JP4969831B2 - 金属表面処理剤、金属材料の表面処理方法及び表面処理金属材料 - Google Patents

金属表面処理剤、金属材料の表面処理方法及び表面処理金属材料 Download PDF

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Description

本発明は、金属を素材としたシートコイル、成形品の表面に優れた耐食性、優れた耐アルカリ性、優れた耐黒変性及び優れた耐黄変性を付与でき、かつクロムを含まない皮膜を形成させるために用いる金属表面処理剤、金属表面処理方法、表面処理された金属材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、亜鉛系メッキ鋼板、鋼板、アルミニウム系金属材料を素材とする自動車ボディー、自動車部品、建材、家電用部品等の成形加工品、鋳造品、シートコイル等に優れた耐食性、優れた耐アルカリ性、優れた耐黒変性及び優れた耐黄変性を付与し得る、クロムを含まない皮膜を形成させるために用いる表面処理剤、表面処理方法、表面処理された金属材料に関する。
亜鉛系メッキ鋼板、鋼板等の金属材料は、大気中の酸素、水分、水分中に含まれるイオン等によって酸化され腐食する。また、成型加工した後にアルカリ性を示す脱脂剤により洗浄する場合があり、アルカリに対して耐久性がないと変色したり、使用下で早期に腐食してしまう。さらに、高温多湿で特定の環境下においてはめっき鋼材が黒く変色して見える現象が起こり、いずれの現象もめっき層金属材料の劣化に起因するものであり、様々な製品として組み込まれたときの品質、意匠性という観点から問題視される。これらの腐食を防止する方法として、従来から、クロム酸クロメート等のクロムを含有する処理液に金属材料表面を接触させてクロメート皮膜を析出させる、或いは塗布して乾燥させる等して金属表面にクロメート皮膜を形成させる方法がある。しかしながら、これらの無機系のクロメート皮膜単独では、比較的マイルドな環境下では、短期的な防錆性が発揮されるものの、長期に亘っての或いはより厳しい環境での耐食性は不十分である。さらに、クロメート単独処理を施したシートコイルを切り出して成形加工すると、形成された皮膜が硬質で脆く潤滑性に乏しいため、皮膜が脱落し外観を損ねるだけでなく、十分な加工ができず、素材に亀裂が生じ割れてしまうという不具合が生じる。そこで一般には、これらすべての性能を満足するためには、金属材料表面にクロメート皮膜を形成し、形成されたクロメート皮膜上に、さらに樹脂皮膜を設ける2層処理が行われている。また、クロメート皮膜は性能的に不十分であるほか、その処理液中に有害な6価クロムを有しているため廃水処理に手間やコストが掛かるほか、形成された皮膜中にも6価クロムを含有されているので環境面、安全面から敬遠される傾向にある。
1層処理ですべての性能を満足させようとする試みとしては、クロメートと樹脂皮膜とを一度に形成させる樹脂クロメートが検討され、アルミニウム−亜鉛めっき鋼板の表面に、特定の水分散系又は水溶性樹脂と特定量の6価クロムを配合した樹脂組成物を塗布する処理方法(特許文献1)、及び無機化合物の6価クロムイオン又は6価クロムイオンと3価クロムイオン、及び特定の乳化重合条件で重合したアクリルエマルジョンを含有する金属表面処理組成物(特許文献2)が知られている。しかしながら、前述したように、皮膜中に含有される6価クロムは微量ではあるが、徐々に溶け出す性質を持っており、環境面、安全面に問題を有している。
クロムを有さないノンクロメート処理液を用いる方法としては、特定構造のフェノール樹脂系重合体と酸性化合物とを含有する金属材料表面処理用重合体組成物及び表面処理方法(特許文献3)、互いに異種でかつ互いに反応し得る特定構造の反応性官能基を有する2種以上のシランカップリング剤を含有する耐指紋性等に優れた金属表面処理剤及び処理方法(特許文献4)、特定構造のシランカップリング剤と特定構造のフェノール樹脂系重合体とを含有する金属表面処理剤及び処理方法(特許文献5)、少なくとも1個の窒素原子を有するエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子と特定の多価アニオンとを含有する金属表面処理剤、処理方法及び処理金属材料(特許文献6)、(1)特定構造のビスフェノールAエポキシ系樹脂を含有する防錆剤、(2)フェノール系樹脂とそれ以外のポリエステル等の特定樹脂とを特定比で含有する防錆剤、(1)と(2)とを用いる処理方法及び処理金属材料(特許文献7)、並びに特定構造のフェノール系樹脂化合物と、バナジウム化合物と、特定の金属化合物と、任意成分としての有機高分子とを含有する金属表面処理剤、処理方法及び処理金属材料(特許文献8)、及び特定の水溶性樹脂もしくは水性エマルジョン樹脂と、特定構造のフェノール系樹脂化合物と、特定の金属化合物とを必須成分とする金属表面処理剤、処理方法及び処理金属材料(特許文献9)が知られている。
しかしながら、クロムを用いない金属表面処理においては、処理液が6価クロムを含有しない利点がある反面、耐食性が不十分で、特にキズ部、加工部の耐食性は、クロメート皮膜に比べ著しく劣っており、また、耐黒変性も高温多湿な環境下では性能が不十分であるという欠点を有している。さらに、一般的に樹脂皮膜は熱の影響を受け、黄色や褐色に変色する特性(黄変性)があり、溶接時やプレス加工時に発生する熱の影響にて変色してしまう欠点を有している。したがって、現状では、金属材料表面に優れた耐食性、耐アルカリ性及び耐黒変性、並びに場合によってさらに優れた耐黄変性を同時に付与し得る皮膜を形成するようなノンクロメート系の金属表面処理剤は得られていない。
特公平4−2672号公報 特公平7−6070号公報 特開平7−278410号公報 特開平8−73775号公報 特開平9−241576号公報 特開平10−1789号公報 特開平10−60233号公報 特開2001−181860号公報 特開2003−13252号公報
本発明は前記従来技術の抱える問題を解決するために成されたものであって、金属材料に優れた耐食性、優れた耐アルカリ性、優れた耐黒変性及び優れた耐黄変性を付与するために用いる、クロムを含有しない金属表面処理剤、金属表面処理方法及び表面処理金属材料を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決する手段について、鋭意検討した結果、カチオン性の水溶性もしくは水系エマルジョンウレタン樹脂、フェノール系化合物とアルデヒド類との重縮合物であってカチオン性のもの、チタン化合物及び他の特定の金属化合物を必須成分とし、前記樹脂と前記重縮合物との使用割合を特定の範囲とする水系表面処理剤を用いて金属材料表面を処理することにより、優れた耐食性、優れた耐アルカリ性、優れた耐黒変性及び優れた耐黄変性を有する皮膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明はカチオン性の水溶性もしくは水系エマルジョンウレタン樹脂(A)(以下、カチオン性ウレタン樹脂(A)という)、フェノール系化合物とアルデヒド類との重縮合物であってカチオン性のもの(B)(以下、カチオン性フェノール系重縮合物(B)という)、チタン化合物(C)、及びLi、Mg、Al、Ca、Mn、Co、Ni、Zn、Sr、W、Ce及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属を含有する化合物(D)(以下、金属化合物(D)という)を水性媒体に配合してなる金属表面処理剤であって、カチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との配合比率が、固形分質量比として、(A):(B)=99:1〜50:50である該金属表面処理剤に関する。本発明の金属表面処理剤にカチオン性ウレタン樹脂(A)、カチオン性フェノール系重縮合物(B)、チタン化合物(C)及び金属化合物(D)が含まれ、かつカチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との相互割合を特定範囲とすることにより、優れた耐食性、優れた耐アルカリ性、優れた耐黒変性及び優れた耐黄変性を有する皮膜を金属表面に形成させることができる。
また、上記において、カチオン性ウレタン樹脂(A)としてシリル変性した、カチオン性の水溶性もしくは水系エマルジョンウレタン樹脂を用いる場合には、形成される皮膜の耐食性及び耐アルカリ性がさらに向上する。
また、本発明の上記金属表面処理剤に無機酸及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の酸成分(E)(以下、酸成分(E)という)を配合することが好ましく、それにより、形成される皮膜の耐食性、耐アルカリ性及び耐黒変性がさらに向上する。また、本発明の上記金属表面処理剤にバナジウム化合物(F)を配合することが好ましく、それにより、形成される皮膜の耐食性及び耐アルカリ性がさらに向上する。また、本発明の上記金属表面処理剤にシランカップリング剤(G)を配合することが好ましく、それにより、形成される皮膜の耐食性及び耐アルカリ性がさらに向上する。
本発明はまた、金属材料表面に上記金属表面処理剤を塗布した後、乾燥することによって該金属材料表面に皮膜を形成させることを特徴とする金属材料の表面処理方法、及び上記表面処理方法を用いて形成された皮膜を有する金属材料に関する。
本発明の金属表面処理剤を金属表面に塗布することにより、優れた耐食性、優れた耐アルカリ性、優れた耐黒変性及び優れた耐黄変性を有する皮膜を形成させることができる。
本発明の金属表面処理剤中に配合するカチオン性ウレタン樹脂(A)(すなわち、カチオン性の水溶性もしくは水系エマルジョンウレタン樹脂(A))における「カチオン性」は分子構造中にカチオン性官能基を有することを意味する。かかるカチオン性官能基としては下記一般式(I)又は(II)
Figure 0004969831
(式中、R、R、R、R、及びRは互いに独立に水素原子、炭素数1〜10好ましくは1〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基又は炭素数1〜10好ましくは1〜6の直鎖もしくは分枝鎖のヒドロキシアルキル基を表し、R及びRは互いに独立に炭素数2〜10好ましくは2〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン基を表し、A及びBは水酸イオン又は酸イオンを表す)で表される基などが挙げられる。かかるカチオン性官能基の量はカチオン性ウレタン樹脂(A)が本発明の金属表面処理剤中に溶解もしくは分散状態で安定に存在し得る量であればよい。
一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)において、R、R、R、R、及びRが表す、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、7−ヒドロキシヘプチル基、8−ヒドロキシオクチル基、9−ヒドロキシノニル基、10−ヒドロキシデシル基等が挙げられる。一般式(III)及び(IV)において、R及びRが表す、炭素数2〜10のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2−エチル−ヘキシレン基、デカメチレン基等が挙げられる。また、一般式(II)及び(IV)において、A及びBが表す酸イオンとしてはハロゲンイオン(塩素イオン、臭素イオン、フッ素イオン等)、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン等の無機酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン等の有機酸イオンが挙げられる。
また本発明で用いるカチオン性ウレタン樹脂(A)は水溶性のもの又は水系エマルジョン形態のものである。
本発明で用いるカチオン性ウレタン樹脂(A)は上記したようなカチオン性官能基を有することが必要であるが、かかるカチオン性官能基は、カチオン性フェノール系重縮合物(B)(すなわち、フェノール系化合物とアルデヒド類との重縮合物であってカチオン性のもの(B))やチタン化合物(C)や金属化合物(D)(すなわち、Li、Mg、Al、Ca、Mn、Co、Ni、Zn、Sr、W、Ce及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属を含有する化合物(D))との相溶性に寄与する。カチオン性ウレタン樹脂(A)の水への溶解性又は分散性は該樹脂の水への自己溶解性又は自己分散性に基づいて達成されてもよく、またカチオン性界面活性剤(例えばアルキル4級アンモニウム塩等)及び/又はノニオン性界面活性剤(例えばアルキルフェニルエーテル等)の助けを借りて達成されてもよい。
カチオン性ウレタン樹脂(A)としては、ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のポリオール類と脂肪族、脂環式もしくは芳香族ポリイソシアネートとの縮重合物であるウレタン樹脂において、用いるポリオールの一部として、(置換)アミノ基を有するポリオール又は窒素原子を主鎖中に有するポリオールを用いることによって得られるウレタン樹脂、該ウレタン樹脂の窒素原子を4級化剤で4級化したウレタン樹脂などが挙げられる。
上記において、ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール化合物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の三価以上の脂肪族又は脂環族アルコール化合物等が挙げられる。
上記においてポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のプロピレンオキサイド付加物、上記のポリオールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
上記においてポリエステルポリオールとしては、例えば上記ポリオールとその化学量論的量より少ない量の、多価カルボン酸又はその無水物、ハライド、エステル等のエステル形成性誘導体との直接エステル化反応及び/又はエステル交換反応により得られるもの;ラクトン類を上記ポリオールにより開環して得られるもの;ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;トリメリット酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸などが挙げられる。そのエステル形成性誘導体としては、これらの多価カルボン酸の酸無水物;該多価カルボン酸のクロライド、ブロマイド等のハライド;該多価カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、アミルエステル等の低級脂肪族エステル等が挙げられる。上記ラクトン類としては、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等が挙げられる。
上記において、(置換)アミノ基を有するポリオール又は窒素原子を主鎖中に有するポリオールとしては、下記一般式(V)又は(VI)
Figure 0004969831
(式中、R、R、R、R及びR前記一般式(I)及び(III)において定義したのと同義であり、Rは炭素数2〜10好ましくは2〜6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン基を表すが、そのいずれかの炭素上に−NR基が置換している。)で表されるポリオールなどが挙げられる。かかるポリオールの具体例として、N,N−ジメチルアミノジメチロールプロパン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンなどが挙げられる。また、4級化剤としてはRCl、RBr、RCl、RBr(式中、R及びRは一般式(II)及び(IV)におけると同義である)などが挙げられる。
カチオン性ウレタン樹脂(A)に関し、脂肪族、脂環式もしくは芳香族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、水添キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられるが、これらの中でも、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、水添キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ポリイソシアネート化合物を用いる場合には、得られる皮膜が耐候性にも優れたものとなるので好ましい。
本発明のカチオン性ウレタン樹脂(A)はシリル変性した、カチオン性の水溶性もしくは水系エマルジョンウレタン樹脂であってもよく、かかるシリル変性ウレタン樹脂を用いる場合には、形成される皮膜の耐食性及び耐アルカリ性がさらに向上する。このシリル変性は水溶性もしくは水系エマルジョンウレタン樹脂の合成段階でシランカップリング剤を用いることにより行われ、より具体的な変性方法については特に制限されないが、例えばポリオール類(一部に(置換)アミノ基を有するポリオール又は窒素原子を主鎖中に有するポリオールを使用)とシランカップリング剤とを反応させた後に脂肪族、脂環式もしくは芳香族ポリイソシアネートを縮重合させたり、ポリオール類(一部に(置換)アミノ基を有するポリオール又は窒素原子を主鎖中に有するポリオールを使用)と脂肪族、脂環式もしくは芳香族ポリイソシアネートとの縮重合物にシランカップリング剤を反応させることにより行われる。
シリル変性する際のシランカップリング剤の種類については特に制限はなく、シランカップリング剤としては、後述のシランカップリング剤(G)に包含されるシランカップリング剤を用いることができる。シリル変性する際のシランカップリング剤として好ましいものはアミノ基(1級もしくは2級アミノ基)又はエポキシ基を有するシランカップリング剤である。
シリル変性する際のシランカップリング剤の使用量としては特に制限はないが、ポリオール類(一部に(置換)アミノ基を有するポリオール又は窒素原子を主鎖中に有するポリオールを使用)と脂肪族、脂環式もしくは芳香族ポリイソシアネートとシランカップリング剤との合計質量を基準にして0.05〜10質量%であることが上記効果の発現上好ましく、0.5〜5質量%であることが上記効果の発現上より好ましい。シランカップリング剤を反応させる際の反応温度については特に制限はなく、例えば0〜50℃で反応を行えばよい。
シリル変性により耐食性及び耐アルカリ性が向上する理由は定かではないが、シリル変性にすることより、カチオン性ウレタン樹脂(A)の金属基材との密着性が高まったり、さらには酸素や塩素等の腐食因子の透過が抑制されることによりバリア性が高まることによると推測される。
上記したカチオン性ウレタン樹脂(A)の中で、皮膜の金属材料への密着性や皮膜の耐水性へ悪影響を及ぼす恐れがある可溶化剤もしくは乳化剤としての界面活性剤を使用しないソープフリーのもの或いはその使用量を抑えたものがより好ましい。
カチオン性ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は1,000〜1,000,000であるのが好ましく、2,000〜500,000であるのがより好ましい。該分子量が1,000未満では皮膜形成性が不十分で、一方1,000,000を超えると処理剤の安定性が低下する傾向となる。
本発明の金属表面処理剤中に含有させるカチオン性フェノール系重縮合物(B)(すなわち、フェノール系化合物とアルデヒド類との重縮合物であってカチオン性のもの(B))における「カチオン性」はカチオン性官能基を有することを意味する。かかるカチオン性官能基としては前記一般式(I)又は(II)で表されるものを挙げることができる。カチオン性フェノール系重縮合物(B)はかかるカチオン性官能基の少なくとも1種を有していればよい。これらのカチオン性官能基は、例えば、フェノール系化合物とアルデヒド類とを重縮合させる際に、前記一般式(I)で表される(置換)アミノ基に対応するアンモニアもしくはアミンを共存させることにより導入することができる。カチオン性フェノール系重縮合物(B)に含まれるカチオン性官能基の割合はカチオン性フェノール系重縮合物(B)に含まれるベンゼン環1個あたり0.2〜3個であるのが好ましい。上記数値が0.2個未満では、金属表面処理剤の安定性が低下する傾向になり、また3個を超えると、形成される皮膜の耐食性が低下する傾向になる。本発明で使用するカチオン性フェノール系重縮合物(B)は上記重縮合反応を酸性触媒の存在下に行って得られるノボラック型フェノール系重縮合物であることが好ましい。また本発明で使用するカチオン性フェノール系重縮合物(B)は上記ノボラック型フェノール系重縮合物をホウ素変性、ケイ素変性、リン変性、重金属変性、窒素変性、イオウ変性、油変性、ロジン変性等の公知の手法により変性したものであってもよい。
本発明で用いるカチオン性フェノール系重縮合物(B)を得るために使用されるフェノール系化合物は酸性触媒及び前記一般式(I)で表される(置換)アミノ基に対応するアンモニアもしくはアミンの存在下にアルデヒド類と重縮合してカチオン性フェノール系重縮合物(B)を生ずることができる限り特に限定されない。かかるフェノール系化合物として、例えばフェノール、m−クレゾール、m−エチルフェノール、m−プロピルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−ブチルフェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、カテコール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、メチルハイドロキノン、2−メチルレゾルシノール、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジメチルレゾルシノール、2−エトキシフェノール、4−エトキシフェノール、4−エチルレゾルシノール、3−エトキシ−4−メトキシフェノール、2−プロペニルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−イソプロポキシフェノール、4−ピロポキシフェノール、2−アリルフェノール、3,4,5−トリメトキシフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、ピロガロール、フロログリシノール、1,2,4−ベンゼントリオール、5−イソプロピル−3−メチルフェノール、4−ブトキシフェノール、4−t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、4−t−ペンチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、3−フェノキシフェノール、4−フェノキシフェノール、4−へキシルオキシフェノール、4−ヘキサノイルレゾルシノール、3,5−ジイソプロピルカテコール、4−ヘキシルレゾルシノール、4−ヘプチルオキシフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ジ−sec−ブチルフェノール、4−クミルフェノール、ノニルフェノール、2−シクロペンチルフェノール、4−シクロペンチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどが挙げられる。これらは各単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうちフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ビスフェノールA、2,3−キシレノール、3,5−キシレノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、レゾルシノールが好ましく、フェノール、ビスフェノールAが最も好ましい。
本発明で用いるカチオン性フェノール系重縮合物(B)を得るために使用されるアルデヒド類は酸性触媒及び前記一般式(I)で表される(置換)アミノ基に対応するアンモニアもしくはアミンの存在下に前記フェノール系化合物と重縮合してカチオン性フェノール系重縮合物(B)を生ずることができる限り特に限定されない。かかるアルデヒド類として、例えばホルムアルデヒド、トリオキサン、フルフラール、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メチルヘミホルマール、エチルへミホルマール、プロピルへミホルマール、ブチルヘミホルマール、フェニルへミホルマール、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o―メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらは各単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうちホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドが好ましく、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが最も好ましい。
本発明で用いるカチオン性フェノール系重縮合物(B)を得るために使用されるアミンとしては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−アミルアミン、ジ−n−アミルアミン、トリ−n−アミルアミン、sec−アミルアミン、sec−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジ−n−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。また4級化剤としてはカチオン性ウレタン樹脂(A)の製造において記載したような4級化剤を用いることができる。
本発明で用いるカチオン性フェノール系重縮合物(B)を得るために使用される酸性触媒としては以下の例示に限定されるものではないが、例えば塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、酪酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、ホウ酸等又は塩化亜鉛や酢酸亜鉛のような金属との塩を用いることができる。これらは各単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いるカチオン性フェノール系重縮合物(B)の数平均分子量は1,000〜
1,000,000の範囲であるのが好ましく、2,000〜100,000の範囲であるのがより好ましい。数平均分子量が1,000未満では形成された皮膜のバリア性(緻密性)が劣り、耐食性や耐アルカリ性が低下する傾向となり、また1,000,000を超えると本金属表面処理剤の液安定性が損なわれる可能性がある。
本発明の金属表面処理剤中に含有されるチタン化合物(C)は、チタンの酸化物、水酸化物、錯化合物、無機酸もしくは有機酸との塩等であり、カチオン性ウレタン樹脂(A)及びカチオン性フェノール系重縮合物(B)と相溶性の良いものであることが好ましい。チタン化合物(C)としては、例えば、硫酸チタニルTiOSO、ジイソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトン(CTi[OCH(CH、乳酸とチタニウムアルコキシドとの反応物、チタンラウレート、チタニウムアセチルアセトネートTi(OC(=CH)CHCOCH))、ヘキサフルオロチタン酸などを用いることができる。
本発明の金属表面処理剤中に含有される金属化合物(D)(すなわち、Li、Mg、Al、Ca、Mn、Co、Ni、Zn、Sr、W、Ce及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属を含有する化合物(D))は、上記金属の酸化物、水酸化物、錯化合物、無機酸もしくは有機酸との塩等であり、カチオン性ウレタン樹脂(A)及びカチオン性フェノール系重縮合物(B)と相溶性の良いものであることが好ましい。
上記金属化合物(D)として具体的には、例えば硝酸リチウム、リン酸リチウム、フッ化リチウム、水酸化リチウム、硫酸リチウム、炭酸リチウム、シュウ酸二リチウム、酸化リチウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、リン酸アンモニムマグネシウム、リン酸水素マグネシウム、酸化マグネシウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、リン酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、酢酸カルシウム、フッ化カルシウム、ホスフィン酸カルシウム[Ca(PH]、硝酸カルシウム、水酸化カルシウム、シュウ酸カルシウム、酸化カルシウム、酢酸カルシウム、過マンガン酸HMnO、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、リン酸二水素マンガンMn(HPO、硝酸マンガンMn(NO、硫酸マンガン(II)、(III)もしくは(IV)、フッ化マンガン(II)もしくは(III)、炭酸マンガン、酢酸マンガン(II)もしくは(III)、硫酸アンモニウムマンガン、マンガンアセチルアセトネートMn(OC(=CH)CHCOCH))、ヨウ化マンガン、酸化マンガン、水酸化マンガン、塩化コバルト、クロロペンタアンミンコバルト塩化物[CoCl(NH]Cl、ヘキサアンミンコバルト塩化物[Co(NH]Cl、クロム酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸アンモニウムコバルト、硝酸コバルト、酸化コバルト二アルミニウムCoO・Al、水酸化コバルト、リン酸コバルト、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネートNi(OC(=CH)CHCOCH))、塩化ニッケル、ヘキサアンミンニッケル塩化物[Ni(NH]Cl、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、亜鉛アセチルアセトネートZn(OC(=CH)CHCOCH))、リン酸二水素亜鉛、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、ストロンチウムアセチルアセトネートSr(OC(=CH)CHCOCH))、メタタングステン酸H[H1240]、メタタングステン酸アンモニウム(NH[H1240]、メタタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸H10[W124610]、パラタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸ナトリウム、酸化セリウム、酢酸セリウムCe(CHCO、硝酸セリウム(III)もしくは(IV)、硫酸セリウム、塩化セリウム、酸化モリブデン、モリブデン酸HMoO、モリブデン酸アンモニウム、パラモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブドリン酸化合物(例えば、モリブドリン酸アンモニウム(NH[POMo1236]・3HO、モリブドリン酸ナトリウムNa[PO・12MoO]・nHO等)等が挙げられる。モリブデン(VI)化合物、タングステン(VI)化合物、マンガン(VI)化合物については、アルコール類、有機酸類等の還元剤を用いて還元したものも使用可能である。これら金属化合物の中で、Ni又はCoの化合物を用いることが耐食性及び耐黒変性を向上させる上で特に好ましい。
上記したカチオン性ウレタン樹脂(A)、カチオン性フェノール系重縮合物(B)、チタン化合物(C)及び金属化合物(D)を配合してなる本発明の金属表面処理剤を金属表面上に塗布して得られる皮膜は、優れた耐食性、耐アルカリ性及び耐黒変性を有するが、この金属表面処理剤中に、さらに酸成分(E)(すなわち、無機酸及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の酸成分(E))を配合することにより、形成される皮膜の耐食性、耐アルカリ性及び耐黒変性をさらに向上させることができる。
酸成分(E)としての無機酸としては、水溶性のものを用いることができ、例えばオルトリン酸、メタリン酸、ホスホン酸、ポリリン酸(特にピロリン酸、トリリン酸等のオルトリン酸多量体など)などのリン酸系の酸;フッ化水素酸;フルオロジルコニウム酸、フルオロチタン酸などのフルオロ金属酸;硝酸;硫酸などが挙げられる。また、有機酸としてはカルボキシル基もしくはスルホン基を有するものなどで水溶性のものを用いることができ、例えば酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、酒石酸、りんご酸、グルコン酸、タンニン酸、ギ酸、アスコルビン酸などが挙げられる。かかる酸成分(E)は各単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、特にフッ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸が好ましい。酸成分(E)は、本発明の金属表面処理剤と金属材料が接触した際に、前記金属材料の表面をエッチングする働きを主に担い、エッチングにより皮膜密着性(金属表面への密着性)を向上させ、その結果、耐食性、耐アルカリ性及び耐黒変性をさらに向上させる。特に硝酸は高湿潤条件下での耐黒変性をさらに向上させる効果も併せ持つ。また、酸成分(E)は本発明の金属表面処理剤の液安定性もさらに向上させる。
本発明の金属表面処理剤中に、さらにバナジウム化合物(F)を配合することにより、形成される皮膜の耐食性及び耐アルカリ性をさらに向上させることができる。かかるバナジウム化合物(F)としては、バナジウムの酸化数が5価、4価又は3価のバナジウム化合物を用いることができ、例えば五酸化バナジウムV25、メタバナジン酸HVO3、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、オキシ三塩化バナジウムVOCl3等の酸化数5価のバナジウム化合物;三酸化バナジウムV23、二酸化バナジウムVO2、オキシ硫酸バナジウムVOSO4、バナジウムオキシアセチルアセテートVO(OC(=CH2)CH2COCH3))2、バナジウムアセチルアセテートV(OC(=CH2)CH2COCH3))3、三塩化バナジウムVCl3、リンバナドモリブデン酸H15-X[PV12-xMox40]・nH2O(6<x<12,n<30)等の酸化数3価又は4価のバナジウム化合物が挙げられる。これらのバナジウム化合物は各単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の金属表面処理剤がバナジウム化合物(F)として酸化数3価又は4価のバナジウム化合物を含有していることが、より一層の高耐食性維持、耐アルカリ性の点から好ましい。すなわち、バナジウム化合物(F)に占める酸化数3価又は4価のバナジウム化合物の割合が、(V3++V4+)/V(式中、V3+、V4+、Vはそれぞれバナジウム化合物(F)中の酸化数3価のバナジウム質量、酸化数4価のバナジウム質量、全バナジウム質量を表す)として、0.1〜1.0であるのが好ましく、0.2〜1.0であるのがより好ましく、0.4〜1.0であるのが最も好ましい。
本発明の金属表面処理剤中に3価もしくは4価のバナジウム化合物を含有させる方法としては、前記したような3価もしくは4価のバナジウム化合物を用いる他、5価のバナジウム化合物を予め還元剤を用いて3価又は4価に還元したものを用いることができる。用いる還元剤は無機系、有機系いずれでも良いが、有機系が好ましく、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド化合物;アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ジピバロイルメタン、3−メチルペンタンジオン等のカルボニル化合物;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、アスコルビン酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ピリジン、イミダゾール、ピロール、モルホリン、ピペラジン等のアミン化合物;ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミド、N−メチルプロピオンアミド等の酸アミド化合物;グリシン、アラニン、ピロリン、グルタミン酸等のアミノ酸類;グルコース、マンノース、ガラクトース等の単糖類;麦芽糖、ショ糖、デンプン、セルロース等の天然多糖類;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1´−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、フィチン酸等の有機リン酸;没食子酸、タンニン酸、フミン酸、リグニンスルホン酸、ポリフェノール等の天然高分子;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、水溶性ナイロン等の合成高分子;EDTA等のアミノカルボン酸などが挙げられる。
前記有機系還元剤は、バナジウム化合物を還元する作用を有するだけでなく、処理液中のバナジウム化合物の安定性を著しく向上させ、本発明の金属表面処理剤の優れた耐食性付与効果を長時間維持させることができる。また、前記有機系還元剤は均一な皮膜形成にも効果があるため、耐食性の向上も期待できる。
本発明の金属表面処理剤中に、さらにシランカップリング剤(G)を配合することにより、形成される皮膜の耐食性及び耐アルカリ性をさらに向上させることができる。かかるシランカップリング剤の種類は特に限定されず、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらは各単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、上記効果の観点から、エポキシ基を有するシランカップリング剤やアミノ基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、両者を併用することがより好ましい。
次に、本発明の金属表面処理剤中の各成分の使用量について説明する。本発明の金属表面処理剤中に配合されるカチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との配合比率は、固形分質量比として、(A):(B)=99:1〜50:50であることが必要であり、(A):(B)=90:10〜60:40であることが好ましい。カチオン性フェノール系重縮合物(B)の配合比率が99:1を下回ると、形成される皮膜の耐食性が不十分になり、他方、カチオン性フェノール系重縮合物(B)の配合比率が50:50を超えると、形成される皮膜の耐黄変性が不十分になる。
本発明の金属表面処理剤中に含有されるカチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分を100質量部とした場合、チタン化合物(C)の配合量は、チタンとして0.1〜20質量部であるのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。チタン化合物(C)の配合量が上記範囲内である場合、十分な耐食性や液安定性を確保することができる。
本発明の金属表面処理剤中に含有されるカチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分を100質量部とした場合、金属化合物(D)(すなわち、Li、Mg、Al、Ca、Mn、Co、Ni、Zn、Sr、W、Ce及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属を含有する化合物(D))の配合量は、金属(2種以上の金属が含まれる場合全体としての金属)として0.01〜10質量部であるのが好ましく、0.1〜5質量部であるのがより好ましい。金属化合物(D)の上記配合量が0.01質量部を下回ると金属表面に耐黒変性を付与できず、10質量部を上回ると皮膜のバリア性(緻密性)が低下し、耐食性が低下する傾向になる。
本発明の金属表面処理剤中に含有されるカチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分を100質量部とした場合、酸成分(E)(すなわち、無機酸及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の酸成分(E))の配合量は、水を含まない酸成分そのものとして1〜30質量部であるのが好ましく、5〜20質量部であるのがより好ましい。酸成分(E)の上記配合量が1〜30質量部である場合には、耐食性、耐アルカリ性及び耐黒変性をさらに向上させることができる。
本発明の金属表面処理剤中に含有されるカチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分を100質量部とした場合、バナジウム化合物(F)の配合量はバナジウムとして0.01〜20質量部であるのが好ましく、0.1〜10質量部であるのがより好ましい。バナジウム化合物(F)の上記配合量がバナジウムとして0.01〜20質量部である場合には、耐食性及び耐アルカリ性をさらに向上させることができる。
本発明の金属表面処理剤中に含有されるカチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分を100質量部とした場合、シランカップリング剤(G)の配合量は固形分として0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましく、3〜15質量部であることがより一層好ましい。シランカップリング剤(G)の上記配合量が固形分として0.5〜30質量部である場合には、耐食性及び耐アルカリ性をさらに向上させることができる。
さらに、形成される皮膜の潤滑性、加工性を上げるために、本発明の金属表面処理剤に、ポリオレフィン系ワックス、エステル系ワックス、炭化水素系ワックス等の水系ワックスから選ばれる少なくとも1種を配合することができる。本発明の金属表面処理剤中に含有されるカチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分を100質量部とした場合、水系ワックスの配合量は固形分として0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
本発明の金属表面処理剤で用いる水性媒体は通常水であるが、皮膜の乾燥性の改善などの目的で少量(例えば水性媒体全体の10容量%以下)のアルコール、ケトン、セロソルブ系の水溶性有機溶剤を併用をしてもよい。この他に、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、防菌防ばい剤、着色剤などを本発明の金属表面処理剤の液安定性や皮膜性能を損なわない範囲で添加し得る。
本発明の金属表面処理剤の合計固形分濃度の下限については、本発明の効果が達成しうる限り特に制限はないが、上限については液安定性の観点から制限される。本発明の金属表面処理剤の合計固形分濃度は0.1〜40質量%の範囲に調整するのが好ましく、1〜30質量%の範囲に調整するのがより好ましく、5〜25質量%の範囲に調整するのが最も好ましい。
次に、本発明の表面処理方法について述べる。
本発明の金属表面処理剤及び表面処理方法は、冷延鋼板、炭素鋼板、ケイ素鋼板などの鋼板、メッキ鋼板、アルミニウム系金属材料に適している。メッキ鋼板は、例えば電気亜鉛メッキ、溶融亜鉛メッキ、55%アルミ亜鉛メッキ、5%アルミ亜鉛メッキ、アルミメッキ、鉄亜鉛メッキなどのメッキ処理が施された亜鉛含有メッキ鋼板を包含する。アルミニウム系金属材料は、純アルミニウム材、アルミニウム合金材、アルミニウムダイキャスト材等のアルミニウム又はアルミニウム合金を主成分とする金属材料を包含する。
本発明の金属表面処理剤による処理に先立つ前処理工程については特に制限はないが、通常は、本処理を行う前に被処理金属に付着した油分、汚れを取り除くために、アルカリ脱脂剤又は酸性脱脂剤で洗浄するか、湯洗、溶剤洗浄等を行い、その後、必要に応じて酸、アルカリなどによる表面調整を行う。金属材料表面の洗浄においては、洗浄剤が金属材料表面になるべく残留しないように洗浄後に水洗することが好ましい。
本発明の金属表面処理剤による処理は、金属表面処理剤を塗布した後、乾燥することにより行う。塗布方法については特に制限はなく、金属材料表面に処理剤をロール転写させて塗り付けるロールコート法、或いはシャワーリンガー等によって流し掛けた後ロールで絞るもしくはエアーナイフで液切りをする方法、処理液中に金属材料を浸漬する方法、金属材料に処理剤をスプレーする方法などから適宜選択すればよい。本処理剤の溶媒は水が主体であるため、処理液温度は0〜60℃であるのが好ましく、5〜40℃であるのがより好ましい。
本発明の金属表面処理剤を塗布した後の乾燥工程については、カチオン性ウレタン樹脂(A)及びカチオン性フェノール系重縮合物(B)の硬化を促進する必要がなく付着水の除去だけ行う場合は、必ずしも熱を必要とせず風乾、もしくはエアーブロー等の物理的除去でも構わないが、カチオン性ウレタン樹脂(A)及びカチオン性フェノール系重縮合物(B)の硬化を促進し又は軟化による被覆効果を高めるためには加熱乾燥する必要がある。その場合の温度は、50〜250℃が好ましく、60〜220℃がより好ましい。
形成される皮膜の付着量は乾燥皮膜質量として30〜5,000mg/m2が好ましく、50〜3,000mg/m2がより好ましい。前記乾燥皮膜質量が30mg/m2未満である場合には十分な耐食性及び耐黒変性が得られず、5,000mg/m2を超えると金属材料との密着性や耐黄変性が低下する。
次に本発明の作用について述べる。本発明の金属表面処理剤において各成分は以下のような働きを有していると推察されるが、本発明は以下の推察によって何ら制限されるものではない。
本発明の金属表面処理剤は、金属材料に塗布され乾燥される工程において、金属材料表面と反応し密着性の良好な皮膜を形成すると共に樹脂成分が造膜し、優れた耐食性を素材に付与するものと考えられる。カチオン性フェノール系重縮合物(B)とチタン化合物(C)は、処理剤塗布時又は加熱乾燥工程において、緻密な3次元構造を形成して造膜すると共に、金属表面と反応して固着する。この際に、前記金属表面処理剤中に酸成分(E)が含有されることにより、エッチング作用が高まり、より金属表面との反応性が高まることによって、より強固な皮膜が金属表面との界面に形成される。
このようにして形成された皮膜が優れた耐食性を有するのは、形成された皮膜の金属表面バリアー性(緻密性)によることの他、次のことが考えられる。すなわち、本発明処理剤に含有されるカチオン性フェノール系重縮合物(B)は共鳴安定化構造を有する化合物であり、チタン化合物(C)、金属化合物(D)中のMn、Co、Ni、W、CeもしくはMoを含有する化合物、及びバナジウム化合物(F)は遷移金属化合物である。カチオン性フェノール系重縮合物(B)、チタン化合物(C)及びMn、Co、Ni、W、CeもしくはMoを含有する化合物、並びに任意的なバナジウム化合物(F)とで形成される皮膜は、金属表面と反応し固着することによって、素材金属の外殻軌道と重なる程度に十分近い距離となり、その結果、腐食によって生ずる電子をφ軌道を利用して非局在化する作用を持ち、そのことによって、表面電位が均一に保たれ、優れた耐食性(平面部のみならず、切断端面、キズ部)を付与すると考えられる。従来のクロメート皮膜の防食機構としては、溶解性のある6価のクロムが溶け出し、金属表面露出部に再析出する自己補修作用が一般的に言われているが、本発明者らは、クロメート皮膜の防食機構はクロムの高いカチオノイド性(金属表面への高い固着反応性)と優れた(腐食電子の)非局在化作用に起因する、本発明の処理剤と同様の防食機構であると考えている。
また、金属化合物(D)は金属基材表面に塩基性化合物を形成したり、或いは金属基材表面を改質することで金属基材表面を不活性化し、金属基材の黒変を防止し、かつ耐食性を向上させる。
また、シランカップリング剤(G)はそれが加水分解して生じるシラノール基が金属材料の表面に吸着(水素結合)して金属材料が腐食環境下に置かれたときにこれを不活性化し、また、形成される皮膜においてシランカップリング剤同士が反応してシロキサン結合を生じこれにより皮膜のバリアー性が向上することで、耐食性や耐アルカリ性を向上させる。
一方、カチオン性ウレタン樹脂(A)は、金属界面に形成された前記皮膜上に形成され(すなわち、2層構造を持つ)、バリアー性(緻密性)を高めることによって耐食性を向上させる効果がある他、加工性を高める効果がある。
また、カチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)とを組合せ、かつ両者の比率を限定することで耐水性が改善され、皮膜が溶解し難くなり、耐アルカリ性の向上につながる。
耐黄変性(耐熱性)に関しては、カチオン性フェノール系重縮合物(B)は芳香環を有しているため、加熱により変色しやすい傾向があるが、カチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との使用比率を本発明に規定するようにすることで、耐食性、耐黒変性及び耐アルカリ性を維持しながら、耐黄変性を付与/向上させることができる。
以下に実施例及び比較例によって本発明を説明するが、本実施例は単なる一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。実施例及び比較例において使用した被処理金属材料、成分(A)〜(G)及び処理方法(前処理及び本発明処理)、並びに評価方法、評価結果の説明、処理剤組成及び処理方法(表1〜6)及び評価結果(表7〜10)をこの順序で以下に記載する。
(1)被処理金属材料
I 電気亜鉛メッキ鋼板(板厚:0.8mm)
II 溶融亜鉛メッキ鋼板(板厚:0.8mm)
III 5%アルミ亜鉛メッキ鋼板(板厚:0.6mm)
IV 55%アルミ亜鉛メッキ鋼板(板厚:0.4mm)
(2)金属表面処理剤成分
(2−1)カチオン性ウレタン樹脂(A)
カチオン性ウレタン樹脂(A1)
ポリエーテルポリオール(合成成分:テトラメチレングリコール及びエチレングリコール、分子量1500)150質量部、トリメチロールプロパン6質量部、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン24質量部、イソホロンジイソシアネート94質量部及びメチルエチルケトン135質量部を反応容器に入れ、70〜75℃に保ちながら1時間反応させてウレタンプレポリマーを生成させた。ついで該反応容器にジメチル硫酸15質量部を入れ、50〜60℃で30〜60分間反応させて、カチオン性ウレタンプレポリマーを生成させた。ついで該反応容器に水576質量部を入れ、混合物を均一に乳化させた後、メチルエチルケトンを回収して水溶性のカチオン性ウレタン樹脂(A1)を得た。
カチオン性ウレタン樹脂(A2)
ポリエステルポリオール(合成成分:イソフタル酸、アジピン酸及び1,6−へキサンジオール、エチレングリコール、分子量1700)135質量部、トリメチロールプロパン5質量部、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン22質量部、イソホロンジイソシアネート86質量部及びメチルエチルケトン120質量部を反応容器に入れ、70〜75℃に保ちながら1時間反応させてウレタンプレポリマーを生成させた。該反応容器にジメチル硫酸17質量部を入れ、50〜60℃で30〜60分間反応させてカチオン性ウレタンプレポリマーを生成させた。ついで該反応容器に水615質量部を入れ、混合物を均一に乳化させた後、メチルエチルケトンを回収して水溶性のカチオン性ウレタン樹脂(A2)を得た。
カチオン性ポリウレタン樹脂(A3)
ポリカーボネートポリオール(合成成分:1.6−ヘキサンカーボネートジオール、エチレングリコール、分子量2000)130質量部、トリメチロールプロパン4質量部、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン21質量部、イソホロンジイソシアネート75質量部及びメチルエチルケトン115質量部を反応容器に入れ、70〜75℃に保ちながら1時間反応をさせてウレタンプレポリマーを生成させた。ついで該反応容器にジメチル硫酸22質量部を入れ、50〜60℃で30〜60分間反応させてカチオン性ウレタンプレポリマーを生成させた。ついで該反応容器に水633質量部を入れ、混合物を均一に乳化させた後、メチルエチルケトンを回収して水溶性のカチオン性ポリウレタン樹脂(A3)を得た。
カチオン性ポリウレタン樹脂(A4)
ポリエステルポリオール(合成成分:イソフタル酸、アジピン酸、1,6−ヘキサンジオール及びエチレングリコール、分子量2000)135質量部、トリメチロールプロパン5質量部、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン22質量部、イソホロンジイソシアネート86質量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1質量部及びメチルエチルケトン120質量部を反応容器に入れ、70〜75℃に保ちながら1時間反応をさせてウレタンプレポリマーを生成させた。ついで該反応容器にジメチル硫酸17質量部を入れ、50〜60℃で30〜60分間反応させてカチオン性ウレタンプレポリマーを生成させた。ついで該反応容器に水615質量部を入れ、混合物を均一に乳化させた後、メチルエチルケトンを回収してシリル変性した、水溶性のカチオン性ポリウレタン樹脂(A4)を得た。
カチオン性ポリウレタン樹脂(A5)
ポリカーボネートポリオール(合成成分:1,3−ジオキソラン−2−オン及び1,6−ヘキサンジオール、分子量1700)150質量部、トリメチロールプロパン6質量部、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン24質量部、イソホロンジイソシアネート94質量部、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン2質量部及びメチルエチルケトン135質量部を反応容器に入れ、70〜75℃に保ちながら1時間反応をさせてウレタンプレポリマーを生成させた。ついで該反応容器にジメチル硫酸15質量部を入れ、50〜60℃で30〜60分間反応させてカチオン性ウレタンプレポリマーを生成させた。ついで該反応容器に水576質量部を入れ、混合物を均一に乳化させた後、メチルエチルケトンを回収してシリル変性した、水溶性のカチオン性ポリウレタン樹脂(A5)を得た。
(2−2)カチオン性フェノール系重縮合物(B)
カチオン性フェノール系重縮合物(B1)
還流冷却機を備えた1000mLのフラスコ内に、ビスフェノールA1モル(228g)及び触媒としてp−トルエンスルホン酸0.3gを仕込み、内部温度を100℃まで上げ、ホルムアルデヒド水溶液0.85モル(69g)を1時間かけて添加し、100℃で2時間還流下に反応させた。その後、反応容器を水冷静置し、上層に分離する水層の濁りがなくなってから、デカンテーションして水層を除去し、さらに170〜175℃になるまで加熱攪拌して、未反応分及び水分を除去した。
次に、100℃まで温度を下げ、ブチルセロソルブ234gを添加して重縮合物を完全に溶解させた後、純水234gを加え、系内の温度が50℃まで下がったところで、ジエタノールアミン1モル(75g)を添加し、これにホルムアルデヒド水溶液1モル(81.1g)を50℃で約1時間かけて滴下した。さらに、80℃まで温度を上げ、約3時間攪拌しながら反応を続けカチオン性フェノール系重縮合物(B1)を得た。
カチオン性フェノール系重縮合物(B2)
還流冷却機を備えた1000mLのフラスコ内に、フェノール1モル(96g)及び触媒としてp−トルエンスルホン酸0.3gを仕込み、内部温度を100℃まで上げ、ホルムアルデヒド水溶液0.7モル(56.8g)を1時間かけて添加し、100℃で2時間還流下に反応させた。その後、反応容器を水冷静置し、上層に分離する水層の濁りがなくなってから、デカンテーションして水層を除去し、さらに170〜175℃になるまで加熱攪拌して、未反応分及び水分を除去した。
次に、100℃まで温度を下げ、ブチルセロソルブ234gを添加して重縮合物を完全に溶解させた後、純水234gを加え、系内の温度が50℃まで下がったところで、N−メチルプロパノールアミン1モル(89g)を添加し、これにホルムアルデヒド水溶液0.7モル(56.8g)を50℃で約1時間かけて滴下した。さらに、80℃まで温度を上げ、約3時間攪拌しながら反応を続けカチオン性フェノール系重縮合物(B2)を得た。
カチオン性フェノール系重縮合物(B3)
還流冷却機を備えた1000mLのフラスコ内に、O−クレゾール1モル(108g)及び触媒としてp−トルエンスルホン酸0.3gを仕込み、内部温度を100℃まで上げ、ホルムアルデヒド水溶液0.85モル(69g)を1時間かけて添加し、100℃で2時間還流下に反応させた。その後、反応容器を水冷静置し、上層に分離する水層の濁りがなくなってから、デカンテーションして水層を除去し、さらに170〜175℃になるまで加熱攪拌して、未反応分及び水分を除去した。
次に、100℃まで温度を下げ、ブチルセロソルブ234gを添加して重縮合物を完全に溶解させた後、純水234gを加え、系内の温度が50℃まで下がったところで、N,N−ジエチルエタノールアミン1モル(117g)を添加し、これにホルムアルデヒド水溶液1モル(81.1g)を50℃で約1時間かけて滴下した。さらに、80℃まで温度を上げ、約3時間攪拌しながら反応を続けカチオン性フェノール系重縮合物(B3)を得た。
(2−3)金属化合物(C)
C1:チタンラクテート
C2:ヘキサフルオロチタン酸
(2−4)金属化合物(D)
D1:酸化リチウム
D2:硝酸マグネシウム
D3:酸化マグネシウム
D4:アルミニウムアセチルアセトネート
D5:フッ化カルシウム
D6:リン酸二水素マンガン
D7:炭酸マンガン
D8:硝酸コバルト
D9:硝酸ニッケル
D10:炭酸ニッケル
D11:硝酸ストロンチウム
D12:酸化モリブデン
D13:メタタングステン酸アンモニウム
D14:酸化セリウム
D15:酸化亜鉛
D16:亜鉛アセチルアセトネート
(2−5)酸成分(E)
E1:フッ化水素酸
E2:リン酸
E3:硝酸
E4:クエン酸
E5:シュウ酸
(2−6)バナジウム化合物(F)
F1:メタバナジン酸アンモニウム
F2:バナジウムアセチルアセトネート
F3:リン酸バナジウム
F4:オキシ硫酸バナジウム
(2−7)シランカップリング剤(G)
G1:ビニルトリメトキシシラン
G2:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
G3:N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
G4:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
(3)処理方法
(3−1)脱脂
日本パーカライジング(株)製アルカリ脱脂剤パルクリーン364S(20g/L建浴、60℃、10秒スプレー、スプレー圧0.5kg/cm2)で素材を脱脂した後、スプレー水洗を10秒行った。
(3−2)塗布及び乾燥
I:固形分濃度10質量%に調整した金属表面処理剤(媒体:水)を乾燥質量が700mg/m2になるようにバーコート塗布し、80℃(PMT:到達板温)で乾燥した。
II:固形分濃度16質量%に調整した金属表面処理剤(媒体:水)を乾燥質量が1000mg/m2になるようにバーコート塗布し、150℃(PMT)で乾燥した。
(4)評価方法
以下の評価において、□以上は実用性があると解される。
(4−1)耐食性
実施例、比較例において作製した処理板試料について、無加工(平面部)、NTカッターで素地到達までクロスカットしたもの(クロスカット部)、エリクセン7mm押し出し加工したもの(加工部)について、耐食性試験を行った。評価方法は次の通りである。
(平面部)塩水噴霧試験法JIS−Z−2371に基づき塩水噴霧360時間後の白錆発生面積を求め評価した。
評価基準:白錆発生面積
◎1%未満、○1%以上〜5%未満、□5%以上〜10%未満、△10%以上〜30%未満、×30%以上〜50%未満、××50%以上。
(クロスカット部)塩水噴霧試験法JIS−Z−2371に基づき塩水噴霧360時間後の白錆発生状況を肉眼で評価した。
評価基準:白錆発生状況 ◎ほとんど錆なし、○クロスカット部に白錆が発生していない部分が多い、△クロスカット部の全てが白錆になっているが、流れ錆なし、×クロスカット部から流れ錆が発生。
(加工部)塩水噴霧試験法JIS−Z−2371に基づき塩水噴霧360時間後の白錆発生状況を肉眼で評価した。
評価基準:白錆発生状況 ◎ほとんど錆なし、○加工部に白錆が発生していない部分が多い、△加工部の全てが白錆になっているが、流れ錆なし、×加工部から流れ錆が発生。
(4−2)耐アルカリ性
処理板試料に、日本パーカライジング(株)製アルカリ脱脂剤パルクリーン364Sを20g/L水に建浴し65℃に調整した脱脂剤水溶液を5分間スプレーし、水洗した後、80℃で乾燥した。この板について、上記(4−1)に記載した条件、評価法で耐食性を評価した。
(4−3)耐黒変性
処理板試料を温度70℃、湿度95%雰囲気に12日間放置した後、外観を肉眼で観察し評価した。
評価基準:◎白錆発生なし、黒変なし、○白錆発生なし、黒変僅かにあり、△白錆発生あり、黒変僅かにあり、×白錆発生あり、黒変かなりあり。
(4−3)耐黄変性
処理板試料を温度250℃雰囲気に2時間放置した後、外観を肉眼で観察し評価した。
評価基準:◎変色なし、○僅かに黄変、△全面黄変、×全面黄褐色。
実施例1〜106及び比較例1〜6の金属表面処理剤の組成及び処理方法を表1〜6に、試験評価結果を表7〜10に示す。表7〜10から明らかなように、本発明の金属表面処理剤を用いて形成された皮膜を有する実施例1〜106の金属材料は耐食性、耐アルカリ、耐黒変性及び耐黄変性が良好で、有害なクロムを含んでいないため安全性が高く、平面部、クロスカット部、加工部のいずれもクロメート処理と同等以上の優れた耐食性を有していることが判る。
また、実施例同士の比較に関しても、任意成分である酸成分(E)を配合した金属表面処理剤で処理した実施例8、9、10、19及び27の金属材料はそれぞれ対応する酸成分(E)を配合しなかった金属表面処理剤で処理した実施例14、15、16、22及び24の金属材料に比し、耐食性、耐アルカリ性及び耐黒変性が優れていた。また、任意成分であるバナジウム化合物(F)を配合した金属表面処理剤で処理した実施例6、7、9及び12の金属材料は対応するバナジウム化合物(F)を配合しなかった金属表面処理剤で処理した実施例19、20、21及び22の金属材料に比し、耐食性及び耐アルカリ性が優れていた。また、シランカップリング剤(G)を配合した金属表面処理剤で処理した実施例47〜66の金属材料、シリル変性したカチオン性ウレタン樹脂(A)を配合した金属表面処理剤で処理した実施例67〜86の金属材料、シリル変性したカチオン性ウレタン樹脂(A)及びシランカップリング剤(G)を配合した金属表面処理剤で処理した実施例87〜106の金属材料は、平面部の耐食性及び耐アルカリ性が他の実施例の金属材料に比し優れており、組合せによってはクロスカット部や加工部の耐食性及び耐アルカリ性も他の実施例の金属材料に比し優れていた。
他方、皮膜がカチオン性ウレタン樹脂(A)を含まない比較例1の金属材料、皮膜が本発明の金属表面処理剤の必須成分であるカチオン性フェノール系重縮合物(B)を含まない比較例2の金属材料、皮膜がジルコニウム化合物(C)を含まない比較例3の金属材料、及び(A)/(B)の比が本発明の範囲を外れる比較例5の金属材料は耐食性、耐アルカリ性、耐黒変性及び耐黄変性のすべてにおいて明らかに劣っていた。また、皮膜が金属化合物(D)(すなわち、Li、Mg、Al、Ca、Mn、Co、Ni、Zn、Sr、W、Ce及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属を含有する化合物(D))を含まない比較例4の金属材料は耐黒変性が不十分であった。また、クロメート(ジンクロム3360H)処理した比較例6の金属材料は、特に耐アルカリ性が劣っていた。
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Claims (12)

  1. シリル変性した、カチオン性の水溶性もしくは水系エマルジョンウレタン樹脂(A)(以下、シリル変性カチオン性ウレタン樹脂(A)という)、フェノール系化合物とアルデヒド類との重縮合物であってカチオン性のもの(B)(以下、カチオン性フェノール系重縮合物(B)という)、チタン化合物(C)、及びLi、Mg、Al、Ca、Mn、Co、Ni、Zn、Sr、W、Ce及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属を含有する化合物(D)(以下、金属化合物(D)という)を水性媒体に配合してなる金属表面処理剤であって、シリル変性カチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との配合比率が、固形分質量比として、(A):(B)=99:1〜50:50である該金属表面処理剤。
  2. 無機酸及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の酸成分(E)(以下、酸成分(E)という)を配合した請求項1記載の金属表面処理剤。
  3. バナジウム化合物(F)を配合した請求項1又は2記載の金属表面処理剤。
  4. シランカップリング剤(G)を配合した請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属表面処理剤。
  5. シランカップリング剤(G)がアミノ基を有するシランカップリング剤及びエポキシ基を有するシランカップリング剤から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属表面処理剤。
  6. チタン化合物(C)の配合割合が、シリル変性カチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分100質量部に対し、チタンとして0.1〜20質量部である請求項1〜のいずれか1項に記載の金属表面処理剤。
  7. 金属化合物(D)の配合割合が、シリル変性カチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分100質量部に対し、該金属として0.01〜10質量部である請求項1〜のいずれか1項に記載の金属表面処理剤。
  8. 酸成分(E)の配合割合が、シリル変性カチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分100質量部に対し、水を含まない酸成分そのものとして1〜30質量部である請求項1〜のいずれか1項に記載の金属表面処理剤。
  9. バナジウム化合物(F)の配合割合が、シリル変性カチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分100質量部に対し、バナジウムとして0.01〜20質量部である請求項1〜のいずれか1項に記載の金属表面処理剤。
  10. シランカップリング剤(G)の配合割合が、シリル変性カチオン性ウレタン樹脂(A)とカチオン性フェノール系重縮合物(B)との合計固形分100質量部に対し、固形分として0.5〜30質量部である請求項1〜のいずれか1項に記載の金属表面処理剤。
  11. 金属材料表面に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属表面処理剤を塗布した後、乾燥することによって該金属材料表面に皮膜を形成させることを特徴とする金属材料の表面処理方法。
  12. 請求項11記載の表面処理方法を用いて形成された皮膜を有する金属材料。

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