JP2014166805A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】転舵輪のグリップ度を推定できる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】電動パワーステアリング装置は、操舵機構にアシストトルクを付与するモータの駆動をアシスト指令値Tasに基づき制御する制御装置を備える。制御装置は操舵トルクTh及び車速Vから第1アシスト成分Ta1を演算する。また操舵トルクTh及び第1アシスト成分Ta1から転舵角指令値θp*を演算し、これに転舵角θpを一致させるフィードバック制御により第2アシスト成分Ta2を演算する。制御装置は第1アシスト成分Ta1に第2アシスト成分Ta2を加算してアシスト指令値Tasを演算する。この制御装置は、第1アシスト成分Ta1に基づく第1アシストトルク及び操舵トルクThの加算値で、第2アシスト成分Ta2に基づく第2アシストトルクを除算して反力量比率を求め、これに基づきアシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2を調整する。
【選択図】図3

Description

本発明は、運転者のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置に関する。
車両の操舵機構にモータからのアシストトルクを付与することにより運転者のステアリング操作を補助する電動パワーステアリング装置が知られている。従来、この種の電動パワーステアリング装置としては特許文献1に記載の装置がある。
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、操舵角に基づき目標操舵トルクを定める第1の規範モデル、及び操舵トルクに基づき操舵機構の目標舵角(目標転舵角)を定める第2の規範モデルを備えている。これら両規範モデル(理想モデル)に基づいてモータの駆動が制御される。すなわちこの電動パワーステアリング装置は、目標操舵トルクに実操舵トルクを一致させるトルクフィードバック制御の実行により第1アシスト成分を求め、目標転舵角に実転舵角を一致させる転舵角フィードバック制御の実行により第2アシスト成分を求める。そして、これら第1アシスト成分及び第2アシスト成分を加算した値に基づいてモータの駆動を制御する。このような構成によれば、第1アシスト成分に基づくアシストトルクにより操舵トルクを常に最適な値に設定できるとともに、第2アシスト成分に基づくアシストトルクにより転舵輪からの逆入力振動を打ち消すことができる。
特許第4453012号公報
ところで車両が低μ路を走行しているとき、通常路(高μ路)の走行時と比較して転舵輪に作用する路面反力が小さくなる。このため運転者がステアリング操作の際に感じる操舵感は通常よりも軽くなり、この操舵感の変化により運転者は車両が低μ路を走行していると判断することができる。このように運転者にとって操舵感は路面状態を知る上で重要な情報源となる。
しかしながら特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、転舵角フィードバック制御の実行により、走行中の路面状態の如何に関わらず実転舵角が目標転舵角に追従するため、転舵輪は路面状態に関係なく転舵動作を行う。このため、運転者は路面状態に対応した操舵感を得ることが困難となる。このような事情により特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、走行路面の状態を運転者に認知させるためにも、走行路面に対する転舵輪のグリップ状態の程度(グリップ度)を推定できる手段が特に望まれている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、転舵角フィードバック制御を実行しながらも、転舵輪のグリップ度を推定できる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置は、車両の操舵機構にモータからのアシストトルクを付与するアシスト機構と、前記モータの駆動をアシスト指令値に基づき制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記操舵機構に伝達される操舵トルクに基づいて第1アシスト成分を演算する第1アシスト成分演算部と、転舵輪の転舵角の目標値となる転舵角指令値を前記操舵トルクに基づき演算する転舵角指令値演算部と、前記転舵輪の転舵角を前記転舵角指令値に一致させる転舵角フィードバック制御の実行により第2アシスト成分を演算する第2アシスト成分演算部と、前記第1アシスト成分に前記第2アシスト成分を加算した値を基礎として前記アシスト指令値を演算するアシスト指令値演算部と、を有し、前記操舵トルク、前記第1アシスト成分に基づく第1アシストトルク、及び前記第2アシスト成分に基づく第2アシストトルクから、走行路面に対する前記転舵輪のグリップ度を推定することを要旨とする。
同構成によれば、転舵角フィードバック制御の実行により、電動パワーステアリング装置側から転舵輪に作用する軸力と、走行路面から転舵輪に作用する路面反力との間には、つり合いの関係が成立する。ここで前者の軸力は、操舵トルクと、第1アシスト成分に基づく第1アシストトルクと、第2アシスト成分に基づく第2アシストトルクとの総和を用いて導くことができる。また後者の路面反力は、走行路面に対する転舵輪のグリップ度と相関関係がある。よって操舵トルク、第1アシストトルク、及び第2アシストトルクから転舵輪のグリップ度を推定できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、前記制御部は、前記操舵トルク及び前記第1アシストトルクの加算値で前記第2アシストトルクを除算することにより求められる反力量比率に基づいて前記グリップ度を推定することを要旨とする。
第1アシスト成分に基づく第1アシストトルクは運転者のステアリング操作を補助するように操舵機構に作用するため、その作用方向は基本的には操舵トルクと同一方向となる。一方、第2アシスト成分に基づく第2アシストトルクの作用方向は操舵トルクと同一方向となる場合もあれば、その逆方向となる場合もある。第2アシストトルクの作用方向が操舵トルクと逆方向になる場合、操舵トルク及び第1アシストトルクの加算値の大きさと第2アシストトルクの大きさとが近いほど、それら3つの値の総和が減少することになる。換言すれば、路面反力の大きさが減少していることになるため、グリップ度が低下していることになる。よって上記構成のように操舵トルク及び第1アシストトルクの加算値で第2アシストトルクを除算することにより反力量比率を求めれば、その値が「−1」に近づくことに基づいてグリップ度が低下していると推定できる。また反力量比率が「−1」から離れることに基づいてグリップ度が増加していると推定できる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、前記制御部は、前記反力量比率が「−1」になることに基づいて、前記グリップ度が、前記転舵輪にスリップ現象の生じる値に達していると推定することを要旨とする。
同構成によれば、転舵輪のスリップ現象を容易に検出できる。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の電動パワーステアリング装置において、前記制御部は、前記転舵輪にスリップ現象の生じる値に前記反力量比率が近づくほど前記アシスト指令値に含まれる前記第2アシスト成分の絶対値を小さくする調整部を更に有することを要旨とする。
同構成によれば、転舵輪にスリップ現象の生じる値に反力量比率が近づくほど、すなわちグリップ度が低下するほど、アシスト指令値に含まれる第2アシスト成分の絶対値が小さくなるように調整される。これによりグリップ度が低下する低μ路では、転舵角フィードバック制御に基づくアシストトルクの絶対値が小さくなるため、転舵輪は路面状態に応じた転舵動作を行うことになる。よって、運転者は低μ路に対応した操舵感を得ることができる。
ところで、例えばステアリングホイールが中立位置にあるときには、操舵トルク及び第1アシスト成分が零になる。この場合、第2アシストトルクの作用方向が操舵トルクと逆方向になると、反力量比率の値が「−∞」となり、グリップ度を誤判定するおそれがある。このように誤判定されたグリップ度に基づいて、アシスト指令値に含まれる第2アシスト成分の絶対値を小さくなるように調整すると、アシスト指令値が不適切に調整され、操舵感が損なわれるおそれがある。
そこで、請求項5に記載の電動パワーステアリング装置において、前記操舵トルクが零と検出又は推定される場合、前記調整部は、前記アシスト指令値に含まれる前記第2アシスト成分の絶対値を小さくする調整を行わないことが有効である。
同構成によれば、操舵トルクが零と検出又は推定される場合、すなわちステアリングホイールが中立位置にあると検出又は推定されグリップ度を誤判定する可能性がある場合には、アシスト指令値に含まれる第2アシスト成分の絶対値を小さくする調整が行われない。これによりアシスト指令値の不適切な調整が行われ難くなるため、操舵感をさらに向上させることができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項2又は3に記載の電動パワーステアリング装置において、前記制御部は、前記操舵トルクに基づく前記第1アシスト成分の演算をマップに基づいて行うものであり、前記転舵輪にスリップ現象の生じる値に前記反力量比率が近づくほど、前記マップを、前記操舵トルクの絶対値に対する前記第1アシスト成分の絶対値が大きいマップに切り替えることを要旨とする。
同構成によれば、転舵輪にスリップ現象が生じ易くなるほど、アシストトルクが大きくなり操舵が軽くなるため、運転者はグリップ度の低下を的確に把握することができる。
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、転舵角フィードバック制御を実行しながらも、転舵輪のグリップ度を推定できる。
本発明の電動パワーステアリング装置の一実施形態についてその概要を模式的に示すブロック図。 実施形態の電動パワーステアリング装置についてその制御装置の構成を示すブロック図。 実施形態の電動パワーステアリング装置についてその制御装置の構成を示す制御ブロック図。 本実施形態の電動パワーステアリング装置について操舵トルク、車速、及び第1アシスト成分の関係を示すグラフ。 本実施形態の電動パワーステアリング装置について同装置から転舵輪に作用するトルクと路面反力との関係を模式的に示す図。 (a),(b)は、本実施形態の電動パワーステアリング装置について操舵トルク、第1アシストトルク、及び第2アシストトルクの関係を模式的にそれぞれ示す図。 実施形態の制御装置についてそのロードインフォメーション補償部の構成を示す制御ブロック図。 本発明の電動パワーステアリング装置の変形例についてそのロードインフォメーション補償部の構成を示す制御ブロック図。 本発明の電動パワーステアリング装置の他の変形例について反力量比率とゲインとの関係を示すグラフ。 本発明の電動パワーステアリング装置の他の変形例について反力量比率とゲインとの関係を示すグラフ。
以下、本発明の電動パワーステアリング装置の一実施形態について図1〜図7を参照して説明する。はじめに本実施形態の電動パワーステアリング装置の概要を説明する。
図1に示すように、この電動パワーステアリング装置は、運転者のステアリングホイール10の操作に基づき転舵輪15を転舵させる操舵機構1、及び運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構2を備えている。
操舵機構1は、ステアリングホイール10と一体となって回転するステアリングシャフト11を備えている。ステアリングシャフト11の下端部にはラックアンドピニオン機構12を介してラックシャフト13が連結されている。これにより運転者のステアリング操作に伴いステアリングシャフト11が回転すると、その回転運動がラックアンドピニオン機構12を介してラックシャフト13の軸方向の往復直線運動に変換される。このラックシャフト13の往復直線運動が、その両端に連結されたタイロッド14を介して転舵輪15に伝達されることにより転舵輪15の転舵角θpが変化し、車両の進行方向が変更される。
アシスト機構2は、ステアリングシャフト11にアシストトルクを付与するモータ20を備えている。モータ20は三相交流モータからなる。このモータ20の回転がギア機構21を介してステアリングシャフト11に伝達されることによりステアリングシャフト11にモータトルクが付与され、ステアリング操作が補助される。
また電動パワーステアリング装置には、ステアリングホイール10の操作量や車両の状態量を検出する各種センサが設けられている。例えばステアリングシャフト11には、運転者のステアリング操作に際してステアリングシャフト11に付与されるトルク(操舵トルク)Thを検出するトルクセンサ4が設けられている。モータ20には、その回転角θmを検出する回転角センサ5が設けられている。車両には、その走行速度Vを検出する車速センサ6が設けられている。これらのセンサの出力は制御装置(制御部)3に取り込まれる。制御装置3は各センサの出力に基づいてモータ20の駆動を制御する。
図2に示すように制御装置3は、車載バッテリ等の電源(電源電圧「+Vcc」)から供給される直流電力を三相(U相、V相、W相)の交流電力に変換するインバータ回路30、及びインバータ回路30をPWM(パルス幅変調)駆動するマイコン31を備えている。
インバータ回路30はマイコン31からのPWM駆動信号に基づいて、電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換する。この三相交流電力は給電線WLを介してモータ20に供給される。給電線WLには、同給電線WLを流れる各相電流値Iを検出する電流センサ32が設けられている。電流センサ32の出力はマイコン31に取り込まれる。なお図2では、説明の便宜上、各相の給電線WL及び各相の電流センサ32をそれぞれ一つにまとめて図示する。
マイコン31にはトルクセンサ4、車速センサ6、及び回転角センサ5のそれぞれの出力も取り込まれる。マイコン31は、各センサにより検出される操舵トルクTh、車速V、各相電流値I、及びモータ回転角θmに基づいてPWM駆動信号を生成する。そしてマイコン31は、PWM駆動信号をインバータ回路30に出力することでインバータ回路30をPWM駆動し、モータ20の駆動を制御する。
次に図3の制御ブロックを参照してマイコン31によるモータ20の駆動制御について詳述する。
図3に示すようにマイコン31は、操舵トルクTh、車速V、及びモータ回転角θmに基づいてアシスト指令値Tasを演算するアシスト指令値演算部40を備えている。
アシスト指令値演算部40は、車速V及び操舵トルクThに基づいてアシスト指令値Tasの基礎成分となる第1アシスト成分Ta1を演算する基本アシスト成分演算部(第1アシスト成分演算部)41を備えている。基本アシスト成分演算部41は、例えば図4に示すように操舵トルクThの絶対値が大きくなるほど、また車速Vが遅くなるほど第1アシスト成分Ta1の絶対値をより大きい値に設定する。基本アシスト成分演算部41は、図4に示すようなマップを用いて第1アシスト成分Ta1を演算する。
図3に示すようにアシスト指令値演算部40は、基本アシスト成分演算部41で演算された第1アシスト成分Ta1から補正値Trを減算する演算を行い、補正後の第1アシスト成分Ta1’(=Ta1−Tr)を転舵角指令値演算部42に入力する。
転舵角指令値演算部42には補正後の第1アシスト成分Ta1’の他、操舵トルクThも取り込まれる。転舵角指令値演算部42は補正後の第1アシスト成分Ta1’及び操舵トルクThを加算して駆動トルクを求め、この駆動トルクから理想モデルに基づいて転舵角指令値θp*を演算する。転舵角指令値θp*は転舵角θpの目標値である。理想モデルは駆動トルクに応じた理想的な転舵角を予め実験などによりモデル化したものである。転舵角指令値演算部42は、演算した転舵角指令値θp*を転舵角フィードバック制御部43に出力する。
一方、図1に示すようにモータ20はギア機構21を介してステアリングシャフト11に連結されているため、モータ回転角θmとステアリングシャフト11の回転角との間には相関関係がある。そのためモータ回転角θmと転舵輪15の転舵角θpとの間にも相関関係がある。図3に示すようにアシスト指令値演算部40は、こうした相関関係を利用してモータ回転角θmから転舵輪15の実際の転舵角(実転舵角)θpを演算する転舵角演算部44を備えている。転舵角演算部44は、演算した実転舵角θpを転舵角フィードバック制御部43に出力する。
転舵角フィードバック制御部43は、実転舵角θpを転舵角指令値θp*に一致させるべく、それらの偏差に基づくフィードバック制御を行い、第2アシスト成分Ta2を演算する。このように本実施形態では転舵角フィードバック制御部43が第2アシスト成分演算部となっている。
アシスト指令値演算部40は補正後の第1アシスト成分Ta1’に第2アシスト成分Ta2を加算してアシスト指令値Tasを求め、このアシスト指令値Tasを電流指令値演算部50に出力する。
電流指令値演算部50はアシスト指令値Tasに基づいてd/q座標系におけるq軸上の電流指令値Iq*を演算し、この電流指令値Iq*をPWM駆動信号生成部60に出力する。なお本実施形態においてd軸上の電流指令値Id*は「0」とされており、電流指令値演算部50は、この電流指令値Id*もPWM駆動信号生成部60に出力する。
PWM駆動信号生成部60には電流指令値演算部50からの電流指令値Id*,Iq*の他、モータ回転角θm及び各相電流値Iも取り込まれる。PWM駆動信号生成部60はモータ回転角θmを用いて各相電流値Iをd/q座標系のd軸電流値及びq軸電流値に変換する。そしてd軸電流値が電流指令値Id*となるように、またq軸電流値が電流指令値Iq*となるように、それらの偏差に基づくフィードバック制御を行い、PWM駆動信号を生成する。これにより上記インバータ回路30がPWM駆動し、モータ20からステアリングシャフト11にアシストトルクが付与され、ステアリング操作を補助するアシスト制御が実行される。
このような構成によれば、転舵角フィードバック制御により生成される第2アシスト成分Ta2がアシスト指令値Tasに含まれるため、この第2アシスト成分に基づくアシストトルクがモータ20からステアリングシャフト11に付与されることにより、転舵輪15の転舵角θpが転舵角指令値θp*に追従するように制御される。この転舵角フィードバック制御により転舵輪15の転舵角θpが転舵角指令値θp*に維持されるため、外乱に起因する操舵機構1の振動を的確に抑制できる。また理想モデルを適宜調整することにより、搭載車両の実際の特性によらず任意の特性を制御により形成できる。すなわち所望の操舵感を実現できる。
ところで本実施形態の電動パワーステアリング装置では、転舵角フィードバック制御の実行により、図5に示すように、電動パワーステアリング装置側から転舵輪に作用する軸力Fepsと、走行路面から転舵輪15に作用する路面反力Frdとの間には、つり合いの関係が成立する。ここで前者の軸力Fepsは、操舵トルクThと、第1アシスト成分Ta1に基づく第1アシストトルクT1と、第2アシスト成分Ta2に基づく第2アシストトルクT2との総和をステアリングシャフト11の半径Rで除算することにより求めることができる。よって以下の式(1)が成立する。
Frd=(Th+T1+T2)/R・・・(1)
一方、路面反力Frdは走行路面に対する転舵輪15のグリップ度と相関関係がある。そのため式(1)の右辺の総和に基づいてグリップ度を推定できる。なおグリップ度とは転舵輪15と走行路面との間のグリップ状態を規定する指標値であり、その値が増加するほどグリップ状態が向上していることを示し、その値が低下するほどグリップ状態が悪化していることを示す。グリップ度は具体的には以下のように推定できる。
アシスト制御に基づく第1アシストトルクT1は運転者のステアリング操作を補助するようにステアリングシャフト11に作用するため、その作用方向は基本的には図6(a),(b)に示すように操舵トルクThと同一方向となる。一方、転舵角フィードバック制御に基づく第2アシストトルクT2の作用方向は、図6(a)に示すように操舵トルクThと同一方向となる場合もあれば、図6(b)に示すようにその逆方向となる場合もある。第2アシストトルクT2の作用方向が操舵トルクThと逆方向となる場合、式(1)の右辺の大きさは、操舵トルクTh及び第1アシストトルクT1の加算値の大きさと第2アシストトルクT2の大きさとが近いほど、減少することになる。換言すれば、路面反力Frdの大きさが減少することになるため、グリップ度が低下していることになる。特に式(1)の右辺が「0」となる場合は、路面反力Frdが「0」であることを意味しており、転舵輪15にスリップ現象が発生していると判断できる。したがって、グリップ度が低下すると、第2アシストトルクT2の符号が操舵トルクTh及び第1アシストトルクT1の符号と逆になるとともに、第2アシストトルクT2の絶対値が、操舵トルクTh及び第1アシストトルクの加算値の絶対値に近づくことになる。
そこで本実施形態では、グリップ度が低下しているか否かを判断するために、以下の式(2)により得られる反力量比率Rfを利用している。
Rf=T2/(T1+Th)・・・(2)
そして反力量比率Rfが「−1」に近づくことに基づいてグリップ度が低下していると推定する。これに対し反力量比率Rfの値が「−1」から正(プラス)の方向に大きくなるほどグリップ度が増加していると推定する。このように本実施形態では反力量比率Rfに基づいてグリップ度を推定する。そして本実施形態の電動パワーステアリング装置では、アシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2を反力量比率Rfに基づいて調整する。以下その詳細を説明する。
図3に示すように本実施形態のアシスト指令値演算部40は、操舵トルクTh、第1アシスト成分Ta1、及び第2アシスト成分Ta2に基づいて補正値Trを演算するロードインフォメーション補償部45を備えている。
図7に示すようにロードインフォメーション補償部45は反力量比率演算部45a及びゲイン演算部45bから構成される。
反力量比率演算部45aは、第1アシスト成分Ta1及び第2アシスト成分Ta2から第1アシストトルクT1及び第2アシストトルクT2をそれぞれ演算し、操舵トルクTh、第1アシストトルクT1、及び第2アシストトルクT2から上記式(2)に基づいて反力量比率Rfを演算する。反力量比率演算部45aは、演算した反力量比率Rfをゲイン演算部45bに出力する。
ゲイン演算部45bは、図中のグラフに示すように、また以下の(a1)〜(a3)に示すようにゲインGrを演算する。なお反力量比率Rfに対して設けられる第1の閾値Rf1は、転舵輪15にスリップ現象の生じる可能性のある反力量比率Rfの値に設定されている。なお第1の閾値Rf1は「−1」よりも大きい値である。また第2の閾値Rf2は第1の閾値Rf1よりも大きい値に設定されている。各閾値Rf1,Rf2は予め実験などにより設定される。
(a1)反力量比率Rfが「−1≦Rf≦Rf1」の範囲である場合、すなわちグリップ度が低く、スリップ現象の生じる可能性が高い場合、ゲインGrを「1」に設定する。
(a2)反力量比率Rfが「Rf1<Rf<Rf2」の範囲である場合、反力量比率Rfが増加するほど、ゲインGrを「1」から「0」に漸減させる。
(a3)反力量比率Rfが「Rf2≦Rf」の範囲である場合、すなわちグリップ度が高く、スリップ現象の生じる可能性が低い場合、ゲインGrを「0」に設定する。
ロードインフォメーション補償部45は、ゲイン演算部45bで演算されたゲインGrを第2アシスト成分Ta2に乗算することにより補正値Trを演算する。ここでゲインGrは「0≦Gr≦1」の範囲で変化するため、補正値Trは「0≦Tr≦Ta2」の範囲で変化する。これにより補正後の第1アシスト成分Ta1’は「Ta1−Gr・Ta2」となるため、アシスト指令値Tasは「Ta1+(1−Gr)Ta2」となる。このようにロードインフォメーション補償部45は、アシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2の絶対値を反力量比率Rfに基づいて調整する調整部となっている。
次に本実施形態の電動パワーステアリング装置の作用を説明する。
本実施形態の電動パワーステアリング装置では、反力量比率Rfが第1の閾値Rf1以下になった場合、すなわちグリップ度が低く、スリップ現象の生じる可能性が高い場合、ロードインフォメーション補償部45は補正値Trを第2アシスト成分Ta2と同一の値に設定する。すなわちアシスト指令値Tasから第2アシスト成分Ta2を全て除去する。これにより転舵角フィードバック制御に基づくアシストトルクがステアリングシャフト11に付与されなくなるため、転舵輪15が路面状態に応じた転舵動作を行うことになる。よって運転者は低μ路に対応した操舵感を得ることができる。また運転者は操舵感からスリップし易い状況を認識できるため、運転者に注意を促すことができる。これにより車両走行の安全性を高めることができる。
またロードインフォメーション補償部45は反力量比率Rfが第2の閾値Rf2以上になったとき、すなわちグリップ度が高く、スリップ現象の生じる可能性が低いとき、補正値Trを「0」に設定する。すなわちロードインフォメーション補償部45は、アシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2の調整を行わない。これにより転舵角フィードバック制御に基づくアシストトルクがステアリングシャフト11に付与されるため、スリップ現象の生じる可能性の低い通常路では転舵輪15からの逆入力振動が打ち消され、好適な操舵感を得ることができる。
さらに反力量比率Rfが第1の閾値Rf1から第2の閾値Rf2の範囲で変化するとき、ロードインフォメーション補償部45は、補正値Trを「Ta2」から「0」の範囲で変化させる。これによりアシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2が徐々に変化するため、アシストトルクの急変を抑制できる。したがって操舵感の急変を抑制できるため、運転者の違和感を低減できる。
以上説明したように本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、以下の効果が得られる。
(1)制御装置3では、操舵トルクTh及び第1アシストトルクT1の加算値で第2アシストトルクT2を除算することにより求められる反力量比率Rfに基づいてグリップ度を推定することとした。これによりグリップ度を容易に推定できる。また車両がジャッキアップされ転舵輪15が宙に浮いている場合、転舵輪15に作用する路面反力Frdは「0」となる。そのため反力量比率Rfの値は、転舵輪15にスリップ現象が生じた場合と同様に「−1」となる。したがって反力量比率Rfに基づいて、車両がジャッキアップされ転舵輪15が宙に浮いた状態であることを判定することも可能である。
(2)制御装置3には、アシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2を反力量比率Rfに基づいて調整するロードインフォメーション補償部45を設けた。そしてロードインフォメーション補償部45では、スリップ現象の生じる可能性のある反力量比率Rfの値を第1の閾値Rf1として設定し、反力量比率Rfが「−1≦Rf≦Rf1」となることを条件にアシスト指令値Tasから第2アシスト成分Ta2を全て除去することとした。これによりスリップ現象の生じる可能性の高いとき、転舵輪15が路面状態に応じた転舵動作を行うことになるため、運転者は操舵感から路面状態がスリップし易い状況であることを認識できる。
(3)ロードインフォメーション補償部45では、第1の閾値Rf1よりも大きい第2の閾値Rf2を設定し、反力量比率Rfが第2の閾値Rf2以上となることを条件にアシスト指令値Tasの調整を行わないこととした。これによりスリップ現象の生じる可能性の低い状況では転舵輪15からの逆入力振動が打ち消され、好適な操舵感を得ることができる。
(4)ロードインフォメーション補償部45では、反力量比率Rfが第1の閾値Rf1から第2の閾値Rf2の範囲で変化するとき、アシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2を徐々に変化させることとした。これにより操舵感の急変を抑制できるため、運転者の違和感を低減できる。
なお上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、反力量比率Rfに応じたゲインGrを第2アシスト成分Ta2に乗算することにより補正値Trを演算することとした。しかし、例えばステアリングホイール10が中立位置付近にあるときには、操舵トルクTh及び第1アシスト成分Ta1が「0(零)」になる。この場合、第2アシストトルクT2の作用方向が操舵トルクThと逆方向になると、反力量比率Rfが「−∞」になってしまい、グリップ度を誤判定するおそれがある。そこで、このような誤判定を防止すべく、図8に示すように、ロードインフォメーション補償部45に誤判定防止ゲイン演算部45cを設けてもよい。
図中のグラフに示すように、誤判定防止ゲイン演算部45cは、舵角θsに応じて誤判定防止ゲインGpを演算する。誤判定防止ゲイン演算部45cは、回転角センサ5からモータ回転角θmを取り込み、モータ回転角θmに基づいてステアリングホイールの舵角θsを演算する。そして舵角θsの絶対値が、ステアリングホイール10の中立位置付近に設定される所定の閾値θ1よりも小さい場合には、誤判定防止ゲインGpが「0」に設定される。また舵角θsの絶対値が閾値θ1よりも大きい閾値θ2を超える場合には、誤判定防止ゲインGpが「1」に設定される。さらに舵角θsが「θ1≦|θs|≦θ2」を満たす場合には、アシストトルクの急変を抑制するために、舵角θsの絶対値が増加するほど誤判定防止ゲインGpが「0」から「1」まで漸増される。
ロードインフォメーション補償部45は、ゲインGr及び誤判定防止ゲインGpを第2アシスト成分Ta2に乗算することにより補正値Trを演算する。ここで、舵角θsの絶対値が閾値θ1よりも小さい場合、すなわち操舵トルクTh及び第1アシスト成分Ta1が「0」になると推定されグリップ度を誤判定する可能性が大きい場合には、誤判定ゲインGpが「0」に設定されるため、補正値Trも「0」に設定される。また舵角θsの絶対値が閾値θ2よりも大きい場合、すなわち操舵トルクTh及び第1アシスト成分Ta1が「0」になると推定されグリップ度を誤判定する可能性が小さい場合には、誤判定防止ゲインGpが「1」に設定されるため、補正値Trは上記実施形態と同じ値になる。したがって、誤判定防止ゲイン演算部45cを設けることにより、グリップ度の推定精度が向上し、アシスト指令値Tasの不適切な調整が行われ難くなるため、操舵感をさらに向上させることができる。
・誤判定防止ゲイン45cは、舵角θsに代えて操舵トルクThに応じて誤判定防止ゲインGpを設定するように構成してもよい。
・上記実施形態では、アシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2の絶対値を反力量比率Rfに基づいて調整することで、運転者が操舵感から路面状況を判断できるようにしたが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば操舵トルクThに対する第1アシスト成分Ta1の大きさが異なる図4のマップを複数備え、反力量比率Rfに基づいてマップを切り替えることにより、運転者が路面状況を判断できるようにしてもよい。具体的には、グリップ度が低下したと推定される場合に、操舵トルクの絶対値に対する第1アシスト成分Ta1の絶対値が通常よりも大きくなるようにマップを切り替えてもよい。これによりアシストトルクが大きくなり操舵が軽くなるため、運転者がグリップ度の低下を的確に把握することができる。
・上記実施形態では、反力量比率Rfが第1の閾値Rf1以下であるとき、ゲインGrを「1」に設定したが、ゲインGrを「1」よりも小さい値に設定してもよい。換言すれば、反力量比率Rfが第1の閾値Rf1以下であるとき、アシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2を全て除去するのではなく、アシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2の絶対値を小さくするだけでもよい。このような構成であっても、路面状態がスリップ現象の生じ易い低μ路となったとき、転舵角フィードバック制御に基づくアシストトルクがステアリングシャフト11に作用し難くなるため、運転者は低μ路に対応した操舵感を得ることが可能である。
・上記実施形態では、第1の閾値Rf1を、スリップ現象の生じる可能性のある値に設定したが、これに代えて、その値よりも大きい値に設定してもよい。これにより、より早い時期にアシスト指令値Tasから第2アシスト成分Ta2が全て除去される。したがって路面状態が低μ路となる前に運転者の操舵感が変化するため、運転者は操舵感の変化から路面状態が低μ路に近づきつつあることを、より早く認識することができる。よって車両走行の安全性を更に高めることができる。
・図9に示すようにゲイン演算部45bでは、反力量比率Rfが「−1」になった場合にのみゲインGrの値を「1」に設定してもよい。このような構成によれば、スリップ現象が生じる直前まで、転舵角フィードバック制御に基づくアシストトルクがステアリングシャフト11に作用するため、上記実施形態と比較すると操舵機構1の振動抑制効果が向上する。
・上記実施形態では、反力量比率Rfが第1の閾値Rf1から第2の閾値Rf2の範囲で変化するとき、アシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2を徐々に変化させることとしたが、この除変区間を省略してもよい。具体的には図10に示すように、「−1」よりも大きい値を閾値Rf3(例えば「−0.9」)として設定する。そして反力量比率Rfが閾値Rf3未満であるとき、ゲインGrを「1」に設定し、反力量比率Rfが閾値Rf3以上であるとき、ゲインGrを「0」に設定する。要はアシスト指令値Tasに含まれる第2アシスト成分Ta2の大きさを反力量比率Rfに基づいて調整するものであればよい。
・上記実施形態では反力量比率Rfを上記式(2)から求めることとしたが、例えば以下の式(3)から求めてもよい。
Rf=|Ta2/(Ta1+Th)|・・・(3)
この場合、反力量比率Rfが「1」に近づくことに基づいてグリップ度が低下していると判断できる。また反力量比率Rfが「1」になることに基づいてスリップ現象を検知することもできる。
・操舵トルクTh、第1アシストトルクT1、及び第2アシストトルクT2の総和に基づいてグリップ度を推定してもよい。また、これらの総和が「0」になることに基づいてスリップ現象を検知してもよい。要は操舵トルクTh、第1アシストトルクT1、及び第2アシストトルクT2に基づいてグリップ度を推定するものであればよい。
・上記実施形態では、転舵角指令値演算部42の理想モデルとして、第1アシスト成分Ta1及び操舵トルクThの加算値に基づいて転舵角指令値θp*を設定する理想モデルを用いた。これに代えて、例えば操舵トルクThのみに基づいて転舵角指令値θp*を設定する理想モデルなどを用いてもよい。
・転舵角指令値演算部42は、理想モデルを用いて転舵角指令値θp*を演算するものに限らない。例えば基本アシスト成分演算部41のように、マップ演算により転舵角指令値θp*を演算するものであってもよい。
・上記実施形態の基本アシスト成分演算部41では、操舵トルクTh及び車速Vに基づいて第1アシスト成分Ta1を設定したが、例えば操舵トルクThのみに基づいて第1アシスト成分Ta1を設定してもよい。また操舵トルクThに対する第1アシスト成分Ta1の変化勾配(アシスト勾配)に基づいてトルクセンサ4の検出操舵トルクThの位相を変化させる、いわゆる位相補償制御を実行してもよい。さらに第1アシスト成分Ta1の時間微分値が大きいほど第1アシスト成分Ta1を大きくする、いわゆるトルク微分制御を実行してもよい。
・上記実施形態では、本発明を、ステアリングシャフト11にアシストトルクを付与する電動パワーステアリング装置に適用したが、ラックシャフト13にアシストトルクを付与する電動パワーステアリング装置に本発明を適用してもよい。
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)前記調整部は、前記反力量比率の変化に応じて、前記アシスト指令値に含まれる前記第2アシスト成分を徐々に変化させることを特徴とする電動パワーステアリング装置。同構成によれば、反力量比率の変化に応じて、アシスト指令値に含まれる第2アシスト成分が徐々に変化するため、アシストトルクの急変を抑制できる。これにより操舵感の急変を抑制できるため、運転者の違和感を低減できる。
(ロ)前記調整部は、前記転舵輪にスリップ現象の生じる可能性のある反力量比率の値を第1の閾値として設定し、前記反力量比率が前記第1の閾値以下となることを条件に前記アシスト指令値に含まれる前記第2アシスト成分を全て除去することを特徴とする電動パワーステアリング装置。同構成によれば、反力量比率が第1の閾値以下となったとき、すなわちスリップ現象の生じる可能性が高いとき、アシスト指令値から第2アシスト成分が全て除去されるため、転舵角フィードバック制御に基づくアシストトルクが操舵機構に作用しなくなる。これにより転舵輪が路面状態に応じた転舵動作を行うことになるため、運転者は操舵感からスリップし易い状況を認識できる。よって運転者に注意を促すことができるため、車両走行の安全性を高めることができる。
(ハ)前記調整部は、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を設定し、前記反力量比率が前記第2の閾値以上の場合には、前記アシスト指令値に含まれる前記第2アシスト成分の調整を行わないことを特徴とする電動パワーステアリング装置。同構成によれば、反力量比率が第2の閾値以上になったとき、すなわちスリップ現象の生じる可能性が低いとき、アシスト指令値に第2アシスト成分が含まれるため、操舵機構に第2アシストトルクが作用するようになる。これによりスリップ現象の生じる可能性の低い状況では転舵輪からの逆入力振動が打ち消され、好適な操舵感を得ることができる。
(ニ)前記制御部は、前記操舵トルク、前記第1アシスト成分に基づく第1アシストトルク、及び前記第2アシスト成分に基づくアシストトルクの総和が零になることに基づいて、前記グリップ度が、前記転舵輪にスリップ現象の生じる値に達していると推定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。同構成によれば、転舵輪のスリップ現象を容易に検出できる。
1…操舵機構、2…アシスト機構、3…制御装置(制御部)、15…転舵輪、20…モータ、40…アシスト指令値演算部、41…基本アシスト成分演算部(第1アシスト成分演算部)、42…転舵角指令値演算部、43…転舵角フィードバック制御部(第2アシスト成分演算部)、45…ロードインフォメーション補償部(調整部)。

Claims (6)

  1. 車両の操舵機構にモータからのアシストトルクを付与するアシスト機構と、
    前記モータの駆動をアシスト指令値に基づき制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記操舵機構に伝達される操舵トルクに基づいて第1アシスト成分を演算する第1アシスト成分演算部と、
    転舵輪の転舵角の目標値となる転舵角指令値を前記操舵トルクに基づき演算する転舵角指令値演算部と、
    前記転舵輪の転舵角を前記転舵角指令値に一致させる転舵角フィードバック制御の実行により第2アシスト成分を演算する第2アシスト成分演算部と、
    前記第1アシスト成分に前記第2アシスト成分を加算した値を基礎として前記アシスト指令値を演算するアシスト指令値演算部と、を有し、
    前記操舵トルク、前記第1アシスト成分に基づく第1アシストトルク、及び前記第2アシスト成分に基づく第2アシストトルクから、走行路面に対する前記転舵輪のグリップ度を推定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御部は、前記操舵トルク及び前記第1アシストトルクの加算値で前記第2アシストトルクを除算することにより求められる反力量比率に基づいて前記グリップ度を推定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御部は、前記反力量比率が「−1」になることに基づいて、前記グリップ度が、前記転舵輪にスリップ現象の生じる値に達していると推定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項2又は3に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御部は、前記転舵輪にスリップ現象の生じる値に前記反力量比率が近づくほど前記アシスト指令値に含まれる前記第2アシスト成分の絶対値を小さくする調整部を更に有することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項4に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記操舵トルクが零と検出又は推定される場合、
    前記調整部は、前記アシスト指令値に含まれる前記第2アシスト成分の絶対値を小さくする調整を行わないことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項2又は3に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御部は、
    前記操舵トルクに基づく前記第1アシスト成分の演算をマップに基づいて行うものであり、
    前記転舵輪にスリップ現象の生じる値に前記反力量比率が近づくほど、前記マップを、前記操舵トルクの絶対値に対する前記第1アシスト成分の絶対値が大きいマップに切り替えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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