JP2010277949A - 有機el表示装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高開口率で、低コスト化が可能な有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】アクティブマトリクス方式の有機EL表示装置である。基板1の上に上下に積層された複数の有機EL素子3a〜3cを備える。各有機EL素子3a〜3cのそれぞれは、下側の第1電極21と、上側の第2電極22と、これらの間に形成される有機EL層23とを有し、第2電極22は陰極側に接続され、第1電極21はコンタクトホールと駆動素子4とを介して陽極側に接続されている。上下に接する有機EL素子3,3において、互いに隣接する第1電極21と第2電極22との間に、所定の抵抗値を有する絶縁層7が設けられている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、有機エレクトロルミネセンス(EL)素子を用いた表示装置(ディスプレイ)及びその製造方法に関する。詳しくは、有機EL素子を積層したアクティブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置及びその製造方法に関する。
近年、高度情報化に伴い、フラットパネルディスプレイのニーズが高まっている。フラットパネルディスプレイとしては、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ等が知られているが、特に有機ELディスプレイの進歩が著しい。
有機ELディスプレイの駆動技術の1つとして単純マトリクス方式(パッシブマトリクス方式)が知られている。単純マトリクス方式では線順次駆動が行われるため、走査線数が数百本と多い場合には、必要な瞬間輝度が数十万〜数百万cd/mにも達する。そのため、消費電力の増大や寿命の短期化などの問題があるうえ、駆動の観点からQVGA以上のライン数を持つディスプレイの作製が難しいという問題がある。
それに対し、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリクス方式であれば、単純マトリクス方式に比べて低電圧駆動が可能である。発光効率に優れるため、消費電力を大幅に低減することができ、表示品位を上げることも可能である。
ところで、従来は、ディスプレイをフルカラー化するために、例えば、赤色、緑色、青色を発光する画素を1つの単位として並置することで様々な色を作り出している。有機ELディスプレイの場合、これを実現化するために、一般的にシャドーマスクを用いて有機発光層を塗り分け、各色の画素を形成している(マスク蒸着法)。
しかし、モバイルディスプレイの分野では高精細化によりマスクの加工精度やマスクのアライメント精度が課題になっている。一方、大型ディスプレイの分野では基板サイズの大型化によりそれに対応したマスクの加工が課題となっている。
すなわち、マスクが大型化すればコストアップの問題に繋がるし、マスクの加工精度やアライメント精度が悪いと、発光層の混じりによる混色を防止するために画素間に設ける絶縁層の幅を広く取る必要があり、そのぶん発光部の面積が少なくなって画素の開口率が低下し、ひいては輝度の低下や消費電力の上昇、寿命の低下に繋がるのである。
これら課題を解決する方法の一つとして、赤色、緑色、青色の画素を上下に積層する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。この方法によれば開口率の向上やコスト低減が期待できる。
特許第3234936号公報 特表2000−507029号公報
しかし、これら特許文献の方法は単純マトリクス方式が対象となっているため、上述したような問題が未解決であるうえ、アクティブマトリクス方式に適用した場合には、階調表示が困難になるという問題がある。
そこで、本発明の目的は、階調表示を容易に行うことができ、表示品位も優れるうえに、消費電力の低下や低コスト化等が実現できる、有機EL表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは積層される有機EL素子の構造に着目し、互いに隣接することとなる陰極と陽極との間に、効果的に絶縁層を設けた。
すなわち、本発明は、アクティブマトリクス方式の有機EL表示装置であって、基板と、基板の上に上下に積層された複数の有機EL素子とを備え、前記複数の有機EL素子のそれぞれが、下側の第1電極と、上側の第2電極と、これら第1電極と第2電極との間に形成される有機EL層と、を含み、前記第1電極及び前記第2電極のいずれか一方は、陰極側及び陽極側のいずれか一方に接続され、前記第1電極及び前記第2電極の他方は、コンタクトホールと、前記有機EL素子を個別に駆動する駆動素子と、を介して前記陰極側及び陽極側の他方に接続され、上下に接する前記有機EL素子において、互いに隣接する前記第1電極と前記第2電極との間に、所定の抵抗値を有する絶縁層が設けられている有機EL表示装置である。
換言すれば、陰電極と、陽電極と、これら陰電極及び陽電極の間に設けられる有機EL層と、を備える有機EL素子が、基板上に上下に複数個積層されたアクティブマトリクス方式の有機EL表示装置であって、前記各有機EL素子は、それぞれ、前記陰電極及び前記陽電極のいずれか一方に接続される駆動回路を備え、前記駆動回路は、前記各有機EL素子を駆動する駆動用TFTと、前記各有機EL素子に入力される信号を制御するスイッチングTFTと、入力される前記信号を保持する保持容量と、を備え、前記各有機EL素子がそれぞれ所定の素子抵抗を有し、互いに上下に隣接する一方の前記有機EL素子の陽電極と、他方の前記有機EL素子の陰電極との間に、所定の素子間抵抗を有する絶縁層が形成されている有機EL表示装置である。
係る構成の有機EL表示装置によれば、積層された各有機EL素子を別個独立して駆動させることが可能となり、階調表示を容易に行うことができるようになる。従って、高輝度化、低消費電力化、長寿命化が実現でき、表示品位の優れた有機EL表示装置の提供が可能となる。
この点、詳しく説明する。例えば、従来の方法によって積層型有機EL表示装置を構成すると、図1及び図2のようになる。これら図中、101はガラス基板、102a〜102cはTFT(駆動回路)、103a〜103cはそれぞれ有機EL素子を表している。103aは赤色を発光する赤色発光有機EL素子、103bは緑色を発光する緑色発光有機EL素子、103cは青色を発光する青色発光有機EL素子である。121,122は、それぞれ各有機EL素子103a〜103cに設けられた電極である。104a〜104cは各有機EL素子103a〜103cの駆動TFT、105a〜105cは各駆動TFT104a〜104cを介して各有機EL素子103a〜103cに接続されている電源線である。これら電源線105a〜105cは陽極側に繋がっている。106は陰極側に繋がる接続線である。
この場合、上下に接する有機EL素子の第n層と第n+1層との間で互いに接触する電極121,122は等電位に設定されている。このような構成の場合、単純マトリクス方式であれば問題にならないが、アクティブマトリクス方式の場合は問題となる。
すなわち、この回路構成では、緑色発光有機EL素子103bのみに10Vの電圧を印加したい場合には、これの電源線105bに10V、青色発光有機EL素子103cと赤色発光有機EL素子103aの各電源線105a,105cに0Vを印加すれば、緑色発光有機EL素子103bに10Vの電位が生じ、所望の状態となる。
そして、緑色発光有機EL素子103bに10V、青色発光有機EL素子103cに6V、赤色発光有機EL素子103aに0Vの電圧を印加したい場合には、緑色発光有機EL素子103bの電源線105bに16V、青色発光有機EL素子103cの電源線105cに6V、赤色発光有機EL素子103aの電源線105aに0Vを印加すれば、緑色発光有機EL素子103bに10Vの電位、青色発光有機EL素子103cに6Vの電位、赤色発光有機EL素子103aに0Vが生じ、所望の状態となる。
このように緑色発光有機EL素子103bに同じ電圧(10V)を印加、つまり、同じ輝度で発光させる場合でも、他の発光有機EL素子103a,103cとの関係で緑色発光有機EL素子103bの電源線105bに異なる電圧(10Vと16V)を印加する必要が生じる。この例では単純だが、実際のディスプレイにおいては階調を表示する必要があるためより複雑になる。また、実際には赤色も発光させる必要があるため、それぞれ所望の階調表示にコントロールするのは極めて困難である。市販のディスプレイでは、1677万色(赤色画素での階調:256、緑色画素での階調:256、青色画素での階調:256)の表示が行われており、各色毎に1677万通りの信号が要求されるからである。
これに対し、本発明によれば、例えば、図3や図4のようになる。これら図中、1は基板、2(2a〜2c)はTFT(駆動回路)、3(3a〜3c)は有機EL素子を表している。3aは赤色を発光する赤色発光有機EL素子、3bは緑色を発光する緑色発光有機EL素子、3cは青色を発光する青色発光有機EL素子である。21(21a〜21c)、22(22a〜22c)は、それぞれ各有機EL素子に設けられた電極である。4(4a〜4c)は各有機EL素子3の駆動用TFT(駆動素子)、5(5a〜5c)は各駆動用TFT4を介して各有機EL素子3に接続されている電源線である。これら電源線5は陽極側に繋がっている。6は陰極側に繋がる接続線である。接続線6は各有機EL素子3ごとに設けられている。そして、上下に接する2つの有機EL素子3,3の間には、絶縁層7が設けられている。
この回路構成では、先と同様に緑色発光有機EL素子3bのみに10Vの電圧を印加したい場合には、緑色発光有機EL素子3bの電源線5bに10V、青色発光有機EL素子3cと赤色発光有機EL素子3aの各電源線5c,5aに0Vを印加すれば、緑色発光有機EL素子3bに10Vの電位が生じ、所望の状態となる。
そして、緑色発光有機EL素子3bに10V、青色発光有機EL素子3cに6V、赤色発光有機EL素子3aに0Vの電圧を印加したい場合には、緑色発光有機EL素子3bの電源線5bに10V、青色発光有機EL素子3cの電源線5cに6V、赤色発光有機EL素子3aの電源線5aに0Vを印加すれば、緑色発光有機EL素子3bに10Vの電位、青色発光有機EL素子3cに6Vの電位、赤色発光有機EL素子3aに0Vの電位が生じ、所望の状態となる。
つまり、本発明の回路構成では、従来の積層型有機ELディスプレイとは異なり、緑色発光有機EL素子3bに同じ電圧(10V)を印加するために、緑色発光有機EL素子3bの電源線5bに異なる電圧を印加する必要が無くなる。
従って、それぞれ所望の階調表示に際して複雑なコントロールが不要となり、1677万色の表示に際しても各色毎に256通りの信号で十分であり、極めて少ない信号で必要とされる階調数を実現することができる。
また、ディスプレイの特性に大きな影響を与える開口率(画素全体に対する発光に有効な面積の割合)は、フルカラー有機ELディスプレイの場合、主として「画素の配置方法」と「画素面積と実発光面積との差(エッジカバーによるロス)」の2点によって決定される。
具体的には、例えば、図5の(a)に示すように、1つの画素(ピクセル)151の中に赤色、緑色、青色を発光する有機EL素子113a〜113cをそれぞれ3つのサブピクセルに並置する従来の方法では、1画素の大きさを150×150μmと仮定した場合、1サブピクセルの大きさは50×150μmとなる。そのうち発光の得られない部分である、隣接する有機EL素子間の幅が10μm、各有機EL素子113a〜113cの周りに設けられるエッジカバー(電極のエッジ部分で有機EL層が薄くなることに起因して引き起こされる、対向する電極間のリークを防止するための領域)の幅が5μmとすると、1画素当たりの開口率は、17%(=(30×130)/(150×150)×100)となる。
それに対し、有機EL素子を積層する本発明の方法によれば、図5の(b)に示すように、各有機EL素子3a〜3cを1つの画素51の面積一杯に拡がるように配置して各色を発光させることが可能になるため、開口率を向上させることができる。例えば、75%(=(130×130)/(150×150)×100)の開口率を実現することが可能となり、開口率を4.4倍にまで向上させることができる。
従って、本発明では、各サブピクセルに要求される輝度を約1/4に低減させることができ、それに伴って消費電力も1/4に低減するし、一般的に有機ELの寿命は輝度の2乗に反比例することから、寿命も約16倍に向上させることができる。
この場合、n層目の前記有機EL素子の素子抵抗Rと、n+1層目の前記有機EL素子の素子抵抗Rn+1と、n層目の前記有機EL素子とn+1層目の前記有機EL素子との間に位置する前記絶縁層に基づく素子間抵抗R(n)〜(n+1)と、が下記の第1関係式及び第2関係式を満たすようにしておくのが好ましい。
第1関係式:R<R(n)〜(n+1)
第2関係式:Rn+1<R(n)〜(n+1)
これにより、第n層目の有機EL素子の電極と、第n+1層目の有機EL素子の電極との間にリーク電流が生じるのを阻止して効果的に絶縁することができ、第n層と第n+1の有機EL素子を独立して駆動させることが可能になる。
特に、単純マトリクス方式では、デューティー駆動を行うため、各画素にデューティー比に対応した高輝度が要求される。それに対し、アクティブマトリクス方式では、TFTをONにして連続的に発光させることができるため、画素の輝度を低く設定できる。例えば、ライン数400本のパネルで画素として200cd/mが必要とした場合、単純マトリクスの場合、800,00(=200×400)cd/mの輝度が必要となるのに対し、アクティブマトリクス方式の場合、画素で200cd/mの輝度であればよい。
また、電流駆動方式の有機EL素子では、絶縁層によるリークが同程度発生する場合、より輝度の低い状態(使用する電流量が低い状態)ほど輝度に対する影響の度合いが大きくなる。つまり、絶縁層のリークに対し、アクティブマトリクス方式の方が、単純マトリクス方式よりシビアに輝度変動に影響を及ぼす(設定値に対する変化量が大きい)。従って、この点でも効果的に絶縁できる本発明は有利となる。
更に具体的には、前記絶縁層の比抵抗を1010Ω・m以上に設定し、また、前記絶縁層の膜厚を50〜10,000nmに設定するのが好ましい。
そうすれば、第n層目の有機EL素子の電極と、第n+1層目の有機EL素子の電極の間をよりいっそう効果的に絶縁することができ、第n層と第n+1の有機EL素子をより信頼性をもって独立駆動させることが可能になる。
例えば、上述したように、緑色発光有機EL素子の電源線に10V、青色発光有機EL素子の電源線に6V、赤色発光有機EL素子の電源線に0Vを印加すれば、緑色発光有機EL素子に10Vの電位、青色発光有機EL素子に6Vの電位、赤色発光有機EL素子に0Vの電位が生じるが、これは完全に絶縁されていると仮定した場合の話である。
各有機EL素子を完全に絶縁することは、並置する場合であれば可能であるが、積層する場合には難しい。奥に位置する有機EL素子からは、幾重にも積層された有機EL素子や絶縁層を通して発光を取り出さなければならないため、絶縁層には、絶縁性と共に高度な透光性が求められ、膜厚を薄くせざるを得ないからである。
一般に、抵抗(R)は「比抵抗値:ρ×電極間距離(膜厚):L/断面積:S」の式で示され、絶縁性を論じる場合には比抵抗値(ρ)と膜厚(L)が重要となる。
そこで、後述するように繰り返し実験を行った結果、絶縁層の比抵抗を1010Ω・m以上に設定することや絶縁層の膜厚を50〜10,000nmに設定することで、透過性と絶縁性とを効率よく両立できることを見い出したものである。
すなわち、比抵抗が1010未満であると、十分な絶縁性が得られずにリークが生じるおそれがある。膜厚が50nm未満であると適当な絶縁性を得るのが困難であるし、均一な膜を形成することが非常に難しく、微小欠陥が生じるおそれがある。また、膜厚が10,000nmを超えると適切な透過性が得られず、輝度や発光効率の低下に伴う消費電力の上昇や寿命の低下が問題となる。
更には、前記複数の有機EL素子を第1〜第3の有機EL素子で構成し、前記第1有機EL素子が赤色を発光する赤色有機発光層を含み、前記第2有機EL素子が緑色を発光する緑色有機発光層を含み、前記第3有機EL素子が青色を発光する青色有機発光層を含むようにするのが好ましい。
そうすれば、フルカラーの有機EL表示装置を低コストで提供することが可能となる。
その場合、前記第1〜第3の有機EL素子のそれぞれは、発光機能を有する発光部と、前記コンタクトホールが設けられる接続部と、を有し、前記接続部は、前記発光部の周辺部に連続して外方に張り出すように形成され、前記各有機EL素子の接続部が上下に重ならないように形成されているようにすればよい。
そうすることで、有機EL素子が積層されていても、コンタクトホールを介してそれぞれ容易に各有機EL素子と駆動素子等と接続することができ、生産性を向上させることができる。
特に、前記各発光部は矩形状に形成され、前記第1〜第3の有機EL素子の各接続部が、前記各発光部の異なる辺の一端から他端にわたる範囲にそれぞれ形成されているようにするのが好ましい。
そうすれば、各有機EL素子の全体形状がいずれも単純化されるので、製造し易くなり、開口率をよりいっそう向上させることができる。
これら有機EL表示装置は、シャドーマスクを用いた蒸着法や、レーザーや熱による転写法、印刷法により、前記有機EL層における少なくとも前記コンタクトホールの部分をパターン化する工程を含む製造方法により製造することができる。
例えば、蒸着法であれば、特に精細度を低くできるため、マスクの加工が容易となる。また、開口を大きく取れるため、マスクの厚みを厚くすることが可能となり、その結果、マスクの剛性が強まって大型化が容易になる。相対的に各画素の開口率が高くなるため、高輝度化、低消費電力化、長寿命化の実現に有利である。
また、前記有機EL層における画素部分の全面に成膜した後、少なくとも前記コンタクトホールの部分の一部を剥離する工程を含む製造方法によっても製造することもできる。
この方法によれば、成膜が比較的容易で、コンタクトホールも比較的容易かつ高精度に形成できるため、製造コストの低減や製造時間の短縮が可能となり、有機EL表示装置を低コストで提供することが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、高開口率で、低コスト化が可能な有機EL表示装置を提供することができる。
従来の積層型有機ELディスプレイの回路模式図である。 従来の積層型有機ELディスプレイの断面及び回路の模式図である。 実施形態の有機ELディスプレイの回路模式図である。 実施形態の有機ELディスプレイの断面及び回路の模式図である。 開口率を説明するための模式図である。(a)は並置型、(b)は積層型を表している。 実施形態の有機ELディスプレイの要部を上方から見た模式図である。 実施形態の有機EL素子の断面模式図である。 変形例の有機ELディスプレイの図5相当図である。 各性能評価試験結果をまとめた表である。
以下に実施形態及び実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではない。
<実施形態>
(有機ELディスプレイの基本構成)
本実施形態の有機ELディスプレイ(表示装置)は、アクティブマトリクス方式が採用されており、その有機ELパネルを構成する基板1の一方の面(便宜上、上面とする)には、図6に示すように、それぞれが個別に電気的に駆動制御可能な一群の画素51,51,…が格子状に設けられている。各画素51は、それぞれ並列する3つのサブピクセル52,52,52に区画されている。
本実施形態では、図3や図4に示したように、1つの画素51ごとに、それぞれ上下に積層された複数の有機EL素子3a〜3cが設けられている。具体的には、各画素51には、赤色を発光する赤色発光有機EL素子3a(第1有機EL素子)、緑色を発光する緑色発光有機EL素子3b(第2有機EL素子)、青色を発光する青色発光有機EL素子3c(第3有機EL素子)の3個の有機EL素子3が積層されている。
これら各画素51を電圧駆動デジタル階調方式で制御することにより、本有機ELディスプレイはフルカラー表示ができるようになっている。なお、有機ELディスプレイには、上述したもの以外にも偏光板や封止部材などが備えられている。
基板1の上には、図3に詳しく示すように、走査線11や信号線12、電源線5a〜5c、スイッチング用TFT13、駆動用TFT(駆動素子)4a〜4cなどが所定の配置で形成され、図示しない層間絶縁膜などが設けられてアクティブマトリクス基板が構成されている。
各サブピクセル52に対応して格子状に構成された走査線(ゲート線)11と信号線(ソース線)12とが交わる交差部には、駆動回路を構成するTFT2a〜2cが配置されている。各TFT2a〜2cには、それぞれスイッチング用TFT13と駆動用TFT4とが配置されている。また、駆動用TFT4のゲート電位を定電位にするための保持容量(キャパシタ)14が、駆動用TFT4のゲート部分に接続されるように配置されている。各駆動用TFT4は、各有機EL素子3を個別に駆動する。なお、30aは素子由来の抵抗としての素子抵抗を、30bは素子由来の容量としての素子容量を表している。
図7に詳しく示すように、各有機EL素子3のそれぞれは、第1電極21、第2電極22、これら電極21,22の間に形成され、有機発光層23c等で構成された有機EL層23などで構成されている。図示例の有機EL層23は、下から順に、正孔注入層23a、正孔輸送層23b、有機発光層23c、電子輸送層23d、電子注入層23eが積層されて構成されている。
そして、このような構成の有機EL素子3のうち赤色発光有機EL素子3aがアクティブマトリクス基板の直ぐ上に形成され、その上に緑色発光有機EL素子bが形成され、更にその上に青色発光有機EL素子3cが積層形成されている。最も表面側に位置する青色発光有機EL素子3cの第2電極22(表面第2電極22cともいう)の上には、図示しないが、無機膜や樹脂膜、封止基板等の封止部材が設けられ、封止構造が形成されている。封止構造は、特に限定されるものではなく、従来の方法によって形成すればよい。封止基板は必ずしも必要ではなく、無機膜と樹脂膜のみで封止を行ってもよい。
上下に接する各有機EL素子3,3では、下側の有機EL素子3の第2電極22と上側の有機EL素子3の第1電極21とが互いに隣接している。
その第1電極21と第2電極22との間に、両電極21,22を絶縁するために絶縁層7が設けられている。図3において、7aは絶縁層7に基づく素子間抵抗を、7bは絶縁層7に基づく素子間容量を表している。絶縁層7は、少なくとも各電極21,22どうしが互いに近接する部分に形成されていれば足りるが、それ以外の部分に形成してあってもよい。
各有機EL素子3の第2電極22は、それぞれ接続線6を介して共通の陰極側に接続されている。一方、各有機EL素子3の第1電極21は、コンタクトホール53や駆動用TFT4、電源線5a〜5cを介して陽極側に接続されている。
図6に示すように、各画素51には、サブピクセル52ごとにTFT2が設けられ、各TFT2a〜2cは3つのサブピクセル52,52,52に対応して並列に設けられている。各有機EL素子3a〜3cは、各TFT2a〜2cと対向状に設けられ、発光機能を有する発光部31と、接続部32(32a〜32c)とを有している。
発光部31は、画素51に対応して矩形(本実施形態では長方形)に形成されている。各有機EL素子3の接続部32a〜32cは、それぞれ発光部31の一方の長辺(TFT2側の辺)から連続して外方に張り出すように形成され、それぞれ上下に重ならないように形成されている。具体的には、各サブピクセル52に対応するように、発光部31の長辺が、一方の端部側の一端領域と、他方の端部側の他端領域と、これらの中間の中間領域とに略3等分され、これら各領域のそれぞれに、矩形の各接続部32a〜32cが形成されている。各接続部32の中間部分の下側にはそれぞれコンタクトホール53が形成されていて、これらコンタクトホール53を介して各有機EL素子3の第1電極21a〜21cが駆動用TFT4a〜4c等に接続されている。
なお、有機ELディスプレイの基本構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電圧駆動デジタル階調方式に限らず電流駆動アナログ階調方式でもよい。TFTの数も特に限定されない。前述した2つのTFT4,13により有機EL素子3を駆動してもよいし、TFTのバラツキを防止する目的で、2個以上のTFTで駆動してもよい。また、アクティブマトリクス基板の上には、第1電極21のエッジ部のリークを防止するための絶縁性のエッジカバーや、機能性材料溶液(有機EL素子をウエットプロセスで作製する際に塗布される)を保持するための絶縁性の隔壁層を設けてあってもよい。
(変形例)
図8に示すように、特に、各有機EL素子3は、それぞれの接続部32が発光部31の異なる辺に位置するように形成するのが好ましい。各接続部32は、それぞれが位置する辺の一端から他端にわたる範囲に矩形状に形成され、発光部31と合わせて全体形状も矩形を呈するように形成されている。
具体的には、発光部31のTFT2側の側辺と、この側辺の両端に連なる各端辺とからそれぞれ張り出すように各有機EL素子3の接続部32a〜32cを形成する。本変形例では、下層の赤色発光有機EL素子3aの接続部32aと、上層の青色発光有機EL素子3cの接続部32cとが、発光部31の各端辺にそれぞれ形成され、中間層の緑色発光有機EL素子bの接続部32bが前記側辺に形成されている。
このように構成することで、各画素51における開口率を向上させることができる。すなわち、有機EL素子3は微小なため、接続部32を1つの辺の各領域から小さく張り出させるのは難しく、安定して製造するためには、接続部32をある程度大きく張り出させる必要がある。それに対し、本変形例のように、接続部32と発光部31とを合わせて1つの矩形形状にすることで、接続部32を小さく張り出させても安定して形成できるようになり、それだけ開口率を向上させることができる。
(有機ELディスプレイの各構成部材)
次に、有機ELディスプレイの各構成部材及びその形成方法について詳細に説明する。
[基板1]
基板の材料等については、限定しない。例えば、ガラスや石英等からなる無機材料基板のほか、ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等からなるプラスチック基板、アルミナ等からなるセラミックス基板等の絶縁性基板、アルミニウム(Al)や鉄(Fe)等からなる金属基板に酸化シリコン(SiO)や有機絶縁材料等からなる絶縁物を表面にコーティングした基板、Al等からなる金属基板の表面を陽極酸化等の方法で絶縁化処理を施した基板等が挙げられる。
ポリシリコンTFTを低温プロセスで形成する場合には、500℃以下の温度で融解せず、歪みも生じない基板を用いることが好ましい。更に、ポリシリコンTFTを高温プロセスで形成する場合には、1000℃以下の温度で融解せず、歪みも生じない基板を用いることが好ましい。また、有機EL層からの発光を基板側から取り出す場合には、発光を外部に取り出すために透明又は半透明の基板を用いる必要がある。
[TFT2]
TFTは、スイッチング用及び駆動用として機能させるために、有機EL素子を形成する前に予め基板の上に形成される。本発明では、公知のTFTが利用でき、また、TFTに代えて金属−絶縁体−金属(MIM)ダイオードを用いることもできる。
具体的には、TFTの活性層の材料としては、例えば、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、多結晶シリコン(ポリシリコン)、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等の無機半導体材料や、ポリチオフェン誘導体、チオフエンオリゴマー、ポリ(p−フェリレンビニレン)誘導体、ナフタセン、ペンタセン等の有機半導体材料が挙げられる。また、TFTの構造としては、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、コプレーナ型が挙げられる。
TFTの活性層の形成方法としては、例えば、プラズマ誘起化学気相成長(PECVD)法により成膜したアモルファスシリコンに不純物をイオンドーピングする方法や、シラン(SiH)ガスを用いた減圧化学気相成長(LPCVD)法によりアモルファスシリコンを形成し、固相成長法によりアモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法、Siガスを用いたLPCVD法又はSiHガスを用いたPECVD法によりアモルファスシリコンを形成し、エキシマレーザー等のレーザーによりアニールし、アモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオンドーピングを行う方法(低温プロセス)、LPCVD法又はPECVD法によりポリシリコン層を形成し、1000℃以上で熱酸化することによりゲート絶縁膜を形成し、その上に、nポリシリコンのゲート電極を形成し、その後、イオンドーピングを行う方法(高温プロセス)、有機半導体材料をインクジェット法等により形成する方法、有機半導体材料の単結晶膜を得る方法等が挙げられる。
TFTのゲート絶縁膜としては、例えば、PECVD法、LPCVD法等により形成されたSiO又はポリシリコン膜を熱酸化して得られるSiO等が挙げられる。TFTの信号線や走査線、共通電極線、第1駆動電極、第2駆動電極等の材料としては、例えば、タンタル(Ta)やアルミニウム(Al)、銅(Cu)等が挙げられる。
[層間絶縁膜]
層間絶縁膜は、公知の材料を用いて形成することができる。その材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiN、又は、Si)、酸化タンタル(TaO、又は、Ta)等の無機材料のほか、アクリル樹脂やレジスト材料などの有機材料等が挙げられる。また、その形成方法としては、化学気相成長(CVD)法や真空蒸着法などのドライプロセス、スピンコート法などのウエットプロセスが挙げられる。また、必要に応じてフォトリソグラフィ法等によりパターニングすることもできる。
有機EL層からの発光を基板側から取り出さないのであれば、外光が基板上のTFTに入射してその特性が変化するのを防ぐために、層間絶縁膜の一部ないし全部に遮光性の絶縁膜を用いるとよい。そのような遮光性の絶縁膜としては、例えば、フタロシアニン、キナクロドン等の顔料又は染料をポリイミド等の高分子樹脂に分散したものや、カラーレジスト、ブラックマトリクス材料、NiZnFe等の無機絶縁材料等が挙げられる。
[平坦化膜]
基板上にTFT等を形成する場合には、その表面に凸凹が形成され、例えば、画素電極の欠損や有機EL層の欠損、対向電極の断線、画素電極と対向電極の短絡、耐圧の低下等、有機EL素子の欠陥が発生するおそれがある。これら欠陥の発生を防止するために、層間絶縁膜上に平坦化膜を設けてもよい。
その場合、平坦化膜は公知の材料を用いて形成することができ、その材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタル等の無機材料やポリイミド、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等が挙げられる。平坦化膜の形成方法としては、CVD法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウエットプロセスが挙げられる。なお、平坦化膜は単層構造でも多層構造でもよい。
[有機EL素子3]
有機EL素子3は、第1電極21や第2電極22、これら各電極21,22の間に形成された有機EL層23などで構成されている。
{有機EL層23}
有機EL層は、有機発光層のみの単層構造でも、電子輸送層等の電荷注入輸送層を加えた多層構造でもよい。具体例としては、例えば、下記の(1)〜(9)の構成が挙げられる。
(1)有機発光層
(2)正孔輸送層/有機発光層
(3)有機発光層/電子輸送層
(4)正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/正孔防止層/電子輸送層
(8)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/正孔防止層/電子輸送層/電子注入層
(9)正孔注入層/正孔輸送層/電子防止層/有機発光層/正孔防止層/電子輸送層/電子注入層
なお、有機発光層、正孔注入層、正孔輸送層、正孔防止層、電子防止層、電子輸送層及び電子注入層の各層は、単層構造でも多層構造でもよい。
有機発光層は、例えば、後述する有機発光材料のみから構成されていてもよく、正孔輸送材料、電子輸送材料、添加剤(ドナー、アクセプター等)、発光性のドーパント等を含んでいてもよい。また、これらの材料を高分子材料(結着用樹脂)や無機材料中に分散した構成であってもよい。発光効率の向上や長寿命化の観点からは、ホスト材料中に発光性のドーパントを分散しておくのが好ましい。
有機発光材料には、例えば、低分子発光材料や高分子発光材料、高分子発光材料の前駆体などの公知の発光材料が使用できる。また、蛍光材料や燐光材料等であってもよい。
具体的には、低分子発光材料としては、例えば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(DPVBi)等の芳香族ジメチリデン化合物、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール等のオキサジアゾール化合物、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン等のスチリルベンゼン化合物、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の蛍光性有機材料、及び、アゾメチン亜鉛錯体、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体(Alq)等の蛍光発光有機金属錯体等が挙げられる。
高分子発光材料としては、例えば、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PPP)、ポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニルレン]ジブロマイド(PPP−NEt3+)、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)等のポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)等のポリスピロ誘導体が挙げられる。
高分子発光材料の前駆体としては、例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体(Pre−PNV)、ポリ(p−フェニレン)前駆体(Pre−PPP)等が挙げられる。
発光性のドーパントには公知のドーパント材料が利用できる。例えば、スチリル誘導体、ペリレン、イリジウム錯体、クマリン誘導体、ルモーゲンFレッド、ジシアノメチレンピラン、フェノキザゾン、ポリフィリン誘導体、ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2‘]ピコリネート イリジウム(III)(FIrpic)、トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム(III)(Ir(ppy))、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq))、トリス(ビフェニルキノキサリナト)イリジウム(III)(Q3Ir)等の燐光発光有機金属錯体等である。
ホスト材料も公知のホスト材料が利用できる。具体的には、上述した有機発光材料のほか、4,4‘−ビス(カルバゾール)ビフェニル、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(CPF)等のカルバゾール誘導体等をホスト材料に用いることができる。
電荷注入輸送層は、電荷(正孔、電子)の電極からの注入と電極から発光層への輸送とをより効率よく行う目的で設けられ、電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と、電荷輸送層(正孔輸送層、電子輸送層)と、に分類される。電荷注入輸送層は、後述する電荷注入輸送材料のみで構成されていてもよく、添加剤(ドナー、アクセプターなど)等を含んでいてもよい。また、これら電荷注入輸送材料や添加剤等を、高分子材料(結着用樹脂)や無機材料中に分散させて電荷注入輸送層を構成してあってもよい。
電荷注入輸送材料には、有機ELや有機光導電体用の公知の電荷注入輸送材料を用いることができる。
具体的には、電荷注入輸送材料は、正孔注入層や正孔輸送層に用いられる正孔注入輸送材料や、電子注入層や電子輸送層に用いられる電子注入輸送材料に分類されており、正孔注入輸送材料としては、例えば、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物、無機p型半導体材料、ポルフィリン化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物、ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物等の低分子材料、ポリアニリン(PANI)、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(PANI−CSA)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン)誘導体(Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等の高分子材料、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体(Pre−PNV)等の高分子材料の前駆体等が挙げられる。
正孔の注入・輸送をより効率よく行うために、正孔注入層には、正孔輸送層よりも最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位が低い材料を用いるのが好ましい。また、正孔輸送層には、正孔注入層より正孔の移動度が高い材料を用いるのが好ましい。
一方、電子注入輸送材料としては、例えば、n型半導体である無機材料、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の低分子材料;ポリ(オキサジアゾール)(Poly−OXZ)、ポリスチレン誘導体(PSS)等の高分子材料が挙げられる。特に、電子注入層の材料としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF)等のフッ化物、酸化リチウム(LiO)等の酸化物等が挙げられる。
電子の注入・輸送をより効率よく行うために、電子注入層には、電子輸送層よりも最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位が高い材料を用いるのが好ましい。また、電子輸送層には、電子注入層よりも電子の移動度が高い材料を用いるのが好ましい。
有機EL層は、上記の材料を溶剤に溶解、分散させた有機EL層形成用塗液を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法などの印刷法等による公知のウエットプロセスや、上記の材料を真空蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセスのほか、熱転写法やレーザー転写法等により形成することができる。なお、ウエットプロセスにより有機EL層を形成する場合には、塗液の物性を調整するために、レベリング剤等の添加剤が有機EL層形成用塗液に含まれていてもよい。
有機EL層の膜厚は、通常1〜1000nm程度であるが、10〜200nmが好ましい。膜厚が10nm未満であると、ゴミ等の異物により画素欠陥が生じるおそれがあり、膜厚が200nmを超えると、有機EL層の抵抗成分により駆動電圧が上昇するおそれがあるからである。
{第1電極21、第2電極22}
第1電極及び第2電極は、有機EL素子の陽極又は陰極として一対で機能する。つまり、第1電極を陽極とした場合には第2電極は陰極となり、第1電極を陰極とした場合には第2電極は陽極となる。ちなみに本実施形態では、第1電極が陽極、第2電極が陰極となっている。
第1電極等には、公知の電極材料を用いることができる。具体的には、陽極の電極材料としては、有機EL層への正孔の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以上の金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属や、インジウム(In)と錫(Sn)からなる酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)と亜鉛(Zn)からなる酸化物(IZO)等が挙げられる。陰極の電極材料としては、有機EL層への電子の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以下のリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属や、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
第1電極等は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができる。フォトリソグラフフィー法やレーザー剥離法により形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。その膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなって駆動電圧が上昇するおそれがあるからである。
発光を取り出す側には、ITO、IZOなどを用いて透明な電極を形成するのが好ましい。その場合、透明電極の膜厚は、50〜500nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなって駆動電圧が上昇するおそれがあり、膜厚が500nmを超える場合には、光の透過率が下がって輝度が低下するおそれがあるからである。
色純度の向上、発光効率の向上等の目的で、マイクロキャビティ(干渉)効果を用いる場合、発光を取り出す側には半透明な電極を形成するのが好ましい。その半透明電極材料としては、例えば、金属の半透明電極単体や、金属の半透明電極と透明電極材料の組み合わせを用いることができるが、反射率・透過率の観点から、銀が好ましい。その場合、半透明電極の膜厚は、5〜30nmが好ましい。膜厚が5nm未満の場合には、光の反射が十分行えず、干渉の効果を十分得るとこができないし、膜厚が30nmを超える場合には、光の透過率が下がって輝度が低下するおそれがあるからである。
発光を取り出さない側には、光を透過しない不透明な電極を用いるのが好ましい。その不透明電極材料としては、例えば、タンタル、炭素等の黒色電極、アルミニウム、銀、金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−ネオジウム合金、アルミニウム−シリコン合金等の反射性金属電極、透明電極と前記反射性金属電極(反射電極)を組み合わせた電極等が挙げられる。
[絶縁層7]
絶縁層は、1層以上の層からなり、上下に互いに隣接する一方の有機EL素子の第1電極と、他方の有機EL素子の第2電極との間に形成されている。絶縁層には、光を透過する公知の材料を使用することができる。そのような材料としては、例えば、Al、SiON、SiN、SiOC、SiC、HfSiON、ZrO、HfO、LaO等が挙げられる。絶縁層は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンビームスパッタ法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法、プラズマCVD法等の公知の方法により形成することができる。
その中でも、特にイオンビームスパッタ法とイオンプレーティング法が好ましい。これらは、他の方法に比べて、成膜時に有機EL素子にダメージを与え難く、また、物理蒸着法であるため、薄くて絶縁性に優れた緻密な膜を得ることができ、高光透過性と絶縁性との両立が可能となるからである。
絶縁層は、所定の条件を満たすように膜厚、比抵抗が設定されている。
すなわち、n層目の有機EL素子の素子抵抗(Rとする)と、n+1層目の有機EL素子の素子抵抗(Rn+1とする)と、n層目の有機EL素子とn+1層目の有機EL素子と間に位置する絶縁層の素子間抵抗(R(n)〜(n+1)とする)とが、
・第1関係式:R<R(n)〜(n+1)
・第2関係式:Rn+1<R(n)〜(n+1)
の双方を満たすように膜厚、比抵抗が設定されている(第1条件)。
このようにすることで、第n層目の有機EL素子の第2電極と、第n+1層目の有機EL素子の第1電極との間のリーク電流を阻止して効果的に絶縁することが可能となり、第n層目の有機EL素子と第n+1層目の有機EL素子とをそれぞれ独立して駆動することができるようになる。
更には、
・第3関係式:R<1/10×R(n)〜(n+1)
・第4関係式:Rn+1<1/10×R(n)〜(n+1)
の双方を満たすようにするのが好ましい。
そうすることで、より絶縁性が向上し、特に、低消費電力化の目的で発光効率の良い燐光材料を使用する場合に効果的である。すなわち、発光効率が良い分、低電流でも発光が起こるようになり、リーク電流に対する輝度の低下がよりシビアになるからである。
絶縁層の比抵抗は、1010Ω・m以上であるのが好ましい(第2条件)。比抵抗が1010Ω・m未満であると、材料品質のばらつきによりリーク電流を生じるおそれがあるからである。
絶縁層の膜厚は、50〜10,000nmが好ましく(第3条件)、より好ましくは、200〜1,000nmである。膜厚が50nm未満であると、比抵抗にかかわらず適正な絶縁性を得るのが困難であるうえ、均一な膜を形成するのが難しく、成形時のばらつきによって不良を生じるおそれがあるからである。膜厚が10,000nmを超えると、透過性が下がって輝度や発光効率の低下を招き易く、結果、消費電力の上昇や寿命の低下が問題となってくるからである。特に200〜1,000nmの膜厚であれば、生産性に優れ、効果的にリーク電流を阻止することが可能になる。
絶縁層の透過率は、可視光領域で略90%に設定するのが好ましい。輝度や発光効率の低下に伴う消費電力の上昇や寿命の低下を低減することが可能となるからである。
なお、各有機EL素子間の絶縁層の膜厚や材質、素子間抵抗、素子間容量は同じでも異なっていてもよい。
[偏光板]
発光の取り出し側には、偏光板を設けるのが好ましい。その偏光板としては、従来の直線偏光板とλ/4板とを組み合わせたものが好ましい。偏光板を設けることによって、有機ELパネルのコントラストを向上させることができる。
[封止部材]
有機EL素子等を保護するために、表面第2電極の上に封止膜を介してガラス等の封止基板が設けられている(封止部材)。封止膜あるいは封止基板は、公知の封止材料や封止方法により形成することができる。具体的には、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスをガラス、金属等で封止する方法が挙げられる。封入した不活性ガス中に酸化バリウム等の吸湿剤等を混入する方法であってもよい。封止膜は、表面第2電極の上に、スピンコート法やODF、ラミレート法を用いて樹脂を塗布、又は、貼り合わせることによって形成することができる。封止膜は、また、表面第2電極の上に、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタ法等により、SiO、SiON、SiN等の無機膜を形成した後、樹脂をスピンコート法、ODF、ラミレート法を用いて塗布、又は、貼り合わせることによって形成することもできる。
この封止基板や封止膜によって外部からの酸素や水分の混入を防止することができ、有機EL素子の寿命を向上させることができる。なお、表面第2電極側から発光を取り出す場合には、封止膜や封止基板に光透過性の材料が使用される。
<実施例>
本発明をより詳細に説明するために、構成の一部を変えて比較評価した実施例1〜実施例5、及び比較例1〜4について次に説明する。図9に、その評価試験結果をまとめた表を示す。
[実施例1]
(有機EL表示装置の製造)
1.アクティブマトリクス基板の形成工程
PECVD法を用いてガラス基板上にアモルファスシリコン半導体膜を形成した後、結晶化処理を施すことにより多結晶シリコン半導体膜を形成した。多結晶シリコン半導体膜は、フォトリソグラフィ法を用いて複数の島状にパターンニングした。パターニングした多結晶シリコン半導体層の上にゲート絶縁膜及びゲート電極層をこの順番で形成し、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングを行った。パターニングした多結晶シリコン半導体膜にリン等の不純物元素をドーピングすることによりソース及びドレイン領域を形成し、TFT素子を作製した。
その後、PECVD法で窒化シリコン膜を形成し、スピンコーターでアクリル系樹脂層をこの順で積層して層間絶縁膜及び平坦化膜を形成した。
まず、窒化シリコン膜を形成した後、窒化シリコン膜とゲート絶縁膜とを一括してエッチングすることによりソース及び/又はドレイン領域に通ずるコンタクトホールを形成し、続いて、ソース配線を形成した。その後、アクリル系樹脂層を形成し、ゲート絶縁膜及び窒化シリコン膜に穿孔したドレイン領域のコンタクトホールと同じ位置に、ドレイン領域に通ずるコンタクトホールを形成した。なお、平坦化膜としての機能は、アクリル系樹脂層によって実現され、TFTのゲート電位を定電位にするための保持容量は、スイッチング用TFTのドレインと駆動用TFTのソースとの間に層間絶縁膜等の絶縁膜を介在させることによって形成される。
こうして得られるアクティブマトリクス基板の上には、各有機EL素子の第1電極と各駆動用TFTとをそれぞれ電気的に接続するコンタクトホールが、層間絶縁膜等を貫通して形成されている。
2.積層工程
最初に、赤色発光有機EL素子の駆動用TFTと赤色発光有機EL素子の第1電極(陽極)とが、コンタクトホールを介して電気的に接続されるように、シャドーマスクを用いたスパッタ法によって赤色発光有機EL素子の第1電極を形成した。この第1電極は、Ag(銀)を用いて100nmの膜を形成し、引き続きITO(酸化インジウム−酸化錫)を用いて20nmの膜を形成した。ここでの第1電極の面積は、300μm×300μmとした。
次に、第1電極のSiOをスパッタ法により200nm積層し、従来のフォトリソグラフィ法により、第1電極のエッジ部、具体的には、第1電極の四辺の10μmのみをSiOで覆うようにパターン化し、第1電極を形成した。その後、アセトン、IPAを用いて超音波洗浄を10分間行った後、UV−オゾン洗浄を30分間行った。
次に、洗浄した第1電極の表面に正孔注入層(厚さ:30nm)を形成した。具体的には、シャドーマスクを用いた真空蒸着法により、4,4’,4”−トリス(N,N−(1−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(1−TNATA)を用いてパターニング形成した。
形成した正孔注入層の上に、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)(α−NPD)を用いて正孔輸送層(厚さ:20nm)を形成した。
形成した正孔輸送層の上に、赤色有機発光層(厚さ:30nm)を形成した。具体的には、ホスト材料としての3−フェニル−4(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)及び赤色発光ドーパントとしてのビス(2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’)イリジウム(アセチルアセトネート)(btpIr(acac))を、それぞれ1.4Å/sec及び0.15Å/secの蒸着速度で共蒸着した(蒸着法)。
形成した赤色有機発光層の上に、2,9−ジメチルー4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を用いて正孔防止層(厚さ:10nm)を形成し、その正孔防止層の上に、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)を用いて電子輸送層(厚さ:30nm)を形成した。電子輸送層の上には、フッ化リチウム(LiF)を用いて電子注入層(厚さ:1nm)を形成した。
続いて、半透明の第2電極を形成した。具体的には、積層過程のアクティブマトリクス基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、第2電極形成用のシャドーマスクとアクティブマトリクス基板とをアライメントして、真空蒸着法により電子注入層の表面にアルミニウムを蒸着させ、所望のパターンで第2電極を形成(厚さ:10nm)した。
形成した第2電極の上に、イオンプレーティングにより、SiONからなる絶縁層(厚さ:100nm)をシャドーマスクを用いてパターニング形成した。この絶縁層の成膜条件は、次の通りである。プラズマビームパワー:4.0kW。ビーム断面積S1:12.56cm。ビームエネルギー密度:310W/cm。N:20sccm、O:10sccmで導入。ソース材質:SiON焼結体(密度:相対密度99%以上)。
形成した絶縁層の上に、抵抗加熱蒸着法により、銀(Ag)からなる半透明の第1電極(厚さ:10nm)をシャドーマスクを用いてパターニング形成した。ここでは、緑色発光有機EL素子の駆動用TFTと緑色発光有機EL素子の第1電極(陽極)とが、コンタクトホールを介して電気的に接続されるように、緑色発光有機EL素子の第1電極を形成した。
形成した第1電極の表面に、先と同様にして正孔注入層(厚さ:30nm)、正孔輸送層(厚さ:20nm)を形成し、その上に緑色有機発光層(厚さ:30nm)を形成した。この緑色有機発光層は、ホスト材料としてのTAZ及び緑色発光ドーパントとしてのIr(ppy)を、それぞれ1.5Å/sec及び0.2Å/secの蒸着速度で共蒸着して形成した。
緑色有機発光層の上に、先と同様にして正孔防止層(厚さ:10nm)、電子輸送層(厚さ:30nm)、半透明の第2電極(厚さ:10nm)、絶縁層(厚さ:100nm)、半透明の第1電極(厚さ:10nm)を形成した。なお、ここでも青色発光有機EL素子の駆動用TFTと青色発光有機EL素子の第1電極(陽極)とが、コンタクトホールを介して電気的に接続されるように、青色発光有機EL素子の第1電極を形成した。
第1電極の表面に、先と同様にして、正孔注入層(厚さ:30nm)、正孔輸送層(厚さ:20nm)を形成し、その上に青色有機発光層(厚さ:30nm)を形成した。この青色有機発光層は、ホスト材料としてのTAZ及び青色発光ドーパントとしての2−(4’−t−ブチルフェニル)−5−(4’’−ビフェニルイル)−1,3,4−オキサジアゾール(t−Bu PBD)を、それぞれ1.5Å/sec及び0.2Å/secの蒸着速度で共蒸着して形成した。青色有機発光層の上には、先と同様にして、正孔防止層(厚さ:10nm)、電子輸送層(厚さ:30nm)、電子注入層15(厚さ:1nm)を形成した。
次に、最表面に位置する半透明の表面第2電極を形成した。具体的には、まず、アクティブマトリクス基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、第2電極形成用のシャドーマスクとアクティブマトリクス基板をアライメントし、真空蒸着法により電子注入層の表面にマグネシウム及び銀(混合比=1:9)を共蒸着させ、所望のパターンで表面第2電極を形成(厚さ:20nm)した。
3.封止工程等
表面第2電極の上に、プラズマCVD法によって無機保護層をパターニング形成した。具体的には、ディスプレイからの配線の取り出し部分(FPC接続部分)だけには形成されないように、シャドーマスクを用いてSiOの無機保護層(厚さ:2μm)をパターニング形成した。
次に、封止ガラスにディスペンサーでUV硬化型樹脂接着材を塗布し、その封止ガラスを、アクティブマトリクス基板の表面第2電極側とドライエアー環境下(水分量:−60℃)で張り合わせ、UV光を照射して接着材を硬化させた。最後に、発光を取り出す側に偏光板を張り合わせることで有機ELパネルを得た。
なお、この有機ELパネルにおける各有機EL素子の輝度の設計値は、赤色有機EL素子:300cd/m、緑色有機EL素子:600cd/m、青色有機EL素子:150cd/mとなっている。
(性能評価試験)
こうして得られた有機ELパネルに外部駆動回路等を実装し、その性能について試験を行った。なお、素子抵抗や素子間抵抗の測定、比抵抗の測定は、6487型電圧源内蔵ピコアンメーター(ケースレーインスツルメンツ株式会社製)により、透過率の測定は、U−2900分光光度計(日立製作所製)により、膜厚はP−16+段差・表面あらさ・微細形状測定装置(KLA Tencor製)により、それぞれ行った。
その結果、図9に示すように、各有機EL素子では、それぞれ設計値通りの輝度(実測値)が得られた。素子間の絶縁膜の抵抗Rは5.4×10Ω、比抵抗ρは9.2×1014Ω・m、透過率は可視光領域で92%以上であった。また、赤色有機EL素子の素子抵抗Rは2.4×10Ω、緑色有機EL素子の素子抵抗Rは1.2×10Ω、青色有機EL素子の素子抵抗Rは3.6×10Ωであった。つまり、第1〜第3の条件は満たされていた。
[実施例2]
実施例1において、絶縁膜の膜厚を100nmから50nmに変更した。なお、その他の構成は実施例1と同様であるため、説明は省略する(以下同様)。
その結果、各有機EL素子では、それぞれ設計値通りの輝度(実測値)が得られた。絶縁膜の抵抗Rは2.7×10Ω、比抵抗ρは9.2×1014Ω・m、透過率は可視光領域で94%以上であった。また、赤色有機EL素子の素子抵抗Rは2.4×10Ω、緑色有機EL素子の素子抵抗Rは1.2×10Ω、青色有機EL素子の素子抵抗Rは3.6×10Ωであった。つまり、第1〜第3の条件は満たされていた。
[比較例1]
実施例1において、絶縁膜を各有機EL素子間に設けないでその膜厚を0nmに変更した。
その結果、赤色有機EL素子の輝度は50cd/m、緑色有機EL素子の輝度は50cd/m、青色有機EL素子の輝度は10cd/mとなり、設計値通りの輝度を得ることができなかった。各有機EL素子間で電流リークが起こり、各有機EL素子に所望の電圧が印加できなかったからである。
[比較例2]
実施例1において、絶縁膜の膜厚を100nmから20nmに変更した。
その結果、赤色有機EL素子の輝度は100cd/m、緑色有機EL素子の輝度は300cd/m、青色有機EL素子の輝度は80cd/mとなり、設計値通りの輝度を得ることができなかった。また、絶縁膜の抵抗Rは4.7×10Ω、比抵抗ρは9.2×1014Ω・m、透過率は可視光領域で97%以上であった。
絶縁膜が高い比抵抗を示しているにも関わらず抵抗が低いのは、膜厚が非常に薄くなると絶縁膜が断片化して島状に形成されるためである。また、赤色有機EL素子の素子抵抗Rは2.4×10Ω、緑色有機EL素子の素子抵抗Rは1.2×10Ω、青色有機EL素子の素子抵抗Rは3.6×10Ωであった。つまり、第2の条件は満たされていたが、第1、第3の条件は満たされていなかった。
[比較例3]
実施例1において、絶縁膜の膜厚を100nmから100,000nmに変更した。
その結果、赤色有機EL素子の輝度は80cd/m、緑色有機EL素子の輝度は350cd/m、青色有機EL素子の輝度は145cd/mとなり、設計値通りの輝度を得ることができなかった。
絶縁膜の膜厚が厚く、透過率が低下したためである。特に、発光が取り出される表面第2電極側から下層へ行くほど、つまり、青色発光有機EL素子、緑色発光有機EL素子、赤色発光有機EL素子の順に輝度の低下率が大きくなっていた。
また、絶縁膜の抵抗Rは5.4×1012Ω、比抵抗ρは9.2×1014Ω・m、透過率は60程度の値を含み、可視光領域で60%以上であった。赤色有機EL素子の素子抵抗Rは2.4×10Ω、緑色有機EL素子の素子抵抗Rは1.2×10Ω、青色有機EL素子の素子抵抗Rは3.6×10Ωであった。つまり、第1、第2の条件は満たされていたが、第3の条件が満たされていなかった。
[比較例4]
実施例1において、絶縁膜のSiONを酸化錫(SnO)に変更した。
具体的には、赤色発光有機EL素子の第2電極と緑色発光有機EL素子の第2電極のそれぞれの上に、イオンプレーティングによりSnOからなる絶縁層(厚さ:100nm)をシャドーマスクを用いてパターニング形成した。この絶縁層の成膜条件は、次の通りである。プラズマビームパワー:4.0kW。ビーム断面積S1:12.56cm。ビームエネルギー密度:310W/cm。O:10sccmで導入。ソース材質:SnO2焼結体(密度:相対密度99%以上)。
その結果、赤色有機EL素子の輝度は60cd/m、緑色有機EL素子の輝度は70cd/m、青色有機EL素子の輝度は20cd/mとなり、設計値通りの輝度を得ることができなかった。
また、素子間絶縁膜SnOの素子間抵抗Rは2.4×10−7Ω、比抵抗ρは4.2×10−2Ω・m、透過率は可視光領域で95%以上であった。赤色有機EL素子の素子抵抗Rは2.4×10Ω、緑色有機EL素子の素子抵抗Rは1.2×10Ω、青色有機EL素子の素子抵抗Rは3.6×10Ωであった。つまり、第3の条件は満たされていたが、第1、第2の条件が満たされていなかった。
[実施例3]
アクティブマトリクス基板形成工程及び封止工程等は実施例1と同様である。本実施例では、積層工程において、転写用基板を用い、各有機発光層を転写形成した(転写法)。また、絶縁膜の材料をSiONからTiOに変更し、その厚みを100nmから10,000nmに変更した。
すなわち、アクティブマトリクス基板の製造に先立ち、スパッタ法により、クロムからなる熱変換層(厚さ:200nm)がガラス基板上に形成された転写用基板を3つ作製した。これら転写用基板を用い、それぞれ各色発光層形成用の転写用基板を作製した。
具体的には、転写用基板の上に赤色有機発光層(厚さ:30nm)を形成し、赤色発光層形成用の転写用基板を作製した。転写用基板の上に緑色有機発光層(厚さ:30nm)を形成し、緑色発光層形成用の転写用基板を作製した。転写用基板の上に青色有機発光層(厚さ:30nm)を形成し、青色発光層形成用の転写用基板を作製した。なお、これら各色有機発光層の形成方法は実施例1と同様である。
次に、アクティブマトリクス基板に形成されている、赤色発光有機EL素子用の第1電極の表面に、実施例1と同様に、正孔注入層(厚さ:30nm)、正孔輸送層(厚さ:20nm)を形成した。そして、正孔輸送層の上に赤色発光層形成用の転写基板を設置し、ダイオードレーザーで所定の画素上に赤色発光層を転写形成した。
形成した赤色発光層の上には、実施例1と同様に、正孔防止層(厚さ:10nm)、電子輸送層(厚さ:30nm)、電子注入層(厚さ:1nm)を形成した。この後、実施例1と同様に第2電極(厚さ:10nm)を形成した。但し、マグネシウムと銀(混合比=1:9)により形成した。
第2電極の上に、イオンプレーティングにより、TiOからなる絶縁層(厚さ:10μm)をシャドーマスクを用いてパターニング形成した。この絶縁層の成膜条件は次の通りである。プラズマビームパワー:4.0kW。ビーム断面積S1:12.56cm。ビームエネルギー密度:310W/cm。O:10sccmで導入。ソース材質:TiO焼結体(密度:相対密度99%以上)。
形成した絶縁層の上に、実施例1と同様に、第1電極(厚さ:10nm)、正孔注入層(厚さ:30nm)、正孔輸送層(厚さ:20nm)を形成した。そして、正孔輸送層の上に、緑色発光層形成用の転写基板を設置し、ダイオードレーザーで所定の画素上に緑色発光層を転写形成した。
形成した緑色発光層の上には、実施例1と同様に、正孔防止層(厚さ:10nm)、電子輸送層(厚さ:30nm)、電子注入層(厚さ:1nm)を形成した。この後、実施例1と同様に第2電極(厚さ:10nm)を形成した。ただし、本実施例ではマグネシウムと銀(混合比=1:9)により第2電極を形成した。第2電極の上には、先と同様にしてTiOからなる絶縁層(厚さ:10μm)を形成した。
形成した絶縁層の上には、実施例1と同様に、第1電極(厚さ:10nm)、正孔注入層(厚さ:30nm)、正孔輸送層(厚さ:20nm)を形成した。そして、正孔輸送層の上に、青色発光層形成用の転写基板を設置し、ダイオードレーザーで所定の画素上に青色発光層を転写形成した。
形成した青色発光層の上には、実施例1と同様に、正孔防止層(厚さ:10nm)、電子輸送層(厚さ:30nm)、電子注入層(厚さ:1nm)、第2電極(厚さ:20nm)を形成した。その後は、実施例1と同様に、無機保護層(厚さ:2μm)、封止ガラス、及び偏光板を設けた。
(性能評価試験結果)
図9に示すように、赤色有機EL素子の輝度は300cd/m、緑色有機EL素子の輝度は600cd/m、青色有機EL素子の輝度は150cd/mとなり、設計値通りの輝度が得られた。また、絶縁膜TiOの素子間抵抗Rは1.2×10Ω、比抵抗ρは2.0×1010Ω・m、透過率は可視光領域で90%以上であった。そして、赤色有機EL素子の素子抵抗Rは2.4×10Ω、緑色有機EL素子の素子抵抗Rは1.2×10Ω、青色有機EL素子の素子抵抗Rは3.6×10Ωであった。つまり、第1〜第3の条件は満たされていた。
[実施例4]
アクティブマトリクス基板形成工程及び封止工程等は、実施例1と同様である。本実施例では、積層工程において、塗液を用い、各有機発光層を印刷した(印刷法)。また、絶縁膜の材料をSiONからSiOに変更し、その厚みを100nmから400nmに変更した。
具体的には、形成したアクティブマトリクス基板に対し、スピンコート法によりポリイミド樹脂を2μm積層し、エッジカバーとして形成したSiOの上に塗液がTFTとのコンタクト部分に付着するのを防止するために、従来のフォトリソグラフィ法によりバンクを形成した。
続いて、アセトン、IPAを用いて超音波洗浄を10分間行った後、親水化処理としてUV−オゾン洗浄を30分間行い、疎水化処理としてCFプラズマ処理を行うことによりアクティブマトリクス基板を洗浄した。
そして、赤色発光材料として、ポリチオフェン(PT)20mgをテトラメチルベンゼン10ccに溶解し、赤色発光層形成用の塗液を作製した。緑色発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−テトラセン)(PFT)15mgをテトラメチルベンゼン10ccに溶解し、緑色発光層形成用の塗液を作製した。また、青色発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PF)10mgをテトラメチルベンゼン10ccに溶解し、青色発光層形成用塗液を作製した。
次に、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)塗液を用い、インクジェット法により第1電極の表面に正孔注入層(厚さ:60nm)をパターニング形成した。
形成した正孔注入層の上に、赤色発光層形成用の塗液を用い、インクジェット法によりパターニング形成し、赤色発光層(厚さ:80nm)を形成した(印刷法)。更に電子輸送層を形成し、その上にバリウム(Ba)を用いて電子注入層(厚さ:1nm)を形成した。
続いて、第2電極を形成した。まず、積層過程のアクティブマトリクス基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、第2電極形成用のシャドーマスクとアライメントして、真空蒸着法により電子注入層の表面に銀を蒸着させ、所望のパターンで第2電極を形成(厚さ:10nm)した。
形成した第2電極の上に、イオンプレーティングにより、SiOからなる絶縁層(厚さ:400nm)をシャドーマスクを用いてパターニング形成した。この絶縁層の成膜条件は次の通りである。プラズマビームパワー:4.0kW。ビーム断面積S1:12.56cm。ビームエネルギー密度:310W/cm。O:10sccmで導入。ソース材質:SiO焼結体(密度:相対密度99%以上)。形成した絶縁層の上には、実施例1と同様に第1電極(厚さ:10nm)を形成した。
次に、先と同様に塗液(PEDOT/PSS)を用いたインクジェット法により第1電極の表面に正孔注入層(厚さ:60nm)をパターニング形成した。そして、その上に、緑色発光層形成用の塗液を用い、インクジェット法によりパターニング形成し、緑色発光層(厚さ:70nm)を形成した。更に電子輸送層を形成し、その上にバリウム(Ba)を用いて電子注入層(厚さ:1nm)を形成した。
続いて、第2電極を形成した。まず、積層過程のアクティブマトリクス基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、第2電極形成用のシャドーマスクとアライメントして、真空蒸着法により電子注入層の表面にアルミニウムを蒸着させ、所望のパターンで第2電極を形成(厚さ:10nm)した。
形成した第2電極の上には、実施例1と同様に、SiOからなる絶縁層(厚さ:400nm)、第1電極(厚さ:10nm)を形成した。
次に、先と同様に塗液(PEDOT/PSS)を用いたインクジェット法により第1電極の表面に正孔注入層(厚さ:60nm)をパターニング形成した。そして、その上に、青色発光層形成用の塗液を用い、インクジェット法によりパターニング形成し、青色発光層(厚さ:60nm)形成した。更に電子輸送層を形成し、その上にバリウム(Ba)を用いて電子注入層(厚さ:1nm)を形成した。
続いて、第2電極を形成した。まず、積層過程のアクティブマトリクス基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、第2電極形成用のシャドーマスクとアライメントして、真空蒸着法により電子注入層の表面に銀を蒸着させ、所望のパターンで第2電極を形成(厚さ:20nm)した。
形成した第2電極の上には、実施例1と同様に、無機保護層(厚さ:2μm)、封止ガラス、及び偏光板を設けた。
(性能評価試験結果)
図9に示すように、赤色有機EL素子の輝度は300cd/m、緑色有機EL素子の輝度は600cd/m、青色有機EL素子の輝度は150cd/mとなり、設計値通りの輝度が得られた。また、絶縁膜の抵抗Rは5.4×10Ω、比抵抗ρは9.2×1014Ω・m、透過率は92%以上であった。赤色有機EL素子の素子抵抗Rは1.6×10Ω、緑色有機EL素子の素子抵抗Rは1.2×10Ω、青色有機EL素子の素子抵抗Rは8.6×10Ωであった。つまり、第1〜第3の条件は満たされていた。
[実施例5]
アクティブマトリクス基板形成工程及び封止工程等は、実施例1と同様である。本実施例では、積層工程において、有機層等の一部を剥離した(剥離法)。
具体的には、アクティブマトリクス基板の作製過程において、各第1電極と接続されるコンタクトホールが位置する部分に、スパッタ法によりクロムからなる熱変換層(厚さ:200nm)を形成した。
次に、パターニングするのではなく画素部分の全面に形成する点を除けば、実施例1と同様に、第1電極の表面に、正孔注入層(厚さ:30nm)し、その上に順に正孔輸送層(厚さ:20nm)、赤色有機発光層(厚さ:30nm)、正孔防止層(厚さ:10nm)、電子輸送層(厚さ:30nm)、電子注入層(厚さ:1nm)、第2電極(厚さ:10nm)を形成した。
形成した第2電極の上に、イオンプレーティングにより、Alからなる絶縁層(厚さ:50nm)をシャドーマスクを用いてパターニング形成した。絶縁層の成膜条件は次の通りである。プラズマビームパワー:4.0kW。ビーム断面積S1:12.56cm。ビームエネルギー密度:310W/cm。O:10sccmで導入。ソース材質:Al焼結体(密度:相対密度99%以上)。
次に、緑色発光有機EL素子の駆動用TFTに接する平坦化膜等を貫通し、該TFTと接続しているコンタクトホールが位置する部分に設けられた熱変換層にYAGレーザーを照射した。そうすると、YAGレーザーのエネルギーは熱変換層によって熱に変わるため、熱変換層の上にそれぞれ形成されていた有機発光層や第2電極、絶縁膜等が熱によって昇華し、除去される。
続いて、その上に、抵抗加熱蒸着法により、銀(Ag)からなる半透明の第1電極(厚さ:10nm)を画素部分の全面に形成した。従って、緑色発光有機EL素子の駆動用TFTと第1電極とは、コンタクトホールを介して電気的に接続されることとなる。
次に、先と同様に、パターニングするのではなく画素部分の全面に形成するように、第1電極の表面に、正孔注入層(厚さ:30nm)し、その上に順に正孔輸送層(厚さ:20nm)、赤色有機発光層(厚さ:30nm)、正孔防止層(厚さ:10nm)、電子輸送層(厚さ:30nm)、電子注入層(厚さ:1nm)、第2電極(厚さ:10nm)、絶縁層(厚さ:50nm)を形成した。
次に、青色発光有機EL素子の駆動用TFTに接する平坦化膜等を貫通し、該TFTと接続しているコンタクトホールが位置する部分に設けられた熱変換層にYAGレーザーを照射し、青色発光有機EL素子用のコンタクトホールに形成されていた絶縁性の層を除去した。
続いて、その上に、抵抗加熱蒸着法により、銀(Ag)からなる半透明の第1電極(厚さ:10nm)をパターニング形成した。なお、ここでも、青色発光有機EL素子の駆動用TFTと第1電極とは、コンタクトホールを介して電気的に接続されている。
次に、その第1電極の表面に、先と同様に、正孔注入層(厚さ:30nm)、正孔輸送層(厚さ:20nm)を画素部分の全面に形成した。
そして、正孔輸送層の上に、実施例1と同様の青色有機発光層(厚さ:30nm)を画素部分の全面に形成した。次いで、発光層の上に、実施例1と同様の、正孔防止層(厚さ:10nm)、電子輸送層(厚さ:30nm)、電子注入層15(厚さ:1nm)を画素部分の全面に形成した。
その後、積層過程のアクティブマトリクス基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、真空蒸着法により電子注入層の表面にマグネシウム及び銀(混合比=1:9)を共蒸着して第2電極を形成(厚さ:20nm)した。
形成した第2電極の上には、実施例1と同様に、無機保護層(厚さ:2μm)、封止ガラス、及び偏光板を設けた。
(性能評価実験結果)
図9に示すように、赤色有機EL素子の輝度は300cd/m、緑色有機EL素子の輝度は600cd/m、青色有機EL素子の輝度は150cd/mとなり、設計値通りの輝度が得られた。また、絶縁膜の抵抗Rは1.7×10Ω、比抵抗ρは5.8×1014Ω・m、透過率は90%以上であった。赤色有機EL素子の素子抵抗Rは2.4×10Ω、緑色有機EL素子の素子抵抗Rは1.2×10Ω、青色有機EL素子の素子抵抗Rは3.6×10Ωであった。つまり、第1〜第3の条件は満たされていた。
1 ガラス基板
2a,2b,2c TFT
3a,3b,3c 有機EL素子
4a,4b,4c 駆動TFT
5a,5b,5c 電源線
6 接続線
7 絶縁層
7a 素子間抵抗
7b 素子間容量
11 走査線
12 信号線
13 スイッチングTFT
14 保持容量
21 第1電極
22 第2電極
23 有機EL層
23a 正孔注入層
23b 正孔輸送層
23c 有機発光層
23d 電子輸送層
23e 電子注入層
30a 素子抵抗
30b 素子容量
31 発光部
32 接続部
51 画素
53 コンタクトホール

Claims (12)

  1. アクティブマトリクス方式の有機EL表示装置であって、
    基板と、前記基板の上に上下に積層された複数の有機EL素子と、を備え、
    前記複数の有機EL素子のそれぞれが、下側の第1電極と、上側の第2電極と、これら第1電極と第2電極との間に形成される有機EL層と、を含み、
    前記第1電極及び前記第2電極のいずれか一方は、陰極側及び陽極側のいずれか一方に接続され、
    前記第1電極及び前記第2電極の他方は、コンタクトホールと、前記有機EL素子を個別に駆動する駆動素子と、を介して前記陰極側及び陽極側の他方に接続され、
    上下に接する前記有機EL素子において、互いに隣接する前記第1電極と前記第2電極との間に、所定の抵抗値を有する絶縁層が設けられている有機EL表示装置。
  2. 陰電極と、陽電極と、これら陰電極及び陽電極の間に設けられる有機EL層と、を備える有機EL素子が、基板上に上下に複数個積層されたアクティブマトリクス方式の有機EL表示装置であって、
    前記各有機EL素子は、それぞれ、前記陰電極及び前記陽電極のいずれか一方に接続される駆動回路を備え、
    前記駆動回路は、前記各有機EL素子を駆動する駆動用TFTと、前記各有機EL素子に入力される信号を制御するスイッチングTFTと、入力される前記信号を保持する保持容量と、を備え、
    前記各有機EL素子がそれぞれ所定の素子抵抗を有し、互いに上下に隣接する一方の前記有機EL素子の陽電極と、他方の前記有機EL素子の陰電極と、の間に、所定の素子間抵抗を有する絶縁層が形成されている有機EL表示装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の有機EL表示装置であって、
    n層目の前記有機EL素子の素子抵抗Rと、
    n+1層目の前記有機EL素子の素子抵抗Rn+1と、
    n層目の前記有機EL素子と、n+1層目の前記有機EL素子と、の間に位置する前記絶縁層に基づく素子間抵抗R(n)〜(n+1)と、
    が下記の第1関係式及び第2関係式を満たすことを特徴とする有機EL表示装置。
    第1関係式:R<R(n)〜(n+1)
    第2関係式:Rn+1<R(n)〜(n+1)
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の有機EL表示装置であって、
    前記絶縁層の比抵抗が、1010Ω・m以上であることを特徴とする有機EL表示装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の有機EL表示装置であって、
    前記絶縁層の膜厚が、50〜10,000nmの範囲に設定されていることを特徴とする有機EL表示装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の有機EL表示装置であって、
    前記複数の有機EL素子が、第1〜第3の有機EL素子で構成され、
    前記第1有機EL素子が赤色を発光する赤色有機発光層を含み、
    前記第2有機EL素子が緑色を発光する緑色有機発光層を含み、
    前記第3有機EL素子が青色を発光する青色有機発光層を含むことを特徴とする有機EL表示装置。
  7. 請求項6に記載の有機EL表示装置であって、
    前記第1〜第3の有機EL素子のそれぞれは、
    発光機能を有する発光部と、前記コンタクトホールが設けられる接続部と、を有し、
    前記接続部は、前記発光部の周辺部に連続して外方に張り出すように形成され、
    前記各有機EL素子の接続部が上下に重ならないように形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
  8. 請求項7に記載の有機EL表示装置であって、
    前記各発光部は矩形状に形成され、
    前記第1〜第3の有機EL素子の各接続部が、前記各発光部の異なる辺の一端から他端にわたる範囲にそれぞれ形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の有機EL表示装置の製造方法であって、
    シャドーマスクを用いた蒸着法により、前記有機EL層における少なくとも前記コンタクトホールの部分をパターン化する工程を含むことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の有機EL表示装置の製造方法であって、
    転写法により、前記有機EL層における少なくとも前記コンタクトホールの部分をパターン化する工程を含むことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
  11. 請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の有機EL表示装置の製造方法であって、
    印刷法により、前記有機EL層における少なくとも前記コンタクトホールの部分をパターン化する工程を含むことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
  12. 請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の有機EL表示装置の製造方法であって、
    前記有機EL層における画素部分の全面に成膜した後、少なくとも前記コンタクトホールの部分を剥離する工程を含むことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
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