JP4967523B2 - 衝撃吸収部材 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の対人接触事故の際に、歩行者や自転車等に乗る人等(以下、本明細書では「歩行者」と総称する)の身体に負荷される衝撃力を緩和することにより、歩行者の傷害を抑制することができる衝撃吸収部材に関する。
近年、自動車の衝突事故の際には、乗員の安全を確保することだけではなく、特に対人接触事故の際に歩行者の身体に負荷される衝撃力を緩和することにより歩行者の傷害を抑制することも、要求される。
例えば、自動車の前部に装着されるバンパーは、その設置高さに起因して、対人接触事故の際には歩行者の脚部に大きな傷害を与える可能性が高い。このため、これまでにも、例えばフロントバンパーリインフォースの前面、すなわちバンパーリインフォースとこのバンパーリインフォースを覆って装着されるバンパーフェイシャーとの間に、樹脂材からなる軟質の緩衝材(衝撃吸収部材)を介在させることによって、バンパーが歩行者の脚部に接触した際の衝撃力を緩和し、これにより歩行者の脚部の傷害を抑制するための発明が、多数提案されている。
例えば、特許文献1には、バンパーリインフォースとバンパーフェイシャーとの間に、合成樹脂製の弾性発泡体からなる衝撃吸収部材を装着する発明が開示されている。
また、特許文献2には、熱可塑性プラスチック材をブロー成形した中空体とその内部に充填された発泡体とからなる衝撃吸収部材に係る発明が開示されている。
特許文献1、2により開示される発明は、いずれも、プラスチック材や樹脂材等からなる軟質の衝撃吸収部材をバンパーリインフォースに装着することによって、対人接触事故における歩行者の脚部を保護するものである。
特開2004−322861号公報 特開2005-263207号公報
しかしながら、特許文献1、2により開示された発明において用いられる、プラスチック材や樹脂材等からなる衝撃吸収部材は、周知のようにプラスチック材や樹脂材等のリサイクルは容易でないことから、使用後に廃棄される際に環境保護や資源有効利用の点で問題を生じる。
このように、従来の発明では、対人接触事故における歩行者の脚部の傷害を確実に抑制しながら、使用後にもリサイクルが容易な、自動車バンパー用の衝撃吸収部材を提供することはできなかった。
本発明は、フロントバンパーリインフォースの前面、又はリアバンパーリインフォースの後面の車幅方向の略全域に取り付けられる金属製部材からなる衝撃吸収部材であって、この金属製部材は略コの字状又は略ハット状の横断面形状を有する3以上の部分により構成されること、これら3以上の部分は、フロントバンパーリインフォース又はリアバンパーリインフォースの長手方向へ10mm以下の隙間を有して配置されること、および、金属製部材の圧縮荷重はフロントバンパーリインフォース又はリアバンパーリインフォースの圧縮荷重又は曲げ荷重のいずれよりも小さいことを特徴とする衝撃吸収部材である。
また、本発明は、フロントバンパーリインフォースの前面、又はリアバンパーリインフォースの後面の車幅方向の略全域に取り付けられる金属製部材からなる衝撃吸収部材であって、この金属製部材は、略コの字状又は略ハット状の横断面形状を有するとともに、フロントバンパーリインフォース又はリアバンパーリインフォースの長手方向へ略直交する2以上のスリットを有すること、スリットの前記長手方向への幅は10mm以下であること、および、金属製部材の圧縮荷重がフロントバンパーリインフォース又はリアバンパーリインフォースの圧縮荷重又は曲げ荷重のいずれよりも小さいことを特徴とする衝撃吸収部材である
この本発明では、スリットが、衝撃吸収部材の前面と上面及び下面との間の稜線を含めるとともに、前面の上下方向の寸法の50%以上となる範囲と、さらに上面及び下面それぞれの車体前後方向寸法の50%以上となる範囲とに設けられることが望ましい。
本発明により、リサイクルが容易な金属製部材からなることから使用後における環境保護や資源有効利用を図りながら、対人接触事故における歩行者の脚部保護を確実に図ることができる衝撃吸収部材、より具体的には、リサイクルが容易であり、かつ接触位置にかかわらずに車幅方向への吸収エネルギーの差が小さな衝撃吸収部材を提供することができる。
このため、本発明に係る衝撃吸収部材により、金属材料からなるのでリサイクルが容易であって、対人接触事故における歩行者の傷害を抑制して、歩行者の脚部を保護することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明に係る衝撃吸収部材を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以降の説明では、リサイクルが可能な金属材料として鋼板を用いて衝撃吸収部材を構成する場合を例にとるが、本発明は鋼板に限定されるものではなく、例えばアルミニウム合金板等の、鋼板以外の他の金属板を用いることもできる。
はじめに、本実施の形態の衝撃吸収部材の原理を、簡単に説明する。
本実施の形態の衝撃吸収部材は、使用後のリサイクル性を高めるために、衝撃吸収能は高いもののリサイクルが困難なプラスチック材や樹脂材等ではなく、鋼板を用いて構成される。本実施の形態の衝撃吸収部材は、鋼板を用いて構成することにより、使用後には同じく鋼製のバンパーリインフォースとともに確実にリサイクルすることができる。
一方、本実施の形態の衝撃吸収部材は、フロントバンパーリインフォースの前面、又はリアーバンパーリインフォースの後面に、例えばスポット溶接、アーク溶接さらにはレーザー溶接等の適当な溶接や、ボルト締結等の適当な機械接合といった適宜手段によって接合されて取り付けられることにより、対人接触事故の際における歩行者の傷害を抑制するものである。したがって、本実施の形態の衝撃吸収部材は、自動車の前部又は後部の車幅方向の略全域にわたって装着される。
したがって、車幅方向の衝突位置の違いによって衝撃吸収性能が変動すること、例えば車幅方向の端部側における衝撃吸収性能が、車幅方向の中央部側における衝撃吸収性能よりも著しく低いことは、対人接触事故における歩行者の傷害を確実に抑制するという観点からは好ましくなく、衝撃吸収部材の長手方向(すなわち自動車の車幅方向)への吸収エネルギーの変動が少ないこと、すなわち吸収エネルギーの分布が略一定であることが望ましい。
しかし、車両のエクステリアデザイン、車両スペース、さらには衝撃吸収部材を支持するバンパーリインフォースの形状等といった様々な要因により、衝撃吸収部材の圧縮ストロークは、車幅方向の位置によって異なったものとなり、一定にはならないことが多い。
このため、鋼板からなる衝撃吸収部材の少なくとも縦面及びこれに連続する水平面の半分がその長手方向(すなわち車幅方向)へ連続した形状を有すると、車幅方向の衝突位置の違い(例えば車幅方向の中央部又は端部)によって衝撃吸収性能が変動してしまい、衝撃吸収性能が低い部分が歩行者に接触する対人接触事故の際には、歩行者に生じる傷害を十分に抑制できないおそれがある。
そこで、本実施の形態では、鋼板製の衝撃吸収部材を、その軸方向に分割して構成することにより、歩行者と接触した衝撃吸収部材が、その衝突位置又はその近傍の限られた部分で変形できるようにする。
本実施の形態の鋼板製の衝撃吸収部材は、以上のように構成されるので、断面寸法が車幅方向に変化する場合であっても、その板厚や材質を適宜設定することにより吸収エネルギーの大小を容易に調整することができ、衝突位置の違いによらずに車幅方向の吸収エネルギーの分布を実質的に均一化できるとともに、吸収エネルギーを高めることができる。
さらに、この衝撃吸収部材を構成する鋼板製の部材の断面形状を、略コの字状、又は略ハット状とすることにより、歩行者保護のために比較的低荷重で圧縮変形することができるので歩行者保護の面でいっそう有利であるとともに、バンパーリインフォースへの取り付けも容易となる。
以上の原理に基づく本実施の形態の衝撃吸収部材をバンパーリインフォースの前面に装着した状態で、汎用動的有限要素法解析ソフトを用いて衝撃圧縮性能を解析した結果を説明する。
図1は、この解析に供した衝撃吸収部材の形状を示す説明図であり、図1(a)は長手方向(車幅方向)に連続して構成される比較例の衝撃吸収部材6を示し、図1(b)は長手方向(車幅方向)に3つの部分1a、1b及び1cに3分割して構成される本実施の形態の衝撃吸収部材1を示す。
また、図2は、これらの衝撃吸収部材1、6の横断面形状を示す説明図である。本解析では、図2に示すように、衝撃吸収部材1、6の横断面形状は、同一の略コの字型の形状とした。また、衝撃吸収部材1、6の材質、板厚も、それぞれ軟鋼、1.0mmと同一とした。
図3は、図3(a)は衝撃吸収部材6の解析条件を示す説明図であり、図3(b)は衝撃吸収部材1の解析条件を示す説明図である。
図3に示すように、本解析は、バンパーリインフォース3を支持するクラッシュボックス(又はバンパステイ)4、4それぞれの端部4aをいずれも固定し、歩行者の脚部を模擬した直径70mmの円筒部材5をインパクター(剛体に設定)として一定速度で、バンパーリインフォース3の前面に装着された衝撃吸収部材1、6に、圧縮位置A又はBで衝突させることにより、行う。
図4(a)は、図3における位置A、Bにおける衝撃吸収部材6の圧縮変位30mmまでの平均荷重で除した荷重応答(荷重/平均荷重)を示すグラフであり、図4(b)は、図3における位置A、Bにおける衝撃吸収部材1の圧縮変位35mmまでの平均荷重で除した荷重応答(荷重/平均荷重)を示すグラフである。
一方、図5は、衝撃吸収部材6、1の位置Bにおける、圧縮変位30mmでの吸収エネルギー比を示すグラフである。なお、図5の吸収エネルギー比は、位置Aに対する位置Bの吸収エネルギー比(位置Bで接触させた時の吸収エネルギー/位置Aで衝突させた時の吸収エネルギー)である。
図4、5にグラフで示すように、衝撃吸収部材1は、衝撃吸収部材6よりも、荷重応答および吸収エネルギーが、その軸方向(車幅方向)について略同等であることがわかる。
なお、この解析では、解析条件を簡略化して発明の特徴を明瞭にするために、図1や図3からも明らかなように鋼板製の部材が車幅方向に真っ直ぐに延在する場合を例にとったが、この場合とは異なり、本発明は、(i)スペース上車幅方向への圧縮ストロークが位置によって変動する場合や、(ii)バンパーリインフォースが湾曲している場合であっても吸収エネルギーの調節を容易に行うことができる点に、大きな特徴がある。
図6(a)、図6(b)は、いずれも、車幅方向への衝撃吸収部材1−1の圧縮ストローク(図中両矢印で示す)が車幅方向の位置によって変動する場合を示し、それぞれ、車幅方向へ分割しない場合、破線で示す位置で分割する場合である。一方、図6(c)、図6(d)は、いずれも、車体前後方向に湾曲するバンパーリインフォースの前面に装着される衝撃吸収部材1−2を示し、それぞれ、車幅方向へ分割しない場合、破線で示す位置で分割する場合である。
図6(a)、図6(b)に示すように圧縮ストロークが車幅方向の位置によって変わる場合や、図6(c)、図6(d)に示すように車体前後方向に湾曲している場合のいずれの場合にあっても、衝撃吸収部材1−1、1−2を車幅方向へ分割しないと、吸収エネルギーを車幅方向に一様にすることは難しい。これに対し、衝撃吸収部材1−1、1−2を車幅方向に複数に分割することにより、分割された個々の部分毎に板厚や材質を適宜設定すれば、容易に吸収エネルギーを車幅方向に略一定化することができる。
次に、以上の原理に基づく本実施の形態を説明する。
はじめに、軸方向に2つ以上に分割されて構成される金属製部材からなる衝撃吸収部材を説明する。
自動車バンパー用の金属製の衝撃吸収部材を、長手方向に分割された個々の部材の幅を適宜変更した、本実施の形態の衝撃吸収部材をバンパーリインフォースの前面に装着した状態で、汎用動的陽解法FEMソフトを用いて衝撃吸収部材の衝撃圧縮性能を解析して調査した。
図7は、この解析に供した衝撃吸収部材の形状を示す説明図であり、図7(a)は車幅方向に連続して構成された比較例の衝撃吸収部材6を示し、図7(b)は車幅方向に18分割した本実施の形態の衝撃吸収部材1−3である。図示例では、衝撃吸収部材1−3は、分割された18の部分1−3a〜1−3rにより構成される。
また、図8は、これらの衝撃吸収部材1−3、6の横断面形状を示す説明図である。本解析では、図8に示すように、衝撃吸収部材1−3、6の横断面形状は、同一の略ハット形状とした。また、衝撃吸収部材1−3、6の材質、板厚も、それぞれ軟鋼、1.0mmと同一とするとともに、部材長さLも1000mmで共通とした。
図9は衝撃吸収部材1−3の解析条件を示す説明図である。図示例では、衝撃吸収部材1−3は長手方向に43分割される。
図9に示すように、本解析は、バンパーリインフォース3を支持するクラッシュボックス(バンパーステイ)4、4それぞれの端部4aを固定し、歩行者の脚部を模擬した直径70mmの円筒部材5をインパクタ(剛体に設定)として一定速度で、バンパーリインフォース3の前面に、フランジ2を装着された衝撃吸収部材1−3、6に衝突させることにより、行う。
衝突位置は、位置A(車幅方向中央)、位置B、位置C、位置D及び位置Eの5カ所(A−B、B−C、C−D、D−E間の距離はいずれも100mm)として、それぞれの位置A〜Eにおける衝撃圧縮特性を比較した。また、車幅方向に分割された個々の部材間の隙間は、全て3mmとした。
比較例の衝撃吸収部材6、及び本発明例の衝撃吸収部材1−3それぞれの衝撃圧縮特性結果を表1にまとめて示す。
Figure 0004967523
表1における吸収エネルギー比は、圧縮ストローク30mmでの値であり、各位置A〜Eについて、位置A〜Eの吸収エネルギーの平均値に対する増減率(絶対値)を示したものであり、最大値はその比率の最大値を示す。すなわち、各位置A〜Eに円筒5を衝突させた時の吸収エネルギーをそれぞれQ〜Qとし、Q〜Qの平均値をQとしたとき、例えば位置Aの吸収エネルギー比は|Q−Q|/Qとして算出される。
表1に示すように、本発明例1〜5は比較例に対して、吸収エネルギー比が小さくなっており、このことから、衝撃吸収部材の長手方向の位置A〜Eにおける吸収エネルギーの差が小さく抑制されており、本発明例の衝撃吸収部材1−3の有効性がわかる。
分割された個々の部材の断面形状寸法は、車幅方向にわたって一様である必要はなく、部材スペースやバンパーリインフォースの形状等に応じて適宜変更してもよい。目標となる吸収エネルギー又は荷重レベルに合わせて、板厚や材質を適宜設定することにより、所望の衝撃吸収特性を容易かつ確実に得ることができる。
本実施の形態の衝撃吸収部材1−3の分割数は、衝撃吸収部材1−3が取り得るスペースに基づいて決定される圧縮ストロークや形状変化にあわせて、適宜決定すればよい。具体的には、分割数は、図1(b)に示すように、中央部及び両端部を含むように3分割以上とするのが望ましい。分割数を多くすることにより、吸収エネルギーの一様分布化が促進される。ただし、分割数が過剰になると加工費の増大を招き、製造コストが上昇するので、70以下の分割数とすることが好ましい。
また、分割された個々の部材の間の隙間は、大き過ぎるとこの隙間に衝突した際の吸収エネルギーの低下を無視することができなくなるので、10mm以下とすることが好ましい。
また、分割された個々の部材の幅を同じ値にする必要はなく、それぞれ異なる幅となるように分割してもよい。
さらに、本実施の形態の衝撃吸収部材は、(a)素材である短冊状の鋼板を略コの字状又は略ハット状に多数プレス成形するか、又は、(b)素材である鋼板を一体として略コの字状又は略ハット状にプレス成形した後に長手方向に切断してから、それぞれをバンパーリインフォースの所定の面にスポット溶接等の適宜手段により取り付けて並設するようにすればよい。
なお、本実施の形態の衝撃吸収部材1−3が取り付けられるバンパーリインフォース3の態様は特に限定を要するものではなく、公知のバンパーリインフォースに等しく装着することが可能である。しかし、対人接触事故の際の歩行者との接触により、バンパーリインフォースが変形する前に、本実施の形態の衝撃吸収部材1−3が十分に潰れて衝撃エネルギーを吸収することによって、歩行者の傷害を最小限に抑制するためには、衝突の際に潰れ順を考慮して、[本実施の形態の衝撃吸収部材1−3の最大圧縮荷重]<[バンパーリインフォース3の最大圧縮荷重]となるか、または[本実施の形態の衝撃吸収部材1−3の最大圧縮荷重]<[バンパーリインフォース3の最大曲げ荷重]となるように設定することが望ましい。
以上説明したように、本実施の形態により、リサイクルが容易な金属製部材であることから使用後における環境保護や資源有効利用を図りながら、対人接触事故における歩行者の脚部保護を確実に図ることができる衝撃吸収部材1−3、より具体的には、リサイクルが容易であり、かつ接触位置にかかわらずに車幅方向への吸収エネルギーの差が小さな衝撃吸収部材1−3を提供することができる。
このため、本実施の形態に係る衝撃吸収部材1−3により、リサイクルに適した金属材料を用い、対人接触事故における歩行者の傷害を抑制して、歩行者の脚部を保護することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の衝撃吸収部材を説明する。なお、以降の説明では、上述した実施の形態1と相違する部分を説明し、共通する部分については、重複する説明は適宜省略する。
本実施の形態の衝撃吸収部材は、長手方向に複数に分割された実施の形態1の衝撃吸収部材とは異なり、長手方向に略直交するスリットを備える金属製部材からなるものである。
図10は、本実施の形態の衝撃吸収部材1−4、1−5の横断面形状を示す説明図であり、図11(a)及び図11(b)は、それぞれ、この衝撃吸収部材1−4、1−5の全体を示す斜視図である。
本実施の形態では、軟鋼からなるとともに図10に示す横断面形状を有する、図11(a)及び図11(b)に示すコの字状の衝撃吸収部材1−4、1−5(長さL=1000mm、板厚t=1.0mm)を例示する。図11(a)及び図11(b)とも上下面のスリット長さHは同じであるが、図11(a)は前面(縦面)の全域にスリットを設けた場合を示し、図11(b)は前面の上下方向の寸法の55%にスリットを設けた場合を示す。
これら衝撃吸収部材1−4、1−5の特徴となるスリット7の形成範囲は、衝撃吸収部材1−4、1−5の前面と上面8及び下面9との間の稜線を含めるとともに、前面の上下方向の寸法の50%以上となる範囲と、さらに上面8及び下面9それぞれの車体前後方向寸法L1、L2の50%以上となる範囲とに設けることが望ましい。L1、L2の50%未満であると、対人接触事故における歩行者の脚部保護を確実に図ることができなくなるおそれがある。
すなわち、本実施の形態に係る衝撃吸収部材1−4、1−5のみならず実施の形態1に係る衝撃吸収部材1〜1−3においても、略コの字状または略ハット状の略溝形の横断面形状を有する衝撃吸収部材の前面(垂直面)と、上面及び下面(水平面)との間の稜線を含めるとともに、前面の上下方向の寸法の50%以上となる範囲と、上面及び下面それぞれの車体の前後寸法の50%以上(実施の形態1はこの値が100%となる場合に相当する)となる範囲とに、少なくとも切欠きを設けることにより、衝撃吸収部材の長手方向の位置における吸収エネルギーの差を小さく抑制することができるのである。
スリット7の幅は、大き過ぎるとスリット7を形成した範囲に衝突した対人接触事故における吸収エネルギーが低下するので、10mm以下とすることが好ましい。
スリット7のピッチは、衝撃吸収部材1−4、1−5の長手方向に一定にする必要はない。また、スリット7の設置数は、衝撃吸収部材1−4、1−5を中央部及び両端部の3つに分けるように2つ以上とするのが望ましい。スリット数を多くすることにより、吸収エネルギーの一様分布化が促進される。ただし、スリット数が過剰になると加工費の増大をまねくので、70以下にすることが好ましい。
図12(a)は、図11(a)に示す衝撃吸収部材1−4と同様にコの字状の横断面形状を有する衝撃吸収部材1−4を示す説明図であり、図12(b)は、ハット形状の横断面形状を有する衝撃吸収部材1−6を示す説明図である。
図12(b)に示す衝撃吸収部材1−6は、バンパーリインフォースへの取り付け部となる外向きフランジ1−6aを除いて、スリット7を複数形成してある。
これらの衝撃吸収部材1−4、1−6は、いずれも、図13に示す母材となる金属板11をブランキングして複数のスリット7を形成してから、横断面形状がコの字状又はハット形状となるようにプレス加工するようにしてもよいし、あるいは、図13に示す母材となる金属板11を、横断面形状がコの字状又はハット形状となるようにプレス加工してから適宜機械加工によってスリット7を形成するようにしてもよい。
そして、図10及び図11(a)に示す衝撃吸収部材1−4について、実施の形態1において説明した解析条件と同一の解析条件により、汎用動的陽解法FEMソフトを用いて衝撃圧縮性能を解析して調査した。解析結果を表2にまとめて示す。なお、表2における本発明例6は図11(a)に示すように上下面の幅Hのスリットに加え、上下面と縦面間の稜線を含むように縦面の前面にスリット7を設けた場合であり、本発明例7は図11(b)に示すように上下面の幅Hのスリットに加え、上下面と縦面間の稜線を含むように縦面の上下方向の寸法の55%となる範囲にスリット7を設けた場合である。
Figure 0004967523
表2に示すように、スリットを設けない比較例よりも、スリット7を設けた本発明例6、7は、衝撃吸収部材の長手方向の位置A〜Eにおける吸収エネルギーの差が小さく抑制されており、本発明例6、7の衝撃吸収部材の有効性がわかる。
なお、本実施の形態においても、衝撃吸収部材1−4〜1−6のバンパーリインフォースへの接合は、実施の形態1と同様に、スポット溶接、アーク溶接さらにはレーザー溶接等の溶接や、ボルト締結等の機械接合といった、適当な接合手段によればよい。
さらに、実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせること、具体的には、衝撃吸収部材をその長手方向に複数の分割された部品により構成し、各部品に適宜長手方向へスリットを設けるようにしてもよい。
以上説明した本実施の形態によっても、リサイクルが容易な金属製部材であることから使用後における環境保護や資源有効利用を図りながら、対人接触事故における歩行者の脚部保護を確実に図ることができる衝撃吸収部材1−4〜1−6、より具体的には、リサイクルが容易であり、かつ接触位置にかかわらずに車幅方向への吸収エネルギーの差が小さな衝撃吸収部材1−4〜1−6を提供することができる。
このため、本実施の形態に係る衝撃吸収部材1−4〜1−6により、リサイクルに適した金属材料を用い、対人接触事故における歩行者の傷害を抑制して、歩行者の脚部を保護することができる。
解析に供した衝撃吸収部材の形状を示す説明図であり、図1(a)は長手方向に連続して構成される比較例の衝撃吸収部材を示し、図1(b)は長手方向に3つの部分に3分割して構成される本実施の形態の衝撃吸収部材を示す。 衝撃吸収部材の横断面形状を示す説明図である。 図3(a)は従来例の衝撃吸収部材の解析条件を示す説明図であり、図3(b)は本発明例の衝撃吸収部材の解析条件を示す説明図である。 図4(a)は、図3における位置A、Bにおける衝撃吸収部材の圧縮変位30mmまでの平均荷重で除した荷重応答(荷重/平均荷重)を示すグラフであり、図4(b)は、図3における位置A、Bにおける衝撃吸収部材の圧縮変位35mmまでの平均荷重で除した荷重応答(荷重/平均荷重)を示すグラフである。 衝撃吸収部材の位置Bにおける、圧縮変位30mmでの吸収エネルギー比を示すグラフである。 図6(a)、図6(b)は、いずれも、車幅方向への衝撃吸収部材の圧縮ストロークが車幅方向の位置によって変動する場合を示し、それぞれ、車幅方向へ分割しない場合、破線で示す位置で分割する場合であり、図6(c)、図6(d)は、いずれも、車体前後方向に湾曲するバンパーリインフォースの前面に装着される衝撃吸収部材を示し、それぞれ、車幅方向へ分割しない場合、破線で示す位置で分割する場合である。 解析に供した衝撃吸収部材の形状を示す説明図であり、図7(a)は車幅方向に連続して構成された比較例の衝撃吸収部材を示し、図7(b)は車幅方向に18分割した本実施の形態の衝撃吸収部材である。 衝撃吸収部材の横断面形状を示す説明図である。 衝撃吸収部材の解析条件を示す説明図である。 実施の形態2の衝撃吸収部材の横断面形状を示す説明図である。 図11(a)及び図11(b)は実施の形態2の衝撃吸収部材の全体を示す斜視図である。 図12(a)は、コの字状の横断面形状を有する衝撃吸収部材を示す説明図であり、図12(b)は、ハット形状の横断面形状を有する衝撃吸収部材を示す説明図である。 母材となる金属板を示す説明図である。
符号の説明
1、1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6衝撃吸収部材
1a、1b、1c、1−3a〜1−3r 部分
1−6a外向きフランジ
2 フランジ
3 バンパーリインフォース
4 クラッシュボックス(又はバンパーステイ)
5 円筒部材(インパクター)
6 衝撃吸収部材
7 スリット
8 上面
9 下面
10 前面
11 金属板

Claims (3)

  1. フロントバンパーリインフォースの前面、又はリアバンパーリインフォースの後面の車幅方向の略全域に取り付けられる金属製部材からなる衝撃吸収部材であって、該金属製部材は略コの字状又は略ハット状の横断面形状を有する3以上の部分により構成されること、該3以上の部分は、前記フロントバンパーリインフォース又は前記リアバンパーリインフォースの長手方向へ10mm以下の隙間を有して配置されること、および、前記金属製部材の圧縮荷重は前記フロントバンパーリインフォース又は前記リアバンパーリインフォースの圧縮荷重又は曲げ荷重のいずれよりも小さいことを特徴とする衝撃吸収部材。
  2. フロントバンパーリインフォースの前面、又はリアバンパーリインフォースの後面の車幅方向の略全域に取り付けられる金属製部材からなる衝撃吸収部材であって、該金属製部材は、略コの字状又は略ハット状の横断面形状を有するとともに、前記フロントバンパーリインフォース又は前記リアバンパーリインフォースの長手方向へ略直交する2以上のスリットを有すること、前記スリットの前記長手方向への幅は10mm以下であること、および、前記金属製部材の圧縮荷重が前記フロントバンパーリインフォース又は前記リアバンパーリインフォースの圧縮荷重又は曲げ荷重のいずれよりも小さいことを特徴とする衝撃吸収部材。
  3. 前記スリットは、該衝撃吸収部材の前面と上面及び下面との間の稜線を含めるとともに、前面の上下方向の寸法の50%以上となる範囲と、さらに上面及び下面それぞれの車体前後方向寸法の50%以上となる範囲とに設けられることを特徴とする請求項2に記載された衝撃吸収部材。
JP2006221170A 2006-08-14 2006-08-14 衝撃吸収部材 Active JP4967523B2 (ja)

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