JP4965320B2 - シャワーシステム及びその運転方法 - Google Patents

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本発明は、シャワーシステム及びその運転方法に係り、特に、全身シャワー浴を楽しむことができるシャワーシステム及びその運転方法に関する。
従来、電子制御により出湯温度特性を改良した給湯器(湯温安定機構付給湯器)が公知である(例えば特許文献1)。このタイプの給湯器を用いたシャワーシステムは、サーモミキシングバルブ(温度調節機能付混合水栓)を介してシャワーヘッドに接続されているのが一般的である。この場合、給湯器内の温度調節機構部で圧損が生じ、さらにミキシングバルブ部においても圧損が生じる(図11参照)。このように、二重の圧力損失のために水道圧の割にシャワー流量が確保できないという問題がある。例えば、60℃の湯(11.1L/分)と、15℃の水道水(8.9L/分)とを浴室内のサーモミキシングバルブで混合させて、40℃の湯を20L/分供給するときの圧損は、
Figure 0004965320
となり、平均的な水道圧0.2MPaを超えてしまう。このため24号給湯器であっても20号相当(20L/分)の給湯に達せず、お湯を身体全身に浴びせてシャワー浴を楽しむという大流量給湯器の特徴が生かされないという問題がある。
このような問題を解消するため、自動温度調節機構を用いない混合栓に関する技術が提案されている(例えば特許文献2)。この技術は、ミキシングバルブから自動温度調節機構を廃し、湯と水の混合を手動で行うことにより圧損を低減し、十分なシャワー流量を確保可能とするものである。
一方、大流量シャワーヘッドに関しては、浴室の天井付近に固定して使うリング状のシャワーヘッドが公知である(例えば特許文献3)。
特開平5−157350号公報 特開2000−64377号公報 特開2003−111683号公報
しかし、特許文献2の混合水栓においても、給湯器を経由しない水を選択できるようにするため、お湯をシャワー側とカラン側に切り替える機能を備えているため、この部分における圧力損失を免れないという問題がある。
また、特許文献3のリング状シャワーヘッドについても同様に、浴室側に設けられた温調ハンドル(ミキシングバルブ)を操作することによって湯・水の混合比を調節する機構であるため、二重の圧力損失が発生する問題がある。
本発明はこのような問題を解決するためのものであって、湯温安定機構付給湯器の特性を生かして、圧損なく大流量シャワー利用が可能なシャワーシステム及びその運転方法を提供するものである。
本発明は、以下の内容を要旨とする。すなわち、
1の発明は、湯温安定機構を備えた給湯熱源機と、混合水栓を介することなく、専用給湯配管を介して給湯熱源機と直結するシャワーヘッドと、を備えて成ることを特徴とするシャワーシステムである。
本発明において「湯温安定機構」とは、一般に電子制御により出湯温度特性を改良した瞬間式給湯器の湯温制御機構をいうが、これに限らず、貯湯式給湯器において高温のお湯と冷水(水道水)を混合して、設定温度のお湯を供給する機構等も含む概念である。
上記発明において、シャワーヘッドは、長手方向が平均的成人男性の肩幅の長さを備え、かつ、浴室天井部に2列に設けることができる(の発明)。
さらに、専用給湯配管から分岐する排水用配管と、シャワー給湯時に、専用給湯配管内の滞留水温度に基づいて、滞留水を排水用配管を介してパージする手段と、を、さらに備えることができる(の発明)。
さらに、ミストサウナ装置と、給湯熱源機はミストサウナ装置に供給するための暖房温水循環回路と、をさらに備え、かつ、排水用配管は、ミストサウナ装置の排水手段を利用するように構成することができる(の発明)。
5の発明は、上記シャワーシステムにおいて、給湯温度が下限温度以下のときは、前記排水用配管を介して前記専用給湯配管内の滞留水をパージすることを特徴とするシャワーシステムの運転方法である。
この場合、給湯温度が上限温度以上のときは、排水用配管を介して前記専用給湯配管内の高温水をパージすることができる(の発明)。
本発明によれば、サーモミキシングバルブを介在させないため、従来のシャワーシステムと比較して、同一水圧において2割程度の流量アップが可能となる。
また、本発明のシャワーヘッドによれば、天井から広範囲に多量のお湯を散水することができ、身体全体をお湯で包むことができる。また、お湯が身体を伝わり落ちる際の伝熱効果もあいまって、シャワー浴であっても身体を十分に暖めることができる。さらに、身体を暖めることにより血行促進を図ることができ、シャワー水圧が皮膚に与える刺激も相俟って肩こりを緩和する効果がある。
シャワーヘッドをミストサウナ装置に組み込む発明においては、従来のサウナ浴に加えて給湯接続を生かしたシャワー浴が可能となる。さらに、ミストサウナ装置の排水機構を利用して、シャワー給湯低温時に専用配管内低温のお湯をパージすることができるため、浴室側に温度調節機構を持つことなく、シャワーヘッドから冷水が出てしまうことを防止できるという効果がある。
以下、本発明に係るシャワーシステムの実施形態について、図1乃至4を参照してさらに詳細に説明する。なお、重複を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
図1は、本発明の一実施形態に係るシャワーシステム1の構成を示す図である。
図2は、ミストサウナ装置2の詳細構成を示す図である。
図3はミストサウナ装置2の天井取り付け状態を示す図である。
図4は、天井シャワーの利用形態を示す図である。
図5は、シャワーシステム1の天井シャワー運転制御フローを示す図である。
図6は、立ち上がり時における給湯配管のパージを示す図である。
図7は、通常運転時におけるミスト水の経路を示す図である。
図8は、急速立ち上げ時におけるミスト水の経路を示す図である。
図1を参照して、シャワーシステム1は浴室5の天井部5aに設置されるシャワー機能を備えたミストサウナ装置2と、ミストサウナ装置2にシャワー給湯及び風呂暖房用循環温水を供給するコージェネレーション・システム10と、を主要構成として備えている。
ミストサウナ装置2は、下部ユニット3及び上部ユニット4により構成されている。下部ユニット3は、2個のシャワーヘッド8a、8bと、4個のミストノズル3c、3dと、暖房用熱交換器3aと、循環ファン3bと、を備えている。上部ユニット4は、ミスト温水加熱用の熱交換器4aを備えている。
コージェネレーション・システム10は、給湯暖房ユニット10aと発電ユニット10bにより構成されている。発電ユニット10bはガスエンジンを動力源とし、発電に伴う排熱を回収して給湯暖房ユニット10aに送る。また、給湯暖房ユニット10aは内部に貯湯タンク(図示せず)を格納し、回収した排熱を高温のお湯として蓄えるように構成されている。貯湯タンク内の高温のお湯は、混合比例弁(図示せず)により水道水と混合され、設定温度のお湯として給湯配管7aを経由してミストサウナ装置2に供給される。
図2をも参照して、シャワーシステム1の給水系統は、水道配管6aから分岐した給水配管6bから弁V3→熱交換器4a→配管6c→弁V5→弁V6を経由し、装置カバー3d近傍に設けられた4個のミストノズル3c、3dにより構成されている。4個のミストノズルのうち、両端の2個のノズル3cは急速立ち上げ用ノズルであり、中央の2個のノズル3cは通常ミスト用メインノズルである。配管6c経路中の分岐P6にはパージ用排水用配管6dが設けられている。
次に、給湯系統は給湯配管7aと、その経路中に設けられた弁V1、V2と、弁V2下流側のP5で分岐した配管の端末に設けられた大流量シャワーヘッド8a、8bにより構成されている。給湯配管7aの弁V1下流側には、湯温検知用の温度センサS1が配設されている。給湯配管7aのP4と給水配管6bのP9間には連絡配管7cが設けられており、後述するようにシャワー利用時に給湯配管7aのお湯が低温のときに、連絡配管7c→排水用配管6dを経由して低温水をパージできるように構成されている。
図3をも参照して、シャワーヘッド8a、8bは、中空長方体形状で表面に多数の散水孔が設けられており、長さは成人男性の肩幅と同等以上(例えば500mm)であり、かつ、後述するように散水角度を任意に回動できるように構成されている。
なお、浴室内には天井部のシャワーヘッド8a、8bの他に、混合水栓とハンドシャワーを備えたシャワー装置及び給水・給湯配管を浴室内に備えているが、図示を省略してある。
次に浴室暖房系統は、下部ユニット3内の循環ファン3bと、熱交換器3aと、温水配管H1、H2を主要構成として備えている。そして、循環ファン3bにより浴室内空気を吸込み口3eから吸い込んで、熱交換器3aで給湯暖房ユニット10aから供給される暖房循環温水と熱交換し、温風として吹出し口3fから浴室内に吹き出すように構成されている。
次にミスト加熱回路は、温水配管H1からP1で分岐する温水配管H3、熱交換器4a及び温水配管H2とP2で合流する温水配管H4により構成され、給水配管6bを介して供給される冷水は、熱交換器4aにおいて暖房循環温水と熱交換して加熱され、ミストとしてミストノズル3c、3dから噴霧される。
さらにシャワーシステム1の制御系統は、給湯暖房ユニット10a内の制御部(図示せず)、浴室内リモコン10c、センサS1及び各装置のアクチュエータ(図示せず)及びこれらを結ぶ信号線を主要構成として備えている。これにより、天井シャワー又はミストサウナ使用時に、リモコン4bを操作して装置の発停又は温度設定を可能に構成されている。
次に、図4を参照して、本システムにおける天井シャワーの利用形態について説明する。図4(a)及び(b)はシャワーヘッドの角度を内側に向けて、利用者が真下に立った状態を示している。この場合、両シャワーヘッドの間隔L1を成人男性の肩幅と同等に、及びシャワーヘッド長さL2を成人男性の側面幅より大きく設定してあるため、全身シャワーが可能となる。さらに、ミストサウナ装置の配置位置の関係で利用者がシャワーの真下に立てない場合であっても、同図(c)に示すようにシャワーヘッドを外側に回動させることにより、全身シャワーが可能となる。
次に、図2、5、6をも参照して、シャワーシステム1の天井シャワー運転制御フローについて説明する。初期状態で弁V1乃至V4は閉弁状態である(S101)。利用者がリモコン4bのスイッチをON(予め給湯温度42℃に設定されているものとする)にすることにより(S102)、給湯暖房ユニット10aの給湯運転開始及び弁V1開となる(S103)。これにより給湯暖房ユニット10aが運転開始し、設定温度のお湯が給湯配管7aを経由して弁V2上流まで供給される。ここで温度センサS1の検知温度T1が所定の下限温度(例えば設定温度−2℃)以上か否かが判定される(S104)。下限温度未満の場合は、入浴者が冷水を浴びてしまうことを防止するために弁V4が開となり(S109)、配管内の低温水は図6の太線の経路で外部にパージされる。
下限温度以上のときは(S104においてYES)、次いで上限温度(例えば45℃)以下か否かが判定される(S105)。このステップは不測の事態で高温のお湯がシャワーヘッドから吐出されないための安全機構である。上限温度を超えているときは異常と判断して、弁V4が開となり(S110)、配管内の高温水は排水用配管6dから外部にパージされる。その後、給湯運転を停止し、全ての弁を閉止する(S108)。
S105において上限温度以下のときは弁V2を開とし、また弁V4が開状態のときは閉弁する(S106)。これによりシャワーヘッド8a、8bから42℃のお湯が散水されることになる(図2の太線経路)。その後、シャワーSWがOFFになったときは(S107)、給湯運転を停止し、さらに全ての弁を閉止し(S108)、本制御を終了する。
さらに、シャワーシステム1のミスト運転制御について説明する。図7を参照して、運転開始に先立って配管6c内の滞留水を排水用配管6dから排水する。次に、循環ファン3bと熱交換器3aにより浴室内に温風を吹き出しながら、給水配管6bを介して装置に供給される1L/分程度の水を熱交換器4aで加熱して温水とし、ミストノズル3dから噴霧する(このとき、弁V1・V3開、弁V2・V4閉であり、太線はミスト水の経路を示す)。
また、図8を参照して、寒冷期等にサウナを急速立ち上げしようとするときには、給湯暖房ユニット10aから加熱済みのお湯をミストノズル3cから噴霧する(このとき、弁V1閉、弁V2・V3・V4開となる。太線はミスト水の経路を示す)。循環ファン3bと熱交換器3aに室内に温風を吹き出す点は通常時と同様である。
なお、本実施形態ではガスエンジンによるコージェネレーション・システムによる例を示したが、電力によるヒートポンプを熱源とするシステムを用いることも可能である。
さらに、湯温安定機構を備えた給湯器を用いることも可能である。
また、暖房回路について温水を用いる形態としたが、電力を用いる形態とすることも可能である。
本発明の効果を確認するために、被験者に天井シャワーと従来型のハンドシャワーを使用してシャワー浴を行ってもらい、シャワー浴前後における温冷感の変化と、肩こり感の変化について申告してもらい、その結果を比較した。
<温冷感の変化>
(概要)
被験者7名(20代〜60代の男性)に1日目に天井シャワーを浴びてもらい、入浴前、入浴直後、入浴20分後の3回に分けて、その時点における温冷感を7段階で自己申告してもらった。後日、従来型のハンドシャワーについて同様の試験を行った。
(試験条件)
試験条件は下表の通りである。
Figure 0004965320
(結果及び評価)
図9に天井シャワー(左側)及び従来シャワー(右側)の温冷感スコアを示す。天井シャワーでは、入浴前の温冷感に対して、入浴直後および入浴20分後の温冷感が、有意に向上している(p<0.1)。一方、従来のハンドシャワーについては有意差なしと判断される。
<肩こり感の変化>
(概要)
次に、日頃、肩がこっているとの自覚がある被験者10名(20代〜40代の男女)に、1日目に天井シャワーを浴びてもらい、入浴前、入浴直後、入浴20分後の3回に分けて、「あなたは肩がこっていると思いますか?」の質問に答えてもらった。後日、従来型のハンドシャワーを浴びてもらい、同様の質問を行って比較した。
(試験条件)
実施例1と同一の条件による。
(結果及び評価)
図10に天井シャワー(左側)及び従来シャワー(右側)の肩こり感スコアを示す。天井シャワーでは、入浴前の肩こり感に対して、入浴直後および入浴20分後の肩こり感が有意に低下した(p<0.05)。一方、従来のハンドシャワーでは、入浴前に対して、入浴直後および入浴20分後の肩こり感が低下する傾向はあるものの、有意差なしと判断される。
以上の2つの被験者試験の結果から天井シャワーの有効性が証明された。
本発明は、熱源を問わず浴室等の天井に設置するシャワーシステムに広く利用できる。
本発明の一実施形態に係るシャワーシステム1を示す図である。 ミストサウナ装置2の詳細構成を示す図である。 ミストサウナ装置2の天井取り付け状態を示す図である。 天井シャワーの利用形態を示す図である。 シャワーシステム1の天井シャワー運転制御フローを示す図である。 立ち上がり時における給湯配管のパージを示す図である。 通常運転時におけるミスト水の経路を示す図である。 急速立ち上げ時におけるミスト水の経路を示す図である。 シャワー入浴使用前後の温冷感の変化に関する被験者試験の結果を示す図である。 シャワー入浴使用前後の肩こり感の変化に関する被験者試験の結果を示す図である。 サーモミキシングバルブ有無による圧力損失の比較を示す図である。
符号の説明
1・・・・シャワーシステム
2・・・・ミストサウナ装置
3a、4a・・・・熱交換器
3b・・・・循環ファン
3c、3d・・・・ミストノズル
4b・・・・リモコン
6a・・・・水道配管
6b・・・・給水配管
6d・・・・排水用配管
7a・・・・給湯配管
8a、8b・・・・シャワーヘッド
10・・・・コージェネレーション・システム
10a・・・・給湯暖房ユニット
10b・・・・発電ユニット
10c・・・・浴室内リモコン
H1〜H4・・・・温水配管
S1・・・・温度センサ
V1〜V6・・・・開閉弁

Claims (3)

  1. 湯温安定機構を備えた給湯熱源機と、
    混合水栓を介することなく、専用給湯配管を介して給湯熱源機と直結するシャワーヘッドと、
    前記専用給湯配管から分岐する排水用配管と、
    シャワー給湯時に、該専用給湯配管内の滞留水温度に基づいて、滞留水を排水用配管を介してパージする手段と、
    ミストサウナ装置と、
    を備えて成り、
    給湯熱源機はミストサウナ装置に供給するための暖房温水循環回路備え、
    排水用配管は、ミストサウナ装置の排水手段を利用するように構成し
    該シャワーヘッドは、長手方向が平均的成人男性の肩幅の長さを備え、かつ、浴室天井部に2列に設けてなる、
    ことを特徴とするシャワーシステム。
  2. 給湯温度が下限温度以下のときは、前記排水用配管を介して前記専用給湯配管内の滞留水をパージするように構成したことを特徴とする請求項1に記載のシャワーシステム
  3. 請求項2において、さらに、
    給湯温度が上限温度以上のときは、前記排水用配管を介して前記専用給湯配管内の高温水をパージするように構成したことを特徴とするシャワーシステム
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