JP4980645B2 - 直下型地震用地震計、地震計システム、直下型地震用地震警報発令方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
(a)東海道新幹線などには、地震のP波初動の周期からマグニチュードを推定し、推定したマグニチュードと振幅とから震央距離を推定し、推定したマグニチュードや震央位置から、被害の及ぶ範囲を推定し、警報を出すシステムがある(特許文献1〜5、非特許文献1参照)。
直下型地震用地震計であって、地震のP波での最大加速度の値である加速度Aを検出する加速度検出手段と、前記加速度Aを式(1)に適用して前記地震のマグニチュードMを算出するマグニチュード算出手段と、前記マグニチュードMを式(2)に適用して要警報範囲Δを算出する要警報範囲算出手段と、前記マグニチュードMが所定値以上であるとき、前記地震の発生を表す地震発生情報を、前記直下型地震用地震計からの距離が前記要警報範囲Δまでの範囲内のみに選択的に送信する地震発生情報送信手段と、を備える直下型地震用地震計を要旨とする。
式(2):logΔ=γlogM+δ
(α、β、γ、δは定数である。)
本願の発明者は、鋭意研究の末、図1に示すとおり、地震のP波での最大加速度の値である加速度Aと、地震のマグニチュードMとの間に、式(1)の関係があることを見出した。
本発明の地震計は、式(1)を利用して、極く短時間でマグニチュードMを算出することができ、従来技術のように、長時間にわたる処理を行う必要がないため、P波の到達から、極く短時間で要警報範囲Δを算出することができる。そのため、要警報範囲Δにおいて、早期に地震警報を発令することができ、地震警報発令からS波到達までの時間を確保することができるため、地震による被害を減少させることができる。本発明の地震計は、P波到達からS波到達までの時間が短い直下型地震に対し、特に有用である。
前記要警報範囲Δとは、その範囲内において、地震による強い揺れが発生し、構造物等に被害が出るが、その範囲外では、揺れが弱く、構造物等の被害が発生しないものをいう。
(2)請求項2の発明は、
前記加速度A及び/又は前記マグニチュードMが所定値以上であるとき、地震警報を発令する地震警報発令手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の直下型地震用地震計を要旨とする。
(3)請求項3の発明は、
複数配置された直下型地震用地震計と、前記複数の直下型地震用地震計の間で情報を伝送する伝送手段と、を備えた地震計システムであって、前記直下型地震用地震計は、地震のP波での最大加速度の値である加速度Aを検出する加速度検出手段と、前記加速度Aを式(1)に適用して前記地震のマグニチュードMを算出するマグニチュード算出手段と、前記マグニチュードMを式(2)に適用して要警報範囲Δを算出する要警報範囲算出手段と、前記マグニチュードMが所定値以上であるとき、地震発生情報を前記伝送手段を介して送信する送信手段と、前記地震発生情報を前記伝送手段を介して受信する受信手段と、前記地震発生情報に応じて、地震警報を発令する地震警報発令手段と、を備えるものであるとともに、前記地震発生情報に応じて前記地震警報を発令する前記直下型地震用地震計を、当該地震発生情報の送信元である前記直下型地震用地震計からの距離が、その直下型地震用地震計が算出した前記要警報範囲Δまでの範囲内にある直下型地震用地震計とする警報発令範囲設定手段を備えることを特徴とする地震計システムを要旨とする。
式(2):logΔ=γlogM+δ
(α、β、γ、δは定数である。)
本発明の地震計システムは、P波の到達から、極く短時間で要警報範囲Δを算出し、その要警報範囲Δにおいて、早期に地震警報を発令することができる。そのため、本発明の地震計システムによれば、地震警報発令からS波到達までの時間を確保することができ、地震による被害を減少させることができる。本発明の地震計システムは、P波到達からS波到達までの時間が短い直下型地震に対し、特に有用である。
前記警報発令範囲設定手段としては、例えば、地震発生情報を、要警報範囲Δ内の地震計には送るが、要警報範囲Δの外の地震計には送らないようにする手段がある。
(4)請求項4の発明は、
前記警報発令範囲設定手段は、前記地震発生情報の送信先を、当該地震発生情報の送信元である前記直下型地震用地震計からの距離が、その直下型地震用地震計が算出した前記要警報範囲Δまでの範囲内にある他の前記直下型地震用地震計とする手段であることを特徴とする請求項3に記載の地震計システムを要旨とする。
(5)請求項5の発明は、
前記直下型地震用地震計は、その直下型地震用地震計にて検出した前記加速度A、及び/又は、その地震計にて算出した前記マグニチュードMが所定値以上であるとき、前記地震警報発令手段により前記地震警報を発令することを特徴とする請求項3又は4に記載の地震計システムを要旨とする。
(6)請求項6の発明は、
地震のP波での最大加速度の値である加速度Aを検出し、前記加速度Aを式(1)に適用して前記地震のマグニチュードMを算出し、前記マグニチュードMを式(2)に適用して要警報範囲Δを算出し、震源からの距離が前記要警報範囲Δまでの範囲内にて地震警報を発令する直下型地震用地震警報発令方法を要旨とする。
式(2):logΔ=γlogM+δ
(α、β、γ、δは定数である。)
本発明によれば、P波の到達から、極く短時間で要警報範囲Δを算出し、その要警報範囲Δにおいて、早期に地震警報を発令することができる。そのため、本発明によれば、地震警報発令からS波到達までの時間を確保することができ、地震による被害を減少させることができる。本発明は、P波到達からS波到達までの時間が短い直下型地震に対し、特に有用である。
(7)請求項7の発明は、
コンピュータを前記請求項1における加速度検出手段、マグニチュード算出手段、及び要警報範囲算出手段として機能させるプログラムを要旨とする。
(1−1)地震計システムの構成
地震計システム1の構成を図2に基づいて説明する。地震計システム1は、複数の地震計3を備えており、それらは、相互に所定の距離をおいて、分散配置されている。なお、図2では、個々の地震計3を識別するために、地震計3A、3B、3C、3D、3E・・・と表示している。
次に、地震計3の処理装置9が実行する処理を図4のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ110では、上記ステップ100で取得した3成分の加速度を合成し、3成分合成加速度A3を計算する。
ステップ150では、合成加速度A3を式(1)に適用して、地震のマグニチュードMを算出する(マグニチュード推定機能)。
ここで、αの値は1.69であり、βの値は2.81である。
ステップ160では、前記ステップ150で算出したマグニチュードMを式(2)に適用して要警報範囲Δを算出する(要警報範囲推定機能)。
ここで、γの値は0.71であり、δの値は−3.2である。
ステップ170では、他の地震計3のうち、前記ステップ160で算出した要警報範囲Δ内にある地震計3のみに、伝送手段5を介して地震発生情報を送信する(情報送受信機能のうちの情報送信機能)。例えば、図2に示す場合では、地震計3Aが要警報範囲Δを算出している。地震計3Aから見て、地震計3Bと地震計3Dは、要警報範囲Δ内であるが、地震計3Cと地震計3Eは要警報範囲Δの外である。地震計3Aは、地震計3Bと地震計3Dには伝送手段5を介して地震発生情報15を送信するが、地震計3Cと地震計3Eには地震発生情報15を送信しない(警報発令範囲設定手段)。
地震計3は、図4のステップ130にて、合成加速度A3の値が、所定の基準値1より大きいと判断したとき、地震警報を発令する(警報出力機能)。この地震警報とは、例えば、合成加速度A3の値が所定の基準値1より大きいと判断した地震計3の一部として設けられた表示装置、またはその地震計3の外部に設けられた表示装置が発生させる音声、画像等をいう。また、地震警報は、例えば、その地震計3の近傍にあるシステムに対し実施する、地震の被害を減少させるための措置(例えば、電源、ガス、圧空等を遮断する、電車等の動作を停止させる)であってもよい。また、地震計3は、他の地震計3から地震発生情報を受信し(情報送受信機能のうちの、受信機能)、その受信に応じて、上記と同様に、地震警報を発令する(警報出力機能)。
地震計システム1は、P波の到達から、極く短時間で要警報範囲Δを算出し、その要警報範囲Δにおいて地震警報を発令することができる。図5は、震源に最も近い地震計3へのP波到達、警報発令、S波到達、揺れが最大となる時期、地震終了の時系列を示す図である。図5において、T1は、本第1の実施の形態の地震計システム1が警報を発令するタイミングを表す。この図5から明らかなとおり、地震計システム1は、P波到達から、非常に短い時間(例えば、P波到達から1秒以内)で地震警報を発令することができる。
(1−5)地震計システム1の鉄道への応用
地震計システム1は、鉄道の分野で使用することができる。例えば、図6に示すように、線路10に沿って、所定間隔をおきながら、地震計3A、3B、3C、3D、3E、3F、3G、3H・・・を配置することができる。
第2の実施の形態においても、地震計システム1の構成は、基本的には前記第1の実施の形態と同様であるが、地震計システム1が実行する処理は一部相違する。その相違点を中心に、図7及び図8に基づいて説明する。
ステップ200では、加速度センサ7から受け取った加速度値に基づき、3成分(上下、南北、東西)の加速度を取得する。
ステップ220では、地震計3の状態が通常状態であるか否かを判断する。通常状態である場合はステップ230に進み、地震中状態である場合はステップ250に進む。
ステップ250では、合成加速度A3を式(1)に適用して、地震のマグニチュードM1を算出する。
ここで、αの値は1.69であり、βの値は2.81である。
ステップ260では、地震到達の時刻(地震状態に移行した時刻)から一定時間が経過したか否かを判断する。YESの場合はステップ270に進み、NOの場合はステップ280に進む。
ステップ280では、マグニチュードMを式(2)に適用して要警報範囲Δを算出する。
ここで、γの値は0.71であり、δの値は−3.2である。
なお、式(2)に代入するマグニチュードMとしては、直前のステップ260における判断にてNOと判断された場合は前記ステップ250で算出したマグニチュードM1を使用し、直前のステップ260にてYESと判断された場合はステップ270で算出したマグニチュードM2を使用する。
ステップ300では、合成加速度A3の値が、所定の基準値2より小さいか否かを判断する。YESの場合はステップ310にて通常状態に移行してから、ステップ200に戻る。NOの場合は、地震中状態のまま、ステップ200に戻る。
ステップ400では、加速度センサ7を用いて数秒間、連続的に計測した、デジタル波形データを取得する。
ステップ440では、デジタル波形データを、式(3)にフィッティングし、係数X、Yを求める。ここで、tは時刻(sec)を表し、V(t)は時刻tにおける振幅を表す。
ステップ450では、X、Yに関するノイズ判定閾値TX、TYをそれぞれ設定する。
ステップ460では、ノイズ判定閾値TX、TYを用いて、地震動であるか、ノイズであるかを識別する。具体的には、XがTXより小さい場合は、地震動であると判定し、XがTX以上である場合は、ノイズであると判定することができる。また、YがTYより大きい場合は、地震動であると判定し、YがTY以下である場合は、ノイズであると判定することができる。なお、TX、TYの値は、多数の地震データに基づき、判定に最適の値を設定することができる。
式(4):logD=ε1logY+ε2
ステップ490では、式(5)に、震央距離Dと最大振幅Vmaxを代入し、マグニチュードM2を算出する。
なお、式(5)の代わりに、式(6)〜(9)のうちのいずれかを用いてマグニチュードM2を算出してもよい。
式(7):M2=η1logVmax+η2logY+η3
式(8):M2=η1X+η2log(logY)+η3
式(9):M2=η1logVmax+η2log(logY)+η3
ここで、ε1、ε2、ζ1、ζ2、ζ3、η1、η2、η3は、多数の地震データから統計処理によって決定されるパラメータである。ステップ490の後、本処理を終了し、図8のステップ280に進む。
本参考例1の地震計システムは、複数の地震計と、それらの間で情報を伝送する伝送手段から構成され、地震計は、それぞれ、加速度センサと処理装置を備えるという点では、上記第1の実施の形態と共通するが、実行する処理において大きく相違する。その相違点を中心に、図10のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ610では、上記ステップ600で取得した3成分の加速度を合成し、3成分合成加速度A3を計算する。
ステップ630では、合成加速度A3の値が、所定の基準値1より大きいか否かを判断する。YESの場合はステップ640にて地震中状態に移行してから、ステップ600に戻る。NOの場合は、通常状態のまま、ステップ600に戻る。
ステップ650では、合成加速度A3の値が、所定の基準値2より大きいか否かを判断する。YESの場合はステップ660に進み、NOの場合はステップ670に進む。
ステップ670では、合成加速度A3の値が、所定の基準値3より小さいか否かを判断する。YESの場合はステップ680にて通常状態に移行してから、ステップ600に戻る。NOの場合は、地震中状態のまま、ステップ600に戻る。
本参考例2の地震計システムは、複数の地震計と、それらの間で情報を伝送する伝送手段から構成され、地震計は、それぞれ、加速度センサと処理装置を備えるという点では、上記第1の実施の形態と共通するが、実行する処理において大きく相違する。その相違点を中心に、図12のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ710では、上記ステップ700で取得した3成分の加速度を合成し、3成分合成加速度A3を計算する。
ステップ730では、合成加速度A3の値が、所定の基準値1より大きいか否かを判断する。YESの場合はステップ740にて地震中状態に移行してから、ステップ700に戻る。NOの場合は、通常状態のまま、ステップ700に戻る。
ステップ750では、地震到達の時刻(地震状態に移行した時刻)から一定時間が経過したか否かを判断する。YESの場合はステップ760に進み、NOの場合はステップ790に進む。
式(2):logΔ=γlogM+δ
ここで、γの値は0.71であり、δの値は−3.2である。
ステップ790では、合成加速度A3の値が、所定の基準値2より小さいか否かを判断する。YESの場合はステップ800にて通常状態に移行してから、ステップ700に戻る。NOの場合は、地震中状態のまま、ステップ700に戻る。
例えば、地震計3は、算出したマグニチュードMの値が所定値以上であるときに、地震発生情報を送信し、地震警報を発令するものであってもよい。
3・・・地震計
5・・・伝送手段
7・・・加速度センサ
9・・・処理装置
10・・・線路
11・・・列車
15・・・地震発生情報
Claims (7)
- 直下型地震用地震計であって、
地震のP波での最大加速度の値である加速度Aを検出する加速度検出手段と、
前記加速度Aを式(1)に適用して前記地震のマグニチュードMを算出するマグニチュード算出手段と、
前記マグニチュードMを式(2)に適用して要警報範囲Δを算出する要警報範囲算出手段と、
前記マグニチュードMが所定値以上であるとき、前記地震の発生を表す地震発生情報を、前記直下型地震用地震計からの距離が前記要警報範囲Δまでの範囲内のみに選択的に送信する地震発生情報送信手段と、
を備える直下型地震用地震計。
式(1):M=αlogA+β
式(2):logΔ=γlogM+δ
(α、β、γ、δは定数である。) - 前記加速度A及び/又は前記マグニチュードMが所定値以上であるとき、地震警報を発令する地震警報発令手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の直下型地震用地震計。
- 複数配置された直下型地震用地震計と、
前記複数の直下型地震用地震計の間で情報を伝送する伝送手段と、を備えた地震計システムであって、
前記直下型地震用地震計は、
地震のP波での最大加速度の値である加速度Aを検出する加速度検出手段と、
前記加速度Aを式(1)に適用して前記地震のマグニチュードMを算出するマグニチュード算出手段と、
前記マグニチュードMを式(2)に適用して要警報範囲Δを算出する要警報範囲算出手段と、
前記マグニチュードMが所定値以上であるとき、地震発生情報を前記伝送手段を介して送信する送信手段と、
前記地震発生情報を前記伝送手段を介して受信する受信手段と、
前記地震発生情報に応じて、地震警報を発令する地震警報発令手段と、を備えるものであるとともに、
前記地震発生情報に応じて前記地震警報を発令する前記直下型地震用地震計を、当該地震発生情報の送信元である前記直下型地震用地震計からの距離が、その直下型地震用地震計が算出した前記要警報範囲Δまでの範囲内にある直下型地震用地震計とする警報発令範囲設定手段を備えることを特徴とする地震計システム。
式(1):M=αlogA+β
式(2):logΔ=γlogM+δ
(α、β、γ、δは定数である。) - 前記警報発令範囲設定手段は、前記地震発生情報の送信先を、当該地震発生情報の送信元である前記直下型地震用地震計からの距離が、その直下型地震用地震計が算出した前記要警報範囲Δまでの範囲内にある他の前記直下型地震用地震計とする手段であることを特徴とする請求項3に記載の地震計システム。
- 前記直下型地震用地震計は、その直下型地震用地震計にて検出した前記加速度A、及び/又は、その地震計にて算出した前記マグニチュードMが所定値以上であるとき、前記地震警報発令手段により前記地震警報を発令することを特徴とする請求項3又は4に記載の地震計システム。
- 地震のP波での最大加速度の値である加速度Aを検出し、
前記加速度Aを式(1)に適用して前記地震のマグニチュードMを算出し、
前記マグニチュードMを式(2)に適用して要警報範囲Δを算出し、
震源からの距離が前記要警報範囲Δまでの範囲内にて地震警報を発令する直下型地震用地震警報発令方法。
式(1):M=αlogA+β
式(2):logΔ=γlogM+δ
(α、β、γ、δは定数である。) - コンピュータを前記請求項1における加速度検出手段、マグニチュード算出手段、及び要警報範囲算出手段として機能させるプログラム。
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