチル基、置換基を有してもよいアントラセニルエチル基等が挙げられ、好ましくは、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられ、より好ましくはベンジル基が挙げられる。
また、前記「置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基」の「置換基を有していてもよい」における当該置換基の具体例としては、特に明示がない場合は、
(1)ハロゲン原子(たとえば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);(2)水酸基;(3)シアノ基;(4)ニトロ基;(5)カルボキシル基;(6)オキソ基;(7)アミノ基;(8)C1−C6アルキル基(たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基等);(9)C1−C6アルコキシ基(たとえば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、iso−ヘキシルオキシ基、1,1−ジメチルプロポキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基等);(10)C2−C6アルケニル基(たとえば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基等);(11)C2−C6アルキニル基(たとえば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−エチニル−2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基等);(12)C3−C8シクロアルキル基(たとえば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等);(13)C3−C8シクロアルケニル基(たとえば、シクロプロペン−1−イル、シクロプロペン−3−イル、シクロブテン−1−イル、シクロブテン−3−イル、1,3−シクロブタジエン−1−イル、シクロペンテン−1−イル、シクロペンテン−3−イル、シクロペンテン−4−イル、1,3−シクロペンタジエン−1−イル、1,3−シクロペンタジエン−2−イル、1,3−シクロペンタジエン−5−イル、シクロヘキセン−1−イル、シクロヘキセン−3−イル、シクロヘキセン−4−イル、1,3−シクロヘキサジエン−1−イル、1,3−シクロヘキサジエン−2−イル、1,3−シクロヘキサジエン−5−イル、1,4−シクロヘキサジエン−3−イル、1,4−シクロヘキサジエン−1−イル等);(14)C2−C7アシル基(たとえば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等); (15)ホルミル基、等を含む置換基群が挙げられ、「置換基を有していてもよい」とは、上記の置換基群から選ばれる1種以上の基1〜5個を置換基として有していてもよい。
本発明で用いる用語「R1とR2とは一緒になって環を形成してもよい」とは、リン原子を含み、5〜8員環(置換基を有していてもよく、飽和であっても、部分飽和であっても、不飽和であってもよい。)を形成することを意味する。用語「R1とR2とは一緒になって環を形成してもよい」の具体例としては、
Figure 0004981673
で表される部分構造等を挙げることができる。
なお、本発明に用いるクロロメチルフォスフェイト誘導体は、水酸基を有する活性薬物との反応後、加水分解されて水溶性プロドラッグに変換する観点から、R1及びR2で表される基は、水酸基の保護基であることが望ましい。
本発明で用いる用語「三級アミン」とは、アンモニアの水素が3つとも水素原子以外の基により置換されている化合物を意味する。三級アミンの具体例としては、トリアルキルアミン、N―アルキルモルフォリン、ジ(N−アルキル)ピペラジン又はN−アルキルピペリジン等を挙げることができる。ここで、トリアルキルアミン、N―アルキルモルフォリン、ジ(N−アルキル)ピペラジン又はN−アルキルピペリジンにおける「アルキル」とは、置換基を有してもよい前述のC1−C6アルキルや、C1−C6シクロアルキルをいう。好ましくは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエチル)アミン、トリプロピルアミン、N,N−イソプロピルメチルアミン、N,N−イソプロピルエチルアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、ジ(N−メチル)ピペラジン、ジ(N−エチル)ピペラジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等が挙げられ、より好ましくは、トリエチルアミン、N,N−イソプロピルエチルアミン、N−メチルモルフォリンが挙げられる。本発明に係る組成物の長期間保存の観点から、本発明で用いる三級アミンとして、沸点の高い三級アミンが好適であり、N,N−イソブチルエチルアミンやN−メチルモルフォリン等が、特に好ましい。
本発明に係る組成物において、前述の三級アミンは、上記式(I)で表される化合物に対して、少なくとも5mol%、好ましくは少なくとも6mol%、より好ましくは少なくとも7mol%、さらに好ましくは少なくとも10mol%含有する。かかる量の三級アミンを存在させることにより、その機構は明確ではないが、クロロメチルフォスフェイト誘導体の保存時の安定性が確保でき、必要に応じて、水溶性プロドラッグの製造に利用可能となる。なお、三級アミンの共存下であっても、クロロメチルフォスフェイト誘導体自体の反応性、たとえば、水酸基を有する活性薬物に対する反応性は、何ら影響を受けない。
本発明に係る組成物は、下記スキームに示す各工程を含む製造方法により製造することができる。
Figure 0004981673
なお、上記スキーム中、R1及びR2は、前記と同じ定義である。また、Mは、水素原子又はナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を示す。さらに、以下に記載する「室温」とは、15〜30℃付近をいう。
工程(a)について
工程(a)は、化合物(1)、(2)及び(3)を利用して、化合物(4)を製造する工程である。具体的には、クロロメチルクロロスルフォネート(化合物(4))は、パラフォルムアルデヒド(化合物(1))とクロロスルフォン酸(化合物(2))とを反応させて製造することができる。パラフォルムアルデヒドは、常温では固体であるため、加熱下の反応溶液に添加すると危険である。そこで、本工程では、塩化チオニル(化合物(3))を共存させることにより、溶液状態で工程(a)における反応を進行させることができ、約80℃の反応温度で、収率向上等の好ましい結果を得ることができる。なお、本工程に利用する原料は、市販品をそのまま用いることができる。
本工程(a)における反応温度は、特に限定されないが、室温〜85℃、好ましくは室温〜80℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常1〜20時間、好ましくは1〜10時間、より好ましくは1〜5時間である。なお、本工程の反応条件として、化合物(3)である塩化チオニルを、化合物(1)及び(2)を仕込んだ後に滴下しても、化合物(1)に塩化チオニルを滴下した後に、化合物(2)を加えてもよい。工程(a)の反応終了後、常法の後処理により、化合物(4)を得ることができる。
工程(b)について
工程(b)は、工程(a)にて得られた化合物(4)と、化合物(5)とを反応させて、クロロメチルフォスフェイト誘導体である化合物(6)を得る工程である。特に、本工程に使用する溶媒は、反応を阻害せずに出発物質をある程度溶解するものであれば、特に限定されないが、水と、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。反応溶媒としては、反応収率の観点から、水とシクロペンチルメチルエーテルの混合溶媒や、水とtert−ブチルメチルエーテルの混合溶媒が好ましい。このように、工程(b)では、ハロゲン系溶媒を利用する必要がないことから、工業的製造へ応用した場合には、環境への負荷が少なく、作業性に優れる。なお、本工程に利用する原料は、市販品をそのまま用いることができ、市販品から当業者に公知の方法で製造することもできる。化合物(5)の具体例として、ジブチルフォスフェイト及びジベンジルフォスフェイトは市販品をそのまま用いることができ、ジアリルフォスフェイトは、Muller, E. In Methoden Der Organischen Chemie (Houben-Wely); Georg Thieme: Stuttgart, Germany, 1964; Vol. 12/2, pp. 286-90に記載された方法にしたがって製造でき、ジ−tert−ブチルフォスフェイトは、Zwierzak, A.; Kluba, M. Tetraherdon 1971, 27, pp. 3163-3170に記載された方法にしたがって市販品から製造できる。
また、工程(b)において、前述の混合溶媒中で、相間移動触媒と塩基を利用する。本発明で用いる相間移動触媒の具体例としては、特に限定されないが、テトラブチルアンモニウムクロライド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、テトラブチルフォスフォニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド等が挙げられ、反応収率の観点から、好ましくは、硫酸水素テトラブチルアンモニウムが挙げられる。さらに、本発明において相間移動触媒とともに用いられる塩基の具体例としては、特に限定されないが、リン酸水素二カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、塩基自体の溶解性や反応収率の観点から、好ましくは、リン酸水素二カリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
本工程(b)の反応温度は、特に限定されないが、通常氷冷〜溶媒の還流温度であり、好ましくは氷冷〜室温である。また、本工程(b)の反応時間は、特に限定されないが、通常1〜15時間、好ましくは1時間〜10時間、より好ましくは1時間〜5時間である。
工程(c)について
本工程(c)は、工程(b)で得られた(化合物6)に、三級アミンを添加する工程である。添加方法としては、特に限定されないが、前述の工程(b)の終了後に、化合物(6)を取り出さずに、化合物(6)を含む有機層からなる反応溶液を水洗後、三級アミンを添加し、次いで、有機層を減圧濃縮して、本発明に係る組成物を得ることができる。ここで、本工程(c)で用いられる三級アミンとは、前記と同じ定義の三級アミンである。なお、前述の工程(b)の終了後に、化合物(6)を含む反応溶液に、添加予定の三級アミンを含む水溶液で洗浄し、次いで、その三級アミンを添加すると、化合物(6)の保存安定性にとっては好適である。また、添加予定の三級アミンの水溶液には、無機の塩基性物質(水和物であっても、無水物であってもよい)とともに洗浄することもできる。無機の塩基性物質の具体例としては、特に限定されないが、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられる。
三級アミンの添加量としては、保存安定性を確保する観点から、得られた化合物(6)に対して、少なくとも5mol%添加し、好ましくは、少なくとも6mol%、より好ましくは、少なくとも7mol%、さらに好ましくは、少なくとも10mol%を添加する。
次に、本発明に係る安定化方法について説明する。本発明に係る安定化方法は、下記式(I)で表される化合物(6)
Figure 0004981673
(式中、R1及びR2は、前記と同じ定義である。)に、三級アミンを添加する工程を、含む。三級アミンの添加方法は、特に限定されず、前述の化合物(6)の製造にて説明したように、化合物(6)を含む反応溶液の濃縮前に、所定の量の三級アミンを添加することができる。
保存安定性を確保する観点から、三級アミンの添加量は、化合物(6)に対して、少なくとも5mol%添加し、好ましくは、少なくとも6mol%、より好ましくは、少なくとも7mol%、さらに好ましくは、少なくとも10mol%である。なお、保存安定性の評価は、保存前後における高速液体クロマトグラフィーによる化合物(6)に由来するピーク面積の算出や、P−NMR測定による積分値からの算出により行うことができる。
本発明によれば、化合物(6)に三級アミンを添加することにより、化合物(6)自体の保存安定性が改善される。
ところで、三級アミンの添加により、化合物(6)の反応試薬としての性質に悪影響があるようでは、反応試薬としての役割を果たさないことになる。しかしながら、本発明に係る組成物では、化合物(6)に対して、10mol%の量の三級アミンを添加しても、水酸基を有する活性薬物との反応には影響はなかった。具体的には、米国特許第5,648,372号に開示された、三級水酸基を有する(2R,3R)−3−[4−(4−シアノフェニル)チアゾール−2−イル]−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−ブタン−2−オール(下記化学式参照)と、化合物(6)の一つである、ジ−tert−ブチルクロロメチルフォスフェイトとN―メチルモルフォリンとを含む組成物との間で、良好に反応が進行し、フォスフェートの導入が容易に行われた。
Figure 0004981673
実施例
以下では、実施例等を示し、本発明をより具体的に説明するが、これらの記載は例示的なものであって、本発明は、如何なる場合も、これらに限定されるものではない。
実施例1
クロロメチルクロロスルフォネートの合成
Figure 0004981673
100mL四頚フラスコにパラフォルムアルデヒド(10g)を加え、氷水浴中で攪拌した。クロロスルフォン酸(24mL)を内温が80℃以下で滴下し、室温で1時間攪拌後、塩化チオニル(22mL)を滴下した。滴下終了後、60℃で3時間加熱し、冷却した。氷水(400mL)に反応液を滴下して、分液した。水洗後、有機層にMgSO4を加え、有機層と同量のヘキサンで希釈し、濾別した。濾液を減圧濃縮し、得られた残滓を減圧蒸留して標記化合物を無色透明な液体として15g得た。(BP 50〜60℃/18〜20 mmHg)(収率30%)
実施例2
クロロメチルクロロスルフォネートの合成
Figure 0004981673
200mL四頚フラスコにパラフォルムアルデヒド(10g)を加え、氷水浴中で攪拌した。塩化チオニル(22mL)を滴下し、続いてクロロスルフォン酸(24mL)を滴下した。室温で4時間攪拌後、60℃で14時間加熱し、冷却した。氷水(400mL)に反応液を滴下して、分液した。水洗後、有機層にMgSO4を加え、有機層と同量のヘキサンで希釈し、濾過した。減圧濃縮後、得られた残滓を減圧蒸留して標記化合物を無色透明な液体として7.9g得た。(BP 54℃/15 mmHg)(収率16%)
実施例3
ジ−tert−ブチルクロロメチルフォスフェイトの合成
Figure 0004981673
500mL四頚丸底フラスコに、メカニカル攪拌機、温度計を付け、窒素気流化でポタシウム ジ−tert−ブチルフォスフェイト(24g)、リン酸水素二カリウム(66.3g)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(3.23g)、tert−ブチルメチルエーテル(112mL)と水(84mL)を投入し、氷浴で冷やしながら攪拌した。内温が15℃で、クロロメチルクロロスルフォネート(23.5g)をtert−ブチルメチルエーテル(23.6mL)に溶解した溶液を、内温が30℃以下で、2時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間攪拌し、分液ロートに水(84mL)とtert−ブチルメチルエーテル(112mL)を投入し、上記反応液を投入した。下層を分液し、有機層を2M リン酸水素二カリウム水溶液(84mL)、N−メチルモルフォリン水溶液(N−メチルモルフォリン1.05mLと水84mLから調製)、水で洗浄後、N−メチルモルフォリン(1.05mL)を加え、有機層をバス温35℃に設定し減圧濃縮し標記化合物を20g得た。(収率80%)
なお、最後に加えたN−メチルモルフォリンの添加量は、ジ−tert−ブチルクロロメチルフォスフェイトに対して、10mol%であり、標記化合物とN−メチルモルフォリンとを含む組成物を得た。
実施例4
ジ−tert−ブチルクロロメチルフォスフェイトの合成
Figure 0004981673
200mL四頚丸底フラスコに、メカニカル攪拌機、温度計を付け、窒素気流化でポタシウム ジ−tert−ブチルフォスフェイト(6g)、リン酸水素二カリウム(17.5g)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(0.85g)、tert−ブチルメチルエーテル(35mL)と水(26mL)を投入し、氷浴で冷やしながら攪拌した。内温が15℃で、クロロメチルクロロスルフォネート(6.2g)をtert−ブチルメチルエーテル(6.2mL)に溶解した溶液を、内温が30℃以下で、2時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間攪拌し、分液ロートに水(26mL)とtert−ブチルメチルエーテル(35mL)を投入し、上記反応液を投入した。下層を分液し、有機層を水(26mL)洗浄後、N−メチルモルフォリン(0.27mL)を加え、有機層をバス温35℃に設定し減圧濃縮し標記化合物を5.5g得た。(収率85%)
なお、最後に加えたN−メチルモルフォリンの添加量は、ジ−tert−ブチルクロロメチルフォスフェイトに対して、5mol%であり、標記化合物とN−メチルモルフォリンとを含む組成物を得た。
実施例5
ジ−tert−ブチルクロロメチルフォスフェイトの合成
Figure 0004981673
500mL四頚丸底フラスコに、メカニカル攪拌機、温度計を付け、窒素気流化でポタシウム ジ−tert−ブチルフォスフェイト(24g)、リン酸水素二カリウム3水和物(86.8g)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(3.23g)、tert−ブチルメチルエーテル(112mL)と水(54mL)を投入し、氷浴で冷やしながら攪拌した。内温が15℃で、クロロメチルクロロスルフォネート(23.5g)をtert−ブチルメチルエーテル(23.6mL)に溶解した溶液を、内温が30℃以下で、2時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間攪拌し、分液ロートに水(84mL)とtert−ブチルメチルエーテル(112mL)を投入し、上記反応液を投入した。下層を分液し、有機層を2Mリン酸水素二カリウム水溶液(84mL)、N−メチルモルフォリン水溶液(N−メチルモルフォリン1.05mLと水84mLから調製)、水で洗浄後、N−メチルモルフォリン(1.05mL)を加え、有機層をバス温35℃に設定し減圧濃縮し標記化合物を20g得た。(収率78%)
なお、最後に加えたN−メチルモルフォリンの添加量は、ジ−tert−ブチルクロロメチルフォスフェイトに対して、10mol%であり、標記化合物とN−メチルモルフォリンとを含む組成物を得た。
実施例6
ジベンジルクロロメチルフォスフェイトの合成
Figure 0004981673
500mL四頚丸底フラスコに、メカニカル攪拌機、温度計を付け、窒素気流化でジベンジルフォスフェート(20g)、炭酸水素ナトリウム(5.9g)、リン酸水素二カリウム(50g)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(2.4g)、tert−ブチルメチルエーテル(94mL)と水(72mL)を投入し、氷浴で冷やしながら攪拌した。内温が15℃で、クロロメチルクロロスルフォネート(17.8g)をtert−ブチルメチルエーテル(16mL)に溶解した溶液を、内温が30℃以下で、2時間かけて滴下した。滴下終了後、12時間攪拌し、分液ロートに水(72mL)とtert−ブチルメチルエーテル(104mL)を投入し、上記反応液を投入した。下層を分液し、有機層を2Mリン酸水素二カリウム水溶液(72mL)、N−メチルモルフォリン水溶液(N−メチルモルフォリン0.8gと水72mLから調製)、水、食塩水で洗浄後、N−メチルモルフォリン0.8gを添加し、MgSO4を加え、有機層をバス温35℃に設定し減圧濃縮し標記化合物を20.1g得た。(収率86%)
なお、最後に加えたN−メチルモルフォリンの添加量は、ジベンジルクロロメチルフォスフェイトに対して、10mol%であり、標記化合物とN−メチルモルフォリンとを含む組成物を得た。
保存安定性の評価
得られたジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトを用いて、かかるフォスフェイトを含有する有機層の濃縮前に、三級アミンとしてN−メチルモルフォリン(NMM)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(iPr2EtN)を、所定の濃度、添加した。その後、40℃の温度にて、3時間(3hr)または6時間(6hr)保存した後、P−NMR測定により、保存前後におけるジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの積分値を測定した。なお、40℃における保存テストは、恒温槽としてEYELA ChemStation(±1℃の温度精度)を用いて行った。
図1は、本発明の一の態様による保存安定性の結果を示す図である。図1から明なように、NMM及びiPr2EtNともに、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトに対して、5mol%添加した場合には、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの分解が確認されず、保存安定性が改善されていることが判明した。なお、図中には示していないが、NMMの添加量が1mol%のとき、40℃、3時間の保存テストでは、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの残留量は34%であり、NMMの添加量が2.5mol%のとき、40℃、3時間の保存テストでは、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの残留量は88%であった。
図2は、本発明の別の態様による、NMMを変化させた場合におけるジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの保存安定性の影響を検討した結果を示す。図2から明らかなように、40℃、3時間の保存テストにおいて、NMMの添加量が0mol%のときには、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの分解が確認され、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの残留量が34%、つまり、当初のジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの66%が分解したことがわかる。一方で、NMMの添加量が5mol%のときには、40℃、3時間の保存テストにおいて、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの分解が確認されなかった。また、NMMの添加量が10mol%には、室温、1.5日での保存でも、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの分解は確認されなかった。
本発明に係る製造方法によれば、毒性の高い試薬やハロゲン系溶媒を使用することなく、作業性や操作性、省エネルギーの観点から優れた方法でクロロメチルフォスフェイト誘導体を製造することができるため、工業的に有用な製造方法である。また、本発明によれば、水溶性プロドラッグの製造に適用可能なクロロメチルフォスフェイト誘導体に、三級アミンを添加することにより、クロロメチルフォスフェイト誘導体の安定化が実現され、該誘導体の安定供給が可能となり、水溶性プロドラッグの工業的製造に有益である。
図1は、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトを用いた、本発明の一の態様による保存安定性の結果を示す図である。なお、本図中、○は、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの分解が確認されず、×は、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの分解が確認されたことを示す。 図2は、N−メチルモルフォリンの添加量を変化させた場合、ジ−tert−ブチルクロロフォスフェイトの保存安定性の影響を示す図である。

Claims (12)

  1. (A)下記式(I)で表される化合物と、
    Figure 0004981673
    (式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、C1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基又は置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基を示し、R1とR2とは一緒になって環を形成してもよい。)
    (B)三級アミンと、
    を含む組成物であって、
    前記式(I)で表される化合物に対して、前記三級アミンを少なくとも5mol%含有する組成物
  2. 前記三級アミンは、トリアルキルアミン又はN―アルキルモルフォリンである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記三級アミンは、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン又はN−メチルモルフォリンである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記R1及びR2は、同一又は相異なって、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリル基又は置換基を有してもよいベンジル基である、請求項1ないしのうち何れか一項に記載の組成物。
  5. 前記R1及びR2は、同一又は相異なって、tert−ブチル基、アリル基又はベンジル基である、請求項1ないしのうち何れか一項に記載の組成物。
  6. 下記式(I)で表される化合物に、三級アミンを添加する工程を含む、
    Figure 0004981673
    (式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、C1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基又は置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基を示し、R1とR2とは一緒になって環を形成してもよい。)
    前記式(I)で表される化合物と前記三級アミンとを含む組成物の製造方法であって、
    前記式(I)で表される化合物に対して、前記三級アミンを少なくとも5mol%含有する製造方法
  7. 前記式(I)で表される化合物は、
    (i)パラフォルムアルデヒドとクロロスルフォン酸を、塩化チオニル共存下で反応させて、クロロメチルクロロスルフォネートを得、
    (ii)相間移動触媒および塩基を含む溶媒中にて、下記式(II)で表される化合物と、
    Figure 0004981673
    (式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、C1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基又は置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基を示し、R1とR2とは一緒になって環を形成してもよく、Mは、水素原子又はアルカリ金属を示す。)
    前記クロロメチルクロロスルフォネートと反応させることにより得られる、請求項に記載の製造方法。
  8. 前記溶媒は、エーテル系溶媒である、請求項に記載の製造方法。
  9. 前記エーテル系溶媒は、シクロペンチルメチルエーテル又はtert−ブチルメチルエーテルである、請求項に記載の製造方法。
  10. 前記相間移動触媒は、硫酸水素テトラブチルアンモニウムであり、前記塩基は、リン酸水素二カリウム又は炭酸水素ナトリウムである、請求項ないしのうち何れか一項に記載の製造方法。
  11. 下記式(I)で表される化合物に、
    Figure 0004981673
    (式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、C1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基または置換基を有してもよいC6−C14アリールC1−C6アルキル基を示し、R1とR2とは一緒になって環を形成してもよい。)
    三級アミンを添加する工程を、
    含む、前記式(I)で表される化合物の安定化方法。
  12. 前記式(I)で表される化合物に対して、前記三級アミンを少なくとも5mol%添加する、請求項11に記載の方法。
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