JP4004255B2 - 有機led表示パネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機LED表示パネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機LED層のパターン化を必要としない有機LED表示パネルの形成方法としては、真空蒸着法、スピンコート法などが提案されている。また、マルチカラー、フルカラー表示パネルのように有機LED層のパターン化を必要とする有機LED表示パネルの形成方法としては、マスク蒸着法(例えば、特開平8−227276号公報)、インクジェット法(例えば,特開平10−12377号公報)などが提案されている。
【0003】
しかし、マスク蒸着法では、大型基板を用いて素子を作製することが非常に難しいといった問題があり、インクジェット法では、大型基板を用いると非常に素子の作製時間がかかるといった問題があった。そこで、大型基板を用いることができ、かつ作製時間を大幅に短縮することが可能なパターン化方法として、転写法(例えば、特開平10−208881号公報、特開平11−237504号公報および特開平11−260549号公報)が提案された。
【0004】
しかしながら、上記の先行技術では、正孔輸送層、発光層などの転写層形成用塗液として高分子材料を溶解または分散した水溶液を用いるために、これらの塗液をベースフィルム上に塗布してドナーフィルムを形成する際に「ハジキ」が生じ、成膜性が良好な転写層を形成できないという問題があった。このようなドナーフィルムを用いた転写では、転写ムラが生じ、所望の画素パターンを形成することができず、得られた有機LED表示パネルでは発光ムラが起こる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、転写工程において「ハジキ」が生じず、成膜性が良好な有機LED層を、効率よく、かつ均一に形成し得る有機LED層形成用塗液および有機LED用ドナーフィルム、ならびにそれを用いた有機LED表示パネルの製造方法および有機LED表示パネルを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、基板/第1電極/少なくとも発光層を含む有機LED層/第2電極からなる有機LED表示パネルを製造するに当り、基板上または基板上に形成した所要の積層物上に、ベースフィルムが外側になるように有機LED用ドナーフィルムを貼り付け、次いでベースフィルム側から光を照射または熱を放射し、転写層の一部もしくはすべてを残してドナーフィルムを剥離して、有機LED層を転写形成することからなり、
前記有機LED用ドナーフィルムが、光−熱変換層およびポリαメチルスチレン膜からなる熱伝播層が順次積層されたベースフィルム上に単層または多層の転写層が積層されてなり、前記転写層の少なくともベースフィルム上に直接形成される層が、有機LED層形成用塗液を用いてウエットプロセスで形成されてなり、
前記有機LED層形成用塗液が、発光材料または電荷輸送材料と表面張力調整剤とを含有する、20℃における表面張力が60mN/m以下である水性溶液である
ことを特徴とする有機LED表示パネルの製造方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、基板/第1電極/少なくとも発光層を含む有機LED層/第2電極からなる有機LED表示パネルを製造するに当り、基板上または基板上に形成した所要の積層物上に、ベースフィルムが外側になるように有機LED用ドナーフィルムを貼り付け、次いでベースフィルム側から光を照射または熱を放射し、転写層の一部もしくはすべてを残してドナーフィルムを剥離して、有機LED層を転写形成することからなり、
前記有機LED用ドナーフィルムが、光−熱変換層およびポリαメチルスチレン膜からなる熱伝播層が順次積層されたベースフィルム上に単層または多層の転写層が積層されてなり、前記転写層の少なくともベースフィルム上に直接形成される層が、有機LED層形成用塗液を用いてウエットプロセスで形成されてなり、
前記有機LED層形成用塗液が、発光材料または電荷輸送材料と表面張力調整剤とを含有する、20℃における表面張力が60mN/m以下である水性溶液であり、
前記電荷輸送材料が、ポリチオフェン誘導体またはポリアニリン誘導体からなる正孔輸送材料である
ことを特徴とする有機LED表示パネルの製造方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の有機LED層形成用塗液は、有機LED表示パネルを製造する際に使用される有機LED用ドナーフィルムの有機LED層形成用塗液であって、前記塗液が、発光材料または電荷輸送材料と表面張力調整剤とを含有する水性溶液であることを特徴とする。
【0011】
本発明の有機LED層形成用塗液は、発光材料と表面張力調整剤とを含有する発光層形成用塗液および電荷輸送材料と表面張力調整剤とを含有する電荷輸送層用塗液に大別できる。また、電荷輸送層用塗液は、電荷輸送材料の種類によって、正孔注入材料を含む正孔注入層用塗液、正孔輸送材料を含む正孔輸送層用塗液、電子注入材料を含む電子注入層用塗液および電子輸送材料を含む電子輸送層用塗液にさらに大別できる。これらの中でも、本発明の有機LED層形成用塗液は、正孔輸送層用塗液として好適に用いられる。
【0012】
本発明の有機LED層形成用塗液に共通に含有する表面張力調整剤としては、界面活性剤および20℃における表面張力60mN/m以下の溶剤が挙げられる。
【0013】
界面活性剤としては、イオン性界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の具体例としては、アミンオキサイド(花王株式会社製、商品名:アンヒトール20N)、和光純薬工業株式会社製、商品名:NCW、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ライオン株式会社製、商品名:ライポンLH−500)、シリコーン(信越化学工業株式会社製、サーフィノール104PA、104E)などが挙げられる。
【0014】
20℃における表面張力60mN/m以下の溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、メチルセロソルブアセテートのようなセロソルブ系溶剤、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤などが挙げられる。これらの中でも、アルコール類および芳香族系溶剤が好ましく、アルコール類が特に好ましい。
【0015】
本発明の有機LED層形成用塗液における表面張力調整剤の含有量は、表面張力調整剤の種類によって異なるが、界面活性剤の場合には、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%であり、20℃における表面張力60mN/m以下の溶剤の場合には、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0016】
本発明の有機LED層形成用塗液は、表面張力調整剤を含有することにより、その20℃における表面張力が60mN/m以下(好ましくは30mN/m以下)になり、転写工程において「ハジキ」が生じず、成膜性が良好な有機LED層を、効率よく、かつ均一に形成し得る有機LED層形成用塗液が得られる。
【0017】
次に、本発明の有機LED層形成用塗液をその種類ごとに説明する。
【0018】
発光層形成用塗液は、1種もしくは2種以上の発光材料と前記の表面張力調整剤とを水性溶媒に溶解もしくは分散させた水性溶液であり、任意に結着用樹脂、レベリング剤、発光アシスト剤、電荷注入輸送材料、添加剤(ドナー,アクセプターなど)、発光性のドーパントなどを含む。以下にそれぞれの材料を例示するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0019】
発光材料としては、有機LED用の公知の発光材料を用いることができる。このような発光材料は、低分子発光材料、高分子発光材料およびその前駆体などに分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0020】
低分子発光材料としては、例えば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(DPVBi)などの芳香族ジメチリデン化合物、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾールなどのオキサジアゾール化合物、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)などのトリアゾール誘導体、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼンなどのスチリルベンゼン化合物、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体などの蛍光性有機材料、ならびにアゾメチン亜鉛錯体、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体(Alq3)などの蛍光性有機金属化合物などが挙げられる。
【0021】
高分子発光材料としては、例えば、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PPP)、ポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニルレン]ジブロマイド(PPP−NEt3+)、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)などが挙げられる。
【0022】
また、高分子発光材料の前駆体としては、例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体(Pre−PNV)、ポリ(p−フェニレン)前駆体(Pre−PPP)などが挙げられる。
【0023】
結着用樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステルなどが挙げられるが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0024】
水性溶媒としては、前記の発光材料を溶解または分散できる溶媒であれば、特に限定されるものではない。具体的には、THF(テトラヒドロフラン)、クロロホルム、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどの溶剤を含む水性溶媒が挙げられる。
【0025】
本発明の発光層形成用塗液は、上記の各成分を用いて調製されるが、その固形分は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。
【0026】
また、本発明の発光層形成用塗液の粘度(25℃)は、100cps以下が好ましく、1〜100cpsがより好ましく、例えば10cpsが特に好ましい。塗液の粘度が100cpsを超えるときには、均一な膜厚の発光層が得られず、実用に適さないので好ましくない。塗液の粘度は、固形分の量などにより適宜調整することができる。
【0027】
電荷輸送層形成用塗液は、1種もしくは2種以上の電荷輸送材料と前記の表面張力調整剤とを水性溶媒に溶解もしくは分散させた水性溶液であり、任意に結着用樹脂、レベリング剤、添加剤(ドナー、アクセプターなど)などを含む。以下にそれぞれの材料を例示するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0028】
電荷輸送材料としては、有機LED用、有機光導電体用の公知の電荷輸送材料を用いることができる。このような電荷輸送材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料および電子輸送材料に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0029】
正孔輸送材料としては、例えば、無機p型半導体材料;ポルフィリン化合物、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルーベンジジン(NPD)などの芳香族第三級アミン化合物、ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物などの低分子材料;ポリアニリン(PANI)、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(PANI−CSA)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン誘導体)(Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)などの高分子材料;ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体(Pre−PNV)などの高分子材料の前駆体などが挙げられる。
【0030】
電子輸送材料としては、例えば、無機n型半導体材料;オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体などの低分子材料;ポリ(オキサジアゾール)(Poly−OXZ)などの高分子材料が挙げられる。
上記の電荷輸送材料の中でも、PEDOT/PSSのようなポリチオフェン誘導体またはPANI−CSAのようなポリアニリン誘導体からなる正孔輸送材料が好ましい。
【0031】
結着用樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステルなどが挙げられるが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0032】
水性溶媒としては、前記の電荷輸送材料を溶解または分散できる溶媒であれば、特に限定されるものではない。具体的には、THF(テトラヒドロフラン)、クロロホルム、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどの溶剤を含む水性溶媒が挙げられる。
【0033】
本発明の電荷輸送層形成用塗液は、上記の各成分を用いて調製されるが、その固形分は、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。
【0034】
また、本発明の電荷輸送層形成用塗液の粘度(25℃)は、100cps以下が好ましく、1〜100cpsがより好ましく、例えば10cpsが特に好ましい。塗液の粘度が100cpsを超えるときには、均一な膜厚の電荷輸送層が得られず、実用に適さないので好ましくない。塗液の粘度は、固形分の量などにより適宜調整することができる。
【0035】
本発明の有機LED用ドナーフィルムは、光−熱変換層、任意に熱伝播層および/またはガス発生層が積層されたベースフィルム上に単層または多層の転写層が積層されてなり、前記転写層の少なくとも1層が、上記の有機LED層形成用塗液を用いてウエットプロセスで形成されてなることを特徴とする。
【0036】
本発明の有機LED用ドナーフィルムは、転写層の種類によって、発光層形成用ドナーフィルム、電荷輸送層形成用ドナーフィルム(正孔注入層形成用ドナーフィルム、正孔輸送層形成用ドナーフィルム、電子注入層形成用ドナーフィルムおよび電子輸送層形成用ドナーフィルム)などとも称する。
【0037】
次に、本発明の有機LED用ドナーフィルムの各構成要素について説明する。
【0038】
ベースフィルム6は、基材フィルム1上に少なくとも光−熱変換層2が形成されたものである(図1(a)参照)。また、必要に応じて、光−熱変換層2上に熱伝播層4が形成されていてもよく(図1(b)参照)、さらにガス発生層5が形成されていてもよい(図1(c)参照)。
【0039】
(1.基材フィルム)
基材フィルムは、透明高分子フィルムからなる。例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアクリル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエーテルスルフォンなどが挙げられるが、本発明はこれらにより限定されるものではない。これらの中でも、PC、PETが特に好ましい。また、基材フィルムの膜厚としては、10〜600μmが好ましく、50〜200μmが特に好ましい。
【0040】
(2.光−熱変換層)
光−熱変換層(「光吸収層」ともいう)は、光を吸収し効率よく熱を発生させる性質を有する物質から構成される。例えば、アルミニウム、その酸化物および/またはその硫化物からなる金属膜、カーボンブラック、黒鉛または赤外線染料などを高分子材料(例えば、熱硬化型エポキシ樹脂)に分散した有機膜が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
金属膜は、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法などの公知の方法により形成することができ、その膜厚は、50〜10,000Åが好ましく、100〜5,000Åが特に好ましい。
また、有機膜は、公知のコーティング法により形成することができ、その膜厚は、0.01〜50μmが好ましく、0.1〜10μmが特に好ましい。
【0042】
(3.熱伝播層)
熱伝播層(「剥離層」ともいう)は、転写を効率よく行うために熱を伝播させる層である。例えば、ポリαメチルスチレンなどの高分子材料が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
熱伝播層は、公知の成膜法により形成することができ、その膜厚は、0.001〜10μmが好ましく、0.005〜5μmが特に好ましい。
【0043】
(4.ガス発生層)
ガス発生層は、光または熱を吸収すると分解反応を起こして、例えば、窒素ガスまたは水素ガスを放出し、転写のためのエネルギーを提供する、すなわち、転写効率の向上に寄与する層である。ガス発生層を構成する材料としては、例えば、四硝酸ペンタエリトリトール、トリニトロトルエンなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ガス発生層は、公知の成膜法により形成することができ、その膜厚は、0.001〜10μmが好ましく、0.005〜5μmが特に好ましい。
【0044】
(5.転写層)
転写層は、転写工程により実際に転写される層であり、有機LED層のみの構造でも電極層と有機LED層を組合わせた構造でもよい。具体的には、下記の構成が挙げられるが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(1)有機LED層
(2)第1電極/有機LED層
(3)有機LED層/第2電極
(4)第1電極/有機LED層/第2電極
なお、ベースフィルムに対する転写層の積層順は限定されない。
【0045】
(5−1.有機LED層)
有機LED層は、単層構造でも多層構造でもよく、具体的には、下記の構成が挙げられるが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
▲1▼正孔輸送層/発光層
▲2▼正孔輸送層/発光層/電子輸送層
▲3▼正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層
ここで、発光層、正孔注入層、正孔輸送層および電子輸送層の各層は、それぞれ単層構造でも多層構造でもよい。
【0046】
本発明の有機LED用ドナーフィルムは、転写層となる発光層、正孔輸送層、電子輸送層および正孔注入層などの有機LED層が、本発明の有機LED層形成用塗液を用いて、公知のウエットプロセスで形成(成膜)されてなる。
ウエットプロセスとしては、スピンコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法などの塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法などの印刷法などが挙げられ、中でも膜厚の均一性、材料の利用効率の点から、マイクログラビアコート法が好ましい。
【0047】
転写層となる有機LED層が多層構造の場合には、少なくとも1層が本発明の有機LED層形成用塗液を用いて、公知のウエットプロセスで形成されていればよく、他の有機LED層は、本発明の有機LED層形成用塗液から溶媒を除いた材料を用いて、真空蒸着法、EB法、MBE法、スパッタ法、OVPD法などの公知のドライプロセスにより形成(成膜)されていてもよい。
【0048】
上記の各有機LED層の膜厚は、通常1〜1000nm程度である。
有機LED層を成膜する際の環境は特に限定されるものではないが、形成した膜の吸湿、用いた有機材料の変質を防止する観点から、不活性ガス中もしくは真空中で行うのが好ましい。
また、ウエットプロセスにより有機LED層を形成した後には、残留溶媒を除去する目的で、加熱乾燥を行うのが好ましい。加熱乾燥を行う環境は特に限定されるものではないが、用いた有機材料の変質を防止する観点から、不活性ガス中、好ましくは減圧下で行うのが好ましい。
【0049】
図2および図3は、本発明の有機LED用ドナーフィルムの製造におけるベースフィルム上への有機LED層の成膜工程を示す概略断面図である。これらの図では、マイクログラビア法でベースフィルム6上に有機LED層を成膜している。また、図3では、2層の有機LED層を連続的に成膜している。図中、6はベースフィルム、8はロール、9はマイクログラビアロール、10は乾燥機、11は冷却機である。
【0050】
(5−2.第1電極および第2電極)
第1電極および第2電極を形成する電極材料としては、公知の電極材料を用いることができる。陽極を形成する電極材料としては、仕事関数が高い金属(Au、Pt、Niなど)および透明電極材料(ITO、IDIXO、SnO2など)などが挙げられる。また、陰極を形成する電極材料としては、仕事関数の低い金属を少なくとも含有するもの(Ca、Ce、Cs、Ba、Al、Mg:Ag合金、Li:Al合金)および薄膜の絶縁層と金属電極とを組み合わせたもの(LiF/Al、Li2O/Al、LiF/Ba/Alなど)などが挙げられる。
各電極は、これらの材料を用いてEB法、スパッタ法、抵抗加熱蒸着法などの公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。その膜厚は、通常0.5〜1000nm程度である。また、フォトリソグラフフィー法により、形成した電極をパターニングすることもできる。
【0051】
図1は、本発明のドナーフィルムの部分概略断面図である。(a)は基材フィルム1と光−熱変換層2からなるベースフィルム6および転写層3から構成されるドナーフィルム7であり、(b)は基材フィルム1と光−熱変換層2と熱伝播層4からなるベースフィルム6および転写層3から構成されるドナーフィルム7であり、(c)は基材フィルム1と光−熱変換層2と熱伝播層4とガス発生層5からなるベースフィルム6および転写層3から構成されるドナーフィルム7である。
【0052】
本発明の有機LED表示パネルの製造方法は、基板/第1電極/少なくとも発光層を含む有機LED層/第2電極からなる有機LED表示パネルを製造するに当り、基板上または基板上に形成した所要の積層物上に、ベースフィルムが外側になるように上記の有機LED用ドナーフィルムを貼り付け、次いでベースフィルム側から光を照射または熱を放射し、転写層の一部もしくはすべてを残してドナーフィルムを剥離して、有機LED層を転写形成することを特徴とする。
【0053】
有機LED表示パネルは、基本的に第1電極、少なくとも1層の発光層を有する有機LED層(有機層)および第2電極が順次積層された有機LED素子を一画素として、複数配置(パターン化)することにより製造される。
【0054】
次に、図4を用いて、本発明の有機LED表示パネルの製造方法を具体的に説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0055】
図4では、転写層3が形成されたベースフィルム6(本発明の有機LED用ドナーフィルム)と第1電極15が形成された基板12とを、ベースフィルム6と基板12とが外側になるように貼り付け、ベースフィルム側(ベースフィルムの基材フィルム側)から光(例えば、レーザー光)を照射もしくは熱を放射する。次いで、転写層3の一部もしくはすべてを残して、ドナーフィルムを剥離することにより転写が完了する。その後、基板12を真空乾燥または加熱乾燥するのが好ましく、一連の転写工程は、形成層(膜)の吸湿や材料の変質を考慮して、不活性ガス中で行うのが好ましい。
【0056】
転写層は、前記のように単層構造、多層構造のいずれであってもよい。転写層が有機LED素子の構成層をすべて含む多層構造である場合には、転写工程は1回で完了するが、転写層が有機LED素子の構成層の一部を含む単層または多層構造である場合には、前記の転写工程を繰り返せばよい。すなわち、転写層として、異なる特性をもつ有機層をそれぞれ別々のベースフィルム上に成膜したものを用いて、転写工程を繰り返して、基板上に有機層の多層膜を形成してもよい。
【0057】
また、本発明の有機LED用ドナーフィルムを用いた転写法と、公知のドライプロセスおよび/またはウエットプロセスとを組み合せて、有機LEDパネルを製造してもよい。公知のドライプロセスとしては、真空蒸着法、EB法、MBE法、スパッタ法などが挙げられ、公知のウエットプロセスとしては、スピンコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法などの塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法などの印刷法が挙げられる。
【0058】
上記のような転写層として、例えば、正孔輸送層/赤色発光層からなる有機赤色発光多層膜、正孔輸送層/緑色発光層からなる有機緑色発光多層膜、および正孔輸送層/青色発光層からなる有機青色発光多層膜を有する3種類のドナーフィルムを用いて、基板上に転写工程を繰り返すことにより、赤色、緑色および青色の発光多層膜を有する有機LED表示パネルを得ることができる。
【0059】
第1電極または第2電極を有するドナーフィルムを用いて転写法で各電極を形成した場合には、転写工程後に各電極を形成しなくてもよいが、転写形成された第1電極または第2電極上にさらに金属膜を形成して、第1電極または第2電極としてもよい。
【0060】
本発明で用いられる基板としては、例えば、ガラス、石英などの無機材料;ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスティック;アルミナなどのセラミックスなどの絶縁性基板;アルミニウム、鉄などの金属基板にSiO2、有機絶縁材料などの絶縁物をコートした基板;アルミニウムなどの金属基板の表面を陽極酸化などの方法で絶縁化処理を施した基板など挙げられるが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0061】
また、基板上には、薄膜トランジスタなどのスイッチング素子および/または隔壁が形成されていてもよい。
低温プロセスで形成したポリシリコンTFTを用いて薄膜トランジスタを形成するためには、500℃以下の温度で融解せず、かつ歪みが生じない基板が好ましい。また、高温プロセスで形成したポリシリコンTFTを用いて薄膜トランジスタを形成するためには、1000℃以下の温度で融解せず、かつ歪みが生じない基板が好ましい。
【0062】
図5は、本発明の有機LED表示パネルの製造方法における転写工程の一例を示す概略図である。図5では、光または熱14によって、ロール13に巻き取られたドナーフィルム7上に形成された転写層(図示しない)が基板12上に転写されている。ここでは、フィルムの巻取りにより、ドナーフィルムの剥離が連続して行なわれている。また、基板12が左から右に移動することにより、同様の転写工程が3回繰り返されている。これにより、例えば、赤色、緑色、青色発光画素を同一の工程で形成することができる。
【0063】
図6の(a)〜(j)は、本発明の有機LED表示パネルの製造方法における他の転写工程の一例を示す概略工程図である。
この工程では、まず、(a)第1電極15および隔壁16が形成された基板12上に、転写層として赤色発光層17が形成されたベースフィルム6(有機LED用ドナーフィルム)をベースフィルム6が外側になるように貼り付け、(b)次いでベースフィルム側から光を照射または熱を放射し(図番14)、(c)転写層の一部もしくはすべてを残してドナーフィルムを剥離して、有機LED層として赤色発光層を転写形成する。引き続き、緑色発光層18が形成されたベースフィルムおよび青色発光層19が形成されたベースフィルムをそれぞれ用いて、工程(a)〜(c)と同様にして、工程(d)〜(f)および工程(g)〜(i)で緑色発光層および青色発光層を転写形成する。(j)次いで、転写形成した各発光層の全面に公知の方法で第2電極20を形成する。
【0064】
本発明の有機LED表示パネルには、発光を取り出す側の電極上に、偏光板を設けるのが好ましい。用いられる偏光板としては、従来の直線偏光板と1/4λ板を組み合わせたものが好ましい。これにより、有機LED素子としてのコントラストを向上させることができる。
【0065】
本発明の有機LED表示パネルには、発光を取り出す側の電極上に、封止膜、封止基板を設けるのが好ましい。用いられる封止膜または封止基板としては、公知の封止材料および封止方法を用いて形成したものが好ましい。具体的には、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスをガラス、金属などで封止する方法、および不活性ガス中に酸化バリウムなどの吸湿剤などを混入する方法が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、対向電極上に樹脂を直接スピンコートもしくは貼り合わせて封止膜とすることもできる。この封止膜により、外部から素子内への酸素や水分の混入を防止することができ、素子の寿命が向上する。
【0066】
本発明によれば、上記の製造方法により製造された有機LED表示パネルが提供される。その駆動方法としては、パッシブマトリックス駆動、アクティブマトリックス駆動などの従来の有機LED表示パネルの駆動方法を用いることができ、本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0067】
【実施例】
本発明を実施例および比較例に基づいてさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
実施例および比較例で得られた塗液の20℃における表面張力を、表面張力測定機(協和界面科学株式会社製、型式:CA−A)を用いて測定した(単位:mN/m)。
また、実施例および比較例で得られた塗液の25℃における粘度を、粘度測定機(ファンギラブ社製、型式:ビスコベーシック)を用いて測定した(単位:cps)。
【0068】
(比較例1)
基材フィルムとして膜厚0.1mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、このフィルム上に光−熱変換層として、カーボン粒子を混合した熱硬化型エポキシ樹脂を膜厚が5μmになるようにコーティングして室温硬化させた。次に、その上に熱伝播層(剥離層)として、ポリαメチルスチレン膜を膜厚が1μmになるようにコーティング形成して、ベースフィルムを得た。
【0069】
次いで、ベースフィルム上に、正孔輸送層形成用塗液を用いて、スピンコーターで正孔輸送層となる膜厚50nmの転写層を形成した。ここで、正孔輸送層形成用塗液としては、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)を純水に固形分1wt%で溶かしたものを用いた。この正孔輸送層形成用塗液の表面張力および粘度は63.8mN/mおよび8.4cpsであった。
なお、転写層を形成したベースフィルム上に「ハジキ」があるかどうかを光学顕微鏡で観察した。観察の結果を「ハジキ」の有無として、用いた正孔輸送層形成用塗液の表面張力と共に表1に示す。
【0070】
(実施例1)
正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤として、メタノールを10重量%添加すること以外は比較例1と同様にして、ベースフィルムを得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0071】
(実施例2)
正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤として、メタノールを50重量%添加すること以外は比較例1と同様にして、ベースフィルムを得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0072】
(実施例3)
正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤として、エタノールを50重量%添加すること以外は比較例1と同様にして、ベースフィルムを得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0073】
(実施例4)
正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤として、界面活性剤 サーフィノール104PA(信越化学工業株式会社製)を0.1重量%添加すること以外は比較例1と同様にして、ベースフィルムを得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0074】
(実施例5)
正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤として、界面活性剤 サーフィノール104E(信越化学工業株式会社製)を0.1重量%添加すること以外は比較例1と同様にして、ベースフィルムを得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0075】
(比較例2)
基材フィルムとして膜厚0.1mmのPETフィルムを用い、このフィルム上に光−熱変換層として、カーボン粒子を混合した熱硬化型エポキシ樹脂を膜厚が5μmになるようにコーティングして室温硬化させた。次に、その上に熱伝播層(剥離層)として、ポリαメチルスチレン膜を膜厚が1μmになるようにコーティング形成して、ベースフィルムを得た。
【0076】
次いで、ベースフィルム上に、正孔輸送層形成用塗液を用いて、スピンコーターで正孔輸送層となる膜厚50nmの転写層を形成した。ここで、正孔輸送層形成用塗液としては、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(PANI−CSA)を純水に固形分1wt%で溶かしたものを用いた。この正孔輸送層形成用塗液のおよび粘度は67.6mN/mおよび6.4cpsであった。
比較例1と同様にして、得られたベースフィルムを評価した。得られた結果を表1に示す。
【0077】
(実施例6)
正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤として、メタノールを10重量%添加すること以外は比較例2と同様にして、ベースフィルムを得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0078】
(実施例7)
正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤として、メタノールを50重量%添加すること以外は比較例2と同様にして、ベースフィルムを得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0079】
(実施例8)
正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤として、エタノールを50重量%添加すること以外は比較例2と同様にして、ベースフィルムを得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0080】
(実施例9)
正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤として、界面活性剤 ライポンLH−500(ライオン株式会社製)を0.1重量%添加すること以外は比較例2と同様にして、ベースフィルムを得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0081】
(実施例10)
正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤として、界面活性剤 アンヒトール20N(花王株式会社製)を0.1重量%添加すること以外は比較例2と同様にして、ベースフィルムを得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
表1の結果から、正孔輸送層形成用塗液に表面張力調整剤を添加した場合には、表面張力が60mN/m以下になり、正孔輸送層となる転写層に「ハジキ」が起こらず、ベースフィルム上に効率よく、かつ均一な転写層を形成できることがわかる。
【0084】
(実施例11)
(TFT基板の作製)
ガラス基板上に、Si2H6の分解によるLP−CVD法により、膜厚50nmのα−Si膜を成膜し、その後、エキシマレーザアニール法によりα−Siを多結晶化した。次に、チャンネル部、ソース・ドレイン部からなるPoly−Si膜をエッチング加工し、ゲート絶縁膜としてPoly−Siを1000℃以上で熱酸化して、膜厚50nmのSiO2を形成した。この後、ゲート電極として膜厚100nmのAlをスパッタリングで成膜した。そして、ゲート電極をパターニングした。また、コンデンサーの下部電極を加工した。この後、ゲート電極側面を陽極酸化し、オフセット部を形成し、その後、イオンドーピング法によりソース・ドレイン部にリンを高濃度にドープした。走査線を形成し、この後、更にソース・ドレインメタル、共通電極を形成した。次いで、コンデンサーの上部電極を形成し、低温プロセスによりPoly−Si TFTを形成した。
【0085】
次に、平坦化膜として膜厚3μmのSiO2膜を形成した。次に、この平坦化膜上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィー法によりコンタクトホール部分が貫けたパターンを形成した後、エッチングによりコンタクトホールを開口させ、レジストを洗い流した。
次に、絶縁膜上に、スパッタ法により膜厚4μmのアルミニウムを成膜した。次に、これを研磨することで絶縁膜上に形成されたアルミニウムを除去すると同時に、絶縁膜とコンタクトホール中の接続配線を平坦化した。
【0086】
そして、この平坦化された膜上にコンタクトホールを介してドレイン電極と電気的に接続するように、スパッタ法により膜厚150nmのアルミニウムを成膜した。その後、エッチングして画素電極とした。成膜した透明電極は、面抵抗<10Ω/□、透過率>87%(550nm)、平坦性±2%であった。次に、フォトリソグラフィー法により、画素電極を所定の形状にパターン化した。
次に、絶縁膜として膜厚200nmのSiO2を成膜した。その上にレジストを塗布し、所定の形状にパターン化した。次に、ドライエッチングにより画素間にテーパー状になるような形にSiO2をエッチングし、絶縁膜を画素間に形成した。これにより、画素電極のエッジ部での電界集中による素子の劣化を防止することができる。また、テーパー状にすることにより、転写法により有機LED層を形成した場合に、ドナーフィルム(転写層である有機LED層)が完全に基板に密着するので、有機LED層の転写されない部分が生ずることを防止できる。
【0087】
以下の赤色、緑色、青色の各発光画素形成用ドナーフィルムの作製からそれらのパターニング転写、対向電極および封止膜の形成までの工程は、有機層、電極の劣化を防止するために不活性ガス中または真空中で行った。
【0088】
(赤色発光画素形成用ドナーフィルムの作製)
基材フィルムとして膜厚0.1mmのPETフィルムを用い、このフィルム上に光−熱変換層として、カーボン粒子を混合した熱硬化型エポキシ樹脂を膜厚が5μmになるようにコーティングして室温硬化させた。次に、その上に熱伝播層(剥離層)として、ポリαメチルスチレン膜を膜厚が1μmになるようにコーティング形成して、ベースフィルムを得た。
【0089】
次いで、ベースフィルム上に、実施例3で用いた正孔輸送層形成用塗液を用いて、マイクログラビアコーターで正孔輸送層となる膜厚50nmの転写層を形成した。次に、このフィルムを110℃で5分間、高純度窒素雰囲気中で加熱し、転写層中の溶媒を除去した。
【0090】
次いで、正孔輸送層上に、赤色発光層形成用塗液を用いて、マイクログラビアコーターで赤色発光層となる膜厚75nmの転写層を形成した。ここで、赤色発光層形成用塗液としては、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)をクロロホルムに固形分2wt%で溶かしたものを用いた。なお、このときの塗液の表面張力は16.7mN/mで、粘度は2.6cpsであった。次に、このフィルムを110℃で5分間、高純度窒素雰囲気中で加熱し、転写層中の溶媒を除去して、赤色発光画素形成用ドナーフィルムを得た。
【0091】
(緑色発光画素形成用ドナーフィルムの作製)
基材フィルムとして膜厚0.1mmのPETフィルムを用い、このフィルム上に光−熱変換層として、カーボン粒子を混合した熱硬化型エポキシ樹脂を膜厚が5μmになるようにコーティングして室温硬化させた。次に、その上に熱伝播層(剥離層)として、ポリαメチルスチレン膜を膜厚が1μmになるようにコーティング形成して、ベースフィルムを得た。
【0092】
次いで、ベースフィルム上に、実施例3で用いた正孔輸送層形成用塗液を用いて、マイクログラビアコーターで正孔輸送層となる膜厚50nmの転写層を形成した。次に、このフィルムを110℃で5分間、高純度窒素雰囲気中で加熱し、転写層中の溶媒を除去した。
【0093】
次いで、正孔輸送層上に、緑色発光層形成用塗液を用いて、マイクログラビアコーターで緑色発光層となる膜厚75nmの転写層を形成した。ここで、緑色発光層形成用塗液としては、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)をメタノールに固形分2wt%で溶かしたものを用いた。なお、このときの塗液の表面張力は17.2mN/mで、粘度は3.6cpsであった。次に、このフィルムを110℃で5分間、高純度窒素雰囲気中で加熱し、転写層中の溶媒を除去すると同時にPre−PPVをPPVに変換して、緑色発光画素形成用ドナーフィルムを得た。
【0094】
(青色発光画素形成用ドナーフィルムの作製)
基材フィルムとして膜厚0.1mmのPETフィルムを用い、このフィルム上に光−熱変換層として、カーボン粒子を混合した熱硬化型エポキシ樹脂を膜厚が5μmになるようにコーティングして室温硬化させた。次に、その上に熱伝播層(剥離層)として、ポリαメチルスチレン膜を膜厚が1μmになるようにコーティング形成して、ベースフィルムを得た。
【0095】
次いで、ベースフィルム上に、実施例3で用いた正孔輸送層形成用塗液を用いて、マイクログラビアコーターで正孔輸送層となる膜厚50nmの転写層を形成した。次に、このフィルムを110℃で5分間、高純度窒素雰囲気中で加熱し、転写層中の溶媒を除去した。
【0096】
次いで、正孔輸送層上に、青色発光層形成用塗液を用いて、マイクログラビアコーターで青色発光層となる膜厚75nmの転写層を形成した。ここで、青色発光層形成用塗液としては、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)をキシレンに固形分1wt%で溶かしたものを用いた。なお、このときの塗液の表面張力は17.8mN/mで、粘度は6.6cpsであった。次に、このフィルムを110℃で5分間、高純度窒素雰囲気中で加熱し、転写層中の溶媒を除去して、青色発光画素形成用ドナーフィルムを得た。
【0097】
(パターニング転写)
p−Si TFTを形成した基板に、赤色発光画素形成用ドナーフィルムを貼り付けて、13WのYAGレーザーを所望の位置に走査し、ベースフィルムを剥離して、p−Si TFTを形成した基板に、赤色発光画素形成用ドナーフィルム中の正孔輸送層と赤色発光層(赤色発光画素)をパターニング転写した。
次に、緑色発光画素形成用ドナーフィルムおよび青色発光画素形成用ドナーフィルムをそれぞれ用い、赤色発光画素と同様にして、緑色発光画素および青色発光画素を、p−Si TFTを形成した基板にパターニング転写した。
【0098】
(対向電極および封止膜の形成)
各発光画素を形成した基板を、真空中、100℃で30分間加熱することにより、有機膜中に吸着した水分を完全に除去した。
次に、前記の真空状態を保持し、基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、室温でのスパッタ法により、対向電極(透明電極)として膜厚150nmになるように透明導電膜(出光興産株式会社製、商品名:IDIXO)を全面に成膜した。この対向電極上の全体に、スピンコート法により、封止膜として膜厚が1μmになるようにエポキシ樹脂を成膜し、有機LED表示パネルを完成した。
【0099】
完成した有機LED表示パネルを駆動回路に接続し、信号線に電源を接続し、走査線に順次走査信号を入力したところ、全画素から発光ムラのない発光が観測された。
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、転写法で有機LED表示パネルを製造する際に用いるベースフィルムの転写層を、効率よく、かつ均一に形成することができる。また、得られた転写層は成膜性が良好であるので、発光ムラのない有機LED表示パネルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機LED用ドナーフィルムの部分概略断面図である。
【図2】本発明の有機LED用ドナーフィルムの製造におけるベースフィルム上への有機LED層の成膜工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明の有機LED用ドナーフィルムの製造におけるベースフィルム上への有機LED層の他の成膜工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の有機LED表示パネルの製造方法を示す概略断面図である。
【図5】本発明の有機LED表示パネルの製造方法における転写工程の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の有機LED表示パネルの製造方法における他の転写工程の一例を示す概略工程図である。
【符号の説明】
1 基材フィルム
2 光−熱変換層
3 転写層
4 熱伝播層
5 ガス発生層
6 ベースフィルム
7 ドナーフィルム
8、13 ロール
9 マイクログラビアロール
10 乾燥機
11 冷却機
12 基板
13 ロール
14 光(レーザー)または熱
15 第1電極
16 隔壁
17 赤色発光層
18 緑色発光層
19 青色発光層
20 第2電極
Claims (7)
- 基板/第1電極/少なくとも発光層を含む有機LED層/第2電極からなる有機LED表示パネルを製造するに当り、基板上または基板上に形成した所要の積層物上に、ベースフィルムが外側になるように有機LED用ドナーフィルムを貼り付け、次いでベースフィルム側から光を照射または熱を放射し、転写層の一部もしくはすべてを残してドナーフィルムを剥離して、有機LED層を転写形成することからなり、
前記有機LED用ドナーフィルムが、光−熱変換層およびポリαメチルスチレン膜からなる熱伝播層が順次積層されたベースフィルム上に単層または多層の転写層が積層されてなり、前記転写層の少なくともベースフィルム上に直接形成される層が、有機LED層形成用塗液を用いてウエットプロセスで形成されてなり、
前記有機LED層形成用塗液が、発光材料または電荷輸送材料と表面張力調整剤とを含有する、20℃における表面張力が60mN/m以下である水性溶液である
ことを特徴とする有機LED表示パネルの製造方法。 - 前記電荷輸送材料が、ポリチオフェン誘導体またはポリアニリン誘導体からなる正孔輸送材料である請求項1に記載の有機LED表示パネルの製造方法。
- 前記有機LED層形成用塗液の固形分が、0.01〜20重量%である請求項1または2に記載の有機LED表示パネルの製造方法。
- 前記有機LED層形成用塗液の25℃における粘度が、1〜100cpsである請求項1〜3のいずれか1つに記載の有機LED表示パネルの製造方法。
- 基板/第1電極/少なくとも発光層を含む有機LED層/第2電極からなる有機LED表示パネルを製造するに当り、基板上または基板上に形成した所要の積層物上に、ベースフィルムが外側になるように有機LED用ドナーフィルムを貼り付け、次いでベースフィルム側から光を照射または熱を放射し、転写層の一部もしくはすべてを残してドナーフィルムを剥離して、有機LED層を転写形成することからなり、
前記有機LED用ドナーフィルムが、光−熱変換層およびポリαメチルスチレン膜からなる熱伝播層が順次積層されたベースフィルム上に単層または多層の転写層が積層されてなり、前記転写層の少なくともベースフィルム上に直接形成される層が、有機LED層形成用塗液を用いてウエットプロセスで形成されてなり、
前記有機LED層形成用塗液が、発光材料または電荷輸送材料と表面張力調整剤とを含有する、20℃における表面張力が60mN/m以下である水性溶液であり、
前記電荷輸送材料が、ポリチオフェン誘導体またはポリアニリン誘導体からなる正孔輸送材料である
ことを特徴とする有機LED表示パネルの製造方法。 - 前記有機LED層形成用塗液の固形分が、0.01〜20重量%である請求項5に記載の有機LED表示パネルの製造方法。
- 前記有機LED層形成用塗液の25℃における粘度が、1〜100cpsである請求項5または6に記載の有機LED表示パネルの製造方法。
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