JP4977973B2 - 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 - Google Patents
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Description
近年、環境保護の観点からハロゲン化樹脂やアンチモン化合物に量規制の動きがあり、封止用エポキシ樹脂成形材料についてもノンハロゲン化(ノンブロム化)及びノンアンチモン化の要求が出てきている。また、プラスチック封止ICの高温放置特性にブロム化合物が悪影響を及ぼすことが知られており、この観点からもブロム化樹脂量の低減が望まれている。
また金属水酸化物の中で水酸化マグネシウムは耐熱性が高く、封止用エポキシ樹脂成形材料に好適に使用される可能性が示唆されていた。しかし、多量に添加しないと難燃性が発現せず、これにより流動性等の成形性が損なわれるといった問題があった。また耐酸性に劣るため、半導体装置作製時の半田メッキ工程にて表面が腐食され白化現象が起こるといった問題も有していた。このような問題は上記表面処理にても解決できるものではなかった。
以上のようにこれらノンハロゲン、ノンアンチモン系の難燃剤、充填剤の割合を高くする方法及び難燃性の高い樹脂を使用する方法では、いずれの場合もブロム化樹脂と酸化アンチモンを併用した封止用エポキシ樹脂成形材料と同等の成形性、信頼性及び難燃性を得るに至っていない。
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、ノンハロゲンかつノンアンチモンで、成形性、耐リフロー性、耐湿性及び高温放置特性等の信頼性を低下させずに難燃性が良好な封止用エポキシ樹脂材料、及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提供しようとするものである。
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)水酸化マグネシウムを含有し、(C)水酸化マグネシウムがシリカにて被覆されているものを含む封止用エポキシ樹脂成形材料。
(2)シリカにて被覆されている水酸化マグネシウムが水酸化マグネシウムに対してSiO2換算にて0.1〜20質量%のシリカからなる被覆層を有する上記(1)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(3)シリカにて被覆されている水酸化マグネシウムがシリカからなる被覆層の上にアルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種を被覆しているものを含む上記(1)又は(2)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(4)シリカにて被覆されている水酸化マグネシウムがシリカからなる被覆層の中にアルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種を含有しているものを含む上記(1)又は(2)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(5)シリカ被覆層の上に被覆又はシリカ被覆層に含有しているアルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種が水酸化マグネシウムに対してAl2O3、TiO2及びZrO2換算にて0.03〜10質量%である上記(3)又は(4)いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(6)シリカにて被覆されている水酸化マグネシウムがシリカからなる被覆層の上に高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理されてなる上記(1)又は(2)いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(7)アルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種をシリカ被覆層の上に被覆又はシリカ被覆層に含有している水酸化マグネシウムがさらに高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理されてなる上記(3)〜(5)いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(8)(C)水酸化マグネシウムが(A)エポキシ樹脂100質量部に対し、5〜300質量部含有する上記(1)〜(7)いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(10)(D)金属酸化物が典型金属元素の酸化物及び遷移金属元素の酸化物から選ばれる上記(9)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(11)(D)金属酸化物が亜鉛、マグネシウム、銅、鉄、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、マンガン及びカルシウムの酸化物の少なくとも1種である上記(10)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(12)(A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトール・アラルキル型フェノール樹脂の少なくとも1種を含有する上記(1)〜(11)いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(13)硫黄原子含有エポキシ樹脂が下記一般式(I)で示される化合物である上記(12)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(14)(B)硬化剤がビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の少なくとも1種を含有する上記(1)〜(13)いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(16)(E)硬化促進剤がホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を含む上記(15)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(17)(E)硬化促進剤が、リン原子に少なくとも一つのアルキル基が結合したホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を含む上記(16)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(18)(F)カップリング剤をさらに含有する上記(1)〜(17)いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(19)(F)カップリング剤が2級アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する上記(18)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(20)2級アミノ基を有するシランカップリング剤が下記一般式(II)で示される化合物を含有する上記(19)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(21)(G)リン原子を有する化合物をさらに含有する上記(1)〜(20)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(22)(G)リン原子を有する化合物がリン酸エステル化合物を含有する上記(21)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(23)リン酸エステル化合物が下記一般式(III)で示される化合物を含有する上記(22)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(24)(G)リン原子を有する化合物がホスフィンオキサイドを含有し、該ホスフィンオキサイドが下記一般式(IV)で示されるホスフィン化合物を含有する上記(21)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(26)(H)成分および(I)成分の少なくとも一方が、(A)成分の一部または全部と予備混合されてなる上記(25)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(27)(J)無機充填剤をさらに含有する上記(1)〜(26)いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(28)(C)水酸化マグネシウムと(J)無機充填剤の含有量の合計が封止用エポキシ樹脂成形材料に対して60〜95質量%である上記(27)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
(29)上記(1)〜(28)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止された素子を備えた電子部品装置。
上記一般式(VI)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂はとしては、例えば、R1、R3、R6及びR8がメチル基で、R2、R4、R5及びR7が水素原子であり、n=0を主成分とするYSLV−80XY(新日鐵化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(VII)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂は、原料であるスチルベン系フェノール類とエピクロルヒドリンとを塩基性物質存在下で反応させて得ることができる。この原料であるスチルベン系フェノール類としては、たとえば3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5′,6−トリメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジ−t−ブチル−5,5´−ジメチルスチルベン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジ−t−ブチル−6,6´−ジメチルスチルベン等が挙げられ、なかでも3−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、及び4,4´−ジヒドロキシ−3,3´,5,5´−テトラメチルスチルベンが好ましい。これらのスチルベン型フェノール類は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(I)で示される硫黄原子含有エポキシ樹脂のなかでも、R2、R3、R6及びR7が水素原子で、R1、R4、R5及びR8がアルキル基であるエポキシ樹脂が好ましく、R2、R3、R6及びR7が水素原子で、R1及びR8がt−ブチル基で、R4及びR5がメチル基であるエポキシ樹脂がより好ましい。このような化合物としては、YSLV−120TE(東都化成株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上とすることがさらに好ましい。
上記一般式(VIII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることによって容易に得られる。なかでも、一般式(VIII)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一般式(VIII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のなかでも、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。N−600シリーズ(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
ノボラック型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましい。
上記式(IX)中のR1としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び水素原子がより好ましい。R2としては、たとえば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換アルキル基などの炭素数1〜5の置換又は非置換の一価の炭化水素基が挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。HP−7200(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましい。
上記一般式(X)で示されるナフタレン型エポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両者を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上とすることがさらに好ましい。
ビフェニレン型エポキシ樹脂としてはNC−3000(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。またナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂としてはESN−175(東都化成株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
これらのビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両者を組合わせて用いてもよいが、その配合量は、その性能を発揮するためにエポキシ樹脂全量に対して合わせて20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上とすることがさらに好ましい。
なかでも、難燃性の観点からはビフェニル型フェノール樹脂が好ましく、耐リフロー性及び硬化性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂が好ましく、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が好ましく、耐熱性、低膨張率及び低そり性の観点からはトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましく、硬化性の観点からはノボラック型フェノール樹脂が好ましく、これらのフェノール樹脂の少なくとも1種を含有していることが好ましい。
上記一般式(XIV)で示されるビフェニル型フェノール樹脂としては、たとえばR1〜R9が全て水素原子である化合物等が挙げられ、なかでも溶融粘度の観点から、nが1以上の縮合体を50質量%以上含む縮合体の混合物が好ましい。このような化合物としては、MEH−7851(明和化成株式会社製商品名)が市販品として入手可能である。
ビフェニル型フェノール樹脂を使用する場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂を用いる場合、その配合量は、その性能を発揮するために硬化剤全量に対して30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。
(化20)
p(M1 aOb)・q(M2 cOd)・r(M3 cOd)・mH2O (XIX)
(組成式(XIX)で、M1、M2及びM3は互いに異なる金属元素を示し、M1がマグネシウム元素で、a、b、c、d、p、q及びmは正の数、rは0又は正の数を示す。)
なかでも、上記組成式(XIX)中のrが0である化合物、すなわち、下記組成式(XIXa)で示される化合物がさらに好ましい。
(化21)
m(M1 aOb)・n(M2 cOd)・l(H2O) (XIXa)
(組成式(XIXa)で、M1及びM2は互いに異なる金属元素を示し、M1がマグネシウム元素で、a、b、c、d、m、n及びlは正の数を示す。)
上記組成式(XIX)及び(XIXa)中のM1及びM2は、M1がマグネシウム元素で一方はマグネシウム元素と異なる金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点からは、M1とM2が同一とならないようにマグネシウム以外の元素が第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、M2がIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、M1がマグネシウム、M2がカルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、M1がマグネシウム、M2が亜鉛又はニッケルであることが好ましく、M1がマグネシウムでM2が亜鉛であることがより好ましい。上記組成式(XIX)中のp、q、rのモル比は本発明の効果が得られれば特に制限はないが、r=0で、p及びqのモル比p/qが99/1〜50/50であることが好ましい。すなわち、上記組成式(XIXa)中のm及びnのモル比m/nが99/1〜50/50であることが好ましい。
なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期律表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。
被覆方法は特に限定するものではないが、アルミナの場合はアルミン酸ナトリウムと酸、チタニアの場合は硫酸チタニルとアルカリ、ジルコニアの場合は硫酸ジルコニルとアルカリをそれぞれ、シリカ被覆を形成させた水酸化マグネシウムスラリー中に加えて析出させる方法がある。
本被覆の割合はどちらの場合も水酸化マグネシウムに対してAl2O3、TiO2及びZrO2換算にて0.03〜10質量%であることが好ましい。0.03質量%未満であると耐酸性やろ過性に劣る傾向があり、10質量%を超える場合は難燃性が劣る傾向にある。
これらの酸性リン酸エステルは金属塩、即ち周期律表第IA、IIA、IIB及び IIIA族から選ばれる少なくとも1種の金属の塩であってもよい。従って、好ましい例としてリチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩等を挙げることができる。
また、このような表面処理剤による水酸化マグネシウム粒子の表面処理は、湿式、乾式のいずれでも行うことができる。
水酸化マグネシウム粒子を湿式にて表面処理する場合には、例えば、前述したように、水酸化マグネシウムのスラリー中にて水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆を形成し、次いで、その水酸化マグネシウムのスラリーにエマルジョン、水溶液又は分散液等の適宜の形態にて表面処理剤を加え、温度20〜95℃、好ましくは加熱下に、pH6〜12の範囲で攪拌、混合した後、水酸化マグネシウム粒子を濾過、水洗、乾燥し、粉砕すればよい。
また、水酸化マグネシウム粒子を乾式にて表面処理する場合には、前述したように水酸化マグネシウムのスラリー中にて水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆を形成した後、水酸化マグネシウム粒子を濾過し、水洗、乾燥し、粉砕し、これを5〜300℃、好ましくは加熱下に、表面処理剤と攪拌、混合すればよい。本発明における難燃剤は、このように、表面にシリカからなる被覆層を有するものを含む水酸化マグネシウム粒子からなり、好ましくは、そのような被覆された水酸化マグネシウム粒子を更に前記表面処理剤にて表面処理してなり、高い耐酸性を有する。特に本発明によれば、表面処理剤として、オルガノシロキサン、シランカップリング剤又はオルガノシランを用いることによって、すぐれた耐酸性を有する難燃剤を得ることができる。中でも最も好ましい表面処理剤はオルガノポリシロキサンであり、オルガノポリシロキサンのなかでも、特に、メチルハイドロジェンポリシロキサンが耐酸性の観点から好ましい。
なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期律表(出典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。
(D)金属酸化物の配合量は(A)エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜100質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましく、3〜20質量部であることがさらに好ましい。0.1質量部未満であると、難燃性の効果に劣る傾向があり、また100質量部を超えると流動性や硬化性が低下する傾向にある。
硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成される量であれば特に制限されるものではないが、封止用エポキシ樹脂成形材料に対して0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。0.005質量%未満では短時間での硬化性に劣る傾向があり、2質量%を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形品を得ることが困難になる傾向がある。
これらの無機充填剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、充填性、線膨張係数の低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましく、無機充填剤の形状は充填性及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。
無機充填剤の配合量は、難燃性、成形性、吸湿性、線膨張係数低減、強度向上及び耐リフロー性の観点から、(C)水酸化マグネシウムと合計して封止用エポキシ樹脂成形材料に対して50質量%以上が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜90質量%がさらに好ましい。60質量%未満では難燃性及び耐リフロー性が低下する傾向があり、95質量%を超えると流動性が不足する傾向があり、また難燃性も低下する傾向にある。
熱硬化性樹脂で被覆された赤リンに用いられる熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シアナート樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、アニリン−ホルマリン樹脂、フラン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。また、これらの樹脂のモノマー又はオリゴマーを用いて被覆と重合を同時に行い、重合によって製造された熱硬化樹脂が被覆されるものでもよく、熱硬化性樹脂は、被覆後に硬化されていてもよい。なかでも、封止用エポキシ樹脂成形材料に配合されるベース樹脂との相溶性の観点からは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂が好ましい。
無機化合物及び有機化合物で被覆された赤リンに用いられる無機化合物としては、たとえば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、含水酸化ジルコニウム、水酸化ビスマス、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化鉄等が挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、リン酸イオン捕捉効果に優れる水酸化ジルコニウム、含水酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム及び酸化亜鉛が好ましい。
また、無機化合物及び有機化合物で被覆された赤リンに用いられる有機化合物としては、たとえば、カップリング剤やキレート剤など表面処理に用いられる低分子量の化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の比較的高分子量の化合物などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、被覆効果の観点から熱硬化性樹脂が好ましく、封止用エポキシ樹脂成形材料に配合されるベース樹脂との相溶性の観点からエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂がより好ましい。
赤リンを無機化合物及び有機化合物で被覆する場合、その被覆処理の順序は、無機化合物で被覆した後に有機化合物で被覆しても、有機化合物で被覆した後に無機化合物で被覆しても、両者の混合物を用いて両者を同時に被覆してもよい。また、被覆形態は、物理的に吸着したものでも、化学的に結合したものでも、その他の形態であってもよい。また、無機化合物と有機化合物は、被覆後に別個に存在していても、両者の一部又は全部が結合した状態であってもよい。
無機化合物及び有機化合物の量は、無機化合物と有機化合物の質量比(無機化合物/有機化合物)は、1/99〜99/1が好ましく、10/90〜95/5がより好ましく、30/70〜90/10がさらに好ましく、このような質量比となるように無機化合物及び有機化合物又はその原料となるモノマー、オリゴマーの使用量を調整することが好ましい。
赤リンの粒径は、平均粒径(粒度分布で累積50質量%となる粒径)が1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。平均粒径が1μm未満では、成形品のリン酸イオン濃度が高くなって耐湿性に劣る傾向があり、100μmを超えると、狭いパッドピッチの高集積・高密度化半導体装置に用いた場合、ワイヤの変形、短絡、切断等による不良が生じやすくなる傾向がある。
上記式(III)のリン酸エステル化合物を例示すると、下記構造式(XX)〜(XXIV)で示されるリン酸エステル等が挙げられる。
上記一般式(IV)で示されるホスフィン化合物の中でも、耐加水分解性の観点からはR1〜R3が置換又は非置換のアリール基であることが好ましく、特に好ましくはフェニル基である。
ホスフィンオキサイドの配合量は封止用エポキシ樹脂成形材料に対してリン原子の量が0.01〜0.2質量%であることが好ましい。より好ましくは0.02〜0.1質量%であり、さらに好ましくは0.03〜0.08質量%である。0.01質量%未満であると難燃性が低下する傾向があり、0.2質量%を超えると成形性、耐湿性が低下する傾向がある。
これらの中で、エポキシ樹脂成形材料の耐熱性、耐湿性の観点からはアリール基が好ましく、より好ましくはフェニル基もしくはヒドロキシフェニル基である。
また、上記式(XXV)〜式(XXVIII)中のAで示される炭素数1〜4のアルキレン基又はアリレン基としては特に制限はないが、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基及びビフェニレン基等が挙げられ、エポキシ樹脂成形材料の耐熱性、耐湿性の観点からはアリレン基が好ましく、中でもフェニレン基がより好ましい。
環状ホスファゼン化合物として好ましいものを例示すると、次式(XXIX)の重合物、次式(XXX)の共重合物等が挙げられる。
中でも、上記式(XXIX)でnが3〜6の重合体を主成分とするものや、上記式(XXX)でR1〜R6が全て水素原子又は1つが水酸基であり、n/mが1/2〜1/3で、n+mが3〜6の共重合体を主成分とするものが好ましい。また、市販のホスファゼン化合物としては、SPE−100(大塚化学株式会社製商品名)等が入手可能である。
また、酸化ポリエチレンとは、酸価を有するポリエチレンをいう。(H)成分の重量平均分子量は、離型性の観点から4,000以上であることが好ましく、接着性、金型・パッケージの汚れ防止の観点からは30,000以下であることが好ましく、5,000〜20,000がより好ましく、7,000〜15,000がさらに好ましい。ここで、重量平均分子量は、高温GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した値をいう。なお、本発明での高温GPC測定方法は以下のとおりである。
測定器:Waters社製高温GPC
(溶媒:ジクロロベンゼン
温度:140℃、
標準物質:ポリスチレン)
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製商品名PLgel MIXED‐B
10μm(7.5mm×300mm)×2本
流量:1.0ml/分(試料濃度:0.3wt/vol%)
(注入量:100μl)
また、(H)成分の酸価は、特に制限はないが、離型性の観点から2〜50mg/KOHであることが好ましく、10〜35mg/KOHがより好ましい。
(H)成分の配合量は、特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂に対して0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。配合量が0.5質量%未満では離型性が低下する傾向にあり、10質量%を超えると接着性及び金型・パッケージ汚れの改善効果が不充分となる場合がある。
上記一般式(XXXI)および(XXXII)中のmは、無水マレイン酸1モルに対しα−オレフィンを何モル共重合させたかを示し、特に制限はないが、0.5〜10が好ましく、0.9〜1.1がより好ましい。
このような化合物としては、
(1)主鎖骨格が式(a)〜(f)のいずれか1種単独で構成されるもの、
(2)主鎖骨格中に式(a)〜(f)のいずれか2種以上をランダムに含むもの、規則的に含むもの、ブロック状に含むもの、
(3)主鎖骨格中に式(a)〜(f)のいずれか1種または2種以上と式(g)および(h)の少なくとも一方とをランダムに含むもの、規則的に含むもの、ブロック状に含むもの、
等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、(4)主鎖骨格中に式(g)および(h)をランダムに含むもの、規則的に含むもの、ブロック状に含むもの、と
(5)主鎖骨格が式(g)または(h)のいずれか単独で構成されるもの、
との、いずれかまたは両方を含んでいてもよい。
上記式(a)〜(h)中のmは、無水マレイン酸1モルに対しα−オレフィンを何モル共重合させたかを示し、特に制限はないが、0.5〜10が好ましく、0.9〜1.1がより好ましい。
また、(I)成分の重量平均分子量は、金型・パッケージ汚れ防止及び成形性の観点から5,000〜100,000とすることが好ましく、10,000〜70,000がより好ましく、15,000〜50,000がさらに好ましい。重量平均分子量が5,000未満では金型・パッケージ汚れを防ぐ効果が低い傾向にあり、100,000を超えると化合物の軟化点が上昇し、混練性等に劣る傾向がある。ここで、重量平均分子量は、常温GPCで測定した値をいう。本発明での常温GPCによる重量平均分子量の測定方法は以下のとおりである。
測定器:島津製作所製LC−6C
カラム:shodex KF‐802.5+KF‐804+KF‐806
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
温度:室温(25℃)
標準物質:ポリスチレン
流量:1.0ml/分(試料濃度 約0.2wt/vol%)
注入量:200μl
(I)成分の配合量は、特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂に対して0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。配合量が0.5質量%未満では離型性が低下する傾向にあり、10質量%を超えると耐リフロー性が低下する傾向にある。
予備混合の方法は、特に制限するものではなく、(H)成分および(I)成分の少なくとも一方が(A)成分のエポキシ樹脂中に分散されればいかなる方法を用いてもよいが、たとえば、室温〜220℃で0.5〜20時間撹拌する等の方法が挙げられる。分散性、生産性の観点からは、温度を100〜200℃、より好ましくは150〜170℃、撹拌時間を1〜10時間、より好ましくは3〜6時間とすることが好ましい。
予備混合するための(H)成分および(I)成分の少なくとも一方は、(A)成分の全量と予備混合してもよいが、一部と予備混合することでも十分な効果が得られる。その場合、予備混合する(A)成分の量は、(A)成分の全量の10〜50質量%とすることが好ましい。
また、(H)成分と(I)成分とのいずれか一方を(A)成分と予備混合することで、分散性向上の効果が得られるが、(H)成分および(I)成分の両方を(A)成分と予備混合した方がより効果が高く好ましい。予備混合する場合の3成分の添加順序は、特に制限はなく、全てを同時に添加混合しても、(H)成分と(I)成分とのいずれか一方を先に(A)成分と添加混合し、その後残りの成分を添加混合してもよい。
(化34)
Mg1−xAlx(OH)2(CO3)x/2・mH2O (XXXIII)
(上記式(XXXIII)中 0<x≦0.5、mは正の数)
さらに、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には、その他の添加剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、エステル系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の離型剤、カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイルやシリコーンゴム粉末等の応力緩和剤などを必要に応じて配合することができる。
本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を封止材として用いて、半導体装置等の電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等も挙げられる。ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等を用いてもよい。
ここで、実装基板としては特に制限するものではなく、たとえば、有機基板、有機フィルム、セラミック基板、ガラス基板等のインターポーザ基板、液晶用ガラス基板、MCM(Multi Chip Module)用基板、ハイブリットIC用基板等が挙げられる。
(実施例用水酸化マグネシウムの合成例)
(1)水酸化マグネシウム1
水酸化マグネシウムのスラリー(濃度:150g/リットル)20リットルを80℃に加熱し、ケイ酸ナトリウムをSiO2として450g加えた後、スラリーのpHが9になるまで硫酸を1時間かけて滴下し、このスラリーを80℃/1時間加熱した。このスラリーから表面処理水酸化マグネシウムをろ過にて分離、水洗、乾燥、粉砕して水酸化マグネシウム1を得た。
(2)水酸化マグネシウム2
水酸化マグネシウムのスラリー(濃度:150g/リットル)20リットルを80℃に加熱し、ケイ酸ナトリウムをSiO2として300g加えた後、スラリーのpHが9になるまで硫酸を1時間かけて滴下し、このスラリーを80℃/1時間加熱した。次にこのスラリーにメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを含むエマルジョンを加え、80℃で1時間攪拌した後、このスラリーから表面処理水酸化マグネシウムをろ過にて分離、水洗、乾燥、粉砕して水酸化マグネシウム2を得た。
(3)水酸化マグネシウム3
水酸化マグネシウムのスラリー(濃度:150g/リットル)20リットルを80℃に加熱し、ケイ酸ナトリウムをSiO2として90g加えた後、スラリーのpHが9になるまで硫酸を1時間かけて滴下し、このスラリーを80℃/1時間加熱した。この後、pHを9に保ちながら、アルミン酸ナトリウムをAl2O3換算にて30gと硫酸を加え、1時間加熱した。次にこのスラリーにメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを含むエマルジョンを加え、80℃で1時間攪拌した後、このスラリーから表面処理水酸化マグネシウムをろ過にて分離、水洗、乾燥、粉砕して水酸化マグネシウム3を得た。
(4)水酸化マグネシウム4
水酸化マグネシウムのスラリー(濃度:150g/リットル)20リットルを80℃に加熱し、ケイ酸ナトリウムをSiO2として90g加えた後、スラリーのpHが9になるまで硫酸を1時間かけて滴下し、このスラリーを80℃/1時間加熱した。次にこのスラリーにデシルトリメトキシシラン90gを含むエマルジョンを加え、80℃で1時間攪拌した後、このスラリーから表面処理水酸化マグネシウムをろ過にて分離、水洗、乾燥、粉砕して水酸化マグネシウム4を得た。
(5)水酸化マグネシウム5
水酸化マグネシウムのスラリー(濃度:150g/リットル)20リットルを80℃に加熱し、ケイ酸ナトリウムをSiO2として90g加えた後、スラリーのpHが9になるまで硫酸を1時間かけて滴下し、このスラリーを80℃/1時間加熱した。次にこのスラリーにステアリン酸ナトリウムの10wt%水溶液0.9リットルを加え、80℃で1時間攪拌した後、このスラリーから表面処理水酸化マグネシウムをろ過にて分離、水洗、乾燥、粉砕して水酸化マグネシウム5を得た。
(6)水酸化マグネシウム6
水酸化マグネシウムのスラリー(濃度:150g/リットル)20リットルを80℃に加熱し、ケイ酸ナトリウムをSiO2として1.5g加えた後、スラリーのpHが9になるまで硫酸を1時間かけて滴下し、このスラリーを80℃/1時間加熱した。このスラリーから表面処理水酸化マグネシウムをろ過にて分離、水洗、乾燥、粉砕して水酸化マグネシウム6を得た。
(7)水酸化マグネシウム7
水酸化マグネシウムのスラリー(濃度:150g/リットル)20リットルを80℃に加熱し、ケイ酸ナトリウムをSiO2として900g加えた後、スラリーのpHが9になるまで硫酸を1時間かけて滴下し、このスラリーを80℃/1時間加熱した。このスラリーから表面処理水酸化マグネシウムをろ過にて分離、水洗、乾燥、粉砕して水酸化マグネシウム7を得た。
(8)水酸化マグネシウム8
水酸化マグネシウムのスラリー(濃度:150g/リットル)20リットルをろ過にて分離、水洗、乾燥、粉砕した。この水酸化マグネシウムを乾式で攪拌しながらメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを加え、10分間攪拌した後、150℃/1時間加熱処理して水酸化マグネシウム8を得た。
(9)水酸化マグネシウム9
何も処理を施さない水酸化マグネシウムを水酸化マグネシウム9とした。
合成した各種水酸化マグネシウムの処理比率を表1に示す。
α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合物として1−エイコセン、1−ドコセンおよび1−テトラコセンの混合物と無水マレイン酸との共重合物(日本油脂株式会社製商品名ニッサンエレクトールWPB−1)、一価のアルコールとしてステアリルアルコールを用い、これらをトルエンに溶解して100℃で8時間反応させた後、160℃まで段階的に昇温しながらトルエンを除去し、さらに減圧下160℃で6時間反応させて未反応分を除去し、重量平均分子量34,000、モノエステル化率70モル%のエステル化化合物((I)成分:離型剤3)を得た。ここで、重量平均分子量は、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いてGPCで測定した値である。
エポキシ樹脂として、エポキシ当量196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名エピコートYX−4000H:エポキシ樹脂1)、エポキシ当量245、融点110℃の硫黄原子含有エポキシ樹脂(東都化成株式会社製商品名YSLV−120TE:エポキシ樹脂2)、エポキシ当量266、軟化点67℃のβ−ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製商品名ESN−175:エポキシ樹脂3)及びエポキシ当量195、軟化点65℃のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業株式会社製商品名ESCN−190:エポキシ樹脂4)、
硬化剤として軟化点70℃、水酸基当量175のフェノール・アラルキル樹脂(三井化学株式会社製商品名ミレックスXLC−3L:硬化剤1)、軟化点80℃、水酸基当量199のビフェニル・アラルキル樹脂(明和化成株式会社製商品名MEH−7851:硬化剤2)及び軟化点80℃、水酸基当量106のフェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製商品名H−1:硬化剤3)、
硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(硬化促進剤1)、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加物(硬化促進剤2)及びトリブチルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加物(硬化促進剤3)、
カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)、2級アミノ基を含有するシランカップリング剤としてγ−アニリノプロピルトリメトキシシラン(アニリノシラン)、
難燃剤として上記表1に示す各種表面被覆水酸化マグネシウム(水酸化マグネシウム1〜9)、酸化亜鉛、芳香族縮合リン酸エステル(大八化学工業株式会社製商品名PX−200)、トリフェニルホスフィンオキサイド、三酸化アンチモン及びエポキシ当量397、軟化点69℃、臭素含量49質量%のビスフェノールA型ブロム化エポキシ樹脂(東都化成株式会社製商品名YDB−400)、
無機充填剤として平均粒径14.5μm、比表面積2.8m2/gの球状溶融シリカ、
その他の添加剤としてカルナバワックス(離型剤1)、重量平均分子量8,800、針入度1、酸価30mg/KOHの直鎖型酸化ポリエチレン((H)成分:離型剤2:クラリアント社製商品名PED153)、上記で調製した(I)成分(離型剤3)、及びカーボンブラック(三菱化学株式会社製商品名MA−100)をそれぞれ表2〜表5に示す質量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、実施例1〜21、比較例1〜7を作製した。
(1)スパイラルフロー
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料をトランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形し、流動距離(cm)を求めた。
封止用エポキシ樹脂成形材料を上記(1)の成形条件で直径50mm×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型硬度計を用いて測定した。
厚さ1/16インチの試験片を成形する金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料を上記(1)の成形条件で成形して、さらに180℃で5時間後硬化を行い、UL−94試験法に従って難燃性を評価した。
8mm×10mm×0.4mmのシリコンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)を、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記(3)の条件で成形、後硬化して作製し、半田メッキ処理を行い、表面の腐食の度合いを目視で観察した。
縦50mm×横35mm×厚さ0.4mmのクロムめっきステンレス板を挿入し、この上に直径20mmの円板を成形する金型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形し、成形後直ちに該ステンレス板を引き抜いて最大引き抜き力を記録した。これを同一のステンレス板に対して連続で10回繰り返し、2回目から10回目までの引き抜き力の平均値を求めて評価した。
8mm×10mm×0.4mmのシリコンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)を、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記(3)の条件で成形、後硬化して作製し、85℃、85%RHの条件で加湿して所定時間毎に240℃、10秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの有無を観察し、試験パッケージ数(5個)に対するクラック発生パッケージ数で評価した。
5μm厚の酸化膜上に線幅10μm、厚さ1μmのアルミ配線を施した6mm×6mm×0.4mmのテスト用シリコンチップを搭載した外形寸法20mm×14mm×2.7mmの80ピンフラットパッケージ(QFP)を、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記(3)の条件で成形、後硬化して作製し、前処理を行った後、加湿して所定時間毎にアルミ配線腐食による断線不良を調べ、試験パッケージ数(10個)に対する不良パッケージ数で評価した。
なお、前処理は85℃、85%RH、72時間の条件でフラットパッケージを加湿後、215℃、90秒間のベーパーフェーズリフロー処理を行った。その後の加湿は0.2MPa、121℃の条件で行った。
5μm厚の酸化膜上に線幅10μm、厚さ1μmのアルミ配線を施した5mm×9mm×0.4mmのテスト用シリコンチップを、部分銀メッキを施した42アロイのリードフレーム上に銀ペーストを用いて搭載し、サーモニック型ワイヤボンダにより、200℃でチップのボンディングパッドとインナリードをAu線にて接続した16ピン型DIP(Dual Inline Package)を、封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて上記(3)の条件で成形、後硬化して作製して、200℃の高温槽中に保管し、所定時間毎に取り出して導通試験を行い、試験パッケージ数(10個)に対する導通不良パッケージ数で、高温放置特性を評価した。
これに対し、本発明の構成成分を全て含んだ実施例1〜21は全てUL−94 V−0を達成し、難燃性が良好で、また耐酸性、成形性も良好である。さらには実施例1〜17、19〜21は耐リフロー性に優れ、実施例1〜21は耐湿性及び高温放置特性に優れるといった信頼性にも優れている。
Claims (17)
- (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)水酸化マグネシウム、(J)無機充填剤、(D)金属酸化物を含有し、(C)水酸化マグネシウムがシリカにて被覆されているものを含み、(D)金属酸化物が亜鉛、マグネシウム、銅、鉄、モリブデン、タングステン、マンガン及びカルシウムの酸化物の少なくとも1種であり、
(C)水酸化マグネシウムが(A)エポキシ樹脂100質量部に対し、10〜300質量部含有し、
(C)水酸化マグネシウムと(J)無機充填剤の含有量の合計が封止用エポキシ樹脂成形材料に対して84〜95質量%であり、
前記(J)無機充填剤は、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、窒化ホウ素、ベリリア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛及びモリブデン酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種
である封止用エポキシ樹脂成形材料。 - シリカにて被覆されている水酸化マグネシウムが水酸化マグネシウムに対してSiO2換算にて0.1〜20質量%のシリカからなる被覆層を有する請求項1記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- シリカにて被覆されている水酸化マグネシウムがシリカからなる被覆層の上にアルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種を被覆しているものを含む請求項1または2記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- シリカにて被覆されている水酸化マグネシウムがシリカからなる被覆層の中にアルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種を含有しているものを含む請求項1または2記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- シリカ被覆層の上に被覆又はシリカ被覆層に含有しているアルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種が水酸化マグネシウムに対してAl2O3、TiO2及びZrO2換算にて0.03〜10質量%である請求項3又は4記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- シリカにて被覆されている水酸化マグネシウムがシリカからなる被覆層の上に高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理されてなる請求項1または2記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- アルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種をシリカ被覆層の上に被覆又はシリカ被覆層に含有している水酸化マグネシウムがさらに高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理されてなる請求項3〜5いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (A)エポキシ樹脂がビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニレン型エポキシ樹脂及びナフトール・アラルキル型フェノール樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1〜7いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (B)硬化剤がビフェニル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の少なくとも1種を含有する請求項1〜9いずれか記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (E)硬化促進剤をさらに含有する請求項1記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (E)硬化促進剤がホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を含む請求項11記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (F)カップリング剤をさらに含有する請求項1記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (F)カップリング剤が2級アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する請求項13記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (G)リン原子を有する化合物をさらに含有する請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- (G)リン原子を有する化合物がリン酸エステル化合物を含有する請求項15記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
- 請求項1〜16のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材料で封止された素子を備えた電子部品装置。
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