JP3976652B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性はもちろん、優れた耐湿信頼性,流動性および離型性を備え、さらにパッケージステインの防止効果に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トランジスタ,IC,LSI等の半導体素子は、エポキシ樹脂組成物を用いて封止され電子部品化されている。その電子部品は、難燃性の規格であるUL−94V−0に適合することが不可欠であるため、これまでは臭素化エポキシ樹脂および酸化アンチモンを添加することにより難燃性を付与する方法が採られてきた。ところが、近年、環境保護の観点から、上記ハロゲン系難燃剤やアンチモン化合物を使用することなく難燃性を付与させる方法が要求されている。
【0003】
上記要求に対して、難燃付与を目的に、金属水酸化物,硼素化合物,赤燐化合物等を用いることが検討されてきたが、上記化合物の多くは、これら化合物を用いることにより、流動性の低下による成形性の不良、不純物含有量の多さによる耐湿信頼性の低下、さらにはパッケージステインの発生という問題を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、上記化合物のうち、金属水酸化物においては、板状の形状を有することから、封止樹脂材料となるエポキシ樹脂組成物の流動性が低下するという問題があった。また、上記赤燐化合物においては、水に溶解し易いことから、高温高湿下で燐酸等の不純物イオンの析出が多くなり、耐湿信頼性の低下を生じるという欠点があった。さらに、有機燐化合物も難燃性を付与することができると考えられるが、上記赤燐化合物と同様、耐湿信頼性の低下を生じるという欠点を有している。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高い難燃性はもちろん、優れた耐湿信頼性および流動性,離型性を兼ね備え、さらにパッケージステインの防止効果に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いて得られる信頼性の高い半導体装置の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)〜(D)成分を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を第1の要旨とする。
【0007】
(A)エポキシ樹脂。
(B)フェノール樹脂。
(C)無機質充填剤。
(D)非多孔質球状シリカ微粒子によって下記の難燃剤(d)が包接されてなる難燃剤包接マイクロカプセル。
(d)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、下記の一般式(1)で表される金属水酸化物および下記の一般式(2)で表されるホウ酸亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つの難燃剤。
【化3】
【化4】
【0008】
また、上記半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を第2の要旨とする。
【0009】
すなわち、本発明者らは、難燃性付与を必須条件に、これに加えて耐湿信頼性および流動性、さらに離型性、パッケージステインの防止効果においても優れた封止材料となり得るエポキシ樹脂組成物を得ることを目的に一連の研究を重ねた。その結果、前記特定の難燃剤が非多孔質球状シリカ微粒子によって包接されてなる難燃剤包接マイクロカプセル〔(D)成分〕を用いると、包接された難燃剤物質が封止材料内で物の分解温度(燃焼温度)域まで直接ワックス等の成分と相互作用を奏しないため、優れた難燃性が付与されることはもちろん、耐湿信頼性においても優れ、かつ先に述べたように、金属水酸化物を用いた際の流動性や、離型性の低下さらにパッケージステインを生じず、所期の目的が達成されることを見出し本発明に到達した。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0011】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A成分)と、フェノール樹脂(B成分)と、無機質充填剤(C成分)と、特殊な難燃剤包接マイクロカプセル(D成分)を用いて得られるものであり、通常、粉末状あるいはこれを打錠したタブレット状になっている。
【0012】
上記エポキシ樹脂(A成分)としては、特に限定するものではなく、ジシクロペンタジエン型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型、ビスフェノール型、ビフェニル型等の各種エポキシ樹脂を用いることができる。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。そして、これらエポキシ樹脂のなかでも、特に融点または軟化点が室温を超えていることが好ましい。例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、エポキシ当量180〜210、軟化点60〜110℃のものが好適に用いられる。また、上記ビフェニル型エポキシ樹脂としては、エポキシ当量180〜210、融点80〜120℃のものが好適に用いられる。
【0013】
上記エポキシ樹脂(A成分)とともに用いられるフェノール樹脂(B成分)は、上記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、特に限定するものではなく、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等があげられる。これらフェノール樹脂は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。そして、これらフェノール樹脂としては、水酸基当量が70〜250、軟化点が50〜110℃のものを用いることが好ましい。そして、上記エポキシ樹脂(A成分)とフェノール樹脂(B成分)との好適な組み合わせとしては、エポキシ樹脂(A成分)としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いる場合はフェノールノボラック樹脂を用いることが好ましく、エポキシ樹脂(A成分)としてビフェニル型エポキシ樹脂を用いる場合はフェノールアラルキル樹脂を用いることが好ましい。
【0014】
そして、上記エポキシ樹脂(A成分)と上記フェノール樹脂(B成分)の配合割合は、エポキシ樹脂を硬化させるに充分な量に設定することが好ましい。一般的には、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂中の水酸基の合計が0.7〜1.5当量となるように設定することが好ましい。より好ましくは0.9〜1.2当量である。
【0015】
上記A成分およびB成分とともに用いられる無機質充填剤(C成分)としては、特に限定するものではなく従来公知の各種充填剤があげられ、例えば、石英ガラス粉末、タルク、シリカ粉末(溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等)、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化珪素粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、得られる硬化物の線膨張係数を低減できるという点から上記シリカ粉末を用いることが好ましく、上記シリカ粉末のなかでも溶融シリカ粉末を用いることが高充填、高流動性という点から特に好ましい。上記溶融シリカ粉末としては、球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末があげられるが、流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末を用いることが好ましい。なかでも、平均粒径が10〜60μmの範囲、特に好ましくは25〜45μmの範囲のものを用いることが好ましい。なお、上記平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0016】
上記無機質充填剤(C成分)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体の50〜95重量%の範囲内に設定することが好ましく、特に好ましくは70〜90重量%である。すなわち、50重量%未満のように少な過ぎると、エポキシ樹脂組成物中の有機成分の占める割合が多くなり、硬化物の難燃効果に乏しくなり、95重量%を超えて多くなると、エポキシ樹脂組成物の流動性が著しく低下する傾向がみられるからである。
【0017】
上記A〜C成分とともに用いられる特殊な難燃剤包接マイクロカプセル(D成分)は、非多孔質球状シリカ微粒子によって下記の難燃剤(d)が包接されたものである。なお、上記難燃剤包接マイクロカプセル(D成分)とは、難燃剤(d)の粒子表面が非多孔質球状シリカ微粒子に包接された状態をいう。
【0018】
(d)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、下記の一般式(1)で表される金属水酸化物および下記の一般式(2)で表されるホウ酸亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つの難燃剤。
【化5】
【化6】
【0019】
上記難燃剤(d)のうち、上記一般式(1)で表される金属水酸化物は、結晶形状が多面体形状を有するものである。そして、上記結晶形状が多面体形状を有するとは、六角板形状を有するもの、あるいは、鱗片状等のように、いわゆる厚みの薄い平板形状の結晶形状を有するものではなく、縦,横とともに厚み方向(c軸方向)への結晶成長が大きい、例えば、板状結晶のものが厚み方向(c軸方向)に結晶成長してより立体的かつ球状に近似させた粒状の結晶形状、例えば、略12面体,略8面体,略4面体等の多面体形状を有する金属水酸化物をいい、通常、これらの混合物である。もちろん、上記多面体形状は、結晶の成長のしかた以外にも、粉砕や摩砕等によっても多面体の形は変化し、より立体的かつ球状に近似させることが可能となる。
【0020】
そして、上記金属水酸化物の具体的な代表例としては、Mg1-X NiX (OH)2 〔0.01<x<0.5〕、Mg1-X ZnX (OH)2 〔0.01<x<0.5〕等があげられる。これら金属水酸化物の市販品の例としては、例えば、タテホ化学工業社製のエコーマグがあげられる。
【0021】
また、上記一般式(2)で表されるホウ酸亜鉛のなかでも、難燃性という観点から、一般的には、2ZnO・3B2 O3 ・3.5H2 Oを用いることが好ましい。
【0022】
そして、上記難燃剤(d)のなかでも、封止材料の分解温度と水和物の放出温度とのマッチングという観点から、上記一般式(1)で表される金属水酸化物を用いることが好ましい。
【0023】
このような包接される難燃剤(d)の平均粒径としては、0.5〜50μmの範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜10μmの範囲である。
【0024】
また、上記難燃剤(d)を包接する非多孔質球状シリカ微粒子は、粒度分布範囲が100〜5000nmであることが好ましく、より好ましくは1000〜3000nmである。
【0025】
この特殊な難燃剤包接マイクロカプセルは、例えば、つぎのようにして作製される。すなわち、アルカリ金属の珪酸塩水溶液(例えば水ガラス)に、上記難燃剤(d)と非多孔質球状シリカ微粒子との混合粉体を5重量%以上均一に分散させる。と同時に、水溶性カップリング剤(好ましくはアルコキシ・チタネート系水溶性カップリング剤)を上記混合粉体の少なくとも1/400重量部添加して調製した上記混合粉体分散液と、水に対する溶解度が5%以下である有機溶剤(例えばソルビタンモノステアレートのヘキサン溶液)とを混合して乳濁液を調製する。ついで、無機酸アンモニウム塩またはアルカリ土類金属であって、かつ上記アルカリ金属の珪酸塩との水溶液反応によって水不溶性沈殿を生成する化合物(例えば硫酸アンモニウム)の水溶液を、上記乳濁液と混合して上記水溶性カップリング剤を有機溶媒相に移行させつつ、上記難燃剤(d)が上記非多孔質球状シリカ微粒子によって包接された微小球体の難燃剤包接マイクロカプセルが作製される。
【0026】
上記難燃剤包接マイクロカプセル(D成分)中における難燃剤(d)の含有量は、5〜80重量%とすることが好ましく、特に40重量%以上の含有量とすることが添加量の制御上好ましい。さらに、難燃剤包接マイクロカプセル(D成分)自体の粒径は、0.1〜100μmに設定することが好ましく、より好ましくは比表面積向上による難燃性向上の観点から、0.1〜10μmに設定することである。
【0027】
上記難燃剤包接マイクロカプセル(D成分)の含有量としては、例えば、難燃剤(d)の包接率が50重量%の場合は、エポキシ樹脂組成物全体中0.5〜40重量%の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.5〜30重量%の範囲である。すなわち、含有量が0.5重量%未満のように少な過ぎると、必須条件である難燃効果に乏しく、逆に40重量%を超えて多過ぎると、半導体封止樹脂材料としての流動性が低下する傾向がみられるからである。
【0028】
なお、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には、上記A〜D成分以外に、硬化促進剤、上記D成分中に包接されている難燃剤以外の難燃剤、難燃助剤、離型剤、カーボンブラック等の顔料や着色料、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、低応力化剤等他の添加剤を必要に応じて適宜に添加することができる。
【0029】
上記硬化促進剤としては、特に限定するものではなく、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートや、トリフェニルホスフィン等の有機リン系化合物、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン−5等のジアザビシクロアルケン系化合物等があげられる。これら化合物は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0030】
上記離型剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸カルシウム等の化合物があげられ、例えば、カルナバワックスやポリエチレン系ワックスが用いられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0031】
また、上記低応力化剤としては、アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等のブタジエン系ゴムやシリコーン化合物があげられる。さらに、耐湿信頼性テストにおける信頼性向上を目的としてハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等のイオントラップ剤を配合してもよい。
【0032】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、例えばつぎのようにして製造することができる。すなわち、前記エポキシ樹脂(A成分)、フェノール樹脂(B成分)、無機質充填剤(C成分)および特殊な難燃剤包接マイクロカプセル(D成分)ならびに必要に応じて他の添加剤を常法に準じて適宜配合し、ミキシングロール機等の混練機を用いて加熱状態で溶融混練した後、これを室温下で冷却固化させる。その後、公知の手段によって粉砕し、必要に応じて打錠するという一連の工程によって目的とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物を製造することができる。
【0033】
このようにして得られた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いての半導体素子の封止方法は、特に限定するものではなく、通常のトランスファー成形等の公知のモールド方法によって行うことができる。
【0034】
このようにして得られる半導体装置は、封止用樹脂組成物として用いられるエポキシ樹脂組成物中に、前記特殊な難燃剤包接マイクロカプセル(D成分)が含有されているため、これが高い難燃性を有するとともに、優れた耐湿信頼性および流動性を備えていることから、高い信頼性を備えた半導体装置となる。
【0035】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0036】
まず、下記に示す各材料を準備した。
【0037】
〔エポキシ樹脂a〕
下記の化学式(a)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量192、融点107℃)
【化7】
【0038】
〔フェノール樹脂b〕
下記の化学式(b)で表されるフェノール樹脂(水酸基当量174、軟化点70℃)
【化8】
【0039】
〔フェノール樹脂c〕
下記の化学式(c)で表されるフェノール樹脂(水酸基当量203、軟化点67℃)
【化9】
【0040】
〔無機質充填剤〕
球状溶融シリカ粉末(平均粒径30μm)
【0041】
〔硬化促進剤〕
トリフェニルホスフィン
【0042】
〔カップリング剤〕
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
【0043】
〔エステル系ワックス〕
カルナバワックス
【0044】
〔オレフィン系ワックス〕
ポリエチレン系ワックス
【0045】
〔カーボンブラック〕
【0046】
〔難燃剤包接マイクロカプセルD1〕
水ガラスに、金属水酸化物である多面体形状のMg0.8 Zn0.2 (OH)2 (タテホ化学工業社製、エコーマグZ−10、平均粒径1μm)と非多孔質球状シリカ微粒子との混合粉体を5重量%以上均一に分散させた。と同時に、アルコキシ・チタネート系水溶性カップリング剤を上記混合粉体の少なくとも1/400重量部添加して調製した上記混合粉体分散液と、ソルビタンモノステアレートのヘキサン溶液とを混合して乳濁液を調製した。ついで、硫酸アンモニウム水溶液を、上記乳濁液と混合して上記水溶性カップリング剤を有機溶媒相に移行させた。
【0047】
このようにして、多面体形状のMg0.8 Zn0.2 (OH)2 (タテホ化学工業社製、エコーマグZ−10、平均粒径1μm)を非多孔質シリカ微粒子で包接(Mg0.8 Z0.2 (OH)2 の包接量50重量%)した難燃剤包接マイクロカプセルD1(平均粒径20μm)を作製した。
【0048】
〔難燃剤包接マイクロカプセルD2〕
上記難燃剤包接マイクロカプセルD1の製造において、多面体形状のMg0.8 Zn0.2 (OH)2 を2ZnO・3B2 O3 ・3.5H2 O(平均粒径5μm)に代えた。それ以外は上記難燃剤包接マイクロカプセルD1と同様にして、2ZnO・3B2 O3 ・3.5H2 O(平均粒径5μm)を非多孔質シリカ微粒子で包接(2ZnO・3B2 O3 ・3.5H2 Oの包接量50重量%)した難燃剤包接マイクロカプセル(平均粒径20μm)を作製した。
【0049】
〔難燃剤包接マイクロカプセルD3〕
上記難燃剤包接マイクロカプセルD1の製造において、多面体形状のMg0.8 Zn0.2 (OH)2 を水酸化マグネシウム(平均粒径0.8μm)に代えた。それ以外は上記難燃剤包接マイクロカプセルD1と同様にして、水酸化マグネシウム(平均粒径0.8μm)を非多孔質シリカ微粒子で包接(水酸化マグネシウムの包接量50重量%)した難燃剤包接マイクロカプセル(平均粒径20μm)を作製した。
【0050】
〔難燃剤包接マイクロカプセルD4〕
上記難燃剤包接マイクロカプセルD1の製造において、多面体形状のMg0.8 Zn0.2 (OH)2 を水酸化アルミニウム(平均粒径1.5μm)に代えた。それ以外は上記難燃剤包接マイクロカプセルD1と同様にして、水酸化アルミニウム(平均粒径1.5μm)を非多孔質シリカ微粒子で包接(水酸化アルミニウムの包接量50重量%)した難燃剤包接マイクロカプセル(平均粒径20μm)を作製した。
【0051】
〔赤燐系難燃剤〕
赤燐含有率93重量%、平均粒径20μm(日本化学工業社製、ヒシガードEL)
【0052】
〔金属水酸化物〕
多面体形状の金属水酸化物:Mg0.8 Zn0.2 (OH)2 (タテホ化学工業社製、エコーマグZ−10)
【0053】
【実施例1〜8、比較例1〜2】
下記の表1〜表2に示す各成分を同表に示す割合で同時に配合し、ミキシングロール機(温度100℃)で3分間溶融混練した。つぎに、この溶融物を冷却した後粉砕することにより半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
このようにして得られた実施例および比較例のエポキシ樹脂組成物を用いて厚み1/32インチの難燃性用試験片を成形し(成形条件175℃×6.86MPa×120秒間)、UL−94V−0規格の方法に従って難燃性を評価した。なお、「合格」とはUL−94V−0の合格を意味する。
【0057】
さらに、下記に示す方法に従ってスパイラルフロー値を測定し流動性の評価を行った。
〔スパイラルフロー値〕
スパイラルフロー測定用金型を用い、175±5℃にてEMMI 1−66に準じてスパイラルフロー値を測定した。
【0058】
また、上記実施例および比較例で得られたエポキシ樹脂組成物を用い、半導体素子(チップサイズ:7.5×7.5mm)をトランスファー成形(条件:175℃×120秒)し、175℃×5時間の後硬化することにより半導体パッケージを得た。このパッケージは、80ピンQFP(クワッドフラットパッケージ、サイズ:20mm×14mm×厚み2mm)であり、ダイパッドサイズは8×8mmである。
【0059】
このようにして作製した半導体パッケージを用いて、プレッシャークッカーバイアス試験(PCBT)を行った(条件:130℃/85%RH、30Vバイアス)。なお、不良モードはリーク不良およびオープン不良を測定し、これら不良が発生するまでの時間を測定して耐湿性を評価した。
【0060】
さらに、成形時のパッケージ汚れ(パッケージステイン)を下記の方法に従って評価した。
〔パッケージ汚れ〕
プラスチックボールグリッドアレイ(PBGA:35mm×35mm×厚み1.17mm)のパッケージを注入圧8.82MPaで成形し、50ショット後のゲート部の白化現象を目視により確認した。そして、白化現象が確認されなかったものを○、確認されたものを×として表示した。
【0061】
これらの測定・評価結果を下記の表3〜表4に併せて示す。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
上記表3および表4の結果から、全ての実施例品は良好な難燃性を示すとともに、耐湿性評価試験および流動性評価、パッケージ汚れ試験においても優れた結果が得られた。
【0065】
これに対して、赤燐系難燃剤を使用した比較例1品は、流動性およびパッケージ汚れに関しては良好な結果が得られたものの、耐湿信頼性に劣ることがわかる。また、包接処理をせず金属水酸化物のみを難燃剤として使用した比較例2品は、難燃性は問題無く、また耐湿性評価試験結果は良好であったものの、パッケージ汚れ(白化現象)が確認され、しかもスパイラルフロー値が低く流動性に劣ることから、成形材料としての使用には難しいものであるといえる。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、前記A〜C成分とともに、前記特殊な難燃剤包接マイクロカプセル(D成分)を含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。このため、高い難燃性はもちろん、優れた耐湿信頼性および流動性を有し、さらにはパッケージステイン発生の優れた防止効果を奏するようになる。したがって、この半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止することにより、信頼性に優れた半導体装置を得ることができる。
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