JP4969368B2 - 電動ステアリング装置の制御方法 - Google Patents
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Description
なお、トルクセンサの故障検出については、例えば、特許文献2に開示されている。
請求項1に係る発明は、操舵トルクセンサ(例えば、後述する実施例における操舵トルクセンサ16)により検出された操舵トルクおよび該操舵トルクの微分値に応じて操舵アシスト量を制御する電動ステアリング装置(例えば、後述する実施例における電動ステアリング装置100)の制御方法において、前記操舵トルクセンサの異常時には、前記操舵トルクセンサのセンシング間隔よりもセンシング間隔が長い車内ネットワークを介して取得した車両の状態情報に基づいて操舵トルクを推定し、この推定操舵トルクを前記操舵トルクの代わりに用い、推定操舵トルクおよび推定操舵トルクの微分値に基づいて前記操舵アシスト量の制御を行い、前記推定操舵トルクの微分値に基づく制御ゲインを、前記操舵トルクセンサが正常時の操舵トルクの微分値に基づく制御ゲインよりも大きく設定することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記推定操舵トルクの微分値に基づく制御ゲインを、前記操舵トルクセンサが正常時の操舵トルクの微分値に基づく制御ゲインよりも全車速に亘って大きく設定することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、操舵アシストを付与するアシストモータと、前記アシストモータの回転角を検出するモータ回転角検出手段と、前記車両の状態情報より車両の転舵輪の転舵角を推定する転舵角推定手段と、トーションバーを有する前記操舵トルクセンサと、を備え、前記操舵角と前記モータ回転角に基づきハンドル遊び量を算出し、前記操舵角と前記ハンドル遊び量と前記転舵角より前記トーションバーの捩れ角を推定し、前記捩れ角に基づいて前記推定操舵トルクを推定することを特徴とする。
しかも、車内ネットワークを介して取得可能な車両の状態情報のセンシング間隔は、操舵トルクセンサのセンシング間隔よりも大きいが、推定操舵トルクの微分値に基づく制御ゲインを、操舵トルクセンサが正常時の操舵トルクの微分値に基づく制御ゲインよりも大きく設定しているので、操舵トルクセンサ異常時に操舵アシストの応答性が低下するのを抑制することができ、正常時に近い操舵フィールを得ることができる。
初めに、図1を参照して、電動ステアリング装置の構成を説明する。電動ステアリング装置100は、ステアリングホイール2に連結されたステアリングシャフト1を備えている。ステアリングシャフト1は、ステアリングホイール2に一体結合されたメインシャフト3と、ラック&ピニオン機構のピニオン7が設けられたピニオン軸5とが、ユニバーサルジョイント4によって連結されて構成されている。
ピニオン7はピニオン軸5の下端部に設けられており、車幅方向に往復動し得るラック軸8のラック歯8aに噛合し、ラック軸8の両端には、タイロッド9,9を介して転舵輪としての左右の前輪11,11が連係されている。この構成により、ステアリングホイール2の操舵時に通常のラック&ピニオン式の転舵操作が可能であり、前輪11,11を転舵させて車両の向きを変えることができる。ラック軸8とタイロッド9,9は転舵機構を構成する。
前記ラック&ピニオン機構(8a,7)を収容するステアリングギアボックス(図示略)内には、ピニオン軸5に作用する操舵トルクを検出するための操舵トルクセンサ16が設けられており、操舵トルクセンサ16は検出した操舵トルクに対応する出力信号をEPS−ECU30へ出力する。
なお、VSA−ECU50は、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS(アンチロックブレーキシステム)と、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(トラクションコントロールシステム)と、旋回時の横すべり抑制を総合的に制御して車両挙動を安定させる電子制御装置である。
EPS−ECU30は、電動ステアリング装置100のアシストモータ10を制御する電子制御装置であり、この実施例では、操舵トルク情報は操舵トルクセンサ16からEPS−ECU30に直接入力されるが、車速、操舵角、ヨーレート、横Gの各情報(車両の状態情報)に関しては車内LANを介してEPS−ECU30に入力される。
EPS−ECU30は、トルクセンサ故障検出部23、ベース電流算出部31、イナーシャ補償電流算出部32、ダンパ補償電流算出部33、フィルタ34、回転速度算出部35、加減算器36、切り替え器37、3相dq変換器38、PID制御部39、操舵トルク推定部40、とを備えている。
切り替え器37は、トルクセンサ故障検出部23から正常信号を入力したときには、操舵トルクセンサ16により検出された操舵トルク(以下、実操舵トルクという)をベース電流算出部31およびフィルタ34へ出力し、トルクセンサ故障検出部23から異常信号を入力したときには、操舵トルク推定部40により算出された推定操舵トルクをベース電流算出部31およびフィルタ34へ出力する。
タイヤ角算出部41は、車内LANを介して取得した車速情報およびヨーレート情報(車両の状態情報)に基づいてタイヤ角を算出し、捩れ角算出部42へ出力する。ここで、タイヤ角とは、前輪11の中心面と車両の前後方向軸とのなす角をいい、すなわち実舵角のことである。
なお、ヨーレート情報に代えて、車内LANを介して取得した横G情報を用いてタイヤ角を算出することも可能である。
捩れ角算出部42は、車内LANを介して取得した操舵角情報(車両の状態情報)から、タイヤ角算出部41から入力したタイヤ角とハンドル遊び補正部44から入力したハンドル遊び角を減算して、トーションバーの捩れ角に対応する偏差(以下、捩れ角という)を算出し、推定操舵トルク算出部43へ出力する。
イナーシャ補償電流算出部32は、車速センサ19で検出された車速Vに基づき、図4(A),(B)に示す慣性係数テーブルを参照して車速Vに応じた慣性係数kTを算出し、切り替え器37から出力された操舵トルクTと、フィルタ34から出力される操舵トルクTの時間微分値F4と、慣性係数kTとを乗じてイナーシャ補償電流DTDを算出する(DTD=T・F4・kT)。このイナーシャ補償電流DTDは、アシストモータ10およびステアリングシステムの慣性モーメントを打ち消すためのトルクを発生させるものであり、これによりアシストモータ10の応答性を向上させる。この実施例の慣性係数テーブルでは、車速Vが高くなるにしたがって慣性係数kTが小さくなるように設定されている。
詳述すると、トルクセンサ故障検出部23から操舵トルクセンサ16が正常であることを示す正常信号を入力したときには、図4(A)に示される正常時慣性係数テーブルを参照して慣性係数kTを算出し、トルクセンサ故障検出部23から操舵トルクセンサ16が異常であることを示す異常信号を入力したときには、図4(B)に示される異常時慣性係数テーブルを参照して慣性係数kTを算出する。
操舵トルクセンサ16のセンシング間隔と車内LANを介して所得可能な車両の状態情報のセンシング間隔を比較すると、前者の方が後者よりも短い。例えば、操舵トルクセンサ16のセンシング間隔は約500μsであるのに対して、ヨーレートセンサ18、車速センサ19、横Gセンサ20、縦Gセンサ21のセンシング間隔は約5〜10msである。そのため、操舵トルク推定部40で算出した推定操舵トルクに基づいて目標電流を算出しアシストモータ10を制御する場合は、操舵トルクセンサ16の出力に基づいて目標電流を算出しアシストモータ10を制御するときよりも応答性が悪化することが予想される。この応答性の悪化を補うために、推定操舵トルクに基づいて目標電流を算出するときには、イナーシャ補償電流DTDのゲインを大きくすることにより、応答性の向上を図ったのである。
そして、ダンパ補償電流算出部33は、回転速度算出部35で算出された回転速度Sと車速センサ19で検出された車速Vに基づいて、図5に示すダンパ補償電流テーブルを参照し、回転速度Sと車速Vに応じたダンパ補償電流DSを算出する。
そして、PID制御部39は、アシストモータ10に流れる交流電流を、目標電流Drと一致させるようにPID制御を行う。
16 操舵トルクセンサ
23 トルクセンサ故障検出部(故障判定手段)
100 電動ステアリング装置
Claims (3)
- 操舵トルクセンサにより検出された操舵トルクおよび該操舵トルクの微分値に応じて操舵アシスト量を制御する電動ステアリング装置の制御方法において、
前記操舵トルクセンサの異常時には、前記操舵トルクセンサのセンシング間隔よりもセンシング間隔が長い車内ネットワークを介して取得した車両の状態情報に基づいて操舵トルクを推定し、この推定操舵トルクを前記操舵トルクの代わりに用い、推定操舵トルクおよび推定操舵トルクの微分値に基づいて前記操舵アシスト量の制御を行い、前記推定操舵トルクの微分値に基づく制御ゲインを、前記操舵トルクセンサが正常時の操舵トルクの微分値に基づく制御ゲインよりも大きく設定することを特徴とする電動ステアリング装置の制御方法。 - 前記推定操舵トルクの微分値に基づく制御ゲインを、前記操舵トルクセンサが正常時の操舵トルクの微分値に基づく制御ゲインよりも全車速に亘って大きく設定することを特徴とする請求項1に記載の電動ステアリング装置の制御方法。
- ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、操舵アシストを付与するアシストモータと、前記アシストモータの回転角を検出するモータ回転角検出手段と、前記車両の状態情報より車両の転舵輪の転舵角を推定する転舵角推定手段と、トーションバーを有する前記操舵トルクセンサと、を備え、
前記操舵角と前記モータ回転角に基づきハンドル遊び量を算出し、
前記操舵角と前記ハンドル遊び量と前記転舵角より前記トーションバーの捩れ角を推定し、
前記捩れ角に基づいて前記推定操舵トルクを推定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動ステアリング装置の制御方法。
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