JP4956949B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、情報表示端末などのディスプレイや面発光光源として幅広い用途が期待される有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子とする)に関するものである。
近年、情報表示端末のディスプレイ用途として、大小の光学式表示装置が使用されるようになってきている。中でも、有機EL素子を用いた表示装置は、自発光型であるため応答速度が速く、消費電力が低いことから次世代のディスプレイとして注目されている。
有機EL素子は有機発光材料を含む発光層を、第一の電極と第二の電極で挟んだ単純な基本構造をしている。この電極間に電圧を印加し、一方の電極から注入されるホールと、他方の電極から注入される電子とが発光層内で再結合する際に生じる光を画像表示や光源として用いるというものである。
情報表示端末として、より大きく、より画素数が多いディスプレイが望まれている。また、応答速度が速く、消費電力の小さい方が好ましい。これらの問題に対応するためには、有機EL素子を薄膜トランジスタ(TFT)を用いたいわゆるアクティブマトリクス駆動とし、TFT基板とは反対側から光を取り出す、いわゆるトップエミッション構造が必須であると言われている。
有機EL素子を構成する有機発光層は酸素や水分に弱く、また隣接する電極の腐食により、時間の経過と共に有機EL素子にはダークスポットと呼ばれる非発光部が現れる。そこで、発光層上に第二の電極を形成した後、外部からの水分及び酸素の浸入を防ぐため有機EL素子を密封封止するさまざまな方法が提案されている。従来はキャップ型のガラスや金属を用い、内部に乾燥剤等を封入して封止する方法が広く行われていたが、この方法ではキャップ自身や乾燥剤の存在が邪魔となって上部封止側からの光取り出しができなかったり、キャップそのものが大型化に不適だという問題があった。
そこで、第二の電極上に無機薄膜を形成することで有機発光層への水分や酸素の到達を防止しようとする試みがなされている(例えば特許文献1参照)。
しかし、例えばCVD法によって無機薄膜を形成すると、薄膜形成の際に発生するプラズマによって有機発光層にダメージを与え、有機EL素子の輝度が下がるという問題があった。
また、TFTを第一の電極とした有機EL素子においては、基板表面の凹凸が大きく、その上に積層する有機発光媒体層及び第二の電極の平坦性を損なうばかりか、封止のために設けられた薄膜も一定の厚みにならない、ピンホールができる、という問題があった。
さらには、第一の電極のフチを被覆し、ショートを防ぐという目的と、有機発光媒体層を各画素に対応してパターニングする必要から、第一の電極が設けられた基板には隔壁が設けられる場合が多いが、隔壁に起因する段差によっても無機薄膜が損なわれるという問題があった。
下記に特許文献を記す。
特開平10−261487号公報
本発明は、従来の上記問題点を解決するためになされたものであって、高輝度でダークスポットの発生のない、薄膜封止された有機EL素子を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、すなわち、
請求項1に係る発明は、少なくとも第一の電極、有機発光媒体層、第二の電極を具備する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、第二の電極上にさらに保護発光材料層を介してパッシベーション膜を有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。
発光材料はプラズマのエネルギーを吸収しやすいため、保護発光材料層として第二の電極上に形成することで、プラズマ成膜時のダメージを低減し、発光に必要な有機発光媒体層を保護することができる。また、第二の電極上の段差を平坦化するため、均一なパッシベーション膜を形成することができる。
請求項2に係る発明は、前記保護発光材料層は有機低分子型の発光材料を含むことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子である。
請求項3に係る発明は、前記保護発光材料層は有機高分子型の発光材料を含むことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子である。
請求項4に係る発明は、前記保護発光材料層の厚みは50nm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子である。
請求項5に係る発明は、前記保護発光材料層は透光性であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子である。
請求項6に係る発明は、前記パッシベーション膜は金属窒化物、金属酸化物、金属酸窒化物のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子である。
本発明によれば、発光材料はプラズマのエネルギーを吸収しやすいため、保護発光材料層として第二の電極上に形成することで、発光に必要な有機発光媒体層を保護しながらプラズマ成膜を行うことができるため、高輝度でダークスポットの発生のない、薄膜封止された有機EL素子を得ることができる。
本発明の有機EL素子の最良の形態形態の一例について説明する。
有機EL素子は、有機発光材料を含む発光層を、第一の電極と第二の電極で挟んだ単純な基本構造からなる。この電極間に電圧を印加し、一方の電極から注入されるホールと、他方の電極から注入される電子とが発光層内で再結合する際に生じる光を画像表示や光源として用いる。
本発明の有機EL素子の一例として、基材1/第一の電極(陽極層)2/発光媒体層3
/第二の電極(陰極層)4/保護発光材料層5/パッシベーション膜6をこの順に積層した場合を、図に基づいて説明するが、本発明はこの構成に限定されたものではない。
ここで、本実施の形態において、基材1としては透光性と絶縁性を有する基板であれば如何なる基板も使用することができる。例えば、ガラスや石英、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムやシート、または、これらプラスチックフィルムやシートに酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物や、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸窒化珪素などの金属酸窒化物、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などの高分子樹脂膜を単層もしくは積層させた透光性基材や、アルミニウムやステンレスなどの金属箔、シート、板や、前記プラスチックフィルムやシートにアルミニウム、銅、ニッケル、ステンレスなどの金属膜を積層させた非透光性基材などを用いることができる。 また、これら基材は、必要に応じて、薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、駆動用基板として用いても良い。TFTの材料としては、ポリチオフェンやポリアニリン、銅フタロシアニンやペリレン誘導体等の有機TFTを用いてもよく、アモルファスシリコンやポリシリコンTFTを用いてもよい。 また、これらの基材は、あらかじめ加熱処理を行うことにより、基材内部や表面に吸着した水分を極力低減することがより好ましい。また、基材上に積層される材料におうじて、密着性を向上させるために、超音波洗浄処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理などの表面処理を施すことが好ましい。また、これら基材には、必要に応じてカラーフィルター層や光散乱層、光偏向層などを設けてもよい。
始めに、基材1の上に陽極層2を成膜し、必要に応じてパターニングをおこなう(図1(a))。ここで、陽極層2の材料としては、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物や、金、白金などの金属材料や、これら金属酸化物や金属材料の微粒子をエポキシ樹脂やアクリル樹脂などに分散した微粒子分散膜を、単層もしくは積層したものをいずれも使用することができる。また、必要に応じて、陽極層3の配線抵抗を低くするために、銅やアルミニウムなどの金属材料を補助電極として併設してもよい。陽極層3の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法などを用いることができる。陽極層2のパターニング方法としては、材料や成膜方法に応じて、マスク蒸着法、フォトリソグラフィー法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法などの既存のパターニング法を用いることができる。
次に、発光媒体層3を形成する(図1(b))。本発明における発光媒体層3としては、発光物質を含む単層膜、あるいは多層膜で形成することができる。多層膜で形成する場合の構成例としては、正孔輸送層、電子輸送性発光層または正孔輸送性発光層、電子輸送層からなる2層構成や正孔輸送層、発光層、電子輸送層からなる3層構成、さらには、必要に応じて正孔(電子)注入機能と正孔(電子)輸送機能を分けたり、正孔(電子)の輸送をプロックする層などを挿入することにより、さらに多層形成することがより好ましい。 正孔輸送材料の例としては、銅フタロシアニン、テトラ(t-ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸
との混合物などの高分子正孔輸送材料、ポリチオフェンオリゴマー材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
発光材料としては、9,10-ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4-テトラフェニルブタジエン、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8-キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)[4-(4-シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)[4-(4-シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8-キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス〔8-(パラ-トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4-テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ-2,5-ジヘプチルオキシ-パラ-フェニレンビニレン、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポルフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’-ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’-ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等、Ir錯体等の燐光性発光体などの低分子系発光材料や、ポリフルオレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリスピロなどの高分子材料や、これら高分子材料に前記低分子材料の分散または共重合した材料や、その他既存の発光材料を用いることができる。
電子輸送材料の例としては、2-(4-ビフィニルイル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(1-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体やビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物等を用いることができる。 発光媒体層4の膜厚は、単層または積層により形成する場合においても1000nm以下であり、好ましくは50〜150nmである。特に、高分子EL素子の正孔輸送材料は、基材や陽極層の表面突起を覆う効果が大きく、50〜100nm程度厚い膜を成膜することがより好ましい。
発光媒体層3の形成方法としては、材料に応じて、真空蒸着法や、スピンコート、スプレーコート、フレキソ、グラビア、マイクログラビア、凹版オフセットなどのコーティング法、印刷法やインクジェット法などを用いることができる。高分子発光媒体層を溶液化する際には、形成方法に応じて、溶剤の蒸気圧、固形分比、粘度などを制御することが好ましい。溶剤としては、水、キシレン、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、トルエン、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの単独溶媒でも、混合溶媒でも良い。また、塗工性向上のために、必要に応じて界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤などの添加剤を適量混合することがより好ましい。塗布液の乾燥方法としては、EL特性に支障のない程度に溶剤を取り除ければ良く、加熱しても、減圧しても、加熱減圧しても良い。
次に、陰極層4を形成する(図1(c))。陰極層4の材料としては、発光媒体層3への電子注入効率の高い物質を用いる。具体的には、Mg,Al, Yb等の金属単体を用いたり、発光媒体と接する界面にLiや酸化Li,LiF等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いてもよい。または、電子注入効率と安定性を両立させるため、仕事関数が低いLi,Mg,Ca,Sr,La,Ce,Er,Eu,Sc,Y,Yb等の金属1種以上と、安定なAg,Al,Cu等の金属元素との合金系を用いてもよい。具体的にはMgAg,AlLi,CuLi等の合金が使用できる。陰
極層4を透光性電極層として利用する場合には、仕事関数が低いLi,Caを薄く設けた後に、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物を積層してもよく、前記有機発光媒体層3に、仕事関数が低いLi,Caなどの金属を少量ドーピングして、ITOなどの金属酸化物を積層してもよい。
陰極層4の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。陰極の厚さに特に制限はないが、10nm〜1000nm程度が望ましい。また、陰極層5を透光性電極層として利用する場合、CaやLiなどの金属材料を用いる場合の膜厚は0.1〜10nm程度が望ましい。
引き続いて、保護発光材料層を形成する(図1(d))。保護発光材料層5とは、パッシベーション膜6成膜時に発生するプラズマのダメージから有機EL素子内の有機発光媒体層3を保護する役割を果たす。保護発光材料層5としては、プラズマのエネルギーを吸収可能であればよく、成膜が容易な材料が好ましい。低分子系、高分子系いずれも好ましく用いることができる。有機発光媒体層3の形成に用いた発光材料を用いることもできる。
保護発光材料層5の形成方法としては、第二の電極4上に均一に薄く成膜できればよく、例えば蒸着法や印刷法、スプレー法、転写法が挙げられる。低分子発光材料の場合は蒸着法を、高分子発光材料の場合は印刷法や転写法を好ましく用いることができる。
保護発光材料層5としては、発光媒体層3であげた材料が使える。特に、Alq3などの低分子材料、ポリスピロなどの高分子材料、アクリル樹脂やポリビニルカルバゾールなどの樹脂材料、またこれらの材料より発光効率のよい発光材料をドーピングして用いても良い。形成方法としては、溶剤を用いない方法が好ましく、蒸着法や転写法、無溶剤の樹脂材料を塗布することが好ましい。また、厚みとしては、50〜1000nm、より好ましくは100〜300nmである。この範囲内であると、プラズマによるダメージを十分防ぐことができるとともに、光取り出しの妨げにならないからである。また、第二の電極4の凹凸を吸収するためには200nm以上形成することが好ましい。
こうして形成した保護発光材料層5上にパッシベーション膜6を形成する(図1(e))。
パッシベーション膜6とは、外部の水分、酸素、その他障害となる低分子成分の浸入から有機発光媒体層を保護し、機能低下を防止する役割を果たす。
パッシベーション膜6の形成方法としては、例えばCVD法、スパッタ法、蒸着法などが挙げられる。
パッシベーション膜6としては金属窒化物、金属酸化物、金属酸窒化物が好ましく、例えば窒化ケイ素の薄膜を150nm成膜することができる。パッシベーション膜6の厚みとしては、50〜1000nm、好ましくは100〜200nmの範囲が好ましい。この範囲内であれば外部からの酸素や水分の浸入を防ぐとともに、有機発光層からの光取出しを妨げないからである。
以下、具体的実施例を挙げて本発明を説明する。本実施例においては、ガラス基材上にボトムエミッション素子を作製した例を挙げるが、これに限定するものではなく、基材と
してTFT基板を用いてもよく、封止側から光を取り出すトップエミッション素子も作製することもできる。
<実施例1>
まず、はじめに、ITO膜2のついたガラス基材1上に、有機発光媒体層3としては、高分子正孔輸送層としてポリチオフェン誘導体(50nm)と、高分子発光媒体層としてポリフルオレン(80nm)をこの順に成膜した。ポリチオフェンは水とアルコール分散インク、ポリフルオレンはトルエン等の芳香族溶媒に溶かしたインクを、それぞれ凸版印刷法を用いて成膜した。
次に、陰極層4として、蒸着法を用いてBa(10nm)とAl(100nm)を積層成膜した。次に、保護発光材料層5として、蒸着法を用いて、キナクリドンを1%ドープしたAlq3を80nm成膜した後に、パッシベーション膜6として、CVD法を用いて、窒化珪素膜を150nm成膜した。作製したEL素子に6Vの電圧を印加した結果、10000cd/m2の輝度が得られた。これは、保護発光材料層5およびパッシベーション膜6を形成しない素子と同等の特性であった。また、60℃90%RH下で500Hr放置したが、発光領域の減少は1%未満であった。
<実施例2>
実施例1の保護発光材料層5として、ポリスピロを用いた。形成方法としては、PETフィルム上にダイコート法でポリスピロ材料を塗工乾燥させた膜を、陰極層4上にラミネート転写した。作製したEL素子に6Vの電圧を印加した結果、10000cd/m2の輝度が得られた。これは、保護発光材料層5およびパッシベーション膜6を形成しない素子と同等の特性であった。また、60℃90%RH下で500Hr放置したが、発光領域の減少は1%未満であった。
<実施例3>
実施例1の保護発光材料層5として、キナクリドンを1%ドープしたポリエチレンを用いた。形成方法としては、PETフィルム上にダイコート法でポリエチレンを塗工乾燥させた後に、その膜を、陰極層4上にラミネート転写した。作製したEL素子に6Vの電圧を印加した結果、10000cd/m2の輝度が得られた。これは、保護発光材料層5およびパッシベーション膜6を形成しない素子と同等の特性であった。また、60℃90%RH下で500Hr放置したが、発光領域の減少は1%未満であった。
<比較例1>
保護発光材料層5なしでパッシベーション膜6として窒化珪素を成膜した。作製したEL素子に6Vの電圧を印加した結果、画素中心付近では9000cd/m2の輝度が得られたが、陰極端部では7000cd/m2の輝度であった。このことから、陰極端部の有機発光媒体層3がプラズマにより劣化したと考えられる。また、保護発光材料層5がないことにより、陰極層4の段差が十分に被覆されなかったため、60℃90%RH下500Hr放置したところ、陰極端部から劣化が生じ、発光領域が70%減少した。
本発明の有機EL素子製造方法の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 基材
2 陽極(第一の電極)
3 発光媒体層
4 陰極層(第二の電極)
5 保護発光材料層
6 パッシベーション膜

Claims (2)

  1. 少なくとも第一の電極、有機発光媒体層、第二の電極を具備する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、第二の電極上にさらに保護発光材料層を介してパッシベーション膜を有し、
    前記パッシベーション膜は金属窒化物、金属酸化物、金属酸窒化物のいずれかであり、
    前記保護発光材料層は高分子材料又は樹脂材料からなり、
    前記保護発光材料層の膜厚は100〜300nmであり、
    前記保護発光材料層は発光材料がドーピングされていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 少なくとも第一の電極、有機発光媒体層、第二の電極を有し、前記第二の電極上にさらに保護発光材料層を介してパッシベーション膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、少なくとも、
    発光材料がドーピングされている高分子材料又は樹脂材料からなる前記保護発光材料層を前記第二の電極上に印刷法又は転写法により塗布形成する工程と、
    次に、前記保護発光材料層上にパッシベーション膜をスパッタ法又はCVD法により形成する工程と、
    を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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