JP4960377B2 - 楽器用バルブ機構及び楽器用バルブ機構を備えた金管楽器 - Google Patents

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Description

本発明は、広い音域で音階調整が容易な楽器用バルブ機構及び楽器用バルブ機構を備えた金管楽器に関するものである。
金管楽器の中で、音階調整用バルブ機構(バルブ装置)は、楽器の長さや倍音の次数を問わず、音階の調整に必要な共鳴管をピストンホールを介して瞬時に連通できる利点があるため、共鳴管の入出力部として実用に共されている。ここで、「倍音」とは、トランペットのような金管楽器はアパチュア(息の束の大きさ)、息の抵抗感(圧力)、発音器官各部筋肉の緊張感(支え)の変化によって音の高低をコントロールするが、それらのコントロールによって、同じフィンガリングで出る音のことをいう。換言するなら、普通に吹いたときに「ソ(G)」の音が出るときに、同じ指使い(運指)で強く吹いたときに、1又は2以上高いオクターブの同じ「ソ(G)」の音を出すことができるが、この高い音のことを「倍音」というのである。金管楽器用バルブ機構は、バルブケーシングと呼ばれる柱状空洞部の側壁に各1本の共鳴管が連結された3バルブシステム(3本のバルブが直列連通されている)等、比較的少数の共鳴管とバルブを組み合わせて、管路全体の長さを調節し音の高さを変化させる音階調整を行うものが一般的である。このシステムでは、第1バルブ(トランペットの場合、マウスピースに最も近いバルブ)を操作すると全音分(1音分)だけ共鳴管1本が連通し、第2バルブを操作すると半音分の共鳴管1本が連通し、第3バルブを操作すると全音半分(1音半分)の共鳴管1本が連通される。各共鳴管の連通は、各共鳴管の分だけ管路を遠回りさせることによって管路全長が長くなって長くなった分だけ音が低くなる。そこで、上記した1音分、半音分及び1音半分の組み合わせることによって、バルブがないとしたら出すことのできない音が出せるようになっている。たとえば、トランペットのバルブがないとしたら、基本音列(倍音列ではない基本の音列)ではド(C)の次はソ(G)となり、レ(D)ミ(E)ファ(F)の音が出せないが、これら出せない音を出せるようにするのが、上記バルブの組み合わせ操作なのである。他方、バルブを設けたとしても、そのバルブ操作によって常に正しい音が出せるわけではない。上記した1音分、半音分、1音半分の長さは、全長に対する比率によって定まるため、たとえば、第1バルブを単独で操作して1音下げるときの1音分の長さと、第2バルブ及び第1バルブを同時に操作して1音半(半音+1音)下げるときの1音分の長さが異なっている。すなわち、第1バルブから見れば、その単独操作に比べて、第2バルブ同時操作による遠回り分だけ全長が長くなり、1音分の長さ比率が変わってしまう。これが、バルブだけでは正しい音程を出すことができない理由である。このような全長の違いによる音程のズレは、抜き差し管や演奏者の唇を用いて修正されるようになっている。
複数のバルブを同時に操作(たとえば、上記した第1バルブと第2バルブとを同時操作)した場合の音程修正については、楽器演奏中の唇による音程の下方修正が比較的容易であることや純正律と平均律との差をも考慮して、共鳴管をわずかに短く設計することで余裕を持たせてあったが、第2バルブと第3バルブを同時に操作した場合に必要とされる音程補正が比較的小さいため、第3バルブの共鳴管を適当な長さに設定して、楽器演奏中の唇による音程の下方修正を行うのみで実用上充分であった。
しかし、比較的高次数の倍音を発音する高音域においては、隣り合う2つの倍音の間隔が狭いため発音の確実性が低下し、楽器演奏中に唇による音程の下方修正を行うのも容易ではない。従って、倍音の間隔を充分に確保できる音域ごとに、全長が比較的短い楽器に持ち換えることで、高音域における発音の確実性を得る必要があった。このように、倍音間隔が広い比較的低次数の倍音域を用いて音階調整の自由度を得られるのは、楽器1種類につき高音域または低音域の一方だけに限定されるという欠点があった。
音楽全般にわたり任意の楽曲を演奏する用途において、この欠点は演奏の自由度に関して大きな障害である。具体的には、倍音間隔が比較的狭い音域における複雑な音階調整の際に一部の音が欠けたり、高音域の音階調整の際に不必要な音をも発音したり、あるいは、低音域の不足によって楽曲の演奏に必要な音が発音できないなどの問題があった。
この改善策として、4バルブシステムを使用し、第4バルブにより迂回管を連結させることで最低音域をさらに2音半下まで拡張する方法がある。図20はこの方法によるバルブ装置と共鳴管の連結経路を示すための管路図である。図20で、23は第1バルブ、24は第2バルブ、25は第3バルブ、26は第4バルブ、3はマウスピース、5はベル、23v,24v,25vはU字共鳴管、7は主管、9は迂回管である。しかしながらこの方法でも、楽器本体である主管の倍音間隔は変わらないため比較的高次数の倍音域における音階調整の確実性が向上することはなく、最低音域で複数のバルブを同時に操作する際にも大きな音程修正が必要である。コンペンセイティングシステムと呼ばれる自動音程補正機構(補正ピッチ方式)を備えたユーフォニウムやセミダブルホルン(図21)のように、音域を2音半下げる第4バルブの迂回管路を第1、第2、第3バルブの各補正管と連通させて、第1、第2、第3バルブに連結された各共鳴管の全長を迂回管路の全長に合わせて自動調節する方法(特許文献1参照)では、共鳴管の連結される開口対の間隔程度の長さの補正管を確保する必要があるため、ピッコロトランペットのように短い共鳴管を持ち補正管が極端に短くなる楽器には適用できない。また第4バルブを操作すると、C管、B♭管といった楽器本来の基本的調性が変化するため、フィンガリング(運指)を移調させる必要がある。図21はこの方法による管路図であって、図20に示す符号のうち図1及び2に示す符合と同じものは、同じ部材を示す。また、33v,34v,35vは補正管である。特許文献1において提案された自動音程補正機構は、そのような極端に短い長さの補正管を実現するための方法であるが、第1乃至第2バルブと第3乃至第4バルブとを同時に操作したときの音程補正を二者択一的な組み合わせに限り実現するものであるため、第3、第4バルブ各々に音程補正機構を備えるためには別々の迂回管路を設けて各迂回管路を第1乃至第2バルブと連通させることが必要である。一方、フルダブルホルンやフルトリプルホルンのように、異なる長さの共鳴管1組乃至2組を独立に連結させた第1、第2、第3バルブを使用し、第4バルブ等で調性の異なる迂回管路に切換える方法もあるが、楽器の重量がさらに大きくなり運指法も煩雑になる。図22はこの方法による管路図であって、図20に示す符号のうち図1及び2に示す符合と同じものは、同じ部材を示す。また、33v,34v,35vは共鳴管である。図23は、後述する本実施形態に係るピッコロトランペットの管路図である。図1及び2に示す符号と同じ符号を図23に示してある。比較のために添付した。
米国特許第5052261号公報
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、調性の異なる迂回管や特別な運指法あるいは補正管を用いず、高音域においても比較的低次数の倍音が利用でき、広い音域にわたり音階調整の自由度と確実性を向上できる楽器用バルブ機構及び楽器用バルブ機構を備えた金管楽器を提供することを目的とする。その詳しい内容については、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たって行う用語の定義等は、その記載順に関わらず、可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用があるものとする。
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る楽器用バルブ機構(以下、適宜「請求項1のバルブ機構」という)は、マウスピースとベルとの間に挿入する楽器用バルブ機構である。請求項1のバルブ機構は、マウスピースとベルとを直接連通する主管と、当該主管の途中に挿入した1個の切替バルブと、当該切替バルブのみの操作によって、操作前に直接連通していた当該主管を途中迂回により間接連通させる迂回管と、当該主管の途中に、当該切替バルブよりもマウスピース側又はベル側に直列連通挿入した主バルブ群と、当該迂回管の途中に直列連通挿入した当該主バルブ群と同数の副バルブ群と、当該主バルブ群と同数の連動機構群と、を含めて構成してある。ここで、当該主バルブ群を構成する各主バルブと、当該副バルブ群を構成する各副バルブと、当該連動機構群を構成する各連動機構と、を互いに対応させてあり、当該各主バルブを操作することによって、当該対応する連動機構を介して当該対応する副バルブを連動操作可能に構成してあり、当該迂回管が、間接連通させたときに、主管のみによって出す音よりも1オクターブ低い音を直接連通の状態で行う運指と同じ運指で出せる長さに設定してある。なお、各主バルブと各副バルブを対応させる各連動機構は、当該対応する各主バルブと各副バルブを一体形成させた場合をも含めて、当該連動機構群として定義されたものとする。
請求項1のバルブ機構によれば、マウスピースとベルとの間に挿入し、その操作をすることによって楽器の音階調整をすることができる。切替バルブを操作していないときの主バルブ群は、主管のみと直接連通し、その操作によって、主管のみによって出る音階の調整ができる。ここで、1個ある切替バルブのみを操作すると、主管の全長が間接連通による迂回管の分だけ長くなる。迂回管の長さを上記のように設定してあるから、切替バルブの操作によって1オクターブ分低い音を出せるようになる。間接連通の状態で主バルブ各々を操作すると、その操作によって副バルブ各々が連動機構各々を介して連動操作される。つまり、主バルブ各々の操作によって、それに対応する副バルブ各々の操作を併せて行うことができる。直接連通の状態で行うフィンガリング(運指)で出る音が、同じフィンガリングで間接連通の状態で行うことによって1オクターブ低い音になる。切替バルブを操作しないで出した音、たとえば、ド(C)が、そのままのフィンガリングで切替バルブを操作すると、1オクターブ低いド(C)の音になる。切替バルブの操作に関わらず、強く吹くことによって倍音を出すことができることは言うまでもない。請求項1のバルブ機構によれば、それを備えた楽器を用いて演奏する楽曲中の各旋律において、1個ある切替バルブを切り替えるだけで同じ調性のまま(C管、B♭管といった楽器の基本的調性は変化させずに)理想的な管長を選択して音階調整を行いながら、高音域においても比較的低次数の倍音を利用することができる。このため、従来の金管楽器の運指法および重量をほとんど変更することなく広い音域にわたり演奏の自由度と確実性を飛躍的に向上させることができるという利点がある。この利点は、比較的高い音を出す楽器(たとえば、ピッコロトランペット)において顕著である。なぜならば、ピッコロトランペットやトランペットにおいては、最も低い基音(第1倍音)の発音がユーフォニウムやホルンと比較して楽器の特性上困難であるため、上記コンペンセイティングシステムにより得られる低音域の範囲が当該第1倍音よりも上に限定されているからである。
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係る楽器用バルブ機構(以下、適宜「請求項2のバルブ機構」という)は、マウスピースとベルとの間に挿入する楽器用バルブ機構である。請求項2のバルブ機構は、マウスピースとベルとを直接連通する主管と、当該主管の途中に挿入した1個の切替バルブと、当該切替バルブのみの操作によって、操作前に直接連通していた当該主管を途中迂回により間接連通させる迂回管と、当該主管の途中に、当該切替バルブよりもマウスピース側又はベル側に直列連通挿入した主バルブ群と、当該迂回管の途中に直列連通挿入した当該主バルブ群と同数の副バルブ群と、当該主バルブ群と同数の連動機構群と、を含めて構成してある。ここで、当該主バルブ群を構成する各主バルブと、当該副バルブ群を構成する各副バルブと、当該動機構群を構成する各連動機構と、を互いに対応させてあり、当該各主バルブを操作することによって、当該対応する連動機構を介して当該対応する副バルブを連動操作可能に構成してあり、当該迂回管の音響学的長さが、当該主管の音響学的長さをLとしたときに、当該迂回管を介した間接連通によって略2Lとなるように設定してある。この設定により、直接連通の状態で行うフィンガリング(運指)で出る音が、同じフィンガリングで間接連通の状態(Lだった音響学的長さが略2L(略2倍)になった状態)で行うことによって1オクターブ低い音になる。
請求項2のバルブ機構によれば、マウスピースとベルとの間に挿入し、その操作をすることによって楽器の音程調整をすることができる。切替バルブを操作していないときの主バルブ群は、主管のみと直接連通し、その操作によって、主管のみによって出る音程の調整ができる。ここで、1個ある切替バルブのみを操作すると、主管の全長が間接連通による迂回管の分だけ長くなる。迂回管の長さを上記のように設定してあるから、切替バルブの操作によって1オクターブ分低い音を出せるようになる。間接連通の状態で主バルブ各々を操作すると、その操作によって副バルブ各々が連動機構各々を介して連動操作される。つまり、主バルブ各々の操作によって、それに対応する副バルブ各々の操作を併せて行うことができる。直接連通の状態で行うフィンガリング(運指)で出る音が、同じフィンガリングで間接連通の状態(Lだった音響学的長さが略2L(略2倍)になった状態)で行うことによって1オクターブ低い音になる。切替バルブを操作しないで出した音、たとえば、ド(C)が、そのままのフィンガリングで切替バルブを操作すると、1オクターブ低いド(C)の音になる。切替バルブの操作に関わらず、強く吹くことによって倍音を出すことができることは言うまでもない。請求項2のバルブ機構によれば、それを備えた楽器を用いて演奏する楽曲中の各旋律において、切替バルブを切り替えるだけで同じ調性のまま(C管、B♭管といった楽器の基本的調性は変化させずに)理想的な管長を選択して音階調整を行いながら、高音域においても比較的低次数の倍音を利用することができる。このため、従来の金管楽器の運指法および重量をほとんど変更することなく広い音域にわたり演奏の自由度と確実性を飛躍的に向上させることができるという利点がある。この利点は、比較的高い音を出す楽器(たとえば、ピッコロトランペット)において顕著である。なぜならば、ピッコロトランペットやトランペットにおいては、最も低い基音(第1倍音)の発音がユーフォニウムやホルンと比較して楽器の特性上困難であるため、上記コンペンセイティングシステムにより得られる低音域の範囲が当該第1倍音よりも上に限定されているからである。
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係る楽器用バルブ機構(以下、適宜「請求項3のバルブ機構」という)には、請求項1又は2のバルブ機構の基本的構成を備えさせた上で、前記主バルブ各々と前記副バルブ各々とが、互いに構造を略同一に構成してある。
請求項3のバルブ機構によれば、シンプルな構造によって1オクターブ低い音を出すことができる。すなわち、切替バルブの切り替えによって1オクターブ低い音を出すためには、主管の管長を音響学的に2倍にする必要があるが、対応する主バルブ各々と副バルブ各々との音響学的構造を略同じにしておけば、複雑な構造を採用しなくてもその必要を満たすことができる。
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明に係る楽器用バルブ機構(以下、適宜「請求項4のバルブ機構」という)には、請求項3のバルブ機構の基本的構成を備えさせた上で、前記主バルブ各々が、側壁に囲まれた柱状空洞部を有する主バルブケーシング各々と、当該主バルブケーシング各々内部に長さ方向摺動可能に封入したピストンホール付き主ピストン各々と、当該主バルブケーシング各々外部に設けた当該柱状空洞部と両端連通する互いに長さの異なる主U字共鳴管各々と、を備え、前記副バルブ各々が、側壁に囲まれた柱状空洞部を有する副バルブケーシング各々と、当該副バルブケーシング各々内部に長さ方向摺動可能に封入したピストンホール付き副ピストン各々と、当該副バルブケーシング各々外部に設けた当該柱状空洞部と両端連通する互いに長さの異なる副U字共鳴管各々と、当該主バルブケーシング各々及び/又は当該副バルブケーシング各々内に配した付勢部材(たとえば、コイルバネ)各々と、を備え、当該副U字共鳴管各々の音響学的長さが、対応する当該主U字共鳴管各々の音響学的長さと略同じに設定してある。付勢部材各々は、主バルブケーシング各々と副バルブケーシング各々の何れか一方又は双方の内部に配してある。
請求項4のバルブ機構によれば、請求項3のバルブ機構の作用効果を、効果的に発揮させることができる。バルブ各々の操作は主ピストン各々及び副ピストン各々を、付勢部材の付勢力に抗しながら主バルブケーシング各々及び副バルブケーシング内で長さ方向に移動させる。移動によって、移動前は閉鎖されていた主U字共鳴管各々及び副U字共鳴管各々が連通される。連通によって、連通前に直接連通していた主管が主U字共鳴管各々及び副U字共鳴管を介した(遠回りした)連通(間接連通)し、これらによって、操作に係るバルブについて音程調整がなされる。バルブ操作各々を解除すると、解除に係る付勢部材各々が主ピストン各々及び副ピストン各々を元の位置に復帰させ、これによって、復帰に係る主U字共鳴管各々及び副U字共鳴管各々の連通が遮断される。主U字共鳴管各々と、これに対応する副U字共鳴管各々の音響学的長さを略同じに設定してあるから、主バルブとこれに対応する副バルブの連動によって、主管において下がる音程と迂回管において下がる音程とが、音響学的に略同じとなる。この結果、切替バルブの切替によって、主管単独の長さに比べた、主管及び主U字共鳴管と迂回管及び副U字共鳴管とを合わせた長さが音響学的に略2倍となり、これによって主管単独の場合に対して迂回管併用によって1オクターブ低い音程を確実に出すことができる。
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明に係る楽器用バルブ機構(以下、適宜「請求項5のバルブ機構」という)には、請求項1乃至4何れかのバルブ機構の基本的構成を備えさせた上で、前記主U字共鳴管各々のうち少なくとも1個と前記副U字共鳴管各々のうち少なくとも1個とが、抜き差し管によって構成してある。
請求項5のバルブ機構によれば、請求項1乃至4何れかのバルブ機構の作用効果に加え、抜き差し管によって構成した主U字共鳴管各々及び副U字共鳴管各々は、その抜き差し調整によって主U字共鳴管及び対応する副U字共鳴管の長さを微調整することによって、音程の微調整を行うことができる。微調整を可能とすることによって、より確実な調性(主音を中心に他の音が秩序付けられ従属的な関係をもつこと)での演奏を可能とする。
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明に係る楽器用バルブ機構(以下、適宜「請求項6のバルブ機構」という)には、請求項1乃至3何れかのバルブ機構の基本的構成を備えさせた上で、前記主バルブ各々と前記副バルブ各々が、ロータリーバルブにより構成してある。
請求項6のバルブ機構によれば、請求項1乃至3何れかのバルブ機構の作用効果をロータリーバルブによって生じさせることができる。柱状空洞部内部においてその円周方向にロータを回転させる方式のロータリーバルブを、主管及び迂回管の双方に挿入することによって好適な状態で上記作用効果を生じさせることができる。ロータリーバルブ以外のバルブ(たとえば、前掲したピストンバルブ)を排除する趣旨ではなく本発明の目的を達成可能なバルブであれば、その形式を問うものではないが、一般にロータリーバルブを用いることによって弦楽器や他の管楽器と響き合うやわらかい音が出せるといわれている。華やかで、他の楽器の上から聞こえるような目立つ音が出るといわれるピストンバルブと対照的である。好みに合わせて、ロータリーバルブ、ピストンバルブ、さらにこれら以外のバルブを選択するとよい。
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明に係る金管楽器(以下、適宜「請求項7の金管楽器」という)は、請求項1乃至6何れかのバルブ機構を有するものである。トランペットやホルンが、金管楽器の代表例である。
請求項7の金管楽器によれば、請求項1乃至6何れかのバルブ機構の作用効果を発揮した演奏、すなわち、切替バルブの操作によって1オクターブ低い音を出すことができる。
(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の発明に係る金管楽器(以下、適宜「請求項8の金管楽器」という)では、請求項7の金管楽器を前提としてトランペットを、金管楽器とした。
請求項8の金楽器によれば、請求項1乃至6何れかのバルブ機構の作用効果をトランペットにて実現することができる。金管楽器をトランペットに限定する趣旨ではないが、ピストンバルブやロータリーバルブを採用したトランペットが広く普及しているので、そのようなトランペットに本発明を適用すれば広く普及を図ることができる。
(請求項9記載の発明の特徴)
請求項9記載の発明に係る楽器用バルブ機構(以下、適宜「請求項9のバルブ機構」という)は、マウスピースからベルに向かって順に挿入された各々ボトムスクリュー付の、第1乃至第4ピストンバルブと、当該第4ピストンバルブが備える抜き差し共鳴管と、を含む金管楽器(典型例として、ピッコロトランペットがある)に着脱可能なバルブ機構である。請求項9のバルブ機構は、一端と他端とを有する迂回管と、当該迂回管の途中に直列連通挿入した第1乃至第3副ピストンバルブと、当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々の内部に配した3個の連動機構と、を含めて構成してある。当該迂回管の一端及び他端は、取り外した抜き差し共鳴管の代わりに第4ピストンバルブに差し込み固定可能に構成してあり、当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々は、取り外したボトムスクリュー各々の代わりに当該第1乃至第3ピストンバルブ各々にスクリュー固定可能に構成してある。当該第1乃至第3副ピストンバルブのピストン上端各々と当該第1乃至第3ピストンバルブのピストン下端各々とを当該3個の連動機構各々により連結するとともに当該主バルブケーシング各々及び/又は当該副バルブケーシング各々内に付勢部材各々を配することによって、当該第1乃至第3ピストンバルブ各々の操作で当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々を連動操作可能に構成してある。ここで、当該迂回管が、当該第4ピストンバルブの操作によって、操作前に直接連通していた当該主管を途中迂回により間接連通させたときに、主管のみによって出す音よりも1オクターブ低い音を出せる長さに設定してある。
請求項9のバルブ機構によれば、たとえば、ピッコロトランペットのような既存の金管楽器に取り付けることによって、その金管楽器によって1オクターブ低い音が出せるようになる。ここで、ピッコロトランペットを例にとって説明する。ピッコロトランペットは、第1乃至4ピストンバルブを備え、第1乃至3ピストンバルブそれぞれが1音、半音、1音半下げるための共鳴管又は抜き差し管を必要に応じて備え、第4ピストンバルブは2音半下げるための抜き差し管を備えている。さらに、各ピストンバルブは、その底部にボトムスクリューを備えている。第1乃至3ピストンバルブのボトムスクリューを取り外し、その代わりに第1乃至第3の副ピストンバルブをスクリュー固定する。第4ピストンバルブのボトムスクリューは、取り外す必要がない。固定に先駆けて、第1乃至3副ピストンバルブ各々の上端と第1乃至3主ピストンバルブ各々の下端とを連動機構で両者連動可能に連結するとともに、付勢部材各々を内部に配する。付勢部材は金管楽器の構造に合わせて、主ピストンバルブ各々又は副ピストンバルブ各々の内部のみ、又は、双方の内部に配するとよい。付勢部材は、金管楽器内にもともと配されてものを、可能であれば流用してもよいし、配されていたものとは別の付勢部材を用いてもよい。第4ピストンバルブは、2音半下げるための抜き差し共鳴管を備えているが、この抜き差し共鳴管を引き抜いて、その代わりに迂回管の一端と他端を差し込み固定する。本来の第4ピストンバルブは、その操作によって抜き差し管を介した連通を行うためのものであるが、迂回管に差し替えることによって、迂回管を介した連通を行うことができる。迂回管を介した連通(間接連通)によってピッコロトランペットの音をオクターブ低くすることができる。運指は、第4ピストンバルブの操作を除いて、ピッコロトランペット単独の場合と同じである。ピッコロトランペットを含む金管楽器の「ソ(G)」は、「ド(C)」の倍音を利用して出す音である。請求項9のバルブ機構を備えたピッコロトランペットは、1オクターブ下げることができることは上述のとおりであるが、その1オクターブ下げた音そのものに加え、下げた音の倍音をも出すことができるようになる。すなわち、直接連通時の主管の音(音高)が第2倍音の「ド(2点c)」であるとするなら、第4ピストンバルブの操作により発音可能な音は、1オクターブ下の「ド(1点c)」、2音半下の「ソ(1点g)」、同じ高さの「ド(2点c)」、2音上の「ミ(2点e)」、3音半上の「ソ(2点g)」等となる。ここで、上記括弧内の記載は音の高さの区別を含んだ音名の表記である。ここで、請求項9のバルブ機構を取り付けていない従来のピッコロトランペットを考える。従来のピッコロトランペットは第4ピストンバルブの操作によって「ソ(1点g)」の音を出すことができる。この従来のピッコロトランペットに請求項9のバルブ機構を取り付けると、上記第4ピストンバルブの機能を失うことになり「ソ(1点g)」の音が出せなくなるようにも見える。しかし、上述したように、1オクターブ下げた「ド(1点c)」が出せるなら、その倍音の1つである「ソ(1点g)」を出すことができるから、第4ピストンバルブの機能を失わせることにならないのである。つまり、従来のピッコロトランペットが出すことのできる音をカバーした上で、それらの音に対し1オクターブ低い音をも出すことができるようになる。当該倍音を利用する限り、請求項9のバルブ機構の有無に関わらず同じ運指法を用いることができる。このように、請求項9のバルブ機構によれば、ピッコロトランペットのような既存の金管楽器を、ほぼ既存機能を保たせたまま1オクターブ低い音を出せる楽器に改良することができる。また、特別な接続方法を採用していないから、バルブ機構を簡単に取り外すことができ、これによって、既存の金管楽器に戻すこともできる。なお、上記作用効果は、他の請求項に係るバルブ機構及び金管楽器についても同じである。
(請求項10記載の発明の特徴)
請求項10記載の発明に係る楽器用バルブ機構(以下、適宜「請求項10のバルブ機構」という)は、マウスピースからベルに向かって順に挿入された各々ボトムスクリュー付の、第1乃至第4ピストンバルブと、当該第4ピストンバルブが備える抜き差し共鳴管と、を含む金管楽器(典型例として、ピッコロトランペットがある)に着脱可能なバルブ機構である。請求項10のバルブ機構は、一端と他端とを有する迂回管と、当該迂回管の途中に直列連通挿入した第1乃至第3副ピストンバルブと、当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々の内部に配した3個の連動機構と、を含めて構成してある。当該迂回管の一端及び他端は、取り外した抜き差し共鳴管の代わりに第4ピストンバルブに差し込み固定可能に構成してある。当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々を、取り外したボトムスクリュー各々の代わりに当該第1乃至第3ピストンバルブ各々にスクリュー固定可能に構成してある。当該第1乃至第3副ピストンバルブのピストン上端各々と当該第1乃至第3ピストンバルブのピストン下端各々とを当該3個の連動機構各々により連結するとともに当該主バルブケーシング各々及び/又は当該副バルブケーシング各々内に付勢部材各々を配することによって、当該第1乃至第3ピストンバルブ各々の操作で当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々を連動操作可能に構成してある。ここで、当該迂回管の音響学的長さが、当該主管の音響学的長さをLとしたときに、当該第4ピストンバルブの操作によって操作前に直接連通していた当該主管を途中迂回により間接連通させたことによって略2Lとなるように設定してある。
請求項10のバルブ機構によれば、たとえば、ピッコロトランペットのような既存の金管楽器に取り付けることによって、その金管楽器によって1オクターブ低い音が出せるようになる。ここで、ピッコロトランペットを例にとって説明する。ピッコロトランペットは、第1乃至4ピストンバルブを備え、第1乃至3ピストンバルブそれぞれが1音、半音、1音半下げるための共鳴管又は抜き差し管を必要に応じて備え、第4ピストンバルブは2音半下げるための抜き差し管を備えている。さらに、各ピストンバルブは、その底部にボトムスクリューを備えている。第1乃至3ピストンバルブのボトムスクリューを取り外し、その代わりに第1乃至第3の副ピストンバルブをスクリュー固定する。第4ピストンバルブのボトムスクリューは、取り外す必要がない。固定に先駆けて、第1乃至3副ピストンバルブ各々の上端と第1乃至3主ピストンバルブ各々の下端とを連動機構で両者連動可能に連結するとともに、付勢部材各々を内部に配する。付勢部材は金管楽器の構造に合わせて、主ピストンバルブ各々又は副ピストンバルブ各々の内部のみ、又は、双方の内部に配するとよい。付勢部材は、金管楽器内にもともと配されてものを、可能であれば流用してもよいし、配されていたものとは別の付勢部材を用いてもよい。第4ピストンバルブは、2音半下げるための抜き差し共鳴管を備えているが、この抜き差し共鳴管を引き抜いて、その代わりに迂回管の一端と他端を差し込み固定する。本来の第4ピストンバルブは、その操作によって抜き差し管を介した連通を行うためのものであるが、迂回管に差し替えることによって、迂回管を介した連通を行うことができる。迂回管を介した連通(間接連通)によって直接連通のときLだった管長が略2Lとなるからピッコロトランペットの音をオクターブ低くすることができる。運指は、第4ピストンバルブの操作を除いて、ピッコロトランペット単独の場合と同じである。ピッコロトランペットを含む金管楽器の「ソ(G)」は、「ド(C)」の倍音を利用して出す音である。請求項10のバルブ機構を備えたピッコロトランペットは、1オクターブ下げることができることは上述のとおりであるが、その1オクターブ下げた音そのものに加え、下げた音の倍音をも出すことができるようになる。すなわち、直接連通時の主管の音(音高)が第2倍音の「ド(2点c)」であるとするなら、第4ピストンバルブの操作により発音可能な音は、1オクターブ下の「ド(1点c)」、2音半下の「ソ(1点g)」、同じ高さの「ド(2点c)」、2音上の「ミ(2点e)」、3音半上の「ソ(2点g)」等となる。ここで、上記括弧内の記載は音の高さの区別を含んだ音名の表記である。ここで、請求項10のバルブ機構を取り付けていない従来のピッコロトランペットを考える。従来のピッコロトランペットは第4ピストンバルブの操作によって「ソ(1点g)」の音を出すことができる。この従来のピッコロトランペットに請求項10のバルブ機構を取り付けると、上記第4ピストンバルブの機能を失うことになり「ソ(1点g)」の音が出せなくなるようにも見える。しかし、上述したように、1オクターブ下げた「ド(1点c)」が出せるなら、その倍音の1つである「ソ(1点g)」を出すことができるから、第4ピストンバルブの機能を失わせることにならないのである。つまり、従来のピッコロトランペットが出すことのできる音をカバーした上で、それらの音に対し1オクターブ低い音をも出すことができるようになる。当該倍音を利用する限り、請求項10のバルブ機構の有無に関わらず同じ運指法を用いることができる。このように、請求項10のバルブ機構によれば、ピッコロトランペットのような既存の金管楽器を、ほぼ既存機能を保たせたまま1オクターブ低い音を出せる楽器に改良することができる。また、特別な接続方法を採用していないから、バルブ機構を簡単に取り外すことができ、これによって、既存の金管楽器に戻すこともできる。なお、上記作用効果は、他の請求項に係るバルブ機構及び金管楽器についても同じである。
(請求項11記載の発明の特徴)
請求項11記載の発明に係る金管楽器(以下、適宜「請求項11の金管楽器」という)は、請求項9又は10のバルブ機構を有するものである。トランペットやホルンが、金管楽器の代表例である。
請求項11の金管楽器によれば、請求項9又は10のバルブ機構の作用効果を発揮した演奏、すなわち、切替バルブの操作によって1オクターブ低い音を出すことができる。
(請求項12記載の発明の特徴)
請求項12記載の発明に係る金管楽器(以下、適宜「請求項12の金管楽器」という)では、請求項11の金管楽器を前提としてトランペットを、金管楽器とした。
請求項12の金管楽器によれば、請求項11のバルブ機構の作用効果をトランペットにて実現することができる。金管楽器をトランペットに限定する趣旨ではないが、ピストンバルブやロータリーバルブを採用したトランペットが広く普及しているので、そのようなトランペットに本発明を適用すれば広く普及を図ることができる。
本発明によれば、演奏される楽曲中の各旋律において同じ調性のまま瞬時に理想的な管長を選択して音階調整を行いながら、高音域においても比較的低次数の倍音を利用できるため、従来の金管楽器の運指法および重量をほとんど変更することなく広い音域にわたり演奏の自由度と確実性を飛躍的に向上させることができるという利点がある。
本実施形態に係るピッコロトランペットの正面図である。 本実施形態に係るピッコロトランペットの背面図である。 本実施形態に係るピッコロトランペットの平面図である。 第3バルブのバルブケーシング管路の縦断面図である。 図4に示す第3バルブの変形例を示す縦断面図である。 既存のピッコロトランペットの正面図である。 既存のピッコロトランペットにバルブ機構を取り付ける様子を示す正面図で ある。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 ピッコロトランペットの作用を示す図である。 従来技術を示す管路図である。 従来技術を示す管路図である。 従来技術を示す管路図である。 本実施形態に係る金管楽器の管路である。
各図を参照しながら、本発明の実施をするための最良の形態(以下、適宜「本実施形態」という)について説明する。図1は、本実施形態に係るピッコロトランペットの正面図であり、図2は、同じく背面図であり、図3は、同じく平面図である。図4は、第3バルブのバルブケーシング管路の縦断面図である。図5は、図4に示す第3バルブの変形例を示す縦断面図である。図6は、既存のピッコロトランペットの正面図である。図7は、既存のピッコロトランペットにバルブ機構を取り付ける様子を示す正面図である。図8〜19は、ピッコロトランペットの作用を示す図である。図20〜22は、従来技術を示す管路図である。図23は、本実施形態に係る金管楽器の管路である。
(バルブ機構と金管楽器)
図1〜5に基づいて。本実施形態に係る楽器用バルブ機構(以下、単に「バルブ機構」という)及びバルブ機構を備えた金管楽器について説明する。本実施形態では、金楽器の典型例であるピッコロトランペット(以下、適宜「トランペット」という)を取り上げて説明を行う。さらに、特に断らない限り、本明細書では「ピストンバルブ」のことを、特に断らない限り、単に「バルブ」と呼ぶ。
(トランペットの概略構造)
図1〜5に示すように、トランペット1は、マウスピース3とベル5との間に挿入したバルブ機構15と、を備えている。バルブ機構15は、マウスピース3とベル5とを直接連通する主管7と、主管7の途中に挿入した第4バルブ26(切替バルブ26)1個と、第4バルブ26の操作によって、操作前に直接連通していた主管7を途中迂回により間接連通させる迂回管9と、主管7の途中に、第4バルブ26よりもマウスピース3側(ベル5側でもよい)に直列連通挿入した主バルブ群21と、迂回管9の途中に直列連通挿入した主バルブ群21と同数の副バルブ群31と、主バルブ群21(副バルブ群31)と同数の連動機構群41と、を含めて構成してある。主バルブ群21を構成する各主バルブ(第1主バルブ23、第2主バルブ24、第3主バルブ25)と、副バルブ群31を構成する各副バルブ(第1副バルブ33、第2副バルブ34、第3副バルブ35)と、連動機構群を構成する各連動機構41,・・(図4及び5参照)と、を互いに対応させてある。図1及び2が示すように、迂回管9は、第4バルブ26と第1副バルブ33とを連通するL字状の第1迂回部分管9aと、第3副バルブ35と第4バルブ26とを連通するU字状の第2迂回部分管9bと、各副バルブ間を連通する枝管9c,9cを含めて構成してある。ここで、第1主バルブ23、第2主バルブ24、第3主バルブ25の何れか1又は2以上を操作することによって、その操作された主バルブに対応する(主バルブ内に配された)連動機構41を介して対応する副バルブ(第1副バルブ33、第2副バルブ34、第3副バルブ35)を連動操作可能に構成してある。さらに、迂回管9が、間接連通させたときに、主管7のみによって出す音よりも1オクターブ低い音を出せる長さ(主管7の音響学的長さをLとしたときに、間接連通による主管7と第4バルブ26を介した迂回管9との合計長さが略2Lとなる長さ)設定してある。本実施形態における連動機構41は、ユニバーサルジョイント(自在継ぎ手)により構成してある。
(バルブ機構の構造)
引き続き、図1から5を参照する。主バルブ群21を構成する第1主バルブ23、第2主バルブ24、第3主バルブ25は、互いに略同じ構造を備えているので、ここでは、第3主バルブ25を中心に説明する。第3主バルブ25は、側壁25aに囲まれた柱状空洞部25bを有する主バルブケーシング25gと、主バルブケーシング25g内部に長さ方向摺動可能に封入したピストンホール25h付き主ピストン25cと、主バルブケーシング25g外部に設けた柱状空洞部25bと両端連通する主U字共鳴管25vと、を備えている。主U字共鳴管25vは、操作によって1音半下がる長さに設定してある。第3主バルブ25が、第1主バルブ23、第2主バルブ24と構造的に異なるのは、主U字共鳴管の長さのみである。第1主バルブ23の主U字共鳴管23vは1音下がる長さ、第2主バルブ24の主U字共鳴管24vは半音下がる長さ、にそれぞれ設定してある。
副バルブ群31を構成する第1副バルブ33、第2副バルブ34、第3副バルブ35は、互いに略同じ構造を備えているので、ここでは、第3主バルブ25と対応させた第3副バルブ35を中心に説明する。第3主バルブ25の側壁25aと一体に構成した側壁35aに囲まれた柱状空洞部35b(柱状空洞部25bと連通している)を有する副バルブケーシング35gと、副バルブケーシング35g内部に長さ方向摺動可能に封入したピストンホール35h付き副ピストン35cと、副バルブケーシング35g外部に設けた柱状空洞部35bと両端連通する副U字共鳴管35vと、さらに、副バルブケーシング35g底部に配されたコイルバネ(付勢部材)45と、を備えている。副U字共鳴管35vは、主バルブ25の操作によって連動操作されることによって1音半下がる長さに設定してある。第3副バルブ35が、第1副バルブ33、第2副バルブ34と構造的に異なるのは、副U字共鳴管の長さのみである。第1副バルブ33の副U字共鳴管33vは1音下がる長さ、第2副バルブ34の副U字共鳴管34vは半音下がる長さ、にそれぞれ設定してある。副U字共鳴管各々の音響学的長さが、対応する当該主U字共鳴管各々の音響学的長さと略同じに設定してある。つまり、主U字共鳴管23vは副U字共鳴管33vと、主U字共鳴管24vは副U字共鳴管34vと、主U字共鳴管25vは副U字共鳴管35vと、それぞれ同じ長さ(音響学的に同じ長さ)になっている。上述した主及び副のU字共鳴管は、それぞれ対応する主及び副のバルブの操作によって連通され、操作解除によって閉鎖されるようになっている。なお、第3主バルブ25(第3副バルブ35)に設けた主U字共鳴管25v(副U字共鳴管35v)は、これを抜き差し管によって構成してある。長さ調整を可能とすることによって音程の修正を行えるようにするためである。同じ理由から、上記以外の主及び副U字共鳴管も併せて抜き差し管によって構成することもよい。
各連動機構41は、第1主バルブ23(第2主バルブ24、第3主バルブ25)の操作を対応する第1副バルブ33(第2副バルブ34、第3副バルブ35)に伝達して連動させる役割を持ち、各コイルバネ45は操作によって押し下げられた主ピストン23c(主ピストン24c、主ピストン25c)及びこれらに連動して押し下げられた副ピストン33c(副ピストン34c、副ピストン35c)を元の位置(操作前の位置)に弾性復帰させる役割を持っている。なお、本実施形態におけるコイルバネ45は、副バルブケーシング33,34,35の内部に配してあるが、これと共に主バルブケーシング23,24,25の内部にも配してもよいし、これの代わりに主バルブケーシング23,24,25の内部のみに配してもよい。第1主バルブ23(第1副バルブ33)と第2主バルブ24(第2副バルブ34)との間、第2主バルブ24(第2副バルブ34)と第3主バルブ25(第3副バルブ35)との間、第3主バルブ25(第3副バルブ35)と第4バルブ(切替バルブ)26との間は、それぞれ主管7の一部を構成する枝管7a,・・(迂回管9の一部を構成する9a,・・)によって連通可能に連結してある。本発明の主体はバルブ機構15とU字共鳴管を連結する組み合わせ方法にあるので、各バルブの作用説明は省略する。なお、図5に示す第3主バルブ25(第3副バルブ35)は、図4に示す第3主バルブ25(第3副バルブ35)の変形例であって、後者では別体であった主ピストン25cと副ピストン35cを前者では一体化した点、及び、後者では主バルブケーシング25a内部にもコイルバネ(付勢部材)45´を配した点のみ異がなっている。図5における符号41´が連動機構として図4における連動機構41に該当する。その他については両者共通であるから、共通の部材については図4で用いた符号をそのまま図5で用いた。
(トランペットの製造)
図6及び7を参照しながら、トランペット製造の1態様について説明する。本実施形態に係るトランペット1は、前述した構成を備え、それらの構成を組み合わせることによって製造することができる。一方、既存のトランペットを改良することによって製造することもできる。改良に好都合のトランペットは、ピッコロトランペットである。ピッコロトランペットは、第1乃至3バルブとともに第4バルブを備え、この第4バルブを主管の直接連通と迂回管を介した間接連通との切替に流用可能だからである。したがって、既存のピッコロトランペットが存在する場合、次に述べるバルブ機構を購入することにより入手して、その入手したバルブ機構を既存のピッコロトランペットに取り付けることにより、既存の音とともに、既存の音より1オクターブ低い音をも出すことのできるピッコロトランペットに改良することができる。項を改めて、具体的に説明する。
図6及び7において、マウスピース3からベル5に向かって順に挿入されたボトムスクリュー23s,24s,25s、26s付の、第1〜4バルブ(改良後、主バルブ1〜4となる)23,24,25,26と、少なくとも第4バルブ26が備える抜き差し共鳴管9´と、を含む金管楽器、すなわち、典型例として、ピッコロトランペットが存在することを前提とする。このピッコロトランペット1にバルブ機構15を着脱する。バルブ機構15は、一端9a−1と他端9b−1とを有する迂回管9と、迂回管9の途中に直列連通挿入した第1〜3副バルブ33,34,35と、第1〜3副バルブ33,34,35の内部に配した3個の連動機構(図7では図示を省略、図4参照)と、を含めて構成してある。迂回管の一端9a−1及び他端9b−1は、取り外した抜き差し共鳴管(U字共鳴管25v)の代わりに第4バルブ26の差し込み口26−1,23−1に差し込み固定可能に構成してある。迂回管9の途中への第1〜3副バルブ33,34,35の挿入は、一端9a−1を一端に持つ第1迂回部分管9aの他端9a−2を第1副バルブ33の差し込み口33−2に差し込み固定するとともに、他端9b−1を一端に持つ第2迂回部分管9bの他端9b−2を第3副バルブ35の差し込み口35−2に差し込み固定することによって行う。
ここで、ボトムスクリュー23s,24s,25s3個を取り外し、主バルブケーシング23a,24a,25a内にあるピストン(図6及び7で省略、図4参照)の下端と、副バルブケーシング33a,34a,35a内にあるピストン(図6及び7で省略、図4参照)の上端とを連動機構(図6及び7で省略、図4参照)によって連結する。副バルブケーシング33a,34a,35a各々の上端には、主バルブケーシング23a,24a,25aのボトムスクリュー23s,24s,25sを取り外したネジ跡と噛み合わせてスクリュー固定できるネジを形成してあり、このスクリュー固定によって両者を一体化させることができる。副バルブケーシング33a,34a,35aの底部には、付勢部材(図6及び7で省略、図4参照)を配してある。底部以外の1箇所又は2箇所以上に付勢部材を設けるようにしてもよい。以上により、第1〜3バルブ23,24,25各々の操作で第1〜3副バルブ33,34,35を各々連動操作可能な状態になる。さらに、迂回管9が、第4バルブ26の操作によって、操作前に直接連通していた主管7を途中迂回により間接連通させたときに、主管7のみによって出す音よりも1オクターブ低い音を出せる長さに設定してあることは言うまでもない。このように既存のピッコロトランペットに本発明に係るバルブ機構15を取り付けることによって、そのピッコロトランペットの本来の音とともに、その音よりも1オクターブ低い音が出せるようになる。このように、本実施形態によれば、任意の音域または可能な限り広い音域にわたり音階調整の自由度と確実性を向上させるという目的を、最小の部品数量で、運指の実用性と楽器の持ちやすさを損なわずに実現することができる。項を改めてより詳しく説明する。
すなわち、ピッコロトランペット1の第4バルブ26は、本来、その操作によって抜き差し管9´(図6参照)を介した連通を行うためのものであるが、迂回管9に差し替えることによって、迂回管9を介した連通を行うことになる。迂回管9を介した連通(間接連通)によって直接連通のときLだった管長が略2Lとなるからピッコロトランペット1の音をオクターブ低くすることができる。図8に示すピッコロトランペット1は、何れのバルブも操作していない状態(主管7が直接連通の状態)を示す。色濃く表示した部分が連通する部分であって、矢印は息の通過方向を示す(以下、同じ)。図9は、第4バルブ26のみ操作した状態を示す。迂回路9を介した間接連通の様子を示す。運指は、第4バルブ26の操作を除いて、ピッコロトランペット単独の場合と同じである。ピッコロトランペッ1の「ソ(G)」は、「ド(C)」の倍音を利用して出す音である。バルブ機構15を備えたピッコロトランペット1は、1オクターブ下げることができることは前述のとおりであるが、その1オクターブ下げた音そのものに加え、下げた音の倍音をも出すことができるようになる。すなわち、直接連通時の主管の音(音高)が第2倍音の「ド(2点c)」であるとするなら(図8参照)、第4ピストンバルブの操作により発音可能な音は、1オクターブ下の「ド(1点c)」、2音半下の「ソ(1点g)」、同じ高さの「ド(2点c)」、2音上の「ミ(2点e)」、3音半上の「ソ(2点g)」等となる(図9参照)。バルブ機構15を取り付けていない従来のピッコロトランペット1(図6参照)は第4バルブ26の操作によって「ソ(1点g)」の音を出すことができる。この従来のピッコロトランペット1にバルブ機構15を取り付けると、第4バルブ26の機能を失うことになり「ソ(1点g)」の音が出せなくなるようにも見える。しかし、前述したように、1オクターブ下げた「ド(1点c)」が出せるなら、その倍音の1つである「ソ(1点g)」を出すことができるから、第4バルブ26の機能を失わせることにならないのである。つまり、従来のピッコロトランペット1が出すことのできる音をカバーした上で、それらの音に対し1オクターブ低い音をも出すことができるようになる。当該倍音を利用する限り、バルブ機構15の有無に関わらず同じ運指法を用いることができる。ちなみに、図10〜12に示すように第1主バルブ23(第1副バルブ33)のみを操作したときは「ファ(F)」とその倍音を、第1主バルブ23(第1副バルブ33)とともに、図13〜15第4バルブ26を操作したときには、それらの1オクターブ低い音とそれらの倍音を出すことができる。図16に示すように第2主バルブ24(第2副バルブ34)のみを操作したときは「シ(B)」とその倍音を、これととともに第4バルブ26を操作したとき(図17参照)には、それらの1オクターブ低い音とそれらの倍音を出すことができる。上記以外の運指についても同じことが言える。
(本実施形態の第1変形例)
図18を参照しながら、本実施形態の第1変形例について説明する。第1変形例に係るトランペット1Aが、図1及び2に係るトランペット1と異なるのは、部材の並び順であるから、図18で使用する符号は、図1及び2で使用する符号と同じである。トランペット1Aのマウスピース3は、第4バルブ26に連通され、第4バルブ26から第3主バルブ25、第2主バルブ24及び第1主バルブの順で連通され、第1主バルブ23にベル5が連通している。迂回管9は、第3副バルブ35と第4バルブ26を連通する第1迂回部分管9bと、第4バルブ26と第1副バルブ33とを連通する第2迂回部分管9aと、を含めて構成してある。
同じ長さのU字共鳴管23vとU字共鳴管33vが連結された第1主バルブ23を操作すると全音分だけ主管7が延長され、同じ長さのU字共鳴管24vとU字共鳴管34vが連結された第2主バルブ24を操作すると半音分だけ主管7が延長され、同じ長さのU字共鳴管25vとU字共鳴管35vが連結された第3主バルブ25を操作すると全音半分だけ主管7が延長される。このように第1〜第3主バルブ23〜25を操作した場合はU字共鳴管33v,34v,35vが迂回管9に連通しており、第4バルブ26の操作によって主管7を迂回管9に連通(間接連通)させると主管7およびU字共鳴管23v,24v,25vの長さが略2倍になる。また、第4バルブ26の操作によって迂回管9を主管7から遮断する逆の方式も同様に実現可能である。
一般に金管楽器の倍音の各音程は、管の長さを2倍にすると1オクターブ下がることが音響学的にすでにわかっている。従って、もとの短い主管の音程が第2倍音のド(2点c)であれば、バルブ4の操作により発音可能な音程は、1オクターブ下のド(1点c)、2音半下のソ(1点g)、同じ高さのド(2点c)、2音上のミ(2点e)、3音半上のソ(2点g)等となる。ここで、括弧内は音の高さの区別を含んだ音名の表記である。
このようなバルブ装置と共鳴管の実装形態を採用したので、複数のバルブを同時に操作した場合の音程補正については、従来の金管楽器と同様に楽器演奏中の唇による音程の下方修正を行うのみで実用上充分であり、運指法や楽器の重量をほとんど変更することなく、比較的低次数の倍音域から確実に音を発音できる。また、演奏者は第4バルブ4の操作により1オクターブだけ音域が異なる2種類の楽器を常時選択でき、演奏中における楽器の切換え、即興的効果の創出が容易になる。さらに、長い主管に切換えた場合でも高次数の倍音を発音することができ、短い主管による同じ音域の音と比較あるいは瞬時に交換できるので、発音可能な音色の種類を増やす効果がある。
(本実施形態の第2変形例)
図19に基づいて、本実施形態の第2変形例について説明する。ピッコロトランペット1´が、先に説明したピッコロトランペット1と異なるのは、ピッコロトランペット1のバルブ機構15は主として2段重ねのピストンバルブによって構成したのに対し、ピッコロトランペット1´のバルブ機構21´は、主として2段重ねのロータリーバルブによって構成した点である。以下、この点を中心に説明する。符号23´は第1重ねロータリーバルブ、符号24´は第2重ねロータリーバルブ、符号25´は第3重ねロータリーバルブ、そして、符号26´は第4ロータリーバルブを示す。第4ロータリーバルブ26´は、単体バルブである。その他の部材については、図1及び2に示した部材と同じであるから、同じ部材については図19に図1及び2に示した符号と同じ符号を示すに留め、それらの部材についての説明は省略する。各ロータリーバルブは第1〜4ロータリーバルブ23´,24´,25´,26´の柱状空洞部内で円周方向に回転するロータを有するバルブ装置を意味するが、本発明の主体はバルブとU字共鳴管を連結する組み合わせ方法にあるので、ロータリーバルブ装置内部の説明は省略する。
同じ長さのU字共鳴管23vとU字共鳴管33vとが連結された第1ロータリーバルブ23´を操作すると全音分だけ主管7が延長され、同じ長さのU字共鳴管24vとU字共鳴管34vが連結された第2ロータリーバルブ24´を操作すると半音分だけ主管7が延長され、同じ長さのU字共鳴管25vとU字共鳴管35vが連結された第3ロータリーバルブ25´を操作すると全音半分だけ主管7が延長される。このように第1〜第3ロータリーバルブ23´,24´,25´,26´を操作した場合はU字共鳴管33v,34v,35vが迂回管9に連通しており、第4ロータリーバルブ26´の操作によって主管7を迂回管9に連通させると主管7及びU字共鳴管33v,34v,35vの音響学的長さが略2倍になる。また、第4ロータリーバルブ26´の操作によって迂回管9を主管7から遮断する逆の方式も同様に実現可能である。
同じ長さの共鳴管と迂回管路を連結させて同じ調性のまま容易に管路の選択ができ、主管の長さを瞬時に切換えるバルブ装置を取付けることによって、広い音域にわたり比較的低次数の倍音による音階調整を行えることが必要かつ運指法や重量をほとんど変更しないことが不可欠な金管楽器に好適である。
1 金管楽器(トランペット、ピッコロトランペット)
3 マウスピース
5 ベル
7 主管
9 迂回管
15 バルブ機構
21 主バルブ
23 第1主バルブ
23´ 第1重ねロータリーバルブ
24 第2主バルブ
24´ 第2重ねロータリーバルブ
25 第3主バルブ
25´ 第3重ねロータリーバルブ
26 第4バルブ(切替バルブ)
26´ 第4ロータリーバルブ(第4バルブ、切替バルブ)
23v,24v,25v、26v U字共鳴管
31 副バルブ機構
33 第1副バルブ
34 第2副バルブ
35 第3副バルブ
33v,34v,35v、36v U字共鳴管
41 連動機構
45 コイルバネ(付勢部材)

Claims (12)

  1. マウスピースとベルとの間に挿入する楽器用バルブ機構であって、
    マウスピースとベルとを直接連通する主管と、
    当該主管の途中に挿入した1個の切替バルブと、
    当該切替バルブのみの操作によって、操作前に直接連通していた当該主管を途中迂回により間接連通させる迂回管と、
    当該主管の途中に、当該切替バルブよりもマウスピース側又はベル側に直列連通挿入した主バルブ群と、
    当該迂回管の途中に直列連通挿入した当該主バルブ群と同数の副バルブ群と、
    当該主バルブ群と同数の連動機構群と、を含めて構成してあり、
    当該主バルブ群を構成する各主バルブと、当該副バルブ群を構成する各副バルブと、当該連動機構群を構成する各連動機構と、を互いに対応させてあり、
    当該各主バルブを操作することによって、当該対応する連動機構を介して当該対応する副バルブを連動操作可能に構成してあり、
    当該迂回管が、間接連通させたときに、主管のみによって出す音よりも1オクターブ低い音を直接連通の状態で行う運指と同じ運指で出せる長さに設定してある
    ことを特徴とする楽器用バルブ機構。
  2. マウスピースとベルとの間に挿入する楽器用バルブ機構であって、
    マウスピースとベルとを直接連通する主管と、
    当該主管の途中に挿入した1個の切替バルブと、
    当該切替バルブのみの操作によって、操作前に直接連通していた当該主管を途中迂回により間接連通させる迂回管と、
    当該主管の途中に、当該切替バルブよりもマウスピース側又はベル側に直列連通挿入した主バルブ群と、
    当該迂回管の途中に直列連通挿入した当該主バルブ群と同数の副バルブ群と、
    当該主バルブ群と同数の連動機構群と、を含めて構成してあり、
    当該主バルブ群を構成する各主バルブと、当該副バルブ群を構成する各副バルブと、当該連動機構群を構成する各連動機構と、を互いに対応させてあり、
    当該各主バルブを操作することによって、当該対応する連動機構を介して当該対応する副バルブを連動操作可能に構成してあり、
    当該迂回管の音響学的長さが、当該主管の音響学的長さをLとしたときに、当該迂回管を介した間接連通によって略2Lとなるように設定してあることにより、
    直接連通の状態で出る音が、間接連通の状態で直接連通の状態で行う運指と同じ運指を行うことにより1オクターブ低い音になるように構成してある
    ことを特徴とする楽器用バルブ機構。
  3. 前記主バルブ各々と前記副バルブ各々とが、互いに音響学的構造を略同一に構成してある
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の楽器用バルブ機構。
  4. 前記主バルブ各々が、側壁に囲まれた柱状空洞部を有する主バルブケーシング各々と、当該主バルブケーシング各々内部に長さ方向摺動可能に封入したピストンホール付き主ピストン各々と、当該主バルブケーシング各々外部に設けた当該柱状空洞部と両端連通する互いに長さの異なる主U字共鳴管各々と、を備え、
    前記副バルブ各々が、側壁に囲まれた柱状空洞部を有する副バルブケーシング各々と、当該副バルブケーシング各々内部に長さ方向摺動可能に封入したピストンホール付き副ピストン各々と、当該副バルブケーシング各々外部に設けた当該柱状空洞部と両端連通する互いに長さの異なる副U字共鳴管各々と、
    当該主バルブケーシング各々及び/又は当該副バルブケーシング各々内に配した付勢部材各々と、を備え、
    当該副U字共鳴管各々の音響学的長さが、対応する当該主U字共鳴管各々の音響学的長さと略同じに設定してある
    ことを特徴とする請求項3記載の楽器用バルブ機構。
  5. 前記主U字共鳴管各々のうち少なくとも1個と前記副U字共鳴管各々のうち少なくとも1個とが、抜き差し管によって構成してある
    ことを特徴とする請求項1乃至4何れか記載の楽器用バルブ機構。
  6. 前記主バルブ各々と前記副バルブ各々が、ロータリーバルブにより構成してある
    ことを特徴とする請求項1乃至3何れか記載の楽器用バルブ機構。
  7. 請求項1乃至6何れか記載の楽器用バルブ機構を有する
    ことを特徴とする金管楽器。
  8. トランペットである
    ことを特徴とする請求項7記載の金管楽器。
  9. マウスピースとベルとを直接連通する主管と、
    マウスピースからベルに向かって順に挿入された各々ボトムスクリュー付の、第1乃至第4ピストンバルブと、当該第4ピストンバルブが備える抜き差し共鳴管と、を含む金管楽器に着脱可能な楽器用バルブ機構であって、
    一端と他端とを有する迂回管と、当該迂回管の途中に直列連通挿入した第1乃至第3副ピストンバルブと、当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々の内部に配した3個の連動機構と、を含めて構成してあり、
    当該迂回管の一端及び他端を、取り外した抜き差し共鳴管の代わりに第4ピストンバルブに差し込み固定可能に構成してあり、
    当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々を、取り外したボトムスクリュー各々の代わりに当該第1乃至第3ピストンバルブ各々にスクリュー固定可能に構成してあり、
    当該第1乃至第3副ピストンバルブのピストン上端各々と当該第1乃至第3ピストンバルブのピストン下端各々とを当該3個の連動機構各々により連結するとともに当該ピストンバルブ各々の主バルブケーシング各々及び/又は当該副ピストンバルブ各々の副バルブケーシング各々内に付勢部材各々を配することによって、当該第1乃至第3ピストンバルブ各々の操作で当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々を連動操作可能に構成してあり、
    当該迂回管が、当該第4ピストンバルブの操作によって、操作前に直接連通していた当該主管を途中迂回により間接連通させたときに、主管のみによって出す音よりも1オクターブ低い音を出せる長さに設定してある
    ことを特徴とする金管楽器に着脱可能な楽器用バルブ機構。
  10. マウスピースとベルとを直接連通する主管と、
    マウスピースからベルに向かって順に挿入された各々ボトムスクリュー付の、第1乃至第4ピストンバルブと、当該第4ピストンバルブが備える抜き差し共鳴管と、を含む金管楽器に着脱可能な楽器用バルブ機構であって、
    一端と他端とを有する迂回管と、当該迂回管の途中に直列連通挿入した第1乃至第3副ピストンバルブと、当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々の内部に配した3個の連動機構と、を含めて構成してあり、
    当該迂回管の一端及び他端を、取り外した抜き差し共鳴管の代わりに第4ピストンバルブに差し込み固定可能に構成してあり、
    当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々を、取り外したボトムスクリュー各々の代わりに当該第1乃至第3ピストンバルブ各々にスクリュー固定可能に構成してあり、
    当該第1乃至第3副ピストンバルブのピストン上端各々と当該第1乃至第3ピストンバルブのピストン下端各々とを当該3個の連動機構各々により連結するとともに当該ピストンバルブ各々の主バルブケーシング各々及び/又は当該副ピストンバルブ各々の副バルブケーシング各々内に付勢部材各々を配することによって、当該第1乃至第3ピストンバルブ各々の操作で当該第1乃至第3副ピストンバルブ各々を連動操作可能に構成してあり、
    当該迂回管の音響学的長さが、当該主管の音響学的長さをLとしたときに、当該第4ピストンバルブの操作によって操作前に直接連通していた当該主管を途中迂回により間接連通させたことによって略2Lとなるように設定してある
    ことを特徴とする金管楽器に着脱可能な楽器用バルブ機構。
  11. 請求項9又は10記載のバルブ機構を備えた金管楽器。
  12. トランペットである
    ことを特徴とする請求項11記載の金管楽器。
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