JP4959345B2 - 脊椎用椎間関節インプラント - Google Patents

Description

本発明は、損傷した脊椎椎間関節、病気にかかった脊椎椎間関節、さもなければ痛みのある脊椎椎間関節を置き換えるためのインプラントに関する。

脊椎の外傷性疾患，炎症性疾患，代謝性疾患および変性疾患は、身体を衰弱させる痛みをもたらすことがあり、深刻な社会経済的影響および精神的な影響を有する可能性がある。今日最も一般的な外科的介入は、１つまたは複数の可動部分の関節固定術または脊椎固定術であり、合衆国においては、毎年約３０００００の処置が行われている。臨床的な成功は、技術および適応症によって著しく変わり、付随するリスクおよび合併症を十分に考慮する必要がある。例えば、Tsantrizos および Nibu は、脊椎固定術が屈曲，伸展，回転および横曲げにおける患者の関節可動域を制限することによって機能を低減させることを示している。さらに、Khoo および Nagata は、脊椎固定術が応力を増大させ、よって隣接する固定されていない可動部分の変性を促進することを示している。さらに、不完全なまたは効果的でない固定の結果生じる偽関節が、患者にとって望ましい痛みの軽減を減らすことになるか、または排除することさえある。最終的に、人工的なものであろうと生物学的なものであろうと、融合装置を融合部位から移動させることができる。

近年、人工円板を用いて脊椎の自然生体力学を再現する幾つかの試みがなされている。人工円板は椎体間の連結を提供し、２つの対向する椎体を直接連結する自然椎間円板の弾性特性が可能にする完全な関節可動域を再現するものである。

しかしながら、現在まで提案された人工円板は、脊柱の運動力学に十分に対処するものではない。椎間円板に加え、椎間関節と呼ばれる後要素が脊椎に作用する軸線荷重，ねじれ荷重および剪断荷重を支持するのを助ける。さらに、椎間関節は、摺動連結機能および荷重伝達機能の両方をもたらす可動連結関節である。脊椎関節突起切除術の結果、関節突起がなくなる影響が、屈曲，伸展，横曲げならびに回転の全ての運動面における脊柱の剛性を著しく減少させたことが Goh によって観察された。さらに、Lemaire によって言及されたように、人工円板についての禁忌には、関節炎の椎間関節，椎間関節の欠如，重症の椎間関節屈性または別の方法で変形した椎間関節が含まれる。

Fitz に付与された特許文献１は、下小関節面，接合する上小関節面またはこれらの両方の表面を持つ人工椎間関節を開示する。

Martin に付与された特許文献２は、椎骨の後弓に支持される脊椎の椎間関節人工器具を開示する。椎間関節における軟骨を置き換える下ブレードおよび/または上ブレードが、この支持構造体から延在する。Martin の人工器具は、全体的に、既存の骨構造体を保存するものであるので、病理学に対処するものではなく、関連した軟骨に影響を与えることに加えて、小関節面の骨に影響を与える。さらに、Martin の発明は、人工器具と、４つの小関節面全てと棘突起を支持する湾曲した骨の薄い基部である(板とも呼ばれる)後弓との間の接合条件を必要とする。後弓は、非常に複雑なものであり、非常に変化する解剖学的表面であるので、椎間関節に対して軟骨置換人工器具を正しく配置するように、再現可能に位置決めする人工器具を設計することが極めて困難である。

脊椎の小関節面に対する外科的介入の別の手法が、Villaret に付与された特許文献３に与えられる。Villaret は、脊椎の小関節面の置き換えを教示するが、この置き換えは、関節を動かなくするように連結されるというものである。

従って、椎骨小関節面を置換し、患者の不快感を最小にした状態で関節痛，外傷痛または他の病気を介した痛みを効果的に取り除きながら比較的高い関節可動度をもたらすインプラントを提供することが当該技術分野における改善点である。

米国特許第Ｒｅ．３６７５８号明細書 米国特許第６１３２４６４号明細書 国際公開第ＷＯ９８４８７１７Ａ１号パンフレット

従来技術の欠点を克服するために、本発明は、椎骨の小関節面の骨部分を置き換え、関節炎、外傷、または他の病気を介した痛みの原因を取り除くインプラントを提供する。人工円板の置き換えと合わせた椎間関節の置き換えは、病気または外傷のために損傷した完全な機能の運動区域を再現するための全体論的解決法を示す。椎間関節および円板を共に置き換えることにより、痛みの原因の全てを排除し、完全な機能および関節可動域を回復し、脊椎の自然生体力学を完全に復旧することができる。さらに、自然椎間円板が病気または外傷によって影響されない場合、円板を置き換えずに、変性または外傷性椎間関節を置き換えることもできる。

従って、特定の実施形態において、本発明は、軟骨および小関節面の骨の一部を置き換える、人工の椎骨小関節面をもたらすものである。

本発明は、従来技術に優る多数の利点をもたらすことができる。１つの利点は、人工器具の取り付けの品質が改善されるということである。本発明は、後弓または小関節面のような、非常に複雑で変化する椎骨の外面と接合する人工器具の表面に依存するのではなく、骨に精密に圧入することができる。別の利点は、任意の多孔質コーティングが内部の骨小腔内に配置され、そこで、優れた長期の固定強度のための骨成長が達成されたことである。この骨成長を達成する能力は、椎骨の骨外表面に係合する従来技術の装置には、不確かなものである。更に別の利点は、小関節面の骨構造の除去にあり、小関節面の骨が、小関節面の関節面または軟骨面を損傷する病気の病理学または外傷に関係する場合には、切除により、病気または外傷に関連した全ての痛みを取り除くことを保証するための手段が提供される。

本発明の上記および他の特徴および利点は、添付の図面と併せて読まれることになる以下の説明から明らかとなろう。

ここで図１を参照すると、椎間円板２が間に配置された上椎骨１および下椎骨３の斜視図が示されている。上椎骨１は、上小関節面４３，下小関節面６，後弓（または、板）３５および棘突起４６を有する。下椎骨３は、上小関節面７，下小関節面４４，後弓（または板）３６および棘突起４５を有する。脊椎１，３の各々は、一対の椎弓根１１も有する。

ここで側面図の図２を参照すると、図１に示した上椎骨１の左下小関節面６が切除され、下小関節面人工器具４が、上椎骨１に取り付けられている。同様に、下椎骨３の左下小関節面７が切除され、上小関節面人工器具５が、下椎骨３に取り付けられている。

図３は、図２に示した要素の背面図である。下小関節面人工器具４は、上椎骨１の対側性下小関節面６と比べて自然生体組織を再現することを理解すべきである。同様に、上小関節面人工器具５は、下椎骨３の対側性上小関節面７と比べて自然生体組織を再現することを理解すべきである。下小関節面人工器具４も上小関節面人工器具５も板３５の上には載っていない。

ここで図４を参照すると、下小関節面人工器具４が移植された上椎骨１の斜視図が与えられている。切除部分３１として示される上椎骨１の左側における骨切除により、下小関節面６と板３５との間の骨接合部において自然下小関節面６が除去されている。このように、関係する骨組織に骨切り術が施されると、変形性関節症の如き左下小関節面６の病気または外傷に関連したあらゆる骨の痛みが排除される。

図５は、下小関節面人工器具４の斜視図を示す。面８は、置き換えられた下小関節面６の自然関節面を再現する。支柱９は、下小関節面人工器具４を上椎骨１に取り付けるのに用い得る機構をもたらす。支柱９は、上椎骨１上の左椎弓根１１の内部骨小腔に移植され、さらなる安定性を与えるように、上椎骨１の椎体内に延在してもよく、または延在しなくてもよい。

図６は、移植された上小関節面人工器具５を有する下椎骨３の頭側の図を示している。切除面３２は、自然上小関節面７と板３６との間の骨接合部を示す。

図７は、上小関節面人工器具５の斜視図を示している。面３８は、置き換えられた上小関節面７の自然関節面を再現する。支柱３７が、上小関節面人工器具５を下椎骨３に取り付けるために使用可能な機構をもたらす。支柱３７は、下椎骨３上の左椎弓根１１（図６）の内部骨小腔内に移植され、さらなる安定性を与えるように、下椎骨３の椎体内に延在してもよく、または延在しなくてもよい。

図２および図３に示すように椎間関節全体を置き換えた場合、面８（図５）が、面３８（図７）に対して関節を形成し、上椎骨１，下椎骨３および椎間円板２から構成される脊椎の可動部分の自然生体力学を再現する。下小関節面人工器具４も上小関節面人工器具５もそれぞれ板３５または板３６の上には載っていない。

図８は、上椎骨１の板３５の内部骨小腔内に移植できる代替的な下小関節面人工器具１０の斜視図を示している。切除部分３１から内部骨小腔にアクセスすることができる。

図９は、板３５の内部骨小腔内に延在するフィン１３を具えた代替的な下小関節面人工器具１０の斜視図である。面１２は、置き換えられた小関節面の自然関節面を再現する。

支柱９（図５）の表面，支柱３７（図７）およびフィン１３（図９）は、骨成長を助長し、インプラントの長期固定を強化するために、多孔質のコーティングを有してもよく、または有していなくてもよい。さらに、こうした多孔質コーティングは、該多孔質コーティングへの骨の再生をさらに強化するために、骨誘導物質または骨伝導物質を含んでもよく、または含まなくてもよい。本出願において、「インプラント」とは、人間の脊椎に付加することができる何らかの自然または人工の製造されたまたは製造されていない装置または装置のグループを指す。インプラントは、１つまたは複数の人工器具，１つまたは複数の固定装置および/または他の部品を具えることができる。

ここで図１０を参照すると、椎間円板１５が間に配置された上椎骨１４および下椎骨１６の側面図が示されている。上椎骨１４の左下小関節面が切除され、下小関節面人工器具１８が、ねじファスナ１７を介して上椎骨１４に取り付けられている。同様に、下椎骨１６の左上小関節面が切除され、上小関節面人工器具１９がねじファスナ１７を介して下椎骨１６に取り付けられている。

図１１は、図１０の要素の頭側の図を示している。下小関節面人工器具１８は、上椎骨１４の対側性下小関節面２２と比べて自然生体組織を再現することを理解すべきである。同様に、上小関節面人工器具１９は、下椎骨１６の対側性上小関節面２１と比べて自然生体組織を再現することを理解すべきである。下小関節面人工器具１８も上小関節面人工器具１９も対応する椎骨１４または１６の板３５の上には載っていない。

ここで図１２を参照すると、移植された下小関節面人工器具１８を有する上椎骨１４の斜視図が与えられている。切除部分３４により、下小関節面と隣接する板との間の骨接合部において自然下小関節面が除去されている。このように、関係する骨組織に骨切り術が施されると、自然下小関節面２２の、変形性関節症のような病気または外傷と関連したあらゆる骨の痛みが排除される。

図１３は、下小関節面人工器具１８の斜視図を示している。面２３は、置き換えられた小関節面の自然関節面を再現する。フランジ２５が椎弓根１１（図１２）に接触し、下小関節面人工器具１８を上椎骨１４に取り付けるために、孔２４がねじファスナ１７を受ける。

図１４は、移植された上小関節面人工器具１９を有する下椎骨１６の頭側の図を示している。切除面３３は、自然上小関節面２１（図１１）と対応する板との間の骨接合部を示す。

図１５は、上小関節面人工器具１９の斜視図を示している。面２７は、置き換えられた小関節面の自然関節面を再現する。フランジ３９が椎弓根１１（図１４）に接触し、上小関節面人工器具１９を下椎骨１６に取り付けるように孔２６がねじファスナ１７を受ける。

図１６は、基質４２に取り付けた座面４１を有する代替的な上小関節面人工器具４０の斜視図である。座面４１は、超高分子量ポリエチレンの如き生体適合性ポリマー材料である。代替的に、座面をジルコニアまたはアルミナのようなセラミックとすることができる。基材は、チタン，コバルトおよび/または鉄の合金の如き生体適合性金属合金である。

座面４１は、上小関節面人工器具４０の残りの物とは別個に形成できるので、座面４１および残りの物は、必要に応じて組み立てることができる部品を形成する。異なる寸法の人工器具のキットが異なる厚さ，関節面の形状，材料の選択などを有することができる座面４１の如き多数の座面を具えることができる。こうしたキットは、所望の寸法を有する人工器具をもたらすため、部品の一部を幾つか選択し、相互に組み立てることができるように設計された他の異なる寸法の部品を具えることもできる。続いて人工器具のキットがより詳細に示され、かつ説明される。

図１７および図１８を参照すると、単一の完全な状態の椎骨１００が示されている。図１７は、椎骨１００の背面図である。図１８は、同じ椎骨１００の側面図である。図１〜図３に示した脊椎の部分に示される２つの椎骨１，３と同様に、椎骨１００は、この椎骨１００の背面図において上または上側にある左右下小関節面４３と、後椎骨１００の下または下側にある左右下小関節面６と、椎骨１００の後部から横方向に延在する左右横突起１０５と、左右椎弓根１１とを具えた後生体組織を有する。上小関節面４３の各々は、上関節面１４５を有する。椎骨１００の後部は、後弓（または、板）３５と、図１７の紙面から図１８の左まで板３５から後方に突出する棘突起４６とを有する。図１７においては、椎間関節の病気の結果生じた著しい組織の変性または再造形のない椎骨内に示されているので、上小関節面４３および下小関節面６の骨構造は完全な状態である。椎骨１００は、ほぼ構造的に健康なものであり、完全な状態の椎骨として図１７に示されるが、椎骨１００が罹患した椎骨である場合、椎骨は椎間関節の病気の兆候を示す。

従って、椎間関節の病気に関連した構造的病理学は、可視的なものである可能性が高い。例えば、図１７および図１８において、椎骨１００の左上小関節面４３および右小関節面４３は対称的である。しかしながら、一方だけ罹患した関節を有する椎骨１００の場合、罹患側の小関節面は、組織の変性または炎症の如き病気の病理学的兆候を示し、結果として２つの小関節面間に非対称的な構造比較をもたらす可能性がある。

また、より極端な場合、小関節面の病気は、小関節面の関節突起が腐食または炎症を起こした状態に進むことがあり、その結果、個々の患者の特定の椎間関節の病理学に特有な解剖学的形態がもたらされる。これは、図１７および図１８に示したものとは異なる異常な小関節面の形態を示すことがある。

さらに、小関節面の病気は、最終的に患者の生体力学を不能にするので、椎間関節が本質的に関節をなさず、かつ動かなくなる。この場合には、第１の椎骨の１つの上小関節面を第２の椎骨の１つの下小関節面に実質的に融合させることができる。罹患した小関節面の構造病理学は変化するので、外科医は、小関節面インプラントを固定するための最良の骨付着面または基礎が切除された骨面であることを判断する。

図１９および図２０を参照すると、これらは、右上小関節面４３の部分および右下小関節面６の部分が切除された後の図１７および図１８に示したものと同じ椎骨の背面図および側面図である。切除によって上小関節面４３の部分を除去することにより、上小関節面切除部分１１１がもたらされる。図１９および図２０に示した切除部分において、上切除部分１１１は、結果として生じる２つの面、すなわち第１の切除面１１２および第２の切除面１１３を有する。同様に、下小関節面の切除によって下小関節面切断面１２１がもたらされる。

骨用バー，やすり，リーマ，粉砕器，のこ，ラウンジャ，截骨刀の如き組織除去用工具（図示せず）または骨組織を切断し除去するように設計された類似の工具を用い、これらの切除面を生成することができる。図２２に示すように、外科医は、椎弓根１１または横突起１０５のような解剖学的境界を用いて骨付着面または基礎として働く上切除部分１１１をもたらし、組織除去用工具を位置合わせして最終的に上小関節面人工器具３００を支持するのに必要な小関節面の部分を除去する。図１９および図２０の両方において、左上小関節面４３を完全な状態で示しているが、右上小関節面４３の部分が切除され、第１の切除面１１２および隣接する第２の切除面１１３（図１９）がもたらされる。上切除部分１１１の形状は、組織除去用工具の構造によって変わる。図１９および図２０に示す実施形態において、第１の切除面１１２および第２の切除面１１３は、ほぼ直交平面上にある。しかしながら、切除面の幾何学形状は、患者の生体組織，罹患組織の病理学，外科医の技術および切除部分の準備に用いられる組織除去用工具の種類といった他の要因の関数である。一般に、第１の切除面１１２は、上小関節面人工器具３００（図２２）を支持するための基礎として働くように形成される。第２の切除面１１３または他の付加的な切除面が存在しても、存在しなくてもよい。

図１９および図２０はまた、下小関節面６の部分が組織除去用器具によって切除され、結果として下切除面１２１をもたらすことも示している。こうした切除は、切除が下小関節面６の組織に限定され、後弓（または板）３５の組織内に延在しないように行うことが好ましい。図１９および図２０において、左下小関節面６は完全な状態であり、一方、右下小関節面６の部分が切除され、右側に下切除面１２１がもたらされる。下切除面１２１を囲む骨は、組織除去工具によって内側の下小関節面人工器具４００（図２３）を支え、支持するように設計された形状に成形されるので、下小関節面人工器具４００が側面に取り付けられた場合、下小関節面人工器具４００が下切除面１２１に対して押し付けられ、下切除面１２１によって支持されるようになる。

代替的に、下小関節面６を切除し、下小関節面人工器具を下小関節面人工器具４００が下切除面１２１に係合しないような大きさおよび形状にすることができる。

図２１は、上小関節面人工器具３００（図２２）を受けるように、固定要素２００が上切除部分１１１を通して椎弓根１１の骨内に配置された椎骨１００の背面図である。椎骨の融合に関係した後の安定化のため、他の椎弓根ねじが椎弓根１１内に配置される方法と同様に、固定要素２００が位置合わせされ、椎弓根１１内に配置される。１つの方法において、（図２６および図２７にも示すような）固定要素２００の挿管路２１１内に自由に嵌まるような大きさに作られた直径を有する長い案内ワイヤ（図示せず）が第１の切除面１１２を通して椎弓根１１の骨内に配置される。長い案内ワイヤの位置合わせは、Ｘ線によって確認することができる。次に、固定要素２００が案内ワイヤに案内され、固定要素２００の基端方向支柱２３０上の駆動機構２１２（図２１）と係合された駆動装置（図示せず）によって、椎骨１００内に駆動される。固定要素２００は、連結機構２１３（例えばねじ山）が第１の切除面１１２のすぐ上に来るまで椎骨１００内に駆動される。最終的に、この連結形状構成２１３を用いて上小関節面人工器具３００を椎骨１００に固定する。

固定要素２００を椎弓根１１内に案内する第２の方法において、タップ，ドリル，ブローチまたはリーマの如きな骨準備用器具（図示せず）の挿管路内に自由に嵌まるような大きさに作られた直径を有する長い案内ワイヤ（図示せず）が、第１の切除面１１２を通して椎弓根１１の骨内に配置される。長い案内ワイヤの位置合わせは、Ｘ線によって確認することができる。次に、骨準備用器具が、案内ワイヤに案内され、椎弓根１１の骨の中に駆動され、固定要素２００のためのキャビティを準備する。次に、案内ワイヤおよび骨準備用器具を取り外し、固定要素２００の基端方向支柱２３０上の駆動機構２１２と係合するドライバ（図示せず）によって、固定要素２００が椎弓根１１内の準備されたキャビティ内に案内される。第１の方法と同様に、固定要素２００は、連結形状構成２１３（例えばねじ山）が第１の切除面１１２のすぐ上に達するまで、椎骨内に駆動される。最終的に、この連結機構２１３を用いて上小関節面人工器具３００を椎骨１００に固定する。

固定要素２００を椎弓根内に配置するさらなる第３の方法において、外科医は、固定要素２００を解剖学的境界と位置合わせし、単に第１の切除面１１２を通してこれを椎弓根１１内に駆動する。第１および第２の方法と同様に、固定要素２００は、連結機構２１３（例えばねじ山）が第１の切除面１１２のすぐ上に来るまで椎骨１００内に駆動される。

図２２における背面図は、固定要素２００の周りに配置された上小関節面人工器具３００を示している。上小関節面人工器具３００は、その上にある椎骨の下小関節面の関節面に対して関節をなす小関節面関節部品３２０を有する。小関節面関節部品３２０は、一般的形状のブレードまたは翼状耳で形成されることが好ましい。上小関節面人工器具３００はまた、第１の切除面１１２に配置された骨付着面３２２と、固定要素２００を囲むフランジ３２３内の開口部３２４とを共に有する。上小関節面関節部品３２０は、切除前に元の解剖学的上関節面１４５が面していた方向とほぼ同じ方向を向き、フランジ３２３にほぼ隣接する関節面３２１を有する。

関節面３２１のこの向きは、上小関節面人工器具３００が半関節形成術のインプラントとして働き、自然解剖学的下小関節面６に対して関節を形成することを可能にするか、あるいは片側の人工器具として働き、これより上にある（頭方向の）椎骨上の下小関節面人工器具４００に対して関節を形成することを可能にする。上小関節面人工器具３００の部分は、椎骨１００の板の上には載っていない。本出願において、「片側の人工器具」とは、隣接する椎骨間の椎間関節の一方だけの両方の小関節面が人工器具と置き換えられる人工器具である。「半関節形成術」とは、連結する関節面の片側が人工インプラントと置き換えられる関節形成術である。

図２３は、図２２で説明した構成への下小関節面人工器具４００の付加を示す背面図である。下小関節面人工器具４００は、下切除部分１２１（図１９および図２０）の輪郭に合致するように湾曲する長手方向ロッドに類似した形状を一般に有する。下小関節面人工器具４００は、第１の切除面１１２から突出する固定要素２００の部分を囲むように形成された上端部４２０を通る開口部４１０を有する。図２３において、下小関節面人工器具４００は、上小関節面人工器具３００に配置される。しかしながら、人工器具３００，４００の配置の順番を逆にし、最初に下小関節面人工器具４００を固定要素２００に配置し、次に上人工器具３００を配置することができる。下小関節面６または上小関節面４３だけが置き換えられる場合、他の（下または上）小関節面人工器具３００または４００を用いず、適切な（上または下）小関節面人工器具３００または４００だけが固定要素２００に配置される。

インプラントの種々の部品はモジュール式なので、構成，インプラントの寸法，構造ならびに形状の多くの組み合わせが実現可能である。例えば、異常な生体組織を有する患者において、下切除面１２１の特に異常なまたは非常に大きい形態に適合させるため、下小関節面人工器具４００を予想されるより大きいものにする必要があり、また特定の解剖学的制約に適合させるため、上小関節面人工器具３００が関節面３２１に対して並外れた角度をもつようにする必要がある。この場合、システムのモジュール性により、外科医が手術中に患者の解剖学的構造に合致するように特に設計されたインプラントを組み立てることが可能になる。このモジュール式インプラント設計の柔軟性は、インプラント製造業者が限られた種類から選択された寸法，形状および材料のインプラント部品を用い、解剖学的構造の大きなばらつきに適応することを可能にする。

インプラント設計のモジュール性により、インプラントの異なる部品を異なる材料から製造することが可能になる。従来より、固定要素２００のような骨固定インプラントは、コバルト−クロム合金，チタンおよびチタン合金ならびにステンレス鋼の如き充分な強度と疲労特性をもたらす生体適合性金属または合金から製造される。しかしながら、固定要素２００は、セラミック，ポリマーまたは移植骨の如き生物材料，複合物または他の生体適合性構造材料から製造することができる。同様に、上小関節面人工器具３００および下小関節面人工器具４００は、金属，合金，セラミック，ポリマー，生物材料，複合物または他の生体適合性構造材料から製造することもできる。

図２４における背面図は、固定要素２００への拡大頭部５００の付加を示している。拡大へッド５００を下方に締め付け、人工器具３００，４００を骨に押し当て、これらを安定させる。図２４に示した拡大頭部５００は、拡大頭部５００の内部連結機構５２０（例えばねじ山）を、固定要素２００の連結機構２１３の上に押し付けるために用いられる駆動装置（図示せず）を受け入れるように形成された外面に六角形の幾何学的形状を有する。連結機構２１３のねじ付き実施形態の場合には、拡大頭部５００には、ねじを切った連結機構５２０が与えられ、拡大頭部５００を回転させ、ねじが切除面１１２でまたはその近くで拡大頭部５００と第１の切除面１１２との間のインプラントの全部品を骨に対して駆動するのを可能にすることにより、拡大頭部５００が固定要素２００に対して駆動される。

図２５は、固定要素２００，上小関節面人工器具３００および拡大頭部５００の組立体の後ろから見た斜視図である。拡大頭部５００は、第１の切除面１１２上に配置されている。

図２６は、図２５に示したものと同じ構成の斜視断面図である。上小関節面人工器具３００，拡大頭部５００，固定要素２００および椎骨１００が固定要素２００の中心を通る軸線に沿って配置された断面１５０により切断されている。断面１５０は、断面図を用いて、椎骨１００，固定要素２００，上小関節面人工器具３００および拡大頭部５００が相互にどのように係合するかを示すように、可視化のために示している。実際の外科的措置においては、外科医が図２６に示した断面１５０で示すように切断する可能性は非常に低い。

図２７は、観察者の方を向くように断面１５０を向けた椎骨１００およびインプラントの頭側から見た断面図である。図２７において、固定要素２００は、椎骨１００内にある。図２７の固定要素２００の実施形態は、固定要素２００を骨組織内に案内するように形成された末端部２２０と、末端部に隣接する骨安定化部分２１０と、骨安定化部分２１０に隣接する軸部２４０と、軸部２４０に隣接する連結機構２１３と、駆動機構２１２とを具えている。

図２７に示した末端部２２０は、固定要素２００を椎骨１００内に駆動または案内することを可能にする切頭円錐形状を有する。末端部２２０は、椎骨１００内への固定要素２００の案内を助けるように、鍬状先端部，套管針状先端部またはツイストドリル状先端部の形態の形状にすることができる。固定要素２００はまた、骨組織の除去を助け、椎骨１００における固定要素２００の案内に適合させるように、末端部２２０内に形成された切削溝（図示せず）を有することもできる。骨安定化部分２１０は、固定要素２００を椎骨１００に固定するのを助けるものである。骨安定化部分２１０は、ねじ山，リブ，溝，細溝，フィン，鉤状突起，スプライン，骨成長面，粗面または固定要素２００の安定化を助けるために固定要素２００を骨組織と係合させるのを助ける何らかの幾何学的形状の如き骨内に固定するように設計された種々の形状を具えることができる。図２７において、骨安定化部分２１０は、一体型の連続的な骨ねじ２３１を有する。しかしながら、多条ねじ，可変ピッチねじ，不均一ピッチねじ，のこ刃ねじまたは骨ねじに対して用いられる他のねじ形態などの他の種類のねじを用いることもできる。図２７は断面図であるので、挿管路２１１の全長は、固定要素２００の末端部２２０から、固定要素２００の基端方向支柱２３０に亙るものとして見られる。

図２７に示した実施形態における駆動機構２１２は、内部が六角である。しかしながら、固定要素２００を椎骨１００内に駆動するのに必要な負荷を伝える何れの形状の駆動機構２１２を固定要素２００の基端方向支柱２３０に形成することもできる。図２７の断面図において、固定要素２００の基端方向支柱２３０内に形成された駆動機構２１２の深さが見られる。駆動機構２１２は、本実施形態に示される六角ソケットの如き内部駆動機構とするか、または駆動工具（図示せず）に対応する内部駆動機構と係合する固定要素２００の基端方向支柱２３０の周囲における幾何学的形状を有する外部駆動機構とすることができる。本実施形態において、駆動機構２１２の深さは、断面の幅よりもわずかに長い。この深さは、固定要素２００および駆動工具（図示せず）の材料特性に基づいて調整することができる。

固定要素２００は、必要な構造上の剛性および強度をもたらす生体適合性原料物質から製造される。固定要素２００の構成に用いることができる原料物質の例は、チタン，チタン合金，コバルト−クロム合金，ステンレス鋼合金，ジルコニウム合金，他の生体適合性金属物質，生体適合性セラミック，生体適合性複合物および生体適合性ポリマーを具えている。固定要素２００はまた、固定要素２００の特定の部分に特有の材料特性をもたらす原料物質上に形成される表面物質を有することもできる。例えば、骨安定化部分２１０は、ヒドロキシルアパタイト，バイオセラミック，Bioglass（登録商標）または他のリン酸カルシウム由来物質の如きインプラント表面内の改善された骨成長を可能にする物質で被覆することができる。固定要素２００が他の人工要素と整合する領域における物質のトライボロジー支持特性は、表面硬化技術をこれらの領域における固定要素２００の物質に適用することによって改善することができる。陽極酸化，イオン注入および他の技術の如き材料科学および材料工学の技術分野において周知の表面硬化技術をこれらの孤立領域に適用することができる。

前述のように、連結機構２１３は、第１の切除面１１２から突出する固定要素２００の部分に形成される。この連結機構２１３は、拡大頭部５００を固定要素２００に連結するように設計される。図２１に示した連結機構２１３の実施形態において、ねじ山２６０は、固定要素２００の基端部の外面にある。これらのねじ２６０は、拡大頭部５００の内部連結機構５２０（図２７）のねじと係合する。本実施形態の連結機構２１３はねじ式であるが、圧入式，テーパ式嵌合，セメントまたは接着剤による接着嵌合，締まり嵌め，冷やし嵌めおよびバヨネット式連結などの機械的連結といった固定要素２００および拡大頭部５００を共に固定できる他の機械的固定機構（図示せず）を連結機構２１３として用いることができる。次に、対応する構成を拡大頭部５００の連結機構５２０として用いることができる。

上小関節面人工器具３００の断面図もまた、図２７に示されている。上小関節面人工器具３００の本実施形態は、固定要素２００を受ける開口部３２４を具えたフランジ３２３を有する。本実施形態の組み立てられて移植された構成において、フランジ３２３は、骨付着面３２２が第１の切除面１１２と接触するように配置される。本実施形態には図示していないが、上小関節面人工器具３００の他の実施形態は、ねじれ負荷および他の解剖学的負荷に抵抗するのを助けるため、第１の切除面１１２内に突出する構造体（例えばスパイク）を有する。関節部品３２０が開口部３２４から所定の角度αおよび所定の距離Ｘでフランジ３２３から突出している。小関節面関節部品３２０の関節面３２１は、置き換えられた小関節面の自然関節面を再現する。外科医が置き換えられた上小関節面４３の生体組織を評価すると、左側または右側の椎骨レベルの生体組織および置き換えられる患者の生体組織の大きさに最も適合する角度αおよび距離Ｘを有する特定の上小関節面人工器具３００が選択される。このように、種々の寸法および形状の上小関節面人工器具３００を具えたキットが外科医に提供され、外科医は、状況に最適な上小関節面人工器具３００を選択する。

固定要素２００および上小関節面人工器具３００が選択されて配置された後、これらは拡大頭部５００によって椎骨１００に固定される。図２４に示すように、本実施形態の拡大頭部５００は、内部連結機構５２０と、拡大頭部５００を固定要素２００の上小関節面人工器具３００に対して駆動するために用いられる六角形状の外部駆動機構５１０とを有する。外部駆動機構５１０の特定の形状は、駆動装置（図示せず）の接合形状によって決まる。

図２８を参照すると、側面断面図がＡ，Ｂ，Ｃ，ＤおよびＦと表記された固定要素の６つの異なる実施形態を示す。これらの図は、各々の固定要素の実施形態の側面図を示し、それぞれの側面図の右に各々の実施形態の断面図を示す。代表的な拡大頭部５００が６つの実施形態の左にある。実施形態Ａは、図２６および図２７に示した上述のねじ付き固定要素２００の実施形態である。実施形態Ｂ〜Ｅは、非円形の断面を有する固定要素の種々の設計である。実施形態Ｂは、固定要素２００が椎骨１００内にある場合、ねじれに抵抗するように構成された４つの長手方向フィン２８５を具えた４つのリブの十字形設計である。実施形態Ｃは、ねじれに抵抗するために第１の方向２８６の幅が第２の方向２８７よりも広い楕円形状の断面設計である。第１の方向２８６の幅が第２の方向２８７の幅と等しい場合、断面形状はより一層円になり、骨安定化部分２１０は、より一層圧入ペグとなる。実施形態Ｄは、ほぼ直交する４つの辺２８８を有する正方形の断面設計である。辺２８８の隅部２８９は、ねじれに抵抗するのを助ける。実施形態Ｅは、ねじれに抵抗するため、３つの辺２９１を有する三角形の断面設計である。実施形態Ｆは、アンカーまたは鉤状突起２９０が主たる骨に対して押し付けられ、半径方向の膨張力が加えられ、構造体を骨に固定する椎骨内に駆動されたアンカー状の設計である。

図２８Ａを参照すると、側面断面図がＧ，Ｈ，Ｉ，Ｊ，ＫおよびＬと表記された固定要素のさらなる６つの異なる実施形態を示している。図２８Ａは、固定要素の実施形態の各々の側面図を示し、それぞれの側面図の右に各々の実施形態の断面図を示す。各々の実施形態は、取り付けられまたは一体形成された拡大頭部５００'を有する。実施形態Ｇは、図１０，図１１，図１２および図２４に示される上述のねじ付き固定要素２００の実施形態である。実施形態Ｈ〜Ｋは、非円形の断面を有する固定要素の種々の設計である。実施形態Ｈは、固定要素２００が椎骨１００内にある場合、ねじれに抵抗するように構成された４つの長手方向フィン２８５を具えた４つのリブの十字形設計である。実施形態Ｉは、ねじれに抵抗するため、第１の方向２８６の幅が第２の方向２８７よりも広い楕円形状の断面設計である。第１の方向２８６の幅が第２の方向２８７の幅と等しい場合、断面形状がより一層円となり、骨安定化部分２１０は、より一層圧入ペグになる。実施形態Ｊは、ほぼ直交する４つの辺２８８を有する正方形の断面設計である。辺２８８の隅部２８９は、ねじれに抵抗するのを助ける。実施形態Ｋは、ねじれに抵抗するため、３つの辺２９１を有する三角形の断面設計である。

実施形態Ｌは、図２８の実施形態Ｆに類似したアンカー状の設計であるが、取り付けられまたは一体形成された拡大頭部５００'を有している。実施形態Ｌは、椎骨内に駆動されるので、アンカーまたは鉤状突起２９０が押し付けられ、準備された骨の壁に対して、椎弓根１１内に半径方向の膨張力が加えられ、結果として固定用アンカーになる。

図２９は、半径方向に膨張する固定要素６００の斜視図である。半径方向に膨張する固定要素６００は、２つの主要素、すなわち膨張スリーブ６２０とこの膨張スリーブ６２０の内側にある中央要素６１０とを具えている。半径方向に膨張する固定要素６００は、椎骨１００内に配置され、次に中央要素６１０が膨張スリーブ６２０に対して外方に引き込まれ、固定要素６００が半径方向に膨張する。これが図３０に示されている。

図３０を参照すると、側面図および底面図が図２９の固定要素６００を示している。中央要素６１０の基端方向支柱６３０が長手方向軸線に沿って軸方向に引っ張られ、膨張スリーブが圧縮嵌めによって骨内に軸線方向に保持されるので、膨張スリーブ６２０の爪６２１が中央要素６１０のマンドレル６６０によって半径方向外方に膨張する。爪、すなわちフィンガ６２１により、半径方向に膨張する固定要素６００に対し、ねじれ安定性および軸線方向安定性の両方が与えられる。これは、残りのインプラント部品を固定するための安定した固定要素をもたらす。さらに、固定要素６００の膨張は、固定要素６００を椎弓根１１の中心に置くことができる。

図３１は、固定要素２００をねじれ方向および軸線方向の両方に固定するのを助けるための固定要素２００と係合したクロスピン要素７００の斜視断面図である。クロスピン要素７００の形状は、末端部７１０と、（横方向の断面幅よりも長い長手方向軸線に沿った長さを有する）中央部７３０と、基端方向支柱７２０とを有する円柱状である。末端部７１０は、骨組織を通って固定要素２００内に形成されたクロスホール２８０内に貫通するように形成されている。器具類を固定要素２００の駆動機構２１２または挿管路２１１に固定し、クロスピン要素７００の挿入方向をクロスホール２８０と位置合わせすることにより、クロスピン要素７００をクロスホール２８０と位置合わせするため、器具類（図示せず）が用いられる。クロスピン要素７００が固定要素２００を通して骨内の適所に配置されると、固定要素２００のねじれ安定性および軸線方向安定性が改善される。

図２８〜図３１に示した上述の固定要素２００の種々の実施形態は、拡大頭部５００と協働して機能し、下小関節面人工器具４００および/または上小関節面人工器具３００をそれぞれの切除面１１２，１１３および/または１２１に保持する。モジュール式インプラントの種々の組み合わせが下記に述べられ、図３２〜図３７に示される。これらの図は、人工器具３００，４００を椎骨１００に固定するための機構として固定要素２００および拡大頭部５００の使用を示すが、ねじファスナ１７（図１０）の如き他のクランプ装置を用い、人工器具３００，４００を骨に取り付けることができる。例えば、図１０〜図１２に示したねじファスナ１７は、上小関節面人工器具３００の開口部３２４（図２２）または下小関節面人工器具４００の開口部４１０（図２３）の何れかまたはこれらの開口部３２４，４１０の両方を貫通することができる。ねじファスナ１７の頭部は、下小関節面人工器具４００および上小関節面人工器具３００をそれぞれの切除面１１２，１１３および/または１２１に押し付けることにより、固定機構として働く。

図３２〜図３７は、小関節面置換用人工器具の組立体の異なる組み合わせを示している。人工器具の基本部品は、固定要素２００，上小関節面人工器具３００，下小関節面人工器具４００および拡大頭部５００である。しかしながら、上述のようにねじファスナ１７を固定要素２００および拡大頭部５００と置き換えることができる。

図３２を参照すると、椎骨の３つの連続的な層を背面図が示している。上部椎骨１０１は中間椎骨１０２の上にあり、中間椎骨１０２は下部椎骨１０３の上にある。椎骨の右側にある小関節面のいくつかの部分が人工器具と置き換えられる。上部椎骨１０１と中間椎骨１０２との間の椎間関節については、下小関節面人工器具４０１が上小関節面人工器具３０２に対して関節を形成し、片側人工関節を構成する。中間椎骨１０２の下小関節面が下小関節面人工器具４０２と置き換えられ、下部椎骨１０３の上小関節面が上小関節面人工器具３０３と置き換えられる。このように、同じく右側にあって、中間椎骨１０２と下部椎骨１０３との間の高さに配される第２の片側人工器具関節が形成される。図３２は、上小関節面人工器具３００なしで固定要素２００の周りに移植された下小関節面人工器具４０１と、固定要素２０２の周りおよび上小関節面人工器具３０２に移植された下小関節面人工器具４０２との形状の相違を示す。この組立体内の上部椎骨１０１にある下小関節面人工器具４０１内の開口部４１０（図示せず）は、中間椎骨１０２のための下小関節面人工器具４０２内の開口部４１０（図示せず）よりも横方向にオフセットしている。これは、この高さにて人工器具および小関節面が置き換えられないので、上小関節面のより多くを保存するため、固定要素２０１を上部椎骨１０１のより横方向に移植するためである。

図３３を参照すると、小関節面を切除していない完全な形態の上部椎骨１０１を背面図が示している。中間椎骨１０２の右側にある上小関節面および下小関節面の両方の部分が上小関節面人工器具３０２および下小関節面人工器具４０２と置き換えられる。図３３においては、下部椎骨１０３の右側の上小関節面だけが置き換えられる。従って、半関節形成術置換が上部椎骨１０１と中間椎骨１０２との間の右椎間関節に行われ、片側置換が中間椎骨１０２と下部椎骨１０３との間で行われている。図３３に示した組立体は、上小関節面人工器具３０２が自然下小関節面６に対してどのように関節をなすことができるか、および上小関節面人工器具３０３が下小関節面人工器具４０２に対してどのように関節をなすことができるかを例示している。

図３４は、下小関節面人工器具４０１が自然上小関節面４３に対してどのように関節をなすことができるのか、または下小関節面人工器具４０２が上小関節面人工器具３０３に対してどのように関節をなすことができるのかを示す背面図である。上部椎骨１０１と中間椎骨１０２との間の右椎間関節は、下小関節面を下小関節面人工器具４０１に置き換えた半関節形成術置換である。中間椎骨１０２と下部椎骨１０３との間の右椎間関節は、下小関節面が下小関節面人工器具４０２に置き換えられ、下部椎骨１０３の上小関節面が上小関節面人工器具３０３に置き換えられた片側置換である。

図３５を参照すると、上小関節面人工器具３０３が自然下小関節面６に対してどのように関節をなすことができるのか、または上小関節面人工器具３０２が下小関節面４０１に対してどのように関節をなすことができるかの別の例を背面図が示している。このインプラントの組立体において、上部椎骨１０１と中間椎骨１０２との間の右側は片側置換であり、中間椎骨１０２と下部椎骨１０３との間の右側は、半関節形成術置換である。

図３６を参照すると、下小関節面人工器具４０２が自然上小関節面４３に対してどのように関節をなすことができるのか、または下小関節面人工器具４０１が上小関節面人工器具３０２に対してどのように関節をなすことができるのかの別の例を背面図が示している。上部椎骨１０１と中間椎骨１０２との間の右椎間関節は、下小関節面人工器具４０１に置き換えられた上部椎骨１０１の下小関節面と、上小関節面人工器具３０２に置き換えられた中間椎骨１０２の上小関節面との片側置換である。中間椎骨１０２と下部椎骨１０３との間の右椎間関節は、下小関節面人工器具４０２に置き換えられた下小関節面との半関節形成術置換である。

図３７を参照すると、中間椎骨１０２と下部椎骨１０３との間の右側に置き換えられた１つのレベルだけ背面図が示している。中間椎骨１０２と下部椎骨１０３との間の右椎間関節は、下小関節面人工器具４０２と置き換えられた中間椎骨１０２の下小関節面、および、上小関節面人工器具３０３と置き換えられた下部椎骨１０３の上小関節面との片側置換である。

図３８および図３９は、上小関節面人工器具の２つの実施形態を示している。図３８における斜視図は、湾曲した関節部品３３０を有する湾曲した上小関節面人工器具３０５が湾曲した関節面３３１を有する実施形態を示している。この湾曲した関節面３３１は、図２３の下小関節面人工器具４００の如き下小関節面人工器具と該湾曲した関節面３３１との間のより分散した接触負荷を可能にする。このことは、前述の上小関節面人工器具３００と比べて、外科医が湾曲した上小関節面人工器具３０５を配置する位置において、わずかに高い柔軟性を可能にする。前述の上小関節面人工器具３００の関節面３２１は、相対的に平坦である。湾曲した上小関節面人工器具３０５の関節面３３１は湾曲している。下小関節面人工器具４００の軸受部分は円柱状なので、わずかな不整合を有した状態で、２つの人工器具を位置合わせすることができ、図３８におけるように関節面が湾曲している場合には、一層多くの解剖学的接触をなすことが可能である。

図３９を参照すると、上小関節面人工器具３０６上の骨成長機構３９０を斜視図が示している。骨成長機構３９０は、骨が椎骨１００の第１の切除面１１２とインプラントの付着面３２２との間でインプラント内に成長するのを可能にする任意の面とすることができる。骨成長機構３９０の例は、ビーズまたはメッシュの多孔質コーティング，電気化学的にエッチングされた形状およびタンタル，チタン，コバルト−クロム合金および/またはヒドロキシルアパタイトまたはリン酸カルシウムの如き他の生体適合性材料から作られたインプラント面に押し付けられる多孔質パッドを含む。

図４０を参照すると、一般的形状のフィンガまたは鉤爪が形成された下小関節面人工器具４００を斜視図が示している。より具体的には、下小関節面人工器具４００は、拡大頭部５００と、上小関節面人工器具３００または第１の切除面１１２の何れかとの間に嵌まるように形成された上側のフランジ４２０を有するように形成されている。フランジ４２０は、下小関節面人工器具４００が固定要素２００の基端方向支柱２３０を覆うように嵌合し、固定要素２００の軸部２４０を囲むことを可能にする大きさに作られた開口部４１０を有する。下小関節面人工器具４００はまた、下小関節面切除面１２１（図１９）の表面に接触するように形成された骨付着側４４０と、自然上小関節面または人工器具上小関節面に対して関節をなすように形成された関節連結側４３０とを持ったフランジ４２０の反対側にある下部４５０をも有する。

図４１を参照すると、同じく一般的形状のフィンガまたは鉤爪が形成された下小関節面人工器具４６０を斜視図が示している。下小関節面人工器具４６０は、固定要素２００を受け入れるような大きさおよび形状に作られた開口部４１０を有する上端部４２０を有するように形成されている。下小関節面人工器具４６０の形状は、ほぼ円柱状であり、椎骨１００の準備された生体組織に適合するように設計された湾曲した長さを有する。図４１の下小関節面人工器具４６０は、上端部４２０の反対側に示され、該上端部４２０からわずかに内側にオフセットした下部４７０を有する。このように下部４７０に対して開口部４１０が内側にオフセットしていることにより、最適な骨固定を可能にする解剖学的位置において、下小関節面人工器具４００を固定要素２００によって骨に固定したり、拡大頭部５００または拡大頭部５００と共に上小関節面人工器具３００によって骨に固定したりすることが可能になる。図４１の下小関節面人工器具４６０は、骨成長面４４１と関節連結側４３０とを下端部４７０に有する。本実施形態における骨成長面４４１は、骨細胞がインプラント面内に成長することを可能にするテキスチャ状構造体である。骨成長面４４１の形状は、図４１に示すような均一のテキスチャ状面とすることができ、あるいは連続気泡発泡構造体，多孔質ビード構造体，金網構造体，電気化学的にエッチングされた構造体または整形外科インプラントの設計において周知の他の骨成長構造体といった、非均一のランダム化構造体とすることができる。骨成長面４４１は、図１９および図２０に示した骨の下切除骨面１２１と接合するように形成されている。

図４２は、上小関節面人工器具３００が取り付けられた椎骨１００の拡大斜視図である。上小関節面人工器具３００の第１の切除面１１２への取り付けの安定化を助けるため、付加的な固定座金８００が用いられる。図４２に示したインプラント組立体の構成は、図２５に示した組立体のものと類似しており、固定要素２００の基端方向支柱２３０の上および周りに配置した固定座金８００が付加されている。

図４３を参照すると、拡大頭部５００を固定要素２００に固定し、固定座金８００を上小関節面人工器具３００に対して骨組織内に押し付けている図４２と同じインプラントを斜視図が示している。この固定座金８００のさらなる骨貫通は、上人工器具３００の固定を助けるので、組立体全体が、椎骨１００に対して機械的により安定した状態になる。

図４３は、図４２で説明したインプラント構成の組み立てにおけるさらに別のステップを示す。図４３において、固定座金８００が拡大頭部５００によって固定要素２００および骨組織内に固定される。固定座金８００のこの実施形態は、上小関節面人工器具３００だけを有するものとして示しているが、代替的に固定座金８００を用い、下小関節面人工器具４００または下小関節面人工器具４００と、上小関節面人工器具３００との組み合わせを機械的に固定することができる。図４２および図４３に示した固定座金８００の実施形態において、固定座金８００は、上小関節面人工器具３００に配置される。しかしながら、インプラント構成の安定化のため、固定座金８００を上小関節面人工器具３００の下に配置したり、下小関節面人工器具４００および上小関節面人工器具３００の下に配置したり、あるいは上小関節面人工器具３００と下小関節面人工器具４００との間に配置したりすることも可能である。

図４４は、固定座金８００の斜視図である。固定座金８００は、固定要素２００の基端方向支柱２３０に適合するような大きさにされた開口部８１０を有する本体８０５を有する。固定座金８００はまた、上小関節面人工器具３００または下小関節面人工器具４００の何れか、あるいは下小関節面人工器具４００および上小関節面人工器具３００の両方の組み合わせと接合する回転防止機構８２０も有する。本実施形態に示される回転防止機構８２０は、平坦な面であるが、インプラントの他の部品に対して固定座金８００の回転を抑制する（タブ，溝，テーパまたは他の幾何学的形状などの）任意の機構を回転防止機構として固定座金８００に形成することができる。固定座金８００はまた、椎骨１００の骨組織内に入り、インプラント構成の安定化を助ける突起物８３０も有する。固定座金８００のこの実施形態の突起物８３０は、組織貫通先端部８４０に向けてテーパ状になる細長い突起部である。突起物は、固定座金８００が骨組織に貫通すると、ねじれに抵抗する面をもたらす側壁８５０を有する。突起物８３０は、固定座金の本体８０５から突出し、かつ断面が対称または非対称な単純なスパイクとすることもできる。固定座金の突起物８３０の形状および長さは、固定座金８００を用いる方法によって決まる。下小関節面人工器具４００または上小関節面人工器具３００の１つだけを椎骨１００に保持する固定座金８００の突起物８３０は、下小関節面人工器具４００および上小関節面人工器具３００の両方を椎骨１００に保持する固定座金の突起物より短いものにすることができる。

図４５は、補助的な可撓性固定要素９００および二次的な可撓性固定要素９１０によって椎骨１００に保持される上小関節面人工器具３００および下小関節面人工器具４００の斜視図を示す。これらの可撓性固定要素９００および/または９１０は、縫合，編組ケーブル，ワイヤ，リボンの如き構成および/または断面よりも長さが長く圧縮負荷よりも大きな張力負荷に耐える他の構成から作ることができる。可撓性固定要素９００および/または９１０は、生体適合性金属，コバルト−クロム合金，チタン合金，ステンレス鋼合金の如き合金，ポリマー，生体吸収性材料，複合物または生体適合性があって図４５に示す如き可撓性固定要素９００および/または９１０内に形成することができる他の材料から製造することができる。図４５に示した補助的な固定要素９００は、細長い頭部５００に取り付けられ、これを固定した状態で示している。可撓性要素取り付け部５８０（例えば開口部を含む）は、可撓性要素９００を細長い頭部に接合する。しかしながら、代替的にまたは付加的に補助的可撓性固定要素９００を固定要素２００，上小関節面人工器具３００，下小関節面人工器具４００または上に列挙された要素の何れかの組み合わせに取り付けることもできる。下小関節面人工器具４００の可撓性固定要素取り付け部４８０（開口部を含む）は、二次的可撓性固定要素９１０が下小関節面人工器具４００を椎骨１００に固定するのを可能にする。可撓性固定要素９００および/または９１０は、これらを後弓３５，棘突起４６，横突起１０５またはこれらの解剖学的機構の組み合わせといった解剖学的機構に物理的に巻き付けることによって椎骨１００に固定することができる。可撓性要素９００および二次的可撓性要素９１０はまた、（図示しない縫合などの）可撓性固定要素を骨に固定するように設計されたアンカーの如き骨アンカーによって椎骨１００に固定することも可能である。ねじ付き縫合アンカー，鉤状突起付き縫合アンカー，トグル式縫合アンカーの如き縫合アンカーまたは固定要素を骨に固定する他の何らかの手段を用い、可撓性固定要素９００および/または二次的可撓性固定要素９１０を椎骨１００に固定することができる。

図４６は、両側下小関節面人工器具１０００の背面図である。両側下小関節面人工器具１０００は、安定化バー１０１０によって連結された右下側１０４０および左下側１０２０の両方を有する一体の下小関節面人工器具である。右下側１０４０および左下側１０２０の両方は、それぞれの下切除面１２１（図１９）および第１の切除面１１２において上部椎骨１０１に固定するように設計されている。両側下小関節面人工器具１０００は、左小関節面および右小関節面の両方の置き換えを可能にする。本実施形態において、両側下小関節面人工器具１０００は、上部椎骨１０１の骨内に延在する左右固定要素２００のに配置される。図４６に示した実施形態において、右下側１０４０は、下部椎骨１０２に取り付けられた右上小関節面人工器具３００に対して関節を形成する。同じく本実施形態において、左下側１０２０は、下部椎骨１０２の自然左上小関節面４３に対して関節を形成する。両側下小関節面人工器具１０００の安定化バー１０１０は、左側１０２０および右側１０４０を安定化するように設計されるので、これらは安定している。

図４７は、椎骨３に連結された上小関節面人工器具１１００の斜視図である。上小関節面人工器具１１００は、第１の切除面１１１２に配された骨付着面（図示せず）と、固定要素１１１０を囲み、溝付きナット１１１４などの如き固定ファスナによってこれに連結されたフランジ１１１６内の開口部（図示せず）とを有する。上小関節面人工器具１１００は、ほぼフランジ１１１６に隣接する関節面１１２２を持った上小関節面連結部品１１２０を有する。関節面１１２２は、切除前に元の解剖学的上関節面が向いていた方向とほぼ同じ方向を向く。関節面１１２２のこの向きは、上小関節面人工器具１１００が自然解剖学的下小関節面６に対して関節を形成することによる関節半置換術インプラントとして働くこと、あるいは図５に示した下小関節面人工器具４，図８および図９に示した下小関節面人工器具１０および図４０に示した下小関節面人工器具４００ならびに下記に述べたものの如き上にある（頭方向の）椎骨上の下小関節面人工器具に対して関節を形成することによる片側人工器具として働くことを可能にする。

小関節面連結部品１１２０は、一般的形状のブレードまたは翼耳状に形成されることが好ましく、関節面１１２２は、凹形状を有する。図示の実施形態において、関節面１１２２は、フランジ１１１６とほぼ直交する向きからフランジ１１１６とほぼ平行な向きに向けて関節面の末端１１２５から基端１１２６まで湾曲している。

関節面１１２２の凹形状は、自然解剖学的下小関節面６またはその上にある椎骨上の下小関節面人工器具４との不整合に対するより多くの耐性をもたらす。機能的には、関節面１１２２の凹形状と、隣接する下小関節面６または下小関節面人工器具４との間の隙間は、患者が前方に曲がる場合（屈曲時）に増大し、患者が後方に曲がる場合（伸展時）に減少する。このように、患者は、中立的な姿勢の時よりも、屈曲時により多くのねじれ（ひねり）および横方向の曲げ（側部から側部への運動）を可能にするより多くの小関節面の運動を行う。患者が伸張する場合、連結部材のねじれおよび横方向の曲げがより多く制約される。このことは、脊椎小関節面の自然解剖学的制約と似ている。

図４８は、図４７に示した構成と同じであるが、断面１１３０によって切断されたインプラントおよび椎骨３が固定要素１１１０の中心を通る軸線に沿って配置された状態の斜視図である。椎骨３を貫通して切断する状態で示される断面１１３０および図４７のインプラントが椎骨３，固定要素１１１０および上小関節面人工器具１１００が相互にどのように係合するのかを示すため、断面図を用いて視覚可のために示している。

固定要素１１１０は、上小関節面人工器具１１００を椎骨３に取り付けるための機構をもたらす。固定要素１１１０は、椎骨３上の左椎弓根１１（図６）の内部骨小腔内に移植され、付加的な安定性をもたらすため、椎骨３の椎体内に延在しても、または延在しなくてもよい。固定要素１１１０は、（図示の如き）ねじの形態または図２８〜図３０に示した装置の何れかの形態を取ることもできる。固定要素１１１０は、図４８に示した実施形態においては内部六角である駆動機構１１４０を有する。しかしながら、固定要素１１１０を椎骨３内に駆動するのに必要な負荷を伝えるあらゆる形状の駆動機構を固定要素１１１０の基端方向支柱１１４２に形成することができる。

固定要素１１１０の基端方向支柱１１４２内に形成された駆動機構１１４０の深さが図４８の断面図に示される。駆動機構１１４０は、本実施形態に示される六角ソケットの如き内部駆動機構としてもよく、あるいは駆動工具（図示せず）の対応する内部駆動機構と係合する固定要素１１１０の基端方向支柱１１４２の周囲の幾何学的形状を有する外部駆動機構としてもよい。上小関節面人工器具１１００のフランジ１１１６は、溝付きナット１１１４などによって固定要素１１１０に固定される。

上小関節面人工器具１１００のフランジ１１１６は、椎骨３の椎弓根の骨層における対応した半球形切除部分１１４６に係合する上小関節面人工器具１１００の付着側にほぼ半球形の骨係合面１１５０を有する連結部１１４４を具えている。「半球形」という用語は、半球よりも小さいものとすることができる面に関して球の一部の扇形部分を含む。半球形の面は、凹状としても、または凸状としてもよい。半球形またはほぼ半球形の面は、正確な半球形状から幾らかの変位を有することがある。

半球形切除部分１１４６は、連結部１１４４のほぼ凸状面に合致するほぼ凹状の面を有するので、半球形切除部分１１４６は、連結部に対して「逆の形状である」と言うことができる。図４７および図４８の実施形態において、連結部１１４および半球形切除部分１１４６は半球形であるが、代替的な実施形態において、これらは、３次元の放物線，楕円体および他の規則的にまたは不規則に湾曲した面あるいは平坦な面を持った形状を含む種々の他の合致形状を有することができる。さらに、図４７および図４８の実施形態において、連結部１１４４は凸状であり、半球形切除部分１１４６は凹状であるが、代替的な実施形態においては、形状を逆にし、連結部を凹状とし、切除部分を凸状にすることができる。

図４７および図４８の実施形態において、連結部１１４４は、上小関節面連結部品１１２０の関節面１１２２と一体形成される。本実施形態において、「取り付けられる」という用語は、相互に一体形成された部品と、別個に形成され、次に相互に連結された部品とを含むように広く用いられるので、連結部１１４４は、関節面１１２２に「取り付けられる」と言うことができる。

骨層の半球形切除部分１１４６は、（平坦な骨層の切除に対して）より少ない横突起を切除することを可能にする。上小関節面人工器具１１００は、半球形切除部分１１４６と連結部１１４４との間に加えられる何らかの剪断力に抵抗するように多軸に支持されるので、骨層の半球形切除部分１１４６は、平坦な骨層の切除より、上小関節面人工器具１１００のより安定した支持も可能にする。本出願において「多軸の」とは、少なくとも２つの直交方向の軸線に対して作用する線形または角度が付いた力または運動を指す。連結部１１４４は、半球形切除部分１１４６に直接載っていてもよい。本出願においては、別のもの「に直接載っている」部材は、他の部材に当接するように配置されるので、２つの部材は、相互に接触状態にある。

連結部１１４４は、固定要素受け孔１１４８を有し、この固定要素受け孔１１４８は、切除された骨層および固定要素１１１０に対してインプラント１１００の正確な多軸性着座を提供し、かつ不整合に対する増大した耐性をもたらすように、長手方向軸線と直交方向に取った固定要素１１１０の周方向の直径よりもわずかに大きく作ることができる。溝付きナット１１１４（または他のファスナ）のインプラント係合端部１１５４も、上小関節面人工器具１１００の最終位置において、上小関節面人工器具の連結部１１４４の半球形ナット係合側に係合するための半球形状を有する。

連結部１１４４の半球形状は、連結部１１４４が半球形切除部分１１４６に対して多軸に動くことを可能にする。半球形切除部分に「対する」動きとは、連結部１１４４が、半球形切除部分１１４６に対して摺動するように、半球形切除部分１１４６とほぼ連続的に接触した状態のままである動きを言う。従って、取り付け中に外科医は、連結部１１４４を半球形切除部分１１４６に対して位置決めし、次に連結部１１４４を半球形切除部分１１４６から取り外すことなく、連結部１１４４を３つの直交軸線に沿って旋回させる。連結部１１４４は、半球形切除部分１１４６に対して回転するにすぎない。

「多軸運動」という語句は、少なくとも２つの直交軸線に沿った並進および/または回転の何れかの組み合わせを言う。連結部１１４４は、２つの直交軸線に沿って半球形切除部分１１４６に対して旋回可能であるので、連結部１１４４は、半球形切除部分１１４６に対して「３軸に旋回可能」である。

上小関節面人工器具１１００を適切な向きに回転した場合、関節面１１２２は、対応する下小関節面または下小関節面人工器具に対して適切に関節を形成するように配置される。次に、固定要素１１１０の溝付きナット（または、別のファスナ）を締め付け、これにより連結部１１４４を半球形切除部分１１４６に対してしっかりと把持することにより、連結部１１４４の向きを半球形切除部分１１４６に対して固定することができる。従って、連結部１１４４は、外科医がその配置の固定を決定するまで、多数の直交軸線に沿って半球形切除部分１１４６に対し移動可能であるので、連結部１１４４は、半球形切除部分１１４６に対して「選択的に多軸に移動可能」である。

本発明の代替的な実施形態（図示せず）においては、３軸の旋回運動をもたらす必要がない。むしろ、連結部および対応する切除面は、円筒形状，平坦な面をもった形状，スプライン連結された形状または回転に加え、あるいた回転の代わりに相対的な並進を可能にするように設計された他の形状を有することができる。固定要素受け孔１１４８の代わりに細長い固定要素受け孔を用い、連結部と固定要素との間の相対的な並進を吸収することができる。代替的に、連結部および切除面は、１つまたは２つの軸線だけに沿った相対的な旋回運動をもたらすような形状にすることができる。

代替的な実施形態においては、溝付きナット１１１４の軸線に対する面の角度に関係なく、インプラント係合端部１１５４が圧力下で連結部１１４４の隣接面に対して合致するように、溝付きナット１１１４（または他のファスナ）のインプラント係合端部１１５４を変形させることができる。変形可能な端部は、溝付きナット１１１４の金属本体に取り付けられたポリエチレンの如きプラスチックから形成できるが、急速硬化生体適合性樹脂や、あるいは患者への挿入前に加熱され、患者の体温まで冷却する時に硬化する材料の如き、時間が経つに連れて硬化する物質から形成されることが好ましい。何れも許容可能な結果をもたらすが、時間が経つにつれて硬化する材料は、変形可能な材料よりも多くの安定性をもたらす。

図４８はまた、半球形切除部分１１４８と共に、角度が付いた切除部分１１１２と、上小関節面人工器具１１００の付着側にある対応する傾斜面１１５６とを示している。

連結部１１４４および平坦部１１５６の付着側の表面および固定要素１１１０は、インプラントの長期の固定を強化するように骨成長を助けるための多孔質コーティングを含んでも、または含まなくてもよい。さらに、こうした多孔質コーティングは、多孔質コーティング内の骨の再造形をさらに強化するため、骨誘導性物質および骨伝導性物質を含んでも、または含まなくてもよい。

図４９は、固定要素１１１０の部分が切除面１１１２内の半球形切除部分１１４６を通して椎弓根１１の骨内に配置された状態の椎骨３の斜視図を示している。固定要素１１１０は、後の安定化椎骨融合処置のため、他の椎弓根ねじのものに類似した方法で椎弓根１１内に位置合わせされて配される。

図５０において、固定要素１１１０の周りの適所に上小関節面人工器具１１００を斜視図が示している。溝付きナット１１１４は、まだ取り付けられていない。図示のように、連結部１１４４は、半球形ナット係合面１１５２を有する。

図５１は、特に関節面１１２２の湾曲形状および連結部１１４４の半球形骨係合面１１５０を示す上小関節面人工器具１１００の平面図である。さらに、図５１は、上小関節面人工器具１１００の付着側にある傾斜面１１５０をより明瞭に示している。

図５２は、上小関節面人工器具１１００の背面図を例示している。この明細書における「背面」とは、固定要素受け孔１１４８の軸線に沿った視点から見ることを意味する。図５２は、特に関節面１１２２の湾曲形状と連結部１１４４の半球形ナット係合面１１５２とを示している。

図５３Ａは、異なるように構成された複数の上小関節面人工器具１１００，１１６２，１１６４，１１６６，１１６８を具えたキットを示す。表示Ａは、上小関節面人工器具１１００，１１６２，１１６４，１１６６，１１６８の背面図であり、表示Ｂは、９０°回転した横方向に隣接する人工器具１１００，１１６２，１１６４，１１６６，１１６８の斜視図である。図示のように、上小関節面人工器具１１００，１１６２，１１６４，１１６６，１１６８は、異なる物理的寸法を有する。

単一の上小関節面人工器具１１００を示す図５１を再び参照すると、キット（図５３Ａ）内の異なる寸法の上小関節面人工器具１１００，１１６２，１１６４，１１６６，１１６８間で変化する物理的寸法の一部は、切除角度(α)，ｘオフセット(Ｘ1)，ｙオフセット(Ｙ1)，小関節面角度(β)および小関節面関節半径(Ｒ)である。上記にものについての例示的な値が下記に与えられる。例示的な値は、主としてＬ５上椎骨およびＬ４下椎骨に関するものであるが、腰背部および/または仙骨内の椎骨の他の組み合わせにも適用することができる。これらの変数の１つまたは複数は、異なる上小関節面人工器具の寸法間で変化し得る。

Ｐ１は、関節面１１２２上の最内側前方点である。上椎弓根軸線１１７０は、切除された上小関節面（図示せず）の最も近くに椎弓根１１を通して配置された固定要素１１１０の長手方向軸線と同一線形順序に並んでいる軸線である。上椎弓根軸線１１７０は、固定要素受け孔１１４８から約２mmとすることができるオフセット１１７６で示したオフセットである鞍点Ｓ１を通って延在する。上椎弓根軸線１１７０は、ｙオフセット(Ｙ1)の方向と平行である。ｘオフセット(Ｘ1)の方向は、ｙオフセット(Ｙ1)の方向に対して直交する。ｘオフセット(Ｘ1)の方向は正確ではないが、患者の脊椎の中心軸線に対してほぼ外側から内側の方向である。

Ｐ４は、関節面１１２２上の最後方点である。図示のように、Ｐ４は、鞍点Ｓ１からｘオフセット(Ｘ4)およびｙオフセット(Ｙ4)だけ移動する。Ｘ4オフセットの方向は、Ｘ1オフセットのものと平行であり、Ｙ4オフセットの方向は、Ｙ1オフセットのものと平行である。

上小関節面人工器具１１００についての切除角度(α)は、５°から８５°までの範囲に及ぶことができる。しかしながら、大部分の患者についての切除角度(α)の任意の範囲は、３０°から７０°までの範囲になる。従って、一例として９つの組の上小関節面人工器具１１００を含むグループには、５°刻みの増分で変化する切断角度(α)を与えることができる。上小関節面人工器具１１００の組に３０°，３５°，４０°，４５°，５０°，５５°，６０°，６５°および７０°の切除角度が与えられる。

上小関節面人工器具１１００についてのｘオフセット(Ｘ1)は、５mmから３０mmまでの範囲に及ぶことができる。しかしながら、大部分の患者についてｘオフセット(Ｘ1)は、１０mmから２０mmまでの範囲になる。従って、上小関節面人工器具１１００のグループには、２mm刻みの増分で変化するｘオフセット(Ｘ1)を与えることができる。従って、上小関節面人工器具１１００を必要とする患者人口の大部分についての統計範囲を網羅する上小関節面人工器具１１００をもたらすため、上小関節面人工器具１１００の組には、１０mm，１２mm，１４mm，１６mm，１８mmおよび２０mmのｘオフセット(Ｘ1)を与えることができる。

上小関節面人工器具１１００についてのｙオフセット(Ｙ1)は、２mmから２０mmまでの範囲に及ぶことができる。しかしながら、大部分の患者についてｙオフセット(Ｙ1)は、５mmから１５mmまでの範囲になる。従って、上小関節面人工器具のグループには、２mm刻みの増分で変化するｙオフセット(Ｙ1)を与えることができる。従って、上小関節面プロテーゼ１１００を必要とする患者人口の大部分についての統計範囲を網羅する上小関節面人工器具１１００をもたらすため、上小関節面人工器具１１００の組には、５mm，７mm，９mm，１１mm，１３mmおよび１５mmのｙオフセット(Ｙ1)を与えることができる。

上小関節面人工器具１１００についてのｘオフセット(Ｘ4)は、約５mmから約２５mmまでの範囲に及ぶことができる。しかしながら、大部分の患者についてＸ4は、約８mmから約２０mmまでの範囲になる。従って、上小関節面人工器具のグループには、２mm刻みの増分で変化するＸ4値を与えることができる。従って、上小関節面人工器具１１００を必要とする患者の人口の大部分についての統計範囲を網羅する上小関節面人工器具１１００をもたらすため、上小関節面人工器具１１００の組には、８mm，１０mm，１２mm，１４mm，１６mm，１８mmおよび２０mmのＸ4値を与えることができる。

上小関節面人工器具１１００についてのｙオフセット(Ｙ4)は、約−５mmから約１５mmまでの範囲に及ぶことができる。しかしながら、大部分の患者についてＹ4は、約−２mmから約１０mmまでの範囲になる。従って、上小関節面人工器具のグループには、２mm刻みの増分で変化するＹ4値を与えることができる。従って、上小関節面人工器具１１００を必要とする患者人口の大部分についての統計範囲を網羅する上小関節面人工器具１１００をもたらすため、上小関節面人工器具１１００の組には、−２mm，０mm，２mm，４mm，６mm，８mmおよび１０mmのＹ4値を与えることができる。

上小関節面人工器具１１００についての小関節面角度(β)は、５０°から１２０°までの範囲に及ぶことができる。しかしながら、大部分の患者について小関節面角度(β)は、６０°から１００°までの範囲になる。従って、上小関節面人工器具１１００のグループには、５°刻みの増分で変化する小関節面角度(β)を与えることができる。従って、上小関節面人工器具１１００を必要とする患者人口の大部分についての統計範囲を網羅する上小関節面人工器具１１００をもたらすため、上小関節面人工器具１１００の組には、６０°，６５°，７０°，７５°，８０°，８５°，９０°，９５°および１００°の角度(β)が与えられる。

外科医が、置き換えられた上小関節面の生体組織を評価すると、生体組織の椎骨レベル（左側または右側）および置き換えられる患者の生態組織の大きさに最も適合するフランジ１１６に対する曲率および関節面１１２２の全角度を有する特定の上小関節面人工器具１１００が選択される。このように、種々の寸法および形状の上小関節面人工器具１１００を含むキットが外科医に提供され、外科医は、状況に最も適合する上小関節面人工器具１１００を選択する。

一例によると、こうしたキットは、上に列挙された範囲内のα，Ｘ1，Ｙ1，β，Ｘ4，Ｙ4およびＲについての値の種々の組み合わせをもたらすような大きさに形成できる９つの人工器具を具えることができる。所望であれば、上に列挙された変数の１つまたは複数をキット全体に亙って一定のままにしてもよい。例えば、Ｒはキットの全ての部材について１１.５mmのような一定値を有することができる。

図５３Ａのキットの人工器具１１００，１１６２，１１６４，１１６６，１１６８は、単純に拡大縮小されるものではないが，Ｌ５椎骨において生じる形態の圧倒的多数を網羅するように、注意深く選択された多数のパラメータによって変えられる。同様に、下小関節面を置き換えるように適合された複数の下小関節面人工器具は、別個のキットとして、あるいは図５３Ａのキットと組み合わせてもたらすことができる。こうしたキットが図５３Ｄと関連して示され、説明される。

図５３Ｂおよび図５３Ｃは、それぞれ例示的な下小関節面人工器具１１７２の正面図および側面図を示す。下小関節面人工器具１１７２は、図５３Ｂおよび図５３Ｃに示されるｘオフセット(Ｘ)，ｙオフセット(Ｙ)およびｚオフセット(Ｚ)を有する。図示のように、オフセットＸ，ＹおよびＺは、下小関節面人工器具１１７２の鞍点Ｓ１と関節面１１７４の中心点Ｃ１との間を通る。図５３Ｂおよび図５３Ｃの鞍点Ｓ１は、図５１の上小関節面人工器具１１００のものに類似した方法で定められる。

図５３Ｂおよび図５３Ｃに示すように、下小関節面人工器具１１７２は、図４７の説明において紹介した上小関節面人工器具１１００の連結部１１４４に類似した半球形連結部を有する。従って、前述のように下小関節面人工器具１１７２は、取り付け中に連結部１１１４と同じタイプの３軸の旋回運動をもたらす。単一の半球形切除部分１１４６と係合する状態に配置した場合、人工器具１１００，１１７２の独立した多軸調整を可能にするように、下小関節面人工器具１１７２の連結部を上小関節面人工器具１１００の連結部１１４４内に入れ子状にすることができ、その逆も同様である。

図５３Ｄを参照すると、下小関節面人工器具１１８０，１１８２，１１８４，１１８６，１１８８，１１９０のキットを斜視図が示している。また、図５３Ｄのキット内の種々の下小関節面人工器具１１８０間で物理的寸法が変化し得る。これらの寸法は、下切除角度(Ｉα)，下ｘオフセット(Ｘ)，下オフセット(Ｙ)，下小関節面角度(Ｉβ)，下小関節面関節半径(ＩＲ)および下ｚオフセット(Ｚ；固定中心から関節半径の中心まで）を具えることができる。

下切除角度(Ｉα)は、選択された下小関節面人工器具１１８０，１１８２，１１８４，１１８６，１１８８，１１９０の関節面のための裏当てとして働くように、例えば前の図の幾つかで示した椎骨１０１の如き椎骨内で作られることになる平坦な切除部分の角度である。図５１に示すように、上小関節面人工器具１１００のために確立された座標系に従って測定した場合、関節面１１２２，１１７４は、相互にほぼ平行に配置されることになるので、下切除角度Ｉαは、上人工器具１１００についての小関節面角度βとほぼ同じにすることができる。関節面１１２２，１１７４と、そのほぼ凹形状および凸形状との間の隙間のため、関節面１１２２，１１７４が相互に平行になるように選択された下小関節面人工器具１１８０，１１８２，１１８４，１１８６，１１８８，１１９０が配置される限り、適切な連結が生じると考えられる。

従って、下小関節面人工器具１１８０，１１８２，１１８４，１１８６，１１８８または１１９０は、Ｉαがほぼβと同じであり、必要に応じて関節面１１７４の向きを調整し、下小関節面人工器具１１８０，１１８２，１１８４，１１８６，１１８８または１１９０を対応する椎骨１０１に取り付けることを可能にするような大きさに作ることができる。従って、Ｉαを椎骨１０１の測定値に基づいて決定する必要はないが、代わりに上小関節面人工器具１１００，１１６２，１１６４，１１６６または１１６８の選択に基づいて推論し、取り付け中に調整することができる。

下小関節面角度Ｉβは、関節面１１７４がほとんど平行である面の角度として定めることができる。下小関節面人工器具１１８０，１１８２，１１８４，１１８６，１１８８または１１９０の形状のため、図５１の上小関節面人工器具１１００の座標系に従って測定した場合、この角度は、下切除面感度Ｉαと同じになる。

下椎弓根軸線１１７０は、切除された下小関節面（図示せず）の最も近くに椎弓根１１を介して配された固定要素１１１０の長手方向軸線と同一線形順序に並んでいる軸線である。この軸線は、下ｙオフセット(Ｙ)の方向と平行である。下ｘオフセット(Ｘ)の方向は、下ｙオフセット(Ｙ)の方向と直交する。ｘオフセット(Ｘ)の方向は、患者の脊椎の中心軸線に対してほぼ外側から内側の方向である。下オフセット(Ｚ)の方向は、ほぼ頭方向から尾の方向である。

下小関節面人工器具１１８０についての下ｘオフセット(Ｘ)は、０mmから２０mmまでの範囲に及ぶことができる。しかしながら、大部分の患者について下ｘオフセット(Ｘ)は、２mmから１６mmまでの範囲になる。従って、下小関節面人工器具１１８０のグループには、２mm刻みの増分で変化するｘオフセット(Ｘ)を与えることができる。従って、下小関節面人工器具１１８０を必要とする患者人口の大部分についての統計範囲を網羅する下小関節面人工器具１１８０をもたらすため、下小関節面人工器具１１８０の組には２mm，４mm，６mm，８mm，１０mm，１２mm，１４mmおよび１６mmの下ｘオフセット(Ｘ)を与えることができる。

下小関節面人工器具１１８０についての下ｙオフセット(Ｙ)は、−１５mmから５mmまでの範囲に及ぶことができる。しかしながら、大部分の患者について下ｙオフセット(Ｙ)は、−１２mmから４mmまでの範囲になる。従って、下小関節面人工器具１１８０のグループには、２mm刻みの増分で変化する下ｙオフセット(Ｙ)を与えることができる。従って、下小関節面人工器具１１８０を必要とする患者人口の大部分についての統計範囲を網羅する下小関節面人工器具１１８０をもたらすため、下小関節面人工器具１１８０の組には−１２mm，−１０mm，−８mm，−６mm，−４mm，−２mm，０mm，２mmおよび４mmの下ｙオフセット(Ｙ)を与えることができる。

下小関節面人工器具１１８０についての下小関節面関節半径(ＩＲ)は、５mmから３０mmまでの範囲に及ぶことができる。しかしながら、大部分の患者について下小関節面関節半径(ＩＲ)は、１０mmから１５mmまでの範囲になる。前述の範囲を網羅するため、増加させた下人工器具のグループをもたらすことができる。代替的に、下小関節面関節半径(ＩＲ)を例えば１２mmのような所定の値に設定することができ、こうした値をほぼ全ての場合に用いることができる。

下小関節面人工器具１１８０についての下ｚオフセット(Ｚ)は、２０mmから４０mmまでの範囲に及ぶことができる。しかしながら、大部分の患者について下ｚオフセット(Ｚ)は、２５mmから３１mmまでの範囲になる。従って、下小関節面人工器具１１８０のグループには、１mm刻みの増分で変化する下ｚオフセット(Ｚ)を与えることができる。従って、下小関節面人工器具１１８０を必要とする患者人口の大部分についての統計範囲を網羅する下小関節面人工器具１１８０をもたらすため、下小関節面人工器具１１８０の組には２５mm，２６mm，２７mm，２８mm，２９mm，３０mmおよび３１mmの下ｚオフセット(Ｚ)を与えることができる。

所望であれば、１０個の下小関節面人工器具を有するキットを組み立てることができる。図５３Ａの人工器具１１００，１１６２，１１６４，１１６６，１１６８と同様に、図５３Ｄの人工器具１８００，１１８２，１１８４，１１８６，１１８８，１８９０は、単純に拡大縮小されるものではないが、Ｌ４椎骨および/または他の椎骨において生じる形態の圧倒的多数を網羅するように、注意深く選択された多数のパラメータによって変えられる。

図５３Ａの人工器具１１００，１１６２，１１６４，１１６６，１１６８および/または図５３Ｄの人工器具１８００，１１８２，１１８４，１１８６，１１８８，１８９０は、相互に独立してキットの部材間で変わる少なくとも２つの寸法を具えることができる。相互に関係なく変化する寸法は、寸法間の何らかの確立された関係によって変化する必要はないが、代わりにキットの何れかの２つの人工器具間で一方が変化し、他方が同じままであってもよい。

図５３Ｅは、上小関節面人工器具１１００および下小関節面人工器具１１８０が相互にどのように嵌まるかを示す斜視図である。外科医は、患者の生体組織に最も適切に接触することに加え、選択された上小関節面人工器具の関節面と関節をなすように適合された関節面を有する下小関節面人工器具を選択する。

図５３Ｆは、Ｌ５腰椎１０２に取り付けられた上小関節面人工器具１１００およびＬ４腰椎１０１に取り付けられた下小関節面人工器具１２０４の背面図である。図５３Ｆにおいて、上小関節面人工器具１１００は、Ｌ５椎骨１０２の左側に取り付けられ、下小関節面人工器具１２０４は、左Ｌ４椎骨１０１に取り付けられる。２つの人工器具１１００，１２０４は、それぞれの骨切除部分上に配置され、Ｌ４椎骨１０１とＬ５椎骨１０２との間に自然に示される関節可動域により相互に関節をなすように向きされる。この関節可動域は、屈曲−伸展，外側の左右の曲げ，矢状軸線に沿ったねじれおよびこれらの関節可動域の全ての組み合わせおよび連結を具えている。

図５３Ｆは、自然な位置にある人工器具１１００，１２０４および椎骨１０１，１０２を示している。自然な位置における下人工器具１２０４の関節面１１７４および上人工器具１１００の関節面１１２２は、接触した状態にある。しかしながら、人工器具１１００，１２０４は、種々の解剖学的関節可動域の全体に亙り、下小関節面関節面１１７４と上小関節面関節面１１２２との間の解剖学的接触および連結を可能にするように形成されている。

上小関節面関節面１１２２および下小関節面関節面１１７４の接触域を通る軸線（図示せず）に沿って交差する「表面１」および「表面２」と表記された２つの面も、図５３Ｆに示されている。表面１は、図５３Ｆの紙面と平行であり、表面２は、紙面に対して直交している。

図５３Ｇは、図５３Ｆに示した面と同じ下小関節面人工器具１１００および上小関節面人工器具１２０４の後方側面図である。図５３Ｇにおいて、表面２は、紙面と平行に向き、表面１は、紙面ジに対して垂直に向いている。図５３Ｇは、上小関節面人工器具１１００が連結される椎骨１０２の鞍点(Ｓ１)と、下小関節面人工器具１２０４が連結される椎骨１０１の鞍点(Ｓ２)とを示している。鞍点Ｓ１，Ｓ２は、表面１および表面２が交差する軸線と平行なｘオフセット(ＩＸ)，表面２に対してまたは図５３Ｇに対してページから垂直に延在するｙオフセット(ＩＹ)および表面１に対して垂直に延在するｚオフセット(ＩＺ)に沿って相互に移動する。次に説明するように、オフセットＩＸ，ＩＹおよびＩＺをインプラントの寸法処理および/または選択のために用いることができる。

図５３Ｈは、表面２に沿った断面を示す後方側面図である。この断面図は、人工器具１１００，１２０４の関節面１１２２，１１７４を貫通し、これにより上関節面１１２２の凹形状に対する下関節面の凸形状が示される。

図５３Ｈはまた、上小関節面人工器具１１００の関節面１１２２の頭方端１２５０および尾方端１２５２を示す。関節面１１２２は、全体的に軸線１２５６を中心として曲率半径１２５４を有する。しかしながら、曲率半径１２５４は、関節面１１２２に沿って変化するので、軸線１２５６は、関節面１１２２の一部についてだけの曲率中心とすることができる。図５３Ｈにおいて、曲率半径１２５４は、軸線１２５６から関節面１１２２まで延在するものとして示される。さらに、図５３Ｈは、一般的な形で脊椎の長手方向軸線１２５８を示している。軸線１２５６は、オフセット角１２５９だけ軸線１２５８から傾斜している。軸線１２５６および軸線１２５８は、両方とも表面２と正確に平行ではないので、オフセット角１２５９は、図５３Ｈの図に対して紙面から延在する部品を有することができる。

図５３Ｉは、表面１に沿った断面を示す頭方向の図である。この断面は、人工器具の関節面１１２２，１１７４を貫通し、上関節面１１２２の凹形状に対する下関節面１１７４の凸形状を示す。関節面１１２２，１１７４の各々は、湾曲形状を有する。上人工器具１１００の関節面１１２２および下人工器具１２０４の関節面１１７４は、相互に関節をなすように形成され、相対的に配置されるので、脊椎の屈曲（すなわち、前方の曲げ）と共に、第１の椎骨１０１と第２の椎骨１０２との間の相対的な内側−外側関節可動域が著しく増大する。

内側−外側関節可動域の「著しい」増大は、患者が気付くのに充分な程度まで脊椎の自然可動域に近づく関節可動域の相違を指す。より正確には、「著しい」増大は、伸展された同じ椎間関節と比べて屈曲した椎間関節の関節面間に少なくとも１ミリメートルの付加的な隙間が存在することを言う。さらに、内側−外側関節可動域の「著しい」増大は、関節面間に少なくとも２ミリメートルの付加的な隙間が存在することを言う。

図５３Ｈに示すように、例えば上小関節面人工器具１１００の関節面１１２２の如き関節面１１２２，１１７４の一方が、頭方端１２５０および尾端部１２５２を有する。関節面１１２２はまた、ほぼ頭方端１２５０から尾方端１２５２まで延在する軸線１２５６を中心として曲率半径１２５４も有する。曲率半径１２５４は、軸線１２５６に沿って変化し、脊椎の屈曲時に関節面１１２２と１１７４の間により大きな隙間をもたらす。同様に、曲率半径１２５４の変化は、脊椎の伸展時に関節面１１２２と１１７４との間により少ない隙間をもたらす。

本実施形態において、上小関節面人工器具１１００を椎骨に連結した場合、脊椎の屈曲時に関節面１１２２と１１７４との間により大きな隙間をもたらすように、頭方端１２５０において軸線１２５６が前方に著しく傾斜される。頭方端１２５０から尾方端１２５２までの曲率半径１２５４の変化に加えてまたはこれに代わるものとして、曲率半径１２５４は、関節面の内側−外側方向に沿って変化し得る。

より正確には、再び図５１を簡単に参照すると、曲率半径は、中央部１２６４よって関節面１１２２の内側端１２６０および外側端１２６２に向けて大きくすることができる。曲率半径はまた、内側端および外側端の方向に実質的に無限であり、上人工器具の関節面は、中央部１２６４の近くの湾曲領域１２６８と、湾曲領域１２６８の内側に配置されてこれに接する第１の接平坦部１２７０と、湾曲領域１２６８の外側に配置されてこれに接する第２の接平坦部１２７２とを有する。

所望であれば、下小関節面人工器具は、３次元に湾曲したほぼ楕円形の形状を有する関節面を持つことができる。３次元に湾曲したほぼ楕円形の形状は、伸展した球状などの外観を有することができる。従って、３次元に湾曲したほぼ楕円形の形状は、ほぼ楕円形状を有する第１の断面と、半円形状を有し、第１の断面と直交する第２の断面とを有する。代替的に、例えば図４０，図５３Ｂおよび図５３Ｃと関連して示すように、下小関節面人工器具は、ほぼ円筒形状または半円形状を有する関節面を持つことができる。上小関節面人工器具の関節面は、均一のほぼ変わらない曲率半径を有することができる。

１つの代替的な実施形態によると、上小関節面人工器具の関節面は、均一なほぼ変わらない曲率半径を有する。下小関節面人工器具の曲率のために、椎骨と隣接する椎骨との間の相対的な内側−外側運動は、脊椎の屈曲と共に著しく増大する。下小関節面人工器具の関節面の曲率半径は、その軸線に沿って頭方向−尾方向または内側−外側方向に沿って変化し、脊椎の屈曲時に関節面の間により大きな隙間をもたらすことができる。さらに別の代替物によると、内側−外側方向の動きのばらつきは、変化する曲率半径によってではなく、むしろ上小関節面人工器具および下小関節面人工器具の相対的な位置決めによって得ることができる。

図５３Ｆ，図５３Ｇ，図５３Ｈおよび図５３Ｉを参照すると、人工器具１１００，１２０４の関節面を構成するために用いられる材料は、ポリマー材料，金属基材に取り付けられたポリマー軸受材料，セラミック軸受材料，金属軸受材料およびこれらの組み合わせからなるグループから選択することができる。種々の表面コーティング，表面処理などを用いて、人工器具１１００，１２０４の性能および/または寿命を向上させることができる。

上小関節面人工器具１１００を椎骨１０２に連結した場合、軸線１２５６が脊椎の長手方向軸線（図示せず）から著しく前方に傾斜し、脊椎の屈曲時に関節面１１２２と１１７４との間に大きな隙間をもたらすように、上小関節面人工器具１１００を形成することができる。本出願において、「著しく前方に傾斜する」というのは、対応する人工器具が一部である椎間関節に重要な影響を持つ脊椎の長手方向軸線からの意図的なオフセットの存在を言う。

再び図５１および図５３Ｇを参照すると、下小関節面人工器具および上小関節面人工器具を選択する１つの方法が説明される。上小関節面人工器具のキットの適切な人工器具は、例えば鞍点Ｓ１からの周知の変位において、椎骨１０２の椎弓根軸線１１７０に沿った位置の中心に半円形の切除部分を形成することによって選択することができる。図５１に示したＸ1およびＸ2の如き特定のオフセットは、鞍点Ｓ１と最内側前方点Ｐ１との間で測定することができる。

Ｘ1およびＸ2に基づき、切除角度αおよび小関節面角度βの値を得ることができる。αおよびβの値を使用し、例えば参照テーブルなどにおけるαおよびβの値を調べることにより、キットの適切な上小関節面人工器具を選択することができる。従って、選択された上小関節面人工器具の残りの寸法は、αおよびβの組み合わせに基づいて決定することができる。

下小関節面人工器具のキットの適切な人工器具は、限られた数の測定を行うことによって選択することもできる。より正確には、半円形の切除部分は、鞍点Ｓ２から周知の変位において、椎骨１０１の椎弓根軸線に沿った中心の位置に形成することができる。鞍点Ｓ１の切除部分と鞍点Ｓ２の切除部分との間でオフセットＩＸ，ＩＹおよびＩＺの１つまたは複数を測定することができる。

得られたＩＸ，ＩＹおよび/またはＩＺの値に基づき、（図５３Ｃに示す如き）ＩαおよびＺの値が決定される。ＩαおよびＺの値を用い、例えば参照テーブルなどにおけるＩαおよびＺの値を調べることにより、キットの適切な上小関節面人工器具を選択することができる。従って、選択された上小関節面人工器具の残りの寸法は、ＩαおよびＺの組み合わせに基づいて決定することができる。

比較的少数の直線的測定を行って所定の患者に対しどの組の人工器具が最適であるかを決定することができるので、上述の選択方法は有利なものである。通常、手術中に測定を行わなければならないので、測定の容易さは重要である。従って、より容易かつより迅速な測定により、手術をより迅速かつ安全に行うことが可能になる。代替的な実施形態において、異なる測定計画を行うことができ、これらの異なる測定計画は、異なる直線的測定，角度測定などを具えることができる。本出願において、骨境界の「相対的位置」の測定は、直線変位，角変位またはこれらの何れかの組み合わせを具えることができる。

代替的な実施形態において、上人工器具および/または下人工器具のキットは、多数の一体の人工器具を有する必要はないが、代わりに必要なパラメータを有する人工器具をもたらすように、相互に組み立てられるように設計された多数の部品を有することができる。例えば、複数の半球形の骨接触部分の各々は、複数の連結部材を介して複数の関節面の何れかに接続可能である。次に、人工器具の選択は、骨接触部分，関節面および連結部材の選択を必要とし得る。次に、止めねじ，接着剤，締まり嵌めなどを介して骨接触部分，関節面および連結部材を相互に連結することができる。

所望であれば、選択された人工器具の寸法のさらなる調整機能を可能にするように、種々の部品を相互に取り付ける方法も調整可能である。図１６と関連して説明されるように、このようなキットの部品は、座面のような付加的な部品を具えることもできる。さらに別の代替として、例えばレバー作動式手動プレスや油圧プレスなどを用い、単一の人工器具を調整可能に変形させ、患者の椎骨に取り付ける前に所望の大きさをもたらすことができる。

椎骨内に半球形切除部分１１４６が形成され、対応する人工器具が選択された後、図４８の第１の切除面１１１２のような平坦な切除部分を形成することができる。平坦な切除部分は、半球形切除部分１１４６と連続していてもよく、または切除されていない骨の膨張によって半球形切除部分１１４６から分離させることもできる。どの人工器具を用いるかの決定は、選択された人工器具を適切に受けるために平坦な切除部分の適切な配置を外科医に示すこともできる。平坦な切除部分が形成された後、選択された人工器具を椎骨に取り付けることができる。この手順は、上小関節面人工器具および下小関節面人工器具の取り付けについて上述したものと同じか、または類似したものである。

図５４は、本来の位置にある両側下小関節面人工器具システム１２００の背面図である。両側下小関節面人工器具システム１２００は、安定化バー１２１０の形態を取ることができるクロスリンクによって連結された右下小関節面人工器具１２０２および左下小関節面人工器具１２０４の両方を有する多部品の下小関節面人工器具および上小関節面人工器具である。右下小関節面人工器具１２０２および左下小関節面人工器具１２０４の両方は、それぞれの下小関節面の切除面１２１（図１９）において上部椎骨１０１に取り付けられるように設計されている。

両側下小関節面人工器具１２０２，１２０４は、左側下小関節面および右側下小関節面の両方の置き換えを可能にする。本実施形態において、下人工器具は、上部椎骨１０１内に延在する左固定要素１２３２および右固定要素１２３４の上に配置される。図５４に示した実施形態において、右下側は、下部椎骨１０２の第１の切除面１１１２（図４９）に取り付けられた右上小関節面人工器具１１００に対して関節を形成する。本実施形態においても、左下小関節面人工器具１２０４は、下部椎骨１０２の左自然上小関節面に対して関節を形成する。

両側下小関節面人工器具システム１２００の安定化バー１２１０は、左下小関節面人工器具１２０４および右下小関節面人工器具１２０２を安定化するように設計され、これらを固定する。安定化バー１２１０はまた、脊椎板または切除された下小関節面組織に安定化部材を連結することを必要とするのではなく、左下小関節面人工器具１２０４および右下小関節面人工器具１２０２が相互に支持することも可能にする。さらに、安定化バー１２１０は、左下小関節面人工器具１２０４および右下小関節面人工器具１２０２を切除された骨に対して押し付け、骨成長および骨付着を改善することができる。

同じく図５４に示すように、安定化バー１２１０は、把持機構によって左下小関節面人工器具１２０４および右下小関節面人工器具１２０２に連結される。把持機構は、クリップ，クランプ，接着連結，ねじ付きファスナなどを含む種々の構造体の何れかを具えることができる。図５４の実施形態において、把持機構は、安定化バー１２１０に係合し、溝ロッド接合部を形成する前部フランジ１２１２および後部フランジ１２１４を具えることができる。前部フランジ１２１２および後部フランジ１２１４は、ねじ込まれたターンバックル１２１６，１２１８により相互に押し付けられ、安定化バー１２１０をこれらの間に締め付ける。

フランジ１２１２，１２１４の締め付け動作は、左下小関節面人工器具１２０４と右下小関節面人工器具１２０２との間の距離を調整し、患者の生体組織に最も良く適合させることを可能にする。手術中、外科医は、工具（図示せず）を用いて左下小関節面人工器具１２０４および右下小関節面人工器具１２０２を所望の位置に押し付け、次にターンバックル１２１６，１２１８を締め付け、安定化バー１２１０を固定する。

図５５は、両側下小関節面人工器具システム１２００の斜視図である。右下小関節面人工器具１２０２は、上小関節面人工器具１１００の関節面１１２２に係合する凸状の関節面１２２０を含む。一実施形態において、上小関節面人工器具１１００の関節面１１２２は、凹形状を有する（図４７，図５１）。

本出願において、「凸状」という用語は、３次元の湾曲を有し、外方に膨らむ面を言う。従って、凸状面は、単に円柱の扇形部分だけでなく、むしろ２つの直交方向に沿った何らかの外方の湾曲を有するものである。凸状面は、「半球形」とすることができ、すなわち言い換えれば半球よりも小さな球体の何らかの扇形部分を具えることができる。しかしながら、凸状面は、半球形である必要はなく、代わりに卵形，楕円形，放物線状および/または不規則な断面形状の部分をもたらす輪郭を有することができる。凸状面はまた、全体または一部を湾曲させる必要はなく、代わりに１つまたは複数の平坦部分を有することもできる。

本出願において「凹状」という用語は、中央部の両側に配置された少なくとも２つの周辺部分に対して凹ませられた中央部を有する面を言う。凹状面は、平坦な領域，曲線またはこれらの組み合わせによって形成することができる。円筒形の壁の内側部分によって定められる面と同様に、中央部は、１次元にのみ沿って凹ませることができる。代替的に、中央部は、直交する２次元に沿って凹ませることができるので、この中央部は、中央部の周りに配置された少なくとも４つの周辺部分に対して凹ませられる。従って、この面は、半球形部分，３次元の放物線または楕円形部分あるいは他の何らかの３次元の湾曲形状を具えることができる。

別の代替として、凹状面の中央部は、一方向に沿って凹ませ、直交方向に対して膨らませることができるので、凹状面は、ロープを受けるように設計された滑車の丸い溝のものと類似した形状を取ることができる。凸状面と同様に、凹状面は、全体または一部を湾曲させる必要はなく、代わりに１つまたは複数の平坦部分を有することができる。

図５６は、両側下小関節面人工器具システム１２００および上小関節面人工器具１１００の側面図である。右下小関節面人工器具１２０２は、フランジ１２１２，１２１４が固定部材１２３０を含む。示される実施形態において、部材１２３０は、フランジ１２１２，１２１４が固定して球関節を形成するボール形状の部材１２３０である。球関節および溝−ロッド継手により、左下人工器具１２０４および右下人工器具１２０２の可変の位置決めに対して多数の自由度が与えられる。より正確には、フランジ１２１２，１２１４が部材１２３０の周りに押し付けられ、さらなる相対回転を阻むまで球関節によって三軸の回転、すなわち３つの直交軸線を中心として回転することが可能になる。

球関節は、前方向／後方向および頭方向／尾方向に沿った下人工器具１２０２，１２０４間の相対的な動きを可能にするものである。溝−ロッド継手は、外側方向／内側方向に沿った下人工器具１２０２，１２０４間の相対的な動きを可能にする。しかしながら、ターンバックル１２１６，１２１８が締め付けられると、下人工器具１２０２，１２０４のボール状部材１２３０間の変位が固定され、もはやボール状部材１２０は、フランジ１２１２，１２１４に対して自由に旋回することができなくなる。従って、ターンバックル１２１６，１２１８を締め付けることにより、下人工器具１２０２，１２０４の相対的な位置決めおよび向きを固定することができる。

代替的な実施形態が、ボール形状の部材１２３０を代替的な部材に係合するように適合された様々な形状の部材（図示せず）およびフランジと置き換える。固定する前に左下人工器具１２０４および右下人工器具１２０２とフランジ１２１２，１２１４との間で一定範囲の調整機能および運動を可能にする他の可能な形状は、これらに限られるものではないが、円柱形状およびリング形状を含む。

図５６に示したボール状部材１２３０には、いくつかの窪みが形成されている。フランジ１２１２，１２１４の圧縮時に、フランジは、変形して窪みを形成し、これらの間の連結および滑りへの抵抗を強める。ボール状部材１２３０の代替的な実施形態は、フランジ１２１２，１２１４を「腐食」させるように形成された周方向または軸線方向のスプライン（図６３）を有する。ボール状部材１２３０の他の代替的な面機構は、ローレット目，こぶ，溝，切子面および上記の何れかの組み合わせを含む。

同様に、安定化バー１２１０は、フランジ１２１２，１２１４の連結を強化するための表面性状を有することができる。例示的な表面性状は、長手方向のスプライン，ローレット目，窪み，こぶおよび溝を具えている。スプラインは、フランジ１２１２，１２１４に対する安定化バー１２１０の回転を防止するものである。ローレット目は、フランジ１２１２，１２１４に対する安定化バー１２１０の回転および並進の両方を防止する。

連結をさらに強化するため、フランジ１２１２，１２１４は、安定化バー１２１０およびボール状部材１２３０のものよりも軟質の材料で作ることができる。安定化バー１２１０およびボール状部材１２３０についての例示的な材料は、コバルト−クロム(Ｃo−Ｃr)合金，チタン(Ｔi)およびステンレス鋼合金である。しかしながら、ＰＥＥＫおよびＰＥＡＫを含む剛性ポリマーの如き他の生体適合性材料を安定化バー１２１０および/またはボール状部材１２３０の形状に成形することもできる。１つの代替的な実施形態において、フランジ１２１２，１２１４は、左下人工器具１２０４および右下人工器具１２０２と一体形成されるか、またはこれらに剛に取り付けられる。

再び図５４を参照すると、安定化バー１２１０に係合するフランジ１２１２，１２１４の端部は、相互に角度が付けられている。この角度付けは、周囲の骨への干渉および上小関節面または上小関節面人工器具１１００への干渉を回避する。

引き続き図５４を参照すると、ターンバックル１２１６，１２１８の頭部寸法が変化し得ることが分かる。図示のように、ターンバックル１２１６は、ターンバックル１２１８よりも大きい。ターンバックル１２１６のより大きい頭部は、外科医がターンバックル１２１６により大きなトルクをかけることを可能にし、これによりフランジ１２１２，１２１４を安定化バー１２１０によりしっかりと連結することが可能になる。ターンバックル１２１８のより小さな頭部は、ターンバックル１２１６のより大きな頭部と比べ、患者の外科的部位内で必要とする空間が少ない。従って、外科医は、所望の大きさを有するターンバックル頭部を選択し、より多くのトルクが加えられる大きな頭部と、空間的要件が減少したより小さい頭部を比較検討する。

代替的な実施形態は、安定化バー１２１０を生体適合性材料のケーブルの如き可撓性リンクと置き換えている。さらに別の代替的な実施形態は、ねじ付き端部を有する安定化バーを含む。フランジを挟む代わりに、安定化バーのねじ付き端部は、左下人工器具１２０４および右下人工器具１２０２のフランジを通って延在する。ねじ付きファスナが安定化バーのねじ付き端部に係合する。次に、ねじ付きファスナが締め付けられ、左下人工器具１２０４および右下人工器具１２０２を所望のように位置決めする。別の変形において、安定化バーは、この安定化バーのねじ山がフランジの固定されたねじ部に係合するように回転される。

図５７は、両側下小関節面人工器具システム１２００の頭側の図である。

図５８は、本来の位置にある両側下小関節面人工器具システム１２００の原位置底面図である。

図５９は、分離した両側下小関節面人工器具システム１２００の背面図である。

図６０は、両側下小関節面人工器具システム１２００の平面図である。

図６１は、両側下小関節面人工器具システム１２００の底面図である。

図６２は、右下人工器具１２０２の斜視図である。

図６３および図６４は、それぞれ部材１２３０の代わりに下人工器具１２０２，１２０４内に具えることができ、特に周方向溝１３０２，長手方向溝１３０４およびローレット目１３０６といった異なる表面性状を有する種々のボール状部材１２４０，１２４２，１２４４の斜視図および端面図である。

図６５は、溝付きナット１３２０が左右の固定要素１２３２，１２３４および固定要素１１１０に取り付けられた両側下小関節面人工器具システム１２００の頭側の図である。

種々の実施形態が上記に説明されたが、これらは制限としてではなく、ほんの一例として示されたものであることを理解すべきである。従って、本発明の広さおよび範囲は、上述の例示的な実施形態の何れかによって制限されるべきではなく、上記の特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定められるべきである。

脊椎の部分の斜視図である。 本発明に従って再構成された椎間関節の側面図である。 図２に示した椎間関節の背面図である。 図２および図３に示した移植された左下小関節面人工器具の斜視図である。 図２および図３に示した左下小関節面人工器具の斜視図である。 図２および図３に示した移植された左上小関節面人工器具の頭側の図である。 図２および図３に示した左上小関節面人工器具の斜視図である。 代替的な移植された左下小関節面人工器具の斜視図である。 代替的な左下小関節面人工器具の斜視図である。 代替的な再構成された椎間関節の側面図である。 代替的な再構成された椎間関節の背面図である。 図１０および図１１に示した移植された左下小関節面人工器具の斜視図である。 図１０および図１１に示した代替的な左下小関節面人工器具の斜視図である。 図１０および図１１に示した代替的な移植された左下小関節面人工器具の頭側の図である。 図１０および図１１に示した代替的な左下小関節面人工器具の斜視図である。 図１５に示した上小関節面人工器具の代替的な座面の斜視図である。 単一の完全な状態の椎骨の背面図である。 図１７に示した同じ完全な状態の椎骨の側面図である。 上小関節面の部分および下小関節面の部分が切除された状態の図１７および図１８と同じ椎骨の背面図である。 図１９に示した切除された椎骨の側面図である。 固定要素が第１の上切除面を通して椎弓根の骨内に配置された図１８および図１９に示したものと同じ切除された椎骨の背面図である。 切除された椎骨，固定要素および上小関節面人工器具を示す背面図である。 下小関節面人工器具の付加も示す図２２の椎骨およびインプラントの背面図である。 固定ナットの形状を有する拡大頭部の付加も示す、図２３のインプラントおよび椎骨の背面図である。 固定要素，上小関節面人工器具および固定ナットを含む組み立てられたインプラントを有する椎骨の斜視図である。 断面が固定要素の軸線と位置合わせされた図２５の同じ椎骨およびインプラントの斜視断面図である。 図２６におけるように配置された断面を有する図２５の椎骨およびインプラントの頭側から見た断面図である。 固定要素の実施形態Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，ＥおよびＦの側面図、実施形態Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，ＥおよびＦの各々の断面図、および固定ナットの形状の拡大頭部の側面図である。 取り付けられた拡大頭部を有する実施形態Ｇ，Ｈ，Ｉ，Ｊ，ＫおよびＬの側面図、並びに実施形態Ｇ，Ｈ，Ｉ，Ｊ，ＫおよびＬの各々の断面図である。 膨張していない状態の半径方向に膨張する固定要素の斜視図である。 (ｉ)膨張された半径方向に膨張する固定要素および(ｉｉ)膨張されていない半径方向に膨張する固定要素の斜視図である。 椎骨と、固定要素をねじれ方向および軸線方向に固定するクロスピンを示す、椎骨および小関節面インプラントの斜視図である。 上部椎骨と中間椎骨の間および中間椎骨と下部椎骨の間の両方とも、脊椎部分の右側で片側の小関節面が置き換えられた上部椎骨，中間椎骨および下部椎骨を示す脊椎部分の背面図である。 上部椎骨と中間椎骨との間の上小関節面半関節形成術置換、および中間椎骨と下部椎骨との間の片側置換を示す脊椎部分の背面図である。 上部椎骨と中間椎骨との間の下小関節面半関節形成術置換、および中間椎骨と下部椎骨との間の右側の片側置換を示す脊椎部分の背面図である。 右側における上部椎骨と中間椎骨との間の片側置換、および同じ側における中間椎骨と下部椎骨との間の下小関節面半関節形成術置換を示す脊椎部分の背面図である。 右側における上部椎骨と中間椎骨との間の片側置換、および同じ側における中間椎骨と下部椎骨との間の上小関節面半関節形成術置換を示す脊椎部分の背面図である。 上部椎骨の１つの下小関節面と、関節面インプラントによって置き換えられた下部椎骨の隣接する上小関節面とを示す２つの椎骨の脊椎部分である。 湾曲した上小関節面人工器具の斜視図である。 骨成長面を有する上小関節面人工器具の斜視図である。 下小関節面人工器具の斜視図である。 骨成長面を有する下小関節面人工器具の斜視図である。 図２５に示した構成への固定座金の付加を示す拡大斜視図である。 固定座金が完全に取り付けられた状態の図２５のインプラントを示す斜視図である。 図４２に示した固定座金の斜視図である。 可撓性固定要素によって椎骨に対して保持される上小関節面人工器具および下小関節面人工器具の斜視図である。 両側下インプラントの背面図である。 固定の一実施形態によって骨に固定された上小関節面人工器具の代替的な実施形態を有する椎骨の斜視図である。 切除部分の半球形状と、上小関節面人工器具の付着側のほぼ類似した半球形状と、半球形切除部分と共に上小関節面人工器具の付着側の角度が付いた切除部分と、対応する傾斜面とを示す上小関節面人工器具および図４７の固定要素の実施形態の斜視断面図である。 固定要素が椎骨内に取り付けられている椎骨に取り付けられた上小関節面人工器具なしの切除された椎骨の斜視図である。 固定要素が椎骨内に取り付けられているが、図４７に示した固定ファスナがない椎骨に取り付けられた上小関節面人工器具を有する切除された椎骨の斜視図である。 骨付着側上小関節面人工器具の傾斜面と共に骨付着側の半球形状を示す上小関節面人工器具の平面図である。 固定要素および固定ナットまたは下人工器具および固定要素に連結するように設計された領域の上部にある半球形ナット係合面を示す上小関節面人工器具の背面図である。 キットの複数の上小関節面人工器具の背面図および斜視図である。 本発明の一実施形態による下小関節面人工器具の平面図である。 図５３Ｂの下小関節面人工器具の側面図である。 キットの複数の下小関節面人工器具の斜視図である。 上小関節面人工器具および下小関節面人工器具がどのように相互に嵌合するかを示す斜視図である。 相互に関節をなすように隣接する椎骨上小関節面人工器具に嵌められたＬ５の上小関節面人工器具およびＬ４の下小関節面人工器具の背面図である。 図５３Ｆに示したインプラントおよび椎骨の後方側面図である。 図５３Ｆのインプラントの関節を通る第１の面に沿った断面を示す後方側面図である。 図５３Ｆに示したインプラントの関節を通る第２の面に断面を示す頭側の図である。 本来の位置にある両側下小関節面人工器具システムおよび上小関節面人工器具の背面図である。 図５４の両側下小関節面人工器具システムおよび上小関節面人工器具の斜視図である。 本来の位置にある両側下小関節面人工器具システムおよび上小関節面人工器具の側面図である。 本来の位置にある両側下小関節面人工器具システムの頭側の図である。 本来の位置にある両側下小関節面人工器具システムの原位置底面図である。 分離した両側下小関節面人工器具システムの背面図である。 分離した両側下小関節面人工器具システムの平面図である。 分離した両側下小関節面人工器具システムの底面図である。 右下人工器具の斜視図である。 異なる表面性状、特に周方向溝，長手方向溝およびローレット目を有する、下人工器具の種々のボール状部材の斜視図である。 図６３のボール状部材の端面図である。 溝付きナットが左右の固定要素に取り付けられた両側下小関節面人工器具システムの背面図である。

Claims (14)

1. 哺乳類の椎骨の小関節面の少なくとも一部を置き換えるためのインプラントであって、
   椎骨内に移植可能な固定要素と、
   椎骨に連結されるように形成された連結部であって、この連結部は、切除部分に対する当該連結部の固定前に切除部分に対する該連結部の多軸回転を選択的に可能にするように、椎骨の切除部分に係合するように形成された湾曲した骨係合面を有し、この湾曲した骨係合面が前記固定要素を受けるように形成された開口部に交差する曲率半径を有する連結部と、
   この連結部を切除部分に連結するためのファスナであって、当該ファスナは該ファスナを直接前記固定要素に連結する連結機構を有し、該ファスナは前記連結部に対して押し当たるインプラント係合端部をさらに有し、前記インプラント係合端部が前記連結部のファスナ係合面にほぼ適合した形状を有するファスナと、
   前記連結部に装着され、第２の小関節面に対して関節をなすように形成されると共に配される関節面と
   を具えたことを特徴とするインプラント。
2. 前記固定要素は、骨成長を促進する多孔質コーティングを具えていることを特徴とする請求項１に記載のインプラント。
3. 前記連結部の骨係合面は、骨成長を促進する多孔質コーティングを具えていることを特徴とする請求項１に記載のインプラント。
4. 前記骨係合面は、前記切除部分に係合するように形成され、椎骨に対する前記連結部の３軸回転を選択的に可能にすることを特徴とする請求項１に記載のインプラント。
5. 前記連結部の骨係合面が椎骨内に突出する形状であり、前記切除部分の逆形状部分に係合することを特徴とする請求項４に記載のインプラント。
6. 前記連結部の骨係合面がほぼ半球形状を有し、前記切除部分の逆形状部分は、ほぼ半球形状を具えていることを特徴とする請求項５に記載のインプラント。
7. 前記連結部が前記固定要素に対して選択的に多軸運動可能であることを特徴とする請求項４に記載のインプラント。
8. 前記インプラント係合端部は、圧力を受けた場合に隣接する前記連結部のファスナ係合面に対して合致するように変形可能であることを特徴とする請求項１に記載のインプラント。
9. 前記関節面は、金属基材に装着されるポリマー軸受材料，セラミック軸受材料，金属軸受材料およびこれらの組み合わせからなるグループから選択された材料にて構成されていることを特徴とする請求項１に記載のインプラント。
10. 前記関節面は、椎骨の比較的近くに配された基端部と、椎骨から比較的遠くに配された末端部とを具え、この関節面は、前記基端部および前記末端部の両方が前記連結部から離れて延在するように湾曲していることを特徴とする請求項９に記載のインプラント。
11. 前記関節面が凸形状を具えていることを特徴とする請求項１に記載のインプラント。
12. 前記固定要素およびこの固定要素に連結されるナットからなるグループから選択される部品は、前記切除部分に対して前記骨接触面の位置および向きを固定するように作動可能であることを特徴とする請求項１に記載のインプラント。
13. 前記連結部は、前記固定要素から分離されると共に前記固定要素により椎骨に対して把持されるように形成されていることを特徴とする請求項１に記載のインプラント。
14. 前記連結機構がねじを具えていることを特徴とする請求項１に記載のインプラント。

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