JP4979467B2 - 抗β−グルカン抗体測定方法と測定キット - Google Patents

抗β−グルカン抗体測定方法と測定キット Download PDF

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Description

本願発明は、ヒト体液中のβ-グルカンに結合する抗β-グルカン抗体を高感度に測定する方法と、この測定を簡便に行うことのできる抗β-グルカン抗体測定キットに関するものである。
β-グルカン(β-glucan:以下、「BG」と記載することがある)は、接合菌を除く真菌において、基本的にアルカリ、水に不溶な強固な細胞壁骨格を形成する腫瘍構成多糖成分として共通に存在している。さらに真菌のみならず海藻、細菌、高等植物等など自然界に広く分布している。また、一般細菌の細胞壁には含まれず、真菌感染症患者血中に遊離されてくることから真菌感染症全般のスクリーニングのパラメーターとして臨床検査に用いられている(非特許文献1、2)。
β-グルカンは補体系活性化、ロイコトリエンやTNF-αなどの炎症性メディエーター産生などの生物活性を有することがこれまで多くの研究者によって明らかにされており、β-グルカンが生体に何かしらの影響を与えている可能性が示唆されている。また、腫瘍活性、アジュバンド活性、CD8+T細胞誘導活性、NOやINF-γなどのサイトカイン産生などの免疫薬理活性を示すことも報告されている(非特許文献3、4)。またβ-グルカンは分子量、分岐、高次構造などにおいて多様性を示し、生物活性もそれらの物性に依存していることから、活性の強弱も一様ではない。
β-グルカンは癌や感染症治療に重要な生物学的応答調整剤(Biological Response Modifer)として用いられている。例えば、Lentinus edodes由来Lentinan(Berk)やSchizophyllum commune由来sonifilan(SPG)は癌治療薬として用いられている。また様々なキノコや酵母が食品や健康食品として流通している。
β-グルカンの生物活性発現に関与すると思われる宿主の認識機構もこれまで多くの研究者によって検討されてきおり、β-グルカン特異的受容体(Dectin-1、CR3、lactosylceramide等)が同定され、これらの受容体が食作用(phagocytosis)や他の生物活性に関与することが報告されている(非特許文献5−7)。
一方、抗体は獲得免疫における認識生体分子であり、食作用を促進することによって、抗原提示や副刺激分子(co-stimulatory molecule)の発現を上昇させる。また、Fc受容体の架橋、サイトカイン産生の修飾等によって病原体に対する生体防御を増強させるなどの重要な働きを担っている。
β-グルカンに対する抗体の報告はほとんど存在しなかったが、最近になってβ-グルカンを抗原として用いた固相化ELISA法によって、ヒト血清中に抗β-グルカン抗体(抗BG抗体)が存在することが確認された(非特許文献8)。
宿前利郎:b-グルカンの魅力,東洋医学舎,2000 Obayashi T., Yoshida M., Mori T., Goto H., Yasuoka A., Iwasaki H., Teshima H., Kohno S., Horiuchi A., Ito A., et al. : Plasma (1-->3)-beta-D-glucan measurement in diagnosis of invasive deep mycosis and fungal febrile episodes. Lancet, 345, 17-20, 1995. 大野尚仁:真菌b1,3-グルカン類の構造と宿主応答性,ドージンニュース,114,1-10,2004,http://www.dojindo.co.jp/news/index.html 宿前利郎:真菌b1,3-グルカンの構造と活性,薬学雑誌,120, 413-431, 2000 Ross GD, Cain JA, Myones BL, Newman SL, Lachmann PJ. Specificity of membrane complement receptor type three (CR3) for beta-glucans. Complement. 4(2):61-74, 1987. Zimmerman JW, Lindermuth J, Fish PA, Palace GP, Stevenson TT, DeMong DE. A novel carbohydrate-glycosphingolipid interaction between a beta-(1-3)-glucan immunomodulator, PGG-glucan, and lactosylceramide of human leukocytes. J Biol Chem. 273(34):22014-20, 1998. Brown GD, Gordon S. Immune recognition. A new receptor for beta-glucans. Nature. 413(6851):36-7, 2001. Masuzawa S., Yoshida M., Ishibsahi K., Saito N., Akashi M., Yoshikawa N., Suzuki T., Nameda S., Miura N. N., Adachi Y., Ohno N., Solubilized Candida cell wall b-glucan, CSBG, is an epitope of natural human antibody, Drug Develop. Res., 58, 179-189 (2003).
ヒト体液中のβ-グルカン抗体の存在を確認し、その存在量を測定することは、生体におけるβ-グルカンの作用を正しく評価するために極めて有効である。特に、生体中のβ-グルカンは腫瘍活性、アジュバンド活性、CD8+T細胞誘導活性、NOやINF-γなどのサイトカイン産生などの免疫薬理活性を示すことや真菌感染症患者血中に遊離されてくることから、β-グルカンに特異的な生体内抗体を測定することは、腫瘍や真菌感染症、各種免疫疾患の診断、あるいはそれらの疾患治療の有効性を評価するための指標として有用である。
本願発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、生体から単離した体液試料中の抗β-グルカン抗体を簡便かつ高精度で測定することのできる改良された測定方法と測定キットを提供することを課題としている。
本願発明は、前記の課題を解決するための手段として、酵母または真菌から精製したβ-グルカンに被験者から単離した体液試料を接触させ、β-グルカンに結合した抗β-グルカン抗体量を検出することを特徴とする抗β-グルカン抗体測定方法を提供する。
前記測定方法においては、β-グルカンが、酵母(Saccharomyces cerevisiae)から精製したβ-グルカン、または真菌(Candida)から精製したβ-グルカンであることを好ましい態様としている。さらに、酵母(Saccharomyces cerevisiae)から精製したβ-グルカンが、Zymosan Aから精製したβ-グルカン(ZYMBG)、真菌(Candida)から精製したβ-グルカンが、Candida細胞壁から精製したβ-1,3-グルカン(CSBG)であることをさらに好ましい態様としている。
また前記測定方法においては、β-グルカンを固相化したプレートに体液試料を接触させることを好ましい態様としている。
本発明において、体液試料は、血液または唾液であることを好ましい態様としている。
またさらに、前記測定方法では、体液試料が血液である場合には、1500から3000倍の範囲で希釈した血清を接触させることを好ましい態様としている。また、体液試料が唾液である場合には、遠心分離した唾液上清を接触させることを好ましい態様としている。
前記測定方法においてはまた、標識化抗IgG二次抗体によって抗β-グルカン抗体を検出することを好ましい態様としている。
さらに、前記測定方法においては、標準抗体力価3200、800、200、50 unitの範囲を含む検量線を用いて抗β-グルカン抗体量を検出することを好ましい態様としている。
本願発明は、また、被験者血清中の抗β-グルカン抗体を測定するキットであって、少なくとも、
(1)酵母または真菌から精製したβ-グルカンを固相化した担体、
(2)標識化抗IgG二次抗体
を含むことを特徴とする抗β-グルカン抗体測定キットを提供する。
前記測定キットにおいては、β-グルカンが、酵母(Saccharomyces cerevisiae)または真菌(Candida)から精製したβ-グルカンであることを好ましい態様としている。さらに、酵母(Saccharomyces cerevisiae)から精製したβ-グルカンが、Zymosan Aから精製したβ-グルカン(ZYMBG)であり、真菌(Candida)から精製したβ-グルカンが、Candida細胞壁から精製したβ-グルカン(CSBG)であることをさらに好ましい態様としている。
本願発明によって、ヒト体液中の抗β-グルカン抗体を簡便かつ高感度で測定することが可能となる。
本願発明の測定方法は、酵母または真菌から精製したβ-グルカンと体液試料とを接触させることによって、被験者の体液中に存在する抗BG抗体を検出することを基本操作とする。
精製β-グルカンを体液試料に添加してβ-グルカンと結合した抗BG抗体を測定すること(液層系測定)も原理的に可能であるが、好ましくは、精製β-グルカンを固相化したプレート上で体液試料との反応を行う。固相化β-グルカン抗原と結合しない抗BG抗体を洗浄バッファーで除去することによって、固相化抗原量に基づいた正確な測定が可能となるからである。
体液試料は、抗BC抗体を含んだ状態で単離可能な液体であり、例えば、血液、リンパ液、唾液、胃液、汗、涙、鼻水、尿等であるが、特に血液または唾液を対象とすることによって正確かつ簡便は抗BC抗体の測定が可能である。また、唾液はサンプリングが簡易であり、被験者に対して非侵襲的にサンプリングを行うことができるといった利点を有している。
β-グルカン抗原は、酵母(Saccharomyces cerevisiae)から精製したβ-グルカン、または真菌(Candida)から精製したβ-グルカンであることが好ましい。特に、血液を対象とする場合には酵母(Zymosan A)から精製したβ-グルカン(ZYMBG)であることがさらに好ましく、唾液を対象とする場合には真菌(Candida)細胞壁から精製したβ-グルカン(CSBG)であることがさらに好ましい。
また、これらのβ-グルカン抗原の精製度は重要である。生体は様々な抗原に対する抗体を有しているので、不純物が含まれていると正確な測定ができない。例えば、実施例に示した方法によって高純度に精製したZYMBGまたはCSBGを抗原とすることが特に好ましい。
β-グルカン抗原をプレートに固相化するためには、公知のcoating buffer(2M 硫酸アンモニウム、5mMTE pH 7.4; 100mM 炭酸バッファー pH9.2、TDBA-AC5-sulfo-OSu/DMSO UV)を使用し、ブロッキング処理の有無、乾燥処理の有無などを適宜に組み合わせて行うことができる。ただし、好ましくは100mM 炭酸バッファー,pH9.2、ブロッキング処理なし、乾燥処理有りの工程でβ-グルカン抗原をプレートに固相化する。このようにして作成したプレートは、抗BG抗体との反応性がよいことは勿論のこと、乾燥剤とともにアルミバックに入れた状態で安定的に供給することができる。
血液を対象とする場合には、この固相化プレートに接触させる被験血液は、血清が好ましい。また、血清の希釈率は、約1500倍から約3000倍の範囲が好ましく、特に実施例に示したように約2000倍希釈が好ましい。しかも、このような高希釈倍率のため,洗浄バッファーに含まれるtweenによるブロッキング効果により、ブロッキング操作を含むことなく簡便な測定が可能となる。また唾液を対象とする場合には、遠心分離して得た唾液の上清を10〜40倍程度、好ましくは約10倍程度に希釈してプレートに接触させる。
好ましい測定手順としては、β-グルカン抗原固相化プレートに体液試料を接触させて抗原と抗体を結合させ、洗浄の後、標識化二次抗体を反応させて固相化β-グルカン抗原に結合した抗BG抗体を検出する。二次抗体の標識として酵素を用いる場合は、いわゆる「ELISA測定法」である。また、二次抗体としては抗IgG抗体の使用が好ましい。後記の実施例にも示したように、抗BG抗体の主なアイソタイプはIgGであるためである。
また、抗BG抗体の定量的な測定のためには、後記実施例で作成例を示した標準抗体力価3200、800、200、50 unitの範囲を含む検量線を使用することが好ましい。
次に、本願発明の測定キットは、前記の精製β-グルカン抗原固相化プレートと、標識化抗IgG二次抗体を必須として含むことを特徴としている。
さらにこの測定キットは、標準抗体(抗ヒトIgG抗体など)や、洗浄・希釈バッファー(PBSTなど)を含むことが好ましい。また、二次抗体の標識が酵素の場合には、その発色基質を含むようにする。例えば、標識がHRPの場合には基質としてTMB溶液を含む。
以下、実施例を示して本願発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、本願発明は以下の例によって限定されるものではない。
なお、以下の実施例に使用した材料および基本的方法は以下のとおりである。
(1)固相抗原BGの調製
Zymosan A(Sigma)2gを0.1 MのNaOH溶液に懸濁し、NaClOを加え、4℃にて一昼夜酸化処理を行った。反応後、12000rpm、15分間遠心し、沈殿を回収した。不溶部をエタノール、アセトンで洗浄、乾燥し、不溶性画分を得た。この不溶性画分をDMSOに懸濁し、超音波処理し、遠心して得られた上清からZymosan A(Saccharomyces cerevisiae)由来BG(ZYMBG)を得た。
一方、CSBGは、C.albicans乾燥菌体 2gを0.1 MのNaOH溶液に懸濁し、NaClOを加え、4℃にて一昼夜酸化処理を行った。反応後、12000rpm、15分間遠心し、沈殿を回収した。不溶部をエタノール、アセトンで洗浄、乾燥し、不溶性画分を得た。この不溶性画分をDMSOに懸濁し、超音波処理し、遠心して得られた上清から真菌(Candida)由来BG(CSBG)を得た。

(2)抗BG抗体価の測定
96 well immune plate(Nunc)にbicarbonate buffer(pH9.0)を用いてZYMBGまたはCSBGを被覆し、4℃で一晩インキュベートした。PBSTで洗浄後、1% BPBSTで37℃、60分間ブロッキングした。PBSTで洗浄後、標準抗体(ヒトIgG抗体、Sigma, Product number I-4506)およびサンプル(50μL)を加え、37℃、60分間インキュベートした後、PBSTで洗浄した。二次抗体としてペルオキシダーゼ共益化抗ヒトIgG+M+A(Sigma)を50μL加え、再び37℃、60分間インキュベートした。PBSTで洗浄後、ペルオキシダーゼ基質(TMB microwell peroxidase sytem、KPL Inc.)を用いて発色させた。1 Nリン酸で反応を停止させた後、吸光度(OD 450/Ref.630)を測定した。

実施例1:ヒトグロブリン製剤中の抗BG抗体の測定
ヒトプール血清より調製されたヒトグロブリン製剤(ポリグロブリンN、BAYWER)、グロブリン試薬である human immunoglobulin G(Sigma)由来イムノグロブリンの抗BG抗体価を、希釈系列を作成し測定した。
結果は図1および図2に示したとおりであり、ポリグロブリンNでは12800倍希釈、human immunoglobulin Gでは5000倍希釈でも抗BG抗体価が測定可能であった。
以上の結果から、ZYMBG固相化プレートを使用する本願発明の測定系によってヒト生体試料における抗BG抗体を高感度で測定できることが確認された。

実施例2:可溶性抗原添加による競合的ELISAでの結合抗体特異性の検討
ポリグロブリンN 4000倍希釈のZYMBG固相化プレートへの添加時に、可溶性抗原として、様々な標準多糖を同時に添加し、プレートと可溶性抗原間で抗体結合を競合させることにより、反応抗体の特異性を検討した。
結果は図3に示したとおりである。ZYMBGの添加により、添加量依存的に抗体結合が抑制されたが、酵母由来マンナンでは抑制されなかった。この結果から、本願発明の測定系はBG特異的結合抗体を測定することが確認された。
ZYMBGと同様に、CSBG(β1,3、1,6-glucan)を添加した場合にも抗体結合は強く抑制されたが、6分岐β1,3-glucanやGRNの添加では抗体結合はほとんど抑制されなかった。この結果から、抗BG抗体はCSBGに対しても高い反応性を示すことが確認された。また、AgHWE、LAM(β1,6-glucan>>β1,3-glucan)およびASBG(β1,6-glucan<<β1,3-glucan)の添加によっても抗体結合が抑制されたことから、本願発明の測定系はβ1,6-glucan鎖とβ1,3-glucan鎖を認識する抗体を測定していることが確認された。

実施例3:ヒト血清中の抗BG抗体の測定
健常ヒト血清(8例)において希釈系列を作成し、CSBG固相化プレートを用いて抗BG抗体力価を測定した。
結果は図4に示したとおりである。いずれの個体においても抗BG抗体の存在が確認された。またヒト血清中の抗BG抗体の測定に適正な血清希釈率は2000倍程度であることが確認された。以下の実施例では、ヒト血清中抗BG抗体の測定は、血清2000倍希釈にて行った。

実施例4:標準血清を用いた検量線の作成
ヒトグロブリン製剤より、酵母由来の水不溶性β-グルカンを担体として精製した抗体画分を標準抗体として用い、希釈系列を作成し、検量線を作成した。
得られた検量性は図5のとおりである。40、160、640および2560倍希釈の範囲において直線的な検量線が得られた。これらの希釈率の吸光度から抗体力価をそれぞれ3200、800、200、50 unitとし、以後、この検量線を用いて検体の力価測定を行った。

実施例5:検量線を用いたヒト血清中の抗BG抗体力価の測定
健常ヒト血清(24例)における抗BG抗体力価を、実施例4で作成した検量線を用いて測定した。
結果は図6に示したとおりである。平均力価は約2370 unitであり、4360 unitから630 unitの間において力価の個体差が存在した。

実施例6:キノコ系機能性食品服用者における抗体力価の変化
β-グルカンはキノコの主要構成多糖成分であることが知られている。そこで、食用薬用・健康食品であるAgaricus brasiliensis抽出物(King Agaricus)を服用した健常者(年齢43±11、男性13名、女性14名)の抗BG抗体力価を測定した。対照としては、プラセボを服用した健常者(年齢45±9、男性12名、女性23名)について同様の測定を行った。なお、抗体力価には個体差が存在するため、服用前の抗BG抗体価(unit)に対する服用後の増加率で抗体力価の変化を評価した。
結果は図7に示したとおりである。プラセボ服用者と比較して、アガリクス服用者では抗BG抗体価の増加率が高い傾向を示した。

実施例7:抗BG抗体アイソタイプの検討
抗体にはいくつかのアイソタイプが存在する。抗BG抗体にもIgG、IgM、IgAクラスが存在することが明らかとなってきた。検出する二次抗体のロット間の安定性から特定のアイソタイプを測定することが望ましい。そこで、どのアイソタイプを測定するのが適切かを健常者77例における各抗BGアイソタイプ(IgG、IgM、IgA)抗体力価を比較検討した。
その結果、IgGクラスが高い力価を示したことから、IgGが主たる抗BG抗体アイソタイプであり、測定系における二次抗体として抗IgG抗体の使用が好ましいことが確認された。

実施例8:唾液中抗BG抗体価の測定
Slivette(SARSTEDT社製)を口腔内で左右30回ずつ被験者に噛ませて唾液試料を採取し、2分間1000回転で遠心を行なった。上清を回収し、アジ化ナトリウム0.09%を含有する生理食塩水で2倍希釈し、-80℃で冷凍保存した。採取したヒト健常人唾液をサンプルNo. 1-4として希釈系列を作成し、CSBG固相化プレートを用いて唾液中抗BG抗体力価を測定した。その際にブロッキング剤としてどんな物質が適しているのかを検討するため、BPBSTとカゼインNaを用いて比較検討を行なった(図8)。
1%BPBSTをブロッキング剤として用いた場合には、唾液の希釈依存的に吸光度が減少し、唾液中CSBG反応性IgAの存在を示唆した。しかしながら、CSBG固相化を行なっていない場合では、CSBG固相化を行なった場合の吸光度の10〜70%を呈した(図8の左上、左下)。このことから、BPBSTブロッキング条件では、非特異的な反応を検出している可能性が考えられた。一方、ブロッキング剤として1% caseinを用いた場合には(図8の右上、右下)、CSBG固相化プレートでは唾液の希釈依存的に吸光度が減少し、CSBG固相化なしのプレートではCSBG固相化を行なった場合の吸光度の10%未満を呈した。このことからブロッキング剤として1%caseinが適していることが示唆され、唾液中抗BG抗体価の測定が可能であることが示された。

実施例9:可溶性抗原添加による競合ELISAによる結合抗体(測定抗体)特異性の検討
実施例8に記載したサンプルNo. 1-4の80倍希釈の唾液をCSBG固相化プレートへ添加する際に、可溶性抗原として様々な標準多糖を同時に添加し、固相と可溶性抗原間で抗体結合を競合させることにより反応抗体の特異性を検討した。
結果は図9に示したとおりである。Candida細胞壁由来長鎖β1,6-グルカン側鎖を有するβ1,3-グルカン(CSBG)で強く抑制されたが、6分岐β1,3-グルカン(GRN)ではほとんど抑制されなかった。従って、唾液中抗体は、長鎖β1,6-グルカン側鎖を有するβ1,3-グルカンに高反応性を示すことが示唆された。また、AgHWE(β1,6-グルカン>β1,3-グルカン)、ASBG(β1,3-グルカン>β1,6-グルカン)いずれの添加によっても抑制されることから、本測定系はβ1,6-グルカン鎖とβ1,3-グルカン鎖を認識する抗体を測定していることが示唆された。

実施例10:ヒト唾液中抗BG抗体価の経時変化の検討
実施例8と同様のヒト唾液中抗BG抗体の測定法を用いて、一日の様々な時点で唾液を採取し、どのような日内変動が見られるのか検討した。なお唾液はブロッキング剤であるcaseinでそれぞれ10倍、20倍、40倍、100倍希釈し、実験に用いた。
結果は図10に示したとおりであり、一日の中で唾液中の抗BG抗体IgA力価には、経時変化が認められ、特に起床時に高力価を示すということが明らかになった。

実施例11:検体の唾液中抗BG抗体価の比較
実施例8と同様のヒト唾液中抗BG抗体の測定法を用いて、ヒト唾液(8例)において希釈系列を作成し、抗BG抗体力価を測定した。
結果は図11に示したとおりであり、いずれの個人においても抗BG抗体の存在が確認され、力価に個人差があることが明らかになった。
様々な希釈率のポリグロビンNにおける抗BG抗体価を、ZYMBG固相価プレートおよびCSBG固相化プレートを用いて測定した結果である。 様々な希釈率のヒトIgGにおける抗BG抗体価を、ZYMBG固相価プレートおよびCSBG固相化プレートを用いて測定した結果である。 ZYMBG固相化プレートへの血清添加時に、様々な標準多糖を同時に添加し、プレートと可溶性抗原間で抗体結合を競合させるた場合の抗BG抗体の結合量を示した結果である。 健常ヒト血清(8例)において希釈系列を作成し、CSBG固相化プレートを用いて抗BG抗体力価を測定した結果である。 ヒトグロブリン製剤より、酵母由来の水不溶性β-グルカンを担体として精製した抗体画分を標準抗体として用いて作成した検量線である。縦軸は吸光度、横軸は抗体の希釈倍率である。4係数Logistic:Log-Log, Y=k/(1+((X/c)^b))+r: Y=Exp(Y), K=6.75777, b=-0.61407, c=636.98124, r=-5.45415 健常ヒト血清(24例)における抗BG抗体力価を、図5の検量線を用いて測定した結果である。 プラセボ服用者アガリクス服用者での抗BG抗体価を測定した結果である。 各希釈率で希釈したヒト健常人唾液の抗BG抗体化を吸光度を指標として測定した結果である。左上は、BPBSTをブロッキング剤として希釈した唾液をCSBG固相化プレートに接触させた場合、左下はBPBSTをブロッキング剤として希釈した唾液をCSBG固相化なしのプレートに接触させた場合、右上はCaseinをブロッキング剤として希釈した唾液をCSBG固相化プレートに接触させた場合、右下はCaseinをブロッキング剤として希釈した唾液をCSBG固相化なしのプレートに接触させた場合である。 CSBG固相化プレートへの希釈唾液添加時に、様々な標準多糖を同時に添加し、プレートと可溶性抗原間で抗体結合を競合させた場合の抗BG抗体の結合量を示した結果である。 ヒト唾液中の抗BG抗体価の経時的変化を測定した結果である。 8例のヒト唾液の抗BG抗体価を比較した結果である。

Claims (9)

  1. 酵母または真菌から精製したβ-グルカンに被験者から単離した唾液を接触させ、β-グルカンに結合した唾液中の抗β-グルカン抗体量を検出することを特徴とする抗β-グルカン抗体測定方法。
  2. β-グルカンが、酵母(Saccharomyces cerevisiae)または真菌(Candida)から精製したβ-グルカンである請求項1の測定方法。
  3. 酵母(Saccharomyces cerevisiae)から精製したβ-グルカンが、Zymosan Aから精製したβ-グルカン(ZYMBG)である請求項2の測定方法。
  4. 真菌(Candida)から精製したβ-グルカンが、Candida細胞壁から精製したβ-グルカン(CSBG)である請求項2の測定方法。
  5. β-グルカンを固相化したプレートに唾液を接触させる請求項1の測定方法。
  6. 遠心分離した唾液上清を接触させる請求項1から5のいずれか1項の測定方法。
  7. 標識化抗IgG二次抗体によって抗β-グルカン抗体を検出する請求項1の測定方法。
  8. 被験者唾液中の抗β-グルカン抗体を測定するキットであって、少なくとも、
    (1)酵母(Saccharomyces cerevisiae)から精製したβ-グルカンを固相化した担体、
    (2)標識化抗IgG二次抗体
    を含むことを特徴とする抗β-グルカン抗体測定キット。
  9. 酵母(Saccharomyces cerevisiae)から精製したβ-グルカンが、Zymosan Aから精製したβ-グルカン(ZYMBG)である請求項8の測定キット。
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