図1及び図2に示す携帯電話機10は、数字ボタンなどの複数の操作キー15を有する操作キー部11と、液晶ディスプレイ(表示デバイス)16を有するディスプレイ部12からなる本体部(筐体部)を備え、ヒンジ部13に設けたヒンジピン13aの軸線Qを中心として、を介して、図1及び図2のように操作キー部11とディスプレイ部12を展開した状態と、操作キー部11とディスプレイ部12が重なるように折り畳まれた状態(不図示)とにさせることができる。ディスプレイ部12における液晶ディスプレイ16の背面(折り畳み状態で外面に位置する側の面)には、ヒンジ部13の近傍に位置させて撮影窓14が形成されている。ディスプレイ部12内には、この撮影窓14の背後に位置させて撮像ユニット20(撮像モジュール)が設けられている。
図3以下を参照して撮像ユニット20の詳細を説明する。図3ないし図6、図11に示すように、撮像ユニット20は、撮像光学系を構成する第1プリズム(入射側プリズム)LP1と、負のパワーを有する第1変倍レンズ群LG1と、正のパワーを有する第2変倍レンズ群LG2と、第2プリズム(出射側プリズム)LP2がハウジング21によって保持された構造となっている。撮像ユニット20に搭載された光学系は焦点距離可変のズーム光学系であり、第1変倍レンズ群LG1と第2変倍レンズ群LG2が可動の変倍用光学系(中間光学系)を構成している。
ハウジング21は、携帯電話機10のディスプレイ部12における横幅方向のサイズをW、高さ方向のサイズをH、厚み方向のサイズをTとした場合、W>H>Tの関係をなす横長の箱状体である(図3及び図4参照)。以下、撮像ユニット20における横幅Wの方向をX方向、高さHの方向をY方向、厚みTの方向をZ方向と称する。なお、撮像ユニット20における上下や左右の概念は携帯電話機10の向きによって変化するものであるが、以下の説明では便宜的に、図6を基準として撮像ユニット20における上下左右方向を定義する。
ハウジング21は、撮影時に物体側を向く前面部が開放されて前面開口22が形成されており、この前面開口22の上下に上壁部23と下壁部24が設けられ、前面開口22の左右に右壁部25と左壁部26が設けられている。また、Z方向における前面開口22と反対側の領域は奥壁部27によって塞がれている。上壁部23と下壁部24はX方向成分とZ方向成分からなる互いに平行な平面部であり、右壁部25と左壁部26はY方向成分とZ方向成分からなる互いに平行な平面部であり、奥壁部27はX方向成分とY方向成分からなる平面部である。上壁部23と奥壁部27の間は傾斜壁部28で接続されている。
ハウジング21には、X方向における一端部に、第1プリズムLP1を収納する第1プリズム収納部30が設けられ、他端部に第2プリズムLP2を収納する第2プリズム収納部31(図6)が設けられている。図6に示すように、第2プリズム収納部31はハウジング21内において左壁部26に隣接する位置に設けた間仕切り状の壁部として形成されているのに対し、第1プリズム収納部30は右壁部25から側方に突出する箱状部として形成されている。そして第1プリズム収納部30は、撮影時に物体側を向く前面部(撮影窓14に向く側の面)が前面開口22と同様に入射開口30aとして開口されている。すなわち、ハウジング21は奥壁部27に対向する前面側の略全体が開口された形状となっている。ハウジング21の右壁部25には、第1プリズム収納部30とハウジング21本体部内を連通させるX方向への貫通孔29(図6、図11)が形成されている。
第1プリズムLP1は、入射面LP1−iから入射する光束を、反射面LP1−rによって出射面LP1−o側に向けて略直角に反射させるプリズムである。入射面LP1−iは凹面、出射面LP1−oは凸面である。また、第2プリズムLP2は、入射面LP2−iから入射する光束を、反射面LP2−rによって出射面LP2−o側に向けて略直角に反射させるプリズムである。第1プリズム収納部30に収納された第1プリズムLP1は、その入射面LP1−iが第1プリズム収納部30の入射開口30aを通して物体側に露出され、出射面LP1−oがハウジング21の右壁部25に形成したX方向の貫通孔29に面して位置される。第2プリズム収納部31に収納された第2プリズムLP2は、その入射面LP2−iが第1プリズムLP1の出射面LP1−oに対してX方向に離間して位置され、出射面LP2−oがハウジング21の前面開口22側に向く。すなわち第1プリズムLP1の入射面LP1−iと第2プリズムLP2の出射面LP2−oがそれぞれ物体側に向くように配置される。
ハウジング21内には、X方向に向けて、互いに平行をなす一対のガイドバー32、33が設けられている。ガイドバー32とガイドバー33は、Y方向及びZ方向における互いの位置を異ならせており、ガイドバー32は、Y方向においては上壁部23に近い上方に位置し、かつZ方向においては奥壁部27に近いハウジング奥側に位置する。これに対しガイドバー33は、Y方向においては下壁部24に近い下方に位置し、かつZ方向においては前面開口22に近く位置する。このガイドバー32とガイドバー33に対して、第1変倍レンズ群LG1を保持する第1群枠34と第2変倍レンズ群LG2を保持する第2群枠35がそれぞれX方向へ摺動自在に支持されている。第1群枠34は、ガイドバー32に対してX方向へ摺動自在に嵌まる円筒状のガイド筒部36と、ガイドバー33に係合して回転規制を受ける回転規制腕部37を、互いに略反対の半径方向に突出させている。第2群枠35は、ガイドバー33に対してX方向へ摺動自在に嵌まる円筒状のガイド筒部38と、ガイドバー32に係合して回転規制を受ける回転規制腕部39を、互いに略反対の半径方向に突出させている。これらガイド筒部や回転規制腕部とガイドバー32及びガイドバー33との係合関係により、第1群枠34と第2群枠35はそれぞれX方向へ直進移動自在に支持される。ガイドバー32、33を介して第1群枠34と第2群枠35を支持した状態では、図3、図4、図6ないし図8及び図11に示すように、第1変倍レンズ群LG1と第2変倍レンズ群LG2がX方向において第1プリズムLP1と第2プリズムLP2の間に位置され、第1変倍レンズ群LG1が第1プリズムLP1の出射面LP1−oに対向し、第2変倍レンズ群LG2が第2プリズムLP2の入射面LP2−iに対向する。
以上のようにハウジング21内に光学系を支持した状態では、図11に示すように、物体側からの光束はZ方向に向く入射光軸OP−1に沿って第1プリズムLP1の入射面LP1−iに入射する。第1プリズムLP1は、その入射光束を反射面LP1−rで略直角に反射させ、反射された光束はX方向に向く中間光軸(主光軸)OP−Cに沿って第1変倍レンズ群LG1、第2変倍レンズ群LG2を通って進み、第2プリズムLP2の入射面LP2−iに入射する。第2プリズムLP2は反射面LP2−rで光束を物体側に向けて略直角に反射し、Z方向に向く出射光軸OP−2に沿って出射面LP2−oから出射させる。つまり、コ字状に屈曲された入射光軸OP−1、中間光軸OP−C、出射光軸OP−2を有する光学系となっている。入射光軸OP−1、中間光軸OP−C及び出射光軸OP
−2のY方向位置は共通しており、これら各光軸OP−1、OP−C及びOP−2は共通の平面内に位置される。
第1群枠34と第2群枠35はそれぞれ外径方向に突出するナット係合部40、41を備えており、第1群枠34側のナット係合部40に対してナット42が係合し、第2群枠35側のナット係合部41に対してナット43が係合している。図9に拡大して示すように、ナット42はナット係合部40に対して、一対の保持突起44の間に被保持突起45が挟まれた状態で係合保持(スナップフィット)されており、第1群枠34とナット42がX方向に一緒に移動するようになっている。同様に、図10に拡大して示すように、ナット43はナット係合部41に対して、一対の保持突起46の間に被保持突起47が挟まれた状態で係合保持(スナップフィット)されており、第2群枠35とナット43がX方向に一緒に移動するようになっている。
ナット42に形成されたねじ孔は、第1モータ(アクチュエータ)50のドライブシャフト(送りねじ軸)51に螺合し、ナット43に形成されたねじ孔は第2モータ(アクチュエータ)52のドライブシャフト(送りねじ軸)53に螺合している。第1モータ50は、ハウジング21内において上壁部23に隣接する領域に形成したモータ支持部54(図6)に、円筒状をなすモータ本体部55がその軸線をX方向に向けて支持されており、該モータ本体部55から右壁部25に接近する方向にドライブシャフト51が延設されている。第2モータ52は、ハウジング21内において下壁部24に隣接する領域に形成したモータ支持部56(図6)に、円筒状をなすモータ本体部57がその軸線をX方向に向けて支持されており、該モータ本体部57から右壁部25に接近する方向にドライブシャフト53が延設されている。すなわち、ガイドバー32、33に加えて、第1モータ50(ドライブシャフト51)と第2モータ52(ドライブシャフト53)もそれぞれその長手方向(軸方向)がX方向と略平行になるようにハウジング21内に配設されている。また、Z方向において、第1モータ50は前面開口22に近い物体側に位置しているのに対し、第2モータ52は奥壁部27に近い奥側に位置されている。
ナット42はナット係合部40との係合状態において回転が規制されているため、第1モータ50のドライブシャフト51が回転されると、送りねじによってナット42にX方向への移動が与えられ、これに伴って第1群枠34がX方向へ移動される。同様に、ナット43はナット係合部41との係合状態において回転が規制されているため、第2モータ52のドライブシャフト53が回転されると、送りねじによってナット43にX方向への移動が与えられ、これに伴って第2群枠35がX方向へ移動される。
前述の通り、撮像ユニット20に搭載された光学系はズーム光学系であり、第1群枠34と第2群枠35、すなわち第1変倍レンズ群LG1と第2変倍レンズ群LG2をX方向に所定の軌跡で相対移動させることにより焦点距離が変化する。さらに、第1変倍レンズ群LG1と第2変倍レンズ群LG2のいずれかをX方向に移動させることによって、合焦動作を行わせることができる。いずれのレンズ群をフォーカシングレンズ群として機能させるかは任意であるが、本実施形態では第2変倍レンズ群LG2がフォーカシングレンズ群として機能する。
第1モータ50は、図5に示す第1モータ保持部材60によって保持される。第1モータ保持部材60はX方向に長い板状部材であり、その一端部と他端部に形成した取付腕部61と位置決め孔62をそれぞれ取付部63と位置決め突起64に係合させることによってハウジング21に取り付けられる。この取り付け状態において、第1モータ保持部材60の中間部分に設けた保持接片65が第1モータ50のモータ本体部55に弾接して保持する。なお、図6はハウジング21から第1モータ保持部材60を取り外した状態を示している。第2モータ52は、図5に示す第2モータ保持部材66によって保持される。第2モータ保持部材66はX方向の両端部に一対の取付腕部67を有し、一方の取付腕部67に隣接する位置に位置決め孔68を有している。第1モータ保持部材60が前面開口22側から取り付けられるのに対し、第2モータ保持部材66は奥壁部27側から取り付けられる。図5に示すように奥壁部27には第2モータ保持部材66を取り付けるための凹部が形成され、この凹部内に、一対の取付腕部67を挿入係合させる一対の取付部69(図には一方のみが表れている)と、位置決め孔68を係合させる位置決め突起70が設けられている。この奥壁部27側の凹部内に第2モータ保持部材66を取り付けた状態において、該第2モータ保持部材66の中間部分に設けた保持接片71が第2モータ52のモータ本体部57に弾接して保持する。
第1モータ50のモータ本体部55に設けたモータ端子72は、ハウジング21に形成した貫通孔73を通して傾斜壁部28の外面側に露出される。また、第2モータ52のモータ本体部57に設けたモータ端子74は、前面開口22側を向くように位置される。
撮像ユニット20は、以上の各構成要素をハウジング21に組み付けた上で、前面開口22を塞ぐようにカバー基板80を取り付けることで完成される。図12に示すように、カバー基板80は、撮像センサ83、デジタルシグナルプロセッサ(以下、DSP)84、水晶発振器85、読み出し専用メモリ(以下、ROM)86、ランダムアクセスメモリ(以下、RAM)87、モータドライバ88といった電子回路部品を平板状のベース基板90上に位置を異ならせて配設したものである。カバー基板80上の各電子回路部品(チップ)は、ベアチップをベース基板90に対してワイヤーボンディングで接続することによって取り付けられる。
図13は、カバー基板80上の電子回路部品の制御関係を示したものである。撮像センサ83はCCDやCMOSといった周知の撮像素子からなっており、その撮像面(受光面)に入射した光を光電変換して電気信号を出力する。液晶ディスプレイ16に画像を表示するライブビュー時には、撮像センサ83からの信号がDSP84の制御により逐次読み出され、DSP84内で処理されて液晶ディスプレイ16の表示素子が表示可能な信号(YUV信号)が生成される。撮影時にはDSP84からの制御信号により撮像センサ83の全画素信号が読み出されDSP84内で処理され、JPEGなどの形式で圧縮され、外部のメモリ手段(メモリカードなど)に保存できる画像信号として出力される。DSP84はまた、モータドライバ88を介して第1モータ50と第2モータ52を駆動制御する。前述のように、ズーム光学系の焦点距離を変化させるときには第1モータ50と第2モータ52をそれぞれ動作させ、フォーカシングを行うときは第2モータ52を動作させる。ROM86には、DSP84を動作させるプログラムが記録されている。携帯電話機10の電源起動時にROM86内のプログラムが読み込まれて一連の起動処理を行い、撮像センサ83からの信号をDSP84で処理して被写体画像(ライブビュー)を出力することで撮影準備状態になったことを操作者に知らせることができる。RAM87は撮像センサ83から入力された画像信号を処理するために一時記憶領域として用いられる。水晶発振器85は設定したクロックのタイミング信号を出力する。
図14はカバー基板80の断面構成を示している。カバー基板80は、柔軟性のない絶縁体基材によりベース基板90が構成されているリジッド基板であり、A層からF層までの6層のパターン配線90aを有する多層配線基板となっている。画像処理回路(DSP84)とモータドライバ88を同一の基板上に配置する場合には、このような多層構造の基板であることが、画像処理に関するノイズ低減などの観点から好ましい。
カバー基板80はX方向に長い矩形(長方形)をなしており、そのX方向とY方向のサイズは、ハウジング21の前面開口22におけるサイズとほぼ対応している。図11に示すように、前面開口22を塞ぐようにしてカバー基板80をハウジング21に取り付けると、撮像センサ83の撮像面が第2プリズムLP2の出射面LP2−oに対向して位置される。換言すれば、撮像センサ83が出射光軸OP−2上に位置される。カバー基板80の取り付けに際しては、ハウジング21に支持される光学系(第1プリズムLP1、第1変倍レンズ群LG1、第2変倍レンズ群LG2、第2プリズムLP2)によって形成される被写体像が撮像センサ83の撮像面上に正確に結像されるように、カバー基板80の位置が厳密に調整される。カバー基板80は接着などの手段によってハウジング21に固定される。
また、カバー基板80をハウジング21に取り付ける際には、カバー基板80から延設されたモータ接続基板81が第1モータ50のモータ端子72に接続され、同じくカバー基板80から延設されたモータ接続基板82が第2モータ52のモータ端子74に接続される。モータ接続基板81、82はそれぞれモータドライバ88に接続しており、カバー基板80の組み付けが完了すると、第1モータ50と第2モータ52がモータドライバ88によって駆動制御される状態になる。
カバー基板80とハウジング21が結合されて完成した状態の撮像ユニット20は、第1プリズムLP1の入射面LP1−iが露出される入射開口30aのみが開口され、前面開口22などその他の部分は閉じられている。すなわち、完成状態の撮像ユニット20においては、入射開口30aが光束を入射させるための唯一の光学開口となり、その他に光束を入射または出射させる光学開口は備えない。そして撮像ユニット20は、図1及び図2に示すように、第1プリズムLP1の入射面LP1−iが撮影窓14の背後に位置するようにして携帯電話機10のディスプレイ部12内に取り付けられる。このとき、カバー基板80から延設された画像信号FPC91が携帯電話機10内に設けた制御回路(不図示)に接続される。
携帯電話機10の制御回路からは、操作キー15などの操作手段を用いて入力された操作信号が画像信号FPC91を介して撮像ユニット20に送られる。この操作信号とは、撮影実行信号、ライブビュー(画像表示)実行信号、ズーミング動作信号などである。撮影実行信号が入力されると、撮像ユニット20において前述したフォーカシング動作(第2モータ52による第2変倍レンズ群LG2の移動)を含む撮影動作が行われ、DSP84によって処理されたメモリ記録用のフォーマット済み画像信号が画像信号FPC91を介して制御回路へ送られる。ライブビュー実行信号が入力されると、DSP84によって処理された画面表示用の画像信号(YUV信号)が画像信号FPC91を介して制御回路へ送られる。また、ズーミング動作信号が入力されると、モータドライバ88を介して第1モータ50と第2モータ52が駆動され、撮像ユニット20の光学系における焦点距離が変化する。また、画像信号FPC91を介して撮像ユニット20に対する給電も行われる。
以上のように、撮像ユニット20から延出される画像信号FPC91を携帯電話機10の制御回路に接続することにより撮像システムが完成する。製造工程においては、カバー基板80上の電子回路部品を含めて予めモジュール化された撮像ユニット20を取り付けるだけなので、繁雑な部品組み付けが不要であり組立作業性に優れている。同様の観点から、撮像ユニット20の修理や交換などのメンテナンス時の作業性にも優れている。そして、撮像ユニット20からはDSP84で処理済みの画像信号が出力されるため、携帯電話機10本体側の制御回路には画像処理の負担がかからない。また、第1変倍レンズ群LG1や第2変倍レンズ群LG2を移動させるための支持駆動機構(ガイドバー32、33などの支持ガイド機構や、第1モータ50、第2モータ52などのアクチュエータ類)も撮像ユニット20内に備えられているので、携帯電話機10本体に複雑な駆動機構を設ける必要がない。換言すれば、撮影に関する要素が全て撮像ユニット20にモジュール化されているため、撮像ユニット20は様々な携帯電子機器へ搭載可能な高い汎用性を有している。
撮像ユニット20はまた、構成要素をスペース効率良くユニット化してコンパクトに構成されており、搭載される電子機器の小型化にも寄与する。まず、撮像ユニット20の光学系は、前述のように撮影窓14を通して物体側から入射する光束を第1プリズムLP1でX方向に屈曲させ、さらに第2プリズムLP2で再び物体側に屈曲させて撮像センサ83の撮像面に結像させる屈曲光学系になっている。そして、第1変倍レンズ群LG1や第2変倍レンズ群LG2は、第1プリズムLP1と第2プリズムLP2に挟まれたX方向の光路内に配置されており、かつ変倍動作や合焦動作における第1変倍レンズ群LG1や第2変倍レンズ群LG2の移動方向もX方向である。よって、Z方向において光学系が占めるサイズは、第1プリズムLP1及び第2プリズムLP2の厚み程度で足り、ズーム光学系を内蔵していながらもZ方向の厚みが小さく抑えられている。
さらに撮像ユニット20においては、撮像センサ83をはじめとする電子回路部品を有するカバー基板80が、光学系を支持するハウジング21のカバー部材を兼ねている。カバー基板80とハウジング21を結合させた状態で自動的に撮像センサ83の撮像面が第2プリズムLP2の出射面LP2−oに対向するため、複雑な支持機構を要することなく撮像センサ83を光学系の結像位置に位置させることができる。また、X方向に長い前面開口22を塞ぐ関係上、カバー基板80もX方向に長い形状にすることができ、撮像センサ83やDSP84をはじめとする複数の電子回路部品を、X方向(一部はY方向)に位置を異ならせて分散配置することが可能になった。その結果、これらの電子回路部品がZ方向に占めるスペース(厚み)を最小限にすることができ、光学系のみならず電気回路を含めた撮像ユニット20全体としてZ方向の薄型化が達成されている。
特に本実施形態の光学系では、図11に示すように、第2プリズムLP2、第1変倍レンズ群LG1及び第2変倍レンズ群LG2といった他の光学要素に比して第1プリズムLP1のZ方向サイズが大きく、第1プリズムLP1の入射面LP1−iは他の光学要素よりも物体側に若干突出されている。カバー基板80は、この第1プリズムLP1の物体側突出部分のX方向の延長上に位置しており、いわば、第1プリズムLP1と他の光学要素の間に生じたZ方向の空間(デッドスペース)を利用してカバー基板80が配置されている。これにより、スペース効率がより一層向上している。特に画角の広い撮像光学系を構成する場合には、第1プリズムLP1が大きくなる傾向があるので、このカバー基板80の配置が効果的である。
携帯電話機10のようにユーザーに対面する表示デバイスを有する電子機器では、表示デバイスの面方向(X及びY方向)には表示デバイス自体が所定の面積を占めるので、部材の配設スペースを得やすい。例えば、撮像ユニット20におけるX方向は液晶ディスプレイ16の横幅方向に相当するため、ディスプレイ部12において当該X方向には比較的長い光路長を確保しやすい。一方、液晶ディスプレイ16の厚み方向(Z方向)においては、ディスプレイ以外の内蔵部材の大きさ(厚み)がディスプレイ部12の厚みに影響を及ぼしやすい。逆に言えば、撮像ユニット20のような内蔵物をZ方向に薄型化できれば、携帯電話機10全体の薄型化を図ることができる。そして、撮像ユニット20では以上のような構造によってZ方向のサイズが抑えられており、携帯電話機10の薄型化に寄与することが可能となっている。
また、撮像ユニット20は、その長手方向(X方向)が、ディスプレイ部12の横幅方向(ヒンジピン13aの軸線Qと略平行な方向)を向き、短手方向(Y方向)が、ディスプレイ部12の長手方向(ヒンジピン13aの軸線Qと略直交する方向)を向く態様で、ディスプレイ部12内に配置されている。言い換えれば、図1及び図2に示すように、撮像ユニット20内の撮像光学系の中間光軸OP‐Cがヒンジピン13aの軸線Qと略平行な位置関係となっている。撮像ユニット20は、ディスプレイ部12の長手方向においてヒンジ部13と液晶ディスプレイ16の間に配置されているので、当該方向における撮像ユニット20の配置スペースは、液晶ディスプレイ16の大きさによる制約を受けることになる。一方、ディスプレイ部12の横幅方向には、液晶ディスプレイ16が撮像ユニット20の配置スペースを制約する関係にない。そのため、以上のような向きに設定することによって、液晶ディスプレイ16と干渉することなく、スペース効率良く撮像ユニット20を配置することができる。換言すれば、それだけ表示面積の広い液晶ディスプレイ16を用いることが可能となる。
撮像ユニット20では、撮像に関連する回路部品がカバー基板80に集約して搭載されており、複雑な配線が不要で電装系をシンプルに構成することができる。それと同時に、撮像センサ83とDSP84を介して出力される撮影画像信号に電気的ノイズが乗りにくくする工夫がなされている。前述の通り、撮像ユニット20における撮像光学系では、第1変倍レンズ群LG1と第2変倍レンズ群LG2の移動量を確保するために、中間光軸OP−Cに沿うX方向への光路長が長くなっている。カバー基板80は、この撮像ユニット20における主光軸と言える中間光軸OP−Cと略平行な基板平面を有し、該中間光軸OP−Cに沿ってX方向へ長い矩形状(長方形)をなしている。そして図11や図12に示すように、X方向に長いカバー基板80のうち、撮像センサ83は第2プリズムLP2の出射面LP2−oに対向するX方向の一端部側に寄せて設けられていて、DSP84はX方向において撮像センサ83に隣接する位置(撮像センサ83よりも第1プリズムLP1に若干近付いた位置)に設けられている。水晶発振器85は、X方向においてDSP84と略同位置にあり、DSP84に対してY方向の位置を異ならせている。これら画像生成用の電子部品とは逆に、モータドライバ88は、カバー基板80におけるX方向の他端部側、すなわち最も第1プリズムLP1に近い側に設けられている。DSP84は、X方向においてモータドライバ88よりも撮像センサ83に近い位置に設けられている。この構成によれば、第1変倍レンズ群LG1及び第2変倍レンズ群LG2の駆動回路であるモータドライバ88と撮像センサ83を共通のカバー基板80上に配置しつつ、画像に対するノイズ発生源となるおそれがあるモータドライバ88を撮像センサ83やDSP84から十分に離間させることができる。よって、カバー基板80を含む撮像ユニット20をシンプルな構造で小型(特にZ方向で薄型)に構成しつつ、ノイズの少ない高品質な撮影画像を得ることができる。また、カバー基板80では、DSP84とモータドライバ88の間のX方向領域をROM86とRAM87の配置スペースとして有効利用しており、カバー基板80全体としてのスペース効率にも優れている。
なお、図12の形態では、略長方形をなす撮像センサ83は、その長辺がX方向で短辺がY方向を向く横長矩形の状態でカバー基板80上に配置されており、該カバー基板80上においてDSP84やモータドライバ88などの他の回路部品は、撮像センサ83の一方(図中左側)の短辺側のスペースに配設されている。これと異なり、図18のように、略長方形の撮像センサ83を、長辺がY方向で短辺がX方向を向くように、すなわちセンサ長手方向がカバー基板80の長手方向と略直交するように、縦長矩形の状態で配置することもできる。この場合、カバー基板80において、撮像センサ83の一方(図中左側)の長辺側の領域にDSP84を始めとする他の回路部品が配設される。図12と同様に図18の態様でも、DSP84は、X方向においてモータドライバ88よりも撮像センサ83に近い位置に設けられている。図12、図18のいずれの態様でも、矩形をなす撮像センサ83の4辺のうち、1つの辺側の領域のみに他の回路部品を集中して配置することで、前述のような撮像ユニット20のコンパクト化と撮影画像のノイズ低減とを両立させることが可能になっている。特に図18の形態では、撮像センサ83の長辺がカバー基板80の短辺方向(Y方向)に向く配置であるため、カバー基板80上での長辺方向(主光軸方向、X方向)の空間を広く確保することができる。そのため、撮像センサ83とモータドライバ88の相対距離をより離間させることが可能となり、ノイズ低減に有利となる。
以上のように、本実施形態の撮像ユニット20は、コンパクトさ、製造時やメンテナンス時における取り扱いやすさといった点で優れており、またコンパクトでありながら撮像センサ83やDSP84を介して得られる撮影画像にノイズが乗りにくいように構成されており、携帯電話機10のような携帯電子機器に搭載するのに好適である。
なお、以上の実施形態では、図11に示すように、カバー基板80において撮像センサ83が設けられている側、すなわちカバー基板80をハウジング21に取り付けたときハウジング21内に向く内面側に、DSP84など撮像センサ83以外の回路構成要素が設けられている。この構成によればハウジング21の内部空間の使用効率を高めてより一層のコンパクト化を図ることができ、また電子回路部品に対する保護や防塵性の観点からも有効である。但し、図15に示す撮像ユニット120のように、カバー基板180における撮像センサ183以外の電子回路部品であるDSP184、水晶発振器185、ROM186、RAM187、モータドライバ188を、撮像センサ183とは裏面側の、ベース基板190の外面側(物体側)に配置することも可能である。この撮像ユニット120では、カバー基板180以外の構成は図11に示す第1の実施形態と共通しており、共通する部分は図11と同符号で示している。撮像ユニット120においても、カバー基板180がハウジング21の前面開口22を覆うカバー部材を兼ねている。そして、カバー基板180の外面側に支持されたDSP184などの電子回路部品は、第1プリズムLP1の入射面LP1−iよりも物体側に突出されていないので、撮像ユニット120のZ方向の薄型化は維持される。
さらに本発明では、図16に示す撮像ユニット220や、図17に示す撮像ユニット320のように構成することもできる。図11の撮像ユニット20や図15の撮像ユニット120と異なり、図16の撮像ユニット220は、中間光軸OP−Cに沿って第2プリズムLP2′の入射面LP2−i′に入射する光束が、反射面LP2−r′によって物体側とは反対のユニット背面側に向けて反射され、入射光軸OP−1と同じ向きの出射光軸OP−2′に沿って出射される。第2プリズムLP2′を含む光学要素を支持するハウジング221においては、図11及び図15のハウジング21の前面開口22に相当する部分は前方壁部222で塞がれており、第2プリズムLP2′の出射面LP2−o′に対向する背面部分に背面開口227が形成されている。背面開口227は、出射光軸OP−2′の延長上に位置する出射部と、X方向の中間光軸OP−Cに沿う領域とに亘って形成されており、この背面開口227が、撮像素子283を有するカバー基板280によって覆われている。カバー基板280は、撮像センサ283、DSP284、水晶発振器285、ROM286、RAM287及びモータドライバ288が、ベース基板290の同一面上に位置を異ならせて設けられている。そしてカバー基板280をハウジング221に取り付けた状態では、撮像センサ283が第2プリズムLP2′の出射面LP2−o′に対向して位置し、ベース基板290の同一面上に設けられたDSP284、水晶発振器285、ROM286、RAM287及びモータドライバ288も、ハウジング221内の中間光軸OP−Cに沿うスペースに収納される。
図17の撮像ユニット320は、光学系の構成は図16の撮像ユニット220と共通しており、カバー基板380において撮像センサ383とその他の電子回路部品(DSP384、水晶発振器385、ROM386、RAM387及びモータドライバ388)が、ベース基板390上の同一面ではなく表裏に配置されている点のみが相違する。すなわち、ハウジング221の背面開口227を覆う態様でカバー基板380を取り付けると、撮像センサ383は、図16の撮像センサ283と同様に第2プリズムLP2′の出射面LP2−o′に対向して位置される。一方、DSP384、水晶発振器385、ROM386、RAM387及びモータドライバ388は、ユニット背面側に露出して位置される。
以上の撮像ユニット220、320のような形態でも、撮像センサ283、383を有するカバー基板280、380がハウジング221のカバー部材を兼ねている点で図11の撮像ユニット20や図15の撮像ユニット120と共通しており、撮像ユニット20に関して先に述べた通りの効果を得ることができる。特に、モータドライバ188、288及び388はそれぞれX方向において撮像センサ183、283及び383から離れて位置されているので、モータドライバからの電気的ノイズが撮影画像に影響するおそれが少ない。
なお、図15、図16及び図17に示すカバー基板180、280及び380は、最初の実施形態のカバー基板80と同様に、ベース基板190、290及び390がそれぞれ柔軟性のない絶縁体基材によって構成されているリジッド基板であり、かつ複数層のパターン配線を有する多層配線基板となっている。
以上、図示実施形態に基づいて説明したが、本発明は図示実施形態に限定されるものではなく、発明の要点を逸脱しない限りにおいて異なる形態とすることが可能である。例えば、本発明の撮像ユニットは、携帯電話機以外にも、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオ、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピューター、モバイルコンピューターなどの各種デジタル機器に搭載することができる。また、図示実施形態では2つのプリズムの間に2つの可動変倍レンズ群を備えるズーム光学系に適用しているが、本発明はズームタイプの撮像ユニットに限定されるものではない。