JP4972958B2 - 樹脂組成物、樹脂層、積層体、配線板および配線板の製造方法 - Google Patents
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また、ポリイミド樹脂も高いガラス転移温度と高耐熱性を有することに加えて、フッ素原子を化学構造内に導入することによりGHz帯の周波数領域における比誘電率が2.6〜2.7、誘電正接が0.004〜0.007となり優れた電気特性を示すことから、高周波数対応の配線板用絶縁樹脂として期待されている。
線熱膨張係数を低下させる手法としては、シリカを樹脂組成物中に配合する手法が従来から採用されているが、低誘電率樹脂系においてはシリカ表面と低誘電率樹脂との界面濡れ性が低く、界面剥離または界面空隙を生じやすく、特に平均粒径3μm以下のシリカを高充填した場合に顕著に生じ、低熱膨張性、及び高強度、強靭性を発揮することが非常に困難であった。
また、一般的にノルボルネン系樹脂は耐燃性が低く、十分な耐燃性を有するためには難燃剤の添加が必要であるが、環境適応のためには従来の臭素系、リン系或いはアンチモン系の難燃剤は好ましくなく、また、低い比誘電率や高い信頼性を維持することが困難であった。
また、本発明の目的は、電気特性と難燃性に優れた配線板およびその製造方法を提供することである。
[1]
配線板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、ノルボルネン系樹脂と、組成モル比SiO2/Al2O3=1/1〜9/1のゼオライトを難燃剤として含有することを特徴とする樹脂組成物。
[2]
前記ゼオライトの含有量は、前記樹脂組成物全体の1〜20重量%である[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
平均粒径3μm以下の溶融シリカを含む[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記平均粒径3μm以下の溶融シリカの含有量は、前記樹脂組成物全体の30〜85重量%である[3]に記載の樹脂組成物。
[5]
前記ノルボルネン系樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含むノルボルネン系樹脂である[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[6]
前記ノルボルネン系樹脂は、下記一般式(2)で表されるモノマーを含むノルボルネン系モノマーの付加重合体である[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[7]
前記樹脂組成物は、さらにレーザー加工性付与剤を含有するものである[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[8]
前記レーザー加工性付与剤の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分100重量部に対して0.1〜15重量部である[7]に記載の樹脂組成物。
[9]
レーザー加工性付与剤は、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、又は2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールである[7]に記載の樹脂組成物。
[10]
[1]乃至[9]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いて形成したことを特徴とする樹脂層。
[11]
前記樹脂層は、3.0以下の比誘電率を有するものである[10]に記載の樹脂層。
[12]
前記樹脂層は、0.006以下の誘電正接を有するものである[10]又は[11]に記載の樹脂層。
[13]
前記樹脂層は、50ppm/℃以下の線膨張係数を有するものである[10]乃至[12]のいずれか一項に記載の樹脂層。
[14]
配線板に用いる積層体であって、[10]乃至[13]のいずれか一項に記載の樹脂層とキャリアフィルムとを積層してなることを特徴とする積層体。
[15]
[1]乃至[9]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いて形成した樹脂層を有することを特徴とする配線板。
[16]
配線基板上に回路層を形成する工程と、[1]乃至[9]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いて前記配線基板上に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層をレーザー照射により開孔する工程と、を含む配線板の製造方法。
[17]
前記樹脂層を形成する工程は、前記樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成するものである[16]に記載の配線板の製造方法。
[18]
前記樹脂層を形成する工程は、[1]乃至[9]のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる樹脂フィルムを前記配線基板にラミネートして樹脂層を形成するものである[16]に記載の配線板の製造方法。
[19]
前記樹脂層を形成する工程は、前記[14]に記載の積層体を用い、当該積層体の樹脂層を前記配線基板上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥離するものである[16]に記載の配線板の製造方法。
[20]
前記樹脂層を形成する工程は、金属キャリアフィルム付きの前記[14]に記載の積層体を用い、当該積層体の樹脂層を前記配線基板上に貼り合わせた後、金属キャリアフィルムを加工して回路層とするものである[16]に記載の配線板の製造方法。
[21]
前記樹脂層を加熱硬化する工程を含む[16]乃至[20]のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
[22]
[16]乃至[21]のいずれか一項に記載の製造方法により得られる配線板。
また、本発明によれば、前記樹脂組成物を用いることで、低誘電率と低熱膨張性と電気特性及び高強度、強靭性、レーザー加工性に優れる難燃化積層体を得ることができる。
さらに、本発明によれば、電気特性と難燃性に優れた配線板を得ることができるものである。
これにより、耐燃性の低い(すなわち燃えやすい)低誘電率樹脂を、絶縁材料として用いることが可能となり、従来のプリント配線板の絶縁層に用いられていたエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂では対応できなかった電子機器の高速伝送化を可能とする電気特性と低熱膨張性、高強度、強靭性、更には難燃性を有する樹脂組成物が提供される。
また、従来の臭素系、リン系或いはアンチモン系難燃剤は環境的に好ましくないのに対して、ゼオライトは環境への対応が優れている。
比誘電率の点だけに注目するなら、従来のプリント配線板の絶縁層に用いられていたエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂よりも優れた樹脂は存在する。しかし、絶縁層に用いる樹脂には、絶縁性や比誘電率等の電気特性だけでなく、高強度、強靭性等の一般的な物性、さらには通電時の高温環境に耐え得る低熱膨張性、耐熱性、耐燃性が要求される。
本発明においては、絶縁性や比誘電率等の電気特性に優れた低誘電率樹脂に、上記特定の組成を有するゼオライトを組み合わせることにより、特に、優れた耐燃性を有する絶縁材料が得られる。
上記のうち、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合させて得られる付加(共)重合体が好ましいが、本発明はなんらこれに限定されるものではない。
配位重合に用いる金属触媒として代表的なニッケルと白金触媒は、PCT WO 9733198と、PCT WO 00/20472に述べられている。配位重合用金属触媒の例としては、(トルエン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(メシレン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(ベンゼン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(テトラヒドロ)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(エチルアセテート)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(ジオキサン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケルなどの公知の金属触媒が挙げられる。
一般的には、ラジカル重合はラジカル開始剤の存在下、温度を50℃〜150℃に上げ、モノマーを溶液中で反応させる。ラジカル開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスイソカプトロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、t−ブチル過酸化水素などである。
前記ノルボルネン系樹脂の分子量分布[重量平均分子量:Mwと、数平均分子量:Mnとの比(Mw/Mn)]は、特に限定されないが、5以下が好ましく、特に4以下が好ましく、特に1〜3が好ましい。分子量分布が前記範囲内であると、電気特性に特に優れる。
前記分子量分布を測定する方法としては、例えばシクロヘキサンまたはテトラヒドロフランを有機溶剤とするGPCで測定することができる。
また、上記方法で重量平均分子量や分子量分布が測定できないノルボルネン系樹脂の場合には、通常の溶融加工法により樹脂層を形成し得る程度の溶融粘度や重合度を有するものを使用することができる。前記ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択できるが、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは125℃以上である。
前記極性基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、シリル基、エポキシ基、ケトン基、エーテル基などを挙げることができる。
該極性基を含む有機基としては、極性基が、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、環状脂肪族基、アリール基、エーテル基、又は、ケトン基によりノルボルネン骨格上に結合されたものなどを挙げることができる。
置換量が前記範囲内であると、特に比誘電率に優れる。また、このような側鎖に極性基を有するノルボルネン系樹脂は、例えば1)前記ノルボルネン系樹脂に前記極性基を有する化合物を変性反応により導入することによって、2)前記極性基を有する単量体を重合することによって、3)前記極性基を有する単量体を共重合体成分として他の成分と共重合することによって、または4)エステル基等の前記極性基を有する単量体を共重合成分として共重合した後、エステル基を加水分解することによって得ることができる。
ゼオライトは、下記式で表わされる無機材料である。
M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O
(式中、MはNa+、K+、Ca2+、Ba2+、H+、NH4 +等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、その他のカチオンであり、nはMの価数、xはSiO2の数、yはH2Oの数である。)
本発明で用いるゼオライトの組成はモル比SiO2/Al2O3=1/1〜9/1であることが必須であり、モル比SiO2/Al2O3=2.5/1〜7/1であることが好ましい。ゼオライトの組成がこの範囲内ならば、十分な難燃化効果を発揮する。
本発明で用いる組成モル比SiO2/Al2O3=1/1〜9/1のゼオライトの含有量は、前記樹脂組成物全体の1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。含有量がこの範囲内であると、特に難燃性と比誘電率、線膨張係数、電気特性及びレーザー加工性の両立に優れる。また、流動性、回路埋め込み性、樹脂溶液粘度から、平均粒径0.2〜1μmのものが好ましい。
平均粒径3μm以下のシリカの含有量は、前記樹脂組成物全体の30〜85重量%が好ましく、40〜75重量%がさらに好ましい。含有量がこの範囲内であると、特に比誘電率と線膨張係数と電気特性及びレーザー加工性の両立に優れる。
本発明に用いるレーザー加工性付与剤の含有量としては、環状オレフィン系樹脂等の樹脂成分100重量部に対して0.1〜15重量部の範囲が好ましく、特に1〜10重量部の範囲が好ましい。含有量がこの範囲内であると、特に電気特性とレーザー加工性の両立に優れる。
溶融シリカ以外の無機充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカおよびガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、結晶シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウムおよび亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウムおよびホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化ケイ素等の窒化物等を挙げることができる。
また、アゾビスイソブチロニトリル、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカルボナート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイドおよびt−ブチルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物を挙げることができる。
また、前記光安定化剤としては、例えば、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]などのヒンダードアミン系などが挙げられる。
また、前記酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール-ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル化ジフェニルアミン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエテル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2,]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミンなどのフェノール系、リン系酸化防止剤が挙げられる。これらは単独、あるいは2種以上の混合して用いることができる。これら安定化剤の含有量としては、環状オレフィン系樹脂100重量部に対し、各0.01〜10重量部が好ましい。
図1は、本発明の積層体の一例を模式的に示す断面図である。
積層体1は、上記の樹脂組成物で構成される樹脂層3と、キャリアフィルム2とを積層してなるものである。
上記樹脂組成物で構成される樹脂層は、電子機器の高速伝送化を可能とする電気特性およびレーザー加工性に優れる特性を有する絶縁層として用いることができる。
樹脂組成物で構成される樹脂層3の厚さは、特に限定されないが、0.1〜60μmが好ましく、特に1〜40μmが好ましい。樹脂組成物で構成される樹脂層の厚さは、絶縁信頼性を向上させる上で、前記下限値以上が好ましく、多層配線板における目的の一つである薄膜化を達成する上で、前記上限値以下が好ましい。
図2は、本発明の配線板の一例を示す断面図である。
図2に示すように、配線板10は、コア基板5と、コア基板5の両面に設けられた樹脂層3とで構成されている。
コア基板5には、ドリル機で開口された開口部51が形成されている。また、コア基板5の両表面には導体回路52が形成されている。
開口部51の内部はメッキ処理されており、コア基板5の両表面の導体回路52が導通されている。
また、樹脂層3の両表面には、第2導体回路32が形成されている。
導体回路52と、第2導体回路32とは、開口部31を介して導通されている。
また、キャリアフィルムとして金属層を用いた場合、該金属層を剥離せずに、導体回路として加工することができる。
次に、導体回路106を形成する(図3(d))。導体回路106の形成方法としては、公知の方法であるセミアディティブ法などで形成することができる。
次に、導体ポスト107を形成する(図3(e))。導体ポスト107の形成方法としては、公知の方法である電解メッキ等で形成することができる。例えば、導体回路106を電解メッキ用リードとして、銅電解メッキを行ない、銅で充填し銅ポストを形成することができる。以上の手順を経て、配線板を得ることができる。
上記配線板を得る工程において、上記図3(b)〜図3(e)で示した工程を繰り返すことにより、さらに多層の配線板を得ることができる。
A.ノルボルネン系樹脂Aの合成
環状オレフィン系樹脂として、ポリマーAを下記の方法で合成した。
重合系の雰囲気を不活性ガスの窒素で十分に満たした反応容器中に、5−デシル−2−ノルボルネン16.4g(0.07mol)、5−メチルグリシジルエーテル−2−ノルボルネン5.41g(0.03mol)、重合溶剤としてエチルアセテート130g、シクロヘキサン115g(0.53mol)を仕込んだ。次いで、遷移金属触媒(η6−トルエンニッケルビス(ペンタフルオロフェニル)0.69g(1.4×10−3mol)をトルエン5gに溶解させた触媒溶液を反応容器に投入した。室温で4時間攪拌重合させた後、氷酢酸47ml、30%過酸化水素水87ml、純水300mlの混合液に前記重合溶液を投入し、2時間攪拌した。水層の遷移金属触媒と樹脂溶液の有機層とに分離した溶液の水層を除去した。更に有機層を数回純水で洗浄した、そして、樹脂溶液をメタノール中に投入しノルボルネン系樹脂を析出させた。固形分を濾過後、減圧乾燥し溶剤を除きノルボルネン系樹脂Aを得た。
配合表に従って各実施例および各比較例の樹脂溶液を調製し、各樹脂溶液をキャリアフィルムであるポリエステルフィルム(ダイヤホイル社製、MRX−50、厚さ50μm)上に、ロールコーターで、乾燥時厚さが25μmになるように塗布して樹脂層を形成した。その後、80℃で10分、140℃で10分乾燥を行い、キャリアフィルム付き樹脂層からなる積層体を得た。
(1)内層回路の形成
総厚さが0.3mmで、銅箔厚さが12μmの両面銅張り積層板(住友ベークライト(株)製ELC−4781)を用いて、ドリル機で開孔後、無電解めっきで前記開孔部にめっきを行い上下銅箔間の導通を図り、前記積層板の両面の銅箔をエッチングすることにより内層導体回路を両面に形成した。
次に、内層導体回路に、過酸化水素水と硫酸を主成分とする薬液(旭電化工業(株)製テックSO−G)をスプレー吹きつけすることにより粗化処理による凹凸形成を行った。
(2)絶縁層の形成
上記で得た内層回路に対して、各実施例および各比較例に従って、下記(2−a)または(2−b)のいずれかの方法で絶縁層を形成した。
(2−a)
上記で得られた積層体(キャリアフィルム付き樹脂層)の樹脂層面を導体回路面に合わせて、真空ラミネーターを使用して導体回路を埋め込み、200℃で60分間のベーキング処理を行い、絶縁層を形成した。
(2−b)
配合表に従って得られた各実施例および各比較例の樹脂溶液を、上記で得た内層回路上に、スピンコーターで厚さが25μmになるように塗布して樹脂層を形成した。その後、80℃で10分、140℃で10分乾燥を行い、更に200℃で60分間のベーキング処理を行い、絶縁層を形成した。
次に、UV−YAGレーザー装置(三菱電機(株)製ML605LDX)を用いてφ40μmの開口部(ブラインド・ヴィアホール)を形成し、該開口部底部のデスミア処理(日本マクダーミッド(株)製マキュダイザーシリーズ)を施した後、無電解銅めっき(上村工業(株)製スルカップPRX)を15分間行い、厚さ0.5μmの給電層を積層板表面に形成した。次に、この給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成(株)製AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク((株)トウワプロセス製)を使用して、位置合わせ、露光装置(ウシオ電機(株)製UX−1100SM−AJN01)により露光した。炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
(1)電気特性(誘電率、誘電正接)
周波数1GHzにおける誘電特性を測定した。測定機器は、円筒空洞共振機(アジレント・テクノロジー社製、マイクロ波ネットワークアナライザ HP8510B)を用いた。なお、測定用サンプルは、積層体よりキャリアフィルムを除去し、続いて窒素雰囲気下の乾燥機により、200℃で1時間熱処理して得られた樹脂層フィルムを用いた。
積層体よりキャリアフィルムを除去し、続いて窒素雰囲気下の乾燥機により、180℃で2時間熱処理して得られた樹脂層フィルムを測定サンプルとし、引っ張りモードにてTMA測定機(セイコーインスツルメント社製)を行い、30℃から150℃間の平均線膨張係数を求めた。
(3)耐屈曲性
積層体よりキャリアフィルムを除去し、続いて窒素雰囲気下の乾燥機により、180℃で2時間熱処理して得られた樹脂層フィルムを測定サンプルとし、各種サイズ径の円筒形マンドレルで180度屈曲させて割れ等の異常を観察し、以下に示す4段階基準で評価した。
◎:3mm径円筒形マンドレルで異常無し
○:5mm径円筒形マンドレルで異常無し、4mm径円筒形マンドレルで割れ発生
△:10mm径円筒形マンドレルで異常無し、8mm径円筒形マンドレルで割れ発生
×:10mm径円筒形マンドレルで割れ発生
線幅/線間/厚み=20μm/20μm/10μmである回路層を有する回路基板上に、上記で得た積層体を、最高到達温度170℃、圧力1.96×10−2MPa(20Kgf/cm2)の条件で、真空プレスによりラミネート後、キャリアフィルムを剥離し、窒素雰囲気下の乾燥機により200℃で1時間熱処理して、樹脂層を硬化させて絶縁層を形成した。得られた絶縁層を、更に、UVYAGレーザー(三菱電機(株)社製)により100穴の50μm径ビアの開孔を行った際の加工性を観察し、合格ビア個数を以下に示す4段階基準で評価した。
◎:全て目標ビア径の開孔可能、外観問題なし
○:80%以上良好なビア径および実用上使用可な外観
△:80%未満良好なビア径および実質上使用不可
×:ビア形状不良、外観不良
積層体を200℃で1時間熱処理を行い、積層体よりキャリアフィルムを除去し、耐熱性を示差熱量分析(TG−DTA)を用いて、昇温速度10℃/minとして加熱し、5%重量減少する温度を観察し、以下に示す4段階基準で評価した。
◎:350℃以上
○:300〜350℃
△:260〜300℃
×:260℃未満
上記評価(4)で得た回路基板の絶縁層に、カッターナイフにて10×10升の碁盤目状に切れ目を入れ、その上に接着テープを一旦貼り付けて引き剥がし、剥がれた升目の数を数えた。
(7)回路埋め込み性
線幅/線間/厚み=5μm/5μm/10μmである回路層を有する回路基板上に、上記で得た積層体を、最高到達温度170℃、圧力1.96×10−2MPa(20Kgf/cm2)の条件で、真空プレスによりラミネート後、キャリアフィルムを剥離し、窒素雰囲気下の乾燥機により200℃で1時間熱処理して、樹脂層を硬化させて絶縁層を形成した。得られた絶縁層を切断して断面を観察し、樹脂の埋め込まれ具合とフィラーの分散具合を観察し、以下に示す4段階基準で評価した。
○:樹脂充填性、フィラー分散性ともに異常無し
△:樹脂充填性は異常無し、線間へのフィラー分散性に異常有り
×:樹脂未充填部分有り
(8)接続信頼性
接続信頼性は、温度30℃、湿度70%の雰囲気下で1965時間放置後、260℃リフローを3回行い、温度サイクル試験(−40℃、125℃各30分、さらしなし)を行ない、100サイクル毎に導通テストして、不良発生サイクル数を計測し、以下に示す4段階基準で評価した。
◎:800サイクル以上
○:500〜800サイクル
△:100〜500サイクル
×:100サイクル未満
絶縁信頼性は、温度85℃、湿度85%の雰囲気下で100時間放置後の導体間の絶縁抵抗値を測定し、以下に示す4段階基準で評価した。
◎:絶縁抵抗値1010Ω以上
○:絶縁抵抗値108〜109Ω
△:絶縁抵抗値107〜108Ω
×:絶縁抵抗値107未満
(10)耐燃性
樹脂組成物を成形後、加熱硬化して1mm厚の試験片を作製した。この試験片を用いて、UL−94規格に従い、垂直法により評価した。
平均粒径0.5μmのシリカBを60gと、ノルボルネン系樹脂Aを34g、ゼオライトA(東ソー株式会社製HSZ−341NHA、モル比SiO2/Al2O3=7/1)を3g、さらに、レーザー加工性付与剤Aとして2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを3gとを、メシチレン200gに溶解させて樹脂溶液を調整し、上記手順に従って樹脂層付き積層体と配線板、及び各試験片を作製、評価した。結果を表1に示す。
ゼオライトAをゼオライトB(東ソー株式会社製HSZ−331NHA、モル比SiO2/Al2O3=6/1)に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
ゼオライトAをゼオライトC(和光純薬工業(株)製F−9、モル比SiO2/Al2O3=2.5/1)に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
ゼオライトAの量を2gに、シリカBの量を61gに変更した以外は実施例1と同様に実施した。
ゼオライトAの量を8gに、シリカBの量を55gに変更した以外は実施例1と同様に実施した。
シリカBの量を40gに、ノルボルネン樹脂Aの量を54gに変更した以外は実施例1と同様に実施した。
シリカBの量を75gに、ノルボルネン樹脂Aの量を19gに変更した以外は実施例1と同様に実施した。
シリカ成分を、シリカBを40gと、シリカCを20gに変更した以外は実施例1と同様に実施した。
シリカ成分を、シリカBを50gと、シリカCを10gに変更した以外は実施例1と同様に実施した。
シリカ成分を、シリカAを60gに変更した以外は実施例1と同様に実施した。
積層体を金属層付きフィルムに変えた以外は実施例1と同様に実施した。
絶縁層を形成する工程をスピンコーターで塗布した以外は実施例1と同様に実施した。
ゼオライトを配合せず、シリカBの配合量を63gに変更した以外は実施例1と同様に実施した。
ゼオライトAをゼオライトD(東ソー株式会社製HSZ−350HUA、モル比SiO2/Al2O3=10/1)に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
低誘電率樹脂を、高誘電率樹脂であるエポキシ樹脂Bを33gに、溶媒メシチレンをN-メチル−2−ピロリドン(NMP)に変更し、硬化促進剤2−メチルイミダゾールを1g加えた以外は実施例1と同様に実施した。
シリカB:アドマテックス社製SE−2030、平均粒径1.5μm
シリカC:トクヤマ社製DM−10、平均粒径0.06μm
ノルボルネン系樹脂A:実施例内にて弊社合成
エポキシ樹脂B:住友化学社製ESCN195−LB
レーザー加工性付与剤A:2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
ゼオライトA:東ソー株式会社製 HSZ−341NHA(Y型ゼオライト、カチオン種=NH4 +、SiO2/Al2O3モル比=7/1)
ゼオライトB:東ソー株式会社製 HSZ−331NHA(Y型ゼオライト、カチオン種=H+、SiO2/Al2O3モル比=6/1)
ゼオライトC:和光純薬工業株式会社製 F−9(X型ゼオライト、カチオン種=Na+、SiO2/Al2O3モル比=2.5/1)
ゼオライトD:東ソー株式会社製 HSZ−350 HUA(Y型ゼオライト、カチオン種=H+、SiO2/Al2O3モル比=10/1)
これに対して、比較例1及び2は難燃性が劣っていた。比較例3は低誘電率性が激しく劣った。
2 キャリアフィルム
3 樹脂層
5 コア基板
10 配線板
31 樹脂層の開口部
32 導体回路
51 コア基板の開口部
52 導体回路
101 導体回路
102 開口部
103 コア基板
104 樹脂層
105 開口部
106 導体回路
107 導体ポスト
Claims (22)
- 配線板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、ノルボルネン系樹脂と、組成モル比SiO2/Al2O3=1/1〜9/1のゼオライトを難燃剤として含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 前記ゼオライトの含有量は、前記樹脂組成物全体の1〜20重量%である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 平均粒径3μm以下の溶融シリカを含む請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記平均粒径3μm以下の溶融シリカの含有量は、前記樹脂組成物全体の30〜85重量%である請求項3に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物は、さらにレーザー加工性付与剤を含有するものである請求項1乃至6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記レーザー加工性付与剤の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分100重量部に対して0.1〜15重量部である請求項7に記載の樹脂組成物。
- レーザー加工性付与剤は、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、又は2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールである請求項7に記載の樹脂組成物。
- 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いて形成したことを特徴とする樹脂層。
- 前記樹脂層は、3.0以下の比誘電率を有するものである請求項10に記載の樹脂層。
- 前記樹脂層は、0.006以下の誘電正接を有するものである請求項10又は11に記載の樹脂層。
- 前記樹脂層は、50ppm/℃以下の線膨張係数を有するものである請求項10乃至12のいずれか一項に記載の樹脂層。
- 配線板に用いる積層体であって、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の樹脂層とキャリアフィルムとを積層してなることを特徴とする積層体。
- 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いて形成した樹脂層を有することを特徴とする配線板。
- 配線基板上に回路層を形成する工程と、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を用いて前記配線基板上に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層をレーザー照射により開孔する工程と、を含む配線板の製造方法。
- 前記樹脂層を形成する工程は、前記樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成するものである請求項16に記載の配線板の製造方法。
- 前記樹脂層を形成する工程は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる樹脂フィルムを前記配線基板にラミネートして樹脂層を形成するものである請求項16に記載の配線板の製造方法。
- 前記樹脂層を形成する工程は、前記請求項14に記載の積層体を用い、当該積層体の樹脂層を前記配線基板上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥離するものである請求項16に記載の配線板の製造方法。
- 前記樹脂層を形成する工程は、金属キャリアフィルム付きの前記請求項14に記載の積層体を用い、当該積層体の樹脂層を前記配線基板上に貼り合わせた後、金属キャリアフィルムを加工して回路層とするものである請求項16に記載の配線板の製造方法。
- 前記樹脂層を加熱硬化する工程を含む請求項16乃至20のいずれか一項に記載の配線板の製造方法。
- 請求項16乃至21のいずれか一項に記載の製造方法により得られる配線板。
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